本発明は、防音ドアに関するものである。
従来より、縦長の矩形枠状の木製の外枠と、その外枠の表面及び裏面にそれぞれ貼り付けられた木製の表面材及び裏面材と、それらの外枠、表面材及び裏面材で囲まれた空間内に充填された吸音材とを備えたフラッシュ構造の防音ドアが広く知られている。
例えば、特許文献1には、防火性と防音性とを両立するために、方形状に配置した枠材と、その枠材の両面に固定した表面材とに囲まれた空間内にグラスウール等の芯材及びパーティクルボード等の面材が積層された状態で配置された戸が開示されている。
ところで、フラッシュ構造の防音ドアでは、ドア自体の反りを防止するために、鉄芯が組み込まれた鉄芯入りドアが提案されている。しかしながら、鉄芯入りドアでは、経時的な使用により、内部に組み込まれた鉄芯が緩んだり、がたついたりするおそれがあるので、改善の余地がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フラッシュ構造の防音ドアの内部に組まれた鉄芯の緩みやがたつきを抑制することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る防音ドアは、所定の厚さを有する一方側の横枠、他方側の横枠、一方側の縦枠及び他方側の縦枠を含む矩形枠状に設けられた木質材料からなる外枠と、上記外枠の内側において、上記所定の厚さを有し、上記一方側の縦枠と隣り合って延びるように設けられ、該一方側の縦枠に沿って延びる鉄芯が長さ方向全体に該一方側の縦枠側又は上記他方側の縦枠側に嵌め込まれた木質材料からなる一方側の内部縦枠と、上記外枠の内側において、上記所定の厚さを有し、上記他方側の縦枠と隣り合って延びるように設けられ、該他方側の縦枠に沿って延びる鉄芯が長さ方向全体に該他方側の縦枠側又は上記一方側の縦枠側に嵌め込まれた木質材料からなる他方側の内部縦枠と、上記一方側の縦枠及び上記一方側の内部縦枠の間において、上記所定の厚さを有し、該一方側の縦枠及び該一方側の内部縦枠に当接するように矩形状に設けられた木質材料からなる第1の外側遮音板材と、上記他方側の縦枠及び上記他方側の内部縦枠の間において、上記所定の厚さを有し、該他方側の縦枠及び該他方側の内部縦枠に当接するように矩形状に設けられた木質材料からなる第2の外側遮音板材と、上記一方側の内部縦枠及び上記他方側の内部縦枠の間において、該一方側の内部縦枠及び該他方側の内部縦枠に当接するように矩形状に設けられ、上記外枠の一方の表面側に配置された木質材料からなる内側遮音板材と、上記一方側の内部縦枠及び上記他方側の内部縦枠の間において、該一方側の内部縦枠及び該他方側の内部縦枠に両端部がそれぞれ当接するように且つ互いに平行に延びるように設けられ、上記外枠の他方の表面側に配置された木質材料からなる複数の横桟と、上記一方側の内部縦枠及び上記他方側の内部縦枠の間において、該一方側の内部縦枠及び該他方側の内部縦枠に当接するように且つ上記複数の横桟を避けるように設けられ、上記外枠の他方の表面側に配置された複数の吸音材と、上記外枠の一方の表面側に該外枠の枠内を覆うように設けられた木質材料からなる第1面材と、上記外枠の他方の表面側に該外枠の枠内を覆うように設けられた木質材料からなる第2面材とを備え、上記内側遮音板材の厚さと上記各横桟の厚さとの和は、上記所定の厚さであることを特徴とする。
上記の構成よれば、一方側の横枠、他方側の横枠、一方側の縦枠及び他方側の縦枠を含む外枠の内側に、一方側の内部縦枠、他方側の内部縦枠、第1の外側遮音板材、第2の外側遮音板材、内側遮音板材、複数の横桟及び複数の吸音材を設け、外枠の一方の表面側に第1面材を設け、外枠の他方の表面側に第2面材を設けることにより、フラッシュ構造の防音ドアを構成することができる。ここで、一方側の縦枠側又は他方側の縦枠側に鉄芯が嵌め込まれた所定厚さを有する一方側の内部縦枠は、所定厚さを有する第1の外側遮音板材と、厚さの和が所定の厚さである各横桟の一方の端部及び内側遮音板材とに挟まれているので、一方側の内部縦枠において、鉄芯の緩みやがたつきを抑制することができる。また、一方側の縦枠側又は他方側の縦枠側に鉄芯が嵌め込まれた所定厚さを有する他方側の内部縦枠は、所定厚さを有する第2の外側遮音板材と、厚さの和が所定の厚さである各横桟の他方の端部及び内側遮音板材とに挟まれているので、他方側の内部縦枠において、鉄芯の緩みやがたつきを抑制することができる。これにより、一方側の内部縦枠及び他方側の内部縦枠において、鉄芯の緩みやがたつきをそれぞれ抑制することができるので、フラッシュ構造の防音ドアの内部に組まれた鉄芯の緩みやがたつきを抑制することができる。
上記一方側の内部縦枠において、上記鉄芯は、上記一方側の縦枠側に嵌め込まれ、上記他方側の内部縦枠において、上記鉄芯は、上記他方側の縦枠側に嵌め込まれ、上記一方側の内部縦枠及び上記第1の外側遮音板材の間、並びに上記他方側の内部縦枠及び上記第2の外側遮音板材の間には、上記所定の厚さを有する木質材料からなる縦芯がそれぞれ設けられていてもよい。
上記の構成よれば、所定の厚さを有する木質材料からなる縦芯が介在することにより、一方側の内部縦枠における一方側の縦枠側に嵌め込まれた鉄芯と第1の外側遮音板材との面接触、及び他方側の内部縦枠における他方側の縦枠側に嵌め込まれた鉄芯と第2の外側遮音板材との面接触を抑制することができるので、ドアの開閉動作の際に鉄芯の表面と高比重な第1及び第2の外側遮音板材との擦れ合いによる音鳴りを抑制することができる。
上記複数の横桟の両端部は、互いに平行に延びるように設けられて該各横桟と同じ厚さを有する木質材料からなる一対の縦桟に固定され、上記複数の横桟及び上記一対の縦桟は、内枠を構成していてもよい。
上記の構成よれば、互いに平行に延びるように設けられ一対の縦桟と、一対の縦桟の間に互いに平行に延びるように設けられた複数の横桟とにより、梯子状の内枠を予め形成しておくことができる。
上記外枠の内側には、上記所定の厚さを有し、上記一方側の横枠と離間して隣り合って延びると共に、上記一方側の内部縦枠の長さ方向の一方端、及び上記他方側の内部縦枠の長さ方向の一方端に当接するように木質材料からなる一方側の内部横枠が設けられ、上記一方側の横枠及び上記一方側の内部横枠の間には、上記所定の厚さを有し、該一方側の横枠及び該一方側の内部横枠に当接するように木質材料からなる第3の外側遮音板材が矩形状に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、互いに離間するように設けられた一方側の横枠及び一方側の内部横枠には、第3の外側遮音板材が当接している。また、一方側の内部横枠における他方の横枠側には、一方側の内部縦枠の長さ方向の一方端、及び他方側の内部縦枠の長さ方向の一方端に当接しているので、防音ドア内における一方側の内部横枠のずれを抑制することができる。
上記外枠の内側には、上記所定の厚さを有し、上記他方側の横枠と離間して隣り合って延びると共に、上記一方側の内部縦枠の長さ方向の他方端、及び上記他方側の内部縦枠の長さ方向の他方端に当接するように木質材料からなる他方側の内部横枠が設けられ、上記他方側の横枠及び上記他方側の内部横枠の間には、上記所定の厚さを有し、該他方側の横枠及び該他方側の内部横枠に当接するように木質材料からなる第4の外側遮音板材が矩形状に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、互いに離間するように設けられた他方側の横枠及び他方側の内部横枠には、第4の外側遮音板材が当接している。また、他方側の内部横枠における一方の横枠側には、一方側の内部縦枠の長さ方向の他方端、及び他方側の内部縦枠の長さ方向の他方端に当接しているので、防音ドア内における他方側の内部横枠のずれを抑制することができる。
上記内側遮音板材の厚さと上記内枠の厚さとの比は、1:2~2:1であってもよい。
上記の構成によれば、内側遮音板材の厚さと内枠の厚さとの比が1:2~2:1である。ここで、内側遮音板材は、例えば、パーティクルボードやMDF(Medium Density Fiberboard)等の相対的に密な木質材料により形成され、内枠の内部を埋める吸音材は、例えば、グラスウールや等の相対的に疎な材料により形成されている。そのため、内側遮音板材の厚さと内枠の厚さとの比を1:2~2:1とすることにより、防音ドアにおいて、軽量化と遮音性とのバランスを取ることができる。
上記一方側の内部縦枠及び上記他方側の内部縦枠に嵌め込まれた上記各鉄芯は、コ字状の横断面を有し、上記一方側の内部縦枠及び上記他方側の内部縦枠の上記鉄芯が嵌め込まれた側は、該鉄芯の対向する一対の面に当接する部分が切り欠かれており、上記鉄芯における対向する一対の面の部分の外形寸法は、上記所定の厚さよりも小さくなっていてもよい。
上記の構成によれば、一方側の内部縦枠及び他方側の内部縦枠の鉄芯が嵌め込まれた側は、鉄芯の対向する一対の面に当接する部分が切り欠かれており、鉄芯における対向する一対の面の部分の外形寸法は、所定の厚さよりも小さくなっているので、一方側の内部縦枠及び他方側の内部縦枠にそれぞれ嵌め込まれた鉄芯が第1面材及び第2面材と接触しないようになっている。これにより、鉄芯と第1面材及び第2面材とを接着する必要がなく、特殊の接着剤や接着処理等が不要になるので、製造コストを抑制することができる。ここで、鉄芯と第1面材及び第2面材とを接着すると、万が一、剥がれた際に、擦れ合って音鳴りするおそれがある。また、鉄芯と第1面材及び第2面材とを接着すると、乾湿による寸法変化のない鉄芯と、乾湿による寸法変化のある木質材料との寸法変化の違いにより、ドア表面の撓み、ドア表面における鉄芯部分の芯陰の発生が懸念される。
上記内側遮音板材と上記複数の吸音材とは、互いに接着されていなくてもよい。
上記の構成によれば、内側遮音板材と複数の吸音材とが互いに接着されていなくても、内側遮音板材が第1面材に接着され、各吸音材が第2面材に接着され、内側遮音板材の厚さと(各横桟の同じ厚さの)吸音材の厚さとの和が所定厚さであるので、長期の使用による内側遮音板材のがたつき及び吸音材のへたりを効果的に抑制することができる。
本発明によれば、鉄芯が嵌め込まれた所定厚さを有する一方側の内部縦枠は、所定厚さを有する第1の外側遮音板材と、厚さの和が所定の厚さである各横桟の一方の端部及び内側遮音板材とに挟まれ、鉄芯が嵌め込まれた所定厚さを有する他方側の内部縦枠は、所定厚さを有する第2の外側遮音板材と、厚さの和が所定の厚さである各横桟の他方の端部及び内側遮音板材とに挟まれているので、フラッシュ構造の防音ドアの内部に組まれた鉄芯の緩みやがたつきを抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係る防音ドアの正面図である。
本発明の第1の実施形態に係る防音ドアの背面図である。
図1中のIII-III線に沿った防音ドアの断面図である。
本発明の第1の実施形態に係る防音ドアを構成する戸先側内部縦枠の横断面図である。
本発明の第1の実施形態に係る防音ドアを構成する内枠の変形例の正面図である。
本発明の第1の実施形態に係る防音ドアの遮音性能試験の結果を示す表である。
本発明の第2の実施形態に係る防音ドアの正面図であり、図1に相当する図である。
図7中のVIII-VIII線に沿った防音ドアの断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1~図6は、本発明に係る防音ドアの第1の実施形態を示している。ここで、図1及び図2は、本実施形態の防音ドア50aの正面図及び背面図である。また、図3は、図1中のIII-III線に沿った防音ドア50aの断面図である。また、図4は、防音ドア50aを構成する戸先側内部縦枠6の横断面図である。また、図5は、防音ドア50aを構成する内枠5aの変形例として示す内枠5bの正面図である。また、図6は、防音ドア50aの遮音性能試験の結果を示す表である。なお、図1の正面図では、防音ドア50aの正面全体に設けられている表面材の図示を省略し、図2の背面図では、防音ドア50aの背面全体に設けられている裏面材の図示を省略している。
