JP2023141055A - O/w型乳化チョコレートの作製方法 - Google Patents

O/w型乳化チョコレートの作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定な乳化状態をもたらす乳化処理を行うことができ、かつ、カカオの繊細な風味が失われない、O/W型の乳化チョコレートを作製する手段を提供すること。【解決手段】微粒化されたチョコレートと水系原料とを混合し、乳化処理を行うことにより、乳化状態が安定し、チョコレートらしい味わいを維持することができる、O/W型の乳化チョコレートを作製することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、O/W型乳化チョコレートの作製方法に関し、具体的には、微粒化チョコレートと水系原料とを混合して混合チョコレートを調製する工程と工程(a)で調製された混合チョコレートを乳化する工程とからなる、O/W型乳化チョコレートの作製方法に関する。
水、生クリーム、水飴等の水系原料とチョコレート原料とを混合して水中油型(O/W型)に乳化させたチョコレート製品は、O/W型含水チョコレートとして、近年、ガナッシュや生チョコレートといった製品名で販売される非常に人気のある洋菓子として、また、チョコレート菓子におけるフィリング等として広く使用されている。
従来、O/W型含水チョコレートは、粉状のチョコレートに油脂を混合し、精錬(コンチング)工程を行うことによりペースト状チョコレートを調製し、かかるペースト状チョコレートに水系原料を混合して乳化処理を行うことにより作製することが一般的であった。コンチングとは、例えば、微粒化チョコレートに油脂を添加し、強力な力で長時間練り上げペースト状チョコレートにする工程とされ、摩擦熱によって水分や酸味が放出され、より滑らかで口溶けのよいチョコレートらしい風味に仕上がるとされている。しかし、コンチングをした場合又はコンチングをしない場合であっても、油系であるペースト状チョコレート成分と水系原料とを乳化処理したO/W型含水チョコレートは乳化状態が不安定になりやすく、製造後に油分の分離や食感の悪化が起こるおそれがあった。
安定なO/W型に乳化されたチョコレート類を作製するためには、分散したエマルションが合一して乳化が破壊されることを防ぐことにより乳化を安定させることが一つの方策とされ、そのために、水相のpHが5.5以下、糖度が40~75%であり、食品全体に対して、水溶性大豆多糖類の含有量が0.01重量%以上、カゼイン含有量が2.0重量%以下である、乳化が安定して分離しにくい酸性水中油型乳化食品が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。また、グリセリンモノ脂肪酸エステルを0.01~0.5重量%含有してなる水中油型乳化チョコレート加工食品(例えば、特許文献2等参照)や、HLB13~18のショ糖脂肪酸エステル0.1~3.0重量%を含有する溶解したチョコレートを使用したガナッシュ様食品(例えば、特許文献3等参照)が提案されている。しかし、食品用に適切なタンパク質や界面活性剤を選択し添加することはコストがかかり、また、カゼインの添加量が多い場合風味を阻害するおそれがあるとされる。
他方、乳化処理において、油分のエマルション粒子径をより小さくして水相に分散させることが、乳化状態を安定させるための他の方策として知られており、無脂カカオ分2~50重量%、油脂10~44重量%、無脂乳固形分0.5~20重量%、水分10~50重量%、及びHLBが8以上のポリグリセリン脂肪酸エステル0.05~1重量%含む水中油型エマルションであり、レーザー回折式粒度分布測定装置によるエマルション粒子径がメジアン径で7μm以下であり、そして5℃において非流動状態にある、加温融解を繰り返しても油分離を起こさないチョコレート利用食品(例えば、特許文献4等参照)が提案されているが、ホモミキサーにより10000rpmにて30分間攪拌する等の乳化処理が行われており、かかる厳しい条件による乳化処理は、機械にも負荷がかかりやすいため長期的に製造することができないおそれがある。
特開2021-112148号公報 特開昭61-52256号公報 特開2019-024496号公報 特開平5-284911号公報
本発明の課題は、安定な乳化状態をもたらす乳化処理を行うことができ、かつ、カカオの繊細な風味が失われず、チョコレートらしい味わいを維持することができる、O/W型の乳化チョコレートの作製手段を提供することにある。
本発明者らは、O/W型の乳化チョコレートの作製方法について、鋭意検討を重ねてきたが、微粒化されたチョコレートに油脂を混合し、精錬(コンチング)を行うことによりペースト状チョコレートを調製し、かかるペースト状チョコレートに水系原料を混合して乳化処理を行うという従来の方法から、コンチングの工程を省いてみることを思いついた。そこで、コンチングを行うことなく、微粒化されたチョコレートに水系原料を混合し、乳化処理を行ってみたところ、従来、ペースト状チョコレートを用いた場合と同程度の攪拌速度において乳化処理を行った場合でも、より粒子径の小さい油滴を有するエマルションが得られ、より安定な乳化状態が維持されるとともに、カカオの繊細な風味が失われず、チョコレートらしい味わいを維持することができるO/W型の乳化チョコレートを作製できることを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]以下の工程(a)及び(b)を備えるO/W型乳化チョコレートの作製方法。
