JP2023146822A - 光造形物の加工方法及び光造形物の加工物 - Google Patents

光造形物の加工方法及び光造形物の加工物 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化性材料を用いて光造形物を修理、形状修正等の加工をする際に加工した部位の破損及び脱離が抑制可能な光造形物の加工方法を提供する。【解決手段】光硬化性材料を光造形することにより得られた光造形物の加工面を粗化処理し、粗化処理された前記加工面に硬化性材料を付与して前記光造形物を加工する、光造形物の加工方法。【選択図】なし

Description

本開示は、光造形物の加工方法及び光造形物の加工物に関する。
従来、樹脂製の歯科用製品のうち、義歯床は、まず、歯科的な手法により、患者の口腔内の形状に適合した石膏型を作製し、次いでこの石膏型中に硬化性樹脂を流し込み、次いで硬化性樹脂を硬化させる方法によって作製されていた。
近年では、患者の来院の回数を減らし効率的に義歯床を製造する方法として、上述の石膏型を用いる方法に代えて、患者の口腔内の形状を三次元計測によって測定し、測定結果に基づいて3Dプリンタを用いた光造形により義歯床を製造する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6-78937号公報
上述のような義歯床をはじめとする様々な歯科用製品が、光造形により製造されるようになってきている。これら光造形により製造される光造形物は、破損した場合、形状修正する場合等に、破損した場所又は形状修正する場所に従来公知の修理材料、形状修正材料(例えば、ポリメチルメタクリレートを主成分とする粉成分と、メチルメタクリレートを主成分とする液成分とからなる接着剤)等の硬化性材料を使用して修理、修正等することが考えられる。しかし、光造形物を硬化性材料で修理、形状修正等する場合、十分な接着強度が得られないことがある。これにより、光造形物では、再破損又は修正部の脱離が発生しやすいという問題がある。以上のように、硬化性材料を用いて光造形物を修理、形状修正等の加工をする際に加工した部位の破損及び脱離が抑制可能であることが望ましい。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、硬化性材料を用いて光造形物を修理、形状修正等の加工をする際に加工した部位の破損及び脱離が抑制可能な光造形物の加工方法、並びに、硬化部の破損及び脱離が抑制可能な光造形物の加工物を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 光硬化性材料を光造形することにより得られた光造形物の加工面を粗化処理し、粗化処理された前記加工面に硬化性材料を付与して前記光造形物を加工する、光造形物の加工方法。
<2> 粗化処理される前記光造形物は破損した光造形物であり、かつ前記加工面は破損した面であり、
前記光造形物の加工では、粗化処理された前記加工面に前記硬化性材料を付与して前記光造形物を修理する、<1>に記載の光造形物の加工方法。
<3> 粗化処理される前記光造形物は形状修正の対象である光造形物であり、かつ前記加工面は形状修正の対象となる面であり、
前記光造形物の加工では、粗化処理された前記加工面に前記硬化性材料を付与して前記光造形物の形状を修正する、<1>に記載の光造形物の加工方法。
<4> 前記粗化処理がサンドブラストである、<1>~<3>のいずれか1つに記載の光造形物の加工方法。
<5> 前記硬化性材料が常温重合レジンである、<1>~<4>のいずれか1つに記載の光造形物の加工方法。
<6> 前記光造形物が歯科用物品である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の光造形物の加工方法。
<7> 前記光造形物の加工物が義歯である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の光造形物の加工方法。
<8> 光硬化性材料を光造形することにより得られ、加工面が粗化処理された光造形物と、
粗化処理された前記加工面に付与された硬化性材料が硬化してなる硬化部と、を備える光造形物の加工物。
<9> 歯科用製品である、<8>に記載の光造形物の加工物。
本開示の一態様によれば、硬化性材料を用いて光造形物を修理、形状修正等の加工をする際に加工した部位の破損及び脱離が抑制可能な光造形物の加工方法、並びに、硬化部の破損及び脱離が抑制可能な光造形物の加工物が提供される。
(A)は試験片A部品の上面図であり、(B)は試験片A部品の側面図である。 (A)は試験片B部品の上面図であり、(B)は試験片B部品の側面図である。 試験片C部品の上面図である。 (A)は試験片Aの上面図であり、(B)は試験片Aの側面図である。 (A)は試験片Bの上面図であり、(B)は試験片Bの側面図である。 試験片Cの上面図である。
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示において、材料中の各成分の量について言及する場合、材料中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、材料中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「光」は、紫外線、可視光線等の活性エネルギー線を包含する概念である。
本開示において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ」はアクリロイルオキシ又はメタクリロイルオキシを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル又はメタクリルを意味する。
本開示において、「ウレタン結合」は-NHC(=O)O-結合を指す。
本開示において、「重合性基」は、重合反応に関与する基を示す。
〔光造形物の加工方法〕
本開示の光造形物の加工方法は、光硬化性材料を光造形することにより得られた光造形物の加工面を粗化処理し、粗化処理された前記加工面に硬化性材料を付与して前記光造形物を加工する方法である。
本開示の光造形物の加工方法では、光造形物の加工面に硬化性材料を付与して光造形物を修理、形状修正等の加工をする前に光造形物の加工面を粗化処理する。これにより、光造形物の加工面を粗化処理していない場合と比較して硬化性材料を用いて光造形物を修理、形状修正等の加工をする際に加工した部位の破損及び脱離が抑制可能となる。
