JP2023142012A - 電動車両制御方法、及び、電動車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の駆動モータを備える電動車両において各駆動系の不感帯区間の長さのバラつきに起因した乗員の違和感を軽減し得る電動車両制御方法及び電動車両制御装置を提供する。【解決手段】各駆動モータに対する基本トルク指令値を定める基本トルク配分処理と、各基本トルク指令値に対して駆動力伝達系の振動を抑制する補正を行って補正トルク指令値を求める制振処理と、を含む。制振処理では、各駆動系における駆動力伝達に係る規範応答の減衰係数を、不感帯区間以外の区間にあるときの基準減衰係数と、不感帯区間にあるときの不感帯減衰係数と、で異なるパラメータとして設定し、各駆動系が不感帯区間にあるかを個別に推定し、不感帯区間以外にある駆動系では、基準減衰係数に基づいて、基本トルク指令値に対する補正量を設定し、不感帯区間にある駆動系では、不感帯減衰係数に基づいて、基本トルク指令値に対する補正量を設定する。【選択図】図11
Description
本発明は、電動車両制御方法、及び、電動車両制御装置に関する。
特許文献1には、電動モータからのトルクを用いて駆動可能な電動車両において、駆動モータの出力軸から駆動輪までの間に接続される動力伝達機構の伝達特性を考慮して電動車両において生じる駆動力伝達系の振動を抑制する制御方法が開示されている。特に、この制御方法では、駆動モータトルクが電動車両の駆動軸トルクに伝達されない不感帯区間を推定し、当該不感帯区間においては駆動軸トルクの応答を早める処理を行うことによってギヤのバックラッシュの影響によるショックを抑制している。
本発明者らは、個別に駆動モータを備えた駆動系を複数備え、それぞれが異なる駆動輪を駆動する電動車両の場合、各駆動系の機械特性や駆動力配分の相違に起因して駆動系毎にギヤのバックラッシュが詰まるタイミングが異なり、不感帯区間の長さにバラつきが生じ得る点に着目した。このため、複数の駆動系を備える電動車両に従来の電動車両制御方法を適用しても、走行状態によって不感帯区間における電動車両のトルク応答性能が変化し、乗員に違和感をもたらす可能性がある。
本発明は、複数の駆動モータを備える電動車両において各駆動系の不感帯区間の長さのバラつきに起因した乗員の違和感を軽減し得る電動車両制御方法及び電動車両制御装置を提供することを目的とする。
本発明のある態様は、個別に駆動モータを備えた複数の駆動系を搭載する電動車両において、各駆動系の駆動力を制御する電動車両制御方法である。この電動車両制御方法は、電動車両に対する総要求駆動力及び各駆動系に対する駆動力配分に基づいて、それぞれの駆動モータに対する基本トルク指令値を定める基本トルク配分処理と、それぞれの基本トルク指令値に対して駆動力伝達系の振動を抑制する補正を行って補正トルク指令値を求める制振処理と、補正トルク指令値に基づいて、それぞれの駆動モータが生成する駆動力を制御する駆動力制御処理と、を含む。そして、制振処理では、各駆動系における駆動力伝達に係る規範応答の減衰係数を、不感帯区間以外の区間にあるときの減衰係数である基準減衰係数と、不感帯区間にあるときの減衰係数である不感帯減衰係数と、で異なるパラメータとして設定し、各駆動系が不感帯区間にあるかを個別に推定し、不感帯区間以外にある駆動系では、基準減衰係数に基づいて、基本トルク指令値に対する補正量を設定し、不感帯区間にある駆動系では、不感帯減衰係数に基づいて、基本トルク指令値に対する補正量を設定する。
本発明によれば、複数の駆動モータを備える電動車両において各駆動系の不感帯区間の長さのバラつきに起因した乗員の違和感を軽減し得る電動車両制御方法及び電動車両制御装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は、電動車両100の主要構成を説明するブロック図である。なお、本実施形態における電動車両100とは、一又は複数の電動機(駆動モータ)を走行駆動源として搭載した電気自動車(EV)又はハイブリッド自動車(HEV)などの車両を意味する。特に、本実施形態の電動車両100は、フロント駆動輪9fR,9fLに駆動力を与える駆動モータ4(以下、フロントモータ4fまたは単にモータ4fという)を含むフロント駆動系Sf、及びリア駆動輪9rR,9rLに駆動力を与える駆動モータ4(以下、リアモータ4rまたは単にモータ4rという)を含むリア駆動系Srを備えている。
図1は、電動車両100の主要構成を説明するブロック図である。なお、本実施形態における電動車両100とは、一又は複数の電動機(駆動モータ)を走行駆動源として搭載した電気自動車(EV)又はハイブリッド自動車(HEV)などの車両を意味する。特に、本実施形態の電動車両100は、フロント駆動輪9fR,9fLに駆動力を与える駆動モータ4(以下、フロントモータ4fまたは単にモータ4fという)を含むフロント駆動系Sf、及びリア駆動輪9rR,9rLに駆動力を与える駆動モータ4(以下、リアモータ4rまたは単にモータ4rという)を含むリア駆動系Srを備えている。
なお、以下では記載の簡略化のため、フロント駆動系Sf及びリア駆動系Srにおけるそれぞれの構成要素について、例えば「駆動系Sf,Sr」などのように双方の符号を併記して包括的に説明を行う。すなわち、以下の説明は、特に明記した場合を除き、フロント駆動系Sf及びリア駆動系Srのそれぞれの構成要素に共通する。
バッテリ1は、各モータ4f,4rの力行運転時における駆動電力の供給(放電)及び回生運転時における回生電力の受け入れ(充電)を可能とする車載の二次電池により構成される。
モータコントローラ2には、車速V、アクセル開度APO、モータ4f,4rの回転子位相αf,αr、モータ4f,4rに流れる電流であるモータ電流if,ir等の各種車両変数を示す信号をデジタル信号として入力される。モータコントローラ2は、入力された信号に基づいてモータ4f,4rを制御するためのPWM信号を生成する。また、生成したPWM信号に応じてインバータ3f,3rの駆動信号を生成する。
インバータ3f,3rは、相毎に備えられた2個のスイッチング素子(例えば、IGBTやMOS-FET等のパワー半導体素子)をオン/オフすることにより、バッテリ1から供給される直流の電流を交流に変換し、モータ4f,4rに所望の電流を流す。
モータ4f,4rは、インバータ3f,3rから供給される交流電流により駆動力を発生し、変速機5f,5r及び駆動軸DSf,DSrからなる駆動力伝達系を介して、各駆動輪9fR,9fL,9rR,9rLに駆動力を伝達する。また、モータ4f,4rは、車両の走行時に駆動輪9fR,9fL,9rR,9rLから受ける回生制動力に基づく運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。この場合、インバータ3は、モータ4の回生運転時に発生する交流電流を直流電流に変換して、バッテリ1に供給する。特に、フロントモータ4fがフロント駆動輪9fR及び9fLに駆動力を供給し、リアモータ4rがリア駆動輪9rR及び9rLに駆動力を供給する。
電流センサ20は、モータ電流if,ir(特にフロント3相交流電流iuf,ivf,iwf及びリア3相交流電流iur,ivr,iwr)を検出する。ただし、3相交流電流iu,iv,iwの和は0であるため、任意の2相の電流を検出して、残りの1相の電流は演算により求めてもよい。
回転センサ21は、例えばレゾルバやエンコーダであり、モータ4f,4rの回転子位相αf,αrを検出する。
図2は、モータコントローラ2が実行するようにプログラムされた電動車両制御方法における各処理を示すフローチャートである。なお、図2に示すステップS201~S205に係る処理は、車両システムが起動している間、所定の演算周期で繰り返し実行される。
ステップS201では、モータコントローラ2は入力処理を実行する。具体的に、モータコントローラ2は、上述した各種車両状態を示す信号を車両情報として受信する。特に、車両状態を示す信号には、車速V(km/h)、アクセル開度APO(%)、回転子位相αf,αr(rad)、モータ4f,4rの回転速度であるモータ回転速度Nmf,Nmr(rpm)、モータ電流if,ir、及びバッテリ1の直流電圧値Vdc(V)などが含まれる。
車速V(km/h)は、メータやブレーキコントローラ等の他のコントローラより通信にて取得される。なお、モータコントローラ2が、モータ4の回転角速度(例えば、フロント機械角速度及びリア機械角速度の何れか)にタイヤ動半径rを乗算し、ファイナルギヤのギヤ比で除算することにより車両速度v(m/s)を求め、これに対して3600/1000を乗算して単位変換することで、車速V(km/h)を演算しても良い。
アクセル開度APO(%)は、図示しないアクセル開度センサから取得されるか、図示しない車両コントローラ等の他のコントローラから通信にて取得される。
回転子位相αf,αr(rad)は、回転センサ21から取得される。モータコントローラ2は、回転子位相αf,αrを微分して各モータ4f,4rの回転子角速度ωef,ωer(電気角速度)を演算する。また、モータコントローラ2は、回転子角速度ωef,ωerをモータ4f,4rの極対数pで除算して、当該モータ4f,4rの機械的な角速度であるモータ回転角速度ωmf,ωmr(rad/s)を演算する。さらに、モータコントローラ2は、モータ回転角速度ωmf,ωmrに単位変換係数(60/2π)を乗算することでモータ回転速度Nmf,Nmr(rpm)を演算する。
モータ電流if,ir(A)は、電流センサ20から取得される。また、直流電圧値Vdc(V)は、バッテリ1とインバータ3間の直流電源ラインに設けられた電圧センサ(図示せず)により検出する。なお、図示しないバッテリコントローラで得られる電源電圧値を直流電圧値Vdc(V)として取得しても良い。