(a)微粒化チョコレートと水系原料とを混合して混合チョコレートを調製する工程;
(b)工程(a)で調製された混合チョコレートを乳化する工程;
[2]混合チョコレートにおける水系原料の割合が、混合チョコレートの10質量%~50質量%であることを特徴とする、上記[1]記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
[3]O/W型乳化チョコレートにおける油滴の最大粒子径帯が、5~15μmであることを特徴とする、上記[1]又は[2]記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
[4]微粒化チョコレートの粒径が10~50μmであることを特徴とする、上記[1]~[3]のいずれか記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
[5]混合チョコレートを撹拌により乳化し、乳化する攪拌速度が500~8000rpmであることを特徴とする、上記[1]~[4]のいずれか記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
[6]工程(a)において、油滴を構成する6%以下の油性成分をさらに混合して、混合チョコレートを調製することを特徴とする、上記[1]~[5]のいずれか記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
[7]工程(a)の前に、粗チョコレートを、微粒化処理により微粒化チョコレートを調製する工程(a’)をさらに備えることを特徴とする、上記[1]~[6]のいずれか記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
[8]工程(a’)の前に、カカオ分と副原料とを混合することにより粗チョコレートを調製する工程(a’’)をさらに備えることを特徴とする、上記[1]~[7]のいずれか記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
[9]上記[1]~[8]のいずれか記載の方法により作製されたO/W型乳化チョコレート。
本発明のO/W型乳化チョコレートの作製方法によると、従来行われていた、ペースト状チョコレートに水系原料を混合して乳化処理を行う方法と比較すると、コンチングの工程を省くことができる点でコスト的に有利であり、より短時間の乳化処理により、より粒子径の小さい油滴が分散する乳化安定性の高い優れたO/W型チョコレートを、レシチン以外の乳化剤やタンパク質等が含まれていない場合においても作製することができる。
実施例2の乳化チョコレートの顕微鏡写真である。矢印により油滴の例が示されている。 比較例2の乳化チョコレートの顕微鏡写真である。矢印により油滴の例が示されている。
本発明のO/W型乳化チョコレートの作製方法としては、(a)微粒化チョコレートと水系原料とを混合して混合チョコレートを調製する工程と、(b)工程(a)で調製された混合チョコレートを乳化する工程とを備える方法であれば特に限定されず、乳化とは、互いに溶解しない二つの液体の一方が微細な液滴となってもう一方の液体中に分散した状態にすることをいい、O/W型の乳化とは、水相を連続相とし、微小な油滴が均一に存在する状態にすることをいう。
工程(a)の混合チョコレートを調製する工程としては、微粒化チョコレートと水系原料とを混合する工程であれば特に限定されず、上記微粒化チョコレートとしては、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」で規定されているチョコレート生地や準チョコレート生地に該当するものに必ずしも限定されることなく、カカオ分を含み、必要に応じてチョコレート副原料を含み、油脂が連続相を形成する微粒化したチョコレートを挙げることができ、水分含有量が3質量%以下であるとより好ましい。
上記カカオ分としては、カカオ豆由来の成分であれば特に限定されないが、カカオ豆をローストして砕き、外皮を取り除いたカカオニブ、カカオニブを擦りまぜて油分をひき出し液状としたカカオリカー、カカオリカーを固めて固体にしたカカオマス、カカオニブから脂肪分を抽出したココアバター、カカオニブからココアバターを抽出した後の固形物であるココアケーキ、ココアケーキをパウダー状にしたココアパウダーから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。
上記チョコレート副原料としては、カカオバターの代用脂;糖類、乳製品、香料、色素、乳化剤、フルーツパウダー、茶粉末などの呈味素材等を例示することができ、上記カカオバターの代用脂としては、バター、パーム油、パーム核油、菜種油、コーン油、綿実油、大豆油、米糠油、オリーブ油、豚脂、牛脂、魚油、及び、これらに水素添加して得られた各種硬化油、並びにこれらの油脂を原料にエステル交換して得られる各種エステル交換油から選ばれる1種又は2種以上を例示することができる。これらのカカオバターの代用脂は、カカオバターの代用として添加することができるが、カカオバターと併用して使用することも可能である。
上記糖類としては、特に限定されないが、砂糖、粉糖、乳糖、液糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、黒糖、還元水飴、転化糖、オリゴ糖、コーンシロップ、及びソルビトール、トレハロース等の糖アルコールから選ばれる1種又は2種以上を例示することができ、糖類の微粒化チョコレートにおける配合量としては、0~60質量%を例示することができ、好ましくは0~55質量%であり、より好ましくは5~50質量%であり、さらに好ましくは20~48%質量である。
