JP2023142622A - 情報処理装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の節電の設定をある設定に一度に変える場合と比べて、装置の利便性の低下を抑制しつつ、節電の効果を得ることを目的とする。【解決手段】プロセッサは、装置の利用状況に基づいて、当該装置の節電の設定を段階的に変更する。【選択図】図3
Description
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
節電の機能を有する装置が知られている。
特許文献1には、画像形成装置が節電状態に入るイベント、及び、画像形成装置が節電状態から復帰したことを示すイベントを取得し、その取得したイベントの種別、及び、イベントの発生時刻を蓄積し、その蓄積した情報の分析の結果に基づいて、画像形成装置のスリープ状態を制御する装置が記載されている。
本発明の目的は、装置の節電の設定をある設定に一度に変える場合と比べて、装置の利便性の低下を抑制しつつ、節電の効果を得ることにある。
請求項1に係る発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、装置の利用状況に基づいて、前記装置の節電の設定を段階的に変更する、情報処理装置である。
請求項2に係る発明は、前記装置の節電の段階的な設定は、1段目の設定と2段目の設定とを含み、前記1段目の設定と前記2段目の設定は、異なる設定項目に対する設定である、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に係る発明は、前記2段目の設定は、前記1段目の設定よりも高い節電効果が得られる設定である、請求項2に記載の情報処理装置である。
請求項4に係る発明は、前記装置の節電の段階的な設定は、1段目の設定と2段目の設定とを含み、前記プロセッサは、前記装置の節電の設定が前記1段目の設定に変更された後における前記装置の利用状況に基づいて、前記装置の節電の設定を前記2段目の設定に変更する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
請求項5に係る発明は、前記装置の節電の状態として、第1節電状態と、前記第1節電状態よりも復帰までに時間を要する第2節電状態とが定められ、前記プロセッサは、前記装置の節電の設定を段階的に変更する場合、前記第1節電状態に関する前記第1設定を最初に変更する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
請求項6に係る発明は、前記装置の節電の状態として、第1節電状態と第2節電状態とが定められ、前記第2節電状態は、前記第1節電状態よりも高い節電効果が得られ、前記装置の状態が前記第1節電状態に移行する第1時間と、前記装置の状態が前記第1節電状態から前記第2節電状態に移行する第2時間とが定められ、前記プロセッサは、前記1段目の設定では、前記第1時間の長さを変更し、前記2段目の設定では、前記第2時間の長さを変更する、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
請求項7に係る発明は、前記プロセッサは、前記装置が節電の状態から復帰するのに要した復帰時間と復帰時間の目標値との比較結果に応じて、前記第1時間又は前記第2時間の長さを変える、請求項6に記載の情報処理装置である。
請求項8に係る発明は、前記プロセッサは、前記装置の実際の消費電力と消費電力の目標値との比較結果に応じて、前記第1時間又は前記第2時間の長さを変える、請求項6に記載の情報処理装置である。
請求項9に係る発明は、コンピュータが、装置の利用状況に基づいて、前記装置の節電の設定を段階的に変更する、ように動作させるプログラムである。
請求項1-3,9に係る発明によれば、装置の節電の設定をある設定に一度に変える場合と比べて、装置の利便性の低下を抑制しつつ、節電の効果を得ることができる。
請求項4に係る発明によれば、節電の設定が1段目の設定に変更された後における装置の利用状況を節電の設定に反映させることができる。
請求項5に係る発明によれば、第2節電状態に関する第2設定を最初に変更する場合と比較して、装置の利便性の低下を抑制することができる。
請求項6-8に係る発明によれば、節電状態に移行する時間を一度に変える場合と比べて、装置の利便性の低下を抑制しつつ、節電の効果を得ることができる。
実施形態に係る装置は、装置の状態が節電の状態に移行する機能を有する装置である。実施形態に係る装置は、そのような装置であれば、どのような装置であってもよい。
実施形態に係る装置は、稼働の状態と、スタンバイの状態と、節電の状態とを含む。以下では、装置の状態が稼働の状態であるときの装置のモードを「稼働モード」と称する。装置の状態がスタンバイの状態であるときの装置のモードを「スタンバイモード」と称する。装置の状態が節電の状態であるときの装置のモードを「節電モード」と称する。
稼働モードにおける装置の状態は、装置を構成する各部品に電力が供給されて各部品が稼働している状態である。例えば、装置がウォームアップしている状態や処理を実行している状態が、稼働モードにおける装置の状態である。ウォームアップとは、装置の電源がオンされて当該装置による処理の実行が可能になるようにすることである。
スタンバイモードにおける装置の状態は、ウォームアップが完了した装置に電力が供給されて装置が処理を実行することが可能な状態であるが、装置が処理を実行していない状態である。例えば、スタンバイモードにおける消費電力は、稼働モードにおける消費電力よりも小さい。もちろん、稼働モードにおける装置の状態によっては、稼働モードにおける消費電力は、スタンバイモードにおける消費電力と同じになることもあれば、スタンバイモードにおける消費電力よりも小さくなることもあり得る。
節電モードにおける装置の状態は、装置を構成する一部の部品に電力が供給されていない状態、又は、当該装置を構成する一部又は全部の部品にスタンバイモードでの電力よりも低い電力が供給されている状態である。
以下では、装置の状態がスタンバイモードの状態から節電モードの状態に移行するまでの時間を「移行時間」と称する。
装置のモードがスタンバイモードである場合において、当該装置が最後に処理を行った時点や当該装置が最後にユーザによって操作された時点から移行時間が経過した場合、当該装置のモードは節電モードに移行する。つまり、最後に処理が実行された時点や最後に操作が行われた時点から移行時間が経過した場合、装置のモードはスタンバイモードから節電モードに移行する。
装置のモードがスタンバイモードである場合おいて、ユーザが節電の実行を指示した場合(例えば、装置に設置された節電ボタンを押した場合)、装置のモードは、スタンバイモードから節電モードに移行してもよい。
装置のモードが節電モードである場合において、特定の事象が発生した場合、装置のモードは、スタンバイモード又は稼働モードに復帰する。スタンバイモード又は稼働モードに復帰することで、装置は処理を実行することが可能となる。特定の事象は、復帰の指示に相当する事象である。例えば、装置に復帰ボタンが設けられている場合において、ユーザが復帰ボタンを押した場合、装置のモードは節電モードからスタンバイモード又は稼働モードに復帰する。また、装置が処理の実行の指示を受けた場合、装置のモードは節電モードからスタンバイモード又は稼働モードに復帰してもよい。なお、装置のモードは、節電モードからスタンバイモードに復帰する場合もあれば、節電モードから稼働モードに復帰することがあり得る。例えば、装置のモードが節電モードである場合において、装置が処理の実行の指示を受けた場合、装置のモードは、節電モードから当該処理を実行する稼働モードに移行することがある。
装置のモードが節電モードからスタンバイモード又は稼働モードに復帰するのに時間(以下、「復帰時間」と称する)を要する。復帰時間は、装置を構成する各部品の状態が節電の状態から処理や機能の実行が可能な状態に変わるのに要する時間である。装置を構成する部品毎に機能、性能又は特性等が異なるため、部品毎に復帰時間が異なることがある。
以下では、装置の一例として画像形成装置を例に挙げて実施形態について説明するが、画像形成装置は装置の一例に過ぎず、画像形成装置以外の装置に実施形態が適用されてもよい。
図1を参照して、実施形態に係る画像形成装置10のハードウェアの構成について説明する。図1は、画像形成装置10のハードウェアの構成を示すブロック図である。
画像形成装置10は、画像形成部12と、UI14と、通信装置16と、メモリ18と、プロセッサ20とを含む。画像形成装置10は、プリンタ、スキャナ、コピー機、ファクシミリ又は複合機(例えば、プリンタ、スキャナ及びコピー機等の複数の装置の機能を有する装置)である。
画像形成部12は、プリント機能、スキャン機能、コピー機能及びファクシミリ機能の中の少なくとも1つの機能を有する。なお、プリントの方式やスキャンの方式等は、特に限定されるものではない。例えば、プリントの方式として、電子写真方式、インクジェット方式、感熱方式又は熱転写方式等が用いられる。
UI14はユーザインターフェースであり、ディスプレイと入力装置とを含む。ディスプレイは、液晶ディスプレイ又はELディスプレイ等である。入力装置は、キーボード、マウス、入力キー又は操作パネル等である。UI14は、ディスプレイと入力装置とを兼ね備えたタッチパネル等のUIであってもよい。
