JP2023133107A - 電極、電気化学素子、電極の製造装置、及び電極の製造方法 - Google Patents

電極、電気化学素子、電極の製造装置、及び電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電気化学素子の性能と安全性を両立することができる電極等の提供。
【解決手段】基体と、前記基体上に電極合材層と、前記電極合材層上に絶縁層とを有する電極であって、前記電極を上方視した前記絶縁層の表面画像から、前記絶縁層が形成されていない非絶縁層領域で囲まれた1つの絶縁層である単位絶縁層を求め、横軸が前記単位絶縁層の面積(μm)を表し、かつ縦軸が前記単位絶縁層の個数を表すグラフを得て、前記単位絶縁層の面積(μm)が1,000μm以上であり、その個数が最多である前記単位絶縁層を第1の絶縁領域とし、前記単位絶縁層において前記第1の絶縁領域の2倍以上の面積(μm)を有する前記絶縁層を第2の絶縁領域としたとき、前記絶縁層が、前記第1の絶縁領域と前記第2の絶縁領域とを有する電極である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極、電気化学素子、電極の製造装置、及び電極の製造方法に関する。
従来、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、レドックスキャパシタ等の電気化学素子においては、正極と負極の短絡を防止することを目的として、紙、不織布、多孔質フィルムがセパレータとして使用されている。
近年、基体上に、電極合材層と、絶縁層とが順次形成されている電極一体型セパレータが用いられている。また、絶縁層がイオン伝導を妨げることにより、電気化学素子の内部抵抗が大きくなることで、電気化学素子の性能が低下するという問題点に対して絶縁層に微細な形成領域と非形成領域とを設けることで、安全性を維持しつつもイオン伝導性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、イオン伝導を妨げないように絶縁層の非形成領域を増やし電気化学素子の性能の低下を最小限にしようとすると必要な安全性が得られないという相反関係がある。このため、電気化学素子の性能と安全性を両立させるためには適切な絶縁層の形成手段を用いて形成領域と非形成領域のパターンを適切に選択する必要がある。
本発明は、電気化学素子の性能と安全性を両立することができる電極を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の電極は、基体と、前記基体上に電極合材層と、前記電極合材層上に絶縁層とを有する電極であって、前記電極を上方視した前記絶縁層の表面画像から、前記絶縁層が形成されていない非絶縁層領域で囲まれた1つの前記絶縁層である単位絶縁層を求め、横軸が前記単位絶縁層の面積(μm)を表し、かつ縦軸が前記単位絶縁層の個数を表すグラフを得て、前記単位絶縁層の面積(μm)が1,000μm以上であり、その個数が最多である前記単位絶縁層を第1の絶縁領域とし、前記単位絶縁層において前記第1の絶縁領域の2倍以上の面積(μm)を有する前記絶縁層を第2の絶縁領域としたとき、前記絶縁層が、前記第1の絶縁領域と前記第2の絶縁領域とを有する。
本発明によると、電気化学素子の性能と安全性を両立することができる電極を提供することができる。
図1は、独立した領域である第1の絶縁領域の割合が多い場合の単位絶縁層の面積(μm)と単位絶縁層の個数との関係を表すグラフである。 図2は、連結した領域である第2の絶縁領域の割合が多い場合の単位絶縁層の面積(μm)と単位絶縁層の個数との関係を表すグラフである。 図3Aは、電極合材層上に絶縁層形成領域と非絶縁層形成領域のパターンを形成するための形成方法の一例を示す概略図である。 図3Bは、電極合材層上に絶縁層形成領域と非絶縁層形成領域のパターンを形成するための形成方法の別の一例を示す概略図である。 図4は、連結した領域である第2の絶縁領域の割合が多い場合の画像データの一例を示す図である。 図5は、独立した領域である第1の絶縁領域の割合が多い場合の画像データの一例を示す図である。 図6は、同一画像パターンで液滴量を変えた時に第1の絶縁領域と第2の絶縁領域との面積割合が変化する一例を示す図である。 図7は、被覆領域と非被覆領域を説明する説明図である。 図8は、不均一な画像パターンの一例を示す図である。 図9は、本実施形態の電極の製造方法を実現するための電極の製造装置の一例を示す模式図である。 図10は、図9の液体吐出装置の変形例を示す模式図である。 図11は、本実施形態の電極の製造装置である液体吐出装置の他の例を示す模式図である。 図12は、図11の液体吐出装置の変形例を示す模式図である。 図13は、本実施形態の電極の製造装置としてのドラム状の中間転写体を用いた印刷部の一例を示す構成図である。 図14は、本実施形態の電極の製造装置としての無端ベルト状の中間転写体を用いた印刷部の一例を示す構成図である。 図15は、液体吐出ヘッドの一例を示す概略分解図である。 図16は、液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す説明図である。 図17は、液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す断面斜視図である。 図18は、平行四辺形状のノズル板を備えたヘッドの一例を示す構成図である。 図19は、図18のヘッドを複数並べた状態を示す説明図である。 図20は、吐出率が12%の画像パターンの一例を示す図である。 図21は、吐出率が15%の画像パターンの一例を示す図である。 図22は、吐出率が18%の画像パターンの一例を示す図である。 図23は、吐出率が20%の画像パターンの一例を示す図である。 図24は、吐出率が20%の画像パターンの別の一例を示す図である。 図25は、吐出率が22.5%の画像パターンの一例を示す図である。 図26は、吐出率が36%の画像パターンの一例を示す図である。 図27は、吐出率が45%の画像パターンの一例を示す図である。 図28は、吐出率が60%の画像パターンの一例を示す図である。 図29は、吐出率が80%の画像パターンの一例を示す図である。 図30は、吐出率100%の画像パターンの一例を示す図である。
(電極)
本発明の電極は、基体と、前記基体上に設けられた電極合材層と、前記電極合材層上に設けられた絶縁層とを有してなり、前記絶縁層が、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域とを有する。
本発明においては、電極を上方視した絶縁層の表面画像から、前記絶縁層が形成されていない非絶縁層領域で囲まれた1つの前記絶縁層である単位絶縁層を求め、横軸が前記単位絶縁層の面積(μm)を表し、かつ縦軸が前記単位絶縁層の個数を表すグラフを得て、前記単位絶縁層の面積(μm)が1,000μm以上であり、その個数が最多である前記単位絶縁層を第1の絶縁領域とし、前記単位絶縁層において前記第1の絶縁領域の2倍以上の面積(μm)を有する絶縁層を第2の絶縁領域としたとき、前記絶縁層が、独立した領域である第1の絶縁領域と、複数の前記第1の絶縁領域が連結した領域である第2の絶縁領域と、を有する。
前記絶縁層が独立した領域である第1の絶縁領域を有することにより電極合材層上に均一に絶縁層の形成領域と非形成領域を設けることが可能となり、安全性を維持した上で絶縁層の被覆率を下げることができ、出力密度の維持を図れる。一方、第2の絶縁領域を有することにより電極合材層上を薄い層厚みで幅広く絶縁層を形成することが可能となり、安全性及びフロート特性の向上が図れる。
ここで、前記絶縁層における前記第1の絶縁領域と前記第2の絶縁領域は、以下のように定義することができる。
図1は、後述する実施例5の独立した領域である第1の絶縁領域の割合が多い場合の例を示すグラフであり、図5は第1の絶縁領域の割合が多い場合の画像データである。図2は、後述する実施例2の連結した領域である第2の絶縁領域の割合が多い場合の例を示すグラフであり、図4は第2の絶縁領域の割合が多い場合の画像データである。なお、横軸のグラフ幅は図1及び図2のように2(nは自然数)μmおきで設定されるが、これは任意の数値幅を設定してよく、第1の絶縁領域の面積の下限である1,000μmを境とし、横軸を設定できる数値幅であることが好ましい。また、図1及び図2において例えば横軸が2048の棒グラフは単位絶縁層の面積が1,024μmよりも大きく、2,048μm以下である単位絶縁層の面積を表し、他のグラフにおいても下限よりも大きく、上限以下という範囲を表す。図2の場合、グラフ幅を2(nは自然数)μmおきで設定すると、1,024μmの棒グラフには、512μmよりも大きく、1,024μm以下の単位絶縁層が含まれる。この場合、横軸の数値幅を、第1の絶縁領域の面積の下限である1,000μmが境となるよう例えば100μmおきに調整することで、正確な第1の絶縁領域を算出することができる。
電極を上方から視た絶縁層の表面画像(図5及び図4)から、図1及び図2に示すような横軸が単位絶縁層の面積(μm)を表し、縦軸が単位絶縁層の個数を表すグラフを得る。このとき、単位絶縁層とは、絶縁層において絶縁層が形成されていない非絶縁層領域に囲まれた(隣接する絶縁層が互いに接したり、重なっていない)1つの(単独の)領域である。即ち、絶縁層には複数の単位絶縁層が存在する。
第1の絶縁領域は、単位絶縁層の面積が1,000μm以上の1ドットからなる絶縁層である。
第2の絶縁領域は、複数の前記第1の絶縁領域が連結した(隣接する第1の絶縁領域が互いに接したり、少なくとも一部が重なった)絶縁層である。即ち、前記第1の絶縁領域の中でもその個数が最多である単位絶縁層の2倍以上の面積を有する絶縁層である。
換言すると、電極を上方から視た絶縁層は海島状であり、絶縁層は、ノズルから吐出されることで形成される1ドットからなる絶縁領域と、1ドットからなる絶縁領域同士が連結することで形成される複数ドットからなる絶縁領域とを有する。
ここで、図1及び図2に示すグラフは、例えば以下のようにして求めることができる。
まず、横軸である単位絶縁層の面積(μm)は次のように算出することができる。電極の絶縁層が形成されている側の面を電子顕微鏡(Merlin、Zeiss社製)により撮影した顕微鏡像(100倍程度)を画像データ(図4及び図5)として保存する。図1のグラフの画像データは図5、図2のグラフの画像データは図4である。
次に、得られた画像データを画像編集・処理ソフトpaint.netのツール「魔法の杖」(paint.net4.3)により、絶縁層の任意の1領域を抽出した後、その領域を色の濃淡に基づいて2値化し、濃度が50%以上である単位領域の面積、即ち、単位絶縁層の面積(μm)を算出する。なお、2値化した画像において、濃度が50%よりも低い領域は前記非絶縁層形成領域である。この非絶縁層形成領域の面積も前記単位絶縁層の面積と同様の方法により算出することができる。
縦軸である単位絶縁層の個数は前記2値化した画像から得られた前記単位絶縁層の数をカウントすることで算出する。
算出された単位絶縁層の面積(μm)及び単位絶縁層の個数を用いて、図1及び図2に示すグラフを求める。
なお、絶縁層の色と、電極合材層の色との関係によっては、色の濃淡に基づいて2値化ができない場合がある。このような場合としては、例えば、絶縁層と電極合材層の色の濃淡が近く、顕微鏡像で判別できない場合である。このような場合は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDS)により、絶縁層材料の元素マッピングを行うことで2次元画像を得ることで、電子顕微鏡像の単位絶縁層の総面積(μm)、及び単位絶縁層の面積(μm)を算出することができる。
