JP2023130562A - 電極およびその製造方法と電極積層構造体および電気化学セル - Google Patents

電極およびその製造方法と電極積層構造体および電気化学セル Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、電極およびその製造方法と電極積層構造体および電気化学セルの提供を目的とする。【解決手段】本発明の電極は、複数の電極本体が電極接続部を介し帯状に接続されて電極構造体が構成され、一端側の前記電極本体に電極端子が形成された電極であり、前記電極構造体が集電体層とその両面に形成された活物質層及びセパレータ層を有する積層構造の電極であって、前記セパレータ層が、前記電極構造体の表面と裏面を覆って設けられた多孔質の第1セパレータ層と、前記電極構造体の前記表面と前記裏面に隣接する周面において前記第1セパレータ層により覆われていない未被覆部を少なくとも覆って設けられ、前記第1セパレータ層に形成されている孔よりも内径の小さな孔を有し、前記第1セパレータ層よりも薄い多孔質の第2セパレータ層を具備したことを特徴とする。【選択図】図8

Description

本発明は、電極およびその製造方法と電極積層構造体および電解化学セルに関する。
従来、スマートフォン、ウエアラブル機器、補聴器などの小型機器の電源として、リチウムイオン二次電池、電気化学キャパシタ等の電気化学セルが広く活用されている。
このような電気化学セルにおいて、電池容量並びに充電電流および放電電流を大きくする観点から、電気化学セル内で対向している電極どうしの面積を可能な限り大きくすることが必要とされている。電気化学セルの構造としては、一対の帯状の電極を帯状のセパレータを介し積層してケースに収め、電解液を電極及びセパレータに含浸させた構造が知られている。
例えば、以下の特許文献1には、複数の電極本体を帯状に連結してなる電極構造体を塗膜硬化層からなるセパレータ層により覆って構成し、複数の電極本体を折り畳み構成とした電極を外装体に収容した電気化学セルが開示されている。
特開2020-202120号公報
前述の塗膜硬化層からなるセパレータ層を用いた電極を製造する場合、以下に説明する製造方法を検討できる。
図14に示すように平面視短冊状の金属箔からなる集電体シート100の表裏両面に、正極用あるいは負極用の活物質層101をシート上部の矩形状の未塗布領域100aを除いて形成する。その後、図15に示すように活物質層101と未塗布領域100aに渡るように電極輪郭形状に対応する打ち抜き部102を残すような打ち抜きを行うと、図16(A)、(B)に示す活物質層付きの電極体103を得ることができる。
次いで電極体103において活物質層101の全面を覆うように塗料を塗布して図17(A)、(B)に示すセパレータ層105を形成することにより、電極106を得ることができる。この電極106は複数の円形状の電極本体107を帯状の電極接続部108で帯状に連結してなり、端部の電極本体107から電極端子109を突出させた構造を有する。
図14~図17を基に説明した製造方法を実施するならば、電極体103の表面と裏面に塗料を塗布すると、電極体側面側への塗料の回り込みが生じるので、電極本体107と電極接続部108の外周全部をセパレータ層105で覆った構造の電極106を製造できる。この電極106は電極本体107と電極接続部108の外周をセパレータ層105で覆っているので、絶縁性の面では優れている。ところが、図17(B)に示すように電極本体107の外周部にセパレータ層105がその厚み分、はみ出しているので、電極本体107の外径をこれ以上大きくできないという問題を生じる。
例えば、電極本体107を折り畳んでボタン型の容器に収容する場合、電極本体107の外周部に厚いセパレータ層105が存在するので、セパレータ層105の厚み分、電極本体107の外径を小さくする必要がある。
なお、打ち抜き前の図14に示す状態で活物質層101の表面にセパレータ層形成用の塗料を塗布し、塗料乾燥後に図15に示すように打ち抜き加工を施すと、電極本体107の外周面の打ち抜き部にセパレータ層105で覆われていない集電体シート100の周面と活物質層101の周面が露出することとなる。この電極を折り畳み構造とした場合、集電体シート100の周面と活物質層101の周面が他の部材と接触するショートリスクが増える問題がある。ショートリスクを解消するためには、電極本体107の外径をより小さく形成し、電極本体107の外周縁におけるセパレータ層のはみ出し部分の幅を大きくする必要があり、デッドスペースが増えるため、電極本体107の面積を大きくできない問題がある。
なお、電極106に対しディップ法などにより絶縁性被膜を形成すると、セパレータ層105の機能を失ってしまう問題がある。セパレータ層105はイオン透過性の多孔質材からなり、電解液中のイオンの移動を許容しなくてはならないが、ディップ法による絶縁被膜は多孔質材の表面を覆ってイオンの移動経路を閉じてしまうので、電池として機能しなくなる問題がある。
本発明は、以上説明のような従来の実情に鑑みなされたものであり、多孔質の塗膜硬化層である第1セパレータ層と、第1セパレータ層に形成されている孔よりも微細な孔を有する多孔質の薄い第2セパレータ層を用いることにより、セパレータ層が本来有するイオンの移動を阻害することなく電極としてのショートリスクを回避した電極およびその製造方法と電極構造体および電気化学セルの提供を目的とする。
(1)前記課題を解決するため、本発明は、複数の電極本体が電極接続部を介し帯状に接続されて電極構造体が形成され、一端側の前記電極本体に電極端子が形成された電極であり、前記電極構造体が集電体層とその両面に形成された活物質層及びセパレータ層を有する積層構造の電極であって、前記セパレータ層が、前記電極構造体の表面と裏面を覆って設けられ、塗膜硬化層からなる多孔質の第1セパレータ層と、前記電極構造体の前記表面と前記裏面に隣接する周面において前記第1セパレータ層により覆われていない未被覆部を少なくとも覆って設けられ、前記第1セパレータ層に形成されている孔よりも内径の小さな孔を有し、前記第1セパレータ層よりも薄い多孔質の第2セパレータ層を具備したことを特徴とする。
