JP2023126984A - アンモニアの製造方法 - Google Patents

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Hitoaki Nishibayashi
和也 荒芝
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章一 近藤
Shoichi Kondo
隆正 菊池
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Abstract

【課題】モリブデン錯体を用いたアンモニアの製造方法を提供すること。【解決手段】還元剤及びプロトン源の存在下、窒素分子からアンモニアを製造する方法であって、前記モリブデン錯体は、式(1)で表されるモリブデン錯体である。【化1】TIFF2023126984000018.tif42114【選択図】なし

Description

本発明は、アンモニアの製造方法に関する。
窒素分子からアンモニアを製造する方法において、触媒にモリブデン錯体を使用して、プロトン源に水を用いたアンモニアの製造に関する報告例がある(非特許文献1)。さらには、触媒にモリブデン錯体を使用して、還元剤としてヨウ化サマリウム(II)を、プロトン源としてアルコール類又は水を用いたアンモニアの製造に関する報告例がある(非特許文献2)。
日本化学会 第99春季年会予稿集 2019年,講演番号4D1-37 Nature 2019年,568巻,536-540ページ
窒素分子からアンモニアを製造する方法において、触媒にモリブデン錯体を用いた場合に、実用化の観点から必要な時に直ちにアンモニアが得られることも一つの重要な要求性能であり、反応開始の初期から高速で反応できる触媒がのぞまれている。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、反応開始の初期から高速で反応できるモリブデン錯体を創出することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、該モリブデン錯体の最低空軌道であるlowest unoccupied molecular orbital(以下、LUMOと略す。)のエネルギー準位と触媒活性の間に相関関係があることを見出し、LUMOが-2.6eVよりも低いエネルギー準位を取るモリブデン錯体を分子設計又は合成し、かようなモリブデン錯体を用いた触媒反応において、触媒1分子が単位時間当たりに行う物質変換量である触媒回転頻度(Turnover Frequency(以下、TOFと略す。)が200(1/分)を超えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のアンモニアの製造方法は、モリブデン錯体、還元剤及びプロトン源の存在下、窒素分子からアンモニアを製造する方法であって、
前記モリブデン錯体は、式(1):
Figure 2023126984000001
(式(1)中、R及びRは、各々独立して、炭素原子数3乃至6のアルキル基を表し

Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子であり、
及びRは、各々独立して、電子求引基を表す。)
で表されるモリブデン錯体であり、
該モリブデン錯体のLUMOのエネルギー準位が-2.6eVよりも低い値であり、
前記還元剤は、ランタノイド系金属のハロゲン化物(II)であり、
前記プロトン源は、アルコール又は水である、
アンモニアの製造方法。
また、本発明のモリブデン錯体は、LUMOのエネルギー準位が-2.6eVよりも低い値である、下式(1)
Figure 2023126984000002
(式(1)中、R及びRは、各々独立して、炭素原子数3乃至6のアルキル基を表し、
Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子であり、
及びRは、各々独立して、電子求引基を表す。
ただし、RがFのとき、Rは、Fではなく、RがHのとき、RはCFではない。)
で表されるモリブデン錯体。
本発明のアンモニアの製造方法によれば、高速で反応できるモリブデン錯体を用いることで、反応開始の初期からアンモニア製造を実施できる方法、そして該製造方法に用いる式(1)で表されるモリブデン錯体を提供する。
モリブデン錯体のLUMOのエネルギーと触媒活性を示すTOFとの相関関係図である。
本明細書における「n」はノルマルを、「s」はセカンダリーを、「t」はターシャリーを表し、「o」はオルトを、「m」はメタを、「p」はパラを表す。「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Bu」はターシャリーブチル基を、「TMS」はトリメチルシリル基を、「thf」はテトラヒドロフランを表す。
本発明のアンモニアの製造方法、及び該製造方法に用いる式(1)で表されるモリブデン錯体の好適な実施形態を以下に示す。
本発明のアンモニアの製造方法及び製造装置の好適な実施形態を以下に示す。
式(1)で表されるモリブデン錯体において、
及びRは、各々独立して、炭素原子数3乃至6のアルキル基を表す。ここで、炭素原子数3乃至6のアルキル基の具体例としては、例えば、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、n-ヘ
