JP2023128240A - 皮膚外用剤 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は特定の抽出物を併用することにより、相乗的な抗老化効果及び美白効果を発揮する皮膚外用剤を提供することを課題とする。【解決手段】下記（Ａ）および（Ｂ）を含有する皮膚外用剤。（Ａ）ヤグルマギク抽出物（水蒸気蒸留して得られる水相を除く）（Ｂ）ダルス抽出物【選択図】 なし

Description

本発明は、特定の抽出物を含有した抗老化効果及び美白効果を発揮する皮膚外用剤に関する。

シワ、タルミ、皮膚の弾性低下、炎症、皮膚表面形態の乱れなどの皮膚症状の悪化の要因としては、例えば加齢による真皮線維芽細胞の機能低下や、それに伴うコラーゲン等の真皮マトリックスの減少や変性が挙げられる。さらに、紫外線や乾燥、花粉等のアレルギー物質等の外来ストレスも皮膚症状の悪化の要因となっている。
また、色素沈着・色調変化は一部不明な点もあるがホルモンの異常や日光の紫外線の刺激によるメラニン色素の産生が原因であり、その中でも、シミやソバカスはメラニン色素が異常沈着することが、その要因であると考えられている。

これらの皮膚症状を防止・改善するために、様々な研究が行われている。コラーゲン産生促進作用を有するものとしては、例えば、クスノハガシワからの抽出物（特許文献１）等が知られている。また、皮膚のバリア機能改善効果を発揮する皮膚外用剤としてクインスシード抽出物および特定の植物抽出物を含有する皮膚外用剤等が知られている（特許文献２）。さらにメラニン産生抑制剤としては、シンビジューム属植物の抽出物（特許文献３）等が知られている。

様々な抽出物を単独で、あるいは併用することは数多く検討されている。しかしながら、特に併用する場合は単に併用すれば効果が相乗的に向上するものではなく、相加的に効果が向上するもの、効果を相殺するものなど、その併用による効果は予測不可能な効果である。より少量で、より高い効果の得られる抽出物の併用に関するニーズは非常に高い。

特開２００３－１４６８３７号公報 特開２０１９－０１９０９５号公報 特開２００２－００３３３６号公報

本発明は特定の抽出物を併用することにより、相乗的な抗老化効果及び美白効果を発揮する皮膚外用剤を提供することを課題とする。

本発明の課題を解決する手段は、下記（Ａ）および（Ｂ）を含有する皮膚外用剤を提供することである。
（Ａ）ヤグルマギク抽出物（水蒸気蒸留して得られる水相を除く）
（Ｂ）ダルス抽出物

本発明の皮膚外用剤は特定の抽出物を併用することにより、相乗的な抗老化効果及び美白効果を発揮する。

本発明の皮膚外用剤は特定の抽出物を併用することにより、相乗的なＦＬＧ及びＣＯＬ７Ａ１産生促進効果並びにＨＹＡＬ２及びＰＯＭＣ産生抑制効果を発揮する。

以下本発明を実施するための形態を説明する。

ＦＬＧは、Ｆｉｌａｇｇｒｉｎの略であり、表皮の顆粒細胞で産生される。ヒトにおいて皮膚のバリア機能に欠かすことのできない角質層の形成に重要な役割を担う。

ＣＯＬ７Ａ１は、Ｃｏｌｌａｇｅｎ Ｔｙｐｅ ＶＩＩ Ａｌｐｈａ １ Ｃｈａｉｎの略であり、基底膜の構成成分であるＶＩＩ型コラーゲンを構成する因子である。基底膜と真皮の結合を強固にする働きをもつ。

ＨＹＡＬ２は、Ｈｙａｌｕｒｏｎｉｄａｓｅ ２の略であり、ヒアルロン酸分解酵素である。

ＰＯＭＣは、Ｐｒｏｏｐｉｏｍｅｌａｎｏｃｏｒｔｉｎの略であり、ポリペプチド前駆体である。メラニンの生成を促進する作用をもつホルモンやメラノサイトを活性化するホルモンの前駆体である。

［ヤグルマギク抽出物］
ヤグルマギク（Ｃｅｎｔａｕｒｅａ ｃｙａｎｕｓ）はキク科ヤグルマギク属の植物である。

本発明で用いるヤグルマギク抽出物は、通常化粧料、皮膚外用剤等に配合されるものを用いることができ、特に限定されない。また、本発明においては北海道増毛町湯ノ沢で有機栽培したヤグルマギクから得られる抽出物を用いることもできる。なお、本発明で用いるヤグルマギク抽出物は、水蒸気蒸留して得られる水相を除く。

