JP2023142147A - 制振床構造およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工性を良好にしつつ、板ばね部材が回転することを規制できる制振床構造を提供する。【解決手段】制振床構造1は、床材2の取付面11に当接して配置された基部31、および、基部31から延在し先端側が床材2に対して振動するように構成された弾性変形部32を備える板ばね部材21と、板ばね部材21の弾性変形部32に取り付けられるマス部材22と、板ばね部材21の基部31に形成された貫通孔51aに挿通され、床材2に係合するように構成され、基部31を床材2の取付面11に固定するための1つの軸状取付部材41とを備える。板ばね部材21の基部31は、貫通孔51aとは異なる位置に床材2へ向かって突出して形成され、床材2に対して軸状取付部材41を中心とした回転方向に係合するように構成された回転規制突起52を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、制振床構造およびその製造方法に関する。
特許文献1には、床材に板ばね式制振装置を取り付けられた制振床構造が記載されている。板ばね式制振装置を構成する板ばね部材の基部に、複数のボルトを挿通することにより、板ばね部材を床材に固定している。
固定用のボルトの数を少なくすることで、施工性を良好にすることができる。しかし、1つのボルトを用いて板ばね部材を床材に固定した場合には、床材の振動によって、板ばね部材が1つのボルトを中心として回転するおそれがある。板ばね部材が回転すると、隣の板ばね部材と干渉するおそれがある。また、特許文献1のように、板ばね部材に、床材に接触する粘弾性体が取り付けられている場合には、板ばね部材が回転すると、粘弾性体が床材に接触する位置が変化してしまい、所望の制振効果を得ることができないおそれがある。そのため、ボルトの数を少なくしたとしても、板ばね部材が回転しないようにすることが望まれる。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、施工性を良好にしつつ、板ばね部材が回転することを規制できる制振床構造およびその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、床材の取付面に当接して配置された基部、および、前記基部から延在し先端側が前記床材に対して振動するように構成された弾性変形部を備える板ばね部材と、
前記板ばね部材の前記弾性変形部に取り付けられるマス部材と、
前記板ばね部材の前記基部に形成された貫通孔に挿通され、前記床材に係合するように構成され、前記基部を前記床材の前記取付面に固定するための1つの軸状取付部材と、
を備え、
前記板ばね部材の前記基部は、前記貫通孔とは異なる位置に前記床材へ向かって突出して形成され、前記床材に対して前記軸状取付部材を中心とした回転方向に係合するように構成された回転規制突起を備える、制振床構造にある。
前記板ばね部材の前記弾性変形部に取り付けられるマス部材と、
前記板ばね部材の前記基部に形成された貫通孔に挿通され、前記床材に係合するように構成され、前記基部を前記床材の前記取付面に固定するための1つの軸状取付部材と、
を備え、
前記板ばね部材の前記基部は、前記貫通孔とは異なる位置に前記床材へ向かって突出して形成され、前記床材に対して前記軸状取付部材を中心とした回転方向に係合するように構成された回転規制突起を備える、制振床構造にある。
本発明の他の態様は、上記の制振床構造の製造方法であって、
前記回転規制突起を前記床材の前記取付面に突き刺すことにより、前記床材の前記取付面に凹部を形成すると共に、前記回転規制突起を前記床材の前記凹部に対して前記軸状取付部材を中心とした回転方向に係合する、制振床構造の製造方法にある。
前記回転規制突起を前記床材の前記取付面に突き刺すことにより、前記床材の前記取付面に凹部を形成すると共に、前記回転規制突起を前記床材の前記凹部に対して前記軸状取付部材を中心とした回転方向に係合する、制振床構造の製造方法にある。
本発明の一態様によれば、1つの軸状取付部材により、板ばね部材の基部が床材の取付面に固定される。軸状取付部材の数を1つとすることにより、施工性を良好にすることができる。さらに、板ばね部材の基部は、回転規制突起を備える。回転規制突起は、基部の貫通孔とは異なる位置に床材へ向かって突出して形成され、床材に対して軸状取付部材を中心とした回転方向に係合するように構成されている。つまり、板ばね部材と床材とは、1つの軸状取付部材と基部の回転規制突起とを係合部材として、係合されている。このように、板ばね部材と床材とが2種の係合部材により係合されることで、板ばね部材が床材に対して回転することが規制できる。