また、色の濃淡に基づいて2値化しているときに閾値としての濃度を50%としているが、これは50%以上であると電極合材層が絶縁層により被覆されており、良好な絶縁性を実現できることを根拠としている。
前記第1の絶縁領域Aと前記第2の絶縁領域Bとの面積比率(A:B)は20:80~90:10であることが好ましく、30:70~70:30であることがより好ましい。独立した領域である第1の絶縁領域の面積比率の下限が上記範囲であると、被覆率が高くなりすぎず、良好な出力密度を実現できる電極とすることができる。また、独立した領域である第1の絶縁領域の面積比率の上限が上記範囲であると、電極合材層上へ絶縁層を十分に被覆することができ、良好な絶縁性を実現できる電極とすることができる。
前記第1の絶縁領域Aの面積又は前記第2の絶縁領域Bの面積は図1、2に示すグラフに基づき、前記第1の絶縁領域又は前記第2の絶縁領域Bに属する単位絶縁膜面積とその個数を掛けることで算出することができる。
前記絶縁層は電極合材層上に形成されるが、電極合材層上に絶縁層が形成された領域(以下、「形成領域」と称する)と、電極合材層上に絶縁層が形成されていない領域(以下、「非形成領域」と称する)とを有することが好ましい。
前記形成領域を有することにより必要な安全性が確保され、前記非形成領域を有することによりイオン伝導性が向上するため、電気化学素子性能の低下を防ぐことが可能となる。
前記液体組成物の付与方法としてインクジェット吐出を用いる場合、各ノズルに対して吐出又は不吐出のタイミングを制御することにより、任意の画像パターンを作成し、形成領域と非形成領域を設けることが可能である。図3Aに示すように連続したノズルに対して液体組成物を吐出させることにより、電極合材層上の形成領域の割合を増やすことが可能となる。一方、図3Bに示すように吐出しているノズルの隣接したノズルを不吐出とすることにより、絶縁層を形成領域と非形成領域とに分けることが可能となる。
図3A及び図3B中、21は基体、22は電極合材層、23は絶縁層、24は吐出ヘッドをそれぞれ表す。
インクジェット吐出を用いる場合、各ノズルから吐出される液滴量を制御することが可能である。例えば、ピエゾ素子に電圧をかけて液室を変形させることでノズルから液体組成物を押し出すピエゾ方式のインクジェット吐出であればピエゾ素子に与える電圧波形を調整することで、吐出される液滴量を任意の量に調整することができる。
図3Aに示すように1液滴あたりの液滴量を少なくして全ノズルから吐出した場合と、図3Bに示すように1液滴あたりの液滴量を倍にして半分のノズルを交互に吐出・不吐出とした場合とで、電極合材層上に面積当たり同等の絶縁層を塗布することが可能となる。前者の場合は、全ノズルから吐出しているため絶縁層の形成領域の割合が多くなり、均一な層形成が可能となる。後者の場合は、不吐出ノズルが多いため非形成領域の割合が多くなる一方で、1液滴量が多いため形成領域の絶縁層の厚みは大きくなる。
また、インクジェットから吐出可能な液滴量の許容幅や最適値は吐出口のノズルの大きさや粘度、チクソ性、静的表面張力、動的表面張力、含まれる固形材料の粒子径(形状)などの液体組成物の物性により異なる。
図6は、同一画像パターンで液滴量を変えた時に第1の絶縁領域と第2の絶縁領域との面積割合が変化する一例を示す図である。図6の左図のような画像パターンを、図6の右上図のように大液滴で吐出した場合と、図6の右下図のように小液滴で吐出した場合とでは、第1の絶縁領域23a及び第2の絶縁領域23bの面積が異なり、大液滴の方が小液滴よりも面積が大きくなる。
インクジェットから吐出する液滴量を決定した後、全ノズル中の吐出と不吐出ノズルの割合を決める間引きを行うことにより、電極合材層上に狙いの目付量(以下、単位cm面積当たりの狙いの付与量を「目付量」と称する)の絶縁層を形成することができる。全ノズルに対する吐出ノズルの割合を吐出率とする。
電極合材層に対する液体組成物の濡れ性が良好な場合、液滴量を多くすることで電極合材層内への染込みや濡れ広がりが発生する。間引きパターンにより絶縁層の形成領域と非形成領域のパターンを制御するためには、液体組成物の染み広がりも考慮することにより、吐出率を決定する必要がある。
また間引きパターンは面内のすべての箇所で均一なパターンであってもよいし、部分的に吐出率が高い一方で部分的に吐出率が低いなどの不均一なパターンであってもよい。不均一なパターンとすることで、電池性能と安全性を両立するなど吐出率が高い場合と低い場合の双方の特長が得られる場合がある。不均一なパターン形成の一例を図8に示す。
間引きパターンにより電極合材層上へ形成領域と非形成領域を設ける場合、形成領域は1ノズルから吐出される液滴によりのみ形成される独立した領域である第1の絶縁領域と、濡れ広がりにより隣接するノズルから吐出され電極合材層上へ着弾した液滴同士が合一した連結した領域である第2の絶縁領域とに分類される。一般的に吐出率が低い場合は独立した領域である第1の絶縁領域の比率が増え、吐出率が高い場合は連結した領域である第2の絶縁領域が増える傾向にある。
ただし、同じ間引きパターン(吐出率)を用いても液滴量を増やすことで、液滴がより電極合材層に対して濡れ広がるため、連結した領域である第2の絶縁領域の割合が増える。
本発明の一態様において、第2の絶縁領域は前記第2の絶縁領域の重心を通りかつ両端が第2の絶縁領域の外周と接する線分の最大長さが500μmを超えることが好ましい。この態様によると、独立した領域である第1の絶縁領域と、連結した領域である第2の絶縁領域との二次元的な隙間が500μmを超える大きさであることから、電極合材層上に絶縁層のネットワークが形成され、安全性が確保できる。なお、本実施形態及び特許請求の範囲において絶縁層の重心とは、平面形状が、対象となる絶縁層を上方から視た平面形状と同じ板状の物体を、単位面積当たりの質量が均一な物質で作った際の、その物体の重心と一致する、絶縁層の中に位置する点である。この重心は、対象となる絶縁層を上方から視た平面形状の面積を2等分する第1直線と、その平面形状の面積を2等分する、第1直線とは異なる角度の第2直線とを描いたときに、第1直線と第2直線との交点でもある。
本発明の一態様において、連結した領域である第2の絶縁領域の面積が8,000μm以上であることが好ましく、10,000μm以上40,000μm以下であることがより好ましい。この態様によると、独立した領域である第1の絶縁領域と、連結した領域である第2の絶縁領域との二次元的な隙間が、面積が8,000μm以上の連結した領域である第2の絶縁領域を有することにより、電極合材層上に絶縁層のネットワークが形成されるので、より安全性を向上することができる。
連結した領域である第2の絶縁領域の面積は、例えば、光学顕微鏡又は電子顕微鏡による画像観察、エネルギー分散型X線分光法(EDS)等による元素マッピングなどにより測定することができる。
本発明の一態様において、電極合材層における任意の1辺が500μm以上の正方形領域を前記第1の絶縁領域および/又は前記第2の絶縁領域が被覆する被覆領域を有し、前記電極が集電部を更に有し、前記被覆領域が前記集電部の周辺に設けられる。この態様によると、昇温試験においてセパレータが収縮したとしても対向する基体上の集電部同士の短絡を防止することが可能となる。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、被覆領域とは当該効果を奏する範囲であれば被覆率は特に問わないが、95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましく、100%であることが更に好ましい。
本発明の一態様において、電極合材層における任意の1辺が500μm以上の正方形領域を前記第1の絶縁領域および/又は前記第2の絶縁領域が被覆していない非被覆領域を有し、前記非被覆領域が前記電極合材層の端部又は角部に設けられる。この態様によると、例えば、電極合材層とセパレータを重ね合わせた時に、第2の絶縁領域に生じる隙間に接着剤を加えることで、昇温試験でセパレータが収縮した際にも、接着剤によりセパレータの収縮を抑えられるので、短絡が防止でき安全性が向上する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、非被覆領域とは当該効果を奏する範囲であれば被覆率は特に問わないが、5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、0%であることが更に好ましい。
セパレータの収縮を抑えるための接着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ニトリルゴムなど樹脂を水に分散させた水性接着剤、フェノール樹脂、酢酸ビニル、クロロプレンゴムなど溶剤に樹脂を溶かした溶液系接着剤、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーンゴムなど化学反応によって硬化する無溶剤系接着剤、エポキシ樹脂、スチレンブタジエンゴムなど固体タイプの接着剤などが挙げられる。
ここで、電極合材層上の絶縁層に被覆領域と非被覆領域を設けた基体の一例を図7に示す。
図7中、21は基体、22は電極合材層、23は絶縁層、25は被覆領域、26は非被覆領域をそれぞれ表す。
本発明においては、電極の少なくとも1か所の任意の箇所に1辺500μm以上の正方形領域において、形成領域が90%以上の範囲に設けられる被覆領域と、形成領域が10%以下の範囲に設けられる非形成領域のみで構成されている非被覆領域を含むことが好ましい。なお、前記被覆領域は形成領域が95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましく、100%であることが更に好ましい。また、非被覆領域は、形成領域が5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、0%であることが更に好ましい。
<絶縁層>
本発明においては、電極合材層上に絶縁性粒子を含有する絶縁層が存在することにより、正極及び負極が物理的に絶縁され、又は物理的絶縁性が向上し、高温使用時や釘刺し試験での安全性が向上する。絶縁層がない場合、異物等によってセパレータに穴が開いて対向する電極合材層間が短絡すると、短絡点に過大な電流が流れて、ジュール熱が発生することがある。その場合、ジュール熱によって短絡点周辺のセパレータが溶融又は収縮して穴が拡大し、更に短絡面積が広がりジュール熱の発生が続き、異常発熱や外観変化を引き起こす可能性がある。
本発明の電気化学素子においては、セパレータに穴が開いて電極合材層間が短絡した場合でも絶縁層が存在するため、短絡面積は広がらない。また、絶縁層が被覆していない箇所で電極合材層が短絡したとしても、短絡電流を小さくすることができるので、ジュール熱の発生が抑えられ、温度上昇を防ぐことが可能となる。
前記絶縁層は、絶縁性粒子を含有する液体組成物を電極合材層上に付与することにより形成される。
前記絶縁性粒子を含有する液体組成物は、絶縁性粒子及び溶剤を含有し、補助溶剤、分散剤及びバインダを含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
-絶縁性粒子-
絶縁性粒子は、絶縁性及び耐熱性が高い粒子状の材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アルミニウム、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、絶縁性及び耐熱性が高い点からアルミナが好ましい。