一方、熱重合硬化物の加工面を粗化処理し、粗化処理された前記加工面に硬化性材料を付与して熱重合硬化物を加工する場合、加工した部位での接着強度が加工面を粗化処理していない場合と比較して大きくは変化しない。そのため、硬化性材料を用いて熱重合硬化物を修理、形状修正等の加工をする際に加工した部位の破損及び脱離を抑制することが難しい。
<光造形物の加工物>
本開示の光造形物の加工方法により得られる光造形物の加工物の用途は特に制限はない。
光造形物の加工物は、歯科用製品であることが好ましい。
歯科用製品としては、歯科用補綴物、口腔内で使用する医療器具、歯科用模型、消失鋳造用模型、等が挙げられる。
歯科用補綴物としては、人工歯、義歯床、インレー、クラウン、ブリッジ、テンポラリークラウン、テンポラリーブリッジ等が挙げられる。
口腔内で使用する医療器具としては、マウスピース、マウスガード、歯列矯正器具、咬合用スプリント、印象採得用トレイ、手術用ガイド等が挙げられる。
歯科用模型としては、歯顎モデル等が挙げられる。
光造形物の加工物は、歯科用製品以外の工業製品の作製にも用いることもでき、例えば、成形用の金型、自動車、家電、若しくは精密機器における筐体若しくは部品、又は、これらの筐体若しくは部品のプロトタイピングに用いることができる。
<光造形>
光造形物は、後述の光硬化性材料を光造形することにより得られる。
本開示において、「光造形」は、3Dプリンタを用いた三次元造形方法のうちの1種である。
光造形の方式としては、SLA(Stereo Lithography Apparatus)方式、DLP(Digital Light Processing)方式、インクジェット方式などが挙げられる。
光造形は、SLA方式又はDLP方式の光造形が特に好適である。
SLA方式としては、スポット状の紫外線レーザー光を光硬化性材料に照射することにより立体造形物を得る方式が挙げられる。
SLA方式によって光造形物を作製する場合、例えば、光硬化性材料を容器に貯留し、光硬化性材料の液面に所望のパターンが得られるようにスポット状の紫外線レーザー光を選択的に照射して光硬化性材料を硬化させ、所望の厚みの硬化層を造形テーブル上に形成し、次いで、造形テーブルを上昇させ、硬化層の上に1層分の液状光硬化性材料を供給し、同様に硬化させ、連続した硬化層を得る積層操作を繰り返せばよい。これにより、光造形物を作製することができる。
DLP方式としては、面状の光を光硬化性材料に照射することにより立体造形物を得る方式が挙げられる。
DLP方式によって立体造形物を得る方法については、例えば、特許第5111880号公報及び特許第5235056号公報の記載を適宜参照することができる。
DLP方式によって光造形物を作製する場合、例えば、光源として高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプなどのレーザー光以外の光を発射するランプ、LEDなどを用い、光源と光硬化性材料の造形面との間に、複数のデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクを配置し、前記面状描画マスクを介して光硬化性材料の造形面に光を照射して所定の形状パターンを有する硬化層を順次積層させればよい。これにより、光造形物を作製することができる。
インクジェット方式としては、インクジェットノズルから光硬化性材料の液滴を基材に連続的に吐出し、基材に付着した液滴に光を照射することにより立体造形物を得る方式が挙げられる。
インクジェット方式によって光造形物を作製する場合、例えば、インクジェットノズル及び光源を備えるヘッドを平面内で走査させつつ、インクジェットノズルから光硬化性材料を基材に吐出し、かつ吐出された光硬化性材料に光を照射して硬化層を形成し、これらの操作を繰り返して、硬化層を順次積層させればよい。これにより、光造形物を作製することができる。
本開示において加工対象となる光造形物としては、破損した光造形物、形状修正の必要がある光造形物等が挙げられる。破損した光造形物としては、破損した歯科用製品等であってもよく、破損した歯科用製品等を硬化性材料で加工することで破損した歯科用製品等を修理してもよい。歯科用製品としては、前述したとおりであり、特に義歯が好ましい。破損した義歯を硬化性材料で修理することで、容易に使用可能となり、3Dプリンタを用いた再度義歯を作製するよりも利便性に優れる。
本開示の加工方法では、光硬化性材料を光造形することにより得られた光造形物の加工面を粗化処理する。粗化処理の方法としては、特に限定されず、例えば、サンドブラスト、レーザー照射、エッチング、やすりがけ、溶剤塗布等が挙げられる。中でも、サンドブラストが好ましい。
本開示の加工方法では、粗化処理された加工面に硬化性材料を付与して光造形物を加工する。硬化性材料を付与した後、硬化性材料を硬化させて光造形物を加工する。例えば、光造形物の加工としては、硬化性材料を介して加工面が粗化処理された光造形物同士を接着すること、加工面に硬化性材料を付与して光造形物に形状を追加すること、加工面に硬化性材料を付与して光造形物を修理すること、加工面に硬化性材料を付与して光造形物の形状を修正すること等が挙げられる。
加工面に硬化性材料を付与して光造形物を修理することとしては、割れ等の破損が生じた光造形物に対して硬化性材料の接着、修理が必要な箇所に対して形状修正等の処理を施すことが挙げられる。形状修正の具体例としては、光造形物の欠けている部分を埋める、光造形物の長さを延長する、あるいは光造形物の厚みを増す等の単純な形状追加、光造形物の形状変更する部分を切り取り、切り取った面に粗化処理を施した後に、粗化処理された加工面に別の形状を付与するような形状追加などが挙げられる。
加工対象となる光造形物は、歯科用物品であることが好ましい。歯科用物品としては、具体的には、破折した歯科用製品(例えば、破折した義歯)等の破損した光造形物、硬化性材料を介して接着させる光造形物、硬化性材料により形状の追加が必要な光造形物、硬化性材料により形状の修正が必要な光造形物などが挙げられる。
例えば、粗化処理される光造形物が破損した光造形物である場合、加工面は破損した面であり、光造形物の加工では、粗化処理された加工面に硬化性材料を付与して光造形物を修理することが好ましい。
例えば、粗化処理される光造形物が形状修正の対象である光造形物である場合、加工面は形状修正の対象となる面であり、光造形物の加工では、粗化処理された加工面に硬化性材料を付与して光造形物の形状を修正することが好ましい。
