JP2023136727A - 積層フィルム、包装体、積層フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れた積層フィルムを提供する。【解決手段】基材フィルムの表裏一側に、厚み0.2μm以上5μm以下である中間樹脂層(A)と、無機層(B)とを順次積層してなる構成を備えた積層フィルムであって、前記基材フィルムが、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含み、JIS K7197(2012)に準じて測定される、少なくとも一方向の100~120℃の平均線膨張率が-2×10-4/℃以上2×10-4/℃以下のフィルムである、積層フィルムである。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂フィルムを基材フィルムとして備えた積層フィルム、包装体および積層フィルムの製造方法に関する。
食料品、医薬品、工業部品等を包装する包装体用のフィルムとして、収容物の腐食腐敗を防ぎ、長期保管を可能とする積層フィルムが普及している。そのため、この種の積層フィルムには、水蒸気バリア性や酸素バリア性が要求される。
従来から、プラスチックフィルムを基材とし、無機酸化物蒸着層などの無機物を主材とする層(「無機層」と称する)を、前記基材の表面に形成してなる構成を備えたガスバリア性積層フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装材料として、例えば、食品や工業用品及び医薬品等の変質防止用包装などの分野で広く利用されている。
このようなガスバリア性積層フィルムは、包装用途以外にも、近年、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、EL用基板、カラーフィルターなど、新しい用途へも利用され始めている。
特許文献1には、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面上に、透明プライマー層と、酸化アルミニウムまたは酸化珪素からなる無機薄膜層と、ガスバリア性被覆層とを順次積層してなる構成のものが開示されている。
特許文献2には、ポリプロピレン系フィルムの表面に少なくとも一方の面を、アンカーコート層と、珪素酸化物などの無機層と、シランカップリング剤およびバリア性樹脂を含むコーティング層とで順次被覆してなる構成のものが開示されている。
特開2006-247847号公報 特開2002-309022号公報
本発明の目的は、酸素バリア性及び水蒸気バリア性(本発明では、両者をまとめて「ガスバリア性」とも称する)に優れた積層フィルムを提供することにある。
本発明は、基材フィルムの表裏一側に、所定の厚みを有する中間樹脂層(A)と、無機層(B)とを順次積層してなる構成を備えた積層フィルムにおいて、当該基材フィルムとして、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含み、所定の平均線膨張率を有するフィルムから構成することで、上記課題を解決することができた。
すなわち、本発明は、次の構成を有する態様の積層フィルムを提案する。
[1] 本発明の第1の態様は、基材フィルムの表裏一側に、厚み0.2μm以上5μm以下である中間樹脂層(A)と、無機層(B)とを順次積層してなる構成を備えた積層フィルムであって、前記基材フィルムが、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含み、JIS K7197(2012)に準じて測定される、少なくとも一方向の100~120℃の平均線膨張率が-2×10-4/℃以上2×10 -4/℃以下のフィルムである、積層フィルムである。
[2] 本発明の第2の態様は、前記第1の態様において、前記基材フィルムがポリプロピレン系樹脂を主成分樹脂として含むフィルムである、積層フィルムである。
[3] 本発明の第3の態様は、前記第1又は第2の態様において、前記中間樹脂層(A)が、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂を主成分樹脂として含む、積層フィルムである。
[4] 本発明の第4の態様は、前記第3の態様において、前記中間樹脂層(A)が、さらにイソシアネート系化合物を含む、積層フィルムである。
[5] 本発明の第5の態様は、前記第1~4のいずれか1つの態様において、前記中間樹脂層(A)の厚みをa、前記基材フィルムの厚みをbとしたときに、厚み比a/b(中間/基材)が0.005以上0.2以下である、積層フィルムである。
[6] 本発明の第6の態様は、前記第1~5のいずれか1つの態様において、前記無機層(B)が、酸化珪素、窒化珪素および酸化アルミニウムからなる群から選ばれる1種以上の無機材料を主材として含む、積層フィルムである。
[7] 本発明の第7の態様は、前記第1~6のいずれか1つの態様において、前記無機層(B)の厚みが5nm以上200nm以下である、積層フィルムである。
[8] 本発明の第8の態様は、前記第1~7のいずれか1つの態様において、JIS K7129-5(2016)に準じて測定した温度40℃相対湿度90%における、水蒸気透過率が1.0g/m/day以下である、積層フィルムである。
[9] 本発明の第9の態様は、前記第1~8のいずれか1つの態様において、JIS K7126-2(2006)に準じて測定した25℃相対湿度80%の条件下で酸素透過率が2.0cc/m/day/atm以下である、積層フィルムである。
[10] 本発明の第10の態様は、前記第1~9のいずれか1つの態様における積層フィルムを用いてなる包装体である。
[11] 本発明の第11の態様は、JIS K7197(2012)に準じて測定した100~120℃の平均線膨張率が、少なくとも一方向が-2×10-4/℃以上2×10-4/℃以下であるポリオレフィン系樹脂を含む基材フィルムの少なくとも表裏一側に、0.2μm以上5μm以下である中間樹脂層(A)及び無機層(B)を順次積層する工程を有する積層フィルムの製造方法である。