上記乳製品としては、乳脂肪分、無脂乳固形分等の乳固形分、全粉乳、脱脂粉乳、粉末生クリーム、練乳パウダー、ホエイパウダーなどから選ばれる1種又は2種以上を例示することができ、乳製品の微粒化チョコレートにおける配合量としては、0~20質量%を例示することができ、好ましくは0~18質量%又は2~18質量%であり、より好ましくは0~15質量%又は5~15質量%である。
微粒化チョコレートにおけるカカオ分とチョコレート副原料の成分の配合割合としては、以下を例示することができる。
(1)チョコレート生地
1)35%以上のカカオ分(内18%以上のココアバター)を含み、乳固形分を任意に含み、3%以下の水分を含むチョコレート生地;
2)21%以上のカカオ分(内18%以上のココアバター)と、カカオ分と合わせて35%以上となる量の乳固形分(内3%以上の乳脂肪)と、3%以下の水分とを含むチョコレート生地;
3)21%以上のカカオ分(内18%以上のココアバター)と、14%以上の乳固形分(内3%以上の乳脂肪)と、3%以下の水分とを含むチョコレート生地;
なお、上記いずれのチョコレート生地においても残部は、糖類、代用脂等の副原料を添加することができる。
(2)準チョコレート生地
1)15%以上のカカオ分(内3%以上のココアバター)を含み、乳固形分を任意に含み、18%以上の脂肪分と、3%以下の水分を含む準チョコレート生地;
2)7%以上のカカオ分(内、3%以上ココアバター)、12.5%以上の乳固形分(内2%以上の乳脂肪)と、18%以上の脂肪分と、3%以下の水分を含む準チョコレート生地;
なお、上記いずれの準チョコレート生地においても残部は、糖類、代用脂等の副原料を添加することができる。
上記微粒化チョコレートを調製する方法としては、粗チョコレートを、微粒化処理をすることにより微粒化チョコレートを調製する工程(a’)を、上記工程(a)の前に行う方法を挙げることができる。上記粗チョコレートは、微粒化処理を行う微粒化チョコレートを調製する前の微粒化チョコレートを構成する上記カカオ分と、上記副原料との混合物であって、粗チョコレートの形状としては、微粒化処理を行うことができる形状であることが好ましく、例えばロールリファイナーに供することができる形状が好ましい。
上記粗チョコレートを調製する方法としては、公知の方法であれば特に限定されず、微粒化チョコレートを構成するカカオ分と、副原料とを加温して混合することにより、粗チョコレートを調製する工程(a’’)は、上記工程(a’)の前に行うことができる。
上記微粒化処理を行う方法としては、粗チョコレートを微粒化することにより微粒化チョコレートを調製することができる装置により行う方法であれば特に限定されず、具体的には、ロールリファイナー、グラインダー、ボールミル、ストーンミルなどを用いて磨砕して所望の粒径の微粒化チョコレートを調製することができる。
上記微粒化チョコレートは、球形又は略球形であることが好ましく、その粒径としては、10μm~50μmを挙げることができ、12μm~50μmが好ましく、15μm~50μmが好ましく、15μm~47μmがより好ましく、17μm~47μmがさらに好ましい。微粒化チョコレートの粒径は公知のマイクロメーターを用いて測定することができる。
上記水系原料としては、O/W型乳化チョコレートの乳化状態において水相を構成できる原料であれば特に限定されず、水、水飴、生クリーム、牛乳、濃縮乳、果汁、フルーツピューレ、洋酒又は、脱脂粉乳もしくは全脂粉乳の水溶液や懸濁液等を挙げることができる。
上記生クリームとしては、生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を大部分除去したものを挙げることができるが、生クリームはそれ自体が乳脂肪分を含有する乳化物であって、例えば油滴径として0.5~4μm程度の非常に微細な油滴を有する水中油型乳化物であるため、水相の構成要素としてO/W型乳化チョコレートを構成することができる。
工程(a)において混合する、微粒化チョコレートと水系原料の配合割合としては、水系原料の割合が10~50質量%を例示することができ、具体的には、微粒化チョコレート:水系原料=90:10~50:50を挙げることができ、90:10~55:45が好ましく、80:20~50:50が好ましく、80:20~55:45が好ましく、75:25~65:35が好ましく、70:30~50:50が好ましく、70:30~55:45が好ましい。
上記工程(a)においては、O/W型乳化チョコレートの乳化状態の安定性を高めるために、公知の乳化安定性を高める原料を添加することもできる。大豆タンパク;乳タンパクなどのタンパク、レシチン;ショ糖脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;テトラグリセロールモノラウレート、ヘキサグリセロールモノステアレート、ヘキサグリセロールセスキステアレート、ヘキサグリセロールモノオレート、ヘキサグリセロールモノラウレート、デカグリセロールモノステアレート、デカグリセロールモノオレエート、デカグリセロールモノラウレート等のポリグリセリン脂肪酸エステルなどの乳化剤などを例示することができる。
