JP2015074308A - 電動車両の発電制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
従って、かようにバッテリ入出力電力が制限されている低温環境下で電動車両を走行させる場合、発電機で発電した電力を余すことなく駆動側のモータで使い切るダイレクト配電制御を行うことが求められる。
特許文献1に記載の提案技術は、車輪駆動系の固有振動成分を除去または低減するフィルタ(以後、制振フィルタと称する)を用い、駆動側モータの駆動制御に資するモータトルク指令値を当該制振フィルタに通してフィルタ処理した後、モータの駆動制御に供するというものである。
また特許文献2に記載の提案技術は、発電機の発電制御に資する発電トルク(発電負荷)の指令値または発電機駆動用エンジンの制御に資するエンジントルク指令値を制振フィルタによりフィルタ処理した後、発電機またはエンジンの制御に供するというものである。
つまり特許文献1の提案技術では当該ダイレクト配電制御中も、発電電力を消費し切るよう決定された駆動トルク指令値を制振フィルタによるフィルタ処理後にモータの駆動制御に供することとなる。
ところでダイレクト配電制御は、低温環境下でのバッテリ保護を目的に発電機の発電電力を駆動側のモータで使い切って、バッテリへの電力の入出力を制限することを旨とするものであり、それにもかかわらず当該ダイレクト配電制御中に上記のごとく電力がバッテリへ制限を超えて入出力されるのでは、バッテリの劣化や故障につながる可能性がある。
つまり駆動トルク(Tm)は、フィルタ処理後発電トルク(Tg_f)に発電機回転数(ωg)を掛けて得られる乗算値をモータ回転数(ωm)で割った値となる。
結果として、車輪駆動系の固有振動成分の制振効果を確実に発揮することができず、振動が残ってしまう、という問題があった。
先ず、前提となる電動車両の発電制御装置を説明するに、これは、
機関により駆動される発電機からの電力をエネルギー源とするモータの駆動により走行可能な電動車両に用いる発電制御装置である。
そして前記トルク値を前記発電装置の制御に用いるに際し、車両の固有振動成分を低減する制振FFフィルタにより該モータ駆動トルクをフィルタ処理して制振FFフィルタ処理後トルクを求めると共に、前記トルク値に基づいて求めた前記モータの回転数推定値および実回転速度間におけるモータ回転速度偏差に、車両の固有振動成分を低減する制振FBフィルタによるフィルタ処理を施して制振FBフィルタ処理後トルクを求め、該制振FBフィルタ処理後トルクおよび前記制振FFフィルタ処理後トルクの和値を前記発電装置の制御に資するよう構成したことを特徴とするものである。
制振フィルタが発電トルクに対して施されるのみとなり、本来望ましい車両駆動トルク(発電トルク×発電機回転数÷モータ回転数)に施されないことから、所望の値に対して(発電機回転数÷モータ回転数)のズレが生じて十分な制振効果を期待できないという問題がある。
低温時のバッテリ保護用にダイレクト配電制御が行われている場合において、制振FFフィルタにより除去された周波数成分の電力がバッテリに入出力されることがなく、バッテリの劣化や故障に関する上記の問題を回避可能である。
制振FFフィルタが、本来望ましい車両駆動トルク(発電トルク×発電機回転数÷モータ回転数)に施されることとなって、車輪駆動系の固有振動成分に対する十分な制振効果を達成することができる。
路面勾配変化や凹凸路面に起因した外乱トルクが車輪駆動軸へステップ的に入力された場合のトルク外乱に対しては制振FBフィルタによるフィルタ処理が施されることとなり、このトルク外乱に起因した固有振動成分をも除去することができる。
<第1実施例の構成>
図1は、本発明の第1実施例になる発電制御装置を具えた電動車両の駆動系およびその制御システムを示す概略系統図である。
この車両は、モータ4の駆動力を終減速機(ディファレンシャルギヤ装置を含む)5により左右駆動輪6L,6Rへ伝達し、これら左右駆動輪6L,6Rのモータ駆動により走行可能なものとする。
エンジン1と共に発電装置3を構成する発電機2は、本来のエンジン駆動発電機として用いるだけでなく、バッテリ7の電力を発電側インバータ8により直流→交流変換して制御下に受電することでモータとしても作用させ、エンジン1を始動に際してクランキングさせたり、エンジン1をモータ駆動力によりトルクアシストする用にも供するものとする。