本発明が提案する積層フィルムは、酸素バリア性及び水蒸気バリア性に優れており、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装材料として好適である。よって、例えば食品や工業用品及び医薬品等の包装材料として好適に利用することができる。また、包装用途以外にも、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、EL用基板、カラーフィルターなど、各種部材に好適に利用することができる。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<<積層フィルム>>
本発明の実施形態の一例に係る積層フィルム(以下、「本発明の積層フィルム」とも称する)は、基材フィルム(「本基材フィルム」とも称する)の少なくとも表裏一側に、中間樹脂層(A)及び無機層(B)が順次積層してなる構成を備えたものである。
<本基材フィルム>
本基材フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含むフィルムである。
ここで、該「主成分樹脂」とは、本基材フィルムに含まれる樹脂成分のうち最も多い質量を占める樹脂を意味し、本基材フィルムに含まれる樹脂成分の合計質量を100質量%としたとき、該主成分樹脂が占める質量割合が50質量%以上である場合、60質量%以上である場合、70質量%以上である場合、80質量%以上である場合、90質量%以上である場合、100質量%である場合を想定することができる。
前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えばエチレンや、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン又は1-デセン等のα-オレフィンが重合した単独重合体又は共重合体を挙げることができる。前記単独重合体又は共重合体を2種以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、フィルムへの成形性の観点から、ポリプロピレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂であるのが好ましい。その中でも、フィルムにした際の耐熱性の観点から、ポリプロピレン系樹脂を用いることがさらに好ましい。
前記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンのホモポリマー、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーを挙げることができる。中でも、本基材フィルムに耐熱性が求められる場合、プロピレンのホモポリマーであることが好ましい。本基材フィルムの主成分樹脂が、プロピレンのホモポリマーであれば、本発明の積層フィルムをボイル処理やレトルト処理等の加熱殺菌処理に耐え得るものとすることができる。
前記ポリプロピレン系樹脂は、必要に応じて帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑り剤等の添加剤を含んでもよい。
また、本基材フィルムは、ポリプロピレン系樹脂と、ポリプロピレン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂(「その他のポリオレフィン系樹脂」とも称する)とを組み合わせて含んでもよい。
当該「その他のポリオレフィン系樹脂」としては、例えばエチレン、1-ブテン、4-メチル-1ペンテン及びヘキセン等のオレフィンモノマー同士の重合体、並びに前記オレフィンモノマーとその他のモノマーとの共重合体等を挙げることができる。具体的には、ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-4-メチル-1ペンテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メチル(メタ)アクリレート共重合体及びアイオノマー樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、フィルムへの成形性の観点から、ポリエチレンが好ましい。
なお、本発明の積層フィルム及びこれを用いた包装材のモノマテリアルを高度に実現する観点から、本基材フィルム(100質量%)における前記ポリプロピレン系樹脂の質量比率は、60質量%以上であるのが好ましく、中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上であるのがさらに好ましい。
本基材フィルムにおける「その他のポリオレフィン系樹脂」の含有量は、特に限定されるものではない。本発明の積層フィルム及びこれを用いた包装材のモノマテリアルを高度に実現する観点からは、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
(他の樹脂)
本基材フィルムは、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂成分として、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの「他の樹脂」を含んでもよい。
但し、機械特性、耐熱性の点、並びに本発明の積層フィルム及びこれを用いた包装材のモノマテリアルを高度に実現する観点から、「他の樹脂」の含有量は、本基材フィルムの全樹脂成分に対して40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましく、5質量%以下であることがよりさらに好ましく、本基材フィルムの全樹脂成分がポリオレフィン系樹脂であることが最も好ましい。
(粒子)
本基材フィルムは、フィルム表面を粗面化して易滑性を付与する目的および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を含有してもよい。
当該粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではない。例えば、シリカ炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、これらのうちの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記粒子の形状は、特に限定されるわけではない。例えば球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれであってもよい。