上記工程(a)においては、微粒化チョコレートと水系原料を混合して混合チョコレートを調製する際に、本発明の効果を妨げない範囲において、いわゆる追加添加材料として、キャラメルペースト、抹茶等の水相を構成する成分や、バター、ナッツパウダー、ナッツペースト等の油滴を構成する成分などを、O/W型乳化チョコレートに風味付けをするために、さらに追加して添加(追加添加)することができる。添加できる量としては、油滴を構成する油性成分であれば、O/W型乳化チョコレートに対して6質量%以内、好ましくは3質量%以内を挙げることができ、水相を構成する成分であれば、O/W型乳化チョコレートに対して15質量%以内、好ましくは12質量%以内を挙げることができる。
本発明において、乳化剤は乳化状態を安定化する目的の他、チョコレートを製造する目的で使用される。本試験で使用されているレシチンはチョコレート製造において製造中の物性安定のために用いられており、微粒化チョコレートにおいては微粒化前の粗チョコレートがロールリファイナー等に供するのに適した形状に調整しやすくする効果があり、ペースト状チョコレートにおいてはペーストの流動性を安定させる効果がある。例えば、レシチンは微粒化チョコレートにおいては粗チョコレートを調製する工程(a’’)にて添加される。
乳化剤には乳化状態を安定化する目的で添加されるものもあり、混合チョコレートを乳化する工程(b)においては、乳化剤と乳化手段が用いられる。乳化剤は、工程(b)において添加することもできるが、粗チョコレートを調製する工程(a’’)において、あらかじめ添加しておくこともできる。乳化状態を安定化させる目的で混合チョコレートを乳化する工程(b)において使用できる乳化剤としては、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル;ソルビタン脂肪酸エステル;テトラグリセロールモノラウレート、ヘキサグリセロールモノステアレート、ヘキサグリセロールセスキステアレート、ヘキサグリセロールモノオレート、ヘキサグリセロールモノラウレート、デカグリセロールモノステアレート、デカグリセロールモノオレエート、デカグリセロールモノラウレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル、等を例示することができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用することもできる。また、上記のように、粗チョコレートの調製時に乳化剤を含めておくことも可能であるし、乳化剤が既に含まれている微粒化チョコレートを使用することも可能である。
本発明のO/W型乳化チョコレートの作製方法において、乳化状態を安定化させる目的で添加させる上記乳化剤については必ずしも必要ではないが、例えば0~1質量%配合することが好ましい。乳化剤がレシチンである場合の配合量としては、O/W型乳化チョコレートに対して、終濃度で好ましくは0.005~0.3質量%であり、より好ましくは0.01~0.2質量%であり、さらに好ましくは0.012~0.18質量%を挙げることができる。
上記工程(b)において使用できる乳化手段としては、O/W型乳化チョコレートを作製できる装置であれば限定されず、スティックミキサー、スタンドミキサー、高速回転する回転体が被処理物にせん断力を与え、脂肪球を小さく粉砕するコロイドミル;高速回転する回転体(タービン)と、それを囲むように配置された固定環(ステーター)により構成され、被処理物がタービンとステーターの間に存在する空隙を通過する際に、回転体外周の表面近傍で速度勾配により生じるせん断力を受けるホモミキサー;高速にて攪拌を行う高速攪拌機;超音波を発振し、キャビテーションによりせん断力を与える超音波乳化装置;高圧ホモジナイザー等を例示することができる。
上記装置を用いて混合チョコレートを攪拌する速度としては、500~8000rpmが好ましく、750~6000rpmがより好ましい。乳化処理を行う温度としては、50~70℃が好ましく、50~60℃がより好ましい。
上記乳化状態が安定したO/W型乳化チョコレートにおける油滴の最大粒子径帯としては、5~15μm(5μm以上15μm以下)が好ましく、6~15μm以下が好ましく、7~15μmが好ましく、また、5~12μmや、5~10μmも好ましい範囲として挙げることができる。
上記最大粒子径帯は、本発明のO/W型乳化チョコレートにおける乳化状態を評価する指標であり、作製されたO/W型乳化チョコレートについて、乳化状態を観察するため、例えばサンプル:水=1:2で希釈してからプレパラートを作製し、顕微鏡を使用した観察により又は所定のサイズの顕微鏡写真を使用した観察により、粒子径サイズの大きい油滴に着目して目視にて評価を行うことができる。例えば、450μm×600μmのサイズ、すなわち0.27mmのサイズの写真において、粒径の大きい油滴から順番に10個の油滴を選択してそれぞれ粒子径を、上記10個の油滴粒子径の範囲を最大粒子径帯とする。粒子径は、例えば上記顕微鏡写真の画像から縮尺に応じて算出することができる。本発明においては、例えば、油滴の最大粒子径帯が5~15μm、5~10μm、10~15μmの場合に乳化状態が細かく適切であり、最大粒子径帯の範囲が15μmを超えた場合、例えば17μm以上となった場合に乳化の状態が粗く、ざらついた食感を与えるため不適切であると評価することができる。
本発明の方法によって作製されたO/W型乳化チョコレートは、いわゆるガナッシュとして、絞り袋を用いてお菓子のトッピングに使用したり、チョコレート菓子等におけるフィリングとして使用できるほか、充填や成型工程を経て、生チョコレートやガナッシュという呼称で製品化される。市場において、生チョコレートとガナッシュとについて明確な違いはないが、一般的には生チョコレートは生クリームを含む製品を指す。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[実験例1]