前記アルミナを含有する液体組成物を用いて製造された電気化学素子は安全性又は電気化学素子寿命の点で優れたものとなる。更に、アルミナは、電解質に対する濡れ性が優れるため、電解質の吸収率が高くなり、電気化学素子のサイクル性能を向上させることができる。
前記アルミナの種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α-アルミナ、γ-アルミナ、β-アルミナ、フューズドアルミナなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、絶縁性及び耐擦過性の点からα-アルミナが好ましい。なお、2種以上のアルミナを用いる場合は、アルミナの主成分がα-アルミナであることが好ましい。ここで、主成分がα-アルミナであるとは、全アルミナ中のα-アルミナの含有率が50質量%以上であることを意味し、全アルミナ中のα-アルミナの含有率は60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
前記アルミナの含有量は、液体組成物の全量に対して20質量%以上55質量%以下が好ましく、25質量%以上52質量%以下がより好ましく、35質量%以上50質量%以下が更に好ましい。前記アルミナの含有量は、紙上に塗布することに適したインク等の液体組成物と比較して、高い固形分濃度を示す。アルミナの含有量をこのような範囲にすることで、乾燥後の塗膜厚さのムラを抑制することができる。
-溶剤-
溶剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記絶縁性粒子と親和性を有する溶剤であることが好ましい。
前記溶剤としては、例えば、ラクタム、アルコール、スルホキシド、エステル、又はケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ラクタムとしては、例えば、1-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドンなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。
前記スルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
前記エステルとしては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールジアセタートなどが挙げられる。
前記ケトンとしては、例えば、ジイソブチルケトン、2-ブタノン、2-ペンタノン、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。
-補助溶剤-
前記液体組成物には前記溶剤で不足する機能を補う目的で、1種以上の異なる補助溶剤を任意に配合することができる。前記補助溶剤としては、例えば、絶縁性粒子を分散させる機能を有する溶剤、液体吐出ヘッドのノズルの乾燥を防止することを目的とする沸点が高い溶剤、液体吐出ヘッドから吐出する際に適切な粘度や表面張力に調整することを目的とする溶剤、電極合材層へのアルミナ粒子の吸収を抑えることを目的とする溶剤などが挙げられる。
前記補助溶剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルミナ親和性を有する溶剤であることが好ましい。
前記補助溶剤としては、例えば、エーテル、グリコール、エステル、アルコール、又はラクタムが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記エーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどが挙げられる。
前記グリコールとしては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコールなどが挙げられる。
前記エステルとしては、例えば、乳酸エチル、エチレンカーボネート、エチレングリコールジアセタートなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどが挙げられる。
前記ラクタムとしては、例えば、2-ピロリドンなどが挙げられる。
前記補助溶剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
-分散剤-
分散剤は、絶縁性粒子の表面に吸着又は結合し、クーロン力による静電反発や分子鎖による立体障害によって絶縁性粒子同士の凝集を抑える機能を有する化合物である。
前記分散剤の数平均分子量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000以上100,000以下が好ましく、液体組成物の粘度の上昇を抑制する点から、1,000以上10,000以下がより好ましく、1,000以上5,000以下が更に好ましい。
前記分散剤は、分散性基を有することが好ましい。前記分散性基は、例えば、液体組成物を電気化学素子の電極材料として使用する場合には、イオン伝導性の観点から、ノニオン性基であることが好ましい。ここで、ノニオン性とはイオン性を有さないことを示し、ノニオン性基とはイオン性を有さない置換基を示す。
前記分散性基としては、前記溶剤及び前記補助溶剤に対して溶解性を有する構造であれば特に制限はないが、電気化学素子として使用する場合、イオン伝導性の観点から、オリゴエーテル基が好ましい。前記オリゴエーテル基とは、エチレングリコール又はプロピレングリコールの重合体の末端からヒドロキシル基を除いた基を示す。
前記エチレングリコール又はプロピレングリコールの重合体の数平均分子量は、100以上10,000以下が好ましく、100以上5,000以下がより好ましい。エチレングリコール又はプロピレングリコールの重合体の数平均分子量が100以上であると、液体組成物中の絶縁性粒子の分散性が向上し、10,000以下であると、液体組成物の粘度の上昇を抑制することができる。
前記数平均分子量の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー法によって測定することができる。
オリゴエーテル基の結合していない側の末端は、水酸基であってもよいし、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などであってもよい。なお、オリゴエーテル基を有する分散剤を使用すると、溶媒として、極性が高い溶媒を用いても、絶縁性粒子の分散性を向上させることができる。
前記分散剤としては、絶縁性粒子との吸着強度の点から、吸着性基として絶縁性粒子が帯電している極性とは逆の極性のイオン性基を有する高分子分散剤が好ましい。
前記高分子分散剤としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、DISPERBYK(登録商標)-103、DISPERBYK-118、DISPERBYK-2155(以上、ビックケミー社製)、NOPCOSPERSE(登録商標)-092、SN-SPERSE-2190、SN-DISPERSANT-9228(以上、サンノプコ社製)、エスリーム(登録商標)AD-3172M、エスリーム2093、マリアリム(登録商標)AKM-0513、マリアリムHKM-50A、マリアリムHKM-150A、マリアリムSC-0505K、マリアリムSC-1015F、マリアリムSC-0708A(以上、日油株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記高分子分散剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記絶縁性粒子に対して、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、絶縁性粒子の分散性の点から、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
-バインダ-
前記液体組成物は、バインダを任意に含有することができる。バインダを含有する液体組成物を電極合材層上に付与することにより、絶縁層の強度を向上させることができる。
前記バインダとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム、アクリル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、バインダは、液体組成物中に溶解していてもよいし、分散させてもよい。
なお、バインダの代わりに、バインダの前駆体を用いてもよい。前記バインダの前駆体としては、例えば、モノマーなどが挙げられる。このようなモノマーを含有し、必要に応じて、重合開始剤を更に含有する液体組成物を電極合材層上に塗布した後、加熱する、又は、光を照射することにより、モノマーが重合し、機能膜の強度を向上させることができる。
-その他の成分-
前記絶縁性粒子を含有する液体組成物は、粘度の調整、表面張力の調整、溶剤の蒸発制御、添加剤の溶解性向上、絶縁性粒子の分散性向上、殺菌などを目的に応じて、その他の成分を更に含有していてもよい。前記その他の成分としては、例えば、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤などが挙げられる。
前記絶縁性粒子を含有する液体組成物を分散させる場合、公知の分散装置を用いることができる。前記分散装置としては、例えば、攪拌機、ボールミル、ビーズミル、リング式ミル、高圧式分散機、回転式高速せん断装置、超音波分散機などが挙げられる。
前記絶縁性粒子を含有する液体組成物を電極合材層上に付与することで絶縁層が形成される。
前記絶縁性粒子を含有する液体組成物の付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、吐出位置の制御が可能でありかつ電極に非接触で液体組成物を付与可能であるという理由から、インクジェット吐出方法等の液体吐出方法が好ましい。
前記液体吐出方法における液体組成物を吐出する方式としては、例えば、液体組成物に力学的エネルギーを付与する方式、液体組成物に熱エネルギーを付与する方式などが挙げられる。これらの中でも、液体組成物に力学的エネルギーを付与する方式が分散安定性の点で好ましい。
前記力学的エネルギーを付与する方式としては、液室に密着したピエゾ素子に電圧をかけて液室を変形させることでノズルから液体組成物を押し出すことで吐出するピエゾ方式などが挙げられる。
前記熱エネルギーを付与する方式としてヒーター等で液体組成物に熱を急速に加えて、液体組成物が沸騰した際に発生した泡を利用するサーマル方式などが挙げられる。
なお、液体吐出方法を用いる場合は、公知の液体吐出装置の液体吐出原理を用いた技術を応用すればよい。この場合は、液体吐出装置に設置される流路及び液体吐出ヘッドのノズルの耐性がある溶媒を用いることが好ましい。
<基体>
基体を構成する材料としては、導電性を有し、印加される電位に対して安定であれば、特に制限されない。基体は負極を作製するための負極用基体と、正極を作製するための正極用基体とをそれぞれ有する。
<電極合材層>
電極合材層は上記基体上に積層される。液体組成物を用いる電極合材層の製造方法は、液体組成物が吐出された基体を加圧する工程を更に含むことが好ましい。これにより、電極構成成分が剥がれにくくなり、電極材料を用いて形成されるデバイスの信頼性が向上する。電極合材層は、負極と正極を有する。
-負極-
負極は、負極用基体の片面に、負極活物質及び重合体を含む負極合材層が形成されている。なお、負極合材層は、負極用基体の両面に形成されていてもよい。
