JP2023124534A - ワイヤ放電加工方法およびワイヤ放電加工機 - Google Patents

ワイヤ放電加工方法およびワイヤ放電加工機 Download PDF

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Abstract

【課題】ワイヤ放電加工の加工精度を向上させる。【解決手段】ワイヤ放電加工機は、被加工物Wの第1の方向に沿って第1の放電加工用電極線24aを走行させることにより、被加工物Wを一次加工する第1の走行機構21aと、第1の方向と反対方向となる被加工物Wの第2の方向に沿って第2の放電加工用電極線24bを走行させることにより、第1の放電加工用電極線を用いて加工された一次加工部を二次加工する第2の走行機構21bと、を備えている。【選択図】図1A

Description

本発明は、放電加工用電極線と被加工物との間で生じる放電により被加工物を加工するワイヤ放電加工技術に関する。
ワイヤ放電加工は、ワイヤ電極つまり放電加工用電極線(以下、電極線とも言う)を工具電極として、ワークつまり被加工物を目的の形状に放電加工を行う技術である。被加工物は、加工液が収容された加工槽の中に配置され、絶縁性を有する加工液の中で電極線と被加工物との間にアーク放電を発生させる。放電による熱エネルギーによって被加工物を部分的に消耗させることにより、被加工物は、切削加工される。消耗による断線を防ぐために、加工中においては、電極線は走行ローラにより被加工物に送り出されており、電極線の新しい部分が被加工物に対向する。
特許文献1は、複数本の電極線を有するワイヤ放電加工機を開示しており、それぞれ別の領域を同時に加工することができる。
特開2020-142315号公報
ワイヤ放電加工機において、電極線は、通常、被加工物の上面側の加工開始部から下面側の加工終了部に向けて被加工物に沿って一方向に走行移動しており、被加工物の下面側に電極線が走行するに伴って電極線の消耗が大きくなる。このため、上面側に比べて下面側では電極線の線径が細くなっている。電極線を水平方向に走行移動させるようにしたタイプのワイヤ放電加工機では、左右一方側の加工開始部から左右他方側の加工終了部に向けて被加工物に沿って電極線を走行移動させており、加工終了部において電極線の線径が細くなっている。
電極線の線径が走行に伴って消耗により細くなると、電極線と被加工物との間の距離は遠くなるので、放電のエネルギーが届きにくくなり、被加工物の溶融量も被加工物の加工開始部と加工終了部とで溶融量も異なってしまう。このため、被加工物の上下つまり加工開始部と加工終了部とで加工寸法差が発生し加工精度が低下する。加工寸法差の発生を防ぐために、ワイヤ放電加工機においては、電極線を微妙に傾けることで、電極線が消耗しても被加工物との距離が変わらないようにしている。このように、ワイヤ放電加工機の加工条件には、電極線を傾けるパラメータが含まれており、加工機の加工制御が複雑となっている。
本発明の目的は、ワイヤ放電加工の加工精度を向上させることにある。
本発明のワイヤ放電加工方法は、放電加工用電極線を用いて被加工物を加工するワイヤ放電加工方法であって、前記被加工物の第1の方向に沿って第1の放電加工用電極線を走行させることにより、前記被加工物を一次加工する第1の加工工程と、前記第1の方向と反対方向となる前記被加工物の第2の方向に沿って第2の放電加工用電極線を走行させることにより、前記第1の放電加工用電極線を用いて加工された一次加工部を二次加工する第2の加工工程と、を含む。
本発明のワイヤ放電加工機は、放電加工用電極線を用いて被加工物を加工するワイヤ放電加工機であって、前記被加工物の第1の方向に沿って第1の放電加工用電極線を走行させることにより、前記被加工物を一次加工する第1の走行機構と、前記第1の方向と反対方向となる前記被加工物の第2の方向に沿って第2の放電加工用電極線を走行させることにより、前記第1の放電加工用電極線を用いて加工された一次加工部を二次加工する第2の走行機構と、を備える。
