JP2023139308A - 可視光透過性を有するピッカリングエマルション - Google Patents

可視光透過性を有するピッカリングエマルション Download PDF

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Abstract

【課題】見た目の清涼感と、耐水性に優れたピッカリングエマルションを提供する。【解決手段】ポリオール及び/又は増粘剤を含有する水相と、油相と、粉体とを含む、可視光透過性を有するピッカリングエマルション。【選択図】なし

Description

本発明は、可視光透過性を有するピッカリングエマルションに関する。
両親媒性の固体粒子を界面に吸着させることで乳化した剤形は、ピッカリングエマルションとして従来知られており、化粧料においても、その活用が提案されている。例えば、前記固体粒子として、二酸化チタン、酸化亜鉛等が提案され、これらの表面を疎水化処理した固体粒子をピッカリングエマルションの調製に使用することが提案されている(特許文献1)。また、部分的疎水化シリカを用いた水中油乳化型エマルションも提案され、高温乳化安定性において良好であるとされている(特許文献2)。
ピッカリングエマルションは、油相、水相そして粉体を有するため、これらの構成成分の界面における光の散乱によって白濁した外観を有するものが一般的であり、見た目の清涼感に乏しく、また、肌に塗布した後に白浮きすることがあった。
ところで、油中水型の乳化化粧料は外相が油剤であるため、耐水性を付与しやすく、サンスクリーン等に多く用いられている剤型である。例えば、特許文献3には、紫外線吸収剤を含む日焼け止め用の油中水型乳化化粧料が開示されており、この化粧料が耐水性に優れていることが記載されている。
特表2001-518111号公報 特開2013-129626号公報 特開2011-126832号公報
本発明は、見た目の清涼感及び耐汗性に優れたピッカリングエマルションを提供することを課題とする。
また、上述したように、従来型の油中水型の乳化化粧料の耐水性効果は、外相を構成する油剤が水と非親和であるという性質に由来する。
しかし、本発明者は、このような油中水型の乳化化粧料が、海水や汗などのようなイオンを含む水溶液に接触すると、外相を構成する油剤の親水基とイオンが反応し親水性の塩となることで、油剤が溶出してしまうという問題があることを発見した。つまり、従来型の油中水型の乳化化粧料は耐水性効果を謳ってはいるものの、耐汗性や耐海水性に劣り、実効力に悖る。
上記問題に鑑み、本発明の好ましい形態では、海水や汗などのようなイオンを含む水溶液に対して抵抗性のあるピッカリングエマルションを提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意研究努力の結果、見た目の清涼感を向上させるために可視光透過性を具備させたピッカリングエマルションが、同時に耐汗性にも優れているという驚くべき発見をし、本発明を完成させた。
上記課題を解決する本発明は、ポリオール及び/又は増粘剤を含有する水相と、油相と、粉体とを含む、可視光透過性を有するピッカリングエマルションである。
本発明のピッカリングエマルションは、可視光透過性を有することで見た目の清涼感に優れ、かつ、耐汗性にも優れている。
本発明の好ましい形態では、前記粉体の前記油相に対する相対屈折率が0.7~1.3である。
油相に対する相対屈折率が前記範囲である粉体を用いることで、ピッカリングエマルションの見た目の清涼感と耐汗性を向上させることができる。
本発明の好ましい形態では、前記水相の前記油相に対する相対屈折率が0.8~1.2である。
油相に対する水相の相対屈折率を前記範囲とすることで、ピッカリングエマルションの見た目の清涼感と耐汗性を向上させることができる。
本発明の好ましい形態では、前記水相に対して30質量%以上のポリオールを含有する。
前記範囲のポリオールを含有する本発明のピッカリングエマルションは、より透明性と耐汗性に優れる。
本発明の好ましい形態では、前記水相に対して0.1質量%以上の増粘剤を含有する。
前記範囲の増粘剤を含有する本発明のピッカリングエマルションは、より透明性と耐汗性に優れる。
本発明の好ましい形態では、25℃、1気圧における粘度が4000mPa・s以上である。
このような粘度の本発明のピッカリングエマルションは、安定性に優れる。
本発明の好ましい形態では、前記粉体が、表面の一部が疎水化処理剤により被覆された部分的疎水化粉体である。
部分的疎水化粉体を用いることで、耐汗性と安定性に優れたピッカリングエマルションを提供することができる。
本発明のピッカリングエマルションは、見た目の清涼感及び耐汗性に優れる。また、好ましい形態では本発明のピッカリングエマルションは保湿性に優れている。
また、本発明のピッカリングエマルションは、イオンを含む水溶液に対する抵抗性に優れる。
