JP2023146821A - 光造形用硬化性組成物、歯科用製品及び義歯床 - Google Patents

光造形用硬化性組成物、歯科用製品及び義歯床 Download PDF

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Abstract

【課題】靭性に優れる硬化物を作製可能な光造形用硬化性組成物を提供する。【解決手段】カルボキシ基及び重合性基を含み、かつ、分子量が200以下であるモノマー(A)と、カルボキシ基を含まず、かつ重合性基を含むモノマー(B)と、光重合開始剤と、を含有する光造形用硬化性組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、光造形用硬化性組成物、歯科用製品及び義歯床に関する。
従来、樹脂製の歯科用製品のうち、義歯床は、まず、歯科的な手法により、患者の口腔内の形状に適合した石膏型を作製し、次いでこの石膏型中に硬化性樹脂を流し込み、次いで硬化性樹脂を硬化させる方法によって作製されていた。
近年では、患者の来院の回数を減らし効率的に義歯床を製造する方法として、上述の石膏型を用いる方法に代えて、患者の口腔内の形状を三次元計測によって測定し、測定結果に基づいて3Dプリンタを用いた光造形により義歯床を製造する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6-78937号公報
上述のような義歯床をはじめとする様々な歯科用製品が、光造形により製造されるようになってきている。これら光造形により製造される歯科用製品には、靭性の点で改善の余地があった。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、靭性に優れる硬化物を作製可能な光造形用硬化性組成物、並びにこの硬化物を含む歯科用製品及び義歯床を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> カルボキシ基及び重合性基を含み、かつ、分子量が200以下であるモノマー(A)と、カルボキシ基を含まず、かつ重合性基を含むモノマー(B)と、光重合開始剤と、を含有する光造形用硬化性組成物。
<2> 前記モノマー(A)の分子量が100未満である、<1>に記載の光造形用硬化性組成物
<3> 前記モノマー(A)が、カルボキシ基を含む(メタ)アクリルモノマーである、<1>又は<2>に記載の光造形用硬化性組成物。
<4> 前記モノマー(A)における前記(メタ)アクリルモノマーが、(メタ)アクリル酸である、<3>に記載の光造形用硬化性組成物。
<5> 前記モノマー(B)が、カルボキシ基を含まない(メタ)アクリルモノマーである、<1>~<4>のいずれか1つに記載の光造形用硬化性組成物。
<6> 前記モノマー(B)が、ウレタン結合及び環状構造からなる群から選択される1つ以上と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基と、を含む(メタ)アクリルモノマー(B-a)を含有する、<4>に記載の光造形用硬化性組成物。
<7> 前記モノマー(B)が、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まず、かつ1つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含む(メタ)アクリルモノマー(B-b)を含有する、<5>又は<6>に記載の光造形用硬化性組成物。
<8> 前記モノマー(B)が、ウレタン結合及び環状構造からなる群から選択される1つ以上と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基と、を含む(メタ)アクリルモノマー(B-a)、並びに、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まず、かつ1つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含む(メタ)アクリルモノマー(B-b)からなる群から選択される1つ以上の(メタ)アクリルモノマーであり、
前記モノマー(A)と、前記(メタ)アクリルモノマー(B-a)と、前記(メタ)アクリルモノマー(B-b)と、の合計含有量が、光造形用硬化性組成物に含まれる全ての(メタ)アクリルモノマーの含有量に対し、90質量%以上である、<3>又は<4>に記載の光造形用硬化性組成物。
<9> 前記モノマー(A)の含有量が、前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)の合計含有量に対し、1.0質量%~30質量%である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の光造形用硬化性組成物。
<10> 前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)の合計含有量が、光造形用硬化性組成物の全質量に対し、90質量%以上である、<1>~<9>のいずれか1つに記載の光造形用硬化性組成物。
<11> 光造形による、歯科用製品の作製に用いられる、<1>~<10>のいずれか1つに記載の光造形用硬化性組成物。
<12> 光造形による、義歯床の作製に用いられる、<1>~<10>のいずれか1つに記載の光造形用硬化性組成物。
<13> <1>~<11>のいずれか1つに記載の光造形用硬化性組成物の硬化物を含む、歯科用製品。
<14> <1>~<10>及び<12>のいずれか1つに記載の光造形用硬化性組成物の硬化物を含む、義歯床。
本開示の一態様によれば、靭性に優れる硬化物を作製可能な光造形用硬化性組成物、並びにこの硬化物を含む歯科用製品及び義歯床が提供される。
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「光」は、紫外線、可視光線等の活性エネルギー線を包含する概念である。
本開示において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ」はアクリロイルオキシ又はメタクリロイルオキシを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル又はメタクリルを意味する。
本開示において、「ウレタン結合」は-NHC(=O)O-結合を指す。
本開示において、「重合性基」は、重合反応に関与する基を示す。
〔光造形用硬化性組成物〕
本開示の光造形用硬化性組成物は、カルボキシ基及び重合性基を含み、かつ、分子量が200以下であるモノマー(A)と、カルボキシ基を含まず、かつ重合性基を含むモノマー(B)と、光重合開始剤と、を含有する。
