JP2023150213A - 山留構造体と地盤開削方法 - Google Patents

山留構造体と地盤開削方法 Download PDF

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Takanori Sugisawa
知明 剱持
Tomoaki Kemmochi
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Yuki Kitazawa
曉洋 岩田
Akihiro Iwata
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Abstract

【課題】開削領域が広範囲に及ぶ大規模な開削施工において、切梁の支保効果の低下を抑制でき、開削施工が開削領域の全域への切梁の設置に影響を受けず、効率的な開削施工を実現できる、山留構造体と地盤開削方法を提供する。【解決手段】地盤Gを開削する際に形成される、山留構造体70であり、開削領域を形成する少なくとも一対の掘削壁面を山留めする、一対の第一山留壁10と、一対の第一山留壁10のスパンsの途中に設けられて開削領域を区切る、一対の第二山留壁20とを有し、一対の第二山留壁20の間に、地盤もしくは地盤改良体である地盤塊40があり、第二山留壁20が地盤塊40の壁面を山留めしている。【選択図】図1

Description

本発明は、山留構造体と地盤開削方法に関する。
地盤を開削する施工においては、開削領域の外殻に沿って様々な形態の山留壁が施工され、対向する山留壁の間に切梁を架設しながら地盤を開削(掘削)する方法が一般に適用されている。
この開削施工には、既設構造物の存在しない地盤に対して、新設の構造物を施工するに際して行う施工の他にも、既設構造物が存在する地盤に対して、既設構造物の周囲に山留壁を施工し、既設構造物を撤去しながら開削を進め、例えば既設構造物よりも深いレベルまで開削する施工もあり、いずれの施工においても、新たに形成された床付けの上に新設の構造物が施工される。
例えば、特許文献1,2においても、対向する山留壁の間に切梁を架設しながら開削する、山留め構造の施工方法や山留め工法が提案されている。
特許文献1に記載の山留め構造の施工方法は、上段切梁の端部における腹起しと土留め壁との間、または上段切梁の端部と腹起しとの間にジャッキ装置を設置して、このジャッキ装置により上段切梁にプレロードを導入する工程と、上段切梁にプレロードを導入した後、下段切梁を設置可能な深さまで掘削対象領域を掘削する工程と、下段切梁の端部における腹起しと土留め壁との間、または下段切梁の端部と腹起しとの間に、ジャッキ装置を設置して、このジャッキ装置により下段切梁にプレロードを導入する工程と、上段切梁と下段切梁の間に斜材を設置して切梁全体をトラス構造にする工程とを有する施工方法である。
一方、特許文献2に記載の山留め工法は、新築床付けレベルよりも地下水位が高い場合に、既存地下外周壁の下端部よりも深く地盤を掘削して新築建物を建設する工事の山留め工法であり、既存地下外周壁の外側に沿って、既存地下外周壁の下端部よりも上方から根入れ位置までに渡って止水性の薬液を注入して止水薬液層を形成し、既存地下外周壁と耐圧板フレームとを存置して既存地下躯体を先行解体し、既存地下外周壁の内側への水平切梁の架設と既存地下躯体の解体とを上部から順次繰り返して行い、既存地下外周壁の下部で止水薬液層の内側を掘削し、掘削した既存地下外周壁の下部に山留め補強壁用のコンクリート壁を形成する山留め工法である。
特開2018-188874号公報 特開2012-233349号公報
ところで、開削領域が広範囲に及ぶ大規模な開削施工においては、自ずと切梁が長くなるが、切梁が長くなることにより、切梁が座屈し易くなり、切梁による支保効果が低下するといった課題がある。例えば、切梁が100m程度の長さになると、切梁による支保効果がかなり低くなることが分かっている。