純水と海水に分散したときの部分的疎水化シリカのゼータ電位を表す棒グラフである。 参考例1及び比較例4のエマルションの塗布膜から海水へ溶出したエチルヘキシルメトキシシンナメートの量を表す棒グラフである。 海水への浸漬の前後における参考例1及び比較例4のエマルションの塗布膜の断面を表す電子顕微鏡写真。 海水への浸漬前におけるSPF値を基準とした、海水への浸漬の後における参考例1及び比較例4のエマルションの塗布膜のSPF値を表す棒グラフである。 海水への接触の前後における、参考例1のエマルションの塗布膜の紫外領域の光の散乱率を表すグラフである。 参考例2のピッカリングエマルションの電子顕微鏡写真である。 海水への浸漬の後の参考例1と比較例5のエマルションの塗布膜の断面を表す電子顕微鏡写真。 参考例1のピッカリングエマルションの塗布膜の純水又は海水への浸漬の前後における断面を表す電子顕微鏡写真である。
本発明は、ポリオール及び/又は増粘剤を含有する水相と、油相と、粉体とを含み、可視光透過性を有するピッカリングエマルションに関する。
以下、本発明のピッカリングエマルションの成分、組成等について詳細に説明する。
なお、本発明においてピッカリングエマルションとは粉体を用いて安定化された乳化組成物のことをいう。粉体が乳化安定性に寄与している乳化組成物であれば、他の界面活性剤を含んでいてもピッカリングエマルションという。
本発明のピッカリングエマルションは可視光透過性を有する。ここで、「可視光透過性を有する」とは、光路長が1cmのとき、可視光の透過率が0%でないことをいう。
本発明のピッカリングエマルションの可視光の透過率は、光路長が1cmのとき、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。
ポリオール及び/又は増粘剤を含有し、可視光透過性を有する構成の本発明のピッカリングエマルションは、見た目の清涼感に優れるだけでなく、耐水性に優れている。
水相は可視光透過性を有していればよく、その組成は特に限定されない。
本発明の好ましい形態では、油相に対する水相の相対屈折率は、好ましくは0.8~1.2、より好ましくは0.9~1.1、さらに好ましくは0.95~1.05である。特に、水相の屈折率を油相の屈折率と実質同一にすることが好ましい。
水相の屈折率を上記範囲とすることにより、透明性が高く見た目の清涼感に優れたピッカリングエマルションを提供することができる。また、ピッカリングエマルションの耐汗性を向上させることができる。
なお、油相に対する水相の相対屈折率とは、水相の屈折率を油相の屈折率で除した数値のことをいう。
水相の屈折率は水相に種々の添加物を加えることにより調整可能であるが、ポリオールの含有量及び/又は増粘剤の含有量を調整したり、塩化ナトリウムや硫酸マグネシウム等の水中で電離する塩を添加したりすることにより調節することが好ましい。
本発明の好ましい実施の形態では、水相に対するポリオールの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは30~90質量%、さらに好ましくは40~80質量%、より好ましくは50~70質量%である。
ポリオールの含有量を前記範囲とすることにより、ピッカリングエマルションの透明性、また、耐汗性を向上させることができる。
また、ピッカリングエマルション全体におけるポリオールの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10~70質量%、より好ましくは20~60質量%、さらに好ましくは30~50質量%である。
ポリオールの含有量を前記範囲とすることにより、ピッカリングエマルションの保湿性を向上させることができる。
ポリオールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等が挙げられ、中でも、グリセリン及び1,3-ブチレングリコールが好ましく挙げられる。
本発明の好ましい実施の形態では、増粘剤の含有量は水相に対して、好ましくは、0.1質量%以上、より好ましくは0.1~5質量%、さらに好ましくは0.3~2質量%である。
増粘剤の含有量を前記範囲とすることにより、ピッカリングエマルションの透明性、また、耐汗性を向上させることができる。
また、ピッカリングエマルション全体における増粘剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.05~5質量%、さらに好ましくは0.1~1質量%である。
