JP6779903B2 - 粉末状のチョコレートの製造方法 - Google Patents

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Description

関連出願の参照
本願特許出願は、2015年11月11日に出願された日本出願特願2015−221294号に基づく優先権の主張を伴うものであり、この日本出願の全開示内容は、引用することにより本願発明の開示の一部とされる。
本発明は、粉末状のチョコレートの製造方法に関する。
チョコレートは、カカオ豆に由来する原料(カカオマス、ココアパウダー、ココアバターなど)、砂糖などの糖類、生乳を原料とする粉末食品(全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、乳糖など)、植物油脂(ココアバター代用油脂など)、レシチンなどの乳化剤、香料などを配合して製造される。チョコレートは、構造上、カカオ豆に由来する原料の固形分や糖類、生乳を原料とする食品の小さな固体粒子が、油脂中に分散した状態を呈している。
チョコレートは、味や香りが良いこと以外に、滑らかな口どけを有しているため、嗜好品としての価値が高い。この滑らかな口どけは、チョコレートに配合される油脂の融解性に依存している。例えば、ココアバターはチョコレートに配合される代表的な油脂の1つであるが、その融点は32℃前後であり、人の体温付近で急速に融け始め、32〜35℃では完全に融解し、滑らかな口どけを有するチョコレートを製造するために適した原料である。
一般的なチョコレートの製法では、カカオマス、ココアバター、砂糖、粉乳などの原料をミキサーにて混合した後、レファイナーと呼ばれるロールにかけて舌触りが滑らかになるまで微細化を行う。その後、コンチェによって長時間かけて練り上げ、原料が均一化し香りや風味が良好なチョコレートにする。チョコレートに含まれるココアバターの結晶を安定化させるためにテンパリングを行った後、モールドなどを用いて成型し、冷やし固める。そして、チョコレートの品質を安定させるため、温湿度を調整した空間で一定期間熟成させることでチョコレートは完成する。
一方、チョコレートを使用して、生菓子やデザート類をつくるために、水や温水、あるいは水分を含むクリームのような素材中に固形のチョコレートを溶解して分散させることは非常に困難である。これは、固体油脂が水分に溶けず、すぐには乳化しないためである。従来から、水中油型の乳化チョコレートについて、様々な提案がされている。特開昭61−52256号公報(特許文献1)には、有機酸モノグリセライドまたはグリセリンモノ脂肪酸エステルを含有していることを特徴とする水中油型乳化チョコレート加工食品が記載されている。特開昭62−163657号公報(特許文献2)には、糖度50以上の水溶液と油脂とを用いて水中油型のエマルジョンとしたものの中にチョコレート等が含まれていることを特徴とするチョコレートホイップクリームの製造法が記載されている。
また、チョコレートの溶解性を向上させる手段として、粉末化が挙げられる。従来から、粉末状のチョコレートについて、様々な提案がされている。特開2006−25691号公報(特許文献3)には、チョコレート成分、加工澱粉、ジグリセリン脂肪酸エステルおよび水を含有する水中油型乳化組成物を噴霧乾燥することを特徴とするチョコレート粉末の製造方法が記載されている。特開2006−55042号公報(特許文献4)には、チョコレート成分、加工澱粉および水を含有する水中油型乳化組成物を噴霧乾燥し、得られた乾燥物をジグリセリン脂肪酸エステルまたはトリグリセリン脂肪酸エステルを含有する被覆剤によって被覆することを特徴とする易溶性チョコレート粉末の製造方法が記載されている。
特開昭61−52256号公報 特開昭62−163657号公報 特開2006−25691号公報 特開2006−55042号公報
チョコレート味の水系菓子(プリン、ムースなど)を製造する場合には、固形のチョコレートあるいはそれを粉砕して粉末状にし、加温した上で、例えばクリームなどの菓子素材に溶解させて混合し、再度冷却する必要があった。これらの工程には、手間と専用設備が必要となり、小規模な菓子メーカーでは実施が困難であった。
