JP2024077142A - 樹脂塗布装置、光ファイバ製造装置、および光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラスファイバの偏心を抑制する。【解決手段】樹脂塗布装置は、ガラスファイバが軸方向に挿通される挿通孔を有し、当該挿通孔内でガラスファイバの外周に樹脂を塗布する樹脂塗布部と、挿通孔の中心軸に対して直交するθX軸を回転中心軸として樹脂塗布部を回転させるθX回転機構と、挿通孔の中心軸およびθX軸に対して直交するθY軸を回転中心軸として樹脂塗布部を回転させるθY回転機構と、を備え、θX回転機構およびθY回転機構は、θX軸およびθY軸の交点である回転中心点が挿通孔内に位置するよう構成されている。【選択図】図2
Description
本開示は、樹脂塗布装置、光ファイバ製造装置、および光ファイバの製造方法に関する。
光ファイバの製造工程では、ガラスファイバの外周を樹脂によって覆う樹脂塗布装置が用いられる。樹脂塗布装置では、ダイの傾斜角などを調整することが求められる(例えば、特許文献1)。
本開示の目的は、ガラスファイバの偏心を抑制することである。
本開示の一態様によれば、
ガラスファイバが軸方向に挿通される挿通孔を有し、当該挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に樹脂を塗布する樹脂塗布部と、
前記挿通孔の中心軸に対して直交するθX軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθX回転機構と、
前記挿通孔の中心軸および前記θX軸に対して直交するθY軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθY回転機構と、
を備え、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記θX軸および前記θY軸の交点である回転中心点が前記挿通孔内に位置するよう構成されている
樹脂塗布装置が提供される。
ガラスファイバが軸方向に挿通される挿通孔を有し、当該挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に樹脂を塗布する樹脂塗布部と、
前記挿通孔の中心軸に対して直交するθX軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθX回転機構と、
前記挿通孔の中心軸および前記θX軸に対して直交するθY軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθY回転機構と、
を備え、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記θX軸および前記θY軸の交点である回転中心点が前記挿通孔内に位置するよう構成されている
樹脂塗布装置が提供される。
本開示によれば、ガラスファイバの偏心を抑制することである。
[本開示の実施形態の説明]
<発明者等の得た知見>
まず、発明者等の得た知見について説明する。
<発明者等の得た知見>
まず、発明者等の得た知見について説明する。
これまでの光ファイバの製造工程において用いられていた比較例1および2の樹脂塗布装置では、例えば、(i)または(ii)のような課題が生じる可能性があった。
(i)比較例1の樹脂塗布装置
比較例1の樹脂塗布装置は、ダイの傾斜角を調整する機構として、例えば、2軸傾斜ステージを有していた。
比較例1の樹脂塗布装置は、ダイの傾斜角を調整する機構として、例えば、2軸傾斜ステージを有していた。
なお、「2軸傾斜ステージ」とは、2つの軸を回転中心軸として傾斜調整可能な機構を一体に備えており、例えば、支持台と、θX傾斜テーブルと、θY傾斜テーブルと、を鉛直上方向にこの順で有しているものである。
しかしながら、比較例1では、θX回転テーブルの回転中心θX軸と、θY傾斜テーブルの回転中心θY軸とのいずれか一方が、各ステージ中心にあるZ軸と交差していなかった。このため、たとえステージ中心に開口を設け、ガラスファイバが挿通されるダイの挿通孔をステージ中心に配置したとしても、θX軸およびθY軸のいずれか一方がダイの挿通孔から離れてしまっていた。このような構成において、2軸傾斜ステージの第1の軸で調整しても、第2の軸がずれてしまう。このため、ダイの位置が左右上下に変動し、ダイの挿通孔の位置の変動に起因して、挿通孔内の径方向におけるガラスファイバの位置が変動してしまう可能性があった。その結果、光ファイバ中で、ガラスファイバが偏心してしまうおそれがあった。
(ii)比較例2の樹脂塗布装置
比較例2の樹脂塗布装置は、特許文献1の構成を有するものとして説明する。
比較例2の樹脂塗布装置は、特許文献1の構成を有するものとして説明する。
比較例2の樹脂塗布装置は、ダイを支持する断面L字状の枠と、直交する2つの回転中心軸でそれぞれ枠を傾斜可能な傾斜機構と、を有していた。また、比較例2の傾斜機構では、傾斜時の支点となる2つの傾斜軸が交わる交点が、ダイの挿通孔の出口に配置されていた。しかしながら、当該箇所ではガラスファイバが拘束され難いため、傾斜時にガラスファイバの位置が変動してしまう不具合があった。
後述するように、ダイのランド部で徐々に圧力が低下し、ダイの挿通孔の出口にて、樹脂の圧力が開放されるため、当該出口付近では、樹脂の圧力が最も低くなっていた。一方で、ダイの挿通孔内、特にテーパ部では、樹脂の圧力が出口よりも相対的に高く、テーパ部の一部の箇所で樹脂の圧力が最も高くなっていた。そのため、ガラスファイバが、ダイの挿通孔内における樹脂の圧力が最も高い箇所に拘束されていた。
このような状況下で、比較例2のように、ダイの挿通孔の出口を基準として、ダイを傾斜させると、挿通孔内でのガラスファイバの拘束箇所が移動してしまい、ガラスファイバは、その拘束箇所に引っ張られていた。このようにガラスファイバが引っ張られると、挿通孔内の径方向におけるガラスファイバの位置が変動してしまっていた。挿通孔内でガラスファイバの位置が変動すると、挿通孔とガラスファイバとの間のクリアランスに差異(偏り)が生じていた。このため、挿通孔内の周方向における樹脂の流れが不均一となっていた。これらの結果、光ファイバ中でガラスファイバが偏心し易くなっていた。
なお、比較例2としての特許文献1の樹脂塗布装置では、2つの傾斜軸によってダイを同時に傾けたときに、枠の不安定性に起因して、2つの傾斜軸の交点がずれる可能性があった。また、傾斜機構は、ダイを傾斜させることだけしか出来ず、ダイを所定の回転中心軸で回転させる構成としては不充分であった。
本開示は、本開示者等が見出した上記知見に基づくものである。
<本開示の実施態様>
次に、本開示の実施態様を列記して説明する。
次に、本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示の一態様に係る樹脂塗布装置は、
ガラスファイバが軸方向に挿通される挿通孔を有し、当該挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に樹脂を塗布する樹脂塗布部と、
