JP2023149969A - 封止用ガラス組成物 - Google Patents

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卓也 高山
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Abstract

【課題】電子部品の封止工程に適した物性を有しつつ、より高温域でも耐えられる封止材を形成できるとともに、工業的規模での生産により適したガラス組成物を提供する。【解決手段】結晶化ガラス封止材を製造するためのガラス組成物であって、結晶化ガラス封止材を製造するためのガラス組成物であって、下記成分:(a)SiO2:39~63モル%、(b)Al2O3:4~15モル%、(c)CaO:28~49モル%の3成分を含み、かつ、上記(a)~(c)以外の成分の合計量が0~3モル%である、ことを特徴とするSiO2-Al2O3-CaO系封止用ガラス組成物に係る。【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品等の封止に用いられる封止用ガラス組成物に関する。
半導体等を含む電子部品は、それを外部環境から保護するために種々のガラス、樹脂等による封止、密閉等が施されることがある。そのような電子部品の一例として、サーミスタが挙げられる。サーミスタは、半導体の電気抵抗が温度変化に対して大きく変化する特性を利用することにより温度センサとして用いられる電子部品である。サーミスタにおいても、特に高い温度又は酸化性雰囲気で使用されるような場合には、その環境下での劣化を防ぐため、ガラス等により被覆封止されている。図1には、サーミスタの典型例であるビード型サーミスタ(リードタイプ)の基本構成を示す。このサーミスタ10は、半導体素子12を介して2本のリード線13が接続されており、半導体素子12及びリード線13を覆うように封止材層11で被覆封止されている。この封止材層11を構成する封止材としては、従来よりガラス、樹脂等が使用されているが、耐熱性等に優れているという点では特にガラスが多用されている。
封止材としてガラスを用いる場合においては、高い電気抵抗を有することに加え、半導体素子及びリード線を被覆封止した際、クラック及び隙間が生じないように半導体素子及びリード線の熱膨張係数と同一又はそれに近い熱膨張係数を有することが求められる。
このような温度センサの封止材として、例えばホウケイ酸系ガラス(特許文献1、特許文献2)が提案されている。また、より高温で使用される温度センサの封止材として、ガラスを結晶化させたものが使用されている。例えばチタン酸ランタノイド結晶又はディオプサイド結晶の結晶が析出する結晶化ガラス(特許文献3)も知られている。
電子部品の封止材としてガラスを用いる場合、より高い耐熱性を有することが求められている。すなわち、電子部品が高温下に曝されても、封止材が軟化変形等を生じることなく、確実に封止機能を果たすことが要求されている。このような要求は、温度センサ(サーミスタ)等においてはより顕著になっているといえる。
温度センサが使用される装置の一例として発電装置が挙げられる。近年、二酸化炭素排出量の増加、酸性雨等の環境問題を鑑み、CO、NOx等の有害ガスの発生を最小限にするために、発電装置の燃焼システム等では最適な運転状態に保つことが要求されている。このように燃焼システムの燃焼状態を最適にするためには、温度センサ等を含む温度管理システムにより燃焼システムの温度を制御することが必要となる。しかも、その管理すべき温度域は、より高温域もカバーすることが必要とされている。
しかしながら、従来の温度センサは、その封止材であるガラスの耐熱性はまだ十分とはいえない。また、封止材として結晶化ガラスを使用した温度センサは、比較的高温域でも軟化変形しないものの、さらなる高温域(例えば1100℃以上)で安定状態を維持することが困難であるため、実用上の観点では不安が残るものである。
これに対し、本発明者は、先に、少なくともCaO-ZnO-SiO系結晶を含む結晶化ガラス封止材を製造するためのガラス組成物であって、少なくとも下記成分;1)SiO:41~55モル%、2)CaO:29~36モル%、3)ZnO:5~25モル%、4)Al:3~12モル%及び5)RO(ただし、RはMg、Sr及びBaの少なくとも1種を示す。):合計0~20モル%を含み、Al原子のZn原子に対するモル比[Al/Zn]が0.4≦[Al/Zn]≦2を満たすことを特徴とする封止用ガラス組成物を開発し、特許出願するに至っている(特許文献4)。
