JP2023129855A - フェノール樹脂および湿式ペーパー摩擦材 - Google Patents

フェノール樹脂および湿式ペーパー摩擦材 Download PDF

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【課題】柔軟性と耐熱性とを両立して有する湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂を提供すること。【解決手段】式(1)で表される構造単位を含む、湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂であって、【化1】TIFF2023129855000008.tif29153式(1)において、R1は、直鎖状または分岐鎖状の炭素数10以上20以下の飽和アルキル基であり、R2は、メチロール基である、フェノール樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂、およびこれを用いて製造される湿式ペーパー摩擦材に関する。
オートマチック自動車の変速機は、通常、金属製基板(コアプレート)の表面に湿式摩擦材を接着した複数のフリクションプレートと、金属板等の一枚板からなる摩擦相手材としてのセパレータプレートとを交互に配した多版クラッチが組み込まれ、潤滑油として使用されるATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)の中で、これらのプレートを相互に圧接、解放することによって駆動力を伝達または遮断するように構成されている。
最近の自動車業界においては、省エネルギー化、軽量化の追求により、各種使用部品の軽量化及び高効率化が進められている。一方、自動車エンジンは高回転、高出力化の傾向にある。自動変速機においても、自動車エンジンの高回転化、高出力化に対応すべく、湿式摩擦材に対して、摩擦係数の向上、耐熱性および耐久性の更なる改善が求められている。
湿式ペーパー摩擦材は、一般的に、天然パルプや有機合成繊維等の基材に各種の摩擦調整剤などを配合した後、湿式抄紙法によりペーパーを得、次にこのペーパーに、フェノール樹脂などのバインダーとして作用する熱硬化性樹脂を含浸・硬化することにより製造される。湿式ペーパー摩擦材には、一般的に、液状レゾール型フェノール樹脂が用いられる。その湿式ペーパー摩擦材用フェノール樹脂に対する要求特性は年々高まっており、特に摩擦特性の向上を目的として、フェノール樹脂の柔軟性向上への要求が高まってきている。しかしながら、一般的なフェノール樹脂の硬化物は、機械的特性に優れる反面、堅くてもろいという性質をもち、柔軟性に優れているとは言えなかった。
そこで、上記問題を解決する方法として、フェノール樹脂を合成する際の反応において、変性剤として乾性油等を用いて柔軟性を改善する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。このような乾性油変性フェノール樹脂は、柔軟な脂肪族炭化水素基が導入されているため、未変性のフェノール樹脂と比較して柔軟性が高い特徴がある。
特開平9-59599号公報
しかしながら、特許文献1に記載の乾性油変性フェノール樹脂は、一部の脂肪族炭化水素基がフェノール構造単位に結合していないため、柔軟性向上効果が十分でない場合があった。また、フェノール構造単位中の架橋点に脂肪族炭化水素基が結合した場合、フェノール樹脂の反応点が減少するため、硬化性が低下する場合があった。さらに乾性油変性フェノール樹脂中の脂肪族炭化水素基に不飽和結合が残存するため、耐熱性に劣る場合があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、柔軟性と耐熱性とを両立して有する湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂を提供することを目的とする。本発明はまた、当該フェノール樹脂をバインダーとして使用して得られる湿式ペーパー摩擦材であって、耐熱性および機械的強度と、トルク容量とが改善された湿式ペーパー摩擦材を提供することを目的とする。
本発明によれば、式(1)で表される構造単位を含む、湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂であって、
Figure 2023129855000001
式(1)において、Rは、直鎖状または分岐鎖状の炭素数10以上20以下の飽和アルキル基であり、Rは、メチロール基である、フェノール樹脂が提供される。
また本発明によれば、繊維状基材に、上記フェノール樹脂を含浸した含浸基材を、加熱硬化して得られる、湿式ペーパー摩擦材が提供される。
本発明によれば、柔軟性と耐熱性とを両立して有する湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂が提供される。また本発明によれば、当該フェノール樹脂を使用して製造される、耐熱性および機械的強度と、トルク容量とが改善された湿式ペーパー摩擦材が提供される。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(湿式ペーパー摩擦材用フェノール樹脂)
本実施形態のフェノール樹脂は、湿式ペーパー摩擦材の製造において、繊維基材に含浸して使用するための液状のレゾール型フェノール樹脂である。本実施形態のフェノール樹脂は、式(1)で表される構造単位を含む。
Figure 2023129855000002
式(1)において、Rは、直鎖状または分岐鎖状の炭素数10以上20以下の飽和アルキル基であり、Rは、メチロール基である。