キシル基、イソヘキシル基、及びシクロヘキシル基等が挙げられ、t-ブチル基が好ましい。
Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子を表す。ここで、Xはヨウ素原子及び塩素原子が好ましい。
及びRは、各々独立して、電子求引基を表す。電子求引基とは、電子吸引基、電子受容性基とも言われ、電子説(電子説は反応物質の電子密度や結合状態の変化に注目してできるだけ統一的に解釈しようとする理論をいう。)において、メソメリー効果や誘起効果により、水素原子と比較して結合電子側から電子を引き付ける置換基のことを表す。
本実施形態のアンモニアの製造方法においてのR及びRは、LUMOのエネルギー準位の値及び上記の請求項を満たす置換基であればよい。上記のLUMOのエネルギー準位の値を満たすR及びRの組み合わせであれば、R及びRが電子求引基であってよいし、Rが電子求引基の場合、Rは、水素原子であってもよい。
本実施形態のアンモニアの製造方法において、電子求引基としては、例えば、メソメリー効果は電子供与性であるが誘起効果の電子求引性の寄与が大きい置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、-CHCl又は-CH=CHNOが挙げられる。メソメリー効果及び誘起効果が電子求引性である置換基としては、アニオンを対イオンとする第四級アンモニウム基、トリフルオロメチル基、パーフルオロアルキル基、トリクロロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボン酸基、カルボニル(C1-6アルキル)基、カルボニル(C1-6アルコキシ)基、カルボニル(Ar6-10アリール)基、カルボニルアミノ基、カルボニル(C1-6アルキル)アミノ基、カルボニルジ(C1-6アルキル)アミノ基、スルホン酸基、スルホニルC1-6アルキル基、スルホニルAr6-10アリール基、スルホニルアミノ基、スルホニル(C1-6アルキル)アミノ基、スルホニルジ(C1-6アルキル)アミノ基、Ar6-10アリール基が挙げられる。
1-6アルキルは、炭素原子数1乃至6のアルキル基を表す。ここで、炭素原子数1乃至6のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
1-6アルコキシは、前記のC1-6アルキルが、酸素と結合した形の一価の基を表す。ここで、炭素原子数1乃至6のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、トリフルオロメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、t-ペントキシ基、1,1-ジメチルプロポキシ基、n-ヘキトキシ基、イソヘキトキシ基、シクロヘキトキシ基等が挙げられる。
Ar6-10アリールは、炭素原子数6乃至10の芳香族炭化水素の芳香環から水素をひとつ取り去った置換基を表し、例えばフェニル基、2位から6位の少なくとも1つに置換基を有するフェニル基、1-ナフチル基、2位から8位の少なくとも1つに置換基を有する1-ナフチル基、2-ナフチル基、1位及び3位から8位の少なくとも1つに置換基を有する2-ナフチル基等が挙げられる。Ar6-10アリールの芳香環上の置換基をしては、ハロゲン原子であるフルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。Ar6-10アリールの具体例と
しては、例えば、フェニル基、o-フルオロフェニル基、m-フルオロフェニル基、p-フルオロフェニル基、o-トリフルオロメチルフェニル基、m-フトリフルオロメチルフェニル基、p-トリフルオロメチルフェニル基、o-クロロフェニル基、m-クロロフェニル基、p-クロロフェニル基、o-ブロモフェニル基、m-ブロモフェニル基、p-ブロモフェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、o-エチルフェニル基、m-エチルフェニル基、p-エチルフェニル基、o-(t-ブチル)フェニル基、m-(t-ブチル)フェニル基、p-(t-ブチル)フェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、3,5-ビストリフルオロメチルフェニル基、3,4,5-トリフルオロフェニル基、o-メトキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、p-メトキシフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-フルオロナフタレン-1-イル基、3-フルオロナフタレン-1-イル基、4-フルオロナフタレン-1-イル基、5-フルオロナフタレン-1-イル基、6-フルオロナフタレン-1-イル基、7-フルオロナフタレン-1-イル基、8-フルオロナフタレン-1-イル基、2-クロロナフタレン-1-イル基、3-クロロナフタレン-1-イル基、4-クロロナフタレン-1-イル基、5-クロロナフタレン-1-イル基、6-クロロナフタレン-1-イル基、7-クロロナフタレン-1