防音ドア50aは、図1~図3に示すように、矩形枠状に設けられた外枠Fと、外枠Fの内部に設けられた戸先側内部縦枠6、戸尻側内部縦枠7、下側内部横枠11、上側内部横枠12、内枠5a、4つの吸音材30、内側遮音板材25、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29と、外枠Fの表裏面に設けられた表面材41及び裏面材42とを備えている。
外枠Fは、例えば、外寸が縦2.0m程度×横0.7m程度であり、図1及び図2に示すように、図中の横方向に延びるように設けられた下側第1横枠13、下側第2横枠14及び上側横枠15と、図中の縦方向に延びるように設けられた戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18とを備えている。ここで、下側第1横枠13、下側第2横枠14、上側横枠15、戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17、戸尻側第2縦枠18、並びに後述する戸先側内部縦枠6、戸尻側内部縦枠7、下側内部横枠11及び上側内部横枠12は、所定の厚さT(図3参照、例えば、20mm~30mm程度)を有し、曲げ強度に優れた木質軸材料(例えば、LVL(laminated veneer lumber)、集成材、合板等)により構成されている。また、下側第1横枠13、下側第2横枠14、上側横枠15、戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18は、例えば、ステープル等により仮固定されている。また、上側横枠15は、一方側の横枠として設けられ、下側第1横枠13及び下側第2横枠14は、他方側の横枠として互いに隣接するように設けられている。また、戸先側縦枠16は、一方側の縦枠として設けられ、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18は、他方側の縦枠として互いに隣接するように設けられている。なお、本実施形態では、枠材が縦勝ちに組まれた外枠Fを例示したが、外枠Fは、枠材が横勝ちに組まれていてもよい。
戸先側内部縦枠6は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、外枠Fの内側において、戸先側縦枠16と離間して隣り合って延びるように固定されて一方側の内部縦枠として設けられている。ここで、戸先側内部縦枠6の戸尻側第1縦枠17側には、図1~図3に示すように、戸先側内部縦枠6に沿って延びる鉄芯8が長さ方向全体に嵌め込まれている。なお、鉄芯8は、図3及び図4に示すように、コ字状の横断面を有している。そして、戸先側内部縦枠6(及び後述する戸尻側内部縦枠7)の鉄芯8が嵌め込まれた側は、図4に示すように、鉄芯8の対向する一対の面に当接する部分が切り欠かれており、鉄芯8における対向する一対の面の部分の外形寸法Sは、所定の厚さTよりも小さくなっている。そのため、鉄芯8は、表面材41及び裏面材42と接触しないように設けられている。
戸尻側内部縦枠7は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、外枠Fの内側において、戸尻側第1縦枠17と離間して隣り合って延びるように固定されて他方側の内部縦枠として設けられている。ここで、戸尻側内部縦枠7の戸先側縦枠16側には、図1~図3に示すように、戸尻側内部縦枠7に沿って延びる鉄芯8が長さ方向全体に嵌め込まれている。
下側内部横枠11は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、外枠Fの内側において、下側第1横枠13と離間して隣り合って延びるように他方側の内部横枠として設けられている。また、下側内部横枠11は、図1及び図2に示すように、戸先側内部縦枠6の長さ方向の他方端(図中の下端)、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の他方端(図中の下端)にそれぞれ当接するように設けられている。
上側内部横枠12は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、外枠Fの内側において、上側横枠15と離間して隣り合って延びるように一方側の内部横枠として設けられている。また、上側内部横枠12は、図1及び図2に示すように、戸先側内部縦枠6の長さ方向の一方端(図中の上端)、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の一方端(図中の上端)にそれぞれ当接するように設けられている。
内枠5aは、図1~図3に示すように、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間において、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に当接するように枠状に設けられ、外枠Fの他方の表面側(図3中の下側)に配置されている。ここで、内枠5aは、図1に示すように、互いに離間して平行に(図中の縦方向に)延びるように設けられた一対の縦桟1と、一対の縦桟1の間において、互いに離間して平行に(図中の横方向に)延びるように設けられた3つの横桟2とを備えている。また、内枠5aの内部には、図1及び図3に示すように、内枠5aの内部を埋めるように、グラスウールやポリエステル等からなる吸音ウール、ウレタンフォームやアクリルフォーム等の発泡体、有機樹脂材料からなる不織布等により構成された吸音材30が設けられている。また、縦桟1及び横桟2は、木質材料(例えば、LVL、集成材、合板等)により構成されている。なお、本実施形態では、3つの横桟2を備えた内枠5aを例示したが、図5に示すように、3つの横桟2の外側に上下一対の横桟3を備えた内枠5bであってもよい。また、内枠5a(内枠5b)は、例えば、ステープル等により仮固定することにより、内側遮音板材25に予め一体化されていてもよい。
内側遮音板材25は、図1~図3に示すように、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間において、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に当接するように矩形状に設けられ、外枠Fの一方の表面側(図3中の上側)に配置されている。ここで、内側遮音板材25は、例えば、パーティクルボードやMDF等の遮音性に優れた高比重且つ均質な木質材料により構成されている。なお、内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの和は、図3に示すように、所定の厚さTになっている。また、内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの比は、1:2~2:1になっている。ここで、内側遮音板材25の厚さが内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの和の1/3に満たない場合には、遮音性能が低下して、日常生活の生活音に起因する様々な支障をきたすおそれがある。また、内側遮音板材25の厚さが内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの和の2/3を超える場合には、重量が重いドアとなってしまい、配送、施工、取扱い時に重量が重いことに起因する様々な支障をきたすおそれがある。
上側外側遮音板材26は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、上側横枠15及び上側内部横枠12の間において、上側横枠15及び上側内部横枠12に当接するように第3の外側遮音板材として矩形状に設けられている。なお、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29は、例えば、パーティクルボードやMDF等の遮音性に優れた高比重且つ均質な木質材料により構成されている。
下側外側遮音板材27は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、下側第1横枠13及び下側内部横枠11の間において、下側第1横枠13及び下側内部横枠11に当接するように第4の外側遮音板材として矩形状に設けられている。
戸先側外側遮音板材28は、所定の厚さTを有し、図1~図3に示すように、戸先側縦枠16及び戸先側内部縦枠6の間において、戸先側縦枠16及び戸先側内部縦枠6に当接するように第1の外側遮音板材として矩形状に設けられている。
戸尻側外側遮音板材29は、所定の厚さTを有し、図1~図3に示すように、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側内部縦枠7の間において、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側内部縦枠7に当接するように第2の外側遮音板材として矩形状に設けられている
表面材41は、図3に示すように、外枠Fの一方の表面側(図中の下側)に外枠Fの枠内を覆うように第1面材として設けられている。また、裏面材42は、図3に示すように、外枠Fの一方の表面側(図中の上側)に外枠Fの枠内を覆うように第2面材として設けられている。ここで、表面材41及び裏面材42は、例えば、厚さ2mm~8mm程度のMDFや合板等の木質材料、又は火山性ガラス質複層板やケイ酸カルシウム板等の無機質材料により構成されている。なお、表面材41及び裏面材42の厚さが2mmよりも薄い場合には、下地の形状を拾い易くなってしまう。また、表面材41及び裏面材42の厚さが8mmを超える場合には、不必要にドア厚が厚くなり、全体重量が重くなると共にともに、本発明の趣旨である鉄芯8に囲まれた内部空間の軽量且つ遮音性に配慮した構成の効果が発揮され難くなってしまう。さらに、表面材41及び裏面材42は、同じ材料により同じ厚さに形成されていることが好ましい。
上述した防音ドア50aは、例えば、戸先側の高さ方向の中央部にドアレバーを取り付け、戸尻側第2縦枠18に取り付けた上下一対の蝶番により、住居等の建築物に出入口として設けられた矩形状の開口部の吊元側に回転自在に支持されて開き戸を構成するようになっている。なお、防音ドア50aでは、内枠5aの内部に吸音材30が充填されることにより、例えば、表面材41から投入された音エネルギーが裏面材42に直接伝達することを抑制することができると共に、空洞があれば、その空洞により特定の音域波長のエネルギーが増幅される、いわゆる、太鼓現象の発生を抑制することができる。
次に、本実施形態の防音ドア50aの製造方法について一例を挙げて説明する。
まず、直角精度を担保できる治具に沿って、下側第1横枠13、下側第2横枠14、上側横枠15、戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18を所定位置に並べて、外枠Fを仮形成する。
続いて、外枠Fの内側の所定位置に下側内部横枠11及び上側内部横枠12を並べる。
その後、下側内部横枠11及び上側内部横枠12の間の所定位置に鉄芯8が嵌め込まれた戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7を並べる。
さらに、上側横枠15及び上側内部横枠12の間に上側外側遮音板材26を、下側第1横枠13及び下側内部横枠11の間に下側外側遮音板材27を、戸先側縦枠16及び戸先側内部縦枠6の間に戸先側外側遮音板材28を、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側内部縦枠7の間に戸尻側外側遮音板材29をそれぞれ並べた後に、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に内側遮音板材25を並べる。