増粘剤としては、キサンタンガム、ジェランガム、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム,サクシノグルカン、カロニン酸、キチン、キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、アクリル酸ナトリウムグラフトデンプン、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ベントナイト等が挙げられ、よりこのましくはキサンタンガム、グアガム等の水溶性多糖類、寒天、アクリル酸ナトリウムグラフトデンプン、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース。さらに好ましくは、キサンタンガム、グアガム等の水溶性多糖類、寒天が好ましく挙げられる。
本発明のピッカリングエマルションにおける油相を構成する油剤は、可視光透過性を有していれば特に限定されず、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油等を含有することができる。
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、メドウフォーム油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
固体油脂としては、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
ロウ類としては、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸スクロース、オレイン酸スクロース、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、パルミチン酸セチル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等の鎖状ポリシロキサンや、ペンタシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサンなどの環状ポリシロキサン等が挙げられる。
中でも、シリコーン油、エステル油、液体油脂、固体油脂及びロウ類が好ましく用いられ、特にジフェニルポリシロキサン、エチルヘキサン酸セチル等が好ましく用いられる。油剤は1種または2種以上を用いることができる。
本発明においては、ピッカリングエマルションを形成することができ、かつ、表面が油相成分で濡れた際に可視光透過性を有する粉体を用いることができる。
このような粉体としては以下の屈折率を有するものが好ましく挙げられる。すなわち、油相に対する相対屈折率が、好ましくは0.7~1.3、より好ましくは0.8~1.2、さらに好ましくは0.90~1.1である粉体を用いることが好ましい。特に、油相の屈折率と実質同一である屈折率を有する粉体を用いることが好ましい。
このような粉体を用いることで、透明性が高く見た目の清涼感に優れたピッカリングエマルションを提供することができる。また、このような粉体を用いることで、ピッカリングエマルションの耐汗性を向上させることができる。
なお、油相に対する粉体の相対屈折率とは、粉体の屈折率を油相の屈折率で除した数値のことをいう。
このような粉体としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等)、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等);ポリアクリル酸およびその誘導体、ポリメタアクリル酸およびその誘導体、シリコーンおよびその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、蔗糖及びその誘導体等の有機高分子粉体;パール系顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等)等が挙げられ、単独で用いることも2種以上を配合することもできる。
また、粉末に金属酸化物等を被覆させて得られる複合粉体や、粉末表面を化合物等で処理した粉体を用いてもよい。
本発明においては、粉体の表面が疎水化処理剤により全部又は部分的に被覆されている疎水化粉体を用いることが好ましい。
ここで、「粉体の表面が全部又は部分的に被覆されている」とは、粉体の表面に疎水化処理剤が物理的に付着することにより被覆している状態だけではなく、粉体表面に露出している官能基に疎水化処理剤に由来する疎水基が共有結合している状態のこともいう。
粉体としてシリカや酸化金属を用いる場合には、疎水化粉体は、粉体と疎水化処理剤を反応させ、該粉体の表面に存在する水酸基に疎水基を共有結合によって付加したり、また、粉体の表面に疎水化処理剤を物理的に付着させることで被覆したりすることによって調製することができる。
粉体としてシリカ微粒子を用いる場合には、例えば、ケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成される、いわゆる乾式シリカ粉末、及び水ガラス等から製造される、いわゆる湿式シリカ粉末の何れを用いてもよい。