通信装置16は、通信チップや通信回路等を有する1又は複数の通信インターフェースを含み、他の装置に情報を送信する機能、及び、他の装置から情報を受信する機能を有する。通信装置16は、近距離無線通信やWi-Fi(登録商標)等の無線通信機能を有してもよいし、有線通信機能を有してもよい。
メモリ18は、データを記憶する1又は複数の記憶領域を構成する装置である。メモリ18は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、各種のメモリ(例えばRAM、DRAM、NVRAM、ROM、等)、その他の記憶装置(例えば光ディスク等)、又は、それらの組み合わせである。
プロセッサ20は、画像形成装置10の各部の動作を制御する。
例えば、画像形成装置10の節電の状態がデフォルトの第1設定から別の第2設定に変更された場合、プロセッサ20は、画像形成装置10の利用状況に基づいて、画像形成装置10の節電の設定を、第2設定から別の第3設定に変更する。第1設定、第2設定及び第3設定の一例は、移行時間の設定である。
第3設定は、第2設定よりも高い節電の効果が得られる設定、又は、第2設定よりも利便性の高い設定である。
第2設定よりも高い節電の効果が得られる設定とは、画像形成装置10のモードがスタンバイモードから節電モードに移行する移行時間が、第2設定における移行時間よりも短い設定である。移行時間が短いほど、より早い段階でモードがスタンバイモードから節電モードに移行するため、より高い省エネ効果が期待できる。
第2設定よりも利便性の高い設定とは、画像形成装置10のモードがスタンバイモードから節電モードに移行する移行時間が、第2設定における移行時間よりも長い設定である。移行時間が長いほど、より遅い段階でモードがスタンバイモードから節電モードに移行するため、画像形成装置10の利便性の低下が抑制され得る。つまり、移行時間が長いほど、稼働モードに至るまでスタンバイモードからの復帰の方が早いため、利便性の低下が抑制され得る。
例えば、デフォルトの第1設定である第1移行時間が、予め画像形成装置10に設定されている。画像形成装置10に設定されている移行時間が第1移行時間から変更されていない場合において、最後に処理が実行された時点や最後に操作が行われた時点から第1移行時間が経過した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10の状態を稼働の状態から節電の状態に変える。
画像形成装置10に設定されている移行時間が、第1移行時間から第2設定である第2移行時間に変更された場合において、最後に処理が実行された時点や最後に操作が行われた時点から第2移行時間が経過した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10の状態を稼働の状態から節電の状態に変更する。
画像形成装置10に設定されている移行時間がデフォルトの第1移行時間から第2移行時間に変更された場合、プロセッサ20は、画像形成装置10の利用状況に基づいて、画像形成装置10の節電の設定を、第2移行時間よりも節電の効果が高い第3移行時間、又は、第2移行時間よりも利便性の高い第3移行時間に変更する。第3移行時間は第3設定の一例である。
ここで、画像形成装置10のモードの具体例について説明する。画像形成装置10のモードとして、上述したように、「稼働モード」と「スタンバイモード」と「節電モード」とがある。
稼働モードは、ウォームアップモードと処理実行モードとを含む。ウォームアップモードは、画像形成装置10の電源がオンされて画像形成装置10による処理が実行可能になるようにするためのモードである。処理実行モードは、画像形成装置10が処理を実行するモードある。処理は、プリント、スキャン又はコピー等である。処理実行モードの一例として、プリントモードやスキャンモード等がある。プリントモードは、画像形成装置10がプリントを実行するモードである。スキャンモードは、画像形成装置10がスキャンを実行するモードである。
スタンバイモードにおける画像形成装置10の状態は、ウォームアップが完了した画像形成装置10に電力が供給されて画像形成装置10が印刷ジョブ等の処理を実行することが可能な状態であるが、画像形成装置10が処理を実行していない状態である。
節電モードにおける画像形成装置10の状態は、画像形成装置10の一部の部品に電力が供給されていない状態、又は、画像形成装置10の一部又は全部の部品にスタンバイモードでの電力よりも低い電力が供給されている状態である。
スタンバイモードから節電モードに移行する時間(つまり移行時間)が、画像形成装置10に設定される。移行時間の設定値はメモリ18に記憶される。画像形成装置10のモードがスタンバイモードである場合において、画像形成装置10によって印刷ジョブ等の処理が行われていない時間やUI14がユーザによって操作されていない時間が、移行時間以上になった場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードをスタンバイモードから節電モードに変える。つまり、最後に処理が実行された時点や最後に操作が行われた時点から移行時間が経過した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードをスタンバイモードから節電モードに変える。
画像形成装置10のモードがスタンバイモードである場合において、ユーザがUI14を操作して節電の実行を指示した場合(例えば節電ボタンを押した場合)、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードをスタンバイモードから節電モードに変えてもよい。
画像形成装置10のモードが節電モードである場合において、特定の事象が発生した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10の各部を節電モードからスタンバイモードに復帰させる。スタンバイモードに復帰した状態とは、画像形成装置10を構成する各部品が印刷ジョブ等の処理や機能を実行することが可能になる状態である。スタンバイモードに復帰とは、画像形成装置10を構成する各部品の状態を、節電モードにおける状態から処理や機能の実行が可能な状態に移行させることである。特定の事象は、その復帰の指示に相当する事象である。例えば、操作パネルに復帰ボタンが設けられ、ユーザが復帰ボタンを押した場合、プロセッサ20は、特定の事象が発生したと判断し、画像形成装置10のモードを節電モードからスタンバイモードに変える。節電モードにおいて画像形成装置10を構成する部品の電源がオフになっている場合、プロセッサ20は、当該部品の電源をオンにする。部品に供給されていた電力がスタンバイモードでの電力よりも低い場合、プロセッサ20は、スタンバイモードでの電力を当該部品に供給する。また、印刷ジョブが外部装置から画像形成装置10に送信されて、プロセッサ20が印刷ジョブを受け付けた場合、プロセッサ20は、特定の事象が発生したと判断し、画像形成装置10のモードを節電モードからスタンバイモードに変える。この場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードを節電モードから処理実行モード(例えばプリントモード)に変えてもよい。ここで説明した特定の事象は、復帰の原因となる事象の一例に過ぎず、他の事象が復帰の原因となる事象として設定されてもよい。
プロセッサ20は、画像形成装置10の利用状況に基づいて、画像形成装置10の節電の設定を段階的に変更してもよい。例えば、その段階的な設定は、1段目の設定と2段目の設定とを含む。1段目の設定と2段目の設定は、異なる設定項目に対する設定である。例えば、2段目の設定は、1段目の設定よりも高い節電効果が得られる設定である。
例えば、節電モードとして複数の異なるモードが設定される。ここでは一例として、第1節電モードと第2節電モードとが設定される。第2節電モードは、第1節電モードよりも消費電力が少ないモードである。つまり、第2節電モードは、第1節電モードよりも高い節電効果が得られるモードである。1段目の設定によって実現される節電モードが、第1節電モードである。2段目の設定によって実現される節電モードが、第2節電モードである。第1節電モードにおける画像形成装置10の状態が、第1節電状態の一例に相当する。第2節電モードにおける画像形成装置10の状態が、第2節電状態の一例に相当する。
節電モードとして複数の異なるモードが設定される場合、節電モード毎に移行時間が設定される。例えば、スタンバイモードから第1節電モードに移行する移行である移行時間Aと、第1節電モードから第2節電モードに移行する移行である移行時間Bが、設定される。
プロセッサ20は、1段目の設定では、スタンバイモードから第1節電モードに移行する移行時間Aの長さを変更し、2段目の設定では、第1節電モードから第2節電モードに移行する移行時間Bを変更する。
