JP2023137682A - 電動圧縮機、及び電動圧縮機における防音カバーの取り付け方法 - Google Patents

Abstract

【課題】水がハウジングに到達することを抑制しつつ、防音カバーによる騒音低減効果の低下を抑制できる電動圧縮機を提供すること。【解決手段】電動圧縮機１０は、圧縮部３０と、電動モータ４０と、ハウジング２０と、防音カバー６０と、を備えている。防音カバー６０は、ハウジング２０に重ねられる第１層７０と、第１層７０に重ねられる第２層８０とを含む複数の層により構成されている。第１層７０は、第１分割体７１及び第２分割体８２により構成されている。第２層８０は、第１分割体８１及び第２分割体８２により構成されている。第１分割体７１，８１は、境界部７３，８３より上方に配置されている。第２分割体７２，８２は、境界部７３，８３より下方に配置されている。第２選択層９２としての第１層７０の境界部７３は、第１選択層９１としての第２層８０の境界部８３よりも上方向に位置する。【選択図】図１

Description

本発明は、電動圧縮機、及び電動圧縮機における防音カバーの取り付け方法に関する。

電動圧縮機は、圧縮部と、電動モータと、ハウジングと、を備えている。圧縮部は、流体を圧縮する。電動モータは、圧縮部を駆動する。ハウジングは、圧縮部及び電動モータを収容する。

ここで、電動圧縮機の騒音低減を目的として、例えば、特許文献１に記載の防音シェルによりハウジングを覆うことが考えられる。防音シェルは、上部セグメントと、下部セグメントと、を有している。上部セグメントは、ハウジングの上側を覆っている。下部セグメントは、ハウジングの下側を覆っている。

上部セグメント及び下部セグメントは、吸音層と、遮音層と、を有している。吸音層は、ハウジングに重ねられている。遮音層は、吸音層に重ねられている。上部セグメント及び下部セグメントは、互いに突き合されることによりハウジングを覆っている。防音シェルは、吸音層及び遮音層のように複数の層により構成されている。

特開２０１３－１９４６７３号公報

ところで、上部セグメントの吸音層と下部セグメントの吸音層との境界部と、上部セグメントの遮音層と下部セグメントの遮音層との境界部とが上下方向において同じ位置となっている場合、防音シェルの外部から各境界部を通じてハウジングに水が侵入する虞がある。また、防音シェルは、電動圧縮機の騒音を低減させているが、全ての境界部が上下方向において同じ位置となることにより騒音低減効果が低下する虞がある。

上記課題を解決する電動圧縮機は、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記圧縮部及び前記電動モータを収容するハウジングと、前記ハウジングを覆う防音カバーと、を備え、前記防音カバーは、前記ハウジングに重ねられる第１層と、前記第１層に重ねられる第２層とを含む複数の層により構成されており、前記層の各々は、第１分割体及び第２分割体により構成され、前記第１分割体は、前記第１分割体と前記第２分割体との境界部より上方に配置されており、前記第２分割体は、前記境界部より下方に配置されている電動圧縮機であって、前記層のうちの１つの層を第１選択層とし、前記第１選択層よりも内側に位置する前記層を第２選択層とすると、前記第２選択層の前記境界部は、前記第１選択層の前記境界部よりも上方向に位置する。

上記構成によれば、防音カバーを構成する層の境界部のうち、上下方向に位置がずれている境界部が存在する。すなわち、全ての層の境界部がハウジングから防音カバーの外部に至るまで直線状に延びていない。このため、圧縮部や電動モータから発生する騒音が防音カバーの外部に洩れにくくなる。よって、電動圧縮機の騒音低減効果を低下させにくい。

また、第２選択層の境界部が、第１選択層の境界部よりも上方向に位置している。このため、全ての層のうち最も外側に位置する最外層の境界部から第１選択層の境界部に至るまで水が侵入したとしても、第２選択層の境界部に到達しにくい。よって、電動圧縮機の外部から水が侵入してもハウジングに到達しにくい。したがって、水がハウジングに到達することを抑制しつつ、防音カバーによる騒音低減効果の低下を抑制できる。

上記の電動圧縮機において、前記層のうち最も外側に位置する最外層の前記境界部は、前記層の前記境界部の中で最も下方に位置するとよい。
上記構成によれば、最外層の境界部から侵入した水は、最外層よりも内側に存在する層の境界部を通過しにくい。したがって、ハウジングに水がより到達しにくくなる。