活物質層を備えた電極構造体の表裏面を覆うように設けられた第1セパレータ層を有するため、正極活物質を備えた電極と負極活物質を備えた電極を電解液に浸漬することで活物質層と電解液との間でイオン交換を可能とする電気化学セルを構成できる。
第1セパレータ層により覆われていない電極構造体の周面側は、第1セパレータ層に形成されている孔より小さい孔を有する薄い第2セパレータ層で覆われるため、電極構造体の周面側においてもイオンの移動が可能であり、かつ、電極構造体の周面側に厚い第1セパレータ層が存在しない。このため、電極を容器などに収容して電気化学セルを構成する場合、厚い第1セパレータ層を周面側に有する電極よりも第2セパレータ層を周面側に有する電極の方が、電極本体の面積を大きくできる。このため、上述の構成を有する電極を用いて電気化学セルを構成すると、高容量の電気化学セルを提供できる。
(2)本発明の一形態に係る電極において、前記第2セパレータ層に平均内径1000nm以下の孔が形成され、前記第1セパレータ層に平均内径10~100μmの孔が形成された構成を採用できる。
第2セパレータ層に平均内径1000nm以下の孔が形成され、第1セパレータ層に平均内径10~100μmの孔が形成された構成では、第2セパレータ層を第1セパレータ層より確実に薄くできるため、電極本体の面積を大きくする場合に有利となる。
(3)本発明の一形態に係る電極積層構造体は、(1)または(2)に記載の電極が一対設けられ、一方の電極の活物質を正極活物質として正極電極が構成され、他方の電極の活物質を負極活物質として負極電極が構成されるとともに、前記正極電極と前記負極電極が、前記電極本体どうしを重ねて交互積層された構成を採用できる。
正極電極と負極電極の相互の電極本体どうしを重ねて交互積層することで電極積層構造体を得ることができる。この電極積層構造体であるならば、薄い第2セパレータ層を周面に設けているので、外径が不要に大きくならない構造にできる。
(4)本発明の一形態に係る電気化学セルは、(3)に記載の前記電極積層構造体を電解液とともに外装体の内部に備えたことを特徴とする。
薄い第2セパレータ層を周面に設けた電極積層構造体を外装体の内部に備えることで、一定サイズの外装体の内部に電極積層構造体を収容する構造の場合、正極電極の電極本体あるいは負極電極の電極本体を大きく形成できる。よって、高容量の電気化学セルを提供できる。
(5)本発明の一形態に係る電極の製造方法は、複数の電極本体が電極接続部を介し帯状に接続されて電極構造体が形成され、一端側の前記電極本体に電極端子が形成された電極であり、前記電極構造体が集電体層とその両面に形成された活物質層及びセパレータ層を有する積層構造の電極であって、前記セパレータ層が、前記電極構造体の表面と裏面を覆って設けられた多孔質の第1セパレータ層と、前記電極構造体の前記表面と前記裏面に隣接する周面において前記第1セパレータ層により覆われていない未被覆部を少なくとも覆って設けられ、前記第1セパレータ層に形成されている孔よりも内径の小さな孔を有し、前記第1セパレータ層よりも薄い多孔質の第2セパレータ層を具備した電極を製造するに際し、前記電極構造体の表面と裏面を覆う多孔質の第1セパレータ層を形成後、少なくとも前記未被覆部を覆うように、電気化学セルに用いられる電解液で溶解しない高分子樹脂と、該高分子樹脂を溶解する溶剤と、前記高分子樹脂を溶解しない貧溶媒であり、かつ、前記溶剤と均質混合し、更に前記溶剤より加熱による蒸発が遅い貧溶媒を含む混合液からなる塗膜層を形成し、この塗膜層を加熱して前記溶剤を飛ばし、次いで前記貧溶媒を飛ばすことにより、前記薄い多孔質の第2セパレータ層を形成することを特徴とする。
前記高分子樹脂と前記溶剤と前記貧溶媒を含む塗膜層を加熱すると、塗膜層に含まれていた溶剤からなる溶媒が抜けた後に、貧溶媒が抜けるので、これらが抜けた後の塗膜層中に複数の孔を有する薄い多孔質の第2セパレータ層が生成する。
この第2セパレータ層を生成することで、上述の構造の電極が得られる。
(6)本発明の一形態に係る電極の製造方法は、複数の電極本体が電極接続部を介し帯状に接続されて電極構造体が形成され、一端側の前記電極本体に電極端子が形成された電極であり、前記電極構造体が集電体層とその両面に形成された活物質層及びセパレータ層を有する積層構造の電極であって、前記セパレータ層が、前記電極構造体の表面と裏面を覆って設けられた多孔質の第1セパレータ層と、前記電極構造体の前記表面と前記裏面に隣接する周面において前記第1セパレータ層により覆われていない未被覆部を少なくとも覆って設けられ、前記第1セパレータ層に形成されている孔よりも内径の小さな孔を有し、前記第1セパレータ層よりも薄い多孔質の第2セパレータ層を具備した電極を製造するに際し、前記電極構造体の表面と裏面を覆う多孔質の第1セパレータ層を形成後、少なくとも前記未被覆部を覆うように、電気化学セルに用いられる電解液で溶解しない高分子樹脂と、該高分子樹脂を溶解する溶剤とを含む混合液からなる塗膜層を形成し、その後、前記高分子樹脂を溶解せず、前記溶剤と均質混合する貧溶媒に前記塗膜層を接触させて前記塗膜層中の溶媒と前記貧溶媒の交換を行い、後に貧溶媒を加熱により除去することで前記第2セパレータ層を形成することを特徴とする。
前記高分子樹脂と前記溶剤を含む塗膜層に貧溶媒を接触させると、塗膜層に含まれていた溶剤からなる溶媒が貧溶媒と交換されるので、貧溶媒を加熱により除去すると、貧溶媒が抜けた後の塗膜層中に複数の孔を有する薄い多孔質の第2セパレータ層が生成する。
この第2セパレータ層を生成することで、上述の構造の電極が得られる。
本発明は、多孔質の第1セパレータ層と、第1セパレータ層に形成されている孔よりも微細な孔を有する多孔質の薄い第2セパレータ層を用いることにより、セパレータ層が本来有するイオンの移動を阻害することなく電極としてのショートリスクを回避した電極および電極構造体と電気化学セルを提供できる。また、この電極を提供できる製造方法を提供できる。