このような工程を経ずにチョコレート風味を付与する方法として、ココアパウダーを用いる方法が考えられるが、チョコレートを添加する場合と比較すると、チョコレート味という観点では劣るという欠点があった。したがって、水系菓子に本格的なチョコレート味を付与することのできる粉末状のチョコレートは、これまでには知られていなかった。本発明では、常温や低温下の水系菓子にも、容易かつ迅速に分散や溶解させることができ、喫食時に不快なザラつきを感じず、本格的なチョコレート味を付与することのできる粉末状のチョコレートの製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは、粉末状のチョコレートの製造方法などを全般的に見直して検討した。特に、噴霧乾燥法について、重点的に検討した。通常は、チョコレートを製造する際にはショ糖が一般的に含まれるが、ショ糖を含む配合を噴霧乾燥した場合、ショ糖に起因して粉体の付着性が増大し、噴霧適性は悪くなる。しかし、本発明者らは、少量の乳糖や乳の含有によって、噴霧適性を向上できることを見出した。その結果として、カカオマスとショ糖を必須の成分とし、さらに、乳糖、乳の少なくとも一つを配合した原料を加温して混合分散して得られる配合液を温水に混合分散させた後、噴霧乾燥することで、常温や低温下の水系菓子にも、容易かつ迅速に分散や溶解させることができ、喫食時に不快なザラつきを感じず、本格的なチョコレート味を付与することのできる粉末状のチョコレートが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(6)に関する。
(1)原料として、カカオマスとショ糖とを必須の成分とし、さらに乳糖および乳からなる群から選択される少なくとも一つを原料として含み、これらの原料を混合した液を、温水と混合した後に、36℃以上に加温して、噴霧乾燥する工程を含むことを特徴とし、脂肪球径の平均径が30μm以下である、粉末状のチョコレートの製造方法。
(2)原料を混合した液に乳糖を含み、かつ該乳糖が原料を混合した液に対して15重量%以上含む、(1)に記載の製造方法。
(3)原料を混合した液に乳を含み、かつ該乳が粉乳である、(1)または(2)に記載の製造方法。
(4)粉乳が原料を混合した液に対して5重量%以上含む、(3)に記載の製造方法。
(5)得られた粉末状のチョコレートのココアバター分が非晶状態である、(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)原料を混合した液に、さらに、メタリン酸ナトリウムを0.1重量%以上加える工程を含む、(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、従来、本格的なチョコレート味を付与することが難しかったプリン、ムースなどの水系菓子に、容易に溶解させることができる粉末状のチョコレートが得られる。特に、本発明の製造方法で得られる粉末状のチョコレートは、常温や低温下においても、水系菓子へ容易に溶解させることができるので、チョコレート風味の水系菓子を製造する際の手間や時間を大幅に省略でき、効率の良い製造が可能となる。
実施例における「実験3」で得られた粉末状のチョコレートの電子顕微鏡での観察結果を表す。 実施例における「実験7」で得られた粉末状のチョコレートの電子顕微鏡での観察結果を表す。 実施例における「実験3」で得られた粉末状のチョコレートの粉末X線回折法での測定結果を表す。 実施例における「実験7」で得られた粉末状のチョコレートの粉末X線回折法での測定結果を表す。
発明の具体的説明
本発明の製造方法では、原料として、カカオマスとショ糖とを必須の成分とし、さらに乳糖および乳からなる群から選択される少なくとも一つを原料として含む。また、任意の配合成分として、ココアパウダーを原料に配合してもよい。カカオマスは、例えば、カカオ豆から皮などの不要な部位を取り除き、必要に応じアルカリ剤による処理を施し、ロースターなどで焙煎した後、磨砕することで得られる。本発明の製造方法において用いられるカカオマスは、本発明の所望の効果が得られる限りにおいて特に限定されないが、得られる粉末状のチョコレートの風味の観点から、アルカリ剤による処理を施さないものが好ましい。本発明の製造方法において乳を用いる場合、乳は、濃縮乳や粉乳などが含まれる。本発明の製造方法において粉乳を用いる場合、粉乳は、全脂粉乳や脱脂粉乳などが含まれる。本発明の製造方法で粉乳を用いる場合は、所望の効果が得られる限りにおいて特に限定されないが、得られる粉末状のチョコレートの風味の観点から、全脂粉乳が好ましい。本発明の製造方法では、原料にさらにココアパウダーを加えて用いることができる。ココアパウダーは、例えば、カカオマスを圧搾してココアバターを分離した後、粉砕することで得られる。本発明の製造方法において用いられるココアパウダーは、所望の効果が得られる限りにおいて特に限定されないが、油分が9%以上25%以下のものが好ましい。本発明の製造方法において用いられるカカオマス、ココアパウダー、ショ糖、乳糖、乳は、例えば食品原料として販売され流通しているものを入手して用いることができる。
