JP2023137486A - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents

トナーおよびトナーの製造方法 Download PDF

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裕也 千本
Yuya Chimoto
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Kenta Mansho
正治 三浦
Masaharu Miura
隆穂 柴田
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【課題】長期に渡る画像出力におけるトナーの耐久性を向上させるとともに、ゴーストや画像欠陥を抑制できるトナーおよびトナーの製造方法の提供。【解決手段】トナー粒子と外添剤を有するトナーであって、該外添剤は、有機ケイ素重合体粒子と該有機ケイ素重合体粒子表面に存在する無機粒子とを有する複合粒子を含有し、走査型電子顕微鏡を用いて表面観察することで得られる該複合粒子の表面画像において、該複合粒子1粒についての該表面画像に、該無機粒子が、3個以上存在することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーおよびトナーの製造方法に関する。
従来、電子写真方式の画像形成において、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」という。)の流動性、帯電性、転写性などを改善するためにトナー粒子表面にシリカ粒子などの外添剤を添加することが行われている(特許文献1)。
近年では、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従い、更なる高画質化、プリントスピードの高速化、環境負荷低減などを目的とした一層の省エネルギー化を図るため、より耐久性および耐ストレス性の高いトナーが要求されている。
とりわけ長時間に渡って印字濃度が低い画像を出力する場合や、高温高湿環境で画像を出力する場合など、トナーがキャリアなどの部材と多く接触し、ストレスがかかる環境においては、シリカ粒子がトナー粒子表面に埋没してしまうため、トナーの表面状態が大きく変化し、トナーの流動安定性、帯電安定性の観点で改善の余地があった。
そこでトナーの耐久性および耐ストレス性を改善する手段の一つとして、トナー粒子表面にポリメチルシルセスキオキサン粒子を添加することが提案されている(例えば、特許文献2および3参照)。
特許文献2では、結着樹脂および着色剤を含む着色粒子の表面にポリメチルシルセスキオキサン粒子などのシリコーン粒子を添加することで、トナーの充分な流動性、帯電性、転写性などの向上を図ることが記載されている。
同様に特許文献3では、結着樹脂および着色剤を含むトナー粒子表面をポリメチルシルセスキオキサン粉末で被覆することにより、トナーに流動性を付与してトナー粒子の凝集を防止し、カブリのない画像の形成などを可能とすることが記載されている。
また、特許文献4や特許文献5では、ポリアルキルシルセスキオキサン粒子をトナー粒子に添加し、トナーの流動性や帯電安定性を向上させた例がある。
また、特許文献6には、外添剤にポリオルガノシルセスキオキサン粒子を含有させ、その粒径とトナー粒子に含まれる結着樹脂の状態を規定することにより、ポリオルガノシルセスキオキサン粒子が脱離せず、長期に渡り画像不良や画像形成装置内の汚染を防止することが提案されている。
特開2007-99582公報 特開平7-114213号公報 特開昭63-101854号公報 特許第6116711号公報 特開2018-4949公報 特開2017-122873号公報
しかしながら、近年の小粒径のトナーに対し上記特許文献2~6のポリオルガノシルセスキオキサン粒子を外添剤として使用した場合に長期に渡る画像出力を行うと、クリーニング性が悪化しゴーストや画像欠陥といった画像不良が発生してしまうことがあった。
本発明は、トナー粒子と外添剤を有するトナーであって、
該外添剤は、有機ケイ素重合体粒子と該有機ケイ素重合体粒子表面に存在する無機粒子とを有する複合粒子を含有し、
走査型電子顕微鏡を用いて表面観察することで得られる該複合粒子の表面画像において、該複合粒子1粒についての該表面画像に、該無機粒子が、3個以上存在することを特徴とするトナーである。
また、本発明は、上記構成のトナーを製造するためのトナーの製造方法であって、
前記有機ケイ素重合体粒子と前記無機粒子とを混合して前記複合粒子を形成する複合粒子形成工程と、
該複合粒子形成工程の後に、前記複合粒子と前記トナー粒子とを混合して、前記トナー粒子に前記複合粒子を外添する外添工程と、
を含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明によれば、長期に渡る画像出力におけるトナーの耐久性を向上させるとともに、良好なクリーニング性を持続させることでゴーストや画像欠陥を抑制できるトナーおよびトナーの製造方法を提供するものである。
トナー粒子の表面熱処理装置の概略説明図である。 ゴーストの発生の評価に用いたテストチャートの説明図である。 ゴーストの発生の評価法の説明図である。 ゴーストの説明図である。
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
〔本発明の特徴〕
本発明の効果が発現するメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。
従来のポリオルガノシルセスキオキサン粒子は、球状に近く表面に凹凸の起伏が殆ど無い形状であるため、感光ドラム表面へ移行したポリオルガノシルセスキオキサン粒子は転がりやすく、クリーニングニップ部で回転しニップ部に留まりにくい。そのため感光ドラムの回転とともに連れまわり、画像ゴーストの原因となっていた。
また、ニップ部に留まりにくいためクリーニングブレードエッジ部においてトナーをブロックするブロック層が安定形成されにくく、そのためトナーがニップ部に接近しやすくなる。ニップ部は、感光ドラムとクリーニングブレードとの摩擦によって摩擦熱が発生しているため、ニップ部に接近したトナーは摩擦熱によって加熱され感光ドラム表面に融着し、画像欠陥の発生起因となっていた。
この課題を解決するために我々は外添剤の形状に着目して鋭意検討した。その結果、外添剤が球状かつその表面に凹凸の起伏を有する形状であることが重要であることが分かった。
表面が凹凸の起伏が激しい形状であると、外添剤同士が引っ掛かりやすく転がりにくいためクリーニングニップ部に挟まっても回転しない。そのため、外添剤がニップ部に留まり易く、安定にトナーブロック層を形成しやすいと考えている。また球状に近い形状であることによって高密度で外添剤が充填されたブロック層が形成されやすくなり、トナーがブロック層内部に侵入しづらく、ニップ部から遠い位置でトナーが堰き止められることで融着が抑制されやすくなると考えている。
以上の観点から本発明者らは検討を重ねた。その結果、有機ケイ素重合体粒子表面に無機粒子を存在させることによって、良好なクリーニング性を有し、画像不良を抑制できるトナーが得られることを見出し、本発明に至った。
具体的には本発明は、トナー粒子と外添剤を有するトナーであって、
該外添剤は、有機ケイ素重合体粒子と該有機ケイ素重合体粒子表面に存在する無機粒子とを有する複合粒子を含有し、
走査型電子顕微鏡を用いて表面観察することで得られる該複合粒子の表面画像において、該複合粒子1粒についての該表面画像に、該無機粒子が、3個以上存在することを特徴とするトナーである。
〔複合粒子〕
本発明において用いられる、有機ケイ素重合体粒子と有機ケイ素重合体粒子表面に存在する無機粒子とを有する複合粒子(以下、複合粒子と称する)について詳述する。
複合粒子は、複合粒子1粒当たり有機ケイ素重合粒子表面上に3個以上の無機粒子を有することで、丸くかつその表面の凹凸の起伏が激しい形状となり、その形状は形状係数SF-1とSF-2によって特徴づけられる。
形状係数SF-1は、式(1)で示される粒子の丸さの度合いを示す指標であり、値が100であると真円となり、数値が大きくなるほど円から遠ざかり不定形になることを示す。
また形状係数SF-2は、式(2)で示される粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、値が100であると真円となり、数値が大きくなるほど大きな凸部を有することを示す。
SF-1=(粒子の最大長)2/(粒子の面積)×π/4×100 式(1)
SF-2=(粒子の周囲長)2/(粒子の面積)×1/(4×π)×100 式(2)
本発明に用いられる複合粒子の形状係数SF-1は108以下かつSF-2は400以下であることが好ましい。SF-1が108以下かつSF-2が400以下であると、ブロック層を形成させる複合粒子の充填密度が高められることで堅牢性が向上される。
また形状係数SF-2は225以上であることが好ましい。SF-2が225以上であると、ブロック層において複合粒子同士が引っ掛かりやすく転がりにくくなるため、トナーブロック層の安定性が向上する。
また複合粒子を構成する有機ケイ素重合体粒子の個数平均粒径をR1とし、無機粒子の個数平均粒径をR2としたとき、0.10≦R2/R1≦0.40を満たすことにより、トナーブロック層の安定性をより向上できる。
本発明で用いられる複合粒子を得るには、有機ケイ素重合体粒子と無機粒子とを混合する方法が挙げられる。混合機としては、FMミキサ(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、ハイブリダイザー(奈良機械社製)、振とう機(YS-8D型:(株)ヤヨイ製)が挙げられる。また混合機のスケールに対し投入原料量が少ない場合には、上記混合機のスケールダウン品を作製してそれを用いても良い。