-イル基、8-クロロナフタレン-1-イル基、2-ブロモナフタレン-1-イル基、3-ブロモナフタレン-1-イル基、4-ブロモナフタレン-1-イル基、5-ブロモナフタレン-1-イル基、6-ブロモナフタレン-1-イル基、7-ブロモナフタレン-1-イル基、8-ブロモナフタレン-1-イル基、2-ヨードナフタレン-1-イル基、3-ヨードナフタレン-1-イル基、4-ヨードナフタレン-1-イル基、5-ヨードナフタレン-1-イル基、6-ヨードナフタレン-1-イル基、7-ヨードナフタレン-1-イル基、8-ヨードナフタレン-1-イル基、2-メチルナフタレン-1-イル基、3-メチルナフタレン-1-イル基、4-メチルナフタレン-1-イル基、5-メチルナフタレン-1-イル基、6-メチルナフタレン-1-イル基、7-メチルナフタレン-1-イル基、8-メチルナフタレン-1-イル基、2-エチルナフタレン-1-イル基、3-エチルナフタレン-1-イル基、4-エチルナフタレン-1-イル基、5-エチルナフタレン-1-イル基、6-エチルナフタレン-1-イル基、7-エチルナフタレン-1-イル基、8-エチルナフタレン-1-イル基、2-n-プロピルナフタレン-1-イル基、3-n-プロピルナフタレン-1-イル基、4-n-プロピルナフタレン-1-イル基、5-n-プロピルナフタレン-1-イル基、6-n-プロピルナフタレン-1-イル基、7-n-プロピルナフタレン-1-イル基、8-n- プロピルナフタレン-1-イル基、2-i-プロピルナフタレン-1-イル基、3-i-プロピルナフタレン-1-イル基、4-i-プロピルナフタレン-1-イル基、5-i-プロピルナフタレン-1-イル基、6-i-プロピルナフタレン-1-イル基、7-i-プロピルナフタレン-1-イル基、8-i-プロピルナフタレン-1-イル基、2-c-プロピルナフタレン-1-イル基、3-c-プロピルナフタレン-1-イル基、4-c-プロピルナフタレン-1-イル基、5-c-プロピルナフタレン-1-イル基、6-c-プロピルナフタレン-1-イル基、7-c-プロピルナフタレン-1-イル基、8-c-プロピルナフタレン-1-イル基、2-n-ブチルナフタレン-1-イル基、3-n-ブチルナフタレン-1-イル基、4-n-ブチルナフタレン-1-イル基、5-n-ブチルナフタレン-1-イル基、6-n-ブチルナフタレン-1-イル基、7-n-ブチルナフタレン-1-イル基、8-n-ブチルナフタレン-1-イル基、1-フルオロナフタレン-2-イル基、3-フルオロナフタレン-2-イル基、4-フルオロナフタレン-2-イル基、5-フルオロナフタレン-2-イル基、6-フルオロナフタレン-2-イル基、7-フルオロナフタレン-2-イル基、8-フルオロナフタレン-2-イル基、1-クロロナフタレン-2-イル基、3-クロロナフタレン-2-イル基、4-クロロナフタレン-2-イル基、5-クロロナフタレン-2-イル基、6-クロロナフタレン-2-イル基、7-クロロナフタレン-2-イル基、8-クロロナフタレン-2-イル基、1-ブロモナフタレン-2-イル基、3-ブロモナフタレン-2-イル基、4-ブロモナフタレン-2-イル基、5-ブロモナフタレン-2-イル基、6-ブロモナフタレン-2-イル基、7-ブロモナフタレン-2-イル基、8-ブロモナ
フタレン-2-イル基、1-ヨードナフタレン-2-イル基、3-ヨードナフタレン-2-イル基、4-ヨードナフタレン-2-イル基、5-ヨードナフタレン-2-イル基、6-ヨードナフタレン-2-イル基、7-ヨードナフタレン-2-イル基、8-ヨードナフタレン-2-イル基、1-メチルナフタレン-2-イル基、3-メチルナフタレン-2-イル基、4-メチルナフタレン-2-イル基、5-メチルナフタレン-2-イル基、6-メチルナフタレン-2-イル基、7-メチルナフタレン-2-イル基、8-メチルナフタレン-2-イル基、1-エチルナフタレン-2-イル基、3-エチルナフタレン-2-イル基、4-エチルナフタレン-2-イル基、5-エチルナフタレン-2-イル基、6-エチルナフタレン-2-イル基、7-エチルナフタレン-2-イル基、8-エチルナフタレン-2-イル基、1-n-プロピルナフタレン-2-イル基、3-n-プロピルナフタレン-2-イル基、4-n-プロピルナフタレン-2-イル基、5-n-プロピルナフタレン-2-イル基、6-n-プロピルナフタレン-2-イル基、7-n-プロピルナフタレン-2-イル基、8-n-プロピルナフタレン-2-イル基、1-i-プロピルナフタレン-2-イル基、3-i-プロピルナフタレン-2-イル基、4-i-プロピルナフタレン-2-イル基、5-i-プロピルナフタレン-2-イル基、6-i-プロピルナフタレン-2-イル基、7-i-プロピルナフタレン-2-イル基、8-i-プロピルナフタレン-2-イル基、1-c-プロピルナフタレン-2-イル基、3-c-プロピルナフタレン-2-イル基、4-c-プロピルナフタレン-2-イル基、5-c-プロピルナフタレン-2-イル基、6-c-プロピルナフタレン-2-イル基、7-c-プロピルナフタレン-2-イル基、8-c-プロピルナフタレン-2-イル基、1-n-ブチルナフタレン-2-イル基、3-n-ブチルナフタレン-2-イル基、4-n-ブチルナフタレン-2-イル基、5-n-ブチルナフタレン-2-イル基、6-n-ブチルナフタレン-2-イル基、7-n-ブチルナフタレン-2-イル基及び8-n-ブチルナフタレン-2-イル基等が挙げられる。