乾式シリカ粉末としては、例えばAerosilシリーズ(日本アエロジル株式会社)、CAB-O-SILシリーズ(キャボットコーポレーション)、HDKシリーズ(旭化成ワッカーシリコーン株式会社)、湿式シリカ粉末としては、例えばNipsilシリーズ(東ソー・シリカ株式会社)、HI-SILシリーズ(PPG)等の市販品を用いることができる。
疎水化処理は、有機ケイ素化合物、シリコーン、炭化水素油、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、高級アルコール、ポリオキシアルキレン化合物等の疎水化処理剤で粉体を処理する方法が挙げられる。
特に好ましくは、有機ケイ素化合物又はシリコーンを疎水化処理剤として粉体を処理する。
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、モノメチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、パルミチルシラン等が挙げられる。これらは一種或いは二種以上の混合物で用いられる。
本発明の好ましい実施の形態では、トリメチルシランによって粉体を処理し、表面にトリメチルシリル基が付加された疎水化粉体を用い、特に好ましくはトリメチルシランによってシリカ微粒子を処理し、表面に部分的にトリメチルシリル基が付加された部分的疎水化シリカを用いる。
シリコーンとしては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、α-メチルスチレン変性シリコーン、クロルフェニルシリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
ピッカリングエマルションを水中油型とする場合には、疎水化粉体のM値が0~9、さらに好ましくは0~5、より好ましくは0~3、さらに好ましくは0~2、さらに好ましくは0~1とすることができる。
ピッカリングエマルションを油中水型とする場合には、疎水化粉体のM値の下限は、好ましくは0以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは5以上、さらに好ましくは15以上とすることができる。
また、ピッカリングエマルションを油中水型とする場合には、疎水化粉体のM値の上限は、好ましくは100以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは60以下とすることができる。
なお、M値は微粒子の疎水性の程度を表す値であり、M値が高いほど疎水性が高いといえる。M値は水とメタノールの混合溶液に、測定試料を均一分散させるための必要最低量のメタノールの容量割合で表わされ、以下の方法で求めることができる。
〔M値算出方法〕
測定試料(疎水化粉体微粒子)0.2gを容量250mLのビーカー中で50mLの水に添加し、続いてメタノールをビュレットから徐々に滴下する。このとき、ビーカー中の溶液をマグネティックスターラーで常時撹拌し、測定試料の全量が溶液中に均一に懸濁された時点を終点とする。この終点におけるビーカー中の水・メタノール混合溶液のメタノールの容量百分率がM値である。
疎水化粉体のM値は、その疎水化率によって調整することができる。M値乃至は疎水化率は、粉体と疎水化剤との混合比、及び処理時間を適宜設定することにより調節することができる。
また、疎水化粉体としては、表面が荷電しているものを用いることが好ましい。疎水化粉体の表面の電荷は正電荷であっても負電荷であってもよいが、好ましくは負電荷である。
この場合、疎水化粉体は少なくとも乳化状態、つまり水に接触している状態において荷電していればよく、エマルションの調整前において電荷を有している必要はない。
表面が荷電している疎水化粉体としては、シリカ、並びに、酸化チタン、酸化亜鉛及び酸化鉄などの金属酸化物を疎水化したもの、特に好ましくは部分的に疎水化したものを好ましく例示できる。シリカ粉体は水中で負に荷電し、金属酸化物は水中で正及び負に荷電する。
粉体の平均一次粒子径は、1~1000nmを目安とすることができ、好ましくは3~100nm、より好ましくは5~30nmである。
また、粉体の平均二次粒子径は、好ましくは1μm以下を目安とすることができ、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは200nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。
平均二次粒子径を前記範囲とすれば、乳化粒子径をより小さくすることができ、イオンを含む水溶液への接触後における塗布膜の凝集の程度を向上させることができ、より該水溶液に対する抵抗性を高めることができる。
また、平均二次粒子径を前記範囲とすることにより、乳化粒子径をより小さくすることができ、乳化安定性を向上させることができる。