また、混合後、粗粒子をふるい分けてもよく、そのために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(フロイント・ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製)が挙げられる。
次いで、ふるい分け後にシラン化合物等の疎水化剤で疎水化されることが好ましい。
また、上述の複合粒子を形成する混合の前に、無機粒子にオイル処理を施すオイル処理工程や、有機ケイ素重合体粒子に脂肪酸処理を施す脂肪酸処理工程を経ても良く、それによって有機ケイ素重合体粒子と無機粒子との結合を強化され、より安定したトナーブロック層が形成される。
オイル処理工程に用いられるオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルといったシリコーンオイルが挙げられる。
シリコーンオイル処理の方法としては、シランカップリング剤で処理されたシリカとシリコーンオイルとをFMミキサのような混合機を用いて直接混合する方法、ベースとなるシリカにシリコーンオイルを噴霧する方法。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解又は分散せしめた後、シリカを加え混合し溶剤を除去する方法が挙げられる。
また上記シリコーンオイル処理後に無機粒子を不活性ガス中で温度200℃以上に加熱して表面のコートを安定化させてもよい。
また脂肪酸処理工程に用いられる脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸等が挙げられる。
脂肪酸処理の方法としては、例えば加熱溶解して液状にした後に噴霧する方法、微粉末状の脂肪酸をFMミキサのような混合機を用いて直接混合する方法が挙げられる。
こうして得られる複合粒子の構造は、走査電子顕微鏡を用いた反射電子像の輝度ヒストグラムによって同定される。
走査電子顕微鏡から得られる反射電子像は組成像とも呼ばれ、原子番号の小さいものほど暗く、大きいものほど明るく検出される。
無機粒子は例えばシリカのようにケイ素原子と酸素原子のみで構成されるのに対し、有機ケイ素重合体粒子は炭素を主成分とする有機部分を有する。そのため複合粒子の反射電子像において、無機粒子は輝度が高く、無機粒子によって被覆されていない有機ケイ素重合体表面露出部は輝度が低くなる。
そのため、複合粒子の反射電子像の輝度ヒストグラムは、有機ケイ素重合体に由来するピークと無機粒子に由来するピークの2つのピークを有する。
具体的には、複合粒子についての輝度ヒストグラムには、
(i)低輝度側極大値P1を含むピークA、
(ii)高輝度側極大値P2を含むピークB、および
(iii)P1とP2との間にある極小値V、
が存在し、ピークAが有機ケイ素重合体粒子に由来するピークであり、ピークBが無機粒子に由来するピークとなっていることによって、複合粒子の構造を同定できる。
また、輝度ヒストグラムを極小値Vを境界として分割し、ピークA側の面積S1、ピークB側の面積S2としたとき、S2/(S1+S2)が、有機ケイ素重合体粒子表面における無機粒子による被覆率となる。
S2/(S1+S2)が0.10以上であることによって、複合粒子表面に凹凸が形成され複合粒子同士が引っ掛かりやすくなり、トナーブロック層をより安定化できる。
上記の複合粒子は、トナー粒子100質量部に対して0.3質量部以上含有されていることが好ましく、良好なクリーニング性と画像不良抑制の効果を得やすくなる。
<有機ケイ素重合体粒子>
複合粒子を構成する有機ケイ素重合体粒子は、下記式(A)で表される構造を有する有機ケイ素化合物の縮重合物であることが好ましい。
Figure 2023137486000001
(式(A)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、炭素数1~6(好ましくは1~4、より好ましくは1又は2)のアルキル基、フェニル基、又は反応基(例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は(好ましくは炭素数1~6、より好ましくは炭素数1~3の)アルコキシ基)を表す。)
有機ケイ素重合体粒子の製法は特に限定されず、例えば水にシラン化合物を滴下し、触媒により加水分解、縮合反応させた後、得られた懸濁液を濾過、乾燥することで得ることができ、触媒の種類、配合比、反応開始温度、滴下時間などにより、有機ケイ素重合体粒子の一次粒子の個数平均粒径をコントロールすることができる。
触媒としては酸性触媒及び塩基性触媒が挙げられる。酸性触媒を用いると加水分解反応が進行しやすく、塩基性触媒を用いると縮合反応が進行しやすい。酸性触媒としては例えば、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸などが挙げられ、塩基性触媒としては例えば、アンモニア水、水酸ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
有機ケイ素重合体粒子は以下のようにして得られる。
式(A)の一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)を用いる。
式(A)中のR1がアルキル基又はフェニル基であり、3つの反応基(R2、R3、R4)を有する有機ケイ素化合物(三官能性シラン)を用いる。
式(A)中のR1、R2がアルキル基又はフェニル基であり、2つの反応基(R3、R4)を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)を用いる。
式(A)中のR1、R2、R3がアルキル基又はフェニル基であり、1つの反応基(R4)を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)を用いる。
上記反応基が加水分解、付加重合及び縮合重合させて架橋構造を形成し、有機ケイ素重合体を得ることができる。R2、R3及びR4の加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
上記四官能性シランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソシアネートシランなどが挙げられる。
上記三官能性シランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシラン、ペンチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
上記二官能性シランとしては、ジ-tert-ブチルジクロロシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジエトキシシラン、ジブチルジクロロシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジクロロデシルメチルシラン、ジメトキシデシルメチルシラン、ジエトキシデシルメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエチルジメトキシシランなどが挙げられる。
上記一官能性シランとしては、t-ブチルジメチルクロロシラン、t-ブチルジメチルメトキシシラン、t-ブチルジメチルエトキシシラン、t-ブチルジフェニルクロロシラン、t-ブチルジフェニルメトキシシラン、t-ブチルジフェニルエトキシシラン、クロロジメチルフェニルシラン、メトキシジメチルフェニルシラン、エトキシジメチルフェニルシラン、クロロトリメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、エトキシトリメチルシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリペンチルメトキシシラン、トリフェニルクロロシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシランなどが挙げられる。
また、上記有機ケイ素重合体粒子はポリオルガノシルセスキオキサンであることが好ましい。
ポリオルガノシルセスキオキサンは、上記式(A)において、三官能性シランとして、R1がアルキル基又はフェニル基であり、R2、R3、及びR4が、それぞれ独立して加水分解性基である有機ケイ素化合物を含有するモノマー原料を重合させて得ることができる。
三官能性シランは、モノマー原料中に1種が単独で含有されてもよく、2種以上が含有されてもよい。
加水分解性基とは、加水分解反応の後に、ヒドロキシ基に変換される官能基を意味する。加水分解性基の種類としては、ハロゲン官能基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、及びヨード基)、アルコキシ基、及びアシルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基が挙げられる。上記の中でも好ましくはアルコキシ基、アセトキシ基であり、さらに好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、及びアセトキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基である。これらの加水分解性基が加水分解されると、シリルアルコール構造に変換されるため、そこから重縮合されることによりポリシロキサン骨格や架橋構造を形成させやすいと考えられるため好ましい。
それによって、有機ケイ素重合体粒子において、下記式(2)で示されるT単位構造を含むことにより、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンが得られる。
R-SiO3/2 ・・・ (2)
(式(2)中、Rは、炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基を表す。)
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおけるT単位構造の含有率は特に限定されないが、好ましくはシロキサン構成単位の全量に対し80モル%以上であることにより、ストレスに対し変形しにくく、かつ、トナー粒子表面に埋没しにくくなる。それによって、長期に渡る画像出力におけるトナーの耐久性を向上させることができる。