また、上記粒子の硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
上記粒子の平均粒径は、5μm以下であるのが好ましく、中でも0.01μm以上或いは3.0μm以下、その中でも0.5μm以上或いは2.5μm以下であるのがさらに好ましい。当該粒子の平均粒径が5μm以下であれば、本基材フィルムの表面粗度が粗くなり過ぎることがないから、その点で本基材フィルムの表面に中間樹脂層(A)乃至無機層(B)を形成する際の不具合が減らすことができる。
粒子含有量は、本基材フィルムの質量100質量%に対して、5質量%以下であるのが好ましく、中でも0.0003質量%以上或いは3質量%以下、その中でも0.01質量%以上或いは2質量%以下であるのがさらに好ましい。粒子含有量を前記範囲とすることで、フィルムの滑り性と透明性との両立が可能となるので好ましい。
(その他の成分)
本基材フィルムは、必要に応じて、従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料、紫外線吸収剤などを含有することもできる。
(延伸)
本基材フィルムを構成するフィルムは、延伸フィルムであってよく、非延伸フィルムであってよい。耐衝撃性、耐熱性、耐水性、寸法安定性等の観点からすると、本基材フィルムを構成するフィルムは延伸フィルム、特に二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
延伸方法としては特に限定されず、インフレーションによる延伸、一軸延伸又は二軸延伸など、寸法が安定したフィルムが供給可能であれば、どのような方法でもよい。
(基材フィルムの構成)
本基材フィルムは、上記ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含む層乃至フィルムのみからなる単層フィルムであっても、それ以外の一層以上の層を含む多層フィルムであってもよい。
但し、前記ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含む層乃至フィルムが、主たる層であるのが好ましい。
ここで、「主たる層」とは、本基材フィルムを構成する層の中でも最も層厚の大きな層を意味する。
また、本基材フィルムが多層である場合、共押出やドライラミネート等の一般的な成形方法により多層フィルムとすることができる。
(表面処理)
本基材フィルムを構成するフィルムは、その表面、例えば積層面に、バリア性能を損なわない範囲で、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの各種前処理を施すことも可能である。
(基材フィルムの厚み)
本基材フィルムの厚みは、用途に応じて適宜選定できる。加工適正などの観点からロール状にフィルムを巻き取ることが好ましく、例えば、5μm以上300μm以下であるのが好ましく、中でも7μm以上或いは100μm以下であるのがより好ましい。
(基材フィルムの平均線膨張率)
本基材フィルムは、JIS K7197(2012)に準じて測定した少なくとも一方向の100~120℃の平均線膨張率が、-2×10-4/℃以上2×10-4/℃以下であることが好ましく、中でも-1.5×10-4 /℃以上或いは1.5×10-4/℃以下であることがより好ましく、その中でも-1×10-4/℃以上或いは1×10-4/℃以下であることがさらに好ましい。
本基材フィルムの前記平均線膨張率が上記範囲であれば、無機層(B)の蒸着時の熱で基材フィルムが収縮するのを抑制することができ、ガスバリア性を安定的に発現できるため好ましい。
中でも、本基材フィルムは、JIS K7197(2012)に準じて測定した、幅方向(TD)の平均線膨張率が-2×10-4/℃以上1×10-4/℃以下であることがさらに好ましい。
本基材フィルムの前記平均線膨張率が上記範囲であれば、無機層(B)の蒸着時の熱で基材フィルムが収縮するのをさらに抑制することができ、ガスバリア性をさらに安定的に発現できるため好ましい。
本基材フィルムが、上記平均線膨張率を有するようにするには、例えば延伸倍率、延伸温度、熱固定温度などの条件を調整するなどすればよい。通常は延伸倍率を高めることにより平均線膨張率を大きくすることができ、延伸温度を高めることにより平均線膨張率を小さくすることができ、熱固定温度を高めることにより平均線膨張率を小さくすることができる傾向がある。但し、それらの方法に限定されるものではない。
なお、平均線膨張率を指定して他者から基材フィルムを購入することもできる。
(基材フィルムの製法)
本基材フィルムは、溶融押出成形、熱プレス等の一般的な成形方法により、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物を溶融押出するなどしてフィルム状に成形することで形成することができる。但し、この方法に限定するものではない。
本基材フィルムが延伸フィルムからなる場合、公知の方法に従って、一軸又は二軸延伸して延伸フィルムを得ることが出来る。フィルムの平滑性や強度の観点から、延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。
二軸延伸は、同時二軸延伸であっても逐次二軸延伸であっても構わない。
<中間樹脂層(A)>
本発明の積層フィルムにおいて、中間樹脂層(A)は、本基材フィルムと無機層(B)の密着性を向上させるために有用である。また、無機層(B)中に生じた応力を緩和し、バリア性を向上させるためにも有用である。
(中間層ベース樹脂)
中間樹脂層(A)は、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂を主成分樹脂として含有するのが好ましい。中でも、ガスバリア性の観点から、熱可塑性樹脂であるポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂(「中間層ベース樹脂」とも称する)を主成分樹脂として含む層であるのが好ましい。
なお、上記「主成分樹脂」とは、中間樹脂層(A)に含まれる樹脂成分のうち最も多い質量%を占める樹脂を意味し、中間樹脂層(A)に含まれる樹脂成分の合計質量を100質量%したとき、その樹脂が占める質量割合が50質量%以上である場合、60質量%以上である場合、70質量%以上である場合、80質量%以上である場合、90質量%以上である場合、100質量%である場合を想定することができる。