[微粒化チョコレートの調製]
以下の処方1及び処方2にしたがい、二種類の微粒化チョコレートを作製した。
Figure 2023141055000001
Figure 2023141055000002
上記処方1においては、カカオマス、植物油脂を50℃程度にて溶かし、ココアパウダー、全粉乳、乳糖、砂糖、及びレシチンを溶けたカカオマスに混合して粗チョコレート1とした。粗チョコレート1を、ロールリファイナー(ビューラー株式会社製)で微粒化を行い、平均粒径17μmの微粒化チョコレート1を得た。微粒化チョコレートの粒径は、マイクロメーター(MDC-25MX、ミツトヨ社製)を用いて測定した。
上記処方2においては、カカオマスとココアバターとを50℃程度にて溶かし、ココアパウダー、全粉乳、乳糖、砂糖、及びレシチンを、溶けたカカオマスとココアバターに混合して粗チョコレート2とした。粗チョコレート2は、ロールリファイナーで微粒化を行い、平均粒径25μmの微粒化チョコレート2を得た。
[O/W型乳化チョコレ―トの調製]
(混合チョコレートの調製)
上記微粒化チョコレート1又は2を使用してO/W型乳化チョコレートを調製した。微粒化チョコレート1又は2はO/W型乳化チョコレ―ト全体の66質量%となるように使用し、水系原料として、水を全体の17質量%、還元水飴を全体の17質量%となるよう使用した。水と還元水飴とを約80℃まで加温し、上記微粒化チョコレート1又は2を混合して混合チョコレート1及び2を調製した。
(乳化処理)
上記調製された混合チョコレート1及び2について、乳化処理を行った。ホモミキサー(T.K.HOMO MIXER、特殊機化工業株式会社製)、又は、高速撹拌機(Stephan mixer UMC5、Stephan社製)を用いて、様々な攪拌速度にて乳化処理を行い、実施例1~7に示される各種微粒化チョコレート由来O/W型乳化チョコレートを調製した。上記ホモミキサー及び高速撹拌機を用いた場合、乳化の処理時間は、いずれも約10分とした。乳化処理時の品温は、50~60℃にて維持するようにした。
ホモミキサー及び高速攪拌機の攪拌速度はrpmで表し、官能評価としてカカオ風味の評価;乳化評価として油滴の最大粒子径帯;加工時に温度調整(温調)作業が行われることを想定し25℃及び30℃それぞれの温度における分離しやすさ;25℃及び30℃に加温後の食感;について、以下の表3に示した。
Figure 2023141055000003
[比較例]
[ペースト状チョコレートの調製]
以下の処方3及び処方4にしたがい、二種類のペースト状チョコレートを作製した。
Figure 2023141055000004
Figure 2023141055000005
上記処方3においては、カカオマス、植物油脂のうち10%を約50℃にて溶かし、ココアパウダー、全粉乳、乳糖、砂糖を溶けたカカオマス、植物油脂に混合し、さらに0.05%のレシチンを混合し、粗チョコレートaとした。粗チョコレートaを、ロールリファイナーで微粒化を行い、平均粒径18μmの微粒化チョコレートaとした。かかる微粒化チョコレートaに残りの植物油脂9.5%を加えてコンチングを行い、さらに残りの0.35%のレシチンを添加してペースト状チョコレートaとした。
上記処方4においては、カカオマスと9%のココアバターとを約50℃にて溶かし、ココアパウダー、全粉乳、乳糖、砂糖、植物油脂、及び0.05%のレシチンを、溶けたカカオマスとココアバターに混合して粗チョコレートbとした。粗チョコレートbは、ロールリファイナーで微粒化を行い、平均粒径24μmの微粒化チョコレートbとした。かかる微粒化チョコレートbに残りの9%のココアバターを加えてコンチングを行い、さらに残りの0.35%のレシチンを添加してペースト状チョコレートbとした。
[O/W型乳化チョコレ―トの調製]
上記ペースト状チョコレートa又はbを使用してO/W型乳化チョコレートを調製した。ペースト状チョコレートa又はbはO/W型乳化チョコレ―ト全体の66質量%となるように使用し、水系原料として、水を全体の17質量%、還元水飴を全体の17質量%となるよう使用した。
(乳化処理)
水と還元水飴を約80℃まで加温し、上記ペースト状チョコレートa又はbを混合して混合チョコレートa及びbを調製した他は、上記実施例の乳化処理の手順と同様に乳化処理を行い、比較例1~7の各種ペースト状チョコレート由来O/W型乳化チョコレートを調製した。
ホモミキサー及び高速攪拌機の攪拌速度はrpmで表し、カカオ風味の官能評価;乳化評価として、エマルションの油滴の最大粒子径帯;加工時に温調をとることを想定し25℃及び30℃それぞれの温度における分離しやすさと食感;について、以下の表6に示した。
Figure 2023141055000006
[実験例2]
[官能評価]
熟練した研究員5名にて、各種の評価基準にて上記実験例1及び比較例で作製された各O/W型乳化チョコレートの官能評価を行った。
(カカオ風味)
カカオ風味の官能評価を行った。カカオ風味はカカオ特有のチョコレートらしさを出す風味であるが、剪断をかけすぎると消えてしまう風味でもある。
≪評価基準≫
5 : カカオ風味が強く感じられる
4 : カカオ風味がやや強い。
3 : カカオ風味が強くはないが、チョコレートらしさは十分感じられる。
2 : カカオ風味がやや弱く、チョコレートとしてやや物足りなさを感じる。
1 : カカオ風味が弱く、チョコレートらしさが足りない。
(結果)
・実施例1、2、5及び6において攪拌速度は、750~2000rpmであって、評価は4で、カカオ風味がやや強く感じられた。