本発明により得られる第1実施形態の電極を備えた電池の一例を示す平面図。 図1のII-II線に沿う断面図。 同電池に組み込まれている正極電極と負極電極を重ね合わせたユニットを示すもので、(A)は斜視図、(B)は平面図。 本発明に係る電極の第1実施形態を示す平面図。 本発明に係る第1実施形態の電極を製造する方法において集電体シートに活物質層を塗布した状態を示す平面図。 同製造方法において、活物質層付きの集電体シートに第1セパレータ層を形成した状態を示す平面図。 同製造方法において、第1セパレータ層を形成した集電体シートに打ち抜き部を形成した状態を示す平面図。 第1セパレータ層上に第2セパレータ層を形成する第1の方法について示す図であり(A)は電極の部分断面図、(B)は電極に塗布する溶液を示す図、(C)は溶液を塗布後の状態を示す部分断面図、(D)は加熱して相分離させた状態を示す部分断面図、(E)は相分離後の電極の部分断面図。 図8に示す方法により製造された第1実施形態の電極の平面図。 第2実施形態に係る電極の製造方法について説明するための図であり、集電体シートの活物質層上にセパレータ層を形成した状態を示す平面図。 セパレータ層付きの集電体シートに打ち抜き部を形成した状態を示す平面図。 セパレータ層付きの集電体シートから分離した電極構造体を示すもので、(A)は平面図、(B)は部分断面図。 第1セパレータ層上に第2セパレータ層を形成する第2の方法について示す図であり、(A)は電極の部分断面図、(B)は電極に塗布する溶液を示す図、(C)は溶液を塗布後の電極を示す部分断面図、(D)は電極を貧溶媒に浸漬した状態を示す部分断面図、(E)は貧溶媒から取り出した状態を示す電極の部分断面図。 電極の製造方法に係る一従来例を示すもので、集電体シートに活物質層を形成した状態を示す平面図。 同従来方法において打ち抜き部を形成した状態を示す平面図。 同従来方法において打ち抜いた電極体を示すもので、(A)は平面図、(B)は側面図。 同従来方法において表面に絶縁塗膜を形成して得た電極を示すもので、(A)は平面図、(B)は部分断面図。
以下、本発明に係る電極の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、電気化学セルの一例として、コイン型のリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」という。)を挙げ、この電池に搭載される電極について説明する。
なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
「第1実施形態」
[電池]
図1に示すように、本第1実施形態の電池1は、平面視円形をなしている。図2を併せて参照し、電池1は、重ね合わせユニット2Aからなる電極積層構造体2と、電極積層構造体2に含浸される不図示の電解液と、電極積層構造体2を収容する外装体10と、を備えている。なお、電池1の平面視形状は円形である必要は無く、楕円形状や四角形状あるいは多角形状など、種々の形状を採用できるが、本実施形態では説明の簡易化のために、平面視円形状のコイン形電池1を例に挙げて説明する。
[電極積層構造体]
図3(A)に示すように、重ね合わせユニット2Aは、つづら折り形状に折り畳まれた負極電極3と、負極電極3と互い違いに積層するように負極電極3と交差する方向につづら折り形状に折り畳まれた電極構造体(正極構造体)4を有し、重ね合わせユニット2Aから電極積層構造体2が構成されている。
[負極電極]
負極電極3は、つづら折り状態を解除して展開した場合に帯状をなしている。負極電極3は、後述する正極電極5と同様、複数の電極接続部3aと、略円形状の複数の電極本体(張出し部)3bと、を備えている。
図2に示すように、負極電極3は、負極集電体20と、負極集電体20の両面に形成された負極活物質層22と、を備えている。図3(A)に示すように、負極電極3の一端部には、負極集電体20の延出部(負極電極端子)21が形成されている。負極電極端子21は、負極集電体20のうち、負極電極3の長手方向において電極本体3bよりも外側に延在されている部分に相当する。
例えば、負極集電体20は、銅、ニッケル及びステンレス等の金属材料で形成されている。負極活物質層22は、負極活物質、導電助剤、結着剤及び増粘剤等を含む。例えば、負極活物質層22は、黒鉛等の炭素材料で形成されている。例えば、導電助剤としては、カーボンブラック類、炭素材料及び金属微粉等が挙げられる。例えば、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂材料が挙げられる。例えば、増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の樹脂材料が挙げられる。
[電極構造体(正極構造体)]
図4に示すように、電極構造体(正極構造体)4は、正極電極5と、正極電極5のほぼ全体を覆うセパレータ層6を備えている。本実施形態の電極構造体4は、正極電極5とセパレータ層6とを一体化したものである。電極構造体4の概形は、負極電極3の概形と実質的に同じ大きさである。
[正極電極]
正極電極5は、つづら折り状態を解除して展開すると帯状をなしている。具体的に、正極電極5は、複数の電極接続部5aと、複数の電極本体5bを備えている。以下、帯状の正極電極5の長手方向と直交する方向を「正極電極5の幅方向」ということがある。電極接続部5aは、正極電極5の幅方向内側に窪んでいる。
図4に示すように正極電極5を展開した状態において、電極本体5bは、正極電極5の長手方向で電極接続部5aと隣り合う位置に配置されている。電極本体5bは、正極電極5の幅方向で電極接続部5aよりも外側に円弧状に張り出している。この実施形態で展開状態の電極本体5bは、略円形状をなし、4つの電極接続部5aを介し5つ直線状に接続されている。
