JP2022092546A - トナー - Google Patents

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JP2022092546A JP2020205423A JP2020205423A JP2022092546A JP 2022092546 A JP2022092546 A JP 2022092546A JP 2020205423 A JP2020205423 A JP 2020205423A JP 2020205423 A JP2020205423 A JP 2020205423A JP 2022092546 A JP2022092546 A JP 2022092546A
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一幸 坂本
Kazuyuki Sakamoto
一人 細井
Kazuto Hosoi
龍一郎 松尾
Ryuichiro Matsuo
大祐 辻本
Daisuke Tsujimoto
尚邦 小堀
Naokuni Kobori
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Abstract

【課題】 ドラム表面のクリーニングにおいて、シリカ粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とで阻止層の形成した場合、これらチタン酸ストロンチウム粒子の混合に偏りが生じ、研磨効果を十分に発揮できないことがあった。【解決手段】 結着樹脂を含有するトナー粒子と、前記トナー粒子の表面に存在するシリカ粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とを有するトナーであって、前記シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径は80~200[nm]であり、前記シリカ粒子は60kPaで加圧されたときのかさ密度が0.30~0.60[g/mL]であり、前記トナー粒子表面における前記シリカ粒子の固着率が50~97%であり、前記チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径が10~60[nm]であり、前記トナー粒子表面における前記チタン酸ストロンチウム粒子の固着率が50~97%であるトナー。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーセットに関する。
複写機及びプリンターが広く普及するに従い、トナーに要求される性能もより高度になっている。近年では、プリントオンデマンド(以下、PODとも記載する。)と呼ばれる、製版工程を経ずに直接印刷するデジタル印刷技術が注目されている。このPODは、小ロット印刷、1枚毎に内容を変えた印刷(バリアブル印刷)、分散印刷にも対応していけることから、従来のオフセット印刷に対してアドバンテージがある。トナーを用いた画像形成方法のPOD市場への適用を考えた場合、様々な環境で長期間にわたり高速で且つ、多量に出力する場合であっても高品質な画質のプリント成果物を安定的に得ることが求められる。プリント成果物の品質を落とす項目に感光体ドラム表面にトナーが融着し、画像濃度ムラや白抜け、画像流れが生じる現象がある。近年は、解像力やシャープネスを向上させ潜像を忠実に再現させるために、粒径約4~7μmのより小粒径化されたトナーが開発される傾向にあり、かかる小粒径化によって感光体ドラムへのトナー融着は生じやすい傾向にある。
この感光体ドラム表面へトナーが融着することを抑制する方法について、次のような特許文献で提案されている。
特開2005-49452号公報 特開2017-142399号公報
特許文献1は、トナーにBET値の異なる2種のシリカ微粒子を特定の添加量比率及び特定の平均粒径比で混合し、一定の表面積及び形状係数を有する金属酸化物を加えている。それによって、長期に渡る使用においてもトナーが劣化しにくくなり、感光体ドラムを研磨することで、感光体ドラムにトナー融着が生じにくいトナーを提案している。
また、特許文献2は、トナー外添剤として圧縮凝集度、粒子圧縮比を規定したシリカ粒子にチタン酸ストロンチウム粒子などの研磨剤粒子を加えることで感光体ドラムのクリーニング性能を確保し、感光体ドラムへのトナーの融着を防ぐことを提案している。
しかしながら、感光体ドラム表面のクリーニングにおいて、特許文献1、2に開示の構成で一定の効果は見られるものの、条件によっては研磨効果を十分に発揮できず、感光体ドラムへのトナー融着が発生する可能性があった。
本発明は、感光体ドラムへのトナーの融着をさらに抑制し、画像濃度ムラや白抜け、画像流れの発生を抑制することができるトナーを提供することを目的とする。
本発明によれば、
結着樹脂を含有するトナー粒子と、前記トナー粒子の表面に存在するシリカ粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とを有するトナーであって、
前記シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径は80~200[nm]であり、
前記シリカ粒子は60kPaで加圧されたときのかさ密度が0.30~0.60[g/mL]であり、
前記トナー粒子表面における前記シリカ粒子の固着率が50~97%であり、
前記チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径が10~60[nm]であり、
前記トナー粒子表面における前記チタン酸ストロンチウム粒子の固着率が50~97%であるトナーが提供される。
本発明によれば、シリカ粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とが均一に混合した阻止層が形成され、ドラム表面へのトナーの融着を抑制し、画像濃度ムラや白抜け、画像流れの発生を抑制するトナーを提供することができる。
画像形成装置の概略図である。 感光体ドラム表面のクリーナー部分の概略図である。 本発明に係るクリーナー阻止層の概略拡大図である。 従来のクリーナー阻止層の概略拡大図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
結着樹脂を含有するトナー粒子と、前記トナー粒子の表面に存在するシリカ粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とを有するトナーであって、
前記シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径は80~200[nm]であり、
前記シリカ粒子は60kPaで加圧されたときのかさ密度が0.30~0.60[g/mL]であり、
前記トナー粒子表面における前記シリカ粒子の固着率が50~97%であり、
前記チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径が10~60[nm]であり、
前記トナー粒子表面における前記チタン酸ストロンチウム粒子の固着率が50~97%である。
前記トナー粒子表面における前記シリカ粒子の固着率は、
1,000枚印刷後において91~97%であり、
100,000枚印刷後において50~79%であることが好ましく、かつ
前記トナー粒子表面における前記チタン酸ストロンチウム粒子の固着率は、
1,000枚印刷後において87~94%であり、
100,000枚印刷後において59~79%であることが好ましい。
1,000枚印刷後及び100,000枚印刷後における前記シリカ粒子の固着率の好ましい範囲の下限値及び上限値、並びに
1,000枚印刷後及び100,000枚印刷後における前記チタン酸ストロンチウム粒子の固着率の好ましい範囲の下限値及び上限値は、
後述する実施例の結果に基づいて定められたものである。
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、直方体状又は立方体状であることが好ましい。