上記課題を解決する電動圧縮機における防音カバーの取り付け方法において、流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記圧縮部及び前記電動モータを収容するハウジングと、前記ハウジングを覆う防音カバーと、を備え、前記防音カバーは、前記ハウジングに重ねられる第１層と、前記第１層に重ねられる第２層とを含む複数の層により構成されており、前記層の各々は、第１分割体及び第２分割体により構成され、前記第１分割体は、前記第１分割体と前記第２分割体との境界部より上方に配置されており、前記第２分割体は、前記境界部より下方に配置されており、前記層のうちの１つの層を第１選択層とし、前記第１選択層よりも内側に位置する前記層を第２選択層とすると、前記第２選択層の前記境界部は、前記第１選択層の前記境界部よりも上方向に位置する電動圧縮機における防音カバーの取り付け方法であって、前記層の前記第１分割体同士を重ね合わせることにより第１前駆体を形成する第１工程と、前記層の前記第２分割体同士を重ね合わせることにより第２前駆体を形成する第２工程と、前記第１前駆体と前記第２前駆体とを組み付ける工程であって、前記第１前駆体及び前記第２前駆体により前記ハウジングを覆う第３工程と、を有する。

上記取り付け方法によると、各層の第１分割体同士を予め重ね合わせて第１前駆体を形成する。そして、各層の第２分割体同士を予め重ね合わせて第２前駆体を形成する。これにより、最終的に電動圧縮機のハウジングに対して防音カバーを取り付ける工程の簡略化を図ることができる。

上記の取り付け方法により防音カバーが取り付けられた電動圧縮機では、防音カバーを構成する層の境界部のうち、上下方向に位置がずれている境界部が存在する。すなわち、全ての層の境界部がハウジングから防音カバーの外部に至るまで直線状に延びていない。このため、圧縮部や電動モータから発生する騒音が防音カバーの外部に洩れにくくなる。よって、電動圧縮機の騒音低減効果を低下させにくい。

また、第２選択層の境界部が、第１選択層の境界部よりも上方向に位置している。このため、全ての層のうち最も外側に位置する最外層の境界部から第１選択層の境界部に至るまで水が侵入したとしても、第２選択層の境界部に到達しにくい。よって、電動圧縮機の外部から水が侵入してもハウジングに到達しにくい。したがって、水がハウジングに到達することを抑制しつつ、防音カバーによる騒音低減効果の低下を抑制できる。

この発明によれば、水がハウジングに到達することを抑制しつつ、防音カバーによる騒音低減効果の低下を抑制できる。

電動圧縮機の第１実施形態における断面図である。 電動圧縮機の第１実施形態における断面図である。 電動圧縮機の第１実施形態の製造方法を示した断面図である。 電動圧縮機の第２実施形態における断面図である。 電動圧縮機の変更例における断面図である。 電動圧縮機の変更例における断面図である。 電動圧縮機の変更例における断面図である。

［第１実施形態］
以下、電動圧縮機を具体化した第１実施形態を図１～図３にしたがって説明する。なお、本実施形態の電動圧縮機は、例えば、車両空調装置に用いられる。

＜電動圧縮機＞
図１に示すように、電動圧縮機１０は、ハウジング２０と、圧縮部３０と、電動モータ４０と、インバータ５０と、防音カバー６０と、を備えている。ハウジング２０は、円筒状である。ハウジング２０は、金属製である。ハウジング２０は、例えば、アルミニウム製である。ハウジング２０の軸線ｍが延びる方向を軸方向Ａとする。ハウジング２０の軸線ｍを中心として描く円が延びる方向を周方向Ｂとする。なお、ハウジング２０は、軸方向Ａに分割可能とした複数のハウジング構成体により構成されている。

圧縮部３０は、流体としての冷媒を圧縮する。電動モータ４０は、圧縮部３０を駆動する。インバータ５０は、電動モータ４０を駆動する。ハウジング２０は、圧縮部３０、電動モータ４０、及びインバータ５０を収容している。圧縮部３０、電動モータ４０、及びインバータ５０は、この順序でハウジング２０の軸方向Ａに並んでいる。

電動モータ４０は、インバータ５０から電力が供給されることにより駆動する。圧縮部３０は、図示しない固定スクロール及び可動スクロールから構成されるスクロール式である。圧縮部３０は、電動モータ４０の駆動に伴い、ハウジング２０内に吸入された冷媒を圧縮する。