特開2002-037641号公報 国際公開WO2006/035882 特開2008-120648号公報 国際公開WO2018/221426
特許文献4の封止用ガラス組成物によれば、電子部品の封止工程に適した物性を有しつつ、焼成後はより高温域でも耐えられる封止材を形成することができる。この場合において、より簡単なガラス組成で同等又はそれ以上の性能を得ることができれば、原料コスト、混合作業の手間等を低減できるほか、混合ムラ等に起因する問題を未然に防止できる結果、工業的規模での生産により適したガラス組成物となり得る。
従って、本発明の主な目的は、電子部品の封止工程に適した物性を有しつつ、より高温域でも耐えられる封止材を形成できるとともに、工業的規模での生産により適したガラス組成物を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の組成を有するガラス組成物によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の封止用ガラス組成物及び封止材に係る。
1. 結晶化ガラス封止材を製造するためのガラス組成物であって、下記成分:
(a)SiO:39~63モル%、
(b)Al:4~15モル%、
(c)CaO:28~49モル%
の3成分を含み、かつ、
上記(a)~(c)以外の成分の合計量が0~3モル%である、
ことを特徴とするSiO-Al-CaO系封止用ガラス組成物。
2. 前記3成分が、
(a)SiO:41~57モル%、
(b)Al:5~13モル%、
(c)CaO:35~49モル%
である、前記項1に記載のSiO-Al-CaO系封止用ガラス組成物。
3. 前記3成分が、
(a)SiO:44~57モル%、
(b)Al:7~13モル%、
(c)CaO:35~48モル%
である、前記項1に記載のSiO-Al-CaO系封止用ガラス組成物。
4. SiO、Al及びCaOを含む結晶化ガラス封止材であって、
(1)下記成分:
(a)SiO:39~63モル%、
(b)Al:4~15モル%、
(c)CaO:28~49モル%
の3成分を含み、かつ、上記(a)~(c)以外の成分の合計量が0~3モル%であり、
(2)SiO-Al-CaO系結晶として少なくともCaAlSi結晶及びCaSiO結晶の少なくとも1種を含む、
ことを特徴とするCaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材。
5. 50~550℃における熱膨張係数が55~80×10-7/℃である、前記項4に記載のCaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材。
6. 前記項4又は5に記載のCaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材によって電子部品が封止されてなる電子デバイス。
7. 前記項1~3のいずれかに記載の封止用ガラス組成物を1000~1300℃の温度下で熱処理する工程を含む、CaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材の製造方法。
本発明の封止用ガラス組成物(本発明ガラス組成物)によれば、電子部品の封止工程に適した物性を有しつつ、より高温域でも耐えられる封止材を形成できるとともに、工業的規模での生産により適したガラス組成物を提供することができる。
本発明ガラス組成物は使用時には焼成が行われるが、その焼成によりSiO-Al-CaO系結晶として少なくともCaAlSi結晶及びCaSiO結晶の少なくとも1種を含む結晶化ガラス(本発明の封止材)が形成されるので、1100℃付近から当該結晶の融点(約1350℃)未満の範囲内において優れた耐熱性を発現させることができる。しかも、その結晶化ガラスは、電子部品(例えば金属及び/又は半導体)に近い熱膨張係数を示すため、高温条件下で長期間曝されても劣化、変形等を効果的に抑制ないしは防止できることに加え、粘性低下のおそれもないため、高温条件下での封止材として好適に使用することができる。
また、本発明ガラス組成物を用いた封止工程の段階(焼成時)においても、本発明ガラス組成物は高い流動性を発現できるため、電子部品に対する濡れ性、密着性又は追従性に優れており、隙間、気孔等のない気密性の高い封止部材となり得る。また、その熱膨張係数も、55×10-7/℃~80×10-7/℃付近の範囲内に収めることができるので、電子部品に近似した熱膨張特性を付与することができる。その結果、効果的な封止(特に電子部品を本発明の封止材で直接覆って封止する被覆封止)を行うことができる。また、このことは、封止工程(ひいては電子デバイス製造)の効率化にも寄与することができる。