本発明の他の態様によれば、床材の凹部は、回転規制突起を床材の取付面に突き刺すことにより、床材の取付面に形成される。つまり、凹部は、床材の取付面に予め形成することなく、回転規制突起の突き刺しによって床材の取付面に形成することができる。従って、製造コストを低減することができる。さらに、回転規制突起を床材の取付面に突き刺すことで形成された凹部に回転規制突起が係合する。突き刺しによって形成された凹部に回転規制突起が係合することにより、回転規制力を高くすることができる。
(実施形態1)
1.制振床構造1の構成
本形態の制振床構造1の構成について図1~図3を参照して説明する。制振床構造1は、図1に示すように、床材2、板ばね式制振装置3、および、取付部材4を備える。
1.制振床構造1の構成
本形態の制振床構造1の構成について図1~図3を参照して説明する。制振床構造1は、図1に示すように、床材2、板ばね式制振装置3、および、取付部材4を備える。
床材2は、木質材、軽量気泡コンクリートパネル(ALCパネル)、パーティクルボードなどにより形成されている。床材2には、面状を有する部材の他に、梁部材などを含む。また、床材2は、一重床構造としても良いし、二重床構造としても良い。本形態では、床材2の下面を、板ばね式制振装置3が取り付けられる取付面11とする。ただし、床材2の上面を、板ばね式制振装置3が取り付けられる取付面11としても良い。
床材2には、第一凹部12が形成されている。本形態では、第一凹部12は、床材2の上面から下面に亘って貫通する貫通孔である。詳細には、第一凹部12は、床材2の上面側に開口し座面を有する大径部12aと、大径部12aの座面の中央部から床材2の下面に亘って貫通する小径部12bとを備える。大径部12aおよび小径部12bは、例えば、円筒内周面を有する形状に形成される。なお、第一凹部12は、床材2の取付面11側のみに開口し、底面を有する止まり孔とすることもできる。また、第一凹部12は、大径部12aを有することなく、小径部12bのみを有するように構成しても良い。
床材2には、さらに、板ばね式制振装置3が取り付けられた状態において、第二凹部13が形成されている。第二凹部13は、床材2の取付面11側に開口し、かつ、底面を有する。第二凹部13は、第一凹部12の近傍に形成されている。また、床材2の上面には、図示しないフローリング材を配置しても良い。
板ばね式制振装置3は、動吸振器を構成しており、床材2の取付面11に取り付けられる。板ばね式制振装置3は、動吸振器のばね部材として、板ばね部材を用いた構成を有する。板ばね式制振装置3は、板ばね部材21およびマス部材22を備える。また、本形態では、板ばね式制振装置3は、粘弾性体23を備えるが、粘弾性体23を備えない構成とすることもできる。
板ばね部材21は、長尺状に形成されている。板ばね部材21は、図1において左右方向が長手方向となる。本形態では、板ばね部材21は、金属板材をプレス成形することにより形成されている。
板ばね部材21は、床材2の取付面11に当接して配置された基部31と、基部31から延在し先端側が床材2に対して振動するように構成された弾性変形部32とを備える。本形態では、板ばね部材21は、1つの基部31と、1つの弾性変形部32とを備える構成を例に挙げる。ただし、板ばね部材21は、1つの基部31と、当該1つの基部31から延在する複数の弾性変形部32とを備える構成とすることもできる。いずれの場合においても、弾性変形部32の基端が基部31に接続されており、弾性変形部32の先端が自由端を構成する。
マス部材22は、板ばね部材21の弾性変形部32の先端側に取り付けられる。特に、マス部材22は、弾性変形部32の先端側のうち、床材2の取付面11に対向する面とは反対側の面(図1の下面)に取り付けられる。このように、マス部材22は、弾性変形部32の自由端にて、いわゆる片持ち支持されている。マス部材22は、弾性変形部32に弾性支持された状態にて、床材2の取付面11の法線方向に振動する。
粘弾性体23は、板ばね部材21の弾性変形部32の振動部位のうち、床材2の取付面11側の面に取り付けられる。粘弾性体23は、マス部材22が振動する際に、床材2の取付面11に常時接触する状態を保つようにしても良いし、接触状態と離間状態とを交互に繰り返すようにしても良い。