その後、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間の下側内部横枠11及び上側内部横枠12に一対の縦桟1を並べた後に一対の縦桟1に3つの横桟2を並べて、それぞれ部材間を上記治具で直角制度を確認しながらステープル等により仮固定して、内枠5aを形成する。
さらに、内枠5aから露出する各内側遮音板材25上にグラスウール等の吸音材30を載置し、ステープル等により仮固定する。
その後、表面材41の裏面に接着剤を塗布し、表面材41を外枠Fに合わせて貼り付ける。
最後に、表裏反転した後に、裏面材42の裏面に接着剤を塗布し、裏面材42を外枠Fに合わせて貼り付ける。
以上のようにして、本実施形態の防音ドア50aを製造することができる。
次に、本実施形態の防音ドア50aに対して、具体的に行った実験(遮音性能試験)について説明する。
<実施例>
厚さ21mm及び幅29mmのLVLの角材を用いて、外寸1989mm×715mmの外枠Fを形成した。また、厚さ12mm及び幅29mmのLVLの角材を用いて、内寸1560mm×364mmの内枠5aを形成した。また、下側内部横枠11及び上側内部横枠12については、厚さ21mm及び幅29mmのLVLの角材を用いた。また、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7については、厚さ21mm及び幅29mmのLVLの角材及び厚さ1mmの鉄芯8を用いて形成した。また、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29については、厚さ21mmのパーティクルボードを用いた。また、内側遮音板材25については、厚さ9mmのパーティクルボードを用いた。また、吸音材30については、厚さ11mmのガラスウールを用いた。また、表面材41及び裏面材42については、厚さ7mmのMDFを用いた。以上の構成材料を用い、上述した防音ドア50aの製造方法に基づいて、実施例の防音ドア(扉重量:33.6kg)を試作した。
<比較例>
上記実施例において、厚さ9mmのパーティクルボードの内側遮音板材25の代わりに、厚さ9mmのグラスウールを用いて、比較例の防音ドア(扉重量:30kg)を試作した。
<遮音性能試験>
上記実施例及び比較例の防音ドアについて、JIS A 1416に基づいて、遮音性能を比較した。ここで、音源としては、ピンクノイズを用い、125Hz、250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hz及び4000Hzの遮音性能(音圧レベル)を評価した。
遮音性能試験の結果としては、実施例の防音ドアでは比較例の防音ドアと比較して、扉重量が10%程度増えるものの、図6の表に示すように、125Hz~4000Hzの広い周波数域で遮音性能が向上することが分かった。
以上説明したように、本実施形態の防音ドア50aによれば、下側第1横枠13、下側第2横枠14、上側横枠15、戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18を含む外枠Fの内側に、戸先側内部縦枠6、戸尻側内部縦枠7、内側遮音板材25、及び吸音材30を含む内枠5aを設け、外枠Fの一方の表面側に表面材41を設け、外枠Fの他方の表面側に裏面材42を設けることにより、防音性能に優れ、且つ軽量化されたフラッシュ構造の防音ドア50aを構成することができる。ここで、戸尻側第1縦枠17側に鉄芯8が嵌め込まれた所定厚さTを有する戸先側内部縦枠6は、所定厚さTを有する戸先側外側遮音板材28と、厚さの和が所定の厚さTである内枠5a及び内側遮音板材25とに挟まれているので、戸先側内部縦枠6において、鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。また、戸先側縦枠16側に鉄芯8が嵌め込まれた所定厚さTを有する戸尻側内部縦枠7は、所定厚さTを有する戸尻側外側遮音板材29と、厚さの和が所定の厚さTである内枠5a及び内側遮音板材25とに挟まれているので、戸尻側内部縦枠7において、鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。これにより、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7において、鉄芯8の緩みやがたつきをそれぞれ抑制することができるので、フラッシュ構造の防音ドア50aの内部に組まれた鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。さらに、フラッシュ構造の防音ドア50aにおいて、鉄芯8が嵌め込まれた戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に内側遮音板材25及び吸音材30を配置させることにより、鉄芯8に囲まれた大空間を活用することができるので、防音性及び軽量化に配慮した防音ドア50aを提供することができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、互いに離間するように設けられた上側横枠15及び上側内部横枠12には、上側外側遮音板材26が当接している。また、上側内部横枠12における下側第1横枠13側には、戸先側内部縦枠6の長さ方向の一方端、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の一方端に当接しているので、防音ドア50a内における上側内部横枠12のずれを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、互いに離間するように設けられた下側第1横枠13及び下側内部横枠11には、下側外側遮音板材27が当接している。また、下側内部横枠11における上側横枠15側には、戸先側内部縦枠6の長さ方向の他方端、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の他方端に当接しているので、防音ドア50a内における下側内部横枠11のずれを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの比が1:2~2:1になっている。ここで、内側遮音板材25は、(LVL、集成材、合板等よりも高比重の)例えば、パーティクルボード(中比重の木切片板)やMDF(中比重の木質繊維板)等の相対的に密な木質材料により形成され、内枠5aの内部を埋める吸音材30は、(LVL、集成材、合板等よりも低比重の)例えば、グラスウール等の相対的に疎な材料により形成されている。そのため、内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの比を1:2~2:1とすることにより、防音ドア50aにおいて、軽量化と遮音性とのバランスを取ることができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に鉄芯8がそれぞれ嵌め込まれているので、防音ドア50aの高さ方向の反りを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29の部分には鉄芯8が配置されていないので、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29に重なる防音ドア50aの周囲の部分を幅方向及び高さ方向の調整代とすることにより、種々のサイズのドアに適用することができると共に、鉄芯8が嵌め込まれた戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7、並びにそれらの間に配置する構成部材を共有することができ、効率的な製造を実現することができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の鉄芯8が嵌め込まれた側は、鉄芯8の対向する一対の面に当接する部分が切り欠かれており、鉄芯8における対向する一対の面の部分の外形寸法Sは、所定の厚さTよりも小さくなっているので、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7にそれぞれ嵌め込まれた鉄芯8が表面材41及び裏面材42と接触しないようになっている。これにより、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着する必要がなく、特殊の接着剤や接着処理等が不要になるので、製造コストを抑制することができる。ここで、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着させると、万が一、剥がれた際に、擦れ合って音鳴りするおそれがある。また、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着させると、乾湿による寸法変化のない鉄芯8と、乾湿による寸法変化のある表面材41及び裏面材42との寸法変化の違いにより、ドア表面の撓み、ドア表面における鉄芯8部分の芯陰、面材部材での撓みの発生が懸念される。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、内側遮音板材25と複数の吸音材30とが互いに接着されていなくても、内側遮音板材25が裏面材42に接着され、各吸音材30が表面材41に接着され、内側遮音板材25の厚さと(内枠5aの同じ厚さの)吸音材30の厚さとの和が所定厚さTであるので、長期の使用による内側遮音板材25のがたつき及び吸音材30のへたりを効果的に抑制することができる。
《第2の実施形態》
図7及び図8は、本発明に係る防音ドアの第2の実施形態を示している。ここで、図7は、本実施形態の防音ドア50bの正面図であり、図1に相当する図である。また、図8は、図7中のVIII-VIII線に沿った防音ドア50bの断面図である。なお、以下の実施形態において、図1~図6と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
上記第1の実施形態では、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に内枠5aが設けられた防音ドア50aを例示したが、本実施形態では、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に複数の横桟4が設けられた防音ドア50bを例示する。
防音ドア50bは、図7及び図8に示すように、矩形枠状に設けられた外枠Fと、外枠Fの内部に設けられた戸先側内部縦枠6、戸尻側内部縦枠7、一対の縦芯9、下側内部横枠11、上側内部横枠12、3つの横桟4、4つの吸音材30、内側遮音板材25、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29と、外枠Fの表裏面に設けられた表面材41及び裏面材42とを備えている。
戸先側内部縦枠6の戸先側縦枠16側には、図7及び図8に示すように、戸先側内部縦枠6に沿って延びる鉄芯8が長さ方向全体に嵌め込まれている。
戸尻側内部縦枠7の戸尻側第1縦枠17側には、図7及び図8に示すように、戸尻側内部縦枠7に沿って延びる鉄芯8が長さ方向全体に嵌め込まれている。
一方の縦芯9は、図7及び図8に示すように、所定の厚さTを有し、戸先側内部縦枠6(の鉄芯8が嵌め込まれ側)及び戸先側外側遮音板材28の間に設けられている。ここで、縦芯9は、例えば、LVL、集成材、合板等の木質材料により構成されている。
一対の縦芯9は、図7及び図8に示すように、所定の厚さTを有し、戸尻側内部縦枠7(の鉄芯8が嵌め込まれ側)及び戸尻側外側遮音板材29の間に設けられている。