＜防音カバー＞
図１及び図２に示すように、防音カバー６０は、ハウジング２０を覆っている。防音カバー６０は、複数の層により構成されている。本実施形態において、防音カバー６０を構成する層は、２つである。複数の層それぞれを第１層７０及び第２層８０とする。第１層７０は、ハウジング２０に重ねられている。第２層８０は、第１層７０に重ねられている。第２層８０は、第１層７０を覆っている。なお、本実施形態において、第１層７０は、例えば、ウレタン材や不織布等により形成されている。第１層７０は、吸音性に優れた材料により形成されている。本実施形態において、第２層８０は、ポリプロピレンや、ポリアミド、ＡＢＳ樹脂、オレフィン系エラストマー等により形成されている。本実施形態において、第２層８０は、遮音性に優れた材料により形成されている。

第１層７０は、ハウジング２０の外形に沿って設けられている。第１層７０は、第１分割体７１及び第２分割体７２を有している。第１分割体７１は、第１収容凹部７１ａを有している。第１収容凹部７１ａは、第２分割体７２に向けて開口している。第２分割体７２は、第２収容凹部７２ａを有している。第２収容凹部７２ａは、第１分割体７１に向けて開口している。第１収容凹部７１ａ及び第２収容凹部７２ａは、ハウジング２０の外形に沿った形状を有している。

第１分割体７１は、第１開口端面７１ｂを有している。第１開口端面７１ｂは、第１収容凹部７１ａにおける第２分割体７２に向けての開口を囲む環状の平面である。第１開口端面７１ｂは、水平方向に延びる平面である。第２分割体７２は、第２開口端面７２ｂを有している。第２開口端面７２ｂは、第２収容凹部７２ａにおける第１分割体７１に向けての開口を囲む環状の平面である。第２開口端面７２ｂは水平方向に延びる平面である。

第１開口端面７１ｂと第２開口端面７２ｂとは、その全周に亘って接触している。第１開口端面７１ｂと第２開口端面７２ｂとが接触している部分は、第１層７０における第１分割体７１と第２分割体７２との境界部７３である。第１分割体７１は、境界部７３を基準としてハウジング２０の上方に配置されている。第２分割体７２は、境界部７３を基準としてハウジング２０の下方に配置されている。なお、ハウジング２０の上方とは、ハウジング２０における鉛直方向Ｖｄの上側である。ハウジング２０の下方とは、ハウジング２０における鉛直方向Ｖｄの下側である。

第２層８０は、第１層７０の外形に沿って設けられている。第２層８０は、第１分割体８１及び第２分割体８２を有している。第１分割体８１は、第１収容凹部８１ａを有している。第１収容凹部８１ａは、第２分割体８２に向けて開口している。第２分割体８２は、第２収容凹部８２ａを有している。第２収容凹部８２ａは、第１分割体８１に向けて開口している。第１収容凹部８１ａ及び第２収容凹部８２ａは、第１層７０の外形に沿った形状を有している。

第１分割体８１は、第１開口端面８１ｂを有している。第１開口端面８１ｂは、第１収容凹部８１ａにおける第２分割体８２に向けての開口を囲む環状の平面である。第１開口端面８１ｂは、水平方向に延びる平面である。第２分割体８２は、第２開口端面８２ｂを有している。第２開口端面８２ｂは、第２収容凹部８２ａにおける第１分割体８１に向けての開口を囲む環状の平面である。第２開口端面８２ｂは水平方向に延びる平面である。

第１開口端面８１ｂと第２開口端面８２ｂとは、その全周に亘って接触している。第１開口端面８１ｂと第２開口端面８２ｂとが接触している部分は、第２層８０における第１分割体８１と第２分割体８２との境界部８３である。第１分割体８１は、境界部８３を基準としてハウジング２０の上方に配置されている。第２分割体８２は、境界部８３を基準としてハウジング２０の下方に配置されている。

第１分割体７１，８１と第２分割体７２，８２とを組み付けている方向を上下方向Ｄとする。本実施形態において、上下方向Ｄは、鉛直方向Ｖｄに一致している。なお、例えば、上下方向Ｄは、鉛直方向Ｖｄに対して若干傾いている方向であってもよい。上下方向Ｄは、第１分割体７１，８１が第２分割体７２，８２よりも少なくとも鉛直方向Ｖｄの上側に位置することができる程度に鉛直方向Ｖｄに対して傾いていてもよい。

図２に示すように、第１層７０の第１分割体７１の周方向Ｂにおける長さは、第１層７０の第２分割体７２の周方向Ｂの長さよりも短い。すなわち、第１分割体７１と第２分割体７２とを比較すると、第１分割体７１のサイズは、第２分割体７２のサイズよりも小さい。よって、第１分割体７１と第２分割体７２との境界部７３は、第１分割体７１及び第２分割体７２の各々のサイズの違いによりハウジング２０の軸線ｍよりも上下方向Ｄのうちの上方向に位置している。