図3に示すように、電極構造体4のつづら折り構造において、各電極本体5bは互いに実質的に平行に積層されている。電極接続部5aは、正極電極5の長手方向において各電極本体5bの端縁に連なっている。すなわち、電極接続部5aは、隣り合う2つの電極本体5bどうしを直列に接続している。
図3、図4を併せて参照し、正極電極5の外形(積層方向に沿って平面視した場合の外周輪郭)は、負極電極3の外形(積層方向に沿って平面視した場合の外周輪郭)よりも若干小さい。すなわち、正極電極5における電極接続部5a及び電極本体5bの外形は、負極電極3における電極接続部3a及び電極本体3bの外形よりも若干小さい。
図2に示すように、正極電極5は、帯状の正極集電体30と、正極集電体30の両面に形成された正極活物質層32を備えている。図4に示すように、正極電極5の一端部に、正極集電体30の延出部(正極電極端子)31が形成されている。正極電極端子31は、正極集電体30のうち、正極電極5の長手方向において一側端部に位置する電極本体5bよりも外側に延在されている部分である。
例えば、正極集電体30は、アルミニウムまたはアルミニウム合金あるいはステンレス等の金属材料で形成されている。正極活物質層32は、正極活物質、導電助剤、結着剤及び増粘剤等を含む。例えば、正極活物質層32は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム等の複合金属酸化物で形成されている。例えば、導電助剤としては、カーボンブラック類、炭素材料及び金属微粉等が挙げられる。例えば、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂材料が挙げられる。例えば、増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の樹脂材料が挙げられる。
[セパレータ層]
図4に示すように、セパレータ層6は、つづら折り状態を展開した状態で帯状をなしている。セパレータ層6は、上述した正極電極5と同様、4つの電極接続部6aと、5つの張出し部6bを備えている。セパレータ層6における電極接続部6a及び張出し部6bの外形は、負極電極3における電極接続部3a及び電極本体3bと実質的に同じ大きさである。
正極電極5は、正極集電体30の両面に正極活物質層32を備えて構成され、展開状態で平面視した状態では複数の電極接続部5aと電極本体5bと電極端子31とからなるが、セパレータ層6は正極電極5において電極端子31の先端部を除いた部分のほぼ全体を覆っている。なお、帯状に配列された5つの電極本体5bのうち、電極端子31を設けた側と反対側の端部に位置する電極本体5bにおいて、その表裏面の大部分がセパレータ層6で覆われているが、その表裏面(外周面)の一部にセパレータ層6で覆われていない平面視円弧状の未形成部5eが形成され、表裏両面の未形成部5eを覆った絶縁テープからなる絶縁層6fが設けられている。この絶縁層6fの幅は電極端子31より若干大きな幅に形成され、絶縁層6fはセパレータ層の未形成部5eを覆うとともに、電極本体5bの円弧状の外周輪郭から若干外側にはみ出すように平面視矩形状に形成されている。
本実施形態のセパレータ層6は、電極接続部5aと電極本体5bの表裏両面を覆った第1セパレータ層6Aと、この第1セパレータ層6Aの外面と、電極本体5bの周面側と電極接続部5aの側面側を覆った第2セパレータ層6Bとから構成されている。
第1セパレータ層6Aと第2セパレータ層6Bは、1つの例として、相分離法で形成することができる。そして、相分離法により第1セパレータ層6Aと第2セパレータ層6Bを形成する場合にそれぞれの層に形成する孔の内径を調整し、第1セパレータ層6Aに形成される孔の平均内径より、第2セパレータ層6Bに形成される孔の平均内径を小さく形成するとともに、第1セパレータ層6Aより第2セパレータ層6Bを薄く形成することにより図4に示すセパレータ層6を得ることができる。
第1セパレータ層6Aと第2セパレータ層6Bは、はポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミドなど、電解液に耐える高分子樹脂から構成できる。
第1セパレータ層6Aと第2セパレータ層6Bの具体的な製造方法は、後に図8を参照して詳細に説明する。
[外装体]
図1及び図2を併せて参照し、外装体10は、正極缶体11と、負極缶体12と、正極缶体11と負極缶体12との間を電気的に絶縁するガスケット13を備えている。
正極缶体11及び負極缶体12は、偏平型の有底円筒状をなしている。正極缶体11の内径は、負極缶体12の外径よりも若干大きい。負極缶体12の筒状部が正極缶体11に挿入された状態で、電極積層構造体2は、負極缶体12の底面と正極缶体11の底面との間に挟まれている。
ガスケット13は、負極缶体12の筒状部の外周面と正極缶体11の筒状部の内周面との間に配置されている。このガスケット13により、電極積層構造体2が外装体10に封止されている。図2、図3を併せて参照し、正極缶体11は、重ね合わせユニット2Aの正極集電体30の電極端子31と接続されており、正極として機能する。一方、負極缶体12は、重ね合わせユニット2Aの負極集電体20の電極端子21と接続されており、負極端子として機能する。なお、図2においては、電極端子21、31の図示を省略している。
本実施形態では、電極積層構造体2を外装体10に封入してコイン型とした例を挙げて説明したが、本形態はこの構造に限定されるものではなく、電極積層構造体2をラミネートフィルムからなるラミネートパックに封入し、電極積層構造体2と電気的に接続したリード線をラミネートパックから外部に突出させた構造を採用しても良い。
ラミネートフィルムからなるラミネートパックである場合、正極缶体11および負極缶体12とガスケット13からなる缶体構造よりも封止性に優れているので、電池としての長期信頼性に優れる特徴を有する。
「電極の製造方法:第1実施形態」
次に、上述のセパレータ層6を備えた正極電極5の製造方法の一例について以下に説明する。
