JP2023138348A - ポリエチレンパウダー、及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】膨潤が短時間で完了し、成形体の外観や形状が均一で、高速成形時にも成形体の表面が平滑であるポリエチレンパウダーを提供する。【解決手段】下記要件を満たすポリエチレンパウダー。要件1:固有粘度(IV)が1.5dL/g以上34.0dL/g以下。要件2:所定のスラリー粘弾性測定条件での歪依存性試験から得られる、膨潤時間t(h)が0時間の弾性限度歪γ0と、膨潤時間t(h)が1時間の弾性限度歪γ1の比γ0/γ1が0.80以上0.95以下。<スラリー粘弾性測定条件>測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製MARSIII、スラリー組成:ポリエチレンパウダー30質量部、流動パラフィン70質量部、測定条件:スラリーを膨潤時間t(h)の間、窒素雰囲気下で100℃に保温し、180℃、周波数1Hz、窒素雰囲気下で歪依存性試験を実施。弾性限度歪の決定:二接線法により弾性限度歪γtを決定。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエチレンパウダー、及び成形体に関する。
ポリエチレンは、溶融加工が容易であり、また、ポリエチレンの成形体は、機械強度が高く、耐薬品性、剛性等にも優れている。そのため、ポリエチレンは、従来から、フィルム、シート、微多孔膜、繊維、発泡体、及びパイプ等、多種多様な用途の材料として用いられている。
特に、超高分子量ポリエチレンは、より機械強度が高く、摺動性や耐摩耗性に優れており、さらには、化学的安定性や長期信頼性にも優れているため、実用上の利用可能性が高い。
しかしながら、超高分子量ポリエチレンパウダーは、融点以上の温度で溶融させても流動性が極端に低いため、一般的な手法では加工が困難であるという問題点を有している。そのため、当該超高分子量ポリエチレンを成形するための方法としては、超高分子量ポリエチレンパウダーを溶剤に溶解した状態で加工して、その後、溶媒を除去する湿式法が知られている。
例えば、特許文献1には、ポリエチレンパウダーに溶媒を加えてスラリー状にして、押出機で加熱混練を行うことによりゲル状にし、キャスト成形及び延伸によってフィルム状に加工し、その後、溶媒を抽出することによって除去し、これにより微多孔膜を得る方法が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、ポリエチレンパウダーに溶媒を加えてスラリー状にして、押出機で加熱混練を行うことによりゲル状にし、紡糸及び延伸によって糸状に加工し、その後、溶媒を抽出することによって除去し、これにより高強度繊維を得る方法が開示されている。
これらの文献に開示されているように、湿式法は、ポリエチレンパウダーに溶媒を加えてスラリー状にする工程を含む。スラリーの状態において、ポリエチレンパウダーは溶媒を含んで膨潤する。ポリエチレンパウダーの膨潤の状態や程度は、ポリエチレンパウダーの加工性及びその成形体の物性に大きな影響を及ぼすことが知られている(例えば、特許文献3、4参照)。
国際公開第2021/210590号公報 国際公開第2020/230809号公報 国際公開第2021/193422号公報 特許第6686092号公報
上述した湿式法で得られるポリエチレンパウダーの成形体の品質を向上させるため、通常はポリエチレンパウダーに対して十分に膨潤を施すことが求められる。膨潤が不足している場合、スラリーにおいてポリエチレンが均一に溶解・分散しない場合があり、それにより、延伸工程における成形体の破断、成形体の外観や形状が不均一、成形体の力学性能不良、溶媒の抽出時に成形体が不均一に収縮する、高速成形時に成形体の表面平滑性が悪化する、等の問題が生じる傾向にある。これらの問題は、溶媒に対するポリエチレンパウダーの膨潤工程を長時間化することで改善される場合もあるが、かかる膨潤工程の長時間化により、ポリエチレンパウダーやその成形体の生産性を悪化させる、という問題を生じる。また、膨潤工程を長時間化しても上述したような各種の問題が解決されない場合もあるため、成形体の原料の特性として、ポリエチレンパウダーの膨潤性能を改良することが求められている。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて、ポリエチレンパウダーの膨潤が短時間で完了し、成形体の外観や形状が均一であり、高速成形時にも成形体の表面が平滑である、ポリエチレンパウダーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、所定のスラリー粘弾性測定により求めた膨潤前後の弾性限度歪の比が所定の範囲にあるポリエチレンパウダーが、上述した課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
下記の(要件1)、及び(要件2)を満たすポリエチレンパウダー。
(要件1):ISO1628-3(2010)に準拠して測定した固有粘度(IV)が1.5dL/g以上34.0dL/g以下である。
(要件2):下記の<スラリー粘弾性測定条件>での動的粘弾性の歪依存性試験から得られる、下記膨潤時間t(h)を0時間としたときの弾性限度歪γ0と、下記膨潤時間t(h)を1時間としたときの弾性限度歪γ1の比γ0/γ1が、0.80以上0.95以下である。
<スラリー粘弾性測定条件>
測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 MARSIII
ステージ:20mmφ
プレート:20mmφパラレルプレート
ギャップ:0.5mm
スラリー組成:ポリエチレンパウダー30質量部、流動パラフィン70質量部
測定条件:下記の手順1~2において歪依存性試験を行う。
手順1 サンプルステージ上で、スラリーを膨潤時間t(h)の間、窒素雰囲気下で100℃に保温する。
手順2 180℃、周波数1Hz、窒素雰囲気下の条件で歪依存性試験を行う。
弾性限度歪の決定:二接線法により弾性限度歪γtを決定する。
〔2〕
前記<スラリー粘弾性測定条件>における、動的粘弾性の歪依存性試験から得られる、前記膨潤時間t(h)を1時間としたときの弾性限度歪γ1が0.10以上である、前記〔1〕に記載のポリエチレンパウダー。
〔3〕
水銀ポロシメーターにより測定される細孔径分布において、10μmから80μmまでの間に少なくとも一つのピークを有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリエチレンパウダー。
〔4〕
エチレン単独重合体である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリエチレンパウダー。
〔5〕
下記の<等温結晶化時間測定条件>におけるDSCの等温結晶化時間測定によって得られる125℃における等温結晶化時間が7.0分以下である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリエチレンパウダー。
<等温結晶化時間測定条件>
手順1:50℃で1分間保持後、10℃/minの昇温速度で180℃まで昇温する。
手順2:180℃で5分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する。
手順3:125℃にて保持する。125℃に達した時間を起点(0分)として、結晶化に起因する発熱ピークトップが得られた時間を等温結晶化時間とする。
〔6〕
見掛け密度が0.30g/mL以上である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリエチレンパウダー。
〔7〕
乾式篩法により求められる粒径D50が150μm以下である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリエチレンパウダー。
〔8〕
ラメラ厚が30nm以下である、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリエチレンパウダー。
〔9〕
前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリエチレンパウダーの成形体。
〔10〕
二次電池用セパレータである、前記〔9〕に記載の成形体。
〔11〕
リチウムイオン二次電池用セパレータである、前記〔9〕に記載の成形体。
〔12〕
繊維である、前記〔9〕に記載の成形体。
本発明によれば、膨潤が短時間で完了し、成形体の外観や形状が均一であり、高速成形時にも成形体の表面が平滑であるポリエチレンパウダーを提供できる。
歪依存性試験の測定結果の一例を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔ポリエチレンパウダー〕
本実施形態のポリエチレンパウダーは、下記の(要件1)、及び(要件2)を満たす。
(要件1):
ISO1628-3(2010)に準拠して測定した固有粘度(IV)が1.5dL/g以上34.0dL/g以下である。
(要件2):
下記の<スラリー粘弾性測定条件>での動的粘弾性の歪依存性試験から得られる、下記膨潤時間t(h)を0時間としたときの弾性限度歪γ0と、下記膨潤時間t(h)を1時間としたときの弾性限度歪γ1の比γ0/γ1が、0.80以上0.95以下である。
<スラリー粘弾性測定条件>
測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 MARSIII
ステージ:20mmφ
プレート:20mmφパラレルプレート
ギャップ:0.5mm
スラリー組成:ポリエチレンパウダー30質量部、流動パラフィン70質量部
測定条件:下記のstep1~2において歪依存性試験を行う。
手順1 サンプルステージ上で、スラリーを膨潤時間t(h)の間、窒素雰囲気下で100℃に保温する。
手順2 180℃、周波数1Hz、窒素雰囲気下の条件で歪依存性試験を行う。
弾性限度歪の決定: 二接線法により弾性限度歪γtを決定する。
本実施形態のポリエチレンパウダーは、上記構成を有していることにより、膨潤が短時間で完了し、成形体の外観や形状が均一であり、高速成形時にも成形体の表面が平滑であるポリエチレンパウダーが得られるという効果を奏する。
以下、本実施形態のポリエチレンパウダーの構成について説明する。
(ポリエチレン)
本実施形態のポリエチレンパウダーは、エチレン重合体により構成されている。
当該エチレン重合体は、構成単位の99.5mol%以上エチレンユニットであることが好ましく、より好ましくは99.8mol%以上がエチレンユニットであり、さらに好ましくは100mol%がエチレンユニット、すなわちエチレン単独重合体(エチレンホモポリマー)である。
なお、本実施形態のポリエチレンパウダーを構成するエチレン重合体は、加工性を向上させたり、ポリエチレンパウダーの成形体として繊維を製造したとき、当該繊維のクリープ特性を改善したりする目的で、ごく少量のα-オレフィン等の共重合成分を加えて分岐を導入した共重合体であってもよい。
本実施形態のポリエチレンパウダーを構成するエチレン重合体の構成単位の、エチレンユニット以外のα-オレフィン等の共重合成分が0.5mol%以下であることにより分岐鎖による延伸後の成形体の分子配向度の低下が抑制され、機械強度は高くなる。
