JP2023137146A - 加飾積層体、加飾部材、加飾システム及び加飾部材の製造方法 - Google Patents

加飾積層体、加飾部材、加飾システム及び加飾部材の製造方法 Download PDF

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晋 宮崎
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Abstract

【課題】加熱成形加工する際に加飾シートに積層した保護層が、成形加工後に加飾シートに残留することを抑制する、加飾積層体、加飾部材、加飾システム及び加飾部材の製造方法を提供する。【解決手段】加飾積層体35は、キャビティ内に配置されてインサート成形に用いられる。加飾積層体35は、意匠を表示する加飾シート40と、加飾シートに剥離可能に粘着した保護層70と、を有する。保護層を剥離した後における加飾シートは、5%以上50%以下の可視光透過率を有する。【選択図】図8

Description

本開示は、加飾積層体、加飾部材、加飾システム及び加飾部材の製造方法に関する。
従来、装飾を施されて意匠を表示する加飾シートが公知である。特許文献1に開示されているように、加飾シートは、インサート成形等の射出成形に用いられ得る。すなわち、加飾シートが型のキャビティ内に配置された状態で、溶融した樹脂がキャビティ内に供給される。これにより、加飾シートに成形物が接合したインサート成形品が得られる。加飾シートは、射出成形に限られることなく、真空成形、TOM成形、曲げ成形、熱ラミネート等の加熱しながら加飾シートに所望の形状を付与する種々の加熱成形加工を施される。
特許文献1において、加飾シートはインサート成形に用いられる。特許文献1の加飾シートは、インサート成形前に保護層を積層される。保護層は、インサート成形後に加飾シートから剥がされる。
昨今では、表示装置に重ねて配置される加飾シートが知られている。加飾シートは、非表示状態にある表示装置を隠蔽する。表示装置が非表示状態の場合、加飾シートは意匠を表示する。表示装置が非表示状態の場合、加飾層の意匠が観察される。表示装置が表示状態の場合、観察者は、加飾シート越しに表示画像を透過観察できる。
特開平10-329169号公報
透過観察に用いられる加飾シートは、或る程度の透過率を有している。具体的には、透過観察用の加飾シートは、厚みの薄い加飾層や、開口部が形成された加飾層を含んでもよい。このような加飾層は、インサート成形等の加熱成形加工時の熱や圧力によって損傷し得る。
そこで、本件発明者等は、透過観察用の加飾シートを加熱成形加工する際、加飾シートに保護層を積層することを検討した。しかしながら、成形加工後に保護層を剥がした加飾シートを介して表示画像を透過観察したところ、輝点や欠点が生じ、また表示画像が不明瞭となった。画質劣化を生じさせた加飾シートを調査したところ、保護層の一部分がその他の部分から分断されて加飾シート上に残留していた。保護層の残留物で光が散乱することにより、画質が劣化していた。
本開示は、本件発明者等の以上の知見に基づくものであり、加飾シートへの保護層の残留抑制を目的とする。
本開示の一実施の形態による加飾積層体は、
前記加飾シートに剥離可能に粘着した保護層と、を備え、
前記保護層を剥離した後における前記加飾シートは、5%以上50%以下の可視光透過率を有し、
前記保護層の前記加飾シートへ粘着する部分のガラス転移温度は0℃以上150℃以下である。
本開示の一実施の形態による加飾積層体は、加熱をともなう加熱成形加工に用いられてもよい。
本開示の一実施の形態による加飾積層体において、
前記保護層は、前記加飾シートへ粘着する部分と、前記加飾シートへ粘着する部分と積層された本体部と、を有してもよく、
前記本体部のガラス転移温度は40℃以上250℃以下でもよい。
本開示の一実施の形態による加飾積層体において、
前記加飾シートは、前記意匠を表示する加飾層と、前記加飾層と積層された基材と、を有してもよく、
前記加飾シート及び前記保護層が積層された積層方向において前記基材は前記加飾層および前記保護層の間に位置してもよく、
前記基材のガラス転移温度60℃以上250℃以下でもよい。
本開示の一実施の形態による加飾積層体において、100℃雰囲気での引張試験において幅25mmの前記保護層に100%の伸びが生じた際の引っ張り力は、当該保護層の厚み100μmあたり0.5N以上100N以下でもよい。
本開示の一実施の形態による加飾積層体において、前記保護層の厚みは20μm以上200μm以下でてもよい。
本開示の一実施の形態による加飾積層体において、
前記加飾シートは、前記意匠を表示する加飾層と、前記加飾層と積層された基材と、を有してもよく、
前記加飾シート及び前記保護層が積層された積層方向において前記基材は前記加飾層および前記保護層の間に位置してもよく、
前記加飾層の最外部分を構成する材料のガラス転移温度は70℃以上150℃以下であってもよい。
本開示の一実施の形態による加飾積層体において、
前記加飾シートは、前記意匠を表示する加飾層と、前記加飾層と積層された基材と、を有してもよく、
前記加飾層に開口部が設けられてもよい。
本開示の一実施の形態による加飾積層体において、
前記加飾層は、前記意匠を表示する意匠層と、前記加飾シート及び前記保護層が積層された積層方向において前記意匠層と前記基材との間に位置する遮光層と、を含んでもよく、
前記基材の波長1060nm以上1090nm以下の光線透過率は70%以上でもよい。
本開示の一実施の形態による加飾積層体において、
前記保護層は、前記加飾シートに粘着する第1面と、前記加飾シート及び前記保護層が積層された積層方向において前記第1面と対向する第2面と、を有してもよく、
前記第1面は凹凸面でもよい。
本開示の一実施の形態による加飾積層体において、
前記保護層は、前記加飾シートに粘着する第1面と、前記加飾シート及び前記保護層が積層された積層方向において前記第1面と対向する第2面と、を有してもよく、
前記第2面は凹凸面でもよい。
本開示の一実施の形態による加飾積層体において、
前記加飾シートは、前記意匠を表示する加飾層と、前記加飾層と積層された基材と、を有してもよく、
前記保護層は前記基材に粘着してもよく、
前記基材の厚みは前記保護層の厚みよりも薄くてもよい。
本開示の一実施の形態による加飾部材は、
意匠を表示する加飾層と、前記加飾層と積層された基材と、を有する加飾シートと、
熱可塑性樹脂によって構成され前記加飾シートに接合した樹脂部と、を備え、
前記加飾層および前記基材が積層された積層方向において、前記加飾層は、前記基材と前記樹脂部との間に位置し、
前記基材の厚みは25μm以上600μm以下である。
本開示の一実施の形態による加飾システムは、
本開示の一実施の形態によるいずれかの加飾部材と、
前記加飾部材に重ねて配置された光源又は表示装置と、を備える。
本開示の一実施の形態による加飾シートの製造方法は、
上述した本開示の一実施の形態によるいずれかの加飾積層体を加熱成形加工する工程と、
前記保護層を前記加飾シートから剥がす工程と、を備える。
本開示の一実施の形態による加飾部材の製造方法は、
上述した本開示の一実施の形態によるいずれかの加飾積層体を型のキャビティ内に配置する工程と、
前記加飾積層体を収容したキャビティ内に加熱した熱可塑性樹脂を供給して、前記加飾シートと前記加飾シートに接合した樹脂部とを有する加飾部材を作製する工程と、
前記保護層を前記加飾シートから剥がす工程と、を備える。
本開示の一実施の形態による加飾部材の製造方法は、
前記加飾積層体を予備成形して変形させる工程を更に備えてもよい。
本開示の一実施の形態による加飾部材の製造方法は、前記加飾シートに熱可塑性樹脂フィルムを粘着させて前記加飾積層体を作製する工程を更に備えてもよい。
本開示の一実施の形態による加飾部材の製造方法は、
前記加飾シートを作製する工程を更に備えてもよく、
前記加飾シートを作製する工程は、意匠を付与されたベース加飾層を基材上に形成する工程と、レーザー光を前記ベース加飾層に照射することによって、前記ベース加飾層を部分的に除去して前記開口部を形成する工程と、を有してもよい。
本開示の一実施の形態による加飾部材の製造方法において、
前記ベース加飾層を形成する工程は、前記基材上に可視光遮光性を有したベース遮光層を形成する工程と、前記ベース遮光層上に前記意匠を付与されたベース意匠層を形成する工程と、を含んでもよく、
前記開口部を形成する工程では、前記基材を透過したレーザー光が前記ベース遮光層に入射してもよい。
本開示の一実施の形態による加飾部材の製造方法において、前記基材のレーザー光の透過率は70%以上でもよい。
本発明によれば、保護層が加飾シートに残留することを抑制できる。
図1は、一実施の形態を説明する図であって、加飾システムの一例を概略的に示す斜視図である。 図2は、図1の加飾システムを正面から示す平面図であり、表示装置は非表示状態にある。 図3は、図1の加飾システムを正面から示す平面図であり、表示装置は表示状態にある。 図4は、図1の加飾システムを示す部分断面図であり、加飾部材に含まれる加飾部材及び表示装置の一例を示す図である。 図5は、図4に対応する断面図であって、表示装置の一変形例を示す図である。 図6は、図4及び図5の加飾部材に含まれる加飾シートの一例を正面から示す部分平面図である。 図7は、図4に対応する断面図であって、加飾部材に含まれる加飾シートの変形例を示す図である。 図8は、図4及び図5の加飾部材の製造に用いられる加飾積層体の一例を示す部分断面図である。 図9は、図7の加飾部材の製造に用いられる加飾積層体の一例を示す部分断面図である。 図10は、図8に示された加飾積層体の製造方法の一例を示す図である。 図11は、図8に示された加飾積層体の製造方法の一例を示す図である。 図12は、図8に示された加飾積層体の製造方法の一例を示す図である。 図13は、図4に示された加飾部材の製造方法の一例を示す図である。 図14は、図4に示された加飾部材の製造方法の一例を示す図である。 図15は、図4に示された加飾部材の製造方法の一例を示す図である。 図16は、図4に示された加飾部材の製造方法の一例を示す図である。 図17は、図4に示された加飾部材の製造方法の一例を示す図である。 図18は、図4に示された加飾部材の製造方法の一例を示す図である。 図19は、図4~図6に示された加飾部材の製造方法の一例を示す図である。 図20は、図4に示された加飾部材の製造方法の一例を示す図である。 図21は、図4に示された加飾部材の製造方法の一例を示す図である。 図22は、図4に対応する断面図であって、加飾システム及び加飾部材の変形例を示す図である。 図23は、図4に対応する断面図であって、加飾システム、加飾部材および加飾シートの変形例を示す図である。 図24は、図4に対応する断面図であって、加飾システム、加飾部材および加飾シートの変形例を示す図である。 図25は、図4に対応する断面図であって、加飾システム、加飾部材および加飾シートの変形例を示す図である。 図26は、図8に対応する断面図であって、保護層及び加飾積層体の変形例を示す図である。 図27は、図8に対応する断面図であって、保護層及び加飾積層体の変形例を示す図である。 図28は、図4に対応する断面図であって、図27の加飾積層体を用いて得られる加飾部材及び加飾システムを示す図である。 図29は、図5に対応する断面図であって、加飾システム、加飾部材および加飾シートの変形例を示す図である。 図30は、図8に対応する断面図であって、加飾シート及び加飾積層体の変形例を示す図である。 図31は、図4に対応する断面図であって、加飾システム、加飾部材および加飾シートの変形例を示す図である。 図32は、図8に対応する断面図であって、加飾シート及び加飾積層体の変形例を示す図である。