ステップS202(基本トルク配分処理)において、モータコントローラ2は、基本トルク配分処理を実行する。具体的には、モータコントローラ2は、アクセル開度APO、車速V、及びモータ回転速度Nm(本実施形態では例えばフロントのモータ回転速度Nmf)に基づいて、図3に示すアクセル開度-トルクテーブルを参照することにより、電動車両100に対する総要求駆動力の目標値である基本合算トルク指令値Tm
*を設定する。
さらに、モータコントローラ2は、図4に示す前後トルク配分処理を実行する。具体的に、モータコントローラ2は、基本合算トルク指令値Tm
*にフロント配分ゲインKf(0≦Kf≦1)を乗算することで、フロント駆動系Sfに配分する駆動力の目標値に相当するフロント基本トルク指令値Tmf
*を求める。また、モータコントローラ2は、基本合算トルク指令値Tm
*にリア配分ゲイン(1-Kf)を乗算することで、リア駆動系Srに配分する駆動力の目標値に相当するリア基本トルク指令値Tmr
*を求める。
次に、ステップS203(制振処理)において、モータコントローラ2は制振処理を実行する。具体的に、モータコントローラ2は、フロント基本トルク指令値Tmf
*に対して駆動力伝達系振動(フロント駆動軸DSfのねじり振動など)を抑制する補正を行うことで、フロント最終トルク指令値Tmff
*を求める。一方、モータコントローラ2は、リア基本トルク指令値Tmr
*に対して駆動力伝達系振動(リア駆動軸DSrのねじり振動など)を抑制する振動補償演算を行うことで、リア最終トルク指令値Tmrf
*を求める。なお、制振処理の詳細については後述する。
ステップS204において、モータコントローラ2は電流指令値算出処理を実行する。具体的に、モータコントローラ2は、ステップS203で求めた各最終トルク指令値Tmff
*,Tmrf
*、各モータ回転角速度ωmf,ωmr、及び直流電圧値Vdcに基づいて、予め定めたテーブルを参照して、フロントモータ4f及びリアモータ4rのそれぞれのd軸電流目標値idf
*,idr
*及びq軸電流目標値iqf
*,iqr
*を求める。
ステップS205において、モータコントローラ2は電流制御演算処理を実行する。具体的に、モータコントローラ2は、フロントモータ4fのd軸電流idf及びq軸電流iqfをそれぞれd軸電流目標値idf
*及びq軸電流目標値iqf
*に一致させるとともに、リアモータ4rのd軸電流idr及びq軸電流iqrをそれぞれd軸電流目標値idr
*及びq軸電流目標値iqr
*に一致させるための制御を行う。
より具体的には、モータコントローラ2は、各モータ4f,4rにおけるd軸電流目標値idf
*,idr
*及びq軸電流目標値iqf
*,iqr
*のそれぞれに基づいて、各PWM信号を生成する。このようにして求めた各PWM信号により、フロントインバータ3f及びリアインバータ3rのそれぞれのスイッチング素子が開閉されることによって、フロントモータ4f及びリアモータ4rをそれぞれ所望のトルクで駆動することができる。
以下、上記制振処理S203の詳細について説明する。
図5は、本実施形態の制振処理を説明するブロック図である。特に、本実施形態の制振処理S203は、フロント駆動系Sfにおける駆動力伝達系振動を抑制する処理を行う構成(図5の上部)、及びリア駆動系Srにおける駆動力伝達系振動を抑制する処理を行う構成(図5の下部)を備えている。なお、以下では説明の簡略化のため、適宜、フロント駆動系Sf及びリア駆動系Srにおける各構成についてそれらの符号を併記して包括的に説明する。
図示のように、制振処理S203は、F/F補償器S501,S503と、F/B補償器S502,S504と、を含む。
図6及び図7は、F/F補償器S501,S503を説明するブロック図である。図示のように、F/F補償器S501,S503は、車両モデルS601,S701と、トルク補正部S602,S702と、を有している。
車両モデルS601,S701は、トルク補正部S602,S702により求められる第1トルク指令値Tmf1
*,Tmr1
*を入力とし、電動車両100の駆動力特性を模擬した不感帯モデルを用いて、駆動軸DSf,DSrのねじり角速度推定値ωdf^,ωdr^及びねじり角度推定値θdf^,θdr^を求める。ここで、ねじり角速度推定値ωdf^,ωdr^は、トルク補正部S602,S702へフィードバックされ、当該トルク補正部S602,S702において振動を抑制する補正量を定める指標として機能する。一方、ねじり角度推定値θdf^,θdr^は、トルク補正部S602,S702へフィードバックされ、各駆動系Sf,Srが不感帯区間にあるかの判定指標として機能する。
なお、駆動系Sf,Srの不感帯区間とは、ギヤのバックラッシュが詰まる期間などのモータ4f,4rの出力トルク(以下、「モータトルクTmf,Tmr」とも称する)が、駆動軸DSf,DSrのトルク(以下、「駆動軸トルクTdf,Tdr」とも称する)に伝達されない区間を意味する。特に、駆動系Sf,Srの不感帯区間は、フロント駆動系Sf及びリア駆動系Srのそれぞれに個別に規定される。また、両駆動系Sf,Srが何れも不感帯区間にある状態(電動車両100のトルク応答の無い状態)を、適宜、「電動車両100の不感帯区間」と称する。
そして、車両モデルS601,S701は、第1トルク指令値Tmf1
*,Tmr1
*に基づき、モータ回転角速度ωmf,ωmrの推定値(以下、「モータ回転角速度推定値ωmf^,ωmr^」とも称する)を求め、F/B補償器S502,S504に出力する。
トルク補正部S602,S702は、基本トルク指令値Tmf
*,Tmr
*、ねじり角度推定値θdf^,θdr^、及びねじり角速度推定値ωdf^,ωdr^を入力として、第1トルク指令値Tmf1
*,Tmr1
*を算出する。具体的に、トルク補正部S602,S702は、ねじり角速度推定値ωdf^,ωdr^に所定のフィードバックゲインを乗じて振動補償トルクΔTmf,ΔTmrを求め、基本トルク指令値Tmf
*,Tmr
*から振動補償トルクΔTmf,ΔTmrを減算して第1トルク指令値Tmf1
*,Tmr1
*を演算する。
特に、トルク補正部S602,S702は、車両モデルS601,S701から入力されたねじり角度推定値θdf^,θdr^の参照結果に応じて、上記フィードバックゲインとして後述する通常用ゲインkf1,kr1又は不感帯用ゲインkf2,kr2を用いて振動補償トルクΔTmf,ΔTmrを演算する。より詳細には、トルク補正部S602,S702は、ねじり角度推定値θdf^,θdr^がゼロでない場合(駆動系Sf,Srが不感帯区間以外の通常区間にあると推定される場合)には、ねじり角速度推定値ωdf^,ωdr^に通常用ゲインkf1,kr1を乗じて振動補償トルクΔTmf,ΔTmrを求める。一方、トルク補正部S602,S702は、ねじり角度推定値θdf^,θdr^がゼロである場合(駆動系Sf,Srが不感帯区間にあると推定される場合)には、ねじり角速度推定値ωdf^,ωdr^に不感帯用ゲインkf2,kr2を乗じて振動補償トルクΔTmf,ΔTmrを求める。
図6及び図7に示した車両モデルS601,S701の詳細を説明する。
図8は、電動車両100の駆動力伝達系のモデルを示す図である。なお、各パラメータの定義を既に説明したものも含めて以下に示す。
Jmf,Jmr:モータイナーシャ
Jwf,Jwr:駆動輪イナーシャ(1軸分)
Kdf,Kdr:駆動軸のねじり剛性
Ktf,Ktr:タイヤと路面の摩擦に関する係数
Nf,Nr:オーバーオールギヤ比
rf,rr:タイヤ荷重半径
ωmf,ωmr:モータ回転角速度
ωmf^,ωmr^:モータ回転角速度推定値
θmf,θmr:モータ回転角度
ωwf,ωwr:駆動輪角速度
θwf,θwr:駆動輪角度
Tmf,Tmr:モータトルク
Tdf,Tdr:駆動軸トルク
Ff,Fr:駆動力(2軸分)
θdf,θdr:駆動軸のねじり角度
ωdf,ωdr:駆動軸のねじり角速度
V:車体速度
M:車体重量
Jwf,Jwr:駆動輪イナーシャ(1軸分)
Kdf,Kdr:駆動軸のねじり剛性
Ktf,Ktr:タイヤと路面の摩擦に関する係数
Nf,Nr:オーバーオールギヤ比
rf,rr:タイヤ荷重半径
ωmf,ωmr:モータ回転角速度
ωmf^,ωmr^:モータ回転角速度推定値
θmf,θmr:モータ回転角度
ωwf,ωwr:駆動輪角速度
θwf,θwr:駆動輪角度
Tmf,Tmr:モータトルク
Tdf,Tdr:駆動軸トルク
Ff,Fr:駆動力(2軸分)
θdf,θdr:駆動軸のねじり角度
ωdf,ωdr:駆動軸のねじり角速度
V:車体速度
M:車体重量
図8より、4WDの電動車両100の運動方程式は、次式(1)~(11)で表される。
上記式(1)~(11)をラプラス変換することで、フロントモータトルクTmfからフロントモータ回転角速度ωmfまでの伝達特性は以下の式(12)及び式(13)で表される。ただし、式(13)中のa3、a2、a1、a0、b3、b2、b1、b0は、それぞれ式(14)で表される。
また、フロントモータトルクTmfからフロント駆動軸トルクTdfまでの伝達特性は、次式(15)で表される。ただし、式(15)中のc1、c2は、式(16)で表される。
式(3)、(6)、(8)、及び(10)により、フロントモータ回転角速度ωmfからフロント駆動輪角速度ωwfまでの伝達特性が次式(17)で表される。
式(12)、(13)、及び(17)により、フロントモータトルクTmfからフロント駆動輪角速度ωwfまでの伝達特性が次式(18)で表される。