前記ポリエステル系樹脂は、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分を反応させることにより得ることができる樹脂であればよい。
前記多価カルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸及びオルトフタル酸等を例示することができる。
前記多価アルコール成分としては、例えばエチレン-グリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレン-グリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール及び1,6-ヘキサンジオール等を例示することができる。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを常法に従って反応させることにより製造される水溶性または水分散性樹脂であればよい。
当該ポリヒドロキシ化合物としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン等を挙げることができる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物などを挙げることができる。
前記アクリル系樹脂としては、特に限定されず重合性不飽和単量体を従来公知の重合法を用いて重合して得られたものを使用することができる。
前記重合性不飽和単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート及びステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。また、アクリル樹脂を形成した後に架橋性化合物と架橋させる観点から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート及びフタル酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート等水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーや、アミノ基及びカルボキシル基等他の架橋性官能基を有する(メタ)アクリルモノマー並びに(メタ)アクリル酸等の酸性官能基を有する(メタ)アクリルモノマー等を挙げることができる。
前記アクリル系樹脂の一例として、アクリル酸エステルとビニル化合物などを共重合したアクリル樹脂(アクリルポリオール)を挙げることができる。
中間樹脂層(A)を100質量%とする場合、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂すなわち中間層ベース樹脂を、50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことがより好ましく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上(100質量%を包含する)含むことがさらに好ましい。
(硬化剤)
中間樹脂層(A)は、上記中間層ベース樹脂のほか、イソシアネート系化合物などの硬化剤を含有するのが好ましい。
イソシアネート系化合物は硬化剤として機能するため、中間樹脂層(A)がイソシアネート系化合物を含むことで、中間樹脂層(A)中に架橋構造を導入することができる。さらに、中間樹脂層(A)に適度な剛性と柔軟性を付与することができ、無機層(B)に残留する応力を緩和させることで無機層(B)のガスバリア性を高めることができ、基材フィルムと無機層(B)の密着性を向上させ易くなる。そのため、中間樹脂層(A)はイソシアネート系化合物を含むことが好ましい。
イソシアネート系化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートや、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。ガスバリア性や、基材フィルム及び無機層との密着性の点から、イソシアネート基が2つ以上のポリイソシアネートが好ましく、より好ましくはイソシアネート基が3つ以上のポリイソシアネートである。
イソシアネート系化合物の含有量を調整することにより、中間樹脂層(A)に適度な架橋を導入することができ、中間樹脂層(A)の硬さ及び柔らかさを調整することができ、応力緩和性及び密着性などを調整することができる。かかる観点から、中間樹脂層(A)におけるイソシアネート系化合物の含有量は、前記中間層ベース樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上であるのが好ましく、中でも0.5質量部以上、その中でも0.8質量部以上、その中でも1.0質量部以上であるのがさらに好ましい。他方、400質量部以下であるのが好ましく、中でも200質量部以下、その中でも150質量部以下、その中でも100質量部以下であるのがさらに好ましい。
(中間樹脂層(A)の物性)
中間樹脂層(A)は、次のような物性を有するのが好ましい。
動的粘弾性測定における130℃における貯蔵弾性率(E´)に関しては、中間樹脂層(A)と、本基材フィルムとの差が1000MPa以下であるのが好ましく、中でも700MPa以下、その中でも500MPa以下であるのがさらに好ましい。
この際、中間樹脂層(A)の130℃における貯蔵弾性率(E´)が、本基材フィルムのそれと同じか或いは低い方が好ましい。
動的粘弾性測定における130℃における、中間樹脂層(A)の貯蔵弾性率(E´)は、0.5MPa以上100MPa以下であるのが好ましく、中でも0.7MPa以上或いは70MPa以下、その中でも1MPa以上或いは50MPa以下であるのがさらに好ましい。
動的粘弾性測定における損失正接(tanδ)のピーク温度に関しては、中間樹脂層(A)と、本基材フィルムとの差が100℃以下であるのが好ましく、中でも90℃以下、その中でも80℃以下であるのがさらに好ましい。
この際、中間樹脂層(A)の損失正接(tanδ)のピーク温度が、本基材フィルムのそれと同じか或いは低い方が好ましい。