本開示の光造形用硬化性組成物は、モノマー(A)及びモノマー(B)を含有することで靭性に優れる硬化物を作製可能である。
<用途>
本開示の光造形用硬化性組成物の用途は特に制限はない。
本開示の光造形用硬化性組成物は、硬化物の靭性の効果がより効果的に発揮される観点から、光造形による、歯科用製品の作製に用いられることが好ましい。
歯科用製品としては、義歯(即ち人工歯)、義歯床、歯科用補綴物、口腔内で使用する医療器具、歯科用模型、消失鋳造用模型、等が挙げられる。
歯科用補綴物としては、インレー、クラウン、ブリッジ、テンポラリークラウン、テンポラリーブリッジ等が挙げられる。
口腔内で使用する医療器具としては、マウスピース、マウスガード、歯列矯正器具、咬合用スプリント、印象採得用トレイ、手術用ガイド等が挙げられる。
歯科用模型としては、歯顎モデル等が挙げられる。
本開示の光造形用硬化性組成物は、歯科用製品以外の工業製品の作製にも用いることもでき、例えば、成形用の金型、自動車、家電、若しくは精密機器における筐体若しくは部品、又は、これらの筐体若しくは部品のプロトタイピングに用いることができる。
なかでも、本開示の光造形用硬化性組成物は、光造形による、義歯床又はマウスガードの作製に用いられることが好ましく、義歯床の作製に用いられることがより好ましい。
<曲げ強さ>
本開示の光造形用硬化性組成物は、後述する試験片P1を作製した場合に、JIS T6501:2019に準拠して測定される試験片P1の曲げ強さは、50MPa~150MPaであることが好ましく、80MPa~140MPaであることがより好ましく、100MPa~130MPaであることがさらに好ましく、102MPa~120MPaであることが特に好ましい。
試験片P1の曲げ強さが50MPa~150MPaである場合には、得られる硬化物の割れにくさがより向上する。例えば、本開示の光造形用硬化性組成物の硬化物として、口腔内で使用する医療器具(例えば、義歯床、マウスガード、パーシャルデンチャー)の少なくとも一部分を製造した場合には、医療器具を口腔内で使用する際の割れにくさにより優れる。
試験片P1のサイズは、JIS T6501(2019)の曲げ強さの試験に規定されているサイズと同様である。具体的に、試験片P1は、長さ64mm、幅10mm、厚さ3.3mmの直方体形状の試験片である。
試験片P1は、本開示の光造形用硬化性組成物に対し波長405nmの可視光を照射量120mJ/cmにて照射して厚さ100μmの硬化層P1を形成し、硬化層P1を厚さ方向に積層させることにより、長さ65mm、幅11mm、厚さ4mmの直方体形状の造形物P1を形成し、造形物P1に対し、波長365nmの紫外線を照射量10J/cmにて照射する条件の光造形を施し、次いで、加工して作製される。
造形物P1に対し光造形を施した後の加工方法は、特に限定されず、機械加工であってもよい。
試験片P1は、例えば、後述するDLP方式の光造形の一例に従って作製できる。
ここで、本開示の光造形用硬化性組成物を用いて硬化物を製造する際の製造条件は、必ずしも、試験片P1の作製条件と同じである必要はない。硬化物の製造条件と試験片P1の作製条件とが異なる場合であっても、試験片P1の曲げ強さと、硬化物の曲げ強さと、の間には相関がある。
即ち、試験片P1の曲げ強さは、本開示の光造形用硬化性組成物を用いて製造される硬化物の曲げ強度の指標である。
<曲げ弾性率>
本開示の光造形用硬化性組成物は、後述する試験片P2を作製した場合に、JIS T6501(2019)に準拠して測定される試験片P2の曲げ弾性率が、1500MPa~3000MPaであることが好ましく、2000MPa~3000MPaであることがより好ましく、2300MPa~3000MPaであることがさらに好ましく、2500MPa~3000MPaであることが特に好ましい。
試験片P2の曲げ弾性率が1500MPa~3000MPaである場合には、得られる硬化物の割れにくさがより向上する。例えば、本開示の光造形用硬化性組成物の硬化物として、口腔内で使用する医療器具(例えば、義歯床、マウスガード、パーシャルデンチャー)の少なくとも一部分を製造した場合には、上記医療器具を口腔内で使用する際の割れにくさにより優れる。
試験片P2のサイズは、JIS T6501(2019)の曲げ弾性率の試験に規定されているサイズと同様である。試験片P2のサイズは、試験片P1のサイズと同様である。
試験片P2は、試験片P1と同様にして作製される。
試験片P2は、例えば、後述するDLP方式の光造形の一例に従って作製できる。
ここで、本開示の光造形用硬化性組成物を用いて硬化物を製造する際の製造条件は、必ずしも、試験片P2の作製条件と同じである必要はない。硬化物の製造条件と試験片P2の作製条件とが異なる場合であっても、試験片P2の曲げ弾性率と、硬化物の曲げ弾性率と、の間には相関がある。
即ち、試験片P2の曲げ弾性率は、本開示の光造形用硬化性組成物を用いて製造される硬化物の曲げ弾性率の指標である。
<全破壊仕事>
本開示の光造形用硬化性組成物は、後述する試験片P3を作製した場合に、JIS T6501(2019)に準拠して測定される試験片P3の全破壊仕事は、50J/m~1800J/mであることが好ましく、80J/m~1800J/mであることがより好ましく、100J/m~1800J/mであることがさらに好ましく、120J/m~1800J/mであることが特に好ましい。
試験片P3の全破壊仕事が50J/m~1800J/mである場合には、得られる硬化物の割れにくさがより向上する。例えば、本開示の光造形用硬化性組成物の硬化物として、口腔内で使用する医療器具(例えば、義歯床、マウスガード、パーシャルデンチャー)の少なくとも一部分を製造した場合には、医療器具の割れにくさがより向上する。
試験片P3のサイズは、JIS T6501(2019)の全破壊仕事の試験に規定されているサイズと同様である。具体的に、試験片P3は、長さ39mm、高さ8.0mm、幅4.0mmの直方体形状で、上面の両端からの中心に3mmの切込みを入れ、その切込み部の底に深さ100~400mmのノッチを入れた試験片である。
試験片P3は、本開示の光造形用硬化性組成物に対し波長405nmの可視光を照射量120mJ/cmにて照射して厚さ100μmの硬化層P3を形成し、硬化層P3を厚さ方向に積層させることにより、長さ40mm、高さ9mm、幅mmの直方体形状の造形物P3を形成し、造形物P3に対し、波長365nmの紫外線を照射量10J/cmにて照射する条件の光造形を施し、次いで、加工して作製される。
造形物P3に対し光造形を施した後の加工方法は、特に限定されず、機械加工であってもよい。
試験片P3は、例えば、後述するDLP方式の光造形の一例に従って作製できる。
ここで、本開示の光造形用硬化性組成物を用いて硬化物を製造する際の製造条件は、必ずしも、試験片P3の作製条件と同じである必要はない。硬化物の製造条件と試験片P3の作製条件とが異なる場合であっても、試験片P3の全破壊仕事と、硬化物の全破壊仕事と、の間には相関がある。