前記挿通孔の中心軸に対して直交するθX軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθX回転機構と、
前記挿通孔の中心軸および前記θX軸に対して直交するθY軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθY回転機構と、
を備え、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記θX軸および前記θY軸の交点である回転中心点が前記挿通孔内に位置するよう構成されている。
この構成によれば、両軸の交点である回転中心点が挿通孔内にあり、この位置で樹脂塗布部の傾斜角(傾き)を調整することができる。これにより、光ファイバ中でのガラスファイバの偏心を安定的に抑制することが可能となる。
ガラスファイバが軸方向に挿通される挿通孔を有し、当該挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に樹脂を塗布する樹脂塗布部と、
前記挿通孔の中心軸に対して直交するθX軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθX回転機構と、
前記挿通孔の中心軸および前記θX軸に対して直交するθY軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθY回転機構と、
を備え、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記θX軸および前記θY軸の交点である回転中心点が前記挿通孔内に位置するよう構成されている。
この構成によれば、両軸の交点である回転中心点が挿通孔内にあり、この位置で樹脂塗布部の傾斜角(傾き)を調整することができる。これにより、光ファイバ中でのガラスファイバの偏心を安定的に抑制することが可能となる。
[2]上記[1]に記載の樹脂塗布装置において、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記挿通孔内において前記挿通孔の出口よりも上流に位置するよう構成されている。
この構成によれば、回転中心点を、挿通孔内で樹脂の圧力が相対的に高くなる箇所か、或いは、ガラスファイバの振動の振幅が小さくなる箇所に近い位置に合わせることができる。
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記挿通孔内において前記挿通孔の出口よりも上流に位置するよう構成されている。
この構成によれば、回転中心点を、挿通孔内で樹脂の圧力が相対的に高くなる箇所か、或いは、ガラスファイバの振動の振幅が小さくなる箇所に近い位置に合わせることができる。
[3]上記[1]又は[2]に記載の樹脂塗布装置において、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記挿通孔内で前記樹脂の圧力が最も高くなる箇所に前記回転中心点が位置するよう構成されている。
この構成によれば、挿通孔内でガラスファイバの拘束力が強い箇所を基準として、樹脂塗布部の傾斜角を調整することができる。
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記挿通孔内で前記樹脂の圧力が最も高くなる箇所に前記回転中心点が位置するよう構成されている。
この構成によれば、挿通孔内でガラスファイバの拘束力が強い箇所を基準として、樹脂塗布部の傾斜角を調整することができる。
[4]上記[1]又は[2]に記載の樹脂塗布装置において、
前記樹脂塗布部は、
前記ガラスファイバを前記挿通孔内にガイドするポイントと、
前記ポイントよりも前記ガラスファイバの挿通方向の下流に設けられ、前記挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に第1樹脂を塗布する第1ダイと、
前記第1ダイよりも前記ガラスファイバの挿通方向の下流に設けられ、前記挿通孔内で前記ガラスファイバに被覆された前記第1樹脂の外周に第2樹脂を塗布する第2ダイと、
を有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記第1ダイにおける前記挿通孔の出口に位置するよう構成されている。
この構成によれば、ガラスファイバが拘束されている箇所を基準として、樹脂塗布部の傾斜角を調整することができる。
前記樹脂塗布部は、
前記ガラスファイバを前記挿通孔内にガイドするポイントと、
前記ポイントよりも前記ガラスファイバの挿通方向の下流に設けられ、前記挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に第1樹脂を塗布する第1ダイと、
前記第1ダイよりも前記ガラスファイバの挿通方向の下流に設けられ、前記挿通孔内で前記ガラスファイバに被覆された前記第1樹脂の外周に第2樹脂を塗布する第2ダイと、
を有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記第1ダイにおける前記挿通孔の出口に位置するよう構成されている。
この構成によれば、ガラスファイバが拘束されている箇所を基準として、樹脂塗布部の傾斜角を調整することができる。
[5]上記[1]又は[2]に記載の樹脂塗布装置において、
前記樹脂塗布部は、前記ガラスファイバを前記挿通孔内にガイドするポイントを有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記ポイントにおける前記挿通孔の出口に位置するよう構成されている。
この構成によれば、ガラスファイバが拘束されている箇所を基準として、樹脂塗布部の傾斜角を調整することができる。
前記樹脂塗布部は、前記ガラスファイバを前記挿通孔内にガイドするポイントを有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記ポイントにおける前記挿通孔の出口に位置するよう構成されている。
この構成によれば、ガラスファイバが拘束されている箇所を基準として、樹脂塗布部の傾斜角を調整することができる。
[6]上記[1]から[5]のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置において、
前記θX回転機構は、前記θX軸を法線とする面内で回転可能に構成された回転ステージとして構成され、
前記θY回転機構は、前記回転中心軸である前記θY軸から所定の半径だけ離れた円弧面に沿って移動可能に構成されたスイベルステージとして構成されている。
この構成によれば、回転中心点を挿通孔内の所定位置に安定的に配置することができる。
前記θX回転機構は、前記θX軸を法線とする面内で回転可能に構成された回転ステージとして構成され、
前記θY回転機構は、前記回転中心軸である前記θY軸から所定の半径だけ離れた円弧面に沿って移動可能に構成されたスイベルステージとして構成されている。
この構成によれば、回転中心点を挿通孔内の所定位置に安定的に配置することができる。
[7]本開示の他の態様に係る光ファイバ製造装置は、