3つの横桟4は、図7及び図8に示すように、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間において、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に両端部がそれぞれ当接するように且つ互いに平行に延びるように設けられ、外枠Fの他方の表面側(図8中の下側)に配置されている。ここで、横桟4は、例えば、LVL、集成材、合板等の木質材料により構成されている。また、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間には、図7に示すように、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に当接するように且つ3つの横桟4を避けるように4つの吸音材30が外枠Fの他方の表面側に設けられている。なお、本実施形態では、3つの横桟4を備えた構成を例示したが、横桟4の本数は、これに限定されない。また、本実施形態では、上記第1の実施形態における内枠5aを構成する一対の縦桟1が省略されて、その部分に吸音材30が充填されているので、軽量化を図ることができる。
内側遮音板材25の厚さと各横桟4の厚さとの和は、図8に示すように、所定の厚さTになっている。ここで、内側遮音板材25の厚さと横桟4の厚さとの比は、1:2~2:1になっている。なお、内側遮音板材25の厚さが内側遮音板材25の厚さと横桟4の厚さとの和の1/3に満たない場合には、遮音性能が低下して、日常生活の生活音に起因する様々な支障をきたすおそれがある。また、内側遮音板材25の厚さが内側遮音板材25の厚さと横桟4の厚さとの和の2/3を超える場合には、重量が重いドアとなってしまい、配送、施工、取扱い時に重量が重いことに起因する様々な支障をきたすおそれがある。
上述した防音ドア50bは、例えば、戸先側の高さ方向の中央部にドアレバーを取り付け、戸尻側第2縦枠18に取り付けた上下一対の蝶番により、住居等の建築物に出入口として設けられた矩形状の開口部の吊元側に回転自在に支持されて開き戸を構成するようになっている。なお、防音ドア50bでは、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に吸音材30が充填されることにより、例えば、表面材41から投入された音エネルギーが裏面材42に直接伝達することを抑制することができると共に、空洞があれば、その空洞により特定の音域波長のエネルギーが増幅される、いわゆる、太鼓現象の発生を抑制することができる。
本実施形態の防音ドア50bは、上記第1の実施形態の防音ドア50aの製造方法において、下側内部横枠11及び上側内部横枠12の間に戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7を並べる際に縦芯9も並べ、内枠5aを形成する際に戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に横桟4だけを並べることにより、製造することができる。
以上説明したように、本実施形態の防音ドア50bによれば、下側第1横枠13、下側第2横枠14、上側横枠15、戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18を含む外枠Fの内側に、横桟4、戸先側内部縦枠6、戸尻側内部縦枠7、縦芯9、内側遮音板材25及び吸音材30を設け、外枠Fの一方の表面側に表面材41を設け、外枠Fの他方の表面側に裏面材42を設けることにより、防音性能に優れ、且つ軽量化されたフラッシュ構造の防音ドア50bを構成することができる。ここで、戸先側縦枠16側に鉄芯8が嵌め込まれた所定厚さTを有する戸先側内部縦枠6は、所定厚さTを有する戸先側外側遮音板材28及び縦芯9と、厚さの和が所定の厚さTである横桟4及び内側遮音板材25とに挟まれているので、戸先側内部縦枠6において、鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。また、戸尻側第1縦枠17側に鉄芯8が嵌め込まれた所定厚さTを有する戸尻側内部縦枠7は、所定厚さTを有する戸尻側外側遮音板材29及び縦芯9と、厚さの和が所定の厚さTである横桟4及び内側遮音板材25とに挟まれているので、戸尻側内部縦枠7において、鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。これにより、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7において、鉄芯8の緩みやがたつきをそれぞれ抑制することができるので、フラッシュ構造の防音ドア50bの内部に組まれた鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。さらに、フラッシュ構造の防音ドア50bにおいて、鉄芯8が嵌め込まれた戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に内側遮音板材25及び吸音材30を配置させることにより、鉄芯8に囲まれた大空間を活用することができるので、防音性及び軽量化に配慮した防音ドア50bを提供することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、互いに離間するように設けられた上側横枠15及び上側内部横枠12には、上側外側遮音板材26が当接している。また、上側内部横枠12における下側第1横枠13側には、戸先側内部縦枠6の長さ方向の一方端、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の一方端に当接しているので、防音ドア50b内における上側内部横枠12のずれを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、互いに離間するように設けられた下側第1横枠13及び下側内部横枠11には、下側外側遮音板材27が当接している。また、下側内部横枠11における上側横枠15側には、戸先側内部縦枠6の長さ方向の他方端、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の他方端に当接しているので、防音ドア50b内における下側内部横枠11のずれを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、内側遮音板材25の厚さと横桟4の厚さとの比が1:2~2:1になっている。ここで、内側遮音板材25は、(LVL、集成材、合板等よりも高比重の)例えば、パーティクルボード(中比重の木切片板)やMDF(中比重の木質繊維板)等の相対的に密な木質材料により形成され、横桟4に隣り合う吸音材30は、(LVL、集成材、合板等よりも低比重の)例えば、グラスウール等の相対的に疎な材料により形成されている。そのため、内側遮音板材25の厚さと横桟4の厚さとの比を1:2~2:1とすることにより、防音ドア50bにおいて、軽量化と遮音性とのバランスを取ることができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に鉄芯8がそれぞれ嵌め込まれているので、防音ドア50bの高さ方向の反りを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29の部分には鉄芯8が配置されていないので、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29に重なる防音ドア50bの周囲の部分を幅方向及び高さ方向の調整代とすることにより、種々のサイズのドアに適用することができると共に、鉄芯8が嵌め込まれた戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7、並びにそれらの間に配置する構成部材を共有することができ、効率的な製造を実現することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の鉄芯8が嵌め込まれた側は、鉄芯8の対向する一対の面に当接する部分が切り欠かれており、鉄芯8における対向する一対の面の部分の外形寸法Sは、所定の厚さTよりも小さくなっているので、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7にそれぞれ嵌め込まれた鉄芯8が表面材41及び裏面材42と接触しないようになっている。これにより、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着する必要がなく、特殊の接着剤や接着処理等が不要になるので、製造コストを抑制することができる。ここで、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着させると、万が一、剥がれた際に、擦れ合って音鳴りするおそれがある。また、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着させると、乾湿による寸法変化のない鉄芯8と、乾湿による寸法変化のある表面材41及び裏面材42との寸法変化の違いにより、ドア表面の撓み、ドア表面における鉄芯8部分の芯陰、面材部材での撓みの発生が懸念される。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、内側遮音板材25と複数の吸音材30とが互いに接着されていなくても、内側遮音板材25が裏面材42に接着され、各吸音材30が表面材41に接着され、内側遮音板材25の厚さと(横桟4の同じ厚さの)吸音材30の厚さとの和が所定厚さTであるので、長期の使用による内側遮音板材25のがたつき及び吸音材30のへたりを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、所定の厚さを有する木質材料からなる縦芯9が介在することにより、戸先側内部縦枠6における戸先側縦枠16側に嵌め込まれた鉄芯8と戸先側外側遮音板材28との面接触、及び戸尻側内部縦枠7における戸尻側第1縦枠17側に嵌め込まれた鉄芯8と戸尻側外側遮音板材29との面接触を抑制することができるので、ドアの開閉動作の際に鉄芯8の表面と高比重な戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29との擦れ合いによる音鳴りを抑制することができる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、互いに対向する戸先側内部縦枠及び戸尻側内部縦枠の内側又は外側に鉄芯が嵌め込まれた防音ドアを例示したが、鉄芯は、互いに対向する戸先側内部縦枠及び戸尻側内部縦枠の内側及び外側の何れかに揃って嵌め込まれていなくても、さらには、内側及び外側の両方に嵌め込まれていてもよい。
上記各実施形態では、開き戸を構成する防音ドアを例示したが、本発明は、引き戸や折れ戸等のその他のタイプの防音ドアにも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、フラッシュ構造の防音ドアの内部に組まれた鉄芯の緩みやがたつきを抑制することができるので、極めて有用である。
F 外枠
1 縦桟
2,4 横桟
5a,5b 内枠
6 戸先側内部縦枠(一方側の内部縦枠)
7 戸尻側内部縦枠(他方側の内部縦枠)
8 鉄芯
9 縦芯
11 下側内部横枠(他方側の内部横枠)
12 上側内部横枠(一方側の内部横枠)
13 下側第1横枠(他方側の横枠)
14 下側第2横枠(他方側の横枠)
15 上側横枠(一方側の横枠)
16 戸先側縦枠(一方側の縦枠)
17 戸尻側第1縦枠(他方側の縦枠)
18 戸尻側第2縦枠(他方側の縦枠)