本実施形態の電子求引基において、第四級アンモニウム基の対イオンであるアニオンとしては、例えば、ヘキサフルオロホスファートイオン、ヘキサクロロアンチモナートイオン、トリフルオロメタンスルホナートイオン、テトラフルオロボラートイオン、ホスフェートイオン、スルホナートイオン、クロリド、ブロミド、ヨージド、ヒドロキシド等が挙げられる。
本実施形態の電子求引基において、第四級アンモニウム基のアンモニウムカチオンとしては、例えば、-NHカチオン、-Nモノ(C1-12アルキル)Hカチオン、-Nジ(C1-12アルキル)Hカチオン、-Nトリ(C1-12アルキル)カチオン、-Nモノ(Ar6-10アリール)Hカチオン、-Nジ(Ar6-10アリール)Hカチオン、-Nトリ(Ar6-10アリール)カチオン、-N(C1-12アルキル)(Ar6-10アリール)Hカチオン、-Nジ(C1-12アルキル)モノ(Ar6-10アリール)カチオン、又は-Nモノ(C1-12アルキル)ジ(Ar6-10アリール)カチオンが挙げられ、上記の「-」は結合を表す。
本実施形態の電子求引基において、第四級アンモニウム基のアンモニウムカチオンにおける、上記のC1-12アルキルは、各々独立して、炭素原子数1乃至12のアルキル基を表す。ここで、炭素原子数1乃至12のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-チル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、1-メチルヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、1,1,3-トリメチルヘキシル基、
1,1,3,3-テトラメチルペンチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、1-メチルウンデシル基、n-ドデシル基等が挙げられ、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基が好ましい。
本実施形態の電子求引基において、第四級アンモニウム基のアンモニウムカチオンにおける、上記のAr6-10アリールは、上記の記載と同じものが挙げられ、フェニル基、o-トリフルオロメチルフェニル基、m-フトリフルオロメチルフェニル基、p-トリフルオロメチルフェニル基、3,5-ビストリフルオロメチルフェニル基、3,4,5-トリフルオロフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基が好ましい。
本実施形態の電子求引基において、第四級アンモニウム基のアンモニウムカチオンとしては、例えば、-NHカチオン、-Nトリメチルカチオン、-Nトリエチルカチオン、-Nジメチルフェニルカチオンが好ましく、-NHカチオン及び-Nトリメチルカチオンがより好ましい。
本実施形態の電子求引基において、パーフルオロアルキル基としては、例えば、-CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CF10CF、-(CF11CF等が挙げられ、-CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF3、-(CFCF、-(CFCF及び-(CF11CFが好ましい。
本実施形態の電子求引基において、カルボニル(C1-6アルキル)基におけるC1-6アルキルは、上記の記載と同じものが挙げられ、カルボニル(C1-6アルキル)基の具体例としては、カルボニルメチル基、カルボニルトリフルオロメチル基、カルボニルエチル基、カルボニルn-プロピル基、カルボニルイソプロピル基、カルボニルn-ブチル基、カルボニルイソブチル基、カルボニルs-ブチル基、カルボニルt-ブチル基が好ましい。
本実施形態の電子求引基において、カルボニル(C1-6アルコキシ)基におけるC1-6アルコキシは、上記の記載と同じものが挙げられ、カルボニル(C1-6アルコキシ)基の具体例としては、カルボニルメトキシ基、カルボニルトリフルオロメトキシ基、カルボニルエトキシ基、カルボニルn-プロポキシ基、カルボニルイソプロポキシ基、カルボニルn-ブトキシ基、カルボニルイソブトキシ基、カルボニルs-ブトキシ基、カルボニルt-ブトキシ基が好ましい。
本実施形態の電子求引基において、カルボニル(Ar6-10アリール)基におけるAr6-10アリールは、上記の記載と同じものが挙げられ、カルボニル(Ar6-10アリール)基の具体例としては、カルボニルフェニル基、カルボニルo-トリフルオロメチルフェニル基、カルボニルm-フトリフルオロメチルフェニル基、カルボニルp-トリフルオロメチルフェニル基、カルボニル3,5-ビストリフルオロメチルフェニル基、カルボニル3,4,5-トリフルオロフェニル基、カルボニル1-ナフチル基及びカルボニル2-ナフチル基が好ましい。
本実施形態の電子求引基において、カルボニル(C1-6アルキル)アミノ基におけるC1-6アルキルは、上記の記載と同じものが挙げられ、カルボニル(C1-6アルキル)アミノ基の具体例としては、カルボニルメチルアミノ基、カルボニルトリフルオロメチ