式(15)及び(18)により、フロント駆動軸トルクTdfからフロント駆動輪角速度ωwfまでの伝達特性が次式(19)で表される。
ここで、式(1)を変形すると、次式(20)が得られる。
したがって、式(19)及び(20)により、フロント駆動軸DSfのねじり角速度ωdf(フロントねじり角速度ωdf)を、次式(21)で表すことができる。
ただし、式(21)中のHwf(s)は、次式(22)で定まる。
また、式(22)中のv1、v0、w1、w0は、次式(23)で定まる。
また、式(15)は、次式(24)のとおりに変形することができる。
ここで、式(24)中の「ζp」はフロント駆動軸DSfのトルク伝達系の減衰係数、「ωp」はフロント駆動軸DSfのトルク伝達系の固有振動周波数である。
さらに、式(24)で表される伝達関数の極αと零点c0/c1はほぼ一致するものとみなすことができるため、極零相殺を行うと次式(25)が得られる。ただし、式(25)中のgtfは、式(26)で定まる。
ここで、図6に示すフロント駆動系Sfのトルク補正部S602の制御ロジックにしたがい、第1トルク指令値Tmf1
*がフロント最終トルク指令値Tmff
*と等しいとしてフロント最終トルク指令値Tmff
*を、フロント基本トルク指令値Tmf
*及び通常用ゲインkf1を用いて次式(27)で表す。
そうすると、フロント最終トルク指令値Tmff
*は、式(6)及び式(10)により、次式(28)のとおりに置き換えることができる。
そして、Tmf=Tmff
*として、式(28)を式(24)に代入すると、次式(29)のように整理することができる。
ここで、フロント基本トルク指令値Tmf
*からフロント駆動軸トルクTdfまでの規範応答を、次式(30)で表す。
式(29)と式(30)が一致する通常用ゲインkf1の条件は、次式(31)で表される。すなわち、通常用ゲインkf1は、フロント基本トルク指令値Tmf
*に応じたフロントモータトルクTmfがフロント駆動軸トルクTdfとして伝達される通常区間における規範応答を実現する観点から定まる。
また、不感帯用ゲインkf2を、次式(32)により定める。なお、式(32)の「ζγf」はフロント駆動系Sfの不感帯区間における規範応答の減衰係数(以下、「フロント不感帯減衰係数ζγf」とも称する)を表す。
すなわち、フロント不感帯用ゲインkf2は、フロント基本トルク指令値Tmf
*に応じたフロントモータトルクTmfがフロント駆動軸トルクTdfとして十分に伝達されない不感帯区間において規範応答を実現する観点から定まる。特に、式(31)及び式(32)により、フロント不感帯減衰係数ζγfを通常区間の規範応答における減衰係数(以下、基準減衰係数とも称し、本実施形態では、「1」である)に対して小さくすると、不感帯用ゲインkf2が通常用ゲインkf1よりも小さくなる。この結果、フロント駆動系Sfが不感帯区間にある場合には、フロントねじり角速度ωdfと不感帯用ゲインkf2の積で定まる振動補償トルクΔTmf(すなわち、フロント基本トルク指令値Tmf
*に対する減少補正量)が小さくなるため、通常区間に比べてトルク応答がより早まる。
さらに、本実施形態では、式(1)から式(23)を適用して、フロント駆動系Sfにおけるギヤバックラッシュ特性を模擬した不感帯モデルを構成する。不感帯モデルが考慮されたフロント駆動軸トルクTdfは、次式(33)で表される。ここで、式(33)中の「θdeadf」は、フロントモータ4fからフロント駆動軸DSfまでのオーバーオールのギヤバックラッシュ量を表す。
また、リア駆動系Srにおける通常用ゲインkr1及び不感帯用ゲインkr2についても、フロント駆動系Sfにおける通常用ゲインkf1及び不感帯用ゲインkf2と同様の演算ロジックにより、次式(34)及び(35)にしたがい求めることができる。なお、式(35)の「ζγr」はリアの不感帯区間における規範応答の減衰係数(以下、「リア不感帯減衰係数ζγr」とも称する)を表す。
さらに、リア駆動系Srにおけるギヤバックラッシュ特性を模擬した不感帯モデルが考慮されたリア駆動軸トルクTdrも、フロント駆動系Sfと同様の演算ロジックによって次式(36)で表すことができる。
なお、上記式(33)及び式(36)に示すフロント駆動系Sf及びリア駆動系Srの不感帯モデルは、図6に示す不感帯ブロックBdf及び図7に示す不感帯ブロックBdrによりそれぞれ実現される。
次に、式(32)及び式(35)に示す不感帯用ゲインkf2,kr2の具体的な定め方について説明する。
図9は、各駆動系の機械特性(変速比)の組み合わせに応じた電動車両100のトルク応答特性を説明する図である。図9(A)には基本合算トルク指令値Tm
*を示し、図9(B)にはフロント最終トルク指令値Tmff
*を示し、図9(C)にはリア最終トルク指令値Tmrf
*を示し、図9(D)には電動車両100の前後加速度Gを示す。なお、図9では、フロント変速機5fが「1速」であり、かつ、リア変速機5rが「1速」の場合を実線で示し、フロント変速機5fが「2速」であり、かつ、リア変速機5rが「2速」の場合を破線で示す。また、フロント変速機5fが「2速」であり、かつ、リア変速機5rが「1速」の場合を一点鎖線で示し、フロント変速機5fが「1速」であり、かつ、リア変速機5rが「2速」の場合を二点鎖線で示す。
図9に示すように、減速状態(前後加速度G<0)から緩やかに加速状態(前後加速度G>0)に遷移させるシーンにおいて、本実施形態に係る電動車両100のトルク応答は概ね時刻t1に不感帯区間に突入する。しかし、変速機5f,5rの変速比の組み合わせにより、不感帯区間を脱するタイミングには差異が生じる。
本実施形態に係る電動車両100のトルク応答では、フロント変速機5fの変速比が支配的であり、フロント変速機5fの変速比が「1速」である場合には概ね時刻t2に不感帯区間を脱し、フロント変速機5fの変速比が「2速」である場合には、時刻t2よりも遅い時刻t3に不感帯区間を脱する。このため、電動車両100のトルク応答が不感帯区間における停滞(滞在)時間は、概ね「t2-t1」と「t3-t1」とで切り替わる。
もちろん、別の電動車両では、不感帯区間での滞在時間は、図9に示す例とは異なる態様で、例えば変速比の組み合わせ応じてより細かく、変化する場合がある。また、本実施形態に係る電動車両100においても、上記のフロント変速機5fの変速比の変化に加えて、リア変速機5rの変速比が「1速」である場合と「2速」である場合を比較すると、リア変速機5rの変速比が「1速」である場合の方が「2速」である場合よりもトルク応答が早い。
すなわち、変速機5f,5rの機械特性である変速比の組み合わせによって、トルク応答の不感帯区間における停滞時間には、大きなバラつきが生じる。そして、このバラつきは、変速機5f,5rの変速比の組み合わせが変化する毎に、変化するので、一定のアクセル操作を行っている乗員に、電動車両100の操作に対する違和感を覚えさせる。
したがって、本実施形態では、変速機5f,5rの機械特性である変速比の組み合わせに依らず、一定のトルク応答が得られるように、変速機5f,5rの変速比(機械特性)の組み合わせに応じて変化する不感帯用ゲインkf2,kr2を設定する。特に、本実施形態では、変速機5f,5rの変速比の組み合わせのうち最も早いトルク応答が得られる組み合わせを基準とし、その最も早いトルク応答が得られるように不感帯用ゲインkf2,kr2が設定される。図9の例では、実線で示すように、フロント変速機5fの変速比が「1速」かつリア変速機5rの変速比が「1速」である場合が、変速機5f,5rの変速比の組み合わせのうち最も早いトルク応答が得られる組み合わせである。
以下、不感帯用ゲインkf2,kr2の設定に係る詳細を説明する。具体的には、不感帯用ゲインkf2,kr2は、次のように不感帯減衰係数ζγf,ζγrの設定を介して設定される。
図10は、各駆動系Sf,Srの機械特性(変速比)の組み合わせに応じた不感帯減衰係数ζγf,ζγrの設定を示す変速比-不感帯減衰係数テーブルである。
電動車両100において最も早いトルク応答が得られる変速比の組み合わせは、前述のように、フロント変速機5fの変速比が「1速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「1速」である場合である。このため、図10に示すように、フロント不感帯減衰係数ζγf及びリア不感帯減衰係数ζγrは、フロント変速機5fの変速比が「1速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「1速」である場合に、基準減衰係数に設定される。本実施形態では、基準減衰係数は「1」であり、フロント不感帯減衰係数ζγf及びリア不感帯減衰係数ζγrに共通である。但し、フロント不感帯減衰係数ζγfとリア不感帯減衰係数ζγrについてそれぞれ異なる基準減衰係数を定めることができる。
フロント不感帯減衰係数ζγfは、フロント変速機5fが「2速」であり、フロント変速機5fの変速比の設定によって不感帯区間での停滞時間が長くなる場合に、基準減衰係数よりも小さい値(ここでは1>ζγf)に設定される。フロント不感帯減衰係数ζγfが基準減衰係数よりも小さい値に設定されると、フロント不感帯用ゲインkf2が小さくなる。その結果、フロント基本トルク指令値Tmf
*に対する補正量が小さくなり、フロント駆動系Sfのトルク応答が早まる。したがって、電動車両100のトルク応答は不感帯区間での停滞時間が低減され、停滞時間は最も早いトルク応答が得られる変速比の組み合わせによる停滞時間に近づく。