本発明で用いるヤグルマギクの抽出部位は特に限定されず、全草、葉、茎、花、実、根から選択される１種又は２種以上の部位を用いることができるが、花を用いることが好ましい。

本発明の皮膚外用剤におけるヤグルマギク抽出物の配合量は特に限定されないが、皮膚外用剤全量に対し、０．００００００１～５質量％が好ましく、０．００００００１～１質量％がさらに好ましい。

次にヤグルマギクの栽培方法の好ましい例を示す。

［北海道増毛町湯ノ沢］
北海道の北西部、留萌振興局管内南部にあり、標高１４９２ｍの暑寒別岳を含む地域である。本発明においては、増毛町の中でも標高の高い湯の沢地区で栽培することが好ましい。

［圃場準備］
定植前に圃場の土壌改質を目的として、有機肥料の施肥を行う。
具体的には、有機肥料として、醗酵鶏糞、油粕、醗酵油粕、骨粉、魚粉、米糠、醗酵米糠、腐葉土、バーク堆肥、苦土石灰、消石灰、ヨウ成リン肥、炭酸カルシウム、グアノから選択される１種又は２種以上を併用して用いる。

醗酵鶏糞、油粕、醗酵油粕、骨粉、魚粉、米糠、醗酵米糠、腐葉土、バーク堆肥、ヨウ成リン肥は、おもに三大栄養素である窒素、リン酸、カリを補給するために使用する。これらは、１種を単独で、若しくは２種以上を併用して用いる。これらの肥料の施肥量は、元の土壌の状態によって増減できる。

施肥は、定植前７日以上前に行うことが好ましい。定植前６日以内に行うと、肥料による土壌改善効果が十分ではなく、肥料焼けや、初期の生育不良の原因となる。有機肥料は溝施肥でも、全面施肥でも問題ないが、作業効率の点から全面施肥が好ましい。

［定植］
３～５月頃、又は８～１１月頃に、直播し、成長に合わせて間引きを行うことが好ましい。定植は畝間９０～１００ｃｍとすることが栽培効率の点から好ましい。

［育成］
適宜追肥を行うことにより、より根の肥大が見込まれる。適宜雑草を除去し、乾燥状態に応じ潅水を行う。

［収穫］
開花期に合わせて頭花の収穫を行い、水若しくは湯を用いて洗浄する。保存する場合は、乾燥した条件下で保存する。また、凍結乾燥して保存することも可能である。

［ダルス抽出物］
ダルス（Ｐａｌｍａｒｉａ ｐａｌｍａｔａ）は、ダルス科ダルス属に分類される紅藻類の海藻である。

本発明で用いるダルス抽出物は、通常化粧料、皮膚外用剤等に配合されるものを用いることができ、特に限定されない。

本発明で用いるダルスの抽出部位は全藻を用いることが好ましい。

本発明の皮膚外用剤におけるダルス抽出物の配合量は特に限定されないが、皮膚外用剤全量に対し、０．０００００００１～５質量％が好ましく、０．０００００００１～２質量％がさらに好ましい。

［抽出］
上記の抽出物を調製する際には、生のものをそのまま、若しくは乾燥させて用いる。細切、乾燥、粉砕等の処理を行った後に抽出を行うことが抽出効率の観点から好ましい。
抽出溶媒としては、水、メタノール，エタノール，プロパノール，イソプロパノール等の低級アルコール、１，３－ブチレングリコール，プロピレングリコール，ジプロピレングリコール，グリセリン等の多価アルコール、エチルエーテル，プロピルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル，酢酸ブチル等のエステル類、アセトン，エチルメチルケトン等のケトン類などの極性有機溶媒を用いることができ、これらより１種又は２種以上を選択して用いる。また、生理食塩水，リン酸緩衝液，リン酸緩衝生理食塩水等を用いてもよい。
上記溶媒による抽出物は、そのままでも用いることができるが、濃縮、乾固したものを水や極性溶媒に再度溶解したり、或いはそれらの皮膚生理機能向上作用を損なわない範囲で脱色、脱臭、脱塩等の精製処理を行ったり、カラムクロマトグラフィーによる分画処理を行った後に用いてもよい。また、抽出物を酸、アルカリ、酵素などを用いて加水分解したものを用いてもよい。また保存のため、精製処理の後凍結乾燥し、用時に溶媒に溶解して用いることもできる。また、リポソーム等のベシクルやマイクロカプセル等に内包させて用いることもできる。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の５～３０倍量（質量比）の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温または還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。

本発明の皮膚外用剤には、上述の成分の他に、通常の化粧料、医薬部外品に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。