このような特徴をもつ本発明ガラス組成物及び封止材は、例えば電子部品(半導体素子等)を外部環境から保護するための封止に好適に用いることができる。
一般的なビード型サーミスタの構成を示す模式図である。
10 サーミスタ
11 封止材層
12 半導体素子
13 リード線
1.封止用ガラス組成物
(1)封止用ガラス組成物
本発明の封止用ガラス組成物(本発明ガラス組成物)は、結晶化ガラス封止材を製造するためのガラス組成物であって、下記成分;
(a)SiO:39~63モル%、
(b)Al:4~15モル%、
(c)CaO:28~49モル%
の3成分を含み、かつ、
上記(a)~(c)以外の成分の合計量が0~3モル%である、
ことを特徴とする。
SiO
本発明ガラス組成物において、SiOは、ガラス網目形成成分であり、主として、ガラスの製造時にガラスの安定性を向上させるとともに本発明ガラス組成物の使用時(すなわち、本発明ガラス組成物の焼成体)においてCaO-Al-SiO系結晶を生成させるために有効な成分である。
本発明ガラス組成物中におけるSiOの含有量は、通常は39~63モル%とし、好ましくは41~57モル%とし、より好ましくは43~57モル%とする。SiOの含有量が39モル%未満の場合、ガラス中に結晶が析出することがある。ガラス中に結晶が析出すると、これを粉砕して得たガラス粉末は、焼成時における結晶化の開始が早まるため、焼成開始後の初期の段階において流動性が低下する結果、焼成後の被封止物との間に空隙が生じ、所望の封止ができなくなるおそれがある。しかも、ガラス粉末を焼成した場合にCaO-Al-SiO系結晶が十分生成されなくなることがある。他方、SiOの含有量が63モル%を超える場合は、ガラスが形成されないか、あるいはガラスが形成されたとしても、焼成後におけるSiO結晶の析出による異常膨張により、熱膨張係数の値が増大するおそれがある。
Al
本発明ガラス組成物において、Alは、主として、ガラスの製造時における安定性を向上させ、結晶化開始温度の調整するために必要な成分である。
本発明ガラス組成物中におけるAlの含有量は、通常は4~15モル%とし、好ましくは7~13モル%とする。Alの含有量が4モル%未満の場合は、耐熱性が悪くなるので好ましくない。また、Alの含有量が15モル%を超えると、ガラス軟化温度と結晶化開始温度の差が小さくなりすぎることがあり、気密性が悪くなるおそれがある。
CaO
本発明ガラス組成物において、CaOは、主として、本発明ガラス組成物を焼成して得られる結晶化ガラス中にCaAlSi系結晶又はCaSiO結晶を析出させるために有効な成分である。
本発明ガラス組成物中におけるCaOの含有量は、通常は28~49モル%とし、好ましくは35~49モル%とし、より好ましくは35~48モル%とする。CaOの含有量が28モル%未満の場合は、焼成後の結晶化ガラス中に所望の結晶が十分析出せず、結晶相に対するガラス相(非晶質相)の残存割合が大きくなるため、結晶化ガラスに良好な耐熱性を付与できなくなるおそれがある。CaOの含有量が49モル%を超える場合は、熱膨張係数が高すぎる傾向にあるため(特に80×10-7/℃を超えるため)、所望の封止ができなくなるおそれがある。
SiO とAl の比率
本発明ガラス組成物では、各成分は上記のような含有量に設定されることが望ましいが、耐熱性等の見地より、さらに上記SiOとAlの比率も制御することが好ましい。
SiO/Alモル比は、通常は2.0~20.0程度の範囲内とすることができるが、特に2.5~14.0とすることが好ましく、その中でも3.0~8.0とすることがより好ましい。また、SiOとAlの和は、51モル%以上とすることが好ましく、特に52モル以上とすることがより好ましく、その中でも55モル%以上とすることが最も好ましい。
その他の成分
本発明組成物では、上記(a)~(c)以外の成分(任意成分)が含まれていても良いが、任意成分の含有量(合計量)は通常0~3モル%程度すれば良く、特に0~1モル%とすることが好ましく、さらには0~0.5モル%とすることがより好ましい。従って、例えば上記(a)~(c)以外の成分を実質的に含有しない組成であっても良い。
なお、本発明において「実質的に含有しない」とは、不純物レベルで含有されるような場合までをも禁止するものではなく、例えばガラスを作製する原材料等に単に不純物として含まれているレベルであれば、その含有は許容される。より具体的には、酸化物換算においてそれらの合計重量が1000ppm以下であれば、本発明の封止用ガラス組成物に含有されても実質上問題になるおそれは低くため、「実質的に含有しない」に該当する。