まず、正極活物質層32を形成するための構成材料を含む塗布液(スラリー)を調整する。以下、正極活物質層32を形成するための構成材料を含む塗布液を「正極用スラリー」という。正極用スラリーは、上述の正極活物質、導電助剤、結着剤及び増粘剤等を含む。なお、スラリーの溶媒としては、結着剤及び増粘剤を溶解し、かつ活物質及び導電助剤を分散するものであればよい。
次に、目的とする図4に示す展開状態の正極電極5の全長よりも平面視縦幅が大きく、正極電極5を複数本横幅方向に整列可能な大きさの平面視長方形状の図5に示す集電体シート50を用意する。
集電体シート50は加工後に正極集電体30となるので、前述したようにアルミニウムまたはアルミニウム合金あるいはステンレス鋼などの金属シートからなる。それらの厚さは一例として、10数μm程度である。
ここでは説明の簡略化のために、2つの正極電極5を同時に製造する場合を想定し、集電体シート50の横幅を正極電極5の横幅の3~4倍程度の横幅に設定した例について説明する。なお、1枚の集電体シート50に形成する正極電極5の数は特に制限が無いので、図5に示す集電体シート50の横幅を更に大きくした集電体シートを用いることができ、その場合は更に多くの正極電極5を同時に打ち抜きにより生産できる。
図5に示す平面視縦長の長方形状の集電体シート50に対し、集電体シート50の表裏面上部の所定幅の帯状(矩形状)の領域(未塗布部)50aを除き、集電体シート50の表裏面に前述の正極用スラリーを塗布して乾燥し、硬化させ、正極活物質層51を形成する。図5に示す未塗布部50aの縦幅aは、製造対象とする正極電極5の電極端子31より若干大きく形成し、正極活物質層51を塗布した領域の縦幅bは図4に示す電極構造体4の全体長さよりも若干大きく形成する。
次に、集電体シート50の表裏面に対し、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレー塗布法、インクジェット塗布法、浸漬法、ダイコート法などの塗布法を用いて第1セパレータ層形成用の塗料を塗布し、塗膜を形成する。この塗膜の塗布範囲は活物質層51の形成範囲とする。即ち、集電体シート50の未塗布部50aを除いた部分であって、活物質層51上にセパレータ層形成用の塗膜を形成する。
この塗膜を加熱し乾燥させると、図6に示すように第1セパレータ層相当部61を生成できる。
第1セパレータ層6Aは、前述したようにポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミドなど、電解液に耐える高分子樹脂から構成できる。
これらの高分子樹脂を溶かすことが可能なN-メチルピロリドンあるいはアセトンなどの溶剤に上述の高分子樹脂を必要量溶解し、更に、水、アルコール、エーテルのいずれかの貧溶媒を添加した溶液を用意する。貧溶媒は、前述の高分子樹脂を溶かさない溶媒であり、前記溶剤と均質混合する溶媒であり、かつ、前記アセトンなどの溶剤より加熱による蒸発が遅い溶媒である。
上述の溶液を集電体シート50の表裏面の活物質層51上に塗布して塗膜層を形成し、乾燥させることで最初にアセトンなどの溶剤を飛ばすことができ、塗膜層中に水やエーテルなどの貧溶媒を残した中間層とすることができる。これにより、溶媒交換が起こり、塗膜層が多孔質の中間層となるので、この後、更に加熱して水やエーテルなどの貧溶媒を飛ばすと、多孔質の第1セパレータ層相当部61を形成できる。
なお、第1セパレータ層相当部61を形成する面は面積の大きな平面である。
このため、第1セパレータ層相当部61の形成に用いる溶液は比較的粘度の高い溶液を用いることができ、このため、浸漬法あるいはコーター法やドクターブレード法などの塗布法のいずれの方法を用いたとして、比較的厚い塗膜層を形成できる。また、厚い塗膜層を形成することにより、比較的大きな平均内径の孔を複数有する第1セパレータ層相当部61とすることができる。
なお、第1セパレータ層相当部61の作成方法として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)をN-メチルピロリドン、アセトンなどに溶解させた溶液をアルミナ、シリカなど無機材料、あるいは酸化物固体電解質を混合した塗料を利用しても良い。
この塗料を電極に塗工した後に乾燥し、硬化させて塗膜硬化層とすることによりPVDFの多孔質膜を形成することも可能であり、この多孔質膜を第1セパレータ層相当部61とすることもできる。
この場合、PVDFと無機材料の粒径と量(比表面積)、および溶液の濃度・粘度を調整することで、PVDFが無機材料周辺に偏析し、電極表面をPFDFが覆わないような調整が必要である。
次に、図7に示すように打ち抜きを行って平面視目的の大きさの正極電極5の輪郭概形を2つ、集電体シート50において左右に並列するように形成する。
図7に示す状態では、5つの電極本体5bを4つの電極接続部5aによって帯状に1列に接続し、未塗布部50a側に設けた電極本体5bの端部から電極端子相当部31aを突出させて未塗布部50aに連続させ、反対側端部に設けた電極本体5bの端部から延出部6cを突出させた形状になるように、正極活物質層51および第1セパレータ層相当部61と集電体シート50の積層物に打ち抜き部52、53、54を形成する。
これら打ち抜き部52~54を形成することで打ち抜き部52~54の内側に2つの電極構造体4の輪郭概形に相当する電極構造体相当部48と電極端子相当部31aと延出部6cとからなる帯状構造体49を形成する。帯状構造体49においては、第1セパレータ層相当部61からの打ち抜きにより、電極接続部5aと電極本体5bの表裏両面を覆った多孔質の第1セパレータ層6Aが形成されている。
これら2つの帯状構造体49は、電極端子相当部31aと延出部6cによって打ち抜き部52~54の内側に両端支持された状態で設けられている。
集電体シート50は厚さ10数μm程度の金属製導電シートであり、強度的に強固なシートではないが、電極端子相当部31aと延出部6cによって電極構造体相当部48を両端支持しているので、上述の印刷時に電極構造体相当部48の変形を抑制できる。
