JP2023128462A - 電動車両の制御方法、及び電動車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】一つの駆動軸に複数の電動機の動力を合成して駆動輪に動力を伝達する駆動力伝達機構を備える場合においても、車両に発生する振動を抑制可能な電動車両の制御方法、及び電動車両の制御装置を提供する。【解決手段】駆動力伝達機構において複数の電動機を一体で回転する慣性体と仮定した場合の特性をモデル化した車両モデルにトルク指令値の総和である総トルク量を入力して車両モデルの回転運動に相関のあるパラメータを算出し、回転運動が規範応答となるように総トルク量をパラメータに所定のゲインを乗じて得られる補正量に基づいて補正する場合において、ゲインを総和とする分配ゲインを電動機に個別に設定し、パラメータに分配ゲインを乗じて得られる分配補正量に基づいてトルク指令値を個別に補正する。【選択図】図4
Description
本発明は、電動車両の制御方法、及び電動車両の制御装置に関する。
特許文献1は、モータの出力軸から駆動輪までの間に接続される駆動力伝達機構の伝達特性を考慮して車両に発生する振動を抑制する技術を開示している。
しかし、特許文献1では、駆動力伝達機構の伝達特性やモータ特性をモデル化した車両モデルに基づいてモータ制御を行っている。このため、同一の駆動軸に複数のモータを接続した構成において、各モータに対して個別に振動を抑制する制御を適用すると、各モータの出力トルクが相互に影響を与えるために、振動の抑制が困難となる。
本発明は、一つの駆動軸に複数の電動機の動力を合成して駆動輪に動力を伝達する駆動力伝達機構を備える場合においても、車両に発生する振動を抑制可能な電動車両の制御方法、及び電動車両の制御装置を提供することを目的とする。
本発明による電動車両の制御方法は、一つの駆動軸に複数の電動機の動力を合成して駆動輪に動力を伝達する駆動力伝達機構を備え、車両情報に基づいて電動機のトルク指令値を設定し、当該トルク指令値により電動機のトルクを制御する電動車両の制御方法である。この制御方法は、当該駆動力伝達機構において複数の電動機を一体で回転する慣性体と仮定した場合の特性をモデル化した車両モデルにトルク指令値の総和である総トルク量を入力して車両モデルの回転運動に相関のあるパラメータを算出する。そして、当該回転運動が規範応答となるように総トルク量をパラメータに所定のゲインを乗じて得られる補正量に基づいて補正する場合において、ゲインを総和とする分配ゲインを電動機に個別に設定し、パラメータに分配ゲインを乗じて得られる分配補正量に基づいて前トルク指令値を個別に補正する。
本発明によれば、駆動軸に複数の電動機の動力を合成する駆動力伝達機構を備えた車両においても、リジッドに接続され概ね一体となって回転する1つの慣性体の電動機を模擬することで、駆動軸に対して電動機が1つの場合と同様に、電動機を個別に制御するコントローラで制振制御を行うことが可能となる。この際、駆動力伝達系の回転運動に相関のあるパラメータ(例えば、モータ回転数、モータ角加速度、駆動軸ねじり角速度、ドライブシャフト軸トルク等)については、電動機個別のトルクではなく、複数の電動機により発生するトルクの総量をもとに演算する。したがって、パラメータを精度よく演算する事が可能となり、互いに他の電動機により発生するトルクが外乱となることなく、車両に発生する振動(特に駆動軸のねじり振動)を効果的に抑制することが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態の基本構成]
図1は、第1実施形態の電動車両の制御装置の基本構成の一例を示す図である。第1実施形態の電動車両の制御装置が適用される電動車両は、一つの駆動軸10に2つのモータ(第1モータ8A、第2モータ8B)が減速機9を介して結合した駆動力伝達機構を備え、第1モータ8A及び第2モータ8Bのトルクを駆動軸10に取り付けられた駆動輪11A,11Bに伝達することで自身を駆動させるものである。なお、電動車両は、第1モータ8A、第2モータ8Bを駆動力とする電気自動車だけでなく、ハイブリッド自動車や燃料電池自動車も含まれる。そして、第1実施形態の電動車両の制御装置は、第1モータ8A及び第2モータ8Bを制御対象とする。
図1は、第1実施形態の電動車両の制御装置の基本構成の一例を示す図である。第1実施形態の電動車両の制御装置が適用される電動車両は、一つの駆動軸10に2つのモータ(第1モータ8A、第2モータ8B)が減速機9を介して結合した駆動力伝達機構を備え、第1モータ8A及び第2モータ8Bのトルクを駆動軸10に取り付けられた駆動輪11A,11Bに伝達することで自身を駆動させるものである。なお、電動車両は、第1モータ8A、第2モータ8Bを駆動力とする電気自動車だけでなく、ハイブリッド自動車や燃料電池自動車も含まれる。そして、第1実施形態の電動車両の制御装置は、第1モータ8A及び第2モータ8Bを制御対象とする。
第1実施形態の電動車両の制御装置は、車両コントローラ1、第1モータコントローラ2A、第2モータコントローラ2B、第1インバータ3A、第2インバータ3B、バッテリ4、第1電流センサ5A、第2電流センサ5B、第1回転センサ6A、第2回転センサ6B、車輪回転センサ7を含む。
車両コントローラ1は、車輪回転センサ7から取得した車速V[km/h]、アクセル開度センサ(不図示)により取得したアクセル開度θ[%]に基づき、図2に示すアクセル開度-トルクテーブルより、第1モータコントローラ2A、第2モータコントローラ2Bにそれぞれ指令するトルクの和に相当する総トルク量Tmall
*を演算した後、予め定められたトルク配分比に基づき総トルク量Tmall
*を第1トルク指令値Tm1
*、第2トルク指令値Tm2
*に分配し、下位コントローラに相当する第1モータコントローラ2Aに第1トルク指令値Tm1
*及び総トルク量Tmall
*を指令し、第2モータコントローラ2Bに第2トルク指令値Tm2
*及び総トルク量Tmall
*を指令する。
第1モータコントローラ2Aは、第1モータ8Aの電流(三相交流の場合はiu、iv、iw)や回転子位相α1等の各種車両変数の信号をデジタル信号として入力し、各種車両変数に応じて第1モータ8Aを制御するPWM信号を生成し、このPWM信号に応じてドライブ回路を通じて第1インバータ3Aの駆動信号を生成する。
第2モータコントローラ2Bは、第1モータコントローラ2Aとは独立して動作するが、その構成は第1モータコントローラ2Aと同様である。
第1インバータ3Aは、例えば相ごとに2対のスイッチング素子(例えばIGBTやMOS-FETなどのパワー半導体素子)で構成され、駆動信号に応じてスイッチング素子をON/OFFすることにより、バッテリ4から供給される直流の電流を交流に変換して第1モータ8Aに所望の電流を流す。逆に、第1インバータ3Aは第1モータ8Aにおいて回生電力が発生している場合は、当該回生電力を直流に変換してバッテリ4を充電する。
第2インバータ3Bは、第1インバータ3Aとは独立して動作するが、その構成は第1インバータ3Aと同様である。
バッテリ4は、第1インバータ3Aを介して第1モータ8Aに駆動電力を供給し、第2インバータ3Bを介して第2モータ8Bに駆動電力を供給する。また、バッテリ4には、第1インバータ3Aを介して第1モータ8Aで発生した回生電力が充電され、第2インバータ4Bを介して第2モータ8Bで発生した回生電力が充電される。
減速機9は、第1モータ8Aにより発生した駆動力と、第2モータ8Bにより発生した駆動力を合成し、所定の減速比で駆動軸10を駆動させることで駆動輪11A,11Bに駆動力を伝達する。
第1モータ8A、第2モータ8Bは、車両の走行時に駆動輪11A,11Bに連れ回されて回転するときに、回生駆動力を発生させることで車両の運動エネルギーを電気エネルギー(回生電力)として回収することもできる。
その他、第1モータ8Aには、各相電流を検出する第1電流センサ5Aや第1モータ8Aの回転子位相α1を検出する第1回転センサ6A(レゾルバやエンコーダ)が取り付けられており、第2モータ8Bには、各相電流を検出する第2電流センサ5Bや第2モータ8Bの回転子位相α2を検出する第2回転センサ6Bが取り付けられている。
[モータ電流制御]