ルアミノ基、カルボニルエチルアミノ基、カルボニルn-プロピルアミノ基、カルボニルイソプロピルアミノ基、カルボニルn-ブチルアミノ基、カルボニルイソブチルアミノ基、カルボニルs-ブチルアミノ基、カルボニルt-ブチルアミノ基が好ましい。
本実施形態の電子求引基において、カルボニルジ(C1-6アルキル)アミノ基におけるC1-6アルキルは、上記の記載と同じものが挙げられ、カルボニルジ(C1-6アルキル)アミノ基の具体例としては、カルボニルジメチルアミノ基、カルボニルビス(トリフルオロメチル)アミノ基、カルボニルジエチルアミノ基、カルボニルジn-プロピルアミノ基、カルボニルジイソプロピルアミノ基、カルボニルジn-ブチルアミノ基、カルボニルジイソブチルアミノ基、カルボニルジs-ブチルアミノ基、カルボニルジt-ブチルアミノ基が好ましい。
本実施形態の電子求引基において、スルホニルC1-6アルキル基におけるC1-6アルキルは、上記の記載と同じものが挙げられ、スルホニルC1-6アルキル基の具体例としては、スルホニルメチル基、スルホニルトリフルオロメチル基、スルホニルエチル基、スルホニルn-プロピル基、スルホニルイソプロピル基、スルホニルn-ブチル基、スルホニルイソブチル基、スルホニルs-ブチル基、スルホニルt-ブチル基が好ましく、スルホニルメチル基及びスルホニルトリフルオロメチル基がより好ましい。
本実施形態の電子求引基において、スルホニルAr6-10アリール基におけるAr6-10アリールは、上記の記載と同じものが挙げられ、スルホニルAr6-10アリール基の具体例としては、スルホニルフェニル基、スルホニルo-トリフルオロメチルフェニル基、スルホニルm-フトリフルオロメチルフェニル基、スルホニルp-トリフルオロメチルフェニル基、スルホニル3,5-ビストリフルオロメチルフェニル基、スルホニル3,4,5-トリフルオロフェニル基、スルホニル1-ナフチル基及びスルホニル2-ナフチル基が好ましい。
本実施形態の電子求引基において、スルホニル(C1-6アルキル)アミノ基におけるC1-6アルキルは、上記の記載と同じものが挙げられ、スルホニル(C1-6アルキル)アミノ基の具体例としては、スルホニルメチルアミノ基、スルホニルトリフルオロメチルアミノ基、スルホニルエチルアミノ基、スルホニルn-プロピルアミノ基、スルホニルイソプロピルアミノ基、スルホニルn-ブチルアミノ基、スルホニルイソブチルアミノ基、スルホニルs-ブチルアミノ基、スルホニルt-ブチルアミノ基が好ましい。
本実施形態の電子求引基において、スルホニルジ(C1-6アルキル)アミノ基におけるC1-6アルキルは、上記の記載と同じものが挙げられ、スルホニルジ(C1-6アルキル)アミノ基の具体例としては、スルホニルジメチルアミノ基、スルホニルビス(トリフルオロメチル)アミノ基、スルホニルジエチルアミノ基、スルホニルジn-プロピルアミノ基、スルホニルジイソプロピルアミノ基、スルホニルジn-ブチルアミノ基、スルホニルジイソブチルアミノ基、スルホニルジs-ブチルアミノ基、スルホニルジt-ブチルアミノ基が好ましい。
本実施形態の電子求引基において、Ar6-10アリール基は、上記の記載と同じものが挙げられ、Ar6-10アリール基の具体例としては、フェニル基、o-トリフルオロメチルフェニル基、m-フトリフルオロメチルフェニル基、p-トリフルオロメチルフェニル基、3,5-ビストリフルオロメチルフェニル基、3,4,5-トリフルオロフェニル基、1-ナフチル基及び2-ナフチル基が好ましい。
本実施形態のアンモニアの製造方法において、より好ましい電子求引基は、フッ素原子、塩素原子、-NHカチオン、-Nトリメチルカチオン、-Nトリエチルカチオン、-
Nジメチルフェニルカチオン、トリフルオロメチル基、-CFCF、-(CFCF、-(CFCF、-(CFCF3、-(CFCF、-(CFCF、-(CF11CF、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホニルメチル基及びスルホニルトリフルオロメチル基であり、さらにより好ましい電子求引基は、フッ素原子、塩素原子及びトリフルオロメチル基である。
本実施形態のアンモニアの製造方法において、還元剤としては、ランタノイド系金属のハロゲン化物(II)が挙げられ、ランタノイド系金属としては、La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及びLu等が挙げられ、このうちSmが好ましく、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、このうちヨウ素が好ましい。
ランタノイド系金属のハロゲン化物(II)としては、ハロゲン化サマリウム(II)が好ましく、ヨウ化サマリウム(II)がより好ましい。
本実施形態のアンモニアの製造方法において、プロトン源は、アルコール及び水が挙げられる。用いるアルコールとしては、グリコールを用いてもよいし、ROH(Rは水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい炭素原子数1乃至6の鎖状、環状又は分岐状のアルキル基、又は、アルキル基を有していてもよいフェニル基)を用いてもよい。
グリコールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコール等が挙げられる。
