JP2023145931A - 紙容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子レンジで加熱でき、加熱後に食器として使用可能な紙容器を提供する。【解決手段】シート状のブランクを成型加工することにより形成された紙容器において、ブランク100は、第一紙層11と、第二紙層12と、第一紙層と第二紙層とを接合する第一接合層21と、第二紙層において、第一紙層と対向する面と反対側の面に設けられた、酸素バリア性を有するバリア層32と、第二紙層とバリア層とを接合する第二接合層22とを有する。第一接合層および第二接合層はポリプロピレンからなり、第一紙層および第二紙層において、ポリプロピレンからなる層と接合される面の少なくとも一つに、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体を用いて形成されたアンカーコート層41が設けられている。【選択図】図3
Description
本発明は、紙容器、より詳しくは、電子レンジで加熱した後そのまま食器として利用できる紙容器に関する。
食品容器、あるいは各種工業製品の包装材料として用いられてきたプラスチック製容器について、環境問題等を考慮し、紙製の容器に変更する試みが進んでいる。
特許文献1には、パルプを主成分とし、プレス成型に適した成形加工原紙が開示されており、上記紙製容器の材料として期待できる。
特許文献1には、パルプを主成分とし、プレス成型に適した成形加工原紙が開示されており、上記紙製容器の材料として期待できる。
食品容器として用いられる紙容器には、そのまま電子レンジで加熱できることや、加熱後に容器を食器として内容物を喫食できること等のニーズも存在し、これを満足することで大きく普及し、環境問題の解決に大きく寄与することが期待できる。
発明者らは、このよう紙容器の実現を目標に種々の検討を重ね、本発明を完成させた。
発明者らは、このよう紙容器の実現を目標に種々の検討を重ね、本発明を完成させた。
本発明は、電子レンジで加熱でき、加熱後に食器として使用可能な紙容器を提供することを目的とする。
本発明は、シート状のブランクを成型加工することにより形成された紙容器である。
ブランクは、第一紙層と、第二紙層と、第一紙層と第二紙層とを接合する第一接合層と、第二紙層において、第一紙層と対向する面と反対側の面に設けられた、酸素バリア性を有するバリア層と、第二紙層とバリア層とを接合する第二接合層とを有する。
第一接合層および第二接合層はポリプロピレンからなり、第一紙層および第二紙層において、ポリプロピレンからなる層と接合される面の少なくとも一つに、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体を用いて形成されたアンカーコート層が設けられている。
ブランクは、第一紙層と、第二紙層と、第一紙層と第二紙層とを接合する第一接合層と、第二紙層において、第一紙層と対向する面と反対側の面に設けられた、酸素バリア性を有するバリア層と、第二紙層とバリア層とを接合する第二接合層とを有する。
第一接合層および第二接合層はポリプロピレンからなり、第一紙層および第二紙層において、ポリプロピレンからなる層と接合される面の少なくとも一つに、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体を用いて形成されたアンカーコート層が設けられている。
本発明に係る紙容器は、電子レンジで加熱でき、加熱後に食器として使用できる。
本発明の一実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る紙容器1を示す平面図であり、図2は、図1のI-I線における断面図である。紙容器1は、シート状の1枚のブランクを、圧空成形、真空成型、プレス成型等の方法により成型加工することにより形成されている。
図1は、本実施形態に係る紙容器1を示す平面図であり、図2は、図1のI-I線における断面図である。紙容器1は、シート状の1枚のブランクを、圧空成形、真空成型、プレス成型等の方法により成型加工することにより形成されている。
紙容器1は、底部2と、底部2から立ち上がる側壁部3と、側壁部3の先端3aから底部と略平行に延びるフランジ部4とを有し、上部が開放された形状を有する。側壁部3、およびフランジ部4は、成型加工によりブランクが変形することによって形成されるため、表面に細かい折り目やシワを有することもある。