有機ケイ素重合体粒子は、個数平均粒径が30nm以上150nm以下であることが好ましい。
<無機粒子>
複合粒子を構成する無機粒子としてシリカ粒子、チタニア粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、アルミナ粒子が特に好ましく用いられる。また、2種類以上の金属を用いた複合酸化物粒子を用いることもできるし、これらの粒子群の中から1種を単独で用いても任意の組み合わせで選択される2種以上を用いることもできる。
この中でも無機粒子としてはシリカ粒子が好ましい。シリカの製法としては、沈降法、ゾルゲル法等の湿式シリカ、爆燃法、ヒュームド法等の乾式シリカがあり、その中でもゾルゲルシリカが好ましい。
一般的にゾルゲルシリカとは、アルカリ触媒が含まれるアルコールの存在下に、原料であるテトラアルコキシシランを供給しつつ、テトラアルコキシシランを反応させて製造されるシリカであり、粒度分布が狭く、凝集されにくい。そのため有機ケイ素重合体粒子表面に分散配置されやすく、表面の凹凸の起伏を作りやすいため安定したトナーブロック層が形成されやすくなる。
また、複合粒子を構成する無機粒子の個数平均粒径は5nm以上60nm以下であることにより、トナーブロック層の安定性をより向上できる。
なお、以上の無機粒子は、トナーの流動性や帯電性の観点から、複合粒子とともに別途併用してもよく、1種で用いても2種以上を用いてもよい。
〔低稠密度粒子〕
本発明に用いられる複合粒子と併用する外添剤として稠密度が低い粒子を用いることで、より粒子同士が引っ掛かりやすくなり、トナーブロック層の安定性をより向上できる。
稠密度は下式で表され、値が低いほど凹部が多い形状であることを意味する。稠密度の値は、具体的には0.87以下を満たすことが好ましい。
稠密度=(粒子の投影像の面積)/(粒子の投影像における凸包の面積) 式(3)
低稠密度粒子の好ましい例としては、凹部を多くする形状制御のしやすさから、例えばシリカ微粉体が挙げられ、より具体的には、乾式シリカが挙げられる。
乾式シリカの製法としては、ケイ素ハロゲン化合物等として四塩化ケイ素を原料とし、原料を気化した後、酸水素炎中で中間体として生じる水との反応(火炎加水分解反応)が用いられる。
具体的には、酸素ガスをバーナーに供給し、着火用バーナーに点火した後、水素ガスをバーナーに供給して火炎を形成し、これに原料である四塩化ケイ素を投入しガス化させる。
平均粒径及び形状は、四塩化ケイ素流量、酸素ガス供給流量、水素ガス供給流量、シリカの火炎中滞留時間を適宜変えることによって、凹部が多いシリカの形状を作成するために任意に調整可能である。
ケイ素ハロゲン化合物としては、四塩化ケイ素が用いられるが、メチルトリクロロシラン、トリクロロシランなどのシラン類単独、又は四塩化ケイ素とシラン類との混合状態でも原料として使用可能である。
低稠密度粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
低稠密度粒子の粒径としては、個数平均粒径が10nm以上300nm以下であることが好ましい。
〔複合粒子等のトナー粒子への外添方法〕
本発明のトナーは、トナー粒子に対し、前記の複合粒子と、必要に応じて低稠密度粒子や無機粒子とから構成される外添剤とを混合することによって得られる。
混合方法は特に限定されず、ヘンシェルミキサー、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ナウタミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)のような公知の混合機を用いることができる。
また、上記混合後に熱処理を施してよく、該熱処理後にさらに外添剤を混合してもよい。熱処理によって複合粒子のトナー粒子への固着が高まり、画像ゴースト抑制の効果を得やすくなる。なお、熱処理の詳細は後述する。
〔現像剤〕
本発明におけるトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、トナー表面の電荷局在化を抑制するために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることもできる。
磁性キャリアとしては、例えば、酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア);など、一般に公知のものを使用できる。
〔トナー粒子〕
以下、トナー粒子の構成材料について説明する。
<非晶性樹脂>
本発明におけるトナー粒子に結着樹脂として用いられる非晶性樹脂は、特に限定されず、下記の重合体又は樹脂を用いることが可能である。
例えば、ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。その中でも、低温定着性の観点からポリエステル樹脂が主成分であることが好ましい。
<結晶性樹脂>
本発明におけるトナー粒子には、結晶性樹脂を含有させてもよい。結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において吸熱ピークが観測される樹脂である。
結晶性樹脂は、特に限定されないが、低温定着性の観点で、結晶性ポリエステルを主成分とすることが好ましい。
結晶性ポリエステルは、炭素数2以上22以下の脂肪族ジオールと、炭素数2以上22以下の脂肪族ジカルボン酸とを主成分として含む単量体組成物を重縮合反応させることにより得られる。
<着色剤>
本発明におけるトナー粒子には必要に応じて着色剤が含有されてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
<ワックス>
本発明におけるトナー粒子には必要に応じてワックスが含有されてもよい。ワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。
マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスのような炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸のような飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸のような不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールのような多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸のような脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールのようなアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドのような脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドのような飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドのような不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドのような芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムのような脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸のようなビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
<荷電制御剤>
本発明におけるトナー粒子には、必要に応じて荷電制御剤を含有させてもよい。トナー粒子に含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩又はスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩又はカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。
〔トナー粒子の製造〕
次にトナー粒子の製造方法について説明する。
本発明におけるトナーの製造方法としては、混練粉砕法、溶解懸濁法、懸濁重合法、及び乳化凝集法が挙げられる。いずれか単独の製造方法でトナーを製造しても良いし、組み合わせてトナーを製造しても良い。
以下では混練粉砕法について詳述する。
<混練粉砕法>
混練粉砕法では、先ず、トナー粒子の構成材料である、非晶性樹脂、着色剤、並びに必要に応じて添加される離型剤、その他の添加剤を十分混合する。この際、トナー粒子中における着色剤の分散性を高めるため、予め非晶性樹脂に混合しマスターバッチ化させたものを混合することが好ましい。ついで加熱ロールやニーダーなどの公知の熱混練機を用いて溶融混練する(混練工程)。その後、所望のトナー粒子径になるまで機械的に粉砕し(粉砕工程)、所望の粒度分布になるよう分級を行い(分級工程)、トナー粒子を得る。
(混練工程)
トナーの構成材料の溶融混練は、加熱ロールやニーダーなどの公知の熱混練機を用いて行うことができる。上記混練工程は、トナーの構成材料が混合機を用いて事前に十分混合されていることが好ましい。
混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウタミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられる。
熱混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);トリミックス、プラネタリーミキサー、三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられる。
(粉砕工程)