つまり発電側インバータ8は、発電機2の発電電力を交流→直流変換してモータ4の駆動に供すると共に、モータ4で消費し切れなかった余剰電力をバッテリ7へ充電可能となす。
また発電側インバータ8は、上記のエンジン1のクランキングやトルクアシストに際し、バッテリ7の電力を直流→交流変換して制御下に発電機2へ供給し、この発電機2をモータとして作用させる。
つまり駆動側インバータ9は、発電側インバータ8により直流変換された電力を直流→交流変換して制御下にモータ4へ供給し、当該モータ4の駆動制御を司るほか、モータ4が車輪6L,6Rの回生制動時に発生した電力を交流→直流変換してバッテリ7へ充電可能となす。
発電機コントローラ12は、システムコントローラ10から指令される発電トルク(発電負荷)指令値を実現するために、発電機2の回転数や電圧などの状態に応じて、発電側インバータ8をスイッチング制御する。
バッテリコントローラ13は更に、バッテリ7の温度や内部抵抗、SOCに応じて、バッテリ7の入力可能電力および出力可能電力を演算し、これらをシステムコントローラ10へ出力する。
モータコントローラ14は、システムコントローラ10から指令される駆動トルクを実現するために、モータ4の回転数や電圧などの状態に応じて、駆動側インバータ9をスイッチング制御する。
次に、システムコントローラ10および/またはその他のコントローラ11〜14による発電制御を、バッテリ温度が低下して、バッテリ7への充放電がバッテリ保護の目的で制限されている場合につき、つまり発電機2の発電電力を余すことなくモータ4の駆動に消費し切って、バッテリ7への充放電が制限または0にされるようなダイレクト配電制御が行われる場合につき、図2の制御プログラムを参照しながら説明する。
この演算に際しては、図3のブロック線図により示すように、先ずモータ要求駆動トルク演算部31で、図4に例示したモータ4の要求駆動トルクマップを基にモータ要求駆動トルクTm*を検索する。
図3のモータ要求駆動トルク演算部31でモータ要求駆動トルクTm*を求めるに際しては、図4のモータ要求駆動トルクマップを基にアクセル開度APOおよびモータ回転速度ωmから、運転者がアクセル操作によって要求する車両の要求駆動トルクに対応したモータ4の要求駆動トルクTm*を検索する。
モータ駆動損失演算部33では、モータ4の駆動損失マップを基に、モータ要求駆動トルクTm*、モータ回転速度ωmおよび駆動側インバータ9への入力電圧(またはバッテリ電圧)から、モータ4のモータ駆動損失を求める。
この目標発電電力Pg*は、モータ駆動損失によっても、運転者が要求する車両の要求駆動トルク(モータ要求駆動トルクTm*)を現在の車速VSP(モータ回転速度ωm)のもとで発生させるのに必要な発電電力である。
図6のブロック41では、図2のステップS21およびステップS22による前記の演算により目標発電電力Pg*を求めると共に、この目標発電電s力Pg*を最良燃費で実現可能な発電機回転速度目標値ωg*およびエンジントルク目標値TE0*の組み合わせを求める。
しかし発電機回転速度目標値ωg*は、そのまま発電機2の回転速度制御に用いず、かかる発電機回転速度目標値ωg*の達成時に得られるモータトルク値の推定に用い、車両(車輪駆動系)の固有振動成分を低減する制振フィルタにより当該推定トルク値をフィルタ処理した後、このトルク値を発電トルク指令値Tg*に変換し、この発電トルク指令値Tg*を発電機2の制御に用いて、制振フィルタ処理を組み込んだ発電トルク制御により発電機回転速度目標値ωg*を実現する。
第1発電トルク指令値演算部43では、上記の発電機回転速度偏差Δωgに比例制御ゲインPを施し、この偏差Δωgを無くして発電機回転速度計測値ωgを目標値ωg*に一致させる第1の発電トルク指令値Tg1*を演算する。
この減算処理は、発電機4にエンジントルクなどの外乱が印加された場合の外乱分を除去するためである。
ブロック45は、発電機4のトルク入力に対する回転速度の伝達特性Gg(s)をモデル化した伝達関数Gg'(s)を具え、制振フィルタ処理部48で後述のごとくに求めた最終的な発電トルク指令値Tg*をこの伝達関数Gg'(s)に通して発電機回転速度理想値ωg_refを算出する。
なお伝達関数Gg'(s)は、発電機4のトータル慣性モーメントをJgとすると、次式に近似する。
Gg'(s) = 1 / (Jg・s) ・・・(1)