同様に、リア不感帯減衰係数ζγrは、リア変速機5rが「2速」であり、リア変速機5rの変速比の設定によって不感帯区間での停滞時間が長くなる場合に、基準減衰係数よりも小さい値(ここでは1>ζγr)に設定される。リア不感帯減衰係数ζγrが基準減衰係数よりも小さい値に設定されると、リア不感帯用ゲインkr2が小さくなる。その結果、リア基本トルク指令値Tmr
*に対する補正量が小さくなり、リア駆動系Srのトルク応答が早まる。したがって、電動車両100のトルク応答は不感帯区間での停滞時間が低減され、停滞時間は最も早いトルク応答が得られる変速比の組み合わせによる停滞時間に近づく。
したがって、具体的には図10に示すとおり、フロント変速機5fの変速比が「1速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「1速」である場合、フロント不感帯減衰係数ζγf及びリア不感帯減衰係数ζγrは、いずれも基準減衰係数である「1」に設定される。そして、フロント変速機5fの変速比が「2速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「2速」である場合、フロント不感帯減衰係数ζγf及びリア不感帯減衰係数ζγrは、いずれも基準減衰係数よりも小さい値に設定される。また、フロント変速機5fの変速比が「1速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「2速」である場合、フロント不感帯減衰係数ζγfは基準減衰係数に設定され、リア不感帯減衰係数ζγrは基準減衰係数よりも小さい値に設定される。これとは逆に、フロント変速機5fの変速比が「2速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「1速」である場合、フロント不感帯減衰係数ζγfは基準減衰係数よりも小さい値に設定され、リア不感帯減衰係数ζγrは基準減衰係数に設定される。
図11は、フロントトルク補正部S602と不感帯減衰係数の設定との関係を示す説明図である。図11に示すように、本実施形態では、フロントトルク補正部S602は、フロント不感帯用ゲインkf2は、式(32)に基づき、変速比-不感帯減衰係数テーブルによって設定されるフロント不感帯減衰係数ζγfに応じて可変に設定される。
具体的には、フロント変速機5fの変速比が「1速」であるときには、フロント不感帯減衰係数ζγfは基準減衰係数に設定されるので、フロント不感帯用ゲインkf2は、フロント通常用ゲインkf1(式(31)参照)と同じ値に設定される。一方、フロント変速機5fの変速比が「2速」であり、フロント変速機5fの機械特性によって不感帯区間での停滞時間が長くなるときには、フロント不感帯減衰係数ζγfは基準減衰係数よりも小さい値に設定される。これにより、フロント不感帯用ゲインkf2はフロント通常用ゲインkf1よりも小さい値に設定され、その結果、電動車両100のトルク応答性が高まる。
ここではフロントトルク補正部S602と不感帯減衰係数の設定との関係を説明したが、リアトルク補正部S702と不感帯減衰係数の設定との関係も上記と同様である。すなわち、リアトルク補正部S702は、リア不感帯用ゲインkr2は、式(35)に基づき、変速比-不感帯減衰係数テーブルによって設定されるリア不感帯減衰係数ζγrに応じて可変に設定される。
以上説明したように、本実施形態では、変速機5f,5rの変速比(機械特性)の組み合わせに応じて不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定することにより、各駆動系Sf,Srの不感帯用ゲインkf2,kr2が通常用ゲインkf1,kr1よりも小さい値に設定される。このため、変速機5f,5rの変速比の組み合わせによって、不感帯区間での停滞時間が長くなるようなシーンでは、その要因となる駆動系Sf,Srにおける振動補償トルクΔTm(=kf×ωd)が小さくなる。その結果、不感帯区間における電動車両100のトルク応答性能、すなわち総要求駆動力に対する実駆動力の追従性が高まり、変速機5f,5rの変速比(機械特性)の組み合わせに依らず、トルク応答特性のバラつきが低減または抑制される。また、変速機5f,5rの変速比の組み合わせのうち、最も早いトルク応答を示す組み合わせを基準として不感帯用ゲインkf2,kr2が定められる。このため、不感帯区間における電動車両100のトルク応答特性は最も高いトルク応答特性に近づけられ、不感帯区間を抜けるタイミングが実質的に一定となる。
次に、F/B補償器S502,S504の詳細について説明する。
図12及び図13は、F/B補償器S502,S504の構成を示すブロック図である。特に、特に、図12はフロントF/B補償器S502の構成を示しており、図13はリアF/B補償器S504の構成を示している。
図示のように、F/B補償器S502,S504は、ゲイン部S5021,S5041と、フィルタ部S5022,S5042と、フィルタ部S5023,S5043とを有する。
ゲイン部S5021,S5041で用いられるゲインκは、フィードバック制御系の安定余裕(ゲイン余裕、位相余裕)を調整するために配置され、1以下の値に設定される。
フィルタ部S5022,S5042は、モータトルクTmf,Tmrからモータ回転角速度ωmf,ωmrまでの伝達特性を模擬した伝達特性Gp(s)から成るフィルタである。なお、伝達特性Gp(s)は、例えば上記式(13)により定まる。
フィルタ部S5023,S5043は、伝達特性Gp(s)の逆系と、バンドパスフィルタH(s)とから構成されるH(s)/Gp(s)なるフィルタである。バンドパスフィルタH(s)は、ローパス側及びハイパス側の減衰特性が略一致し、かつ、駆動系のねじり共振周波数fpが、対数軸(logスケール)上で、通過帯域の中央部近傍となるように設定される。
例えば、バンドパスフィルタH(s)を一次のハイパスフィルタと一次のローパスフィルタとで構成する場合は、バンドパスフィルタH(s)は、次式(37)のように構成される。ただし、τL=1/(2πfHC)、fHC=k・fp、τH=1/(2πfLC)、fLC=fp/kである。なお、周波数fpは駆動系Sf,Srのねじり共振周波数であり、kはバンドパスを構成する任意の値とする。
これにより、F/B補償器S502,S504は、F/F補償器S501,S503の車両モデルS601,S701により算出された第1トルク指令値Tmf1
*,Tmr1
*に基づくモータ回転角速度推定値ωmf^,ωmr^と、ゲインκが乗じられる前の第2トルク指令値Tmf2
*,Tmr2
*を伝達特性Gp(s)に入力して算出されたモータ回転角速度推定値ωmf1^,ωmr1^と、を加算して、最終モータ回転角速度推定値ωmff^,ωmrf^を算出する。さらに、F/B補償器S502,S504は、最終モータ回転角速度推定値ωmff^,ωmrf^と、回転センサ21により得られるモータ回転角速度検出値ωmf-d,ωmr-dとの偏差を算出し、当該偏差にフィルタH(s)/Gp(s)を施してゲインκを乗算することで第2トルク指令値Tmf2
*,Tmr2
*を求める。
そして、図5に示すように、制振処理S203では、最終トルク指令値Tmff
*,Tmrf
*を、F/F補償器S501,S503から出力される第1トルク指令値Tmf1
*,Tmr1
*及びF/B補償器S502,S504から出力される第2トルク指令値Tmf2
*,Tmr2
*の和として演算する。
このように最終トルク指令値Tmff
*,Tmrf
*が算出されることで、F/F補償器S501,S503による振動補償(フィードフォワード補償)の後の第1トルク指令値Tmf1
*,Tmr1
*に対してさらに、F/B補償器S502,S504による振動補償(フィードバック補償)を経て最終トルク指令値Tmff
*,Tmrf
*が定めることとなる。結果として、各駆動系Sf,Srにおける駆動力伝達系振動をより確実に抑制することができる。
<第1実施形態による制御結果>
図14は、第1実施形態による制御結果(第1実施例)と、比較例による制御結果(第1比較例)との比較図である。図14(A)から図14(D)は、比較例(第1比較例)の制御結果を示し、図14(E)から図14(H)は第1実施形態の制御結果(第1実施例)を示す。また、図中、上から順に、基本合算トルク指令値Tm *、フロント最終トルク指令値Tmff *、リア最終トルク指令値Tmrf *、及び前後加速度Gをそれぞれ表している。なお、実線は、フロント変速機5fの変速比が「1速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「1速」である場合の制御結果を示し、破線は、フロント変速機5fの変速比が「2速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「2速」である場合の制御結果を示す。また、一点鎖線は、フロント変速機5fの変速比が「2速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「1速」である場合の制御結果を示し、二点鎖線は、フロント変速機5fの変速比が「1速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「2速」である場合の制御結果を示す。