ここで、平均一次粒子径及び平均二次粒子径は、走査型電子顕微鏡像上で2500個以上の粒子の最大径を測定し、その個数平均を算出することにより求めることができる。
なお、平均二次粒子径は乳化を行う際に組成物に加える応力によって調整することができる。
本発明の好ましい実施の形態では、粉体の含有量は、エマルション全体に対し、好ましくは0.3~5.0質量%、より好ましくは0.4~4.0質量%、さらに好ましくは0.5~3.0質量%、特に好ましくは1.0~2.0質量%とすることができる。
本発明の好ましい実施の形態では、25℃、1気圧における粘度が、好ましくは4000mPa・s以上、より好ましくは4000~100000mPa・sである。前記粘度は、例えば、コーンプレート型粘度計(装置機種名:RE-80R、製造会社名:東機産業、条件:ローター:3°×R14、測定温度:25℃、回転数:50rpm、測定時間:3分)で測定することができる。
本発明のピッカリングエマルションにおいては、上記成分以外に通常化粧料で使用される任意成分を発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。かかる任意成分としては、例えば、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、表面処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面処理されていても良い、酸化コバルト、群青、紺青、酸化亜鉛の無機顔料類、表面処理されていても良い、酸化鉄二酸化チタン焼結体等の複合顔料、表面処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB塩酸塩,ビタミンBトリパルミテート,ビタミンBジオクタノエート,ビタミンB又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α-トコフェロール,β-トコフェロール,γ-トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジエトキシパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルパラアミノ安息香酸ブチルエステル、N,N-ジメチルパラアミノ安息香酸エチルエステル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等の安息香酸誘導体;ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸誘導体;サリチル酸及びそのナトリウム塩、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸誘導体;オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、2-エチルヘキシルp-メトキシシンナメート(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸オクチル)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート(シノキサート)、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリラート(オクトクリレン)、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、フェルラ酸及びその誘導体等のケイ皮酸誘導体;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン-3)、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン;4-t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン誘導体;オクチルトリアゾン;ウロカニン酸及びウロカニン酸エチル等のウロカニン酸誘導体;2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1-(3,4-ジメトキシフェニル)-4,4-ジメチル-1,3-ペンタンジオン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等のヒダントイン誘導体;フェニルベンズイミダソゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、ドロメトリゾールトリシロキサン、アントラニル酸メチル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ルチン及びその誘導体、オリザノール及びその誘導体等の紫外線吸収剤などが好ましく例示できる。