本開示の光造形物の加工方法で用いる硬化性材料としては、常温重合レジンが挙げられる。常温重合レジンとしては、従来公知の歯科用常温重合レジン(歯科汎用アクリル系レジン等)を用いてもよい。
常温重合レジンは、粉成分及び液成分からなるレジンであってもよい。粉成分としては、アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単独重合体及び共重合体の少なくとも一方と、重合触媒とを含むことが好ましく、ポリメチルメタクリレートと、重合触媒とを含むことがより好ましい。液成分としては、アルキル(メタ)アクリレート系単量体を主成分とすることが好ましく、メチルメタクリレートを主成分とすることがより好ましい。
常温重合レジンは、アルキル(メタ)アクリレート系単量体の単独重合体及び共重合体の少なくとも一方を主成分として含む一般的な熱重合硬化物となじみがよく、両者の接着性がよい。そのため、熱重合硬化物の加工面を粗化処理し、粗化処理された前記加工面に常温重合レジンを付与して熱重合硬化物を加工する場合、加工した部位での接着強度が加工面を粗化処理していない場合と比較して大きくは変化しない。
一方、常温重合レジンと光造形物とは含有成分(例えば、光造形物の作製に用いる光硬化性材料の好ましい組成は後述の通り)が相違しており、両者の接着性がよいとは言い難い。本開示では、光造形物の加工面に対して粗化処理を施し、粗化処理された加工面に硬化性材料を付与して光造形物を加工することで、加工した部位での接着強度が加工面を粗化処理していない場合と比較して大きく改善する。
以下、光造形物の形成に用いられる光硬化性材料の詳細について説明する。
<光硬化性材料>
光硬化性材料の組成は、光造形により光造形物を作製可能であれば特に限定されない。例えば、光硬化性材料は、重合性モノマーと、光重合開始剤とを含むことが好ましい。
(重合性モノマー)
重合性モノマーとしては、エチレン性二重結合を含む化合物が挙げられ、例えば、(メタ)アクリルモノマー、スチレン、スチレン誘導体、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
重合性モノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性モノマーは、(メタ)アクリルモノマーであることが好ましい。(メタ)アクリルモノマーとは、分子中に1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを意味する。
(メタ)アクリルモノマーは、単官能(メタ)アクリルモノマー(即ち、分子中に1つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマー)であっても、2官能(メタ)アクリルモノマー(即ち、分子中に2つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマー)であっても、多官能(メタ)アクリルモノマー(即ち、3官能以上の(メタ)アクリルモノマー;即ち、分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有するモノマー)であってもよい。
(メタ)アクリルモノマーは、
ウレタン結合及び環状構造からなる群から選択される1つ以上と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基と、を含む(メタ)アクリルモノマー(A-a)、並びに、
ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まず、かつ1つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含む(メタ)アクリルモノマー(A-b)
からなる群から選択される1つ以上の(メタ)アクリルモノマーを含むことが好ましい。
環状構造としては、芳香族構造、脂環式構造等が挙げられる。環状構造は、ビスフェノールA構造等のように、芳香族構造と他の連結基との組み合わせも包含する。
[(メタ)アクリルモノマー(A-a)]
(メタ)アクリルモノマー(A-a)は、ウレタン結合及び環状構造からなる群から選択される1つ以上と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基とを含む。
(メタ)アクリルモノマー(A-a)は、ウレタン結合を1つ以上含んでいてもよく、環状構造を1つ以上含んでいてもよく、ウレタン結合及び環状構造をそれぞれ独立に1つ以上含んでいてもよい。
(メタ)アクリルモノマー(A-a)は、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基以外の(メタ)アクリロイルオキシ基を含まない。
(メタ)アクリルモノマー(A-a)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリルモノマー(A-a)は、
ウレタン結合と2つの(メタ)アクリロイルオキシ基とを含む(メタ)アクリルモノマー(a1)、及び
環状構造と2つの(メタ)アクリロイルオキシ基とを含み、ウレタン結合を含まない(メタ)アクリルモノマー(a2)
のうちの少なくとも1つを含有することが好ましく、
(メタ)アクリルモノマー(a1)及び(メタ)アクリルモノマー(a2)を含有することがより好ましい。
≪(メタ)アクリルモノマー(a1)≫
(メタ)アクリルモノマー(a1)は、ウレタン結合と2つの(メタ)アクリロイルオキシ基とを含む。(メタ)アクリルモノマー(a1)は、環状構造を含んでもよいし、環状構造を含まなくてもよい。
ウレタン結合の数は、得られる硬化物の靭性を向上させる観点から、1~5が好ましく、2~4がより好ましく、2がさらに好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a1)は、好ましくは、下記式(1)で表される化合物を含む。
この場合、下記式(1)で表される化合物の含有量は、(メタ)アクリルモノマー(a1)の全質量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。下記式(1)で表される化合物の含有量は、(メタ)アクリルモノマー(a1)の全質量に対して、100質量%以下であってもよい。
式(1)中、Rは、2価の鎖状炭化水素基、芳香族構造を含む2価の炭化水素基、又は脂環式構造を含む2価の炭化水素基であり、
及びRは、それぞれ独立に、置換基を含んでもよい2価の鎖状炭化水素基であり、