さらに、大規模な開削施工では、開削領域の全域に例えば複数の切梁が井桁状に架設されるまで、次の掘削工程に入れないことから、全体の施工速度が切梁の設置速度に依存することになり、効率的な開削施工を実現し難いといった課題もある。
特許文献1,2に記載の山留め構造の施工方法や山留め工法は、対向する山留壁に切梁を架設し、開削を行っていく内容は基本的に従来一般の開削方法と変わりないことから、開削領域が広範囲に及ぶ場合の上記する切梁の関する課題や、全体施工が開削領域の全域における切梁の設置に依存することで効率性が良好でないといった課題を解消するものでない。
本発明は、開削領域が広範囲に及ぶ大規模な開削施工において、切梁の支保効果の低下を抑制でき、開削施工が開削領域の全域への切梁の設置に影響を受けず、効率的な開削施工を実現できる、山留構造体と地盤開削方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による山留構造体の一態様は、
地盤を開削する際に形成される、山留構造体であって、
開削領域を形成する少なくとも一対の掘削壁面を山留めする、一対の第一山留壁と、
前記一対の第一山留壁のスパンの途中に設けられて、前記開削領域を区切る、一対の第二山留壁とを有し、
前記一対の第二山留壁の間に、地盤もしくは地盤改良体である地盤塊があり、該第二山留壁が該地盤塊の壁面を山留めしていることを特徴とする。
本態様によれば、開削領域を形成する少なくとも一対の掘削壁面を山留めする、一対の第一山留壁のスパンの途中に、当該スパン(開削領域)を区切る一対の第二山留壁が設けられていることにより、一対の第一山留壁のスパンが長い場合でも、開削領域が複数の区画に区切られることにより、例えば開削領域の全域に切梁を設置することを待って掘削施工が行われることを解消できる。
このことにより、例えば、第一山留壁と第二山留壁で挟まれた区画や、一対の第二山留壁で挟まれた区画ごとに、それぞれ個別に開削することが可能になり、開削領域における全体の開削施工の施工効率を高めることができ、各開削区画のうちの一部を先行して開削し、先行して構造物を施工する等、現場に応じた様々な施工オプションを設定できる。
また、開削領域の全域の開削をせずに、例えば中央にある一対の第二山留壁で挟まれた区画にある地盤塊を残した上で、その左右にある第一山留壁と第二山留壁で挟まれた区画を開削することで、開削領域の全域を一度に開削する場合と比べてリバウンド量を抑制することも可能になる。
本態様では、第一山留壁と第二山留壁、一対の第二山留壁のそれぞれの間に切梁が架設されることを必須の構成要件としていない。例えば、地盤が比較的硬質で、かつ第一山留壁や第二山留壁に剛性の高い山留壁を適用する等の場合には、切梁を不要としながらの開削も可能であることから、これらの態様も含めることにする。
また、一対の第二山留壁の間に、(原)地盤や地盤改良体等の地盤塊が存在することで、これらが全体として自立した高剛性の山留壁ユニットを形成する。従って、例えば第一山留壁と第二山留壁の間に切梁を架設した際には、第二山留壁はその背面の地盤塊等と一体となって、切梁の一端を支持する山留壁を形成できる。
また、本発明による山留構造体の他の態様において、
対応する前記第一山留壁と前記第二山留壁の間に、支保工が架設されていることを特徴とする。
本態様によれば、対応する第一山留壁と第二山留壁の間に、腹起しや切梁といった支保工が架設されることにより、例えば、開削領域が広範であっても、複数の区画に分割されていることから、第一山留壁と第二山留壁の間に架設される切梁の長さが長くなり過ぎることが解消され、切梁の支保効果の低減を抑制することができる。
また、本発明による山留構造体の他の態様は、
前記第一山留壁と前記第二山留壁が、いずれも平面視無端形状を有し、
前記第一山留壁の内周面と前記第二山留壁の外周面の間に、複数の前記支保工が架設されていることを特徴とする。