取付部材4は、板ばね式制振装置3を床材2に固定するための部材である。詳細には、取付部材4は、板ばね部材21の基部31を床材2に固定するための部材である。取付部材4は、少なくとも、1つの軸状取付部材41を備える。本形態では、軸状取付部材41は、ボルトを例に挙げるが、床材2の材質によっては、ねじ、ビス、くぎなどを適用することもできる。取付部材4は、軸状取付部材41の他に、座金42、および、ナット43を備える。なお、軸状取付部材41が、ねじ、ビス、くぎなどの場合には、ナット43を備えない。
軸状取付部材41は、例えば、頭部付きボルトである。軸状取付部材41は、床材2の第一凹部12に、床材2の上面から挿入されている。軸状取付部材41の頭部は、第一凹部12の大径部12aに位置し、軸状取付部材41の軸部の一部は、第一凹部12の小径部12bに位置し、軸状取付部材41の軸部の先端は、床材2の取付面11から外部に張り出している。このように、軸状取付部材41は、床材2に係合するように構成されている。さらに、軸状取付部材41の軸部の先端側は、板ばね部材21の基部31に挿通されることにより、基部31に対して係合するように構成されている。なお、軸状取付部材41は、床材2の第一凹部12に、床材2の下面である取付面11から挿入しても良い。この場合、軸状取付部材41は、図1の状態に対して、上下反転する。
座金42は、軸状取付部材41の頭部と床材2との間に介在される。本形態では、座金42は、軸状取付部材41の頭部と、床材2の第一凹部12の大径部12aにおける座面との間に介在されている。ナット43は、軸状取付部材41の軸部の先端側に螺合され、軸状取付部材41の頭部との間に、床材2および板ばね部材21の基部31を挟むことにより、板ばね部材21を床材2の取付面11に固定する。
2.板ばね部材21の詳細構成
板ばね部材21の詳細構成について図1、図4および図5を参照して説明する。上述したように、板ばね部材21は、床材2の取付面11に当接して配置される基部31と、基部31に一体的に形成され基部31の縁から延在する弾性変形部32とを備える。
板ばね部材21の詳細構成について図1、図4および図5を参照して説明する。上述したように、板ばね部材21は、床材2の取付面11に当接して配置される基部31と、基部31に一体的に形成され基部31の縁から延在する弾性変形部32とを備える。
基部31は、基部本体51を備える。基部本体51は、平板状に形成され、一方の面が床材2の取付面11に当接される。基部本体51には、1つの貫通孔51aが形成されている。図1に示すように、貫通孔51aは、床材2の第一凹部12の小径部12bに対応する位置に位置する。貫通孔51aには、軸状取付部材41の軸部が挿通される。従って、基部本体51は、軸状取付部材41によって、床材2の取付面11に当接した状態とされる。つまり、基部31は、軸状取付部材41によって、床材2の取付面11の法線方向に位置決めされる。
また、軸状取付部材41は、床材2の第一凹部12に挿通されているため、床材2に対して、床材2の取付面11の面方向に係合している。さらに、軸状取付部材41は、基部本体51の貫通孔51aに挿通されているため、基部本体51に対して、床材2の取付面11の面方向に係合している。従って、基部31は、軸状取付部材41によって、床材2の取付面11の面方向に位置決めされる。
弾性変形部32は、弾性変形本体部61を備える。弾性変形本体部61は、基部本体51の縁から、板ばね部材21の長手方向に延在するように設けられる。詳細には、弾性変形本体部61は、基部本体51の縁に連続的にかつ一体的に設けられ、床材2の取付面11に対向するように設けられる。つまり、弾性変形本体部61の基端が、基部本体51の縁に接続される。さらに、弾性変形本体部61の先端が、床材2の取付面11から離れた位置に位置する。弾性変形本体部61は、弾性変形可能に構成されている。従って、弾性変形本体部61の先端側が、床材2の取付面11に対して振動するように構成されている。また、弾性変形本体部61の先端側には、取付孔61aが形成されている。取付孔61aには、粘弾性体23が取り付けられる。
弾性変形部32は、さらに、一対のリブ部62を備える。一対のリブ部62は、基部本体51の幅方向(図5の上下方向)の両方の側縁、および、弾性変形本体部61の幅方向の両方の側縁から、立設される。一対のリブ部62は、板ばね部材21の弾性率を高める効果を有する。弾性変形部32は、さらに、一対のフランジ部63を備える。一対のフランジ部63は、一対のリブ部62のそれぞれから外側に広がるように設けられる。一対のフランジ部63のうち、弾性変形本体部61の先端側に対応する位置に、マス部材22が取り付けられる。