例えば、省エネの効果と復帰時間とを考慮して、第1節電モードと第2節電モードとが設定される。復帰時間は、画像形成装置10の各部が節電モードからスタンバイモードに復帰するまでに要する時間である。つまり、復帰時間は、画像形成装置10を構成する各部品の状態が節電モードにおける状態から処理や機能の実行が可能な状態に変わるのに要する時間である。画像形成装置10を構成する部品毎に、復帰時間が異なることがある。例えば、操作パネル等のように電力が供給されれば直ちに機能する部品の復帰時間は、比較的短い。一方で、定着装置等のように電力が供給され始めてからある程度の時間が経過した後に機能する部品の復帰時間は、比較的長い。定着装置を例に挙げて説明すると、定着に必要な目標温度まで定着装置の温度を上昇させる必要があるため、温度上昇に要する時間の分、移行時間が長くなる。一般的に、定着装置の電源を一度オフにすると、電源がオフの状態から実際に印刷することができるまでに要する時間が長くなる。
なお、復帰時間は、画像形成装置10の状態が節電からスタンバイに移行することをユーザが待っている間の時間に対応する。そのため、復帰時間は、ユーザにとっての待機時間であると表現することができる。
節電モードとして複数の異なるモードが設定される場合、上述した第1設定、第2設定及び第3設定はそれぞれ、スタンバイモードから第1節電モードに移行する移行時間Aと、第1節電モードから第2節電モードに移行する移行時間Bと、を含む。つまり、第1設定に含まれる第1移行時間、第2設定に含まれる第2移行時間、及び、第3設定に含まれる第3移行時間はそれぞれ、移行時間A,Bを含む。
画像形成装置10のモードがスタンバイモードである場合において、画像形成装置10によって処理が行われていない時間やUI14がユーザによって操作されていない時間が、移行時間A以上になった場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードをスタンバイモードから第1節電モードに変える。つまり、最後に処理や操作が行われた時点から移行時間Aが経過した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードをスタンバイモードから第1節電モードに変える。画像形成装置10のモードが第1節電モードである場合において、復帰の原因となる特定の事象が発生した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードを第1節電モードからスタンバイモードに変える。
画像形成装置10のモードが第1節電モードである場合において、更に、画像形成装置10によって処理が行われていない時間やUI14がユーザによって操作されていない時間が、移行時間B以上になった場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードを第1節電モードから第2節電モードに変える。つまり、第1節電モードに移行した時点から、処理や操作が行われずに移行時間Bが経過した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードを第1節電モードから第2節電モードに変える。画像形成装置10のモードが第2節電モードである場合において、復帰の原因となる特定の事象が発生した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードを第2節電モードからスタンバイモードに変える。
第1節電モードと第2節電モードは一例に過ぎず、3つ以上の異なる節電モードが設定されて、節電モードが段階的に変えられてもよい。
以下、図2を参照して、スタンバイモード、低電力モード及びスリープモードについて説明する。以下において、低電力モードを「LPモード」と称し、スリープモードを「SPモード」と称することがある。スタンバイモードは、上述したように、画像形成装置10の各部に電力が供給されるモードである。低電力モードとスリープモードは、節電モードの一例である。低電力モードは第1節電モードの一例であり、スリープモードは第2節電モードの一例である。スリープモードは、低電力モードよりも消費電力が少ないモードである。つまり、スリープモードは、低電力モードよりも高い節電効果が得られるモードである。
以下では一例として、読取装置、操作パネル、制御装置及び出力装置のそれぞれに対する電力の供給に着目して、各モードについて説明する。
読取装置は、画像形成部12に含まれる装置であって、原稿の情報を光学的に読み取ることで画像データを生成する装置である。操作パネルは、UI14に含まれる装置であって、画像を表示したり、ユーザからの指示等を受け付けたりする。制御装置は、メモリ18とプロセッサ20を含み、画像形成装置10を制御する。出力装置は、画像形成部12に含まれる装置であって、プリント機能を実行する装置である。例えば、出力装置は、露光及び現像によってトナー画像を形成する装置と、トナー画像を用紙に転写する転写装置と、用紙に転写されたトナー画像を用紙に定着させる定着装置とを含む。
スタンバイモードにおいては、画像形成装置10の各部に電力が供給されている。具体的には、読取装置、操作パネル、制御装置及び出力装置に電力が供給されており、画像形成装置10の状態は、印刷ジョブ等の処理を実行することが可能な状態である。
低電力モードにおいては、読取装置と操作パネルとが節電の状態となっている。具体的には、読取装置と操作パネルの電源がオフになっており、電力が読取装置と操作パネルに供給されていない。例えば、操作パネルがバックライトを備えている場合、そのバックライトがオフになっている。
低電力モードとしてのLowモードが実行されてもよい。Lowモードは、出力装置の電源をオフにせずに、定着装置の温度を予め定められた温度範囲内に維持するための電力を出力装置に供給するモードである。その予め定められた温度範囲は、印刷時における定着装置の温度(つまり定着に必要な目標温度)よりも低い温度の範囲であり、かつ、定着装置の電源がオフの状態で定着装置が加熱される前の定着装置の温度よりも高い温度の範囲である。その予め定められた温度範囲は、一定の温度であってもよい。定着装置の温度を、定着に必要な目標温度より低い温度に下げることで、定着装置の消費電力が削減される。また、定着装置の電源をオフにする場合と比べて、スタンバイモードへの復帰時間が短くなる。このように、Lowモードでは、定着装置の消費電力の削減と定着装置の復帰時間の短縮との両方が実現される。
スリープモードにおいては、読取装置、操作パネル及び出力装置が節電の状態になっている。具体的には、読取装置、操作パネル及び出力装置の電源がオフになっており、電力が読取装置、操作パネル及び出力装置に供給されていない。
また、スリープモードにおいては、制御装置が、節電の状態になっている。例えば、制御装置に含まれるプロセッサ20のクロックがオフになる状態、プロセッサ20への電力の供給が停止される状態、又は、制御装置に含まれるメモリ18以外の部品への電力の供給が停止される状態が、制御装置の節電の状態の一例である。これらはスリープモードの一例に過ぎず、スリープモードにおける消費電力が低電力モードにおける消費電力よりも低くなれば、これら以外の電力制御が行われてもよい。
節電モード毎に移行時間が設定される。例えば、スタンバイモードから低電力モードに移行する時間である移行時間Aと、低電力モードからスリープモードに移行する時間である移行時間Bとが設定される。移行時間Aの値及び移行時間Bの値は、メモリ18に記憶される。
以下では、スタンバイモードから低電力モードに移行する移行時間Aを「LP移行時間」と称し、低電力モードからスリープモードに移行する移行時間Bを「SLP移行時間」と称する。
画像形成装置10のモードがスタンバイモードである場合において、画像形成装置10によって処理が行われていない時間やUI14がユーザによって操作されていない時間が、LP移行時間以上になった場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードをスタンバイモードから低電力モードに変える。つまり、最後に処理や操作が行われた時点からLP移行時間が経過した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードをスタンバイモードから低電力モードに変える。
画像形成装置10のモードが低電力モードである場合において、復帰の原因となる特定の事象が発生した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードを低電力モードからスタンバイモードに変える。
画像形成装置10のモードが低電力モードである場合において、更に、画像形成装置10によって処理が行われていない時間やUI14がユーザによって操作されていない時間が、SLP移行時間以上になった場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードを低電力モードからスリープモードに変える。つまり、第1節電モードに移行した時点から、処理や操作が行われずにSLP移行時間が経過した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードを低電力モードからスリープモードに変える。
画像形成装置10のモードがスリープモードである場合において、復帰の原因となる特定の事象が発生した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードをスリープモードからスタンバイモードに変える。
節電モードからスタンバイモードに復帰するのに要する復帰時間は、節電モード毎に異なる。具体的には、スリープモードからスタンバイモードに復帰するのに要する復帰時間は、低電力モードからスタンバイモードに復帰するのに要する復帰時間よりも長い。