前記シリカ粒子は、鉄原子を20ppm以上2000ppm以下含有することが好ましい。
前記シリカ粒子は、アルミニウム原子を200ppm以上2000ppm以下含有することが好ましい。
前記シリカ粒子は、圧縮度が0.01~0.25であることが好ましい。
このような本発明のトナーを用いることにより、前記課題である感光体ドラムへのトナー融着を抑制することができる。
本発明のトナーを用いることによるこの作用効果メカニズムについて、本発明者らは以下のように推定している。
感光体ドラム上にトナー融着が発生する理由は、クリーニングブレードによるドラム表面の研磨性能が低下するためである。
クリーニングブレード21と感光体ドラム20の表面との間に形成され、主に無機粒子で構成される阻止層22が形成される(図2参照)。この阻止層22の形成状態が、クリーニングブレード21による感光体ドラム20の表面の研磨効果に影響を及ぼしている。この阻止層の形成において、トナー外添剤として球形状のシリカ粒子を使用し、これが一定量トナーから脱離し凝集して阻止層を形成することで感光体ドラム表面に研磨効果を発揮している。
さらに研磨効果向上のため、トナー外添剤として形状が直方体状又は立方体状のチタン酸ストロンチウム粒子を使用し、これが一定量トナーから脱離してシリカ粒子とともに阻止層を形成することで感光体ドラム表面の研磨効果を向上させている。
しかし、印刷条件・環境によっては感光体ドラム上へのトナー融着に起因して画像濃度ムラや白抜け、画像流れといった出力画像異常が発生することがあった。
この原因は、シリカ粒子とチタン酸ストロンチウム粒子によって形成されている阻止層で研磨効果の高いチタン酸ストロンチウム粒子が感光体ドラム表面に接触している部分が少なくなっているためである(図4参照)。これはシリカ粒子が凝集して、チタン酸ストロンチウム粒子との混合が不均一になっているためである。
そこで前記の所定のシリカ粒子を使用することによってこれまでのシリカ粒子より凝集しにくくし、チタン酸ストロンチウム粒子との混合が均一になるようにする。その結果、図3に示すように、感光体ドラム20の表面にチタン酸ストロンチウム粒子24が接触する確率が向上することによって研磨効果が向上する。
前記のシリカ粒子が凝集しにくい理由は、鉄原子を一定量含有しているため、摩擦帯電が生じても電荷が逃げやすいため静電凝集が発生しにくいためと推察している。
本発明において、その目的を達成するための好ましい形態を以下に詳述する。
[シリカ粒子]
本発明のトナーは、酸化ケイ素(シリカ)粒子をトナー粒子の表面に有し、その一次粒子の個数平均粒径が80nm以上200nm以下のものを使用する。シリカ粒子の粒径が前記範囲にあることによって現像装置内において機械的負荷を受けた際にもトナー表面で凸部を維持でき、トナー帯電量が低下しにくく、反射濃度のバラツキと非画像部カブリの低減に寄与する。
本発明のトナーに使用されるシリカ粒子は60kPaで加圧されたときのかさ密度が0.30~0.60[g/mL]である。
かさ密度が0.30[g/mL]未満であると、クリーナー阻止層がしっかりと形成されずもろくなり、感光体ドラムの研磨効果が不十分になる。
かさ密度が0.60[g/mL]超であると、凝縮しやすく、チタン酸ストロンチウム粒子と均一に混合しにくいため、研磨効果の高いチタン酸ストロンチウム粒子が感光体ドラム表面に接触している部分が少なくなってしまうことがある。
本発明で用いるシリカ粒子は、シリカ(即ちSiO)を主成分とする粒子であり、燃焼法、溶融法、水熱合成等の公知の製造方法で製造可能である。なかでも、高温高湿環境下での帯電緩和抑制効果をさらに高めるために、また、高抵抗であり湿度の影響を受けにくいという観点から、燃焼法や溶融法で製造されたシリカ粒子がより好ましい。
燃焼法は、シロキサン化合物を気化することによりシロキサンガスを窒素等のキャリアガスとともにバーナーへ導入し、例えば酸素等の支燃性ガスと拡散混合してシロキサンガスを燃焼させることで大粒径シリカ粒子を生成させる方法である。また、別の燃焼法は、四塩化ケイ素を、酸素、水素、例えば窒素等の希釈ガスとの混合ガスとともに、高温で燃焼させてシリカ粒子(ヒュームドシリカ)を生成させる方法である。
また、溶融法は、金属シリコン微粒子スラリーを火炎中に噴霧して酸化反応させながら球形化させてシリカ粒子を得る方法である。
本発明においては、シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径と、鉄原子の含有量を所望の値にするという観点からシロキサンガスを燃焼してシリカ粒子を生成させる燃焼法が好ましい例として挙げられる。
シロキサンガスを得るために気化されるシロキサン化合物としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
本発明では、シリカ粒子に鉄原子、好ましくはさらにアルミニウム原子を含有させることによって本発明で用いるシリカ粒子を得ることができる。
これら金属原子をシリカ粒子に含有させる方法としては、これら金属原子を含有するシロキサン化合物を使用するという方法が採用可能である。
前記シリカ粒子は、その表面を、脂肪酸又はその金属塩、ジシリルアミン化合物、ハロゲン化シラン化合物、シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などで表面処理してもよい。これらによる疎水化処理は、特に高温高湿度環境下でトナーの帯電安定性を向上できる点で好ましい。その中でも、n-オクチルエトキシシラン処理や3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン処理、ヘキサメチルジシラザン処理がより、帯電安定性の効果を高める点で好ましい。
トナー粒子との混合は、ヘンシェルミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)等の公知の混合機を用いることができ、特に装置は限定されるものではない。本発明における前記シリカ粒子の添加量は、トナーに対して0.5質量%以上15質量%以下である。
[チタン酸ストロンチウム粒子]
本発明のトナーに使用するチタン酸ストロンチウム粒子は、一次粒子の個数平均粒径が10~60[nm]のものを使用する。
チタン酸ストロンチウム粒子の個数平均粒径が10nm未満であると、感光体ドラム表面の研磨効果が十分に得られない。
チタン酸ストロンチウム粒子の個数平均粒径が60nm超であると、シリカ粒子と混合して阻止層を形成したときに、感光体ドラム表面に接触する数のばらつきが大きくなる傾向にある。
本発明で用いられるチタン酸ストロンチウム粒子の形状は、直方体状または立方体状であることが好ましい。
チタン酸ストロンチウム粒子の表面は脂肪酸又はその金属塩、ジシリルアミン化合物、ハロゲン化シラン化合物、シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ステアリン酸系物質などで表面処理してもよい。この処理はトナー粒子表面への付着、帯電に関して有利に働く。
トナー粒子表面におけるチタン酸ストロンチウム粒子の含有量(被覆率)は、粒径の大きいシリカ粒子の帯電を補助するために、トナー粒子表面におけるシリカ粒子の含有量(被覆率)に対し、0.25倍以上5.00倍以下であることが好ましい。
チタン酸ストロンチウム粒子の含有量(被覆率)が、シリカ粒子の含有量(被覆率)に対し、0.25倍未満であると、阻止層に使用されるチタン酸ストロンチウムが不足し、感光ドラム表面の十分なクリーニング効果が得られない場合がある。
チタン酸ストロンチウム粒子の含有量(被覆率)が、シリカ粒子の含有量(被覆率)に対し、5.00倍超であると、シリカ粒子と混合したときに形成される阻止層のチタン酸ストロンチウムが多くなりすぎて阻止層がもろくなる場合がある。または理想的な阻止層が形成できなくなり、感光ドラム表面のクリーニング効果が低下する場合がある。