負極の形状としては、特に制限はなく、例えば、平板状などが挙げられる。負極用基体を構成する材料としては、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅などが挙げられる。
負極の製造方法は、液体吐出装置を用いて、基体上に、液体組成物を吐出する工程を含む。
前記液体組成物は、負極活物質、分散媒(溶媒)及び重合体を含む。前記液体組成物は、タンクに貯蔵されており、タンクからチューブを経由して液体吐出ヘッドに供給される。
また、液体吐出装置は、液体組成物が液体吐出ヘッドから吐出されていない際に、乾燥を防ぐため、液体吐出ヘッドのノズルをキャップする機構が設けられていてもよい。
負極を製造する際には、加熱することが可能なステージ上に、負極用基体を設置した後、負極用基体に液体組成物の液滴を吐出した後に、加熱する。このとき、ステージが移動してもよく、液体吐出ヘッドが移動してもよい。
また、負極用基体に吐出された液体組成物を加熱する際には、ステージにより加熱してもよいし、ステージ以外の加熱機構により加熱してもよい。
加熱機構としては、液体組成物に直接接触しなければ、特に制限はなく、例えば、抵抗加熱ヒーター、赤外線ヒーター、ファンヒーターなどが挙げられる。なお、加熱機構は、複数個設置されていてもよい。
加熱温度は、分散媒を揮発させることが可能な温度であれば、特に制限はなく、消費電力の点から、70~150℃の範囲であることが好ましい。
また、負極用基体に吐出された液体組成物を加熱する際に、紫外光を照射してもよい。
-正極-
正極は、正極用基体に、正極活物質及び重合体を含む正極合材層が形成されている。なお、正極合材層は、正極用基体の両面に形成されていてもよい。
正極の形状としては、特に制限はなく、例えば、平板状などが挙げられる。正極用基体を構成する材料としては、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、チタン、タンタルなどが挙げられる。
正極の製造方法は、負極の製造方法と同様である。正極合材層を形成するための液体組成物は、正極活物質、分散媒(溶媒)及び重合体を含む。
(電極の製造方法及び電極の製造装置)
本発明の電極の製造方法は、本発明の電極を製造する電極の製造方法であって、
液体組成物を複数の吐出口を有する吐出手段から吐出する吐出工程と、
前記液体組成物の吐出を制御する制御工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記液体組成物としては、上述した絶縁性粒子を含有する液体組成物を用いる。
前記その他の工程としては、例えば、基体上に電極合材層を形成する電極合材層形成工程などが挙げられる。
本発明においては、複数の前記吐出口のうち、一の吐出口からは前記液体組成物を吐出し、他の吐出口からは前記液体組成物を吐出しないように制御する。
前記制御工程において、一の吐出口から吐出される前記液体組成物の吐出量を1回当たり3pL以上10pL以下となるように制御することが好ましい。
前記吐出量が3pL未満であると、液滴形成において均一な吐出が難しく、また電極合材層へ着弾するまでの間の乾燥により、狙いとする絶縁層の形成ができないことが懸念される。前記吐出量が10pLより大きいと電極合材層への着弾後の電極合材層内部への溶媒の染込みが発生し、電極合材層の膨潤や、絶縁層の膜ムラの発生につながる。
本発明の電極の製造装置は、本発明の電極を製造する電極の製造装置であって、
液体組成物を吐出する複数の吐出口を有する吐出手段と、
前記吐出手段からの前記液体組成物の吐出を制御する制御手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
前記液体組成物としては、上述した絶縁性粒子を含有する液体組成物を用いる。
前記その他の工程としては、例えば、基体上に電極合材層を形成する電極合材層形成手段などが挙げられる。
本発明においては、前記制御手段が複数の前記吐出口のうち、一の吐出口からは前記液体組成物を吐出し、他の吐出口からは前記液体組成物を吐出しないように制御する。
前記制御手段が、一の吐出口から吐出される前記液体組成物の吐出量を1回当たり3pL以上10pL以下となるように制御することが好ましい。
前記吐出量が3pL未満であると、液滴形成において均一な吐出が難しく、また電極合材層へ着弾するまでの間の乾燥により、狙いとする絶縁層の形成ができないことが懸念される。前記吐出量が10pLより大きいと電極合材層への着弾後の電極合材層内部への溶媒の染込みが発生し、電極合材層の膨潤や、絶縁層の膜ムラの発生につながる。
[印刷基体(基体上に電極合材層が設けられた電極)上に絶縁性粒子を含有する液体組成物を直接吐出して絶縁層を形成する実施形態]
図9は、本実施形態の電極の製造方法を実現するための電極の製造装置(液体吐出装置)の一例を示す模式図である。
電極の製造装置は、上記絶縁性粒子を含有する液体組成物を用いて電極を製造する装置である。電極の製造装置は、印刷基体(基体上に電極合材層が設けられた電極)4上に、液体組成物を付与して液体組成物層を形成する付与工程を実施する印刷部110と、液体組成物層を加熱し、液体組成物層に残存する液体を除去することで絶縁層を得る加熱工程を実施する加熱部130を備える。電極の製造装置は、印刷基体4を搬送する搬送部5を備え、搬送部5は、印刷部110、加熱部130の順に印刷基体4をあらかじめ設定された速度で搬送する。
-印刷部110-
印刷部110は、印刷基体(基体上に電極合材層が設けられた電極)4上に液体組成物を付与する付与工程を実現する付与手段の一例である印刷装置1aと、液体組成物を収容する収容容器1bと、収容容器1bに貯留された液体組成物を印刷装置1aに供給する供給チューブ1cを備える。
収容容器1bは、液体組成物7を収容し、印刷部110は、印刷装置1aから液体組成物7を吐出して、印刷基体4上に液体組成物7を付与して液体組成物層を薄膜状に形成する。なお、収容容器1bは、電極の製造装置と一体化した構成であってもよいが、電極の製造装置から取り外し可能な構成であってもよい。また、電極の製造装置と一体化した収容容器や電極の製造装置から取り外し可能な収容容器に添加するために用いられる容器であってもよい。
収容容器1bや供給チューブ1cは、液体組成物7を安定して貯蔵及び供給できるものであれば任意に選択可能である。収容容器1bや供給チューブ1cを構成する材料は、紫外及び可視光の比較的短波長領域において遮光性を有することが好ましい。これにより、液体組成物7が重合可能な化合物を含む場合、外光により重合開始されることが防止される。
-加熱部130-
加熱部130は、図9に示すように、加熱装置3aを有し、印刷部110により形成した液体組成物層を加熱装置3aにより加熱して、液体組成物層中に残存する液体を乾燥させて除去する液体除去工程を行う。これにより絶縁層を形成することができる。加熱部130は、液体除去を減圧下で実施してもよい。
また、加熱部130は、液体組成物7が重合可能な化合物を含む場合、液体組成物層を加熱装置3aにより加熱して、重合反応を更に促進させる重合促進工程、及び液体組成物層に残存する光重合開始剤を、加熱装置3aにより加熱して乾燥させて除去する開始剤除去工程を行ってもよい。なお、これらの重合促進工程及び開始剤除去工程は、液体除去工程と同時ではなく、液体除去工程の前又は後に実施されてもよい。
更に、加熱部130は、液体組成物7が重合可能な化合物を含む場合、液体除去工程後に、液体組成物層を減圧下で加熱する重合完了工程を行ってもよい。加熱装置3aは、上記機能を満たすものならば特に制限はなく、例えばIRヒーターや温風ヒーターなどが挙げられる。
また、加熱温度や時間に関しては、液体組成物層に含まれる液体の沸点や形成膜厚に応じて適宜選択可能である。
図10は、本実施形態の電極の製造方法を実現するための電極の製造装置(液体吐出装置)の他の一例を示す模式図である。
液体吐出装置300’は、ポンプ310と、バルブ311、312を制御することにより、液体組成物が液体吐出ヘッド306、タンク307、チューブ308を循環することが可能である。
また、液体吐出装置300’は、外部タンク313が設けられており、タンク307内の液体組成物が減少した際に、ポンプ310と、バルブ311、312、314を制御することにより、外部タンク313からタンク307に液体組成物を供給することも可能である。
前記電極の製造装置を用いると、付与対象物の狙ったところに液体組成物を吐出することができる。
本実施形態の電極の製造方法の他の例を図11に示す。
印刷基体(基体上に電極合材層が設けられた電極)上に絶縁層が設けられた電極210の製造方法は、液体吐出装置300’を用いて、印刷基体211上に、上記絶縁性粒子を含有する液体組成物12Aを、順次吐出する工程を含む。
まず、細長状の印刷基体211を準備する。そして、印刷基体211を筒状の芯に巻き付け、絶縁層を形成する側が、図11中、上側になるように、送り出しローラ304と巻き取りローラ305にセットする。ここで、送り出しローラ304と巻き取りローラ305は、反時計回りに回転し、印刷基体211は、図11中、右から左の方向に搬送される。そして、送り出しローラ304と巻き取りローラ305の間の印刷基体211の上方に設置されている液体吐出ヘッド306から、図9と同様にして、液体組成物12Aの液滴を、順次搬送される印刷基体211上に吐出する。
なお、液体吐出ヘッド306は、印刷基体211の搬送方向に対して、略平行な方向又は略垂直な方向に、複数個設置されていてもよい。次に、液体組成物12Aの液滴が吐出された印刷基体211は、送り出しローラ304と巻き取りローラ305によって、加熱部130に搬送される。その結果、絶縁層212が形成され、印刷基体211上に絶縁層212が設けられた積層構造体210が得られる。その後、積層構造体210は、打ち抜き加工等により、所望の大きさに切断される。
加熱部130は、印刷基体211の上下の何れか一方に設置されてもよいし、複数個設置されていてもよい。
また、図12のように、タンク307Aは、タンク307Aに接続されたタンク313Aから液体組成物を供給してもよく、液体吐出ヘッド306は、複数の液体吐出ヘッド306A、306Bを有してもよい。
[印刷基体(基体上に電極合材層が設けられた電極)上に液体組成物層乃至絶縁層を間接的に形成する実施形態]
図13~図14は、本実施形態の電極の製造装置としての、付与手段としてインクジェット方式、及び転写方式を採用した印刷部の一例を示す構成図であり、図13は、ドラム状の中間転写体を用いた印刷部、図14は、無端ベルト状の中間転写体を用いた印刷部を示す構成図である。
図13に示した印刷部400´は、中間転写体4001を介して印刷基体(基体上に電極合材層が設けられた電極)に液体組成物層乃至絶縁層を転写することで印刷基体上に液体組成物層乃至絶縁層を形成する、インクジェットプリンタである。
印刷部400´は、インクジェット部420、転写ドラム4000、前処理ユニット4002、吸収ユニット4003、加熱ユニット4004及び清掃ユニット4005を備える。
インクジェット部420は、複数のヘッド101を保持したヘッドモジュール422を備える。ヘッド101は、転写ドラムに4000に支持された中間転写体4001に液体組成物を吐出し、中間転写体4001上に液体組成物層を形成する。各ヘッド101は、ラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの印刷基体の記録領域の幅をカバーする範囲にノズルが配列されている。ヘッド101は、その下面に、ノズルが形成されたノズル面を有しており、ノズル面は、微小間隙を介して中間転写体4001の表面と対向している。本実施形態の場合、中間転写体4001は円軌道上を循環移動する構成であるため、複数のヘッド101は、放射状に配置される。