本発明の製造方法では、原料を混合した液中のカカオマスの配合量は、得られる粉末状のチョコレートの風味や噴霧適性の観点から、好ましくは、30重量%以上80重量%以下、より好ましくは、32重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは、35重量%以上60重量%以下である。原料を混合した液中のショ糖の配合量は、得られる粉末状のチョコレートの風味や噴霧適性の観点から、好ましくは、15重量%以上40重量%以下、より好ましくは、18重量%以上37重量%以下、さらに好ましくは、20重量%以上35重量%以下である。原料を混合した液中の乳糖の配合量は、得られる粉末状のチョコレートの風味や噴霧適性の観点から、配合する場合は、好ましくは、15重量%以上40重量%以下、より好ましくは、17重量%以上30重量%以下、さらに好ましくは、18重量%以上25重量%以下である。原料を混合した液中の乳の配合量は、得られる粉末状のチョコレートの風味や噴霧適性の観点から、配合する場合は、粉乳の固形分含量に換算して、好ましくは、5重量%以上40重量%以下、より好ましくは、10重量%以上35重量%以下、さらに好ましくは、15重量%以上30重量%以下である。
本発明の製造方法では、前記で説明した原料を加温して混合分散し、原料を混合した液と同量以上の温水に分散させる。ここで、温水とは30〜60℃の水を意味する。このとき、加温する温度は36℃以上が好ましく、36〜50℃がより好ましい。そして、温水に分散させた原料を混合した液を、噴霧乾燥する。本発明の製造方法では、前記で説明した原料を用い、噴霧乾燥をすることで、風味やクリームへの分散性が良く、クリームなどに溶解させたときのザラつきが少なくて滑らかな食感である、粉末状のチョコレートが得られる。
本発明の製造方法で得られる粉末について、粉末状のチョコレートの脂肪球径の平均径は、好ましくは、30μm以下、より好ましくは、26μm以下、さらに好ましくは、24μm以下である。脂肪球径の平均径が小さいほど、クリームなどへの分散性が良く、溶解させたときのザラつきが少ない粉末が得られる。したがって、脂肪球径の平均径の下限は、特に限定されないが、例えば1μm以上である。脂肪球径とは、原料等に由来する脂肪球の径であり、主にカカオ脂に由来する脂肪球の径である。脂肪球径は、例えばレーザー式粒度分布計などを用いて測定でき、測定結果の平均値で表すことができる。
本発明の製造方法では、原料を混合した液にさらにメタリン酸ナトリウムを加える工程を含んでいてもよい。メタリン酸ナトリウムを加えることにより、クリームへの分散性やザラつきが、一層良好な粉末状のチョコレートを得ることができる。原料を混合した液中のメタリン酸ナトリウムの配合量は、所望の効果が得られる限りにおいて特に限定されないが、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは0.1重量%以上0.5重量%以下である。
本発明の製造方法により得られた粉末状のチョコレート中のココアバター分は、本発明の所望の効果が得られる限りにおいて、その状態は特に限定されないが、非晶状態であることが好ましい。本発明の製造方法により得られた粉末状のチョコレート中のココアバター分が非晶状態であることより、クリーム分散時のザラつきは少ない点で好ましい。
本発明の別の態様によれば、本発明の製造方法により製造された粉末状のチョコレートが提供される。
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明するが、これらの実施例により、本発明は限定されるものではない。
[実施例1]
表1に示した配合表(配合表中の数値は重量%を表す)にしたがって、「実験1」では、合計が30kgになるように原料を混合した液を調合した。具体的には、カカオマスを調合タンクに入れ、60℃まで加温して溶解させ、その後に他の原料を混合して、ホモミキサーにより混合し、原料を混合した液を得た。この原料を混合した液30kgを、温水30kgに混合して分散させ、合計60kgの液を噴霧乾燥した。
さらに、「実験1」と同配合だが従来製法で製造したチョコレートを、「実験2」として用意した。従来製法とは、カカオマスとその他の原料を混合した後、レファイナーによって微細化したフレーク状のものである。
噴霧乾燥は、APV社製SBD62型(1流体ノズル、水分蒸発量;50kg/hour)の噴霧乾燥機を用いて実施した。噴霧適性の評価として、噴霧乾燥時に、噴霧乾燥機の管体内と配管内の付着の程度を目視し、下記の基準でスコア化した。
スコア 3 : 粉末を捕集ビンに連続的に回収可能で、良好な噴霧適性。