第２層８０の第１分割体８１の周方向Ｂにおける長さは、第２層８０の第２分割体８２の周方向Ｂにおける長さと同じである。すなわち、第１分割体８１と第２分割体８２とを比較すると、第１分割体８１のサイズは、第２分割体８２のサイズと同じである。よって、第１分割体８１と第２分割体８２との境界部８３は、上下方向Ｄにおいてハウジング２０の軸線ｍと同じ位置に配置されている。

＜第１選択層、第２選択層、最外層＞
図１及び図２に示すように、防音カバー６０を構成する層７０，８０のうち１つの層としての第２層８０を第１選択層９１とし、第１選択層９１よりも内側に位置する層としての第１層７０を第２選択層９２とする。すると、第２選択層９２の境界部７３は、第１選択層９１の境界部８３よりも上下方向Ｄのうちの上方向に位置している。層７０，８０のうち最も外側に位置する最外層である第２層８０の境界部８３は、上下方向Ｄにおいて層７０，８０の境界部７３，８３の中で最も下方に位置している。

＜電動圧縮機における防音カバーの取り付け方法＞
図２及び図３に示すように、電動圧縮機１０における防音カバー６０の取り付け方法は、第１工程Ｐ１と、第２工程Ｐ２と、第３工程Ｐ３と、を有している。

図２に示すように、第１工程Ｐ１は、第１層７０の第１分割体７１と第２層８０の第１分割体８１とを重ね合わせる工程である。第１層７０の第１分割体７１と第２層８０の第１分割体８１とを重ね合わせることにより第１前駆体１０１が形成される。すなわち、第１工程Ｐ１は、層７０，８０の第１分割体７１，８１同士を重ね合わせることにより第１前駆体１０１を形成する工程である。

第１層７０の第１分割体７１は、第２層８０の第１分割体８１の第１収容凹部８１ａに収容されている。第１層７０の第１分割体７１は、その全体が第２層８０の第１分割体８１の内側に収容される。第１層７０の第１分割体７１の外面の全体は、第２層８０の第１分割体８１の第１収容凹部８１ａの内面に接触している。第１前駆体１０１において、第１層７０の第１分割体７１の第１開口端面７１ｂは、第２層８０の第１分割体８１の第１開口端面８１ｂと平行である。

第２工程Ｐ２は、第１層７０の第２分割体７２と第２層８０の第２分割体８２とを重ね合わせる工程である。第１層７０の第１分割体７１と第２層８０の第２分割体８２とを重ね合わせることにより第２前駆体１０２が形成される。すなわち、第２工程Ｐ２は、層７０，８０の第２分割体７２，８２同士を重ね合わせることにより第２前駆体１０２を形成する工程である。

第１層７０の第２分割体８２は、第２層８０の第２分割体８２の第２収容凹部８２ａに収容されている。第１層７０の第２分割体７２は、その一部が第２層８０の第２分割体８２の開口から突出している。第１層７０の第２分割体７２の第２開口端面７２ｂは、第２層８０の第２分割体８２の外側に突出している。第１層７０の第２分割体７２の外面の一部は、第２層８０の第２分割体８２の第２収容凹部８２ａの内面の全体に接触している。第２前駆体１０２において、第１層７０の第２分割体７２の第２開口端面７２ｂは、第２層８０の第２分割体８２の第２開口端面８２ｂと平行である。

図２及び図３に示すように、第１工程Ｐ１及び第２工程Ｐ２が完了した後、第３工程Ｐ３を実行する。第３工程Ｐ３では、まず第１前駆体１０１をハウジング２０の上方に配置し、且つ第２前駆体１０２をハウジング２０の下方に配置する。

第３工程Ｐ３は、第１前駆体１０１と第２前駆体１０２を互いに近づけ第１前駆体１０１と第２前駆体１０２とを組み付ける工程である。第１前駆体１０１の第１開口端面７１ｂと第２前駆体１０２の第２開口端面７２ｂとが接触し、且つ第１前駆体１０１の第１開口端面８１ｂと第２前駆体１０２の第２開口端面８２ｂとが接触する。そして、図３に示すように、第１前駆体１０１及び第２前駆体１０２によりハウジング２０が覆われる。すなわち、第３工程Ｐ３は、第１前駆体１０１と第２前駆体１０２とを組み付ける工程であって、第１前駆体１０１及び第２前駆体１０２によりハウジング２０を覆う工程である。