図3は、第1モータコントローラ2A、第2モータコントローラ2Bがそれぞれ実行するモータ電流制御のフローチャートである。ここでは第1モータコントローラ2Aのモータ電流制御を例にとって説明する。
図3は、第1モータコントローラ2A、第2モータコントローラ2Bがそれぞれ実行するモータ電流制御のフローチャートである。ここでは第1モータコントローラ2Aのモータ電流制御を例にとって説明する。
ステップS301の入力処理では、以下で説明する制御演算に必要な信号をセンサ入力、又は他コントローラより通信にて取得する。
第1モータ8Aに流れる三相電流値iu1,iv1,iw1は第1電流センサ5Aにより取得する。なお、三相の電流値の合計は0になることから、例えばiw1はセンサ入力せず、iu1とiv1の値から計算で求めても良い。
第1モータ8Aの回転子位相α1(電気角)[rad]は、レゾルバやエンコーダなどの第1回転センサ6Aにより取得する。
回転子角速度ω(電気角)[rad/s]は、回転子位相α1(電気角)を微分して求める。
モータ回転数Nm[rpm]は、回転子角速度ω(電気角)を電動モータの極対数で割り電動モータの機械的な角速度であるモータ回転角速度検出値ωm[rad/s]を求めた後、[rad/s]から[rpm]への単位変換係数(60/2π)を掛けることで求める。
直流電圧値Vdc[V]は、直流電源ラインに備え付けられた電圧センサ、又はバッテリコントローラより送信される電源電圧値により求める。
ステップS302の制振制御演算処理では、本発明の制振制御演算を実施する。詳細は後述するが、本発明の制振制御演算では、第1トルク指令値Tm1
*(及び総トルク量Tmall
*)等に基づいて駆動力伝達系振動(駆動軸10のねじり振動など)を抑制する第1最終トルク指令値Tmf1
*を算出する。
ステップS303の電流指令値算出処理では、ステップS302で算出した第1最終トルク指令値Tmf1
*とモータ回転角速度検出値ωm及び直流電圧値Vdcから、第1dq軸電流目標値id1
*,iq1
*をテーブルより参照して求める。
ステップS304の電流制御では、まず第1モータ8Aの三相電流値iu1,iv1,iw1と第1モータ8Aの回転子位相α1から第1dq軸電流値id1,iq1を演算する。
次に、ステップS304で算出した第1dq軸電流目標値id1
*,iq1
*と第1dq軸電流値id1,iq1との偏差から第1dq軸電圧指令値vd1,vq1を演算する。なお、この部分には非干渉制御を加えることもある。
次に、第1dq軸電圧指令値vd1,vq1と第1モータ8Aの回転子位相α1から三相電圧指令値vu1,vv1,vw1を演算する。この三相電圧指令値vu1、vv1、vw1と直流電圧値Vdcから第1PWM信号(on duty)tu1[%]、tv1[%]、tw1[%]を演算する。
このようにして求めた第1PWM信号により第1インバータ3Aのスイッチング素子を開閉制御することにより、第1モータ8Aを第1最終トルク指令値Tmf1
*で指示された所望のトルクで駆動することができる。
以上、第1モータコントローラ2Aの処理について述べたが、第2モータコントローラ2Bに関しても、第2モータ8Bを対象に同様の処理を独立して行う。すなわち、第2モータコントローラ2Bは上記同様の処理で算出した第2PWM信号により第2インバータ3ABのスイッチング素子を開閉制御することにより、第2モータ8Bを第2最終トルク指令値Tmf2
*で指示された所望のトルクで駆動する。
[制振制御演算の概要]
図4は、第1実施形態の電動車両の制御装置における制振制御処理を実行するための機能構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、第1実施形態の電動車両の制御装置は、制振制御処理を実行する構成要素(プログラム)として、回転運動パラメータ演算器21、F/F補償器22(フィードフォワード補償器)、F/B補償器23(フィードバック補償器)、加算器24を備える。なお、図4では、第1モータコントローラ2Aに実装される構成要素を開示しているが、第2モータコントローラ2Bにおいても同様の構成要素が実装される。
図4は、第1実施形態の電動車両の制御装置における制振制御処理を実行するための機能構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、第1実施形態の電動車両の制御装置は、制振制御処理を実行する構成要素(プログラム)として、回転運動パラメータ演算器21、F/F補償器22(フィードフォワード補償器)、F/B補償器23(フィードバック補償器)、加算器24を備える。なお、図4では、第1モータコントローラ2Aに実装される構成要素を開示しているが、第2モータコントローラ2Bにおいても同様の構成要素が実装される。
回転運動パラメータ演算器21には、総トルク量Tmall
*が入力される。また、回転運動パラメータ演算器21は、詳細は後述するが、第1モータ8A、第2モータ8B、減速機9、駆動軸10を包含する駆動力伝達機構の応答を表すとともに第1モータ8A及び第2モータ8Bを一体で回転する慣性体と仮定した車両モデルを有している。そして、回転運動パラメータ演算器21は、総トルク量Tmall
*が入力されると車両モデルに基づいて、駆動力伝達機構の回転運動に関連するパラメータとして、例えば駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^を算出する。
F/F補償器22は、詳細は後述するが、第1トルク指令値Tm1
*、総トルク量Tmall
*、駆動軸ねじり角速度推定値ωd^が入力されると、第1トルク指令値Tm1
*と総トルク量Tmall
*との関係を考慮しつつ第1F/Fトルク指令値Tmff1
*を算出する。
F/B補償器23は、詳細は後述するが、第1トルク指令値Tm1
*、総トルク量Tmall
*、モータ回転角速度推定値ωm^、モータ回転角速度検出値ωmが入力されると、第1F/Bトルク指令値Tmfb1
*を算出する。
加算器24は、第1F/Fトルク指令値Tmff1
*と第1F/Bトルク指令値Tmfb1
*とを加算して、第1最終トルク指令値Tmf1
*を出力する。
[駆動力伝達系のモデル]
図5は、電動車両の駆動力伝達系をモデル化した図である。車両の運動方程式は(1)~(6)式で表される。
図5は、電動車両の駆動力伝達系をモデル化した図である。車両の運動方程式は(1)~(6)式で表される。
Jm:モータイナーシャ
Jw:駆動軸イナーシャ(1軸分)
Kd:駆動軸のねじり剛性
Kf:駆動輪と路面の摩擦に関する係数
N:オーバーオールギヤ比
r:タイヤ荷重半径
ωm:モータ回転角速度
θm:モータ回転角度
ωw:駆動輪回転角速度
θw:駆動輪回転角度
Tm:モータトルク
Td:駆動軸トルク
F::駆動力(2軸分)
V:車体速度
θd:駆動軸ねじり角度
Jw:駆動軸イナーシャ(1軸分)
Kd:駆動軸のねじり剛性
Kf:駆動輪と路面の摩擦に関する係数
N:オーバーオールギヤ比
r:タイヤ荷重半径
ωm:モータ回転角速度
θm:モータ回転角度
ωw:駆動輪回転角速度
θw:駆動輪回転角度
Tm:モータトルク
Td:駆動軸トルク
F::駆動力(2軸分)
V:車体速度
θd:駆動軸ねじり角度
なお、Jmは、第1モータ8A、第2モータ8Bが、駆動力伝達系において概ね一体となって回転する慣性体と見なした時のモータイナーシャであり、(7)式の関係がある。
Jm1:第1モータ8Aのイナーシャ
Jm2:第2モータ8Bのイナーシャ
(1)~(6)式をラプラス変換してモータトルクTmからモータ回転角速度ωmまでの伝達特性を求めると次式となる。
Jm2:第2モータ8Bのイナーシャ
(1)~(6)式をラプラス変換してモータトルクTmからモータ回転角速度ωmまでの伝達特性を求めると次式となる。
(2)、(4)、(5)、(6)式よりモータ回転角速度ωmから駆動軸角速度ωwまでの伝達特性を求めると次式となる。
(8)、(9)、(14)式より、モータトルクTmから駆動軸角速度ωwまでの伝達特性は次式となる。
(11)、(15)式より駆動軸トルクTdから駆動軸角速度ωwまでの伝達特性は次式となる。
ここで、(1)式を変形すると、
と書けるので、(16)、(17)式より駆動軸ねじり角速度ωdは次式で表せる。
ただし、
また(9)式は、
と変形できる。ここで、ζpは駆動軸トルク伝達系の減衰係数、ωpは駆動軸トルク伝達系の固有振動周波数である。