25 内側遮音板材
26 上側外側遮音板材(第3の外側遮音板材)
27 下側外側遮音板材(第4の外側遮音板材)
28 戸先側外側遮音板材(第1の外側遮音板材)
29 戸尻側外側遮音板材(第2の外側遮音板材)
30 吸音材
41 表面材(第1面材)
42 裏面材(第2面材)
50a,50b 防音ドア
本発明は、防音ドアに関するものである。
従来より、縦長の矩形枠状の木製の外枠と、その外枠の表面及び裏面にそれぞれ貼り付けられた木製の表面材及び裏面材と、それらの外枠、表面材及び裏面材で囲まれた空間内に充填された吸音材とを備えたフラッシュ構造の防音ドアが広く知られている。
例えば、特許文献1には、防火性と防音性とを両立するために、方形状に配置した枠材と、その枠材の両面に固定した表面材とに囲まれた空間内にグラスウール等の芯材及びパーティクルボード等の面材が積層された状態で配置された戸が開示されている。
ところで、フラッシュ構造の防音ドアでは、ドア自体の反りを防止するために、鉄芯が組み込まれた鉄芯入りドアが提案されている。しかしながら、鉄芯入りドアでは、経時的な使用により、内部に組み込まれた鉄芯が緩んだり、がたついたりするおそれがあるので、改善の余地がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フラッシュ構造の防音ドアの内部に組まれた鉄芯の緩みやがたつきを抑制することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る防音ドアは、所定の厚さを有する一方側の横枠、他方側の横枠、一方側の縦枠及び他方側の縦枠を含む矩形枠状に設けられた木質材料からなる外枠と、上記外枠の内側において、上記所定の厚さを有し、上記一方側の縦枠と隣り合って延びるように設けられ、該一方側の縦枠に沿って延びる鉄芯が長さ方向全体に該一方側の縦枠側又は上記他方側の縦枠側に嵌め込まれた木質材料からなる一方側の内部縦枠と、上記外枠の内側において、上記所定の厚さを有し、上記他方側の縦枠と隣り合って延びるように設けられ、該他方側の縦枠に沿って延びる鉄芯が長さ方向全体に該他方側の縦枠側又は上記一方側の縦枠側に嵌め込まれた木質材料からなる他方側の内部縦枠と、上記一方側の縦枠及び上記一方側の内部縦枠の間において、上記所定の厚さを有し、該一方側の縦枠及び該一方側の内部縦枠に当接するように矩形状に設けられた木質材料からなる第1の外側遮音板材と、上記他方側の縦枠及び上記他方側の内部縦枠の間において、上記所定の厚さを有し、該他方側の縦枠及び該他方側の内部縦枠に当接するように矩形状に設けられた木質材料からなる第2の外側遮音板材と、上記一方側の内部縦枠及び上記他方側の内部縦枠の間において、該一方側の内部縦枠及び該他方側の内部縦枠に当接するように矩形状に設けられ、上記外枠の一方の表面側に配置された木質材料からなる内側遮音板材と、上記一方側の内部縦枠及び上記他方側の内部縦枠の間において、該一方側の内部縦枠及び該他方側の内部縦枠に両端部がそれぞれ当接するように且つ互いに平行に延びるように設けられ、上記外枠の他方の表面側に配置された木質材料からなる複数の横桟と、上記一方側の内部縦枠及び上記他方側の内部縦枠の間において、該一方側の内部縦枠及び該他方側の内部縦枠に当接するように且つ上記複数の横桟を避けるように設けられ、上記外枠の他方の表面側に配置された複数の吸音材と、上記外枠の一方の表面側に該外枠の枠内を覆うように設けられた木質材料からなる第1面材と、上記外枠の他方の表面側に該外枠の枠内を覆うように設けられた木質材料からなる第2面材とを備え、上記内側遮音板材の厚さと上記各横桟の厚さとの和は、上記所定の厚さであることを特徴とする。
上記の構成よれば、一方側の横枠、他方側の横枠、一方側の縦枠及び他方側の縦枠を含む外枠の内側に、一方側の内部縦枠、他方側の内部縦枠、第1の外側遮音板材、第2の外側遮音板材、内側遮音板材、複数の横桟及び複数の吸音材を設け、外枠の一方の表面側に第1面材を設け、外枠の他方の表面側に第2面材を設けることにより、フラッシュ構造の防音ドアを構成することができる。ここで、一方側の縦枠側又は他方側の縦枠側に鉄芯が嵌め込まれた所定厚さを有する一方側の内部縦枠は、所定厚さを有する第1の外側遮音板材と、厚さの和が所定の厚さである各横桟の一方の端部及び内側遮音板材とに挟まれているので、一方側の内部縦枠において、鉄芯の緩みやがたつきを抑制することができる。また、一方側の縦枠側又は他方側の縦枠側に鉄芯が嵌め込まれた所定厚さを有する他方側の内部縦枠は、所定厚さを有する第2の外側遮音板材と、厚さの和が所定の厚さである各横桟の他方の端部及び内側遮音板材とに挟まれているので、他方側の内部縦枠において、鉄芯の緩みやがたつきを抑制することができる。これにより、一方側の内部縦枠及び他方側の内部縦枠において、鉄芯の緩みやがたつきをそれぞれ抑制することができるので、フラッシュ構造の防音ドアの内部に組まれた鉄芯の緩みやがたつきを抑制することができる。
上記一方側の内部縦枠において、上記鉄芯は、上記一方側の縦枠側に嵌め込まれ、上記他方側の内部縦枠において、上記鉄芯は、上記他方側の縦枠側に嵌め込まれ、上記一方側の内部縦枠及び上記第1の外側遮音板材の間、並びに上記他方側の内部縦枠及び上記第2の外側遮音板材の間には、上記所定の厚さを有する木質材料からなる縦芯がそれぞれ設けられていてもよい。
上記の構成よれば、所定の厚さを有する木質材料からなる縦芯が介在することにより、一方側の内部縦枠における一方側の縦枠側に嵌め込まれた鉄芯と第1の外側遮音板材との面接触、及び他方側の内部縦枠における他方側の縦枠側に嵌め込まれた鉄芯と第2の外側遮音板材との面接触を抑制することができるので、ドアの開閉動作の際に鉄芯の表面と高比重な第1及び第2の外側遮音板材との擦れ合いによる音鳴りを抑制することができる。
上記複数の横桟の両端部は、互いに平行に延びるように設けられて該各横桟と同じ厚さを有する木質材料からなる一対の縦桟に固定され、上記複数の横桟及び上記一対の縦桟は、内枠を構成していてもよい。
上記の構成よれば、互いに平行に延びるように設けられ一対の縦桟と、一対の縦桟の間に互いに平行に延びるように設けられた複数の横桟とにより、梯子状の内枠を予め形成しておくことができる。
上記外枠の内側には、上記所定の厚さを有し、上記一方側の横枠と離間して隣り合って延びると共に、上記一方側の内部縦枠の長さ方向の一方端、及び上記他方側の内部縦枠の長さ方向の一方端に当接するように木質材料からなる一方側の内部横枠が設けられ、上記一方側の横枠及び上記一方側の内部横枠の間には、上記所定の厚さを有し、該一方側の横枠及び該一方側の内部横枠に当接するように木質材料からなる第3の外側遮音板材が矩形状に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、互いに離間するように設けられた一方側の横枠及び一方側の内部横枠には、第3の外側遮音板材が当接している。また、一方側の内部横枠における他方の横枠側には、一方側の内部縦枠の長さ方向の一方端、及び他方側の内部縦枠の長さ方向の一方端に当接しているので、防音ドア内における一方側の内部横枠のずれを抑制することができる。
上記外枠の内側には、上記所定の厚さを有し、上記他方側の横枠と離間して隣り合って延びると共に、上記一方側の内部縦枠の長さ方向の他方端、及び上記他方側の内部縦枠の長さ方向の他方端に当接するように木質材料からなる他方側の内部横枠が設けられ、上記他方側の横枠及び上記他方側の内部横枠の間には、上記所定の厚さを有し、該他方側の横枠及び該他方側の内部横枠に当接するように木質材料からなる第4の外側遮音板材が矩形状に設けられていてもよい。
上記の構成によれば、互いに離間するように設けられた他方側の横枠及び他方側の内部横枠には、第4の外側遮音板材が当接している。また、他方側の内部横枠における一方の横枠側には、一方側の内部縦枠の長さ方向の他方端、及び他方側の内部縦枠の長さ方向の他方端に当接しているので、防音ドア内における他方側の内部横枠のずれを抑制することができる。
上記内側遮音板材の厚さと上記各横桟の厚さとの比は、1:2~2:1であってもよい。
上記の構成によれば、内側遮音板材の厚さと各横桟の厚さとの比が1:2~2:1である。ここで、内側遮音板材は、例えば、パーティクルボードやMDF(Medium Density Fiberboard)等の相対的に密な木質材料により形成され、内枠の内部を埋める吸音材は、例えば、グラスウールや等の相対的に疎な材料により形成されている。そのため、内側遮音板材の厚さと各横桟の厚さとの比を1:2~2:1とすることにより、防音ドアにおいて、軽量化と遮音性とのバランスを取ることができる。
上記一方側の内部縦枠及び上記他方側の内部縦枠に嵌め込まれた上記各鉄芯は、コ字状の横断面を有し、上記一方側の内部縦枠及び上記他方側の内部縦枠の上記鉄芯が嵌め込まれた側は、該鉄芯の対向する一対の面に当接する部分が切り欠かれており、上記鉄芯における対向する一対の面の部分の外形寸法は、上記所定の厚さよりも小さくなっていてもよい。
上記の構成によれば、一方側の内部縦枠及び他方側の内部縦枠の鉄芯が嵌め込まれた側は、鉄芯の対向する一対の面に当接する部分が切り欠かれており、鉄芯における対向する一対の面の部分の外形寸法は、所定の厚さよりも小さくなっているので、一方側の内部縦枠及び他方側の内部縦枠にそれぞれ嵌め込まれた鉄芯が第1面材及び第2面材と接触しないようになっている。これにより、鉄芯と第1面材及び第2面材とを接着する必要がなく、特殊の接着剤や接着処理等が不要になるので、製造コストを抑制することができる。ここで、鉄芯と第1面材及び第2面材とを接着すると、万が一、剥がれた際に、擦れ合って音鳴りするおそれがある。また、鉄芯と第1面材及び第2面材とを接着すると、乾湿による寸法変化のない鉄芯と、乾湿による寸法変化のある木質材料との寸法変化の違いにより、ドア表面の撓み、ドア表面における鉄芯部分の芯陰の発生が懸念される。
上記内側遮音板材と上記複数の吸音材とは、互いに接着されていなくてもよい。
上記の構成によれば、内側遮音板材と複数の吸音材とが互いに接着されていなくても、内側遮音板材が第1面材に接着され、各吸音材が第2面材に接着され、内側遮音板材の厚さと(各横桟の同じ厚さの)吸音材の厚さとの和が所定厚さであるので、長期の使用による内側遮音板材のがたつき及び吸音材のへたりを効果的に抑制することができる。
本発明によれば、鉄芯が嵌め込まれた所定厚さを有する一方側の内部縦枠は、所定厚さを有する第1の外側遮音板材と、厚さの和が所定の厚さである各横桟の一方の端部及び内側遮音板材とに挟まれ、鉄芯が嵌め込まれた所定厚さを有する他方側の内部縦枠は、所定厚さを有する第2の外側遮音板材と、厚さの和が所定の厚さである各横桟の他方の端部及び内側遮音板材とに挟まれているので、フラッシュ構造の防音ドアの内部に組まれた鉄芯の緩みやがたつきを抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係る防音ドアの正面図である。
本発明の第1の実施形態に係る防音ドアの背面図である。
図1中のIII-III線に沿った防音ドアの断面図である。
本発明の第1の実施形態に係る防音ドアを構成する戸先側内部縦枠の横断面図である。
本発明の第1の実施形態に係る防音ドアを構成する内枠の変形例の正面図である。
本発明の第1の実施形態に係る防音ドアの遮音性能試験の結果を示す表である。
本発明の第2の実施形態に係る防音ドアの正面図であり、図1に相当する図である。
図7中のVIII-VIII線に沿った防音ドアの断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
《第1の実施形態》