以下、図3を参照して、節電の設定を変更する処理について説明する。図3には、節電の設定を変更する処理の流れを示すフローチャートが示されている。
以下では、節電モードとして低電力モードとスリープモードとが設定され、移行時間としてLP移行時間とSLP移行時間とが設定されるものとする。
また、第1設定の移行時間を「移行時間1」と称する。移行時間1に含まれるLP移行時間とSLP移行時間とをそれぞれ「LP1」、「SLP1」と称する。
第2設定の移行時間を「移行時間2」と称する。移行時間2に含まれるLP移行時間とSLP移行時間とをそれぞれ「LP2」、「SLP2」と称する。
第3設定として複数の異なる設定がある。ここでは一例として、第3設定として2つの異なる設定がある。1つの設定を「第3設定A」と称し、もう1つの設定を「第3設定B」と称することとする。
第3設定Aの移行時間を「移行時間3A」と称する。移行時間3Aに含まれるLP移行時間とSLP移行時間とをそれぞれ「LP3」、「SLP2」と称する。
第3設定Bの移行時間を「移行時間3B」と称する。移行時間3Bに含まれるLP移行時間とSLP移行時間とをそれぞれ「LP3」、「SLP3」と称する。
まず、プロセッサ20は、画像形成装置10に設定されている移行時間がデフォルトの移行時間であるか否かを判断する(S01)。デフォルトの移行時間の設定は、第1設定の一例に相当する。ステップS01では、プロセッサ20は、画像形成装置10の節電の設定が、デフォルトの設定である第1設定から別の第2設定に変更されているか否かを判断する。
画像形成装置10の節電の設定がデフォルトの第1設定である場合(S01,Yes)、処理は終了する。この場合、プロセッサ20は、第1設定(LP1、SLP1)に従って画像形成装置10の節電を制御する。また、処理はステップS01から実行される。
画像形成装置10の節電の設定がデフォルトの第1設定でない場合(S01,No)、プロセッサ20は、予め定められた期間にわたって画像形成装置10の利用状況を収集する(S02)。例えば、節電の設定が第1設定(LP1、SLP1)から第2設定(LP2、SLP2)に変更された場合、プロセッサ20は、節電の設定が第1設定から第2設定に変更された時点から予め定められた期間にわたって画像形成装置10の利用状況を収集する。
画像形成装置10の利用状況は、画像形成装置10の利用の履歴であり、利用状況を示す情報はメモリ18に記憶される。具体的には、画像形成装置10の利用状況は、上記の期間における各モードの動作時間、上記の期間において画像形成装置10が節電モードからスタンバイモードへの復帰した回数(以下、「復帰回数」と称する)、及び、上記の期間において各モードで消費された電力量を含む。
モードの動作時間とは、上記の期間において画像形成装置10の状態が当該モードにおける状態であった時間の長さである。モード毎の動作時間が利用される。例えば、ウォームアップモードの動作時間は、上記の期間において画像形成装置10がウォームアップしていた時間である。スタンバイモードの動作時間は、上記の期間において画像形成装置10のモードがスタンバイモードであった時間である。他のモードについても同様である。
節電モード毎の復帰回数が利用される。具体的には、上記の期間において画像形成装置10が低電力モードからスタンバイモードに復帰した回数(つまり、低電力モードからの復帰回数)と、上記の期間において画像形成装置10がスリープモードからスタンバイモードに復帰した回数(つまり、スリープモードからの復帰回数)が用いられる。また、画像形成装置10のモードがスタンバイモードである場合に画像形成装置10が処理を実行した回数を、スタンバイモードからの復帰回数として定義し、スタンバイモードからの復帰回数も、利用状況としての復帰回数に含まれるものとする。
なお、第2設定は、第1設定からLP移行時間とSLP移行時間の両方が変更された設定であってもよいし、LP移行時間又はSLP移行時間のいずれか一方が変更された設定であってもよい。つまり、(LP1、SLP2)という設定や(LP2、SLP1)という設定が、第2設定であってもよい。
プロセッサ20は、ステップS02にて収集された画像形成装置10の利用状況に基づいて、画像形成装置10の省エネ性の値と利便性の値とを算出する(S03)。
省エネ性の値は、画像形成装置10の消費電力に関する値である。具体的には、プロセッサ20は、モード毎に、モードにて消費される電力値とモードの動作時間とに基づいて、上記の期間におけるモードの電力量を算出し、上記の期間における全モードの電力量の合計を算出する。その合計が、上記の期間における省エネ性の値である。
利便性の値は、復帰時間(つまり、ユーザにとっての待機時間)に関する値である。具体的には、プロセッサ20は、上記の期間における復帰回数と復帰時間とに基づいて復帰時間の平均値(つまり待機時間の平均値)を算出する。その平均値が、上記の期間における利便性の値である。
復帰回数として、スタンバイモードからの復帰回数、低電力モードから復帰回数、及び、スリープモードからの復帰回数が用いられる。
復帰時間の平均値を算出するために用いられる復帰時間は、モード毎に異なる。また、モード毎の復帰時間が予め定められている。また、復帰時間として、スタンバイモードからの復帰時間、低電力モードから復帰時間、及び、スリープモードからの復帰時間が用いられる。なお、画像形成装置10のモードがスタンバイモードである場合、画像形成装置10のモードは既にスタンバイモードに復帰しているため、スタンバイモードの復帰時間は観念できず、その値は「0」である。ここでは、復帰時間の平均値を算出するために、スタンバイモードの復帰時間が用いられる。
プロセッサ20は、省エネ性と利便性の目標値を取得する(S04)。省エネ性の目標値は、消費電力量の目標値である。利便性の目標値は、復帰時間の(つまり待機時間)の目標値である。省エネ性又は利便性の目標値のいずれか一方が用いられてもよいし、省エネ性の目標値と利便性の目標値とが組み合わされた目標値が用いられてもよい。
目標値はユーザによって指定される。例えば、ユーザがUI14を操作することで、目標値が画像形成装置10に入力され、メモリ18に記憶される。目標値が画像形成装置10に入力されるタイミングは、特に限定されない。画像形成装置10の初期設定のときや、画像形成装置10がある程度の期間利用された後に、目標値が画像形成装置10に入力されてもよい。プロセッサ20は、メモリ18に記憶されている目標値を取得する。
プロセッサ20は、ステップS03にて算出された値(つまり、省エネ性の値と利便性の値)とステップS04にて取得された目標値とに基づいて、LP移行時間を算出し、第2設定(LP2、SLP2)におけるLP移行時間をその算出したLP移行時間に変更する(S05)。変更後の設定は、第3設定A(LP3、SLP2)である。つまり、プロセッサ20は、第2設定からSLP移行時間を変更せずに、LP移行時間を変更する。
具体的には、プロセッサ20は、ステップS03にて算出された値と目標値とを比較し、その比較結果に基づいて、第3設定AのLP移行時間(LP3)を算出する。
ここで、移行時間と省エネ性と利便性との関係について説明する。
LP移行時間を短くするほど、より早い段階でモードがスタンバイモードから低電力モードに移行する。低電力モードでの消費電力はスタンバイモードでの消費電力よりも低いため、より早い段階でモードがスタンバイモードから低電力モードに移行することで、より高い省エネ効果が期待できる。一方で、復帰時間に着目すると、低電力モードからの復帰時間はスタンバイモードからの復帰時間(実際には復帰時間は観念できない)よりも長い。したがって、より早い段階でモードがスタンバイモードから低電力モードに移行すると、復帰時間がより長くなり、ユーザの利便性は低下する。
これとは逆に、LP移行時間を長くするほど、より遅い段階でモードがスタンバイモードから低電力モードに移行するため、ユーザの利便性は向上するが、省エネ効果は低くなる。
このように、省エネ性と利便性とは移行時間に関してトレードオフの関係があるといえる。プロセッサ20は、省エネ性と利便性の値と目標値との関係に基づいて、省エネ性を向上させるように移行時間を変更し、又は、利便性を向上させるために移行時間を変更する。
例えば、利便性に着目すると、ステップS03にて算出された復帰時間(つまり実際の復帰時間)が、復帰時間の目標値よりも短い場合、プロセッサ20は、第3設定AのLP移行時間(LP3)を第2設定のLP移行時間(LP2)よりも短くする。実際の復帰時間が目標の復帰時間(つまり目標値が表す復帰時間)よりも短い場合、ユーザは利便性について不満はないと考えていると推測される。つまり、ユーザは、復帰時間に関して不便ではないと考えていると推測される。したがって、節電の設定を、第2設定よりも高い省エネ効果が得られる設定に変更しても、ユーザの利便性は低下しないと推測される。LP移行時間を短くするほど、より早い段階でモードがスタンバイモードから低電力モードに移行するため、より高い省エネ効果が得られる。したがって、実際の復帰時間が目標の復帰時間よりも短い場合、プロセッサ20は、第3設定AのLP移行時間(LP3)を第2設定のLP移行時間(LP2)よりも短くする。その短くする量は、予め定められていてもよいし、ユーザによって指定されてもよいし、実際の復帰時間と目標値との差分に応じた値であってもよい。