本態様によれば、平面視無端形状の第一山留壁の間に、同様に平面視無端形状の第二山留壁があり、第一山留壁の内周面と第二山留壁の外周面の間に複数の支保工が架設されていることにより、第二山留壁の外周と第一山留壁の内周との間で、それらの無端形状に沿って複数の切梁を架設することができる。例えば、内部にある無端形状の第二山留壁の内部の開削と支保工設置(切梁設置)を先行して施工することにより、第二山留壁とその内部の全体を中間仮設体として、第一山留壁と中間仮設体との間に支保工を架設することで、開削領域全体としてバランスを取りながら、第一山留壁と第二山留壁の間の開削を行うことが可能になる。
ここで、開削領域の外殻形状が例えば矩形(長方形や正方形)の場合は、第一山留壁の無端形状はこの外殻形状の矩形であり、その内部にある第二山留壁の無端形状は、例えば第一山留壁の矩形と相似の小矩形であってよい。
また、その他、第一山留壁の無端形状が矩形以外の多角形や円形、楕円形等の場合も、その内部にある第二山留壁の無端形状は、例えば第一山留壁の形状と相似で小寸法の形状であってよい。
また、本発明による山留構造体の他の態様において、
前記第二山留壁が、間隔を置いて配設されている山留壁A及び山留壁Bを備え、該山留壁Aと該山留壁Bのそれぞれの内周面もしくは外周面には、それぞれの山留壁A,Bを一体化する連結材が取り付けられており、
前記山留壁Aと前記山留壁Bが平面視無端形状の前記第二山留壁を形成する場合は、平面視無端形状の該第二山留壁の内周面もしくは外周面に、平面視無端形状の連結材が取り付けられていることを特徴とする。
本態様によれば、第二山留壁が、間隔を置いて配設されている山留壁A及び山留壁Bを備え、それぞれの山留壁A,Bを一体化する連結材が取り付けられていることにより、それらの内部にある地盤もしくは地盤改良体である地盤塊とともに、高剛性の第二山留壁が形成され、第一山留壁との間の開削における施工安全性の高い山留構造体を形成することができる。
また、本発明による山留構造体の他の態様において、
前記第二山留壁の上方に仮桟橋が配設され、該第二山留壁が該仮桟橋を支持していることを特徴とする。
本態様によれば、第二山留壁が、その上方にある仮桟橋を支持していることにより、地盤を掘削するクラムシェルや、各種資機材を搬送するクレーン等の様々な重機が利用する仮桟橋の支持部材を第二山留壁が兼用することができ、施工性が向上する。ここで、第一山留壁の一部から仮桟橋に通じる渡り桟橋も設置される。
また、本発明による地盤開削方法の一態様は、
地盤を開削する地盤開削方法であって、
開削領域を形成する少なくとも一対の掘削壁面に、一対の第一山留壁を施工する、A工程と、
前記一対の第一山留壁のスパンの途中に設けられて、前記開削領域を区切る、一対の第二山留壁を施工し、この際に、前記一対の第二山留壁の間に、地盤もしくは地盤改良体である地盤塊を存在させ、該第二山留壁が該地盤塊の壁面を山留めする、B工程と、
対応する前記第一山留壁と前記第二山留壁の間の開削領域Aと、前記一対の第二山留壁の間の開削領域Bを個別に開削する、C工程とを有することを特徴とする。
本態様によれば、開削領域を形成する少なくとも一対の掘削壁面を山留めする、一対の第一山留壁のスパンの途中に、当該スパンを区切る一対の第二山留壁を施工し、一対の第二山留壁の間に地盤塊を存在させた上で、第一山留壁と第二山留壁の間の開削領域Aと、一対の第二山留壁の間の開削領域Bを個別に開削することにより、開削領域における全体の開削施工の施工効率を高めることができ、各開削区画のうちの一部を先行して開削し、先行して構造物を施工する等、現場に応じた様々な施工オプションを設定できる。
また、本発明による地盤開削方法の他の態様は、
前記C工程において、
前記開削領域Aでは、対応する前記第一山留壁と前記第二山留壁の間に支保工を架設しながら開削し、
前記開削領域Bでは、一対の前記第二山留壁の間に支保工を架設しながら開削することを特徴とする。