前記エチレン重合体が共重合体であるときの、前記共重合成分としては、特に限定されないが、例えば、α-オレフィンや、ビニル化合物等が挙げられる。
α-オレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、炭素数3~20のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン等が挙げられる。
ビニル化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ビニルシクロヘキサン、スチレン及びその誘導体等が挙げられる。
また、必要に応じて、他のコモノマーとして、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン等の非共役ポリエンを使用することもできる。
共重合成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のポリエチレンパウダーを構成するエチレン重合体が共重合体である場合の共重合体中の他のコモノマー量はNMR法等で確認することができる。
また、本実施形態のポリエチレンパウダーは、粘度平均分子量や分子量分布等が異なるポリエチレンをブレンドしたものであってもよい。低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンの他、ポリプロピレン、ポリスチレン等の他の樹脂をブレンドすることもできる。
さらに、本実施形態のポリエチレンパウダーは、1つの重合器において生成させた重合体であってもよく、もしくは多段重合装置により生成させた多段重合体であってもよい。
さらにまた、本実施形態のポリエチレンパウダーは、パウダー状の他、ペレット状に加工しても好適に使用することができる。
(ポリエチレンパウダーの粒径D50
本実施形態のポリエチレンパウダーのD50は、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは120μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。また、ポリエチレンパウダーのD50は、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。
ポリエチレンパウダーのD50が150μm以下であることにより、ポリエチレンパウダーの溶媒への溶解性がより向上し、加工品の性能や外観を損う溶け残りを低減させることができる。また、ポリエチレンパウダーのD50が5μm以上であることにより、パウダーの飛散が抑制されるためハンドリング性がより向上し、かつ、溶媒へ添加した際に、だまになることが抑制されるため均一なスラリーの形成がより容易となる傾向にある。
なお、本明細書におけるポリエチレンパウダーのD50とは、累積重量が50%となる粒子径、すなわちメディアン径であり、乾式篩法により求められる値である。
本実施形態のポリエチレンパウダーのD50は、所定の目開きの篩による分別を行うことにより、前記数値範囲に制御することができる。また、ポリエチレンパウダーのD50は、重合系内の条件(温度、エチレン圧力等)を適宜調整することによっても上記数値範囲に制御できる。具体的には、重合温度及び/又は重合圧力を高くすると、D50を大きくでき、重合温度及び/又は重合圧力を低くすると、平均粒子径D50を小さくできる。
(ポリエチレンパウダーの密度)
本実施形態のポリエチレンパウダーの密度は、特に限定されないが、好ましくは910kg/m3以上980kg/m3以下であり、より好ましくは915kg/m3以上970kg/m3以下であり、さらに好ましくは920kg/m3以上965kg/m3以下である。
なお、前記ポリエチレンパウダーの密度は、重合体の真密度であるものとする。
本実施形態のポリエチレンパウダーの密度が910kg/m3以上980kg/m3以下であることにより、本実施形態のポリエチレンパウダーを含む、延伸成形体、微多孔膜、及び繊維は、優れた強度を有するものとなる。
(固有粘度(IV))
本実施形態のポリエチレンパウダーの固有粘度(IV)は、1.5dL/g以上34.0dL/g以下であり、好ましくは6.0dL/g以上29.0dL/g以下であり、より好ましくは14.0dL/g以上24.0以下である。
固有粘度(IV)が上記範囲にあることにより、成形加工性が良好となり、かつ成形品の機械強度が高くなる傾向にある。
固有粘度(IV)は、後述する触媒を用い、重合条件等を適宜調整することにより上記数値範囲に制御することができる。具体的には、重合系に水素を存在させること、及び/又は重合温度を調整すること等によって制御することができる。
ポリエチレンパウダーの固有粘度(IV)は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(弾性限度歪γ1
本実施形態のポリエチレンパウダー30質量部と、流動パラフィン70質量部とのスラリー溶液を調製し、前記<スラリー粘弾性測定条件>で、前記膨潤時間t(h)を1時間として歪依存性試験を実施すると、例えば、図1に示すような曲線(以下、歪依存性曲線という。)が得られる。
図1中、横軸は粘弾性試験においてサンプルに与えるひずみであり、縦軸は粘弾性試験において得られた貯蔵弾性率(G’)である。図1に示すように、線形領域および非線形領域にそれぞれ接線を引くことで、その交点から弾性限度歪を求めることができる。
サンプルに与えられる歪が線形弾性領域を超えて大きくなり、サンプルの内部の構造が壊れるために貯蔵弾性率が減少し始めるときの歪が弾性限度歪γ1である。
前記<スラリー粘弾性測定条件>において、前記膨潤時間t(h)を1時間とすることで、ポリエチレンパウダーが湿式法で成形加工される際にポリエチレンパウダーが溶媒により膨潤した状態を模して粘弾性を評価することができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーにおける弾性限度歪γ1は、好ましくは0.10以上であり、より好ましくは0.15以上であり、さらに好ましくは0.20以上である。
ポリエチレンパウダーの弾性限度歪γ1が0.10以上であることにより、ポリエチレンパウダーは湿式法による成形加工において、高いひずみ速度で延伸を行っても成形体の表面平滑性が低下したり、成形体が破断したりすることが無く、生産性が高まる傾向にある。
ポリエチレンパウダーの弾性限度歪γ1を所定の範囲に制御する方法としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンパウダーの固有粘度(IV)を調整する方法が挙げられる。固有粘度(IV)を下げると、ポリエチレンパウダーの分子が動きやすくなるため、弾性限度歪γ1が大きくなる傾向にある。固有粘度(IV)は後述する実施例に記載の方法により測定することができる。固有粘度(IV)は、重合系の水素の存在量、重合温度、重合時間等の重合条件を調整することにより制御できる。
(弾性限度歪の比γ0/γ1
弾性限度歪γ0は、前記<スラリー粘弾性測定条件>で、膨潤時間t(h)を0時間として歪依存性試験を実施した場合の弾性限度歪である。
一方で、弾性限度歪γ1は、前記<スラリー粘弾性測定条件>で、膨潤時間t(h)を1時間とした場合の弾性限度歪である。
ポリエチレンパウダーを構成するポリエチレン分子は、パウダーの状態では複雑に絡み合っているが、溶媒に膨潤することで絡み合いが解される。十分に膨潤したポリエチレンパウダーによるゲルは、局所的な粘度の偏りが無くなるため、大きな歪が与えられても構造破壊が起こりにくくなり、弾性限度歪の値が大きくなる。このように膨潤前後の状態の差異を評価できることから、弾性限度歪の比γ0/γ1は、ポリエチレンパウダーの膨潤しやすさの指標となる。
例えば、γ0/γ1が0.8のような十分に大きい値をとる場合は、膨潤時間が0時間であっても十分に膨潤したポリエチレンパウダーと同等の弾性限度歪を示しているため、膨潤が十分に早く進むこと、及びポリエチレン分子がポリエチレンパウダーの時点で一定程度解れていることを意味する。
本実施形態のポリエチレンパウダーにおける弾性限度歪の比:γ0/γ1は、0.80以上0.95以下であり、好ましくは0.82以上0.92未満であり、より好ましくは0.85以上0.90未満である。
γ0/γ1が0.80以上であれば、膨潤が十分に速く進むため、さらにはポリエチレン分子がポリエチレンパウダーの時点で一定程度解れているため、膨潤が短時間で完了し、成形体の外観や形状が均一であり、延伸工程において成形体が破断する頻度が低減される傾向にあるため好ましい。
γ0/γ1が0.95以下であれば、湿式成形を行うために適したポリエチレンパウダーであるために好ましい。これは、分子絡み合いが極端に大きいポリエチレンや、分子量が極端に大きいポリエチレンにおいては、予備膨潤に効果が無く、γ0/γ1が1.0程度を示すことがあるためである。
前記弾性限度歪の比:γ0/γ1を、所定の範囲に制御する方法としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンパウダー間の空隙に溶媒が浸透しやすくする工夫や、ポリエチレンパウダーの内部に溶媒が浸透しやすくする工夫を施すことで、ポリエチレンパウダーと溶媒が接触する実質的な膨潤時間を多く確保する方法が考えられる。また、例えば、ポリエチレン結晶内部に溶媒分子が浸透しやすくする工夫を施すことで、膨潤にかかる時間を短縮する方法が考えられる。
ポリエチレンパウダー間の空隙に溶媒が浸透しやすくする工夫としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンパウダーの粒子間の隙間を適切な距離に調整する方法が挙げられる。粒子間の隙間が狭すぎると、溶媒は粘度が高いために浸透に時間を要するようになる。一方で、粒子間の隙間が広すぎると、溶媒が浸透する毛管力が弱まるため、やはり浸透に時間を要する。粒子間の隙間を適切な距離に調整する方法としては、例えば、ポリエチレンパウダーの粒度分布を狭くする方法が挙げられ、ポリエチレンパウダーの粗粉や微粉を除去することや、粒度分布の狭い重合触媒を用いてポリエチレンを重合することで達成される。
ポリエチレンパウダーの内部に溶媒が浸透しやすくする工夫としては、特に制限されないが、例えばポリエチレンパウダーの重合時に触媒活性を6000(g-PE/g-触媒)以上にすることでポリエチレンパウダー表面に裂け目が発生し、ポリエチレンパウダーの内部に溶媒が浸透しやすくなる。触媒活性は重合圧力や重合滞留時間などを調整することで制御することができる。多段重合の場合は、少なくとも最終の重合槽における触媒活性を6000(g-PE/g-触媒)以上にすることでリエチレンパウダー表面に裂け目が発生し、ポリエチレンパウダーの内部に溶媒が浸透しやすくなる。
ポリエチレン結晶内部に溶媒分子が浸透しやすくする工夫としては、特に制限されないが、例えば、(1)結晶化度を下げることや、(2)分子の絡み合いを低減させることや、(3)タイ分子を減らすことが考えられる。
なお、前記(1)~(3)の方法は、各々独立した方法であって、同時に実施する必要はない。以下、(1)~(3)の方法について説明する。