第1セパレータ層6Aの基となる層を形成後に打ち抜きを行っているので、電極接続部5aの側面と電極本体5bの周面は第1セパレータ層6Aには覆われていない未被覆部48aとされている。図8(A)に未被覆部48aの一部を含む電極構造体相当部48の部分断面を示す。未被覆部48aの部分では集電体シート50の端面と正極活物質層51の端面が第1セパレータ層6Aに覆われておらず、露出されている。
この未被覆部48aを覆うように以下の工程により第2セパレータ層を形成する。
第2セパレータ層はポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミドなど、電解液に耐える高分子樹脂から構成できる。
これらの高分子樹脂を溶かすことが可能なN-メチルピロリドンあるいはアセトンなどの溶剤に上述の高分子樹脂を必要量溶解し、更に、水、アルコール、エーテルのいずれかの貧溶媒を添加した図8(B)に示す溶液40を用意する。貧溶媒は、前述の高分子樹脂を溶かさない溶媒であり、前記溶剤と均質混合する溶媒であり、かつ、前記アセトンなどの溶剤より加熱による蒸発が遅い溶媒である。
例えば、先に第1セパレータ層6Aを形成するために用いた溶液と同等成分の溶液ではあるが、より粘度の低い溶液40を用意する。
溶液40を第1のセパレータ層付きの電極構造体相当部48の周面に図8(C)に示すように塗布し、塗膜層41を形成する。塗膜層41を形成する場合、溶液40に浸漬する方法で塗布しても良く、溶液40を電極構造体相当部48の外周面に一般的な塗布法により塗布しても良い。上述の浸漬処理あるいは塗布処理により、電極本体5bと電極接続部5aの表裏面の第1セパレータ層6Aに加え、電極本体5bと電極接続部5aの周面側を覆う第1セパレータ層6Aより薄い塗膜層を形成できる。
この後、図8(D)に示すように塗膜層41を加熱乾燥させると、最初にアセトンなどの溶剤を飛ばすことができ、塗膜層41中に水やエーテルなどの貧溶媒を残した中間層42とすることができる。これにより、溶媒交換が起こり、塗膜層41が多孔質の中間層42となるので、この後、更に加熱して水やエーテルなどの貧溶媒を飛ばすと、図8(E)に示す薄い第2セパレータ層43を形成できる。
先に説明した第1セパレータ層6Aは多孔質であるが、第1セパレータ層6Aに形成されている孔は平均内径10μm以上100μm以下程度のレベルの比較的大きな孔であるのに対し、第2セパレータ層6B、6Cに形成されている孔は平均内径1000nm以下(1μm以下)程度のレベルのより小さな孔である。
上述したように、溶液40の塗膜層41に対する貧溶媒の浸漬により形成できる孔を平均内径1μm以下程度のレベルに調整でき、第1セパレータ層6Aより第2セパレータ層6B、6Cをより薄く形成できる。従って、電極構造体相当部48の未被覆部48aを覆う第2セパレータ層6Bを薄く形成できる。
樹脂材料を溶媒に溶かした溶液を塗工して塗膜層を形成し、この塗膜層を加熱して溶媒、貧溶媒の順で飛ばすことで溶媒交換を生じさせ、多孔質層を形成する技術は、熱誘起相分離法として知られている。本願では上述の熱誘起相分離法の利用と上述の材料選択により、平均内径10μm以上100μm以下程度の孔、あるいは、平均内径1μm以下程度の孔を形成できる。
このため、図8(A)~(E)に示す方法により、第2セパレータ層6B、6Cで電極構造体相当部48を覆った構造を得ることができる。図9に、上述の方法により製造された正極電極5の一例を示す。
なお、第1セパレータ層6Aと第2セパレータ層6Bを形成する場合、塗工する溶液として、同じ溶液を用いる場合と、異なる溶液を用いる場合のどちらか一方を選択できる。
第1セパレータ層6Aと第2セパレータ層6Bを形成するため、同じ溶液を用いる場合、例えばディップコーティング法であれば、第2セパレータ層6Bを形成する場合の引き上げ速度を第1セパレータ層6Aを形成する場合の引き上げ速度より早くすることで、第2セパレータ層6Bを薄くできる。また、第2セパレータ層6Bを形成する場合の乾燥速度を第1セパレータ層6Aの乾燥速度より遅くすることで多孔質膜としての孔径を小さくできる。
第1セパレータ層6Aと第2セパレータ層6Bを形成するために、異なる溶液を用いる場合、ディップコーティングによる塗布であれば、例えば、第2セパレータ層用の溶液は第1セパレータ層用よりも粘度を小さくするか、塗工であれば第2セパレータ層用の溶液として薄い溶液を使用すれば薄い第2セパレータ層6Bを作成できる。
ここで、第1セパレータ層用と第2セパレータ層用で異なる溶液を使うと、必然的に第1セパレータ層6Aと第2セパレータ層6Bにおいて、多孔質の平均孔径の異なる層を生成できる。
なお、ここで説明した溶液の選択は1つの例であって、用いる溶液に応じて種々の形態を採用できる。
なお、上述の製造方法では、集電体シート50に2つの帯状構造体49を並列形成するように打ち抜くことにより、1つの集電体シート50に1回の打ち抜きで2つの帯状構造体49を形成できる。
この打ち抜き後に集電体シート50から2つの帯状構造体49を切り取ることで同時に2つの電極5を得ることができる。このため、集電体シート50としてより面積の大きな集電体シートを用いることで、1枚の集電体シートからより多数の電極の生産が可能となり、電極の大量生産が可能となる。
「電極の製造方法:第2実施形態」
次に、上述のセパレータ層6を備えた正極電極5の製造方法に関し、第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係る製造方法では、図5、図6を元に先に説明した集電体シート50に対し、活物質層51と第1セパレータ層61を形成するまでの工程は同等である。
図10に集電体シート50に対し第1セパレータ層相当部61を形成した状態を示す。なお、第2実施形態においては、説明の簡略化のため、図5、図6に示した集電体シート50よりも横幅の小さい集電体シート50を用い、1つの集電体シート50から1つの正極電極5を製造する場合を例として説明する。