本態様によれば、対応する第一山留壁と第二山留壁の間に、腹起しや切梁といった支保工が架設されることにより、例えば、開削領域が広範であっても、複数の区画に分割されていることから、第一山留壁と第二山留壁の間に架設される切梁の長さが長くなり過ぎることが解消され、切梁の支保効果の低減を抑制することができる。
また、本発明による地盤開削方法の他の態様において、
前記B工程では、前記一対の第一山留壁のスパンの途中に、二組の前記一対の第二山留壁を施工し、対応する前記第一山留壁と前記一対の第二山留壁の間の二つの開削領域を開削領域A1,A2とし、二組の前記一対の第二山留壁のそれぞれの該第二山留壁の間の開削領域を開削領域B1,B2とし、さらに、該二組の一対の第二山留壁の間の開削領域を開削領域B3とし、
前記C工程では、中央にある前記開削領域B3を先行して支保工を架設しながら開削し、該開削領域B3に架設された支保工とその両側にある二組の前記一対の第二山留壁により、中間仮設体を形成し、該中間仮設体の左右にある前記開削領域A1,A2を、同一もしくは略同一の速度で、支保工を架設しながら開削することを特徴とする。
本態様によれば、一対の第一山留壁のスパンの途中に二組の一対の第二山留壁を施工し、二組の一対の第二山留壁の間の開削領域B3を他の開削領域よりも先行して支保工を架設しながら開削し、開削領域の中央に中間仮設体を形成した上で、中間仮設体の左右にある開削領域A1,A2を同程度の開削速度で施工することにより、広範な開削領域の全域をバランスよく施工することが可能になる。
本発明の山留構造体と地盤開削方法によれば、開削領域が広範囲に及ぶ大規模な開削施工において、切梁の支保効果の低下を抑制でき、開削施工が開削領域の全域への切梁の設置に影響を受けず、効率的な開削施工を実現できる。
第1実施形態に係る山留構造体の一例と、地盤開削方法の一例の工程図をとともに示す縦断面図である。 図1に続いて、第1実施形態に係る地盤開削方法の一例の工程図を示す縦断面図である。 第2実施形態に係る山留構造体の一例を示す平面図である。 第3実施形態に係る山留構造体の一例と、地盤開削方法の一例の工程図をとともに示す縦断面図である。 図4に続いて、第3実施形態に係る地盤開削方法の一例の工程図を示す縦断面図である。 図5に続いて、第3実施形態に係る地盤開削方法の一例の工程図を示す縦断面図である。
以下、各実施形態に係る山留構造体と地盤開削方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[第1実施形態に係る山留構造体と地盤開削方法]
はじめに、図1と図2を参照して、第1実施形態に係る山留構造体と地盤開削方法の一例について説明する。ここで、図1は、第1実施形態に係る山留構造体の一例と、地盤開削方法の一例の工程図をとともに示す縦断面図であり、図2は、図1に続いて、第1実施形態に係る地盤開削方法の一例の工程図を示す縦断面図である。
以下、各実施形態の説明では、既設構造物のない地盤を開削して、新設構造物を施工する内容を説明するが、各実施形態に係る地盤開削方法は、既設構造物のある地盤に対して、既設構造物を撤去しながら地盤を開削して、新設構造物を施工する際にも適用できるものである。また、以下の説明では、対向する山留壁の間に支保工(切梁)を架設する方法として説明するが、対象地盤が硬質であって開削深さが比較的浅い等、支保工を適用することなく開削施工を行うことのできる場合は、支保工の架設は不要であり、各実施形態に係る地盤開削方法は、地盤条件や施工条件に基づき、支保工を架設しない開削施工にも適用できるものである。
山留構造体70は、例えば、一方向であるY方向に横長の山留構造体であり、地盤Gを開削施工する際に形成される構造体である。尚、紙面の奥行き方向(本例では開削領域の短手方向)においては、図示例と同様の構成の山留構造体が形成されてもよいし、より簡易的な適宜の山留構造体が形成されてもよい。