［本実施形態の作用］
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態では、圧縮部３０及び電動モータ４０が駆動すると、ハウジング２０を介して騒音が発生する。しかし、ハウジング２０が防音カバー６０により覆われているため、電動圧縮機１０の騒音が低減される。

防音カバー６０を構成する層７０，８０の境界部７３，８３は、上下方向Ｄに位置がずれている。すなわち、全ての層７０，８０の境界部７３，８３がハウジング２０から防音カバー６０の外部に至るまで直線状に延びていない。このため、圧縮部３０や電動モータ４０から発生する騒音が防音カバー６０の外部に洩れにくくなる。よって、電動圧縮機１０の騒音低減効果を低下させにくい。

また、第２選択層９２の境界部７３が、第１選択層９１の境界部８３よりも上方向に位置している。このため、全ての層７０，８０のうち最も外側に位置する最外層であるとともに第１選択層９１である第２層８０の境界部８３に至るまで水が侵入したとしても、第２選択層９２の境界部７３に到達しにくい。よって、電動圧縮機１０の外部から水が侵入してもハウジング２０に到達しにくい。

［本実施形態の効果］
本実施形態の効果を説明する。
（１－１）防音カバー６０を構成する層７０，８０の境界部７３，８３は、上下方向Ｄに位置がずれている。また、第２選択層９２の境界部７３が、第１選択層９１の境界部８３よりも上方向に位置している。したがって、水がハウジング２０に到達することを抑制しつつ、防音カバー６０による騒音低減効果の低下を抑制できる。

（１－２）全ての層７０，８０のうち最も外側に位置する最外層である第２層８０の境界部８３は、全ての層７０，８０の境界部７３，８３のうちで最も下方に位置している。このため、第２層８０の境界部８３から侵入した水は、第２層８０よりも内側に存在する第１層７０の境界部７３を通過しにくい。したがって、ハウジング２０に水がより到達しにくくなる。

（１－３）本実施形態の電動圧縮機１０に対する防音カバー６０の取り付け方法によると、各層７０，８０の第１分割体７１，８１同士を予め重ね合わせて第１前駆体１０１を形成する。そして、各層７０，８０の第２分割体７２，８２同士を予め重ね合わせて第２前駆体１０２を形成する。これにより、最終的に電動圧縮機１０のハウジング２０に対して防音カバー６０を取り付ける工程の簡略化を図ることができる。

［第２実施形態］
以下、電動圧縮機を具体化した第２実施形態を図４にしたがって説明する。なお、本実施形態の第１実施形態との主な相違点は、防音カバー６０を構成する層を追加した点である。その点について詳しく説明し、第１実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を割愛する。

＜防音カバー＞
図４に示すように、防音カバー６０は、第３層１１０を有している。第３層１１０は、第２層８０に重ねられている。第３層１１０は、第２層８０を覆っている。第３層１１０は、第２層８０の外形に沿って設けられている。防音カバー６０は、第１層７０と、第２層８０とを少なくとも含む複数の層７０，８０，１１０により構成されている。

本実施形態において、第３層１１０は、独立気泡ゴムシートや半連続気泡ゴムシート等により形成されている。防振性に優れた材料により形成されている。第３層１１０は、第１分割体１１１及び第２分割体１１２を有している。第１分割体１１１は、第１収容凹部１１１ａを有している。第１収容凹部１１１ａは、第２分割体１１２に向けて開口している。第２分割体１１２は、第２収容凹部１１２ａを有している。第２収容凹部１１２ａは、第１分割体１１１に向けて開口している。第１収容凹部１１１ａ及び第２収容凹部１１２ａは、第２層８０の外形に沿った形状を有している。

第１分割体１１１は、第１開口端面１１１ｂを有している。第１開口端面１１１ｂは、第１収容凹部１１１ａにおける第２分割体１１２に向けての開口を囲む環状の平面である。第１開口端面１１１ｂは、水平方向に延びる平面である。第２分割体１１２は、第２開口端面１１２ｂを有している。第２開口端面１１２ｂは、第２収容凹部１１２ａにおける第１分割体１１１に向けての開口を囲む環状の平面である。第２開口端面１１２ｂは、水平方向に延びる平面である。

第１開口端面１１１ｂと第２開口端面１１２ｂとは、その全周に亘って接触している。第１開口端面１１１ｂと第２開口端面１１２ｂとが接触している部分は、第３層１１０における第１分割体１１１と第２分割体１１２との境界部１１３である。第１分割体１１１は、境界部１１３を基準としてハウジング２０の上方に配置されている。第２分割体１１２は、境界部１１３を基準としてハウジング２０の下方に配置されている。