上記[1]から[6]のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置を備える。
この構成によれば、光ファイバ中でのガラスファイバの偏心を安定的に抑制することが可能となる。
上記[1]から[6]のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置を備える。
この構成によれば、光ファイバ中でのガラスファイバの偏心を安定的に抑制することが可能となる。
[8]本開示の更に他の態様に係る光ファイバの製造方法は、
上記[1]から[6]のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置を用いる。
この構成によれば、光ファイバ中でのガラスファイバの偏心を安定的に抑制することが可能となる。
上記[1]から[6]のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置を用いる。
この構成によれば、光ファイバ中でのガラスファイバの偏心を安定的に抑制することが可能となる。
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
次に、本開示の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<本開示の一実施形態>
(1)光ファイバ
本開示の一実施形態の製造方法により製造される光ファイバ100について簡単に説明する。なお、以下において、光ファイバ100などに付した符号は、後述の図1および図2で付した符号に対応している。
(1)光ファイバ
本開示の一実施形態の製造方法により製造される光ファイバ100について簡単に説明する。なお、以下において、光ファイバ100などに付した符号は、後述の図1および図2で付した符号に対応している。
本実施形態の光ファイバ100は、例えば、ガラスファイバ110と、樹脂被覆層120と、をガラスファイバ110の中心軸側から外周側に向けてこの順で有している。
なお、ここでいう「光ファイバ100」との用語は、着色する前の光ファイバ素線と、着色した後の光ファイバ心線とを含むものである。以下、例えば、光ファイバ100を光ファイバ素線として説明する。
ガラスファイバ110は、シリカ(SiO2)ガラスを基材(主成分)とし、コアと、クラッドと、を有している。
樹脂被覆層120は、例えば、ガラスファイバ110の外周を覆うように設けられ、ガラスファイバ110を保護するよう構成されている。樹脂被覆層120は、例えば、紫外線硬化型の樹脂を含んでいる。
本実施形態では、樹脂被覆層120は、例えば、第1樹脂を含む第1樹脂被覆層(プライマリ樹脂被覆層)と、第2樹脂を含む第2樹脂被覆層(セカンダリ樹脂被覆層)と、をガラスファイバ110の中心軸側から外周側に向けてこの順で有している。
以上の構成を有する光ファイバ100では、樹脂被覆層120の外周を基準とした中心軸に対して、ガラスファイバ110の中心軸がずれていないことが求められる。以下では、当該光ファイバ100内でのガラスファイバ110の中心軸のずれを「ガラスファイバ110の偏心」ともいう。
(2)光ファイバ製造装置
次に、図1を参照し、本実施形態に係る光ファイバ製造装置10について説明する。図1は、本実施形態に係る光ファイバ製造装置を示す概略構成図である。
次に、図1を参照し、本実施形態に係る光ファイバ製造装置10について説明する。図1は、本実施形態に係る光ファイバ製造装置を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態の光ファイバ製造装置10は、例えば、線引炉200と、冷却装置300と、樹脂塗布装置40と、被覆硬化装置500と、キャプスタン650を含む光ファイバ搬送部600と、巻取りボビン680と、制御部700と、を備えている。なお、制御部700以外の装置部材は、この順で設けられている。
以下、光ファイバ製造装置10の各装置部材において、線引炉200に近い領域を「上流」といい、巻取りボビン680に近い領域を「下流」という。
線引炉200は、ガラスファイバ110を形成(線引き)するよう構成されている。ガラス母材Gを線引炉200で加熱溶融させ、軟化したガラスを鉛直方向に沿って引き延ばすことで、細径のガラスファイバ110が形成される。
冷却装置300は、線引炉200で形成されたガラスファイバ110を冷却するよう構成されている。冷却装置300の上流および下流に、それぞれ、ファイバ位置測定部および外径測定部が設けられていてもよい。
樹脂塗布装置40は、鉛直方向に沿って走行するガラスファイバ110の外周に樹脂を塗布することで、樹脂被覆層120を形成するよう構成されている。本実施形態では、樹脂塗布装置40は、例えば、いわゆるデュアルコート型として、第1樹脂と第2樹脂とを、ガラスファイバ110の中心軸側から外周側に向けてこの順で連続的に塗布するよう構成されている。樹脂塗布装置40の構成については、詳細を後述する。
被覆硬化装置500は、樹脂被覆層120に対して紫外線を照射し、樹脂被覆層120を硬化させるよう構成されている。
光ファイバ搬送部600は、例えば、複数のガイドローラ620と、キャプスタン650と、を有している。複数のガイドローラ620は、樹脂被覆層120を硬化させた光ファイバ100を搬送する(走行させる)よう構成されている。キャプスタン650は、光ファイバ100の速度を制御しながら光ファイバ100を引き取るよう構成されている。
巻取りボビン680は、光ファイバ100を巻き取るよう構成されている。
制御部700は、例えば、光ファイバ製造装置10の各部に接続され、これらを制御するよう構成されている。制御部700は、例えば、コンピュータとして構成されている。
(3)樹脂塗布装置
次に、図2~図6を参照し、本実施形態に係る樹脂塗布装置40について説明する。図2は、本実施形態に係る樹脂塗布装置を示す概略斜視図である。図3は、樹脂塗布装置における樹脂塗布部の挿通孔を含むXZ断面を示す概略図である。なお、挿通孔とは、樹脂塗布部の中心に開けられた孔であり、ガラスファイバが通過し、樹脂液が塗布されるところである。図4は、樹脂塗布装置における樹脂塗布部の挿通孔を含むYZ断面を示す概略図である。図5は、樹脂塗布部の概略断面図である。図6は、樹脂塗布部内の樹脂圧力分布を示す概略図である。
次に、図2~図6を参照し、本実施形態に係る樹脂塗布装置40について説明する。図2は、本実施形態に係る樹脂塗布装置を示す概略斜視図である。図3は、樹脂塗布装置における樹脂塗布部の挿通孔を含むXZ断面を示す概略図である。なお、挿通孔とは、樹脂塗布部の中心に開けられた孔であり、ガラスファイバが通過し、樹脂液が塗布されるところである。図4は、樹脂塗布装置における樹脂塗布部の挿通孔を含むYZ断面を示す概略図である。図5は、樹脂塗布部の概略断面図である。図6は、樹脂塗布部内の樹脂圧力分布を示す概略図である。
なお、図5および図6において、ガラスファイバ110は省略されている。図3~図6において、樹脂の導入経路については、一部を省略または簡略化されている。図6において、挿通孔412内の色が濃い箇所が、樹脂の圧力が高い箇所を示している。
[装置構成]