転写ドラム4000は、圧胴621と対向し、転写ニップ部を形成する。前処理ユニット4002は、ヘッド101による液体組成物の吐出前に、例えば、中間転写体4001上に、液体組成物の粘度を高めるための反応液を付与する。吸収ユニット4003は、転写前に、中間転写体4001上の液体組成物層から液体成分を吸収する。加熱ユニット4004は、転写前に、中間転写体4001上の液体組成物層を加熱する。液体組成物層を加熱することで、液体組成物層が含む液体が除去され、印刷基体への転写性が向上する。清掃ユニット4005は、転写後に中間転写体4001上を清掃し、中間転写体4001上に残留したインクやごみ等の異物を除去する。
圧胴621の外周面は、中間転写体4001に圧接しており、圧胴621と中間転写体4001との転写ニップ部を基体が通過するときに、中間転写体4001上の絶縁層が印刷基体に転写される。なお、圧胴621は、その外周面に基体の先端部を保持するグリップ機構を少なくとも1つ備えた構成としてもよい。
図14に示した印刷部400´´は、中間転写ベルト4006を介して印刷基体(基体上に電極合材層が設けられた電極)に液体組成物層乃至絶縁層を転写することで印刷基体上に液体組成物層乃至絶縁層を形成する、インクジェットプリンタである。
印刷部400´´は、インクジェット部420に設けた複数のヘッド101から液体組成物の液滴を吐出して、中間転写ベルト4006の外周表面上に液体組成物層乃至絶縁層を形成する。中間転写ベルト4006に形成された液体組成物層乃至絶縁層は、中間転写ベルト4006上で膜化する。
中間転写ベルト4006が転写ローラ622と対向する転写ニップ部において、中間転写ベルト4006上の膜化した液体組成物層乃至絶縁層は印刷基体に転写される。転写後の中間転写ベルト4006の表面は、清掃ローラ4008によって清掃される。
中間転写ベルト4006は、駆動ローラ4009a、対向ローラ4009b、複数(本例では4つ)の形状維持ローラ4009c,4009d,4009e,4009f、及び複数(本例では4つ)の支持ローラ4009gに架け渡され、図14中矢印方向に移動する。ヘッド101に対向して設けられる支持ローラ4009gは、ヘッド101からインク滴が吐出される際の中間転写ベルト4006の引張状態を維持する。
次に、図15~図17を用いて付与手段の一例としての液体吐出ヘッドの構成を説明する。図15は液体吐出ヘッドの一例を示す概略分解図、図16は液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す説明図、図17は液体吐出ヘッドの流路構成の一例を示す断面斜視図である。
ヘッド101は、ノズル板10、流路板(個別流路部材)20、振動板部材30、共通流路部材50、ダンパ部材60、フレーム部材80及び駆動回路104を実装した基板(フレキシブル配線基板)105などを備える。
ノズル板10は、インクを吐出する複数のノズル37を備え、複数のノズル37は、ノズル板短手方向及びこれと直交するノズル板長手方向に二次元状に並んで配置されている。
流路板20には、複数のノズル37に各々連通する複数の液室(個別圧力室)26と、複数の液室26に各々通じる複数の供給流路(個別供給流路)27及び回収流路(個別回収流路)28とが設けられている。なお、以降の説明では便宜上、1つの液室26と、当該液室26に通じる供給流路27及び回収流路28とを併せて個別流路25とも称する。
振動板部材30は、液室26の変形が可能な壁面である振動板35を形成し、振動板35には圧電素子36が一体に設けられている。振動板部材30には、供給流路27に通じる供給側開口32と、回収流路28に通じる回収側開口33とが形成されている。圧電素子36は、振動板35を変形させて液室26内のインクを加圧する。
なお、流路板20と振動板部材30は、別部材であることに限定されるものではない。例えばSOI(Silicon on Insulator)基板を使用して流路板20及び振動板部材30を同一部材で一体に形成することも可能である。
つまり、シリコン基板上に、シリコン酸化膜、シリコン層、シリコン酸化膜の順に成膜されたSOI基板を使用し、シリコン基板を流路板20とし、シリコン酸化膜、シリコン層及びシリコン酸化膜で振動板35を形成できる。この構成では、SOI基板のシリコン酸化膜、シリコン層及びシリコン酸化膜の層構成が振動板部材30となる。このように、振動板部材30は流路板20の表面に成膜された材料で構成されるものを含む。
共通流路部材50は、2以上の供給流路27に通じる複数の共通供給流路支流52と、2以上の回収流路28に通じる複数の共通回収流路支流53とを、ノズル板長手方向において交互に隣接して形成している。共通流路部材50には、供給流路27の供給側開口32と共通供給流路支流52を通じる供給口54となる貫通孔と、回収流路28の回収側開口33と共通回収流路支流53を通じる回収口55となる貫通孔が形成されている。
共通流路部材50は、複数の共通供給流路支流52に通じる1又は複数の共通供給流路本流56と、複数の共通回収流路支流53に通じる1又は複数の共通回収流路本流57を形成している。
ダンパ部材60は、共通供給流路支流52の供給口54と対面する供給側ダンパ62と、共通回収流路支流53の回収口55と対面する回収側ダンパ63を備える。共通供給流路支流52及び共通回収流路支流53は、同じ部材である共通流路部材50に交互に並べて配列された溝部を、ダンパ部材60の供給側ダンパ62又は回収側ダンパ63で封止することで構成している。なお、ダンパ部材60のダンパ材料としては、有機溶剤に強い金属薄膜又は無機薄膜を用いることが好ましい。ダンパ部材60の供給側ダンパ62、回収側ダンパ63の部分の厚みは10μm以下が好ましい。
共通供給流路支流52と共通回収流路支流53の内壁面、及び共通供給流路本流56と共通回収流路本流57の内壁面には、流路内を流れるインクに対して内壁面を保護するための保護膜が形成されている。例えば、共通供給流路支流52と共通回収流路支流53の内壁面、及び共通供給流路本流56と共通回収流路本流57の内壁面は、Si基板が熱処理されることで、表面に酸化シリコン膜が形成される。酸化シリコン膜の上にはインクに対してSi基板の表面を保護するタンタルシリコン酸化膜が形成される。
フレーム部材80は、その上部に供給ポート81と排出ポート82を備える。供給ポート81は共通供給流路本流56にインクを供給し、排出ポート82は共通回収流路本流57より排出されるインクを排出する。
上述のようにヘッド101は、インクを吐出するノズル37、ノズル27に通じる液室26、液室26にインクを供給する供給流路27、及び液室26からインクを回収する回収流路28を有する。ここで、インクは「液体組成物」の一例、ヘッド101は「液体吐出ヘッド」の一例、液室26は「液室」の一例、供給流路27は「供給流路」の一例、回収流路28は「回収流路」の一例である。
なお、ヘッド101の構成として、ノズル板10のノズル面(ノズル37が形成された面)の形状は長方形に限らず、台形、ひし形、平行四辺形など、長方形以外の形状であってもよい。
その一例を、図18~図19を用いて説明する。図18は、平行四辺形状のノズル板を備えたヘッドの一例を示す構成図、図13は、図18のヘッドを複数並べた状態を示す説明図である。
ヘッド1Rは、ノズル板短手方向に対して角度θ傾斜した外形(稜線)を有し、ヘッド1Rの液体吐出部101R及びノズル板10Rもこの稜線に沿う形状に形成されている。つまり、液体吐出部101Rは、外形形状が平行四辺形をしたノズル板10Rを有し、ノズル板10Rには複数のノズル37Rが規則的に二次元状に配列されている。ノズル37Rの配列は、例えば、N個のノズル37Rによって1列のノズル列37Nが構成され、このノズル列37Nを、上述の稜線と平行に、且つノズル板短手方向と直交するノズル板長手方向に複数列設けた配列となっている。
上記構成のヘッド1Rは、図19に示すように複数のヘッド1Ra,1Rbをノズル板長手方向に1列に並べることが可能であり、これにより、使用する基体の記録幅に合わせて、所望の長さのラインヘッドを得ることができる。
<電気化学素子の製造方法>
電気化学素子の製造方法は、上述した電極の製造方法を用いて電極を製造する工程を含む。
電極素子は、負極と正極が、セパレータを介して、積層されている。ここで、正極は、負極の両側に積層されている。また、負極用基体には、引き出し線が接続されており、正極用基体には、引き出し線が接続されている。
負極は、負極用基体の両面に、負極合材層が形成されていること以外は、上述の負極と同様である。
正極は、正極用基体の両面に、正極合材層が形成されていること以外は、上述の正極と同様である。
なお、電極素子の負極と正極の積層数は、特に制限されない。また、電極素子の負極の個数と正極の個数は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
-セパレータ-
セパレータは、負極と正極の短絡を防ぐために、負極と正極の間に設けられている。
セパレータは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。セパレータとしては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙などの紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布などのポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、マイクロポア膜などが挙げられる。
セパレータの大きさは、電気化学素子に使用することが可能であれば、特に制限されない。
セパレータは、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。なお、固体電解質を使用する場合は、セパレータを省略することができる。
電気化学素子は電極素子に、電解質水溶液又は非水電解質を注入することにより、電解質層が形成されており、外装により封止されている。電気化学素子において、引き出し線は、外装の外部に引き出されている。
電気化学素子は、必要に応じて、その他の部材を有してもよい。電気化学素子としては、特に制限はなく、例えば、リチウムイオン二次電池などが挙げられる。
電気化学素子の形状は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラミネートタイプ、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダタイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダタイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
-電解質水溶液-
電解質水溶液を構成する電解質塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酒石酸亜鉛、過塩化亜鉛などが挙げられる。
-非水電解質-
非水電解質としては、固体電解質又は非水電解液を使用することができる。前記非水電解液とは、電解質塩が非水溶媒に溶解している電解液である。
前記非水溶媒としては、特に制限はなく、例えば、非プロトン性有機溶媒を用いることが好ましい。
前記非プロトン性有機溶媒としては、鎖状カーボネート、環状カーボネートなどのカーボネート系有機溶媒を用いることができる。これらの中でも、電解質塩の溶解力が高い点から、鎖状カーボネートが好ましい。また、非プロトン性有機溶媒は、粘度が低いことが好ましい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)などが挙げられる。