更に、(24)式の極と零点を調べると、α≒c0/c1となるため極零相殺すると次式となる。
ここで、制振トルク規範値Tmr
*を
とすると、(4)、(6)式より次式のように書き換えることができる。
ここで、Tm=Tmr
*として、(26)式を(24)式に代入すると、次式のように整理することができる。
モータトルクから駆動軸トルクまでの規範応答を次式とする場合、
(28)式と(29)式が一致する条件は次式となる。
次に、(1)~(30)式を適用し、モータから駆動軸までのバックラッシュ特性を不感帯でモデル化する。
駆動軸トルクTdは(4)式に代わり、次式で表される。
ここでθdeadはモータから駆動軸までのオーバーオールのバックラッシュ量である。
モータ回転角速度推定値ωm^は、(1)式を積分し、
により算出することで、モータから駆動軸までのバックラッシュ特性を加味する事ができる。
駆動軸ねじり角速度推定値ωd^は、(18)式と同様に、
により算出することで、モータから駆動軸までのバックラッシュ特性を加味する事ができる。
制振モデル2113(図6)では、(29)式の規範応答を実現するための制振トルク規範値Tmr
*を、(26)式と同様に、次式
から求め、駆動力伝達系モデル2101(図6)への入力とする。
[回転運動パラメータ演算器21]
図6は、回転運動パラメータ演算器21のブロック図である。回転運動パラメータ演算器21は、車両モデルとして駆動力伝達系モデル2101と制振モデル2113を備える。
図6は、回転運動パラメータ演算器21のブロック図である。回転運動パラメータ演算器21は、車両モデルとして駆動力伝達系モデル2101と制振モデル2113を備える。
駆動力伝達系モデル2101は、比例要素2102、比例要素2103、減算器2104、積分要素2105、積分要素2106、不感帯要素2107、比例要素2108、比例要素2109、フィルタ2110、減算器2111、積分要素2112を備える。
制振モデル2113は、減算器2114、比例要素2115を備える。
比例要素2102は、減算器2114からの出力(制振トルク規範値Tmr
*)が入力されるとゲイン(1/Jm)を乗じて減算器2111に出力する。
比例要素2103は、減算器2114からの出力(制振トルク規範値Tmr
*)が入力されるとゲイン(1/(Jm・N))を乗じて減算器2104に出力する。
減算器2104は、比例要素2103の出力からフィルタ2110の出力を差し引いた差分を積分要素2105に出力する。
積分要素2105は、減算器2104の出力を積分してその出力(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^:(33)式)を、積分要素2106、F/F補償器22(図4、図7)、比例要素2115に出力する。
積分要素2106は、積分要素2105の出力(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^)を積分してその出力(θd:(31)式)を不感帯要素2107に出力する。
不感帯要素2107は積分要素2016からの出力(θd)に前記のバックラッシュ量を付加した出力を比例要素2108に出力する。
比例要素2108は、不感帯要素2107の出力にゲイン(Kd:駆動軸10のねじり剛性)を乗じ、その出力(駆動軸トルクTd:(31)式)を比例要素2109及びフィルタ2110に主力する。
比例要素2109は、比例要素2108からの出力にゲイン(1/(Jm・N))を乗じて減算器2111に出力する。
フィルタ2110は、比例要素2108からの出力にフィルタ(Hw(s):(19)式)を乗じて減算器2104に出力する。
減算器2111は、比例要素2102の出力から比例要素2109の出力を差し引いた差分を算出して積分要素2112に出力する。
積分要素2112は、減算器2111から出力を積分し、その出力(モータ回転角速度推定値ωm^:(32)式)をF/B補償器23(図4、図8)に出力する。
比例要素2115は、積分要素2105の出力(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^)に駆動軸ねじり角速度ゲインkallを乗算して減算器2114に出力する。
減算器2114は、総トルク量Tmall
*と比例要素2115の出力との差分を算出し、その出力(制振トルク規範値Tmr
*:(34)式)を比例要素2102及び比例要素2103に出力する。
[F/F補償器22]
図7は、F/F補償器22のブロック図である。F/F補償器22は、駆動軸ねじり角速度ゲイン設定部221、減算器222を備える。
図7は、F/F補償器22のブロック図である。F/F補償器22は、駆動軸ねじり角速度ゲイン設定部221、減算器222を備える。
駆動軸ねじり角速度ゲイン設定部221には、第1トルク指令値Tm1
*、総トルク量Tmall
*、駆動軸ねじり角速度推定値ωd^が入力される。そして、駆動軸ねじり角速度ゲイン設定部221は、以下に示す(36)式に基づいて第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1を算出し、駆動軸ねじり角速度推定値ωd^に第1駆動軸ねじり角速度ゲインKff1を乗じた値を減算器222に出力する。
減算器222は、以下に示す(35)式に基づいて第1トルク指令値Tm1
*と駆動軸ねじり角速度ゲイン設定部221の出力との差分から第1F/Fトルク指令値Tmff1
*を算出する。
(34)式では、第1モータ8Aと第2モータ8Bの合成トルクにより発生する駆動軸ねじり角速度推定値ωd^に駆動軸ねじり角速度ゲインkallを乗じた値をフィードバックすることによって、(29)式の規範応答を実現している。この疑似的なフィードバックトルク分は、第1モータ8Aと第2モータ8Bのいずれか一方のみにフィードバックする事も可能であり、第1モータ8Aと第2モータ8Bに分配する事も可能である。第1実施形態では、第1モータ8Aと第2モータ8Bのトルク配分比(第1トルク指令値Tm1
*と第2トルク指令値Tm2
*の大きさに比率)に応じてフィードバックトルク分を分配する。
そこで、第1F/Fトルク指令値Tmff1
*を、次式
により算出する。ここで、第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1は、
である。なお、Tmall
*が0の場合は、0でない過去値を保持する等の零除算防止処理を施す。
[F/B補償器]
図8は、F/B補償器23のブロック図である。F/B補償器23は、加算器231
、減算器232、フィルタ233、フィルタ234、F/Bゲイン設定部235を備える。
図8は、F/B補償器23のブロック図である。F/B補償器23は、加算器231
、減算器232、フィルタ233、フィルタ234、F/Bゲイン設定部235を備える。
加算器231は、回転運動パラメータ演算器21が算出したモータ回転角速度推定値ωm^とフィルタ234の出力(F/Bトルク指令値に対するモータ回転角速度推定値)とを加算し、その出力(最終モータ回転角速度推定値ωmf^)を減算器232に出力する。
減算器232は、加算器231の出力(最終モータ回転角速度推定値ωmf^、又はモータ回転角速度推定値ωm^)からモータ回転角速度検出値ωmを差し引いた差分を算出し、当該差分をフィルタ233に出力する。
フィルタ233は、減算器232の出力に後述の伝達特性(H(s)/Gp(s))を重畳させ、その出力をフィルタ234及びF/Bゲイン設定部235に出力する。
フィルタ234は、フィルタ234の出力に後述の伝達特性(Gp(s))を重畳させ、その出力(F/Bトルク指令値に対するモータ回転角速度推定値)を加算器231に出力する。
F/Bゲイン設定部235には、第1トルク指令値Tm1
*、総トルク量Tmall
*、及びフィルタ233の出力が入力される。
F/Bゲイン設定部235は、第1F/Bゲインkfb1を次式のように算出する。
ここで、ゲインkfballは、本実施形態の電動車両の制御装置のF/B制御系(図3のステップS304)の所定の安定余裕(ゲイン余裕、位相余裕)を満足する値とする。なおTmall
*が0の場合は、0でない過去値を保持する等の零除算防止処理を施す。
また、F/Bゲイン設定部235は、第1F/Bトルク指令値Tmfb1