溶媒はポリエチレン結晶の非晶部に浸透するため、非晶部の割合を増やすこと、すなわち結晶化度を下げることで膨潤にかかる時間が短縮される。前記(1)の結晶化度を下げる方法としては、コモノマーを導入して共重合させる方法が考えられるが、成形体の機械強度を損なわないために、多段重合の前半にのみコモノマーを導入することが好ましい。コモノマーの導入量としては、ポリエチレン結晶内部に溶媒分子が浸透しやすくなる効果を得るために、重合槽中に0.4mol%以上を導入することが好ましい。
非晶部のポリエチレン分子は複雑に絡み合っており、お互いを拘束しているため、それが溶媒分子の浸透を阻害する。すなわち分子の絡み合いを低減することで膨潤にかかる時間が短縮される。前記(2)の分子の絡み合いを低減させる方法としては、触媒の調製を低温・長時間で実施し、かかる触媒を用いてポリエチレンの重合を実施する方法が挙げられる。具体的には、後述する実施例において記載する担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]を用いることが有効である。
また、非晶部には結晶同士を繋ぐタイ分子が存在しており、タイ分子により結晶間の距離が拘束されていると非晶部が自由に体積を増やすことができないため、溶媒分子の浸透が阻害される。すなわちタイ分子を減らすことで膨潤にかかる時間が短縮される。タイ分子の数は、ラメラ厚が均一な程、また結晶化度が50%に近い程、多くなることが報告(細田ら(2014)高分子論文集71巻483ページ)されている。言い換えると、ラメラ厚が不均一で、かつ結晶化度が高い程タイ分子は少なくなる。ラメラ厚を不均一にし、かつ前記(3)の結晶化度を高める具体的な方法としては、特に限定されないが、例えば、コモノマーを極少量エチレン中に混ぜて重合することでホモポリエチレンのみからなるラメラ結晶とコポリマーを含むラメラ結晶を混在させることでラメラ厚を不揃いにし、かつポリエチレンの製造工程における乾燥工程を高温条件で実施することで高結晶化度にする方法が挙げられる。タイ分子を少なくするために導入するコモノマー量としては、0.01mol%~0.05mol%程度が好ましい。なお、0.01mol%~0.05mol%程度の僅かなコモノマーは、ポリエチレンの融点や機械強度と言った物性に与える影響は無視できる範囲である。また、前記コモノマーのポリエチレン中の導入量についてはNMRでの検出が不可能であることから、実質的にエチレン単独重合体と見なせる。
結晶化度を高めるための乾燥温度としては、80℃から110℃程度が好ましい。
(細孔径分布のピーク)
本実施形態のポリエチレンパウダーは、水銀ポロシメーターにより測定される細孔径分布において、好ましくは10μmから80μmまでの間に少なくとも一つのピークを有し、より好ましくは15μmから70μmまでの間に少なくとも一つのピークを有し、さらに好ましくは20μmから60μmまでの間に少なくとも一つのピークを有する。
上記の範囲に少なくとも1つのピークを有することは、ポリエチレンパウダー間、すなわち集合体としてのポリエチレンパウダー中に上記の範囲の大きさの空隙を有するということを意味しており、そのような空隙が存在するとポリエチレンパウダー間の空隙に溶媒が浸透しやすくなり、膨潤が速やかに進行するため好ましい。
水銀ポロシメーターで測定した細孔径分布において、好ましくは10μmから80μmまでの間に少なくとも一つのピークを有するものとする方法としては、例えば、ポリエチレンパウダーの粒度分布を狭くする方法が挙げられる。具体的には、ポリエチレンパウダーの粗粉や微粉を除去することや、粒度分布の狭い重合触媒を用いてポリエチレンを重合することで達成される。
水銀ポロシメーターによる細孔径分布の測定は、後述する実施例に記載の方法により実施することができる。
(等温結晶化時間)
本実施形態のポリエチレンパウダーにおいて、DSCの等温結晶化時間測定によって得られる125℃における等温結晶化時間は、好ましくは7.0分以下であり、より好ましくは6.0分以下であり、さらに好ましくは5.0分以下である。
ここで、等温結晶化時間の測定は、下記の<等温結晶化時間測定条件>で実施される。
<等温結晶化時間測定条件>
手順1:50℃で1分間保持後、10℃/minの昇温速度で180℃まで昇温する。
手順2:180℃で5分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する。
手順3:125℃にて保持する。125℃に達した時間を起点(0分)として、結晶化に起因する発熱ピークトップが得られた時間を等温結晶化時間とする。
125℃における等温結晶化時間が7.0分以下であることにより、湿式法で成形加工する際のゲルの結晶サイズが小さくなり、成形体の強度が向上する傾向にある。
等温結晶化時間を制御する方法としては、ポリエチレンの結晶サイズを小さくすること等が挙げられる。ポリエチレンの結晶サイズを小さくするための方法としては、以下に限定されないが、例えば、重合工程で使用する触媒の調製を低温・長時間で実施する方法等が挙げられる。
等温結晶化時間は、具体的に、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(見掛け密度)
本実施形態のポリエチレンパウダーは、見掛け密度が、好ましくは0.30g/mL以上であり、より好ましくは0.40g/mL以上であり、さらに好ましくは0.50g/mL以上である。
ポリエチレンパウダーの見掛け密度が上記の範囲にあることにより、粉体としてのハンドリング性が向上し、生産性が高まる傾向にある。
一般的には、見掛け密度は、使用する重合触媒によって異なったものとなる。特に、単位触媒あたりのポリエチレンパウダーの生産性を調整することによりポリエチレンパウダーの見掛け密度を制御することができる。ポリエチレンパウダーの見掛け密度は、ポリエチレンパウダーを重合する際の重合温度を調整することによって制御することができ、重合温度を高くすることにより見掛け密度を低下させることができる。また、ポリエチレンパウダーの見掛け密度は、重合工程を実施する重合器内のスラリー濃度を調整することによって制御することもでき、スラリー濃度を高くすることによりポリエチレンパウダーの見掛け密度を増加させることができる。
なお、ポリエチレンパウダーの見掛け密度は後述の実施例に記載の方法によって測定することができる。
(ラメラ厚み)
本実施形態のポリエチレンパウダーは、ラメラ厚みが、好ましくは30nm以下であり、より好ましくは24nm以下であり、さらに好ましくは22nm以下である。ポリエチレンパウダーのラメラ厚みが上記の範囲にあることにより、成形体の強度が向上する傾向にある。
ポリエチレンパウダーのラメラ厚みを上記範囲に制御する方法としては、重合触媒や助触媒、重合温度、重合圧力、スラリー濃度、滞留時間等を調整する方法が挙げられる。
重合触媒としてはメタロセン系触媒を使用することが好ましい。
なお、ポリエチレンパウダーのラメラ厚みは後述の実施例に記載の方法によって測定することができる。
(ポリエチレンパウダーの製造方法)
本実施形態のポリエチレンパウダー製造方法としては、以下に限定されないが、例えば、スラリー重合法、気相重合法、溶液重合法等により、エチレン、又はエチレンを含む単量体を(共)重合させる方法が挙げられる。
これらの中でも、重合熱を効率的に除熱できるスラリー重合法が好ましい。
スラリー重合法においては、媒体として不活性炭化水素媒体を用いることができ、さらにオレフィン自身を媒体として用いることもできる。
前記不活性炭化水素媒体としては、以下に限定されないが、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素;及び、これらの混合物等が挙げられる。
本実施形態のポリエチレンパウダーの製造方法における、重合工程を実施する重合器の温度は、通常、40℃以上100℃以下が好ましく、45℃以上95℃以下がより好ましく、50℃以上90℃以下がさらに好ましい。
重合温度が40℃以上であれば、工業的に効率的な製造を行うことができる傾向にある。一方、重合温度が100℃以下であれば、連続的に安定的な運転を行うことができる傾向にある。
本実施形態のポリエチレンパウダーの製造方法における、重合工程を実施する重合器の圧力は、通常、0.10MPa以上2.0MPa以下が好ましく、より好ましくは0.10MPa以上1.5MPa以下、さらに好ましくは0.10MPa以上1.0MPa以下である。
重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことができ、特に、連続式で重合することが好ましい。
エチレンガス、溶媒(例えば、ヘキサン)、触媒等を連続的に重合系内に供給し、生成したポリエチレンパウダーと共にエチレンガス、溶媒、触媒等を連続的に排出することで、急激なエチレンの反応による部分的な高温状態を抑制することが可能となり、重合系内がより安定化する傾向にある。
本実施形態のポリエチレンパウダーの製造に使用される触媒としては、以下に限定されないが、例えば、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、フィリップス触媒等が挙げられる。
チーグラー・ナッタ触媒としては、特許第5767202号明細書に記載のものを好適に使用することができ、メタロセン触媒としては、以下に限定されないが、例えば、特開2006-273977号公報、及び、特許4868853号に記載のものを好適に使用することができる。
また、本実施形態のポリエチレンパウダーの製造方法に使用される触媒には、トリイソブチルアルミニウム、Tebbe試薬等の助触媒が含まれていてもよい。
本実施形態のポリエチレンパウダーの製造方法に使用する触媒の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上20μm以下であり、より好ましくは0.2μm以上16μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以上12μm以下である。
触媒の平均粒子径が0.1μm以上であれば、得られるポリエチレンパウダーの飛散や付着を防止できる傾向にある。
また、触媒の平均粒子径が20μm以下であると、ポリエチレンパウダーが大きくなりすぎて重合系内で沈降することを防止できる傾向にあり、かつポリエチレンパウダーの後処理工程でのラインの閉塞等を防止できる傾向にある。
触媒の粒径分布は可能な限り狭い方が好ましく、篩や遠心分離、サイクロンによって、微粉粒子と粗粉粒子を除去することができる。
ポリエチレンパウダーの製造に使用した触媒の失活方法は、特に限定されないが、ポリエチレンパウダーと溶媒とを分離した後に実施することが好ましい。
溶媒と分離した後に触媒を失活させるための薬剤を投入することで、溶媒中に溶解している触媒成分等の析出を抑制することができ、触媒成分由来のTi、Al等を低減することができる。
触媒を失活させる薬剤としては、以下に限定されないが、例えば、酸素、水、アルコール類、グリコール類、フェノール類、一酸化炭素、二酸化炭素、エーテル類、カルボニル化合物、アルキン類等を挙げることができる。
ポリエチレンパウダーの重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば、西独国特許出願公開第3127133号明細書に記載されているように、重合系に水素を存在させることや、重合温度を変化させること等によって制御することができる。