ROHは、例えば、鎖状又は分岐状のアルキルアルコールとして、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール、イソブチルアルコール及びt-ブチルアルコール等が挙げられ、環状のアルキルアルコールとしては、シクロプロパノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノール等が挙げられ、フッ素原子を含むアルコールとしては、トリフルオロエチルアルコール及びテトラフルオロエチルアルコール等が挙げられ、フェノール誘導体であるフェノール、クレゾール及びキシレノール等が挙げられる。
本実施形態のアンモニアの製造方法において、好ましいプロトン源は、水及びエチレングリコールであり、水がより好ましい。
本実施形態のアンモニアの製造方法において、窒素分子からアンモニアの製造を溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、特に限定するものではないが、環状エーテル系溶媒、鎖状エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒、炭化水素系溶媒、及び含ハロゲン炭化水素溶媒が挙げられる。環状エーテル系溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン及び1,4-ジオキサン等が挙げられる。鎖状エーテル系溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、及びシクロペンチルメチルエーテル等が挙げられる。ニトリル系溶媒としては、例えばアセトニトリル及びプロピオニトリル等が挙げられる。炭化水素系溶媒としては、例えばトルエン及びo-キシレン等の芳香族炭化水素、並びにヘキサン、ヘプタン、石油エーテル等などの飽和炭化水素等が挙げられる。含ハロゲン炭化水素溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等が挙げられる。本実施形態のアンモニアの製造方法において、好ましい溶媒は、テトラヒドロフランである。本実施形態のアンモニアの製造方法において、触媒に用いるモリブデン錯体を加える際に、好ましい溶媒は、ジクロロメタンである。
生成したアンモニアの収量は公知の方法により測定できる。硫酸水溶液中のアンモニアの定量は、例えば、公知のインドフェノール法(Analytical Chemistry,1967年,39巻,971-974ページ)を用いて行うことができる。
本実施形態のアンモニアの製造方法における式(1)
Figure 2023126984000003
で表されるモリブデン錯体のLUMOのエネルギー準位は、B3LYP/SDD(Mo),6-311(d)にて構造最適化し、密度汎関数法(Density Functional Theory,DFT)を利用して電子状態を計算した。密度汎関数法に関しては、例えば、GaussianプログラムのDFT方法を利用できる。
非特許文献の現代化学2019年,580巻,18-23ページの記載のアンモニア合成に関する反応機構を下記に示す。
Figure 2023126984000004
本発明の式(1)で表されるモリブデン錯体は、式(2)で表されるモリブデン錯体に還元され、窒素分子が配位することで触媒サイクルに入る。次に配位した窒素分子がもう一つのモリブデン錯体と二核で架橋した式(3)で表されるモリブデン錯体となり、窒素の架橋である窒素間の三重結合が式(3)の錯体上で切断されて、式(4)で表されるモリブデンニトリド錯体が生成して、その後、還元剤とプロトン源とが3回の反応することで、式(5)で表されるモリブデンイミド錯体、式(6)でモリブデンアミド錯体、式(7)で表されるモリブデンアンミン錯体の順番で生成し、その後、モリブデンアンミン錯体の窒素分子が配位子交換することで、アンモニアが生成して、式(2)で表されるモリブデン錯体が再生する触媒サイクルが回る反応機構が報告されている。
本発明のモリブデン錯体のLUMOのエネルギーと触媒活性を示すTOFとの相関関係を以下に説明する。上記の反応機構によると、式(1)で表されるモリブデン錯体が、式(2)で表されるモリブデン錯体になることでアンモニア合成の触媒サイクルが開始して回転する。よって、式(1)で表されるモリブデン錯体のLUMOのエネルギー準位が低いほど、該錯体の還元が容易であることから、式(2)で表されるモリブデン錯体が速く生成し、このため、反応の初期から触媒回転頻度のTOFが200(1/分)を超えるような高性能を得るものと推察される。
この推察の妥当性を確かめ証明するべく、モリブデン錯体のLUMOのエネルギーと触媒活性を示すTOFとの相関関係を、横軸にモリブデン錯体のLUMOのエネルギー、縦軸にアンモニア合成のTOF(1/分)の値をプロットした図を図1に示す。
而して、計算化学により導かれたモリブデン錯体のLUMOのエネルギー準位と、実験結果に基づく該モリブデン錯体の触媒活性との間には相関性があることを見出した。図1に示すように、R及びRに電子求引基を導入したモリブデン錯体、又はRに電子求引基を導入したモリブデン錯体は、電子求引基の影響で、LUMOのエネルギー準位が低下し、式(1’)で表されるモリブデン錯体が還元されやすくなり、式(2)で表されるモリブデン錯体が速く生成し、このため、反応の初期から触媒回転頻度のTOFが高い性能の錯体となることが実証された。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例は本発明を何ら限定するものではない。