本発明のワイヤ放電加工機は、放電加工用電極線を用いて被加工物を加工するワイヤ放電加工機であって、前記被加工物の第1の方向に沿って放電加工用電極線を走行させることにより、前記被加工物を一次加工し、前記第1の方向と反対方向となる前記被加工物の第2の方向に前記放電加工用電極線を走行させることにより前記一次加工により加工された一次加工部を二次加工する走行機構と、前記一次加工部が加工された後に、前記放電加工用電極線を前記第1の方向に走行させる位置から前記第2の方向に前記放電加工用電極線を走行させる位置に、前記走行機構を反転させる反転機構と、を有する。
被加工物に対して第1の方向に走行する第1の放電加工用電極線により加工された一次加工部は、第1の放電加工用電極線とは逆方向に走行する第2の放電加工用電極線により二次加工されるので、二次加工部は全体に渡ってほぼ同一の幅で加工され、ワイヤ放電加工の加工精度を向上させることができる。
一実施の形態であるワイヤ放電加工機を示す概略図である。 第1の加工工程の状態における図1Aのワイヤ放電加工機を示す概略図である。 第2の加工工程の状態における図1Aのワイヤ放電加工機を示す概略図である。 ワイヤ放電加工機の制御回路を示すブロック図である。 第1の加工工程における被加工物と第1の放電加工用電極線とを示す斜視図である。 第2の加工工程における被加工物と第2の放電加工用電極線とを示す斜視図である。 第1の加工工程における放電加工用電極線の消耗状態と被加工物の一次加工部とを示す斜視図である。 第2の加工工程における放電加工用電極線の消耗状態と被加工物の二次加工部とを示す斜視図である。 第1の加工工程の状態における他の実施の形態であるワイヤ放電加工機を示す概略図である。 図5Aに示した走行機構を反転させた状態のワイヤ放電加工機を示す概略図である。 第2の加工工程の状態における図5Aのワイヤ放電加工機を示す概略図である。 さらに他の実施の形態であるワイヤ放電加工機を示す概略図である。 図6に示すワイヤ放電加工機における被加工物と第一および第2の放電加工用電極線とを示す斜視図である。 さらに他の実施の形態であるワイヤ放電加工機を示す概略図である。
[ワイヤ放電加工機]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1A~図1Cに示すワイヤ放電加工機10aは、被加工物Wが搭載されるワーク台11を有している。ワーク台11は、加工液が収容される加工槽12の中に設置されており、被加工物Wは加工液に浸された状態で配置される。ワーク台11は、図において左右方向(X軸方向)に移動可能であるとともに、紙面に垂直な方向(Y軸方向)にも移動可能であり、ワーク台11は水平面に沿って移動可能である。
[第1の走行機構]
ワイヤ放電加工機10aは、第1の走行機構21aと第2の走行機構21bとを有し、第1の走行機構21aは、電極線供給側の支持フレーム22aと電極線駆動側の支持フレーム23aとを備えており、両方の支持フレーム22a,22bは図示しない連結部により一体となっている。第1の走行機構21aにおける支持フレーム22aは、被加工物Wの上側に配置され、支持フレーム23aは下側に配置されている。
上側の支持フレーム22aには、第1の放電加工用電極線(以下、第1の電極線とも言う)24aが巻き付けられたボビン25aが回転自在に装着されている。ボビン25aから繰り出された第1の電極線24aを被加工物Wに向けて案内するガイドダイス26aが支持フレーム22aに装着されている。ボビン25aとガイドダイス26aとの間に位置させて支持フレーム22aには、ガイドローラ27aが回転可能に装着され、ガイドローラ27aは、第1の電極線24aをガイドダイス26aに案内する。
第1の走行機構21aの下側の支持フレーム23aには、被加工物Wを介してガイドダイス26aに対向するガイドダイス31aが装着され、ガイドダイス31aには被加工物Wを加工した後の第1の電極線24aが挿入される。第1の電極線24aをボビン25aから繰り出して走行移動させるための走行用ローラ対32aが支持フレーム23aに回転可能に装着されている。ガイドダイス31aと走行用ローラ対32aとの間に位置させて支持フレーム23aには、ガイドローラ33aが回転可能に装着され、ガイドローラ33aは、第1の電極線24aを走行用ローラ対32aに案内する。
