JP2023148823A - 基板処理システム、制御装置および基板搬送処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】処理に大きな遅れが生じた場合でも、基板の搬送および基板処理等を安定して行うことができる技術を提供する。【解決手段】基板処理システムは、1以上の搬送モジュールと、複数のプロセスモジュールと、サイクルタイムに基づきスケジュールを作成して制御を行う制御装置と、を有する。複数のプロセスモジュールのスケジュールは、基板を搬出する搬出期間と、基板を搬入する搬入期間と、基板処理を行うプロセス期間と、処理の遅れを吸収するための期間である余裕期間と、を含む。制御装置は、基板処理システムのモジュールの処理に遅れが生じた場合に、余裕期間によって遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程と、遅れ時間が吸収できない場合に、遅れが生じたモジュールの基板を搬送するサイクルタイムを変更する工程と、を制御する。【選択図】図10
Description
本開示は、基板処理システム、制御装置および基板搬送処理方法に関する。
特許文献1には、搬送モジュールにより複数のプロセスモジュール(処理モジュール)に基板を順次搬送して、所定の基板処理を基板に施す基板処理システムが開示されている。この種の基板処理システムでは、基板の熱履歴を揃えるために、1つのサイクルタイムを設定し、サイクルタイム単位で搬送モジュールによる基板の搬送処理、プロセスモジュールによる基板処理等を行っている。
ただし、あるモジュールで処理の遅れが発生すると、搬送装置の搬送が間に合わなくなることで、搬送モジュールによる基板の搬送に混乱が生じることになる。そのため、基板処理システムは、処理の遅れを許容する余裕期間(インターバル)をサイクルタイムに設けることで、処理の遅れを吸収している。
本開示は、処理に大きな遅れが生じた場合でも、基板の搬送および基板処理等を安定して行うことができる技術を提供する。
本開示の一態様によれば、基板を搬送する1以上の搬送モジュールと、前記1以上の搬送モジュールにより搬送された前記基板に基板処理を行う複数のプロセスモジュールと、前記1以上の搬送モジュールの処理および前記複数のプロセスモジュールの処理を繰り返すための共通のサイクルタイムを設定し、前記サイクルタイムに基づき前記複数のプロセスモジュールのスケジュールおよび前記1以上の搬送モジュールのスケジュールを作成して制御を行う制御装置と、を備える基板処理システムであって、前記複数のプロセスモジュールのスケジュールは、前記基板を搬出する搬出期間と、前記基板を搬入する搬入期間と、前記基板処理を行うプロセス期間と、処理の遅れを吸収するための期間である余裕期間と、を含み、前記制御装置は、前記基板処理システムのモジュールの処理に遅れが生じた場合に、前記余裕期間によって前記モジュールの処理の遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程と、前記遅れ時間が吸収できないと判定した場合に、遅れが生じた前記モジュールの前記基板および遅れが生じた前記モジュールよりも上流側の前記基板を搬送する前記サイクルタイムを別の前記サイクルタイムに変更する工程と、を制御する、基板処理システムが提供される。
一態様によれば、処理に大きな遅れが生じた場合でも、基板の搬送および基板処理等を安定して行うことができる。
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
図1は、一実施形態に係る基板処理システム1の全体構成を概略的に示す平面図である。図1に示すように、一実施形態に係る基板処理システム1は、複数のプロセスモジュールPMを有するマルチチャンバタイプに構成される。基板処理システム1は、半導体の製造の一過程に用いられ、複数の搬送モジュールTMにより各プロセスモジュールPMに基板を順次搬送して、各プロセスモジュールPM内で適宜の基板処理を行う。
基板処理が施される基板としては、シリコン半導体ウエハ、化合物半導体ウエハまたは酸化物半導体ウエハ等があげられる(以下、基板をウエハWともいう)。ウエハWは、トレンチ、ビア等の窪みパターンを有するものでもよい。また、プロセスモジュールPMが行う基板処理としては、成膜処理、エッチング処理、アッシング処理、クリーニング処理等があげられる。
基板処理システム1は、大気雰囲気から真空雰囲気にウエハWを搬入した後、真空雰囲気の各搬送モジュールTM及び各プロセスモジュールPMにてウエハWの基板処理を行い、基板処理後に真空雰囲気から大気雰囲気にウエハWを搬出する。そのため、基板処理システム1は、大気雰囲気で基板の搬送を行うフロントモジュールFM(例えば、EFEM:Equipment Front End Module)、および大気雰囲気と真空雰囲気を切り替えるロードロックモジュールLLMを備える。また、基板処理システム1は、フロントモジュールFM、ロードロックモジュールLLM、各プロセスモジュールPMおよび各搬送モジュールTMを制御する制御装置80を有する。
フロントモジュールFMは、複数のロードポート11と、各ロードポート11に隣接する一連のローダ12と、ローダ12の隣接位置に設けられる位置合わせ装置13(オリエンタ)と、を有する。各ロードポート11には、前の製造工程後のウエハWを複数収納したFOUP(Front Opening Unified Pod)、および基板処理システム1にて基板処理を行ったウエハWを収納する空のFOUPがセットされる。
ローダ12は、清浄化空間を内部に有する直方形状の箱体に形成されている。フロントモジュールFMは、このローダ12の内部に大気搬送装置14を備える。位置合わせ装置13は、大気搬送装置14と協働して、FOUPから取り出したウエハWの周方向位置や大気搬送装置14によるウエハWの支持姿勢等を調整する。
大気搬送装置14は、各ロードポート11にセットされたFOUPからウエハWを取り出して、ローダ12内の清浄化空間を介して位置合わせ装置13にウエハWを搬送する。そして、大気搬送装置14は、位置合わせ装置13において協働して位置合わせしたウエハWを、ロードロックモジュールLLMに搬入する。また、大気搬送装置14は、ロードロックモジュールLLMからウエハWを搬出して、ローダ12内の清浄化空間を介してFOUPにウエハWを収容する。
ロードロックモジュールLLMは、フロントモジュールFMと搬送モジュールTMとの間に2つ設けられている。各ロードロックモジュールLLMは、ウエハWを一時的に収容可能なロードロック用容器21を有する。各ロードロックモジュールLLMとフロントモジュールFMとの間には、ロードロック用容器21を気密に閉塞する弁体(不図示)を備えたゲート22が設けられている。また、ロードロックモジュールLLMと搬送モジュールTMとの間には、ロードロック用容器21を気密に閉塞する弁体(不図示)を備えたゲート23が設けられている。
2つのロードロックモジュールLLMのうち一方(図1の左側)は、大気雰囲気においてフロントモジュールFMから搬入されたウエハWを収容した後に真空雰囲気に減圧することで、搬送モジュールTMにウエハWを搬送可能とする。2つのロードロックモジュールLLMのうち他方(図1の右側)は、真空雰囲気において搬送モジュールTMから搬入されたウエハWを収容した後に大気雰囲気に増圧することで、フロントモジュールFMにウエハWを搬送可能とする。なお、基板処理システム1は、ロードロックモジュールLLM(ロードロック用容器21)を1つだけ備えた構成でもよい。この場合、ロードロック用容器21は、フロントモジュールFMから搬送モジュールTMへの搬入用空間と、搬送モジュールTMからフロントモジュールFMへの搬出用空間とを、上下方向(鉛直方向)に分離した構成をとり得る。
そして、本実施形態に係る基板処理システム1は、複数(4つ)の搬送モジュールTMを並べて設置していると共に、各搬送モジュールTMの隣接する位置に複数(8つ)のプロセスモジュールPMを設置している。以下では、複数の搬送モジュールTMについて、2つロードロックモジュールLLMの近位側から遠位側に向かって順に、第1搬送モジュールTM1、第2搬送モジュールTM2、第3搬送モジュールTM3、第4搬送モジュールTM4という。第1搬送モジュールTM1、第2搬送モジュールTM2、第3搬送モジュールTM3および第4搬送モジュールTM4は、ローダ12の長手方向と直交する方向に沿って直線状に並ぶ搬送モジュール群を構成している。