本発明で使用するチタン酸ストロンチウム粒子の製造について説明する。製造方法の1つに常圧加熱反応法がある。このとき、酸化チタン源としてチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用い、また酸化ストロンチウム源としては水溶性酸性ストロンチウム化合物を用いる。それらの混合液に60℃以上でアルカリ水溶液を添加しながら反応させ、次いで酸処理する方法で製造することができる。
(常圧加熱反応法)
前記酸化チタン源としてはチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用いる。好ましくは、硫酸法で得られたSO含有量が1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下のメタチタン酸を、塩酸でpHを0.8~1.5に調整して解膠したものを用いることができる。メタチタン酸中SO含有量が1.0質量%を超えるものは、解膠が進まないので好ましくない。
前記酸化ストロンチウム源としては、金属の硝酸塩、塩酸塩などを使用することができ、例えば、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウムを使用することができる。
アルカリ水溶液としては、苛性アルカリを使用することができるが、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
前記製造方法において、得られるチタン酸ストロンチウム粒子の粒子径に影響を及ぼす因子としては、以下のものが挙げられる。
反応時における酸化チタン源と酸化ストロンチウム源の混合割合、反応初期の酸化チタン源濃度、アルカリ水溶液を添加するときの温度及び添加速度など、
目的の粒子径及び粒度分布のものを得るために、前記の因子を適宜調整することができる。
なお、反応過程に於ける炭酸塩の生成を防ぐために窒素ガス雰囲気下で反応させる等、炭酸ガスの混入を防ぐことが好ましい。
前記製造方法において、得られるチタン酸ストロンチウム粒子の誘電率に影響を及ぼす因子としては、粒子結晶性を崩す条件/操作が挙げられる。特に本発明のようなチタン酸ストロンチウムであっても低誘電率の粒子を得るためには、反応液の濃度を大きくした状態で結晶成長を乱すエネルギーを与える操作を行うのが好ましい。具体的な方法としては例えば結晶成長工程に窒素によるマイクロバブリングを加えることが挙げられる。
反応時における酸化チタン源と酸化ストロンチウム源の混合割合は、SrO/TiOのモル比で、0.9以上1.4以下が好ましく、1.05以上1.20以下であるとさらに好ましい。SrO/TiOモル比が1.0以下の場合、反応生成物はチタン酸金属だけでなく未反応の酸化チタンが残存し易くなる。相対的に酸化ストロンチウム源は水への溶解度が高いのに対し酸化チタン源は水への溶解度が低いため、SrO/TiOモル比が1以下の場合、反応生成物はチタン酸金属だけでなく未反応の酸化チタンが残存し易くなる。反応初期の酸化チタン源の濃度としては、TiOとして0.05mol/L以上1.3mol/L以下、好ましくは0.08mol/L以上1.0mol/L以下が適切である。
アルカリ水溶液を添加するときの温度は、100℃以上ではオートクレーブ等の圧力容器が必要であり、実用的には60℃以上100℃未満の範囲が適切である。また、アルカリ水溶液の添加速度は、添加速度が遅いほど大きな粒子径のチタン酸金属粒子が得られ、添加速度が速いほど小さな粒子径のチタン酸金属粒子が得られる。アルカリ水溶液の添加速度は、仕込み原料に対し0.001当量/h以上1.2当量/h以下、好ましくは0.002当量/h以上1.1当量/h以下が適切であり、得ようとする粒子径に応じて適宜調整することができる。
(酸処理)
上記常圧加熱反応によって得たチタン酸ストロンチウム粒子をさらに酸処理することが好ましい。常圧加熱反応を行って、チタン酸ストロンチウム粒子を合成する際に、酸化チタン源と酸化ストロンチウム源の混合割合がSrO/TiOのモル比で、1.0を超える場合、反応終了後に残存した未反応のチタン以外の金属源が空気中の炭酸ガスと反応する。そして、金属炭酸塩などの不純物を生成してしまう。また、表面に金属炭酸塩などの不純物が残存すると、疎水性を付与するための有機表面処理をする際に、不純物の影響で有機表面処理剤を均一に被覆することができない。したがって、アルカリ水溶液を添加した後、未反応の金属源を取り除くため酸処理を行うことが好ましい。
[その他外添剤]
本発明のトナーには、前述した粒径シリカ粒子のほかに、帯電量や流動性を調整するために必要に応じて他の無機微粉末を含有させることもできる。無機微粉末は、トナー粒子に内添しても良いし外添剤としてトナー粒子と混合してもよい。外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムのような無機微粉末が好ましい。無機微粉末は、ステアリン酸系化合物、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていてもよい。
外添剤は、トナー粒子100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下使用されることが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
[結着樹脂]
本発明のトナーに使用される結着樹脂としては、特に限定されず、下記の重合体又は樹脂を用いることが可能である。
例えば、以下のものが挙げられる。
ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂。
これらの中で、低温定着性、帯電性制御の観点で、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリエステル樹脂としては、「ポリエステルユニット」を結着樹脂鎖中に有している樹脂である。該ポリエステルユニットを構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分とが挙げられる。
例えば、該2価以上のアルコールモノマー成分として、以下のものが挙げられる。ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン等。
これらの中で好ましく用いられるアルコールモノマー成分としては、芳香族ジオールであり、ポリエステル樹脂を構成するアルコールモノマー成分において、芳香族ジオールは、80モル%以上の割合で含有することが好ましい。
一方、該2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分としては、以下のものが挙げられる。フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6~18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類又はその無水物。
これらの中で好ましく用いられる酸モノマー成分としては、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸である。
また、該ポリエステル樹脂の酸価は、20mgKOH/g以下であることが、顔料の分散性及び摩擦帯電量の安定性の観点で好ましい。
なお、該酸価は、樹脂に用いるモノマーの種類や配合量を調整することにより、上記範囲とすることができる。具体的には、樹脂製造時のアルコールモノマー成分比/酸モノマー成分比、分子量を調整することにより制御できる。また、エステル縮重合後、末端アルコールを多価酸モノマー(例えば、トリメリット酸)で反応させることに制御できる。
<結着樹脂の製造例>
(ポリエステル樹脂の製造例)
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:多価アルコール総モル数に対して80.0mol%
・ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:
多価アルコール総モル数に対して20.0mol%
・テレフタル酸:多価カルボン酸総モル数に対して80.0mol%
・無水トリメリット酸:多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を投入した。そして、モノマー総量100質量部に対して、触媒として2-エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒)を1.5質量部添加した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2.5時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、そのまま反応させASTM D36-86に従って測定した軟化点が110℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた。得られたポリエステル樹脂1の軟化点(Tm)は115℃であった。
[着色剤]
本発明のトナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色着色剤としては、主にカーボンブラックを使用し、必要に応じて染料、顔料を加えてもよい。また、イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料。
シアン着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1個以上5個以下置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70がある。
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
上記着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下で使用されることが好ましい。
[離型剤:ワックス]
本発明のトナーに用いられる離型剤として、例えば以下のようなワックスが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどのアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらのワックスの中でも、低温定着性、耐ホットオフセット性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスなどの脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
該ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部以上15質量部以下で使用されることが好ましい。該ワックスの含有量がこの範囲にあるとき、高温での耐オフセット性を効率的に発揮することが可能となりやすい。
また、トナーの保存性と耐高温オフセット性の両立の観点から、示差走査熱量分析装置(DSC)で測定される昇温時の吸熱曲線において、温度30℃~200℃の範囲に存在する最大吸熱ピークのピーク温度が50℃~110℃であることが好ましい。
[ワックス分散剤]
ワックスの結着樹脂への分散性を向上させるために、ワックス成分に近い極性部位と樹脂極性に近い部位を併せ持つ樹脂をワックス分散剤として添加してもよい。具体的には、炭化水素化合物でグラフト変性されたスチレンアクリル系樹脂が好ましい。
ワックス分散剤はその樹脂部分に、環式炭化水素基または芳香環を導入すると、トナーの帯電維持性が向上する。これによりトナー粒子による本発明のチタン酸ストロンチウム粒子の帯電補助特性を減じることが抑制されるので好ましい。
<ワックス分散剤の製造例>
温度計及び撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、下記の材料を入れて十分に溶解する。
キシレン 300.0質量部
ポリプロピレン(融点75℃) 10.0質量部
そして、窒素置換した後、下記の材料の混合溶液を180℃で3時間かけて滴下し重合する。
スチレン 73.0質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 5.0質量部
ブチルアクリレート 12.0質量部
キシレン 250.0質量部
さらにこの温度で30分間保持し、脱溶剤を行い、ワックス分散剤を得た。
[荷電制御剤]
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの帯電スピードが速くかつ一定の帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。
ネガ系荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ジカルボン酸金属化合物。スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物。ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン。
ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物。
荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
[現像剤]
本発明のトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることが好ましい。二成分系現像剤は、長期にわたり安定した画像が得られるという点からも好ましい。
<磁性キャリア>
磁性キャリアとしては、下記のような公知のものを使用できる。表面を酸化した鉄粉、或いは、未酸化の鉄粉や、鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子。フェライト等の磁性体や、磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持する結着樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)など。
より詳細を説明すると、通常のフェライト、マグネタイト等の磁性キャリアや樹脂コートキャリアを使用することができる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型の磁性キャリアコアも用いることができる。
樹脂コートキャリアは、磁性キャリアコア粒子と磁性キャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂被覆層からなる。樹脂被覆層に用いられる樹脂としては、以下のものが挙げられる。スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン-アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリビニルブチラール;アミノアクリレート樹脂。その他には、アイオモノマー樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は複数を併用して用いることができる。
本発明の磁性キャリアは、磁性キャリア本体の表面にシリカ粒子を付着させていてもよい。磁性キャリア本体に対し、シリカ粒子を添加し、例えばV型混合機、ヘンシェルミキサー、ターブラーミキサー等の混合装置を用いて混合することで、磁性キャリア本体の表面にシリカ粒子を付着させた磁性キャリアが得られる。
本発明のトナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際のキャリア混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。
[トナー製造方法]
本発明のトナーの製造方法は、乳化凝集法、溶融混練法、溶解懸濁法など従来公知のトナー製造方法であれば特に限定されないが、原材料の分散性を高めるという観点から溶融混練法が好ましい。