上述のように、第1の走行機構21aにおいては、ボビン25aが被加工物Wの上側に配置され、被加工物Wが水平方向に加工移動されるので、供給側のボビン25aから繰り出された第1の電極線24aは、被加工物Wの上下方向つまりZ軸方向のうち上方から下方に向けて走行移動する。Z軸方向の上から下に向かう方向を第1の方向とする。
[第2の走行機構]
第2の走行機構21bは、第1の走行機構21aと同様に、電極線供給側の支持フレーム22bと電極線駆動側の支持フレーム23bとを備えており、両方の支持フレーム22b,23bは、図示しない連結部により連結されている。第2の走行機構21bにおける支持フレーム22bは、第1の走行機構21aと相違して被加工物Wの下側に配置され、支持フレーム23bは、上側に配置されている。第2の走行機構21bの支持フレーム22bには、第2の放電加工用電極線(以下、第2の電極線とも言う)24bが巻き付けられたボビン25bが回転可能に装着されている。ボビン25bから繰り出された第2の電極線24bを被加工物Wに向けて案内するガイドダイス26bが支持フレーム22bに装着されている。ボビン25bとガイドダイス26bとの間に位置させて支持フレーム22bには、ガイドローラ27bが回転可能に装着され、ガイドローラ27bは、第2の電極線24bをガイドダイス26bに案内する。第2の電極線24bは、第1の電極線24aと同一の線径である。
第2の走行機構21bの上側の支持フレーム23bには、被加工物Wを介してガイドダイス26bに対向するガイドダイス31bが装着され、ガイドダイス31bには被加工物Wを加工した後の第2の電極線24bが挿入される。第2の電極線24bをボビン25bから繰り出して走行移動させるための走行用ローラ対32bが支持フレーム23bに回転可能に装着されている。ガイドダイス31bと走行用ローラ対32bとの間に位置させて支持フレーム23bには、ガイドローラ33bが回転可能に装着され、ガイドローラ33bは、第2の電極線24bを走行用ローラ対32bに案内する。
上述のように、第2の走行機構21bにおいては、ボビン25bが被加工物Wの下側に配置され、被加工物Wが水平方向に加工移動されるので、供給側のボビン25bから繰り出された第2の電極線24bは、被加工物Wの上下方向つまりZ軸方向のうちの下方から上方に向けて走行移動する。Z軸方向の下から上に向かう方向を第2の方向とする。第1の電極線24aの走行方向である第1の方向と、第2の電極線24bの走行方向である第2の方向は相互に反対方向である。
第1の走行機構21aの第1の電極線24aにより被加工物Wを加工するには、図1Bに示されるように、ボビン25aから第1の電極線24aの先端部をガイドダイス26aに向けて下方に繰り出す。繰り出された第1の電極線24aを結線用ワイヤ34aにより引き出して、第1の電極線24aを支持フレーム23aのガイドローラ33aに掛け渡すとともに走行用ローラ対32aに装着する。この状態のもとで、走行用ローラ対32aを回転駆動すると、第1の電極線24aは走行駆動されて走行用ローラ対32aに掛け渡される。
第2の走行機構21bの第2の電極線24bにより被加工物Wを加工するには、図1Cに示されるように、ボビン25bから第2の電極線24bの先端部をガイドダイス26bに向けて上方に繰り出す。繰り出された第2の電極線24bは、第1の電極線24aと同様に結線用ワイヤ34bにより引き出され、ガイドローラ33aに掛け渡たされる。これにより、走行用ローラ対32bを回転駆動すると、第2の電極線24bを走行駆動することができる。図1Aにおいては、第1の電極線24aの先端がガイドダイス26aの近傍にまで接近した状態が示され、第2の電極線24bの先端がガイドダイス26bの近傍にまで接近した状態が示されている。