一方、複数のプロセスモジュールPMは、4つの搬送モジュールTMに対応して、搬送モジュール群の左側に4つ設置されると共に、搬送モジュール群の右側に4つ設置される。以下では、図1を例として、各搬送モジュールTMの左側に設置された各プロセスモジュールPMを左列プロセスモジュール群といい、各搬送モジュールTMの右側に設置された各プロセスモジュールPMを右列プロセスモジュール群という。左列プロセスモジュール群と右列プロセスモジュール群は、各搬送モジュール群に対して平行に延在している。
左列プロセスモジュール群は、ロードロックモジュールLLMの近位側から遠位側に向かって順に、第1プロセスモジュールPM1、第3プロセスモジュールPM3、第5プロセスモジュールPM5および第7プロセスモジュールPM7を有する。右列プロセスモジュール群は、ロードロックモジュールLLMの近位側から遠位側に向かって順に、第2プロセスモジュールPM2、第4プロセスモジュールPM4、第6プロセスモジュールPM6および第8プロセスモジュールPM8を有する。
第1プロセスモジュールPM1は、第1搬送モジュールTM1および第2搬送モジュールTM2の左側かつ中間に配置されて、当該第1搬送モジュールTM1および第2搬送モジュールTM2に接続されている。第2プロセスモジュールPM2は、第1搬送モジュールTM1および第2搬送モジュールTM2の右側かつ中間に配置されて、当該第1搬送モジュールTM1および第2搬送モジュールTM2に接続されている。
第3プロセスモジュールPM3は、第2搬送モジュールTM2および第3搬送モジュールTM3の左側かつ中間に配置されて、当該第2搬送モジュールTM2および第3搬送モジュールTM3に接続されている。第4プロセスモジュールPM4は、第2搬送モジュールTM2および第3搬送モジュールTM3の右側かつ中間に配置されて、当該第2搬送モジュールTM2および第3搬送モジュールTM3に接続されている。
第5プロセスモジュールPM5は、第3搬送モジュールTM3および第4搬送モジュールTM4の左側かつ中間に配置されて、当該第3搬送モジュールTM3および第4搬送モジュールTM4に接続されている。第6プロセスモジュールPM6は、第3搬送モジュールTM3および第4搬送モジュールTM4の右側かつ中間に配置されて、当該第3搬送モジュールTM3および第4搬送モジュールTM4に接続されている。
第7プロセスモジュールPM7は、第4搬送モジュールTM4の左側に配置されて、当該第4搬送モジュールに接続されている。第8プロセスモジュールPM8は、第4搬送モジュールTM4の右側に配置されて、当該第4搬送モジュールTM4に接続されている。
各搬送モジュールTMは、真空雰囲気に減圧可能な搬送用容器31と、搬送用容器31内に設置される搬送ロボット32と、を備える。搬送用容器31は、平面視で六角形状の箱体に形成されている。第1搬送モジュールTM1の搬送用容器31の所定の辺部には、2つのロードロックモジュールLLM、第1プロセスモジュールPM1および第2プロセスモジュールPM2がそれぞれ接続されている。第2搬送モジュールTM2の搬送用容器31の所定の辺部には、第1プロセスモジュールPM1~第4プロセスモジュールPM4が接続されている。第3搬送モジュールTM3の搬送用容器31の所定の辺部には、第3プロセスモジュールPM3~第6プロセスモジュールPM6がそれぞれ接続されている。第4搬送モジュールTM4の搬送用容器31の所定の辺部には、第5プロセスモジュールPM5~第8プロセスモジュールPM8がそれぞれ接続されている。
搬送ロボット32は、搬送用容器31内において、水平方向および鉛直方向に移動自在、かつ水平方向上をθ回転可能に構成され、搬送時にウエハWを水平に保持するために、二股のフォークを有している。第1搬送モジュールTM1~第4搬送モジュールTM4の各々に設けられた搬送ロボット32は、制御装置80の制御下に、相互に独立して動作させることが可能である。搬送ロボット32は、搬送用容器31に隣接しているモジュール(2つのロードロックモジュールLLM、第1プロセスモジュールPM1~第8プロセスモジュールPM8)に対して進退することで、ウエハWの受け渡しおよび受け取りを行う。
一方、複数のプロセスモジュールPMは、ウエハWを内部に収容して基板処理を施す処理容器41を有する。処理容器41は、平面視で多角形状(五角形)に形成されている。搬送用容器31と各処理容器41の間には、相互の空間に連通してウエハWを通過させるゲート42がそれぞれ設けられており、各ゲート42の内部には、処理容器41を開閉するバルブ(不図示)が設置されている。
また、各プロセスモジュールPMは、処理容器41の内部に、ウエハWを載置可能なステージ(不図示)を備える。ステージは、図示しない複数のリフトピンを備え、各リフトピンの昇降に基づき、搬送ロボット32からウエハWの受け取り、および搬送ロボット32へのウエハWの受け渡しを行う。
各プロセスモジュールPMが実施する基板処理は、上記した成膜処理、エッチング処理、アッシング処理、クリーニング処理等のうちいずれでもよい。基板処理システム1は、第1プロセスモジュールPM1~第8プロセスモジュールPM8の各々で異なる基板処理を行ってもよく、同じ基板処理を行う構成でもよい。
以上の基板処理システム1は、例えば、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)に用いられる積層膜(MTJ膜)の製造に使用することができる。MTJ膜の製造には、前洗浄処理、成膜処理、酸化処理、加熱処理、冷却処理等の複数の処理が存在し、これらの処理の各々を第1プロセスモジュールPM1~第8プロセスモジュールPM8にて行う。この場合、第1プロセスモジュールPM1~第8プロセスモジュールPM8の1つ以上が、ウエハWを待機させる待機モジュールであってもよい。
図2は、基板処理システム1の制御装置80のハードウェアの構成例を示すブロック図である。図2に示すように、基板処理システム1の制御装置80は、主制御部81と、入力装置82と、出力装置83と、表示装置84と、記憶装置85と、外部インターフェース86と、これらを互いに接続するバス87と、を備える。入力装置82はキーボード、マウス、タッチパネル等である。出力装置83はプリンタ等である。表示装置84はディスプレイ(タッチパネルを含む)等である。
主制御部81は、CPU(Central Processing Unit)811と、RAM(Random Access Memory)812と、ROM(Read Only Memory)813とを有する。記憶装置85は、HDD(Hard Disk Drive)等の情報を読み取り可能な記憶媒体を有し、制御に必要なプログラムやウエハWに対する処理のレシピ等の情報の記憶している。CPU811が、RAM812を作業領域として、ROM813または記憶装置85に記憶されたプログラムを実行することにより、基板処理システム1は、ウエハWに対する各種の処理を行う。
図3(A)は、基板処理システム1における1枚のウエハWの搬送と基板処理の流れを示す説明図であり、図3(B)は、基板処理システム1における第1搬送モジュールTM1の搬送タイミングを例示する説明図である。図3(A)に示すように、基板処理システム1は、左列プロセスモジュール群の各プロセスモジュールPMで順に基板処理を行った後に、右列プロセスモジュール群の各プロセスモジュールPMで順に基板処理を行う。
詳細には、ウエハWは、左側のロードロックモジュールLLMから第1搬送モジュールTM1に搬送されると、第1搬送モジュールTM1により第1プロセスモジュールPM1に搬送される。そして、ウエハWは、第1プロセスモジュールPM1で1回目の基板処理が行われる。第1プロセスモジュールPM1の基板処理後に、ウエハWは、第2搬送モジュールTM2により第1プロセスモジュールPM1から第3プロセスモジュールPM3に搬送される。そして、ウエハWは、第3プロセスモジュールPM3で2回目の基板処理が行われる。第3プロセスモジュールPM3の基板処理後に、ウエハWは、第3搬送モジュールTM3により第3プロセスモジュールPM3から第5プロセスモジュールPM5に搬送される。そして、ウエハWは、第5プロセスモジュールPM5で3回目の基板処理が行われる。第5プロセスモジュールPM5の基板処理後に、ウエハWは、第4搬送モジュールTM4により第5プロセスモジュールPM5から第7プロセスモジュールPM7に搬送される。そして、ウエハWは、第7プロセスモジュールPM7で4回目の基板処理が行われる。
