JP2023129443A - 放射線硬化型インクジェット組成物、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

放射線硬化型インクジェット組成物、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Kyohei Tanaka
景多▲郎▼ 中野
Keitaro Nakano
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Abstract

【課題】サイン用途に適した、柔軟性、密着性、耐擦過性を有する塗膜を得ることができる放射線硬化型インクジェット組成物及びインクジェット記録方法を提供すること。【解決手段】放射線硬化型インクジェット組成物は、単官能モノマーをモノマー全体に対して86質量%以上含み、モノマーのガラス転移温度から計算される放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度が42℃以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、放射線硬化型インクジェット組成物及び該組成物を用いるインクジェット記録方法に関する。
従来、例えば、特許文献1に記載されているように、臭気が少なく、良好な硬化性、硬化後の柔軟性を示す放射線硬化型インクジェット組成物が知られていた。特に実施例9(表3)には、モノマーとしてフェノキシエチルアクリレート:39質量%、アクリロイルモルフォリン:20質量%、n-ビニルカプロラクタム:15質量%、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル:10質量%、2官能ウレタンアクリレート、を含む放射性硬化型インクジェット組成物が記載されている。
特開2018-9142号公報
しかしながら、特許文献1に記載の放射線硬化型インクジェット組成物は、サイン用途に使用した場合、塗膜の柔軟性、密着性が不十分となりやすいという課題があった。また、柔軟性、密着性を高めるためにモノマー全体に対する単官能モノマーの割合を増やすと、塗膜の耐擦過性が低下することがあるという課題があった。
本願の放射線硬化型インクジェット組成物は、単官能モノマーをモノマー全体に対して86質量%以上含み、モノマーのガラス転移温度から計算される放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度が42℃以上である。
上記の放射線硬化型インクジェット組成物は、下記一般式(1)で表されるモノマーを含むことが好ましい。
CH2=CR1-COOR2-O-CH=CH-R3・・・(1)
(式(1)中、R1は水素原子またメチル基であり、R2は炭素数2~20の2価の有機残基であり、R3は水素原子または炭素数1~11の1価の有機残基である。)
上記の放射線硬化型インクジェット組成物において、単官能モノマーは、ガラス転移温度が90℃以上のモノマーを含むことが好ましい。
上記の放射線硬化型インクジェット組成物において、単官能モノマーは、n-ビニルカプロラクタム、またはアクリロイルモルフォリンであることが好ましい。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、上記の放射線硬化型インクジェット組成物を記録媒体に付着させる工程と、放射線硬化型インクジェット組成物に対してUV-LEDの光を照射する工程と、を含むことが好ましい。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本明細書において、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びそれに対応するメタクリロイルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
1.放射線硬化型インクジェット組成物
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、インクジェット法によりインクジェットヘッドから吐出して用いる組成物である。以下、放射線硬化型インクジェット組成物の一実施形態として放射線硬化型インクジェット組成物について説明するが、組成物はインク組成物以外の組成物、例えば3D造形用に用いられる組成物であってもよい。
本実施形態の放射線硬化型インクジェット組成物は、放射線を照射することにより硬化する。放射線としては、紫外線、赤外線、可視光線、エックス線等が挙げられる。放射線としては、放射線源が入手しやすく広く用いられている点、及び紫外線の放射による硬化に適した材料が入手しやすく広く用いられている点から、紫外線が好ましい。
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、単官能モノマーをモノマー全体に対して86質量%以上含み、モノマーのガラス転移温度から計算される放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度が42℃以上である。
以下、本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物において、含まれ得る成分、物性及び製造方法について説明する。
1.1.モノマー
本実施形態にて例示するモノマーには重合性官能基を1つもつ単官能モノマーと、重合性官能基を複数持つ多官能モノマーと、がある。
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、単官能モノマーをモノマー全体に対して86質量%以上含有する。また単官能モノマーの含有量は、モノマー全体に対して、好ましくは86質量%以上99質量%以下、より好ましくは94質量%以上99質量%以下、さらに好ましくは96質量%以上99質量%以下である。モノマー全体に対して単官能モノマーの含有率が86質量%以上であると、塗膜の柔軟性、密着性を高めることができる。また94質量%以上であると、さらに柔軟性と密着性を、96質量%以上であると、さらに密着性を高めることができる。また単官能モノマーの含有量は、モノマー全体に対して、好ましくは99質量%以下である。99質量%以下であると、耐擦過性を高めることができる。
また本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、モノマーのガラス転移温度から計算される放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度が42℃以上である。そのため、室温での塗膜の耐擦過性を高めることができる。