開削領域のうち、長手方向であるY方向において、一対の第一山留壁10をスパンsを置いて地盤Gに施工する。ここで、第一山留壁10としては、親杭横矢板壁や鋼製矢板壁等の既製矢板壁と、柱列山留め壁や連続地中壁等の場所打ち壁が適用でき、柱列山留め壁には、場所打ち鉄筋コンクリート柱列山留め壁や鋼管柱列山留め壁、ソイルセメント柱列山留め壁(ソイルセメント柱列式連続壁、SMW(Soil Mixing Wall)壁)等がある(以上、地盤開削方法のA工程)。
一対の第一山留壁10のスパンsの途中には、スパンsの開削領域を区切る、一対の第二山留壁20を施工し、一対の第二山留壁20の間には、(原)地盤もしくは地盤改良体である地盤塊40を存在させ、一対の第二山留壁20により地盤塊40の壁面が山留めされる。
ここで、一対の第一山留壁10のスパンsの長さは、例えば100m程度以上と非常に長く、連続した切梁がスパンsに架設される場合に、切梁が座屈し易く、切梁による支保効果が十分に得られない長さであるものとする。
第二山留壁20は、紙面の奥行き方向に延びており、同様に開削領域の短手方向に延設する複数段(図示例は三段)の連結材21により、山留壁の一体性が確保されている。連結材21には、溝形鋼やH形鋼等の形鋼材、角形鋼管や鋼管等が適用できる。
ここで、第二山留壁20には、第一山留壁10と同様に、既製矢板壁、柱列山留め壁や連続地中壁等の場所打ち壁等が適用できる。また、地盤塊40が地盤改良体である場合に、この地盤改良体には、流動化処理土等が適用できる。
一対の第一山留壁10のスパンsを区切る、一対の第二山留壁20と地盤塊40とにより、中間仮設体60が形成される。中間仮設体60は、長いスパンsの途中に、島のように存在する仮設体であることから、疑似アイランド体と称してもよい(以上、地盤開削方法のB工程)。
中間仮設体60を構成する一対の第二山留壁20は、仮桟橋51を支持しており、仮桟橋51には、第一山留壁10の背面の地表からアクセスするための渡り桟橋52が取り付けられている。地盤Gの開削を行う不図示のクラムシェルや、各種資機材を搬送する不図示のクレーン等の様々な重機が、渡り桟橋52から仮桟橋51に移動し、仮桟橋51を利用して開削施工や資機材の搬送を行う。
第二山留壁20が仮桟橋51を直接支持することにより、仮桟橋51に固有の支持構造体の施工を不要にしながら、スパンsの長い開削領域における開削施工の施工性を向上させることができる。
一対の第一山留壁10と、そのスパンsの途中にある中間仮設体60とにより、山留構造体70が形成される。
スパンsの途中に中間仮設体60を設けることにより、スパンsの開削領域は、左右の開削領域Aと、中間仮設体60に対応する開削領域Bにエリア分けされる。
左右の開削領域Aにおいてはいずれも、第一山留壁10と第二山留壁20が対向している。そこで、双方の開削領域Aともに、地盤の掘削と、第一段目の腹起し31と切梁32からなる支保工30の架設を行い、以降、第二段目の支保工30の架設、地盤の掘削、第三段目の支保工30の架設、地盤の掘削を深度方向であるX1方向に順次行っていき、床付けレベルまでの開削を行う。ここで、腹起し31と切梁32には、H形鋼等の形鋼材が適用される。
この開削施工では、左右の開削領域Aの施工の開削速度を同程度に調整し、双方の開削をバランスさせながら施工を行うことにより、中間仮設体60が左右の切梁32から同程度の押圧力を受けることができ、偏荷重を受けて中間仮設体60が崩壊するといった問題を回避することができる。
次に、図2に示すように、先行して開削施工が終了した左右の開削領域Aにおいて、新設構造物を構成する一点鎖線で示す基礎K1を施工し、地上に向かってX2方向に、新設構造物を構成する一点鎖線で示す躯体K2を立ち上げていく。この躯体K2に立ち上げに際しては、障害となる支保工30を下段から順次撤去する。
上方へ立ち上げられていく躯体K2により、一対の第二山留壁20が左右から支持される。立ち上がっていく躯体K2にて側方から支持されている一対の第二山留壁20の内部にある地盤塊(開削領域B)を、下方に向かってX3方向に掘削していき、この際に、一対の第二山留壁20の内部に複数段の支保工30Aを架設していく(以上、地盤開削方法のC工程)。
