JP2023128454A - 光ファイバの製造方法及び光ファイバの製造装置 - Google Patents

光ファイバの製造方法及び光ファイバの製造装置 Download PDF

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【課題】光ファイバの被覆偏肉等の変動を抑制する光ファイバの製造方法を提供する。【解決手段】光ファイバの製造方法は、光ファイバ母材を溶融して光ファイバ裸線を線引きする工程と、被覆装置により光ファイバ裸線に樹脂を被覆して光ファイバ素線を形成する工程と、直下ローラにより光ファイバ素線を方向変更して光ファイバ素線を巻取り装置で巻き取る工程と、を備える。直下ローラは、非回転式のガイドローラである。【選択図】図1

Description

本開示は、光ファイバの製造方法及び光ファイバの製造装置に関する。
特許文献1には、光ファイバの製造方法が開示されている。この光ファイバの製造方法では、光ファイバ母材を溶融して線引きした光ファイバ裸線に樹脂を被覆する。そして、樹脂が被覆された光ファイバ素線を直下ローラで方向変更して巻取り装置で巻き取る。これにより、光ファイバが製造される。特許文献2には、紡糸工程からコーティング工程までのいずれかの位置で、エアガイドで光ファイバ裸線の方向を変更することが開示されている。特許文献3には、熱硬化性樹脂の被覆が未硬化のまま直下ローラに接触すると変形するので、直下ローラのガイド部から流体を吹き出して浮上させることが開示されている。
特開2020-147457号公報 特開2016-147771号公報 特開2020-007183号公報
従来の光ファイバの製造方法では、光ファイバ素線を方向変更する直下ローラにおいて、回転軸とローラの垂直度とのずれに起因する微小な振動(あおり振動)が生じることがある。この微小な振動は、直下ローラにガイドされる光ファイバ素線及びそれに連なる光ファイバ裸線に伝搬し、光ファイバ裸線等を振動させる。光ファイバ裸線等が振動すると、樹脂を被覆中の光ファイバ裸線が所定経路から水平方向に僅かにずれ、光ファイバ素線の被覆樹脂に偏肉を生じさせたり、外径変動を生じさせたりしてしまう。また、それらの変動に伴い、光ファイバの品質特性にも変動が生じる可能性がある。また、従来のローラでは、ベアリングの回転抵抗が線引き張力に加算されてしまい、ベアリングの回転抵抗には個体差があるため、線引き張力を良好の範囲に合わせ込めない可能性もある。更に、1本の光ファイバに複数のコアを持つマルチコア光ファイバの製造方法では、直下ローラのあおり振動により、直下ローラの溝の底で光ファイバが転がり、長手方向に捻じれる場合がある。マルチコア光ファイバが捻れると、例えば、マルチコアファイバ同士を接続する際に、複数のコアを正しい順番及び位置で対向させることが難しくなる。そこで、線引き張力への影響や光ファイバの被覆偏肉等の変動を抑制することができる光ファイバの製造方法及び製造装置が望まれている。
本開示は、光ファイバの被覆偏肉等の変動を抑制することができる、光ファイバの製造方法及び光ファイバの製造装置を提供することを目的とする。
本開示は、光ファイバの製造方法を提供する。この光ファイバの製造方法は、光ファイバ母材を溶融して光ファイバ裸線を線引きする工程と、被覆装置により光ファイバ裸線に樹脂を被覆して光ファイバ素線を形成する工程と、直下ローラにより光ファイバ素線を方向変更して光ファイバ素線を巻取り装置で巻き取る工程と、を備える。直下ローラは、非回転式のガイドローラである。
本開示は、光ファイバの製造装置を提供する。この光ファイバの製造装置は、溶融装置と、被覆装置と、巻取り装置と、直下ローラと、を備える。溶融装置は、光ファイバ母材から光ファイバ裸線を線引きするために光ファイバ母材を溶融する。被覆装置は、光ファイバ裸線を樹脂により被覆して光ファイバ素線を形成する。巻取り装置は、光ファイバ素線を巻き取る。直下ローラは、光ファイバ素線の通過経路において被覆装置と巻取り装置との間に位置し、光ファイバ素線を方向変更する。直下ローラは、非回転式のガイドローラである。
本開示によれば、光ファイバの被覆偏肉等の変動を抑制することができる。
図1は、一実施形態に係る光ファイバの製造装置の概略図である。 図2は、非接触ガイドを示す斜視図である。 図3は、図2に示す非接触ガイドを中心軸Cに沿って分解したときの分解斜視図である。 図4は、図2に示す非接触ガイドをIV-IV線に沿って切断した際の断面図である。 図5は、図2に示す非接触ガイドの内部部材を中心軸Cに沿って分解したときの分解斜視図である。 図6は、図4に示す非接触ガイドのうち破線で囲まれた領域Aの拡大図である。 図7は、図2に示す非接触ガイドをVII-VII線に沿って切断した際の断面図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る光ファイバの製造方法は、光ファイバ母材を溶融して光ファイバ裸線を線引きする工程と、被覆装置により光ファイバ裸線に樹脂を被覆して光ファイバ素線を形成する工程と、直下ローラにより光ファイバ素線を方向変更して光ファイバ素線を巻取り装置で巻き取る工程と、を備える。直下ローラは、非回転式のガイドローラである。
一実施形態に係る光ファイバの製造装置は、溶融装置と、被覆装置と、巻取り装置と、直下ローラと、を備える。溶融装置は、光ファイバ母材から光ファイバ裸線を線引きするために光ファイバ母材を溶融する。被覆装置は、光ファイバ裸線を樹脂により被覆して光ファイバ素線を形成する。巻取り装置は、光ファイバ素線を巻き取る。直下ローラは、光ファイバ素線の通過経路において被覆装置と巻取り装置との間に位置し、光ファイバ素線を方向変更する。直下ローラは、非回転式のガイドローラである。