放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度の計算方法について説明する。放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度をTgAll、放射線硬化型インクジェット組成物に含まれる各モノマーのガラス転移温度をTgN、その含有量をXN(質量%)とする。Nは放射線硬化型インクジェット組成物に含まれるモノマーの種類に応じ、1から順に数字が入る。例えば3種類のモノマーを用いた場合、Tg1、Tg2、Tg3が生じる。なお各モノマーのガラス転移温度は、そのモノマーの安全データシート(SDS)やカタログ情報により入手した。放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度TgAllは、各モノマーによって計算されたガラス転移温度TgNと、含有量XNとの積の総和である。したがって下記式(2)が成り立つ。
TgAll=ΣTgN×XN・・・(2)
1.1.1.単官能モノマー
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は単官能モノマーを有する。
本実施形態の単官能モノマーとしては、特に限定されないが、従来公知の、重合性官能基、特に炭素間の不飽和二重結合を有する重合性官能基を有する単官能モノマーが使用可能である。また、単官能モノマーとして、例えば、芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートを含有してもよい。
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートは、芳香環骨格を有し、かつ、重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を一分子中に1個有する化合物である。芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、以下に限定されないが、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート(PEA)、アルコキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p-クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの市販品としては、例えば、ビスコート#192(大阪有機化学工業社製、商品名、フェノキシエチルアクリレート)、SR340(フェノキシエチルメタクリレート)、SR339A(フェノキシエチルアクリレート)、SR504(エトキシ化ノニルフェニルアクリレート)、CD614(アルコキシ化ノニルフェニルアクリレート)、及びCD9087(アルコキシ化2-フェノキシエチルアクリレート)(以上、サートマー社製商品名)が挙げられる。
単官能モノマーを、他の表現により例示すると、単官能モノマーとしては、下記の一般式(3)で表される化合物及び一般式(4)で表される化合物を挙げることができる。
CH2=CR4-COOR5-Ar ・・・(3)
CH2=CR4-COO-Ar ・・・(4)
(上記式(3)及び(4)中、R4は水素原子又はメチル基である。上記式(3)中、芳香環骨格を表すArは、少なくともアリール基を1個有し、当該アリール基を構成する炭素原子がR5で表される基に結合している1価の有機残基であり、またR5は炭素数1~4の2価の有機残基である。上記式(4)中、芳香環骨格を表すArは、少なくともアリール基を1個有し、当該アリール基を構成する炭素原子が当該式中の-COO-に結合している1価の有機残基である。)
上記の一般式(3)において、R5で表される基としては、炭素数1~4の直鎖状、分枝状、又は環状の、置換されていてもよいアルキレン基、並びに構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する、置換されていてもよい炭素数1~4のアルキレン基が好ましく挙げられる。これらの中でも、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数1~4のアルキレン基、並びにオキシエチレン基、オキシn-プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数1~4のアルキレン基が好適に用いられる。上記有機残基が置換されていてもよい基である場合、置換基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、及びハロ基が挙げられ、置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。
上記の一般式(3)及び(4)において、Ar(アリール)(芳香環骨格)に少なくとも1個含まれるアリール基としては、以下に限定されないが、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。アリール基の数は1以上であり、好ましくは1又は2である。アリール基は、当該基を構成する炭素原子のうち、式(3)中のR5で表される有機残基に結合する炭素原子、式(4)における-COO-に結合する炭素原子、及びアリール基を複数有する場合にはアリール基同士を結び付ける炭素原子、以外の炭素原子に置換されていてもよい。置換されている場合、アリール基1個当たりの置換数は1以上であり、好ましくは1又は2である。置換基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1~10の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基及びアルコキシ基、カルボキシル基、ハロ基、並びに水酸基が挙げられる。