図2は、ワイヤ放電加工機10aの制御回路を示すブロック図である。図2に示されるように、第1の走行機構21aの走行用ローラ対32aを回転駆動する第1の走行用モータ41aと、第2の走行機構21bの走行用ローラ対32bを回転駆動する第2の走行用モータ41bには、それぞれ制御部40から制御信号が送られる。ワーク台11をX軸方向に加工移動させるX軸方向移動用モータ42と、ワーク台11をY軸方向に加工移動させるY軸方向移動用モータ43には、それぞれ制御部40から制御信号が送られる。さらに、それぞれの電極線24a,24bと被加工物Wに電力を供給するための加工電源44は、制御部40により制御される。
操作盤45が制御部40に接続されており、操作盤45は、ワイヤ放電加工機10aの加工開始を指令するボタンやワーク台11の位置決め移動を指令するボタン等を備えている。制御部40は、制御プログラム、演算式、マップデータ等が格納されるメモリーと、制御信号を演算するプロセッサ等を有している。
ワーク台11とモータ42,43は、被加工物Wを電極線24a,24bに対して加工移動させる加工移動機構を構成している。ただし、被加工物Wの電極線24a,24bに対する加工移動は、相対的であればよく、電極線24a,24bを被加工物Wに対して加工移動させるようにしてもよい。
[ワイヤ放電加工方法]
被加工物Wを放電加工するときには、被加工物Wは、図1Aに示されるように、ワーク台11に搭載される。一方、第1の走行機構21aの第1の電極線24aは、ボビン25aから繰り出されて走行用ローラ対32aに装着される。被加工物Wの被加工部位は、ワーク台11をX-Yの2軸方向に移動することにより電極線24aに位置決めされる。この状態のもとで、ワーク台11は電極線24aに対して加工移動される。
[第1の加工工程]
図1Bは、被加工物Wを一次加工している状態、つまり第1の加工工程が行われている状態を示す。このときには、被加工物Wが加工槽12内の加工液の中に配置され、被加工物Wと電極線24aとが小さい間隙を介して対向した状態のもとで、加工電源44から被加工物Wと電極線24aに電力が印加される。
第1の加工工程においては、ワーク台11を加工移動させるとともに、第1の電極線24aを被加工物Wに対して上方から下方に向けて第1の方向に走行させる。これにより、被加工物Wと電極線24aとの間でアーク放電を繰り返すことにより、被加工物Wの加工部位が除去加工される。このときには、被加工物Wの上端面を電極線が接近する接近部とし、被加工物Wの下端面を電極線が通過する通過部とし、電極線24aは被加工物Wの接近部から通過部に沿って下方に走行移動する。電極線24aの各部位は、接近部から通過部に走行移動するに伴って、被加工物との間でアーク放電を発生させる。これにより、被加工物Wは加工されるとともに電極線24aも消耗して線径が減少する。
図3Aは、第1の電極線24aによる一次加工によって被加工物Wに一次加工部51が加工されている状態を示している。一次加工部51は、被加工物Wの加工移動方向先端の加工開始部51aからX軸方向に延びた部分51bと、Y軸方向に延びた部分51cと、さらにX軸方向に延びた部分51dとを有しており、それぞれの部分はZ軸方向に貫通している。ワーク台11を2軸方向に移動させることにより、一次加工部51が図3Aのように形成される。図3Aおよび図3Bにおいて、ワーク台11は、図示省略されており、被加工物Wのうち一次加工部51と干渉しない位置を支持する。
[第2の加工工程]
第1の電極線24aにより一次加工が完了し、一次加工部51が加工されたら、ワーク台11により被加工物Wを一次加工前の位置に戻し、第1の走行機構21aの電極線24aのうち加工処理を行った部分を除去する。一方、第2の走行機構21bの第2の電極線24bをボビン25bから繰り出して走行用ローラ対32bに装着する。次いで、一次加工部51を第2の電極線24bにより二次加工する。第2の加工工程においては、まず、一次加工部51の加工開始部51aの位置が第2の電極線24bの位置となるように、被加工物Wはワーク台11により位置決め移動される。