図10に示す状態から、図11に示すように打ち抜きを行って平面視目的の大きさの正極電極5の輪郭概形の打ち抜き部62を形成すると、図12に示す電極構造体相当部48を備えた帯状構造体49を得ることができる。
図12に示す状態では、第1実施形態と同様に、第1セパレータ層6Aの基となる層を形成後に打ち抜きを行っているので、電極接続部5aの側面と電極本体5bの周面は第1セパレータ層6Aには覆われていない未被覆部48aとなっている。
未被覆部48aの部分では集電体シート50の端面と正極活物質層51の端面が第1セパレータ層6Aに覆われておらず、露出されている。
上述の未被覆部48aを覆うように以下の工程に従い、第2セパレータ層を形成することができる。
第2セパレータ層は上述のようにポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミドなど、電解液に耐える高分子樹脂から構成することができる。
これらの高分子樹脂を溶かすことが可能なN-メチルピロリドンあるいはアセトンなどの溶剤に上述の高分子樹脂を必要量溶解した図13(B)に示す溶液70を用意する。この溶液70の粘度は、第1セパレータ層6Aを形成する場合に用いた溶液より低粘度の溶液が好ましい。
溶液70を第1のセパレータ層付きの電極構造体相当部48の周面に図13(C)に示すように塗布し、塗膜層71を形成する。塗膜層71を形成する場合、溶液70に浸漬する方法で塗布しても良く、溶液70を電極構造体相当部48の外周面に一般的な塗布法により塗布しても良い。ここで形成する塗膜層71は、第1セパレータ層6Aより薄く形成することが好ましい。
次に、塗膜層付きの電極構造体相当部48を図13(D)に示すように貧溶媒72に浸漬する。
貧溶媒72は、前述の高分子樹脂を溶かさない溶媒であり、前記溶剤と均質混合する溶媒を用いる。
貧溶媒72への浸漬により、溶媒交換が起こり、塗膜層71を第2のセパレータ層6Bとすることができる。図13(E)に示すように貧溶媒72から電極構造体相当部48を取り出すと、第2のセパレータ層6Bで被覆した電極構造体を得ることができる。
図13(E)の構成では、電極構造体相当部48の未被覆部48aを覆うように第2セパレータ層6Bが生成し、第1セパレータ層6Aの表面を覆うように第2セパレータ層6Cが生成する。なお、図13(A)~(E)に示す例では、溶液70を電極構造体相当部48の全周に塗布したため、第2セパレータ層6Bに加え、第2セパレータ層6Cも生成したが、溶液70を電極構造体相当部48の未被覆部48aのみに塗布すると、第2セパレータ層6Bのみを生成できる。本実施形態において、第2セパレータ層6Cの生成を略し、第2セパレータ層6Bのみを生成しても良い。
先に説明した第1セパレータ層6Aは多孔質であるが、第1セパレータ層6Aに形成されている孔は平均内径10μm以上100μm以下程度の孔であるのに対し、第2セパレータ層6B、6Cに形成されている孔は平均内径1000nm程度である。
上述したように、溶液70の塗膜層71に対する貧溶媒の浸漬により形成できる孔の内径を平均内径1000nm程度にでき、第1セパレータ層6Aより第2セパレータ層6B、6Cをより薄く形成できる。従って、電極構造体相当部48の未被覆部48aを覆う第2セパレータ層6Bを薄く形成できる。
樹脂材料を溶媒に溶かした溶液を塗工して塗膜層を形成し、この塗膜層を貧溶媒に浸漬することで溶媒交換を生じさせ、多孔質層を形成する技術は、貧溶媒誘起相分離法として知られている。この貧溶媒誘起相分離法により、微細な孔を多数有する多孔質膜を得る技術も知られている。このため、図13(A)~(E)に示す方法により、第2セパレータ層6B、6Cで電極構造体相当部48を覆った構造を得ることができる。
なお、図1~図13を基に説明した実施形態においては、いずれも電極接続部5aを電極本体5bより幅狭に形成したが、電極接続部5aの幅と電極本体5bの幅は同一であっても差し支えない。これらの幅が同一の場合は、単純なテープ状の幅均一の電極をつづら折り、あるいは、巻回する構造となる。
このような構造の電極に対し本願発明を適用しても良い。
「第1セパレータ層の形成」
(実施例1)
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)3gをアセトン25gに溶解させた溶液を作成し、この後、粉末SiOの試薬3gを加えて均質に分散させた溶液を用いて厚さ50μmに塗工し、塗膜層を形成した。この後、塗膜層の乾燥(140℃×20分、熱風乾燥)を行い、塗膜硬化層からなる第1セパレータ層を作成した。
この第1セパレータ層の表面をSEMにより観察し、表面(200μm×200μmの範囲)に存在する複数の孔の平均内径を求めたところ、表面観察できる孔の平均内径は15μmであった。即ち、上述の方法により、平均内径15μmの複数の孔を有する多孔質の第1セパレータ層を作成できた。
(実施例2)
ポリイミド前駆体溶液に重量平均分子量が400のポリプロピレングリコール(日油(株)製 グレード:D400)をポリイミド樹脂前駆体100重量部に対し300重量部添加し、さらにジメチルアセトアミドを400重量部加え、撹拌して透明な均一の配合溶液を得た。この配合溶液を電極に塗工し、140℃で20分間、熱風乾燥させて、厚さ15μmの第1セパレータ層を得た。
この第1セパレータ層の表面をSEMにより観察し、表面(200μm×200μmの範囲)に存在する複数の孔の平均内径を求めたところ、表面観察できる孔の平均内径は20μmであった。即ち、上述の方法により、平均内径20μmの複数の孔を有する第1セパレータ層を作成できた。
(実施例3)
PVDF16%、NMP64%、PVP10%を含有する溶液を電極に塗工し、貧溶媒トリエチウホソフェート中に浸漬して多孔質膜を得た。この多孔質膜を140℃で20分間、熱風乾燥させて、厚さ15μmの第2セパレータ層を得た。