一方、実際の復帰時間が目標の復帰時間よりも長い場合、プロセッサ20は、第3設定AのLP移行時間(LP3)を第2設定のLP移行時間(LP2)よりも長くする。実際の復帰時間が目標の復帰時間よりも長い場合、ユーザは利便性について不満を感じており、利便性を要求していると推測される。したがって、利便性を向上させるために、プロセッサ20は、LP3をLP2よりも長くする。LP移行時間が長くするほど、より遅い段階でモードがスタンバイモードから低電力モードに移行するため、利便性が向上する。その長くする量は、予め定められていてもよいし、ユーザによって指定されてもよいし、実際の復帰時間と目標値との差分に応じた値であってもよい。
また、省エネ性に着目すると、ステップS03にて算出された全モードの電力量の合計(つまり実際の電力量の合計)が、消費電力量の目標値よりも少ない場合、プロセッサ20は、第3設定AのLP3を第2設定のLP2よりも長くする。実際の電力量の合計が目標の電力量(つまり目標値が表す電力量)よりも少ない場合、ユーザは省エネ性について不満はないと考えていると推測される。したがって、節電の設定を、第2設定よりも低い省エネ効果が得られる設定に変更しても、ユーザが要求する省エネ効果は得られると推測される。LP移行時間を長くするほど、より遅い段階でモードがスタンバイモードから低電力モードに移行するため、省エネ効果は低くなる。一方で、利便性は向上する。この点を考慮して、実際の電力量の合計が目標の電力量よりも少ない場合、プロセッサ20は、LP3をLP2よりも長くする。その長くする量は、予め定められていてもよいし、ユーザによって指定されてもよいし、実際の電力量の合計と目標値との差分に応じた値であってもよい。
一方、実際の電力量の合計が目標の電力量よりも多い場合、プロセッサ20は、LP3をLP2よりも短くする。実際の電力量の合計が目標の電力量よりも多い場合、ユーザは省エネ性について不満を感じており、省エネ性を要求していると推測される。したがって、省エネ性を向上させるために、プロセッサ20は、LP3をLP2よりも短くする。LP移行時間を短くするほど、より早い段階でモードがスタンバイモードから低電力モードに移行するため、省エネ性が向上する。その短くする量は、予め定められていてもよいし、ユーザによって指定されてもよいし、実際の電力量の合計と目標値との差分に応じた値であってもよい。
プロセッサ20は、(1)実際の利便性の値(つまり実際の復帰時間)と利便性の目標値(つまり復帰時間の目標値)との比較結果によって算出されたLP移行時間を第3設定AのLP3として用いてもよいし、(2)実際の省エネ性の値(つまり実際の電力量の合計)と省エネ性の目標値(つまり電力量の目標値)との比較結果によって算出されたLP移行時間を第3設定AのLP3として用いてもよい。つまり、プロセッサ20は、(1)のLP移行時間又は(2)のLP移行時間のいずれか一方を算出して、その算出したLP移行時間を第3設定AのLP3として用いてもよい。
また、プロセッサ20は、(3)(1)と(2)の比較結果によって算出されたLP移行時間を第3設定AのLP3として用いてもよい。例えば、(1)、(2)の両方の比較結果がLP移行時間を長くすることである場合、プロセッサ20は、LP3をLP2よりも長くする。(1)、(2)の両方の比較結果がLP移行時間を短くすることである場合、プロセッサ20は、LP3をLP2よりも短くする。(1)の比較結果と(2)の比較結果とが相反する場合、プロセッサ20は、(1)の比較結果又は(2)の比較結果のいずれかを採用して、第3設定AのLP3を設定する。例えば、ユーザが、(1)の比較結果又は(2)の比較結果のいずれかを選択し、プロセッサ20は、ユーザの選択に従って、第3設定AのLP3を設定する。また、プロセッサ20は、(1)の比較結果及び(2)の比較結果のうち予め設定された比較結果を採用して、第3設定AのLP3を設定してもよい。
LP3が算出されると、プロセッサ20は、第3設定A(LP3、SLP2)に従って画像形成装置10の節電を制御する。つまり、最後に処理が実行された時点や最後に操作が行われた時点からLP3が示すLP移行時間が経過した場合、プロセッサ20は、画像形成装置10のモードをスタンバイモードから低電力モードに変える。
節電の設定が第3設定A(LP3、SLP2)に変更された場合、プロセッサ20は、節電の設定が第2設定から第3設定Aに変更された時点から予め定められた期間にわたって画像形成装置10の利用状況を収集する(S06)。この期間は、ステップS02の期間と同じ長さの期間であってもよいし、異なる長さの期間であってもよい。
次に、プロセッサ20は、ステップS03と同様に、ステップS06にて収集された画像形成装置10の利用状況に基づいて、画像形成装置10の省エネ性の値と利便性の値とを算出する(S07)。
次に、プロセッサ20は、ステップS07にて算出された値(つまり、省エネ性の値と利便性の値)とステップS04にて取得された目標値とに基づいて、SLP移行時間を算出し、第3設定A(LP3、SLP2)におけるSLP移行時間をその算出したSLP移行時間に変更する(S08)。変更後の設定は、第3設定B(LP3、SLP3)である。つまり、プロセッサ20は、第3設定AからLP移行時間を変更せずに、SLP移行時間を変更する。
SLP移行時間の変更のやり方は、LP移行時間の変更のやり方と同じである。つまり、プロセッサ20は、ステップS07にて算出された値と目標値とを比較し、その比較結果に基づいて、第3設定BのSLP移行時間(SLP3)を算出する。
利便性に着目すると、ステップS07にて算出された復帰時間(つまり実際の復帰時間)が、復帰時間の目標値よりも短い場合、プロセッサ20は、第3設定BのSLP移行時間(SLP3)を第2設定及び第3設定AのSLP移行時間(SLP2)よりも短くする。実際の復帰時間が目標の復帰時間(つまり目標値が表す復帰時間)よりも短い場合、ユーザは利便性について不満はないと考えていると推測される。つまり、ユーザは、復帰時間に関して不便ではないと考えていると推測される。したがって、節電の設定を、第2設定及び第3設定Aよりも高い省エネ効果が得られる設定に変更しても、ユーザの利便性は低下しないと推測される。SLP移行時間を短くするほど、より早い段階でモードがスリープモードに移行するため、より高い省エネ効果が得られる。したがって、実際の復帰時間が目標の復帰時間よりも短い場合、プロセッサ20は、第3設定BのSLP移行時間(SLP3)を第2設定及び第3設定AのSLP移行時間(SLP2)よりも短くする。その短くする量は、予め定められていてもよいし、ユーザによって指定されてもよいし、実際の復帰時間と目標値との差分に応じた値であってもよい。
一方、実際の復帰時間が目標の復帰時間よりも長い場合、プロセッサ20は、第3設定BのLP移行時間(SLP3)を第2設定及び第3設定AのSLP移行時間(SLP2)よりも長くする。実際の復帰時間が目標の復帰時間よりも長い場合、ユーザは利便性について不満を感じており、利便性を要求していると推測される。したがって、利便性を向上させるために、プロセッサ20は、SLP3をSLP2よりも長くする。SLP移行時間が長くするほど、より遅い段階でモードがスリープモードに移行するため、利便性が向上する。その長くする量は、予め定められていてもよいし、ユーザによって指定されてもよいし、実際の復帰時間と目標値との差分に応じた値であってもよい。
また、省エネ性に着目すると、ステップS07にて算出された全モードの電力量の合計(つまり実際の電力量の合計)が、消費電力量の目標値よりも少ない場合、プロセッサ20は、第3設定BのSLP3を第2設定及び第3設定AのSLP2よりも長くする。実際の電力量の合計が目標の電力量(つまり目標値が表す電力量)よりも少ない場合、ユーザは省エネ性について不満はないと考えていると推測される。したがって、節電の設定を、第2設定及び第3設定Aよりも低い省エネ効果が得られる設定に変更しても、ユーザが要求する省エネ効果は得られると推測される。SLP移行時間を長くするほど、より遅い段階でモードがスリープモードに移行するため、省エネ効果は低くなる。一方で、利便性は向上する。この点を考慮して、実際の電力量の合計が目標の電力量よりも少ない場合、プロセッサ20は、SLP3をSLP2よりも長くする。その長くする量は、予め定められていてもよいし、ユーザによって指定されてもよいし、実際の電力量の合計と目標値との差分に応じた値であってもよい。
一方、実際の電力量の合計が目標の電力量よりも多い場合、プロセッサ20は、SLP3をSLP2よりも短くする。実際の電力量の合計が目標の電力量よりも多い場合、ユーザは省エネ性について不満を感じており、省エネ性を要求していると推測される。したがって、省エネ性を向上させるために、プロセッサ20は、SLP3をSLP2よりも短くする。SLP移行時間を短くするほど、より早い段階でモードがスリープモードに移行するため、省エネ性が向上する。その短くする量は、予め定められていてもよいし、ユーザによって指定されてもよいし、実際の電力量の合計と目標値との差分に応じた値であってもよい。