第7プロセスモジュールPM7での基板処理後に、ウエハWは、第4搬送モジュールTM4により第7プロセスモジュールPM7から第8プロセスモジュールPM8に搬送される。そして、ウエハWは、第8プロセスモジュールPM8で5回目の基板処理が行われる。第8プロセスモジュールPM8での基板処理後に、ウエハWは、第4搬送モジュールTM4により第8プロセスモジュールPM8から第6プロセスモジュールPM6に搬送される。そして、ウエハWは、第6プロセスモジュールPM6で6回目の基板処理が行われる。第6プロセスモジュールPM6での基板処理後に、ウエハWは、第3搬送モジュールTM3により第6プロセスモジュールPM6から第4プロセスモジュールPM4に搬送される。そして、ウエハWは、第4プロセスモジュールPM4で7回目の基板処理が行われる。第4プロセスモジュールPM4での基板処理後に、ウエハWは、第2搬送モジュールTM2により第4プロセスモジュールPM4から第2プロセスモジュールPM2に搬送される。そして、ウエハWは、第2プロセスモジュールPM2で8回目の基板処理が行われる。第2プロセスモジュールPM2での基板処理後に、ウエハWは、第1搬送モジュールTM1により第2プロセスモジュールPM2から右側のロードロックモジュールLLMに搬送される。
これにより、基板処理システム1は、ウエハWに対して8回の基板処理を順次行うことができる。ただし、基板処理システム1は、1枚のウエハWに対して8回の基板処理が終了するまで次のウエハWの処理を待機するわけではなく、各プロセスモジュールPMで基板処理が終了してウエハWを取り出した後、次のウエハWを搬入して再び基板処理を行う。このため、基板処理システム1は、基本的に、各プロセスモジュールPMおよび各搬送モジュールTMでのウエハWの処理を同期して行う構成としている。
次に、基板処理システム1において複数のウエハWを搬送および基板処理を行う手順について図4を参照しながら説明する。図4は、基板処理システム1における複数のウエハWの搬送方法を説明する説明図であり、(A)は第1動作図、(B)は第2動作図、(B)は第3動作図である。なお、図4では、各プロセスモジュールPMに収容されたウエハWに対して、基板処理の回数が多いものから順に1~9の符号を付している。すなわち、ウエハW1は、第2プロセスモジュールPM2において8回目の基板処理がなされた状態であり、ウエハW2は、第4プロセスモジュールPM4において7回目の基板処理がなされた状態である。以下、ウエハW3からウエハW8まで順に基板処理の回数が少なくなっている。そして、ウエハW9は、左側のロードロックモジュールLLMに待機した未処理のウエハWである。
このように、各プロセスモジュールPMでのウエハWの基板処理が終了すると、基板処理システム1は、各ウエハWを搬送する。この際、制御装置80は、第1搬送モジュールTM1~第4搬送モジュールTM4の動作を制御して、全てのウエハWを次のモジュールに進ませる搬送処理を実施する。
具体的には図4(A)に示すように、制御装置80は、まず右列プロセスモジュール群にあるウエハW1~ウエハW4を同期して搬送する。つまり、第1搬送モジュールTM1は、第2プロセスモジュールPM2からウエハW1を搬出し、右側のロードロックモジュールLLMにウエハW1を搬入する。第2搬送モジュールTM2は、第4プロセスモジュールPM4からウエハW2を搬出し、ウエハW1の搬出直後の第2プロセスモジュールPM2にウエハW2を搬入する。第3搬送モジュールTM3は、第6プロセスモジュールPM6からウエハW3を搬出し、ウエハW2の搬出直後の第4プロセスモジュールPM4にウエハW3を搬入する。第4搬送モジュールTM4は、第8プロセスモジュールPM8からウエハW4を搬出し、ウエハW3の搬出直後の第6プロセスモジュールPM6にウエハW4を搬入する。各搬送モジュールTMは、搬出を略同時に行うと共に搬入を略同時に行うことで、各ウエハW同士を干渉させることなく、ウエハWを短時間に搬送できる。これにより、第8プロセスモジュールPM8が空の状態となる。
次に、制御装置80は、図4(B)に示すように、第4搬送モジュールTM4を制御して、左側の第7プロセスモジュールPM7からウエハW5を搬出し、右側の第8プロセスモジュールPM8にウエハW5を搬入する。この搬送は、左列プロセスモジュール群のウエハWを右列プロセスモジュール群に移すための動作であり、第4搬送モジュールTM4だけが単独で行う。
その後に、制御装置80は、図4(C)に示すように、左列プロセスモジュール群および左側のロードロックモジュールLLMにあるウエハW6~ウエハW9を同期的に搬送する。つまり、第4搬送モジュールTM4は、第5プロセスモジュールPM5からウエハW6を搬出し、第7プロセスモジュールPM7にウエハW6を搬入する。第3搬送モジュールTM3は、第3プロセスモジュールPM3からウエハW7を搬出し、ウエハW6の搬出直後の第5プロセスモジュールPM5にウエハW7を搬入する。第2搬送モジュールTM2は、第1プロセスモジュールPM1からウエハW8を搬出し、ウエハW7の搬出直後の第3プロセスモジュールPM3にウエハW8を搬入する。第1搬送モジュールTM1は、ロードロックモジュールLLMからウエハW9を搬出し、ウエハW8の搬出直後の第1プロセスモジュールPM1にウエハW9を搬入する。この際も、各搬送モジュールTMは、搬出を略同時に行うと共に搬入を略同時に行うことで、ウエハW同士を干渉させることなく、ウエハWを短時間に搬送できる。
図5は、ウエハWを搬送するためのサイクルタイムを示す説明図である。基板処理システム1の制御装置80は、上記のように、左列プロセスモジュール群の各ウエハWを同期して搬送すると共に、右列プロセスモジュール群の各ウエハを同期して搬送するために、図5に示すように同期用のサイクルタイムを設定する。「サイクルタイム」とは、左列プロセスモジュール群における各ウエハWを搬送する左列搬送処理、および右列プロセスモジュール群における各ウエハWを搬送する右列搬送処理を同期させる制御周期である。このサイクルタイムは、各プロセスモジュールPMの各処理および各搬送モジュールTMの各処理を含む時間長さを有する。また、サイクルタイムは、フロントモジュールFMの大気搬送装置14に対しては、ロードロックモジュールLLMにウエハWを搬入する時間間隔、およびロードロックモジュールLLMからウエハWを搬出する時間間隔を決める情報となる。
各搬送モジュールTMのサイクルタイムには、当該サイクルタイムを1回実施した(1周回った)際に、左列搬送処理を行う左列搬送期間と、右列搬送処理を行う右列搬送期間とが存在する。左列搬送期間および右列搬送期間は、サイクルタイム内において相互に重ならない時間位置に設定される。また、各搬送モジュールTMのサイクルタイムにおいて、左列搬送期間および右列搬送期間以外は、搬送ロボット32の動作を待機する搬送待機期間となる。なお、図5では、サイクルタイムの開始点を、左列搬送期間の開始点としているが、サイクルタイムの開始点は任意に設定し得ることは勿論である。
以下、制御装置80が行う各搬送モジュールTMのサイクルタイムのスケジューリングについて、図3(B)を参照して、第1搬送モジュールTM1おけるサイクルタイムを例に説明する。第1搬送モジュールTM1は、ウエハWの搬送経路において最初に使用する(ロードロックモジュールLLMに搬入されたウエハWを取り出す)搬送モジュールTMであり、サイクルタイムを設定する基準となる。
制御装置80は、FOUPがロードポート11にセットされると、FOUP(ウエハW)の情報を読み取って、過去のプロセスモジュールPMの各処理(搬出、搬入、基板処理等)に基づき、サイクルタイムを設定する。制御装置80は、まずサイクルタイムの開始点(ゼロ秒)として、左列プロセスモジュール群の左列搬送期間の開始を登録する。そして、制御装置80は、この開始点から左列搬送期間(ロードロックモジュールLLMから第1プロセスモジュールPM1までのウエハWの搬送にかかる時間)を設定する。
次に、制御装置80は、第1搬送モジュールTM1のサイクルタイムにおいて、右列搬送期間の開始点(言い換えれば、左列搬送期間と右列搬送期間の間の搬送待機期間)を求める。この搬送待機期間は、例えば、各プロセスモジュールPMの搬出、搬入、基板処理にかかる期間に基づき設定することができる。この右列搬送期間を開始点の設定については後に詳述する。そして、制御装置80は、この開始点から右列搬送期間(第2プロセスモジュールPM2からロードロックモジュールLLMまでのウエハWの搬送にかかる時間)を設定する。
これにより、制御装置80は、図3(B)において矢印で示すように、第1搬送モジュールTM1のサイクルタイムにおける左列搬送期間と右列搬送期間とをスケジューリングすることができる。また、制御装置80は、第1搬送モジュールTM1と同様に、第2搬送モジュールTM2~第4搬送モジュールTM4の各サイクルタイムについても、左列搬送期間と右列搬送期間とをスケジューリングすることができる。