粉砕工程とは、上記混練工程で得られた混練物を粉砕可能な硬度に達するまで冷却した後、衝突板式ジェットミル、流動層式ジェットミル、及び回転型機械ミル等の公知の粉砕機で、トナー粒子径になるまで、機械的に粉砕する工程である。粉砕効率の観点から、粉砕機としては、流動層式ジェットミルを用いることが望ましい。
粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)などが挙げられる。
(分級工程)
分級工程とは、上記粉砕工程で得られた微粉砕物を分級し、所望の粒度分布を有するトナーを得る工程である。
分級に用いられる分級機としては、風力分級機、慣性式分級機、及び篩式分級機等の公知の装置を使用することができる。具体的には、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラッシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボフレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられる。
〔複合粒子外添後の熱処理工程〕
図1に示す熱処理装置を用いて、トナー粒子に複合粒子が外添された粒子(以下、本説明では「樹脂粒子」と称する。)に熱処理を実施する方法を具体的に例示する。
原料定量供給手段1により定量供給された樹脂粒子は、圧縮気体流量調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管3を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
このとき、処理室6に供給された樹脂粒子は、処理室6内に設けられた樹脂粒子の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室6に供給された樹脂粒子は、処理室6内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された樹脂粒子を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室6内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室6内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃以上300℃以下であることが好ましく、130℃以上170℃以下であることがより好ましい。熱風供給手段7の出口部における温度が前記の範囲内であれば、樹脂粒子を加熱しすぎることによる粒子の融着や合一を防止しつつ、粒子を均一に処理することが可能となる。
熱風は熱風供給手段7から供給される。さらに熱処理された熱処理樹脂粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却される。冷風供給手段8から供給される冷風の温度は-20℃以上30℃以下であることが好ましい。冷風の温度が前記の範囲内であれば、熱処理樹脂粒子を効率的に冷却することができ、樹脂粒子の均一な熱処理を阻害することなく、熱処理樹脂粒子の融着や合一を防止することができる。また、冷風の絶対水分量は、0.5g/m3以上15.0g/m3以下であることが好ましい。
次に、冷却された熱処理樹脂粒子は、処理室6の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段10の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された樹脂粒子の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、回収手段10も、旋回された樹脂粒子の旋回方向を維持するように、処理室6の外周部に接線方向に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体粒子供給口14から供給される熱処理前樹脂粒子の旋回方向、冷風供給手段8から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段7から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、熱処理前樹脂粒子に強力な遠心力がかかり、熱処理前樹脂粒子の分散性がさらに向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃った熱処理樹脂粒子を得ることができる。
〔物性の測定方法〕
以下、各種測定方法等について記載する。
<複合粒子のSF-1、SF-2の測定方法>
複合粒子の形状係数SF-1、SF-2の測定は、走査型電子顕微鏡「S-4800」(商品名;日立製作所製)を用いて行う。
複合粒子が添加されたトナーを観察し以下のように算出する。観察倍率は複合粒子の大きさによって適宜調整する。最大20万倍に拡大した視野において、画像処理ソフト「Image-Pro Plus5.1J」(MediaCybernetics社製)を使用し、ランダムに100個の複合粒子の周囲長および面積を算出する。SF-1、SF-2は下記の式にて算出し、その平均値をSF-1、SF-2とする。
SF-1=(粒子の最大長)2/(粒子の面積)×π/4×100 式(1)
SF-2=(粒子の周囲長)2/(粒子の面積)×1/(4×π)×100 式(2)
なお、複合粒子を単独で測定することもできる。
トナー中に、複合粒子とシリカ粒子の両方が含まれている場合には、Si、Oの元素含有量(atomic%)の比(Si/O比)を標品と比較することで複合粒子の同定を行う。複合粒子、シリカ粒子それぞれの標品に対して、同条件でEDS分析を行い、Si、Oそれぞれの元素含有量(atomic%)を得る。複合粒子のSi/O比をAとし、シリカ粒子のSi/O比をBとする。AがBに対して、有意に大きくなる測定条件を選択する。具体的には、標品に対して、同条件で10回の測定を行い、A,Bそれぞれの相加平均値を得る。得られた平均値がA/B>1.1となる測定条件を選択する。
<外添剤粒子の稠密度および個数平均粒径の測定方法>
外添剤粒子の稠密度の測定方法は、トナー粒子に外添剤粒子を外添し、トナー表面を走査型電子顕微鏡で観察し、その画像を解析することで求めることができる。具体的には、実施例に記載のトナー粒子1(100質量部)に対して、外添剤粒子(0.3質量部)をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)で60s-1の条件で5分間混合する。そのトナー表面を、日立超高分解能電界放出走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)を用いて観察する。
観察条件としては、外添剤粒子の大きさによって倍率を最大20万倍に適宜調整する。また、外添剤粒子の画像処理を行うために、観察時の加速電圧は高めに調整(例えば10kV)し、反射電子像で観察する。
画像処理は、画像解析ソフトウェアImage J(開発元Wayne Rasband)で行い、高輝度に表わされた外添剤粒子と低輝度に表わされたトナー粒子とを二値化することで、外添剤粒子毎の面積及び外添剤粒子における凸包の面積を算出し下記式(3)で稠密度の平均値を測定した。二値化の条件は観察装置やスパッタ条件により適切に選択することができる。また画像解析ソフトウェアImage Jにて、外添剤粒子毎の稠密度はSolidityで得ることが可能である。
稠密度=(粒子の投影像の面積)/(粒子の投影像における凸包の面積) 式(3)
具体的な測定方法は以下の通りである。
後述の粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)で測定されるトナーの重量基準の円相当重量平均径D4(μm)に対し、0.9≦R/D4≦1.1の関係を満たす長径R(μm)を呈するトナーを100個選び出し、トナー表面の比較的平らな部分(観察面全体にピントが合う視野)を選び、トナー1個あたり1視野の観察を行い、100枚の画像を得る。
(画像解析)
得られたSEM観察像から、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて、平均稠密度を算出する。算出の手順を以下に示す。
1)[Analyze]-[Set Scale]にて、スケールの設定を行う。
2)[Image]-[Adjust]-[Threshold]で閾値を設定する。
(ノイズが残らず、測定対象である外添剤粒子が残る値に設定)
3)[Image]-[Crop]で、測定した外添剤の画像部分を選択する。
4)外添剤が重なっているものは画像編集により消去する。
5)[Edit]-[Invert]で白黒の画像を反転させる。
6)[Analyze]-[Set Measurements]で[Area]、[Shape Descriptors]、[Perimeter]、[Fit Ellipse]、[Ferets Diameter]をチェックする。また、[Redirect to]を[None]、[Decimal Place(0-9)]を3に設定する。
7)[Analyze]-[Analyze Particle]で、粒子の面積を0.005μm2以上に指定し、実行する。
8)上記7)で指定された各粒子のSolidity及びAreaの値を得る。
9)観察した画像100枚について測定を行い、得られたSolidityの相加平均値を算出し、稠密度とする。同様に、得られたAreaで示される面積を有する円相当の直径の相加平均値を算出し、それを個数平均粒径とする。
<複合粒子表面の反射電子像、及びそれに基づく物性の測定>
(複合粒子の表面の反射電子像の取得方法)
複合粒子の表面の反射電子像は、走査電子顕微鏡(SEM)により取得した。
以下の手順に従って、コントラスト及びブライトネスを決定する。まず、輝度ヒストグラム上で二つの極大値P1、極大値P2がそれぞれ可能な限り大きなピクセル数をもち、極大値P1を与える輝度及び極大値P2を与える輝度ができるだけ離れるようにコントラストを設定する。なお、極大値P1を与える輝度<極大値P2を与える輝度である。