以上のとおり、本発明のピッカリングエマルションは界面活性剤を用いてもよいがその含有量は極力少なくすることが好ましい。界面活性剤の含有量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0質量%である。
本発明のピッカリングエマルションは、皮膚外用剤に好適である。また、中でも、紫外線吸収剤の機能を生かし、サンスクリーン皮膚外用剤とすることが好ましい。
中でも、化粧料に用いることが好ましく、日焼け止め、化粧下地等とすることが好ましい。
以下の実施例では疎水化粉体として部分的疎水化シリカを用いた。部分的疎水化シリカは、シリカ微粒子(AEROSIL社製、平均一次粒子径12nm(測定方法は前述のとおり))とトリメチルシリル疎水化処理剤を混合することにより得られたものを使用した。部分的疎水化シリカのM値を上述した方法により測定したところ、0であった。
室温(25℃)下、表1に示す(イ)水相成分に(ロ)乳化成分(部分的疎水化シリカ又は界面活性剤)を分散し、そこへ(ハ)油相成分を撹拌しながら投入し、乳化することで、実施例及び比較例の水中油型の乳化組成物を製造した。
上述の方法によって実施例1、比較例1及び2の乳化組成物を製造することができた。しかし、上述の製造方法によっては、比較例3の処方の乳化組成物を製造することができなかった。
この結果は、水相が多量のポリオールを含む場合には、界面活性剤ではなく粉体で乳化したピッカリングエマルションの形態とした方が好ましいことを示している。
また、実施例及び比較例の組成物の粘度を計測した。結果を表1に示す。なお、粘度は、コーンプレート型粘度計(装置機種名:RE-80R、製造会社名:東機産業、条件:ローター:3°×R14、測定温度:25℃、回転数:50rpm、測定時間:3分)で測定した。
製造することができた実施例1、比較例1及び2の乳化組成物について、以下の試験を行った。
<試験例1>耐汗性の評価
実施例1、比較例1及び2の乳化組成物について、以下の方法により耐汗性を評価した。各組成物を、50mm×50mmのポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)プレートに0.2g/cm2となるように均一に塗布し、SPF Analyzer System UV-2000S(labsphere社製)によってSPF値を測定した。続いて、このPMMAプレートを人工汗に浸漬し、2時間、150rpmで撹拌した後、水から取り出し、同様の方法でSPF値を測定した。
浸漬後のSPF値を浸漬前のSPF値で除した値をSPF値の残存率(%)とし、耐汗性の指標とした。結果を表2に示す。
<試験例2>高温安定性の評価
実施例1、比較例1及び2の乳化組成物について、高温における乳化安定性を以下の方法により評価した。
調製後、20℃で24時間静置した後乳化粒子径を測定した(初期乳化粒子径)。乳化粒子径は、光学顕微鏡 OLYMPUS BX51にて倍率400倍(接眼10倍-対物40倍)、20℃で観察した乳化粒子10個の最大径の個数平均を算出することにより求めた。続いて、当該乳化組成物を、40℃でそれぞれ1週間保存した後、同方法で乳化組成物における油相の平均粒子径(保存後粒子径)を測定した。その結果、保存後粒子径が初期粒子径に対して2倍以上であったものを×、1.5~2.0倍であったものを△、1.5倍以内であったものを〇として、表2に示した。
また、調製した乳化組成物を40℃下で1か月放置した後の粘度を上述の方法で計測した。結果を表2に示した。
<試験例3>透明性の評価
実施例1、比較例1及び2の乳化組成物について、それぞれ可視光透過率を測定した。なお、可視光透過率は、紫外・可視分光光度計V660(JASCO)を用いて、一般に可視光といわれる400~800nmの可視光透過率とした。結果を表2に示す。
<試験例4>見た目の清涼感の評価
実施例1、比較例1及び2の乳化組成物について、見た目の清涼感及び保湿性を官能評価した。評価は、化粧品の官能評価に従事している熟練の研究者10名によって、それぞれの評価項目について、以下の基準により5点満点で評価し、その平均点をそれぞれの評価項目の評価点とすることによって行った。結果を表2に示す。
(見た目の清涼感)
5点・・・非常に強い清涼感を感じる。
4点・・・清涼感を良く感じる。
3点・・・清涼感を感じるが弱い。
2点・・・清涼感をやっと感じる。
1点・・・清涼感を感じない。
(保湿性)
5点・・・塗布後、一定時間経過後も極めてしっとりとしている。
4点・・・塗布後、一定時間経過後もしっとりとしている。
3点・・・塗布後、一定時間経過後にやや肌に乾燥感を感じる。
2点・・・塗布後、一定時間経過後に乾燥感を感じる。
1点・・・塗布後、一定時間経過後に乾燥感を顕著に感じる。
ポリオールを計40質量%(水相に対して62.5質量%)含む実施例1のピッカリングエマルションは可視光透過性を有しているが、ポリオールを計15質量%(水相に対して23質量%)しか含まない比較例1のピッカリングエマルションと、比較例2の乳化組成物は可視光透過性を有していない。