図14は、第1実施形態による制御結果(第1実施例)と、比較例による制御結果(第1比較例)との比較図である。図14(A)から図14(D)は、比較例(第1比較例)の制御結果を示し、図14(E)から図14(H)は第1実施形態の制御結果(第1実施例)を示す。また、図中、上から順に、基本合算トルク指令値Tm *、フロント最終トルク指令値Tmff *、リア最終トルク指令値Tmrf *、及び前後加速度Gをそれぞれ表している。なお、実線は、フロント変速機5fの変速比が「1速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「1速」である場合の制御結果を示し、破線は、フロント変速機5fの変速比が「2速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「2速」である場合の制御結果を示す。また、一点鎖線は、フロント変速機5fの変速比が「2速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「1速」である場合の制御結果を示し、二点鎖線は、フロント変速機5fの変速比が「1速」であり、かつ、リア変速機5rの変速比が「2速」である場合の制御結果を示す。
また、図14では、車両が回生トルクにより減速している状態から基本合算トルク指令値Tm
*を緩やかな傾きで増加させて加速するシーンにおける制御結果を示している。なお、第1比較例では、所定の駆動力配分で各駆動系Sf,Srに駆動力を配分し、変速機5f,5rの変速比の組み合わせに依らず、基準減衰係数に応じて振動補償トルクΔTmf,ΔTmrを定めるためのフィードバックゲイン(不感帯用ゲインkf2,kr2)を設定する。一方、第1実施例では、各駆動系Sf,Srの駆動力配分は第1比較例と同様としつつ、上記第1実施形態で説明した方法で不感帯用ゲインkf2,kr2を設定する。
図14(A)~(D)に示すように、第1比較例では、時刻t1において前後加速度Gが0となり不感帯区間に突入した以降は、変速機5f,5rの変速比の組み合わせに応じて不感帯に停滞する時間(時刻t2~t3)のバラつきが大きい。
これに対して、図14(E)~(H)に示すように、第1実施例の制御結果を参照すると、変速機5f,5rの変速比がいずれの組み合わせであっても、トルク応答のタイミングは、変速機5f,5rの変速比がどちらも「1速」であるときの最も早いトルク応答に近づく。その結果、不感帯区間の停滞時間(時刻t2~t3)のバラつきが解消され、不感帯区間を抜けるタイミングが、変速機5f,5rの変速比の組み合わせに依らず、実質的に一定となっている。これは、不感帯区間を前後駆動系毎に推定し、不感帯減衰係数ζγf,ζγrの設定を介して、不感帯区間ではねじり角速度ωdf,ωdrに乗じるフィードバックゲインを小さくしたことによるものである。
なお、上記第1実施形態では、各駆動系Sf,Srの変速比の組み合わせに応じて不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定し、これを介して不感帯用ゲインkf2,kr2を定めている。しかし、電動車両100のトルク応答において考慮すべき各駆動系Sf,Srの機械特性は、各駆動系Sf,Srの変速比に限らない。具体的には、変速比の組み合わせの他にも、各駆動系Sf,Srのイナーシャ、差動装置のギヤ比、駆動軸DSf,DSrのイナーシャやねじり剛性の組み合わせによっても、電動車両100のトルク応答における不感帯区間での停滞時間に差異が生じる場合がある。したがって、こうした各駆動系Sf,Srの機械特性に基づく車両条件のうち、1または複数の組み合わせに応じて、不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定してもよい。
また、上記第1実施形態では、最も早いトルク応答が得られる変速比の組み合わせを基準とすることで、変速比の組み合わせに依らず、実質的に最も早いトルク応答が維持されるように、不感帯減衰係数ζγf,ζγrが設定される。しかし、不感帯減衰係数ζγf,ζγrは、この設定方法に限らず、少なくともトルク応答のバラつきが低減されるように設定されればよい。例えば、最も遅いトルク応答となる変速比の組み合わせを基準とし、これに合わせて不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定してもよい。但し、上記第1実施形態のように、可能な限り早いトルク応答が得られる変速比の組み合わせを基準とし、これに合わせるように不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定することが望ましいのは勿論のことである。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、各駆動系Sf,Srの機械特性に応じて不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定することにより、不感帯用ゲインkf2,kr2を低減し、基本トルク指令値Tmf *,Tmr *に対する補正量を調節している。しかし、不感帯減衰係数ζγf,ζγrの設定方法はこれに限らない。第2実施形態では、各駆動系の駆動力配分に応じて不感帯減衰係数を設定する例を説明する。具体的には、第2実施形態では、全駆動力が配分された場合に電動車両100のトルク応答がより早くなる方の駆動系Sf,Srを基準としつつ、駆動力配分に応じて変化する不感帯用ゲインkf2,kr2を定める。
上記第1実施形態では、各駆動系Sf,Srの機械特性に応じて不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定することにより、不感帯用ゲインkf2,kr2を低減し、基本トルク指令値Tmf *,Tmr *に対する補正量を調節している。しかし、不感帯減衰係数ζγf,ζγrの設定方法はこれに限らない。第2実施形態では、各駆動系の駆動力配分に応じて不感帯減衰係数を設定する例を説明する。具体的には、第2実施形態では、全駆動力が配分された場合に電動車両100のトルク応答がより早くなる方の駆動系Sf,Srを基準としつつ、駆動力配分に応じて変化する不感帯用ゲインkf2,kr2を定める。
図15は、駆動力配分に応じた電動車両100のトルク応答特性を説明する図である。特に、図15では、フロント配分ゲインKfを1に設定した場合(フロント駆動系Sfに全駆動力を配分した場合)の各パラメータの経時変化を実線で示し、フロント配分ゲインKfを0に設定した場合(リア駆動系Srに全駆動力を配分した場合)の各パラメータの経時変化を破線で示す。特に、図15(A)には基本合算トルク指令値Tm
*、図15(B)にはフロント最終トルク指令値Tmff
*、図15(C)にはリア最終トルク指令値Tmrf
*、及び図15(D)には電動車両100の前後加速度Gをそれぞれ示す。
先ず、フロント駆動系Sfに全駆動力を配分して減速状態(前後加速度G<0)から加速状態(前後加速度G>0)に遷移させるシーンにおいて、フロント駆動系Sfは、時刻t1に不感帯区間に突入し、その後の時刻t2において不感帯区間から抜けてトルク応答が発生する。一方、同様のシーンでリア駆動系Srに全駆動力を配分した場合、同じ時刻t1に不感帯区間に突入するものの、トルク応答は時刻t2よりも後の時刻t3において生じる。すなわち、フロント駆動系Sfに全駆動力を配分した場合(Kf=1)における当該フロント駆動系Sfの不感帯区間における停滞時間(t2-t1)は、リア駆動系Srに全駆動力を配分した場合(Kf=0)における当該リア駆動系Srの不感帯区間における停滞時間(t3-t1)よりも短い。これは、フロント駆動系Sf及びリア駆動系Srのそれぞれの機械特性に起因して生じたものと言える。したがって、この場合、全駆動力が配分された場合に不感帯区間におけるトルク応答がより早くなるフロント駆動系Sfを基準として不感帯用ゲインkf2,kr2を定める。
以下、不感帯減衰係数ζγf,ζγrの設定を介して、不感帯用ゲインkf2,kr2を定める態様の詳細を説明する。
図16は、駆動力配分比-不感帯減衰係数テーブルを示す。また、図17は、フロントトルク補正部S602と駆動力配分比-不感帯減衰係数テーブルの関係を示す。
図16に示すように、破線で示すフロント不感帯減衰係数ζγfは、フロント駆動系Sfに全駆動力を配分した場合(Kf=1)に、通常区間における規範応答の減衰係数である基準減衰係数と同じ1に設定される。このため、図17に示すように、式(32)にしたがい、フロント不感帯用ゲインkf2はフロント通常用ゲインkf1(式(31))と同一となる。すなわち、この場合、よりトルク応答の早いフロント駆動系Sfにより単独で電動車両100を駆動している状態となる。したがって、電動車両100にフロント駆動系Sfのみを搭載した場合と同等のトルク応答性能が確保される。
また、フロント駆動系Sf及びリア駆動系Srの双方に駆動力を配分するが、フロント駆動系Sfに対する配分駆動力が相対的に大きい領域(0.5<Kf<1)では、フロント不感帯減衰係数ζγfは、上記基準減衰係数を基点として、フロント配分ゲインKfが減少しても全駆動力配分時(Kf=1)のトルク応答性能が維持されるように、当該フロント配分ゲインKfの減少に応じて小さくなるように設定される。一方、リア駆動系Srにおけるリア不感帯減衰係数ζγrは、基準減衰係数に維持される。これにより、フロント駆動系Sfの駆動力配分の変化に起因したトルク応答特性のバラつきを抑え、電動車両100のトルク応答性能をより高めることができる。
さらに、フロント駆動系Sfよりもリア駆動系Srに配分される駆動力が大きい領域(0<Kf<0.5)では、フロント不感帯減衰係数ζγfは基準減衰係数に維持される。一方、リア不感帯減衰係数ζγrは、リア駆動系Srにおいて最もトルク応答の早い全駆動力配分時(Kf=0)を基点として、0.5<Kf<1の領域におけるフロント不感帯用ゲインkf2と同様の減少プロファイルにより、フロント配分ゲインKfの増大(リア駆動系Srに配分される駆動力の減少)に応じて小さくなるように設定される。すなわち、この場合、リア駆動系Srのトルク応答性能は駆動力配分に依らず、全駆動力配分時(Kf=0)に近い状態に維持される。これにより、リア駆動系Srの駆動力配分の変化に起因したトルク応答特性のバラつきを抑え、電動車両100のトルク応答性能をより高めることができる。