プロセッサ20は、(4)実際の利便性の値(つまり実際の復帰時間)と利便性の目標値(つまり復帰時間の目標値)との比較結果によって算出されたSLP移行時間を第3設定BのSLP3として用いてもよいし、(5)実際の省エネ性の値(つまり実際の電力量の合計)と省エネ性の目標値(つまり電力量の目標値)との比較結果によって算出されたSLP移行時間を第3設定BのSLP3として用いてもよい。つまり、プロセッサ20は、(4)のSLP移行時間又は(5)のSLP移行時間のいずれか一方を算出して、その算出したSLP移行時間を第3設定BのSLP3として用いてもよい。
また、プロセッサ20は、(6)(4)と(5)の比較結果によって算出されたSLP移行時間を第3設定BのSLP3として用いてもよい。例えば、(4)、(5)の両方の比較結果がSLP移行時間を長くすることである場合、プロセッサ20は、SLP3をSLP2よりも長くする。(4)、(5)の両方の比較結果がSLP移行時間を短くすることである場合、プロセッサ20は、SLP3をSLP2よりも短くする。(4)の比較結果と(5)の比較結果とが相反する場合、プロセッサ20は、(4)の比較結果又は(5)の比較結果のいずれかを採用して、第3設定BのSLP3を設定する。例えば、ユーザが、(4)の比較結果又は(5)の比較結果のいずれかを選択し、プロセッサ20は、ユーザの選択に従って、第3設定BのSLP3を設定する。プロセッサ20は、(4)の比較結果及び(5)の比較結果の中から予め定められた比較結果を採用して、第3設定BのSLP3を設定してもよい。
節電の設定が第3設定Bに変更された場合、プロセッサ20は、第3設定Bに従って画像形成装置10の節電を制御する。つまり、プロセッサ20は、LP移行時間としてのLP3に従って低電力モードへの移行を制御し、SLP移行時間としてのSLP3に従ってスリープモードへの移行を制御する。
また、節電の設定が第3設定Bに変更された後、最適化ループが実行されてもよい。例えば、プロセッサ20は、画像形成装置10の利用状況を学習し、その学習結果に基づいて、上述したように、LP移行時間又はSLP移行時間を変更する。利用状況の学習に人工知能(AI)が用いられてもよい。
図3に示されている処理の実行の有無が設定されてもよい。例えば、画像形成装置10において当該処理の実行の設定がオンの場合、プロセッサ20は、当該処理を実行する。画像形成装置10において当該処理の実行の設定がオフの場合、プロセッサ20は、当該処理を実行しない。オン/オフは予め画像形成装置10に設定されていてもよいし、ユーザがオン又はオフを選択してもよい。
上記の例では、ステップS05にてLP移行時間が変更され(例えば1段目の設定)、次に、ステップS08にてSLP移行時間が変更されている(例えば2段目の設定)。別の例として、ステップS05,S08の両方にて、LP移行時間が変更されたり、SLP移行時間が変更されたりしてもよい。例えば、ステップS05にてLP移行時間がある値(例えば30分)に変更され、ステップS07にてLP移行時間が別の値(例えば10分)に変更されてもよい。SLP移行時間についても同様である。
以下、節電の設定を第1設定(LP1、SLP1)から第2設定(LP2、SLP2)に変更することについて説明する。
例えば、ユーザが、節電の設定を第1設定から第2設定に手動で変更することが考えられる。別の例として、他の画像形成装置の節電の設定が、画像形成装置10の第2設定として用いられることが考えられる。例えば、クローニングが用いられる。クローニングは、他の画像形成装置の設定情報をコピーして画像形成装置10に移し、当該他の画像形成装置と同じ設定を画像形成装置10に設定することである。この場合、他の画像形成装置の節電の設定(つまり第2設定)を示す第2設定情報が、当該他の画像形成装置から画像形成装置10に送られ、画像形成装置10の節電の設定が第1設定から第2設定に変更される。上述したように、節電の設定が第1設定から第2設定に変更された後、画像形成装置10の利用状況が収集され、その利用状況に基づいて、節電の設定が第2設定から第3設定に変更される。例えば、他の画像形成装置が旧機種であり、画像形成装置10が新機種である場合、旧機種を新機種に置き換えることが考えられる。その場合に、クローニングによって、旧機種の設定が新機種に設定される。ユーザが手動で、旧機種の移行時間等を新機種に設定してもよい。
旧機種の設定では新機種において高い省エネ効果が得られないと推測される場合、プロセッサ20は、ステップS02以降の処理を実行してもよい。例えば、旧機種の設定では目標値が達成できない場合、プロセッサ20は、ステップS02以降の処理を実行する。
節電の設定が第1設定から第2設定に変更されるタイミングとして、例えば、新たな画像形成装置10がオフィス等の場所に設置されたタイミング、又は、画像形成装置10の初期設定が行われるタイミングが考えられる。初期設定では、例えば、LAN(Local Area Network)ケーブルの接続、通信の設定(例えばIPアドレスの取得や設定等)、パスワードの設定及びユーザ登録等が行われる。例えば、オフィス等にて利用される画像形成装置が、他の画像形成装置から新たな画像形成装置10に置き換えられたときに、節電の設定が第1設定から第2設定に変更されることが考えられる。また、新機種の画像形成装置10の電源が最初にオンされてからオフされるまでの間に、節電の設定が第1設定から第2設定に変更されてもよい。このときの変更も、初期設定における節電の変更の一例に相当する。
画像形成装置10の初期設定のときに節電の設定が第1設定から第2設定に変更された場合、初期設定のときから予め定められた時間が経過した後に、プロセッサ20は、初期設定が行われた後における画像形成装置10の利用状況に基づいて、節電の設定を第2設定から第3設定に変更する。初期設定が行われた後における画像形成装置10の利用状況は、例えば、初期設定のときから予め定められた期間における画像形成装置10の利用状況である。
画像形成装置10が初期設定のときから予め定められた期間にわたって利用された後に、節電の設定が第1設定から第2設定に変更されてもよい。この場合、プロセッサ20は、節電の設定が第1設定から第2設定に変更されるまでの間における画像形成装置10の利用状況に基づいて、節電の設定を第2設定から第3設定(例えば第3設定A)に変更してもよい。つまり、プロセッサ20は、節電の設定が第2設定に変更された時点よりも以前の利用状況(つまり、過去の利用状況)に基づいて、節電の設定を第2設定から第3設定(例えば第3設定A)に変更する。このように、節電の設定が第2設定に変更される前における利用状況が用いられてもよい。
節電の設定が第2設定から第3設定Aに変更された場合、プロセッサ20は、節電の設定が第2設定から第3設定Aに変更されたことを示す情報を、UI14のディスプレイに表示させてもよい。例えば、プロセッサ20は、「節電の設定が第2設定から第3設定Aに変更されました」といったメッセージや、「LP移行時間がLP2からLP3に変更されました」といったメッセージを、UI14のディスプレイに表示させる。プロセッサ20は、これらのメッセージに対応する音声をスピーカから発生させてもよいし、これらのメッセージを示す情報を、ユーザの端末装置(例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)、タブレットPC、スマートフォン又は携帯電話等)に送信してもよい。また、プロセッサ20は、LP3を示す情報をディスプレイに表示させたり、その情報を表現する音声をスピーカから発生させたり、その情報を端末装置に送信したりしてもよい。
同様に、節電の設定が第3設定Aから第3設定Bに変更された場合、プロセッサ20は、プロセッサ20は、節電の設定が第3設定Aから第3設定Bに変更されたことを示す情報を、UI14のディスプレイに表示させてもよい。例えば、プロセッサ20は、「節電の設定が第3設定Aから第3設定Bに変更されました」といったメッセージや、「SLP移行時間がSLP2からSLP3に変更されました」といったメッセージを、UI14のディスプレイに表示させる。プロセッサ20は、これらのメッセージに対応する音声をスピーカから発生させてもよいし、これらのメッセージを示す情報を、ユーザの端末装置に送信してもよい。また、プロセッサ20は、SLP3を示す情報をディスプレイに表示させたり、その情報を表現する音声をスピーカから発生させたり、その情報を端末装置に送信したりしてもよい。
プロセッサ20は、節電の設定が第2設定から第3設定Aに変更された後に最初に表示されたログイン画面に、節電の設定が第2設定から第3設定Aに変更されたことを示す情報を表示してもよい。ログイン画面は、ユーザが画像形成装置10にログインするために必要な認証情報(例えばユーザIDやパスワード)を入力するための画面である。ログイン画面は、UI14のディスプレイに表示される。ログイン画面にて認証情報が入力されて認証が成功すると、ユーザは画像形成装置10へのログインが許可される。ログイン前とログイン後とで、ユーザが利用することが許可される機能や処理が異なる。例えば、ユーザが画像形成装置10にログインし、画像形成装置10が処理を実行し、その後、ユーザが画像形成装置10からログアウトする。その後、節電の設定が第2設定から第3設定Aに変更された場合、プロセッサ20は、そのログアウト後に表示されるログイン画面に、節電の設定が第2設定から第3設定Aに変更されたことを示す情報を表示する。SLP3を示す情報がログイン画面に表示されてもよい。