この結果は、実施例1のピッカリングエマルションの水相はポリオールを多量に有することにより屈折率が変化し、油相に対する相対屈折率とほぼ同一となっていることに起因していると考えられる。
上述の通り、実施例1と同一の含有量でポリオールを含有する比較例3の処方によっては、乳化組成物を形成することはできなかった。
以上より、可視光透過性を有する乳化組成物を形成するには、粉体により乳化されるピッカリングエマルションの形態にすることが好ましい。
また、界面活性剤により乳化されている比較例2の乳化組成物は、高温下における保存によって乳化粒子径の増大が見られる一方、ピッカリングエマルションである実施例1と比較例1の乳化組成物は乳化粒子径の増大の程度が低い(表2)。
さらに、表1に記載の調製直後の乳化組成物の粘度と、表2に記載の40℃下で1ヶ月放置した後の乳化組成物の粘度を比較すると、界面活性剤により乳化されている比較例2の乳化組成物においては著しい粘度の低下が見られる一方、ピッカリングエマルションである実施例1と比較例1の乳化組成物においては粘度の低下が見られなかった。
この結果は、高温安定性の観点からも、可視光透過性を有する乳化組成物を形成するには、粉体により乳化されるピッカリングエマルションの形態にすることが好ましいことを示している。
また、透過性を有し、見た目の清涼感に優れる実施例1のピッカリングエマルションは、透過性を有さず、見た目の清涼感に劣る比較例1のピッカリングエマルションよりも耐汗性に優れている(表2)。
この結果は、透過性を有する本発明のピッカリングエマルションは見た目の清涼感だけではなく、耐汗性にも優れていることを示している。
<試験例5>部分的疎水化シリカの表面電位
シリカ微粒子(AEROSIL社製、平均一次粒子径12nm(測定方法は前述のとおり)、以下、未処理シリカともいう)と、該シリカ微粒子とトリメチルシリル疎水化処理剤を混合することにより得られた部分的疎水化シリカを用意した。
この部分的疎水化シリカを純水又は海水(人工海水、GEX社)に、0.001g/mLの濃度で分散し、ゼータ電位解析装置(ELS-Z、大塚電子社)にてそのゼータ電位を測定した。
その結果、純水と海水に分散したときの部分的疎水化シリカのゼータ電位は、それぞれ16.84±2.18mV、4.16±1.26mVであった(図1)。
この結果は、部分的疎水化シリカは、イオンの存在しない環境下では、表面電荷を有しているが、イオンの存在下においては、その表面電荷が中和されることにより、疎水性となることを示している。
<試験例6>耐海水性試験
試験例5で用いた部分的疎水化シリカを用いて、表3に示す処方にて、参考例1と比較例4の水中油型のエマルションを調製した。
参考例1及び比較例4のエマルションを2.0mg/cmの割合でPMMAプレート上に塗布し、該プレートを150mLの海水に浸漬した状態で、スターラーを用いて150rpm、25℃の条件下で、2時間攪拌を行った。その後、HPLCを用いて、海水に溶出したエチルヘキシルメトキシシンナメートの量を測定した。
その結果、比較例4のエマルションを塗布したプレートから海水に溶け出したエチルヘキシルメトキシシンナメートの量は1327μgであった。一方、参考例1のエマルションを塗布したプレートから海水に溶け出したエチルヘキシルメトキシシンナメートの量は113.9μgであり、比較例4のエマルションにおける溶出量の1/11であった(図2)。
この結果は、純水中で表面電荷を有する部分的疎水化シリカにより乳化されたピッカリングエマルションは、イオンを含む水溶液への抵抗性に優れていることを示している。
<試験例7>塗布膜の断面の観察(1)
試験例6の方法によって海水に浸漬する前後のPMMAプレート上に形成された参考例1及び比較例4のエマルションの塗布膜の断面の様子を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した(図3)。
図3に示すように、比較例4のエマルションの塗布膜は、海水への浸漬によって殆どが剥離していた。一方、参考例1のエマルションの塗布膜は、海水への浸漬後であってもプレート上に維持されていた。
試験例5~7の結果は、参考例1のエマルションは、イオンを含む水溶液に触れることによって、表面電荷が失われ疎水性となった部分的疎水化シリカが凝集することで、エマルションの塗布膜自体が凝集し、物理的な強度が向上することを示している。
<試験例8>SPFの測定
試験例6と同様の方法により海水に浸漬する前後において、PMMAプレート上に塗布された参考例1及び比較例4のエマルションの塗布膜のSPF値をSPFアナライザーにて測定した。
その結果、比較例4のエマルションの塗布膜は、海水への浸漬の後、SPF値が70%に低下した。一方、参考例1のエマルションの塗布膜は、海水への浸漬の後、驚くべきことにSPF値が140%に向上した(図4)。