本発明の皮膚外用剤の剤型は、特に限定されず、水系、油系、乳化型等いずれの剤型でもよい。

本発明の皮膚外用剤は定法により調製することができる。

本発明の皮膚外用剤は、例えば、ローション剤、乳剤、軟膏の剤型で用いることができる。

以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。

まず、実施例等に用いる抽出物の調製方法を示す。

［ヤグルマギク抽出物］
（１）栽培から収穫
北海道増毛町湯の沢の有機ＪＡＳ認定圃場にて、ヤグルマギクの栽培を行った。５月中旬、定植の１週間前に、有機栽培用鶏糞、有機栽培用米糠、有機栽培用石灰、有機栽培用グアノ、有機栽培用菜種油粕、炭酸カルシウムを施肥し、圃場を整備した。畝間９０～１００ｃｍとなるように播種し間引きを行った。６月下旬に、有機栽培用菜種油粕を追肥した。また、適宜雑草を除去し、乾燥状態に応じ潅水を行った。
開花期にあわせて頭花の収穫を行い、水若しくは湯を用いて洗浄後、凍結乾燥を行い、乾燥した条件下で保存した。
（２）ヤグルマギク抽出物の調製
（１）で得られたヤグルマギクの花部を乾燥させて粉砕し、２０質量倍量の５０容量％エタノール水溶液に浸漬し、ろ過後ろ液を採取し、エタノールを留去した。得られた抽出物を５０容量％１，３－ブチレングリコール水溶液にエキス純分として０．５質量％となるように溶解後、再度ろ過することにより、ヤグルマギク抽出物を調製した。

［ダルス抽出物］
乾燥させたダルスを粉砕し、水に浸漬し、ろ過後ろ液を採取し、溶媒を留去した。得られた抽出物を９１質量％の水にエキス純分として７．５質量％となるように溶解し、ダルス抽出物を調製した。

［３次元培養表皮を用いた試験］
市販のメラノサイト含有ヒト３次元培養表皮（クラボウ ＭＥＬ－３００ Ｂｌａｃｋ ｄｏｎｏｒ）を、専用のアッセイ培地にて３７℃、５％ＣＯ_２インキュベーター内で一晩培養した。各抽出物を所定量添加したグリセリン、エタノール水溶液を２～３日に１回表皮組織表面に添加しながら３７℃、５％ＣＯ_２インキュベーター内で１０日間培養した。ＰＢＳ溶液で洗浄し、採取したヒト３次元培養表皮から、市販のＲＮＡ抽出キット（ＲＮｅａｓｙ Ｐｌｕｓ Ｕｎｉｖｅｒｓａｌ Ｍｉｎｉ Ｋｉｔ（５０） ＱＩＡＧＥＮ社）を使用してＲＮＡを抽出しｃＤＮＡ合成後に下記のプライマーを使用してサイバーグリーン法によるリアルタイムＰＣＲにより遺伝子発現を確認した。なお、内部標準としてＧＡＰＤＨを使用した。ｍＲＮＡ発現量は、各成分無添加の場合の発現量を１とした相対値で示した。各作用は表２に示した。

使用したプライマー配列を表１に示す。

実施例、比較例は各抽出物のエキス濃度（ｗ／ｖ％）が表２に示す量になるように培地に溶解した。

表２に示した通り、各抽出物単独を添加した比較例１および比較例２と比較し、実施例１ではＦＬＧおよびＣＯＬ７Ａ１の発現量が増加した。また、実施例１は各抽出物の添加エキス濃度が比較例１および比較例２の２分の１量であることから、相乗的にＦＬＧおよびＣＯＬ７Ａ１の発現量が増加したことが分かる。

さらに、表２に示した通り、各抽出物単独を添加した比較例１および比較例２と比較し、実施例１ではＨＹＡＬ２およびＰＯＭＣの発現量が減少した。また、実施例１は各抽出物の添加エキス濃度が比較例１および比較例２の２分の１量であることから、相乗的にＨＹＡＬ２およびＰＯＭＣの発現量が減少したことが分かる。

従って、本発明の皮膚外用剤は、ヤグルマギク抽出物およびダルス抽出物を併用することにより相乗的に抗老化効果及び美白効果が向上した。

［実施例２］乳液
（１）スクワラン １０．０（質量％）
（２）メチルフェニルポリシロキサン ４．０
（３）水素添加パーム核油 ０．５
（４）水素添加大豆リン脂質 ０．１
（５）モノステアリン酸ポリオキシエチレン
ソルビタン（２０Ｅ．Ｏ．） １．３
（６）モノステアリン酸ソルビタン １．０
（７）グリセリン ４．０
（８）フェノキシエタノール ０．２
（９）カルボキシビニルポリマー ０．１５
（１０）精製水 １００とする残部
（１１）アルギニン（１質量％水溶液） ２０．０
（１２）ヤグルマギク抽出物 ０．００１
（１３）ダルス抽出物 ０．０００１
製法：（１）～（６）の油相成分を８０℃にて加熱溶解する。一方（７）～（１０）の水相成分を８０℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。冷却後４０℃にて、（１１）～（１３）を順次加え、均一に混合する。