図2~図4に示すように、本実施形態の樹脂塗布装置40は、例えば、樹脂塗布部410の傾斜角を調整可能に構成されている。具体的には、樹脂塗布装置40は、例えば、樹脂塗布部410と、ホルダ452と、支持部458と、θY回転機構460と、θX回転機構470と、を有している。
図2~図4に示すように、本実施形態の樹脂塗布装置40は、例えば、樹脂塗布部410の傾斜角を調整可能に構成されている。具体的には、樹脂塗布装置40は、例えば、樹脂塗布部410と、ホルダ452と、支持部458と、θY回転機構460と、θX回転機構470と、を有している。
なお、以下において、樹脂塗布部410の挿通孔412の「軸方向」とは、挿通孔412の中心軸に沿った方向のことをいう。また、挿通孔412の「径方向」とは、挿通孔412の軸方向に垂直な方向のことをいう。また、挿通孔412の「周方向」とは、挿通孔412の内周に沿った方向のことをいう。挿通孔412内に挿通されるガラスファイバ110についても、挿通孔412と同様の用語を用いることができる。
また、以下において、樹脂塗布部410の挿通孔412の中心軸に平行な軸を「Z軸」とし、Z軸に直交し且つ互いに直交する2つの軸を「X軸」「Y軸」とする。
図2~図6に示すように、樹脂塗布部410は、ガラスファイバ110が軸方向に挿通される挿通孔412を有している。当該挿通孔412内で、ガラスファイバ110の外周に樹脂が塗布される。
本実施形態の樹脂塗布部410は、例えば、ポイント(ニップル)420と、第1ダイ430と、第2ダイ440と、を上流から下流に向けてこの順で有している。
ポイント420は、例えば、ガラスファイバ110を挿通孔412内にガイドするよう構成されている。ポイント420の挿通孔412は、例えば、テーパ部422と、ランド部(ストレート部)424と、を有している。テーパ部422は、上流から下流に向けて縮径し、ガラスファイバ110を挿通孔412の中心軸側にガイドしている。ランド部424は、テーパ部422の下端に接続され、下流に向けて一定の直径で直線状に延在している。
また、ポイント420は、例えば、第1ダイ430から上方に所定間隔を開けた部分を塞ぐことで、挿通孔412内に導入される樹脂に所定の圧力を印加するための蓋部材として機能するよう構成されている。
第1ダイ430は、例えば、ポイント420よりもガラスファイバ110の挿通方向(走行方向)の下流に設けられ、挿通孔412内でガラスファイバ110の外周に第1樹脂を塗布するよう構成されている。上述のポイント420と第1ダイ430との間における間隙から、第1ダイ430の挿通孔412内に第1樹脂が導入されるようになっている。
第1ダイ430の挿通孔412は、例えば、テーパ部432と、ランド部434と、を有している。テーパ部432は、上流から下流に向けて縮径している。テーパ部432において、第1樹脂の圧力が徐々に上昇する。ランド部434は、テーパ部432の下端に接続され、下流に向けて一定の直径で直線状に延在している。
なお、本実施形態の第1ダイ430は、例えば、突起部436を有している。突起部436は、第1ダイ430の挿通孔412の出口を囲むように設けられている。突起部436は、第2ダイ440側に向けて突出し、直線状のランド部434を延長させている。このような突起部436により、ランド部434出口の周囲に生じる樹脂圧力の低い領域を縮小させたり、樹脂内における気泡の大型化を抑制したりすることができる。
第2ダイ440は、例えば、第1ダイ430よりもガラスファイバ110の挿通方向の下流に設けられ、挿通孔412内でガラスファイバ110に塗布された第1樹脂の外周に第2樹脂を塗布するよう構成されている。上述の第1ダイ430と第2ダイ440との間における間隙から、第2ダイ440の挿通孔412内に第2樹脂が導入されるようになっている。
第2ダイ440の挿通孔412は、例えば、主にランド部444を有している。ランド部444は、第1ダイ430側から下流に向けて一定の直径で直線状に延在している。
ホルダ452は、例えば、樹脂塗布部410を保持するよう構成されている。ホルダ452は、例えば、樹脂塗布部410の挿通孔412内に樹脂を導入する樹脂導入路454を有している。なお、樹脂導入路454の樹脂導入直前には、所定の圧力計(不図示)が設けられている。これにより、樹脂の圧力がモニタされる。
支持部458は、例えば、θX回転機構470およびθY回転機構460のそれぞれから離れた位置においてホルダ452を支持している。支持部458は、例えば、柱状(角柱状、円柱状)に構成されている。
θY回転機構460は、例えば、θY軸を回転中心軸として樹脂塗布部410を回転可能に構成されている。ここでいう「θY軸」とは、樹脂塗布部410の挿通孔412の中心軸(Z軸)およびθX軸に対して直交する軸のことをいい、X軸に平行である。
θY回転機構460は、例えば、回転中心軸であるθY軸から所定の半径だけ離れた円弧面に沿って移動可能に構成されたスイベル(ゴニオ)ステージとして構成されている。具体的には、θY回転機構460は、例えば、支持台462と、スイベル(ゴニオ)テーブル464と、を有している。支持台462は、鉛直方向に沿って配置され、円弧面を有している。スイベルテーブル464は、マイクロメータ(不図示)により上述の円弧面に沿って円弧駆動可能に支持台462に支持されている。スイベルテーブル464には、上述の支持部458が連結されている。
θX回転機構470は、例えば、θX軸を回転中心軸として樹脂塗布部410を回転可能に構成されている。ここでいう「θX軸」とは、樹脂塗布部410の挿通孔412の中心軸(Z軸)およびθY軸に対して直交する軸のことをいい、Y軸に平行である。
具体的には、θX回転機構470は、例えば、θX軸を法線とする面内で回転可能に構成された回転ステージとして構成されている。具体的には、θX回転機構470は、例えば、支持台472と、回転テーブル474と、を有している。支持台472は、θX軸を中心法線とする回転面を有している。回転テーブル474は、マイクロメータ(不図示)により上述の回転面内で(回転面に沿って)回転可能に支持台472に支持され、上述のθY回転機構460の支持台462を支持している。
このような構成により、θX回転機構470およびθY回転機構460のそれぞれは、ホルダ452および支持部458を介して、樹脂塗布部410から所定距離離れた位置に配置されつつ、θX軸およびθY軸のそれぞれを回転中心軸として樹脂塗布部410を回転可能に構成されている。当該θX回転機構470およびθY回転機構460のそれぞれは、例えば、上述の制御部700に接続され、制御部700によって制御可能に構成されている。
なお、樹脂塗布装置40は、例えば、XYZ移動ステージ、被覆外径測定部、被覆異常検出部などをさらに有していてもよい。XYZ移動ステージは、例えば、直交座標系の3軸(XYZ)方向のそれぞれに対して、樹脂塗布部410、θY回転機構460よびθX回転機構470を一体として移動可能に構成されている。被覆外径測定部は、樹脂被覆層120が形成された光ファイバ100の外径を測定するよう構成されている。被覆異常検出部は、樹脂被覆層120内の気泡などの異常を検出するよう構成されている。