本実施形態の式(1)の構造単位を含むフェノール樹脂は、式(1)中のRが、炭素数10~20の長鎖の飽和アルキル基であることにより、柔軟性に優れる。また本実施形態のフェノール樹脂は、式(1)中のRが飽和アルキル基であり、不飽和結合を含まないことにより、耐熱性に優れる。また本実施形態のフェノール樹脂は、Rが水酸基に対してメタ位であることにより、優れた硬化特性を有する。
式(1)中のRは、好ましくは、無置換の直鎖状または分岐鎖状の炭素数10以上20以下の飽和アルキル基であり、より好ましくは、無置換の直鎖状の炭素数10以上20以下の飽和アルキル基である。Rを構成する飽和アルキル基の炭素数は、好ましくは、12以上18以下である。これにより、得られるフェノール樹脂の硬化特性がさらに改善さる。
一実施形態において、本実施形態のフェノール樹脂は、式(1)の構造単位のみから構成される。式(1)の構造単位のみからなるフェノール樹脂は、柔軟性、耐熱性および硬化特性のすべてを高度に優れたバランスで有し得る。
一実施形態において、本実施形態のフェノール樹脂は、式(1)の構造単位と式(2)の構造単位から構成される。このようなフェノール樹脂は、柔軟性と耐久性とを両立して有し得る。
Figure 2023129855000003
式(2)において、Rは、メチロール基である。
(フェノール樹脂の製造方法)
本実施形態の式(1)の構造単位を有するフェノール樹脂は、式(3)で表されるフェノール類を反応させて得られる。
Figure 2023129855000004
式(3)中のRは、式(1)におけるRと同義である。
式(3)で表されるフェノール類の具体例としては、3-ドデシルフェノール、3-トリデシルフェノール、3-ペンタデシルフェノール等が挙げられるが、これらに限定されない。入手容易性の観点から、3-ペンタデシルフェノールが好ましく用いられる。
より詳細には、本実施形態のフェノール樹脂は、反応溶媒中で、式(3)で表されるフェノール類(P)を、塩基性触媒の存在下、アルデヒド類(F)と反応させて得られる。
本実施形態のフェノール樹脂の合成のために使用される出発物質としてのアルデヒド類(f)としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n-ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o-トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、これらアルデヒド類の前駆体あるいはこれらのアルデヒド類の溶液を使用することも可能である。中でも、製造コストの観点から、ホルムアルデヒド水溶液を使用することが好ましい。
本実施形態のフェノール樹脂の合成のために使用される塩基性触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;石灰等の酸化物;亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;リン酸ナトリウム等のリン酸塩;アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン等のアミン類等が挙げられる。
本実施形態のフェノール樹脂の合成のために使用される反応溶媒としては、水が一般的であるが、有機溶媒を使用してもよい。使用できる有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶剤;プロピレングリコールメチルエーテル等のエーテル系有機溶剤;およびトルエン等の芳香族炭化水素溶剤が挙げられる、これらに限定されない。
式(3)で表されるフェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応は、これらの配合モル比(F/P)が0.8以上、好ましくは、0.8以上3.0以下、より好ましくは、1.0以上2.8以下、さらにより好ましくは、1.2以上2.5以下となるような比率で、反応がまに仕込み、さらに重合化触媒としての上述の塩基性触媒を添加して、適当な時間(例えば、3~6時間)還流を行うことにより実施される。フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との配合モル比(F/P)が、0.8未満である場合には、生成するレゾール型フェノール樹脂の重量平均分子量が小さく、所望の耐熱性等の特性を有さない場合がある。またフェノール類(P)とアルデヒド類(F)との配合モル比(F/P)が、3.0を超える場合は、反応中に樹脂のゲル化が進行し易くなるため、反応効率が低下し、また高粘度で含浸性に劣る高分子量のレゾール型フェノール樹脂が生成するため好ましくない。反応温度は、例えば、40℃~120℃であり、好ましくは60℃~100℃である。これにより、目的のフェノール樹脂を優れた収率で得ることができる。
式(3)で表されるフェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応において使用される塩基性触媒は、出発物質の式(3)で表されるフェノール類(P)に対して、例えば、1~10質量%、好ましくは、1~8質量%、より好ましくは、2~5質量%の量で使用される。上記範囲の量で塩基性触媒を用いることにより、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応効率を向上することができる。
本実施形態のフェノール樹脂が式(1)の構造単位と式(2)の構造単位から構成される場合、上記反応で使用される式(3)のフェノール類(P)に加え、無置換フェノールを使用することで、目的のフェノール樹脂を得ることができる。