第３層１１０の第１分割体１１１の周方向Ｂにおける長さは、第３層１１０の第２分割体１１２の周方向Ｂにおける長さよりも大きい。すなわち、第１分割体１１１と第２分割体１１２とを比較すると、第１分割体１１１のサイズは、第２分割体１１２のサイズよりも大きい。よって、第１分割体１１１と第２分割体１１２との境界部１１３は、第１分割体１１１及び第２分割体１１２の各々のサイズの違いによりハウジング２０の軸線ｍよりも上下方向Ｄのうち下方向に位置している。

＜第１選択層、第２選択層、最外層＞
防音カバー６０を構成する層７０，８０，１１０のうち１つの層としての第３層１１０を第１選択層９１とし、第１選択層９１よりも内側に位置する層としての第１層７０を第２選択層９２とする。すると、第２選択層９２の境界部７３は、第１選択層９１の境界部１１３よりも上下方向Ｄのうちの上方向に位置している。

防音カバー６０を構成する層７０，８０，１１０のうち１つの層としての第３層１１０を第１選択層９１とし、第１選択層９１よりも内側に位置する層としての第２層８０を第２選択層９２とする。すると、第２選択層９２の境界部８３は、第１選択層９１の境界部１１３よりも上下方向Ｄのうちの上方向に位置している。

層７０，８０，１１０のうち最も外側に位置する最外層である第３層１１０の境界部１１３は、上下方向Ｄにおいて層７０，８０、１１０の境界部７３，８３，１１３の中で最も下方に位置している。

＜電動圧縮機における防音カバーの取り付け方法＞
電動圧縮機における防音カバー６０の取り付け方法において、第１工程Ｐ１は、第２層８０の第１分割体８１に対して第３層１１０の第１分割体１１１を重ね合わせる工程が追加される。第１層７０の第１分割体７１と、第２層８０の第１分割体８１と、第３層１１０の第１分割体１１１とを重ね合わせることにより第１前駆体１０１が形成される。すなわち、第１工程Ｐ１は、層７０，８０，１１０の第１分割体７１，８１，１１１同士を重ね合わせることにより第１前駆体１０１を形成する工程である。

第２工程Ｐ２は、第２層８０の第２分割体８２に対して第３層１１０の第２分割体１１２を重ね合わせる工程が追加される。第１層７０の第２分割体７２と、第２層８０の第２分割体８２と、第３層１１０の第２分割体１１２とを重ね合わせることにより第２前駆体１０２が形成される。すなわち、第２工程Ｐ２は、層７０，８０，１１０の第２分割体７２，８２，１１２同士を重ね合わせることにより第２前駆体１０２を形成する工程である。

第３工程Ｐ３では、第１実施形態に加えて、第１前駆体１０１の第１開口端面１１１ｂと第２前駆体１０２の第２開口端面１１２ｂとが接触する。すなわち、第３工程Ｐ３は、第１前駆体１０１と第２前駆体１０２とを組み付ける工程であって、第１前駆体１０１及び第２前駆体１０２によりハウジング２０を覆う工程である。

［本実施形態の作用］
本実施形態の作用を説明する。
防音カバー６０を構成する層７０，８０，１１０の境界部７３，８３，１１３は、上下方向Ｄに位置がずれている。すなわち、全ての層７０，８０，１１０の境界部７３，８３，１１３がハウジング２０から防音カバー６０の外部に至るまで直線状に延びていない。このため、圧縮部３０や電動モータ４０から発生する騒音が防音カバー６０の外部に洩れにくくなる。よって、電動圧縮機１０の騒音低減効果を低下させにくい。

また、第２層８０を第２選択層９２としたときの境界部８３が、第３層１１０を第１選択層９１としたときの境界部１１３よりも上方向に位置している。第１層７０を第２選択層９２としたときの境界部７３が、第３層１１０を第１選択層９１としたときの境界部１１３よりも上方向に位置している。

このため、第１選択層９１である第３層１１０の境界部１１３に至るまで水が侵入したとしても、第２選択層９２となりうる各層７０，８０の境界部７３，８３に水が到達しにくい。よって、電動圧縮機１０の外部から水が侵入してもハウジング２０に到達しにくい。

［本実施形態の効果］
本実施形態の効果を説明する。
（２－１）防音カバー６０を構成する層７０，８０，１１０の境界部７３，８３，１１３は、上下方向Ｄに位置がずれている。また、第２選択層９２となりうる各層７０，８０の境界部７３，８３が、第１選択層９１である第３層１１０の境界部１１３よりも上方向に位置している。したがって、水がハウジング２０に到達することを抑制しつつ、防音カバー６０による騒音低減効果の低下を抑制できる。