図1~図6は、本発明に係る防音ドアの第1の実施形態を示している。ここで、図1及び図2は、本実施形態の防音ドア50aの正面図及び背面図である。また、図3は、図1中のIII-III線に沿った防音ドア50aの断面図である。また、図4は、防音ドア50aを構成する戸先側内部縦枠6の横断面図である。また、図5は、防音ドア50aを構成する内枠5aの変形例として示す内枠5bの正面図である。また、図6は、防音ドア50aの遮音性能試験の結果を示す表である。なお、図1の正面図では、防音ドア50aの正面全体に設けられている表面材の図示を省略し、図2の背面図では、防音ドア50aの背面全体に設けられている裏面材の図示を省略している。
防音ドア50aは、図1~図3に示すように、矩形枠状に設けられた外枠Fと、外枠Fの内部に設けられた戸先側内部縦枠6、戸尻側内部縦枠7、下側内部横枠11、上側内部横枠12、内枠5a、4つの吸音材30、内側遮音板材25、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29と、外枠Fの表裏面に設けられた表面材41及び裏面材42とを備えている。
外枠Fは、例えば、外寸が縦2.0m程度×横0.7m程度であり、図1及び図2に示すように、図中の横方向に延びるように設けられた下側第1横枠13、下側第2横枠14及び上側横枠15と、図中の縦方向に延びるように設けられた戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18とを備えている。ここで、下側第1横枠13、下側第2横枠14、上側横枠15、戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17、戸尻側第2縦枠18、並びに後述する戸先側内部縦枠6、戸尻側内部縦枠7、下側内部横枠11及び上側内部横枠12は、所定の厚さT(図3参照、例えば、20mm~30mm程度)を有し、曲げ強度に優れた木質軸材料(例えば、LVL(laminated veneer lumber)、集成材、合板等)により構成されている。また、下側第1横枠13、下側第2横枠14、上側横枠15、戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18は、例えば、ステープル等により仮固定されている。また、上側横枠15は、一方側の横枠として設けられ、下側第1横枠13及び下側第2横枠14は、他方側の横枠として互いに隣接するように設けられている。また、戸先側縦枠16は、一方側の縦枠として設けられ、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18は、他方側の縦枠として互いに隣接するように設けられている。なお、本実施形態では、枠材が縦勝ちに組まれた外枠Fを例示したが、外枠Fは、枠材が横勝ちに組まれていてもよい。
戸先側内部縦枠6は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、外枠Fの内側において、戸先側縦枠16と離間して隣り合って延びるように固定されて一方側の内部縦枠として設けられている。ここで、戸先側内部縦枠6の戸尻側第1縦枠17側には、図1~図3に示すように、戸先側内部縦枠6に沿って延びる鉄芯8が長さ方向全体に嵌め込まれている。なお、鉄芯8は、図3及び図4に示すように、コ字状の横断面を有している。そして、戸先側内部縦枠6(及び後述する戸尻側内部縦枠7)の鉄芯8が嵌め込まれた側は、図4に示すように、鉄芯8の対向する一対の面に当接する部分が切り欠かれており、鉄芯8における対向する一対の面の部分の外形寸法Sは、所定の厚さTよりも小さくなっている。そのため、鉄芯8は、表面材41及び裏面材42と接触しないように設けられている。
戸尻側内部縦枠7は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、外枠Fの内側において、戸尻側第1縦枠17と離間して隣り合って延びるように固定されて他方側の内部縦枠として設けられている。ここで、戸尻側内部縦枠7の戸先側縦枠16側には、図1~図3に示すように、戸尻側内部縦枠7に沿って延びる鉄芯8が長さ方向全体に嵌め込まれている。
下側内部横枠11は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、外枠Fの内側において、下側第1横枠13と離間して隣り合って延びるように他方側の内部横枠として設けられている。また、下側内部横枠11は、図1及び図2に示すように、戸先側内部縦枠6の長さ方向の他方端(図中の下端)、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の他方端(図中の下端)にそれぞれ当接するように設けられている。
上側内部横枠12は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、外枠Fの内側において、上側横枠15と離間して隣り合って延びるように一方側の内部横枠として設けられている。また、上側内部横枠12は、図1及び図2に示すように、戸先側内部縦枠6の長さ方向の一方端(図中の上端)、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の一方端(図中の上端)にそれぞれ当接するように設けられている。
内枠5aは、図1~図3に示すように、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間において、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に当接するように枠状に設けられ、外枠Fの他方の表面側(図3中の下側)に配置されている。ここで、内枠5aは、図1に示すように、互いに離間して平行に(図中の縦方向に)延びるように設けられた一対の縦桟1と、一対の縦桟1の間において、互いに離間して平行に(図中の横方向に)延びるように設けられた3つの横桟2とを備えている。また、内枠5aの内部には、図1及び図3に示すように、内枠5aの内部を埋めるように、グラスウールやポリエステル等からなる吸音ウール、ウレタンフォームやアクリルフォーム等の発泡体、有機樹脂材料からなる不織布等により構成された吸音材30が設けられている。また、縦桟1及び横桟2は、木質材料(例えば、LVL、集成材、合板等)により構成されている。なお、本実施形態では、3つの横桟2を備えた内枠5aを例示したが、図5に示すように、3つの横桟2の外側に上下一対の横桟3を備えた内枠5bであってもよい。また、内枠5a(内枠5b)は、例えば、ステープル等により仮固定することにより、内側遮音板材25に予め一体化されていてもよい。
内側遮音板材25は、図1~図3に示すように、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間において、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に当接するように矩形状に設けられ、外枠Fの一方の表面側(図3中の上側)に配置されている。ここで、内側遮音板材25は、例えば、パーティクルボードやMDF等の遮音性に優れた高比重且つ均質な木質材料により構成されている。なお、内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの和は、図3に示すように、所定の厚さTになっている。また、内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの比は、1:2~2:1になっている。ここで、内側遮音板材25の厚さが内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの和の1/3に満たない場合には、遮音性能が低下して、日常生活の生活音に起因する様々な支障をきたすおそれがある。また、内側遮音板材25の厚さが内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの和の2/3を超える場合には、重量が重いドアとなってしまい、配送、施工、取扱い時に重量が重いことに起因する様々な支障をきたすおそれがある。
上側外側遮音板材26は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、上側横枠15及び上側内部横枠12の間において、上側横枠15及び上側内部横枠12に当接するように第3の外側遮音板材として矩形状に設けられている。なお、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29は、例えば、パーティクルボードやMDF等の遮音性に優れた高比重且つ均質な木質材料により構成されている。
下側外側遮音板材27は、所定の厚さTを有し、図1及び図2に示すように、下側第1横枠13及び下側内部横枠11の間において、下側第1横枠13及び下側内部横枠11に当接するように第4の外側遮音板材として矩形状に設けられている。
戸先側外側遮音板材28は、所定の厚さTを有し、図1~図3に示すように、戸先側縦枠16及び戸先側内部縦枠6の間において、戸先側縦枠16及び戸先側内部縦枠6に当接するように第1の外側遮音板材として矩形状に設けられている。
戸尻側外側遮音板材29は、所定の厚さTを有し、図1~図3に示すように、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側内部縦枠7の間において、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側内部縦枠7に当接するように第2の外側遮音板材として矩形状に設けられている。
表面材41は、図3に示すように、外枠Fの一方の表面側(図中の下側)に外枠Fの枠内を覆うように第1面材として設けられている。また、裏面材42は、図3に示すように、外枠Fの一方の表面側(図中の上側)に外枠Fの枠内を覆うように第2面材として設けられている。ここで、表面材41及び裏面材42は、例えば、厚さ2mm~8mm程度のMDFや合板等の木質材料、又は火山性ガラス質複層板やケイ酸カルシウム板等の無機質材料により構成されている。なお、表面材41及び裏面材42の厚さが2mmよりも薄い場合には、下地の形状を拾い易くなってしまう。また、表面材41及び裏面材42の厚さが8mmを超える場合には、不必要にドア厚が厚くなり、全体重量が重くなると共にともに、本発明の趣旨である鉄芯8に囲まれた内部空間の軽量且つ遮音性に配慮した構成の効果が発揮され難くなってしまう。さらに、表面材41及び裏面材42は、同じ材料により同じ厚さに形成されていることが好ましい。
上述した防音ドア50aは、例えば、戸先側の高さ方向の中央部にドアレバーを取り付け、戸尻側第2縦枠18に取り付けた上下一対の蝶番により、住居等の建築物に出入口として設けられた矩形状の開口部の吊元側に回転自在に支持されて開き戸を構成するようになっている。なお、防音ドア50aでは、内枠5aの内部に吸音材30が充填されることにより、例えば、表面材41から投入された音エネルギーが裏面材42に直接伝達することを抑制することができると共に、空洞があれば、その空洞により特定の音域波長のエネルギーが増幅される、いわゆる、太鼓現象の発生を抑制することができる。
次に、本実施形態の防音ドア50aの製造方法について一例を挙げて説明する。
まず、直角精度を担保できる治具に沿って、下側第1横枠13、下側第2横枠14、上側横枠15、戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18を所定位置に並べて、外枠Fを仮形成する。
続いて、外枠Fの内側の所定位置に下側内部横枠11及び上側内部横枠12を並べる。
その後、下側内部横枠11及び上側内部横枠12の間の所定位置に鉄芯8が嵌め込まれた戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7を並べる。