左右の開削領域Aに、地下施設を形成する新設構造物が施工され、一対の第二山留壁20の内部においても、第二山留壁20を撤去しながら不図示の新設構造物を施工していき、開削領域Aにおいて施工済みの新設構造物と開削領域Bにおいて施工される新設構造物を連結することにより、全開削領域に跨がる新設構造物が施工される。地下施設を形成する新設構造物の上には、高層もしくは超高層のビルやマンション、複合施設といった構造物が施工される。
図示する地盤開削方法によれば、開削領域を形成する少なくとも一対の掘削壁面を山留めする、一対の第一山留壁10のスパンsの途中に、スパンsを区切る一対の第二山留壁20が設けられていることにより、一対の第一山留壁10のスパンsが長い場合でも、開削領域が複数の区画(開削領域A,B)に区切られることにより、例えば開削領域A,Bの全域に切梁を設置することを待って掘削施工が行われることを解消できる。このことにより、例えば、第一山留壁10と第二山留壁20で挟まれた開削領域Aや、一対の第二山留壁20で挟まれた開削領域Bごとに、それぞれ個別に開削することが可能になり、開削領域における全体の開削施工の施工効率を高めることができ、開削領域A,Bのうちの一方を先行して開削し、先行して構造物を施工する等、現場に応じた様々な施工オプションを設定できる。
また、開削領域が広範であっても、複数の開削領域A,Bに分割されていることから、第一山留壁10と第二山留壁20の間に架設される切梁32の長さが長くなり過ぎることが解消され、切梁32の支保効果の低減を抑制することができる。
さらに、開削領域の全域の開削をせずに、例えば中央にある一対の第二山留壁20で挟まれた開削領域Bにある地盤塊40を残した上で、その左右にある開削領域Aを開削することで、開削領域の全域を一度に開削する場合と比べてリバウンド量を抑制することも可能になる。
[第2実施形態に係る山留構造体と地盤開削方法]
次に、図3を参照して、第2実施形態に係る山留構造体と地盤開削方法の一例について説明する。ここで、図3は、第2実施形態に係る山留構造体の一例を示す平面図である。
図示例の地盤開削方法は、施工対象の開削領域が平面視矩形であり、縦横ともにスパンの長い開削領域を開削する際の開削方法である。例えば、相対的に長い横方向のスパンが100m程度以上であり、縦方向のスパンも80m程度以上である。ここで、平面的に広範な開削領域は、図示例のように平面視矩形の他にも、矩形以外の平面視正方形や平面視多角形、平面視円形、平面視楕円形、平面視で相互に交差する曲線区間と直線区間を含む形状等、様々な平面視形状の開削領域が対象となる。
この場合は、開削領域の外殻に沿って平面視無端形状(図示例は平面視矩形枠状)に第一山留壁10を施工し、その内側に、相対的に規模の小さな平面視無端形状(図示例は平面視矩形枠状)に第二山留壁20を施工する。
平面視矩形枠状の第二山留壁20の内部には地盤塊40があり、第二山留壁20と地盤塊40とにより、中間仮設体60Aが形成される。
図示例においても、第二山留壁20に一点鎖線で示す仮桟橋51を直接支持させ、仮桟橋51と第一山留壁10の一部の背面地盤との間に渡り桟橋52を架設する。
第一山留壁10と第二山留壁20(中間仮設体60A)を施工した後、双方の間の枠状のエリアを開削領域Aとし、開削領域Aにおいて、図1と同様に、掘削と、各段の支保工30Bの設置を繰り返しながら床付けレベルまでの開削を行う。ここで、支保工30Bでは、各切梁32の端部に火打ち33を設置することにより、切梁32の支保エリアを可及的に広くすることができる。
また、開削領域Aの矩形の隅角部には、複数の形鋼材等を平面視三角形状でかつ井桁状に組んで形成されている、火打ちユニット35を設置し、隅角部における効率的な支保構造を形成する。