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に限定されることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
本明細書において、「シート」、「フィルム」及び「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて互いから区別されない。例えば「加飾シート」は、加飾フィルム又は加飾板と呼ばれる部材等と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
方向の関係を図面間で明確にするため、いくつかの図面には、共通する符号を付した矢印により共通する方向を示している。矢印の先端側が、各方向の一側となる。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、例えば図2に示すように、円の中に点を設けた記号により示した。図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を、例えば図4に示すように、円の中に×を設けた記号により示した。
図1~図32は一実施の形態を説明する図である。図1は、加飾システムの一具体例を概略的に示す斜視図である。図1に示すように、加飾システム10は、表示装置20と、表示装置20に重ねられた加飾シート40又は加飾部材30と、を有している。
表示装置20は、表示状態において画像光を射出する。表示装置20は、表示状態において、観察者が観察可能な画像を表示面21に表示する。表示装置20は、非表示状態において画像を形成する画像光の射出を停止する。
加飾シート40又は加飾部材30は、表示面21を覆うようにして配置されている。加飾シート40又は加飾部材30は、可視光透過性を有し表示装置20からの画像光を透過可能である。表示装置20が非表示状態にある場合、加飾シート40又は加飾部材30は、表示装置20の少なくとも表示面21を隠蔽する。この非表示状態において、加飾シート40又は加飾部材30は、図2に示すように意匠を表示する。表示装置20が表示状態にある場合、加飾シート40又は加飾部材30は、図3に示すように、表示装置20によって表示される画像の透過観察を可能にする。図3では、傘を表現したマークが表示されている。図2及び図3は、表示装置20と加飾シート40又は加飾部材30とが積層された積層方向から加飾システム10を示す平面図である。
本実施の形態には、加飾シート40又は加飾部材30を介して表示面21に表示される画像を優れた画質で観察可能にするための工夫がなされている。加飾シート40は、加飾積層体35を加熱しながら成形する加熱成形加工によって、製造されてもよい。加飾部材30は、加飾積層体35をキャビティ内に収容し、キャビティ内で射出成形することによって、製造されてもよい。加飾積層体35は、加飾シート40と加飾シート40に積層された保護層70とを有している。射出成形等の加熱成形加工後に、保護層70から加飾シート40から剥がされる。本実施の形態では、加飾シート40への保護層70の残留を抑制する工夫が実施されている。これにより、保護層70の残留物での反射や屈折等の光学作用を抑制し、画質の劣化を良くできる。
加熱成形加工とは、対象物を加熱しなら所望の形状を対象物に付与する加工を意味する。例えば、加熱成形加工は、加飾シート40や加飾積層体35に所望の形状を付与する。加熱成形加工として、インサート成形が例示される。インサート成形では、加飾積層体35を収容したキャビティ内に溶融した樹脂を供給し、加飾積層体35に樹脂を接合して固めることによって、加飾シート40や加飾積層体35に所望の形状を付与する。加熱成形加工は、インサート成形に限られることなく、真空成形、圧空成形、TOM成形、曲げ成形等でもよい。真空成形、圧空成形、TOM成形、曲げ成形等の加熱成形加工では、加飾シート40や加飾積層体35を所望の形状に変形させる。また、加熱成形加工には、熱ラミネートも含まれる。熱ラミネートは、加飾積層体35を熱可塑性樹脂のシートに向けて加熱および加圧することによって、加飾シート40や加飾積層体35を含み且つ所望の厚みを有した積層物を作製する。
以下、図示された具体例を参照して一実施の形態を説明する。まず、加飾システム10を説明し、次に、加飾部材30の製造方法について説明する。
図1及び図4に示すように、加飾システム10は、表示装置20及び加飾シート40を有している。表示装置20は、表示面21を有している。加飾シート40は、表示面21を覆っている。加飾システム10は、加飾シート40による意匠を表現することができる。この加飾シート40によれば、周囲環境と調和させながら表示装置20を設置できる。
図示された例において、表示面21は、平面視において、矩形形状を有している。矩形形状の表示面21は、第1方向D1及び第2方向D2に延びている。また、表示装置20及び加飾シート40は、表示面21への法線方向であって、第1方向D1及び第2方向D2の両方に垂直な第3方向D3に積層されている。すなわち、第3方向D3は積層方向となっている。
加飾システム10は、種々の用途に適用可能である。加飾システム10を、移動可能な装置としての移動体の内装や外装に適用してもよい。移動体として、自動車、船、飛行機等が例示される。一具体例として、加飾システム10は、自動車の内装や外装に適用されてもよい。加飾システム10は、建物の内装として、壁、扉、天井等に適用されてもよい。加飾システム10は、家具、家電製品等の各種装置に適用されてもよい。より具体的な例として、加飾システム10は机に適用されてもよい。加飾システム10冷蔵庫等の設備のケーシングに適用されてもよい。
加飾システム10に含まれる表示装置20は、図3に示された表示状態において、画像光を射出して表示面21に画像を表示する。表示装置20は、図2に示された非表示状態において、画像光の射出を停止する。表示装置20として、種々の装置を用いてもよい。
表示装置20は、ドットマトリックス方式の表示装置でもよい。ドットマトリックス方式の表示装置は、各ドットを形成する複数の画素を有している。この表示装置では、画素毎に発光状態を制御することによって、表示面21に所望の画像を表示できる。表示装置20は、静止画および動画を表示できる。このような表示装置20として、液晶表示装置や、EL表示装置とも呼ばれるエレクトロルミネッセンス表示装置等が例示される。図4に示された例において、表示装置20は、透過型の表示パネル22と、表示パネル22を背面から面状に照明する面光源装置23と、を含んでいる。透過型の表示パネル22として、液晶表示パネルが例示される。面光源装置23として、エッジライト型や直下型等の種々の装置を用いてもよい。
図5は、表示装置20の他の例を示している。図5に示された例において、表示装置20は、遮光パターン層(遮光パネル)24及び面光源装置23を有している。遮光パターン層24は、透過領域24a及び遮光領域24bを有している。遮光領域24bは、可視光遮光性を有している。遮光領域24bは、黒色顔料を含有した樹脂によって形成されてもよい。透過領域24aは、可視光遮光性のパネルに形成された開口部でもよい。透過領域24aは、透明な部分でもよい。透過領域24aのパターンは、表示装置20によって表示したい画像のパターンと同一となっている。遮光パターン層24は、表示面21を形成する。遮光パターン層24は、面光源装置23によって背面から面状に照明される。遮光パターン層24が面光源装置23によって照明されると、透過領域24aに対面する領域のみから画像光が射出する。これにより、透過領域24aに対応したパターンの画像を表示できる。
なお、本明細書で用いる「透明」とは、可視光透過率が、50%以上であることを意味し、好ましくは80%以上である。「可視光遮光性」とは、可視光透過率が、3%未満であることを意味し、好ましくは1%以下である。可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm以上780nm以下の範囲内で1nm毎に測定したときの、各波長における全光線透過率の平均値として特定される。
加飾部材30は、加飾シート40と、加飾シート40と接合した樹脂部60と、を有している。上述したように、表示装置20が非表示状態にある場合、図3に示すように加飾部材30は意匠を表示する。表示装置20が表示状態にある場合、加飾部材30は、表示装置20からの画像光を透過する。観察者は、加飾部材30を介して、表示面21に形成される画像を観察できる。
表示画像の視認性の観点から、加飾部材30の第3方向D3への可視光透過率は、3%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、10%以上であることが更に好ましい。また、表示面21を隠蔽する観点から、加飾部材30の第3方向D3への可視光透過率は、50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることが更に好ましい。加飾部材30の第3方向D3への厚みは、加飾部材30の用途等に応じて適宜選択される。加飾部材30の第3方向D3への厚みは、1mm以上でもよく2mm以上でもよい。加飾部材30の第3方向D3への厚みは、8mm以下でもよく、5mm以下でもよい。
加飾シート40は、加飾システム10に意匠性を付与する。加飾シート40は、意匠を表示する加飾層50を有している。加飾部材30によって表現される意匠は、加飾層50に形成されている。第3方向D3からの観察において加飾層50が表示面21を覆うように、加飾シート40は表示装置20に重ねられる。表示装置20が非表示状態にある場合、加飾シート40は表示装置20を隠蔽して、意匠を表示する。