・実施例3及び7において攪拌速度は3000~4000rpmであって、評価は3で、カカオ風味が強くはないが、チョコレートらしさは十分感じられた。
・実施例4において攪拌速度は、6000rpmであって、評価は2で、カカオ風味がやや弱かった。
(乳化評価)
各試料は油滴を観察しやすくするため、サンプル:水=1:2で希釈してからプレパラートを作製し、顕微鏡写真から判断を行った。顕微鏡(DIGITAL MICROSCOPE KH-1300、株式会社ハイロックス製)にて倍率400倍にて観察を行った。一般的に細かく均一な乳化が好ましいとされているためサイズの大きい油滴の粒子径に着目して評価を行った。サイズの大きいものをピックアップし、画面サイズ(450μm×600μm)において油滴の粒子径が一番大きい粒子径を有する油滴から順に10個を選択し、それぞれの粒子径を測定し、かかる10個の油滴の粒子径の範囲を「最大粒子径帯」として表記した。粒子径帯の値が大きいほど乳化が粗い、小さいほど乳化が細かいと評価した。図1は、実施例2の顕微鏡写真であり、最大粒子径帯が5~10μmの油滴であるエマルションが示された。5~10μm粒子径を有する油滴の例が矢印で示されている。図2は、比較例2の顕微鏡写真であり、最大粒子径帯が20~25μmの油滴を有するエマルションが示された。
固形分と油滴が両方あるサンプルではカカオ固形分等の固形分も画面上に現れるが、固形分は乳化状態の要素としては評価できない。不定形で真っ黒なものが固形分であると考えられるが、サイズの大きい油滴は顕微鏡の焦点が合っていないために黒く見えるものもあるため、今回は、顕微鏡の焦点を変えながら観察を行い目視にて油滴の存在を確認した。判断がつきにくい場合、顕微鏡で偏光をかけると油滴を光らせることができる。油系のチョコレートであれば油脂の他、砂糖結晶も反応するが、水分の多い条件下では砂糖は水に溶けているため、実質的にほぼ油滴のみが反応する。
(結果)
微粒化チョコレート1又は2を使用した場合、攪拌速度が750rpm(実施例5)、1000rpm(実施例1)、1500pm(実施例6)、2000rpm(実施例2)、3000rpm(実施例7)、4000rpm(実施例3)、6000rpm(実施例4)のいずれにおいても、油滴の最大粒子径帯はすべて5~10μmであった。一方、ペースト状チョコレートa又はbを使用した場合、1000rpm(比較例1)では25~30μm、2000rpm(比較例2)では20~25μm、4000rpm(比較例3)では19~24μm、6000rpm(比較例4)では17~22μm、750rpm(比較例5)では20~25μm、1500rpm(比較例6)では17~22μm、3000rpm(比較例7)では16~21μmであった。
(加温時の分離評価)
O/W型乳化チョコレートは衛生上5~10℃程度の冷蔵帯で保存されることが多いが、充填やサンドなど加工に使用する場合は加工しやすい硬さに調整するため、温調作業が行われることが多い。ただし、この温調工程は条件によってはO/W型乳化チョコレートの分離を起こす場合もある。そのため、保存されている温度である5~10℃から、25℃及び30℃に加温した場合の、それぞれのO/W型乳化チョコレートの分離しやすさを確認した。それぞれカップ状の容器に各乳化チョコレート試料を50gずつ採取し、25℃又は30℃にて5時間静置した。その後、それぞれのカップ中のサンプルを確認し、油分の分離状態を確認した。目視で確認しにくい場合、サンプルを10℃以下で冷却し、油脂を固化させた。これにより油脂が白く固まるため確認しやすくなる。
≪評価基準≫
5:冷却させてもはっきりわかる油分の分離は確認できない。
4:目視で分かりにくいが、10℃以下で冷却して油脂を固化させると、ガナッシュの端の一部に油分が確認できる。
3:ガナッシュの端の方の一部だけに目視でわかる油分が見られる。
2:ガナッシュの端の方の全体的に目視でわかる油分が見られる。
1:激しい分離。大量の油分が出ている。
サンプル同士の比較等の中で差はあるが一段階ほどの差でない場合、中間の0.5ずつの評価も可とした。
(結果)
微粒化チョコレートを使用した実施例1~7においては、「25℃」に加温した場合については、ホモミキサーにより1000~6000rpmにて攪拌された場合においても、高速撹拌機により750~3000rpmにて攪拌された場合においても、いずれも4.5~5であり分離はほとんどみられなかった。「30℃」に加温した場合における評価はいずれも3.5~4であり、一部に油分が確認できる程度であった。
ペースト状チョコレートを使用した比較例1~7においては、「25℃」に加温した場合については、ホモミキサーにより2000~6000rpmにて攪拌された場合においても、高速撹拌機により750~3000rpmにて攪拌された場合においても評価は3であり、目視にて油分の分離が一部に観察された。なお。ホモミキサーにより1000rpmにて攪拌された場合の評価は2で目視にて油分の分離が全体的に観察された。また「30℃」に加温した場合については、ペースト状チョコレートを使用した比較例1~7においていずれも2であって、ガナッシュの端の方に全体的に目視でわかる油分が見られた。
(温調作業後の食感)
各サンプルを25℃又は30℃にてそれぞれ5時間静置したのち、温調後加工作業を行うことを想定し20秒ほどヘラを使って攪拌を加えた。本発明のチョコレートは衛生面からチルド保管商品となることが想定されるため、ヘラでの攪拌後一旦30分ほど25℃で静置したのち、10℃以下で一旦冷却後、熟練した研究員5名にて食感を確認した。
≪評価基準≫
5 : ざらつきを感じない(加温前と変わらない)