任意成分としては、本発明の効果を妨げない限りは、特に限定されず、例えばZnO、R(ただし、Rは、アルカリ金属の少なくとも1種を示す。)、RO(ただし、Rは、Mg、Sr及びBaの少なくとも1種を示す。)、B、Y、La、TiO、ZrO、CeO等が挙げられる。
<本発明組成物の具体例>
本発明組成物における具体的なガラス組成(ガラス組成a)としては、例えば(a)SiO:39.0~50.0モル%、(b)Al:12.0~15.0モル%及び(c)CaO:37.4~48.8モル%を含み、かつ、上記(a)~(c)以外の成分の合計量が0~1モル%であるガラス組成を好適に採用することができる。
また、別の具体的なガラス組成(ガラス組成b)としては、例えば(a)SiO:43.5~56.8モル%、(b)Al:7.3~9.4モル%及び(c)CaO:35.4~48.0モル%を含み、かつ、上記(a)~(c)以外の成分の合計量が0~1モル%であるガラス組成を好適に採用することができる。
(2)封止用ガラス組成物の形態等
本発明ガラス組成物の形態は限定的ではないが、通常は粉末の形態とすることが好ましい。この場合の粒径は特に制限されないが、平均粒径が2~10μmであり、かつ、最大粒径が150μm以下(特に110μm以下)とすることが好ましい。特に、本発明ガラス組成物を用いて電子部品を被覆封止する場合において、ガラス粉末は焼成時に一旦収縮し、軟化流動しながら被処理体(電子部品)の表面を濡らすことが求められるが、上記粒度に制御することによって焼成時により高い流動性が得られる。
すなわち、上記ガラス粉末の粒径が小さすぎる微粉では結晶化開始が早くなり、封止焼成時の流れ性が低下して流動が阻害されるおそれを有し、封止材の塗布・焼成の回数を増加させる必要が生じて当該封止材を用いて製造される製品の製造コストを増大させるおそれがある。一方、粒子径が過度に大きい粗粉は、粉末をペースト化する際、あるいは塗布、乾燥の際に、粉末粒子が沈降し、分離するという問題が起こるほか、結晶化が不均一又は不十分となりやすく焼成体の強度不足をまねくおそれがある。このため、微粉及び粗粉(特に粗粉)を分級等の操作により取り除くことによって粒径を調整することが好ましい。このように、本発明ガラス組成物においては粉末の粒度を平均粒径2~10μmにしつつ、最大粒径が150μm以下(特に110μm以下)となるように調整することが好ましい。
本発明ガラス組成物のガラス転移点(Tg)は、限定的ではないが、通常は600~820℃程度の範囲であれば良い。従って、例えば700~800℃程度とすることができる。
本発明ガラス組成物の軟化点(Ts)は、限定的ではないが、通常は800~930℃程度の範囲であれば良い。従って、例えば850~910℃程度とすることができる。
また、本発明ガラス組成物の結晶化開始温度(Tx)は、限定的ではないが、通常は900~1150℃程度の範囲であれば良い。従って、例えば1000~1150℃とすることができる。
本発明ガラス組成物においては、ガラスのフロー性、気密性等の観点から、特に結晶化開始温度(Tx)と軟化点(Ts)との差ΔTが大きい方が好ましい。より具体的には、前記ΔTが100℃以上であることが好ましく、特に130℃以上がより好ましく、その中でも150℃以上であることが最も好ましい。このように、より大きなΔTに制御することによって、ガラスが結晶化するまでに十分な時間を確保することが可能となり、その結果として良好なフロー性とともに高い気密性をより確実に得ることができる。なお、ΔTの上限値は限定的ではないが、例えば350℃程度とすることができる。
(3)封止用ガラス組成物の製造方法
本発明ガラス組成物の製造方法自体は、特に限定的でなく、例えば1)本発明ガラス組成物の組成となるように調合された原料を混合する工程(混合工程)、2)得られた混合物を1400~1600℃の温度で溶融することにより溶融ガラスを調製する工程(溶融工程)、3)溶融ガラスを結晶化させないようにして冷却する工程(冷却)を含む製造方法によって製造することができる。
原料としては、特に限定されず、ガラス成分の供給源となる化合物を出発原料として使用すれば良い。通常は、本発明ガラス組成物に含まれる元素(Si、Ca、Al等)の酸化物を出発原料として使用すれば良いが、前記元素の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等も用いることができる。すなわち、Si源としてSiO等、Ca源としてはCaO、CaCO等、Al源としてはAl、Al(OH)等を適宜使用することができる。これら原料は、通常は粉末のものを使用すれば良く、これらの粉末を均一に混合して混合粉末を調製することができる。