*を次式のように算出する。
ここで、ωmf^=ωm^+H(s)(ωmf^(前回値)-ωm(前回値))となる。
F/B補償器23は、上記のように、回転運動パラメータ演算器21で算出したモータ回転角速度推定値ωm^(又は最終モータ回転角速度推定値ωmf^)とモータ回転角速度検出値ωmの偏差を取り、制御対象の伝達特性Gp(s)の逆特性とバンドパスフィルタH(s)からなるフィルタH(s)/Gp(s)(フィルタ233)を通して第1F/Bゲインkfb1を乗じることで、第1F/Bトルク指令値Tmfb1
*算出する。
ここで、制御対象の伝達特性Gp(s)は(9)式を適用する。また、バンドパスフィルタH(s)は、ローパス側、及びハイパス側の減衰特性が略一致し、かつ、駆動系のねじり共振周波数が、対数軸(logスケール)上で、通過帯域の中央部近傍となるように設定されている。そして、例えばH(s)を1次のハイパスフィルタと1次のローパスフィルタで構成する場合、周波数fpを駆動系のねじり共振周波数とし、kを任意の値として(39)式のように構成する。
ただし、τL=1/(2πfHC)、fHC=k・fp、τH=1/(2πfLC)、fLC=fp/kである。
ところで、実際のモータ回転角速度検出値ωmをもとにした上記のF/B補償は、第1モータ8Aと第2モータ8Bのいずれか一方のみにフィードバックする事も可能であり、第1モータ8Aと第2モータ8Bに同時に分配する事も可能である。本実施形態では、上記のように、第1モータ8Aと第2モータ8Bのトルク配分比に応じてF/Bトルク分を分配している。
以上、第1モータコントローラ2Aが実行する制振制御演算処理を説明したが、第2モータコントローラ2Bも同様の処理を実行する。
図9は、第1実施形態の電動車両の制御装置において、第1モータコントローラ2Aに割り振られる第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1及び第1F/Bゲインkfb1、及び第2モータコントローラ2Bに割り振られる第2駆動軸ねじり角速度ゲインkff2及び第2F/Bkfb2ゲインを示す表である。
図9に示すように、第1モータコントローラ2Aに指令される第1トルク指令値Tm1
*と第2トルク指令値Tm2
*の和を総トルク量Tmall
*とする。また、第1モータ8A、第2モータ8B、減速機9、駆動軸10を包含する駆動力伝達機構の応答を表すとともに第1モータ8A及び第2モータ8Bを一体で回転する慣性体と仮定した車両モデルにおいて規範応答を実現(駆動軸ねじり振動を低減)するための駆動軸ねじり角速度ゲインをkallとする。更に、本実施形態の電動車両の制御装置のF/B制御系(図3のステップS304)の所定の安定余裕(ゲイン余裕、位相余裕)を満足するF/Bゲインをkfballとする。
このとき、前記のように、第1モータコントローラ2Aに適用する第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1を、kff1=kall(Tm1
*/Tmall
*)に設定し、第1F/Bゲインkfb1を、kfb1=kfball(Tm1
*/Tmall
*)に設定する。
また、第2モータコントローラ2Bに適用する第2駆動軸ねじり角速度ゲインkff2を、kff2=kall(Tm2
*/Tmall
*)に設定し、第2F/Bゲインkfb2を、kfb2=kfball(Tm2
*/Tmall
*)に設定する。ここで、kall=kff1+kff2、kfball=kfb1+kfb2である。
図9より明らかなように、第1トルク指令値Tm1
*と第2トルク指令値Tm2
*に差がある場合、配分比に応じてF/Bゲインが可変となるが、第1モータ8A及び第2モータ8BでF/B制御を行った時のF/Bトルクの合計量は配分比に因らず一定となるため、安定余裕も一定となる。
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態の電動車両の制御装置の基本構成の一例を示す図である。第2実施形態では、第1モータ8Aと第2モータ8Bの出力が同一であり、第1トルク指令値Tm1 *と第2トルク指令値Tm2 *の大きさが同一であることを前提としている。
図10は、第2実施形態の電動車両の制御装置の基本構成の一例を示す図である。第2実施形態では、第1モータ8Aと第2モータ8Bの出力が同一であり、第1トルク指令値Tm1 *と第2トルク指令値Tm2 *の大きさが同一であることを前提としている。
車両コントローラ1は、車輪回転センサ7から取得した車速V[km/h]、アクセル開度センサ(不図示)により取得したアクセル開度θ[%]に基づき、図2に示すアクセル開度-トルクテーブルより、第1モータコントローラ2Aに指令する第1トルク指令値Tm1
*、第2モータコントローラ2Bに指令する第2トルク指令値Tm2*を算出し、第1モータコントローラ2Aに第1トルク指令値Tm1
*を指令し、第2モータコントローラ2Bに第2トルク指令値Tm2
*を指令する。
第1モータコントローラ2A及び第2モータコントローラ2Bで実行する電流制御(図3)は第1実施形態と同様である。
図11は、第2実施形態の電動車両の制御装置における制振制御処理を実行するための機能構成の一例を示すブロック図である。第1モータコントローラ2A(第2モータコントローラ2Bも同様)は、第1実施形態と同様に制振制御処理も実行する構成要素として、F/F補償器22、回転運動パラメータ演算器21、F/B補償器23、加算器24を備える。
F/F補償器22は、第1トルク指令値Tm1
*が入力される以下の式に基づいて第1F/Fトルク指令値Tmff1
*を算出して加算器24に出力する。
回転運動パラメータ演算器21は、F/F補償器22が算出した第1F/Fトルク指令値Tmff1が入力されると(8)式に基づいた次式によりモータ回転角速度推定値ωm^を算出する。
ここで、2Tff1
*としているのは、車両モデル(Gp(s))に総トルク量Tmall
*(第1トルク指令値Tm1
*×2)を入力した際の回転角速度を演算するためである。またGp(s)は(9)式に従う。
F/B補償器23には、モータ回転角速度推定値ωm^とモータ回転角速度検出値ωmが入力される。
F/B補償器23は、第1実施形態と同様に、モータ回転角速度推定値ωm^とモータ回転角速度検出値ωmの偏差を取り、制御対象の伝達特性Gp(s)の逆特性とバンドパスフィルタH(s)からなるフィルタH(s)/Gp(s)を通してゲインkfball/2を乗じることで第1F/Bトルク指令値Tmfb1
*を算出する。前記のようにゲインkfballは、F/B制御系(図3のステップS304)の安定余裕(ゲイン余裕、位相余裕)を満足する値である。よって、第1モータコントローラ2A及び第2モータコントローラ2BにおいてF/Bゲインを設定する際にはゲイン過多を回避するためF/Bゲインkfballの半分の値をそれぞれ設定する必要がある。
加算器24は、第1実施形態と同様に、第1F/Fトルク指令値Tmff1
*と第1F/Bトルク指令値Tmfb1
*とを加算して、第1最終トルク指令値Tmf1
*を出力する。
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態の電動車両の制御装置において、第1モータコントローラ2Aに割り振られる第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1及び第1F/Bゲインkfb1、及び第2モータコントローラ2Bに割り振られる第2駆動軸ねじり角速度ゲインkff2及び第2F/Bゲインkfb2を示す表である。
図12は、第3実施形態の電動車両の制御装置において、第1モータコントローラ2Aに割り振られる第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1及び第1F/Bゲインkfb1、及び第2モータコントローラ2Bに割り振られる第2駆動軸ねじり角速度ゲインkff2及び第2F/Bゲインkfb2を示す表である。
第3実施形態の電動車両の制御装置及びこれが適用される電動車両は第1実施形態と同様であるが、第1モータ8Aの最大出力Pmax1(最大トルク)と第2モータ8Bの最大出力Pmax2(最大トルク)の比率に応じて駆動軸ねじり角速度ゲインとF/Bゲインを割り振る。