非水溶媒中の鎖状カーボネートの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量%以上であることが好ましい。
非水溶媒中の鎖状カーボネートの含有量が50質量%以上であると、鎖状カーボネート以外の非水溶媒が誘電率の高い環状物質(例えば、環状カーボネート、環状エステル)であっても、環状物質の含有量が少なくなる。このため、2M以上の高濃度の非水電解液を作製しても、非水電解液の粘度が低くなり、非水電解液の電極へのしみ込みやイオン拡散が良好となる。
前記環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などが挙げられる。
なお、カーボネート系有機溶媒以外の非水溶媒としては、例えば、環状エステル、鎖状エステル等のエステル系有機溶媒、環状エーテル、鎖状エーテル等のエーテル系有機溶媒などを用いることができる。
前記環状エステルとしては、例えば、γ-ブチロラクトン(γBL)、2-メチル-γ-ブチロラクトン、アセチル-γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなどが挙げられる。
前記鎖状エステルとしては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル(例えば、酢酸メチル(MA)、酢酸エチル)、ギ酸アルキルエステル(例えば、ギ酸メチル(MF)、ギ酸エチル)などが挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、アルキル-1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソランなどが挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2-ジメトシキエタン(DME)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
前記電解質塩としては、イオン伝導度が高く、非水溶媒に溶解することが可能であれば、特に制限されない。
前記電解質塩は、ハロゲン原子を含むことが好ましい。前記電解質塩は、カチオン又はアニオンで構成することができる。
前記電解質塩を構成するカチオンとしては、例えば、リチウムイオン(リチウム塩)などが挙げられる。
前記電解質塩を構成するアニオンとしては、例えば、BF 、PF 、AsF 、CFSO 、(CFSO、(CSOなどが挙げられる。
前記リチウム塩は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
前記リチウム塩としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)、六フッ化ヒ素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LiN(CFSO)、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiN(CSO)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、イオン伝導度の点から、LiPFが好ましく、安定性の点から、LiBFが好ましい。
非水電解液中の電解質塩の濃度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。非水電解液中の電解質塩の濃度は、例えば、非水電解液蓄電素子がスイング型である場合、1mol/L~2mol/Lであることが好ましく、非水電解液蓄電素子がリザーブ型である場合、2mol/L~4mol/Lであることが好ましい。
<電気化学素子の用途>
電気化学素子の用途としては、例えば、リチウムイオン二次電池、マグネシウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、ナトリウム二次電池などが挙げられる。
前記電気化学素子は、例えば、EVやPHV等の電池搭載車両、ヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチ等のウェアラブルデバイス、スマートフォン、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドホンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モータ、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラなどに適用することができる。
この中でも本実施形態に係る電気化学素子は、多くの電気化学素子を必要とする電池搭載車両や、使用者の身体に密着するウェアラブルデバイスに用いられることが好ましい。
上記記載の手段により作製された電気化学素子を例えば車載電池や電子デバイスとして実用化するためには、必要な電池性能と安全性を共に満たす必要がある。以下、絶縁層が電池性能と安全性に与える影響について説明する。
電気化学素子の性能を示す指標としては、起電力、放電容量、充放電効率(放電容量/充電容量)、サイクル特性(繰り返し充電時の容量維持率)、出力密度(単位時間あたりに取り出せるエネルギー)、エネルギー密度(ある時間使用した場合に取り出せるエネルギー)、レート特性(満充電状態から各放電速度で放電時までに取り出せるエネルギー)、フロート特性(外部電流により満充電を維持した際に漏れ出る電気容量)等がある。この中で、絶縁層があることで大きく影響を与える電池性能として出力密度とフロート特性がある。
出力密度は、各充電率(例えば充電率50%)の状態で、電流レート1C~10Cのパルスを10秒間放電させ、パルス後電圧と電流値の相関直線から放電時電圧に至る電力を計算し出力(W)を算出する。この際、絶縁層があることで放電時に負極から正極へのイオンの移動が妨げられる。特に絶縁層が電極合材層の全面に被覆されているとイオンの移動は妨げられ出力密度の低下につながる。従って、電極合材層中に均一に絶縁層の非形成領域を設けることで出力密度の低下を最小限に抑えることが可能となる。
電気化学素子が満充電の状態で更に充電を行うと正極が電気的に不安定な状態となる。この際、セパレータと正極が接触した状態であるとセパレータからイオンが奪われてしまい、セパレータが酸化状態となり抵抗成分が増えることで漏れ電流が発生し、各電池性能の低下につながる。この際、正極合材層に絶縁層が被覆されていることで、セパレータの酸化を抑制することが可能となる。従って、フロート特性を向上させるためには正極合材層上に高い被覆率で絶縁層に形成領域を設ける必要がある。
外部エネルギーやセパレータの劣化等により電池内部で正極と負極間が短絡することで過大量のイオンが移動し、ジュール熱が発生することで電解液などの可燃性材料を起点に発火することがある。電気化学素子を車載電池や電子デバイスとして実用化するためには、仮に発熱などでセパレータが収縮・劣化した際でも正極と負極間での短絡を防ぐ必要があり、電極合材層上に絶縁層を設けることで短絡を防ぐことが可能となる。従って、安全性を向上させるためには正極合材層上に高い被覆率で絶縁層の形成領域を設ける必要がある。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<液体組成物の調製>
乳酸エチル46.7質量部にヘキシレングリコール11.28質量部を加えて混合溶媒を作製し、界面活性剤(ビックケミー社製、DISPERBYK(登録商標)-2155)2質量部、及びα-アルミナ(住友化学株式会社製、AES-11C)40質量部を加えて攪拌した。
その後、0.2mm径のジルコニアビーズ(株式会社ニッカトー製、YTZ-0.2)12質量部を加えて、攪拌装置(株式会社シンキー製、自転・公転ナノ粉砕機NP-100)を用いて、回転数1,500rpm、-20℃、1分間で攪拌した。その後、25μmろ過フィルター(株式会社くればぁ製、ナイロンメッシュ#419)に通し、ジルコニアビーズを除去して、液体組成物を調製した。
<正極の作製>
正極合材層形成用として、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(NCM622、北京当弁社製)93質量部、導電助剤(ケッチェンブラック、ライオン・スペシャリティ・ケミカル社製、型番600JD)3質量部、結着剤PVDF(ポリフッ化ビニリデン、ソルベイ社製、型番Solef5130)4質量部、及び溶媒としてN-メチルピロリドン(三菱ケミカル株式会社製)100質量部を加えて、電極塗料を作製した。
電極塗料をアルミニウム(株式会社UACJ製、型番1N30)の正極用基体上に塗布し乾燥させて、単位面積当たりの塗布量(面積密度)が片側15.0mg/cmの正極合材層が両面に形成された電極を得た。
上記液体組成物を一方の正極合材層上へインクジェット装置(株式会社リコー製、MH2420)で解像度1,200dpi(印刷の向きに対して水平方向)×830dpi(印刷方向)により塗布、乾燥させ、絶縁層を0.2mg/cmの目付で形成した。同様にして、他方の正極合材層上へ絶縁層を同様の塗布条件(目付:0.2mg/cm)にて形成した。なお、インクジェットヘッドから吐出される液滴は5pLであり、吐出率36%で印刷を行った。画像パターンは図26の通りである。塗工後は、恒温槽を用いて120℃で5分間乾燥を行った。
得られた電極を、所定のサイズ(塗布面28mm×48mm、未塗布面10mm×13mm)に打ち抜いて正極を作製した。
<負極の作製>
負極合材層形成用として、グラファイト(JFEケミカル株式会社製、型番BTM-DMP)97質量部、増粘剤(カルボキシメチルセルロース、第一工業製薬株式会社製、型番セロゲンHS-6)1質量部、結着剤(アクリル系樹脂、日本ゼオン株式会社製、型番AZ-9129)2質量部、及び溶媒として水100質量部を加えて、電極塗料を作製した。
電極塗料を銅(古河電工株式会社製、型番NC-WS、箔厚10μm)の負極用基体上に塗布し乾燥させて、単位面積当たりの塗布量(面積密度)が片側9mg/cmの負極合材層を負極用基体の両面に形成した。得られた電極を、所定のサイズ(塗布面30mm×50mm、未塗布面10mm×11mm)に打ち抜いて負極を作製した。なお、負極には、絶縁層を設けなかった。
<被覆率の測定>
顕微鏡(株式会社キーエンス製、VHX-7000)により絶縁層の被覆率を測定した。倍率100倍にて電極表面から絶縁層の画像を撮影し、大津の2値化処理(https://www.frontier.maxell.co.jp/blog/posts/4.html、2022年2月15日検索)により白黒変換して被覆率を求めた。絶縁層の画像は10枚撮影し、それぞれの被覆率を求めて平均値を算出したところ、被覆率は50%であった。
<第1の絶縁領域の面積及び第2の絶縁領域の面積>
電極の絶縁層が形成されている側の面を電子顕微鏡(Merlin、Zeiss社製)により撮影した顕微鏡像(100倍)を画像データとして保存した。
次に、得られた画像データを画像編集・処理ソフトpaint.netのツール「魔法の杖」(paint.net4.3)により、絶縁層の任意の1領域を抽出した後、その領域を色の濃淡に基づいて2値化し、濃度が50%以上である単位領域の面積、即ち、単位絶縁層の面積(μm)を算出した。なお、2値化した画像において、濃度が50%よりも低い領域は前記非絶縁層形成領域である。この非絶縁層形成領域の面積も前記単位絶縁層の面積と同様の方法により算出することができる。