ブロック47は、上記伝達関数Gg'(s)と等しい次数(一次)のローパスフィルタH(s)を用いたH(s)/Gg'(s)の式で表される伝達関数を具え、上記の発電機トルク外乱推定値ΔTg_estをこの伝達関数H(s)/Gg'(s)に通して発電機外乱トルク推定値ΔTg_estを求める。
なお上記ローパスフィルタの時定数は、対外乱応答性や安定性を考慮して、計算または実験により任意に設定することができる。
制振フィルタ処理部48は、車両(車輪駆動系)の固有振動成分を低減するためのフィルタで、上記の第2発電トルク指令値Tg2*を当該フィルタに通して、車両(車輪駆動系)の固有振動成分が除去されたフィルタ処理後の最終的な発電トルク指令値Tg*を求める。
なお、当該フィルタ処理は第2発電トルク指令値Tg2*に限られず、発電機外乱トルク推定値ΔTg_estを考慮する必要がなければ第1発電トルク指令値Tg1*に対しフィルタ処理を施してもよいため、図7ではフィルタ処理の対象を、フィルタ処理前発電トルク指令値Tg0*(Tg2*またはTg1*)と記述した。
この際、モータ回転速度ωmが所定の微小回転速度より小さい場合は、その微小回転速度に制限することで、ゼロ割を防止する。
なお所定の微小回転速度は、計算または実験値により設定する。
なお発電機効率ηgは、発電トルク指令値Tg*、発電機回転速度計測値ωg、発電側インバータ入力電圧(またはバッテリ電圧)を基に、予め実験や計算等により用意した発電機効率テーブルを用いて算出する。
またモータ効率ηmは、モータトルク指令値Tm*(または要求駆動トルク)、モータ回転数ωm、駆動側インバータ入力電圧(またはバッテリ電圧)を基に、予め実験や計算等により用意した駆動機効率テーブルを用いて算出する。
乗算器54では、フィルタ処理前発電トルク指令値Tg0*に発電駆動変換係数νを掛け合わせることにより、発電トルク指令値Tg0*に対応するモータ駆動トルク推定値Tm_estを求める。
一般の電動車両やハイブリッド車両では、トルク伝達系の減衰係数ζPの値は1未満の値となっている。このため、Gp(s)は振動系となっている。
減算器57では、このモータ回転数推定値ωm_estからモータ回転速度実測値ωmを差し引く次式の演算により、モータ回転速度外乱偏差Δωmを算出する。
なお、式(19)におけるτH,τLはそれぞれ、車両の固有振動周波数をfとすると、fL<f<fHの関係にあるfL、fHを用いて、τH=1/(2πfH)、τL=1/(2πfL)とする。
Tm_est* = Tm_est_FF* + Tm_est_FB* (20)
なお、発電駆動変換係数νが微小な所定値よりも小さい場合は、この微小所定値に制限することで、割り算のゼロ割を防止する。
そして微小所定値は、計算または実験等により任意に設定することができる。
ここで発電電力は、発電機2の直流電流と発電側インバータ8の入力電圧との積より算出するが、発電トルク指令値Tg*と発電機回転速度ωgとの積値に発電機損失を加え合わせた値を発電電力としてもよい。
除算器63では、モータ駆動電力指令値Pm*をモータ回転速度ωmで除算することにより、最終的なモータ駆動トルク指令値Tm*を求め、これをモータ4の駆動制御に資する。
この際、モータ回転速度ωmが微小な設定値よりも低い場合、モータ回転速度ωmをこの微小な設定値に制限することで、割り算のゼロ割を回避する。
また、最終的なモータ駆動トルク指令値Tm*は所定の上下限値を超えて大きくなったり、小さくなることのないよう制限し、モータ4の保護を図る。
上記した第1実施例の発電制御装置による効果を、図10に示した従来装置(特許文献2の装置)による動作タイムチャート、および図11に示した参考例による動作タイムチャートと比較しながら、図12の本実施例による動作タイムチャートに基づき、以下に説明する。
図10,11,12はそれぞれ、低温時のバッテリ保護用にバッテリ入出力電力を微小な所定値以下に制限するダイレクト配電制御中であって、瞬時t1に車速一定速走行状態から、アクセルペダルの踏み込みにより加速走行へ移行し、加速後の瞬時t3に路面勾配が変化する(アクセル操作を行うほどでもない路面勾配変化)などの外乱が発生した場合における動作を、モータ回転速度ωm、駆動軸トルクTmおよび電力(モータ駆動電力およびバッテリ入出力電力)の時系列変化として示す動作タイムチャートである。
このため、制振効果を確実に発揮することができず、図10の瞬時t1〜t2において駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmに図示のごとき振動が残ってしまうという問題があった。