さらに、上側横枠15及び上側内部横枠12の間に上側外側遮音板材26を、下側第1横枠13及び下側内部横枠11の間に下側外側遮音板材27を、戸先側縦枠16及び戸先側内部縦枠6の間に戸先側外側遮音板材28を、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側内部縦枠7の間に戸尻側外側遮音板材29をそれぞれ並べた後に、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に内側遮音板材25を並べる。
その後、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間の下側内部横枠11及び上側内部横枠12に一対の縦桟1を並べた後に一対の縦桟1に3つの横桟2を並べて、それぞれ部材間を上記治具で直角制度を確認しながらステープル等により仮固定して、内枠5aを形成する。
さらに、内枠5aから露出する各内側遮音板材25上にグラスウール等の吸音材30を載置し、ステープル等により仮固定する。
その後、表面材41の裏面に接着剤を塗布し、表面材41を外枠Fに合わせて貼り付ける。
最後に、表裏反転した後に、裏面材42の裏面に接着剤を塗布し、裏面材42を外枠Fに合わせて貼り付ける。
以上のようにして、本実施形態の防音ドア50aを製造することができる。
次に、本実施形態の防音ドア50aに対して、具体的に行った実験(遮音性能試験)について説明する。
<実施例>
厚さ21mm及び幅29mmのLVLの角材を用いて、外寸1989mm×715mmの外枠Fを形成した。また、厚さ12mm及び幅29mmのLVLの角材を用いて、内寸1560mm×364mmの内枠5aを形成した。また、下側内部横枠11及び上側内部横枠12については、厚さ21mm及び幅29mmのLVLの角材を用いた。また、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7については、厚さ21mm及び幅29mmのLVLの角材及び厚さ1mmの鉄芯8を用いて形成した。また、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29については、厚さ21mmのパーティクルボードを用いた。また、内側遮音板材25については、厚さ9mmのパーティクルボードを用いた。また、吸音材30については、厚さ11mmのガラスウールを用いた。また、表面材41及び裏面材42については、厚さ7mmのMDFを用いた。以上の構成材料を用い、上述した防音ドア50aの製造方法に基づいて、実施例の防音ドア(扉重量:33.6kg)を試作した。
<比較例>
上記実施例において、厚さ9mmのパーティクルボードの内側遮音板材25の代わりに、厚さ9mmのグラスウールを用いて、比較例の防音ドア(扉重量:30kg)を試作した。
<遮音性能試験>
上記実施例及び比較例の防音ドアについて、JIS A 1416に基づいて、遮音性能を比較した。ここで、音源としては、ピンクノイズを用い、125Hz、250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hz及び4000Hzの遮音性能(音圧レベル)を評価した。
遮音性能試験の結果としては、実施例の防音ドアでは比較例の防音ドアと比較して、扉重量が10%程度増えるものの、図6の表に示すように、125Hz~4000Hzの広い周波数域で遮音性能が向上することが分かった。
以上説明したように、本実施形態の防音ドア50aによれば、下側第1横枠13、下側第2横枠14、上側横枠15、戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18を含む外枠Fの内側に、戸先側内部縦枠6、戸尻側内部縦枠7、内側遮音板材25、及び吸音材30を含む内枠5aを設け、外枠Fの一方の表面側に表面材41を設け、外枠Fの他方の表面側に裏面材42を設けることにより、防音性能に優れ、且つ軽量化されたフラッシュ構造の防音ドア50aを構成することができる。ここで、戸尻側第1縦枠17側に鉄芯8が嵌め込まれた所定厚さTを有する戸先側内部縦枠6は、所定厚さTを有する戸先側外側遮音板材28と、厚さの和が所定の厚さTである内枠5a及び内側遮音板材25とに挟まれているので、戸先側内部縦枠6において、鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。また、戸先側縦枠16側に鉄芯8が嵌め込まれた所定厚さTを有する戸尻側内部縦枠7は、所定厚さTを有する戸尻側外側遮音板材29と、厚さの和が所定の厚さTである内枠5a及び内側遮音板材25とに挟まれているので、戸尻側内部縦枠7において、鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。これにより、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7において、鉄芯8の緩みやがたつきをそれぞれ抑制することができるので、フラッシュ構造の防音ドア50aの内部に組まれた鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。さらに、フラッシュ構造の防音ドア50aにおいて、鉄芯8が嵌め込まれた戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に内側遮音板材25及び吸音材30を配置させることにより、鉄芯8に囲まれた大空間を活用することができるので、防音性及び軽量化に配慮した防音ドア50aを提供することができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、互いに離間するように設けられた上側横枠15及び上側内部横枠12には、上側外側遮音板材26が当接している。また、上側内部横枠12における下側第1横枠13側には、戸先側内部縦枠6の長さ方向の一方端、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の一方端に当接しているので、防音ドア50a内における上側内部横枠12のずれを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、互いに離間するように設けられた下側第1横枠13及び下側内部横枠11には、下側外側遮音板材27が当接している。また、下側内部横枠11における上側横枠15側には、戸先側内部縦枠6の長さ方向の他方端、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の他方端に当接しているので、防音ドア50a内における下側内部横枠11のずれを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの比が1:2~2:1になっている。ここで、内側遮音板材25は、(LVL、集成材、合板等よりも高比重の)例えば、パーティクルボード(中比重の木切片板)やMDF(中比重の木質繊維板)等の相対的に密な木質材料により形成され、内枠5aの内部を埋める吸音材30は、(LVL、集成材、合板等よりも低比重の)例えば、グラスウール等の相対的に疎な材料により形成されている。そのため、内側遮音板材25の厚さと内枠5aの厚さとの比を1:2~2:1とすることにより、防音ドア50aにおいて、軽量化と遮音性とのバランスを取ることができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に鉄芯8がそれぞれ嵌め込まれているので、防音ドア50aの高さ方向の反りを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29の部分には鉄芯8が配置されていないので、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29に重なる防音ドア50aの周囲の部分を幅方向及び高さ方向の調整代とすることにより、種々のサイズのドアに適用することができると共に、鉄芯8が嵌め込まれた戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7、並びにそれらの間に配置する構成部材を共有することができ、効率的な製造を実現することができる。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の鉄芯8が嵌め込まれた側は、鉄芯8の対向する一対の面に当接する部分が切り欠かれており、鉄芯8における対向する一対の面の部分の外形寸法Sは、所定の厚さTよりも小さくなっているので、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7にそれぞれ嵌め込まれた鉄芯8が表面材41及び裏面材42と接触しないようになっている。これにより、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着する必要がなく、特殊の接着剤や接着処理等が不要になるので、製造コストを抑制することができる。ここで、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着させると、万が一、剥がれた際に、擦れ合って音鳴りするおそれがある。また、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着させると、乾湿による寸法変化のない鉄芯8と、乾湿による寸法変化のある表面材41及び裏面材42との寸法変化の違いにより、ドア表面の撓み、ドア表面における鉄芯8部分の芯陰、面材部材での撓みの発生が懸念される。
また、本実施形態の防音ドア50aによれば、内側遮音板材25と複数の吸音材30とが互いに接着されていなくても、内側遮音板材25が裏面材42に接着され、各吸音材30が表面材41に接着され、内側遮音板材25の厚さと(内枠5aの同じ厚さの)吸音材30の厚さとの和が所定厚さTであるので、長期の使用による内側遮音板材25のがたつき及び吸音材30のへたりを効果的に抑制することができる。
《第2の実施形態》
図7及び図8は、本発明に係る防音ドアの第2の実施形態を示している。ここで、図7は、本実施形態の防音ドア50bの正面図であり、図1に相当する図である。また、図8は、図7中のVIII-VIII線に沿った防音ドア50bの断面図である。なお、以下の実施形態において、図1~図6と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
上記第1の実施形態では、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に内枠5aが設けられた防音ドア50aを例示したが、本実施形態では、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に複数の横桟4が設けられた防音ドア50bを例示する。
防音ドア50bは、図7及び図8に示すように、矩形枠状に設けられた外枠Fと、外枠Fの内部に設けられた戸先側内部縦枠6、戸尻側内部縦枠7、一対の縦芯9、下側内部横枠11、上側内部横枠12、3つの横桟4、4つの吸音材30、内側遮音板材25、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29と、外枠Fの表裏面に設けられた表面材41及び裏面材42とを備えている。
戸先側内部縦枠6の戸先側縦枠16側には、図7及び図8に示すように、戸先側内部縦枠6に沿って延びる鉄芯8が長さ方向全体に嵌め込まれている。
戸尻側内部縦枠7の戸尻側第1縦枠17側には、図7及び図8に示すように、戸尻側内部縦枠7に沿って延びる鉄芯8が長さ方向全体に嵌め込まれている。
一方の縦芯9は、図7及び図8に示すように、所定の厚さTを有し、戸先側内部縦枠6(の鉄芯8が嵌め込まれ側)及び戸先側外側遮音板材28の間に設けられている。ここで、縦芯9は、例えば、LVL、集成材、合板等の木質材料により構成されている。