溶融混練法は、トナー粒子の原材料であるトナー組成物を溶融混練し、得られた混練物を粉砕することを特徴とする。製造方法の例を挙げて説明する。
原料混合工程で、トナー粒子を構成する材料として、ポリエステル樹脂、離型剤、及び着色剤、並びに必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に他原材料等を分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーなどのバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機((株)神戸製鋼所製)、TEM型2軸押出機(東芝機械(株)製)、PCM混練機((株)池貝製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなどの粉砕機で粗粉砕した後、更に、微粉砕機で微粉砕する。微粉砕機としては、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)、ターボ・ミル(フロイント・ターボ(株)製)やエアージェット方式による微粉砕機などが挙げられる。
その後、必要に応じて以下の分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)など。
トナー粒子の個数平均粒径は4.0μm以上7.0μm以下が本発明の外添剤による効果を十分に得ることができるため、好ましい。さらに粒子に機械的衝撃力を与え、熱風などによる加熱処理を行うことにより、トナー粒子の円形度を高めてもよい。トナー粒子同士の電荷授受機会と摩擦摺擦力を多くし、帯電立ち上がり速度を高めるために、平均円形度としては0.962以上0.972以下が好ましい。
上記のごとき製造方法で製造されたトナー粒子に必要に応じ選択された外部添加剤を加えて混合(外添)する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
[画像形成方法]
本発明のカラートナーと黒色トナーとを有するトナーセットは、公知の画像形成方法に適用できる。具体的には、下記の各工程を含む画像形成方法に好適に使用できる。
静電荷像担持体を帯電する工程、
帯電している静電荷像担持体に静電荷像を形成する工程、
形成された静電荷像をトナーで現像してトナー画像を形成する工程、
形成されたトナー画像を転写材に転写する工程、及び
転写されたトナー画像を転写材に定着して定着画像を形成する工程。
そして、前記トナー画像を形成する工程は、トナーセットのうちの黒色トナーを用いて黒色トナー画像を形成する工程と、トナーセットのうちのカラートナーを用いてカラートナー画像を形成する工程とを有していればよい。また、カラートナーがマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナーの3種であった場合は、カラートナーの当該工程は3つとなる。なお、後述の実施例ではカラートナーとしてシアントナーを代表させ、黒色トナーとシアントナーとのトナーセットによる例を示している。
[シリカ粒子かさ密度測定方法]
シリカ粒子のかさ密度は、粉体流動性分析装置パウダーレオメーターFT-4(Freeman Technology社製)を用いて測定した。FT-4装置に付属の説明書に従い操作し、シリカ粒子サンプル10gを専用容器に投入し、コンディショニング操作を行う。その後、FT-4専用の圧縮治具を用いて60kPaの圧力を印加し、サンプルのかさ密度を測定した。
<水洗処理方法>
水洗処理法によりシリカ粒子をトナーから抽出する。具体的には、イオン交換水10.3gにショ糖31.1g(キシダ化学(株)製)を溶解させたショ糖水溶液に、下記のコンタミノンN 6mLを下記の30mLのガラスバイアルに入れて十分に混合し、分散液を作製する。
コンタミノンN:非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤、和光純薬工業(株)製
ガラスバイアル:日電理化硝子(株)製、VCV-30、外径:35mm、高さ:70mm
このガラスバイアルにトナー1.0gを添加し、トナーが自然に沈降するまで静置して処理前分散液を作製する。この分散液を、振とう機(YS-8D型:(株)ヤヨイ製)にて、振とう速度:200rpmで5分間振とうし、シリカ粒子をトナー粒子の表面から離脱させる。トナー粒子とトナー粒子の表面から脱離したシリカ粒子との分離は遠心分離機を用いて行う。遠心分離工程は3700rpmで30分間行う。トナー粒子の表面から離脱させ分離させたシリカ粒子とトナーとを各々吸引濾過することで採取し、乾燥させてシリカ粒子と水洗後トナーとを得る。
<シリカ粒子中の金属元素の含有量の測定方法>
上記水洗処理法を繰り返し行って得られたシリカ粒子に対して蛍光X線測定を行い、鉄原子、アルミニウム原子の含有量を算出する。
各元素の蛍光X線測定は、JIS K 0119-1969に準ずるが、具体的には以下のとおりである。
測定装置としては、例えば波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)を用いる。
PANalytical社が推奨する粉末測定専用のカップに専用のPP(ポリプロピレン)フィルムを底面に貼ったものにサンプル2gを秤量し、底面に均一厚に層を形成させて、ふたをする。ついで大気圧He雰囲気下においてFP法にてシリカ粒子におけるNaからUまでの元素を測定する。その際、検出された元素全てが酸化物であると仮定し、それらの総質量を100%として、ソフトウェアSpectraEvaluation(version 5.0L)にて総質量に対するFe、Alの含有量(質量%)を酸化物換算値として求める。
<トナーの個数平均粒径の測定方法、シリカ粒子の固着率の測定方法及びチタン酸ストロンチウム粒子の固着率の測定方法>
本発明のトナーの個数基準における個数平均粒径Dとシリカ粒子の固着率Z1とチタン酸ストロンチウム粒子の固着率Z2は、走査型電子顕微鏡による画像観察と続く画像処理とにより求めることができる。
本発明のトナーの個数基準における個数平均粒径D、固着率Zの算出は、走査電子顕微鏡(SEM)、S-4800(日立製作所社製)を用いて行った観測の結果を所定の計算式に代入することによって行った。シリカ粒子並びにチタン酸ストロンチウム粒子に由来する部分の面積割合は、加速電圧2.0kVのときの、主に輝度と形状の違いをもとに画像処理から算出される。
具体的には、電子顕微鏡観察用の試料台上にカーボンテープでトナーを一層になるように固定し、白金による蒸着を行い、以下の条件にて、走査電子顕微鏡S-4800(日立製作所社製)で観察した。フラッシング操作を行ってから観察を行う。
SignalName=SE(U,LA80)
AcceleratingVoltage=2000Volt
EmissionCurrent=10000nA
WorkingDistance=6000um
LensMode=High
Condencer1=5
ScanSpeed=Slow4(40秒)
Magnification=50000
DataSize=1280×960
ColorMode=Grayscale
二次電子像は、走査電子顕微鏡S-4800の制御ソフト上で‘コントラスト5、ブライトネス-5’に明るさを調整した。そして、キャプチャスピード/積算枚数‘Slow4を40秒’、画像サイズ1280×960pixelsの8bitの256階調グレースケール画像としてトナーの投影像を得た。画像上のスケールから、1pixelの長さは0.02μm、1pixelの面積は0.0004μmとなる。
続いて、得られた二次電子による投影像を用いて、トナー100粒について投影面積円相当径と、シリカ粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とに由来する部分の面積割合(面積%)とを算出した。解析するトナー100粒の選択方法の詳細は後述する。シリカ粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とに由来する部分の面積%は、画像処理ソフトImage-Pro Plus5.1J(MediaCybernetics社製)を使用した。