動的粘弾性測定における中間樹脂層(A)の損失正接(tanδ)のピーク温度は、10℃以上150℃以下であるのが好ましく、中でも20℃以上或いは140℃以下、その中でも30℃以上或いは130℃以下であるのがさらに好ましい。
中間樹脂層(A)の弾性率又はtanδが、上記範囲であれば、例えば本基材フィルムの熱収縮を緩和することができ、その影響が無機層(B)に及ぶのを抑制することができるから、密着性並びにガスバリア性を高めることができる。
なお、中間樹脂層(A)に上記粘弾性を付与するためには、例えば、中間樹脂層(A)における硬化剤の配合量を調整する方法を挙げることができる。但し、この方法に限定するものではない。
(厚み)
中間樹脂層(A)の厚みは、ガスバリア性の観点から、0.2μm以上5μm以下であることが好ましく、中でも0.3μm以上或いは4μm以下、その中でも0.5μm以上或いは3μm以下であるのがより好ましい。
また、ガスバリア性の観点から、前記中間樹脂層(A)の厚みをa、前記基材フィルムの厚みをbとしたときに、厚み比a/b(中間/基材)が0.005以上0.2以下であるのが好ましく、中でも0.007以上或いは0.15以下であるのがより好ましく、その中でも0.01以上或いは0.1以下であるのがさらに好ましい。
また、中間樹脂層(A)の厚みは、ガスバリア性や光学特性の観点から、無機層(B)の厚みの50~15000%であるのが好ましく、中でも100%以上或いは10000%以下、その中でも200%以上或いは5000%以下であるのがさらに好ましい。
(中間樹脂層(A)の形成方法)
中間樹脂層(A)を形成する方法としては、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂と、その他所定材料とを溶媒に混合してコート液とし、該コート液を本基材フィルム上に塗布し、乾燥させると共に、必要に応じて硬化させることで中間樹脂層(A)を形成することができる。
その他所定材料としては、例えば光重合開始剤、架橋剤、粒子、架橋触媒、カルボジイミド化合物、界面活性剤や、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーなどを挙げることができる。
前記溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、アセトン等のケトン系溶媒;ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸プロピル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル等のエステル系溶媒;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の炭化水素系溶媒等の有機溶媒を例示することができる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
また、中間樹脂層(A)を形成するための組成物は、溶剤として水を含有してもよく、有機溶剤と水の混合物を溶剤として使用してもよい。該組成物が溶剤を含有することで、固形成分が溶剤により希釈されることで塗布性が良好となる。
溶剤は、例えば、固形分濃度が0.1~50質量%程度になるように、前記組成物に配合するとよい。
コーティング方法としては、例えば、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター、バーコーター、スプレイ等を用いたコーティング方法等の方法がいずれも採用可能である。
コーティング後は、60~200℃程度の温度での熱風乾燥、熱ロール乾燥等の加熱乾燥や、赤外線乾燥等の公知の乾燥方法を用いて溶媒を蒸発させることができる。
硬化方法は、紫外線などを照射する光硬化、加熱する熱硬化のいずれでもよい。例えば、イソシアネート系化合物を配合した場合には、80℃以上に加熱して熱硬化するのが好ましい。
<無機層(B)>
本発明の積層フィルムは、無機層(B)を備えることで、水蒸気、酸素ガス等のガスの透過を抑制し、ガスバリア性を本発明の積層フィルムに付与することができる。
無機層(B)は、無機物、特に無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物を主材として含有する層であるのが好ましい。
該「主材」とは、無機層(B)の50質量%以上、中でも70質量%以上、中でも80質量%以上、中でも90質量%以上(100質量%を含む)を占める材料という意味である。
無機層(B)を構成する主材としての無機物としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化珪素、酸化炭化窒化珪素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム及び酸化炭化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種または2種以上の無機化合物を挙げることができる。
これらの中でも、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウムからなる群から選ばれる1種以上の無機材料を主材として含むことが好ましい。
無機層(B)としては、例えば物理的気相蒸着(PVD)法により形成されたPVD無機層、プラズマアシスト蒸着法により形成されたプラズマアシスト蒸着無機層、化学蒸着(CVD)法により形成されたCVD無機層、無機粒子を有機ポリマーに分散させて塗布する方法により形成されたコート無機層などであるのが好ましい。
無機層(B)を100質量%とする場合、前記無機物が70質量%以上を占めるのがより好ましく、中でも80質量%以上、その中でも90質量%以上を占めることがさらに好ましい。
無機層(B)にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンを含有させて、ガスバリア性を向上させてもよい。
無機層(B)は、無機物以外に有機物を含んでもよい。