すなわち、第1モータコントローラ2Aに指令される第1トルク指令値Tm1
*に関わらず、第1モータコントローラ2Aに適用する第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1を、kff1=kall(Pmax1/(Pmax1+Pmax2))に設定し、第1F/Bゲインkfb1を、kfb1=kfball(Pmax1/(Pmax1+Pmax2))に設定する。
また、第2モータコントローラ2Bに指令される第2トルク指令値Tm2
*に関わらず、第2モータコントローラ2Bに適用する第2駆動軸ねじり角速度ゲインkff2を、kff2=kall(Pmax2/(Pmax1+Pmax2))に設定し、第2F/Bゲインkfb2を、kfb2=kfball(Pmax2/(Pmax1+Pmax2))に設定する。
上記のように駆動軸ねじり角速度ゲイン及びF/Bゲインを割り振ることで、駆動軸ねじり角速度ゲイン及びF/Bゲインを固定値に設定することができ、第1モータコントローラ2A及び第2モータコントローラ2Bの演算の負担を軽減することができる。
[第4実施形態]
図13は、第4実施形態の電動車両の制御装置において、第1モータコントローラ2Aに割り振られる第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1及び第1F/Bゲインkfb1、及び第2モータコントローラ2Bに割り振られる第2駆動軸ねじり角速度ゲインkff2及び第2F/Bゲインkfb2を示す表である。
図13は、第4実施形態の電動車両の制御装置において、第1モータコントローラ2Aに割り振られる第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1及び第1F/Bゲインkfb1、及び第2モータコントローラ2Bに割り振られる第2駆動軸ねじり角速度ゲインkff2及び第2F/Bゲインkfb2を示す表である。
第4実施形態の電動車両の制御装置及びこれが適用される電動車両は第1実施形態と同様であるが、例えば回転検出精度の異なるモータを組み合わせて使用する場合に適用される。
2種類の電動モータを組み合わせる場合、使用する回転センサの種類の違いや、実測値と推定値といった検出方式の違いがある場合、少なくともモータ回転角速度検出値をフィードバック補償で使用する際には、回転検出精度の高い電動モータを使用した方が、トルクの精度を高められ、性能を発揮しやすい。よって、例えば第1モータ8Aの回転検出精度が第2モータ8Bよりも高い場合は、第1モータコントローラ2A及び第2モータコントローラ2Bに適用する駆動軸ねじり角速度ゲイン及びF/Bゲインを図13のように割り振る。
すなわち、第1モータコントローラ2Aに指令される第1トルク指令値Tm1
*に関わらず、第1モータコントローラ2Aに適用する第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1を、kff1=kallに設定し、第1F/Bゲインkfb1を、kfb1=kfballに設定する。
また、第2モータコントローラ2Bに指令される第2トルク指令値Tm2
*に関わらず、第2モータコントローラ2Bに適用する第2駆動軸ねじり角速度ゲインkff2を、kff2=0に設定し、第2F/Bゲインkfb2を、kfb2=0に設定する。
[タイムチャート1]
図14は、第1実施形態、第3実施形態、第4実施形態の電動車両の制御装置において、負のトルクから正のトルクに切り替わるときのタイムチャートを従来技術と本実施形態とで比較したグラフであり、[A]は総トルク量及びトルク指令値、[B]は駆動軸ねじり角速度推定値、[C]はモータ回転角速度推定値、[D]はF/Fトルク、[E]は最終トルク指令値、[F]は駆動軸トルク、[G]はモータ回転角速度検出値、[H]はF/Bトルクである。
図14は、第1実施形態、第3実施形態、第4実施形態の電動車両の制御装置において、負のトルクから正のトルクに切り替わるときのタイムチャートを従来技術と本実施形態とで比較したグラフであり、[A]は総トルク量及びトルク指令値、[B]は駆動軸ねじり角速度推定値、[C]はモータ回転角速度推定値、[D]はF/Fトルク、[E]は最終トルク指令値、[F]は駆動軸トルク、[G]はモータ回転角速度検出値、[H]はF/Bトルクである。
図14では、回生トルクを発生させて減速している状態からトルク指令値をステップ状に変化させ、再加速するシーンでの応答を示している。
本発明の比較対象となる従来技術(特許文献1参照)の電動車両の制御装置は、一対のモータが減速機に取り付けられ駆動軸に一対の当該モータのトルクを伝達可能な電動車両に適用され、一対のモータのうちの一方(他方も同様)のモータ(コントローラ)に適用する駆動軸ねじり角速度ゲイン及びF/Bゲインに関して、一方のモータ、減速機、駆動軸を包含する駆動力伝達系において一方のモータ(コントローラ)に指令するトルク指令値に対して当該駆動力伝達系が規範応答となるように設定する形となる。
すなわち、従来技術において、駆動軸ねじり角速度ゲインに関しては、一方(他方も同様)のモータのみにトルクを入力したときの駆動軸ねじり角速度推定値を推定し、駆動軸ねじり角速度推定値に係る駆動軸ねじり振動を相殺するF/Fトルクを算出するための値に設定される。また、F/Bゲインに関しても、一方(他方も同様)のモータのみにトルクを入力したときのモータ回転角速度推定値を推定し、モータ回転角速度推定値とモータ回転角速度検出値との差分に基づいてF/B制御する際の安定余裕を満足する値に設定される。
よって、従来技術においては、駆動軸ねじり角速度推定値及びモータ回転角速度推定値の算出の際に、2つのモータが同時に駆動している場合が考慮されない。
図14[A]に示すように、時刻t0でトルク指令値(第1トルク指令値Tm1
*、第2トルク指令値Tm2
*)がステップ状に変化している。なお、ここでは、簡易的に第1トルク指令値Tm1
*=第2トルク指令値Tm2
*=(総トルク量Tmall
*)/2としている。
図14[B]に示すように、従来技術(破線)では駆動軸ねじり角速度推定値をモータ1基分のトルクに基づいて算出しており、モータ2基分のトルクに基づいて算出される値と乖離している。一方、本発明(実線)では駆動軸ねじり角速度推定値をモータ2基分のトルクに基づいて算出している。
図14[C]に示すように、本発明(実線)ではモータ回転角速度推定値をモータ2基分のトルクに基づいて算出している。よって、本発明において、モータ回転角速度推定値と図14[G]に示すモータ回転角速度検出値(実線)とがほぼ一致し、図14[H]に示すように、F/Fトルクはほとんど発生しない。
一方、図14[C]に示すように、従来技術(破線)ではモータ回転角速度推定値をモータ1基分のトルクに基づいて算出している。よって、従来技術において、モータ回転角速度推定値は図14[G]に示すモータ回転角速度検出値(実線)から大きく乖離し、図14[H]に示すように時刻t0以降で駆動軸ねじり角速度に対応して振動する不要なF/Bトルクが発生する。このため、図14[G]に示すように、モータ回転角速度検出値にも振動が発生する。
前記のように、従来技術では、F/Bゲインの設定値を、モータ1基で駆動した場合の安定余裕を満足するゲインを、2つのモータの各々に設定しているため、ゲイン過多となり振動的になっている。一方、本発明では、2つのモータのF/Bゲインの和(kfb1+kfb2)が、1基のモータで駆動した場合の安定余裕を満足するゲイン(kfball)と一致するようゲインを設定しているため、振動的にはなっていない。
図14[D]に示すように、従来技術(破線)ではF/Fトルクをモータ1基分のトルクに基づいて算出している。一方、本実施形態(実線)ではF/Fトルクをモータ2基分のトルクに基づいて算出している。時刻t0から時刻t1におけるF/Fトルクに関して従来技術と本発明において相違はない。
いずれの場合もモータ2基にトルクを印加しており、時刻t1においてギヤバックラッシュの不感帯を通過している。しかし、従来技術では、F/Fトルクをモータ1基分のトルクに基づいて算出しているため、時刻t1から遅延して時刻t2において不感帯を通過したと判断してF/Fトルクを増加させている。一方、本実施形態では、F/Fトルクをモータ2基分のトルクに基づいて算出しており、実際に不感帯を通過したタイミングでF/Fトルクを増加させている。