即ち、試験片P3の全破壊仕事は、本開示の光造形用硬化性組成物を用いて製造される硬化物の全破壊仕事の指標である。
<粘度>
本開示の光造形用硬化性組成物の粘度は、好ましくは5mPa・s~6000mPa・s、より好ましくは10mPa・s~5000mPa・s、さらに好ましくは20mPa・s~5000mPa・s、特に好ましくは100mPa・s~4500mPa・sである。
光造形用硬化性組成物の粘度が5mPa・s~6000mPa・sの範囲内である場合には、硬化物(特に、光造形物)を製造する際の光造形用硬化性組成物の取り扱い性に優れる。
光造形用硬化性組成物の粘度は、E型粘度計により25℃及び50rpmの条件で測定される。rpmとは、revolutions per minute(回転毎分)を示す。
光造形用硬化性組成物の粘度を上述した範囲内に調整する方法としては、例えば、粘度が比較的高い後述する(メタ)アクリルモノマー(B-a)と、粘度が比較的低い後述する(メタ)アクリルモノマー(B-b)との配合割合を調整する方法等が挙げられる。
<モノマー(A)>
本開示の光造形用硬化性組成物は、カルボキシ基及び重合性基を含み、かつ、分子量が200以下であるモノマー(A)を含有する。
モノマー(A)は、少なくとも1つのカルボキシ基及び少なくとも1つの重合性基を含み、分子量が200以下である化合物である。
本開示において、重合性基としては、ビニル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基、ビニルフェニル基、ノルボルネニル基等が挙げられる。モノマー(A)に含まれる重合性基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
なかでも、モノマー(A)に含まれる重合性基は、(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましい。つまり、モノマー(A)は、カルボキシ基を含む(メタ)アクリルモノマーであることが好ましい。
モノマー(A)の分子量は、100未満であることが好ましい。
モノマー(A)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸等の炭素数3~10の不飽和カルボン酸が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸が好ましく、硬化物の曲げ強さ、曲げ弾性率及び靭性の観点から、メタクリル酸がより好ましい。
モノマー(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノマー(A)の含有量は、モノマー(A)及び前記モノマー(B)の合計含有量に対し、1.0質量%~30質量%であることが好ましく、3.0質量%~20質量%であることがより好ましく、4.0質量%~15質量%であることがさらに好ましい。
<モノマー(B)>
本開示の光造形用硬化性組成物は、カルボキシ基を含まず、かつ重合性基を含むモノマー(B)を含有する。
モノマー(B)は、カルボキシ基を含まず、かつ少なくとも1つの重合性基を含む化合物である。モノマー(B)としては、エチレン性二重結合を含む化合物が挙げられ、例えば、(メタ)アクリルモノマー、スチレン、スチレン誘導体、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
モノマー(B)に含まれる重合性基の具体例としては、前述の重合性基が挙げられる。モノマー(B)に含まれる重合性基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
モノマー(B)は、カルボキシ基を含まない(メタ)アクリルモノマーであることが好ましい。
モノマー(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノマー(B)は、
ウレタン結合及び環状構造からなる群から選択される1つ以上と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基と、を含む(メタ)アクリルモノマー(B-a)、並びに、
ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まず、かつ1つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含む(メタ)アクリルモノマー(B-b)
からなる群から選択される1つ以上の(メタ)アクリルモノマーを含むことが好ましい。
環状構造としては、芳香族構造、脂環式構造等が挙げられる。環状構造は、ビスフェノールA構造等のように、芳香族構造と他の連結基との組み合わせも包含する。
[(メタ)アクリルモノマー(B-a)]
(メタ)アクリルモノマー(B-a)は、ウレタン結合及び環状構造からなる群から選択される1つ以上と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基とを含む。
(メタ)アクリルモノマー(B-a)は、ウレタン結合を1つ以上含んでいてもよく、環状構造を1つ以上含んでいてもよく、ウレタン結合及び環状構造をそれぞれ独立に1つ以上含んでいてもよい。
(メタ)アクリルモノマー(B-a)は、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基以外の(メタ)アクリロイルオキシ基を含まない。
(メタ)アクリルモノマー(B-a)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリルモノマー(B-a)は、
ウレタン結合と2つの(メタ)アクリロイルオキシ基とを含む(メタ)アクリルモノマー(a1)、及び
環状構造と2つの(メタ)アクリロイルオキシ基とを含み、ウレタン結合を含まない(メタ)アクリルモノマー(a2)
のうちの少なくとも1つを含有することが好ましく、
(メタ)アクリルモノマー(a1)及び(メタ)アクリルモノマー(a2)を含有することがより好ましい。
((メタ)アクリルモノマー(a1))
(メタ)アクリルモノマー(a1)は、ウレタン結合と2つの(メタ)アクリロイルオキシ基とを含む。(メタ)アクリルモノマー(a1)は、環状構造を含んでもよいし、環状構造を含まなくてもよい。
ウレタン結合の数は、得られる硬化物の靭性を向上させる観点から、1~5が好ましく、2~4がより好ましく、2がさらに好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a1)は、好ましくは、下記式(1)で表される化合物を含む。