第1の絶縁領域は、単位絶縁層の面積が1,000μm以上の1ドットからなる絶縁層である。
第2の絶縁領域は、複数の前記第1の絶縁領域が連結した(隣接する第1の絶縁領域が互いに接したり、重なった)絶縁層である。換言すると、前記第1の絶縁領域の中でもその個数が最多である単位絶縁層の2倍以上の面積を有する絶縁層である。
なお、絶縁層の色と、電極合材層の色との関係によっては、色の濃淡に基づいて2値化ができない場合がある。このような場合としては、例えば、絶縁層と電極合材層の色の濃淡が近く、顕微鏡像で判別できない場合である。このような場合は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(EDS)により、絶縁層材料の元素マッピングを行うことで2次元画像を得ることで、電子顕微鏡像の単位絶縁層の総面積(μm)、及び単位絶縁層の面積(μm)を算出することができる。
また、色の濃淡に基づいて2値化しているときに閾値としての濃度を50%としているが、これは50%以上であると電極合材層が絶縁層により被覆されており、良好な絶縁性を実現できることを根拠としている。
実施例1の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は65:35であった。
<電気化学素子の作製>
作製した正極及び負極をフィルムセパレータ(東レ株式会社製、型番F20BHE)を介して交互に積層し、正極3枚、負極4枚を積層した電極素子を形成し、電極の未塗布部をまとめて負極に負極引き出し線となるニッケルタブを溶接し、正極に正極引き出し線となるアルミニウムタブを溶接した。そして、この電極素子に1.5MのLiPFをEC:DMC:EMC=1:1:1の非水電解液を含ませ、アルミラミネートフイルムに封止して、電気化学素子としてのリチウムイオン二次電池を作製した。
次に、得られた実施例1の電気化学素子について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表1に示した。
<初回充電実施及び初期容量の測定>
作製した電気化学素子の正極引き出し線と負極引き出し線とを、充放電試験装置(北斗電工株式会社製、型番HJ0610SD8Y)に接続し、最大電圧4.2V、電流レート0.2C、5時間で定電流定電圧充電し、充電完了後、40℃の恒温槽で5日間静置した。その後、電流レート0.2Cで2.5Vまで定電流放電させた。その後、最大電圧4.2V、電流レート0.2C、5時間で定電流定電圧充電し、10分の休止を挟んで、電流レート0.2Cで2.5Vまで定電流放電させた。このときの放電容量を初期容量とした。以下、本評価では放電容量が180mAh±1.8mAhの範囲内に含まれたセルを用いて各評価を行った。
<出力密度の評価>
上記のようにして初期容量を測定した電気化学素子の正極引き出し線と負極引き出し線とを充放電試験装置に接続し、最大電圧4.2V、電流レート0.2C、5時間で充電した。そして、10分間休止を挟んで、電流レート0.2C、2.5時間で定電流放電させ、電気化学素子の充電深度を50%の状態とした。次いで電流レート1C~10Cのパルスを10秒間放電させ、パルス後電圧と電流値の相関直線から2.5Vカットオフ電圧に至る電力を計算し出力(W)を算出し、下記の基準に基づき、出力密度の評価を行った。
[評価基準]
A:出力が10.5W以上
B:出力が10W以上10.5W未満
C:出力が9W以上10W未満
D:出力が9W未満
なお、評価基準「A」~「C」が合格レベルである。
<フロート特性の評価>
上記のようにして初期容量を測定した電気化学素子の正極引き出し線と負極引き出し線とを、充放電試験装置に接続し、60℃環境下の恒温槽の中で最大電圧4.2V、電流レート0.2C、5時間で充電し、満充電の状態とした。そして10分間休止を挟んで、電流レート0.2Cで充電し続けた。その際に流れる電流を計測し、積算電気容量が50mAhに達するまでの時間を計測し、下記の基準でフロート特性を評価した。
[評価基準]
A:規定値に達するまでの時間が200時間以上
B:規定値に達するまでの時間が175時間以上200時間未満
C:規定値に達するまでの時間が150時間以上175時間未満
D:規定値に達するまでの時間が150時間未満
なお、評価基準「A」~「C」が合格レベルである。
<昇温特性の評価>
以下のようにして、昇温試験により電気化学素子の安全性を評価した。実施例1の電気化学素子を満充電にして熱電対を貼り合わせた状態で拘束治具で挟んでボルト締めし、恒温槽内部に保持した。恒温槽は常温から5℃/分で140℃まで昇温し、140℃に達した状態で20分間保持した。電気化学素子の外壁の温度は熱電対を通じて温度データロガーから測定できる状態とした。
昇温してセパレータが収縮して正極と負極が接することで内部短絡を起こすことで、電気化学素子の内部温度が制御できず熱暴走が発生する。電極上に絶縁性の絶縁層が設けられていることで熱暴走を防ぐことが可能となる。昇温特性の評価は以下の基準で行った。
[評価基準]
A:熱暴走の発生がなく、満充電の状態が維持されている
B:熱暴走の発生はないが、一定の放電が行われ、満充電時と比べた電圧低下がみられる
C:熱暴走の発生はないが、一定の放電が行われ、20分間保持後に電圧が0になる
D:熱暴走が発生し、温度データロガーが300℃以上に達する
なお、評価基準「A」~「C」が合格レベルである。
(実施例2)
実施例1において、インクジェットヘッドから吐出される液滴を3pLとし、吐出率を60%とした以外は、実施例1と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。画像パターンは図28に示すとおりである。
この実施例2における、単位絶縁層の面積(μm)と単位絶縁層の個数との関係を表すグラフを図2に示した。この図2から、絶縁層が第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有していることがわかる。
実施例2の被覆率は58%、実施例2の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は20:80であった。
(実施例3)
実施例1において、インクジェットヘッドから吐出される液滴を4pLとし、吐出率を45%とした以外は、実施例1と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。
画像パターンは図27に示すとおりである。実施例3の被覆率は54%、実施例3の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は50:50であった。
(実施例4)
実施例1において、インクジェットヘッドから吐出される液滴を9pLとし、吐出率を20%とした以外は、実施例1と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。画像パターンは図23に示すとおりである。実施例4の被覆率は48%、実施例4の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は80:20であった。
(実施例5)
実施例1において、インクジェットヘッドから吐出される液滴を10pLとし、吐出率を18%とした以外は、実施例1と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。画像パターンは図22に示すとおりである。
この実施例5における、単位絶縁層の面積(μm)と単位絶縁層の個数との関係を表すグラフを図1に示した。この図1から、絶縁層が第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有していることがわかる。
実施例5の被覆率は42%、実施例5の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は90:10であった。
(実施例6)
実施例1において、インクジェットヘッドから吐出される液滴を10pLとし、吐出率を22.5%とした以外は、実施例1と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。画像パターンは図25に示すとおりである。実施例6の被覆率は53%、実施例6の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は30:70であった。
(実施例7)
実施例4において、吐出率20%で同じであるが、画像パターンを図24に変更した以外は、実施例4と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。
実施例7の被覆率は50%、実施例7の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は50:50であった。
(実施例8)
実施例1において、正極合材層を左右に分けて左側はインクジェットヘッドから吐出される液滴を3pL、吐出率を60%とし、右側はインクジェットヘッドから吐出される液滴を10pL、吐出率を18%とした以外は、実施例1と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。
画像パターンはそれぞれ実施例2及び5と同様である。なお、実施例8の被覆率は50%であり、左側は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は90:10、右側は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は20:80、全体では第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は90:10であった。
(実施例9)
実施例3において、正極引き出し線を保護するように500μm×500μmの正方形領域を第2の絶縁領域で被覆した画像パターンを形成した以外は、実施例3と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。
画像パターンは被覆領域を設けた以外は実施例3と同様である。実施例9の被覆率は54%、実施例9の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は50:50であった。
(実施例10)
実施例3において、正極合材層の端4点に500μm×500μmの正方形領域を第2の絶縁領域で被覆しない画像パターンを形成し、この非被覆の正方形領域に1μLのエポキシ樹脂(DIC株式会社製、EPICLON860)を塗布した以外は、実施例3と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。
画像パターンは非被覆の正方形領域を設けた以外は実施例3と同様である。実施例10の被覆率は46%、実施例10の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は50:50であった。
(実施例11)
実施例3において、正極引き出し線を保護するように500μm×500μmの正方形領域を第2の絶縁領域で被覆した画像パターンを形成し、非被覆領域に1μLのエポキシ樹脂を塗布した以外は、実施例3と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。
画像パターンは非被覆領域と被覆領域を設けた以外は実施例3と同様であった。実施例11の被覆率は50%、実施例11の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は50:50であった。