図示例においても、矩形枠状の開削領域Aの開削は、全域で同程度の開削速度にて行い、開削領域Aの開削をバランスさせながら施工を行うことにより、中央にある中間仮設体60Aが周囲の切梁32から同程度の押圧力を受けることができ、偏荷重を受けて中間仮設体60Aが崩壊するといった問題を回避することができる。
図示を省略するが、図2と同様に、開削領域Aにおいて新設構造物を立ち上げていきながら、当該新設構造物にて中間仮設体60Aの周囲を支持させ、この状態で、地盤塊40により形成される開削領域Bの開削と支保工の設置を順次行っていく。
最後に、開削領域Aにおいて先行して施工済みの新設構造物と、開削領域Bにおいて施工される新設構造物を順次接続していくことにより、広範な平面視矩形の開削領域に渡る地下の施設を形成する新設構造物が施工される。
[第3実施形態に係る山留構造体と地盤開削方法]
次に、図4乃至図6を参照して、第3実施形態に係る山留構造体と地盤開削方法の一例について説明する。ここで、図4は、第3実施形態に係る山留構造体の一例と、地盤開削方法の一例の工程図をとともに示す縦断面図であり、図5と図6は、図4に続いて、第3実施形態に係る地盤開削方法の一例の工程図を示す縦断面図である。
図示例は、例えば図1に示す一対の第二山留壁20(山留壁Aと山留壁B)とその間にある地盤塊40により形成される中間仮設体60を、一つの高剛性の仮設体とし、左右に離間して二つの高剛性の仮設体を施工し、これらの間を先行して開削するエリアとし、先行して開削される過程で架設させる支保工30と、左右の高剛性の仮設体とにより、大規模な中間仮設体60Bを形成して全開削領域の開削施工を順次行う施工方法である。ここで、図示例の開削領域は、図1に示すように一方向に長い細長の開削領域であってもよいし、図3に示すように平面視矩形や多角形等、平面的に広範な開削領域であってもよい。
一対の第二山留壁20とその間にある地盤塊40により形成されるエリアが開削領域B1であり、二つの開削領域B1の間に開削領域B2が形成される。さらに、左右の外側に施工される第一山留壁10と、第一山留壁10に対向する第二山留壁20との間に開削領域A1,A2が形成される。
この開削施工では、中央にある開削領域B3の開削を先行して行い、地盤の掘削と各段の支保工30の架設を深度方向であるX4方向に行っていき、この過程で中間仮設体60Bが形成される。
中間仮設体60Bの左右にある開削領域A1,A2においては、同程度の開削速度にて開削施工を行い、地盤の掘削と各段の支保工30の架設を深度方向であるX5方向に行っていく。
図5に示すように、開削領域B3では、先行して新設構造物を形成する基礎K1を施工し、躯体K2を地上へ向かってX6方向に立ち上げながら、左右にある第二山留壁20を躯体K2にて内側から支持させる。
左右にある開削領域A1,A2では、開削領域B3に遅れて同程度のタイミングで床付けレベルまでのX7方向の開削を行い、中間仮設体60Bの左右にある開削領域A1,A2の開削をバランスさせながら施工を行う。
図6に示すように、開削領域B3において新設構造物が地上まで施工され、次いで左右の開削領域A1,A2において遅れて新設構造物が地上まで施工された後、開削領域B1,B2の開削(と第二山留壁20の撤去)をX8方向に行っていく。
この開削領域B1,B2の開削の過程で、もしくは、開削領域B1,B2の開削が完了した後に、開削領域B1,B2における新設構造物の施工を行い、左右の開削領域A1,A2において既に施工済みの新設構造物と接続することにより、広範な開削領域に渡る地下の施設を形成する新設構造物が施工される。
本開削方法では、開削領域B1,B2の内部に、本設構造物の壁や柱等が位置しないように開削領域B1,B2を設定することにより、最後に開削領域B1,B2を掘削しながら本設構造物を施工する際の施工性が良好になる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:第一山留壁
20:第二山留壁