無機物に有機物を混合して無機層(B)を形成することにより、無機層(B)を比較的柔軟な層とすることができる。このような柔軟な層を設けることにより、ガスバリア性をさらに高めることができる場合がある。すなわち、本基材フィルムの表面に粗大突起部などがある場合、これが起点となって、無機層(B)表面に、ピンホールと呼ばれる微小な欠陥が生じたり、加熱蒸着時に原料が塊となって飛来し付着して、無機層(B)表面に微小な欠陥が生じたりすることがあり、この欠陥による空隙をガスが通過することによってガスバリア性が低下することがある。このような場合には、柔軟な層を設けることにより、ガスバリア性を維持することができる。
当該有機物としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、PVAなどの有機物のほか、有機系フィラーなどを挙げることができる。
(無機層(B)の層構成)
無機層(B)は、単層構成であっても、2層以上の複層構成であってもよい。
例えば、2層以上の複層構成の一例として、そのうちの一層を無機物、例えば無機酸化物のみからなる無機層(B)とし、他の一層を、無機酸化物と有機物とを含有する層とする例を挙げることができる。
無機酸化物と有機物とを含有する層は、上述のように柔軟な層とすることができるから、この層を積層することで、前記欠陥を埋めることができ、ガスバリア性を高めることができる場合がある。
なお、ここで言う「柔軟な層」とは、例えばフレキシブル用途など、屈曲性が必要な用途に対応できるように、無機層(B)の応力を緩和する層の意味を包含するものである。
(厚み)
無機層(B)の厚みは、所望するガスバリア性を確保しつつ、透明性を維持するなどの観点から、5nm以上200nm以下であることが好ましく、中でも10nm以上或いは150nm以下であることがより好ましく、その中でも15nm以上或いは100nm以下であることがさらに好ましい。無機層(B)が複数の場合は、それらの合計厚である。
無機層の層厚は、積層フィルムの断面超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡などで観察することで測定できる。
(無機層(B)の形成方法)
無機層(B)の形成(成膜)方法としては、例えば、真空加熱蒸着法、電子ビーム法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相蒸着(PVD)法、化学気相蒸着(CVD)法などの公知の方法を用いることができる。PVD法、CVD法に、プラズマアシストを組み合わせてもよい。無機層が複数層の場合は、複数の無機層成膜法を用いてもよい。
ガスバリア性の点ではPVD法が好ましく、例えば、SiOx(1.0<x≦2.0)で表される酸化珪素からなる無機層を形成することが好ましい。SiOxのxの値が小さいとガスバリア性が高まり、xの値が大きいと無色透明性が良好となり、両者のバランスの点で、1.5≦x≦2.0が好ましい。
SiOxの組成の制御は、使用する原料の配合組成、反応ガス種、真空度、蒸着速度により調整可能であり、SiOxの組成は、X線光電子分光法(XPS)等により分析できる。
PVD法にプラズマアシストを組み合わせる場合は、真空蒸着中に、プラズマにより蒸着物質をイオン化ながら蒸着する、或いは別に設けたイオン源から気体イオンを照射するのがよい。プラズマアシストによって、無機層内に酸素原子を効率的に取り込むことができるので、無機層のガスバリア性を低下させずに透明性を向上させることができる。また、プラズマアシストにより蒸着物質にエネルギーを付与できるため、緻密な無機層を形成できる。また、プラズマ中の励起種は反応性に富むため、酸素、窒素、アセチレン等のガス導入による蒸発物質の酸化、窒化、炭化等を容易に制御できる。
従って、SiOx、AlOx等の無機酸化物の場合、PVD法のみで得た無機層に比べ、プラズマアシストを組み合わせると、xの値が同じでも緻密な膜構造となりガスバリア性を向上させることができる。
<本発明の積層フィルムの物性)
上記構成を備えた本発明の積層フィルムは、次のような物性を有することができる。
(水蒸気バリア性)
本発明の積層フィルムは、JIS K7129-5(2016)に準じて測定した温度40℃相対湿度90%における水蒸気透過率(WVTR)が、1.0g/m/day以下であることが好ましく、0.8g/m/day以下がより好ましく、0.6g/m/day以下がさらに好ましく、0.5g/m/day以下が特に好ましい。
(酸素バリア性)
本発明の積層フィルムは、JIS K7126-2(2006)に準じて測定した25℃相対湿度80%の条件下で酸素透過率(OTR)が2.0cc/m/day/atm以下であるのが好ましく、1.7cc/m/day/atm以下がより好ましく、1.0cc/m/day/atm以下がさらに好ましく、0.5cc/m/day/atm以下が特に好ましい。
<表面樹脂層(C)>
本発明の積層フィルムは、さらに無機層(B)の保護やガスバリア性向上を目的として、無機層(B)の表面に表面樹脂層(C)を設けてもよい。表面樹脂層(C)を設けることにより、本発明の積層フィルムの水蒸気バリア性及び酸素バリア性をさらに高めることができる。
表面樹脂層(C)の主成分樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレンビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂などの樹脂、エチレンイミン、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アルコキシシランなどを挙げることができる。
なお、上記「主成分樹脂」とは、表面樹脂層(C)に含まれる樹脂成分のうち最も多い質量%を占める樹脂を意味し、表面樹脂層(C)に含まれる樹脂成分の合計質量を100質量%したとき、その樹脂が占める質量割合が50質量%以上である場合、60質量%以上である場合、70質量%以上である場合、80質量%以上である場合、90質量%以上である場合、100質量%である場合を想定することができる。
(厚み)
表面樹脂層(C)の厚みは、特に制限は無いが、10~1000nmが好ましく、中でも50nm以上或いは500nm以下であるのがより好ましい。
(表面樹脂層(C)の形成方法)
表面樹脂層(C)の形成は、グラビアコート、グラビアリバースコート、キスリバースグラビアコート、スピンコート、バーコート、ダイコート等の公知の塗布方法を用いることができる。