基部31は、基部本体51に加えて、回転規制突起52を備える。回転規制突起52は、基部本体51の貫通孔51aとは異なる位置にて、基部本体51のうち床材2の取付面11に当接する側の面から突出して形成される。つまり、回転規制突起52は、床材2に向かって突出して形成されている。本形態では、回転規制突起52は、板部材の一部が屈曲形成された部位としている。詳細には、回転規制突起52は、金属板材に対するプレス成形により、板状素材に対して折り曲げ加工が施されることにより形成される。
特に、回転規制突起52は、基部本体51における貫通孔51aよりも、マス部材22とは反対側に形成される。詳細には、回転規制突起52は、床材2の取付面11の法線方向から見た場合に、基部本体51における貫通孔51aとマス部材22の重心位置Gとをつなぐ直線L上の位置を含むように形成される。
さらに、本形態では、回転規制突起52は、基部本体51における貫通孔51aと基部本体51におけるマス部材22とは反対側の端縁との中間部位に形成される。詳細には、回転規制突起52は、基部本体51における当該中間部位にて、板ばね部材21の長手方向に向くU字状の切込みを行い、その後にU字状の中央部分の折り曲げ加工を施すことにより形成される。従って、回転規制突起52は、板ばね部材21の幅方向に延在するように形成される。
そして、図1に示すように、回転規制突起52は、床材2の第二凹部13に位置し、第二凹部13に対して、床材2の取付面11の面方向に係合する。従って、回転規制突起52は、図1に示すように、床材2に対して軸状取付部材41を中心とした回転方向に係合する。
3.制振床構造1の構成による効果
上述したように、制振床構造1は、床材2の取付面11に当接して配置された基部31、および、基部31から延在し先端側が床材2に対して振動するように構成された弾性変形部32を備える板ばね部材21と、板ばね部材21の弾性変形部32に取り付けられるマス部材22と、板ばね部材21の基部31に形成された貫通孔51aに挿通され、床材2に係合するように構成され、基部31を床材2の取付面11に固定するための1つの軸状取付部材41とを備える。そして、板ばね部材21の基部31は、貫通孔51aとは異なる位置に床材2へ向かって突出して形成され、床材2に対して軸状取付部材41を中心とした回転方向に係合するように構成された回転規制突起52を備える。
上述したように、制振床構造1は、床材2の取付面11に当接して配置された基部31、および、基部31から延在し先端側が床材2に対して振動するように構成された弾性変形部32を備える板ばね部材21と、板ばね部材21の弾性変形部32に取り付けられるマス部材22と、板ばね部材21の基部31に形成された貫通孔51aに挿通され、床材2に係合するように構成され、基部31を床材2の取付面11に固定するための1つの軸状取付部材41とを備える。そして、板ばね部材21の基部31は、貫通孔51aとは異なる位置に床材2へ向かって突出して形成され、床材2に対して軸状取付部材41を中心とした回転方向に係合するように構成された回転規制突起52を備える。
つまり、1つの軸状取付部材41により、板ばね部材21の基部31が床材2の取付面11に固定される。軸状取付部材41の数を1つとすることにより、施工性を良好にすることができる。さらに、板ばね部材21の基部31は、回転規制突起52を備える。回転規制突起52は、基部31の貫通孔51aとは異なる位置に床材2へ向かって突出して形成され、床材2に対して軸状取付部材41を中心とした回転方向に係合するように構成されている。つまり、板ばね部材21と床材2とは、1つの軸状取付部材41と基部31の回転規制突起52とを係合部材として、係合されている。このように、板ばね部材21と床材2とが2種の係合部材により係合されることで、板ばね部材21が床材2に対して回転することが規制できる。
また、回転規制突起52は、基部31の貫通孔51aよりもマス部材22とは反対側に形成される。つまり、回転規制突起52は、基部31において、貫通孔51aよりも、弾性変形部32の弾性変形本体部61とは反対側に形成される。従って、回転規制突起52が、弾性変形部32の弾性変形本体部61の変形に影響を及ぼすことを抑制できる。
また、回転規制突起52は、床材2の取付面11の法線方向から見た場合に、貫通孔51aとマス部材22の重心位置Gとをつなぐ直線L上の位置を含むように形成される。これにより、回転規制突起52に、軸状取付部材41を中心とした回転方向の係合力を高くすることができる。