上記実施形態に係る光ファイバの製造方法及び製造装置では、樹脂が被覆された光ファイバ素線を巻き取る際、当該光ファイバ素線を直下ローラで方向変更している。この直下ローラは非回転式のガイドローラであり、回転せずに、光ファイバ素線を搬送している。この場合、直下ローラが回転しないため、直下ローラからの振動が光ファイバ裸線等に伝搬されない。このため、上記実施形態によれば、光ファイバ裸線への樹脂の被覆を適切に行って、被覆偏肉等の変動を抑制した光ファイバを製造することができる。
一実施形態として、上記の光ファイバの製造方法又は製造装置において、非回転式のガイドローラは、光ファイバ素線の一部を巻き付け可能なガイド部を外周面に沿って有する非接触ガイドであり、非接触ガイドのガイド部には、光ファイバ素線を浮遊させる気体を吹き出す複数の噴出口が設けられていてもよい。この実施形態によれば、光ファイバ素線を気体により浮遊させている、即ち非接触の状態で光ファイバ素線を搬送している。この場合、非接触ガイドにより、樹脂が被覆された光ファイバ素線をローラに接触することなく方向変更することができるため、非接触ガイドからの振動が光ファイバ裸線等に伝搬されない。また、非接触ガイド後段の各種装置(例えば巻取り装置等)からの振動も非接触ガイドの気体浮遊により減衰され、光ファイバ裸線等へ伝搬されづらくなる。以上により、この実施形態によれば、光ファイバ裸線への樹脂の被覆を適切に行って、被覆偏肉等の変動を更に抑制した光ファイバを製造することができる。
一実施形態として、上記の光ファイバの製造方法又は製造装置において、非接触ガイドのガイド部には、噴出口に連通し外周面に沿って延びる隙間が設けられていてもよく、隙間の幅が調整可能であってもよい。この場合、光ファイバ素線の方向変更を担う非接触ガイドでの光ファイバ素線の浮遊の安定性を、隙間の幅の調整により容易に制御することができる。このため、この実施形態によれば、長期に亘って被覆偏肉を抑制した光ファイバを製造することができる。
一実施形態として、上記の光ファイバの製造方法又は製造装置は、線引き張力を測定する工程又は測定装置を更に備えてもよい。この場合において、巻き取る工程又は制御装置では、測定された線引き張力に基づいて非接触ガイドの隙間の幅を調整して、非接触ガイドを介して光ファイバ素線を巻き取ってもよい。この場合、線引き張力に応じた吹出圧で気体を吹き付けることで、適切な浮遊量としながら、光ファイバ素線を非接触ガイドによってガイドすることができる。そのため、この実施形態によれば、被覆偏肉等の変動を更に抑制した光ファイバを製造することができる。
一実施形態として、上記の光ファイバの製造方法又は製造装置は、光ファイバ素線のファイバ径を測定する工程又は測定装置を更に備えてもよい。この場合において、巻き取る工程又は制御装置では、測定されたファイバ径に基づいて非接触ガイドの隙間の幅を調整して、非接触ガイドを介して光ファイバ素線を巻き取ってもよい。この場合、光ファイバ素線のファイバ径に応じた隙間の幅とすることで、適切な浮遊量としながら、光ファイバ素線を非接触ガイドによってガイドすることができる。そのため、この実施形態によれば、被覆偏肉等の変動を更に抑制した光ファイバを製造することができる。
一実施形態として、上記の光ファイバの製造方法又は製造装置において、非接触ガイドは、複数の噴出口を外周面に有する内部部材と、複数の噴出口から噴出される気体の噴出方向と交差する第1方向において内部部材を挟み込むように収容する第1フランジ及び第2フランジと、を備えてもよい。第1フランジ及び第2フランジの少なくとも一方は、複数の噴出口から噴出された気体を通過させる隙間が第1フランジの外縁部と第2フランジの外縁部との間に設けられるように、内部部材に取り付けられていてもよい。第1フランジ及び第2フランジの少なくとも一方は、隙間の幅を変化させる方向に移動可能となっていてもよい。この場合、非接触ガイドによる光ファイバ素線の浮遊の安定性を簡易な構成により容易に調整することができる。そのため、この実施形態によれば、被覆偏肉を容易に抑制して光ファイバを製造することができる。なお、この実施形態において、第1フランジ及び第2フランジの少なくとも一方を移動し、隙間の幅を調整してもよい。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光ファイバの製造方法及び光ファイバの製造装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1を参照して、一実施形態に係る光ファイバの製造方法及び光ファイバの製造装置について説明する。図1は、一実施形態に係る光ファイバの製造装置1の概略図である。製造装置1は、線引き炉3、冷却装置4、被覆装置5、硬化装置6、直下ローラ7、牽引ローラ8、及び巻取り装置9を、光ファイバ裸線10及び光ファイバ素線11の通過経路に沿って順に備えている。この製造装置1では、光ファイバ母材2を加熱溶融して光ファイバ裸線10の線引きを行い、光ファイバ裸線10を冷却装置4で所定の温度まで冷却する。その後、冷却された光ファイバ裸線10の外周に被覆装置5で樹脂を被覆すると共に硬化装置6でその樹脂を硬化することにより光ファイバ素線11を形成する。そして、光ファイバ素線11を直下ローラ7により方向変更して光ファイバ素線11を巻取り装置9で巻き取る。以下、製造装置1の各構成及び各構成での製造工程についてより詳細に説明する。
線引き炉3は、光ファイバ母材2を加熱溶融して鉛直方向に沿って線引きすることにより光ファイバ裸線10を形成する。線引き炉3は、光ファイバ母材2の周囲に位置するヒータを有する。光ファイバ母材2は、例えば石英ガラスを含むガラス体(プリフォーム)である。光ファイバ裸線10は、例えばコアと、コアの外周を覆うクラッドを含むガラス線である。線引き炉3は、光ファイバ母材2の下端をヒータによって加熱し軟化させた後に線引きを行えるようにする。線引きされた光ファイバ裸線10は、冷却装置4へと送られる。