スコア 2 : 粉末の捕集や排出がやや困難だが、追加の作業で対応可能。
スコア 1 : 粉末の付着が多く、ほとんど粉末が排出されない。
なお、スコア2以上は本発明の効果があるとみなした。スコア1は噴霧適性が不可とみなした。
得られた粉末状のチョコレートについて、粉体特性分析として、脂肪球径(平均径)を測定した。脂肪球径は、ベックマンコールター社製のレーザー式粒度分布計を用いて測定した。
風味評価として、チョコレート感、ミルク感、ロースト感、酸味、および苦味の項目を官能評価により総合的に評価し、下記の基準でスコア化した。
スコア 3 : 従来の方法で製造したチョコレートと同等以上の風味である。
スコア 2 : やや劣る風味であるが、商品として適用可能な風味である。
スコア 1 : 風味が不良で、商品として適用は不可である。
なお、スコア2以上は本発明の効果があるとみなした。スコア1は風味が不可とみなした。
クリームへの分散性の評価として、冷蔵中の水系原料への分散性の指標として、5℃で保存したクリームを使用して評価した。5℃のクリーム(明治フレッシュ36)(株式会社明治製)200g中に、粉末状のチョコレート40gを添加して、ハンドミキサーで八分立てしたもの(泡立て器ですくうと先端の立った角が曲がる状態になるように、約1分間撹拌したもの)について目視し、下記の基準でスコア化した。
スコア 3 : クリームと均一に混合されている。
スコア 2 : クリーム中にチョコレートの粒がわずかにあるが、商品として適用可能である。
スコア 1 : クリーム中にチョコレートの粒が多く、商品として適用は不可である。
なお、スコア2以上は本発明の効果があるとみなした。スコア1は分散性が不可とみなした。
ザラつきの評価として、チョコレートとクリームの撹拌後のザラつきについて、官能評価を実施し、下記の基準でスコア化した。
スコア 3 : 滑らかな食感であり、従来の方法でチョコレートを添加したものと同等以上の食感である。
スコア 2 : わずかにザラつきを感じるが、商品として適用可能である。
スコア 1 : 明らかにザラつきが多く、商品として適用は不可である。
なお、スコア2以上は本発明の効果があるとみなした。スコア1は品質が不可とみなした。
実験1と実験2の粉末状のチョコレートの、粉体特性分析、噴霧適性、風味、クリーム分散性、およびザラつきの評価結果を、表1に示した。
「実験1」と「実験2」とを比較すると、「実験1」のチョコレート(本発明の粉末状のチョコレート)は、クリームへの高い溶解性を示した。一方、「実験2」のチョコレートは、ほとんどクリームへ溶解せず、ザラつきも強く感じられた。脂肪球径の平均値を比較すると、「実験2」では92.4μmであったが、「実験1」では23.4μmであった。人間の舌でザラつきを検出できる粒子径は20μmと言われている。「実験1」の粉末状のチョコレートの脂肪球は検出限界に近い小さな粒径である一方、チョコレートの脂肪球は非常に大きいため、クリーム中でのザラつきが感じられたものと考えられた。
[実施例2]
表2に示した配合表(配合表中の数値は重量%を表す)にしたがって、「実験3」から「実験8」では、合計が30kgになるように原料を混合した液を調合した。具体的には、カカオマスを調合タンクに入れ、60℃まで加温して溶解させ、その後に他の原料を混合して、ホモミキサーにより混合し、原料を混合した液を得た。この原料を混合した液30kgを、温水30kgに混合して分散させ、合計60kgの液を噴霧乾燥した。
噴霧乾燥は、APV社製SBD62型を用いて行った。「実験3」から「実験8」の粉末状のチョコレートについて、実施例1と同様の粉体特性分析、噴霧適性、風味、クリーム分散性、およびザラつきの評価を実施した。結果を表2に示した。
「実験3」で得られた粉末状のチョコレートは、噴霧適性、風味、クリーム分散性、およびザラつきの全ての評価項目で、良好な結果が得られた。したがって、例えば粉乳を豊富に含むミルクタイプのシャンティ向けの粉末状チョコレートとして、良好な配合であることがわかった。「実験7」と「実験8」は、噴霧適性の評価が良くなかった。これは、カカオマスとショ糖のみからなる配合では、粉体同士の結着性が高いために大きな固まりとなり、良好な粉状にならなかったものと考えられた。
「実験7」や「実験8」と比較して、「実験3」〜「実験6」(本発明の粉末状のチョコレート)は脂肪球径が小さかった。脂肪球径は、水中に分散させたときの不溶物を測定していることから、クリーム分散性やザラつきの評価の目安となり、実際に「実験3」〜「実験6」では、クリーム分散性やザラつきの評価が良好であることから、妥当な評価結果が得られたと考えられた。