加飾シート40の第3方向D3への厚みは、その用途等に応じて適宜選択される。加飾シート40の第3方向D3への厚みは、25μm以上でもよく、50μm以上でもよい。加飾シート40の第3方向D3への厚みは、600μm以下でもよく、500μm以下でもよい。後述するように、加飾シート40は、保護層70と積層されることによって、加飾積層体35を形成する。加飾シート40は、加飾積層体35の一部分として加熱成形加工を施される。したがって、加飾シート40の第3方向D3への厚みは、保護層70無しでの加熱成形加工が困難となる厚みを有し得る。具体的には、加飾シート40の第3方向D3への厚みは、300μm以下でもよく、175μm以下でもよい。
加飾層50は、図形、パターン、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクター、マーク、ピクトグラム、文字や数字などの絵柄を、意匠として設けられてもよい。加飾層50は、背景を表示する意匠表現を行うこともできる。例えば、加飾システム10が設けられる周辺環境と加飾シートを調和させることができる意匠として、木目調や大理石調の絵柄、金属調の質感、幾何学模様を、加飾層50が表示してもよい。加飾層50は、印刷によって形成されてもよい。加飾層50は、転写によっても形成されてもよい。加飾層50の厚みは、例えば、1μm以上50μm以下でもよい。
表示装置20が表示状態にある場合、表示装置20からの表示光は加飾シート40を透過する。すなわち、加飾シート40は、表示装置20からの画像光を透過して表示装置20によって表示される画像を透過観察可能にする。表示画像の視認性の観点から、加飾シート40の第3方向D3への可視光透過率は、3%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましく、10%以上であることが更に好ましい。また、表示面21を隠蔽する観点から、加飾シート40の第3方向D3への可視光透過率は、50%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましく、30%以下であることが更に好ましい。
図4に示された例において、加飾シート40は、加飾層50と積層された基材45を更に含んでいる。基材45は加飾層50を支持する。基材45はシート状である。基材45は、加飾層50と第3方向D3に積層されている。図4に示された例において、基材45は、第3方向D3において加飾層50と表示装置20との間に位置している。基材45は透明であり、画像光は基材45を透過する。基材45として、樹脂製のフィルムを用いることができる。基材45の材料として、例えば、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、環状ポリオレフィン等が例示される。
後に詳述するように、基材45のガラス転移温度は、40℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上が更に好ましい。特に、後述するように基材45上に遮光パターン層24を積層する場合は、インサート成形等の成形加工時の熱や圧力による変形を抑制する観点から、ガラス転移温度は120℃以上であることが好ましい。基材45のガラス転移温度は、250℃以下が好ましく、210℃以下がより好ましく、170℃以下が更に好ましい。基材45の第3方向D3への厚みは、25μm以上が好ましく、38μm以上がより好ましく、50μm以上が更に好ましい。基材45の第3方向D3への厚みは、600μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく300μm以下が更に好ましい。
ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(例えば、RSA3(TAインスツルメンツ社製)を用いて測定された値とする。測定条件として、サンプル幅5mm、チャック間距離20mm、周波数1Hz、昇温速度5℃/分とする。この条件で、貯蔵弾性率(E‘)及び損失弾性率(E’’)を測定する。温度を横軸とし、貯蔵弾性率(E‘)及び損失弾性率(E’’)から算出される損失正接(tanδ=E’’/E’)を縦軸としたグラフにて、損失正接(tanδ)のピークが生じる温度が、ガラス転移温度として特定される。ガラス転移温度は、複数の樹脂を混合して、その混合比を変えたり、樹脂の分子量を変えたりすることで調整され得る。
図4に示された例では、画像光の透過を可能とする開口部53が加飾層50に設けられている。加飾層50は、意匠を形成する加飾部51Aと、加飾部51Aの非形成部としての透過部51Bと、を含んでいる。加飾部51Aは、加飾層50のうちの開口部53が設けられていない領域によって形成されている。透過部51Bは、加飾層50のうちの開口部53が設けられている領域によって形成されている。加飾部51Aは、加飾層50が形成されている部分である。透過部51Bは、加飾シート40のうちの表示装置20からの画像光が透過する部分となる。透過部51Bは、高い可視光透過性を有している。
図6は、加飾シート40を示す部分平面図である。図6に示すように、平面視における加飾シート40は、加飾部51A及び透過部51Bに区分けされ得る。図示された例において、開口部53の位置、形状及び面積が、それぞれ、透過部51Bの位置、形状および面積を決めている。開口部53の平面視の形状は特に限定されない。例えば、開口部53の平面視形状として、円形状、楕円形状等の曲線輪郭を含んだ形状、三角形形状、四角形形状、五角形形状、六角形形状、八角形形状等の多角形形状、多角形形状の角を面取りした形状等が、例示される。ただし、光学特性の等方性を確保する上で、孔の平面視形状は円形状であることが好ましい。図6に示された例において、開口部53の平面視形状は円である。
平面視における加飾層50の面積に対する開口部53が占める面積の割合を、加飾層50の開口率と定義する。各開口部53の面積は、第3方向D3への投影において加飾層50を貫通している部分の面積とする。すなわち、第3方向D3の全厚みに亘って加飾層50を貫通している領域であって、第3方向D3に進む光が加飾部51Aに入射することなく加飾層50を通過し得る領域の面積を、各開口部53の面積とする。開口率の特定は、加飾層50の光を照射される領域は、30個以上の開口部53を含む面積を有した領域を対象として実施する。意匠層55の開口率の下限値は、好ましくは、表示装置20が画像を表示している状態で十分明瞭に画像を観察し得るよう決定される。加飾層50の開口率は、好ましくは3%以上であり、より好ましくは5%以上であり、更に好ましくは10%以上である。加飾層50の開口率の上限値は、好ましくは、表示装置20が画像を表示していない状態で十分明瞭に加飾層50の意匠を観察し得るよう決定される。加飾層50の開口率は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、更に好ましくは30%以下である。
図4に示された加飾層50は、意匠を表示する意匠層55と、意匠層55と積層された遮光層58と、を含んでいる。意匠層55及び遮光層58は、第3方向D3に積層されている。遮光層58が、意匠層55よりも、第3方向D3における基材45側に位置している。つまり、遮光層58は、第3方向D3において意匠層55と基材45との間に位置する。
図4に示された例において、加飾部材30によって表現される意匠は意匠層55に形成されている。すなわち、意匠層55は上述したように絵柄を意匠として設けられてもよい。意匠層55は背景を表示する意匠表現を行ってもよい。例えば、意匠層55は、遮光層58上に印刷によって形成された印刷層でもよい。意匠層55は、遮光層58上に転写された転写層でもよい。
意匠層55は、バインダー樹脂部と、バインダー樹脂部に保持された色材と、を有してもよい。色材として、染料や顔料を用いてもよい。意匠層55のバインダー樹脂部の材料として、例えば、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。意匠層55の厚さは、例えば、0.5μm以上、50μm以下である。
遮光層58は、意匠層55の背面側に配置されている。遮光層58は、表示装置20から意匠層55を覆っている。遮光層58は、表示装置20からの画像光が意匠層55に入射しないよう、光を吸収する機能を有してもよい。すなわち、遮光層58は、可視光遮光性を有してもよい。遮光層58は、バインダー樹脂部と、バインダー樹脂部に保持された光吸収粒子と、を有してもよい。光吸収粒子としては、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色顔料を例示することができる。
この例において、画像光は、開口部53を通過することで加飾シート40を透過する。すなわち、画像光は、加飾層50の透過部51Bを透過し、加飾層50の加飾部51Aで遮光される。これにより、表示装置20によって表示される画像の色変化を抑制できる。また、意匠層55によって形成される意匠を濃く明瞭に表示できる。
遮光層58のバインダー樹脂部の材料として、例えば、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等が挙げられる。これらの材料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。遮光層58の厚さは、例えば、1μm以上、20μm以下である。
なお、加飾層50及び加飾シート40の構成は、図4及び図6に示された構成に限られない。図7に示された加飾層50及び加飾シート40を採用してもよい。図7に示された加飾シート40は、基材45と、基材45と積層された加飾層50と、を有している。図7に示された加飾層50を、図4を参照して説明した意匠層55としてもよい。ただし、図7に示された加飾層50は開口部53を形成されていない。加飾層50の全域を上述した加飾部51Aとしてもよい。加飾部51Aの透過率が、上述した加飾シートの透過率と同様に設定されてもよい。
樹脂部60は、加飾シート40に接合している。樹脂部60は、射出成形によって、加飾シート40に接合した状態で作製される。樹脂部60は透明な熱可塑性樹脂材料によって構成されている。図4に示された例において、加飾層50は開口部53を有している。樹脂部60は開口部53内に入り込んでいる。すなわち、開口部53に樹脂部60が充填されている。開口部53に充填された樹脂部60は、基材45に接触している。開口部53に充填された樹脂部60は、基材45に接合してもよい。樹脂部60を構成する材料は、射出成形に適した材料から選択される。樹脂部60の材料として、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン共重合体)等が例示される。