この場合、下記式(1)で表される化合物の含有量は、(メタ)アクリルモノマー(a1)の全質量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。下記式(1)で表される化合物の含有量は、(メタ)アクリルモノマー(a1)の全質量に対して、100質量%以下であってもよい。
式(1)中、Rは、2価の鎖状炭化水素基、芳香族構造を含む2価の炭化水素基、又は脂環式構造を含む2価の炭化水素基であり、
及びRは、それぞれ独立に、置換基を含んでもよい2価の鎖状炭化水素基であり、
及びRは、それぞれ独立に、メチル基又は水素原子である。
式(1)中、Rとしては、芳香族構造を含む2価の炭化水素基、又は脂環式構造を含む2価の炭化水素基であることが好ましい。
にこれらの環構造を含むことにより、光造形用硬化性組成物の粘度がより抑制される。
式(1)中のRにおいて、2価の鎖状炭化水素基の炭素数としては、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、2~6がさらに好ましい。
における2価の鎖状炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、飽和でも不飽和でもよく、置換基を含んでもよい。
における2価の鎖状炭化水素基として、好ましくは炭素数1~20の直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、より好ましくは炭素数1~12の直鎖又は分岐鎖アルキレン基であり、さらに好ましくは炭素数1~10の直鎖又は分岐鎖アルキレン基である。
上記炭素数1~20の直鎖又は分岐鎖アルキレン基の具体例として、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、ヘプタンジイル基、オクタンジイル基、ノナンジイル基、デカンジイル基、ウンデカンジイル基、ドデカンジイル基、トリデカンジイル基、テトラデカンジイル基、ペンタデカンジイル基、オクタデカンジイル基、エイコシレン基、ビニレン基、プロペンジイル基、ブテンジイル基、ペンテンジイル基、エチニレン基、プロピニレン、2,4,4-トリメチルヘキシレン基が挙げられる。これらのうち、2,4,4-トリメチルヘキシレン基が好ましい。
式(1)中のRにおいて、芳香族構造を含む2価の炭化水素基の炭素数としては、6~20が好ましく、6~12がより好ましく、6~10がさらに好ましい。
における芳香族構造を含む2価の炭化水素基は、置換基を含んでもよい。
芳香族構造を含む2価の炭化水素基の例としては、アリーレン基、アルキルアリーレン基、アルキレンアリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、及びアリーレンアルキレンアリーレン基を挙げることができる。
芳香族構造を含む2価の炭化水素基としては、アルキレンアリーレン基又はアルキレンアリーレンアルキレン基であることが好ましい。これにより、光造形用硬化性組成物の粘度がより抑制される。
アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アルキレンアリーレンアルキレン基、アルキルアリーレン基及びアリーレンアルキレンアリーレン基の具体例としては、1,3-又は1,4-フェニレン基、1,3-又は1,4-フェニレンジメチレン基、及び1,3-又は1,4-フェニレンジエチレン基が挙げられる。
式(1)のRにおいて、脂環式構造を含む2価の炭化水素基の炭素数としては、3~20が好ましく、6~12がより好ましく、6~8がさらに好ましい。
脂環式構造としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロヘキセニレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、シクロデシレン基、シクロウンデシレン基、シクロドデシレン基、シクロトリデシレン基、シクロテトラデシレン基、シクロペンタデシレン基、シクロオクタデシレン基、シクロイコシレン基、ビシクロへキシレン基、ノルボルニレン基、イソボルニレン基、アダマンチレン基を挙げることができる。これらのうち、ノルボルニレン基、イソボルニレン基が好ましい。
が脂環式構造を含む2価の炭化水素基である場合、特に好適な例は以下の通りである。*は結合位置を表す。

式(1)中のRにおける脂環式構造を含む2価の炭化水素基は、置換基を含んでもよい。置換基としては、炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が挙げられる。
式(1)中のRにおいて、脂環式構造を含む2価の炭化水素基としては、
同じでも異なっていてもよい2つのアルキレン基(例えば、炭素数1~3のアルキレン基)それぞれの一方の結合手を介して脂環式構造と結合した構造を含む2価の炭化水素基(つまり、2つのアルキレン基の間に脂環式構造が結合した構造を含む)、又は、
1つのアルキレン基(例えば、炭素数1~3のアルキレン基)の一方の結合手を介して脂環式構造と結合した構造を含む2価の炭化水素基
が好ましく、
2つのメチレン基の間に脂環式構造が配置された構造を含む2価の炭化水素基、又は、
1つのメチレン基と脂環式構造とが結合した構造を含む2価の炭化水素基がさらに好ましい。
式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を含んでもよい2価の鎖状炭化水素基である。
及びRとして好適な2価の鎖状炭化水素基は、Rとして好適な2価の鎖状炭化水素基と同様である。
ただし、R及びRにおける、置換基を含んでもよい2価の鎖状炭化水素基の炭素数は、2~6であることが好ましく、2~3であることがより好ましい。
及びRが、置換基を含む2価の鎖状炭化水素基である場合の上記置換基としては、例えば;
メチル基、エチル基などの炭素数1~6のアルキル基;
シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3~6のシクロアルキル基;
トリル基、キシリル基、クミル基、スチリル基、アルコキシフェニル基(メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基など)などのアリール基;
等が挙げられる。