冷却装置4は、光ファイバ裸線10を冷却する。冷却装置4は、例えば外壁によって囲まれる内部空間Sを有し、内部空間Sの中を光ファイバ裸線10が通過する。冷却装置4の外壁は、冷却装置4の内部を確認できるように透明なガラス又は樹脂によって構成されていてもよい。冷却装置4は、光ファイバ裸線10を冷却するための冷却ガスを内部空間Sに注入するための吸気口(不図示)を有していてもよい。光ファイバ裸線10の熱は、冷却ガスを冷媒として外部に放出される。冷却装置4は、冷却ガスを排出するための排気口(不図示)を有していてもよい。
被覆装置5は、冷却装置4によって所定温度まで冷却された光ファイバ裸線10の外周に被覆樹脂を塗布する。被覆樹脂は、例えば紫外線硬化型樹脂である。被覆装置5は、種類の異なる2つの被覆樹脂を光ファイバ裸線10の外周に塗布してもよい。被覆装置5は、例えばプライマリ樹脂を光ファイバ裸線10に塗布した後、セカンダリ樹脂をプライマリ樹脂の外側に塗布してもよい。被覆装置5は、プライマリ樹脂とセカンダリ樹脂とを略同時に光ファイバ裸線10に塗布してもよい。被覆樹脂が塗布された光ファイバ裸線10は、硬化装置6に送られる。なお、被覆装置5の直後に樹脂が被覆された光ファイバ素線11のファイバ径を測定する測定装置を設けてもよい。
硬化装置6は、紫外線を照射することにより、光ファイバ裸線10に塗布された被覆樹脂を硬化させる。硬化装置6は、紫外線を出射する紫外線ランプ等の発光素子を有している。光ファイバ裸線10に塗布された被覆樹脂が硬化することにより、光ファイバ素線11が完成する。完成した光ファイバ素線11は、直下ローラ7へと送られる。なお、硬化装置6の直後に被覆樹脂が硬化された光ファイバ素線11のファイバ径を測定する測定装置を設けてもよい。
直下ローラ7は、光ファイバ母材2と被覆装置5とを結ぶ線引き方向(鉛直方向)上であって、被覆装置5及び硬化装置6の直下に配置された非回転式のローラであり、光ファイバ素線11の移動方向を鉛直方向から所定の方向へと変更する。直下ローラ7によって移動方向が変更された光ファイバ素線11は、牽引ローラ8へと送られる。牽引ローラ8は、光ファイバ素線11を牽引し移動させる。牽引ローラ8の回転速度を変更することにより、光ファイバ素線11の移動速度を調整可能となっている。光ファイバ素線11は、牽引ローラ8から巻取り装置9へと送られ、巻取り装置9によって巻き取られる。なお、牽引ローラ8の手前に張力計を設置し、光ファイバ裸線10又は光ファイバ素線11に対する線引き張力を測定するようにしてもよい。
直下ローラ7は、非回転式のガイドローラである非接触ガイド20(図2を参照)によって構成される円盤形状の部材であり、外周面に沿って設けられた隙間80に光ファイバ素線11が通される。隙間80は、溝形状を有し、光ファイバ素線11を非回転で且つ非接触状態で巻き付け可能なガイド部として機能する。隙間80の幅は、ガイドする光ファイバ素線のファイバ径又は線引き張力等に基づいて調整可能であってもよい。隙間80の内側には、光ファイバ素線11を浮遊させる気体を吹き出す複数の噴出口47(図4を参照)が設けられている。直下ローラ7は、噴出口47から外方に気体を吹き出すことにより、光ファイバ素線11を、非回転で且つ非接触状態でガイドして、その方向を変更する。
次に、図2から図6を参照して、直下ローラ7に適用される非接触ローラの一例である非接触ガイド20の構造について説明する。図2は、非接触ガイド20を示す斜視図である。図3は、非接触ガイド20を中心軸Cに沿って分解したときの分解斜視図である。図4は、非接触ガイド20を図2に示すIV-IV線に沿って切断した際の断面図である。図5は、内部部材40を中心軸Cに沿って分解したときの分解斜視図である。図6は、図4に示す破線で囲まれた領域Aの拡大図である。なお、直下ローラ7に適用される非接触ローラは、ガイドする光ファイバ素線11を非接触状態で方向変更できるものであれば、非接触ガイド20と異なる他の構成であってもよい。
非接触ガイド20は、光ファイバ素線11の移動方向を変更する部材である。非接触ガイド20は、平面視において円形状を有している。非接触ガイド20は、図2に示すように、第1フランジ30と第2フランジ70との間に隙間80を有している。隙間80は、非接触ガイド20の外周に沿って環状に設けられている。隙間80には、光ファイバ素線11が通される。隙間80からは、外方に向けて、非接触ガイド20の内部に導入された気体が吹き出されている。吹き出された気体は、隙間80に通された光ファイバ素線11に吹き付けられる。光ファイバ素線11は、気体が吹き付けられることにより浮遊し、第1フランジ30及び第2フランジ70と接触しないようになっている。これにより、非接触ガイド20が非回転式であっても、光ファイバ素線11を傷付けることなく、方向変換することができる。
非接触ガイド20は、図3に示すように、第1フランジ30、内部部材40、及び、第2フランジ70を備える。第1フランジ30は、非接触ガイド20の側部に設けられ内部部材40の一部を収容する部材である。第1フランジ30は、平面視において円形状を有する円盤部31と、円盤部31の外周に沿って形成された周壁部32を有する。円盤部31には、図3に示すように、1つの孔部31a及び複数のねじ穴31bが設けられている。孔部31aは、円盤部31の中心に設けられた貫通孔である。孔部31aは、図4に示すように、内部部材40が有する軸部42を挿通可能となっている。複数のねじ穴31bは、孔部31aを囲むように点在して設けられた小径の貫通孔である。複数のねじ穴31bは、複数のねじ90をそれぞれ挿通可能となっている。第1フランジ30は、ねじ90によって内部部材40に固定される。