図1に示された例において、加飾部材30は三次元形状を有している。より具体的には、加飾部材30は第1方向D1における両側において屈曲している。図示された例に限られず、加飾部材30は種々の形状を有することができる。図1に示された例において、樹脂部60は加飾部材30に沿って広がるシート状である。樹脂部60は、図示された例に限られず、加飾部材30とは無関係に延び出す部分、例えば加飾部材30を取り付けるための固定用爪等を有してもよい。
図示された加飾システム10の作用について説明する。
表示装置20が非表示状態にある状態では、図2に示すように、表示面21を覆う加飾シート40が観察される。図4に示された加飾システム10において、第3方向D3おいて、表示装置20と樹脂部60の間に加飾シート40が配置されている。樹脂部60が、第3方向D3において、最も観察者側に位置している。観察者は、透明な樹脂部60を介して加飾シート40の加飾層50を観察する。図示された例では、観察者は、加飾層50の意匠層55によって表示される意匠を観察する。加飾層50は、印刷等の豊かな表現力により、優れた意匠を形成している。加飾層50を用いた加飾シート40の意匠表現により、周囲環境との調和や統一性を確保しながら、表示装置20を設置することができる。昨今では表示装置20の適用範囲が急速に広がっており、加飾シート40を用いることによって、意匠性が重視される自動車の内装、建物の内装、家具、家電製品等に表示装置20を適用できる。
表示装置20が表示状態にある状態では、表示面21から画像光が射出する。表示面21から射出した画像光は、加飾部材30を透過する。図3に示すように、加飾部材30を透過した画像光によって、観察者は、表示面21上に形成された画像を観察できる。図3に示された例において、傘を表現したマークが表示されている。
図4に示された例において、基材45が、第3方向D3において表示面21と加飾層50との間に位置している。この図示された具体例において、基材45の厚みは、600μm以下であることが好ましく、500μm以下で有ることがより好ましく、300μm以下で有ることが更に好ましい。観察者は、表示面21上に表示画像を観察し、加飾層50上に意匠を観察する。基材45の厚みの上限を設定することにより、基材45に対面して配置された表示装置20によって表示される画像を、第3方向D3において加飾層50の意匠と概ね同じ位置に表示できる。この場合、表示装置20の表示状態と非表示状態を切り替えた際に、表示装置20による表示画像と加飾層50による意匠とが違和感なく観察され得る。
加飾部材30は、加飾積層体35を収容したキャビティ内で射出成形することによって、製造され得る。言い換えると、加飾部材30は、加飾積層体35を用いたインサート成形によって、製造され得る。まず、加飾積層体35について説明し、次に、加飾積層体35の製造方法、更には加飾積層体35を用いた加飾部材30の製造方法について説明する。
図8及び図9は、加飾積層体35の具体例を示す縦断面図である。図8に示された加飾積層体35は、図4及び図5に示された開口部53を形成された加飾シート40を含む加飾部材30の製造に用いられる。図9に示された加飾積層体35は、図7に示された開口部53を形成されていない加飾シート40を含む加飾部材30の製造に用いられる。図8及び図9に示すように、加飾積層体35は、加飾シート40と、加飾シート40と積層された保護層70と、を有する。加飾積層体35の加飾シート40は、加飾部材30に含まれる加飾シート40である。したがって、加飾積層体35の加飾シート40は、既に説明したとおりである。保護層70は、剥離可能に加飾シート40に積層されている。後述するように、射出成形後に、保護層70は加飾シート40から剥がされる。図8及び図9に示された例において、保護層70は、加飾層50から離間して基材45に接合している。図示された例とは異なり、保護層70は、第3方向D3における加飾層50側から加飾シート40に接合してもよい。
保護層70は、加飾シート40を保護する。射出成形時、加飾シート40は、溶融樹脂の射出に曝される。また、加飾シート40は、後述するように、射出成形前に予備成形されることもある。予備成形では、射出成形のキャビティ形状に対応するよう、加飾シート40を塑性変形させる。さらに、加飾シート40を機械加工した後に、射出成形が行われることも想定され得る。すなわち、加飾シート40は加熱成形加工時に、加熱、又は、加熱および加圧をともなう等、過酷な加工条件下に置かれ得る。一方、加飾シート40に含まれる加飾層50の厚みは、1μm以上50μm以下と薄くなっている。図4~図6に示された加飾層50には開口部53が形成されている。すなわち、加飾シート40は損傷し易い構成を有している。そして、保護層70は、射出成形等の加工中に、加飾層50、さらには加飾シート40を破断等の損傷から保護する。
保護層70は、熱可塑性樹脂の層とすることができる。フィルム状の保護層70を加飾シート40に向けて加熱および加圧することによって、加飾積層体35を作製することができる。図8及び図9に点線で示すように、保護層70は、本体部71及び粘着層72を有してもよい。本体部71及び粘着層72は、積層方向に積層されている。本体部71及び粘着層72は積層方向に隣接してもよい。粘着層72は、本体部71において加飾シート40及び本体部71の間に位置する。この例では、粘着層72によって、保護層70が加飾シート40に接合する。ただし、自己粘着性を有する材料、例えばポリプロピレンやポリエチレン等を用いて保護層70を作製する場合、粘着層72を省略できる。自己粘着性を有した保護層70は、単一のフィルム材として、加圧および加熱によって、加飾シート40に接合できる。
なお、本件明細書において用いる「粘着」は、「接着」、「溶着」等による接合も含む。
保護層70及び本体部71を構成する材料として、例えば、塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン共重合体)、ポリエチレン、ポリプロピレン等が例示される。粘着層72を構成する材料として、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等が例示される。保護層70は、加飾部材30に含まれないので、透明でなくてもよい。
加飾シート40及び保護層70を含む加飾積層体35は、次のようにして製造され得る。
加飾シート40は、基材45上に加飾層50を形成することで製造され得る。図9に示された加飾積層体35を製造する場合、印刷や転写によって、基材45上に加飾層50を形成できる。
図8に示された加飾積層体35の加飾シート40は、一例として、図10及び図11に示されたレーザー技術を用いる方法にて製造され得る。この製造方法では、まず、基材45を形成するようになるフィルム材45Aを用意する。フィルム材45Aを構成する材料は、基材45に用いられ得る透明な上述の樹脂材料とすることができる。
フィルム材45A上に、遮光層58をなすようになる樹脂組成物を塗布する。遮光層58用の樹脂組成物は、遮光層58に用いられ得る上述の材料とすることができる。次に、フィルム材45A上の樹脂組成物を乾燥することによって、樹脂組成物を固化してなるベース遮光層58Aがフィルム材45Aに形成される。ベース遮光層58Aは、遮光層58と異なり、開口部53が形成されていない層である。その後、ベース遮光層58A上に印刷や転写等によってベース意匠層55Aを形成する。ベース意匠層55Aを構成する材料は、意匠層55に用いられ得る上述の樹脂材料とすることができる。ベース意匠層55Aは、意匠層55と異なり、開口部53が形成されていない層である。
以上の手順により、図10に示すように、フィルム材45A上にベース加飾層50Aを積層してなる中間積層体38が得られる。ベース加飾層50Aは、ベース遮光層58A及びベース意匠層55Aを含んでいる。
次に、ベース加飾層50Aに開口部53を形成する。一例として、図11に示すように、中間積層体38の開口部53を形成すべき位置に、レーザー照射装置80から射出したレーザー光を照射してもよい。レーザー光の照射領域におけるベース加飾層50Aが除去されることにより、ベース加飾層50Aに開口部53が形成される。開口部53を形成されたベース意匠層55Aから意匠層55が得られる。開口部53を形成されたベース遮光層58Aから遮光層58が得られる。このようにして、フィルム材45Aからなる基材45上に加飾層50を有した加飾シート40が得られる。
図11に示すように、中間積層体38のフィルム材45Aに近接する表面からレーザー光を照射してもよい。レーザー光は、フィルム材45Aを透過して、ベース遮光層58Aに吸収される。これにより、ベース遮光層58Aが溶融し、隣接するベース意匠層55Aとともに、蒸発する。ここで、ベース遮光層58Aのレーザー光の吸収率を、フィルム材45Aのレーザー光の吸収率より高く、ベース意匠層55Aのレーザー光の吸収率よりも高くしてもよい。これにより、所望の大きさの開口部53を高精度に作製できる。開口部53の形成に用いられるレーザー光の波長は、赤外域の1060nm以上1090nm以下としてもよい。1060nm以上1090nm以下の波長のレーザー光を射出する光源は、高出力化しやすい点において好ましい。そして、基材45の波長1060nm以上1090nm以下の光線透過率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。基材の光線透過率をこのように設定することにより、開口部53を高効率かつ高精度にベース加飾層50Aに形成して、加飾層50を作製できる。
波長1060nm以上1090nm以下の光線透過率が70%以上とは、波長1060nm以上1090nm以下の1nmごとの波長にて測定したと各波長の光線透過率の平均が、70%以上となることを意味している。特定波長の光線についての光線透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV-3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定した値とする。
開口部53の形成は、レーザー技術の使用に代えて、フォトリソグラフィー技術を用いてもよい。
次に、加飾シート40上に保護層70を設ける。一例として、フィルム状の保護層70を、加飾シート40に向けて加熱加圧し、加飾シート40に粘着させてもよい。図12に示された例において、第1ロール81及び第2ロール82の間に、加飾シート40及び保護層70が搬送される。第1ロール81及び第2ロール82は、例えば内蔵された図示しない加熱装置によって、加熱されている。第1ロール81及び第2ロール82は、加飾シート40及び保護層70を互いに向けて押す。第1ロール81及び第2ロール82の間を通過する際、保護層70は、加熱されながら、加飾シート40に向けて押され、加飾シート40に粘着する。