本実施形態のフェノール樹脂は、取扱い性を向上させる観点から、有機溶媒により希釈された形態で提供されてもよい。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶媒、トルエン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒及びこれらの混合物が挙げられる。
さらに本実施形態のフェノール樹脂には、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、エラストマー、界面活性剤、難燃剤、酸化防止剤、着色剤等が挙げられる。
(フェノール樹脂の物性)
上記方法で得られた本実施形態のフェノール樹脂の重量平均分子量は、例えば、1,000~10,000であり、好ましくは、1,500~8,000であり、より好ましくは、2,000~5,000である。上記範囲の重量平均分子量を有するフェノール樹脂は、湿式ペーパー摩擦材の製造における取扱い性に優れる。
上記方法で得られた本実施形態のフェノール樹脂は、その硬化物の、以下の条件で測定した場合の破断伸び率が、0.8%以上である。
(条件)当該フェノール樹脂を、120mm×10mm×厚さ1mmのアラミド繊維基材に含浸させた後、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化して、試験片を得る。得られた試験片を、250℃で30分間加熱した後、JIS P 8113に準拠した方法で、当該試験片の引張破断伸びを測定する。
本実施形態のフェノール樹脂の硬化物は、上記の破断伸び率を有することにより、これをバインダー樹脂として得られる湿式ペーパー摩擦材は、優れた機械的強度と耐摩耗特性とを有し、結果としてトルク容量において優れる。
(湿式ペーパー摩擦材)
本実施形態の湿式ペーパー摩擦材は、上記液状樹脂組成物を用いて製造することができる。具体的には、湿式ペーパー摩擦材は、上記液状組成物を繊維基材に含浸し、次いでこれを熱処理により硬化することにより製造することができる。繊維基材としては、天然繊維、金属繊維、炭素繊維、化学繊維などの繊維類を用いることができる。具体的には、天然パルプ繊維、リンターパルプ等の天然繊維;ガラス繊維等の無機繊維;ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維;アラミド繊維、フェノール繊維等の化学繊維などを使用することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。繊維の形態としては、特に限定されるものではないが、不織布、織布などを用いることができる。
本実施形態の液状樹脂組成物を用いて得られた湿式ペーパー摩擦材は、耐熱性や耐久性に優れるとともに、良好な柔軟性を有する。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、3-ペンタデシルフェノール1000質量部、37%ホルマリン水溶液324質量部(3-ペンタデシルフェノール(P)に対するホルムアルデヒド(F)のモル比(F/P)=1.2)、50%水酸化ナトリウム水溶液20質量部を添加し、80℃で2時間撹拌しながら反応させた。その後、91kPaの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところでトルエン280部、メチルエチルケトン670部を加えて溶解・冷却し、不揮発分53質量%のレゾール型フェノール樹脂aを、1960質量部得た。
(比較例1)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、カルダノール1000質量部、パラトルエンスルホン酸15質量部を添加し、140℃に加熱昇温させ1時間撹拌しながら反応させた。これに、37%ホルマリン水溶液180質量部(カルダノール反応物とのモル比=0.8)、トリエチルアミン5質量部、50%水酸化ナトリウム水溶液10質量部を添加し、60℃で2時間撹拌しながら反応させた。その後、91kPaの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところでトルエン280質量部、メタノール670質量部を加えて溶解・冷却した。こうすることで、不揮発分45質量%の液状レゾール型フェノール樹脂bを、2100質量部得た。
(比較例2)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、カルダノール1000質量部、37%ホルマリン水溶液180質量部(カルダノールとのモル比=0.8)、トリエチルアミン5質量部、50%水酸化ナトリウム水溶液10質量部を添加し、60℃で2時間撹拌しながら反応させた。その後91kPaの減圧下で脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところでトルエン280質量部、メタノール670質量部を加えて溶解・冷却した。こうすることで、不揮発分45質量%の液状レゾール型フェノール樹脂cを、2100部得た。
(比較例3)
撹拌装置、還流冷却器および温度計を備えた反応装置に、カルダノール1000質量部、パラトルエンスルホン酸15質量部を添加し、140℃に加熱昇温させ1時間撹拌しながら反応させた。これにトリエチルアミン5質量部を加えて中和した後、フェノール300質量部、37%ホルマリン水溶液535質量部(カルダノール反応物及びフェノールの合計に対するモル比1.0)、50%水酸化ナトリウム水溶液12質量部を添加し、90℃に加熱昇温させて2時間撹拌しながら反応させた。その後、91kPaの減圧化で脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところでトルエン280質量部、メタノール630質量部を加えて溶解、冷却した。こうすることで、不揮発分45%の液状レゾール型フェノール樹脂dを2100質量部得た。