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートを含有することにより、後述する重合開始剤の溶解性が良好となる傾向があり、硬化性が向上する傾向があるため好ましい。特に、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤やチオキサントン系重合開始剤を用いる場合にその溶解性が良好となる傾向がある。芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートの中でもフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましいが、臭気がより低いことからフェノキシエチル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。さらに、重合開始剤などの添加剤との相溶性が良好となり、さらに粘度及び臭気を低下させることができ、かつ、反応性(硬化性)を一層優れたものとできるため、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、フェノキシエチルアクリレート(PEA)が特に好ましい。
さらに、芳香環骨格を有さない単官能モノマーも使用可能である。その具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸;該不飽和カルボン酸の塩;不飽和カルボン酸のエステル、ウレタン、アミド及び無水物;アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン;N-ビニルフォルムアミド、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクタム等のN-ビニル化合物;ジメチルアクリルアミド(DMAA)、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩(DMAEA)等のアクリルアミド類;が挙げられる。これらの単官能モノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
単官能モノマーとしては、放射線硬化型インクジェット組成物の硬化性を良好なものとする観点から、単官能の(メタ)アクリル酸のエステル、すなわち単官能(メタ)アクリレートを用いてもよい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、tertブチルシクロヘキサノールアクリレート(TBCHA)、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート(IDA)、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリル酸-1,4-ジオキサスピロ[4,5]デシ-2-イルメチル等が挙げられる。
本実施形態の放射線硬化型インクジェット組成物に含まれる単官能モノマーは、ガラス転移温度が90℃以上のモノマーを含むことが好ましい。
ガラス転移温度が90℃以上のモノマーを含むことにより、モノマーのガラス転移温度から計算される放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度を、容易に42℃以上とすることができる。従って、室温での塗膜の耐擦過性を高めるという効果を得ることができる。
ガラス転移温度が90℃以上である単官能モノマーとしては、n-ビニルカプロラクタム(NVC)、アクリロイルモルフォリン(ACMO)、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、イソボルニルアクリレートなどが挙げられる。特にn-ビニルカプロラクタム(NVC)、アクリロイルモルフォリン(ACMO)が好ましい。n-ビニルカプロラクタム、またはアクリロイルモルフォリンにより、室温での塗膜の耐擦過性をさらに高めることができる。またn-ビニルカプロラクタムは塗膜の柔軟性をさらに高め、アクリロイルモルフォリンは放射線硬化型インクジェット組成物の臭気を低減させることができる。
ガラス転移温度が90℃以上である単官能モノマーの含有量は特に規定されるものではないが、モノマーのガラス転移温度から計算される放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度が42℃以上となるように含有量を調整することが好ましい。
1.1.2.多官能モノマー
本実施形態の放射線硬化型インクジェット組成物は、多官能モノマーを含んでもよい。
多官能モノマーとしては、下記一般式(1)で表される多官能モノマー(ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート)を含有することが好ましい。
CH2=CR1-COOR2-O-CH=CH-R3 ・・・(1)
(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数2~20の2価の有機残基であり、R3は水素原子または炭素数1~11の1価の有機残基である。)
一般式(1)で表されるモノマーを含むことにより、放射線硬化型インクジェット組成物を容易に低粘度化することができる。低粘度化により、放射線硬化型インクジェット組成物を用いて印刷を行う際に、インクジェットヘッドから安定的に吐出させることができる。これに加えて、一般式(1)で表されるモノマーを含むことにより、硬化性を良好にすることができる。硬化性を良好にすることで、印刷速度を速くすることができる。従って印刷に適した放射線硬化型インクジェット組成物を得ることができる。
上記一般式(1)において、R2で表される炭素数2~20の2価の有機残基としては、炭素数2~20の直鎖状、分枝状又は環状の、置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する、置換されていてもよい炭素数2~20のアルキレン基、炭素数6~11の、置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2~6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn-プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2~9のアルキレン基が好適に用いられる。さらに、放射線硬化型インクジェット組成物を、より低粘度化でき、かつ、硬化性をさらに良好にする観点から、R2が、オキシエチレン基、オキシn-プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2~9のアルキレン基となっている、グリコールエーテル鎖を有する化合物がより好ましい。