また、板ばね部材21は、板部材により形成され、回転規制突起52は、板部材の一部が屈曲により形成された部位としている。従って、回転規制突起52の形成が容易となる。特に、回転規制突起52の形成は、板ばね部材21の他の部位の形成と同時に行うことができる。従って、製造コストの増加を抑制できる。
4.制振床構造1の製造方法
次に、制振床構造1の製造方法について図6~図9を参照して説明する。まず、図6および図7に示すように、軸状取付部材41および座金42を、床材2の第一凹部12に配置する(S1)。このとき、軸状取付部材41の軸部の先端が、床材2の取付面11から外側に突出している。
次に、制振床構造1の製造方法について図6~図9を参照して説明する。まず、図6および図7に示すように、軸状取付部材41および座金42を、床材2の第一凹部12に配置する(S1)。このとき、軸状取付部材41の軸部の先端が、床材2の取付面11から外側に突出している。
続いて、図6および図8に示すように、板ばね部材21の基部31の基部本体51が床材2の取付面11に対向するように、板ばね式制振装置3を配置する。このとき、作業者は、板ばね式制振装置3を下方から支える。そして、作業者が、板ばね式制振装置3を下方から支えた状態で、軸状取付部材41の軸部の先端を、板ばね部材21の基部31の貫通孔51aに挿通させる(S2)。
続いて、図6および図9に示すように、軸状取付部材41の先端にナット43を締め付ける(S3)。ナット43の締め付けに伴って、板ばね部材21の基部31の基部本体51が、床材2の取付面11にさらに接近する。つまり、軸状取付部材41およびナット43の軸力によって、回転規制突起52が、床材2の取付面11に突き刺される。そして、ナット43の締め付けは、基部31の基部本体51が当接する位置まで行われる。回転規制突起52が床材2の取付面11に突き刺されることにより、床材2の取付面11に第二凹部13を形成すると共に、回転規制突起52を床材2の第二凹部13に対して軸状取付部材41を中心とした回転方向に係合する。
取付部材4がねじ、ビス、くぎなどの軸状取付部材により構成される場合には、作業者が板ばね式制振装置3を下方から支えた状態で、取付部材4としてのねじなどを下方から床材2に締め付ける。ねじなどを床材2に締め付けることにより、板ばね部材21の基部31の基部本体51が床材2の取付面11に当接する。同時に、基部31の回転規制突起52が、床材2の取付面11に突き刺さり、床材2に係合する。第二凹部13は、回転規制突起52が突き刺されることにより形成される。
また、第二凹部13は、予め形成しておくこともできる。この場合、回転規制突起52は、予め形成された第二凹部13に挿入することで、回転規制突起52は第二凹部13に係合する。
上述したように、制振床構造1の製造方法は、回転規制突起52が床材2の取付面11に突き刺されることにより、床材2の取付面11に第二凹部13を形成すると共に、回転規制突起52を床材2の第二凹部13に対して軸状取付部材41を中心とした回転方向に係合する。
床材2の第二凹部13は、回転規制突起52を床材2の取付面11に突き刺すことにより、床材2の取付面11に形成される。つまり、第二凹部13は、床材2の取付面11に予め形成することなく、回転規制突起52の突き刺しによって床材2の取付面11に形成することができる。従って、製造コストを低減することができる。さらに、回転規制突起52を床材2の取付面11に突き刺すことで形成された第二凹部13に、回転規制突起52が係合する。突き刺しによって形成された第二凹部13に回転規制突起52が係合することにより、回転規制力を高くすることができる。
また、回転規制突起52は、貫通孔51aと基部31におけるマス部材22とは反対側の端縁との中間部位に形成されている。つまり、回転規制突起52は、基部31におけるマス部材22とは反対側の端縁に比べて、貫通孔51aに近い位置に位置する。従って、回転規制突起52を床材2の取付面11に突き刺す際に、軸状取付部材41の締め付け、すなわちナット43の締め付けに伴って高い突き刺し力を発揮できる。その結果、回転規制突起52が床材2の取付面11にしっかりと突き刺され、回転方向に高い係合力を発揮する。
5.回転規制突起52の例
回転規制突起52の例について図10および図11を参照して説明する。図10(a)に示す回転規制突起52は、平板状に形成されている。回転規制突起52が平板状であるため、回転規制突起52の形成が容易となる。