[回転中心軸および回転中心点について]
ここで、図5および図6を参照し、本実施形態の回転中心軸としてのθX軸およびθY軸、および回転中心点について説明する。
ここで、図5および図6を参照し、本実施形態の回転中心軸としてのθX軸およびθY軸、および回転中心点について説明する。
本実施形態では、θX回転機構470およびθY回転機構460は、例えば、θX軸およびθY軸の交点である回転中心点が樹脂塗布部410の挿通孔412内に位置するよう構成されている。すなわち、θX軸およびθY軸を交差させ、且つ、これらの交点である回転中心点を樹脂塗布部410の挿通孔412内に配置することで、樹脂塗布部410の傾斜を調整する際における樹脂塗布部410の傾斜以外の変動(樹脂塗布部410の左右上下の変動)を抑制することができる。
また、本実施形態では、θX回転機構470およびθY回転機構460は、例えば、上述の回転中心点が樹脂塗布部410の挿通孔412内において挿通孔412の出口(点D)よりも上流に位置するよう構成されていてもよい。また、回転中心点は、挿通孔412の中心軸上に位置していてもよい。これにより、上述の回転中心点を、挿通孔412内で樹脂の圧力が相対的に高くなる箇所か、或いは、ガラスファイバ110の振動の振幅が小さくなる箇所に近い位置に合わせることができる。
より具体的には、θX回転機構470およびθY回転機構460は、回転中心点の位置を、例えば、以下の3点のいずれかに一致させるか、或いは移動可能であってもよい。
図5および図6に示すように、本実施形態では、θX回転機構470およびθY回転機構460は、例えば、樹脂塗布部410の挿通孔412内で樹脂の圧力が最も高くなる箇所に回転中心点が位置するよう構成されていてもよい。圧力が最も高くなる位置はガラスファイバの拘束力が最大である。この位置を中心として傾斜調整をすることにより、調整後にガラスファイバの位置が変動し難い。
図6に示すように、本実施形態では、第1ダイ430のテーパ部432が縮径するにつれて、第1樹脂の圧力が徐々に上昇する。テーパ部432の下端に接続されたランド部434において、第1樹脂の圧力が開放され、若干低下する。さらに、第2ダイ440では、ランド部444のみで構成されているため、第2樹脂の圧力は上昇せず、第1樹脂よりも低くなる。これにより、第1樹脂の外周に塗布される第2樹脂によって、第1樹脂が押し潰されることを抑制することができる。
これらの結果、樹脂塗布部410の挿通孔412内で樹脂の圧力が最も高くなる箇所は、例えば、第1ダイ430のテーパ部432とランド部434との接続点よりも少し上流の点Bに位置している。したがって、本実施形態では、例えば、回転中心点が点Bに位置していてもよい。
上述のように、回転中心点を、樹脂塗布部410の挿通孔412内で樹脂の圧力が最も高くなる箇所に配置することで、挿通孔412内でガラスファイバ110の拘束力が強い箇所を基準として、樹脂塗布部410の傾斜角を調整することができる。
或いは、図5および図6に示すように、本実施形態では、θX回転機構470およびθY回転機構460は、例えば、回転中心点が第1ダイ430における挿通孔412の出口(点C)に位置するよう構成されていてもよい。本実施形態では、第1ダイ430が出口側に突起部436を有しているため、回転中心点が突起部436の径方向の中央に位置していてもよい。
発明者等によるシミュレーションの結果によれば、第1ダイ430の挿通孔412の出口において、ガラスファイバ110の振動の振幅が最も小さくなりうることを確認している。すなわち、第1ダイ430の挿通孔412の出口が、ガラスファイバ110の振動の「節」となり、ガラスファイバ110が拘束されている箇所となっている。
上述のように、回転中心点を、第1ダイ430の挿通孔412の出口に配置することで、ガラスファイバ110が拘束されている箇所を基準として、樹脂塗布部410の傾斜角を調整することができる。
或いは、図5および図6に示すように、本実施形態では、θX回転機構470およびθY回転機構460は、例えば、回転中心点がポイント420における挿通孔412の出口(点A)に位置するよう構成されていてもよい。
発明者等によるシミュレーションの結果によれば、ポイント420の挿通孔412の出口も、上述したガラスファイバ110の振動の節となりうることを確認している。
上述のように、回転中心点を、ポイント420の挿通孔412の出口に配置することで、2点目の効果と同様に、ガラスファイバ110が拘束されている箇所を基準として、樹脂塗布部410の傾斜角を調整することができる。
本実施形態において、上述した「θX回転機構470およびθY回転機構460は、回転中心点が上述の所定箇所に位置するよう構成されている」という態様は、例えば、θX回転機構470およびθY回転機構460における回転中心点が、設計上で上述の所定箇所に一致している態様に限られない。例えば、θX回転機構470およびθY回転機構460が、XYZ移動ステージにより回転中心点を上述の所定箇所に移動可能に構成されていてもよい。
(4)光ファイバの製造方法
次に、本実施形態に係る光ファイバ100の製造方法について説明する。
次に、本実施形態に係る光ファイバ100の製造方法について説明する。
本実施形態に係る光ファイバ100の製造方法では、まず、樹脂塗布装置40を備える光ファイバ製造装置10を準備する。このとき、樹脂塗布装置40における回転中心点の位置調整を、装置設計の段階で行ってもよいし、或いは、光ファイバ100の製造前または製造中にXYZ移動ステージを用いて行ってもよい。
上述した光ファイバ製造装置10を準備したら、当該光ファイバ製造装置10を用い、線引炉200、冷却装置300、樹脂塗布装置40、被覆硬化装置500および光ファイバ搬送部600をこの順で経由する。
このとき、制御部700は、ガラスファイバ110の線引が安定した後、例えば、樹脂塗布装置40における被覆外径測定部および被覆異常検出部などの測定結果に基づいて、θX回転機構470およびθY回転機構460により樹脂塗布部410の傾斜角を調整し、ガラスファイバ110の偏心を抑制するよう制御する。
以上の方法により、本実施形態の光ファイバ100が製造される。
(5)本実施形態のまとめ
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
(a)本実施形態では、θX回転機構470およびθY回転機構460は、θX軸およびθY軸の交点である回転中心点が樹脂塗布部410の挿通孔412内に位置するよう構成されている。すなわち、θX軸およびθY軸を交差させ、且つ、これらの交点である回転中心点を樹脂塗布部410の挿通孔412内に配置することで、この位置を基準として、樹脂塗布部410の傾斜角(傾き)を調整することができる。これにより、ダイ710の傾斜を調整する際における樹脂塗布部410の傾斜以外の変動(樹脂塗布部410の左右上下の変動)を抑制することができる。
樹脂塗布部410の傾斜以外の変動を抑制することで、挿通孔412内のガラスファイバ110の位置を安定化させることができる。また、挿通孔412とガラスファイバ110との間におけるクリアランスを、挿通孔412の全周に亘って均等にすることができる。ガラスファイバ110を中心として挿通孔412の周方向に樹脂の流れを均一にすることができ、ガラスファイバ110の外周全体に亘って、樹脂の塗布状態を均一にすることができる。これらの結果、光ファイバ100中でのガラスファイバ110の偏心を安定的に抑制することが可能となる。