光造形用硬化性組成物の粘度をより抑制する観点から、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を含まない炭素数2~6(より好ましくは炭素数2~3)の2価の鎖状炭化水素基であることが好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a1)として好適な化合物として、例えば、m-キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシナネート及びイソホロンジイソシアネートからなる群から選択される1つのイソシアネートと、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、及び4-ヒドロキブチルアクリレートからなる群から選択される1つのヒドロキシアクリレートと、の反応物であるウレタンジアクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマー(a1)としては、後述する実施例で使用される2,2,4-トリメチルヘキサメチレンビス(2-カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(以下、「UDMA」ともいう)も挙げられる。
(メタ)アクリルモノマー(a1)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されず、例えば、380~5000であることが好ましく、380~4000であることがより好ましく、380~700であることがさらに好ましく、400~650であることが特に好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a1)は、市販のモノマーから合成してもよい。例えば、ヒドロキシ(メタ)アクリレート2分子と、ジイソシアネート1分子とから(メタ)アクリルモノマー(a1)を合成してもよい。
((メタ)アクリルモノマー(a2))
(メタ)アクリルモノマー(a2)は、環状構造と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基とを含み、ウレタン結合を含まない。
(メタ)アクリルモノマー(a2)に含まれる環状構造における環の数は、1つのみであってもよいし2つ以上であってもよい。
(メタ)アクリルモノマー(a2)に含まれる環状構造は、芳香族構造及び脂環式構造のいずれであっても両方であってもよく、芳香族構造を含むことが好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a2)に含まれる環状構造は、ビスフェノールA構造が特に好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a2)は、エチレンオキシ基(EO)及びプロピレンオキシ基(PO)の少なくとも一方を、合計で1つ以上含んでいてもよい。
(メタ)アクリルモノマー(a2)の分子量は、特に限定されず、400~1000であることが好ましく、400~800であることがより好ましく、400~700であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリルモノマー(a2)としては、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート(EO=2~4mol)、エトキシ化ジアクリレート(EO=2~4mol)、ビスフェノールAジグリシジルジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート(PO=2~4mol)等が挙げられる。
モノマー(B)が(メタ)アクリルモノマー(a1)及び(メタ)アクリルモノマー(a2)を含有する場合、(メタ)アクリルモノマー(a1)と(メタ)アクリルモノマー(a2)との比率((メタ)アクリルモノマー(a1):(メタ)アクリルモノマー(a2))は、2:8~8:2であってもよく、3:7~7:3であってもよく、4:6~6:4であってもよい。
((メタ)アクリルモノマー(B-b))
(メタ)アクリルモノマー(B-b)は、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まず、かつ1つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含む。
(メタ)アクリルモノマー(B-b)は、
1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含むモノ(メタ)アクリルモノマー(b1)であってもよいし、
2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含むジ(メタ)アクリルモノマー(b2)であってもよいし、
3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含むポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)であってもよい。
(モノ(メタ)アクリルモノマー(b1))
モノ(メタ)アクリルモノマー(b1)は、1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含み、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まない。
モノ(メタ)アクリルモノマー(b1)の分子量は、特に限定されず、80~600であることが好ましく、100~400であることがより好ましく、100~300であることがさらに好ましい。
モノ(メタ)アクリルモノマー(b1)としては、1つの(メタ)アクリロイルオキシ基及び分岐構造を含むモノ(メタ)アクリルモノマーがより好ましい。
モノ(メタ)アクリルモノマー(b1)としては、メチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(ジ(メタ)アクリルモノマー(b2))
ジ(メタ)アクリルモノマー(b2)は、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基を含み、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まない。
ジ(メタ)アクリルモノマー(b2)の分子量は、特に限定されず、150~400であることが好ましく、170~350であることがより好ましい。
ジ(メタ)アクリルモノマー(b2)としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3))
ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)は、3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含み、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まない。
ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)の分子量は、特に限定されず、5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましく、2500以下であることがさらに好ましい。
ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)の分子量の下限は、3つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含むポリ(メタ)アクリルモノマーである限り、特に制限はない。ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)の分子量の下限は、例えば、200以下であってもよく、250以下であってもよい。
ポリ(メタ)アクリルモノマー(b3)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(EO=3mol)、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(PO=3mol)、プロポキシ化グリセリントリアクリレート(PO=3mol)等が挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリルモノマー(B-b)は、メチル(メタ)アクリレート及びトリエチレングリコールジメタクレートからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。メチル(メタ)アクリレートの粘度及びトリエチレングリコールジメタクレートの粘度は低い。これにより、得られる硬化物の靭性は向上する。
モノマー(B)の含有量は、モノマー(A)及びモノマー(B)の合計含有量に対し、70質量%~99質量%であることが好ましく、80質量%~97質量%であることがより好ましく、85質量%~96質量%であることがさらに好ましい。
本開示の光造形用硬化性組成物が(メタ)アクリルモノマー(B-a)及び(メタ)アクリルモノマー(B-b)の少なくとも一方を含有する場合、モノマー(A)と、前記(メタ)アクリルモノマー(B-a)と、(メタ)アクリルモノマー(B-b)と、の合計含有量は、光造形用硬化性組成物に含まれる全ての(メタ)アクリルモノマーの含有量に対し、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。
モノマー(A)と、前記(メタ)アクリルモノマー(B-a)と、(メタ)アクリルモノマー(B-b)と、の合計含有量の上限は特に限定されず、100質量%以下であればよい。
モノマー(A)及びモノマー(B)の合計含有量は、光造形用硬化性組成物の全質量に対し、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、90質量%以上であることが極めて好ましい。
モノマー(A)及びモノマー(B)の合計含有量の上限は、特に限定されず、100質量%以下であってもよく、99質量%以下であってもよく、95質量%以下であってもよい。
<光重合開始剤>
本開示の光造形用硬化性組成物は、光重合開始剤を含有する。
光重合開始剤は、光を照射することでラジカルを発生するものであれば特に限定されないが、光造形の際に用いる光の波長でラジカルを発生するものであることが好ましい。
光造形の際に用いる光の波長としては、一般的には365nm~500nmが挙げられるが、実用上好ましくは365nm~430nmであり、より好ましくは365nm~420nmである。
光造形の際に用いる光の波長でラジカルを発生する光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、α-アシロキシムエステル系化合物、フェニルグリオキシレート系化合物、ベンジル系化合物、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、有機色素系化合物、鉄-フタロシアニン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、アントラキノン系化合物等が挙げられる。
これらのうち、反応性等の観点から、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物が好ましい。
アルキルフェノン系化合物としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(Omnirad 184:IGM Resins B.V.社製)が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad 819:IGM Resins B.V.社製)、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(Omnirad TPO:IGM Resins B.V.社製)が挙げられる。
本開示の光造形用硬化性組成物は、光重合開始剤を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
本開示の光造形用硬化性組成物中における光重合開始剤の含有量(2種以上である場合には合計含有量)は、光造形用硬化性組成物の全質量に対し、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.2質量%~5質量%であることがより好ましく、0.3質量%~3質量%であることがさらに好ましい。
<その他の成分>
本開示の光造形用硬化性組成物は、必要に応じて、上述した成分以外のその他の成分を1種類以上含有していてもよい。
光造形用硬化性組成物が、その他の成分を含有する場合、モノマー(A)、モノマー(B)及び光重合開始剤の合計含有量は、光造形用硬化性組成物の全質量に対し、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましく、90質量%以上であることが極めて好ましい。
光造形用硬化性組成物が、その他の成分を含有する場合、モノマー(A)、モノマー(B)及び光重合開始剤の合計含有量は、光造形用硬化性組成物の全質量に対し、99質量%以下であってもよい。
その他の成分としては、例えば、顔料、染料等の色材、シランカップリング剤(例えば3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)等のカップリング剤、ゴム剤、イオントラップ剤、イオン交換剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤等の添加剤、熱重合開始剤等が挙げられる。
本開示の光造形用硬化性組成物が熱重合開始剤を含有する場合には、光硬化と熱硬化との併用が可能となる。熱重合開始剤としては、例えば、熱ラジカル発生剤、アミン化合物などが挙げられる。