この第2セパレータ層の表面をSEMにより観察し、表面(5μm×5μmの範囲)に存在する複数の孔の平均内径を求めたところ、表面観察できる孔の平均内径は500nmであった。即ち、上述の方法により、平均内径500nmの複数の孔を有する第2セパレータ層を作成できた。
1…電池、2…電極積層構造体、3…負極電極、3a…電極接続部、3b…電極本体(張出し部)、4…電極構造体(正極構造体)、5…正極電極、5a…電極接続部、5b…電極本体(張出し部)、5c…延出部、5d…未形成部、6…セパレータ層、6A…第1セパレータ層、6B…第2セパレータ層、6a…電極接続部、6b…張出し部、10…外装体、20…負極集電体、21…負極電極端子(延出部)、22…負極活物質層、30…正極集電体、31…正極電極端子(延出部)、32…正極活物質層、40…溶液、41…塗膜層、43…第2セパレータ層、48…電極構造体相当部、48a…未被覆部、49…帯状構造体、50…集電体シート、51…活物質層、50a…未塗布部、70…溶液、71…塗布層。

Claims (8)

  1. 複数の電極本体が電極接続部を介し帯状に接続されて電極構造体が構成され、一端側の前記電極本体に電極端子が形成された電極であり、前記電極構造体が集電体層とその両面に形成された活物質層及びセパレータ層を有する積層構造の電極であって、
    前記セパレータ層が、前記電極構造体の表面と裏面を覆って設けられた多孔質の第1セパレータ層と、
    前記電極構造体の前記表面と前記裏面に隣接する周面において前記第1セパレータ層により覆われていない未被覆部を少なくとも覆って設けられ、前記第1セパレータ層に形成されている孔よりも内径の小さな孔を有し、前記第1セパレータ層よりも薄い多孔質の第2セパレータ層を具備したことを特徴とする電極。
  2. 前記第2セパレータ層に平均内径1000nm以下の孔が形成され、前記第1セパレータ層に平均内径10~100μmの孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の電極。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電極が一対設けられ、一方の電極の活物質を正極活物質として正極電極が構成され、他方の電極の活物質を負極活物質として負極電極が構成されるとともに、前記正極電極と前記負極電極が、前記電極本体どうしを重ねて交互積層されたことを特徴とする電極積層構造体。
  4. 請求項3に記載の前記電極積層構造体を電解液とともに外装体の内部に備えたことを特徴とする電気化学セル。
  5. 複数の電極本体が電極接続部を介し帯状に接続されて電極構造体が形成され、一端側の前記電極本体に電極端子が形成された電極であり、前記電極構造体が集電体層とその両面に形成された活物質層及びセパレータ層を有する積層構造の電極であって、
    前記セパレータ層が、前記電極構造体の表面と裏面を覆って設けられた多孔質の第1セパレータ層と、
    前記電極構造体の前記表面と前記裏面に隣接する周面において前記第1セパレータ層により覆われていない未被覆部を少なくとも覆って設けられ、前記第1セパレータ層に形成されている孔よりも内径の小さな孔を有し、前記第1セパレータ層よりも薄い多孔質の第2セパレータ層を具備した電極を製造するに際し、
    前記電極構造体の表面と裏面を覆う多孔質の第1セパレータ層を形成後、少なくとも前記未被覆部を覆うように、
    電気化学セルに用いられる電解液で溶解しない高分子樹脂と、該高分子樹脂を溶解する溶剤と、前記高分子樹脂を溶解しない貧溶媒であり、かつ、前記溶剤と均質混合し、更に前記溶剤より加熱による蒸発が遅い貧溶媒を含む混合液からなる塗膜層を形成し、
    この塗膜層を加熱して前記溶剤を飛ばし、次いで前記貧溶媒を飛ばすことにより、前記薄い多孔質の第2セパレータ層を形成することを特徴とする電極の製造方法。
  6. 複数の電極本体が電極接続部を介し帯状に接続されて電極構造体が形成され、一端側の前記電極本体に電極端子が形成された電極であり、前記電極構造体が集電体層とその両面に形成された活物質層及びセパレータ層を有する積層構造の電極であって、
    前記セパレータ層が、前記電極構造体の表面と裏面を覆って設けられた多孔質の第1セパレータ層と、
    前記電極構造体の前記表面と前記裏面に隣接する周面において前記第1セパレータ層により覆われていない未被覆部を少なくとも覆って設けられ、前記第1セパレータ層に形成されている孔よりも内径の小さな孔を有し、前記第1セパレータ層よりも薄い多孔質の第2セパレータ層を具備した電極を製造するに際し、
    前記電極構造体の表面と裏面を覆う多孔質の第1セパレータ層を形成後、少なくとも前記未被覆部を覆うように、
    電気化学セルに用いられる電解液で溶解しない高分子樹脂と、該高分子樹脂を溶解する溶剤とを含む混合液からなる塗膜層を形成し、
    その後、前記高分子樹脂を溶解せず、前記溶剤と均質混合する貧溶媒に前記塗膜層を接触させて前記塗膜層中の溶媒と前記貧溶媒の交換を行い、後に貧溶媒を加熱により除去することで前記第2セパレータ層を形成することを特徴とする電極の製造方法。
  7. 前記第1セパレータ層を形成するに際し、前記第2セパレータ層を形成する方法と同じ方法を採用し、前記第1セパレータ層を形成する際に用いる溶液の調整と前記第2セパレータ層を形成する際に用いる溶液の調整により、前記第2セパレータ層に形成する孔の平均内径を前記第1セパレータ層に形成する孔の平均内径より小さくすることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電極の製造方法。
  8. 前記第1セパレータ層を塗膜硬化層から構成することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の電極の製造方法。
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