なお、第4搬送モジュールTM4は、上記したように左列搬送処理と右列搬送処理の他に、左列プロセスモジュール群から右列プロセスモジュール群にウエハWを移送する列間搬送処理がある(図4(B)参照)。このため、制御装置80は、第4搬送モジュールTM4のサイクルタイムにおいて、左列搬送期間および右列搬送期間の他に列間搬送期間を加えたスケジューリングを行う(図6も参照)。
一方、各プロセスモジュールPMの各処理には、図5に示すように、当該サイクルタイムを1回実施した(1周回った)際に、ウエハWを搬出する搬出処理と、ウエハWを搬入する搬入処理と、ウエハWの基板処理とが含まれる。各プロセスモジュールPMは、サイクルタイムにおいて搬出処理の期間である搬出期間、搬入処理の期間である搬入期間、および基板処理の期間であるプロセス期間がスケジューリングされる。搬出期間、搬入期間およびプロセス期間は、基本的にはこの順番で並び、相互に重ならない時間位置に設定される。
そして、1以上の各プロセスモジュールPMは、サイクルタイムにおいて、搬出期間、搬入期間およびプロセス期間以外に、余裕期間を備えている。「余裕期間」とは、あるモジュールにおいて生じた処理の遅れ時間を許容可能とする期間であり、サイクルタイム全体から搬出期間、搬入期間およびプロセス期間を減算した時間長さとなる。各プロセスモジュールPM同士の間において搬出期間および搬入期間は略同じ時間長さとなるため、余裕期間は、実質的に、各プロセスモジュールPMのプロセス期間の時間長さに応じて変動することになる。つまり、プロセス期間が長いプロセスモジュールPMは、余裕期間が短くなる一方で、プロセス期間が短いプロセスモジュールPMは、余裕期間が長くなる。従って、余裕期間は、最もプロセス期間が長いプロセスモジュールPMを基準に設定するとよい。
以上のサイクルタイムの設定によって、各搬送モジュールTMおよび各プロセスモジュールPMは、サイクルタイム内でモジュール毎に異なる処理をしたとしても、1つのサイクルタイム単位では同期した処理を繰り返すことができる。その結果、基板処理システム1は、複数のウエハWの処理全体としての効率化を促進することが可能となる。
図6は、各プロセスモジュールPMのサイクルタイムのスケジュール、および各搬送モジュールTMのサイクルタイムのスケジュールを例示する説明図である。図6に示すように、各プロセスモジュールPMは、サイクルタイムにおいて同じ時間長さの搬入期間および搬出期間を有するが、プロセス期間については相互に異なっている。例えば、第1プロセスモジュールPM1、第3プロセスモジュールPM3、第5プロセスモジュールPM5は、搬出期間、搬入期間を同じにしている。その一方で、プロセス期間は、第5プロセスモジュールPM5>第1プロセスモジュールPM1>第3プロセスモジュールPM3の順となっている。
特に図6の例において、第5プロセスモジュールPM5は、全てのプロセスモジュールPMの中で最も長いプロセス期間を有している。基板処理システム1の制御装置80は、この第5プロセスモジュールPM5を基準に、サイクルタイムを設定する。すなわち、基板処理システム1は、第5プロセスモジュールPM5の搬出期間、搬入期間、プロセス期間の合計をサイクルタイムとすることができる。例えば、第5プロセスモジュールPM5において、搬出期間が10秒であり、搬入期間が10秒であり、プロセス期間が120秒である場合、基板処理システム1のサイクルタイムを140秒に設定する。なお、サイクルタイムは、最もプロセス期間が長いプロセスモジュールPMの搬出期間、搬入期間、プロセス期間の合計に対し、余裕期間を加えてもよい。
また、第7プロセスモジュールPM7は、搬入期間については第1プロセスモジュールPM1、第3プロセスモジュールPM3、第5プロセスモジュールPM5と同タイミングであるものの、搬出期間についてはこれらのプロセスモジュールPMと異なっている。第4搬送モジュールTM4が左列プロセスモジュール群から右列プロセスモジュール群への列間搬送処理を行うためである。同様に、第8プロセスモジュールPM8も、搬出期間については第2プロセスモジュールPM2、第6プロセスモジュールPM6と同タイミングであるものの、搬入期間についてはこれらのプロセスモジュールPMと異なっている。
さらに、第4プロセスモジュールPM4は、ウエハWに対する基板処理の実施後に、余裕期間を待たずにウエハWを直ちに搬出する構成(以下、非待機搬出処理という)としている。この非待機搬出処理は、基板処理の内容に応じて適宜設定されるものであり、例えば、処理容器41内に滞在することによる熱影響や酸化を抑制するために実施される。したがって、第4プロセスモジュールPM4は、搬入期間については第2プロセスモジュールPM2、第6プロセスモジュールPM6と同タイミングであるものの、搬出期間についてはこれらのプロセスモジュールPMと異なっている。
一方、制御装置80は、各搬送モジュールTMのサイクルタイムのスケジュールを、上記の各プロセスモジュールPMのスケジュール等に応じて設定する。制御装置80は、例えば、左列搬送処理(左列搬送期間)の開始点を、全てサイクルタイムの開始であるゼロ秒に一致させる。この左列搬送期間に対して、制御装置80は、各プロセスモジュールPMの搬出期間、搬入期間、プロセス期間、および第4搬送モジュールTM4の列間搬送期間に基づいて右列搬送期間を設定する。例えば、各プロセスモジュールPMの搬出期間が10秒、各プロセスモジュールPMの搬入期間が10秒である場合、左列搬送期間の実施期間および右列搬送期間の実施期間はそれぞれ20秒必要となる。さらに第4搬送モジュールTM4の列間搬送期間でも20秒かかることになる。
図4(A)~図4(C)に示したように、右列搬送処理、列間搬送処理、左列搬送処理の順に各ウエハWを搬送することを勘案すると、左列搬送期間の開始前に列間搬送期間をセットし、この列間搬送期間の開始前に右列搬送期間をセットすることが好ましい。したがって図6に示すように、例えばサイクルタイムが140秒である場合、制御装置80は、第4搬送モジュールTM4のサイクルタイムについて、120秒の時点に列間搬送期間の開始をセットし、100秒の時点に右列搬送期間の開始をセットする。これにより、第4搬送モジュールTM4は、サイクルタイムにおいて、20秒の左列搬送処理、80秒の待機、20秒の右列搬送処理および20秒の列間搬送処理を順に行うスケジュールとなる。
一方、第1搬送モジュールTM1~第3搬送モジュールTM3は、列間搬送処理を行わないので、列間搬送処理の実施中は搬送待機期間となる。このため、第1搬送モジュールTM1および第3搬送モジュールTM3は、サイクルタイムにおいて、20秒の左列搬送処理、80秒の待機、20秒の右列搬送処理および20秒の待機を順に行うスケジュールとなる。
また、第2搬送モジュールTM2は、上記したように、第4プロセスモジュールPM4に対して非待機搬出処理を行う必要がある。このため、第2搬送モジュールTM2は、サイクルタイムにおいて、20秒の左列搬送処理、20秒の待機、10秒の右列搬送処理における搬出、60秒の待機、10秒の右列搬送処理における搬入および20秒の待機を順に行うスケジュールとなる。
ここで、各プロセスモジュールPMのサイクルタイムにある余裕期間、および搬送モジュールTMのサイクルタイムにある搬送待機期間は、基板処理システム1においてモジュールの処理の遅れを吸収する期間に用いることができる。例えば、第1プロセスモジュールPM1の余裕期間が20秒である場合、第1プロセスモジュールPM1は、基板処理の遅れ時間として20秒を許容することができる。また例えば、第1搬送モジュールTM1において、左列搬送処理と右列搬送処理との間の搬送待機期間が80秒である場合、第1搬送モジュールTM1は、80秒から左列搬送期間の20秒を減算した期間(60秒)だけ、左列搬送処理の遅れ時間を許容することができる。
ただし、あるモジュールの処理が大幅に遅れた場合には、各プロセスモジュールPMの余裕期間や各搬送モジュールTMの搬送待機期間をもってしても、処理の遅れを許容できなくなる。例えば、大気搬送装置14が位置合わせ装置13からロードロックモジュールLLMにウエハWを搬送する処理において70秒遅れた場合、搬送待機期間が80秒の第1搬送モジュールTM1では、左列搬送処理と右列搬送処理とが相互に重なる期間が生じてしまう。第1搬送モジュールTM1は、左列プロセスモジュール群および右列プロセスモジュール群の一方のみしか搬送できないため、搬送が混乱することになる。仮に、基板処理システム1は、処理の遅れに合わせて各モジュールのサイクルタイム全体をずらしてしまうと、現在各プロセスモジュールPMで基板処理している全てのウエハWについて、各処理容器41内に滞在する期間が大幅に長くなってしまう。これにより、遅れが生じた各ウエハWに対する熱影響が増大してしまい、遅れが生じていない各ウエハWとの間で、熱履歴が揃わずに基板処理の質(良または不良)に差が生じる可能性がある。