紙容器1における各部の寸法は、収容する内容物の想定量等に応じて適宜決定でき、特段の制限はない。
フランジ部4は、紙容器1の上部開口をフィルムで封止する際にフィルムが接合される部位であるため、必要とする接合強度等に応じて寸法(幅)を適宜決定できる。
フランジ部4は、紙容器1の上部開口をフィルムで封止する際にフィルムが接合される部位であるため、必要とする接合強度等に応じて寸法(幅)を適宜決定できる。
紙容器1の作製に用いられるブランクの層構成を、図3に示す。
ブランク100は、図3に示すように、第一紙層11および第二紙層12の2つの紙層を有する。
ブランク100は、図3に示すように、第一紙層11および第二紙層12の2つの紙層を有する。
第一紙層11および第二紙層12の材料となる紙としては、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、和紙、模造紙、クラフト紙等の各種の紙を使用できる。ブランク100に設けられる他の層が概ね透明であるため、第一紙層11および第二紙層12は、紙容器1の美観に大きく影響する。このような観点からは、雲龍紙や混抄紙を第一紙層11や第二紙層12に使用することもできる。
第一紙層11および第二紙層12の材料は、同一であってもよいし、異なってもよい。
第一紙層11および第二紙層12の材料は、同一であってもよいし、異なってもよい。
第一紙層11および第二紙層12の坪量は、例えば50g/m2以上400g/m2以下とでき、100g/m2以上200g/m2以下が好ましい。
第一紙層11および第二紙層12の坪量は、同一であってもよいし、異なってもよい。
第一紙層11および第二紙層12の坪量は、同一であってもよいし、異なってもよい。
第一紙層11および第二紙層12のMD方向(Machine Direction)における破断伸びは、少なくとも1.5%以上であり、上記の成型加工でも破断しにくくなっている。破断伸びの上限値については、特段制限はないが、紙という材質の限界も考慮すると、たとえば20%である。
破断伸びは、JIS P 8113:2006にて規定される引張破断伸びに相当する。
第一紙層11および第二紙層12の破断伸びは、同一であってもよいし、異なってもよい。
破断伸びは、JIS P 8113:2006にて規定される引張破断伸びに相当する。
第一紙層11および第二紙層12の破断伸びは、同一であってもよいし、異なってもよい。
第一紙層11と第二紙層12とは、樹脂からなる第一接合層21により接合されている。
ブランク100から形成される紙容器1においては、第一紙層11が外側に位置し、第二紙層12が、上部に開口した面側である内側に位置する。このため、第一紙層11のうち第二紙層12と対向していない面には、紙容器1の外面を構成する保護層31が形成され、第二紙層12のうち第一紙層11と対向していない面には、紙容器1の内面を構成するバリア層32が形成されている。第二紙層12とバリア層32とは、第二接合層22により接合されている。
ブランク100から形成される紙容器1においては、第一紙層11が外側に位置し、第二紙層12が、上部に開口した面側である内側に位置する。このため、第一紙層11のうち第二紙層12と対向していない面には、紙容器1の外面を構成する保護層31が形成され、第二紙層12のうち第一紙層11と対向していない面には、紙容器1の内面を構成するバリア層32が形成されている。第二紙層12とバリア層32とは、第二接合層22により接合されている。
本実施形態において、第一接合層21、第二接合層22、および保護層31は、ポリプロピレン(PP)の単層からなる。
バリア層32は、PPからなる層と、酸素バリア性を発揮する層とを有して構成されている。本実施形態のバリア層は、酸素バリア性を発揮する層としてエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなる層を用い、これをPPの層で挟んだ三層構成を有する。このようなバリア層は、例えば、押出ラミネーションにより作製できる。バリア層の層構成や各層の材質は、これには限られず、適宜設定できる。
バリア層32の厚さを100μm以上とすることで、紙容器1の内面に十分な耐油性を付与し、容器自体の剛性を高めることもできる。
バリア層32は、PPからなる層と、酸素バリア性を発揮する層とを有して構成されている。本実施形態のバリア層は、酸素バリア性を発揮する層としてエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなる層を用い、これをPPの層で挟んだ三層構成を有する。このようなバリア層は、例えば、押出ラミネーションにより作製できる。バリア層の層構成や各層の材質は、これには限られず、適宜設定できる。