次に、トナー粒群の部分を抽出し、抽出されたトナー1粒のサイズをカウントした。具体的には、まず、解析するトナー粒群を抽出するため、トナー粒群と背景部分を分離する。Image-Pro Plus5.1Jの「測定」-「カウント/サイズ」を選択する。「カウント/サイズ」の「輝度レンジ選択」で、輝度レンジを50~255の範囲に設定して、背景として写りこんでいる輝度の低いカーボンテープ部分を除外し、トナー粒群の抽出を行った。カーボンテープ以外の方法でトナー粒群を固定した際には、必ずしも背景が輝度の低い領域とならない、あるいは、部分的にトナー粒群と同じような輝度となる可能性は皆無ではない。しかし、トナー粒群と背景の境界については、二次電子観察像から容易に区別できる。抽出を行う際、「カウント/サイズ」の抽出オプションで、4連結を選択し、平滑度5を入力、穴埋めるにチェックを入れ、画像の全ての境界(外周)上に位置するトナー粒や他のトナー粒と重なっているトナー粒については、計算から除外するものとした。次に「カウント/サイズ」の測定項目で、面積とフェレ径(平均)を選択し、面積の選別レンジを最小100pixel、最大10000pixelとして、画像解析するトナー各粒を抽出した。抽出されたトナー粒群からトナー1粒を選択し、その粒子に由来する部分の大きさ(pixel数:ja)を求めた。得られたjaより下記式を用いて、投影面積円相当径dを得た。「投影面積円相当径」は、トナー粒の投影面積と同面積を有する真円の直径を表す。
={(4×ja×0.3088)/3.14}(1/2)
次に、Image-Pro Plus5.1Jの「カウント/サイズ」の「輝度レンジ選択」で、輝度レンジを140~255の範囲に設定して、トナー1粒上の輝度の高い部分の抽出を行った。面積の選別レンジを最小3pixel、最大200pixelとすることで、シリカ粒子とチタン酸ストロンチウム粒子に由来する輝度の高い部分を抽出することができる。
形状が直方体状または立方体状ではない粒子をシリカ粒子と判断し、形状が直方体状または立方体状である粒子をチタン酸ストロンチウム粒子と判断する。
そして、jaを求める際に選択したトナー粒について、トナー表面のシリカ粒子に由来する部分の大きさ(pixel数:ma1)を求めた。各トナー1粒においては、シリカ粒子に由来の抽出部分は、ある大きさをもって点在することになるが、ma1はその総面積である。得られたma1より下記式を用いて、シリカ粒子の被覆率s1を得た。
s1=(ma1/ja)×100
次いで、下記のシリカ粒子の被覆率s1a、被覆率s1b、被覆率s1cと下記の式とを用いて、下記のシリカ粒子の固着率Z1b、Z1cを算出した。
印刷条件:室温30℃、相対湿度80%の環境下にて実機を使用し25%duty画像を連続印刷
実機:画像形成装置として、キヤノン(株)製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5560 II改造機を用いた

印刷開始前の被覆率s1a
1,000枚印刷後の被覆率s1b
100,000枚印刷後の被覆率s1c
1,000枚印刷後の固着率Z1b=(s1b/s1a)×100
100,000枚印刷後の固着率Z1c=(s1c/s1a)×100
シリカ粒子と同様にして、トナー表面のチタン酸ストロンチウム粒子に由来する部分の大きさ(pixel数:ma2)を求めた。得られたma2より下記式を用いて、チタン酸ストロンチウム粒子の被覆率s2を得た。
s2=(ma2/ja)×100
次いで、下記のチタン酸ストロンチウム粒子の被覆率s2a、被覆率s2b、被覆率s2cと下記の式とを用いて、下記のチタン酸ストロンチウム粒子の固着率Z2b、Z2cを算出した。
印刷開始前の被覆率s2a
1,000枚印刷後の被覆率s2b
100,000枚印刷後の被覆率s2c
1,000枚印刷後の固着率Z2b=(s2b/s2a)×100
100,000枚印刷後の固着率Z2c=(s2c/s2a)×100
抽出された粒子群の各粒子に対して、選択されるトナー粒子の数が50以上となるまで同様の処理を行った。得られた投影面積円相当径の算術平均値を、本発明のトナーの個数平均粒径Dとした。
シリカ粒子の固着率Z1b、Z1c及びチタン酸ストロンチウム粒子の固着率Z2b、Z2cに関しても、選択されるトナー粒子の数が50以上となるまで同様の処理を行い得られた値の算術平均値を、固着率Z1b、Z1c、Z2b、Z2cとした。
〈シリカ粒子の圧縮度の測定〉
シリカ粒子の圧縮度は、粉体流動性分析装置パウダーレオメーターFT-4(Freeman Technology社製)を用いて測定した。FT-4装置に付属の説明書に従い操作し、シリカ粒子サンプル10gを専用容器に投入し、コンディショニング操作を行う。その後、FT-4専用の圧縮治具を用いて15kPa、30kPa、60kPaの各圧力を印加し、各圧力におけるサンプルの密度を測定した。60kPaにおける密度をP60とした。さらに各圧力の値と密度の値とをグラフ化し、近似直線から圧力0(近似直線の切片)における密度P0を算出した。圧縮度は、以下の式(1)により算出した。
圧縮度=(P60-P0)/P60 式(1)
以下、製造例及び実施例により本発明を説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り部は、全て質量基準である。
<シリカ粒子1の製造例>
シリカ粒子1は拡散燃焼法によって以下のように製造した。
シリカ粒子1の製造にあたり、燃焼炉として、内炎及び外炎が形成される二重管構造の炭化水素―酸素混合型バーナーを用いた。このバーナーは、バーナー中心部にスラリー噴射用の二流体ノズルが接地され、原料のケイ素化合物が導入されるように構成されている。また、二流体ノズルの周囲から炭化水素―酸素の可燃性ガスが噴射され、還元雰囲気である内炎及び外炎を形成するように構成されている。可燃性ガス及び酸素の量ならびに流量の制御により、雰囲気、温度及び火炎の長さなどを調整することができる。
また、火炎中において、原料のケイ素化合物からシリカ粒子が生成され、さらにシリカ粒子が所望の粒径になるまで融着させることができる。その後、冷却し、生成されたシリカ粒子をバグフィルターなどにより捕集することによって、所望の粒径のシリカ粒子が得られる。
原料のケイ素化合物としては、鉄原子200ppm、アルミニウム原子が400ppm含有したヘキサメチルシクロトリシロキサン化合物を用いて、表面処理前シリカ粒子1を製造した。
次に、得られた表面処理前シリカ粒子1 100質量部に対して、ヘキサメチルジシラザン3.9質量%で表面処理を行い、シリカ粒子1を得た。
得られたシリカ粒子1の一次粒子の個数平均粒径を表1に示した。またシリカ粒子1の60kPaで加圧されたときのかさ密度、鉄原子含有量、アルミニウム原子含有量及び圧縮度を表1に示した。
<シリカ粒子2~31の製造例>
シリカ粒子1の製造例において、一次粒子の個数平均粒径と、ヘキサメチルシクロトリシロキサン化合物の鉄原子含有量及びアルミニウム原子含有量とを変化させてシリカ粒子2~15を得た。各シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径、60kPaで加圧されたときのかさ密度、鉄原子含有量、アルミニウム原子含有量、及び圧縮度を表1に示した。
Figure 2022092546000001
<チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例>