回転規制突起52の例について図10および図11を参照して説明する。図10(a)に示す回転規制突起52は、平板状に形成されている。回転規制突起52が平板状であるため、回転規制突起52の形成が容易となる。
図10(b)に示す回転規制突起52は、湾曲した形状に形成されている。詳細には、基部本体51の法線方向から見た場合に、回転規制突起52は、マス部材22とは反対側に曲率中心を有するように湾曲している。例えば、回転規制突起52は、マス部材22とは反対側に中心を有する円弧状に形成されている。この場合、高い回り止め効果を発揮する。
図10(c)に示す回転規制突起52は、湾曲した形状に形成されている。詳細には、基部本体51の法線方向から見た場合に、回転規制突起52は、マス部材22側に曲率中心を有するように湾曲している。例えば、回転規制突起52は、マス部材22側に中心を有する円弧状に形成されている。ここで、回転規制突起52を床材2の取付面11に突き刺す際に、床材2の第二凹部13を形成する材料が落下することがある。回転規制突起52を図10(c)のような湾曲形状とすることで、落下する材料が孔を通過して外部へ排出することができる。従って、基部31の基部本体51を床材2の取付面11に当接させて、板ばね式制振装置3を所望の姿勢に位置決めすることができる。
図10(d)に示す回転規制突起52は、基部本体51の法線方向から見た場合に、波状に形成されている。この場合も、高い回り止め効果を発揮する。図10(e)に示す回転規制突起52は、先端が折り返しによって折り返し部を有するように形成されている。これにより、回転規制突起52の先端部の剛性を高くすることができ、高い回り止め効果を発揮する。
図10(f)に示す回転規制突起52は、根元部分にリブを有している。リブを有することにより、回転規制突起52の剛性が高くなる。特に、回転規制突起52を床材2の取付面11に突き刺す際に、回転規制突起52の変形を抑制できるため、高い回り止め効果を発揮する。
図11に示す回転規制突起52は、根元部分に凹部を有する。ここで、回転規制突起52を床材2の取付面11に突き刺す際に、床材2の第二凹部13を形成する材料が落下することがある。回転規制突起52を図11のような形状とすることで、落下する材料が孔を通過して外部へ排出され、孔とは反対側においては凹部に堆積する。従って、基部31の基部本体51を床材2の取付面11に当接させて、板ばね式制振装置3を所望の姿勢に位置決めすることができる。
また、図10(a)~図10(f)および図11に示す回転規制突起52は、基部本体51に直交方向に延在するようにした。この他に、回転規制突起52は、基部本体51に直交方向から角度を有する方向に延在するようにしても良い。
(実施形態2)
実施形態2の制振床構造1を構成する板ばね部材121について図12および図13を参照して説明する。実施形態1と同一構成については同一符号を付す。以下の実施形態においても同様である。板ばね部材121は、基部131および弾性変形部32を備える。基部131は、基部本体51および回転規制突起152を備える。
実施形態2の制振床構造1を構成する板ばね部材121について図12および図13を参照して説明する。実施形態1と同一構成については同一符号を付す。以下の実施形態においても同様である。板ばね部材121は、基部131および弾性変形部32を備える。基部131は、基部本体51および回転規制突起152を備える。
回転規制突起152は、基部本体51におけるマス部材22(図1に示す)とは反対側の端縁に形成される。詳細には、回転規制突起152は、基部本体51における端縁にて、切込みを行い、切込み部分の中央部分の折り曲げ加工を施すことにより形成される。従って、回転規制突起152は、板ばね部材121の幅方向に延在するように形成される。回転規制突起152を、軸状取付部材41からの距離を遠くすることができるため、高い回り止め効果を発揮する。
(実施形態3)
実施形態3の制振床構造1を構成する板ばね部材221について図14および図15を参照して説明する。板ばね部材221は、基部231および弾性変形部32を備える。基部231は、基部本体51および回転規制突起252を備える。
実施形態3の制振床構造1を構成する板ばね部材221について図14および図15を参照して説明する。板ばね部材221は、基部231および弾性変形部32を備える。基部231は、基部本体51および回転規制突起252を備える。