(実施例12)
実施例1において、インクジェットヘッドから吐出される液滴を2.3pLとし、吐出率を80%とした以外は、実施例1と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。
画像パターンは図29に示すとおりである。実施例12の被覆率は59%、実施例12の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は10:90と算出された。
(実施例13)
実施例1において、インクジェットヘッドから吐出される液滴を12pLとし、吐出率を15%とした以外は、実施例1と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。
画像パターンは図21に示すとおりである。実施例13の被覆率は41%、実施例13の絶縁層は第1の絶縁領域と第2の絶縁領域を有しており、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は95:5であった。
(比較例1)
実施例1において、インクジェットヘッドから吐出される液滴を1.8pLとし、吐出率を100%とした以外は、実施例1と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。
画像パターンは図30に示すとおりである。比較例1の被覆率は60%、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は0:100であった。
(比較例2)
実施例1において、インクジェットヘッドから吐出される液滴を15pLとし、吐出率を12%とした以外は、実施例1と同様にして絶縁層を形成し、実施例1と同様にして電気化学素子を作製した。得られた電気化学素子について、実施例1と同様にして諸特性を評価した。結果を表1に示した。
画像パターンは図20に示すとおりである。比較例2の被覆率は40%、第1の絶縁領域と第2の絶縁領域の面積比率(A:B)は100:0と算出された。
*表1中の被覆領域における「〇」は、被覆領域有りを意味する。
*表1中の非被覆領域における「〇」は、非被覆領域有りを意味する。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 基体と、前記基体上に電極合材層と、前記電極合材層上に絶縁層とを有する電極であって、
前記電極を上方視した前記絶縁層の表面画像から、前記絶縁層が形成されていない非絶縁層領域で囲まれた1つの前記絶縁層である単位絶縁層を求め、
横軸が前記単位絶縁層の面積(μm)を表し、かつ縦軸が前記単位絶縁層の個数を表すグラフを得て、前記単位絶縁層の面積(μm)が1,000μm以上であり、その個数が最多である前記単位絶縁層を第1の絶縁領域とし、
前記単位絶縁層において前記第1の絶縁領域の2倍以上の面積(μm)を有する前記絶縁層を第2の絶縁領域としたとき、
前記絶縁層が、前記第1の絶縁領域と前記第2の絶縁領域とを有する
ことを特徴とする電極である。
<2> 前記第2の絶縁領域は、前記第2の絶縁領域の重心を通りかつ両端が前記第2の絶縁領域の外周と接する線分の最大長さが500μmを超える、前記<1>に記載の電極である。
<3> 前記第2の絶縁領域の面積が8,000μm以上である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の電極である。
<4> 前記第1の絶縁領域Aと前記第2の絶縁領域Bとの面積比率(A:B)が20:80~90:10である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の電極である。
<5> 前記電極合材層における任意の1辺が500μm以上の正方形領域を前記第1の絶縁領域および/又は前記第2の絶縁領域が被覆する被覆領域を有する、前記<1>から<2>のいずれかに記載の電極である。
<6> 前記電極が集電部を更に有し、
前記被覆領域が前記集電部の周辺に設けられる、前記<5>に記載の電極である。
<7> 前記電極合材層における任意の1辺が500μm以上の正方形領域を前記第1の絶縁領域および/又は前記第2の絶縁領域が被覆していない非被覆領域を有する、前記<1>から<2>のいずれかに記載の電極である。
<8> 前記非被覆領域が前記電極合材層の端部に設けられる、前記<7>に記載の電極である。
<9> 前記非被覆領域が前記電極合材層の角部に設けられる、前記<7>に記載の電極である。
<10> 前記絶縁層が絶縁性粒子を含む、前記<1>から<2>のいずれかに記載の電極である。
<11> 前記絶縁性粒子がα-アルミナである、前記<10>に記載の電極である。
<12> 基体と、前記基体上に電極合材層と、前記電極合材層上に絶縁層とを有する電極であって、
前記絶縁層は海島状であり、
前記電極を上方視したときに、前記絶縁層は、
ノズルから吐出されることで形成される1ドットからなる絶縁領域と、
前記1ドットからなる絶縁領域同士が連結することで形成される複数ドットからなる絶縁領域と、を有することを特徴とする電極である。
<13> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の電極を有することを特徴とする電気化学素子である。
<14> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の電極を製造する電極の製造装置であって、
液体組成物を吐出する複数の吐出口を有する吐出手段と、
前記吐出手段からの前記液体組成物の吐出を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段が複数の前記吐出口のうち、一の前記吐出口からは前記液体組成物を吐出し、他の前記吐出口からは前記液体組成物を吐出しないように制御することを特徴とする電極の製造装置である。
<15> 前記制御手段が、一の前記吐出口から吐出される前記液体組成物の吐出量を1回当たり3pL以上10pL以下となるように制御する、前記<14>に記載の電極の製造装置である。
<16> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の電極を製造する電極の製造方法であって、
液体組成物を複数の吐出口を有する吐出手段から吐出する吐出工程と、
前記液体組成物の吐出を制御する制御工程と、を含み、
複数の前記吐出口のうち、一の前記吐出口からは前記液体組成物を吐出し、他の前記吐出口からは前記液体組成物を吐出しないように制御することを特徴とする電極の製造方法である。
<17> 前記制御工程において、一の前記吐出口から吐出される前記液体組成物の吐出量を1回当たり3pL以上10pL以下となるように制御する、前記<16>に記載の電極の製造方法である。
前記<1>から<12>のいずれかに記載の電極、前記<13>に記載の電気化学素子、前記<14>から<15>のいずれかに記載の電極の製造装置、及び前記<16>から<17>のいずれかに記載の電極の製造方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
21 基体
22 電極合材層
23 絶縁層
23a 第1の絶縁領域
23b 第2の絶縁領域
24 吐出ヘッド
25 被覆領域
26 非被覆領域
100 電極
300、300’ 液体吐出装置
306 液体吐出ヘッド
307 タンク(収容容器)
特許第3953026号公報

Claims (17)

  1. 基体と、前記基体上に電極合材層と、前記電極合材層上に絶縁層とを有する電極であって、
    前記電極を上方視した前記絶縁層の表面画像から、前記絶縁層が形成されていない非絶縁層領域で囲まれた1つの前記絶縁層である単位絶縁層を求め、
    横軸が前記単位絶縁層の面積(μm)を表し、かつ縦軸が前記単位絶縁層の個数を表すグラフを得て、前記単位絶縁層の面積(μm)が1,000μm以上であり、その個数が最多である前記単位絶縁層を第1の絶縁領域とし、
    前記単位絶縁層において前記第1の絶縁領域の2倍以上の面積(μm)を有する前記絶縁層を第2の絶縁領域としたとき、
    前記絶縁層が、前記第1の絶縁領域と前記第2の絶縁領域とを有する
    ことを特徴とする電極。
  2. 前記第2の絶縁領域は、前記第2の絶縁領域の重心を通りかつ両端が前記第2の絶縁領域の外周と接する線分の最大長さが500μmを超える、請求項1に記載の電極。
  3. 前記第2の絶縁領域の面積が8,000μm以上である、請求項1から2のいずれかに記載の電極。
  4. 前記第1の絶縁領域Aと前記第2の絶縁領域Bとの面積比率(A:B)が20:80~90:10である、請求項1から2のいずれかに記載の電極。
  5. 前記電極合材層における任意の1辺が500μm以上の正方形領域を前記第1の絶縁領域および/又は前記第2の絶縁領域が被覆する被覆領域を有する、請求項1から2のいずれかに記載の電極。
  6. 前記電極が集電部を更に有し、
    前記被覆領域が前記集電部の周辺に設けられる、請求項5に記載の電極。
  7. 前記電極合材層における任意の1辺が500μm以上の正方形領域を前記第1の絶縁領域および/又は前記第2の絶縁領域が被覆していない非被覆領域を有する、請求項1から2のいずれかに記載の電極。
  8. 前記非被覆領域が前記電極合材層の端部に設けられる、請求項7に記載の電極。
  9. 前記非被覆領域が前記電極合材層の角部に設けられる、請求項7に記載の電極。
  10. 前記絶縁層が絶縁性粒子を含む、請求項1から2のいずれかに記載の電極。
  11. 前記絶縁性粒子がα-アルミナである、請求項10に記載の電極。
  12. 基体と、前記基体上に電極合材層と、前記電極合材層上に絶縁層とを有する電極であって、
    前記絶縁層は海島状であり、
    前記電極を上方視したときに、前記絶縁層は、
    ノズルから吐出されることで形成される1ドットからなる絶縁領域と、
    前記1ドットからなる絶縁領域同士が連結することで形成される複数ドットからなる絶縁領域と、を有することを特徴とする電極。
  13. 請求項1から2のいずれかに記載の電極を有することを特徴とする電気化学素子。
  14. 請求項1から2のいずれかに記載の電極を製造する電極の製造装置であって、
    液体組成物を吐出する複数の吐出口を有する吐出手段と、
    前記吐出手段からの前記液体組成物の吐出を制御する制御手段と、を有し、
    前記制御手段が複数の前記吐出口のうち、一の前記吐出口からは前記液体組成物を吐出し、他の前記吐出口からは前記液体組成物を吐出しないように制御することを特徴とする電極の製造装置。
  15. 前記制御手段が、一の前記吐出口から吐出される前記液体組成物の吐出量を1回当たり3pL以上10pL以下となるように制御する、請求項14に記載の電極の製造装置。
  16. 請求項1から2のいずれかに記載の電極を製造する電極の製造方法であって、
    液体組成物を複数の吐出口を有する吐出手段から吐出する吐出工程と、
    前記液体組成物の吐出を制御する制御工程と、を含み、
    複数の前記吐出口のうち、一の前記吐出口からは前記液体組成物を吐出し、他の前記吐出口からは前記液体組成物を吐出しないように制御することを特徴とする電極の製造方法。
  17. 前記制御工程において、一の前記吐出口から吐出される前記液体組成物の吐出量を1回当たり3pL以上10pL以下となるように制御する、請求項16に記載の電極の製造方法。
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