このようにして得られた混合物(混合粉末)を通常1400~1600℃の温度で溶融することにより溶融ガラスを調製する。溶融雰囲気は限定的でないが、通常は大気中(ないしは酸化性雰囲気中)で大気圧下にて溶融工程を実施すれば良い。
次いで、冷却工程において、溶融ガラスを結晶化させないようにして冷却する。このような冷却条件は、公知のガラス製造の場合と同様とすれば良く、例えば溶融ガラスをステンレス鋼製の冷却ロールに接触させて急冷する方法を採用することができる。
このようにして本発明ガラス組成物が得られるが、必要に応じて粉砕、分級等の公知の処理を施しても良い。なお、粉砕、分級等により粒度調整する場合は、前記のように平均粒径2~10μmにしつつ、最大粒径が150μm以下(特に最大粒径が110μm以下)となるように調整することが好ましい。
(3)封止用ガラス組成物の使用
本発明ガラス組成物は、例えば粉末(乾燥粉末)の形態で使用することもできるが、粉末状の本発明ガラス組成物をバインダー及び/又は溶媒に分散させたスラリー、ペースト等の液状組成物の形態で使用することもできる。
本発明ガラス組成物を液状組成物として使用する場合は、溶剤及び有機バインダーの少なくとも1種を混合して調製すれば良い。例えば、粉末状の本発明ガラス組成物と、溶剤及び有機バインダーの少なくとも1種とを混合することによって液状組成物を好適に調製することができる。液状組成物を調製する場合、本発明ガラス組成物の粉末における平均粒径は特に限定されないが、通常は2~10μmとすることが好ましく、特に5~10μmとすることがより好ましい。また、前記粉末は、最大粒径が150μm以下、特に110μm以下とすることが好ましい。
前記有機バインダーは特に制限されず、本発明ガラス組成物の具体的用途(被封止物等)に応じて公知のバインダーの中から適宜採用することができる。例えば、エチルセルロース等のセルロース樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
前記溶剤としては、用いる前記バインダーの種類等に応じて公知の有機溶剤から適宜選択すれば良い。例えば、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類のほか、テルピネオール(α―テルピネオール又はα―テルピネオールを主成分としたβ―テルピネオール、γ―テルピネオールの混合体)等の有機溶剤が挙げられるが、これらに限定されない。なお、有機溶剤は、単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、本発明では、前記の液状組成物の調製においては、必要に応じて、例えば可塑剤、増粘剤、増感剤、界面活性剤、分散剤、着色剤等の公知の添加剤を適宜配合することができる。
本発明では、本発明ガラス組成物を用いて電子部品の封止を行うことができる。封止方法自体は、公知の封止方法に従って実施することができる。例えば、電子部品等の被封止体の表面に接するように本発明ガラス組成物で直接覆う工程及び前記表面上に配置された本発明ガラス組成物を焼成する工程を含む方法のほか、電子部品を収容する容器とその蓋材との間に本発明ガラス組成物を配置する工程及び前記配置された本発明ガラス組成物を焼成する工程を含む方法等を採用することができる。
この場合、本発明ガラス組成物を用いて被覆等を行う場合、そのまま粉末の形態で必要な箇所に配置する方法、あるいはその液状組成物を公知の方法(ローラー、スプレー等)に従って塗布する方法等をとれば良い。その他、本発明ガラス組成物を予め所定の成形体とし、その成形体を必要な箇所に配置する方法も採用できる。
2.CaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材
本発明は、SiO、Al及びCaOを含む結晶化ガラス封止材であって、
(1)下記成分:
(a)SiO:39~63モル%、
(b)Al:4~15モル%、
(c)CaO:28~49モル%
の3成分を含み、かつ、上記(a)~(c)以外の成分の合計量が0~3モル%であり、
(2)SiO-Al-CaO系結晶として少なくともCaAlSi結晶及びCaSiO結晶の少なくとも1種を含む、