［実施例３］化粧水
（１）エタノール １５．０（質量％）
（２）ポリオキシエチレン（４０Ｅ．Ｏ．）硬化ヒマシ油 ０．３
（３）香料 ０．１
（４）精製水 １００とする残部
（５）クエン酸 ０．０２
（６）クエン酸ナトリウム ０．１
（７）グリセリン １．０
（８）ヒドロキシエチルセルロース ０．１
（９）ヤグルマギク抽出物 ０．０１
（１０）ダルス抽出物 ０．１
製法：（１）に（２）および（３）を溶解する。さらに（４）～（１０）を順次添加した後、十分に攪拌し、均一に混合する。

［実施例４］クリーム
（１）スクワラン １０．０（質量％）
（２）ステアリン酸 ２．０
（３）水素添加パーム核油 ０．５
（４）水素添加大豆リン脂質 ０．１
（５）セタノール ３．６
（６）親油型モノステアリン酸グリセリン ２．０
（７）グリセリン １０．０
（８）フェノキシエタノール ０．２
（９）アルギニン（２０質量％水溶液） １５．０
（１０）精製水 １００とする残部
（１１）カルボキシビニルポリマー（１質量％水溶液） １５．０
（１２）ヤグルマギク抽出物 ０．０００１
（１３）ダルス抽出物 ０．０００３
製法：（１）～（６）の油相成分を８０℃にて加熱溶解する。一方（７）～（１０）の水相成分を８０℃にて加熱溶解する。これに前記油相成分を攪拌しながら加え、ホモジナイザーにより均一に乳化する。（１１）を添加して攪拌後、冷却し４０℃にて（１２）、（１３）を加え、均一に混合する。

［実施例５］美容液
（１）精製水 １００とする残部（質量％）
（２）グリセリン １０．０
（３）ショ糖脂肪酸エステル １．３
（４）カルボキシビニルポリマー（１質量％水溶液） １７．５
（５）アルギン酸ナトリウム（１質量％水溶液） １５．０
（６）モノラウリン酸ポリグリセリル １．０
（７）マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル ３．０
（８）Ｎ－ラウロイル－Ｌ－グルタミン酸
ジ（フィトステリル－２－オクチルドデシル） ２．０
（９）硬化パーム油 ２．０
（１０）スクワラン（オリーブ由来） １．０
（１１）ベヘニルアルコール ０．７５
（１２）ミツロウ １．０
（１３）ホホバ油 １．０
（１４）１，３－ブチレングリコール １０．０
（１５）Ｌ－アルギニン（１０質量％水溶液） ２．０
（１６）ヤグルマギク抽出物 ０．０００３
（１７）ダルス抽出物 ０．００００２
製法：（１）～（６）の水相成分を混合し、７５℃にて加熱溶解する。一方、（７）～（１４）の油相成分を混合し、７５℃にて加熱溶解する。次いで、上記水相成分に油相成分を添加して予備乳化を行った後、ホモミキサーにて均一に乳化する。冷却後５０℃にて（１５）を、４０℃にて（１６）、（１７）を加え、均一に混合する。

［実施例６］水性ジェル
（１）カルボキシビニルポリマー ０．５（質量％）
（２）精製水 １００とする残部
（３）水酸化ナトリウム（１０質量％水溶液） ０．５
（４）グリセリン １０．０
（５）１，３－ブチレングリコール １０．０
（６）エタノール １０．０
（７）フェノキシエタノール ０．２
（８）香料 ０．１
（９）ヤグルマギク抽出物 ０．０００１
（１０）ダルス抽出物 ０．００２
製法：（１）を（２）に加え、均一に攪拌した後、（３）を加える。均一に攪拌した後、（４）に予め溶解した（５）を加える。均一に攪拌した後、予め混合しておいた（６）～（１０）を加え、均一に攪拌混合する。

Claims (1)

1. 下記（Ａ）および（Ｂ）を含有する皮膚外用剤。
   （Ａ）ヤグルマギク抽出物（水蒸気蒸留して得られる水相を除く）
   （Ｂ）ダルス抽出物