上記一般式(1)において、R3で表される炭素数1~11の1価の有機残基としては、炭素数1~10の直鎖状、分枝状又は環状の、置換されていてもよいアルキル基、炭素数6~11の、置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1~2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6~8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
式(1)の化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1-ジメチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o-ビニロキシメチルフェニルメチル、メタアクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。これらの具体例のうち、放射線硬化型インクジェット組成物の硬化性、粘度のバランスがとりやすい点で、VEEA:アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルが特に好ましい。
本実施形態の放射線硬化型インクジェット組成物は、その他の多官能モノマーを含有してもよい。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジメタアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとして、オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む)、プレポリマー等を用いてもよい。オリゴマー、プレポリマーとしては、例えば、上述したようなモノマーを構成成分としたものを用いることができる。
放射線硬化型インクジェット組成物は、多官能のオリゴマーを含んでもよい。これにより、放射線硬化型インクジェット組成物の保存安定性を優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。オリゴマーとしては、繰り返し構造がウレタンであるウレタンオリゴマー、繰り返し構造がエポキシであるエポキシオリゴマー等が好ましく用いられる。
また、多官能アクリレートオリゴマーとしては、オリゴエステルアクリレートが挙げられ、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマーを例示することができる。ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、芳香族ウレタンアクリレートオリゴマーが挙げられるが、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーがより好ましい。また、ウレタンアクリレートオリゴマーは、4官能以下のウレタンアクリレートオリゴマーであることが好ましく、2官能のウレタンアクリレートオリゴマーであることがより好ましい。
1.2.重合開始剤
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、放射線を照射することにより、活性種を生じる重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、特に限定されないが、例えばアルキルフェノン系重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、チタノセン系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤等の公知の重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤が好ましい。アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤を含有することにより、放射線硬化型インクジェット組成物の硬化性に優れ、特にUV-LEDの光による硬化プロセスによる硬化性に一層優れる傾向にある。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 1800(ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドと、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトンの質量比25:75の混合物)、IRGACURE TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)(以上全てBASF社製)等が挙げられる。
重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記重合開始剤の合計の含有量は、放射線硬化型インクジェット組成物の総質量(100質量%)に対し、硬化性及び溶解性に優れる点で、1質量%以上20質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以上15質量%以下、さらに好ましくは5質量%以上10質量%以下、特に好ましくは7質量%以上9質量%以下である。
1.3.その他の添加剤
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、必要に応じて、色材、分散剤、重合禁止剤、スリップ剤、光増感剤、重合禁止剤等の添加剤をさらに含んでもよい。
1.3.1.色材
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、色材をさらに含んでもよい。
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物が色材を含むことにより、着色された放射線硬化型インクジェット組成物として使用することができる。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
<顔料>
色材として顔料を用いることにより、放射線硬化型インクジェット組成物の耐光性を向上させることができる。顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.(Colour Index Generic Name)ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
更に詳しく言えば、ブラックに使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