図14[E]に示す本発明の最終トルク指令値(実線)は、図14[D]に示す実線の曲線と、図14の[H]に示す実線の曲線の和に対応する。同様に、図14[E]に示す従来技術の最終トルク指令値(破線)は、図14[D]に示す破線の曲線と、図14[H]に示す破線の曲線の和に対応する。また、図14[F]の駆動軸トルク(実線、破線)は、図14[E]の曲線(実線、破線)と、(28)式と、(31)式と、により算出される。
図14[E]の最終トルク指令値(破線)、及び図14[F]に示す駆動軸トルク(破線)が示すように、従来技術では、不感帯を通過する時刻t1よりも後の時刻t2以降でトルクが立ち上がり始めるため、加速に停滞感がある。また、図14[F]に示す駆動軸トルク(破線)では、図14の[G]の破線の曲線で現れる振動成分を図14の[E]に示す破線の曲線の振動成分により相殺する形となる。しかし駆動軸トルク(破線)では振動的な応答が残留し、これがドライバーに不快感を与えることになる。また、トルクが定常値に到達する時刻は時刻t4程度となる。
一方、図14[E]の最終トルク指令値(実線)、及び図14[F]に示す駆動軸トルク(実線)に示すように、本発明では、不感帯を通過する時刻t1以降でトルクが立ち上がり始めるため、加速の停滞感を大幅に改善できる。また、トルクが定常値に到達する時刻が早まる(時刻t4から時刻t3に早まる)事で、加速のもたつき感も大幅に低減される。更に、F/Bゲイン過多による振動的な応答も改善され、乗り心地が向上する。結果、モータを2基用いた場合でも、ドライバーに違和感を与えることなく再加速する事が可能となる。
[タイムチャート2]
図15は、第2実施形態の電動車両の制御装置において、正のトルク(小)から正のトルク(大)に切り替わるときのタイムチャートを従来技術と本実施形態とで比較したグラフであり、[A]は総トルク量及びトルク指令値、[B]はモータ回転角速度推定値、[C]はF/Bトルク、[D]は駆動軸トルク、[G]はモータ回転角速度検出値である。
図15は、第2実施形態の電動車両の制御装置において、正のトルク(小)から正のトルク(大)に切り替わるときのタイムチャートを従来技術と本実施形態とで比較したグラフであり、[A]は総トルク量及びトルク指令値、[B]はモータ回転角速度推定値、[C]はF/Bトルク、[D]は駆動軸トルク、[G]はモータ回転角速度検出値である。
ここでは、力行トルクを発生させて緩い加速している状態からアクセルを踏みましたシーンでの応答を示している。
図15[A]に示すように、時刻t0でトルク指令値及び総トルク量がステップ状に変化している。
図15[B]に示すように、従来技術(破線)ではモータ回転角速度推定値をモータ1基分のトルクに基づいて算出しており、図15[E]に示すモータ回転角速度検出値(実線)と乖離している。よって、図15[C]の破線の曲線が示すように、時刻t0以降で不要なF/Bトルクが発生している。
一方、本発明(実線)ではモータ回転角速度推定値をモータ1基分のトルクの2倍のトルクに基づいて算出しており、図15[E]に示すモータ回転角速度検出値(実線)とほぼ一致している。よって、図15[C]の実線の曲線が示すように、時刻t0以降でも不要なF/Bトルクはほとんど発生しない。
したがって、図15[D]が示すように、駆動軸トルクが定常値に到達する時刻が、従来技術ではt2まで遅延していたのに対し、本発明ではt1まで早まっており、加速時のもたつき感が大幅に低減される。結果、モータを2基用いた場合でも、ドライバーに違和感を与えることなく加速する事が可能となる。
[本実施形態の効果]
本実施形態の電動車両の制御方法によれば、一つの駆動軸10に複数の電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)の動力を合成して駆動輪11A,11Bに動力を伝達する駆動力伝達機構(減速機9、駆動軸10)を備え、車両情報(車速V、アクセル開度θ)に基づいて電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)のトルク指令値(第1トルク指令値Tm1 *、第2トルク指令値Tm2 *)を設定し、当該トルク指令値(第1トルク指令値Tm1 *、第2トルク指令値Tm2 *)により電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)のトルクを制御する電動車両の制御方法であって、駆動力伝達機構(減速機9、駆動軸10)において複数の電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)を一体で回転する慣性体と仮定した場合の特性をモデル化した車両モデル(Gp(s))にトルク指令値(第1トルク指令値Tm1 *、第2トルク指令値Tm2 *)の総和である総トルク量Tmall *を入力して車両モデル(Gp(s))の回転運動に相関のあるパラメータ(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^)を算出し、回転運動が規範応答となるように総トルク量Tmall *をパラメータ(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^)に所定のゲイン(kall、kfball)を乗じて得られる補正量(kfallωd^、kfball(H(s)/Gp(s)(ωm^-ωm)))に基づいて補正する場合において、ゲイン(kall、kfball)を総和とする分配ゲイン((kff1,kff2)、(kfb1,kfb2))を電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)に個別に設定し、パラメータ(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^)に分配ゲイン((kff1,kff2)、(kfb1,kfb2))を乗じて得られる分配補正量(第1F/Fトルク指令値Tmff1 *、第1F/Bトルク指令値Tmfb1 *、第2F/Fトルク指令値Tmff2 *、第2F/Bトルク指令値Tmfb2 *)に基づいてトルク指令値(第1トルク指令値Tm1 *、第2トルク指令値Tm2 *)を個別に補正する。
本実施形態の電動車両の制御方法によれば、一つの駆動軸10に複数の電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)の動力を合成して駆動輪11A,11Bに動力を伝達する駆動力伝達機構(減速機9、駆動軸10)を備え、車両情報(車速V、アクセル開度θ)に基づいて電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)のトルク指令値(第1トルク指令値Tm1 *、第2トルク指令値Tm2 *)を設定し、当該トルク指令値(第1トルク指令値Tm1 *、第2トルク指令値Tm2 *)により電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)のトルクを制御する電動車両の制御方法であって、駆動力伝達機構(減速機9、駆動軸10)において複数の電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)を一体で回転する慣性体と仮定した場合の特性をモデル化した車両モデル(Gp(s))にトルク指令値(第1トルク指令値Tm1 *、第2トルク指令値Tm2 *)の総和である総トルク量Tmall *を入力して車両モデル(Gp(s))の回転運動に相関のあるパラメータ(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^)を算出し、回転運動が規範応答となるように総トルク量Tmall *をパラメータ(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^)に所定のゲイン(kall、kfball)を乗じて得られる補正量(kfallωd^、kfball(H(s)/Gp(s)(ωm^-ωm)))に基づいて補正する場合において、ゲイン(kall、kfball)を総和とする分配ゲイン((kff1,kff2)、(kfb1,kfb2))を電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)に個別に設定し、パラメータ(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^)に分配ゲイン((kff1,kff2)、(kfb1,kfb2))を乗じて得られる分配補正量(第1F/Fトルク指令値Tmff1 *、第1F/Bトルク指令値Tmfb1 *、第2F/Fトルク指令値Tmff2 *、第2F/Bトルク指令値Tmfb2 *)に基づいてトルク指令値(第1トルク指令値Tm1 *、第2トルク指令値Tm2 *)を個別に補正する。