その他の成分としては、無機フィラーも挙げられる。
硬化物の造形精度をより向上させる観点から、本開示の光造形用硬化性組成物は、無機フィラー(例えば、シリカ、バリウムボロシリケートガラス、等。以下同じ。)を含有しないか、又は、無機フィラーを含有する場合には、光造形用硬化性組成物の全質量に対する無機フィラーの含有量が30質量%以下(より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下)であることが好ましい。
本開示の光造形用硬化性組成物の調製方法は特に制限されない。
本開示の光造形用硬化性組成物の調製方法としては、例えば、モノマー(A)、モノマー(B)及び光重合開始剤並びに必要に応じその他の成分を混合する方法が挙げられる。
各成分を混合する手段は特に限定されず、例えば、超音波による溶解、双腕式攪拌機、ロール混練機、2軸押出機、ボールミル混練機、及び遊星式撹拌機等の手段が含まれる。
本開示の光造形用硬化性組成物は、各成分を混合した後、フィルタでろ過して不純物を取り除き、さらに真空脱泡処理を施すことによって調製してもよい。
〔歯科用製品〕
本開示の歯科用製品は、上述した本開示の光造形用硬化性組成物の硬化物からなる。
このため、本開示の立体造形物は、靭性に優れる。
本開示の歯科用製品は、義歯床又はマウスガードとして用いられることが好ましく、義歯床として用いられることがより好ましい。
本開示の歯科用製品は、光造形による硬化物(即ち、光造形物)であることが好ましい。光造形については、後述する。
<光造形>
本開示の光造形用硬化性組成物は、光造形用である。
本開示の光造形用硬化性組成物は、3Dプリンタを用いた造形方法に好適に用いることができる。
本開示において、「光造形」は、3Dプリンタを用いた三次元造形方法のうちの1種である。
<3Dプリンタ>
光造形の方式としては、SLA(Stereo Lithography Apparatus)方式、DLP(Digital Light Processing)方式、インクジェット方式などが挙げられる。
本開示の光造形用硬化性組成物は、SLA方式又はDLP方式の光造形に特に好適である。
SLA方式としては、スポット状の紫外線レーザー光を光造形用硬化性組成物に照射することにより立体造形物を得る方式が挙げられる。
SLA方式によって歯科用製品等を作製する場合、例えば、本開示の光造形用硬化性組成物を容器に貯留し、光造形用硬化性組成物の液面に所望のパターンが得られるようにスポット状の紫外線レーザー光を選択的に照射して光造形用硬化性組成物を硬化させ、所望の厚みの硬化層を造形テーブル上に形成し、次いで、造形テーブルを上昇させ、硬化層の上に1層分の液状光造形用硬化性組成物を供給し、同様に硬化させ、連続した硬化層を得る積層操作を繰り返せばよい。これにより、歯科用製品等を作製することができる。
DLP方式としては、面状の光を光造形用硬化性組成物に照射することにより立体造形物を得る方式が挙げられる。
DLP方式によって立体造形物を得る方法については、例えば、特許第5111880号公報及び特許第5235056号公報の記載を適宜参照することができる。
DLP方式によって歯科用製品等を作製する場合、例えば、光源として高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプなどのレーザー光以外の光を発射するランプ、LEDなどを用い、光源と光造形用硬化性組成物の造形面との間に、複数のデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクを配置し、前記面状描画マスクを介して光造形用硬化性組成物の造形面に光を照射して所定の形状パターンを有する硬化層を順次積層させればよい。これにより、歯科用製品等を作製することができる。
インクジェット方式としては、インクジェットノズルから光造形用硬化性組成物の液滴を基材に連続的に吐出し、基材に付着した液滴に光を照射することにより立体造形物を得る方式が挙げられる。
インクジェット方式によって歯科用製品等を作製する場合、例えば、インクジェットノズル及び光源を備えるヘッドを平面内で走査させつつ、インクジェットノズルから光造形用硬化性組成物を基材に吐出し、かつ吐出された光造形用硬化性組成物に光を照射して硬化層を形成し、これらの操作を繰り返して、硬化層を順次積層させればよい。これにより、歯科用製品等を作製することができる。
以下、本開示の実施形態を実施例によりさらに具体的に説明するが、本実施形態はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<光造形用硬化性組成物の調製、及びその硬化物の作製>
メタクリル酸(5.0質量部)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(5.1質量部)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(50.3質量部)、UDMA(39.6質量部)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド(1.7質量部)、及び顔料(0.3質量部)をフラスコ中に装入し、遮光下で撹拌し均一化して、光造形用硬化性組成物を得た。
次に、光造形型3Dプリンタである「カーラプリント4.0」(クルツァージャパン株式会社製)にて、上記で調製した光造形用硬化性組成物を使用し、光の波長405nm、積層幅100μm、一層当たりの積算光量が120mJ/cmの条件で造形し、造形物を得た。得られた造形物のサイズは、長さ65mm、幅11mm、厚さ4mmであった。
得られた造形物をイソプロピルアルコールで洗浄後、光重合器である「ハイライトパワー3D」(クルツァージャパン株式会社製)を使用して、グリセリンに浸漬させた状態で光の波長365nm、積算光量が10J/cmの条件で、表面と裏面それぞれを後硬化し、硬化物を得た。
<曲げ強さ及び曲げ弾性率の試験>
光造形により得た上記硬化物をJIS T6501(2019)の曲げ強さ及び曲げ弾性率の試験で規定するサイズ(長さ64mm、幅10mm、厚さ3.3mm)に加工し、「210X型曲げ試験機」(株式会社インテスコ製)を使用してJIS T6501(2019)に準拠した方法で、硬化物の曲げ強さ及び曲げ弾性率を測定した。
結果を表1に示す。
<曲げ試験による破壊靭性試験>
光造形により得た上記硬化物をJIS T6501(2019)の曲げ試験による破壊靭性試験で規定するサイズ(長さ39mm、高さ8.0mm、幅4.0mm、切込み及びノッチ入り)に加工し、「210X型曲げ試験機」(株式会社インテスコ製)を使用してJIS T6501(2012)に準拠して曲げ試験による破壊靭性試験を行い、硬化物の全破壊仕事を測定した。