一対の縦芯9は、図7及び図8に示すように、所定の厚さTを有し、戸尻側内部縦枠7(の鉄芯8が嵌め込まれ側)及び戸尻側外側遮音板材29の間に設けられている。
3つの横桟4は、図7及び図8に示すように、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間において、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に両端部がそれぞれ当接するように且つ互いに平行に延びるように設けられ、外枠Fの他方の表面側(図8中の下側)に配置されている。ここで、横桟4は、例えば、LVL、集成材、合板等の木質材料により構成されている。また、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間には、図7に示すように、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に当接するように且つ3つの横桟4を避けるように4つの吸音材30が外枠Fの他方の表面側に設けられている。なお、本実施形態では、3つの横桟4を備えた構成を例示したが、横桟4の本数は、これに限定されない。また、本実施形態では、上記第1の実施形態における内枠5aを構成する一対の縦桟1が省略されて、その部分に吸音材30が充填されているので、軽量化を図ることができる。
内側遮音板材25の厚さと各横桟4の厚さとの和は、図8に示すように、所定の厚さTになっている。ここで、内側遮音板材25の厚さと横桟4の厚さとの比は、1:2~2:1になっている。なお、内側遮音板材25の厚さが内側遮音板材25の厚さと横桟4の厚さとの和の1/3に満たない場合には、遮音性能が低下して、日常生活の生活音に起因する様々な支障をきたすおそれがある。また、内側遮音板材25の厚さが内側遮音板材25の厚さと横桟4の厚さとの和の2/3を超える場合には、重量が重いドアとなってしまい、配送、施工、取扱い時に重量が重いことに起因する様々な支障をきたすおそれがある。
上述した防音ドア50bは、例えば、戸先側の高さ方向の中央部にドアレバーを取り付け、戸尻側第2縦枠18に取り付けた上下一対の蝶番により、住居等の建築物に出入口として設けられた矩形状の開口部の吊元側に回転自在に支持されて開き戸を構成するようになっている。なお、防音ドア50bでは、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に吸音材30が充填されることにより、例えば、表面材41から投入された音エネルギーが裏面材42に直接伝達することを抑制することができると共に、空洞があれば、その空洞により特定の音域波長のエネルギーが増幅される、いわゆる、太鼓現象の発生を抑制することができる。
本実施形態の防音ドア50bは、上記第1の実施形態の防音ドア50aの製造方法において、下側内部横枠11及び上側内部横枠12の間に戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7を並べる際に縦芯9も並べ、内枠5aを形成する際に戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に横桟4だけを並べることにより、製造することができる。
以上説明したように、本実施形態の防音ドア50bによれば、下側第1横枠13、下側第2横枠14、上側横枠15、戸先側縦枠16、戸尻側第1縦枠17及び戸尻側第2縦枠18を含む外枠Fの内側に、横桟4、戸先側内部縦枠6、戸尻側内部縦枠7、縦芯9、内側遮音板材25及び吸音材30を設け、外枠Fの一方の表面側に表面材41を設け、外枠Fの他方の表面側に裏面材42を設けることにより、防音性能に優れ、且つ軽量化されたフラッシュ構造の防音ドア50bを構成することができる。ここで、戸先側縦枠16側に鉄芯8が嵌め込まれた所定厚さTを有する戸先側内部縦枠6は、所定厚さTを有する戸先側外側遮音板材28及び縦芯9と、厚さの和が所定の厚さTである横桟4及び内側遮音板材25とに挟まれているので、戸先側内部縦枠6において、鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。また、戸尻側第1縦枠17側に鉄芯8が嵌め込まれた所定厚さTを有する戸尻側内部縦枠7は、所定厚さTを有する戸尻側外側遮音板材29及び縦芯9と、厚さの和が所定の厚さTである横桟4及び内側遮音板材25とに挟まれているので、戸尻側内部縦枠7において、鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。これにより、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7において、鉄芯8の緩みやがたつきをそれぞれ抑制することができるので、フラッシュ構造の防音ドア50bの内部に組まれた鉄芯8の緩みやがたつきを抑制することができる。さらに、フラッシュ構造の防音ドア50bにおいて、鉄芯8が嵌め込まれた戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の間に内側遮音板材25及び吸音材30を配置させることにより、鉄芯8に囲まれた大空間を活用することができるので、防音性及び軽量化に配慮した防音ドア50bを提供することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、互いに離間するように設けられた上側横枠15及び上側内部横枠12には、上側外側遮音板材26が当接している。また、上側内部横枠12における下側第1横枠13側には、戸先側内部縦枠6の長さ方向の一方端、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の一方端に当接しているので、防音ドア50b内における上側内部横枠12のずれを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、互いに離間するように設けられた下側第1横枠13及び下側内部横枠11には、下側外側遮音板材27が当接している。また、下側内部横枠11における上側横枠15側には、戸先側内部縦枠6の長さ方向の他方端、及び戸尻側内部縦枠7の長さ方向の他方端に当接しているので、防音ドア50b内における下側内部横枠11のずれを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、内側遮音板材25の厚さと横桟4の厚さとの比が1:2~2:1になっている。ここで、内側遮音板材25は、(LVL、集成材、合板等よりも高比重の)例えば、パーティクルボード(中比重の木切片板)やMDF(中比重の木質繊維板)等の相対的に密な木質材料により形成され、横桟4に隣り合う吸音材30は、(LVL、集成材、合板等よりも低比重の)例えば、グラスウール等の相対的に疎な材料により形成されている。そのため、内側遮音板材25の厚さと横桟4の厚さとの比を1:2~2:1とすることにより、防音ドア50bにおいて、軽量化と遮音性とのバランスを取ることができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7に鉄芯8がそれぞれ嵌め込まれているので、防音ドア50bの高さ方向の反りを抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29の部分には鉄芯8が配置されていないので、上側外側遮音板材26、下側外側遮音板材27、戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29に重なる防音ドア50bの周囲の部分を幅方向及び高さ方向の調整代とすることにより、種々のサイズのドアに適用することができると共に、鉄芯8が嵌め込まれた戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7、並びにそれらの間に配置する構成部材を共有することができ、効率的な製造を実現することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7の鉄芯8が嵌め込まれた側は、鉄芯8の対向する一対の面に当接する部分が切り欠かれており、鉄芯8における対向する一対の面の部分の外形寸法Sは、所定の厚さTよりも小さくなっているので、戸先側内部縦枠6及び戸尻側内部縦枠7にそれぞれ嵌め込まれた鉄芯8が表面材41及び裏面材42と接触しないようになっている。これにより、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着する必要がなく、特殊の接着剤や接着処理等が不要になるので、製造コストを抑制することができる。ここで、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着させると、万が一、剥がれた際に、擦れ合って音鳴りするおそれがある。また、鉄芯8と表面材41及び裏面材42とを接着させると、乾湿による寸法変化のない鉄芯8と、乾湿による寸法変化のある表面材41及び裏面材42との寸法変化の違いにより、ドア表面の撓み、ドア表面における鉄芯8部分の芯陰、面材部材での撓みの発生が懸念される。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、内側遮音板材25と複数の吸音材30とが互いに接着されていなくても、内側遮音板材25が裏面材42に接着され、各吸音材30が表面材41に接着され、内側遮音板材25の厚さと(横桟4の同じ厚さの)吸音材30の厚さとの和が所定厚さTであるので、長期の使用による内側遮音板材25のがたつき及び吸音材30のへたりを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の防音ドア50bによれば、所定の厚さを有する木質材料からなる縦芯9が介在することにより、戸先側内部縦枠6における戸先側縦枠16側に嵌め込まれた鉄芯8と戸先側外側遮音板材28との面接触、及び戸尻側内部縦枠7における戸尻側第1縦枠17側に嵌め込まれた鉄芯8と戸尻側外側遮音板材29との面接触を抑制することができるので、ドアの開閉動作の際に鉄芯8の表面と高比重な戸先側外側遮音板材28及び戸尻側外側遮音板材29との擦れ合いによる音鳴りを抑制することができる。
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、互いに対向する戸先側内部縦枠及び戸尻側内部縦枠の内側又は外側に鉄芯が嵌め込まれた防音ドアを例示したが、鉄芯は、互いに対向する戸先側内部縦枠及び戸尻側内部縦枠の内側及び外側の何れかに揃って嵌め込まれていなくても、さらには、内側及び外側の両方に嵌め込まれていてもよい。
上記各実施形態では、開き戸を構成する防音ドアを例示したが、本発明は、引き戸や折れ戸等のその他のタイプの防音ドアにも適用することができる。
以上説明したように、本発明は、フラッシュ構造の防音ドアの内部に組まれた鉄芯の緩みやがたつきを抑制することができるので、極めて有用である。
F 外枠
1 縦桟
2,4 横桟
5a,5b 内枠
6 戸先側内部縦枠(一方側の内部縦枠)
7 戸尻側内部縦枠(他方側の内部縦枠)
8 鉄芯
9 縦芯
11 下側内部横枠(他方側の内部横枠)
12 上側内部横枠(一方側の内部横枠)
13 下側第1横枠(他方側の横枠)
14 下側第2横枠(他方側の横枠)
15 上側横枠(一方側の横枠)
16 戸先側縦枠(一方側の縦枠)
17 戸尻側第1縦枠(他方側の縦枠)
18 戸尻側第2縦枠(他方側の縦枠)
25 内側遮音板材
26 上側外側遮音板材(第3の外側遮音板材)
27 下側外側遮音板材(第4の外側遮音板材)
28 戸先側外側遮音板材(第1の外側遮音板材)
29 戸尻側外側遮音板材(第2の外側遮音板材)
30 吸音材
41 表面材(第1面材)
42 裏面材(第2面材)
50a,50b 防音ドア