上記方法により、駆動軸10に複数の電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)の動力を合成する駆動力伝達機構(減速機9、駆動軸10)を備えた車両においても、リジッドに接続され概ね一体となって回転する1つの慣性体の電動機を模擬することで、駆動軸10に対して電動機が1つの場合と同様に、電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)を個別に制御するコントローラ(第1モータコントローラ2A、第2モータコントローラ2B)で制振制御を行うことが可能となる。この際、駆動力伝達系の回転運動に相関のあるパラメータ(例えば、モータ回転数、モータ角加速度、駆動軸ねじり角速度、ドライブシャフト軸トルク等)については、電動機個別のトルクではなく、複数の電動機により発生するトルクの総量をもとに演算する。したがって、パラメータを精度よく演算する事が可能となり、互いに他の電動機により発生するトルクが外乱となることなく、車両に発生する振動(特に駆動軸10のねじり振動)を効果的に抑制することが可能となる。
上記制御方法において、パラメータ(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^)は、電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)の回転角速度推定値(モータ回転角速度推定値ωm^)を含み、ゲイン(kall、kfball)は、回転角速度推定値(モータ回転角速度推定値ωm^)と電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)の回転角速度検出値(モータ回転角速度検出値ωm)との差分に乗じられるフィードバックゲイン(kfbll)を含み、フィードバックゲイン(kfbll)と当該差分との積に基づいて当該差分を低減するように総トルク量Tmall
*を補正する場合において、分配ゲインは、フィードバックゲイン(kfbll)を総和とする分配フィードバックゲイン(kfb1、ffb2)を含み、当該差分に分配フィードバックゲイン(kfb1、ffb2)を乗じて得られる分配補正量(第1F/Bトルク指令値Tmfb1
*、第2F/Bトルク指令値Tmfb2
*)に基づいてトルク指令値(第1トルク指令値Tm1
*、第2トルク指令値Tm2
*)を個別に補正する。
上記方法により、駆動軸10を1つの電動機で駆動する場合と同様のF/B補償を複数の電動機で行うと、過補償状態となり必要な安定余裕が確保できなくなる可能性がある。よって、必要な安定余裕が確保されるよう複数の電動機のF/Bゲインを個別に設定することで、安定性を損なうことなくF/B補償を行うことができる。
上記制御方法において、分配フィードバックゲイン(kfb1、ffb2)を電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)の最大出力(Pmax1、Pmax2)が高いほど高く設定する。
上記方法により。最大出力の異なる電動機を組み合わせて使用する場合、最大出力が大きい方の電動機において多くのトルク補正が可能である。よって、最大出力の大きい方の電動機に対してF/Bゲインを大きく設定することで、トルク補正可能範囲が小さい電動機でのトルク不足を回避しつつ、必要なF/B補償を実行することができる。
また、上記制御方法において分配フィードバックゲイン(kfb1、ffb2)を総トルク量Tmall
*に対するトルク指令値(第1トルク指令値Tm1
*、第2トルク指令値Tm2
*)の割合に基づいて設定する。これにより、簡易な方法で分配F/Bゲイン(kfb1、ffb2)を設定することができる。
上記制御方法において、分配フィードバックゲイン(kfb1、ffb2)を電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)の回転速度検出値(モータ回転角速度検出値ωm)の検出精度が高いほど高く設定する。
上記方法により、レゾルバ等の角度検出器の性能が異なる電動機(或いは、角度検出器を備える電動機と備えない電動機等)を組み合わせて使用する場合、より回転数(モータ回転角速度検出値ωm)の検出精度が高い電動機に対してF/Bゲインを大きく設定することで、回転数(モータ回転角速度検出値ωm)に基づくF/B補償の精度を高めることができる。
上記制御方法において、パラメータ(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^)は、駆動軸10のねじり角速度推定値(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^)を更に含み、ゲイン(kall、kfball)は、ねじり角速度推定値(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^)に乗じられる駆動軸ねじり角速度ゲインkallを更に含み、駆動軸ねじり角速度ゲインkallとねじり角速度推定値(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^)との積に基づいて駆動軸10のねじり振動を低減するように総トルク量Tmall
*を補正する場合において、分配ゲインは、駆動軸ねじり角速度ゲインkallを総和とする分配駆動軸ねじり角速度ゲイン(第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1、第2駆動軸ねじり角速度ゲインkff2)を含み、ねじり角速度推定値(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^)に分配駆動軸ねじり角速度ゲイン(第1駆動軸ねじり角速度ゲインkff1、第2駆動軸ねじり角速度ゲインkff2)を乗じて得られる分配補正量(第1F/Fトルク指令値Tmff1
*、第2F/Fトルク指令値Tmff2
*)に基づいてトルク指令値(第1トルク指令値Tm1
*、第2トルク指令値Tm2
*)を個別に補正する。
上記方法により、ギヤのバックラッシュのような不感帯を含む非線形な応答を正確に模擬することができ、F/F補償を適切に行うことができる。
上記制御方法において、分配フィードフォワードゲイン(kff1、kff2)を総トルク量Tmall
*に対するトルク指令値(第1トルク指令値Tm1
*、第2トルク指令値Tm2
*)の割合に基づいて設定する。これにより、簡易な方法で分配駆動軸ねじり角速度ゲイン(kff1、fff2)を設定することができる。
また、本発明の電動車両の制御装置によれば、複数の電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)と、一つの駆動軸10に複数の電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)の動力を合成して駆動輪11A,11Bに動力を伝達する駆動力伝達機構(減速機9、駆動軸10)と、を備える電動車両の制御装置であって、車両情報(車速V、アクセル開度θ)に基づいて電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)のトルク指令値(第1トルク指令値Tm1
*、第2トルク指令値Tm2
*)を設定する車両コントローラ1と、トルク指令値(第1トルク指令値Tm1
*、第2トルク指令値Tm2