バリア層32の厚さを100μm以上とすることで、紙容器1の内面に十分な耐油性を付与し、容器自体の剛性を高めることもできる。
発明者は、レンジ加熱と食器としての使用との両立を実現するため、ブランクの層構成について種々検討した。
まず、レンジ加熱に対応できる耐熱性を付与するために、紙層に設ける保護層およびバリア層にPPを含有させる構成を検討した。その結果、耐熱性は向上したが、成型加工時に紙層の破れが高頻度で発生した。この破れは、紙層を厚くした場合や、MD方向における破断伸びが1.5%以上ある比較的延びやすい紙を紙層として用いた場合でも十分低減できなかった。
まず、レンジ加熱に対応できる耐熱性を付与するために、紙層に設ける保護層およびバリア層にPPを含有させる構成を検討した。その結果、耐熱性は向上したが、成型加工時に紙層の破れが高頻度で発生した。この破れは、紙層を厚くした場合や、MD方向における破断伸びが1.5%以上ある比較的延びやすい紙を紙層として用いた場合でも十分低減できなかった。
そこで、2つの紙層をPPからなる層で接合する構成を検討したところ、紙層の破れを大幅に低減することができた。破れ低減の詳細なメカニズムは不明であるが、成型加工時の加熱により接合層であるPPが軟化し、2つの紙層が面方向に相対移動しやすくなることにより、成型によって生じる歪みの一部を吸収している可能性が考えられた。
しかし、紙層の破れが減少する一方で、作製された紙容器において、PPからなる接合層と紙層との剥離が見られるようになった。さらに検討を進めると、紙層の厚さ方向における両面において表面粗さが異なる場合、相対的に表面粗さが大きい面(粗面)と接合層とが接している際に特に剥離が起こりやすいことが分かった。
発明者は、この知見を踏まえ、紙層とPPの層の間にアンカーコート層を設けることにより、この問題の解決を試みた。その結果、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体を用いて形成したアンカーコート層により上記剥離を効果的に抑制できることを見出した。
本実施形態に係るブランク100においては、上記知見に基づき、第一接合層21と接する第一紙層11および第二紙層12の面に、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体を用いて形成したアンカーコート層41が設けられている。
本実施形態では保護層31および第二接合層22もPPからなるため、第一接合層21と接する第一紙層11および第二紙層12の面の密着性がアンカーコート層41により向上されると、密着性の相対的低下により、保護層31や第二接合層22と紙層との界面において同様の剥離が生じる可能性が考慮される。
発明者は、この可能性も考慮して、これらの層と接する第一紙層11および第二紙層12の面にもアンカーコート層41を設けている。
これにより、ブランク100においては、第一紙層11および第二紙層12の両面にアンカーコート層41が設けられている。その結果、紙層とPP層との密着力が全体的に高められており、層間剥離を抑制しつつ、紙層の破れも低減して成型加工を行える構成を実現している。
発明者は、この可能性も考慮して、これらの層と接する第一紙層11および第二紙層12の面にもアンカーコート層41を設けている。
これにより、ブランク100においては、第一紙層11および第二紙層12の両面にアンカーコート層41が設けられている。その結果、紙層とPP層との密着力が全体的に高められており、層間剥離を抑制しつつ、紙層の破れも低減して成型加工を行える構成を実現している。
紙層とPP層との剥離が生じるか否かは、使用する材料や加工条件により複雑に変化する。したがって、上述したブランク100のように紙層のすべての面にアンカーコート層41を設ける必要は必ずしもなく、少なくとも、紙層の相対的に粗い面とPPの層とが接する部位においてアンカーコート層41が設けられればよい。この場合、他の面には、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体でない材料からなるアンカーコート層が設けられてもよいし、アンカーコート層が設けられなくてもよい。
紙容器1を成型加工する際の条件は適宜設定できる。発明者は、下記条件の圧空成形により本実施形態に係る紙容器を問題なく作製できることを確認している。