周壁部32は、第1フランジ30の外側に面する外周面32aと、第1フランジ30の内側(後述する第1収容部33側)に面する内周面32bとを有する。外周面32aの第2フランジ70側の端部は、図4に示すように、中心軸Cに向かって内側に湾曲し、内周面32bの端部と接続している。すなわち、外周面32aの端部は、断面視において曲線形状を有する。外周面32aと、後述する第2フランジ70の外周面72aとの間には、光ファイバ素線11が通る隙間80が設けられている。隙間80を画定する第1フランジ30の外縁部の表面(本実施形態においては、外周面32a)が有するビッカース硬度は、例えば800HV以上であればよく、1500HV以上であればより好ましい。ビッカース硬度は、JISZ2244:2009に基づいて測定される。具体的には、正四角錐のダイヤモンド圧子を、試料の表面(本実施形態においては外周面32a)に押し込み、表面に残ったくぼみの対角線長さからビッカース硬度を求める。
第1フランジ30は、内部部材40の一部が収容される第1収容部33を有する。第1収容部33は、円盤部31の表面と周壁部32の内周面32bとによって画定される略円柱状の空間である。第1収容部33に内部部材40が収容された状態では、図4に示すように、周壁部32の内周面32bが内部部材40の第1円柱面50と対向する。
内部部材40は、導入された気体を、第1フランジ30と第2フランジ70との間に隙間80から外部へと吹き出す部材である。内部部材40は、円盤形状を呈している。内部部材40は、図5に示すように、本体部41とプレート60とを備える。本体部41は、図4に示すように、中心軸Cに沿って延在する軸部42と、軸部42の一端に設けられた円柱部43を有する。軸部42の内部には、中心軸Cに沿って延びる第1気体流路44が形成されている。第1気体流路44は、軸部42の端面42aに開口42bを有する。開口42bは、外部の気体供給源(エアポンプ等)と繋がる。気体供給源から供給される気体は、開口42bを介して第1気体流路44に流れ込む。開口42bとは逆側に位置する第1気体流路44の端部は、円柱部43が有する流路分岐部45と繋がっている。第1気体流路44に流れ込んだ気体は、流路分岐部45へと供給される。第1気体流路44は、開口42b側から流路分岐部45側に向かうにつれてその内径が段階的に小さくなるように形成されている。
円柱部43は、略円柱状の部材であり、第1収容部33及び後述する第2収容部73に挟まれるように収容される。円柱部43は、流路分岐部45、複数の第2気体流路46及び複数の噴出口47を有する。流路分岐部45は、略円柱状を有する内部空間であり、第1気体流路44から供給された気体の流れる方向を複数方向に分岐させる。流路分岐部45を画定する内周面45aには、その周方向に沿って複数の開口が等間隔に設けられている。当該複数の開口は、複数の第2気体流路46とそれぞれ繋がっている。
複数の第2気体流路46は、流路分岐部45から円柱部43の外周面に向かって放射状に設けられている(図7を参照)。第2気体流路46の一端は上述したように内周面45aに設けられた開口と繋がっており、他端は円柱部43の外周面に設けられた噴出口47と繋がっている。噴出口47は、外周面に沿って等間隔に複数設けられている。第1気体流路44から供給された気体は、流路分岐部45において滞留した後に分岐され、第2気体流路46へと流れ込む。第2気体流路46へと流れ込んだ気体は、噴出口47から噴出される。噴出口47から噴出された気体は、後述するバッファ溝51を介して隙間80から光ファイバ素線11に吹き付けられる。本実施形態では、第2気体流路46の断面は円形状である。第2気体流路46のうち噴出口47側に位置する部分は、内周面45a側に位置する部分よりも内径が大きくなるように形成されている。第2気体流路46の形状は、上述した形状に限定されない。第2気体流路46の断面は、楕円形状又は多角形状であってもよい。第2気体流路46は、断面積が一定であるストレートな流路であってもよい。
円柱部43の外周面は、図4に示すように、第1円柱面50、バッファ溝51及び第2円柱面52を中心軸Cに沿ってこの順に有している。第1円柱面50は、バッファ溝51よりも軸部42側に寄って位置する。第1収容部33に内部部材40が収容された状態では、第1円柱面50は、周壁部32の内周面32bと対向する。第1円柱面50は、図6に示すように、第1溝部54を有している。第1溝部54は、内部部材40の内側(図4に示す中心軸C側)に向かって窪む凹部であり、第1円柱面50に沿って環状に連続して設けられている。第1溝部54は、有底の矩形溝であり、底面54a及び対向する一対の側面54bにより画定される。
第1溝部54には、第1シール部材65が嵌め込まれている。第1シール部材65は、例えば弾力性を有する樹脂から構成されたOリングであってもよい。第1シール部材65は、第1円柱面50と、周壁部32の内周面32bとの隙間を封止し、噴出口47から噴出された気体が当該隙間に流れ込むことを防止する。中心軸Cに沿う方向における第1溝部54の幅(一対の側面54b間の距離)は、第1シール部材65の断面の幅よりも若干大きく形成されている。これにより、第1フランジ30を内部部材40に対してスムーズに移動させることができる。
バッファ溝51は、中心軸Cに向かって窪む凹部であり、内部部材40の外周面に沿って環状に連続して設けられている。バッファ溝51は、有底の矩形溝であり、底面に複数の噴出口47が設けられている。バッファ溝51は、複数の噴出口47から噴出された気体を一旦留めた後、第1フランジ30と第2フランジ70との隙間80から気体を外部へと吹き出す。