このため、バッテリ入出力電力を瞬時t3以降も破線で示すごとく0kWに保って、低温時バッテリ保護機能は所望通りに果たし得るものの、制振効果を確実に発揮することができず、瞬時t3〜t4において駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmに図示のごとき振動が残ってしまうという問題があった。
この場合も図7につき前述したと同様に、上記のフィルタ処理後駆動トルク(推定値)Tm_est*を発電駆動変換係数νで除算して最終的な発電トルク指令値Tg*を求め、これを発電機4の制御(発電制御)に資することとする。
よって図11の瞬時t1〜t2における駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmの経時変化から明らかなごとく、車輪駆動系の固有振動を全く誘起することなく、スムーズな加速が可能となる。
このため、バッテリ入出力電力を瞬時t3以降も破線で示すごとく0kWに保って、低温時バッテリ保護機能は所望通りに果たし得るものの、外乱入力時の制振効果を確実に発揮することができず、瞬時t3〜t4において駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmに図示のごとき振動が残ってしまうという問題があった。
制振FFフィルタ55が駆動トルク(推定値)Tm_estに施されて発電制御に供されるのに加えて、図7のブロック56〜58から成るフィードバック系(制振FBフィルタ)で求めた制振FBフィルタ処理後モータ駆動トルク(推定値)Tm_est_FB*も発電制御に供されることとなる。
よって図12の瞬時t1〜t2における駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmの経時変化から明らかなごとく、車輪駆動系の固有振動を全く誘起することなく、スムーズな加速が可能となる。
このため、バッテリ入出力電力を瞬時t3以降も破線で示すごとく0kWに保って、低温時バッテリ保護機能はこれを所望通りに果たしつつ、外乱入力時の制振効果もこれを確実に発揮することができ、瞬時t3〜t4において駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmを図示のごとく振動成分が存在しないものとなし得る。
まず、発電トルクTgと発電機回転速度ωgより発電機機械出力Tg×ωgが得られ、インバータ等により電力に変換される際に発電機効率ηgが掛かるため、発電電力Pgは、Pg=Tg×ωg×ηgとなる。
モータ電力Pmからモータ効率ηmが掛かってモータ機械出力Pm'となり、モータ機械出力Pm'に対してモータ回転速度ωmで割ることで駆動トルク指令値Tm*が求まることになる。
すなわち、Tm*=Pg×ηm/ωm=Tg×ωg×ηg×ηm/ωm=Tg×(ωg/ωm)×(ηg×ηm)となる。
このため、発電駆動速度比γ(ωg/ωm)に加えて、発電機2およびモータ4のトータル効率η(ηg×ηm)を用いることで、より精度よくモータ駆動トルク推定値Tm_estを推定することができ、車輪駆動系の固有振動を確実に除去可能な発電トルク指令値Tg*を算出することができる。
ダイレクト配電制御中は、発電電力を余すことなくモータ4で消費することを行うため、駆動トルク指令値Tm*は、発電電力Pgおよびモータ回転速度ωmからTm*=Pg/ωmとして算出される。
このため、発電駆動速度比γ(ωg/ωm)を用いることで、発電トルク指令値から精度よく駆動トルク推定値を推定することができ、この駆動トルク推定値に制振フィルタを施した上で発電トルク指令値に再度換算することにより、車輪駆動系の固有振動を確実に除去可能な発電トルク指令値を算出することができる。
図13は、本発明の第2実施例になる発電制御装置を示す、図6と同様な機能別ブロック線図である。
本実施例においても、基本的な構成は図1〜9につき前述したと同様なものとし、図2のステップS23で行う発電機制御を、図6に代えて図13のブロック線図に示すごとくに行う点が異なるのみである。
従って、図13において、図6と同様に機能するブロックには同一符号を付して示した。