ホワイトに使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
イエローに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180が挙げられる。
マゼンタに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7、10、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50nm~200nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、放射線硬化型インクジェット組成物における吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定されたDv50の値とした。
<染料>
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142、C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289、C.I.アシッドブルー9、45、249、C.I.アシッドブラック1、2、24、94、C.I.フードブラック1、2、C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173、C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227、C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202、C.I.ダイレクトブラック19、38、51、71、154、168、171、195、C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249、C.I.リアクティブブラック3、4、35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の合計の含有量は、放射線硬化型インクジェット組成物の総質量(100質量%)に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましい。色材を含まない、若しくは、着色することを目的としない程度に色材を含有する(例えば0.1質量%以下)、クリアインクとしてもよい。
1.3.2.分散剤
放射線硬化型インクジェット組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse36000等)、BYK Additives&Instruments社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
1.3.3.重合禁止剤
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物やその他のものをさらに含んでもよい。重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p-メトキシフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、ヒドロキノン、クレゾール、t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-ブチルフェノール)、及び4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)が挙げられる。重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合禁止剤の合計の含有量は、放射線硬化型インクジェット組成物の総質量(100質量%)に対して、好ましくは0.05質量%以上0.5質量%、より好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。
1.3.4.スリップ剤
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、スリップ剤をさらに含んでもよい。スリップ剤としては、シリコーン系界面活性剤が好ましく、ポリエステル変性シリコーンまたはポリエーテル変性シリコーンであることがより好ましい。ポリエステル変性シリコーンとしては、BYK-347、348、BYK-UV3500、3510、3530(以上、BYK Additives&Instruments社製)等が挙げられ、ポリエーテル変性シリコーンとしては、BYK-3570(BYK Additives&Instruments社製)等が挙げられる。スリップ剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スリップ剤の合計の含有量は、放射線硬化型インクジェット組成物の総質量(100質量%)に対して、好ましくは0.01質量%以上2質量%、より好ましくは0.05質量%以上1質量%以下である。
1.3.5.光増感剤
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、光増感剤をさらに含んでもよい。光増感剤としては、アミン化合物(脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物、トリエタノールアミントリアクリレートなど)、尿素化合物(アリルチオ尿素、o-トリルチオ尿素など)、イオウ化合物(ナトリウムジエチルジチオフォスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩など)、ニトリル系化合物(N,N-ジエチル-p-アミノベンゾニトリルなど)、リン化合物(トリ-n-ブチルフォスフィン、ナトリウムジエチルジチオフォスファイドなど)、窒素化合物(ミヒラーケトン、N-ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ-1,3-オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物など)、塩素化合物(四塩化炭素、ヘキサクロロエタンなど)等が挙げられる。
1.4.物性
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物の20℃における粘度は、好ましくは25mPa・s以下であり、より好ましくは5mPa・s~25mPa・sである。