及びRは、それぞれ独立に、メチル基又は水素原子である。
式(1)中、Rとしては、芳香族構造を含む2価の炭化水素基、又は脂環式構造を含む2価の炭化水素基であることが好ましい。
にこれらの環構造を含むことにより、光硬化性材料の粘度がより抑制される。
式(1)中のRにおいて、2価の鎖状炭化水素基の炭素数としては、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、2~6がさらに好ましい。
における2価の鎖状炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和でも不飽和でもよく、置換基を含んでもよい。
における2価の鎖状炭化水素基として、好ましくは炭素数1~20の直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、より好ましくは炭素数1~12の直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖アルキレン基である。
上記炭素数1~20の直鎖又は分岐鎖アルキレン基の具体例として、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、ヘプタンジイル基、オクタンジイル基、ノナンジイル基、デカンジイル基、ウンデカンジイル基、ドデカンジイル基、トリデカンジイル基、テトラデカンジイル基、ペンタデカンジイル基、オクタデカンジイル基、エイコシレン基、ビニレン基、プロペンジイル基、ブテンジイル基、ペンテンジイル基、エチニレン基、プロピニレン、2,4,4-トリメチルヘキシレン基が挙げられる。これらのうち、2,4,4-トリメチルヘキシレン基が好ましい。
式(1)中のRにおいて、芳香族構造を含む2価の炭化水素基の炭素数としては、6~20が好ましく、6~12がより好ましく、6~10がさらに好ましい。
における芳香族構造を含む2価の炭化水素基は、置換基を含んでもよい。
芳香族構造を含む2価の炭化水素基の例としては、アリーレン基、アルキルアリーレン基、アルキレンアリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、及びアリーレンアルキレンアリーレン基を挙げることができる。
芳香族構造を含む2価の炭化水素基としては、アルキレンアリーレン基又はアルキレンアリーレンアルキレン基であることが好ましい。これにより、光硬化性材料の粘度がより抑制される。
アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アルキルアリーレン基及びアリーレンアルキレンアリーレン基の具体例としては、1,3-又は1,4-フェニレン基、1,3-又は1,4-フェニレンジメチレン基、及び1,3-又は1,4-フェニレンジエチレン基が挙げられる。
式(1)のRにおいて、脂環式構造を含む2価の炭化水素基の炭素数としては、3~20が好ましく、6~12がより好ましく、6~8がさらに好ましい。
脂環式構造としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘキセニレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロウンデシレン基、シクロドデシレン基、シクロトリデシレン基、シクロテトラデシレン基、シクロペンタデシレン基、シクロオクタデシレン基、シクロイコシレン基、ビシクロへキシレン基、ノルボルニレン基、イソボルニレン基、アダマンチレン基を挙げることができる。これらのうち、ノルボルニレン基、イソボルニレン基が好ましい。
が脂環式構造を含む2価の炭化水素基である場合、特に好適な例は以下の通りである。*は結合位置を表す。

式(1)中のRにおける脂環式構造を含む2価の炭化水素基は、置換基を含んでもよい。置換基としては、炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。
式(1)中のRにおいて、脂環式構造を含む2価の炭化水素基としては、
同じでも異なっていてもよい2つのアルキレン基(例えば、炭素数1~3のアルキレン基)それぞれの一方の結合手を介して脂環式構造と結合した構造を含む2価の炭化水素基(つまり、2つのアルキレン基の間に脂環式構造が結合した構造を含む)、又は、
1つのアルキレン基(例えば、炭素数1~3のアルキレン基)の一方の結合手を介して脂環式構造と結合した構造を含む2価の炭化水素基
が好ましく、
2つのメチレン基の間に脂環式構造が配置された構造を含む2価の炭化水素基、又は、
1つのメチレン基と脂環式構造とが結合した構造を含む2価の炭化水素基がさらに好ましい。
式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を含んでもよい2価の鎖状炭化水素基である。
及びRとして好適な2価の鎖状炭化水素基は、Rとして好適な2価の鎖状炭化水素基と同様である。
ただし、R及びRにおける、置換基を含んでもよい2価の鎖状炭化水素基の炭素数は、2~6であることが好ましく、2~3であることがより好ましい。
及びRが、置換基を含む2価の鎖状炭化水素基である場合の上記置換基としては、例えば;
メチル基、エチル基などの炭素数1~6のアルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3~6のシクロアルキル基;
トリル基、キシリル基、クミル基、スチリル基、アルコキシフェニル基(メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基など)などのアリール基;
等が挙げられる。
光硬化性材料の粘度をより抑制する観点から、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を含まない炭素数2~6(より好ましくは炭素数2~3)の2価の鎖状炭化水素基であることが好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a1)として好適な化合物として、例えば、m-キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシナネート及びイソホロンジイソシアネートからなる群から選択される1つのイソシアネートと、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、及び4-ヒドロキブチルアクリレートからなる群から選択される1つのヒドロキシアクリレートと、の反応物であるウレタンジアクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマー(a1)としては、後述する実施例で使用される2,2,4-トリメチルヘキサメチレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(以下、「UDMA」ともいう)も挙げられる。