（２－２）層７０，８０，１１０のうち最も外側に位置する最外層である第３層１１０の境界部１１３は、層７０，８０，１１０の境界部７３，８３，１１３の中で最も下方に位置している。このため、第３層１１０の境界部１１３から侵入した水は、第３層１１０よりも内側に存在する各層７０，８０の境界部７３，８３を通過しにくい。したがって、ハウジング２０に水がより到達しにくくなる。

［変更例］
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。

○ 第２実施形態において、第３層１１０の境界部１１３の位置を次のように変更してもよい。
図５に示すように、第３層１１０の境界部１１３は、上下方向Ｄにおいて、第１層７０の境界部７３と第２層８０の境界部８３との間に配置されていてもよい。このように変更する場合、第２層８０を第１選択層９１とし、且つ第１層７０を第２選択層９２としてもよいし、第３層１１０を第１選択層９１とし、且つ第１層７０を第２選択層９２としてもよい。

図６に示すように、第３層１１０の境界部１１３は、上下方向Ｄにおいて第２層８０の境界部８３と同じ位置にしてもよい。このように変更する場合、第２層８０を第１選択層９１とし、且つ第１層７０を第２選択層９２としてもよいし、第３層１１０を第１選択層９１とし、且つ第１層７０を第２選択層９２としてもよい。

図７に示すように、第１層７０の境界部７３は、上下方向Ｄにおいて、第３層１１０の境界部１１３と同じ位置に配置され、且つ第２層８０の境界部８３が、各層７０，１１０の境界部７３，１１３よりも上方向に位置していてもよい。このように変更する場合、第３層１１０を第１選択層９１とし、且つ第２層８０を第２選択層９２とする。

図７に示した変更例において、第３層１１０の境界部１１３が第１層７０の境界部７３よりも下方向に位置していてもよい。このように変更する場合、第３層１１０を第１選択層９１とし、且つ第２層８０を第２選択層９２としてもよいし、第３層１１０を第１選択層９１とし、且つ第１層７０を第２選択層９２としてもよい。

図７に示した変更例において、第１層７０の境界部７３が第３層１１０の境界部１１３よりも下方向に位置していてもよい。このように変更する場合、第３層１１０を第１選択層９１とし、且つ第２層８０を第２選択層９２とする。

図７に示した変更例において、第２層８０の境界部８３が、各層７０，１１０の境界部７３，１１３よりも下方向に位置していてもよい。このように変更する場合、第２層８０を第１選択層９１とし、且つ第１層７０を第２選択層９２とする。なお、第２実施形態、及び上記変更例において、全ての層７０，８０，１１０のうちの少なくとも１つが有する第１分割体及び第２分割体のサイズが異なるように変更するとよい。

○ 第１実施形態において、第１層７０の境界部７３をハウジング２０の軸線ｍよりも下方向にずらしてもよい。このように変更する場合、第２層８０の境界部８３を第１層７０の境界部７３よりも下方向にずらす。すなわち、第２層８０を第１選択層９１とし、第１層７０を第２選択層９２とした場合に、第２選択層９２の境界部７３が第１選択層９１の境界部８３よりも上方向に位置していればよい。

○ 上記各実施形態及び上記変更例において、第１開口端面７１ｂ，８１ｂ，１１１ｂ、及び第２開口端面７２ｂ，８２ｂ，１１２ｂは、水平方向に延びる平面であったが、これに限らない。例えば、第１開口端面７１ｂ，８１ｂ，１１１ｂ、及び第２開口端面７２ｂ，８２ｂ，１１２ｂは、上下方向Ｄに段差をなすように延びる面を有していてもよい。第１開口端面７１ｂ，８１ｂ，１１１ｂ、及び第２開口端面７２ｂ，８２ｂ，１１２ｂの形状は適宜変更してもよい。このように変更しても、第２選択層９２の境界部の全体が、第１選択層９１の境界部の全体よりも上方向に位置していればよい。

○ 上記各実施形態において、第１分割体７１と第２分割体７２とは、例えばヒンジ等により連結されていてもよい。第１分割体８１と第２分割体８２とは、例えばヒンジ等により連結されていてもよい。第１分割体１１１と第２分割体１１２とは、例えばヒンジ等により連結されていてもよい。

○ 上記各実施形態において、防音カバー６０を構成する層を４つ以上としてもよい。このように変更する場合であっても、第２選択層９２の境界部が、第１選択層９１の境界部よりも上方向に位置するように構成する。