重合系内に連鎖移動剤として水素を添加することにより、ポリエチレンパウダーの重量平均分子量及び数平均分子量を適切な範囲に制御できる傾向にある。
重合系内に水素を添加する場合、水素のモル分率は、好ましくは0mol%以上30mol%以下、より好ましくは0mol%以上25mol%以下、さらに好ましくは0mol%以上20mol%以下である。
本実施形態のポリエチレンパウダーの製造方法における溶媒分離方法は、特に限定されないが、例えば、デカンテーション法、遠心分離法、フィルター濾過法等が挙げられ、ポリエチレンパウダーと溶媒との分離効率が高い観点から、遠心分離法が好ましい。
本実施形態のポリエチレンパウダーの製造方法においては、ポリエチレンパウダーを溶媒と分離した後、乾燥工程を実施することが好ましい。
当該乾燥工程における乾燥温度は、好ましくは50℃以上150℃以下、より好ましくは50℃以上140℃以下が、さらに好ましくは50℃以上130℃以下である。乾燥温度が50℃以上であれば、効率的な乾燥が可能である。一方、乾燥温度が150℃以下であれば、ポリエチレンパウダーの凝集や熱劣化を抑制した状態で乾燥することが可能である。
(添加剤)
本実施形態のポリエチレンパウダーは、上記のような各成分以外にもポリエチレンパウダーの製造に有用な他の公知の成分を含むことができる。
本実施形態のポリエチレンパウダーは、例えば、さらに、中和剤、酸化防止剤、及び耐光安定剤等の添加剤を含有してもよい。
中和剤は、ポリエチレン中に含まれる塩素のキャッチャー、又は成形加工助剤等として使用される。中和剤としては、以下に限定されないが、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属のステアリン酸塩が挙げられる。
中和剤の含有量は、特に限定されないが、ポリエチレン全量に対し、好ましくは5,000ppm以下、より好ましくは4,000ppm以下、さらに好ましくは3,000ppm以下である。
本実施形態のポリエチレンパウダーがメタロセン触媒を用いてスラリー重合法により得られたエチレン重合体である場合、触媒成分中からハロゲン成分を除外することも可能であり、かかる場合には、中和剤は使用しなくてもよい。
酸化防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは5,000ppm以下、より好ましくは4,000ppm以下、さらに好ましくは3,000ppm以下である。
耐光安定剤としては、以下に限定されないが、例えば、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系耐光安定剤;ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン)セバケート、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系耐光安定剤;等が挙げられる。
耐光安定剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは5,000ppm以下、より好ましくは4,000ppm以下、さらに好ましくは3,000ppm以下である。
本実施形態のポリエチレンパウダー中に含まれる添加剤の含有量は、ポリエチレンパウダー中の添加剤を、テトラヒドロフラン(THF)を用いてソックスレー抽出により6時間抽出し、抽出液を液体クロマトグラフィーにより分離、定量することにより求めることができる。
(用途)
本実施形態のポリエチレンパウダーは、流動パラフィン等の溶媒に速やかに膨潤し、成形体の外観や形状が均一であり、高速成形時にも成形体の表面が平滑であり、延伸工程における成形体が破断する頻度を低減させることができるため、湿式法により成形される種々の用途に応用できる。
〔成形体〕
本実施形態のポリエチレンパウダーの成形体は、上述した本実際形態のポリエチレンパウダーの成形体である。
本実施形態の成形体は、外観や形状が均一であり、高速成形時にも成形体の表面が平滑であり、延伸工程における成形体が破断する頻度を低減させることができるため、微多孔膜や繊維として特に好適に用いることができる。
微多孔膜としては、特に限定されないが、例えば、二次電池用セパレータ、特にリチウムイオン二次電池用セパレータ、鉛蓄電池用セパレータが挙げられる。
また、高分子量のポリエチレンパウダーの特性である耐摩耗性、高摺動性、高強度、高衝撃性に優れた特徴を活かし、本実施形態のポリエチレンパウダーは、特に限定されないが、例えば、押出し成形やプレス成形や切削加工等の、ソリッドでの成形により、ギアやロール、カーテンレール、パチンコ球のレール、穀物等の貯蔵サイロの内張りシート、ゴム製品等の摺動付与コーティング、スキー板材及びスキーソール、トラックやシャベルカー等の重機のライニング材に使用することができる。
また、本実施形態のポリエチレンパウダーは、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンパウダーを焼結して得られる成形体、フィルターや粉塵トラップ材等に使用できる。
以下、具体的な実施例及び比較例を用いて本実施形態についてさらに詳しく説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
各種特性及び物性の測定方法を下記に示す。
〔各種特性及び物性の測定方法〕
(1)固有粘度(IV)
ポリエチレンパウダーの固有粘度(IV)は、ISO1628-3(2010)に準拠し測定した。
溶液の調製の際は、ポリエチレンパウダーを4.0~4.5mgの範囲内で秤量し、真空ポンプで脱気し窒素で置換した20mLのデカヒドロナフタレン(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールを1g/L加えたもの、以下、デカリンと表記)を溶媒とし、内部の空気を真空ポンプで脱気し窒素で置換した溶解管中で、150℃で90分間攪拌し溶解させた。粘度管としては、キャノン-フェンスケ型粘度計(柴田科学器械工業社製:製品番号-100)を用いた。
(2)弾性限度歪
下記に記載した、ポリエチレンパウダー30質量部と流動パラフィン70質量部とからなるスラリーを用いたスラリー粘弾性測定条件で、歪依存性試験の測定を行った。
ポリエチレンパウダーとしては、試料から、JIS Z 8801:2019に準拠した目開きが425μmの篩を通過しない粒子を除去したものを使用した。
弾性限度歪を二接線法により決定した。
下記膨潤時間t(h)を0時間とした測定により得られる弾性限度歪をγ0、下記膨潤時間t(h)を1時間とした測定により得られる弾性限度歪をγ1とした。
それらの値を用いて、弾性限度歪の比γ0/γ1を算出した。
<スラリー粘弾性測定条件>
測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 MARSIII
ステージ:20mmφ
プレート:20mmφパラレルプレート
ギャップ:0.5mm
スラリー組成:ポリエチレンパウダー30質量部、流動パラフィン70質量部
測定条件:下記の手順1~2において歪依存性試験を行う。
手順1 サンプルステージ上でスラリーを膨潤時間t(h)の間、窒素雰囲気下で100℃に保温する。
手順2 180℃、周波数1Hz、窒素雰囲気下の条件で歪依存性試験を行う。
(3)細孔径分布
水銀ポロシメーターとして島津製作所社製オートポアIV9500型を用いて、ポリエチレンパウダーの細孔径分布を測定し、これにより、10μm以上のピーク値(μm)を測定した。
前処理としてポリエチレンパウダー約0.5gを試料セルに入れ低圧部で常温脱気乾燥後、水銀を試料容器内に充填し、測定を行った。
測定条件として、低圧部は69Pa(N2圧)、高圧部は21~228MPaで室温にて測定した。
(4)平均粒子径D50
ポリエチレンパウダーの平均粒子径D50を、乾式篩法により以下のとおり求めた。
200mLの容器に、ポリエチレンパウダー100gを量り取り、カーボンブラック1gを加えて薬さじで十分に撹拌した。
撹拌したポリエチレンパウダーを、JIS Z 8801:2019規格に準拠した目開きが300μm、212μm、150μm、106μm、75μm、53μmのふるいにかけて分級した際、得られる各ふるいに残ったポリエチレンパウダーの質量を目開きの小さい側から積分した積分曲線において、50%質量となる粒子径をポリエチレンパウダーの平均粒子径D50とした。
(5)α-オレフィンの含有量
ポリエチレンパウダー中のα-オレフィンに由来する重合単位の含有量(mol%)の測定を、G.J.RayらのMacromolecules,10,773(1977)に開示された方法に準じて以下の測定条件にて行った。
前記測定の13C-NMRスペクトルにより観測されるメチレン炭素のシグナルを用いて、その面積強度よりα-オレフィンの含有量を算出した。
α-オレフィンの含有量が検出下限以下であった場合、当該ポリエチレンパウダーはエチレン単独重合体であると判断し、下記表中に「〇」で示した。検出下限よりも多かった場合は、下記表中に「×」で示した。
(測定条件)
測定装置 :日本電子製ECS-400
観測核 :13
観測周波数 :100.53MHz
パルス幅 :45°(7.5μsec)
パルスプログラム:single pulse dec
PD :5sec
(6)見掛け密度
ポリエチレンパウダーの見掛け密度を、JIS K 7365:1999に従って測定した。
なお、漏斗から受器までの落下高さを50mmに調整した。
(7)等温結晶化時間
示差走査熱量計(DSC)を用いて、下記の<等温結晶化時間測定条件>よって得られる、125℃における等温結晶化時間(分)を測定した。
下記条件の手順3において、125℃に達した時間を起点(0分)として、結晶化に起因する発熱ピークトップが得られた時間を、等温結晶化時間とした。
<等温結晶化時間測定条件>
手順1:50℃で1分間保持後、10℃/minの昇温速度で180℃まで昇温する。
手順2:180℃で5分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する。
手順3:125℃にて保持する。
(8)ラメラ厚
ポリエチレンパウダーのラメラ厚を、広角X線回折(XRD)及び小角X線散乱(SAXS)測定を実施して求めた。
ポリエチレンパウダーの広角X線回折(XRD)は、下記条件の下、反射法で測定した。
・測定装置:リガク製 Ultima-IV
・X線源:Cu管球
・管球の電圧:40kV
・管球の電流:40mA
・光学系:集中光学系
・Cu-Kβ線フィルター:Ni箔
・アブソーバー:なし
・検出器:D/teX Ultra(一次元検出器)
・測定方法:θ/2θ法
・スリット:DS=1/2°、SS=解放、縦スリット=10mm
・カメラ長:285mm
・走査範囲:5~35°
・走査ステップ:0.02°

結晶由来の回折ピークが全体のXRDプロフィールに対して占める面積比から結晶化度を算出した。
超高分子量ポリエチレンパウダーの小角X線散乱(SAXS)を、下記条件の下、透過法で測定した。前処理として、粒子表面由来の散乱を低減するため、試料に対してプロピレングリコール(PG)を含浸させ、測定を行った。
・装置:リガク製NANOPIX
・X線波長:0.154nm
・光学系:ポイントコリメーション(1st:0.55mmφ、2nd:Open、guard:0.35mmφ)