そこで、本実施形態に係る基板処理システム1は、あるモジュールの処理が大幅に遅れた場合に、サイクルタイムを変えずに、遅れが生じたモジュールよりも上流側のウエハWについてサイクルタイムを1周期または複数周期ずらす処理を行う。これにより、基板処理システム1は、次のウエハWを処理する際に、同じサイクルタイムに維持することができ、結果的に各プロセスモジュールPMでの基板処理を安定化させることが可能となる。
制御装置80は、以上の処理を行うため、ROM813に記憶されたプログラムをCPU811が読み出して実行することで、図7に示す機能部を構築する。図7は、ウエハWの搬送方法において制御装置80内に形成される機能ブロックを示すブロック図である。
具体的には、制御装置80は、搬送制御部91、ウエハ検知部92、工程処理実績時間記憶部93、スケジュール部94、遅れ時間取得部95および遅れ判定処理部96を内部に備える。
搬送制御部91は、スケジュール部94が作成するサイクルタイムおよびスケジュールに従って、各搬送モジュールTMおよび大気搬送装置14を制御する。例えば、搬送制御部91は、サイクルタイムに合わせて大気搬送装置14を制御し、FOUPからウエハWを取り出して、位置合わせ装置13およびロードロックモジュールLLMの順に当該ウエハWを搬送する。また、搬送制御部91は、所定の真空雰囲気に減圧した各搬送モジュールTMおよび各プロセスモジュールPMにおいて、図3(A)に示すように、ウエハWをシリアル搬送して基板処理を順次行っていく。さらに、搬送制御部91は、全ての基板処理が完了したウエハWについて、ロードロックモジュールLLMからFOUPに戻すように制御する。
ウエハ検知部92は、基板処理システム1内における各ウエハWの位置を検知し、その位置とその位置に滞在した滞在時間とを、工程処理実績時間記憶部93に記憶する。制御装置80は、ウエハ検知部92により検知されたウエハの位置を、表示装置84の装置画面に表示してもよい。また、制御装置80は、ウエハ検知部92により検知されたウエハWの位置を、搬送制御部91およびスケジュール部94に通知するようにしてもよい。
工程処理実績時間記憶部93は、各プロセスモジュールPMおよび各搬送モジュールTMの処理に要した時間(以下、工程処理実績時間という)を、ウエハWの情報と共に保存する。工程処理実績時間は、図6に示す各プロセスモジュールPMの搬出期間、搬入期間、プロセス期間、余裕期間、および各搬送モジュールTMの左列搬送期間、右列搬送期間、列間搬送期間、搬送待機期間において実際にかかった時間長さである。例えば、制御装置80は、ウエハ検知部92により検知したウエハの位置、各プロセスモジュールPMの動作状態のフィードバックおよび各搬送モジュールTMの動作状態のフィードバックにより、工程処理実績時間を算出する。
スケジュール部94は、サイクルタイム機能によりサイクルタイムを設定すると共に、各プロセスモジュールPMにおける基板処理と、各搬送モジュールTMにおける搬送処理とを連動させるスケジュールを作成する。スケジュール部94は、工程処理実績時間記憶部93から各プロセスモジュールPMの搬入期間、搬入期間、プロセス期間を抽出し、各プロセスモジュールPM全てのサイクルタイムが同じになるように余裕期間を設定していく。図6に示す各プロセスモジュールPMの例では、上記したように第5プロセスモジュールPM5のプロセス期間が最も長いことから、この第5プロセスモジュールPM5を基準にサイクルタイムを決定する。
また、スケジュール部94は、サイクルタイムに基づき各搬送モジュールTMの左列搬送期間、右列搬送期間および列間搬送期間を設定する搬送間隔指定機能を有している。スケジュール部94は、上記したように、サイクルタイムの開始点に左列搬送期間の開始および列間搬送期間の終了を合わせ、さらに列間搬送期間の開始と右列搬送期間の終了を合わせることで、各搬送モジュールTMの搬送処理を設定する。またこの際、非待機搬出処理を行うプロセスモジュールPMがある場合(図6では第4プロセスモジュールPM4)には、そのプロセスモジュールPMの処理に合わせた搬出期間に調整する。さらに、スケジュール部94は、作成したサイクルタイムに基づき大気搬送装置14によるウエハWの搬送タイミング(FOUPからロードロックモジュールLLMまでのウエハWの送り出し、ロードロックモジュールLLMからFOUPまでの戻り)を設定する。これにより、搬送制御部91は、スケジュール部94が作成した各搬送モジュールTMのスケジュールに応じて、各搬送モジュールTMを制御することができる。
遅れ時間取得部95は、各モジュールの処理の遅れ時間を取得して、遅れ判定処理部96に遅れ時間を送信する。例えば、遅れ時間取得部95は、フロントモジュールFM、各ロードロックモジュールLLM、各プロセスモジュールPM等を各々制御する複数の制御部から処理の進捗情報(実績時間)を受信する。そして、遅れ時間取得部95は、予め設定された目標の処理期間に対して実際に処理にかかった時間を減算して遅れ時間を算出する。
遅れ判定処理部96は、スケジュール部94と搬送制御部91との間に配置され、遅れ時間に基づく適宜の処理を行う。例えば、遅れ判定処理部96は、スケジュール部94で作成したスケジュールと、遅れ時間取得部95で取得した遅れ時間とを比較する。そして、遅れ判定処理部96は、遅れ時間が生じていない場合に、遅れ判定処理部96は、搬送制御部91にスケジュールをそのまま送信する。一方、モジュールに遅れ時間が生じている場合、遅れ判定処理部96は、その遅れ時間の時間長さに基づき、さらに遅れ時間を吸収できるか否かの遅れ吸収判定を行う。
以下、この遅れ吸収判定について、図8および図9を参照して具体的に説明していく。図8は、遅れ吸収判定における遅れ時間を吸収できる例を示す図であり、(A)は第1説明図、(B)は第2説明図、(C)は第3説明図である。また、図9は、遅れ吸収判定における遅れ時間を吸収できない例を示す図であり、(A)は第1説明図、(B)は第2説明図である。なお、以下の説明では、大気雰囲気から真空雰囲気に切り替えてウエハWを搬入するロードロックモジュールLLM(フロントモジュールFMを含む)の処理において、遅れ時間が発生した例について説明する。
例えば、ロードロックモジュールLLMの処理で50秒の遅れが発生したとする。この場合、図8(A)に示すように、遅れ判定処理部96は、まずロードロックモジュールLLMから第1プロセスモジュールPM1にウエハWを搬送する第1搬送モジュールTM1において左列搬送処理と右列搬送処理とが重ならないか否かを確認する。ここで、第1搬送モジュールTM1は、右列搬送処理の開始が100秒であるため、遅れ時間が50秒であったとしても、左列搬送処理が右列搬送処理に重なることがない。したがって、第1搬送モジュールTM1のスケジュールは、左列搬送期間の開始点を50秒ずらした位置に補正し直す。
次に図8(B)に示すように、遅れ判定処理部96は、第1プロセスモジュールPM1の余裕期間を確認して、下流側のモジュールである第1プロセスモジュールPM1において遅れを取り戻す時間を算出する。第1プロセスモジュールPM1の余裕期間が20秒の場合、50秒の遅れ時間を30秒にすることができる。
そして、遅れ判定処理部96は、第2搬送モジュールTM2において30秒(遅れ時間-第1プロセスモジュールの余裕期間)の遅れ時間で、左列搬送処理と右列搬送処理とが重ならないか否かを確認する。ここで、第2搬送モジュールTM2は、右列搬送処理の開始が40秒であるため、遅れ時間が30秒である場合、右列搬送処理の搬出期間の10秒を足しても、左列搬送処理が右列搬送処理に重なることがない。したがって、第2搬送モジュールTM2のスケジュールは、左列搬送期間の開始点を30秒ずらした位置に補正し直す。
次に、図8(C)に示すように、遅れ判定処理部96は、第3プロセスモジュールPM3の余裕期間を確認して、30秒の遅れ時間を取り戻す時間を算出する。例えば、第3プロセスモジュールPM3の余裕期間が50秒の場合、30秒の遅れ時間をこの第3プロセスモジュールPM3で全て許容することができる。したがって、第3搬送モジュールTM3では、遅れ時間を0秒にすることが可能となり、スケジュール部94で設定された第3搬送モジュールTM3のスケジュールをそのまま使用することができる。
以上のように、遅れ判定処理部96は、上流側のモジュールで生じた遅れ時間を、下流側の各搬送モジュールTMにおける左列搬送期間と右列搬送期間とが重ならないまま、下流側の1以上のプロセスモジュールPMの余裕期間で吸収していく。これにより、遅れ判定処理部96は、遅れ時間を吸収できることを判定する。その結果、基板処理システム1は、各スケジュールについて遅れ時間を許容する補正を行い、そのスケジュールを搬送制御部91に送信することで、先に設定したサイクルタイムをそのまま進行することができる。