[実験例1]
触媒としてモリブデン錯体(1a)
Figure 2023126984000005
を用いて、窒素分子からアンモニアを製造した。シュレンク反応容器に、モリブデン錯体(1a)の0.05mmol/Lのジクロロメタン溶液を調製した。常圧の窒素雰囲気下、反応容器に、触媒である該モリブデン錯体(1a)のジクロロメタン溶液(500μL、25nmol)と還元剤であるジヨードビス(テトラヒドロフラン)サマリウム(II)(397.6mg、0.725mmol、モリブデン錯体のモル数に対して29000当量)のテトラヒドロフラン溶液(5mL)を加え、次にプロトン源である水(13.1mg,0.725mmol,モリブデン錯体のモル数に対して29000当量)のテトラヒドロフラン溶液(1mL)を加え、室温である20~25℃にて30分間攪拌した。その後、反応を停止するため、水酸化カリウム水溶液(30質量%、5mL)を反応容器に加えた。次に本反応で発生したアンモニア量を定量するため、反応容器を減圧蒸留して蒸留液を硫酸水溶液(0.5M、10mL)にて回収した。該硫酸水溶液中のアンモニア量はインドフェノール法にて決定した。その結果、触媒(モリブデン錯体)当たり8000当量のアンモニアが生成した。触媒回転頻度であるTOFは、267(1/分)であった。
[比較例1~4]
比較例1~4では、触媒であるモリブデン錯体(1a)を変更して、比較例1ではモリブデン錯体(1c)を、比較例2ではモリブデン錯体(1d)を、比較例3ではモリブデン錯体(1e)を、比較例4ではモリブデン錯体(1f)を
Figure 2023126984000006
使用した以外の実験操作は、実験例1と同様の操作を行い、窒素分子からアンモニアを製造した。触媒として使用したモリブデン錯体当たりのアンモニア量とTOFの結果を表1に示す。
Figure 2023126984000007
[合成例1]
触媒として用いたモリブデン錯体(1a)の合成ルートを、下記に示し説明する。
Figure 2023126984000008
化合物(2a)の合成
Figure 2023126984000009
化合物(2a)の合成を以下に示す。反応容器にジ-tert-ブチルホスフィン(2.25g、14.9mmol)及びパラホルムアルデヒド(450mg、15.0mmol)を加え、窒素雰囲気下60℃で16時間攪拌した。その後、反応容器に、ジクロロエタン(150mL)及び式(5a)で表される1,2-ジアミノ-4,5-ジクロロベンゼン(1.07g、6.02mmol)を加えて、窒素雰囲気下60℃で24時間攪拌し
た。次に、セレン(1.26g、16.0mmol)を加えて、窒素雰囲気下室温である20~25℃にて24時間攪拌した。反応物を濃縮し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:ヘキサン=1/1)により分離した。回収したフラクションを濃縮し、真空下乾固することで化合物(2a)を白色固体として2.58g(3.97mmol、66%収率)で単離した。
融点=195.4~196.5℃
H NNR(CDCl):δ6.66(s,2H),4.85(br,2H),3.30(d,J=7.2Hz,4H),1.42(d,J=15.2Hz,36H).
13C NNR(CDCl):δ137.2(s),121.7(s),112.4(s),37.1(d,J=32.6Hz),34.6(d,J=40.3Hz),28.0(s).
31P NMR(CDCl):δ79.7(s with Se satellites,J=706.1Hz).
化合物(3a)の合成
Figure 2023126984000010
化合物(3a)の合成を以下に示す。反応容器に、化合物(2a)(2.48g、3.81mmol)、オルトギ酸トリエチル(10mL)及びヘキサフルオロリン酸アンモニウム(629mg、3.86mmol)を加えた後、空気下、120℃で3時間攪拌した。次に反応混合物を濃縮した後、ジクロロメタン(4mL)及びジエチルエーテル(8mL)からなる混合溶液を用いて2回洗浄し、更にジエチルエーテル(10mL)で1回洗浄した。この反応混合物を真空下で乾燥して、化合物(3a)を白色固体として2.49g(3.09mmol、81%収率)で単離した。
H NNR(Acetone-d):δ10.69(s,1H),8.69(s,2H),5.57(d,J=2.8Hz,4H),1.50(d,J=16.4Hz,36H).
13C NNR(Acetone-d):δ144.6(s),132.1(s),131.7(s),117.0(s),40.8(d,J=26.8Hz),39.2(d,J=30.7Hz),28.0(s).
31P NMR(Acetone-d):δ-143.9(seq,J=708.3Hz),83.1(s with Se satellites,J=732.3Hz).
化合物(4a)の合成
Figure 2023126984000011
化合物(4a)の合成を以下に示す。反応容器に、化合物(3a)(2.58g、3.