回転規制突起252は、基部本体51における貫通孔51aと基部本体51におけるマス部材22(図1に示す)とは反対側の端縁との中間部位に形成される。詳細には、回転規制突起252は、基部本体51における当該中間部位にて、板ばね部材221の幅方向(図15の上下方向)に向くU字状の切込みを行い、その後にU字状の中央部分の折り曲げ加工を施すことにより形成される。従って、回転規制突起252は、板ばね部材221の長手方向に延在するように形成される。この場合、回転規制突起252は、軸状取付部材41を中心とした回転方向において、広い面積で床材2に係合する。従って、高い回り止め効果を発揮する。
(実施形態4)
実施形態4の制振床構造1を構成する板ばね部材321について図16および図17を参照して説明する。板ばね部材321は、基部331および弾性変形部32を備える。基部331は、基部本体51、および、2つの回転規制突起352を備える。
実施形態4の制振床構造1を構成する板ばね部材321について図16および図17を参照して説明する。板ばね部材321は、基部331および弾性変形部32を備える。基部331は、基部本体51、および、2つの回転規制突起352を備える。
2つの回転規制突起352は、基部本体51における貫通孔51aと基部本体51におけるマス部材22(図1に示す)とは反対側の端縁との中間部位に形成される。詳細には、2つの回転規制突起352は、基部本体51における当該中間部位にて、板ばね部材321の長手方向(図17の左右方向)に向くH字状の切込みを行い、その後にH字状の2つの中央部分の折り曲げ加工を施すことにより形成される。従って、2つの回転規制突起352は、相互に対向し、板ばね部材321の幅方向に延在するように形成される。このように、2つの回転規制突起352により床材2に係合することで、高い回り止め効果を発揮する。
なお、2つの回転規制突起352は、基部本体51における当該中間部位にて、板ばね部材321の幅方向(図17の上下方向)に向くH字状の切込みを行い、その後にH字状の2つの中央部分の折り曲げ加工を施すことにより形成されるようにしても良い。この場合、2つの回転規制突起352は、相互に対向し、板ばね部材321の長手方向に延在するように形成される。
(実施形態5)
実施形態5の制振床構造1を構成する板ばね部材421について図18および図19を参照して説明する。板ばね部材421は、基部431および弾性変形部32を備える。基部431は、基部本体51、および、3つの回転規制突起452を備える。
実施形態5の制振床構造1を構成する板ばね部材421について図18および図19を参照して説明する。板ばね部材421は、基部431および弾性変形部32を備える。基部431は、基部本体51、および、3つの回転規制突起452を備える。
3つの回転規制突起452は、基部本体51における貫通孔51aと基部本体51におけるマス部材22(図1に示す)とは反対側の端縁との中間部位に形成される。詳細には、3つの回転規制突起452は、基部本体51における当該中間部位にて、板ばね部材421の長手方向(図17の左右方向)に向くU字状およびH字状の複合形状の切込みを行い、その後にU字状およびH字状の3つの中央部分の折り曲げ加工を施すことにより形成される。従って、3つの回転規制突起452のうち1つは、板ばね部材421の幅方向に延在するように形成される。3つの回転規制突起452の残りの2つは、相互に対向し、板ばね部材321の長手方向に延在するように形成される。このように、3つの回転規制突起452により床材2に係合することで、高い回り止め効果を発揮する。なお、3つの回転規制突起452のうちいずれか2つのみにより構成するようにしても良い。
(実施形態6)
実施形態6の制振床構造1を構成する板ばね部材521について図20および図21を参照して説明する。板ばね部材521は、基部531および弾性変形部32を備える。基部531は、基部本体51、および、回転規制突起552を備える。
実施形態6の制振床構造1を構成する板ばね部材521について図20および図21を参照して説明する。板ばね部材521は、基部531および弾性変形部32を備える。基部531は、基部本体51、および、回転規制突起552を備える。
回転規制突起552は、基部本体51における貫通孔51aと基部本体51におけるマス部材22(図1に示す)とは反対側の端縁との中間部位に形成される。回転規制突起552は、基部本体51における当該中間部位にて、ダボ出し加工により形成されるダボである。ダボの形状は、円筒状としても良いし、角筒状など任意の形状としても良い。この場合も、回転規制突起552は、高い回り止め効果を発揮する。