これに対し、ロードロックモジュールLLMの処理で60秒の遅れが発生したとする。この場合、第1搬送モジュールTM1の右列搬送処理の開始が100秒であることから、遅れ判定処理部96は、図9(A)に示すように遅れ時間が60秒であったとしても、左列搬送期間が右列搬送期間に重ならない。したがって、第1搬送モジュールTM1のスケジュールは、左列搬送期間の開始点を60秒ずらした位置に補正し直す。
次に図9(B)に示すように、遅れ判定処理部96は、第1プロセスモジュールPM1の余裕期間を確認して、第1プロセスモジュールPM1の遅れを取り戻す時間を算出する。第1プロセスモジュールPM1の余裕期間が20秒の場合、60秒の遅れ時間を40秒とすることができる。
そして、遅れ判定処理部96は、第2搬送モジュールTM2において40秒(遅れ時間-第1プロセスモジュールの余裕期間)の遅れ時間で、左列搬送処理と右列搬送処理とが重ならないか否かを確認する。ここで、第2搬送モジュールTM2は、右列搬送処理の開始が40秒であるため、遅れ時間が40秒であると、左列搬送期間と右列搬送期間が重なることになる。したがって、遅れ判定処理部96は、遅れ時間が60秒の場合に、遅れ時間を吸収できないことを判定する。このように遅れ時間を吸収できない場合に、基板処理システム1は、遅れ時間が生じたモジュールおよびモジュールよりも上流側の各プロセスモジュールPMおよび各搬送モジュールTMについてサイクルタイムを1周期待機する周期変更制御を行う。この周期変更処理については、後のフローチャートで詳述する。これにより、基板処理システム1は、遅れが生じたモジュールよりも上流側のスケジュールと、遅れが生じる前の各プロセスモジュールPMおよび各搬送モジュールTMの各スケジュールと、を簡単に再び合わせることができる。なお、サイクルタイムを別のサイクルタイムに変更する周期変更制御は、サイクルタイムを1周期ずらすことに限定されず、遅れ時間に応じて複数周期ずらしてもよい。
本実施形態に係る基板処理システム1は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その動作について図10を参照しながら説明する。図10は、基板処理システム1の基板搬送処理方法を示すフローチャートである。
基板処理システム1の制御装置80は、上記したように、各搬送モジュールTMによるウエハWの搬送と、各プロセスモジュールPMによる基板処理とを連動させる。この際、スケジュール部94は、工程処理実績時間記憶部93に記憶された過去の各プロセスモジュールPMの搬出期間、搬入期間、プロセス期間に基づきサイクルタイムを設定する(ステップS1)。
さらに、スケジュール部94は、サイクルタイムに応じて、各プロセスモジュールPMのスケジュールを決めると共に、各搬送モジュールTMのスケジュールを決める(ステップS2)。
そして、搬送制御部91は、スケジュール部94から送信された各搬送モジュールTMのスケジュールに基づき、ウエハWの搬送を行う(ステップS3)。これにより、図4(A)~図4(B)に示すように、基板処理システム1は、右列プロセスモジュール群の各ウエハWを搬送する右列搬送処理、左列プロセスモジュール群のウエハWを右列プロセスモジュール群に搬送する列間搬送処理、右列プロセスモジュール群の各ウエハWを搬送する左列搬送処理を同期して行う。また、各プロセスモジュールPMは、制御装置80の指令(スケジュール部94が設定した各プロセスモジュールPMのスケジュール)に基づき、ウエハWに対して基板処理をそれぞれ実施する。
各モジュールの動作時に、遅れ時間取得部95は、フロントモジュールFMの処理の実績時間、各プロセスモジュールPMの処理の実績時間、各搬送モジュールTMの処理の実績時間等を取得して、各処理の遅れ時間を算出する(ステップS4)。
さらに、遅れ判定処理部96は、遅れ時間取得部95から送信される各処理の遅れ時間の情報に基づき、各処理に遅れ時間が発生していないかを監視する(ステップS5)。すなわち、遅れ判定処理部96は、各処理の遅れ時間がゼロの場合(ステップS5:YES)に、各処理に遅れがないことを判定し、ステップS6に進む。一方、遅れ判定処理部96は、各処理のいずれかの遅れ時間がゼロ以外の場合(ステップS5:NO)に、その時間分だけモジュールの処理が遅れていることを判定し、ステップS7に進む。
ステップS6において、遅れ判定処理部96が各搬送モジュールTMのスケジュールを搬送制御部91に送ることで、搬送制御部91は、各搬送モジュールTMについてサイクルタイムに合わせたスケジュールで搬送処理を行う(図6も参照)。例えば、各モジュールに遅れ時間が発生していない場合は、スケジュール部94で設定した各搬送モジュールTMのスケジュールに沿って各ウエハWを搬送する。
一方、遅れ時間がゼロ以外の場合、ステップS7において遅れ判定処理部96は、その遅れ時間を吸収できるか否かを確認する遅れ吸収判定を行う(図8および図9も参照)。遅れ吸収判定において、遅れ時間を吸収できる場合(ステップS7:YES)に、遅れ判定処理部96は、ステップS6に進み、各搬送モジュールTMのサイクルタイムを維持した搬送を行う。この際、遅れ判定処理部96は、遅れ時間が生じているモジュールよりも上流側のモジュールについては、遅れ吸収判定で算出した遅れ時間を吸収するスケジュールに補正して搬送制御部91に送る。これにより搬送制御部91は、補正したスケジュールに沿って搬送処理を行うことができる。
遅れ吸収判定において、遅れ時間を吸収できない場合(ステップS7:NO)に、遅れ判定処理部96は、ステップS8に進む。そしてステップS8において、ウエハWのサイクルタイムの周期を変更する周期変更処理を行う。
図11は、基板搬送処理方法の周期変更処理の動作を示す説明図であり、(A)は第1動作図、(B)は第2動作図、(C)は第3動作図である。なお、図11では、ウエハWを搬入するロードロックモジュールLLMにおいて大幅な遅れ時間が生じた例を示している。
周期変更処理において、制御装置80は、図11(A)に示すように、遅れ時間を吸収できないロードロックモジュールLLMのウエハW9については、遅れ時間が生じた際のサイクルタイムでの搬送を行わない。これにより、ロードロックモジュールLLMよりも下流側のウエハW1~ウエハW8までは搬送処理を行うことで、次の各モジュールにウエハWが移動する。結果的に、第1プロセスモジュールPM1では、ウエハW9が搬送されない空の状態が形成される。
制御装置80は、この状態で今回のサイクルタイムを終了して次回のサイクルタイムを行う。次回のサイクルタイムにおいて、ウエハWがない第1プロセスモジュールPM1は基板処理を一時停止し、ウエハWがある各プロセスモジュールPMはそれぞれ基板処理を行う。なお、基板処理の一時停止時に、プロセスモジュールPMは、全ての構成の動作を停止しなくてよい。例えば、プロセスモジュールPMは、次の基板処理を適切に行うために処理容器41内の温度を保つように温調機構を動作させることが好ましい。
基板処理後に、制御装置80は、図11(B)に示すように、サイクルタイムに沿って各ウエハWを搬送する。つまり、ウエハW1~ウエハW9までが次の各プロセスモジュールPMに搬送される。この際、ウエハW9は、前回一時停止していたプロセスモジュールPMに搬送される。ウエハW1~ウエハW8と、ウエハW9との間には、空のプロセスモジュールPMが1つ分だけ生じた状態が維持される。
以下、図11(C)に示すように、制御装置80は、各搬送モジュールTMにより各ウエハWを順に搬送すると共に、各プロセスモジュールPMにより各ウエハWに対して基板処理を各々行う。これにより、基板処理システム1は、ウエハWがないプロセスモジュールPMが生じるものの、サイクルタイムに沿わない状態を回避できる。その結果、各搬送モジュールTMの搬送ロボット32を同期して動作せることが可能となる。
図10に戻り、制御装置80は、ステップS8を終了すると、ウエハWの基板処理を終了するか否かを判定する(ステップS9)。ウエハWの基板処理を継続する場合(ステップS9:NO)には、ステップS2に戻り、以下同様の処理フローを繰り返す。一方、ウエハWの基板処理を終了する場合(ステップS9:YES)には、適宜の終了工程を行って今回の基板搬送処理方法を終了する。