20mmol)、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン(1.5mL)及びジクロロメタン(40mL)を加えた後、窒素雰囲気下、室温である20~25℃にて4時間攪拌した。次に反応混合物を濃縮した後、トルエン(7mL)で3回洗浄し、この反応混合物を真空下で乾燥して、化合物(4a)を白色固体として1.83g(2.81mmol、88%収率)で単離した。
H NNR(THF-d):δ9.87(s,1H),9.87(s,1H),8.42(s,2H),4.81(s,4H),1.23(d,J=12.0Hz,36H).
13C NNR(THF-d):δ145.8(t,J=12.0Hz),132.5(s),131.7(s),117.1(d,J=6.7Hz),43.6(d,J=28.7Hz),32.8(d,J=20.1Hz),29.5(d,J=13.5Hz).
31P NMR(THF-d):δ-146.0(seq,J=711.9Hz),24.7(s).
モリブデン錯体(1a)の合成
Figure 2023126984000012
モリブデン錯体(1a)の合成を以下に示す。反応容器に化合物(4a)(1.30g、2.00mmol)、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(561mg、2.81mmol)及びトルエン(45mL)を加えた後、アルゴン雰囲気下、室温である20~25℃にて1時間攪拌した。次に、反応混合物をセライトにて濾過した後、トリクロロトリス(テトラヒドロフラン)モリブデン(III)(756mg、1.81mmol)を加えて、80℃で26時間攪拌した。更に、反応混合物を5mLまで濃縮し、濾紙を用いて濾過した後、真空下にて乾固させた。得られた固体をトルエン(5mL)で2回洗浄した後、ジクロロメタン(20mL)に溶解させた溶液を、セライトを用いて濾過をした。濾過した濾液に、ヘキサン(30mL)を静かに加えた後、5日間静置させて結晶を生成させた。該結晶を生成させた上澄み液を取り除き、ヘキサン(5mL)で3回洗浄した後、真空下で乾燥することでモリブデン錯体(1a)を茶色結晶として166.3mg(0.24mmol、13%収率)で単離した。
Anal.
Calcd. for C2542l5MoN
C,42.55; H,6.00; N,3.97,
Found:
C,41.66; H,5.68; N,3.20.
[合成例2~5]
モリブデン錯体(1c)~(1f)の合成は、非特許論文Nature 2019年,568巻,536-540ページの記載及び本明細書の[合成例1]の記載を参考に合成できる。
Figure 2023126984000013
各々のモリブデン錯体の合成に関しては、[合成例1]で用いた式(5a)で表される1,2-ジアミノ-4,5-ジクロロベンゼンの代わりに、
モリブデン錯体(1c)の合成は、1,2-ジアミノ-4,5-ジメチルベンゼンを用いて、
モリブデン錯体(1d)の合成は、1,2-ジアミノベンゼンを用いて、
モリブデン錯体(1e)の合成は、1,2-ジアミノ-4,5-ジフルオロベンゼンを用いて、
モリブデン錯体(1f)の合成は、1,2-ジアミノ-4-トリフルオロメチルベンゼンを用いて、
合成することができる。
[計算例1~6]
計算例1~6では、下記に記載のモリブデン錯体
Figure 2023126984000014
の構造を最適化し、電子状態を計算して、LUMOのエネルギー準位を求めた結果を表2に示す。
Figure 2023126984000015
本発明は、アンモニアの製造方法に利用可能である。

Claims (7)

  1. モリブデン錯体、還元剤及びプロトン源の存在下、窒素分子からアンモニアを製造する方法であって、
    前記モリブデン錯体は、式(1):
    Figure 2023126984000016
    (式(1)中、R及びRは、各々独立して、炭素原子数3乃至6のアルキル基を表し、
    Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子であり、
    及びRは、各々独立して、電子求引基を表す。)
    で表されるモリブデン錯体であり、
    該モリブデン錯体のLUMOのエネルギー準位が-2.6eVよりも低い値であり、
    前記プロトン源は、アルコール又は水である、
    アンモニアの製造方法。
  2. モリブデン錯体のLUMOのエネルギー準位が-2.8eVよりも低い値である請求項1に記載の製造方法。
  3. モリブデン錯体のLUMOのエネルギー準位が-3.0eVよりも高い値である請求項1または請求項2に記載の製造方法。
  4. LUMOのエネルギー準位が-2.6eVよりも低い値である、下式(1)
    Figure 2023126984000017
    (式(1)中、R及びRは、各々独立して、炭素原子数3乃至6のアルキル基を表し、
    Xはヨウ素原子、臭素原子又は塩素原子であり、
    及びRは、各々独立して、電子求引基を表す。
    ただし、RがFのとき、Rは、Fではなく、RがHのとき、RはCFではない。)
    で表されるモリブデン錯体。
  5. LUMOのエネルギー準位が-2.8eVよりも低い値である、請求項4に記載のモリブデン錯体。
  6. LUMOのエネルギー準位が-3.0eVよりも高い値である、請求項4または請求項5に記載のモリブデン錯体。
  7. TOFが200以上である、請求項4乃至請求項6のいずれ一項に記載のモリブデン錯体。
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