組成物の20℃における粘度がこの範囲にあると、ノズルから組成物が適量吐出され、組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR-300(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10~1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物の20℃における表面張力は、好ましくは20mN/m以上、40mN/m以下である。放射線硬化型インクジェット組成物の20℃における表面張力がこの範囲にあると、組成物が撥液処理されたノズル面へ濡れにくくなる。これにより、ノズルから組成物が正常かつ適量吐出され、組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP-Z(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートを放射線硬化型インクジェット組成物で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
1.5.組成物の製造方法
放射線硬化型インクジェット組成物の製造(調製)は、組成物に含有する各成分を混合し、成分が充分均一に混合するよう撹拌することにより行う。本実施形態において、放射線硬化型インクジェット組成物の調製は、調製の過程において、重合開始剤とモノマーの少なくとも一部とを混合した混合物に対して、超音波処理と加温処理の少なくとも何れかを施す工程を有することが好ましい。これにより、調製後の組成物の溶存酸素量を低減することができ、吐出安定性や保存安定性に優れた放射線硬化型インクジェット組成物とすることができる。上記混合物は、少なくとも上記の成分を含むものであればよく、放射線硬化型インクジェット組成物に含む他の成分を更に含むものでも良いし、放射線硬化型インクジェット組成物に含む全ての成分を含むものでもよい。混合物に含むモノマーは、放射線硬化型インクジェット組成物に含むモノマーの少なくとも一部であればよい。
2.インクジェット記録方法
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録媒体に上記の放射線硬化型インクジェット組成物を付着させる工程、及び、上記付着させる工程の後に、記録媒体上の放射線硬化型インクジェット組成物に対してUV-LED(紫外線発光ダイオード)の光を照射する工程を含む。このようにして、記録媒体上に放射線硬化型インクジェット組成物が塗布された箇所に塗膜が形成される。
2.1.付着工程
上記の記録媒体上に放射線硬化型インクジェット組成物を付着させる工程においては、公知のインクジェット記録装置を用いることができる。放射線硬化型インクジェット組成物の吐出の際は、上記のように放射線硬化型インクジェット組成物の20℃における粘度を、25mPa・s以下とすることが好ましく、5mPa・s~25mPa・sとすることがより好ましい。放射線硬化型インクジェット組成物の粘度がこの範囲内のものであれば、組成物の温度を室温として、あるいは組成物を加熱せずに吐出させることができる。
一方、放射線硬化型インクジェット組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
放射線硬化型インクジェット組成物は、一般にインクジェット用途で使用される水性インク組成物よりも粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。かかる放射線硬化型インクジェット組成物の粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。したがって、吐出時の放射線硬化型インクジェット組成物の温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。
記録媒体の素材としては、特に限定されないが、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等のプラスチック類及びこれらの表面が加工処理されているもの、ガラス、紙、金属、木材等が挙げられる。
またその記録媒体の形態も、特に限定されるものではない。例えばフィルム、ボード、布等が挙げられる。
サイン用途としてこれらの記録媒体に形成された塗膜は、切り出しや折り曲げ等の後加工が行われる。上記のインクジェット組成物が良好な柔軟性と密着性を有することにより、このような後加工を施した際に塗膜のひび割れや欠けを抑制することができる。従って本実施形態の放射線硬化型インクジェット組成物は、サイン用途に好適に用いることができる。
2.2.硬化工程(光照射工程)
次に、硬化工程においては、記録媒体上に塗布された放射線硬化型インクジェット組成物がUV-LEDの光の照射によって硬化し、塗膜となる。これは、放射線硬化型インクジェット組成物に含まれ得る重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの活性種(開始種)を発生し、モノマーの重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、モノマーの光重合反応が開始するためである。このとき、放射線硬化型インクジェット組成物において重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
また、紫外線源としてUV-LEDを使用することで、装置の小型化やコストの低下を実現できる。紫外線源としてのUV-LEDは、小型であるため、インクジェット記録装置内に取り付けることができる。例えば、放射線硬化型インクジェット組成物を吐出するインクジェットヘッドが搭載されているキャリッジ(媒体幅方向に沿った両端及び/又は媒体搬送方向側)に取り付けることができる。さらに、上述の放射線硬化型インクジェット組成物の組成に起因して低エネルギーかつ高速での硬化を実現できる。照射エネルギーは、照射時間に照射強度を乗じて算出される。そのため、照射時間を短縮することができ、印刷速度が増大する。一方、照射強度を減少させることもできる。これにより、印刷物の温度上昇を低減できるので、硬化膜の低臭気化にも繋がる。
3.実施例
以下、本発明を実験例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
3.1.インクジェット組成物の調製