ことを特徴とするCaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材(本発明封止材)を包含する。
本発明封止材は、実質的にCaO-Al-SiO系結晶化ガラスから構成されるものである。CaO-Al-SiO系の結晶としては、CaAlSi結晶及びCaSiO結晶の少なくとも1種を含む。これにより、所望の耐熱性等を得ることができる。本発明の効果を妨げない限り、他の結晶が含まれていても良い。このような結晶としては、例えばSiO等が挙げられる。
本発明封止材は、例えば本発明ガラス組成物を出発原料として得られる。出発原料として本発明ガラス組成物を用いる場合は、本発明ガラス組成物を焼成することによって本発明封止材を得ることができる。
焼成条件としては、通常はSiO-Al-CaO系結晶として少なくともCaAlSi結晶及びCaSiO結晶の少なくとも1種が形成される限りは特に制限されない。焼成温度は、通常は1000~1300℃程度とすれば良い。また、焼成雰囲気は一般的には大気中ないしは酸化性雰囲気とすれば良い。また、圧力は、大気圧下で焼成すれば良い。
本発明封止材における熱膨張係数(α値)は特に限定されないが、50~550℃における熱膨張係数が55~80×10-7/℃程度であることが好ましく、特に65~80×10-7/℃であることがより好ましい。このような範囲に制御すれば電子部品(特にアルミナ基板を含む半導体素子)の封止性をより向上させることができる。
<実施の形態>
本発明ガラス組成物を出発材料として用いることにより、半導体素子を本発明の封止材を封止する場合の実施形態を以下に示す。
封止工程としては、種々の態様をとり得ることができる。例えば、(1)a)電子部品の表面に接触するように電子部品の一部又は全部を本発明ガラス組成物で覆うことにより前駆体層を形成する工程、b)前記前駆体層を焼成することにより結晶化ガラスを含む封止材層を形成させる工程を含む方法(被覆封止方法)、(2)a)電子部品が収納された容器と、その蓋材との接触領域に本発明ガラス組成物による前駆体層を形成する工程、b)前記容器に蓋材を被せる工程、c)前記前駆体層を焼成することにより結晶化ガラスを含む封止材層を形成させる工程を含む方法(接着封止方法)等が挙げられる。
特に、本発明ガラス組成物では、例えば良好な流動性、適切な熱膨張係数等を有するという見地より、前記の被覆封止方法に有利に採用することができる。例えば図1に示すように、電子デバイスとしてサーミスタ10を製造する場合、2本のリード線13が接続された半導体素子12を電子部品として用意したうえで、a)半導体素子12の全体及び2本のリード線13の一部を本発明ガラス組成物で直接覆うことにより前駆体層を形成する工程、b)前記前駆体層を焼成することにより結晶化ガラスを含む封止材層11を形成させる工程を含む方法によって、電子部品の被覆封止を好適に行うことができる。このように被覆封止処理を施すことにより、電子デバイスはCaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材(後記に示す本発明封止材)中に少なくとも電子部品全体が埋設された状態になる結果、外部環境から電子部品が効果的に保護されることになる。
なお、本発明ガラス組成物を用いて電子部品の封止を行う場合、上記の焼成温度等は、前記「2.CaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材」に記載されている焼成条件等に従って実施すれば良い。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1~9
表1に示すガラス組成となるように原料を調合、混合し、調合原料を白金るつぼに入れて1450~1600℃で2時間かけて溶融した後、溶融ガラスをステンレス鋼製の冷却ロールに接触させて急冷することによりガラスフレークを得た。ポットミルに前記ガラスフレークを入れ、平均粒径が約3~10μmになるよう調整しながら粉砕した。その後、目開きが106μmの篩にて粗粒を除去し、ガラス粉末を得た。実施例及び比較例のガラス組成物を作製するための上記出発原料(各成分の供給源)として、SiO、Al(OH)、CaCOをそれぞれ用いた。
なお、表1中、「Si/Al」はSiO/Alモル比をそれぞれ意味し、「Si+Al」はSiOとAlのモル%の和を意味する。
比較例1~2
表1に示すガラス組成となるように原料を調合し、混合したほかは、実施例1と同様にしてガラス粉末を調製した。
試験例1