4 : 加温前と比べて少しざらつきはあるが、ほとんど気にならない程度
3 : 加温前と比べてややざらつきはあることは分かるが、食感のなめらかさも十分感じられる
2 : ざらつきがやや多く、食感のなめらかさが減っている
1 : ざらつきが多く、なめらかな食感が感じられない
(結果)
微粒化チョコレートを使用した実施例1~7においては、25℃にての温調作業後の食感の評価はいずれも4.5であり、ざらつきはほぼ感じず非常に良い評価であった。30℃にての温調作業後の食感の評価もいずれも4であり、ざらつきはほとんど気にならない程度であった。
一方、ペースト状チョコレートを使用し、750~6000rpmで攪拌した比較例1~7では、25℃にての温調作業後の食感の評価は2.5~3であり、ざらつきがあることが分かり、30℃にての温調作業後の食感の評価は、1.5~2.5であり、ざらつきがやや多く感じられた。
(まとめ1)
以上のとおり、同じ乳化条件(乳化機、攪拌速度)を用いて乳化処理を行った場合であっても、ペースト状のチョコレートを用いるよりも、微粒化チョコレートを用いたほうが、より粒子径の小さい油滴が生成し、細かくなめらかな乳化が行われていることが確認された。微粒化チョコレートを使用すると、10分程度で、強い攪拌力をかけなくても5μm~15μm、好ましくは5~10μmの油滴が均一に作製されるため、カカオ風味を弱めることなくO/W型乳化チョコレートを作製することが可能であることが確認された。また、微粒化チョコレートを使用した場合には、ペースト状チョコレートを使用した場合よりも、冷却後に再度加温した場合に油分の分離が見られず、温調作業を行った場合において食感においてもざらつきがほとんど感じられない等、優れた乳化状態が維持されることが確認された。
[追加添加混合チョコレートの調製]
上記微粒化チョコレート2と、水系原料と、いわゆる追加添加材料としてココアバター又は乳脂肪分45%の生クリームとを添加後、混合し、追加添加混合チョコレートの調製と引き続いて乳化の処理とを行った。実施例8~10及び比較例8の処方を以下の表7に示す。
Figure 2023141055000007
上記実施例8~10及び比較例8の処方を用い、いずれも1500rpmの攪拌速度で10分間乳化処理を行った。実施例1と同様に、カカオ風味、エマルション最大粒子径帯、25℃及び30℃における分離の状態、25℃及び30℃における温調作業後の食感を評価した。結果を以下の表8に示す。
Figure 2023141055000008
[結果]
(カカオ風味)
ココアバター(カカオバター)をO/W型乳化チョコレートに対して3質量%(実施例8)又は6質量%(実施例9)を混合チョコレート調製時に添加した場合、乳脂肪45%の生クリームを20質量%入れた場合(実施例10)、及び、ココアバターをO/W型乳化チョコレートに対して9質量%を混合チョコレート調製時に添加した場合(比較例8)の評価は4であって、いずれもカカオ風味が強かった。
(乳化評価)
実施例8及び10における最大粒子径帯は、いずれも5~10μmの範囲であり、実施例9における最大粒子径帯は5~15μmの範囲であった。一方、ココアバターをO/W型乳化チョコレートに対して9質量%を混合チョコレート調製時に添加した場合(比較例8)の最大粒子径帯は17~22μmであって、乳化の状態としてはあまりよくなかった。
(加温時の分離評価)
ココアバターをO/W型乳化チョコレートに対して3質量%(実施例8)又は6質量%(実施例9)をさらに添加して混合チョコレートを調製した場合の「25℃」に加温した場合の評価は4~4.5であって、「30℃」に加温した場合の評価は3.5であった。生クリームを20質量%入れた場合(実施例10)の評価は、「25℃」に加温した場合の評価は4.5であって、「30℃」に加温した場合の評価は4で良好であった。一方、ココアバターをO/W型乳化チョコレートに対して9質量%添加した場合(比較例9)の「25℃」に加温した場合の評価は3、「30℃」に加温した場合の評価は2で、全体的に目視でわかる油分が見られた。
(温調作業後の食感)
ココアバターをO/W型乳化チョコレートに対して3質量%(実施例8)又は6質量%(実施例9)をさらに添加して混合チョコレートを調製した場合の「25℃」における評価は4~4.5であって、「30℃」における評価は3~3.5であった。生クリームを20質量%入れた場合(実施例10)の評価は、「25℃」において4.5であって、「30℃」において3.5であった。一方、ココアバターをO/W型乳化チョコレートに対して9質量%添加した場合(比較例8)の「25℃」における評価は2.5、「30℃」における評価は2であった。
(まとめ2)
以上の結果から、ココアバター等の油脂成分を6質量%以下添加して、微粒化チョコレートと水系原料とともに乳化処理を行った場合、乳化の状態はさほど影響を受けなかった。しかし、油脂成分を9質量%添加すると、乳化が劣った状態になることが確認された。一方、生クリームを20質量%添加した場合は、上記のカカオ風味、乳化評価、加温時の分離評価、温調作業後の食感のいずれにおいても評価はすぐれており、生クリームが水相成分として機能することが確認された。
[粒径の検討]
以下の処方5にしたがい、微粒化チョコレートを作製した。
Figure 2023141055000009
上記処方5においては、カカオマス、植物油脂を50℃程度にて溶かし、ココアパウダー、全粉乳、乳糖、砂糖、及びレシチンを溶けたカカオマスに混合して粗チョコレート5とした。