・検出器:HyPix-6000(2次元半導体検出器)
・カメラ長:1312mm
・露光時間:5min/1試料
・試料セル周りの環境:大気

以下の方法により結晶長周期の解析を実施した。
円環平均を行い算出したSAXSプロフィールに対して、散乱ベクトルの絶対値qの2乗を乗じた。縦軸はSAXSプロフィールに散乱ベクトルの絶対値の2乗を乗じたものとして、横軸は散乱ベクトルの絶対値の自然対数として、プロットした。q=0.1~0.6の範囲で直線のベースラインを引きGauss関数でフィティングを行い、最大強度となっている位置を結晶長周期由来のピーク位置qmとした。以下の式により結晶長周期dを求めた。
d=2π/qm
超高分子量ポリエチレンパウダーのラメラ厚みを、以下の式により求めた。
ラメラ厚=結晶長周期d×(結晶化度/100)
(9)成形体の外観・形状評価
<(a)ポリエチレンパウダーの固有粘度(IV)が13.0dL/g未満の場合(微多孔膜の評価)>
ポリエチレンパウダー12gを流動パラフィン(株式会社MORESCO製P-350(商標))28g中に浸漬させ、1時間100℃に保ち、膨潤させ、スラリーを得た。
ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製、型式4C150、ミキサー形式R-60)に上記調製したスラリー状液体40gを加え、200℃、回転数50rpmで10分間混練してゲルを得た。
得られたゲルに対して0.8mmの厚みになるように180℃で10分間、プレス機で10MPaの圧力を加え、シート状に成形してゲルシートを得た。
得られたゲルシートから、縦10cm、横10cmの正方形のサンプルを切り出し、温度115℃、延伸速度2000mm/minで縦10倍、横10倍に同時二軸延伸し、膜を得た。
延伸した膜の中央部から25cm×25cmの正方形のサンプルを切り出し、金枠に固定し、ヘキサンに20分間含浸させて流動パラフィンを抽出し、乾燥処理を施し、微多孔膜を得た。
微多孔膜の外観・形状を、膜の破れや欠点の程度を元に以下の基準で評価した。
なお、欠点とは、膜表面に発生するポリエチレンパウダーのダマに起因とする凹凸のことであり、フィッシュアイとも呼ばれる。
[評価基準]
膜に破れが無く、欠点が0個以上5個未満発生しているものを◎とした。
膜に破れが無く、欠点が5個以上10個未満発生しているものを○とした。
膜に破れが無く、欠点が10個以上発生しているものを△とした。
膜に破れが有るものを×とした。
<(b)ポリエチレンパウダーの固有粘度(IV)が13.0dL/g以上の場合(繊維の評価)>
ポリエチレンパウダーと流動パラフィン(株式会社MORESCO製P-350(商標))との合計を100質量部としたとき、5質量部のポリエチレンパウダーと95質量部の流動パラフィン、さらに、1質量部の酸化防止剤(グレートレイクスケミカル日本(株)製テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマート)]メタン(製品名:ANOX20))を配合して、スラリー状液体を調製した。
スラリー状液体を1時間100℃に保ち、膨潤させた。
次に、スラリー状液体を(株)東洋精機製作所製ラボプラストミル(型式:4C150)用異方向回転二軸押出機(型式:2D25S)に投入し、200℃一定で混練作業を行った。
その後、押出機先端に装着した紡糸口金に通して紡糸した。紡糸口金の温度は200℃で、吐出量は300g/時間であり、紡糸口金の孔径は1.0mmで実施した。
次に、吐出した流動パラフィンを含む糸を、紡糸口金から2.0m離れた箇所で、室温条件下で、50m/分の速さで巻き取った。
ついで、巻き取った糸から流動パラフィンを除去するために、ヘキサン中に前記糸を浸漬させ抽出作業を行った後、24時間以上乾燥させた。
得られた糸を120℃に設定した恒温槽内で20mm/minの速度で1次延伸し、次いで140℃に設定した恒温槽内で10mm/minの速度で糸が切れる直前まで2次延伸することで、延伸糸を得た。
得られた糸10mについて、光学顕微鏡を用いて0.5m間隔で糸径を測定し、平均糸径を求めた。平均糸径を基準にして糸径ムラを評価した。
糸の外観・形状を、破断や糸径ムラの程度を元に以下の基準で評価した。
[評価基準]
紡糸中に糸が破断することが無く、糸径ムラが平均糸径に対して±5μm未満であるものを◎とした。
紡糸中に糸が破断することが無く、糸径ムラが平均糸径に対して±5μm以上10μm未満であるものを○とした。
紡糸中に糸が稀に破断するもの、又は糸径ムラが平均糸径に対して±10μm以上であるものを△とした。
紡糸中に糸が頻繁に破断するものを×とした。
(10)膨潤性評価
ポリエチレンパウダーの膨潤性を以下の様に評価した。
前記(9)成形体の外観・形状評価において、評価が◎又は〇であった場合、膨潤時間を0.2時間短くして、それ以外は前記(9)に記載の通りに評価を行った。これを繰り返し、外観・形状評価が△又は×になるときの膨潤時間を求めた。
その結果を元に下記の基準で評価した。
[評価基準]
前記(9)成形体の外観・形状評価が△又は×になるときの膨潤時間が0.2時間以下のものを◎とした。
前記(9)成形体の外観・形状評価が△又は×になるときの膨潤時間が0.2時間を超えて0.4時間以下のものを○とした。
前記(9)成形体の外観・形状評価が△又は×になるときの膨潤時間が0.4時間を超えて0.8時間以下のものを△とした。
前記(9)成形体の外観・形状評価が△又は×になるときの膨潤時間が0.8時間を超えるものを×とした。
(11)高速成形時の成形体表面平滑性評価
高速成形時の成形体表面平滑性を以下のように評価した。
<(a)ポリエチレンパウダーの固有粘度(IV)が13.0dL/g未満の場合(微多孔膜の評価)>
前記(9)(a)において延伸速度を20000mm/minとした以外は、前記(9)(a)に記載の通りに評価を行い、微多孔膜の高速成形時の成形体表面平滑性を、膜の破れや欠点の程度を元に以下の基準で評価した。
[評価基準]
膜に破れが無く、欠点が0個以上5個未満発生しているものを◎とした。
膜に破れが無く、欠点が5個以上10個未満発生しているものを○とした。
膜に破れが無く、欠点が10個以上発生しているものを△とした。
膜に破れが有るものを×とした。
<(b)ポリエチレンパウダーの固有粘度(IV)が13.0dL/g以上の場合(繊維の評価)>
前記(9)(b)において紡糸口金からの巻取速度を200m/minとした以外は、前記(9)(b)に記載の通りに評価を行い、糸の高速成形時の成形体表面平滑性を、破断や糸径ムラの程度を元に以下の基準で評価した。
[評価基準]
紡糸中に糸が破断することが無く、糸径ムラが平均糸径に対して±5μm未満であるものを◎とした。
紡糸中に糸が破断することが無く、糸径ムラが平均糸径に対して±5μm以上10μm未満であるものを○とした。
紡糸中に糸が稀に破断するもの、又は糸径ムラが平均糸径に対して±10μm以上であるものを△とした。
紡糸中に糸が頻繁に破断するものを×とした。
〔製造例〕触媒の合成
(担持型メタロセン触媒成分[A]の合成)
<(1)原料:シリカ成分[a-1]の調製>
平均粒子径が7μm、表面積が700m2/g、粒子内細孔容積が1.9mL/gの球状シリカを、窒素雰囲気下、500℃で5時間焼成し、脱水した。
窒素雰囲気下、容量1.8Lのオートクレーブ内で、この脱水シリカ40gをヘキサン800mL中に分散させ、スラリーを得た。
得られたスラリーを攪拌下20℃に保ちながら、トリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1mol/L)100mLを1時間で滴下し、その後、同温度で2時間攪拌した。
その後、得られた反応混合物中をデカンテーションによって、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。このようにしてトリエチルアルミニウムで処理されたシリカ成分[a-1]のヘキサンスラリー800mLを得た。
<(2)原料:成分[a-2]の調製>
[(N-t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム-1,3-ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」と記載する。)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の炭化水素混合物の商品名]1250mLに溶解し、予め市販のブチルエチルマグネシウムの1mol/Lヘキサン溶液を40mL加え、さらにヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1mol/Lに調整し、成分[a-2]を得た。
<(3)原料:反応混合物[a-3]の調製>
ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム-トリス(ペンタフルオロフェニル)(4-ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と記載する。)5.7gをトルエン50mLに添加して溶解し、ボレートの100mmol/Lトルエン溶液を得た。
このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1mol/Lヘキサン溶液5mLを室温で加え、さらにヘキサンを加えて溶液中のボレート濃度が70mmol/Lとなるようにした。
その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物[a-3]を得た。
<(4)担持型メタロセン触媒[A]の合成>
前記(1)で得られたシリカ成分[a-1]のヘキサンスラリー800mLを、20℃で攪拌しながら、前記(2)で得られたチタニウム錯体[a-2]のうち32mLと、前記(3)で得られたボレートを含む反応混合物[a-3]46mLを、同時に1時間で添加し、さらに同温度で1時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。
反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサンで未反応の触媒原料を除去することにより、触媒活性種がシリカ上に形成されている担持型メタロセン触媒[A](以下、固体触媒成分[A]ともいう)を得た。
(助触媒:原料[a-4]の合成)
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4912Al(C253のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムで2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを圧送し、さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続した。
反応終了後、常温まで冷却したものを、原料[a-4]とした。
原料[a-4]はマグネシウムとアルミニウムの合計濃度で0.786mol/Lであった。
(担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]の合成)
<(1)原料:[b-1]の調製>