(b)本実施形態では、θX回転機構470およびθY回転機構460は、上述の回転中心点が樹脂塗布部410の挿通孔412内において挿通孔412の出口(点D)よりも上流に位置するよう構成されている。これにより、上述の回転中心点を、挿通孔412内で樹脂の圧力が相対的に高くなる箇所か、或いは、ガラスファイバ110の振動の振幅が小さくなる箇所に近い位置に合わせることができる。
(c)本実施形態では、θX回転機構470およびθY回転機構460は、樹脂塗布部410の挿通孔412内で樹脂の圧力が最も高くなる箇所に回転中心点が位置するよう構成されていてもよい。樹脂塗布部410の挿通孔412内で樹脂の圧力が最も高くなる箇所では、高い圧力の樹脂によって、ガラスファイバ110を挿通孔412の径方向に中心軸に向けて拘束する力(ガラスファイバ110の拘束力、自己調心力)が強くなっている。上述のように、回転中心点を樹脂の圧力が最も高くなる箇所に配置することで、挿通孔412内でガラスファイバ110の拘束力が強い箇所を基準として、樹脂塗布部410の傾斜角を調整することができる。
ガラスファイバ110の拘束力が強い箇所を基準とすることで、樹脂塗布部410を傾斜した際に、ガラスファイバ110の拘束力が強い箇所の移動を抑制し、当該拘束力が強い箇所にガラスファイバ110が引っ張られることを抑制することができる。すなわち、挿通孔412内でのガラスファイバ110の位置の変動を抑制することができる。その結果、光ファイバ100中でのガラスファイバ110の偏心を安定的に抑制することが可能となる。
(d)或いは、本実施形態では、θX回転機構470およびθY回転機構460は、回転中心点が第1ダイ430における挿通孔412の出口(点C)に位置するよう構成されていてもよい。これにより、上述のように、ガラスファイバ110の振動の「節」となり、ガラスファイバ110が拘束されている箇所を基準として、樹脂塗布部410の傾斜角を調整することができる。
ガラスファイバ110が拘束されている箇所を基準とすることで、樹脂塗布部410を傾斜した際に、ガラスファイバ110が拘束されている箇所の移動を抑制し、当該拘束箇所にガラスファイバ110が引っ張られることを抑制することができる。その結果、(c)と同様に、光ファイバ100中でのガラスファイバ110の偏心を安定的に抑制することが可能となる。
(e)或いは、本実施形態では、θX回転機構470およびθY回転機構460は、回転中心点がポイント420における挿通孔412の出口(点A)に位置するよう構成されていてもよい。これにより、上述のように、ガラスファイバ110が拘束されている箇所を基準として、樹脂塗布部410の傾斜角を調整することができる。その結果、(c)および(d)と同様に、光ファイバ100中でのガラスファイバ110の偏心を安定的に抑制することが可能となる。
(f)本実施形態では、θX回転機構470は、θX軸を法線とする面内で回転可能に構成された回転ステージとして構成されている。θY回転機構460は、回転中心軸であるθY軸から所定の半径だけ離れた円弧面に沿って移動可能に構成されたスイベルステージとして構成されている。
上述の構成により、θX軸とθY軸とを容易かつ精度よく交差させることができる。これにより、θX軸とθY軸との交点としての回転中心点を挿通孔412内の所定位置に安定的に配置する(維持する)ことができる。
また、上述の構成により、θX回転機構470およびθY回転機構460のそれぞれから離れた位置に、回転中心点を配置することができる。これにより、θX回転機構470およびθY回転機構460のそれぞれにおいて、樹脂塗布部410の挿通孔412に対応する開口の形成を不要とすることができる。
また、上述の構成により、θX回転機構470およびθY回転機構460の回転中心点を樹脂塗布部410の挿通孔412内に配置しつつ、θX回転機構470およびθY回転機構460のそれぞれから樹脂塗布部410の挿通孔412を離すことができる。これにより、樹脂塗布部410からの樹脂もれが生じた場合に、樹脂漏れの影響からθX回転機構470およびθY回転機構460を回避させることができる。その結果、樹脂塗布装置40のメンテナンスを容易にすることが可能となる。
また、上述の回転ステージとスイベルステージとにより、比較例2のダイを傾斜させるだけの構成と比較して、樹脂塗布部410を安定的に回転させることができる。また、比較例2と比較して、回転ステージおよびスイベルステージのそれぞれの支持台同士を面接触させることができ、θX回転機構470およびθY回転機構460を安定的に固定することができる。
<本開示の他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、光ファイバ100が着色する前の光ファイバ素線であるとして図示及び説明したが、本開示はこの場合に限られない。上述のように、光ファイバ100は、着色した後の光ファイバ心線であってもよい。すなわち、光ファイバ100は、樹脂被覆層120の外周を覆う着色層を有していてもよい。
上述の実施形態では、樹脂塗布装置40が、いわゆるデュアルコート型として構成されている場合について説明したが、本開示はこの場合に限られない。樹脂塗布装置40は、シングルコート型として構成され、樹脂塗布部410が1つのダイ(第1ダイ430)のみを有していてもよい。なお、この場合、樹脂塗布部410が第2ダイ440を有しないため、「回転中心点が第1ダイ430における挿通孔412の出口に位置する」という構成は適用しなくてもよい。
上述の実施形態では、θX回転機構470、θY回転機構460、支持部458およびホルダ452がこの順で連結されている態様を説明したが、本開示はこの場合に限られない。θX回転機構470およびθY回転機構460の配置は、上述の実施形態と逆の配置となっていてもよい。
<付記>
以下、本開示の態様を付記する。
以下、本開示の態様を付記する。
(付記1)
ガラスファイバが軸方向に挿通される挿通孔を有し、当該挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に樹脂を塗布する樹脂塗布部と、
前記挿通孔の中心軸に対して直交するθX軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθX回転機構と、
前記挿通孔の中心軸および前記θX軸に対して直交するθY軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθY回転機構と、
を備え、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記θX軸および前記θY軸の交点である回転中心点が前記挿通孔内に位置するよう構成されている
樹脂塗布装置。
ガラスファイバが軸方向に挿通される挿通孔を有し、当該挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に樹脂を塗布する樹脂塗布部と、