ブロック70では、減算器42において求めた、発電機回転速度目標値ωg*と発電機回転速度計測値ωgとの間における発電機回転速度偏差Δωgに基づき、これに比例制御ゲインKpを乗じてΔωg=0にするための比例制御量(トルク値)を算出すると共に、発電機回転速度偏差偏差Δωgの積分値(Δωg/s)に積分制御ゲインKiを乗じてΔωg=0にするための積分制御量(トルク値)を算出し、これら比例制御量(トルク値)および積分制御量(トルク値)を合算して第1発電トルク指令値Tg1*を求める。
上記した第2実施例の発電制御装置にあっても、発電トルクに対し制振フィルタを直接施すのではなく、発電トルク(推定値)Tg0*を一旦駆動トルク(推定値)Tm_estに換算し、この駆動トルク(推定値)Tm_estを制振FFフィルタ55により処理して制振FFフィルタ処理後モータ駆動トルク(推定値)Tm_est_FF*を求めると共に、ブロック56〜58により制振FBフィルタ処理後モータ駆動トルク(推定値)Tm_est_FB*を求め、これらを合算して得られた制振フィルタ処理後モータ駆動トルク(推定値)Tm_est*を発電駆動変換係数νで除算して最終的な発電トルク指令値Tg*を求め、このTg*を発電機4の制御(発電制御)に資するため、
制振FFフィルタ55が駆動トルク(推定値)Tm_estに施されて発電制御に供されるのに加えて、図7のブロック56〜58から成るフィードバック系(制振FBフィルタ)で求めた制振FBフィルタ処理後モータ駆動トルク(推定値)Tm_est_FB*も発電制御に供されることとなり、図12につき前述した第1実施例の発電制御と同様、同図の加速直後t1〜t2における駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmの経時変化から明らかなごとく、車輪駆動系の固有振動を全く誘起することなく、スムーズな加速が可能になると共に、同図の外乱入力直後t3〜t4における駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmの経時変化から明らかなごとく振動成分の発生を防止することができる。
図14は、本発明の第3実施例になる発電制御装置を示す、図6と同様な機能別ブロック線図である。
本実施例においても、基本的な構成は図1〜9につき前述したと同様なものとし、図2のステップS23で行う発電機制御を、図6に代えて図14のブロック線図に示すごとくに行う点が異なるのみである。
従って、図14において、図6と同様に機能するブロックには同一符号を付して示した。
この発電機回転速度制御部80は、図6のブロック42〜47によると同様な要領で第2発電トルク指令値Tg2*を求め、これをそのまま最終的な発電トルク指令値Tg*として発電機2の制御に資するか、
若しくは、図13のブロック42および70によると同様な要領で第1発電トルク指令値Tg1*を求め、これをそのまま最終的な発電トルク指令値Tg*として発電機2の制御に資するものとする。
上記した第3実施例の発電制御装置にあっても、発電トルクに対し制振フィルタを直接施すのではなく、発電機2を駆動するエンジン1のトルク目標値TE0*に対して制振フィルタ処理部48による処理を施してエンジントルク指令値TE*となし、エンジン1の運転制御、つまり発電機4の制御(発電制御)に資するため、
図12につき前述した第1発明と同様な効果、つまり同図の加速直後t1〜t2における駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmの経時変化によって示すとおり、これら駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmから車輪駆動系の固有振動を除去することができ、スムーズな加速が可能であると共に、同図の外乱入力直後t3〜t4における駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmの経時変化から明らかなごとく振動成分の発生を防止することができる。
図15は、本発明の第4実施例になる発電制御装置を示す、図6と同様な機能別ブロック線図である。
本実施例においても、基本的な構成は図1〜9につき前述したと同様なものとし、図2のステップS23で行う発電機制御を、図6に代えて図15のブロック線図に示すごとくに行う点が異なるのみである。
従って、図15において、図6と同様に機能するブロックには同一符号を付して示した。
発電機回転速度制御部90では、減算器42からの発電機回転速度偏差Δωg(=発電機回転速度目標値ωg*−発電機回転速度計測値ωg)に基づき制御係数K'(s)を用いて第1発電トルク指令値Tg1*を求める。