図12に示された例と異なり、液体状の樹脂組成物から保護層70を作製してもよい。具体的には、保護層70を構成するようになる樹脂組成物を加飾シート40上に塗布する。樹脂組成物の膜を、乾燥して加飾シート40上で固化することにより、加飾シート40に粘着した保護層70を作製してもよい。
上述したように、画像の観察および意匠の観察を切り替えた際の違和感を抑制するため、基材45の厚みに上限を設定することが好ましい。加飾シート40を作製する際の取り扱い性を考慮した場合にも、基材45の厚みに上述の上限を設定することが好ましい。一方、加飾シート40の破断等の損傷を抑制する観点から、上述したように、基材45の厚みを25μm以上とすることが好ましく、38μm以上とすることがより好ましく、50μm以上とすることが更に好ましい。加飾積層体35では、基材45及び保護層70の両方によって、加飾層50を保護する。したがって、基材45及び保護層70の厚みの合計を一定以上に確保することで、加飾層50の損傷を抑制できる。上述のように基材45の厚みに上限を設定することが好ましいことから、基材45の厚みを保護層70の厚みよりも薄くすることが好ましい。
以上に説明した加飾積層体35を用いて、加飾部材30を次のように製造できる。なお、以上の説明において、加飾積層体35の作製まではロール・トゥ・ロールにより、複数の加飾積層体35が分離されていない長尺のシート状物として製造されている。以下の説明では、加飾積層体35を用いて枚葉の加飾部材30が製造される。これらの例と異なり、加飾積層体35が枚葉で作製されてもよい。複数の加飾部材30を分離することなく同時または連続して作製してもよい。
以下に説明する例では、図13~図16に示すように加飾積層体35をインサート成形前に予備成形している。予備成形によって加飾積層体35は塑性変形する。予備成形後の加飾積層体35は、目的とする加飾部材30の形状に近い形状を有する。図13~図16に示された例において、予備成形として真空成形が実施されている。ただし、この例に限られず、予備成形として、圧空成形やTOM成形等の種々の成形加工を採用してもよい。また、切削等の機械加工を加飾積層体35に対して行ってもよい。さらには、予備成形を行うことなく、インサート成形を行ってもよい。またインサート成形において、樹脂部60を成形するとともに、加飾積層体35を変形させてもよい。
なお、本件明細書で用いるインサート成形とは、加飾積層体等の被接合物をキャビティ内に収容して行う射出成形を意味する。インサート成形によれば、射出樹脂と被接合物が一体化した製品を作製できる。このインサート成形において、被接合物を変形させてもよい。インモールド成形は、インサート成形から区別されず、本明細書のインサート成形に含まれる。
図示された加飾積層体35の真空成形では、図13に示すように、加飾積層体35を真空成形装置85のヒーター86により加熱して軟化させる。加飾積層体35は真空成形装置85の金型87の近傍に配置されている。次に、図14に示すように、その加飾積層体35を金型87に設けられた多数の微小の孔(図示省略)から真空吸引することにより、加飾積層体35を金型87の形状に合わせた形状に成形する。すなわち、加飾積層体35の形状は金型87に沿った形状となる。その後、加飾積層体35の温度を低下させ、加飾積層体35を成形後の形状で固化させる。次に、図15に示すように、加飾積層体35を金型87から取り出す。その後、図16に示すように、金型87から取り出された加飾積層体35から不要な部分を除去する。
次に、予備成形された加飾積層体35を用いて加飾部材30を製造する。まず、図17に示すように、射出成形装置90を準備する。射出成形装置90は、成形型91を有している。成形型91は、第1型91A及び第2型91Bを含んでいる。第1型91A及び第2型91Bは、図17に示すように互いから離れることができ、図18に示すように互いに接近できる。図18に示すように、第1型91A及び第2型91Bが互いに接触した閉型状態において、第1型91A及び第2型91Bの間にキャビティ92が形成される。成形型91は、キャビティ92に通じるゲート93を有している。ゲート93は、図示しない射出樹脂61の供給装置に接続している。ゲート93を通じてキャビティ92内に、射出樹脂61が供給される。第1型91A及び第2型91Bは、図示しないヒーターによって加熱され、高温に維持されている。
図18に示すように、成形型91内のキャビティ92に加飾積層体35を収容する。保護層70が第2型91Bに接触し、加飾シート40がキャビティ92内に露出するようにして、加飾積層体35はキャビティ92内に配置される。次に図19に示すように、射出樹脂61が、ゲート93を介して、キャビティ92内に射出される。射出樹脂61は、キャビティ92内で冷却され、加飾シート40に溶着して固化する。固化した射出樹脂61から、加飾積層体35の加飾シート40に接合した樹脂部60が得られる。
図示された例において、樹脂部60は、加飾層50側から加飾シート40に接合している。そして、図19に示された射出樹脂61の供給工程において、溶融した射出樹脂61は、加飾層50に形成された開口部53内にも流れ込む。結果として、樹脂部60は開口部53内に充填され、加飾シート40及び樹脂部60の密着性が向上する。
樹脂部60を構成する射出樹脂61として、好ましくは、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン共重合体)又はこれらの共重合体が用いられる。さらに好ましくは、ポリカーボネート樹脂又はポリメタクリル酸メチルが射出樹脂61として用いられる。ポリカーボネート樹脂又はポリメタクリル酸メチルは、開口部53を適切に埋める流動性を有している。一例として、温度300℃、荷重1.2kgfの条件で測定したメルトボリュームフローレイト(MVR:Melt Volume-Flow Rate)が5cm/10min以上、好ましくは10cm/10min以上、より好ましくは15cm/10min以上であり、40cm/10min以下、好ましくは30cm/min以下のポリカーボネート樹脂を、射出樹脂61として用いてもよい。温度230℃、荷重3.8kgfの条件で測定したメルトマスフローレート(MFR:Melt Mass-Flow Rate)が0.5g/10min以上、好ましくは1.0g/10min以上、より好ましくは1.5g/10min以上であり、25g/10min以下のポリメタクリル酸メチルを、射出樹脂61として用いてもよい。
その後、図20に示すように、第1型91A及び第2型91Bが互いから離間し、加飾積層体35及び樹脂部60が、キャビティ92から取り出される。次に、図21に示すように、加飾積層体35の保護層70が加飾シート40から剥がされる。以上により、加飾シート40及び加飾シート40に接合した樹脂部60を有する加飾シート40が得られる。
保護層70は、最終的に加飾シート40から剥がされる。したがって、保護層70には剥離性が要求される。しかしながら、保護層70は加飾積層体35の一部分として、インサート成形中にキャビティ92内に配置される。インサート成形時に射出樹脂61から受ける熱および圧力によって、保護層70は、著しく軟化して、さらに変形し得る。
本件発明者等の研究の結果、加熱をともなう成形加工を施された保護層70を、十分に温度低下される前に、加飾シート40から剥がすことによって、保護層70の分断、さらには部分的な破断が生じ得ることが知見された。保護層70が部分的に破断して加飾シート40に残留すると、残留部分において光が散乱される。例えば、表示装置20によって表示される画像が加飾シート40を介して観察される場合、画像が局所的に明るくなる輝点や、画像が局所色的に暗くなる欠点が生じる。また、画像が意図せず拡散されることにより、画像のシャープさが失われて画像が不明瞭となり得る。したがって、保護層70には、加熱成形加工時の状況を考慮した剥離性および耐熱性が求められる。
この点について、本件発明者等の検討結果によれば、保護層70の加飾シート40へ粘着する粘着部分73のガラス転移温度(℃)に下限を設けることが有効である。これにより、保護層70を剥離した際に、加飾シート40に保護層70が部分的に残留することを抑制できる。したがって、この加飾シート40を含む加飾部材30を用いた場合、表示画像が劣化してしまうことを抑制できる。
具体的には、粘着部分73のガラス転移温度を0℃以上に設定することが好ましく、40℃以上であることがより好ましい。このように粘着部分73のガラス転移温度に下限を設けることによって、保護層70に耐熱性を付与できる。これにより、インサート成形等の加熱をともなう加熱成形加工後に保護層70を加飾シート40から剥がした際に、加飾シート40への保護層70の残留を抑制できた。すなわち、射出成型後に保護層70の加飾シート40からの剥離を安定して実施できる。このような粘着部分73を構成する材料として、ポリプロピレン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂が例示される。インサート成形等の加熱をともなう加熱成形加工時における過酷な状況を考慮すると、粘着部分73のガラス転移温度は80℃以上であることが更に好ましい。
一具体例として、溶融温度が300℃を超えるポリカーボネート樹脂からなる射出樹脂61に対しては、ガラス転移温度が80℃以上90℃以下程度となるアクリル樹脂によって構成された粘着層72を含む保護層70が好適である。
図示された例のように、保護層70が加飾シート40の基材45に粘着する場合、保護層70の剥離性を確保する観点および、加飾シート40の耐熱性を確保する観点から、基材45のガラス転移温度の下限を設定することが好ましい。具体的には、基材45のガラス転移温度を40℃以上に設定することが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることが更に好ましい。また、後述するように、基材45上に遮光パターン層24を積層する場合は、インサート成形等の成形加工時の熱や圧力による変形を抑制する観点から、ガラス転移温度は120℃以上であることが好ましい。また、基材45のガラス転移温度は、粘着部分73のガラス転移温度より高いことが好ましい。これらの設定によれば、インサート成形等の加熱をともなう加熱成形加工時の熱に起因した保護層70と接合した基材45の軟化を抑制できる。これにより、保護層70と基材45との密着を抑制して、保護層70が部分的に加飾シート40上に残留することを抑制できる。