なお、上記の説明は、全駆動力が配分された場合のリア駆動系Srの不感帯区間におけるトルク応答がフロント駆動系Sfよりも高い場合において、リア駆動系Srを基準として不感帯用ゲインkf2,kr2を定める場合にも同様に適用可能である。
以上説明したように、本第2実施形態では、より大きい駆動力が配分される駆動系Sf,Srの不感帯用ゲインkf2,kr2が通常用ゲインkr1,kr1よりも小さく設定されることとなる。このため、より大きい駆動力が配分される駆動系Sf,Srの振動補償トルクΔTm(=kf×ωd)が小さくなり、不感帯区間における電動車両100のトルク応答性能(総要求駆動力に対する実駆動力の追従性)が高まる。また、全駆動力を配分した際により早いトルク応答を示すフロント駆動系Sfを基準として不感帯用ゲインkf2,kr2が定められるので、各駆動系Sf,Srの機械特性の違いに関わらず、不感帯区間における電動車両100のトルク応答特性を、最も高いトルク応答特性を示すフロント駆動系Sfのみを駆動源とした場合の特性に近づけられ、不感帯区間を抜けるタイミングを実質的に一定にすることができる。
<第2実施形態による制御結果>
図18は、第2実施形態による制御結果(第2実施例)と、比較例による制御結果(第2比較例)との比較図である。図18(A)から図18(D)は比較例(第2比較例)の制御結果を示し、図18(E)から図18(H)は第2実施形態の制御結果(第2実施例)を示す。また、図中、上から順に、基本合算トルク指令値Tm *、フロント最終トルク指令値Tmff *、リア最終トルク指令値Tmrf *、及び前後加速度Gをそれぞれ表している。なお、各図中の実線、破線、及び一点鎖線はそれぞれ、フロント配分ゲインKfが0.5、0.7、及び1.0の際の制御結果を示す。
図18は、第2実施形態による制御結果(第2実施例)と、比較例による制御結果(第2比較例)との比較図である。図18(A)から図18(D)は比較例(第2比較例)の制御結果を示し、図18(E)から図18(H)は第2実施形態の制御結果(第2実施例)を示す。また、図中、上から順に、基本合算トルク指令値Tm *、フロント最終トルク指令値Tmff *、リア最終トルク指令値Tmrf *、及び前後加速度Gをそれぞれ表している。なお、各図中の実線、破線、及び一点鎖線はそれぞれ、フロント配分ゲインKfが0.5、0.7、及び1.0の際の制御結果を示す。
また、図16では、車両が回生トルクにより減速している状態から基本合算トルク指令値Tm
*を緩やかな傾きで増加させて加速するシーンにおける制御結果を示している。なお、第2比較例では前後駆動系の機械特性に差を持たせつつ、駆動力配分に依らず、基準減衰係数に応じて振動補償トルクΔTmf,ΔTmrを定めるための各フィードバックゲイン(不感帯用ゲインkf2,kr2)を設定する。一方、第2実施例では、前後駆動系の機械特性の差は第2比較例と同様としつつ、上記第2実施形態で説明した方法で不感帯用ゲイン(特にフロント不感帯用ゲインkf2)を設定する。
図18(A)~(D)に示すように、第2比較例では、時刻t1において前後加速度Gが0となり不感帯区間に突入した以降は、同一の駆動系(図ではフロント駆動系Sf)であっても駆動力配分に応じて不感帯に停滞する時間(時刻t2~t3)のバラつきが大きい。さらに、同一の駆動力配分であっても、前後駆動系において機械特性の違いにより不感帯に停滞する時間が異なっている。
これに対して、図18(E)~(H)に示すように、第2実施例の制御結果(実線)を参照すると、フロント駆動系Sfにおいて何れの駆動力配分であっても、トルク応答タイミングは全駆動力が配分される際(Kf=1.0)のタイミング(時刻t2)に近づく。その結果、不感帯区間の停滞時間(時刻t2~t3)のバラつきが解消され、不感帯区間を抜けるタイミングが、駆動力配分に依らず、実質的に一定となっている。これは、不感帯区間を前後駆動系毎に推定し、駆動力配分に応じた不感帯減衰係数ζγf,ζγrの設定を介して、不感帯区間ではねじり角速度ωdf,ωdrに乗じるフィードバックゲインを小さくしたことによるものである。特に、機械特性上、不感帯区間が短いフロント駆動系Sfを基準に不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定し、これを介して不感帯用ゲインkf2,kr2を定めたことで、全駆動力が配分される際のトルク応答タイミング(時刻t2)も早まっているため、電動車両100が不感帯に停滞する時間がより短縮されている。
なお、上記第2実施形態は、第1実施形態と併せて実施可能である。例えば、変速機5f,5rの変速比の組み合わせに応じて不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定し(図10参照)、その設定値を基準(上限値)とし、さらにフロント配分ゲインKfに応じて不感帯減衰係数ζγf,ζγrを変動させることができる。この場合、各駆動系Sf,Srの機械特性に依らず、かつ、各駆動系Sf,Srの駆動力配分に依らずに、電動車両100のトルク応答が不感帯区間に停滞する時間のバラつきを低減または抑制することができる。
[第1変形例]
上記第1実施形態及び第2実施形態における制振処理S203は、以下に説明する第1変形例の構成に変更することができる。
上記第1実施形態及び第2実施形態における制振処理S203は、以下に説明する第1変形例の構成に変更することができる。
図19は、第1変形例の制振処理S203を説明するブロック図である。特に、第1変形例では、第1実施形態のF/F補償器S501,S503に代えて、F/F補償器S1201が用いられる。
図20は、F/F補償器S1201の構成を説明するブロック図である。図示のように、F/F補償器S1201は、フロント駆動系Sf及びリア駆動系Srの駆動力特性をそれぞれ模擬した各不感帯モデルにより構成される車両モデルS1301と、フロント基本トルク指令値Tmf
*及びフロントねじり角速度推定値ωdf^からフロント第1トルク指令値Tmf1
*を求めるフロントトルク補正部S1302と、リア基本トルク指令値Tmr
*及びリアねじり角速度推定値ωdr^からリア第1トルク指令値Tmr1
*を求めるリアトルク補正部S1303と、を有する。
なお、フロント駆動系Sfにおける通常用ゲインkf1及び不感帯用ゲインkf2については、第1実施形態と同様に式(31)及び式(32)によりそれぞれ定めることができる。また、リア駆動系Srにおける通常用ゲインkr1及び不感帯用ゲインkr2についても、第1実施形態と同様に式(34)及び式(35)によりそれぞれ定めることができる。
さらに、各駆動系Sf、Srにおけるモータ4f,4rから駆動軸DSf,DSrまでのギヤのバックラッシュ特性についても、第1実施形態と同様に式(33)及び(36)からそれぞれ定めることができる。
図19に戻り、制振処理S203は、第1実施形態のF/B補償器S502,S504に代えて、F/B補償器S1202,S1203を備えている。
ここで、F/B補償器S1202は、フロントモータ回転角速度推定値ωmf^からフロントモータ回転角速度検出値ωmf-dを減算し、バンドパスフィルタHf(s)とフロント車両モデルGpf(s)の逆モデルを乗算することで、第2フロントトルク指令値Tmf2
*を求める。さらに、F/B補償器S1202は、フロント第1トルク指令値Tmf1
*に第2フロントトルク指令値Tmf2
*を加算することで、フロント最終トルク指令値Tmff
*を求める。
一方、F/B補償器S1203は、リアモータ回転角速度推定値ωmr^からリアモータ回転角速度検出値ωmr-dを減算し、バンドパスフィルタHr(s)と車両モデルGpr(s)の逆モデルを乗算することで、第2リアトルク指令値Tmr2
*を求める。さらに、F/B補償器S1203、リア第1トルク指令値Tmr1
*に第2リアトルク指令値Tmr2
*を加算することで、リア最終トルク指令値Tmrf
*を求める。
上記第1変形例による電動車両制御方法によっても、第1実施形態及び第2実施形態と同様の作用効果が実現される。
なお、上記各実施形態及び第1変形例で説明した電動車両制御方法に係る制御ロジックは、適宜必要な修正を行うことにより、図21~図23にそれぞれ示すシステム構成を有する各車両に適用することもできる。
[第2変形例]
具体的に、図21に示す電動車両200は、フロントには駆動系を備えておらず、2つの第1リア駆動系SrR及び第2リア駆動系SrLを備えている。
具体的に、図21に示す電動車両200は、フロントには駆動系を備えておらず、2つの第1リア駆動系SrR及び第2リア駆動系SrLを備えている。
第1リア駆動系SrRは、第1リア駆動軸DSrRを介して第1リア駆動輪9rRを駆動させる第1リアモータ4rRと、第1リアモータ4rRを制御するための各種センサ類及びアクチュエータ類を有する。また、第2リア駆動系SrLは、第2リア駆動軸DSrLを介して第2リア駆動輪9rLを駆動させる第2リアモータ4rLと、第2リアモータ4rLを制御するための各種センサ類及びアクチュエータ類を有する。
本変形例の電動車両200は、例えば、上記各実施形態または第1変形例においてフロント駆動系Sf及びリア駆動系Srのそれぞれのパラメータを、第1リア駆動系SrR及び第2リア駆動系SrLに関するパラメータに置き換えつつ、好適な車両モデルを設定するなどの修正を加えることで、本発明に係る電動車両制御方法を実行することができる。
[第3変形例]