乾燥方法は、例えば、熱風乾燥、輻射熱乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射など熱をかける方法を1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
<<包装用フィルム、包装体>>
本発明の積層フィルムは、そのまま使用して、包装用フィルムや包装体とすることもできる。また、他のフィルムと積層するなどして使用してもよい。当該他のフィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、アクリル系フィルム等を挙げることができ、ドライラミネート等の公知の方法で積層して使用してもよい。
包装体とする場合、密閉するため本発明の積層フィルムにシール性を付与することが有用である。例えば、ポリオレフィン系フィルムを積層フィルムの少なくとも一方の面に積層してシール性を付与することができる。
包装体の形態は、特に制限はないが、袋体、チューブ、蓋材、底材などを挙げることができ、食品、医薬医療品、電子部品、工業部品などを収容する包装に用いることができ、水蒸気や酸素ガス等の透過を抑制できるので、収容物の腐食腐敗を防ぎ長期間保管を可能とする。
<語句の説明>
本発明において、「フィルム」とは、厚いシートから薄いフィルムまでを包括した意を有する。
また、「X~Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意とともに、「好ましくはXより大きい」および「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
さらにまた、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。但し、本発明はこれに限られるものではない。
(基材フィルム)
実施例および比較例で用いた基材フィルムとして、以下のものを用いた。
・JIS K7197(2012)に準じて測定した100~120℃の平均線膨張率が、長手方向が-2.7×10 -4/℃、幅方向が-5.7×10-5/℃の、厚みが20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(主成分樹脂:ホモポリプロピレン)を「ОPP-1」とした。
・JIS K7197(2012)に準じて測定した100~120℃の平均線膨張率が、長手方向が-5.1×10 -4/℃、幅方向が-1.3×10 -4/℃の、厚みが20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(主成分樹脂:ホモポリプロピレン)を「ОPP-2」とした。
・JIS K7197(2012)に準じて測定した100~120℃の平均線膨張率が、長手方向が-1.2×10 -4/℃、幅方向が-5.9×10 -4/℃の、厚みが18μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(主成分樹脂:ホモポリプロピレン)を「ОPP-3」とした。
・JIS K7197(2012)に準じて測定した100~120℃の平均線膨張率が、長手方向が-4.0×10 -4/℃、幅方向が1.5×10 -4/℃の、厚みが25μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(主成分樹脂:ホモポリプロピレン)を「ОPP-4」とした。
・JIS K7197(2012)に準じて測定した100~120℃の平均線膨張率が、長手方向が-9.8×10 -5/℃、幅方向が4.2×10 -5/℃の、厚みが12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(主成分樹脂:ホモポリエチレンテレフタレート)を「PET」とした。
(中間樹脂層(A)原料)
イソシアネート化合物(東ソー社製「コロネートHX」)とアクリルポリオール(大成ファインケミカル社製「アクリット 6AN―4000」)とを1:10質量比で配合し、中間樹脂層(A)に使用するコート液を得た。
(無機層(B)原料)
無機層(B)の原料には、SiOx(キャノンオプトロン株式会社製)を用いた。
<実施例1>
厚み20μmの基材フィルム「ОPP-1」の片面にコロナ処理を行い、コロナ処理面の濡れ指数を40以上とした。該コロナ処理面に、中間樹脂層(A)のコート液をバーコート法で塗布し、80℃で1分間乾燥させて、乾燥後厚み1μmの中間樹脂層(A)を形成した。次に、真空加熱蒸着装置を使用して、真空度2×10-3Paの条件下で酸化珪素SiOx(x=1.5)からなる35nm厚の無機層(B)を形成して積層フィルム(サンプルフィルム)を得た。
<実施例2>
実施例1において、厚み20μmの基材フィルム「ОPP-2」を用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルム(サンプルフィルム)を得た。
<実施例3>
実施例1において、厚み18μmの基材フィルム「ОPP-3」を用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルム(サンプルフィルム)を得た。
<実施例4>
実施例1において、厚み25μmの基材フィルム「ОPP-4」を用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルム(サンプルフィルム)を得た。
<比較例1>
実施例1において、中間樹脂層(A)の厚みを0.1μmとした以外は実施例1と同様にして積層フィルム(サンプルフィルム)を得た。
<参考例>
比較例1において、厚み12μmの基材フィルム「PET」を用いた以外は比較例1と同様にして積層フィルム(サンプルフィルム)を得た。
<評価>
実施例、比較例、参考例で得られたサンプルフィルムについて、以下の評価を行い、結果を表1に示した。
(中間樹脂層(A)の厚み)
中間樹脂層(A)の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片を再度RuO染色し、中間樹脂層(A)断面をTEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製「H-7650」、加速電圧100kV)を用いて、中間樹脂層(A)の厚みを測定した。
(無機層(B)の厚み)