基材45の材料として、上述した材料のうち、ガラス転移温度が70℃以上110℃以下のABS、ガラス転移温度が80℃以上110℃以下のアクリル、ガラス転移温度が140℃以上160℃以下のポリカ―ボネート等が好ましい。特に、アクリル樹脂を含む基材45は、柔軟性がなく脆い性質を有するが、塩化ビニル等の柔軟性を有する保護層70との組合せにおいて加飾シートに好適である。
図12に示すように、加飾積層体35の製造時に、保護層70をラミネーターなどで、加飾シート40に加圧被着させる際に、常温、もしくは低温での加熱にて粘着部分73を加飾シート40に粘着させることを可能にするため、粘着部分73のガラス転移温度に上限を設定することが好ましい。粘着部分73のガラス転移温度は、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることが更に好ましい。
保護層70の本体部71のガラス転移温度は、加熱成形加工時における成形性を確保する観点から、250℃以下でもよく、210℃以下でもよく、170℃以下でもよい。また、本体部71のガラス転移温度は、加熱成形加工時に軟化し過ぎることを抑制する観点、ならびに加熱成形加工後の剥離性を確保する観点から、40℃以上でもよく、60℃以上でもよく、80℃以上でもよい。加熱成形加工時における安定性を確保する観点から、保護層70の本体部71のガラス転移温度は、保護層70の粘着部分73のガラス転移温度より大きくてもよい。粘着部分73のガラス転移温度よりも本体部71のガラス転移温度を高くすることにより、加熱により粘着部分73が軟化した際も、保護層70をシート状に保つことが可能になる。
加飾積層体35は、予備成形時やインサート成形などの加熱成型加工時に、優れた成形性を要求されることから、基材45は、加工時の温度で、軟化する必要があり、ガラス転移温度は、250℃以下であることが好ましく、210℃以下であることがより好ましく、170℃以下であることがさらに好ましい。
加飾積層体35は、予備成形時やインサート成形等の加熱成形加工時に、優れた成形性を要求される。この観点から、保護層70は、100℃雰囲気で実施される引張試験において、100%以上伸びることが好ましい。100℃雰囲気での引張試験において幅25mmのサンプルに100%の伸びが生じた際の引っ張り力を、高温100%引っ張り力と定義すると、保護層70の厚み100μmあたりの高温100%引っ張り力は、100N以下であることが好ましく、50N以下であることがより好ましく、30N以下であることが更に好ましい。保護層70の厚み100μmあたりの高温100%引っ張り力が大きいと、基材45が十分に軟化しても、保護層70が軟化しないため、加飾積層体35が十分な成形性が得られない恐れがある。一方、加飾積層体35は、加熱成形加工時に軟化し過ぎることを抑制する必要がある。この観点から、保護層70の厚み100μmあたりの高温100%引っ張り力は、0.5N以上であることが好ましく、1N以上であることがより好ましい。保護層70の厚み100μmあたりの高温100%引っ張り力の下限をこのように設定することによって、加熱成形加工時に保護層70が軟化し過ぎることを抑制し、加飾積層体35に安定性を付与できるとともに、加熱成形加工後に保護層70を剥離することが容易になる。
保護層70の高温100%引っ張り力に関する上記条件を満たす材料として、塩化ビニル、アクリル、ポリプロピレンが上げられ、特に塩化ビニルが保護層70の材料として適している。塩化ビニルは自己粘着性を有していないので、保護層70の本体部71として用いることができる。ポリカーボネートからなる射出樹脂61に対し、塩化ビニルからなる本体部71と、アクリル樹脂からなる粘着層72と、を有した保護層70が好適である。
高温100%引っ張り力に関連して用いられる伸び(%)は、サンプルの伸びを生じさせる部分の引っ張り力を加える方向に沿った元の長さに対する、引っ張り力を加えられた方向にサンプルが伸びた長さの割合である。したがって、100%の伸びが生じると、サンプルの計測対象となる幅25mmの部分の長さは、引っ張り力を加える前と比較して引っ張り力を加えた後に、2倍となる。厚み100μmあたりの引っ張り力とは、実際にサンプルに加えられた引っ張り力を、サンプルの元の厚みを100μmにあたりに換算した値のことである。サンプルに加えた引っ張り力がF(N)であり、引っ張り力を加えられたサンプルの元の厚みがt(μm)である場合、厚み100μmあたりの引っ張り力(N)は、「F/(t/100)」となる。
厚み100μmあたりの高温100%引っ張り力は、加熱された温度雰囲気での変形のしやすさの指標となる。したがって、厚み100μmあたりの高温100%引っ張り力によって、射出成形や予備成形等の加熱成形加工時における変形し易さを評価できる。厚み100μmあたりの高温100%引っ張り力が低いほど、変形し易い。厚み100μmあたりの高温100%引っ張り力に上限を設定することによって、成形性を付与できる。厚み100μmあたりの高温100%引っ張り力に下限を設定することによって、高温時における安定性を付与できる。
高温100%引っ張り力は、移動型の恒温槽付きのテンシロン万能材料試験機(RTF-1350:株式会社エー・アンド・デイ社製)を用いて測定された値とする。幅25mm、長さ約150mmのサンプルを、チャック間距離100mmで保持する。チャックに保持されたサンプルが恒温槽内に位置するよう、恒温槽を配置する。恒温槽の内部温度は100℃に維持する。恒温槽内でサンプルを60秒間加熱した後、一対のチャックの相対移動を開始する。具体的には、第1のチャックを静止させ、第2のチャックを1000mm/minの移動速度で移動させる。一対のチャックを相対移動させている間、チャックに保持されたサンプルは恒温槽で加熱され続ける。サンプルの伸び(%)が100mmになった際の、引っ張り力の値を、高温100%引っ張り力(N)とする。
保護層70の第3方向D3に沿った厚みは、20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることが更に好ましい。保護層70の第3方向D3に沿った厚みは、200μm以下であることが好ましく、120μm以下であることがより好ましく、80μm以下であることが更に好ましい。保護層70の厚みを一定以上に確保することによって、保護層70によって加飾シート40をキズの発生などから十分に保護できるともに、インサート成形時や予備成形等の加熱成形加工時に基材45の破断を抑制することができる。また、保護層70の厚みを一定以下に制限することによって、インサート成形時や予備成形等の加熱成形加工時に保護層70が加飾シート40の変形を阻害することを抑制できる。また保護層70の厚みに上限を設けることによって、加飾積層体35の製造時等における搬送等の取り扱い性を向上できる。
図示された例において、意匠層55は、加飾層50の第3方向D3における最外方に位置する。すなわち、加飾シート40の加飾層50が樹脂部60に隣接している。インサート成形時、加飾層50は、キャビティ92に射出される溶融した射出樹脂61の熱圧を受ける。特に開口部53が形成された加飾層50では、射出樹脂61の熱及び圧力によって、加飾部51Aが開口部53内にずれ込むといった現象が生じ得る。この現象を「柄流れ」と呼ぶ。柄流れを抑制し得る耐熱性が、加飾層50の最外部分52に要求される。この観点から、加飾層50の最外部分52のガラス転移温度は70℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。加飾層50の最外部分52のガラス転移温度をこのように設定することによって、柄流れを抑制できる。これにより、インサート成形によって得られた加飾部材30が期待された意匠を表現できる。
加飾層50の最外部分52は樹脂部60との密着性も要求される。加飾シート40との密着性確保の観点から、加飾層50の最外部分52のガラス転移温度は150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。
なお、加飾層50に対して用いられる「最外部分」とは、第3方向D3において基材45から最も離れた位置にある部分のことをいう。
以上に説明してきた一実施の形態において、加飾積層体35は、意匠を表示する加飾シート40と、加飾シート40に積層された保護層70と、を有している。保護層70は、インサート成形等の加熱成形加工後に加飾シート40から剥離可能である。保護層70を剥離した後における加飾シート40は、3%以上50%以下の可視光透過率を有している。加飾シート40は、表示装置20からの画像光を透過して表示装置20によって表示される画像を透過観察可能にする。また、上述の一実施の形態において、加飾部材30の製造方法は、加飾積層体35を加熱して成形加工する工程と、保護層70を加飾シート40から剥がす工程と、を含む。加飾部材30の製造方法は、加飾積層体35を成形型91のキャビティ92内に配置する工程と、加飾積層体35を収容したキャビティ92内に加熱した熱可塑性樹脂61を供給して、加飾シート40と加飾シート40に接合した樹脂部60とを有する加飾部材30を作製する工程と、保護層70を加飾シート40から剥がす工程と、を含んでもよい。この一実施の形態によれば、加飾シート40は、加熱成形加工時に保護層70によって保護される。例えば、保護層70は、インサート成形時の熱や圧力に起因した破断等の損傷から加飾シート40を保護できる。また、保護層70は、加飾シート40の予備成形時等にも、熱や引っ張り力等から加飾シート40を保護できる。一方、保護層70の加飾シート40へ粘着する粘着部分73のガラス転移温度は0℃以上である。これにより、保護層70を加飾シート40から剥がす際に、粘着部分73が部分的に加飾シート40に残留することを抑制できる。結果として、加飾シート40上に残留した粘着部分73による光拡散が抑制され、表示装置20からの画像光を透過して表示装置20によって表示される画像を優れた画質で明瞭に透過観察できる。
上述の一実施の形態の具体例において、加飾シート40は、意匠を表示する加飾層50と、加飾層50と積層された基材45と、を有する。加飾層50に開口部53が設けられている。この具体例の加飾シート40は、加飾層50に開口部53が形成されていることから、インサート成形時の熱や圧力によって損傷しやすい。本実施の形態は、このような加飾シート40に好適である。
具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述の具体例が一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施でき、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等を行うことができる。