図22に示す電動車両300は、フロント駆動系Sf、第1リア駆動系SrR、及び第2リア駆動系SrLを備えている。すなわち、この電動車両300では、モータ4が、フロント駆動輪9fR,9fLを駆動させるフロントモータ4f、第1リア駆動輪9rRを駆動させる第1リアモータ4rR、及び第2リア駆動輪9rLを駆動させる第2リアモータ4rLの3つにより構成される。
図22に示す電動車両300は、フロント駆動系Sf、第1リア駆動系SrR、及び第2リア駆動系SrLを備えている。すなわち、この電動車両300では、モータ4が、フロント駆動輪9fR,9fLを駆動させるフロントモータ4f、第1リア駆動輪9rRを駆動させる第1リアモータ4rR、及び第2リア駆動輪9rLを駆動させる第2リアモータ4rLの3つにより構成される。
本変形例の電動車両300では、例えば、上記各実施形態または第1変形例と同様の制御方法を実行しつつ、リア駆動系Srに設定されるパラメータを第1リア駆動系SrR及び第2リア駆動系SrLに配分することで、本発明に係る電動車両制御方法を実行することができる。
[第4変形例]
図23に示す電動車両400は、フロント駆動系Sfが、第1フロント駆動軸DSfRを介して第1フロント駆動輪9fRを駆動させる第1フロントモータ4fRを制御するための各種センサ類及びアクチュエータ類が設けられた第1フロント駆動系SfRと、第2フロント駆動軸DSfLを介して第2フロント駆動輪9fLを駆動させる第2フロントモータ4fLを制御するための各種センサ類及びアクチュエータ類が設けられた第2フロント駆動系SfLと、を備える。また、リア駆動系Srも第1リア駆動系SrR及び第2リア駆動系SrLにより構成されている。したがって、電動車両400は、モータ4が、第1フロントモータ4fR、第2フロントモータ4fL、第1リアモータ4rR、及び第2リアモータ4rLの4つにより構成される。
図23に示す電動車両400は、フロント駆動系Sfが、第1フロント駆動軸DSfRを介して第1フロント駆動輪9fRを駆動させる第1フロントモータ4fRを制御するための各種センサ類及びアクチュエータ類が設けられた第1フロント駆動系SfRと、第2フロント駆動軸DSfLを介して第2フロント駆動輪9fLを駆動させる第2フロントモータ4fLを制御するための各種センサ類及びアクチュエータ類が設けられた第2フロント駆動系SfLと、を備える。また、リア駆動系Srも第1リア駆動系SrR及び第2リア駆動系SrLにより構成されている。したがって、電動車両400は、モータ4が、第1フロントモータ4fR、第2フロントモータ4fL、第1リアモータ4rR、及び第2リアモータ4rLの4つにより構成される。
本変形例の電動車両400では、例えば、上記各実施形態または第1変形例と同様の制御方法を実行しつつ、フロント駆動系Sfの各パラメータを第1フロント駆動系SfR及び第2フロント駆動系SfLに適切に配分する一方、リア駆動系Srの各パラメータを第1リア駆動系SrR及び第2リア駆動系SrLに適切に配分することで、本発明に係る電動車両制御方を実行することができる。
以上説明した各実施形態及び変形例の構成、及び、これによる作用効果についてまとめて説明する。
上記各実施形態及び各変形例に係る電動車両制御方法は、個別に駆動モータ(4f,4r)を備えた複数の駆動系(Sf,Sr)を搭載する電動車両100において、各駆動系(Sf,Sr)の駆動力(Tmf,Tmr)を制御する電動車両制御方法である。この電動車両制御方法では、電動車両100に対する総要求駆動力(Tm
*)及び各駆動系(Sf,Sr)に対する駆動力配分(Kf,1-Kf)に基づいて、それぞれの駆動モータ(4f,4r)に対する基本トルク指令値(Tmf
*,Tmr
*)を定める基本トルク配分処理S202と、それぞれの基本トルク指令値(Tmf
*,Tmr
*)に対して駆動力伝達系(Sf,Sr)の振動を抑制する補正を行って補正トルク指令値(Tmf1
*,Tmr1
*、または、Tmff
*,Tmrf
*)を求める制振処理S203と、補正トルク指令値(Tmf1
*,Tmr1
*、または、Tmff
*,Tmrf
*)に基づいて、それぞれの駆動モータ(4f,4r)が生成する駆動力(Tmf,Tmr)を制御する駆動力制御処理(S204,S205)と、を含む。
そして、制振処理S203では、各駆動系(Sf,Sr)における駆動力伝達に係る規範応答の減衰係数は、不感帯区間以外の区間にあるときの減衰係数である基準減衰係数(「1」)と、不感帯区間にあるときの減衰係数である不感帯減衰係数ζγf,ζγrと、で異なるパラメータとして設定される。また、各駆動系(Sf,Sr)が不感帯区間にあるかが個別に推定される。その上で、不感帯区間以外にある駆動系では、基準減衰係数に基づいて、基本トルク指令値(Tmf
*,Tmr
*)に対する補正量が設定され、不感帯区間にある駆動系では、不感帯減衰係数ζγf,ζγrに基づいて、基本トルク指令値(Tmf
*,Tmr
*)に対する補正量(ΔTmf,ΔTmr)が設定される。
これにより、各駆動系Sf,Srの機械特性や駆動力配分によって変動する不感帯区間の長さに起因したトルク応答特性のバラつきを考慮した上で、各基本トルク指令値Tmf
*,Tmr
*に対して振動補償を実行し、最終トルク指令値Tmff
*,Tmrf
*を定めることができる。したがって、複数の駆動系Sf,Srを搭載する電動車両100において制振機能を維持しつつ、各駆動系Sf,Srの機械特性や駆動力配分に起因したトルク応答特性のバラつきによる乗員の違和感が低減された制御構成が実現される。
上記各実施形態及び各変形例の制振処理S203では、特に、不感帯区間における補正量を不感帯区間以外の区間における補正量よりも小さくする不感帯減衰係数ζγf,ζγrが設定される。
このように、不感帯区間における補正量を小さくする不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定することで、各駆動系Sf,Srの機械特性や駆動力配分によって、通常、不感帯区間が長くなるような場合であっても、その不感帯区間でのトルク応答が早まる。その結果、各駆動系Sf,Srの機械特性や駆動力配分に依らず、トルク応答特性のバラつきを低減または抑制できる。
上記各実施形態及び各変形例の制振処理S203では、各駆動系Sf,Srが不感帯区間を抜けるタイミングが一定となる不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定する。
このように、各駆動系Sf,Srが不感帯区間を抜けるタイミングが実質的に一定となるように、各駆動系Sf,Srの機械特性や駆動力配分に応じて不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定することにより、電動車両100のトルク応答特性のバラつきは特に良好に低減または抑制され、これによる乗員の違和感が低減される。
上記各実施形態及び各変形例の制振処理S203では、不感帯区間を抜けるタイミングが短くなる不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定する。
このように、各駆動系Sf,Srの機械特性または駆動力配分に応じて変化し得る「不感帯区間を抜けるタイミング」(t2~t3)うち、「不感帯区間を抜けるタイミング」が短く(例えば最短の時刻t2に)なるように不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定することで、トルク応答性能を損なうことなく、電動車両100のトルク応答特性のバラつきが低減または抑制される。
特に上記第1実施形態及び各変形例においては、各駆動系Sf,Srの機械特性の組み合わせが変化し得るときに、制振処理S203では、不感帯減衰係数ζγf,ζγrを、その各駆動系Sf,Srの機械特性の組み合わせに応じて設定(調節)する。
このように、各駆動系Sf,Srの変速比等、各駆動系Sf,Srの機械特性の組み合わせに応じて不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定(調節)することにより、各駆動系Sf,Srの機械特性の変化に依らず、電動車両100のトルク応答特性のバラつきを特に良好に低減または抑制することができる。
特に上記第2実施形態及び各変形例においては、各駆動系Sf,Srの駆動力配分(Kf,1-Kf)が変化し得るときに、制振処理S203では、不感帯減衰係数ζγf,ζγrを、その駆動力配分(Kf,1-Kf)に応じて設定(調節)する。
このように、各駆動系Sf,Srの駆動力配分に応じて不感帯減衰係数ζγf,ζγrを設定(調節)することにより、各駆動系Sf,Srの駆動力配分に依らず、電動車両100のトルク応答特性のバラつきを特に良好に低減または抑制することができる。
上記各実施形態及び各変形例の制振処理S203では、具体的に、各駆動系Sf,Srにおける駆動軸(DSf,DSr)のねじり角速度推定値(ωdf^,ωdr^)に所定のフィードバックゲイン(kf1,kf2,kr1,kr2)を乗じて振動補償トルク(ΔTmf,ΔTmr)を演算する。また、基本トルク指令値(Tmf
*,Tmr
*)から振動補償トルク(ΔTmf,ΔTmr)を減じて補正トルク指令値(Tmf1
*,Tmr1
*、または、Tmff
*,Tmrf
*)を求める。そして、不感帯区間におけるフィードバックゲイン(kf2,kr2)を、不感帯減衰係数ζγf,ζγrに応じた不感帯用ゲインkf2,kr2に設定することにより、基本トルク指令値(Tmf
*,Tmr
*)に対する補正量を調節する。
これにより、各駆動系Sf,Srごとに、不感帯区間におけるトルク応答特性を調節するための具体的かつ良好な制御ロジックが実現される。