上記粗チョコレート5を、ロールリファイナー(ビューラー株式会社製)で微粒化を行い、粒径が(1)29~30μmの微粒化チョコレート(微粒化チョコレート3)、(2)41~47μmの微粒化チョコレート(微粒化チョコレート4)、(3)56~63μmの微粒化チョコレート(微粒化チョコレート5)の各微粒化チョコレートを調製した。
(混合チョコレートの調製)
上記微粒化チョコレート3~5を使用してO/W型乳化チョコレートを調製した。微粒化チョコレート3~5は、いずれもO/W型乳化チョコレ―ト全体の62質量%となるように使用し、水系原料として、水を全体の18質量%、還元水飴を全体の20質量%となるよう使用した。水と還元水飴とを約80℃まで加温し、上記微粒化チョコレート3~5の各微粒化チョコレートを混合して混合チョコレート3~5をそれぞれ調製した。
[O/W型乳化チョコレ―トの調製]
(乳化処理)
上記調製された混合チョコレート3~5について、乳化処理を行った。上記ホモミキサーを用いて、様々な攪拌速度にて乳化処理を行い、実施例11及び12ならびに比較例9に示される各種微粒化チョコレート由来O/W型乳化チョコレートを調製した。乳化の処理時間は、いずれも約10分とした。乳化処理時の品温は、50~60℃にて維持するようにした。
ホモミキサーの攪拌速度はrpmで表し、官能評価としてカカオ風味の評価;乳化評価として油滴の最大粒子径帯;加工時に温度調整(温調)作業が行われることを想定し25℃及び30℃それぞれの温度における分離しやすさ;25℃及び30℃に加温後の食感;について、以下の表10に示した。
Figure 2023141055000010
[結果]
(カカオ風味)
微粒化チョコレートの粒径が29~30μmの場合(実施例11)、41~47μmの場合(実施例12)、及び56~63μmの場合(比較例9)のいずれも評価は4であって、カカオ風味が強かった。
(乳化評価)
実施例11における最大粒子径帯は5~10μm、実施例12においては10~15μmであった。一方、比較例9においては17μm以上であり、乳化の状態としてはあまりよくなかった。
(加温時の分離評価)
実施例11又は12において「25℃」に加温した場合の評価は4~4.5であって、「30℃」に加温した場合の評価は3~4であり、端の方のごく一部だけに目視でわかる油分が見られる状態であった。比較例9において「25℃」に加温した場合の評価は3であって、「30℃」に加温した場合の評価は2であり、目視でわかる油分が一部にとどまらず、全体的に確認できる場合もあった。
(温調作業後の食感)
実施例11又は12において「25℃」における評価は4~4.5であって、「30℃」における評価は3~3.5であって良好であった。一方、比較例9において「25℃」における評価は3であって、「30℃」における評価は2.5であって、微粒化チョコレートの粒径が47μm以下である場合には、粒径が56μm以上である場合に比べて、ざらつきが感じられることが少なかった。
(まとめ3)
以上の結果から、微粒化チョコレートの粒径が29~30μm、又は41~47μmである場合には、上記のカカオ風味、乳化評価、加温時の分離評価、温調作業後の食感のいずれにおいても粒径が56μm以上である場合に比べて評価はすぐれていることが確認された。
本発明により、カカオの繊細な風味が失われず、チョコレートらしい味わいを維持することができる、O/W型の乳化チョコレートを提供することができる。

Claims (9)

  1. 以下の工程(a)及び(b)を備えるO/W型乳化チョコレートの作製方法。
    (a)微粒化チョコレートと水系原料とを混合して混合チョコレートを調製する工程;
    (b)工程(a)で調製された混合チョコレートを乳化する工程;
  2. 混合チョコレートにおける水系原料の割合が、混合チョコレートの10質量%~50質量%であることを特徴とする、請求項1記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
  3. O/W型乳化チョコレートにおける油滴の最大粒子径帯が、5~15μmであることを特徴とする、請求項1又は2記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
  4. 微粒化チョコレートの粒径が10~50μmであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
  5. 混合チョコレートを撹拌により乳化し、乳化する攪拌速度が500~8000rpmであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
  6. 工程(a)において、油滴を構成する6%以下の油性成分をさらに混合して、混合チョコレートを調製することを特徴とする、請求項1~5のいずれか記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
  7. 工程(a)の前に、粗チョコレートを、微粒化処理により微粒化チョコレートを調製する工程(a’)をさらに備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
  8. 工程(a’)の前に、カカオ分と副原料とを混合することにより粗チョコレートを調製する工程(a’’)をさらに備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか記載のO/W型乳化チョコレートの作製方法。
  9. 請求項1~8のいずれか記載の方法により作製されたO/W型乳化チョコレート。
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