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH9.0とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行った。洗浄済みケーキに水を加えTiOとして1.5mol/Lのスラリーとした後、塩酸を加えてpH1.5とし解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行ったメタチタン酸をTiOとして採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、SrO/TiOモル比で1.15となるよう添加した後、TiO濃度0.8mol/Lに調整した。次に、撹拌混合しながら90℃に加温した後、窒素ガスのマイクロバブリングを600mL/minで行いながら10N(mol/L)水酸化ナトリウム水溶液444mLを45分間かけて添加し、その後、窒素ガスのマイクロバブリングを400mL/minで行いながら95℃で1時間撹拌を行った。
その後、当該反応スラリーを反応容器のジャケットに10℃の冷却水を流しながら撹拌して15℃まで急冷し、pH2.0となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄した後、6N(mol/L)の塩酸を加えてpH2.0に調整し、固形分に対して7.0質量%のn-オクチルエトキシシランを加え18時間撹拌を行った。4N(mol/L)水酸化ナトリウム水溶液で中和し、2時間撹拌した後にろ過・分離を行い、120℃の大気中で8時間乾燥してチタン酸ストロンチウム粒子1を得た。チタン酸ストロンチウム粒子1は粉末X線回折の測定によって、チタン酸ストロンチウムの回折ピークを示した。
チタン酸ストロンチウム粒子1を、電子顕微鏡観察したところ、明確に角を有する直方体形状の粒子の含有率は45個数%であった。個数平均粒径は40nmであった。
<チタン酸ストロンチウム粒子2~31の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例において、反応時における酸化チタン源と酸化ストロンチウム源の混合割合、反応初期の酸化チタン源濃度、並びにアルカリ水溶液を添加するときの温度及び添加速度などを適宜調整した。その結果、目的の粒子径及び粒度分布のチタン酸ストロンチウム粒子2~31を得た。各チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径を表2に示す。
Figure 2022092546000002
<トナー粒子1の製造例>
・結着樹脂 100部
(Tg:57℃、酸価:12mgKOH/g、水酸基価:15mgKOH/gのポリエステル)
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.7部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.1部
・ノルマルパラフィンワックス(融点:90℃) 5部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)で予備混合した後、二軸混練押し出し機(PCM-30型、(株)池貝製)によって、160℃で溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで1mm以下に粗粉砕した後、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。
得られた微粉砕物を、ファカルティ(F-300、ホソカワミクロン(株)製)を用いて分級した。運転条件は、分級ローター回転数を11000rpm、分散ローター回転数を7200rpmとした。
こうして重量平均粒径(D4)5.5μmの負摩擦帯電性のトナー粒子1を得た。
・トナー粒子1 100部
・シリカ粒子1 10部
・チタン酸ストロンチウム粒子1 3部
次に、上記原材料をヘンシェルミキサー(FM-10C型、日本コークス(株)製)を用いて、回転数67s-1(4000rpm)、回転時間2minで混合した後、目開き150μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。得られたトナー1の物性等を表3に示す。
<トナー2~31の製造例>
シリカ粒子1をシリカ粒子2~31に、チタン酸ストロンチウム粒子1をチタン酸ストロンチウム粒子2~31に、それぞれ変化させた以外はトナー1と同様にしてトナー2~31を得た。得られたトナー2~31の物性等を表3に示す。
Figure 2022092546000003
<磁性コア粒子の製造例>
(工程1:秤量・混合工程)
・Fe 62.8質量部
・MnCO 29.4質量部
・Mg(OH) 6.8質量部
・SrCO 1.0質量部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した。その後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1,000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記のとおりであった。
(MnO)(MgO)(SrO)(Fe
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
(工程3:粉砕工程)
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。そのスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
(工程4:造粒工程)
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100質量部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0質量部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加した。そして、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機(株))を用いて、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、温度650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
(工程5:焼成工程)
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1,300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1,150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
(工程6:選別工程)
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準のメジアン径が37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
<被覆樹脂の調製>
・シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
・メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
・メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5,000のマクロモノマー)
・トルエン 31.3質量%
・メチルエチルケトン 31.3質量%
・アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れた。そして、窒素ガスを導入して窒素ガスで系内を置換した。その後、温度80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。得られた被覆樹脂1を30質量部、トルエン40質量部、メチルエチルケトン30質量部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
<被覆樹脂溶液の調製>