なお、本開示に係る基板処理システム1は、以上の実施形態に限定されず、種々の変形例をとり得る。例えば、基板処理システム1は、各プロセスモジュールPMのうちいずれかのプロセスモジュールPMで基板処理の遅れが生じて、サイクルタイムをずらした場合に、そのプロセスモジュールPM(およびプロセスモジュールPMよりも上流側のプロセスモジュールPM)で待機することになるウエハWについて、サイクルタイムをずらした旨の情報を、ウエハWの管理情報に付与することが好ましい。これにより、仮にウエハWの基板処理の不良が生じていた場合に、ユーザは、サイクルタイムをずらしたことによる要因を容易に勘案することができる。
図12は、変形例に係る基板処理システム1Aの全体構成を示す平面図である。図12に示すように、変形例に係る基板処理システム1Aの搬送モジュールTMは、一連に連続する1つの搬送用容器31を有し、この搬送用容器31内に複数(5つ)の搬送ロボット32を備える点で、上記の実施形態に係る基板処理システム1と異なっている。このように、基板処理システム1Aは、1つの搬送用容器31(搬送モジュールTM)に複数の搬送ロボット32を設置した場合でも、上記と同様の基板搬送処理方法を実施してウエハWに対して基板処理を順に行うことができる。また、この基板処理システム1Aでも、大幅な遅れ時間が生じた場合に、遅れ時間を吸収する、サイクルタイムを別のサイクルタイムに変更する等の処理を適切に行うことができる。
以上の実施形態で説明した本開示の技術的思想および効果について以下に記載する。
本開示の第1の態様は、基板(ウエハW)を搬送する1以上の搬送モジュールTMと、1以上の搬送モジュールTMにより搬送された基板に基板処理を行う複数のプロセスモジュールPMと、1以上の搬送モジュールTMの処理および複数のプロセスモジュールPMの処理を繰り返すための共通のサイクルタイムを設定し、サイクルタイムに基づき複数のプロセスモジュールPMのスケジュールおよび1以上の搬送モジュールTMのスケジュールを作成して制御を行う制御装置80と、を備える基板処理システム1であって、複数のプロセスモジュールPMのスケジュールは、基板を搬出する搬出期間と、基板を搬入する搬入期間と、基板処理を行うプロセス期間と、処理の遅れを吸収するための期間である余裕期間と、を含み、制御装置80は、基板処理システム1のモジュールの処理に遅れが生じた場合に、余裕期間によってモジュールの処理の遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程と、遅れ時間が吸収できないと判定した場合に、遅れが生じたモジュールの基板および遅れが生じたモジュールよりも上流側の基板を搬送するサイクルタイムを別のサイクルタイムに変更する工程と、を制御する。
上記によれば、基板処理システム1は、処理に大きな遅れが生じた場合に、設定した基板(ウエハW)を搬送するサイクルタイムを別のサイクルタイムに変更することで、基板の搬送および基板処理等の同期を安定して行うことができる。その一方で、余裕期間によって遅れ時間が吸収できる場合には、サイクルタイムに沿った処理を継続するため、基板処理全体としての遅れを回避することが可能となる。したがって、基板処理システム1は、基板の搬送および基板処理のスループットを高めることができる。
また、制御装置80は、過去の複数のプロセスモジュールPMの搬出期間、搬入期間、プロセス期間に基づきサイクルタイムを設定する。これにより、基板処理システム1は、基板(ウエハW)の搬送および基板処理を行うためのサイクルタイムを精度よく設定することが可能となる。
また、サイクルタイムは、1以上の搬送モジュールTMに基板(ウエハW)を搬入する時間長さであり、複数のプロセスモジュールPMのうちプロセス期間が最も長いプロセスモジュールに基づき設定される。これにより、基板処理システム1は、複数のプロセスモジュールPM全てのプロセス期間を包含したサイクルタイムを確実に設定することができる。
また、制御装置80は、遅れ時間が吸収できる場合に、1以上の搬送モジュールTMのスケジュールを遅れ時間に基づいてずらすと共に、複数のプロセスモジュールPMの余裕期間により遅れ時間を吸収する。これにより、基板処理システム1は、遅れ時間が吸収できる場合に、サイクルタイムを維持しつつ、処理の遅れを良好に吸収することができる。
また、サイクルタイムを変更する工程では、遅れが生じたモジュールよりも上流側のプロセスモジュールPMで、遅れ時間がサイクルタイムを超えるまで待機した後に、基板(ウエハW)を搬出する。これにより、基板処理システム1は、サイクルタイムを変更した後の基板を、新たなサイクルタイムに沿ってスムーズに搬送することができる。
また、複数のプロセスモジュールPMは、1以上の搬送モジュールTMの左側に隣接して配置される左列プロセスモジュール群と、1以上の搬送モジュールTMの右側に隣接して配置される右列プロセスモジュール群と、を形成しており、1以上の搬送モジュールTMのスケジュールは、左列プロセスモジュール群の搬送を行う左列搬送期間、右列プロセスモジュール群の搬送を行う右列搬送期間、左列プロセスモジュール群と右列プロセスモジュール群との間の搬送を行う列間搬送期間、基板(ウエハW)の搬送を待機する搬送待機期間を含み、制御装置80は、左列搬送期間、右列搬送期間、列間搬送期間が重ならないように1以上の搬送モジュールTMのスケジュールを設定する。これにより、基板処理システム1は、左列プロセスモジュール群および右列プロセスモジュール群を有する構成において、基板の搬送のタイミングを適切に設定することが可能となる。
また、遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程では、遅れが生じたモジュールの下流側の搬送モジュールTMにおいて、遅れ時間により左列搬送期間、右列搬送期間または列間搬送期間が重なるか否かを判定し、左列搬送期間、右列搬送期間または列間搬送期間が重ならない場合に、下流側の搬送モジュールTMに隣接するプロセスモジュールPMの余裕期間により遅れ時間を吸収する一方で、左列搬送期間、右列搬送期間または列間搬送期間が重なる場合に、サイクルタイムを変更する工程を行う。これにより、基板処理システム1は、左列搬送処理、右列搬送処理および列間搬送処理を行う構成においてサイクルタイムを適切に変更できる。
また、遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程では、搬送モジュールTMにおいて遅れ時間により左列搬送期間、右列搬送期間または列間搬送期間が重ならない場合に、プロセスモジュールPMの余裕期間により遅れ時間を吸収する処理を、遅れが生じたモジュールから複数の搬送モジュールTMの下流側に向かって順に、遅れ時間により左列搬送期間、右列搬送期間または列間搬送期間が重なるまで、または遅れ時間の吸収が終わるまで繰り返す。これにより、基板処理システム1は、遅れ時間を吸収できるか否かの判定を精度よく行うことができる。
また、本開示の第2の態様は、1以上の搬送モジュールTMによって複数のプロセスモジュールPMに基板(ウエハW)を搬送して基板処理を行う基板処理システム1の制御装置80であって、制御装置80は、1以上の搬送モジュールTMの処理および複数のプロセスモジュールPMの処理を繰り返すための共通のサイクルタイムを設定し、サイクルタイムに基づき複数のプロセスモジュールPMのスケジュールおよび1以上の搬送モジュールTMのスケジュールを作成して制御を行い、複数のプロセスモジュールPMのスケジュールは、基板を搬出する搬出期間と、基板を搬入する搬入期間と、基板処理を行うプロセス期間と、処理の遅れを吸収するための期間である余裕期間と、を含み、制御装置は、基板処理システムのモジュールの処理に遅れが生じた場合に、余裕期間によってモジュールの処理の遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程と、遅れ時間が吸収できないと判定した場合に、遅れが生じたモジュールの基板および遅れが生じたモジュールよりも上流側の基板を搬送するサイクルタイムを別のサイクルタイムに変更する工程と、を制御する。
本開示の第3の態様は、1以上の搬送モジュールTMによって複数のプロセスモジュールPMに基板(ウエハW)を搬送して基板処理を行う基板搬送処理方法であって、複数のプロセスモジュールPMの処理および1以上の搬送モジュールTMの処理を繰り返すための共通のサイクルタイムを設定する工程と、サイクルタイムに基づき複数のプロセスモジュールPMにおける、基板を搬出する搬出期間と、基板を搬入する搬入期間と、基板処理を行うプロセス期間と、処理の遅れを吸収するための期間である余裕期間とを含むスケジュール、および1以上の搬送モジュールTMのスケジュールを作成する工程と、スケジュールに基づき、1以上の搬送モジュールTMおよび複数のプロセスモジュールPMを制御する工程と、基板処理システム1のモジュールの処理に遅れが生じた場合に、余裕期間によってモジュールの処理の遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程と、遅れ時間が吸収できないと判定した場合に、遅れが生じたモジュールの基板および遅れが生じたモジュールよりも上流側の基板を搬送するサイクルタイムを別のサイクルタイムに変更する工程と、有する。