次に、極大値P1及び極大値P2を極大値とする二つのピークの裾が輝度ヒストグラム内に収まるように、ブライトネスを設定する。これらコントラスト及びブライトネスは、使用装置の状態に合わせ適宜設定する。
(極大値P1を含むピークが有機ケイ素重合体由来であることの確認方法)
極大値P1を含むピークが有機ケイ素重合体由来であることは、走査電子顕微鏡(SEM)で取得できるエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素マッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせることで確認する。
取得した有機ケイ素重合体由来の元素マッピング像と、反射電子像を重ね合わせ、マッピング像の有機ケイ素重合体由来の元素部と反射電子像の暗部とが一致することを確認する。
複合粒子が有機ケイ素重合体粒子とシリカ粒子とから構成される場合は、有機ケイ素重合体粒子、シリカ粒子それぞれの標品に対して得られたEDS分析におけるSi、Oの元素含有量(atomic%)の比率に対し、有意に大きくなる測定条件を選択する。具体的には、有機ケイ素重合体粒子のSi/O比をZとし、シリカ粒子のSi/O比をBとし、標品に対して、同条件で10回の測定を行い、Z,Bそれぞれの相加平均値を得る。得られた平均値がZ/B>1.1となる測定条件を選択する。
得られた測定条件にて取得した有機ケイ素重合体粒子に由来するSi/O比のマッピング像と、反射電子像を重ね合わせ、マッピング像の有機ケイ素重合体由来のSi/O比部と反射電子像の暗部とが一致することを確認する。
(輝度ヒストグラムの取得方法)
輝度ヒストグラムは、上記手法で得られた複合粒子の最表面の反射電子像を、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて解析することで取得する。以下に手順を示す。
まず、ImageメニューのTypeから、解析対象の反射電子像を8-bitに変換する。次に、ProcessメニューのFiltersから、Median径を2.0ピクセルに設定し、画像ノイズを低減させる。
ツールバーのFreehandツールによって複合粒子1粒の輪郭をなぞった後、clear outsideによって複合粒子1粒部分のみを抽出し、AnalyzeメニューのHistgramを選択して輝度ヒストグラムを新規ウインドウに表示させる。前記ウインドウのListから、輝度ヒストグラムの数値を取得する。必要に応じて、輝度ヒストグラムのフィッティングを行ってもよい。
ここから、極大値P1を与える輝度、極大値P2を与える輝度、並びに、極小値Vを与える輝度を得る。
そして、極小値Vを与える輝度をVk、
輝度範囲0以上Vk以下における合計ピクセル数をS1、
輝度範囲(Vk+1)以上255以下における合計ピクセル数をS2とする。
ここで、例えば、「極大値P1を与える輝度」又は「極大値P2を与える輝度」とは、ピクセル数が、それぞれ極大値P1又は極大値P2を取るときの輝度を意味する。
上記手順を、複合粒子100個について行い、それぞれの平均値を輝度ヒストグラムから得られる複合粒子のS1、S2とし、複合粒子における無機粒子の被覆率S2/(S1+S2)を算出する。
(複合粒子1粒あたりの無機粒子数の解析方法)
無機粒子の個数の解析は、上記手法で得られた複合粒子の最表面の反射電子像を、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて行う。以下に手順を示す。
まず、ImageメニューのTypeから、解析対象の反射電子像を8-bitに変換する。次に、ProcessメニューのFiltersから、Median径を2.0ピクセルに設定し、画像ノイズを低減させる。
ツールバーのFreehandツールによって複合粒子1粒の輪郭をなぞった後、clear outsideによって複合粒子1粒部分のみを抽出する。
次に、ImageメニューのAdjustから、Thresholdを選択する。手動操作において、輝度Vkに該当する全ピクセルを選び、Applyをクリックして二値化画像を得る。この操作によって、S1に該当するピクセルが黒で表示され(ピクセル群S1)、S2に該当するピクセルが白で表示される(ピクセル群S2)。
ついでAnalyzeメニューのAnalyze Particlesを選択し、Display Resultにチェックを入れてOKをクリックする。
新規に開いたResultsウインドウに、ピクセル群S2で形成される無機粒子によって被覆された各ドメインについての解析一覧が表示される。
この解析一覧の行数が、複合粒子1粒あたりの無機粒子の個数となる。
また複合粒子の輪郭に接していないドメインの面積(Area)を取得する。
上記手順を、複合粒子100個について行い、それぞれの平均値から、複合粒子1粒あたりの無機粒子の個数、無機粒子のAreaで示される面積を有する円相当の直径の相加平均値として無機粒子の個数平均粒径とする。
<トナー粒子の体積平均粒径の測定方法>
トナー粒子の体積平均粒径は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、体積平均粒径を算出する。
<トナーからの結晶性樹脂の構造の確認>
結晶性ポリエステル樹脂などの結晶性樹脂の分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などの公知の分析方法により確認することができる。また、トナーから結晶性ポリエステル樹脂などの結晶性樹脂を単離する手法についても、公知の手法を使用することができる。
具体的には次のように単離作業を行う。まず、トナーに対する貧溶媒であるエタノールにトナーを分散させ、結晶性樹脂の融点を超える温度まで、昇温する。この時、必要に応じて、加圧してもよい。この時点で、融点を超えた結晶性樹脂が溶融している。その後、固液分離することにより、トナーから、結晶性樹脂を採取できる。
<トナー中の結晶性樹脂の含有量の測定>
結晶性樹脂の含有量は、結着樹脂及び結晶性樹脂各々の核磁気共鳴分光分析(1H-NMR)スペクトルを基にトナーの核磁気共鳴分光分析(1H-NMR)スペクトルの積分値から算出する。
測定装置:FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
<樹脂の軟化点の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメーター「流動特性評価装置フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax-Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT-100H、エヌピーエーシステム社製)を用い、約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT-500Dの測定条件は、以下のとおりである。
試験モード:昇温法
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/分
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の組成と比率の同定>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の組成と比率の同定は、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析計(以下、「熱分解GC/MS」とも称する)及びNMRを用いる。なお、有機ケイ素重合体粒子を単独で入手できる場合は、有機ケイ素重合体粒子を単独で測定することもできる。
有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の種類の分析には熱分解GC/MSが用いられる。
トナーを550℃~700℃で熱分解させた際に生じる、有機ケイ素重合体粒子由来の分解物の成分のマススペクトルを分析することで、有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の種類を同定する。具体的な測定条件は以下の通りである。
(熱分解GC/MSの測定条件)
・熱分解装置:JPS-700(日本分析工業)
分解温度:590℃
GC/MS装置:Focus GC/ISQ (Thermo Fisher)
カラム:HP-5MS 長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
注入口温度:200℃
フロー圧:100kPa
スプリット:50mL/分
MSイオン化:EI
イオン源温度:200℃ Mass Range 45-650
続いて同定した有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の存在量比を、固体29Si-NMRで測定・算出する。
固体29Si-NMRでは、有機ケイ素重合体微粒子の構成化合物のSiに結合する官能基の構造によって、異なるシフト領域にピークが検出される。
各ピーク位置は、標準サンプルを用いて特定することでSiに結合する構造を特定することができる。また得られたピーク面積から各構成化合物の存在量比を算出することができる。全ピーク面積に対してQ単位構造、T単位構造、及びD単位構造のピーク面積の割合を計算によって求めることができる。
固体29Si-NMRの測定条件は、具体的には下記の通りである。
装置:JNM-ECX5002(JEOL RESONANCE)
温度:室温
測定法:DDMAS法 29Si 45°
試料管:ジルコニア3.2mmφ
試料:試験管に粉末状態で充填
試料回転数:10kHz
relaxation delay :180s
Scan:2000
該測定後に、サンプル又は有機ケイ素重合体微粒子の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記M単位構造、D単位構造、T単位構造、及びQ単位構造にピーク分離して、それぞれピーク面積を算出する。