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用い、重複する説明を省略する。
上述した具体例において、加飾部材30が加飾シート40及び樹脂部60を有している。図22に示すように、加飾部材30が、加飾シート40及び樹脂部60に加えて更なる層を有してもよい。図22に示された例によれば、加飾部材30は、加飾シート40及び樹脂部60と積層された機能層65を更に有している。機能層65は、種々の機能を期待されて設けられる層である。種々の機能としては、ハードコート機能、反射防止機能、防眩機能、帯電防止機能、防汚機能等が例示される。図示された例において、機能層65は加飾システム10の最表面層として機能する。この機能層65は、対擦傷性等を有したハードコート層としてもよい。ハードコート層としての機能層65は、一例として、転写によって形成され得る。
上述した具体例において、加飾部材30の加飾シート40が、第3方向D3において、樹脂部60と表示装置20との間に位置している。すなわち、第3方向D3において、加飾シート40が表示装置20側を向き、樹脂部60が観察者側を向いている。図23に示すように、加飾部材30が第3方向D3において逆向きに配置されてもよい。すなわち、加飾部材30の樹脂部60が、第3方向D3において、加飾シート40と表示装置20との間に位置してもよい。第3方向D3において、樹脂部60が表示装置20側を向き、加飾シート40が観察者側を向いてもよい。図23に示された加飾シート40では、意匠層55及び遮光層58が、この順番で基材45に積層されている。遮光層58は、第3方向D3において意匠層55を表示装置20側から覆っている。観察者は、基材45越しに加飾層50の意匠を観察する。
上述した具体例において、保護層70が、加飾層50から離間して基材45に粘着している。すなわち、第3方向D3において、基材45が、加飾層50と保護層70との間に位置している。この例に限られず、保護層70が、加飾層50側から加飾シート40に粘着してもよい。この例において、樹脂部60は、加飾層50から離間して、基材45に接合する。この例においても、表示装置20は、第3方向D3において、加飾部材30のいずれの側に配置されてもよい。
上述した例において、加飾シート40の加飾層50は、意匠層55及び遮光層58を有している。図24に示すように、加飾層50が、意匠層55及び遮光層58に加えて更なる層を有してもよい。図24に示された例において、加飾層50の最外部分52として、透明保護層59が設けられている。この例では、遮光層58、意匠層55及び透明保護層59が、基材45上に、この順番で配置されている。透明保護層59は、インサート成形時に意匠層55を保護する。透明保護層59を構成する樹脂材料のガラス転移温度は、意匠層55を構成するガラス転移温度よりも大きいことが好ましい。透明保護層59の材料として、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体等が例示される。
上述した例において、加飾シート40は基材45と加飾層50とを有している。図25に示すように、加飾シート40が、基材45と加飾層50との間に配置された透明なヒートシール層48を更に有してもよい。ヒートシール層48は、開口部53に対面する位置にも設けられており、樹脂部60と接合している。ヒートシール層48は、加飾シート40と樹脂部60との密着性を改善する。ヒートシール層48を設けて樹脂部60との密着性を確保することにより、基材45のガラス転移温度を大きく設定することできる。基材45のガラス転移温度を大きく設定することにより、保護層70の基材45への残留を更に抑制できる。
図26~図28に示すように、保護層70一方の面または両方の面が凹凸面であってもよい。保護層70は、加飾シート40に粘着する第1面70aと、第3方向D3において第1面70aと対向する第2面70bと、を有している。図26に示された例において、保護層70の第2面70bが凹凸面となっている。この例によれば、インサート成形時に凹凸面としての第2面70bが成形型91に接触し得る。第2面70bは、インサート成形後の加飾積層体35の離型を促進できる。これにより、離型時に加飾シート40が損傷してしまうといった不具合を抑制できる。
図27に示すように、保護層70の第1面70aが凹凸面であってもよい。この例によれば、保護層70を加飾シート40と積層して加飾積層体35を作製する際に、第1面70aの凹凸を加飾シート40に転写することができる。また、インサート成形時にも、第1面70aの凹凸を加飾シート40に転写することができる。インサート成形後に、保護層70を加飾シート40剥離することによって、図28に示すように、加飾部材30は、最表面に凹凸面を有することになる。加飾シート40に転写された凹凸面は、表示装置20からの画像光を拡散させることができる。したがって、表示装置20の画素配列と、加飾層50の周期構造との干渉に起因したモアレを抑制できる。加飾層50の周期構造としては、絵柄の配列に加え、加飾層50での網点の配列、加飾層50の開口部53の配列等を例示できる。
上述した具体例において、加飾システム10が表示装置20を有している。表示装置20は、一例として、遮光パターン層(遮光パネル)24及び面光源装置23を有していた。表示装置20は、面光源装置23に代えて、遮光パターン層24の透過領域24a及びその周囲に光を投射する光源25でもよい。この光源は、面光源装置でもよいし、発光ダイオード等の発光体でもよい。
図29に示すように、加飾部材30が遮光パターン層24を含んでもよい。加飾積層体35が遮光パターン層24を含んでもよい。加飾シート40が遮光パターン層24を含んでもよい。これらの例において、図29に示すように、加飾システム10は、加飾部材30と、加飾部材30に対面する光源25と、を含んでもよい。図29に示された例において、遮光パターン層24は、基材45上に設けられている。図29に示された例において、遮光パターン層24は、第3方向D3において、光源25と基材45との間に位置している。図29に示された加飾システム10によっても、加飾部材30は、画像を形成する画像光を透過して、画像の透過観察を可能にする。
図29に示された加飾部材30は、図30に示された加飾積層体35を用いて製造されてもよい。図30に示された例において、遮光パターン層24は、基材45上に設けられている。例えば、顔料等の色素を含んだ樹脂組成物をフィルム材45A又は基材45上に塗布して塗膜を作製し、塗膜を乾燥又は硬化させることによって、遮光パターン層24の遮光領域24bを形成できる。図30に示された例において、遮光パターン層24は、第3方向D3において、基材45と保護層70との間に位置している。
図29に示された例において、遮光パターン層24を基材45によって安定して積層する観点から、基材45のガラス転移温度が高いことが好ましい。基材45のガラス転移温度は120℃以上でもよい。基材45の材料は、ポリカーボネートでもよい。これらの例によれば、射出成形等の成形加工時における熱や圧力による遮光パターン層24の変形を抑制できる。
また、図31に示すように、加飾部材30が、加飾層50と積層された樹脂層66を有してもよい。樹脂層66は、加飾層50を覆っている。樹脂層66は、加飾層50の開口部53内にも充填されている。樹脂層66は、透明な熱可塑性樹脂によって構成されていてもよい。樹脂層66は、保護層70と同様に、熱可塑性フィルムを基材45又はフィルム材45Aに加熱して加圧することにより、すなわち熱ラミネーションすることにより、基材45又はフィルム材45Aに積層されてもよい。樹脂層66は、基材45又はフィルム材45Aに保護層70を積層する前に又は後に、基材45又はフィルム材45Aに積層されてもよい。
なお、以上において上述した具体例に対するいくつかの変形例を説明してきたが、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下、実施例を用いて上述した一実施の形態示をより詳細に説明するが、上述した一実施の形態は以下の実施例に限定されない。
サンプルA~Iに係る加飾部材を作製した。製造されたサンプルA~Iは、図1及び図4に示された構成を有していた。サンプルA~Iの製造方法として、図8、図10~図21を参照して説明した方法を採用した。すなわち、サンプルA~Iに係る加飾部材は、まず加飾積層体を作製し、次に加飾積層体を真空成形により予備成形し、その後予備成形した加飾積層体を用いてインサート成形を行い、次に加飾シートから保護層を剥がすことにより、製造された。
加飾積層体は、まず加飾シートを作製し、次に加飾シートに保護層を熱ラミネーションすることによって、作製した。図10及び図11を参照して説明した方法によって、図8に示された加飾積層体を作製した。加飾積層体に含まれた加飾シートの基材は、アクリルからなる厚み125μmとした。サンプルA~Iの間で、共通する基材を用いた。サンプルA~Iの間で、共通する加飾層を作製した。加飾層の厚みは約5μmとした。
その後、図12に示すように、加飾シートに保護層を熱ラミネーションすることによって、加飾積層体を作製した。サンプルA~Iの間で、保護層の材料や厚みを変更した。サンプルA~Iに用いた保護層の材料や厚み(μm)を表1~3に示す。表1~3に示すように、サンプルF、サンプルHおよびサンプルIにおいて、保護層は、本体部と粘着部分とに区分けされていなかった。その他のサンプルにおいて、保護層は、加飾シートに粘着した粘着部分と、粘着部分と隣接する本体部と、を有していた。表1~3における「PET」はポリエチレンテレフタレートである。各サンプルで用いた保護層のガラス転移温度(℃)、保護層の合計厚み(μm)、保護層の厚み100μmあたりの高温100%引っ張り力(N)を、表1~3に示す。
次に、図13~図15を参照して説明した製造方法にて、加飾積層体を真空成形により予備成形した。真空成形では、図1に示すように、加飾積層体の両端部分を折り曲げた形状に真空成形した。サンプル1~16の間で、真空成形後の形状は同様とした。その後、図16を参照して説明したように、加飾積層体から不要箇所を削除した。
次に、図17~図20を参照して説明した製造方法にて、加飾積層体を用いたインサート成形を実施した。最後に、図21を参照して説明したように、加飾シートから保護層を剥がして加飾部材を得た。
<評価1>