この第2の態様および第3の態様でも、処理に大きな遅れが生じた場合に、基板の搬送および基板処理等を安定して行うことができる。
今回開示された実施形態に係る基板処理システム1、制御装置80基板搬送処理方法は、すべての点において例示であって制限的なものではない。実施形態は、添付の請求の範囲およびその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形および改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
1 基板処理システム
80 制御装置
PM プロセスモジュール
TM 搬送モジュール
W ウエハ
80 制御装置
PM プロセスモジュール
TM 搬送モジュール
W ウエハ
Claims (10)
- 基板を搬送する1以上の搬送モジュールと、
前記1以上の搬送モジュールにより搬送された前記基板に基板処理を行う複数のプロセスモジュールと、
前記1以上の搬送モジュールの処理および前記複数のプロセスモジュールの処理を繰り返すための共通のサイクルタイムを設定し、前記サイクルタイムに基づき前記複数のプロセスモジュールのスケジュールおよび前記1以上の搬送モジュールのスケジュールを作成して制御を行う制御装置と、を備える基板処理システムであって、
前記複数のプロセスモジュールのスケジュールは、前記基板を搬出する搬出期間と、前記基板を搬入する搬入期間と、前記基板処理を行うプロセス期間と、処理の遅れを吸収するための期間である余裕期間と、を含み、
前記制御装置は、
前記基板処理システムのモジュールの処理に遅れが生じた場合に、前記余裕期間によって前記モジュールの処理の遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程と、
前記遅れ時間が吸収できないと判定した場合に、遅れが生じた前記モジュールの前記基板および遅れが生じた前記モジュールよりも上流側の前記基板を搬送する前記サイクルタイムを別の前記サイクルタイムに変更する工程と、を制御する、
基板処理システム。 - 前記制御装置は、過去の前記複数のプロセスモジュールの前記搬出期間、前記搬入期間、前記プロセス期間に基づき前記サイクルタイムを設定する、
請求項1に記載の基板処理システム。 - 前記サイクルタイムは、前記1以上の搬送モジュールに前記基板を搬入する時間長さであり、前記複数のプロセスモジュールのうち前記プロセス期間が最も長いプロセスモジュールに基づき設定される、
請求項2に記載の基板処理システム。 - 前記制御装置は、
前記遅れ時間が吸収できる場合に、前記1以上の搬送モジュールのスケジュールを前記遅れ時間に基づいてずらすと共に、前記複数のプロセスモジュールの前記余裕期間により前記遅れ時間を吸収する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理システム。 - 前記サイクルタイムを変更する工程では、遅れが生じた前記モジュールよりも上流側のプロセスモジュールで、前記遅れ時間が前記サイクルタイムを超えるまで待機した後に、前記基板を搬出する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理システム。 - 前記複数のプロセスモジュールは、前記1以上の搬送モジュールの左側に隣接して配置される左列プロセスモジュール群と、前記1以上の搬送モジュールの右側に隣接して配置される右列プロセスモジュール群と、を形成しており、
前記1以上の搬送モジュールのスケジュールは、前記左列プロセスモジュール群の搬送を行う左列搬送期間、前記右列プロセスモジュール群の搬送を行う右列搬送期間、前記左列プロセスモジュール群と前記右列プロセスモジュール群との間の搬送を行う列間搬送期間、前記基板の搬送を待機する搬送待機期間を含み、
前記制御装置は、前記左列搬送期間、前記右列搬送期間、前記列間搬送期間が重ならないように前記1以上の搬送モジュールのスケジュールを設定する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板処理システム。 - 前記遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程では、遅れが生じた前記モジュールの下流側の搬送モジュールにおいて、前記遅れ時間により前記左列搬送期間、前記右列搬送期間または前記列間搬送期間が重なるか否かを判定し、
前記左列搬送期間、前記右列搬送期間または前記列間搬送期間が重ならない場合に、前記下流側の搬送モジュールに隣接する前記プロセスモジュールの前記余裕期間により前記遅れ時間を吸収する一方で、
前記左列搬送期間、前記右列搬送期間または前記列間搬送期間が重なる場合に、前記サイクルタイムを変更する工程を行う、
請求項6に記載の基板処理システム。 - 前記遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程では、前記搬送モジュールにおいて前記遅れ時間により前記左列搬送期間、前記右列搬送期間または前記列間搬送期間が重ならない場合に、前記プロセスモジュールの前記余裕期間により前記遅れ時間を吸収する処理を、遅れが生じた前記モジュールから複数の前記搬送モジュールの下流側に向かって順に、前記遅れ時間により前記左列搬送期間、前記右列搬送期間または前記列間搬送期間が重なるまで、または前記遅れ時間の吸収が終わるまで繰り返す、
請求項7に記載の基板処理システム。 - 1以上の搬送モジュールによって複数のプロセスモジュールに基板を搬送して基板処理を行う基板処理システムの制御装置であって、
前記制御装置は、前記1以上の搬送モジュールの処理および前記複数のプロセスモジュールの処理を繰り返すための共通のサイクルタイムを設定し、前記サイクルタイムに基づき前記複数のプロセスモジュールのスケジュールおよび前記1以上の搬送モジュールのスケジュールを作成して制御を行い、
前記複数のプロセスモジュールのスケジュールは、前記基板を搬出する搬出期間と、前記基板を搬入する搬入期間と、前記基板処理を行うプロセス期間と、処理の遅れを吸収するための期間である余裕期間と、を含み、
前記制御装置は、
前記基板処理システムのモジュールの処理に遅れが生じた場合に、前記余裕期間によって前記モジュールの処理の遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程と、
前記遅れ時間が吸収できないと判定した場合に、遅れが生じた前記モジュールの前記基板および遅れが生じた前記モジュールよりも上流側の前記基板を搬送する前記サイクルタイムを別の前記サイクルタイムに変更する工程と、を制御する、
制御装置。 - 1以上の搬送モジュールによって複数のプロセスモジュールに基板を搬送して基板処理を行う基板搬送処理方法であって、
前記複数のプロセスモジュールの処理および前記1以上の搬送モジュールの処理を繰り返すための共通のサイクルタイムを設定する工程と、
前記サイクルタイムに基づき前記複数のプロセスモジュールにおける、前記基板を搬出する搬出期間と、前記基板を搬入する搬入期間と、前記基板処理を行うプロセス期間と、処理の遅れを吸収するための期間である余裕期間とを含むスケジュール、および前記1以上の搬送モジュールのスケジュールを作成する工程と、
前記スケジュールに基づき、前記1以上の搬送モジュールおよび前記複数のプロセスモジュールを制御する工程と、
基板処理システムのモジュールの処理に遅れが生じた場合に、前記余裕期間によって前記モジュールの処理の遅れ時間が吸収できるか否かを判定する工程と、
前記遅れ時間が吸収できないと判定した場合に、遅れが生じた前記モジュールの前記基板および遅れが生じた前記モジュールよりも上流側の前記基板を搬送する前記サイクルタイムを別の前記サイクルタイムに変更する工程と、有する、
基板搬送処理方法。
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JP2022057068A JP2023148823A (ja) | 2022-03-30 | 2022-03-30 | 基板処理システム、制御装置および基板搬送処理方法 |
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