上記の他、特に第1変形例の制振処理S203では、各駆動系Sf,Srにおける駆動力伝達特性と、各駆動系Sf,Srの相互の駆動力伝達特性と、を含んでモデル化した車両モデルS1301を用いて演算する。
このように、各駆動系Sf,Srにおける駆動力伝達特性と、各駆動系Sf,Srの相互の駆動力伝達特性と、を含む車両モデルS1301を用いることで、各駆動系Sf,Srの相互作用を低減した特に良好な制振処理が実現される。
さらに、第1変形例の制振処理S203では、上記の車両モデルS1301を用いて、各駆動系Sf,Srのねじり角度推定値(ωdf^,ωdr^)を演算し、このねじり角度推定値(ωdf^,ωdr^)を用いて補正量(ΔTmf,ΔTmr)を演算する。
このように、車両モデルS1301を用いて制振処理S203をする過程で、補正量すなわち振動補償トルク(ΔTmf,ΔTmr)の演算等に用いるパラメータ(ωdf^,ωdr^,θdf^,θdr^)を演算することにより、演算負荷を低減しつつ、電動車両100のトルク応答特性のバラつきを低減または抑制することができる。
なお、上記各実施形態及び各変形例では、上記電動車両制御方法に加え、これを実行するための電動車両制御装置として機能するモータコントローラ2が提供される。
具体的には、モータコントローラ2は、個別に駆動モータ(4f,4r)を備えた複数の駆動系(Sf,Sr)を搭載する電動車両100において、各駆動系(Sf,Sr)の駆動力(Tmf,Tmr)を制御する電動車両制御装置である。このモータコントローラ2は、電動車両100に対する総要求駆動力(Tm
*)及び各駆動系(Sf,Sr)に対する駆動力配分(Kf,1-Kf)に基づいて、それぞれの駆動モータ(4f,4r)に対する基本トルク指令値(Tmf
*,Tmr
*)を定める基本トルク配分部(S202)と、それぞれの基本トルク指令値(Tmf
*,Tmr
*)に対して駆動力伝達系の振動を抑制する補正を行って補正トルク指令値(Tmf1
*,Tmr1
*、または、Tmff
*,Tmrf
*)を求める制振部(S203)と、補正トルク指令値(Tmf1
*,Tmr1
*、または、Tmff
*,Tmrf
*)に基づいて、それぞれの駆動モータ(4f,4r)が生成する駆動力(Tmf,Tmr)を制御する駆動力制御処理を実行する駆動力制御部(S204,S205)と、を備える。そして、制振部(S203)では、各駆動系(Sf,Sr)における駆動力伝達に係る規範応答の減衰係数は、不感帯区間以外の区間にあるときの減衰係数である基準減衰係数(「1」)と、不感帯区間にあるときの減衰係数である不感帯減衰係数ζγf,ζγrと、で異なるパラメータとして設定される。また、各駆動系(Sf,Sr)が不感帯区間にあるかが個別に推定される。その上で、不感帯区間以外にある駆動系では、基準減衰係数に基づいて、基本トルク指令値(Tmf
*,Tmr
*)に対する補正量が設定され、不感帯区間にある駆動系では、不感帯減衰係数ζγf,ζγrに基づいて、基本トルク指令値(Tmf
*,Tmr
*)に対する補正量(ΔTmf,ΔTmr)が設定される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態及び各変形例で説明した構成は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
1:バッテリ、2:モータコントローラ、3:インバータ,3f:フロントインバータ、3r:リアインバータ、4:駆動モータ、4f:フロントモータ、4r:リアモータ、5:変速機、5f:フロント変速機、5r:リア変速機、20:電流センサ、21:回転センサ、100,200,300,400:電動車両、S1301:車両モデル、S1302:フロントトルク補正部、S1303:リアトルク補正部、S202:基本トルク配分処理、S203:制振処理、S204,S205:駆動力制御処理、S601:車両モデル、S602:フロントトルク補正部、S701:車両モデル、S702:リアトルク補正部、Sf:フロント駆動系、Sr:リア駆動系
Claims (10)
- 個別に駆動モータを備えた複数の駆動系を搭載する電動車両において、各駆動系の駆動力を制御する電動車両制御方法であって、
前記電動車両に対する総要求駆動力及び前記各駆動系に対する駆動力配分に基づいて、それぞれの前記駆動モータに対する基本トルク指令値を定める基本トルク配分処理と、
それぞれの前記基本トルク指令値に対して駆動力伝達系の振動を抑制する補正を行って補正トルク指令値を求める制振処理と、
前記補正トルク指令値に基づいて、それぞれの前記駆動モータが生成する駆動力を制御する駆動力制御処理と、を含み、
前記制振処理では、
前記各駆動系における駆動力伝達に係る規範応答の減衰係数を、不感帯区間以外の区間にあるときの前記減衰係数である基準減衰係数と、前記不感帯区間にあるときの前記減衰係数である不感帯減衰係数と、で異なるパラメータとして設定し、
前記各駆動系が前記不感帯区間にあるかを個別に推定し、
前記不感帯区間以外にある前記駆動系では、前記基準減衰係数に基づいて、前記基本トルク指令値に対する補正量を設定し、
前記不感帯区間にある前記駆動系では、前記不感帯減衰係数に基づいて、前記基本トルク指令値に対する補正量を設定する、
電動車両制御方法。 - 請求項1に記載の電動車両制御方法において、
前記制振処理では、前記不感帯区間における前記補正量を前記不感帯区間以外の区間における前記補正量よりも小さくする前記不感帯減衰係数を設定する、
電動車両制御方法。 - 請求項1または2に記載の電動車両制御方法において、
前記制振処理では、前記各駆動系が前記不感帯区間を抜けるタイミングが一定となる前記不感帯減衰係数を設定する、
電動車両制御方法。 - 請求項3に記載の電動車両制御方法において、
前記制振処理では、前記タイミングが短くなる前記不感帯減衰係数を設定する、
電動車両制御方法。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の電動車両制御方法において、
前記各駆動系の機械特性の組み合わせが変化し得るときに、
前記制振処理では、前記不感帯減衰係数を、前記機械特性の組み合わせに応じて設定する、
電動車両制御方法。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の電動車両制御方法において、
前記各駆動系の前記駆動力配分が変化し得るときに、
前記制振処理では、前記不感帯減衰係数を、前記駆動力配分に応じて設定する、
電動車両制御方法。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の電動車両制御方法において、
前記制振処理では、
前記各駆動系における駆動軸のねじり角速度推定値に所定のフィードバックゲインを乗じて振動補償トルクを演算し、
前記基本トルク指令値から前記振動補償トルクを減じて前記補正トルク指令値を求め、
前記不感帯区間における前記フィードバックゲインを、前記不感帯減衰係数に応じた不感帯用ゲインに設定することにより、前記補正量を調節する、
電動車両制御方法。 - 請求項7に記載の電動車両制御方法において、
前記制振処理では、前記各駆動系における駆動力伝達特性と、前記各駆動系の相互の駆動力伝達特性と、を含んでモデル化した車両モデルを用いて演算する、
電動車両制御方法。 - 請求項8に記載の電動車両制御方法において、
前記制振処理では、
前記車両モデルを用いて、前記各駆動系のねじり角度推定値を演算し、
前記ねじり角速度推定値を用いて、前記補正量を演算する、
電動車両制御方法。 - 個別に駆動モータを備えた複数の駆動系を搭載する電動車両において、各駆動系の駆動力を制御する電動車両制御装置であって、
前記電動車両に対する総要求駆動力及び前記各駆動系に対する駆動力配分に基づいて、それぞれの前記駆動モータに対する基本トルク指令値を定める基本トルク配分部と、
それぞれの前記基本トルク指令値に対して駆動力伝達系の振動を抑制する補正を行って補正トルク指令値を求める制振部と、
前記補正トルク指令値に基づいて、それぞれの前記駆動モータが生成する駆動力を制御する駆動力制御処理を実行する駆動力制御部と、を備え、
前記制振部は、
前記各駆動系における駆動力伝達に係る規範応答の減衰係数を、不感帯区間以外の区間にあるときの前記減衰係数である基準減衰係数と、前記不感帯区間にあるときの前記減衰係数である不感帯減衰係数と、で異なるパラメータとして設定し、
前記各駆動系が前記不感帯区間にあるかを個別に推定し、
前記不感帯区間以外にある前記駆動系では、前記基準減衰係数に基づいて、前記基本トルク指令値に対する補正量を設定し、
前記不感帯区間にある前記駆動系では、前記不感帯減衰係数に基づいて、前記基本トルク指令値に対する補正量を設定する、
電動車両制御装置。
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---|---|---|---|
JP2022048661A Pending JP2023142012A (ja) | 2022-03-24 | 2022-03-24 | 電動車両制御方法、及び、電動車両制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2023142012A (ja) |
-
2022
- 2022-03-24 JP JP2022048661A patent/JP2023142012A/ja active Pending
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