まず、色材、分散剤、各モノマーの一部を秤量して顔料分散用のタンクに入れ、タンクに直径1mmのセラミック製ビーズミルを入れて攪拌することにより、色材をモノマー中に分散させた顔料分散液を得た。次いで、表1に記載の組成となるように、ステンレス製容器である混合物用タンクに、残りのモノマー、重合開始剤及び重合禁止剤を入れ、混合攪拌して完全に溶解させた後、上記で得られた顔料分散液を投入して、さらに常温で1時間混合撹拌し、さらに5μmのメンブランフィルターでろ過することにより各例の放射線硬化型インクジェット組成物を得た。なお、表中の各例に示す各成分の数値は質量%を表す。
Figure 2023129443000001
表1中で使用した略号や製品の成分は、以下の通りである。
<モノマー>
・PEA(商品名「ビスコート#192、大阪有機化学工業株式会社製、フェノキシエチルアクリレート」)
・NVC(ISPジャパン株式会社製、N-ビニルカプロラクタム)
・ACMO(KJケミカルズ株式会社製、アクリロイルモルフォリン)
・IBXA(大阪有機化学工業株式会社製、イソボルニルアクリレート)
・TBCHA(商品名「SR217」、サートマー株式会社製、tertブチルシクロヘキサノールアクリレート)
・VEEA(株式会社日本触媒製、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル)
・DPGDA(商品名「SR508」、サートマー株式会社製、ジプロピレングリコールジアクリレート)
・CN991(サートマー株式会社製、2官能ウレタンアクリレートオリゴマー)
<重合開始剤>
・Irg.819(商品名「IRGACURE 819」BASF社製、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)
・TPO(商品名「IRGACURE TPO」、BASF社製、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)
<重合禁止剤>
・MEHQ(商品名「p-メトキシフェノール」、関東化学株式会社製、ヒドロキノンモノメチルエーテル)
<スリップ剤>
・BYK-UV3500(BYK Additives&Instruments社製、アクリロイル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)
<色材(顔料)>
・カーボンブラック(商品名「MA-100」、三菱化学株式会社製)
<分散剤>
・Solsperse36000(Lubrizol社製、高分子分散剤)。
ここで、実施例1は、表1に記載のモノマーを含有させ、モノマー全体に対して単官能モノマー割合を86質量%、ガラス転移温度を42℃とした放射線硬化型インクジェット組成物である。
実施例2は、モノマーの含有割合を調整し、実施例1からモノマー全体に対して単官能モノマー割合を94質量%へ変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
実施例3は、モノマーの含有割合を調整し、実施例1からモノマー全体に対して単官能モノマー割合を96質量%へ変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
実施例4は、モノマーの含有割合を調整し、実施例1からモノマー全体に対して単官能モノマー割合を99質量%へ変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
実施例5は、モノマーの含有割合を調整し、実施例3からガラス転移温度を45℃へ変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
実施例6は、実施例3からNVCを除き、モノマーの含有割合を変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
実施例7は、実施例3からACMOを除き、モノマーの含有割合を変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
実施例8は、実施例3からNVCの代わりにIBXAを用い、かつモノマーの含有割合を変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
実施例9は、実施例3からVEEAの代わりにDPGDAを用い、かつモノマーの含有割合を変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
比較例1は、実施例1からTBCHAを除き、モノマーの含有割合の変更によりモノマー全体に対して単官能モノマー割合を83質量%へ変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
比較例2は、実施例1からTBCHA、VEEA、CN991を除き、モノマーの含有割合の変更によりモノマー全体に対して単官能モノマー割合を100質量%へ変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
比較例3は、モノマーの含有割合を調整し、実施例3からガラス転移温度を32℃へ変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
比較例4は、モノマーの含有割合を調整し、実施例3からガラス転移温度を39℃へ変更した放射線硬化型インクジェット組成物である。
3.2.評価方法
3.2.1.柔軟性の評価
バーコーターで、各放射線硬化型インクジェット組成物を塩ビフィルム(JT5829R、MACtac社製)上に、厚さ10μmになるよう塗布した。次いで、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、400mJ/cm2のエネルギーで硬化させて塗膜を形成した。上記塗膜を形成した塩ビフィルムの剥離紙を剥がし、幅1cm、長さ8cmの短冊状に切り出して試験片を作製した。各試験片について、引張試験機(TENSILON、ORIENTEC社製)を用いて柔軟性としての伸び率を測定した。伸び率は、5mm/minで引っ張った時、クラックが発生した時点での数値とした。その数値は{(クラック時の長さ-延伸前の長さ)/延伸前の長さ×100}より算出した。
評価の指標は以下のとおりとし、結果を表1に記載した。
A :300%以上
B :250%以上300%未満
C :200%以上250%未満
D :200%未満
3.2.2.密着性の評価