(メタ)アクリルモノマー(a1)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば、380~5000であることが好ましく、380~4000であることがより好ましく、380~700であることがさらに好ましく、400~650であることが特に好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a1)は、市販のモノマーから合成してもよい。例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレート2分子と、ジイソシアネート1分子とから(メタ)アクリルモノマー(a1)を合成してもよい。
≪(メタ)アクリルモノマー(a2)≫
(メタ)アクリルモノマー(a2)は、環状構造と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基とを含み、ウレタン結合を含まない。
(メタ)アクリルモノマー(a2)に含まれる環状構造における環の数は、1つのみであってもよいし2つ以上であってもよい。
(メタ)アクリルモノマー(a2)に含まれる環状構造は、芳香族構造及び脂環式構造のいずれであっても両方であってもよく、芳香族構造を含むことが好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a2)に含まれる環状構造は、ビスフェノールA構造が特に好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a2)は、エチレンオキシ基(EO)及びプロピレンオキシ基(PO)の少なくとも一方を、合計で1つ以上含んでいてもよい。
(メタ)アクリルモノマー(a2)の分子量は、特に限定されず、400~1000であることが好ましく、400~800であることがより好ましく、400~700であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a2)としては、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(EO=2~4mol)、エトキシ化ジアクリレート(EO=2~4mol)、ビスフェノールAジグリシジルジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート(PO=2~4mol)等が挙げられる。
モノマー(B)が(メタ)アクリルモノマー(a1)及び(メタ)アクリルモノマー(a2)を含有する場合、(メタ)アクリルモノマー(a1)と(メタ)アクリルモノマー(a2)との比率((メタ)アクリルモノマー(a1):(メタ)アクリルモノマー(a2))は、2:8~8:2であってもよく、3:7~7:3であってもよく、4:6~6:4であってもよい。
[(メタ)アクリルモノマー(A-b)]
(メタ)アクリルモノマー(A-b)は、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まず、かつ1つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含む。
(メタ)アクリルモノマー(A-b)は、
1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含むモノ(メタ)アクリルモノマー(b1)であってもよいし、
2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含むジ(メタ)アクリルモノマー(b2)であってもよいし、
3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含むポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)であってもよい。
≪モノ(メタ)アクリルモノマー(b1)≫
モノ(メタ)アクリルモノマー(b1)は、1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含み、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まない。
モノ(メタ)アクリルモノマー(b1)の分子量は、特に限定されず、80~600であることが好ましく、100~400であることがより好ましく、100~300であることがさらに好ましい。
モノ(メタ)アクリルモノマー(b1)としては、1つの(メタ)アクリロイルオキシ基及び分岐構造を含むモノ(メタ)アクリルモノマーがより好ましい。
モノ(メタ)アクリルモノマー(b1)としては、メチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
≪ジ(メタ)アクリルモノマー(b2)≫
ジ(メタ)アクリルモノマー(b2)は、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含み、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まない。
ジ(メタ)アクリルモノマー(b2)の分子量は、特に限定されず、150~400であることが好ましく、170~350であることがより好ましい。
ジ(メタ)アクリルモノマー(b2)としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
≪ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)≫
ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)は、3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含み、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まない。
ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)の分子量は、特に限定されず、5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましく、2500以下であることがさらに好ましい。
ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)の分子量の下限は、3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含むポリ(メタ)アクリルモノマーである限り、特に制限はない。ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)の分子量の下限は、例えば、200以下であってもよく、250以下であってもよい。
ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO=3mol)、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(PO=3mol)、プロポキシ化グリセリントリアクリレート(PO=3mol)等が挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリルモノマー(A-b)は、メチル(メタ)アクリレート及びトリエチレングリコールジメタクレートからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。メチル(メタ)アクリレートの粘度及びトリエチレングリコールジメタクレートの粘度は低い。これにより、得られる硬化物の靭性は向上する。
重合性モノマーの含有量は、光硬化性材料100質量部に対し、70質量%~99.9質量%であることが好ましく、90質量%~99.5質量%であることがより好ましく、95質量%~99質量%であることがさらに好ましい。
重合性モノマーが(メタ)アクリルモノマー(A-a)及び(メタ)アクリルモノマー(A-b)の少なくとも一方を含有する場合、(メタ)アクリルモノマー(A-a)と、(メタ)アクリルモノマー(A-b)と、の合計含有量は、光硬化性材料に含まれる全ての(メタ)アクリルモノマーの含有量に対し、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(A-a)と、(メタ)アクリルモノマー(A-b)と、の合計含有量の上限は特に限定されず、100質量%以下であればよい。
光硬化性材料の粘度は、好ましくは5mPa・s~6000mPa・s、より好ましくは10mPa・s~5000mPa・s、さらに好ましくは20mPa・s~5000mPa・s、特に好ましくは100mPa・s~4500mPa・sである。
光硬化性材料の粘度が5mPa・s~6000mPa・sの範囲内である場合には、硬化物である光造形物を製造する際の光硬化性材料の取り扱い性に優れる。
光硬化性材料の粘度は、E型粘度計により25℃及び50rpmの条件で測定される。rpmとは、revolutions per minute(回転毎分)を示す。
光硬化性材料の粘度を上述した範囲内に調整する方法としては、例えば、粘度が比較的高い(メタ)アクリルモノマー(A-a)と、粘度が比較的低い(メタ)アクリルモノマー(A-b)との配合割合を調整する方法等が挙げられる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、光を照射することでラジカルを発生するものであれば特に限定されず、光造形の際に用いる光の波長でラジカルを発生するものであることが好ましい。
光造形の際に用いる光の波長としては、一般的には365nm~500nmが挙げられるが、実用上好ましくは365nm~430nmであり、より好ましくは365nm~420nmである。
光造形の際に用いる光の波長でラジカルを発生する光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、α-アシロキシムエステル系化合物、フェニルグリオキシレート系化合物、ベンジル系化合物、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、有機色素系化合物、鉄-フタロシアニン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、アントラキノン系化合物等が挙げられる。
これらのうち、反応性等の観点から、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物が好ましい。
アルキルフェノン系化合物としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(Omnirad 184:IGM Resins B.V.社製)が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad 819:IGM Resins B.V.社製)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(Omnirad TPO:IGM Resins B.V.社製)が挙げられる。
光硬化性材料は、光重合開始剤を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
光硬化性材料中における光重合開始剤の含有量(2種以上である場合には合計含有量)は、光硬化性材料の全質量に対し、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.2質量%~5質量%であることがより好ましく、0.3質量%~3質量%であることがさらに好ましい。
(その他の成分)
光硬化性材料は、必要に応じて、上述した成分以外のその他の成分を1種類以上含有していてもよい。
光硬化性材料が、その他の成分を含有する場合、重合性モノマー及び光重合開始剤の合計含有量は、光硬化性材料の全質量に対し、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、90質量%以上であることが極めて好ましい。
光硬化性材料が、その他の成分を含有する場合、重合性モノマー及び光重合開始剤の合計含有量は、光硬化性材料の全質量に対し、99質量%以下であってもよい。