21:連結材
30,30A,30B:支保工
31,31A:腹起し
32:切梁
33:火打ち
35:火打ちユニット
40:地盤塊
51:仮桟橋
52:渡り桟橋
60,60A,60B:中間仮設体
70,70A,70B:山留構造体
A,A1,A2,B,B1,B2,B3:開削領域
K1:基礎
K2:躯体
K3:1階スラブ
G:地盤

Claims (8)

  1. 地盤を開削する際に形成される、山留構造体であって、
    開削領域を形成する少なくとも一対の掘削壁面を山留めする、一対の第一山留壁と、
    前記一対の第一山留壁のスパンの途中に設けられて、前記開削領域を区切る、一対の第二山留壁とを有し、
    前記一対の第二山留壁の間に、地盤もしくは地盤改良体である地盤塊があり、該第二山留壁が該地盤塊の壁面を山留めしていることを特徴とする、山留構造体。
  2. 対応する前記第一山留壁と前記第二山留壁の間に、支保工が架設されていることを特徴とする、請求項1に記載の山留構造体。
  3. 前記第一山留壁と前記第二山留壁が、いずれも平面視無端形状を有し、
    前記第一山留壁の内周面と前記第二山留壁の外周面の間に、複数の前記支保工が架設されていることを特徴とする、請求項2に記載の山留構造体。
  4. 前記第二山留壁が、間隔を置いて配設されている山留壁A及び山留壁Bを備え、該山留壁Aと該山留壁Bのそれぞれの内周面もしくは外周面には、それぞれの山留壁A,Bを一体化する連結材が取り付けられており、
    前記山留壁Aと前記山留壁Bが平面視無端形状の前記第二山留壁を形成する場合は、平面視無端形状の該第二山留壁の内周面もしくは外周面に、平面視無端形状の連結材が取り付けられていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の山留構造体。
  5. 前記第二山留壁の上方に仮桟橋が配設され、該第二山留壁が該仮桟橋を支持していることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の山留構造体。
  6. 地盤を開削する地盤開削方法であって、
    開削領域を形成する少なくとも一対の掘削壁面に、一対の第一山留壁を施工する、A工程と、
    前記一対の第一山留壁のスパンの途中に設けられて、前記開削領域を区切る、一対の第二山留壁を施工し、この際に、前記一対の第二山留壁の間に、地盤もしくは地盤改良体である地盤塊を存在させ、該第二山留壁が該地盤塊の壁面を山留めする、B工程と、
    対応する前記第一山留壁と前記第二山留壁の間の開削領域Aと、前記一対の第二山留壁の間の開削領域Bを個別に開削する、C工程とを有することを特徴とする、地盤開削方法。
  7. 前記C工程において、
    前記開削領域Aでは、対応する前記第一山留壁と前記第二山留壁の間に支保工を架設しながら開削し、
    前記開削領域Bでは、一対の前記第二山留壁の間に支保工を架設しながら開削することを特徴とする、請求項6に記載の地盤開削方法。
  8. 前記B工程では、前記一対の第一山留壁のスパンの途中に、二組の前記一対の第二山留壁を施工し、対応する前記第一山留壁と前記一対の第二山留壁の間の二つの開削領域を開削領域A1,A2とし、二組の前記一対の第二山留壁のそれぞれの該第二山留壁の間の開削領域を開削領域B1,B2とし、さらに、該二組の一対の第二山留壁の間の開削領域を開削領域B3とし、
    前記C工程では、中央にある前記開削領域B3を先行して支保工を架設しながら開削し、該開削領域B3に架設された支保工とその両側にある二組の前記一対の第二山留壁により、中間仮設体を形成し、該中間仮設体の左右にある前記開削領域A1,A2を、同一もしくは略同一の速度で、支保工を架設しながら開削することを特徴とする、請求項6又は7に記載の地盤開削方法。
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