「実験3」と「実験7」で得られた粉末状のチョコレートについて、それぞれ電子顕微鏡観察を実施した。電子顕微鏡観察は、日本電子社製のJSM-6510LV型を用いて実施した。「実験3」および「実験7」で得られた粉末状のチョコレートの電子顕微鏡での観察結果を、それぞれ図1および図2に示した。「実験3」(図1)では、粒子の表面が滑らかであるが、「実験7」(図2)では、粒子の表面に微細な凹凸が認められた。
「実験3」と「実験7」で得られた粉末状のチョコレートについて、それぞれ粉末X線回折法を実施し、結晶性の程度を調べた。粉末X線回折法は、リガク社製のSmartLabを用いて実施した。「実験3」および「実験7」で得られた粉末状のチョコレートの粉末X線回折法での測定結果を、それぞれ図3および図4に示した。「実験3」(図3)では、結晶性のピークは全く観察されなかったが、一方、「実験7」(図4)では、強い結晶性のピークが観察された。
電子顕微鏡観察と粉末X線回折法の結果から、「実験3」では、ココアバターが結晶状態ではない(非晶状態)ためにクリーム分散時のザラつきは少なく、「実験7」ではココアバターの一部が結晶状態であり、これがザラつきの一因だと考えられた。
「実験5」と「実験6」とを比較したとき、メタリン酸ナトリウムを添加した「実験6」では、クリーム分散性が、一層良好になることが分かった。特に、「実験6」では、クリームへの馴染みの良さが、他の例と比べて格段に顕著に現れることが分かった。
[実施例3]
表3に示した配合表(配合表中の数値は重量%を表す)にしたがって、「実験9」から「実験14」まで、それぞれで合計が2kgになるように原料を混合した液を調合した。具体的には、カカオマスを調合タンクに入れ、60℃まで加温して溶解させ、その後に他の原料を混合して、ホモミキサーにより混合し、原料を混合した液を得た。この原料を混合した液1kgを、水1kgに混合して分散させ、合計2kgの液を噴霧乾燥した。
噴霧乾燥は、GEA Niro A/S社製 Mobile Minor型(2流体ノズル、水分蒸発量;2kg/hr))の噴霧乾燥機を用いて実施した。「実験9」から「実験14」の粉末状のチョコレートについて、実施例1と同様の噴霧適性、風味、クリーム分散性、およびザラつきの評価を実施した。結果を表3に示した。
「実験9」〜「実験14」(本発明の粉末状のチョコレート)のいずれにおいても評価は良好であった。実施例2の「実験8」と「実験14」とを比較した場合に、安定的に噴霧を行うためには全脂粉乳は5%以上配合されていればよいことがわかった。
以上の結果より、原料として、カカオマスとショ糖を必須の成分とし、さらに乳糖および乳からなる群から選択される少なくとも一つを配合した原料を加温して混合分散して得られる配合液を温水に混合分散させた後、噴霧乾燥することで、噴霧乾燥時の噴霧適性に優れ、風味やクリーム分散性が良く、クリームに溶解させたときのザラつきが少なくて滑らかな食感である、粉末状のチョコレートが製造できることが判明した。

Claims (7)

  1. 原料として、カカオマスとショ糖とを必須の成分とし、さらに乳糖および乳からなる群から選択される少なくとも一つを原料として含み、これらの原料を混合した液を、温水と混合した後に、36℃以上に加温して、噴霧乾燥する工程を含むことを特徴とし、脂肪球径の平均径が30μm以下であり、かつ前記原料を混合した液中のカカオマスの配合量が30重量%以上80重量%以下である、粉末状のチョコレートの製造方法。
  2. 原料を混合した液中のショ糖の配合量が、15重量%以上40重量%以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 原料を混合した液に乳糖を含み、かつ該乳糖が原料を混合した液に対して15重量%以上含む、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 原料を混合した液に乳を含み、かつ該乳が粉乳である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 粉乳が原料を混合した液に対して5重量%以上含む、請求項に記載の製造方法。
  6. 得られた粉末状のチョコレートのココアバター分が非晶状態である、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 原料を混合した液に、さらに、メタリン酸ナトリウムを0.1重量%以上加える工程を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
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