・重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
・トルエン 66.4質量%
・カーボンブラック 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m/g、DBP吸油量75mL/100g)
上記材料を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散を行った。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過を行い、被覆樹脂溶液1を得た。
[磁性キャリアの製造]
(樹脂被覆工程)
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに被覆樹脂溶液1を磁性コア粒子1の100質量部に対して樹脂成分として2.5質量部になるように投入した。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら温度80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後に冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準のメジアン径が38.1μmの磁性キャリアを得た。
[実施例1~17、比較例1~14]
トナー1と磁性キャリアとを、トナー濃度が10質量%になるようにV型混合機(V-10型:(株)徳寿製作所)で0.5s-1、回転時間5分間混合し、二成分系現像剤1を得た。
同様に表3の記載のトナー2~31と磁性キャリアとを混合し、二成分系現像剤2~31を得た。
この二成分系現像剤1~17を実施例として、二成分系現像剤18~31を比較例として次の印字耐久試験を実施後、トナーの性能評価を行った。次にその具体的内容を示す。
《印字耐久試験》
画像形成装置として、キヤノン(株)製フルカラー複写機imageRUNNER ADVANCE C5560 II改造機を用いた。高温高湿環境下(温度30℃/相対湿度80%、以下H/H環境)での10万枚の耐久画像出力試験後に、以下の方法で評価を行った。なお、10万枚連続通紙時間中は、1枚目と同じ現像条件、転写条件(キャリブレーション無し)で通紙を行うこととする。耐久画像は、画像の印字比率は20%とし、初期の画像濃度が1.45となるように現像バイアスを調整した。評価紙は、10万枚の耐久画像出力にコピー普通紙CS-680(A4、坪量68g/m、キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を用いた。
《トナー性能評価》
<評価1>画像白抜け、画像流れの評価
上記条件で10万枚の耐久画像出力後にX-Riteカラー反射濃度計(「500シリーズ」、X-Rite社製)で画像濃度0.800のハーフトーン画像を出力した。画像流れ、白抜けが発生していると画像形成ドットが小さくなり画像濃度が低下するため、10か所測定して、その画像濃度差(最大値と最小値の差)の確認と目視での確認を行った。下記の基準で評価し、その結果を表4に示した。
ランクA:0.025未満
ランクB:0.025以上、0.050未満
ランクC:0.050以上、0.075未満
ランクD:0.075以上、0.100未満
ランクE:0.100以上、0.300未満
ランクF:0.300以上
<評価2>画像濃度均一性の評価(画像濃度ムラ)
常温常湿環境下(温度23℃/相対湿度60%、以下N/N環境)にて、10万枚の耐久画像出力試験を行い、画像濃度ムラを評価した。出力する画像は、紙の通紙方向に対して平行方向に、2mm幅の帯状のベタ部と18mm幅の帯状の白地部が、繰り替えし配置された、パターン画像1を用いた。このとき、パターン画像1におけるベタ部におけるトナーの紙上への載り量を0.40mg/cmとした。該パターン画像1を100枚出力した時点と、10万枚出力した時点において、一端出力を停止した後、紙上の全面がベタ部であるパターン画像2を出力した(ベタ部におけるトナーの紙上への載り量は0.40mg/cm)。
該全面ベタ画像について、X-Riteカラー反射濃度計(「500シリーズ」、X-Rite社製)を使用して、画像濃度をランダムに20箇所測定する。そして、該画像濃度の最大値と最小値との差(画像濃度差)を用いて、100枚出力した時点と、10万枚出力した時点とにおける画像濃度均一性の評価を行った。
評価に用いた画像濃度差とは、下記式を用いて算出された値であり、値が小さいほど良好であることを示す。
画像濃度差=((100枚出力した時点における画像濃度差)+(10万枚出力した時点における画像濃度差))/2
なお、評価基準は以下のように定めた。評価の結果を表4に示した。
ランクA:0.025未満
ランクB:0.025以上、0.05未満
ランクC:0.05以上、0.075未満
ランクD:0.075以上、0.10未満
ランクE:0.10以上、0.15未満
ランクF:0.15以上
Figure 2022092546000004
以上の結果で示されるように、大粒径のシリカ粒子と小粒径のチタン酸ストロンチウム粒子とが均一に混合した阻止層は、研磨効果の高い小粒径のチタン酸ストロンチウムがドラム表面に接触する機会を増やす。このため、ドラム表面へのトナーの融着を抑制し、画像濃度ムラや白抜け、画像流れの発生を防ぐことができる。
1:感光体ドラム、2:帯電装置、3:露光装置、5:現像容器、6:現像剤担持体、7:マグネット、8:規制部材、9:中間転写体、11:転写帯電器、12:転写材(記録媒体)、13:定着器、15:クリーナー、16:前露光、
20:感光体ドラム、21:クリーニングブレード、22:阻止層、23:シリカ粒子、24:チタン酸ストロンチウム粒子

Claims (6)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子と、前記トナー粒子の表面に存在するシリカ粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とを有するトナーであって、
    前記シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径は80~200[nm]であり、
    前記シリカ粒子は60kPaで加圧されたときのかさ密度が0.30~0.60[g/mL]であり、
    前記トナー粒子表面における前記シリカ粒子の固着率が50~97%であり、
    前記チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径が10~60[nm]であり、
    前記トナー粒子表面における前記チタン酸ストロンチウム粒子の固着率が50~97%であることを特徴とするトナー。
  2. 前記トナー粒子表面における前記シリカ粒子の固着率が、
    1,000枚印刷後において91~97%であり、
    100,000枚印刷後において50~79%であり、
    前記トナー粒子表面における前記チタン酸ストロンチウム粒子の固着率が、
    1,000枚印刷後において87~94%であり、
    100,000枚印刷後において59~79%である、
    請求項1に記載のトナー。
  3. 前記チタン酸ストロンチウム粒子の形状は、直方体状又は立方体状である請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記シリカ粒子は、鉄原子を20ppm以上2000ppm以下含有する請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記シリカ粒子は、アルミニウム原子を200ppm以上2000ppm以下含有する請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記シリカ粒子は、圧縮度が0.01~0.25である請求項1~5のいずれか1項に記載のトナー。


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