第2円柱面52は、バッファ溝51よりも軸部42から離れて位置する。後述する第2収容部73に内部部材40が収容された状態では、第2円柱面52は、周壁部72の内周面72bと対向する。第2円柱面52は、図6に示すように、第2溝部56を有している。第2溝部56は、内部部材40の内側(図4に示す中心軸C側)に窪む凹部であり、第2円柱面52に沿って環状に連続して設けられている。第2溝部56は、有底の矩形溝であり、底面56a及び対向する一対の側面56bにより画定される。
第2溝部56には、第2シール部材66が嵌め込まれている。第2シール部材66は、例えば弾力性を有する樹脂から構成されたOリングであってもよい。第2シール部材66は、第2円柱面52と、周壁部72の内周面72bとの隙間を封止し、噴出口47から噴出された気体が当該隙間に流れ込むことを防止する。中心軸Cに沿う方向における第2溝部56の幅(一対の側面56b間の距離)は、第2シール部材66の断面の幅よりも若干大きく形成されている。これにより、第2フランジ70を内部部材40に対してスムーズに移動させることができる。
内部部材40は、図5に示すように、プレート収容部57を有する。プレート収容部57は、プレート60を収容可能な略円柱状の空間である。プレート収容部57の内径は、流路分岐部45の内径よりも大きい。プレート収容部57を画定する内周面57aと、流路分岐部45を画定する内周面45aとは、内側面58によって接続されている。内側面58は、中心軸Cに垂直な面に沿って広がりを有し、中心軸Cを囲むように環状に設けられている。内側面58には、プレート60を本体部41に固定するための複数のねじ91がそれぞれ取り付けられる複数のねじ穴58aが設けられている。
プレート60は、図5に示すように、平面視において円形状を有する板部材である。プレート60は、本体部41のプレート収容部57に収容される。プレート60は、第1側面61、第2側面62及び外周面63を有する。第1側面61及び第2側面62は、中心軸Cに沿う方向においてプレート60の側面を形成する面である。外周面63は、第1側面61の外縁と第2側面62の外縁とを接続する面である。プレート60がプレート収容部57に収容された状態において、第1側面61のうち外周面63寄りの領域は、プレート収容部57の内側面58と接触する。また、第1側面61の中央領域は、内側面58とは接触せず、流路分岐部45を画定する壁面として機能する。
第1側面61には、図4に示すように、第3溝部61aが設けられている。第3溝部61aは、中心軸Cを囲むように環状に連続して設けられている。第3溝部61aは、有底の矩形溝であり、第3シール部材67が嵌め込まれている。第3シール部材67は、例えば弾力性を有する樹脂から構成されたOリングであってもよい。第3シール部材67は、内側面58と、第1側面61との隙間を封止し、当該隙間から流路分岐部45に供給された気体が外部に漏れ出ることを防止する。
プレート60は、図5に示すように、第1側面61から第2側面62に向かって貫通する複数の貫通孔64が設けられている。複数の貫通孔64は、中心軸Cを囲む環状に並んで設けられている。複数の貫通孔64には、複数のねじ91がそれぞれ挿入される。貫通孔64に挿入されたねじ91の先端部は、本体部41のねじ穴58aに取り付けられる。これにより、プレート60がプレート収容部57に収容された状態で本体部41に対して固定される。
第2フランジ70は、非接触ガイド20の側部に設けられ内部部材40の一部を収容する部材である。第2フランジ70は、第1フランジ30と同様の構成を有している。第2フランジ70は、図3に示すように、中心軸Cに沿う方向において第1フランジ30とは逆側に位置し、第1フランジ30とは反転した向きで内部部材40に取り付けられる。すなわち、本実施形態においては、1つのフランジを第1フランジ30及び第2フランジ70の両方に用いることができるので、第1フランジ30及び第2フランジ70それぞれに異なる形状のフランジを用意しなくともよい。
第2フランジ70は、平面視において円形状を有する円盤部71と、円盤部71の外周に沿って形成された周壁部72を有する。円盤部71には、図3に示すように、1つの孔部71a及び複数のねじ穴71bが設けられている。孔部71aは、円盤部71の中心に設けられた貫通孔である。複数のねじ穴71bは、孔部31aを囲むように点在して設けられた小径の貫通孔である。第2フランジ70を第1フランジ30の位置に付け替えた場合、孔部71aには、内部部材40が有する軸部42を挿通可能であり、複数のねじ穴71bには、複数のねじ90をそれぞれ挿通可能となっている。
周壁部72は、第2フランジ70の外側に面する外周面72aと、第2フランジ70の内側(後述する第2収容部73側)に面する内周面72bとを有する。外周面72aの第1フランジ30側の端部は、図4に示すように、中心軸Cに向かって内側に湾曲し、内周面72bの端部と接続している。すなわち、外周面72aの端部は、断面視において曲線形状を有する。第2フランジ70の外周面72aと、第1フランジ30の外周面32aとの間には、上述したように光ファイバ裸線10が通る隙間80が設けられている。隙間80を画定する第2フランジ70の外縁部の表面(本実施形態においては、外周面72a)が有するビッカース硬度は、例えば800HV以上であればよく、1500HV以上であることがより好ましい。ビッカース硬度の測定方法は、上述した第1フランジ30の表面が有するビッカース硬度の測定方法と同様である。
第2フランジ70は、内部部材40の一部が収容される第2収容部73を有する。第2収容部73は、円盤部71の表面と周壁部72の内周面72bとによって画定される略円柱状の空間である。第2収容部73に内部部材40が収容された状態では、図4に示すように、周壁部72の内周面72bが内部部材40の第2円柱面52と対向する。第2フランジ70は内部部材40に固定されておらず、内部部材40に対して移動可能となっている。第2フランジ70は内部部材40に対して着脱可能となっていてもよい。第2フランジ70が着脱可能であることにより、隙間80のメンテナンス(隙間80に詰まった光ファイバ裸線10の除去又は外周面32a、72aに生じた傷の確認等)を容易に行うことができる。