○ 上記各実施形態において、ハウジング２０は、ハウジング２０の軸線ｍに直交する方向である径方向に向けて突出する部分を有していてもよい。そして、ハウジング２０から径方向に突出した部位も防音カバー６０により覆われるように変更してもよい。このように変更する場合、第２選択層９２の境界部が第１選択層９１の境界部よりも上方向に位置するように、第１選択層９１及び第２選択層９２のいずれか一方における第１分割体のサイズと第２分割体のサイズとを異ならせる。

○ 上記各実施形態において、第１層７０は、遮音性に優れた材料により形成されていてもよい。第２層８０は、吸音性に優れた材料により形成されていてもよい。また、第３層１１０が吸音性又は遮音性に優れた材料により形成され、且つ第１層７０又は第２層８０が防振性に優れた材料により形成されていてもよい。防音カバー６０を構成する複数の層が有する吸音性、遮音性、又は防振性等の性質は各層において適宜変更してもよい。防音カバー６０は、防音機能を有する素材であればどのような素材で形成されていてもよい。なお、防音カバー６０を構成する複数の層が有する性質は、吸音性、遮音性、及び防振性以外の性質であってもよい。

○ 上記各実施形態において、圧縮部３０は、スクロール式に限らず、例えば、ピストン式やベーン式等であってもよい。
○ 上記各実施形態において、電動圧縮機１０は、燃料電池車に搭載されており、燃料電池に供給される流体としての空気を圧縮部３０により圧縮するものであってもよい。

１０…電動圧縮機、２０…ハウジング、３０…圧縮部、４０…電動モータ、６０…防音カバー、７０…第１層、７１…第１層の第１分割体、７２…第１層の第２分割体、７３…第１層の境界部、８０…第２層、８１…第２層の第１分割体、８２…第２層の第２分割体、８３…第２層の境界部、９１…第１選択層、９２…第２選択層、１０１…第１前駆体、１０２…第２前駆体、１１０…第３層、１１１…第３層の第１分割体、１１２…第３層の第２分割体、１１３…第３層の境界部、Ｐ１…第１工程、Ｐ２…第２工程、Ｐ３…第３工程。

Claims (3)

1. 流体を圧縮する圧縮部と、
   前記圧縮部を駆動する電動モータと、
   前記圧縮部及び前記電動モータを収容するハウジングと、
   前記ハウジングを覆う防音カバーと、を備え、
   前記防音カバーは、前記ハウジングに重ねられる第１層と、前記第１層に重ねられる第２層とを含む複数の層により構成されており、
   前記層の各々は、第１分割体及び第２分割体により構成され、
   前記第１分割体は、前記第１分割体と前記第２分割体との境界部より上方に配置されており、
   前記第２分割体は、前記境界部より下方に配置されている電動圧縮機であって、
   前記層のうちの１つの層を第１選択層とし、前記第１選択層よりも内側に位置する前記層を第２選択層とすると、前記第２選択層の前記境界部は、前記第１選択層の前記境界部よりも上方向に位置することを特徴とする電動圧縮機。
2. 前記層のうち最も外側に位置する最外層の前記境界部は、前記層の前記境界部の中で最も下方に位置する請求項１に記載の電動圧縮機。
3. 流体を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部を駆動する電動モータと、前記圧縮部及び前記電動モータを収容するハウジングと、前記ハウジングを覆う防音カバーと、を備え、前記防音カバーは、前記ハウジングに重ねられる第１層と、前記第１層に重ねられる第２層とを含む複数の層により構成されており、前記層の各々は、第１分割体及び第２分割体により構成され、前記第１分割体は、前記第１分割体と前記第２分割体との境界部より上方に配置されており、前記第２分割体は、前記境界部より下方に配置されており、前記層のうちの１つの層を第１選択層とし、前記第１選択層よりも内側に位置する前記層を第２選択層とすると、前記第２選択層の前記境界部は、前記第１選択層の前記境界部よりも上方向に位置する電動圧縮機における防音カバーの取り付け方法であって、
   前記層の前記第１分割体同士を重ね合わせることにより第１前駆体を形成する第１工程と、
   前記層の前記第２分割体同士を重ね合わせることにより第２前駆体を形成する第２工程と、
   前記第１前駆体と前記第２前駆体とを組み付ける工程であって、前記第１前駆体及び前記第２前駆体により前記ハウジングを覆う第３工程と、を有することを特徴とする電動圧縮機における防音カバーの取り付け方法。

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