(比較例4)
撹拌装置、還流冷却器および温度計を備えた反応装置に、カルダノール1000質量部、パラトルエンスルホン酸15質量部を添加し、140℃に加熱昇温させ1時間撹拌しながら反応させた。これにトリエチルアミン5質量部を加えて中和した後、フェノール300質量部、37%ホルマリン水溶液535質量部(カルダノール反応物及びフェノールの合計に対するモル比1.0)、トリエチルアミン24質量部を添加し、90℃に加熱昇温させて2時間撹拌しながら反応させた。その後、91kPaの減圧化で脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところでトルエン280質量部、メタノール630質量部を加えて溶解、冷却した。こうすることで、不揮発分45%の液状のカシュー変性レゾール型フェノール樹脂eを2100質量部得た。得られたカシュー変性レゾール型フェノール樹脂eの重量平均分子量(Mw)は1000であり、分散度(Mw/Mn)は3.0であった。
(比較例5)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置中に、1000質量部のフェノールと、上記フェノールとのモル比が1となるように、740質量部のホルマリン水溶液(ホルマリン含有量:37質量%)と、20質量部のトリエチルアミンとを添加し、100℃で30分間撹拌しながら反応させた。次に、91kPaの減圧下、脱水を行いながら、系内の温度が65℃に達したところで、1000質量部のメチルエチルケトン(MEK)を加えて反応物を溶解させてから冷却した。こうすることで、2100質量部の液状の未変性レゾール型フェノール樹脂f(不揮発分(固形分)含有量:45質量%)を得た。
得られた液状の未変性レゾール型フェノール樹脂fの重量平均分子量(Mw)は200であり、分散度(Mw/Mn)は2.5であった。
(フェノール樹脂の性能評価)
実施例1、比較例1~5で得られたフェノール樹脂を、120mm×10mm×厚さ1mmのアラミド繊維基材に含浸させてから、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化させることで、湿式摩擦材(含浸紙)を試験片として得た。
得られた湿式摩擦材の試験片を、以下の項目について評価した。結果を以下の表1に示す。
<引張り破断伸び(熱処理前)>
得られた湿式摩擦材の試験片の引張り破断伸びを、JIS P 8113に準拠した方法で測定した。なお、単位は%である。また、測定条件は、精密万能試験機AG-IS 5kN(島津製作所社製)を用いて、常温常圧下、1mm/minの試験速度とした。引張り破断伸びの数値は、高い値であればあるほど柔軟性に優れた試験片であることを示す。
<引張り破断伸び(熱処理後)>
得られた湿式摩擦材の試験片に対し、250℃のオーブンで30分間の加熱処理を3回施した。熱処理後の試験片の引張破断伸びを、上述の「引張り破断伸び(熱処理前)」と同様の方法で測定した。引張り破断伸び(熱処理後)の数値は、高い値であればあるほど耐熱柔軟性に優れた試験片であることを示す。
Figure 2023129855000005
実施例のフェノール樹脂を使用して得られる湿式摩擦材は、熱処理前後の引張破断伸び率がともに高く、柔軟性に優れるとともに、耐熱柔軟性においても優れていた。実施例1のフェノール樹脂は、特に熱処理後の引張破断伸び率が比較例のフェノール樹脂に比べて高く、耐熱柔軟性において特に優れており、湿式摩擦材のバインダー樹脂として好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 式(1)で表される構造単位を含む、湿式ペーパー摩擦材用のフェノール樹脂であって、
    Figure 2023129855000006
    式(1)において、Rは、直鎖状または分岐鎖状の炭素数10以上20以下の飽和アルキル基であり、Rは、メチロール基である、フェノール樹脂。
  2. 請求項1に記載のフェノール樹脂であって、
    前記式(1)で表される構造単位のみからなる、フェノール樹脂。
  3. 請求項1に記載のフェノール樹脂であって、
    式(2)で表される構造単位をさらに含み、
    前記式(1)で表される構造単位と、前記式(2)で表される構造単位とからなる、フェノール樹脂であって、
    Figure 2023129855000007
    式(2)において、Rは、メチロール基である、フェノール樹脂。
  4. 当該フェノール樹脂の硬化物の、以下の条件で測定した場合の破断伸び率が、0.8%以上である、フェノール樹脂。
    (条件)当該フェノール樹脂を、120mm×10mm×厚さ1mmのアラミド繊維基材に含浸させた後、200℃のオーブンで30分間乾燥硬化して、試験片を得る。得られた試験片を、250℃で30分間加熱した後、JIS P 8113に準拠した方法で、当該試験片の引張破断伸びを測定する。
  5. 繊維状基材に、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフェノール樹脂を含浸した含浸基材を、加熱硬化して得られる、湿式ペーパー摩擦材。
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