図6及び図7を参照して、隙間80に光ファイバ素線11を通した際の非接触ガイド20の構成について説明する。図7は、非接触ガイド20を図2に示すVII-VII線に沿って切断した際の断面図である。第1フランジ30及び第2フランジ70は、図6に示すように、第1フランジ30の外縁部と第2フランジ70の外縁部との間に隙間80が設けられるように内部部材40に取り付けられる。本実施形態においては、第1フランジ30の外周面32aと第2フランジ70の外周面72aとの間に隙間80が設けられる。
隙間80は、図7に示すように、非接触ガイド20の周方向に沿って中心軸Cを囲むように設けられている。隙間80には、光ファイバ素線11が通される。具体的には、光ファイバ素線11は、入線部81から隙間80に入り、隙間80に沿って移動した後、出線部82から外部へ出る。図7に示す例では、光ファイバ素線11は、隙間80の周方向におけるおよそ3分の1の領域を移動する。すなわち、非接触ガイド20によって光ファイバ素線11の移動方向が約120°変更される。上述した入線部81及び出線部82の位置は、光ファイバ素線11の移動方向の変更量によって定まる。本実施形態においては、上述のように光ファイバ素線11の移動方向を約120°変更する。そのため、出線部82は、隙間80の周方向のおよそ3分の1の長さだけ入線部81からずれた位置に設定される。例えば、光ファイバ素線11の移動方向を約90°変更する場合、出線部82は、隙間80の周方向のおよそ4分の1の長さだけ入線部81からずれた位置(図7における隙間80の下側部分)に設定されてもよい。
隙間80は、図6に示すように、バッファ溝51及び噴出口47と空間的に接続されている。これにより、噴出口47から噴出された気体は、バッファ溝51を通って隙間80から非接触ガイド20の外部へと吹き出す。隙間80から吹き出された気体は、隙間80に通された光ファイバ素線11に吹き付けられる。気体の風圧により、第1フランジ30の外周面32a及び第2フランジ70の外周面72aから光ファイバ素線11が浮いた状態が維持される。すなわち、光ファイバ素線11は、隙間80において浮遊した状態となる。
第2フランジ70は、内部部材40に固定されておらず、隙間80の幅Wを変化させる方向に移動可能となっている。隙間80の幅Wとは、互いに対向する第1フランジ30の外周面32aと第2フランジ70の外周面72aとの最近接部の間の距離をいう。第2フランジ70の移動方法は限定されない。一例として、第2フランジ70を中心軸Cに沿う方向に移動することにより、隙間80の幅Wを変化させてもよい。他の例として、第2フランジ70を、図4に示す仮想点Pを中心とし矢印Tの方向に回転移動させることにより、隙間80の幅Wを変化させてもよい。この場合、隙間80のうち仮想点Pに近い部分(図4における下側部分)の幅Wは小さくなり、仮想点Pから遠い部分(図4における上側部分)の幅Wは大きくなるように変化する。
隙間80から吹き出される気体の圧力(吹出圧)は、第1気体流路44(図4を参照)に供給される気体の圧力(入口圧)、隙間80の幅W等の要素に応じて変化し、非接触ガイド20の巻き付き径D1等の要素にも影響を受ける。ここで巻き付き径D1とは、隙間80の全周に亘って光ファイバ素線11を通した際に、光ファイバ素線11によって形成される円(図7において実線及び破線で示す円B)の直径をいう。吹出圧は、光ファイバ素線11の張力(線引き張力)又は光ファイバ素線11のファイバ径等に応じて上記各要素(溝の幅)を調整することにより最適化される。
一般に、光ファイバ素線11の線速(移動速度)を上昇させている過程では光ファイバ素線11にかかる張力が小さく、吹き付けられる気体の圧力が大きいと光ファイバ素線11が共振し、非接触ガイド20に接触してしまう。そのため、光ファイバ素線11の線速を上昇させている過程では吹出圧を小さくする。一方、線速が安定した状態では光ファイバ素線11の張力が高く維持されるので吹出圧を大きくする。吹出圧を大きくする方法としては、例えば、入口圧を大きくする、隙間80の幅Wを小さくするという方法を採用することができる。
例えば直径250μmの光ファイバ素線11を浮遊させる場合、入口圧を50kPa以上200kPa以下の範囲の最適な圧力条件となるように、隙間80の幅Wを調整する。このとき、1つの非接触ガイド20の隙間80から吹き出される気体の流量は、30L/分以上150L/分以下であってもよい。
吹出圧を適切な大きさに調整する際には、まず一定流量の気体を流した状態において、入口圧が所定の値(例えば200kPa)になるまで隙間80の幅Wを小さくする。このとき、例えば第2フランジ70を第1フランジ30に向かって近づけることにより隙間80の幅Wを小さくしてもよい。その後、吹出圧が最適な大きさ(光ファイバ素線11が適切に浮遊する大きさ)になるまで隙間80の幅Wを徐々に大きくする。このとき、例えば第2フランジ70を第1フランジ30から離隔させることにより隙間80の幅Wを大きくしてもよい。この調整作業は、光ファイバ素線11の製造工程において任意のタイミングで行われてもよい。
非接触ガイド20は、図7に示すように、封止部材68を有する。説明の便宜上、図7以外の図においては封止部材68の図示を省略している。封止部材68は、複数の噴出口47のうち少なくとも一つを封止し、噴出口47における気体の通過を妨げる。封止部材68は、例えば樹脂等の弾性を有する材料から構成されてもよい。封止部材68は、細長い形状を有しており、噴出口47を塞ぐようにバッファ溝51の一部の領域に嵌め込まれる。本実施形態においては、バッファ溝51のおよそ3分の2の領域に封止部材68が嵌め込まれている。封止部材68によって噴出口47が封止された一部の第2気体流路46には気体が流れ込まず、噴出口47が封止されていない他の第2気体流路46に気体が流れ込む。