上記柔軟性の評価において作製した、硬化後の塗膜に対して、JIS K5600-5-6に準じてクロスカット試験の評価を行った。評価基準は下記のとおりである。評価結果を表1に示す。
A :分類0、1
B :分類2、3
C :分類4、5
D :塗膜残りなし
3.2.3.耐擦過性の評価
上記柔軟性の評価において作製した、硬化後の塗膜に対して、JIS R3255に準じてマイクロスクラッチ試験の評価を行った。測定には超薄膜スクラッチ試験機(CSR-5000、ナノテック社製)を用いて耐擦過性としての耐荷重を測定した。耐荷重は荷重をかけながらマイクロスクラッチを行い、触針がメディア面に達した時の荷重とした。
測定は触針スタイラス径:15μm、振幅:100μm、スクラッチ速度:10μm/secで行った。評価基準は下記のとおりである。評価結果を表1に示す。
A :35mN以上
B :30mN以上35mN未満
C :25mN以上30mN未満
D :25mN未満
3.3.評価結果
表1に、各例で用いた放射線硬化型インクジェット組成物の組成、並びに評価結果を示した。表1から、単官能モノマーをモノマー全体に対して86質量%以上含み、モノマーのガラス転移温度から計算される放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度が42℃以上である実施例1から実施例9の放射線硬化型インクジェット組成物は、柔軟性と、密着性と、耐擦過性とがいずれもC以上となり、良好であった。詳しくは実施例1から実施例4と、比較例1と、比較例2とを比較すると、実施例1から実施例4は、モノマー全体に対しての単官能モノマーの割合がモノマー全体に対して86質量%以上であることにより、柔軟性と密着性とが向上することがわかる。一方、比較例2は、柔軟性と密着性は良好であったものの、耐擦過性が評価Dとなり劣ることが示された。また実施例3と、実施例5と、比較例3と、比較例4とを比較すると、放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度が42℃以上であると、耐擦過性が確保されることがわかる。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
本発明の放射線硬化型インクジェット組成物は、単官能モノマーをモノマー全体に対して86質量%以上含み、モノマーのガラス転移温度から計算される放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度が42℃以上である。
この構成によれば、塗膜において、柔軟性及び密着性を向上させると共に、耐擦過性を確保することができる。詳しくは単官能モノマーがモノマー全体に対して86質量%以上であるため、塗膜の柔軟性及び密着性が向上する。また、モノマーのガラス転移温度から計算される放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度が42℃以上であるため、室温での塗膜の耐擦過性が向上する。従って、サイン用途に適した、柔軟性、密着性、耐擦過性を有する塗膜を得ることができる放射線硬化型インクジェット組成物を提供することができる。
上記の放射線硬化型インクジェット組成物は、下記一般式(1)で表されるモノマーを含むことが好ましい。
CH2=CR1-COOR2-O-CH=CH-R3・・・(1)
(式(1)中、R1は水素原子またメチル基であり、R2は炭素数2~20の2価の有機残基であり、R3は水素原子または炭素数1~11の1価の有機残基である。)
この構成によれば、一般式(1)で表されるモノマーを含むため、放射線硬化型インクジェット組成物を容易に低粘度化することができる。低粘度化により、放射線硬化型インクジェット組成物を用いて印刷を行う際に、インクジェットヘッドから安定的に吐出させることができる。これに加えて、一般式(1)で表されるモノマーを含むことにより、硬化性を良好にすることができる。硬化性を良好にすることで、印刷速度を速くすることができる。従って印刷に適した放射線硬化型インクジェット組成物を得ることができる。
上記の放射線硬化型インクジェット組成物において、単官能モノマーは、ガラス転移温度が90℃以上のモノマーを含むことが好ましい。
この構成によれば、ガラス転移温度が90℃以上のモノマーを含むため、モノマーのガラス転移温度から計算される放射線硬化型インクジェット組成物のガラス転移温度を、容易に42℃以上とすることができる。従って、室温での塗膜の耐擦過性を高めるという効果を得ることができる。
上記の放射線硬化型インクジェット組成物において、単官能モノマーは、n-ビニルカプロラクタム、またはアクリロイルモルフォリンであることが好ましい。
この構成によれば、n-ビニルカプロラクタム、またはアクリロイルモルフォリンはガラス転移温度が90℃以上であるため、室温での塗膜の耐擦過性をさらに高めることができる。またn-ビニルカプロラクタムは塗膜の柔軟性をさらに高め、アクリロイルモルフォリンは放射線硬化型インクジェット組成物の臭気を低減させることができる。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、上記の放射線硬化型インクジェット組成物を記録媒体に付着させる工程と、放射線硬化型インクジェット組成物に対してUV-LEDの光を照射する工程と、を含むことが好ましい。
この構成によれば、柔軟性、密着性、耐擦過性に優れた塗膜を得ることができる。

Claims (2)

  1. 単官能モノマーをモノマー全体に対して94質量%以上含み、
    前記モノマーのガラス転移温度から計算される放射線硬化型インクジェット組成物のガ
    ラス転移温度が42℃以上であり、
    前記単官能モノマーは、アクリロイルモルフォリンを含み、
    前記モノマーとして、下記一般式(1)で表されるモノマーを含む、放射線硬化型イン
    クジェット組成物。
    CH2=CR1-COOR2-O-CH=CH-R3・・・(1)
    (式(1)中、R1は水素原子またメチル基であり、R2は炭素数2~20の2価の有機残
    基であり、R3は水素原子または炭素数1~11の1価の有機残基である。)
  2. 請求項1に記載の放射線硬化型インクジェット組成物を記録媒体に付着させる工程と、
    前記放射線硬化型インクジェット組成物に対してUV-LEDの光を照射する工程と、
    を含む、インクジェット記録方法。
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