その他の成分としては、例えば、色材、シランカップリング剤(例えば3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)等のカップリング剤、ゴム剤、イオントラップ剤、イオン交換剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤等の添加剤、熱重合開始剤等が挙げられる。
光硬化性材料が熱重合開始剤を含有する場合には、光硬化と熱硬化との併用が可能となる。熱重合開始剤としては、例えば、熱ラジカル発生剤、アミン化合物などが挙げられる。
その他の成分としては、無機フィラーも挙げられる。
硬化物の造形精度をより向上させる観点から、光硬化性材料は、無機フィラー(例えば、シリカ、バリウムボロシリケートガラス、等。以下同じ。)を含有しないか、又は、無機フィラーを含有する場合には、光硬化性材料の全質量に対する無機フィラーの含有量が30質量%以下(より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下)であることが好ましい。
光硬化性材料の調製方法は特に制限されない。
光硬化性材料の調製方法としては、例えば、重合性モノマー及び光重合開始剤並びに必要に応じその他の成分を混合する方法が挙げられる。
各成分を混合する手段は特に限定されず、例えば、超音波による溶解、双腕式攪拌機、ロール混練機、2軸押出機、ボールミル混練機、及び遊星式撹拌機等の手段が含まれる。
光硬化性材料は、各成分を混合した後、フィルタでろ過して不純物を取り除き、さらに真空脱泡処理を施すことによって調製してもよい。
〔光造形物の加工物〕
本開示の光造形物の加工物は、光硬化性材料を光造形することにより得られ、加工面が粗化処理された光造形物と、粗化処理された前記加工面に付与された硬化性材料が硬化してなる硬化部と、を備える。本開示の光造形物の加工物では、光造形物の加工面を粗化処理していない場合と比較して硬化部の破損及び脱離が抑制可能である。
本開示の光造形物の加工物の好ましい形態は、本開示の光造形物の加工方法により得られる光造形物の加工物の好ましい形態と同様であり、例えば、前述の歯科用製品が挙げられる。
硬化部の形成に用いられる硬化性材料の好ましい形態としては、本開示の光造形物の加工方法にて用いられる硬化性材料の好ましい形態と同様である。本開示の光造形物の加工物は、一例として、本開示の光造形物の加工方法により作製可能である。
硬化部としては、光造形物同士を接着する部位であってもよく、光造形物に形状を追加する部位であってもよく、光造形物の修理された部位であってもよく、光造形物の形状を修正する部位であってもよい。
以下、本開示の実施形態を実施例によりさらに具体的に説明するが、本実施形態はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<光硬化性材料の調製、及びその硬化物の作製>
重合性モノマーとして、トリメチロールプロパントリメタクリレートを5.3質量部、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレートを52.0質量部、及びUDMAを41.0質量部、を混合して混合物を均一化した。その後、混合物に光重合開始剤としてビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキシドを1.7質量部加えて均一化し、光硬化性材料であるレジン1を得た。
次に光造形型3Dプリンタである「カーラプリント4.0」(クルツァージャパン株式会社製)にて、レジン1を使用し、光の波長405nm、積層幅100μm、一層当たりの積算光量が120mJ/cmの条件で造形し、試験片Aの部品形状、試験片Bの部品形状、及び試験片Cの部品形状の造形物を得た。
得られた造形物をイソプロピルアルコールで洗浄後、光重合器である「ハイライトパワー3D」(クルツァージャパン株式会社製)を使用して、グリセリンに浸漬させた状態で光の波長365nm、積算光量が10J/cmの条件で、表面と裏面のそれぞれを後硬化し、硬化物である試験片A部品、試験片B部品、及び試験片C部品をそれぞれ得た。試験片A部品、試験片B部品、及び試験片C部品の形状はそれぞれ図1~図3に示す通りである。図1及び図2について、(A)は試験片A部品及び試験片B部品の上面図であり、(B)は試験片A部品及び試験片B部品の側面図である。図1~図3に記載の数値の単位は、mmである。また、試験片C部品の厚さは2mmであった。
<試験片Aによる曲げ強さ及び曲げ弾性率の試験>
光造形により得た試験片Aの部品2種の接合部表面を#400の紙やすりで薄く削り新鮮面を出した後、「Jet Blast II」(株式会社モリタ製)を使用して圧力0.2MPaの条件でアルミナ粉末を接合部表面に噴射し、サンドブラスト処理を施した。次いでそれぞれの接合部が向き合うように、型(長さ64mm、幅10mm、厚さ5mm)の中に入れ、接合部に隙間ができるようにそれぞれを型の端に寄せた。この隙間に義歯修理用常温重合レジンであるクイックレジン(株式会社松風製)の粉成分及び液成分を筆積み法にて充填した後、40℃、0.2MPaの条件下で硬化させた。なお、クイックレジンの粉成分はポリメチルメタクリレートとメチルメタクリレート-メタクリル酸エチル共重合体と重合触媒で構成されていて、液成分はメチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートで構成されている。次いで型枠から取り出し余分なレジン重合物を#400の紙やすりで削り取り、JIS T6501(2019)の曲げ強さ及び曲げ弾性率の試験で規定するサイズ(長さ64mm、幅10mm、厚さ3.3mm)の試験片Aを得た。試験片Aの形状は図4の通りであり、斜線部がクイックレジンで試験片A部品を接合した部分である。「210X型曲げ試験機」(株式会社インテスコ製)を使用してJIS T6501(2019)に準拠した方法で、試験片Aの曲げ強さ及び曲げ弾性率を測定した。
結果を表1に示す。
<試験片Bによる曲げ強さ及び曲げ弾性率の試験>
光造形により得た試験片Bの部品2個の接合部表面を#400の紙やすりで薄く削り新鮮面を出した後、「Jet Blast II」(株式会社モリタ製)を使用して圧力0.2MPaの条件でアルミナ粉末を接合部表面に噴射し、サンドブラスト処理を施した。次いでそれぞれの接合部が向き合うように、型(長さ64mm、幅10mm、厚さ5mm)の中に入れ、接合部に隙間ができるようにそれぞれを型の端に寄せた。この隙間に義歯修理用常温重合レジンであるクイックレジン(株式会社松風製)の粉成分と液成分を筆積み法にて充填した後、40℃、0.2MPaの条件下で硬化させた。次いで型枠から取り出し余分なレジン重合物を#400の紙やすりで削り取り、長さ64mm、幅10mm、厚さ2.5mmの試験片Bを得た。試験片Bの形状は図5の通りであり、斜線部がクイックレジンで試験片B部品を接合した部分である。「210X型曲げ試験機」(株式会社インテスコ製)を使用してJIS T6501(2019)に準拠した方法で、試験片Bの曲げ強さ及び曲げ弾性率を測定した。