M単位構造:(Ra)(Rb)(Rc)SiO1/2 (S1)
D単位構造:(Rd)(Re)Si(O1/22 (S2)
T単位構造:RfSi(O1/23 (S3)
Q単位構造:Si(O1/24 (S4)
(S1+S2+S3+S4)=SAとする。
該式(S1)、(S2)及び(S3)中のRa、Rb、Rc、Rd、Re、Rfはケイ素に結合している、炭素数1~6の炭化水素基などの有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。
なお、構造をさらに詳細に確認する必要がある場合、上記13C-NMR及び29Si-NMRの測定結果と共に1H-NMRの測定結果によって同定してもよい。
このようにして求めた、SA、S1、S2、S3及びS4から
M単位構造の比率としてS1/SA、
D単位構造の比率としてS2/SA、
T単位構造の比率としてS3/SA、
Q単位構造の比率としてS4/SA
が算出される。
トナー中に、有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物が含まれる場合、トナーをクロロホルムなどの溶媒に分散させ、その後に遠心分離等で比重の差で有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物を除去する。その方法の1例を示す。
まずトナー1gをバイアル瓶に入れたクロロホルム31gに添加して分散し、有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物をトナーから分離させる。分散には超音波式ホモジナイザーを用いて30分間処理して分散液を作製する。処理条件は以下の通りである。
・超音波処理装置:超音波式ホモジナイザーVP-050(タイテック株式会社製)
マイクロチップ:ステップ型マイクロチップ、先端径φ2mm
マイクロチップの先端位置:ガラスバイアルの中央部、且つバイアル底面から5mmの高さ
超音波条件:強度30%、30分(分散液が昇温しないようにバイアルを氷水で冷却しながら超音波を掛ける)
分散液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R;株式会社コクサン社製)にて、58.33S-1、30分間の条件で遠心分離を行う。遠心分離後のガラスチューブ内では、有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物と、トナーから有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物が除かれた残渣が分離している。トナーから有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物が除かれた残渣を抽出して、真空条件下(40℃/24時間)で乾燥し、トナーから有機ケイ素重合体粒子以外のケイ素含有物を除去したサンプルを得る。上記と同様の手順により、トナー中に含まれる有機ケイ素重合体粒子の構成化合物の組成と比率を同定することができる。
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。以下の処方における部は、特に断りのない限り質量基準である。
<有機ケイ素重合体粒子1の製造例>
1.加水分解工程
200mlビーカーに、RO水43.2部、触媒として酢酸0.008部を仕込み、44℃で撹拌した。ここにトリメトキシメチルシラン54.4部を加えて2.0時間撹拌し、原料溶液を得た。
2.縮重合工程
1000mlビーカーに、RO水68.8部、メタノール340.0部、25%アンモニア水2.1部を投入して30℃で撹拌し、アルカリ性水系媒体を調製した。このアルカリ性水系媒体に、1.加水分解工程で得た原料溶液を1分間かけて滴下した。この原料溶液を滴下後の混合液をそのまま30℃に保ったまま1.5時間撹拌して、重縮合反応を進行させ重縮合反応液を得た。
3.粒子化工程
2000mlビーカーにRO水1000部を投入し、これを25℃で撹拌しながら2.縮重合工程で得た重縮合反応液を10分間かけて滴下した。重縮合反応液が水に混ざるとすぐに白濁し、シロキサン結合を有するケイ素重合体粒子を含む分散液を得た。
4.疎水化工程
上記粒子化工程で得たケイ素重合体粒子を含む分散液に、疎水化剤としてヘキサメチルジシラザン27.1部を添加して、60℃で2.5時間撹拌した。5分静置して溶液下部に沈殿した粉体を吸引濾過で回収し、120℃で24時間減圧乾燥して有機ケイ素重合体粒子1を得た。得られた有機ケイ素重合体粒子1の個数平均粒径は130nmであった。
また、得られた有機ケイ素重合体粒子1のT単位構造の比率は100モル%であり、ポリオルガノシルセスキオキサンであった。
<有機ケイ素重合体粒子2の製造例>
加水分解工程において、トリメトキシメチルシランを添加せず、代わりにテトラエトキシシラン22.2部、及びジメチルジメトキシシラン21.5部とトリメチルシラノール10.8部添加し、撹拌温度を30℃、撹拌時間を0.5時間に変更したこと以外は、有機ケイ素重合体粒子1の製造例と同様にして有機ケイ素重合体粒子2を得た。得られた有機ケイ素重合体粒子2の個数平均粒径は130nmであった。
また、得られた有機ケイ素重合体粒子2のT単位構造の比率は0モル%であり、M単位構造の比率が20モル%、D単位構造の比率が50モル%、Q単位構造の比率が30モル%だった。
<有機ケイ素重合体粒子3の製造例>
加水分解工程において、撹拌温度を50℃に変更し、縮重合工程において、RO水78.8部、メタノール330.0部、25%アンモニア水1.5部とした以外は、有機ケイ素重合体粒子1の製造例と同様にして有機ケイ素重合体粒子3を得た。得られた有機ケイ素重合体粒子3の個数平均粒径は30nmであった。
また、得られた有機ケイ素重合体粒子3のT単位構造の比率は100モル%であり、ポリオルガノシルセスキオキサンであった。
<有機ケイ素重合体粒子4の製造例>
加水分解工程において、撹拌温度を49℃に変更し、縮重合工程において、25%アンモニア水1.6部とした以外は、有機ケイ素重合体粒子1の製造例と同様にして有機ケイ素重合体粒子4を得た。得られた有機ケイ素重合体粒子4の個数平均粒径は70nmであった。
また、得られた有機ケイ素重合体粒子4のT単位構造の比率は100モル%であり、ポリオルガノシルセスキオキサンであった。
<有機ケイ素重合体粒子5の製造例>
加水分解工程において、撹拌温度を47℃に変更し、縮重合工程において、25%アンモニア水1.8部とした以外は、有機ケイ素重合体粒子1の製造例と同様にして有機ケイ素重合体粒子5を得た。得られた有機ケイ素重合体粒子5の個数平均粒径は100nmであった。
また、得られた有機ケイ素重合体粒子5のT単位構造の比率は100モル%であり、ポリオルガノシルセスキオキサンであった。
<無機粒子1~6の製造例>
無機粒子1~4として一般的なゾルゲル法で得たシリカ粒子、無機粒子5として一般的なヒュームド法により得られたシリカ粒子、無機粒子6として常圧加熱反応法により得られたチタン酸ストロンチウム粒子を用いた。無機粒子1~6の物性を表1に示す。
Figure 2023137486000002
<複合粒子1の製造例>
複合粒子形成工程において、
有機ケイ素重合体粒子1 100部
無機粒子1 0.11部
をFMミキサ(日本コークス工業株式会社製)をスケールダウンした改造ミキサに投入し混合、篩を行った。得られた篩後の粒子100部に対し、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザン10部を添加し、複合粒子1を得た。
上述の反射電子像による解析によって、複合粒子1には1粒子あたり平均3個の無機粒子が存在し、形状係数SF-1は106、SF-2は150、S2/(S1+S2)は0.16であることが解析された。
<複合粒子2~12、17の製造例>
複合粒子形成工程において、表2に示すように有機ケイ素重合体粒子と無機粒子の種類およびミキサへの投入量を変更した以外は複合粒子1の製造例と同様にして、複合粒子2~12、17を得た。R2/R1、複合粒子1粒あたりに存在する無機粒子の個数、SF-1、SF-2、S2/(S1+S2)を表2に示す。
<複合粒子13の製造例>
脂肪酸処理工程として、有機ケイ素重合体粒子1を100部に対し表面処理剤としてステアリン酸10部を添加することで、表面処理済み有機ケイ素重合体粒子を得た。
一方、オイル処理工程として、無機粒子1を100部に対し表面処理剤としてシリコーンオイル10部を添加することで、表面処理済み無機粒子を得た。
その後、複合粒子形成工程として、表面処理済みの有機ケイ素重合体粒子1:100部に対し、表面処理済みの無機粒子1:0.32部をミキサに投入し、混合、篩を行うことで複合粒子13を得た。R2/R1、複合粒子1粒あたりに存在する無機粒子の個数、SF-1、SF-2、S2/(S1+S2)を表2に示す。
<複合粒子14の製造例>
オイル処理工程として、無機粒子1を100部に対し表面処理剤としてシリコーンオイル10部を添加することで、表面処理済み無機粒子を得た。
その後、複合粒子形成工程として、表面処理済みの有機ケイ素重合体粒子1:100部に対し、表面処理済みの無機粒子1:0.32部をミキサに投入し、混合、篩を行った。得られた篩後の粒子100部に対し、表面処理剤としてヘキサメチルジシラザン5部を添加し、複合粒子14を得た。R2/R1、複合粒子1粒あたりに存在する無機粒子の個数、SF-1、SF-2、S2/(S1+S2)を表2に示す。
<複合粒子15、16の製造例>
複合粒子形成工程において、表2に示すように有機ケイ素重合体粒子と無機粒子の種類およびミキサへの投入量を変更した以外は複合粒子13の製造例と同様にして、複合粒子15、16を得た。R2/R1、複合粒子1粒あたりに存在する無機粒子の個数、SF-1、SF-2、S2/(S1+S2)を表2に示す。
Figure 2023137486000003
<低稠密度粒子>