中心軸Cから非接触ガイド20の外周に向かう方向(非接触ガイド20の径方向)において、封止部材68の大部分は、隙間80に通される光ファイバ裸線10と重ならないように設けられる。図7に示す例では、封止部材68のうち両端部を除いた部分は、隙間80に通された光ファイバ素線11と周方向における位置が重ならないように設けられている。また、封止部材68の両端部と、光ファイバ素線11との間にはバッファ溝51内部の気体が流れ出る一対の気体逃げ部84が設けられている。気体逃げ部84からバッファ溝51に溜まった気体がスムーズに流れ出ることにより、隙間80から過度に高圧の気体が吹き出さず、光ファイバ素線11を安定した状態で浮遊させることが可能となる。封止部材68の形状は上述したものに限られない。本実施形態においては、複数の噴出口47が、連続した1本の封止部材68によって封止されているが、例えば各々分離した複数の封止部材68によって複数の噴出口47がそれぞれ封止されていてもよい。
ここで、上述した非接触ガイド20を直下ローラ7に適用した作用効果について説明する。従来、直下ローラ7にはベアリングで回転するローラを用いているが、このローラでは、回転軸とローラの垂直度とのずれ(例えば30μmから50μm程度のずれ)に起因する微小な振動(あおり振動、振幅0.1mm程度)が生じることがある。この微小な振動は、直下ローラにガイドされる光ファイバ素線11(例えば直径170μmから250μm)及びそれに連なる光ファイバ裸線10に伝搬し、光ファイバ裸線10等を振動させる。光ファイバ裸線10等が振動すると、被覆装置5にて樹脂を被覆中の光ファイバ裸線10が所定経路から水平方向に僅かにずれ、光ファイバ素線11となった際に被覆樹脂に偏肉を生じさせてしまう。
これに対し、本実施形態では、直下ローラ7に非接触ガイド20を適用することにより、樹脂が被覆された光ファイバ素線11を巻き取る際、光ファイバ素線11を非回転式で、非接触ローラである直下ローラ7で方向変更している。この非接触ローラでは、光ファイバ素線11を気体により浮遊させている、即ち非回転で、非接触の状態で光ファイバ素線11を搬送して巻取りを行っている。このため、直下ローラが回転せず、樹脂が被覆された光ファイバ素線11をローラに接触することなく方向変更することができるため、非接触ローラからの振動が光ファイバ裸線10等に伝搬されない。非接触ローラであれば、非接触ローラ後段の各種装置(例えば巻取り装置9等)からの振動も、非接触ローラでの浮遊により減衰され、光ファイバ裸線10等へ伝搬されづらくなる。以上により、本実施形態によれば、光ファイバ裸線10への樹脂の被覆を適切に行って、被覆偏肉等の変動を抑制した光ファイバを製造することができる。
本実施形態では、直下ローラ7のガイド部には、噴出口47に連通し外周面に沿って延びる隙間80を設けられており、隙間80の幅が調整可能である。この場合、光ファイバ素線11の方向変更を担う直下ローラ7での光ファイバ素線11の浮遊の安定性を、隙間80の幅の調整により容易に制御することができる。これにより、長期に亘って被覆偏肉等の変動を抑制した光ファイバを製造することができる。
本実施形態では、光ファイバ裸線10に対する線引き張力を測定装置により測定することもできる。この場合、光ファイバ素線11を巻き取る工程では、測定された線引き張力に基づいて非接触ガイド20の隙間80の幅を制御装置により調整し、直下ローラ7を介して光ファイバ素線11を巻き取る。この制御では、線引き張力に応じた吹出圧で気体を吹き付けることで、適切な浮遊量としながら、光ファイバ素線11を非接触ローラである直下ローラ7によってガイドすることができる。そのため、この実施形態によれば、被覆偏肉等の変動を更に抑制した光ファイバを製造することができる。
本実施形態では、光ファイバ素線11のファイバ径を測定装置により測定することもできる。この場合、光ファイバ素線11を巻き取る工程では、測定されたファイバ径に基づいて非接触ガイド20の隙間80の幅を制御装置により調整し、直下ローラ7を介して光ファイバ素線11を巻き取る。この制御では、光ファイバ素線11のファイバ径に応じた隙間の幅とすることで、適切な浮遊量としながら、光ファイバ素線11を非接触ローラである直下ローラ7によってガイドすることができる。そのため、この実施形態によれば、被覆偏肉等の変動を更に抑制した光ファイバを製造することができる。なお、上述した線引き張力と光ファイバ素線11のファイバ径との両者を測定し、これらに基づいて、直下ローラ7の隙間80の幅を調整してもよい。
本実施形態では、直下ローラ7を構成する非接触ガイド20は、一例として、複数の噴出口47を外周面に有する内部部材40と、複数の噴出口47から噴出される気体の噴出方向と交差する水平方向において内部部材40を挟み込むように収容する第1フランジ30及び第2フランジ70と、を備えている。第2フランジ70は、複数の噴出口47から噴出された気体を通過させる隙間80が第1フランジ30の外縁部と第2フランジ70の外縁部との間に設けられるように、内部部材40に取り付けられている。第1フランジ30及び第2フランジ70の少なくとも一方(例えば第2フランジ70)は、隙間80の幅を変化させる方向に移動可能となっている。この場合、非接触ガイド20による光ファイバ素線11の浮遊の安定性を簡易な構成により容易に調整することができる。これにより、被覆偏肉等の変動を容易に抑制して光ファイバを製造することができる。なお、本実施形態では、直下ローラ7が回転せず、樹脂が被覆された光ファイバ素線11をローラに接触することなく方向変更することができるため、直下ローラ7の溝で光ファイバが転がることも無い。このため、光ファイバとしてマルチコア光ファイバを用いた場合でも、長手方向にねじれが生じることが無い。