なお発電機回転速度制御部90{制御係数K'(s)}としては、図6におけるブロック43〜47の制御系や、図13におけるブロック70の制御系と同様な制御系を用いる。
なお第1の制振フィルタ処理GV1(s)は、式(17)により示した制振FFフィルタGFF(s)や、図7におけるブロック51〜55での処理と同様なものとする。
ここで、発電機回転速度制御部90の制御係数K'(s)と第1の制振フィルタGV1(s)を合わせたフィルタを、次式で表されるようにK(s)とする。
K(s)=GV1(s)・K'(s)
なお第2の制振フィルタGV2(s)、以下のように設定する。
発電機2で発生した電力を全てモータ4で消費するダイレクト配電が行われている場合、発電機回転速度ωgからモータトルクTmまでの特性は以下のように表せる。
また、R(s)、T(s)、S(s)は、以下に示す伝達関数である。
非振動特性を示す伝達関数をGs(s)と置き、式(27)の外乱dに掛かる伝達関数がGs(s)になるように、GV2(s)を選ぶと、以下のようになる。
このため、R(s)、T(s)はK'(s)の特性により、非振動特性またはドライバが感知できない程の振動特性に収めることができ、式(32)は非振動系とすることができる。
上記した第4実施例の発電制御装置にあっても、発電トルクに対し制振フィルタを直接施すのではなく、発電機回転速度偏差Δωgをなくすための第1発電トルク指令値Tg1*に対し第1制振フィルタ処理GV1(s)を施して得られた第2発電トルク指令値Tg2 *と、モータ回転速度ωmに対し第2の制振フィルタ処理GV2(s)を施して得られた第3発電トルク指定値Tg3*との合算により最終的な発電トルク指令値Tg*を求め、このTg*を発電機4の制御(発電制御)に資するため、
図12につき前述した第1実施例の発電制御と同様、同図の加速直後t1〜t2における駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmの経時変化から明らかなごとく、車輪駆動系の固有振動を全く誘起することなく、スムーズな加速が可能になると共に、同図の外乱入力直後t3〜t4における駆動軸トルクTmおよびモータ回転速度ωmの経時変化から明らかなごとく振動成分の発生を防止することができる。
2 発電機
3 発電装置
4 モータ(モータ)
5 終減速機
6L,6R 左右駆動輪
7 バッテリ
8 発電側インバータ
9 駆動側インバータ
10 システムコントローラ
11 エンジンコントローラ
12 発電機コントローラ
13 バッテリコントローラ
14 モータコントローラ
15 車速センサ
16 アクセル開度センサ
17 勾配センサ
31 モータ要求駆動トルク演算部
32 モータ要求出力演算部
33 モータ駆動損失演算部
34 加算器
41 エンジン運転点演算ブロック
42 減算器
43 第1発電トルク指令値演算部
44 減算器
45〜47 演算ブロック
48 制振フィルタ処理部
51,60 除算器
52〜54 乗算器
55 制振FFフィルタ
56〜58 制振FBフィルタ
59 加算器
61 モータ駆動損失演算部
62 減算器
63 除算器
70 第1発電トルク指令値演算ブロック
80 発電機回転速度制御部
90 発電機回転速度制御部
91 第1制振フィルタ
92 第2制振フィルタ
93 加算器
Claims (10)
- 機関により駆動される発電機からの電力をエネルギー源とするモータの駆動により走行可能な電動車両の発電制御装置において、
前記機関および発電機から成る発電装置は、該機関が所定の運転効率で車両の要求駆動力を発生するよう運転された場合におけるトルク値に基づき制御するよう構成し、
該トルク値を前記発電装置の制御に用いるに際し、車両の固有振動成分を低減する制振FFフィルタにより該トルク値をフィルタ処理して制振FFフィルタ処理後トルクを求めると共に、前記トルク値に基づいて求めた前記モータの回転速度推定値および実回転速度間におけるモータ回転速度偏差に、車両の固有振動成分を低減する制振FBフィルタによるフィルタ処理を施して制振FBフィルタ処理後トルクを求め、該制振FBフィルタ処理後トルクおよび前記制振FFフィルタ処理後トルクの和値を前記発電装置の制御に資するよう構成したことを特徴とする電動車両の発電制御装置。 - 請求項1に記載された、電動車両の発電制御装置において、