加熱温度:70~75℃
加熱時間:6~20秒
圧空圧:0.2~0.55MPa
圧空時間:10~11秒
加熱温度:70~75℃
加熱時間:6~20秒
圧空圧:0.2~0.55MPa
圧空時間:10~11秒
以上説明したように、本実施形態に係る紙容器1は、食品を収容して開口をバリア性フィルムで封止することにより、冷凍およびチルドのいずれの保管形態においても、内容物の劣化を防いで好適に保存できる。
さらに、容器ごと電子レンジに入れて加熱できるため、内容物を別の器に移す必要がなく、加熱後も十分な剛性を保持するため、そのまま内容物を喫食して廃棄でき、皿等を準備したり食後に洗ったりする手間を省くこともできる。
加えて、上記の利点を充分発揮しながらも、プラスチックの使用量が大きく低減できており、環境に与える負荷も非常に小さい。
さらに、容器ごと電子レンジに入れて加熱できるため、内容物を別の器に移す必要がなく、加熱後も十分な剛性を保持するため、そのまま内容物を喫食して廃棄でき、皿等を準備したり食後に洗ったりする手間を省くこともできる。
加えて、上記の利点を充分発揮しながらも、プラスチックの使用量が大きく低減できており、環境に与える負荷も非常に小さい。
本発明の一実施形態について説明したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
例えば、本発明に係る紙容器は、3つ以上の紙層を有してもよい。このような構成でも、アンカーコート層を用いつつポリプロピレンからなる接合層で紙層同士を接合することにより、同様の効果を奏することができる。
また、保護層は、本発明に係る紙容器に必須ではないため、用途等によっては設けられなくてもよい。
1 紙容器
11 第一紙層
12 第二紙層
21 第一接合層
22 第二接合層
32 バリア層
41 アンカーコート層
11 第一紙層
12 第二紙層
21 第一接合層
22 第二接合層
32 バリア層
41 アンカーコート層
Claims (6)
- シート状のブランクを成型加工することにより形成された紙容器であって、
前記ブランクは、
第一紙層と、
第二紙層と、
前記第一紙層と前記第二紙層とを接合する第一接合層と、
前記第二紙層において、前記第一紙層と対向する面と反対側の面に設けられた、酸素バリア性を有するバリア層と、
前記第二紙層と前記バリア層とを接合する第二接合層と、を有し、
前記第一接合層および前記第二接合層はポリプロピレンからなり、
前記第一紙層および前記第二紙層において、前記ポリプロピレンからなる層と接合される面の少なくとも一つに、酸変性ポリプロピレン樹脂水性分散体を用いて形成されたアンカーコート層が設けられている、
紙容器。 - 前記第一紙層または前記第二紙層は、厚さ方向両側の面において表面粗さが異なっており、
前記表面粗さが相対的に大きい粗面に前記アンカーコート層が設けられている、
請求項1に記載の紙容器。 - 前記第一紙層および前記第二紙層において、前記ポリプロピレンからなる層と接合される面のすべてに、前記アンカーコート層が設けられている、
請求項1に記載の紙容器。 - 前記バリア層は、前記酸素バリア性を発揮する層と、ポリプロピレン層とが積層されて構成され、
前記ポリプロピレン層と前記第二接合層とが接合されている、
請求項1に記載の紙容器。 - 前記酸素バリア性を発揮する層がエチレン-ビニルアルコール共重合体を含む、
請求項4に記載の紙容器。 - 前記バリア層の厚さが100μm以上である、
請求項1に記載の紙容器。
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---|---|
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JP2022052852A Pending JP2023145931A (ja) | 2022-03-29 | 2022-03-29 | 紙容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
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2022
- 2022-03-29 JP JP2022052852A patent/JP2023145931A/ja active Pending
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