複合粒子と併用して外添する低稠密度粒子としては、表3に示すものを使用した。
Figure 2023137486000004
<非晶性ポリエステル樹脂1の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:73.3部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:22.4部(0.13モル;多価カルボン酸総モル数に対して82.0mol%)
・アジピン酸:4.3部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して18.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.51部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、202℃の温度で撹拌し、4.5時間反応させ、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂1の軟化点は90℃であった。
<結晶性ポリエステル樹脂1の製造例>
・ドデカンジオール:34.5部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・セバシン酸:65.5部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
・2-エチルヘキサン酸錫:0.5部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.2kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた後、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻し、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂1の軟化点は81℃だった。
<トナー1の製造例>
1.混練工程
・非晶性ポリエステル樹脂1 100部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度(融点)90℃) 5.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.5部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数1500rpm、回転時間5分で混合した。次いで温度135℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて溶融混練し、混練物を得た。
2.粉砕工程
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕し、微粉砕物を得た。
3.分級工程
ファカルティ(F-300、ホソカワミクロン社製)を用い、得られた微粉砕物の分級を行い、体積平均粒径が5.7μmの分級粒子として、トナー粒子1を得た。上記ファカルティの運転条件は、分級ローター回転数を11000rpm、分散ローター回転数を7200rpmであった。
4.外添工程
・トナー粒子1 100.00部
・複合粒子1 1.20部
・無機粒子5 1.00部
・無機粒子6 0.70部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数1900rpm、回転時間10分で混合したのち、篩を行い、トナー1を得た。
<トナー2~19、22~24の製造例>
外添工程において、複合粒子の種類と部数、無機粒子および低稠密度粒子の種類と部数を表4のように変更した以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー2~19、22~24を得た。
<トナー20の製造例>
トナー1の製造例と同様にしてトナー粒子1を得た後、
・トナー粒子1 100.00部
・複合粒子16 1.50部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数1900rpm、回転時間3分で混合した後、図1に示す熱処理装置によって熱処理を行った後、ふるい分けして熱処理後粒子1を得た。
熱処理装置の運転条件は、フィード量を5kg/hr、熱風温度を150℃、熱風流量を6m3/min.、冷風温度を-5℃、冷風流量を4m3/min.、ブロワー風量を20m3/min.、インジェクションエア流量を1m3/min.とした。
次いで外添工程において、
・熱処理後粒子1 100.00部
・無機粒子5 1.00部
・無機粒子6 0.70部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数1900rpm、回転時間10分で混合したのち、篩を行い、トナー20を得た。
その他の条件はトナー1の製造例と同様とした。
<トナー21の製造例>
混練工程において、結晶性ポリエステル1を5部追加した以外は、トナー1の製造例と同様の条件にて混練工程、粉砕工程、分級工程を実施し、トナー粒子2を形成した。
次いで外添工程にて、
・トナー粒子2 100.00部
・複合粒子1 1.20部
・無機粒子5 1.00部
・無機粒子6 0.70部
をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数1900rpm、回転時間10分で混合したのち、篩を行い、トナー21を得た。
<トナー25の製造例>
トナー21の製造例と同様にしてトナー粒子2を形成後、外添工程にて、
・トナー粒子2 100.00部
・複合粒子17 1.20部
・無機粒子5 1.00部
・無機粒子6 0.70部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数1900rpm、回転時間10分で混合したのち、篩を行い、トナー25を得た。
Figure 2023137486000005
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量及び混合工程):
Fe23 62.7部
MnCO3 29.5部
Mg(OH)2 6.8部
SrCO3 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕及び混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe23)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
・工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂1の調製>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、及びメチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした後、80℃まで加温した。その後、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合した。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
得られた30部の被覆樹脂1を、トルエン40部、及びメチルエチルケトン30部に溶解して、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラック(Regal330;キャボット社製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75ml/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を、100部の磁性コア粒子1に対して、樹脂成分として2.5部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。
得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
<二成分系現像剤1~25の製造例>
磁性キャリア1に対し、トナー1~25を、それぞれトナー濃度が7.5質量%になるように添加し、V型混合機(V-10型:株式会社徳寿製作所)を用い0.5s-1、回転時間5minの条件で混合し、二成分系の現像剤1~25を得、表5に示した。また、トナーに対し測定された物性も表5に示す。
Figure 2023137486000006
〔実施例1〕
二成分系の現像剤1の性能評価を下記要領で行った。
<転写性評価>
画像形成装置として、キヤノン製デジタル商業印刷用プリンターimageRUNNER ADVANCE C5560改造機を用いた。
画像形成装置は、像坦持体として静電潜像を形成させる感光体を有し、感光体の静電潜像を二成分系現像剤によりトナー像として現像する現像工程を有する。さらに、現像されたトナー像を中間転写体に転写し、その後に中間転写体のトナー像を紙に転写する転写工程を有し、紙上のトナー像を熱により定着する定着工程を有する。
装置の改造点としては、定着温度、プロセススピード、現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及び、レーザーパワーを自由に設定できるように変更した。画像出力評価は、所望の画像比率のFFh画像(ベタ画像)を出力し、FFh画像のトナーの載り量が所望になるようにVDC、VD、及びレーザーパワーを調整して、後述の評価を行った。FFhとは、256階調を16進数で表示した値であり、00hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFhが256階調の256階調目(ベタ部)である。
転写効率とは、感光ドラム上に現像されたトナーの何%が中間転写ベルト上に転写されたかを示す転写性の指標である。
この画像形成装置のシアンステーションの現像器に、現像剤1を投入し、転写効率を以下の手順で測定した。