<試験例9>散乱率の測定
参考例1のエマルションを石英プレートに一定の厚みとなるように塗布し、海水への接触の前後における紫外領域の光の散乱率を、分光光度計(V-600、JASCO社)により測定した。
その結果、参考例1のエマルションの塗布膜は、驚くべきことに、海水への接触後において紫外領域の光の散乱率が上昇した(図5)。
試験例5の結果を考慮すると、試験例9の結果は、イオンを含む水溶液に触れた後、表面電荷が失われ疎水性となった部分的疎水化シリカが凝集することにより、紫外線の散乱率が上昇したことを示している。
また試験例9の結果と併せて考慮すると、試験例8の結果は、イオンを含む水溶液に触れた後、紫外線の散乱率が上昇したことによって、塗布膜内における光路長が増加し、結果として紫外線吸収剤(エチルヘキシルメトキシシンナメート)による紫外線の吸収効率が向上したことを示している。
試験例5~9の結果は、本発明のピッカリングエマルションが、イオンを含む水溶液への抵抗性に優れていることを示している。
<試験例10>電子顕微鏡による観察
試験例1と同様にトリメチルシリル疎水化処理剤により処理された部分的疎水化シリカを用いて、表4に示す処方で調製した参考例2の水中油型のピッカリングエマルションを走査型電子顕微鏡により観察した。電子顕微鏡像を図6に示す。
参考例2のピッカリングエマルションにおける部分的疎水化シリカの二次粒子径を図6に基づき算出した。その結果、シリカの平均二次粒子径は50nm以下であった。
参考例2と、実施例のピッカリングエマルションは、共通する部分的疎水化シリカを用いて同一の方法で製造したものである。したがって、参考例2のピッカリングエマルションの走査型電子顕微鏡による観察結果より、実施例のピッカリングエマルションにおけるシリカの平均二次粒子径も50nm以下であることが推認できる。
<試験例11>塗布膜の断面の観察(2)
試験例1と同様にトリメチルシリル疎水化処理剤により処理された部分的疎水化シリカを用いて、表5に示す処方の比較例5のエマルションを調製した。比較例5と上で調製した参考例1とのエマルションを試験例6と同様の方法で海水に浸漬した。その後、試験例7と同様に浸漬後のエマルションの塗布膜の断面図を走査型電子顕微鏡により観察した。電子顕微鏡像を図7に示す。
表5に示すように、比較例5のエマルションは乳化系の維持に十分な量の界面活性剤(PEG-25ステアリン酸エステル)を含んでいる。そのため、比較例5のエマルションにおいては、部分的疎水化シリカは水相と油相の界面に吸着しておらず、界面活性剤の作用により水相に分散している。つまり、比較例5のエマルションはピッカリングエマルションではない。
そのため、比較例5のエマルションの塗布膜を海水に接触させると、水相に分散した部分的疎水化シリカが凝集体(図7中、点線で囲まれた箇所)を形成するものの、塗布膜全体の凝集化及び疎水化が起こらなかった(図7)。
この結果は、表面が荷電している乳化粉体を単に分散しただけのエマルションでは、本発明の効果が得られないことを示している。
一方、参考例1は部分的疎水化シリカが水相と油相の界面に吸着することで乳化状態が安定化されたピッカリングエマルションである。
そして、参考例1のピッカリングエマルションの塗布膜は、海水への接触後、部分的疎水化シリカが界面に吸着した乳化滴が凝集することで、塗布膜自体が凝縮し疎水化している(図7)。
以上の結果は、イオンを含む水溶液に対する優れた抵抗性という本発明の効果は、表面が荷電している乳化粉体により安定化されたピッカリングエマルションという形態によりもたらされていることを示している。
<試験例8>塗布膜の断面の観察(3)
参考例1のピッカリングエマルションの塗布膜を試験例6と同様の方法により、純水と海水に浸漬した。純水又は海水に浸漬する前後における塗布膜の断面の電子顕微鏡画像を図8に示す。
図8に示すように、参考例1のピッカリングエマルションの塗布膜は、海水のみならず純水への浸漬後においても剥離せず、かつ、多孔構造が維持されたままであった。
この結果は、本発明のピッカリングエマルションの塗布膜は、耐水性にも優れていることを示している。
また、参考例1のピッカリングエマルションの塗布膜は、海水への浸漬により断面に表れる多孔構造における孔間を仕切る膜の厚みが約3倍となっている。
この結果は、本発明のピッカリングエマルションの塗布膜が、イオンを含む水溶液に接触することで高度に凝集することにより、膜全体の疎水性が高まっていることを示している。
本発明は化粧料に好適である。

Claims (1)

  1. ポリオール及び/又は増粘剤を含有する水相と、油相と、粉体とを含む、可視光透過性を有するピッカリングエマルション。

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