結果を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1において、光造形用硬化性組成物を調製する際にメタクリル酸(10.0質量部)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(4.9質量部)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(47.6質量部)、UDMA(37.5質量部)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド(1.7質量部)、及び、顔料(0.3質量部)をフラスコ中に装入し、遮光下で撹拌し均一化し、光造形用硬化性組成物を得たこと以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化物を得て、各試験を実施した。
結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例2において光造形用硬化性組成物を調製する際に、メタクリル酸(10.0質量部)をアクリル酸(10.0質量部)に変更したこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、硬化物を得て、各試験を実施した。
結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において光造形用硬化性組成物を調製する際に、メタクリル酸は使用せず、トリメチロールプロパントリメタクリレート(5.4質量部)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(52.9質量部)、UDMA(41.7質量部)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド(1.7質量部)、及び、顔料(0.3質量部)をフラスコ中に装入し、遮光下で撹拌し均一化し、光造形用硬化性組成物を得たこと以外は実施例1と同様の操作を行い、硬化物を得て、各試験を実施した。
結果を表1に示す。
比較例1の光造形用硬化性組成物は、モノマー(A)を含有していなかった。比較例1の硬化物の曲げ強さは100.3MPa、曲げ弾性率は2441MPa、全破壊仕事は102J/mであった。
一方、実施例1~実施例3の光造形用硬化性組成物は、モノマー(A)及びモノマー(B)を含有していた。実施例1~実施例3の硬化物において、曲げ強さは、比較例1よりも高い105.1MPa以上であり、曲げ弾性率は、比較例1よりも高い2602MPa以上であり、全破壊仕事は、比較例1よりも高い123J/m以上であった。これにより、実施例1~実施例3の光造形用硬化性組成物から靭性に優れる硬化物が得られることがわかった。

Claims (14)

  1. カルボキシ基及び重合性基を含み、かつ、分子量が200以下であるモノマー(A)と、カルボキシ基を含まず、かつ重合性基を含むモノマー(B)と、光重合開始剤と、を含有する光造形用硬化性組成物。
  2. 前記モノマー(A)の分子量が100未満である、請求項1に記載の光造形用硬化性組成物
  3. 前記モノマー(A)が、カルボキシ基を含む(メタ)アクリルモノマーである、請求項1又は請求項2に記載の光造形用硬化性組成物。
  4. 前記モノマー(A)における前記(メタ)アクリルモノマーが、(メタ)アクリル酸である、請求項3に記載の光造形用硬化性組成物。
  5. 前記モノマー(B)が、カルボキシ基を含まない(メタ)アクリルモノマーである、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光造形用硬化性組成物。
  6. 前記モノマー(B)が、ウレタン結合及び環状構造からなる群から選択される1つ以上と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基と、を含む(メタ)アクリルモノマー(B-a)を含有する、請求項4に記載の光造形用硬化性組成物。
  7. 前記モノマー(B)が、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まず、かつ1つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含む(メタ)アクリルモノマー(B-b)を含有する、請求項5又は請求項6に記載の光造形用硬化性組成物。
  8. 前記モノマー(B)が、ウレタン結合及び環状構造からなる群から選択される1つ以上と、2つの(メタ)アクリロイルオキシ基と、を含む(メタ)アクリルモノマー(B-a)、並びに、ウレタン結合及び環状構造のいずれも含まず、かつ1つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を含む(メタ)アクリルモノマー(B-b)からなる群から選択される1つ以上の(メタ)アクリルモノマーであり、
    前記モノマー(A)と、前記(メタ)アクリルモノマー(B-a)と、前記(メタ)アクリルモノマー(B-b)と、の合計含有量が、光造形用硬化性組成物に含まれる全ての(メタ)アクリルモノマーの含有量に対し、90質量%以上である、請求項3又は請求項4に記載の光造形用硬化性組成物。
  9. 前記モノマー(A)の含有量が、前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)の合計含有量に対し、1.0質量%~30質量%である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の光造形用硬化性組成物。
  10. 前記モノマー(A)及び前記モノマー(B)の合計含有量が、光造形用硬化性組成物の全質量に対し、90質量%以上である、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の光造形用硬化性組成物。
  11. 光造形による、歯科用製品の作製に用いられる、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の光造形用硬化性組成物。
  12. 光造形による、義歯床の作製に用いられる、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の光造形用硬化性組成物。
  13. 請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の光造形用硬化性組成物の硬化物を含む、歯科用製品。
  14. 請求項1~請求項10及び請求項12のいずれか1項に記載の光造形用硬化性組成物の硬化物を含む、義歯床。
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