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4912Al(C253のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムの合計量で2000mmol相当)を仕込み、50℃で攪拌しながら、5.47mol/Lのn-ブタノールヘキサン溶液146mLを3時間かけて滴下し、終了後ラインを300mLのヘキサンで洗浄した。さらに、50℃で2時間かけて攪拌を継続した。反応終了後、常温まで冷却したものを原料[b-1]とした。原料[b-1]はマグネシウムの濃度で0.704mol/Lであった。
<(2)原料:[b-2]の調製>
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/LのMg6(C4912Al(C253のヘキサン溶液2,000mL(マグネシウムとアルミニウムの合計量で2000mmol相当)を仕込み、80℃で攪拌しながら、8.33mol/Lのメチルハイドロジエンポリシロキサン(信越化学工業社製)のヘキサン溶液240mLを圧送し、さらに80℃で2時間かけて攪拌を継続した。反応終了後、常温まで冷却したものを原料[b-2]とした。原料[b-2]はマグネシウムとアルミニウムの合計濃度で0.786mol/Lであった。
<(3)[B-1]担体の調製>
充分に窒素置換された8Lステンレス製オートクレーブに1mol/Lのヒドロキシトリクロロシランのヘキサン溶液1,000mLを仕込み、-10℃で、前記原料[b-1]の有機マグネシウム化合物のヘキサン溶液1340mL(マグネシウム943mmol相当)を20時間かけて滴下し、さらに-10℃で1時間攪拌しながら反応を継続させた。
反応終了後、上澄み液を除去し、1,800mLのヘキサンで4回洗浄し、[B-1]担体を得た。この担体を分析した結果、固体1g当たりに含まれるマグネシウムは7.5mmolであった。
<(4)固体触媒成分である担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]の合成>
前記[B-1]担体110gを含有するヘキサンスラリー1,970mLに、10℃で攪拌しながら、1mol/Lの四塩化チタンのヘキサン溶液103mLと、前記原料[b-2]131mLを同時に3時間かけて添加した。
添加後、10℃で1時間反応を継続させた。反応終了後、上澄み液を除去し、ヘキサンで4回洗浄することにより、未反応原料成分を除去し、固体触媒成分である担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]を得た。
(担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[C]の合成)
前記チーグラー・ナッタ触媒成分[B]の合成において、前記[B-1]担体を含有するヘキサンスラリーに四塩化チタンのヘキサン溶液と原料[b-2]を添加する際の温度を65℃、時間を3時間とし、添加後、65℃で1時間反応を継続させた以外は、担持型チーグラー・ナッタ触媒[B]の合成と同様にして担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[C]を合成した。
(助触媒)
助触媒1として、市販のトリイソブチルアルミニウムとジイソブチルアルミニウムハイドライドとの混合物(順に質量比で9:1混合物)を用いた。
助触媒2として、上記原料[a-4]を用いた。
〔実施例1〕
撹拌装置を備えたベッセル型1.5L重合反応器の内部を真空にした上で、重合反応器内に脱水ノルマルヘキサン500mLを導入した。続いて重合反応器内に0.6mLの助触媒1を脱水ノルマルヘキサン100mLに分散させて導入し、重合反応器の温度を78℃に調整し、回転数1,000rpmで撹拌を開始した。続いて固有粘度(IV)を調整するための水素を重合反応器内の圧力が0.9kPaGになるように導入し、さらにエチレンとタイ分子数を制御するために極少量(0.02mol%)の1-ブテン(コモノマー)とを重合反応器内の圧力が0.3MPaGになるように導入した。その後、重合反応器内に5.0mgの担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]を脱水ノルマルヘキサン200mLに分散させて導入し、1.0時間バッチ式重合反応を行った。重合反応中は適宜エチレンと0.02mol%の1-ブテンを重合反応器内に追加導入することで重合反応器内の圧力を維持した。その後、重合反応器を開放し、内容物を減圧濾過することで粉体状の固体成分を分離し回収した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、100℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
ポリエチレンパウダーの収量は100.7gであり、触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は20130(g-PE/g-触媒)であった。300μmおよび75μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉および微粉を除去することで粒度分布を調整した。ステアリン酸カルシウムを500ppm添加した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表1に示す。
〔実施例2〕
撹拌装置を備えたベッセル型1.5L重合反応器の内部を真空にした上で、重合反応器内に脱水ノルマルヘキサン500mLを導入した。続いて重合反応器内に0.6mLの助触媒1を脱水ノルマルヘキサン100mLに分散させて導入し、重合反応器の温度を78℃に調整し、回転数1,000rpmで撹拌を開始した。続いて固有粘度(IV)を調整するための水素を重合反応器内の圧力が147kPaGになるように導入し、さらにエチレンとタイ分子数を制御するために極少量(0.02mol%)の1-ブテン(コモノマー)とを重合反応器内の圧力が0.5MPaGになるように導入した。その後、重合反応器内に10.0mgの担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]を脱水ノルマルヘキサン200mLに分散させて導入し、1.0時間バッチ式重合反応を行った。重合反応中は適宜エチレンと0.02mol%の1-ブテンとを重合反応器内に追加導入することで重合反応器内の圧力を維持した。その後、重合反応器を開放し、内容物を減圧濾過することで粉体状の固体成分を分離し回収した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、100℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
ポリエチレンパウダーの収量は109.8gであり、触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は10981(g-PE/g-触媒)であった。300μmおよび75μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉および微粉を除去することで粒度分布を調整した。ステアリン酸カルシウムを1000ppm添加した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表1に示す。
〔実施例3〕
撹拌装置を備えたベッセル型1.5L重合反応器の内部を真空にした上で、重合反応器内に脱水ノルマルヘキサン500mLを導入した。続いて重合反応器内に0.6mLの助触媒1を脱水ノルマルヘキサン100mLに分散させて導入し、重合反応器の温度を81℃に調整し、回転数1,000rpmで撹拌を開始した。続いて固有粘度(IV)を調整するための水素を重合反応器内の圧力が10.5kPaGになるように導入し、さらにエチレンとタイ分子数を制御するために極少量(0.02mol%)の1-ブテン(コモノマー)とを重合反応器内の圧力が0.5MPaGになるように導入した。その後、重合反応器内に5.0mgの担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]を脱水ノルマルヘキサン200mLに分散させて導入し、1.0時間バッチ式重合反応を行った。重合反応中は適宜エチレンと0.02mol%の1-ブテンを重合反応器内に追加導入することで重合反応器内の圧力を維持した。その後、重合反応器を開放し、内容物を減圧濾過することで粉体状の固体成分を分離し回収した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、100℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
ポリエチレンパウダーの収量は125.2gであり、触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は25044(g-PE/g-触媒)であった。425μmの目開きを有するふるいを用いてスケールや極端な粗粉除去した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表1に示す。
〔実施例4〕
撹拌装置を備えたベッセル型1.5L重合反応器の内部を真空にした上で、重合反応器内に脱水ノルマルヘキサン500mLを導入した。続いて重合反応器内に0.6mLの助触媒1を脱水ノルマルヘキサン100mLに分散させて導入し、重合反応器の温度を81℃に調整し、回転数1,000rpmで撹拌を開始した。続いて固有粘度(IV)を調整するための水素を重合反応器内の圧力が8.0kPaGになるように導入し、さらにエチレンとタイ分子数を制御するために極少量(0.02mol%)の1-ブテン(コモノマー)とを重合反応器内の圧力が0.25MPaGになるように導入した。その後、重合反応器内に20.0mgの担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]を脱水ノルマルヘキサン200mLに分散させて導入し、1.0時間バッチ式重合反応を行った。重合反応中は適宜エチレンと0.02mol%の1-ブテンとを重合反応器内に追加導入することで重合反応器内の圧力を維持した。その後、重合反応器を開放し、内容物を減圧濾過することで粉体状の固体成分を分離し回収した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、100℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
ポリエチレンパウダーの収量は85.3gであり、触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は4264(g-PE/g-触媒)であった。300μmおよび75μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉および微粉を除去することで粒度分布を調整した。ステアリン酸カルシウムを500ppm添加した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表1に示す。
〔実施例5〕