無機層(B)の厚みの測定は、蛍光X線を用いて行った。この方法は、原子にX線を照射すると、その原子特有の蛍光X線を放射する現象を利用した方法で、放射される蛍光X線強度を測定することにより原子の数(量)を知ることができる。具体的には、フィルム上に既知の2種の厚みの薄膜を形成し、それぞれについて放射される特定の蛍光X線強度を測定し、この情報より検量線を作成した。そして、測定試料について同様に蛍光X線強度を測定し、前記検量線からその膜厚を測定した。
(平均線膨張率)
日立ハイテクサイエンス社製の熱機械的分析装置「TMA/SS7100」を用いて、昇温速度5℃/分、測定温度0~200℃の条件でTMA測定を行い、100~120℃における長手方向(MD)及び幅方向(TD)の平均線膨張率を求めた。
(水蒸気バリア性:水蒸気透過率)
JIS K7129-5(2016)に準じて、水蒸気透過率測定装置(Technolox社製DELTAPERM)を用い、実施例・比較例・参考例で得られたサンプルフィルムについて、40℃相対湿度90%の条件下で水蒸気透過率(WVTR、単位:g/m/day)を測定することにより評価した。
水蒸気透過率が1.0g/m/day以下であれば、水蒸気バリア性が良好すなわち「〇」と評価し、0.5g/m/day以下であれば、さらに良好すなわち「◎」と評価し、1.0g/m/dayを超える場合は、不良すなわち「×」と評価した。
(酸素バリア性:酸素透過率)
JIS K7126-2(2006)に準じ、酸素透過率測定装置(MOCON社製OX-TRAN2/21型)を用い、実施例・比較例・参考例で得られたサンプルフィルムについて、25℃相対湿度80%の条件下で酸素透過率(OTR、単位:cc/m/day/atm)を測定することにより評価した。
酸素透過率が2.0cc/m/day/atm以下であれば、酸素バリア性が良好すなわち「〇」と評価し、0.5cc/m/day/atm以下であれば、さらに良好すなわち「◎」と評価し、2.0cc/m/day/atmを超える場合は、不良すなわち「×」と評価した。
Figure 2023136727000001
(考察)
上記実施例・比較例・参考例の結果、並びに、これまで本発明者が行ってきた試験結果から、JIS K7197(2012)に準じて測定した少なくとも一方向の100~120℃の平均線膨張率が、-2×10-4/℃以上2×10-4/℃以下のポリオレフィン系樹脂を含むフィルムの、少なくとも表裏一側に、0.2μm以上5μm以下である中間樹脂層(A)及び無機層(B)を順次積層した構成の積層フィルムとすることで、高いガスバリア性、すなわち、優れた酸素バリア性及び優れた水蒸気バリア性を発現することができることが分かった。
本発明のような積層フィルムを包装体とする場合、該積層フィルムの少なくとも一方の面にポリオレフィン系フィルムを積層して、シール性を付与して包装体とすることが一般的である。そのような場合、上記参考例のように、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを基材フィルムに使用した積層フィルムの場合に比べて、上記実施例のように、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含む基材フィルムを使用した積層フィルムは、ポリオレフィン系フィルムを積層した場合に、当該ポリオレフィン系フィルムと基材フィルムとが同じ種類の樹脂であるため、より容易にリサイクルすることができると言える。すなわち、リサイクル性に優れていると言える。

Claims (11)

  1. 基材フィルムの表裏一側に、厚み0.2μm以上5μm以下である中間樹脂層(A)と、無機層(B)とを順次積層してなる構成を備えた積層フィルムであって、
    前記基材フィルムが、ポリオレフィン系樹脂を主成分樹脂として含み、JIS K7197(2012)に準じて測定される、少なくとも一方向の100~120℃の平均線膨張率が-2×10 -4/℃以上2×10 -4/℃以下のフィルムである、積層フィルム。
  2. 前記基材フィルムがポリプロピレン系樹脂を主成分樹脂として含むフィルムである、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記中間樹脂層(A)が、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群から選ばれる1種以上の樹脂を主成分樹脂として含む、請求項1または2のいずれかに記載の積層フィルム。
  4. 前記中間樹脂層(A)が、さらにイソシアネート系化合物を含む、請求項3に記載の積層フィルム。
  5. 前記中間樹脂層(A)の厚みをa、前記基材フィルムの厚みをbとしたときに、厚み比a/b(中間/基材)が0.005以上0.2以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. 前記無機層(B)が、酸化珪素、窒化珪素および酸化アルミニウムからなる群から選ばれる1種以上の無機材料を主材として含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 前記無機層(B)の厚みが5nm以上200nm以下である、請求項1~6の何れか1項に記載の積層フィルム。
  8. JIS K7129-5(2016)に準じて測定した温度40℃相対湿度90%における、水蒸気透過率が1.0g/m/day以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  9. JIS K7126-2(2006)に準じて測定した25℃相対湿度80%の条件下で酸素透過率が2.0cc/m/day/atm以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の積層フィルムを用いてなる包装体。
  11. JIS K7197(2012)に準じて測定した100~120℃の平均線膨張率が、少なくとも一方向が-2×10 -4/℃以上2×10 -4/℃以下であるポリオレフィン系樹脂を含む基材フィルムの少なくとも表裏一側に、0.2μm以上5μm以下である中間樹脂層(A)及び無機層(B)を順次積層する工程を有する積層フィルムの製造方法。
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