前記挿通孔の中心軸に対して直交するθX軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθX回転機構と、
前記挿通孔の中心軸および前記θX軸に対して直交するθY軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθY回転機構と、
を備え、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記θX軸および前記θY軸の交点である回転中心点が前記挿通孔内に位置するよう構成されている
樹脂塗布装置。
(付記2)
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記挿通孔内において前記挿通孔の出口よりも上流に位置するよう構成されている
付記1に記載の樹脂塗布装置。
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記挿通孔内において前記挿通孔の出口よりも上流に位置するよう構成されている
付記1に記載の樹脂塗布装置。
(付記3)
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記挿通孔内で前記樹脂の圧力が最も高くなる箇所に前記回転中心点が位置するよう構成されている
付記1又は付記2に記載の樹脂塗布装置。
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記挿通孔内で前記樹脂の圧力が最も高くなる箇所に前記回転中心点が位置するよう構成されている
付記1又は付記2に記載の樹脂塗布装置。
(付記4)
前記樹脂塗布部は、
前記ガラスファイバを前記挿通孔内にガイドするポイントと、
前記ポイントよりも前記ガラスファイバの挿通方向の下流に設けられ、前記挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に第1樹脂を塗布する第1ダイと、
前記第1ダイよりも前記ガラスファイバの挿通方向の下流に設けられ、前記挿通孔内で前記ガラスファイバに被覆された前記第1樹脂の外周に第2樹脂を塗布する第2ダイと、
を有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記第1ダイにおける前記挿通孔の出口に位置するよう構成されている
付記1又は付記2に記載の樹脂塗布装置。
前記樹脂塗布部は、
前記ガラスファイバを前記挿通孔内にガイドするポイントと、
前記ポイントよりも前記ガラスファイバの挿通方向の下流に設けられ、前記挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に第1樹脂を塗布する第1ダイと、
前記第1ダイよりも前記ガラスファイバの挿通方向の下流に設けられ、前記挿通孔内で前記ガラスファイバに被覆された前記第1樹脂の外周に第2樹脂を塗布する第2ダイと、
を有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記第1ダイにおける前記挿通孔の出口に位置するよう構成されている
付記1又は付記2に記載の樹脂塗布装置。
(付記5)
前記第1ダイは、前記挿通孔の前記出口を囲むように設けられ、前記第2ダイ側に突出する突起部を有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記突起部の中央に位置するよう構成されている
付記4に記載の樹脂塗布装置。
前記第1ダイは、前記挿通孔の前記出口を囲むように設けられ、前記第2ダイ側に突出する突起部を有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記突起部の中央に位置するよう構成されている
付記4に記載の樹脂塗布装置。
(付記6)
前記樹脂塗布部は、前記ガラスファイバを前記挿通孔内にガイドするポイントを有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記ポイントにおける前記挿通孔の出口に位置するよう構成されている
付記1又は付記2に記載の樹脂塗布装置。
前記樹脂塗布部は、前記ガラスファイバを前記挿通孔内にガイドするポイントを有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記ポイントにおける前記挿通孔の出口に位置するよう構成されている
付記1又は付記2に記載の樹脂塗布装置。
(付記7)
前記θX回転機構は、前記θX軸を法線とする面内で回転可能に構成された回転ステージとして構成され、
前記θY回転機構は、前記回転中心軸である前記θY軸から所定の半径だけ離れた円弧面に沿って移動可能に構成されたスイベルステージとして構成されている
付記1から付記6のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置。
前記θX回転機構は、前記θX軸を法線とする面内で回転可能に構成された回転ステージとして構成され、
前記θY回転機構は、前記回転中心軸である前記θY軸から所定の半径だけ離れた円弧面に沿って移動可能に構成されたスイベルステージとして構成されている
付記1から付記6のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置。
(付記8)
前記樹脂塗布部を保持するホルダと、
前記ホルダを支持する支持部と、
を有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構のそれぞれは、前記ホルダおよび前記支持部を介して前記樹脂塗布部から離れた位置に配置されている
付記1から付記7のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置。
前記樹脂塗布部を保持するホルダと、
前記ホルダを支持する支持部と、
を有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構のそれぞれは、前記ホルダおよび前記支持部を介して前記樹脂塗布部から離れた位置に配置されている
付記1から付記7のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置。
(付記9)
付記1から付記8のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置を備える
光ファイバ製造装置。
付記1から付記8のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置を備える
光ファイバ製造装置。
(付記10)
付記1から付記8のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置を用いる
光ファイバの製造方法。
付記1から付記8のいずれか1つに記載の樹脂塗布装置を用いる
光ファイバの製造方法。
10 光ファイバ製造装置
40 樹脂塗布装置
100 光ファイバ
110 ガラスファイバ
120 樹脂被覆層
200 線引炉