結果を表1に示す。
<試験片Cによる引張試験>
光造形により得た試験片Cの部品2個の接合部表面を#400の紙やすりで薄く削り新鮮面を出した後、「Jet Blast II」(株式会社モリタ製)を使用して圧力0.2MPaの条件でアルミナ粉末を接合部表面に噴射し、サンドブラスト処理を施した。次いでそれぞれの接合部が向き合うように、型(JIS K7162-2で規定した形状の試験片が隙間なく入る形状)の中にそれぞれ入れた。接合部間に生じた隙間に義歯修理用常温重合レジンであるクイックレジン(株式会社松風製)の粉成分と液成分を筆積み法にて充填した後、40℃、0.2MPaの条件下で硬化させた。次いで型枠から取り出し余分なレジン重合物を#400の紙やすりで削り取り、の試験片Cを得た。試験片Cの形状は図6の通りであり、斜線部がクイックレジンで試験片C部品を接合した部分である。「210X型引張試験機」(株式会社インテスコ製)を使用して、引張速度2.0mm/分、つかみ間距離50mmにて、試験片Cの引張強さを測定した。
結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、義歯修理用材料としてクイックレジンの代わりにユニファストII(ジーシー株式会社製)を使用したこと及び<試験片Bによる曲げ強さ及び曲げ弾性率の試験>を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、各試験を実施した。なお、ユニファストIIは粉成分と液成分とからなり、粉成分はメタクリル酸エステル重合体と重合触媒で構成されていて、液成分はメチルメタクリレートで構成されている。
結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、「Jet Blast II」(株式会社モリタ製)を使用してサンドブラスト処理を施す操作を行わなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、各試験を実施した。
結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例2において、「Jet Blast II」(株式会社モリタ製)を使用してサンドブラスト処理を施す操作を行わなかったこと以外は実施例2と同様の操作を行い、各試験を実施した。
結果を表1に示す。
〔参考例1〕
比較例2において、レジン1を用いて光造形法により試験片Aの部品形状、及び試験片Cの部品形状の硬化物を得る代わりに、従来法の義歯床用レジンであるアクロン(ジーシー株式会社製)を使用し、アクロンの硬化手順に従って加熱重合法により試験片Aの部品形状、及び試験片Cの部品形状の硬化物を得たこと以外は比較例2と同様の操作を行い、各試験を実施した。なお、アクロンは粉成分と液成分とからなり、粉成分はメタクリル酸エステル重合体と重合触媒で構成されていて、液成分はメチルメタクリレートで構成されている。
結果を表1に示す。
〔参考例2〕
実施例2において、レジン1を用いて、光造形法により試験片Aの部品形状、及び試験片Cの部品形状の硬化物を得る代わりに、従来法の義歯床用レジンであるアクロン(ジーシー株式会社製)を使用し、アクロンの硬化手順に従って加熱重合法により試験片Aの部品形状、及び試験片Cの部品形状の硬化物を得たこと以外は実施例2と同様の操作を行い、各試験を実施した。
結果を表1に示す。
実施例1と比較例1との試験結果の比較、及び実施例2と比較例2との試験結果の比較から、接合部表面をサンドブラストにより粗化することで曲げ強さ及び引張強さが大きく改善されることが分かった。これにより、常温重合レジンで3Dプリント造形物を修理することが可能となった。
また、参考例1及び参考例2においても同様の試験を実施したが、サンドブラスト処理による接着性向上効果はわずかで、実施例でみられたほどの接着性向上効果はなかった。
以上の点から、実施例1及び実施例2の結果から、硬化性材料である常温重合レジンを用いて光造形物を修理、形状修正等の加工をする際に加工した部位の破損及び脱離が抑制可能であることが推測される。

Claims (9)

  1. 光硬化性材料を光造形することにより得られた光造形物の加工面を粗化処理し、粗化処理された前記加工面に硬化性材料を付与して前記光造形物を加工する、光造形物の加工方法。
  2. 粗化処理される前記光造形物は破損した光造形物であり、かつ前記加工面は破損した面であり、
    前記光造形物の加工では、粗化処理された前記加工面に前記硬化性材料を付与して前記光造形物を修理する、請求項1に記載の光造形物の加工方法。
  3. 粗化処理される前記光造形物は形状修正の対象である光造形物であり、かつ前記加工面は形状修正の対象となる面であり、
    前記光造形物の加工では、粗化処理された前記加工面に前記硬化性材料を付与して前記光造形物の形状を修正する、請求項1に記載の光造形物の加工方法。
  4. 前記粗化処理がサンドブラストである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の光造形物の加工方法。
  5. 前記硬化性材料が常温重合レジンである、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光造形物の加工方法。
  6. 前記光造形物が歯科用物品である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の光造形物の加工方法。
  7. 前記光造形物の加工物が義歯である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の光造形物の加工方法。
  8. 光硬化性材料を光造形することにより得られ、加工面が粗化処理された光造形物と、
    粗化処理された前記加工面に付与された硬化性材料が硬化してなる硬化部と、を備える光造形物の加工物。
  9. 歯科用製品である、請求項8に記載の光造形物の加工物。
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