節電の設定が第3設定Aから第3設定Bに変更された場合も同様である。プロセッサ20は、節電の設定が第3設定Aから第3設定Bに変更された後に最初に表示されたログイン画面に、節電の設定が第3設定Aから第3設定Bに変更されたことを示す情報を表示する。
以下、画像形成装置10の節電の設定がデフォルトの第1設定から第2設定に変更された場合に、画像形成装置10の利用状況に基づいて節電の設定を変更する具体例について説明する。
図4には、目標レベルを設定するための画面22が示されている。目標レベルは、省エネ性と利便性の目標値に対応する値である。図4に示す例では、目標レベルは1~5の範囲内で指定することができる。レベル1は、復帰時間を優先するレベル、つまり利便性を優先するレベルである。レベル5は、省エネ性を優先するレベルである。ユーザは、画面22上で、レベル1~5の中から自分が望むレベルを指定する。図4に示す例では、レベル3が指定されている。
図5には、目標レベル毎の消費電力量と平均復帰時間とが示されている。消費電力量は省エネ性の目標値であり、平均復帰時間は利便性の目標値である。図5に示されている平均復帰時間は、UI14を構成する操作パネルの平均復帰時間である。
レベル3に対応する省エネ性の目標値は、5000[Wh]であり、レベル3に対応する利便性の目標値(つまり、操作パネルの平均復帰時間の目標値)は、1.5[秒]である。プロセッサ20は、上述したステップS05において、ステップS03にて算出された値とレベル3に対応する目標値とを比較することで、LP移行時間を算出する。同様に、プロセッサ20は、上述したステップS08において、ステップS07にて算出された値とレベル3に対応する目標値とを比較することで、SLP移行時間を算出する。
なお、目標値はレベルによって指定されなくてもよい。例えば、ユーザがUI14を操作して、省エネ性の目標値と利便性の目標値のそれぞれの具体的な値を入力してもよい。レベル1~5よりも細かい又は粗いレベルが定められてもよい。
以下、図6及び図7を参照して、節電の設定が第2設定(LP2、SLP2)のときの省エネ性の値と利便性の値とについて説明する。図6には、省エネ性の値の一例が示されている。省エネ性の値の一例は、消費される電力量である。図7には、利便性の値の一例が示されている。利便性の値の一例は、復帰時間(つまり待機時間)である。LP2は60分であり、SLP2は60分である
図6及び図7には、節電の設定が第2設定に変更された時点から予め定められた期間における画像形成装置10の利用状況が示されている。図6には、当該期間において画像形成装置10がどのようなモードで利用されたのかが示されている。具体的には、各モードの動作時間及び電力量が、画像形成装置10の利用状況の一例として示されている。図7には、当該期間におけるスタンバイモード、低電力モード及びスリープモードのそれぞれからの復帰回数、及び、平均復帰時間が、当該期間における画像形成装置10の利用状況の一例として示されている。
図6には、各モードの電力値[W]、動作時間[分]及び電力量[Wh]が示されている。あるモードの電力値[W]は、当該モードにおいて消費される電力に相当し、予め定められている。あるモードの動作時間は、上記の期間において画像形成装置10の状態が実際に当該モードにおける状態であった時間の長さである。例えば、スタンバイモードの動作時間は、上記の期間中1800[分]である。あるモードの電力量[Wh]は、実際に当該モードにおいて消費された電力に相当する。合計は、上記の期間における実際の電力量の合計である。
図6には、稼働モードの一例として、ウォームアップモード、プリントモード及びスキャンモードが示されている。ウォームアップモードの電力値が、これらのモードの中で最も高い。また、スタンバイモード、低電力モード及びスリープモードが示されている。スリープモードの電力値が、全てのモードの中で最も低い。
図7には、各モードの復帰時間[秒]、復帰回数及び平均復帰時間[秒]が示されている。スタンバイモードからの復帰時間、低電力モードからの復帰時間、及び、スリープモードからの復帰時間が示されている。
また、復帰時間として、操作パネルの復帰時間と定着装置の復帰時間とが示されている。操作パネルの復帰時間は、各モードから操作パネルの復帰に要する時間である。操作パネルの復帰とは、操作パネルのバックライトがオンになって、操作パネルを用いた操作が可能になることである。定着装置の復帰時間は、各モードから定着装置の復帰に要する時間である。定着装置の復帰とは、定着装置に電力が供給されることで、定着装置による定着が可能になるまで定着装置が加熱されることである。
モード毎に、操作パネルの復帰時間と定着装置の復帰時間とが示されている。これらの復帰時間は予め定められている。
スタンバイモードからの復帰は「0」秒と定義されている。スリープモードからの復帰時間は、低電力モードからの復帰時間よりも長い。これは、スリープモードにおいて画像形成装置10の各部に供給される電力が、低電力モードにおいて供給される電力よりも低かったり、スリープモードにおいては画像形成装置10の一部に電力が供給されていなかったりするからである。
図7には、スタンバイモードからの復帰回数、低電力モードからの復帰回数、及び、スリープモードからの復帰回数が示されている。
平均復帰時間は、復帰時間の平均値(つまり待機時間の平均値)である。ここでは一例として、操作パネルについての平均復帰時間と、定着装置についての平均復帰時間とが示されている。プロセッサ20は、操作パネルについては、モード毎に復帰時間と復帰回数との積を算出し、各モードの積の合計を算出し、その合計を復帰回数の合計で除算する。これにより、操作パネルの平均復帰時間が算出される。定着装置についての平均復帰時間についても同様である。
操作パネルの平均復帰時間は、以下のようにして算出される。
{スタンバイモードからの復帰時間(0秒)×復帰回数(55回)+低電力モードからの復帰時間(1秒)×復帰回数(32回)+スリープモードからの復帰時間(3秒)×復帰回数(15)}/(55回+32回+15回)=0.75秒
{スタンバイモードからの復帰時間(0秒)×復帰回数(55回)+低電力モードからの復帰時間(1秒)×復帰回数(32回)+スリープモードからの復帰時間(3秒)×復帰回数(15)}/(55回+32回+15回)=0.75秒
定着装置の平均復帰時間は、以下のようにして算出される。
{スリープモードからの復帰時間(0秒)×復帰回数(55回)+低電力モードからの復帰時間(3秒)×復帰回数(32回)+スリープモードからの復帰時間(5秒)×復帰回数(15)}/(55回+32回+15回)=2.22秒
{スリープモードからの復帰時間(0秒)×復帰回数(55回)+低電力モードからの復帰時間(3秒)×復帰回数(32回)+スリープモードからの復帰時間(5秒)×復帰回数(15)}/(55回+32回+15回)=2.22秒
図6に示されている合計(8947[Wh])は、省エネ性の値であり、図7に示されている平均復帰時間(0.75[秒]、2.22[秒])は、利便性の値である。
プロセッサ20は、上述したステップS05において、省エネ性及び利便性の値と、目標値とを比較し、その比較結果に基づいて、第3設定AのLP移行時間(LP3)を算出する。このように、プロセッサ20は、節電の設定が第2設定に変更された時点から予め定められた期間における画像形成装置10の利用状況(例えば図6及び図7に示されている利用状況)から算出される省エネ性の値と平均復帰時間とに基づいて、第3設定AのLP移行時間を算出する。
図5に示す例では、操作パネルの平均復帰時間の目標値が指定されている。この場合、プロセッサ20は、利便性に関して、上記のようにして算出された実際の平均復帰時間と平均復帰時間の目標値とを比較する。
目標レベル3が指定されており、そのときの平均復帰時間の目標値は1.5[秒]である。図7に示されている実際の平均復帰時間は0.75[秒]であるため、実際の平均復帰時間は目標値以下となっている。つまり、節電の設定が第2設定である場合、利便性に関するユーザの目標は達せられている。
また、図5に示すように、目標レベル3に対応する消費電力量の目標値は5000[Wh]である。図6に示されている実際の電力量の合計は8947[Wh]であるため、実際の電力量の合計は目標値を超えている。つまり、節電の設定が第2設定である場合、省エネ性に関するユーザの目標は達せられていない。
以上の比較結果が得られた場合、プロセッサ20は、第2設定よりも高い省エネ効果が得られるように、LP移行時間を第2設定のLP移行時間よりも短くし、節電の設定を、第2設定から、その短いLP移行時間を含む第3設定Aに変更する。例えば、プロセッサ20は、LP移行時間を60分から5分に変更する。この場合、LP3=5分である。第3設定AにおけるLP3は5分であり、SLP2は60分のままである。なお、値「5分」は、実際の電力量の合計と目標値との差に応じた値であってもよいし、LP2とLP3との差は予め定められた値であってもよい。