*)により電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)のトルクを個別に制御する複数のモータコントローラ(第1モータコントローラ2A、第2モータコントローラ2B)を備え、モータコントローラ(第1モータコントローラ2A、第2モータコントローラ2B)は、駆動力伝達機構(減速機9、駆動軸10)において複数の電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)を一体で回転する慣性体と仮定した場合の特性をモデル化した車両モデル(Gp(s))にトルク指令値(第1トルク指令値Tm1
*、第2トルク指令値Tm2
*)の総和である総トルク量Tmall
*を入力して車両モデル(Gp(s))の回転運動に相関のあるパラメータ(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^)を算出するパラメータ演算手段(回転運動パラメータ演算器21)と、回転運動が規範応答となるように総トルク量Tmall
*をパラメータ(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^)に所定のゲインを乗じて得られる補正量(kfallωd^、kfball(H(s)/Gp(s)(ωm^-ωm)))に基づいて補正する場合において、ゲイン(kall、kfball)を総和とする分配ゲイン((kff1,kff2)、(kfb1,kfb2))を電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)に個別に設定し、パラメータ(駆動軸ねじり角速度推定値ωd^、モータ回転角速度推定値ωm^)に分配ゲイン((kff1,kff2)、(kfb1,kfb2))を乗じて得られる分配補正量(第1F/Fトルク指令値Tmff1
*、第1F/Bトルク指令値Tmfb1
*、第2F/Fトルク指令値Tmff2
*、第2F/Bトルク指令値Tmfb2
*)に基づいてトルク指令値(第1トルク指令値Tm1
*、第2トルク指令値Tm2
*)を個別に補正するトルク指令値補正手段(F/F補償器22、F/B補償器23)と、を含む。
上記構成により、駆動軸10に複数の電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)の動力を合成する駆動力伝達機構(減速機9、駆動軸10)を備えた車両においても、リジッドに接続され概ね一体となって回転する1つの慣性体の電動機を模擬することで、駆動軸10に対して電動機が1つの場合と同様に、電動機(第1モータ8A、第2モータ8B)を個別に制御するコントローラ(第1モータコントローラ2A、第2モータコントローラ2B)で制振制御を行うことが可能となる。この際、駆動力伝達系の回転運動に相関のあるパラメータ(例えば、モータ回転数、モータ角加速度、駆動軸ねじり角速度、ドライブシャフト軸トルク等)については、電動機個別のトルクではなく、複数の電動機により発生するトルクの総量をもとに演算する。したがって、パラメータを精度よく演算する事が可能となり、互いに他の電動機により発生するトルクが外乱となることなく、車両に発生する振動(特に駆動軸10のねじり振動)を効果的に抑制することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。
1 車両コント―ラ,2A 第1モータコントローラ,2B 第2モータコントローラ,8A 第1モータ,8B 第2モータ,9 減速機,10 駆動軸,11A 駆動輪,11B 駆動輪,回転運動パラメータ演算器21,22 F/F補償器,23 F/B補償器
Claims (8)
- 一つの駆動軸に複数の電動機の動力を合成して駆動輪に動力を伝達する駆動力伝達機構を備え、車両情報に基づいて前記電動機のトルク指令値を設定し、当該トルク指令値により前記電動機のトルクを制御する電動車両の制御方法であって、
前記駆動力伝達機構において複数の前記電動機を一体で回転する慣性体と仮定した場合の特性をモデル化した車両モデルに前記トルク指令値の総和である総トルク量を入力して前記車両モデルの回転運動に相関のあるパラメータを算出し、
前記回転運動が規範応答となるように前記総トルク量を前記パラメータに所定のゲインを乗じて得られる補正量に基づいて補正する場合において、
前記ゲインを総和とする分配ゲインを前記電動機に個別に設定し、
前記パラメータに前記分配ゲインを乗じて得られる分配補正量に基づいて前記トルク指令値を個別に補正する電動車両の制御方法。 - 前記パラメータは、前記電動機の回転角速度推定値を含み、
前記ゲインは、前記回転角速度推定値と前記電動機の回転角速度検出値との差分に乗じられるフィードバックゲインを含み、
前記フィードバックゲインと前記差分との積に基づいて前記差分を低減するように前記総トルク量を補正する場合において、
前記分配ゲインは、前記フィードバックゲインを総和とする分配フィードバックゲインを含み、
前記差分に前記分配フィードバックゲインを乗じて得られる前記分配補正量に基づいて前記トルク指令値を個別に補正する請求項1に記載の電動車両の制御方法。 - 前記分配フィードバックゲインを前記電動機の最大出力が高いほど高く設定する請求項2に記載の電動車両の制御方法。
- 前記分配フィードバックゲインを前記総トルク量に対する前記トルク指令値の割合に基づいて設定する請求項2に記載の電動車両の制御方法。
- 前記分配フィードバックゲインを前記電動機の回転速度検出値の検出精度が高いほど高く設定する請求項2に記載の電動車両の制御方法。
- 前記パラメータは、前記駆動軸のねじり角速度推定値を更に含み、
前記ゲインは、前記ねじり角速度推定値に乗じられる駆動軸ねじり角速度ゲインを更に含み、
前記駆動軸ねじり角速度ゲインと前記ねじり角速度推定値との積に基づいて前記駆動軸のねじり振動を低減するように前記総トルク量を補正する場合において、
前記分配ゲインは、前記駆動軸ねじり角速度ゲインを総和とする分配駆動軸ねじり角速度ゲインを含み、
前記ねじり角速度推定値に前記分配駆動軸ねじり角速度ゲインを乗じて得られる前記分配補正量に基づいて前記トルク指令値を個別に補正する請求項2から請求項5のいずれか1に記載の電動車両の制御方法。 - 前記分配駆動軸ねじり角速度ゲインを前記総トルク量に対する前記トルク指令値の割合に基づいて設定する請求項6に記載の電動車両の制御方法。
- 複数の電動機と、一つの駆動軸に複数の前記電動機の動力を合成して駆動輪に動力を伝達する駆動力伝達機構と、を備える電動車両の制御装置であって、
車両情報に基づいて前記電動機のトルク指令値を設定する車両コントローラと、
前記トルク指令値により前記電動機のトルクを個別に制御する複数のモータコントローラを備え、
前記モータコントローラは、
前記駆動力伝達機構において複数の前記電動機を一体で回転する慣性体と仮定した場合の特性をモデル化した車両モデルに前記トルク指令値の総和である総トルク量を入力して前記車両モデルの回転運動に相関のあるパラメータを算出するパラメータ演算手段と、
前記回転運動が規範応答となるように前記総トルク量を前記パラメータに所定のゲインを乗じて得られる補正量に基づいて補正する場合において、前記ゲインを総和とする分配ゲインを前記電動機に個別に設定し、前記パラメータに前記分配ゲインを乗じて得られる分配補正量に基づいて前記トルク指令値を個別に補正するトルク指令値補正手段と、を含む電動車両の制御装置。
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JP2022032817A JP2023128462A (ja) | 2022-03-03 | 2022-03-03 | 電動車両の制御方法、及び電動車両の制御装置 |
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JP2022032817A JP2023128462A (ja) | 2022-03-03 | 2022-03-03 | 電動車両の制御方法、及び電動車両の制御装置 |
Publications (1)
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JP2022032817A Pending JP2023128462A (ja) | 2022-03-03 | 2022-03-03 | 電動車両の制御方法、及び電動車両の制御装置 |
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