300 冷却装置
410 樹脂塗布部
412 挿通孔
420 ポイント
422 テーパ部
424 ランド部
430 第1ダイ
432 テーパ部
434 ランド部
436 突起部
440 第2ダイ
444 ランド部
452 ホルダ
454 樹脂導入路
458 支持部
460 θY回転機構
462 支持台
464 スイベルテーブル
470 θX回転機構
472 支持台
474 回転テーブル
500 被覆硬化装置
600 光ファイバ搬送部
620 ガイドローラ
650 キャプスタン
680 巻取りボビン
700 制御部
40 樹脂塗布装置
100 光ファイバ
110 ガラスファイバ
120 樹脂被覆層
200 線引炉
300 冷却装置
410 樹脂塗布部
412 挿通孔
420 ポイント
422 テーパ部
424 ランド部
430 第1ダイ
432 テーパ部
434 ランド部
436 突起部
440 第2ダイ
444 ランド部
452 ホルダ
454 樹脂導入路
458 支持部
460 θY回転機構
462 支持台
464 スイベルテーブル
470 θX回転機構
472 支持台
474 回転テーブル
500 被覆硬化装置
600 光ファイバ搬送部
620 ガイドローラ
650 キャプスタン
680 巻取りボビン
700 制御部
Claims (8)
- ガラスファイバが軸方向に挿通される挿通孔を有し、当該挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に樹脂を塗布する樹脂塗布部と、
前記挿通孔の中心軸に対して直交するθX軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθX回転機構と、
前記挿通孔の中心軸および前記θX軸に対して直交するθY軸を回転中心軸として前記樹脂塗布部を回転させるθY回転機構と、
を備え、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記θX軸および前記θY軸の交点である回転中心点が前記挿通孔内に位置するよう構成されている
樹脂塗布装置。 - 前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記挿通孔内において前記挿通孔の出口よりも上流に位置するよう構成されている
請求項1に記載の樹脂塗布装置。 - 前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記挿通孔内で前記樹脂の圧力が最も高くなる箇所に前記回転中心点が位置するよう構成されている
請求項1または請求項2に記載の樹脂塗布装置。 - 前記樹脂塗布部は、
前記ガラスファイバを前記挿通孔内にガイドするポイントと、
前記ポイントよりも前記ガラスファイバの挿通方向の下流に設けられ、前記挿通孔内で前記ガラスファイバの外周に第1樹脂を塗布する第1ダイと、
前記第1ダイよりも前記ガラスファイバの挿通方向の下流に設けられ、前記挿通孔内で前記ガラスファイバに被覆された前記第1樹脂の外周に第2樹脂を塗布する第2ダイと、
を有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記第1ダイにおける前記挿通孔の出口に位置するよう構成されている
請求項1または請求項2に記載の樹脂塗布装置。 - 前記樹脂塗布部は、前記ガラスファイバを前記挿通孔内にガイドするポイントを有し、
前記θX回転機構および前記θY回転機構は、前記回転中心点が前記ポイントにおける前記挿通孔の出口に位置するよう構成されている
請求項1または請求項2に記載の樹脂塗布装置。 - 前記θX回転機構は、前記θX軸を法線とする面内で回転可能に構成された回転ステージとして構成され、
前記θY回転機構は、前記回転中心軸である前記θY軸から所定の半径だけ離れた円弧面に沿って移動可能に構成されたスイベルステージとして構成されている
請求項1または請求項2に記載の樹脂塗布装置。 - 請求項1または請求項2に記載の樹脂塗布装置を備える
光ファイバ製造装置。 - 請求項1または請求項2に記載の樹脂塗布装置を用いる
光ファイバの製造方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022189015A JP2024077142A (ja) | 2022-11-28 | 2022-11-28 | 樹脂塗布装置、光ファイバ製造装置、および光ファイバの製造方法 |
CN202311250128.9A CN118084355A (zh) | 2022-11-28 | 2023-09-26 | 树脂涂敷装置、光纤制造装置及光纤的制造方法 |
US18/482,981 US20240174562A1 (en) | 2022-11-28 | 2023-10-09 | Resin coating device, apparatus for producing optical fiber, and method of producing optical fiber |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022189015A JP2024077142A (ja) | 2022-11-28 | 2022-11-28 | 樹脂塗布装置、光ファイバ製造装置、および光ファイバの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024077142A true JP2024077142A (ja) | 2024-06-07 |
Family
ID=91156126
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022189015A Pending JP2024077142A (ja) | 2022-11-28 | 2022-11-28 | 樹脂塗布装置、光ファイバ製造装置、および光ファイバの製造方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20240174562A1 (ja) |
JP (1) | JP2024077142A (ja) |
CN (1) | CN118084355A (ja) |
-
2022
- 2022-11-28 JP JP2022189015A patent/JP2024077142A/ja active Pending
-
2023
- 2023-09-26 CN CN202311250128.9A patent/CN118084355A/zh active Pending
- 2023-10-09 US US18/482,981 patent/US20240174562A1/en active Pending
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN118084355A (zh) | 2024-05-28 |
US20240174562A1 (en) | 2024-05-30 |
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