担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]と助触媒1を用いて、連続スラリー重合法で、直列に接続した2つの重合槽による二段重合を行った。用いたコモノマーは1-ブテンで脱水脱酸素したヘキサンを溶媒に用いた。一段目の重合槽には、モノマーとしてエチレン、コモノマーとして1-ブテンを供給し、温度70℃、圧力0.32MPaG、水素濃度3.9mol%、1-ブテン濃度0.41mol%にて重合を行い、二段目にはエチレンのみを供給し、78℃、0.51MPaG、水素濃度10.7mol%にて重合した。一段目の重合槽で得られる成分の生産量の割合を70質量%、二段目の重合槽で得られる成分の生産量の割合を30質量%に設定した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、70℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
触媒の導入量とエチレンの消費量から求められる、一段目の重合槽での触媒活性は18678(g-PE/g-触媒)であり、二段目の重合槽での触媒活性は6779(g-PE/g-触媒)であった。
425μmの目開きを有するふるいを用いてスケールや極端な粗粉除去し、ステアリン酸カルシウムを1000ppm添加した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表1に示す。
〔実施例6〕
撹拌装置を備えたベッセル型1.5L重合反応器の内部を真空にした上で、重合反応器内に脱水ノルマルヘキサン500mLを導入した。続いて重合反応器内に0.6mLの助触媒1を脱水ノルマルヘキサン100mLに分散させて導入し、重合反応器の温度を71℃に調整し、回転数1,000rpmで撹拌を開始した。続いて固有粘度(IV)を調整するための水素を重合反応器内の圧力が0.2kPaGになるように導入し、さらにエチレンとタイ分子数を制御するために極少量(0.02mol%)の1-ブテン(コモノマー)とを重合反応器内の圧力が0.4MPaGになるように導入した。その後、重合反応器内に5.0mgの担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]を脱水ノルマルヘキサン200mLに分散させて導入し、1.0時間バッチ式重合反応を行った。重合反応中は適宜エチレンと0.02mol%の1-ブテンとを重合反応器内に追加導入することで重合反応器内の圧力を維持した。その後、重合反応器を開放し、内容物を減圧濾過することで粉体状の固体成分を分離し回収した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、100℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
ポリエチレンパウダーの収量は100.2gであり、触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は20041(g-PE/g-触媒)であった。300μmおよび75μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉および微粉を除去することで粒度分布を調整した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表1に示す。
〔実施例7〕
担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[C]と助触媒1を用いて、連続スラリー重合法で、直列に接続した2つの重合槽による二段重合を行った。用いたコモノマーは1-ブテンで脱水脱酸素したヘキサンを溶媒に用いた。一段目の重合槽には、モノマーとしてエチレン、コモノマーとして1-ブテンを供給し、温度70℃、圧力0.32MPaG、水素濃度0.01mol%、1-ブテン濃度0.50mol%にて重合を行い、二段目にはエチレンとタイ分子数を制御するために極少量(0.02mol%)の1-ブテン(コモノマー)を供給し、70℃、0.51MPaG、水素濃度0.03mol%にて重合した。一段目の重合槽で得られる成分の生産量の割合を50質量%、二段目の重合槽で得られる成分の生産量の割合を50質量%に設定した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、100℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
触媒の導入量とエチレンの消費量から求められる、一段目の重合槽での触媒活性は12204(g-PE/g-触媒)であり、二段目の重合槽での触媒活性は12175(g-PE/g-触媒)であった。
300μmおよび75μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉および微粉を除去することで粒度分布を調整した。ステアリン酸カルシウムを500ppm添加した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表1に示す。
〔実施例8〕
撹拌装置を備えたベッセル型1.5L重合反応器の内部を真空にした上で、重合反応器内に脱水ノルマルヘキサン500mLを導入した。続いて重合反応器内に0.6mLの助触媒1を脱水ノルマルヘキサン100mLに分散させて導入し、重合反応器の温度を75℃に調整し、回転数1,000rpmで撹拌を開始した。続いて固有粘度(IV)を調整するための水素を重合反応器内の圧力が0.5kPaGになるように導入し、さらにエチレンとタイ分子数を制御するために極少量(0.02mol%)の1-ブテン(コモノマー)とを重合反応器内の圧力が0.5MPaGになるように導入した。その後、重合反応器内に10.0mgの担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]を脱水ノルマルヘキサン200mLに分散させて導入し、1.0時間バッチ式重合反応を行った。重合反応中は適宜エチレンと0.02mol%の1-ブテンとを重合反応器内に追加導入することで重合反応器内の圧力を維持した。その後、重合反応器を開放し、内容物を減圧濾過することで粉体状の固体成分を分離し回収した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、100℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
ポリエチレンパウダーの収量は114.7gであり、触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は11468(g-PE/g-触媒)であった。300μmおよび75μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉および微粉を除去することで粒度分布を調整した。ステアリン酸カルシウムを1000ppm添加した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表1に示す。
〔実施例9〕
担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[C]と助触媒1を用いて、連続スラリー重合法で、直列に接続した2つの重合槽による二段重合を行った。用いたコモノマーは1-ブテンで脱水脱酸素したヘキサンを溶媒に用いた。一段目の重合槽には、モノマーとしてエチレン、コモノマーとして1-ブテンを供給し、温度74℃、圧力0.27MPaG、水素濃度0.0mol%、1-ブテン濃度3.97mol%にて重合を行い、二段目にはエチレンとタイ分子数を制御するために極少量(0.02mol%)の1-ブテン(コモノマー)を供給し、70℃、0.45MPaG、水素濃度0.0mol%にて重合した。一段目の重合槽で得られる成分の生産量の割合を60質量%、二段目の重合槽で得られる成分の生産量の割合を40質量%に設定した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、100℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
触媒の導入量とエチレンの消費量から求められる、一段目の重合槽での触媒活性は15808(g-PE/g-触媒)であり、二段目の重合槽での触媒活性は10585(g-PE/g-触媒)であった。
300μmおよび75μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉および微粉を除去することで粒度分布を調整した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表1に示す。
〔実施例10〕
撹拌装置を備えたベッセル型1.5L重合反応器の内部を真空にした上で、重合反応器内に脱水ノルマルヘキサン500mLを導入した。続いて重合反応器内に0.6mLの助触媒2を脱水ノルマルヘキサン100mLに分散させて導入し、重合反応器の温度を82℃に調整し、回転数1,000rpmで撹拌を開始した。続いてエチレンとタイ分子数を制御するために極少量(0.02mol%)の1-ブテン(コモノマー)とを重合反応器内の圧力が0.8MPaになるように導入した。その後、重合反応器内に20.0mgの担持型メタロセン触媒[A]を脱水ノルマルヘキサン200mLに分散させて導入し、1.0時間バッチ式重合反応を行った。重合反応中は適宜エチレンと0.02mol%の1-ブテンとを重合反応器内に追加導入することで重合反応器内の圧力を維持した。その後、重合反応器を開放し、内容物を減圧濾過することで粉体状の固体成分を分離し回収した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、100℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
ポリエチレンパウダーの収量は143.3gであり、触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は7165(g-PE/g-触媒)であった。300μmおよび75μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉および微粉を除去することで粒度分布を調整した。ステアリン酸カルシウムを1000ppm添加した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。超高分子量ポリエチレンパウダーの評価結果を表1に示す。
〔実施例11〕
撹拌装置を備えたベッセル型1.5L重合反応器の内部を真空にした上で、重合反応器内に脱水ノルマルヘキサン500mLを導入した。続いて重合反応器内に0.6mLの助触媒1を脱水ノルマルヘキサン100mLに分散させて導入し、重合反応器の温度を55℃に調整し、回転数1,000rpmで撹拌を開始した。続いてエチレンとタイ分子数を制御するために極少量(0.02mol%)の1-ブテン(コモノマー)とを重合反応器内の圧力が0.5MPaGになるように導入した。その後、重合反応器内に20.0mgの担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]を脱水ノルマルヘキサン200mLに分散させて導入し、1.0時間バッチ式重合反応を行った。重合反応中は適宜エチレンと0.02mol%の1-ブテンを重合反応器内に追加導入することで重合反応器内の圧力を維持した。その後、重合反応器を開放し、内容物を減圧濾過することで粉体状の固体成分を分離し回収した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、100℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