1 制振床構造
2 床材
11 取付面
21,121,221,321,421,521 板ばね部材
22 マス部材
31,131,231,331,431,531 基部
32 弾性変形部
41 軸状取付部材
51a 貫通孔
52,152,252,352,452,552 回転規制突起
2 床材
11 取付面
21,121,221,321,421,521 板ばね部材
22 マス部材
31,131,231,331,431,531 基部
32 弾性変形部
41 軸状取付部材
51a 貫通孔
52,152,252,352,452,552 回転規制突起
Claims (7)
- 床材の取付面に当接して配置された基部、および、前記基部から延在し先端側が前記床材に対して振動するように構成された弾性変形部を備える板ばね部材と、
前記板ばね部材の前記弾性変形部に取り付けられるマス部材と、
前記板ばね部材の前記基部に形成された貫通孔に挿通され、前記床材に係合するように構成され、前記基部を前記床材の前記取付面に固定するための1つの軸状取付部材と、
を備え、
前記板ばね部材の前記基部は、前記貫通孔とは異なる位置に前記床材へ向かって突出して形成され、前記床材に対して前記軸状取付部材を中心とした回転方向に係合するように構成された回転規制突起を備える、制振床構造。 - 前記回転規制突起は、前記貫通孔よりも前記マス部材とは反対側に形成される、請求項1に記載の制振床構造。
- 前記回転規制突起は、前記貫通孔と前記基部における前記マス部材とは反対側の端縁との中間部位に形成される、請求項2に記載の制振床構造。
- 前記回転規制突起は、前記床材の前記取付面の法線方向から見た場合に、前記貫通孔と前記マス部材の重心位置とをつなぐ直線上の位置を含むように形成される、請求項2または3に記載の制振床構造。
- 前記板ばね部材は、板部材により形成され、
前記回転規制突起は、前記板部材の一部が屈曲により形成された部位である、請求項1~4のいずれか1項に記載の制振床構造。 - 前記回転規制突起は、前記床材の凹部に対して前記軸状取付部材を中心とした回転方向に係合するように構成され、
前記床材の前記凹部は、前記回転規制突起を突き刺すことにより形成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の制振床構造。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の制振床構造の製造方法であって、
前記回転規制突起が前記床材の前記取付面に突き刺されることにより、前記床材の前記取付面に凹部を形成すると共に、前記回転規制突起を前記床材の前記凹部に対して前記軸状取付部材を中心とした回転方向に係合する、制振床構造の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2022048875A JP2023142147A (ja) | 2022-03-24 | 2022-03-24 | 制振床構造およびその製造方法 |
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JP2022048875A JP2023142147A (ja) | 2022-03-24 | 2022-03-24 | 制振床構造およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2023142147A true JP2023142147A (ja) | 2023-10-05 |
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Family Applications (1)
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JP2022048875A Pending JP2023142147A (ja) | 2022-03-24 | 2022-03-24 | 制振床構造およびその製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2023142147A (ja) |
-
2022
- 2022-03-24 JP JP2022048875A patent/JP2023142147A/ja active Pending
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