前記機関が前記所定の運転効率で車両の要求駆動力を発生するよう運転された場合における前記発電装置のトルクおよび回転速度のうち、該発電装置の回転速度によって得られる車両の駆動トルクを推定し、この推定した車両駆動トルクを前記トルク値として用い、該推定した車両駆動トルクを前記制振FFフィルタ処理後に前記発電装置の制御に資するよう構成したことを特徴とする電動車両の発電制御装置。 - 請求項2に記載された、電動車両の発電制御装置において、
前記車両駆動トルクの推定に際しては、前記発電機の回転速度ωgと前記モータの回転速度ωmとの速度比である発電駆動速度比γ、および、前記機関が前記所定の運転効率で車両の要求駆動力を発生するのに必要な機関回転速度に対応した前記発電装置の回転速度目標値を実現するための発電装置駆動トルク目標値Tg1*から、これら発電駆動速度比γおよび発電装置駆動トルク目標値Tg1*の乗算により車両駆動トルクの推定値を求めて前記モータ駆動トルクTm_estとし、
該モータ駆動トルクTm_estを前記制振FFフィルタ処理して得られる制振FFフィルタ処理後モータ駆動トルクTm_est_FF*と前記制振FBフィルタ処理後モータ駆動トルクTm_est_FB*との和値Tm_est*を前記発電駆動速度比γにより除算した値で前記発電装置をトルク制御するよう構成したことを特徴とする電動車両の発電制御装置。 - 請求項3に記載された、電動車両の発電制御装置において、
前記発電駆動速度比γに代え、該発電駆動速度比γに、前記発電機およびモータの効率ηg,ηmを乗算して得られる発電駆動変換係数νを用いるよう構成したことを特徴とする電動車両の発電制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載された、電動車両の発電制御装置において、
前記モータ回転数推定値ωm_estは、前記モータ駆動トルクTm_estの前回値に車両モデルGp(s)を施して求めることを特徴とする電動車両の発電制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載された、電動車両の発電制御装置において、
前記制振FBフィルタは、車両モデルGp(s)の逆系1/Gp(s)およびバンドパスフィルタ特性Hp(s)から成るHp(s)/ Gp(s)の伝達特性に前記モータの回転数推定値ωm_estおよび実回転速度ωm間におけるモータ回転速度偏差δωmを通すフィルタ処理により制振FBフィルタ処理後モータ駆動トルクTm_est_FB*を求めるものであり、
前記バンドパスフィルタ特性Hp(s)の分母次数と分子次数との差分が、前記車両モデルGp(s)の分母次数と分子次数との差以上であることを特徴とする電動車両の発電制御装置。 - 請求項6に記載された、電動車両の発電制御装置において、
前記バンドパスフィルタHp(s)は、車両の固有振動周波数を中心周波数とするバンドパスフィルタであることを特徴とする電動車両の発電制御装置。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載された、電動車両の発電制御装置において、
前記モータ駆動トルクへの外乱から前記モータ回転回転速度への理想応答特性Gs(s)と、前記モータ駆動トルクの指令から前記モータ回転回転速度への応答特性Gp(s)と、発電機回転速度制御系へのトルク外乱から発電トルク指令までの閉ループ応答特性S(s)とを用いて、モータ回転速度から求めた発電トルク補正量だけ前記発電機への発電負荷を補正するよう構成したことを特徴とする電動車両の発電制御装置。 - 請求項8に記載された、電動車両の発電制御装置において、
前記理想応答特性Gs(s) の逆系と、車両モデルGp(s) の逆系との差、および前記発電機回転速度制御系の閉ループ応答特性S(s) の逆系から成るフィルタ処理を前記モータ回転速度に施して前記発電トルク補正量を算出するよう構成したことを特徴とする電動車両の発電制御装置。 - 請求項1に記載された、電動車両の発電制御装置において、
前記機関が前記所定の運転効率で車両の要求駆動力を発生するよう運転された場合における前記発電装置のトルクおよび回転速度のうち、該発電装置のトルクを前記トルク値として用い、該発電装置のトルクを前記制振FFフィルタ処理後に前記発電装置の制御に資するよう構成したことを特徴とする電動車両の発電制御装置。
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