ポリエチレンパウダーの収量は87.3gであり、触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は4367(g-PE/g-触媒)であった。300μmおよび75μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉および微粉を除去することで粒度分布を調整した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
撹拌装置を備えたベッセル型1.5L重合反応器の内部を真空にした上で、重合反応器内に脱水ノルマルヘキサン500mLを導入した。続いて重合反応器内に0.6mLの助触媒2を脱水ノルマルヘキサン100mLに分散させて導入し、重合反応器の温度を75℃に調整し、回転数1,000rpmで撹拌を開始した。続いてエチレンを重合反応器内の圧力が0.8MPaになるように導入した。その後、重合反応器内に20.0mgの担持型メタロセン触媒[A]を脱水ノルマルヘキサン200mLに分散させて導入し、1.0時間バッチ式重合反応を行った。重合反応中は適宜エチレンを重合反応器内に追加導入することで重合反応器内の圧力を維持した。その後、重合反応器を開放し、内容物を減圧濾過することで粉体状の固体成分を分離し回収した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、70℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
ポリエチレンパウダーの収量は135.1gであり、触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は6757(g-PE/g-触媒)であった。300μmおよび75μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉および微粉を除去することで粒度分布を調整した。ステアリン酸カルシウムを1000ppm添加した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表2に示す。
〔比較例2〕
担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[C]と助触媒1を用いて、連続スラリー重合法で、直列に接続した2つの重合槽による二段重合を行った。脱水脱酸素したヘキサンを溶媒に用いた。一段目の重合槽には、モノマーとしてエチレンを供給し、温度78℃、圧力0.42MPaG、水素濃度34.5mol%にて重合を行い、二段目は78℃、0.5MPaG、水素濃度51.8mol%にて重合した。一段目の重合槽で得られる成分の生産量の割合を50質量%、二段目の重合槽で得られる成分の生産量の割合を50質量%に設定した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、70℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
触媒の導入量とエチレンの消費量から求められる、一段目の重合槽での触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は8755(g-PE/g-触媒)であり、二段目の重合槽での触媒活性は8861(g-PE/g-触媒)であった。
300μmおよび75μmの目開きを有するふるいを用いて粗粉および微粉を除去することで粒度分布を調整した。ステアリン酸カルシウムを500ppm添加し、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表2に示す。
〔比較例3〕
撹拌装置を備えたベッセル型1.5L重合反応器の内部を真空にした上で、重合反応器内に脱水ノルマルヘキサン500mLを導入した。続いて重合反応器内に0.6mLの助触媒1を脱水ノルマルヘキサン100mLに分散させて導入し、重合反応器の温度を55℃に調整し、回転数1,000rpmで撹拌を開始した。続いて固有粘度(IV)を調整するための水素を重合反応器内の圧力が0.065kPaGになるように導入し、さらにエチレンを重合反応器内の圧力が0.5MPaGになるように導入した。その後、重合反応器内に20.0mgの担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]を脱水ノルマルヘキサン200mLに分散させて導入し、1.0時間バッチ式重合反応を行った。重合反応中は適宜エチレンを重合反応器内に追加導入することで重合反応器内の圧力を維持した。その後、重合反応器を開放し、内容物を減圧濾過することで粉体状の固体成分を分離し回収した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、70℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
ポリエチレンパウダーの収量は88.3gであり、触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は4413(g-PE/g-触媒)であった。425μmの目開きを有するふるいを用いてスケールや極端な粗粉除去した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表2に示す。
〔比較例4〕
撹拌装置を備えたベッセル型1.5L重合反応器の内部を真空にした上で、重合反応器内に脱水ノルマルヘキサン500mLを導入した。続いて重合反応器内に0.6mLの助触媒1を脱水ノルマルヘキサン100mLに分散させて導入し、重合反応器の温度を57℃に調整し、回転数1,000rpmで撹拌を開始した。続いて固有粘度(IV)を調整するための水素を重合反応器内の圧力が0.10kPaGになるように導入し、さらにエチレンとタイ分子数を制御するために極少量(0.02mol%)の1-ブテン(コモノマー)とを重合反応器内の圧力が0.5MPaGになるように導入した。その後、重合反応器内に20.0mgの担持型チーグラー・ナッタ触媒成分[B]を脱水ノルマルヘキサン200mLに分散させて導入し、1.0時間バッチ式重合反応を行った。重合反応中は適宜エチレンと0.02mol%の1-ブテンを重合反応器内に追加導入することで重合反応器内の圧力を維持した。その後、重合反応器を開放し、内容物を減圧濾過することで粉体状の固体成分を分離し回収した。得られた固体成分を口径68mmのステンレスビーカーに入れ、100℃で2.0時間乾燥させることでポリエチレンパウダーを得た。
ポリエチレンパウダーの収量は82.4gであり、触媒活性(単位触媒重量当たりに得られたポリエチレンの量)は4122(g-PE/g-触媒)であった。425μmの目開きを有するふるいを用いてスケールや極端な粗粉除去した後に、ポリエチレンパウダーの物性評価を実施した。ポリエチレンパウダーの評価結果を表2に示す。
下記表1、表2中、「-」は、膜が得られなかったため、評価不能であることを意味する。
Figure 2023138348000002
Figure 2023138348000003
本発明のポリエチレンパウダーは、各種成形体、微多孔膜、電池用セパレータ、高強度繊維等の材料として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (12)

  1. 下記の(要件1)、及び(要件2)を満たすポリエチレンパウダー。
    (要件1):ISO1628-3(2010)に準拠して測定した固有粘度(IV)が1.5dL/g以上34.0dL/g以下である。
    (要件2):下記の<スラリー粘弾性測定条件>での動的粘弾性の歪依存性試験から得られる、下記膨潤時間t(h)を0時間としたときの弾性限度歪γ0と、下記膨潤時間t(h)を1時間としたときの弾性限度歪γ1の比γ0/γ1が、0.80以上0.95以下である。
    <スラリー粘弾性測定条件>
    測定装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 MARSIII
    ステージ:20mmφ
    プレート:20mmφパラレルプレート
    ギャップ:0.5mm
    スラリー組成:ポリエチレンパウダー30質量部、流動パラフィン70質量部
    測定条件:下記の手順1~2において歪依存性試験を行う。
    手順1 サンプルステージ上で、スラリーを膨潤時間t(h)の間、窒素雰囲気下で100℃に保温する。
    手順2 180℃、周波数1Hz、窒素雰囲気下の条件で歪依存性試験を行う。
    弾性限度歪の決定:二接線法により弾性限度歪γtを決定する。
  2. 前記<スラリー粘弾性測定条件>における、動的粘弾性の歪依存性試験から得られる、前記膨潤時間t(h)を1時間としたときの弾性限度歪γ1が0.10以上である、
    請求項1に記載のポリエチレンパウダー。
  3. 水銀ポロシメーターにより測定される細孔径分布において、10μmから80μmまでの間に少なくとも一つのピークを有する、
    請求項1に記載のポリエチレンパウダー。
  4. エチレン単独重合体である、
    請求項1に記載のポリエチレンパウダー。
  5. 下記の<等温結晶化時間測定条件>におけるDSCの等温結晶化時間測定によって得られる125℃における等温結晶化時間が7.0分以下である、
    請求項1に記載のポリエチレンパウダー。
    <等温結晶化時間測定条件>
    手順1:50℃で1分間保持後、10℃/minの昇温速度で180℃まで昇温する。
    手順2:180℃で5分間保持後、80℃/minの降温速度で125℃まで降温する。
    手順3:125℃にて保持する。125℃に達した時間を起点(0分)として、結晶化に起因する発熱ピークトップが得られた時間を等温結晶化時間とする。
  6. 見掛け密度が0.30g/mL以上である、
    請求項1に記載のポリエチレンパウダー。
  7. 乾式篩法により求められる粒径D50が150μm以下である、
    請求項1に記載のポリエチレンパウダー。
  8. ラメラ厚が30nm以下である、請求項1に記載のポリエチレンパウダー。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリエチレンパウダーの成形体。
  10. 二次電池用セパレータである、請求項9に記載の成形体。
  11. リチウムイオン二次電池用セパレータである、請求項9に記載の成形体。
  12. 繊維である、請求項9に記載の成形体。
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