まず、ベタ画像を100枚出力する。その後、中間転写ベルトにトナーが転写されたときまでの画像形成プロセスを行い、中間転写ベルト上に転写されたトナーと転写後も感光ドラム上に残留したトナーを透明なポリエステル製の粘着テープによりはぎ取った。はぎ取られた粘着テープを紙上に貼ったものの濃度から、粘着テープのみを紙上に貼ったもののトナー濃度を差し引いた濃度差をそれぞれ算出した。転写効率は、それぞれのトナー濃度差の和を100とした場合の、中間転写ベルト上のトナー濃度差の割合であり、この割合が高いほど転写効率に優れる。
測定環境は、常温低湿(NL)環境下(温度23℃、相対湿度5%)、で行い、転写効率を下記の評価基準で判断した。
なお、トナー濃度は「504分光濃度計」(エックスライト社製)で測定した。
(評価基準)
A:転写効率が98%以上
B:転写効率が95%以上98%未満
C:転写効率が92%以上95%未満
D:転写効率が89%以上92%未満
E:転写効率が89%未満
上記評価基準において、A~Cを本発明において許容できるレベルとし、Dを従来技術レベル、Eを本発明では許容できないレベルとした。結果を表6に示す。
<耐久後転写性評価>
紙:CS-680(68.0g/m2
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm2(FFh画像)
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の全面に画像比率30%の罫線チャート
試験環境:常温低湿(NL)環境下(温度23℃、相対湿度5%RH(以下H/H))にてプロセススピード:450mm/sec
上記評価画像を100000枚出力後、上記の転写性評価を実施した。
(評価基準)
A:転写効率が95%以上
B:転写効率が92%以上95%未満
C:転写効率が89%以上92%未満
D:転写効率が86%以上89%未満
E:転写効率が86%未満
上記評価基準において、A~Cを本発明において許容できるレベルとし、Dを従来技術レベル、Eを本発明では許容できないレベルとした。結果を表6に示す。
<クリーニング性評価>
紙:CS-680(68.0g/m2
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm2(FFh画像)
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の全面に画像比率30%の罫線チャート
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/湿度80%RH(以下H/H))
プロセススピード:450mm/sec
上記評価画像を100000枚出力し、クリーニング性を評価した。クリーニング不良が発生した場合は、帯電ローラ表面や紙上に縦スジ状の汚れが発生する。その状態の目視評価をクリーニング性の評価指標とした。
A:紙上の縦スジなし、帯電ローラの汚れもなし
B:紙上の縦スジなし、帯電ローラの汚れあり
C:紙上の縦スジが1箇所発生
D:紙上の縦スジが2箇所以上5箇所未満発生
E:紙上の縦スジが5箇所以上発生
上記評価基準において、A~Cを本発明において許容できるレベルとし、Dを従来技術レベル、Eを本発明では許容できないレベルとした。結果を表6に示す。
<ゴーストの発生の評価>
以下のようにゴーストの発生の評価を行った。
imageRUNNER ADVANCE C5560改造機において現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から排出する機構を取り外した。
紙:CS-680(68.0g/m2
FFH画像(ベタ画像)におけるトナーの紙上への載り量が0.45mg/cm2となるように、画像形成装置を調整した。
ついで、図2に示すようなベタ黒の縦帯と、縦帯以外はベタ白であるテストチャートを999枚連続で通紙した後に1000枚目を同じジョブ内で、全面ハーフトーン画像を印刷した。通紙方向を図2に示す。ハーフトーン画像上において、図3におけるベタ黒の縦帯を通紙していた領域(a)とベタ白を通紙していた領域(b)の画像濃度を測定し、その濃淡差によりゴーストの発生を評価した。ゴーストが発生している場合を図4に示す。
画像濃度は、X-Riteカラー反射濃度計(X-rite社製、X-rite 500Series)を用いて測定した。測定は、常温常湿(NN)環境下(温度23℃、相対湿度50%以上60%以下)、常温低湿(NL)環境下(温度23℃、相対湿度5%)、高温高湿(HH)環境下(温度30℃、相対湿度80%)で行った。そのうち、最も濃度差の高い値を、濃度差とし、以下の評価基準で判断した。
(評価基準:ゴースト)
A:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.015未満
B:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.015以上0.030未満
C:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.030以上0.045未満
D:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.45以上0.060未満
E:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.06以上
上記評価基準において、A~Cを本発明において許容できるレベルとし、Dを従来技術レベル、Eを本発明では許容できないレベルとした。結果を表6に示す。
また各評価におけるランクを以下のように点数化しその合計点を総合点とし、総合点11点以上で本発明の効果が発現されているとした。
〔実施例2~21、比較例1~4〕
二成分系の現像剤2~25についても、上記現像剤1と同様に評価を行った。結果を表6に示す。
Figure 2023137486000007
1 原料定量供給手段、2 圧縮気体流量調整手段、3 導入管、4 突起状部材、5 供給管、6 処理室、7 熱風供給手段、8 冷風供給手段、9 規制手段、10 回収手段、11 熱風供給手段出口、12 分配部材、13 旋回部材、14 粉体粒子供給口

Claims (13)

  1. トナー粒子と外添剤を有するトナーであって、
    該外添剤は、有機ケイ素重合体粒子と該有機ケイ素重合体粒子表面に存在する無機粒子とを有する複合粒子を含有し、
    走査型電子顕微鏡を用いて表面観察することで得られる該複合粒子の表面画像において、該複合粒子1粒についての該表面画像に、該無機粒子が、3個以上存在することを特徴とするトナー。
  2. 前記無機粒子の個数平均粒径が5nm以上60nm以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記複合粒子は、SF-1が108以下であり、SF-2が225以上400以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 走査型電子顕微鏡を用いた前記複合粒子の表面観察において、前記複合粒子についての輝度ヒストグラムを作成した際、該輝度ヒストグラムには、
    (i)低輝度側極大値P1を含むピークA、
    (ii)高輝度側極大値P2を含むピークB、および
    (iii)該P1と該P2との間にある極小値V、
    が存在し、
    該ピークAが該有機ケイ素重合体粒子に由来するピークであり、該ピークBが該無機粒子に由来するピークであり、
    該輝度ヒストグラムにおいて、該ピークAと該ピークBとは該極小値Vを境界として分割されているものであって、該ピークAの面積S1、該ピークBの面積S2としたとき、
    S2/(S1+S2)≧0.10
    を満たす請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記複合粒子が、前記トナー粒子100質量部に対して0.3質量部以上含有される請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記有機ケイ素重合体粒子がポリオルガノシルセスキオキサン粒子である請求項1~5のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記無機粒子がシリカ粒子である請求項1~6のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記有機ケイ素重合体の個数平均粒径をR1とし前記無機粒子の個数平均粒径をR2としたとき、
    0.10≦R2/R1≦0.40
    を満たす請求項1~7のいずれか1項に記載のトナー。
  9. 前記外添剤が、稠密度が0.87以下のシリカ微粉体を含む請求項1~8のいずれか1項に記載のトナー。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載のトナーを製造するためのトナーの製造方法であって、
    前記有機ケイ素重合体粒子と前記無機粒子とを混合して前記複合粒子を形成する複合粒子形成工程と、
    該複合粒子形成工程の後に、前記複合粒子と前記トナー粒子とを混合して、前記トナー粒子に前記複合粒子を外添する外添工程と、
    を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  11. 前記複合粒子形成工程の前に、前記無機粒子にオイル処理を施すオイル処理工程を含む請求項10に記載のトナーの製造方法。
  12. 前記複合粒子形成工程の前に、前記有機ケイ素重合体に脂肪酸処理を施す脂肪酸処理工程を含む請求項10または11に記載のトナーの製造方法。
  13. 前記外添工程の後、前記複合粒子が外添されたトナー粒子の表面を熱処理する熱処理工程を含む請求項10~12のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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