各実施例及び比較例のガラス粉末について、下記の方法によりガラス粉末のガラス転移点、軟化点、結晶化開始温度、フロー径、熱膨張係数をそれぞれ測定し、評価した。これらの結果を表1に示す。なお、各物性の測定方法については、それぞれ以下のようにして実施した。
(1)ガラス転移点、軟化点及び結晶化開始温度
ガラス粉末約40mgを白金セルに充填し、DTA測定装置(リガク社製Thermo Plus TG8120)を用い、室温から昇温速度20℃/分で昇温させてガラス転移点(Tg)、軟化点(Ts)及び結晶化開始温度(Tx)をそれぞれ測定した。
(2)ガラス粉末の粒度(平均粒径)
レーザー散乱式粒度分布計を用いて、体積分布モードのD50の値を求めた。
(3)フロー径
ガラス粉末5gを直径20mm×高さ約7~8mmの円柱形状に乾式プレス成形し、アルミナ粉末の上で1100℃で1時間焼成した。得られた焼成体(フローボタン)の最大径を測定した。フロー径が大きいほど基材との密着性が良好であることを示す。特に、フロー径が18mm以上のものは、満足できる封止性を得ることができる。
(4)熱膨張係数
上記(3)で得られた焼成体を約5mm×5mm×15mmの大きさに切り出し、試験体を作製した。この試験体について、TMA測定装置を用いて、室温から10℃/分で昇温したときに得られる熱膨張曲線から、50℃と550℃の2点に基づく熱膨張係数α(×10-7/℃)を求めた。
(5)結晶形
上記(4)で得られた焼成体について、粉末X線回折分析を行った。
表1の結果からも明らかなように、各実施例のガラス粉末では、特に熱膨張係数(55~78×10-7/℃)、フロー径(18.1~19.4mm)等において、封止材として良好な物性が得られることがわかる。
これに対し、比較例1のガラス粉末は、熱膨張係数が85×10-7/℃という高すぎる値となっている。また、比較例2のガラス粉末は、フロー径が18mmに届かず、十分なフロー性が得られないことがわかる。
本発明の封止用ガラス組成物は、金属と半導体の表面に適用し、例えば1100℃程度の温度で焼成することにより前記部材間を好適に封止することができる。本発明の封止材は、例えば1100℃以上の高温条件で使用される温度センサを封止するための封止材として特に有用である。

Claims (7)

  1. 結晶化ガラス封止材を製造するためのガラス組成物であって、下記成分:
    (a)SiO:39~63モル%、
    (b)Al:4~15モル%、
    (c)CaO:28~49モル%
    の3成分を含み、かつ、
    上記(a)~(c)以外の成分の合計量が0~3モル%である、
    ことを特徴とするSiO-Al-CaO系封止用ガラス組成物。
  2. 前記3成分が、
    (a)SiO:41~57モル%、
    (b)Al:5~13モル%、
    (c)CaO:35~49モル%
    である、請求項1に記載のSiO-Al-CaO系封止用ガラス組成物。
  3. 前記3成分が、
    (a)SiO:44~57モル%、
    (b)Al:7~13モル%、
    (c)CaO:35~48モル%
    である、請求項1に記載のSiO-Al-CaO系封止用ガラス組成物。
  4. SiO、Al及びCaOを含む結晶化ガラス封止材であって、
    (1)下記成分:
    (a)SiO:39~63モル%、
    (b)Al:4~15モル%、
    (c)CaO:28~49モル%
    の3成分を含み、かつ、上記(a)~(c)以外の成分の合計量が0~3モル%であり、
    (2)SiO-Al-CaO系結晶として少なくともCaAlSi結晶及びCaSiO結晶の少なくとも1種を含む、
    ことを特徴とするCaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材。
  5. 50~550℃における熱膨張係数が55~80×10-7/℃である、請求項4に記載のCaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材。
  6. 請求項4又は5に記載のCaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材によって電子部品が封止されてなる電子デバイス。
  7. 請求項1~3のいずれかに記載の封止用ガラス組成物を1000~1300℃の温度下で熱処理する工程を含む、CaO-Al-SiO系結晶化ガラス封止材の製造方法。
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