サンプルA~Iの各々について、成形性を評価した。サンプルA~Iに係る加飾部材を作製するにあたり、加熱量や加圧量等の加工条件をサンプル毎に調整して熱ラミネーション、真空成形およびインサート成形といった加熱成形加工を実施した。この加熱成形加工時における、加工のしやすさ、加工の安定性、適用可能な加工条件の選択範囲の広さは、サンプルA~Iの間で異なった。表1~3の評価1の欄に記載された「A」の文字数は、加工のしやすさ、加工の安定性、適用可能な加工条件の選択範囲の広さの程度を示している。加工がしやすかったサンプル、加工を安定して実施できたサンプル、適用可能な加工条件の選択範囲が広かったサンプルについて、「A」の数がより多くなっている。
<評価2>
サンプルA~Iの各々について、保護層を加飾シートから剥がす際の剥離性を評価した。サンプルA~Iに係る加飾部材を作製するにあたり、剥離速度等の加工条件をサンプル毎に調整して保護層を加飾シートから剥がした。保護層の剥離時における、加工のしやすさ、加工の安定性、適用可能な加工条件の選択範囲の広さは、サンプルA~Gの間で異なった。表1~3の評価2の欄に記載された「A」の文字数は、加工のしやすさ、加工の安定性、適用可能な加工条件の選択範囲の広さの程度を示している。加工がしやすかったサンプル、加工を安定して実施できたサンプル、適用可能な加工条件の選択範囲が広かったサンプルについて、「A」の数がより多くなっている。評価2の欄に「B」を記入したサンプルH及びサンプルIについては、剥離時に保護層が破断する等、保護層の剥離を安定して実施することができなかった。
<評価3>
サンプルA~Iの各々について、保護層を剥がした後における加飾シートへの保護層の残留について評価した。評価結果を表1~表3の「評価3」の欄に記載した。評価3の欄に「B」が記入されたサンプルH及びサンプルIについては、加飾シートの基材に保護層のカスが残留していた。加飾部材を表示装置に重ねてなる加飾システムを作製し、表示装置を全面白表示したところ、加飾部材の表面に保護層の残留物に起因した輝点および欠点が多数確認された。
サンプルA~Gの各々に係る加飾部材についても加飾システムを作製し、表示装置が全面白表示した状態で加飾部材の表面を確認した。サンプルA~Gについて、加飾部材の表面には、実際の使用において問題となる程度の輝点や欠点は観察されなかった。次に、サンプルA~Gについて、加飾シートの基材上に残留した保護層の残留量について評価した。評価結果を、表1~3の「評価3」の欄に示した。残留量が少なかったサンプルについて、「A」の数がより多くなっている。
Figure 2023137146000002
Figure 2023137146000003
Figure 2023137146000004
更に、サンプルA2、A3、Z1、Z2,Z3に係る加飾部材を作製した。
サンプルA2は、厚み400μmのABS製の基材を用いた点のみにおいてサンプルAと異なり、その他においてサンプルAと同一の材料を用いて同一の方法にて作製した。サンプルA3は、厚み250μmのポリカーボネート製の基材を用いた点のみにおいてサンプルA1と異なり、その他においてサンプルA1と同一の材料を用いて同一の方法にて作製した。サンプルA2及びサンプルA3については、上述の評価1、評価2及び評価3について、サンプルAと同等の結果が得られた。
サンプルZ1は、保護層を設けなかった点のみにおいてサンプルAと異なり、その他においてサンプルAと同一の材料を用いて同一の方法にて作製した。サンプルZ2は、保護層を設けなかった点のみにおいてサンプルA2と異なり、その他においてサンプルA2と同一の材料を用いて同一の方法にて作製した。サンプルZ3は、保護層を設けなかった点のみにおいてサンプルA3と異なり、その他においてサンプルA3と同一の材料を用いて同一の方法にて作製した。
サンプルZ1は、加飾積層体を真空成形装置にて真空吸引した際に、局所的な応力により破断した。サンプルZ2及びサンプルZ3について、加飾積層体を真空成形装置に取り付ける際、加飾積層体が装置と擦れることによって、加飾シートに傷が発生し、外観不良となった。
サンプルA、サンプルA2及びサンプルA3については、破断や傷の発生等の不具合を生じることなく、加飾積層体を真空成形できた。
10:加飾システム、20:表示装置、21:表示面、22:表示パネル、23:面光源装置、24:遮光パターン層(遮光パネル)、24a:透過領域、24b:遮光領域、30:加飾部材、35:加飾積層体、38:中間積層体、40:加飾シート、45:基材、45A:フィルム材、48:ヒートシール層、50:加飾層、50A:ベース加飾層、51A:加飾部、51B:透過部、52:最外部分、53:開口部、55:意匠層、55A:ベース意匠層、58:遮光層、58A:ベース遮光層、59:透明保護層、60:樹脂部、61:射出樹脂、65:機能層、70:保護層、70a:第1面、70b:第2面、71:本体部、72:粘着層、73:粘着部分、80:レーザー照射装置、81:第1ロール、82:第2ロール、85:真空成形装置、86:ヒーター、87:金型、90:射出成形装置、91:成形型、91A:第1型、91B:第2型、92:キャビティ、93:ゲート、D1:第1方向、D2:第2方向、D3:第3方向

Claims (19)

  1. 意匠を表示する加飾シートと、
    前記加飾シートに剥離可能に粘着した保護層と、を備え、
    前記保護層を剥離した後における前記加飾シートは、5%以上50%以下の可視光透過率を有し、
    前記保護層の前記加飾シートへ粘着する部分のガラス転移温度は150℃以下である、加飾積層体。
  2. 前記保護層は、前記加飾シートへ粘着する部分と、前記加飾シートへ粘着する部分と積層された本体部と、を有し、
    前記本体部のガラス転移温度は40℃以上250℃以下である、請求項1に記載の加飾積層体。
  3. 前記加飾シートは、前記意匠を表示する加飾層と、前記加飾層と積層された基材と、を有し、
    前記加飾シート及び前記保護層が積層された積層方向において前記基材は前記加飾層および前記保護層の間に位置し、
    前記基材のガラス転移温度は40℃以上250℃以下である、請求項1又は2に記載の加飾積層体。
  4. 100℃雰囲気での引張試験において幅25mmの前記保護層に100%の伸びが生じた際の引っ張り力は、当該保護層の厚み100μmあたり0.5N以上100N以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の加飾積層体。
  5. 前記保護層の厚みは20μm以上200μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の加飾積層体。
  6. 前記加飾シートは、前記意匠を表示する加飾層と、前記加飾層と積層された基材と、を有し、
    前記加飾シート及び前記保護層が積層された積層方向において前記基材は前記加飾層および前記保護層の間に位置し、
    前記加飾層の最外部分を構成する材料のガラス転移温度は70℃以上150℃以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の加飾積層体。
  7. 前記加飾シートは、前記意匠を表示する加飾層と、前記加飾層と積層された基材と、を有し、
    前記加飾層に開口部が設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載の加飾積層体。
  8. 前記加飾層は、前記意匠を表示する意匠層と、前記加飾シート及び前記保護層が積層された積層方向において前記意匠層と前記基材との間に位置する遮光層と、を含み、
    前記基材の波長1060nm以上1090nm以下の光線透過率は70%以上である、請求項7に記載の加飾積層体。
  9. 前記保護層は、前記加飾シートに粘着する第1面と、前記加飾シート及び前記保護層が積層された積層方向において前記第1面と対向する第2面と、を有し、
    前記第1面は凹凸面である、請求項1~8のいずれか一項に記載の加飾積層体。
  10. 前記保護層は、前記加飾シートに粘着する第1面と、前記加飾シート及び前記保護層が積層された積層方向において前記第1面と対向する第2面と、を有し、
    前記第2面は凹凸面である、請求項1~9のいずれか一項に記載の加飾積層体。
  11. 前記加飾シートは、前記意匠を表示する加飾層と、前記加飾層と積層された基材と、を有し、
    前記保護層は前記基材に粘着し、
    前記基材の厚みは前記保護層の厚みよりも薄い、請求項1~10のいずれか一項に記載の加飾積層体。
  12. 意匠を表示する加飾層と、前記加飾層と積層された基材と、を有する加飾シートと、
    熱可塑性樹脂によって構成され前記加飾シートに接合した樹脂部と、を備え、
    前記加飾層および前記基材が積層された積層方向において、前記加飾層は、前記基材と前記樹脂部との間に位置し、
    前記基材の厚みは25μm以上600μm以下である、加飾部材。
  13. 請求項12に記載された前記加飾部材と、
    前記加飾部材に重ねて配置された光源又は表示装置と、を備える、加飾システム。
  14. 請求項1~11のいずれか一項に記載された加飾積層体を型のキャビティ内に配置する工程と、
    前記加飾積層体を収容したキャビティ内に加熱した熱可塑性樹脂を供給して、前記加飾シートと前記加飾シートに接合した樹脂部とを有する加飾部材を作製する工程と、
    前記保護層を前記加飾シートから剥がす工程と、を備える、加飾部材の製造方法。
  15. 前記加飾積層体を予備成形して変形させる工程を更に備え、
    予備成形された前記加飾積層体が前記キャビティ内に収容される、請求項14に記載の加飾部材の製造方法。
  16. 前記加飾シートに熱可塑性樹脂フィルムを粘着させて前記加飾積層体を作製する工程を更に備える、請求項14又は15に記載の加飾部材の製造方法。
  17. 前記加飾シートを作製する工程を更に備え、
    前記加飾シートを作製する工程は、意匠を付与されたベース加飾層を基材上に形成する工程と、レーザー光を前記ベース加飾層に照射することによって、前記ベース加飾層を部分的に除去して開口部を形成する工程と、を有する、請求項14~16のいずれか一項に記載の加飾部材の製造方法。
  18. 前記ベース加飾層を形成する工程は、基材上に可視光遮光性を有したベース遮光層を形成する工程と、前記ベース遮光層上に前記意匠を付与されたベース意匠層を形成する工程と、を含み、
    前記開口部を形成する工程では、前記基材を透過したレーザー光が前記ベース遮光層に入射する、請求項17に記載の加飾部材の製造方法。
  19. 前記基材のレーザー光の透過率は70%以上である、請求項18に記載の加飾部材の製造方法。
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