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な実施形態に適用することができる。例えば、直下ローラ7に適用する非接触ローラは、図2等に示した構成を有するローラに限られず、光ファイバ素線11の一部を巻き付け可能なガイド部を外周面に沿って有する非接触ガイドであり、このガイド部に光ファイバ素線11を浮遊させる気体を吹き出す複数の噴出口が設けられているものであればよい。また、直下ローラ7以外のローラ、例えば、被覆装置5と巻取り装置9との間に更に別途のローラを設ける場合には、当該ローラを上記同様に非回転式の非接触ローラとしてもよい。
1…製造装置
2…光ファイバ母材
3…線引き炉
4…冷却装置
5…被覆装置
6…硬化装置
7…直下ローラ
8…牽引ローラ
9…巻取り装置
10…光ファイバ裸線
11…光ファイバ素線
20…非接触ガイド
30…第1フランジ
31、71…円盤部
31a、71a…孔部
31b、71b…ねじ穴
32、72…周壁部
32a、72a…外周面
32b、72b…内周面
33…第1収容部
40…内部部材
41…本体部
42…軸部
42a…端面
42b…開口
43…円柱部
44…第1気体流路
45…流路分岐部
45a…内周面
46…第2気体流路
47…噴出口
50…第1円柱面
51…バッファ溝
52…第2円柱面
54…第1溝部
54a、56a…底面
54b、56b…側面
56…第2溝部
57…プレート収容部
57a…内周面
58…内側面
58a…ねじ穴
60…プレート
61…第1側面
61a…第3溝部
62…第2側面
63…外周面
64…貫通孔
65…第1シール部材
66…第2シール部材
67…第3シール部材
68…封止部材
70…第2フランジ
73…第2収容部
80…隙間
81…入線部
82…出線部
84…気体逃げ部
90、91…ねじ
A…領域
B…円
C…中心軸
D1…巻き付き径
P…仮想点
S…内部空間
T…矢印
W…幅

Claims (9)

  1. 光ファイバ母材を溶融して光ファイバ裸線を線引きする工程と、
    被覆装置により前記光ファイバ裸線に樹脂を被覆して光ファイバ素線を形成する工程と、
    直下ローラにより前記光ファイバ素線を方向変更して前記光ファイバ素線を巻取り装置で巻き取る工程と、
    を備え、
    前記直下ローラは、非回転式のガイドローラである、光ファイバの製造方法。
  2. 前記非回転式のガイドローラは、前記光ファイバ素線の一部を巻き付け可能なガイド部を外周面に沿って有する非接触ガイドであり、前記非接触ガイドの前記ガイド部には、前記光ファイバ素線を浮遊させる気体を吹き出す複数の噴出口が設けられている、
    請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
  3. 前記非接触ガイドの前記ガイド部には、前記噴出口に連通し前記外周面に沿って延びる隙間が設けられており、前記隙間の幅が調整可能である、
    請求項2に記載の光ファイバの製造方法。
  4. 線引き張力を測定する工程を更に備え、
    前記巻き取る工程では、前記測定された線引き張力に基づいて前記非接触ガイドの前記隙間の幅を調整して、前記非接触ガイドを介して前記光ファイバ素線を巻き取る、
    請求項3に記載の光ファイバの製造方法。
  5. 前記光ファイバ素線のファイバ径を測定する工程を更に備え、
    前記巻き取る工程では、前記測定されたファイバ径に基づいて前記非接触ガイドの前記隙間の幅を調整して、前記非接触ガイドを介して前記光ファイバ素線を巻き取る、
    請求項3または請求項4に記載の光ファイバの製造方法。
  6. 前記非接触ガイドは、
    前記複数の噴出口を外周面に有する内部部材と、
    前記複数の噴出口から噴出される気体の噴出方向と交差する第1方向において前記内部部材を挟み込むように収容する第1フランジ及び第2フランジと、を備え、
    前記第1フランジ及び前記第2フランジの少なくとも一方は、前記複数の噴出口から噴出された前記気体を通過させる前記隙間が前記第1フランジの外縁部と前記第2フランジの外縁部との間に設けられるように、前記内部部材に取り付けられており、
    前記第1フランジ及び前記第2フランジの少なくとも一方は、前記隙間の幅を変化させる方向に移動可能となっている、
    請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の光ファイバの製造方法。
  7. 前記第1フランジ及び前記第2フランジの少なくとも一方を移動し、前記隙間の幅を調整する、
    請求項6に記載の光ファイバの製造方法。
  8. 光ファイバ母材から光ファイバ裸線を線引きするために前記光ファイバ母材を溶融する溶融装置と、
    前記光ファイバ裸線を樹脂により被覆して光ファイバ素線を形成する被覆装置と、
    前記光ファイバ素線を巻き取る巻取り装置と、
    前記光ファイバ素線の通過経路において前記被覆装置と前記巻取り装置との間に位置し、前記光ファイバ素線を方向変更する直下ローラと、
    を備え、
    前記直下ローラは、非回転式のガイドローラである、光ファイバの製造装置。
  9. 前記非回転式のガイドローラは、前記光ファイバ素線の一部を巻き付け可能なガイド部を外周面に沿って有する非接触ガイドであり、前記非接触ガイドの前記ガイド部には、前記光ファイバ素線を浮遊させる気体を吹き出す複数の噴出口が設けられている、
    請求項8に記載の光ファイバの製造装置。

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