図8及び図9には、節電の設定が第2設定から第3設定Aに変更された時点から予め定められた期間における画像形成装置10の利用状況が示されている。図8には、省エネ性の値が示されており、図9には、利便性の値が示されている。図8に示されている各値の意味は、図6に示されている各値の意味と同じである。図9に示されている各値の意味は、図7に示されている各値の意味と同じである。図8には、当該期間において画像形成装置10がどのようなモードで利用されたのかが示されている。具体的には、各モードの動作時間及び電力量が、画像形成装置10の利用状況の一例として示されている。図9には、当該期間におけるスタンバイモード、低電力モード及びスリープモードのそれぞれからの復帰回数、及び、平均復帰時間が、当該期間における画像形成装置10の利用状況の一例として示されている。図6及び図7に示す例と同様に、節電の設定が第2設定から第3設定Aに変更された時点から予め定められた期間における、電力量、電力量の合計及び平均復帰時間が算出されている。その算出は、ステップS07における算出の一例である。
図9に示されている実際の平均復帰時間は1.15[秒]であるため、実際の平均復帰時間は目標値である1.5[秒]以下となっている。つまり、節電の設定が第3設定Aである場合、利便性に関するユーザの目標は達せられている。
図8に示されている実際の電力量の合計は6964[Wh]であるため、実際の電力量の合計は目標値である5000[Wh]を超えている。つまり、節電の設定が第3設定Aである場合、省エネ性に関するユーザの目標は達せられていない。
以上の比較結果が得られた場合、プロセッサ20は、第3設定Aよりも高い省エネ効果が得られるように、SLP移行時間を第3設定AのSLP移行時間よりも短くし、節電の設定を、第3設定Aから、その短いSLP移行時間を含む第3設定Bに変更する。例えば、プロセッサ20は、SLP移行時間を60分から15分に変更する。この場合、SLP3=5分である。第3設定BにおけるLP3は5分のままであり、SLP3は5分となる。なお、値「5分」は、実際の電力量の合計と目標値との差に応じた値であってもよいし、SLP2とSLP3との差は予め定められた値であってもよい。このように、プロセッサ20は、節電の設定が第3設定Aに変更された時点から予め定められた期間における画像形成装置10の利用状況(例えば図8及び図9に示されている利用状況)から算出される省エネ性の値と平均復帰時間とに基づいて、第3設定BのSLP移行時間を算出する。
図10及び図11には、節電の設定が第3設定Bに変更された時点から予め定められた期間における画像形成装置10の利用状況が示されている。図10には、省エネ性の値が示されており、図11には、利便性の値が示されている。図10に示されている各値の意味は、図6及び図8に示されている各値の意味と同じである。図11に示されている各値の意味は、図7及び図9に示されている各値の意味と同じである。図6及び図7に示す例と同様に、節電の設定が第3設定Aから第3設定Bに変更された時点から予め定められた期間における、電力量、電力量の合計及び平均復帰時間が算出されている。
図11に示されている実際の平均復帰時間は1.48[秒]であるため、実際の平均復帰時間は目標値である1.5[秒]以下となっている。つまり、節電の設定が第3設定Aである場合、利便性に関するユーザの目標は達せられている。
図10に示されている実際の電力量の合計は4725[Wh]であるため、実際の電力量の合計は目標値である5000[Wh]以下となっている。つまり、節電の設定が第3設定Aである場合、省エネ性に関するユーザの目標は達せられている。
以上のように、節電の設定を第3設定Bにすることで、省エネ性と利便性の両方において、ユーザが指定した目標を達することができる。
その後、最適化ループが実行されることで、節電の設定が第3設定Bから別の設定に変更されてもよい。
以上のように、画像形成装置10の利用状況と目標値とに基づいて、目標値が実現されるように節電の設定が変更される。
図6から図11に示されている例は、画像形成装置10の利用状況に基づいて節電の設定を変更する処理の一例に過ぎない。別の例として、プロセッサ20は、特定期間内においてジョブ(例えば印刷ジョブ等の処理)が実行された時間間隔を算出し、最も短い時間間隔と予め定められた値(例えば、バッファとして定められた時間)との合計を算出する。その合計の時間が、画像形成装置10に現在設定されている移行時間よりも短い場合、プロセッサ20は、移行時間をその合計の時間に変更する。具体例を挙げて説明すると、最も短い時間間隔が5分であり、バッファとして定められた時間が3分である場合、その合計の時間は8分である。画像形成装置10に現在設定されている移行時間が8分よりも長い場合、プロセッサ20は、移行時間を8分に変更する。バッファとしての時間は、ユーザによって設定されてもよいし、予め画像形成装置10に設定されていてもよい。ジョブが実行された時間間隔も、画像形成装置10の利用状況の概念の範疇に含まれ、その時間間隔に基づいて節電の設定を変更することも、画像形成装置10の利用状況に基づいて節電の設定を変更することに含まれてもよい。
画像形成装置10が情報処理装置の一例に相当する。図3に示されている処理が、画像形成装置10によって実行されずに、画像形成装置10以外の外部装置(例えばPCやサーバ等)によって実行されてもよい。この場合、当該外部装置が情報処理装置の一例に相当する。例えば、外部装置は、ネットワーク等の通信経路を介して、画像形成装置10の利用状況を示すデータと、節電の各設定を示すデータと、目標値を示すデータとを画像形成装置10から取得し、LP3やSLP3を算出し、LP3やSLP3を示すデータを画像形成装置10に送信する。画像形成装置10のプロセッサ20は、外部装置によって算出されたLP3やSLP3に従って、画像形成装置10の節電を制御する。予め定められた期間毎に、画像形成装置10の利用状況を示すデータ、節電の各設定を示すデータ、及び、目標値を示すデータが、画像形成装置10から外部装置に送信されてもよい。外部装置によって算出されたLP3やSLP3が、外部装置や画像形成装置10のディスプレイに表示されてもよい。当該外部装置によって算出されたLP3やSLP3は、ユーザによって画像形成装置10に入力されてもよい。
上述した実施形態では、装置の一例として画像形成装置10を例に挙げて説明したが、例えばPCやディスプレイ等の装置に実施形態が適用されてもよいし、スリープモードを有するその他の機器(例えば家電製品や産業機器等)に実施形態が適用されてもよい。
上記の画像形成装置10の機能は、一例としてハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。例えば、プロセッサが、各装置のメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで、各装置の機能が実現される。プログラムは、CD又はDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、メモリに記憶される。
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
10 画像形成装置、12 画像形成部、20 プロセッサ。
Claims (9)
- プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
装置の利用状況に基づいて、前記装置の節電の設定を段階的に変更する、
情報処理装置。 - 前記装置の節電の段階的な設定は、1段目の設定と2段目の設定とを含み、
前記1段目の設定と前記2段目の設定は、異なる設定項目に対する設定である、
請求項1に記載の情報処理装置。 - 前記2段目の設定は、前記1段目の設定よりも高い節電効果が得られる設定である、
請求項2に記載の情報処理装置。 - 前記装置の節電の段階的な設定は、1段目の設定と2段目の設定とを含み、
前記プロセッサは、
前記装置の節電の設定が前記1段目の設定に変更された後における前記装置の利用状況に基づいて、前記装置の節電の設定を前記2段目の設定に変更する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。 - 前記装置の節電の状態として、第1節電状態と、前記第1節電状態よりも復帰までに時間を要する第2節電状態とが定められ、
前記プロセッサは、
前記装置の節電の設定を段階的に変更する場合、前記第1節電状態に関する前記第1設定を最初に変更する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。 - 前記装置の節電の状態として、第1節電状態と第2節電状態とが定められ、
前記第2節電状態は、前記第1節電状態よりも高い節電効果が得られ、
前記装置の状態が前記第1節電状態に移行する第1時間と、前記装置の状態が前記第1節電状態から前記第2節電状態に移行する第2時間とが定められ、
前記プロセッサは、
前記1段目の設定では、前記第1時間の長さを変更し、
前記2段目の設定では、前記第2時間の長さを変更する、
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置。 - 前記プロセッサは、
前記装置が節電の状態から復帰するのに要した復帰時間と復帰時間の目標値との比較結果に応じて、前記第1時間又は前記第2時間の長さを変える、
請求項6に記載の情報処理装置。 - 前記プロセッサは、
前記装置の実際の消費電力と消費電力の目標値との比較結果に応じて、前記第1時間又は前記第2時間の長さを変える、
請求項6に記載の情報処理装置。 - コンピュータが、
装置の利用状況に基づいて、前記装置の節電の設定を段階的に変更する、
ように動作させるプログラム。
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