図1Cは、既に加工された一次加工部51を二次加工している状態、つまり、第2の加工工程が行われている状態を示す。このときには、電極線24aにより一次加工部51の加工と同様に、被加工物Wと電極線24bとが小さい間隙を介して対向した状態のもとで、加工電源44から被加工物Wと電極線24bに電力を印加する。
第2の加工工程においては、ワーク台11を第1の加工工程と同様に加工移動させるとともに、第2の電極線24bを被加工物Wに対して下方から上方に向けて第2の方向に走行させる。これにより、被加工物Wと電極線24bとの間でアーク放電を繰り返すことにより、被加工物Wの加工部位が除去加工される。このときには、被加工物Wの下端面を電極線が接近する接近部とし、被加工物Wの状端面を電極線が通過する通過部とし、電極線24bは、被加工物Wの接近部から通過部に沿って上方に走行移動する。電極線24bの各部位は、接近部から通過部に走行移動するに伴って、被加工物Wとの間でアーク放電を発生させる。これにより、被加工物Wは、加工されるとともに電極線24bも消耗して線径が減少する。第2の方向は、第1の方向の逆方向である。
図3Bは、第2の電極線24bによる二次加工によって被加工物Wに二次加工部52が加工されている状態を示している。二次加工部52は、一次加工部51を加工したときと同じように被加工物Wを加工移動することにより、一次加工部51をなぞるようにして、未加工の新たな電極線24bにより放電加工される。
[一次加工部]
図4Aは、第1の加工工程による放電加工用電極線24aの消耗状態と被加工物Wの一次加工部51とを示す斜視図であり、図4Bは、第2の加工工程における放電加工用電極線24bの消耗状態と被加工物Wの二次加工部52とを示す斜視図である。
図4Aに示すように、第1の加工工程において、第1の方向に走行移動する第1の電極線24aは、その未加工部が被加工物Wに最接近して放電を開始する部位を被加工物Wにおける接近部61aとし、走行移動に伴って被加工物Wから離れて放電が終了する部位を被加工物Wにおける通過部61bとする。接近部61aにまで走行移動した電極線24aの各部位は、通過部61bに走行するまでに消耗し、図4Aに示すように、通過部61bに向かうに従って線径ないし線幅が漸次小さくなる。電極線24aの加工前の線径をDとし、加工後の線径をdとすると、d<Dとなる。
一方、一次加工が終了した状態において、被加工物Wに接近部61aと通過部61bとの間で形成される一次加工部51は、接近部61aの幅寸法Eよりも通過部61bの幅寸法Fの方が狭くなる(F<E)。電極線24aが消耗によって通過部61bに向かうに従って線径が小さくなると、電極線24aと被加工物Wとの間の距離が遠くなり、被加工物の溶融量が少なくなるためである。したがって、一次加工部51の幅寸法は、図4Aに示すように、接近部61aから通過部61bに向けて漸次小さくなる。
[二次加工部]
第2の加工工程においては、図4Bに示すように、第2の電極線24bは第2の方向に走行移動するので、電極線24bの未加工部が被加工物Wに最接近して放電を開始する部位である接近部62aは、第1の電極線24aによる通過部61bである。そして、電極線24bが走行移動に伴って被加工物から離れて放電が終了する部位である通過部62bは、第1の電極線24aの接近部61aである。接近部62aにまで走行移動した電極線24bの各部位は、通過部62bに走行するまでに消耗し、図4Bに示すように、通過部62bに向かうに従って線径ないし線幅が漸次小さくなる。これは、一次加工部51を加工した第1の電極線24aと同様である。
一次加工部51は、上述のように、被加工物Wの接近部61aの幅寸法Eよりも通過部61bの幅寸法Fの方が狭くなっている。第2の加工工程においては、一次加工部51における幅の狭い方を二次加工の加工開始部である接近部62aとして、消耗していない電極線24bにより加工を行う。第2の電極線24bと一次加工部51の通過部61b側との間の距離は、接近部61a側との距離よりも小さいので、第2の電極線24bによる被加工物Wの加工量つまり除去量は、通過部61b側の方が多くなる。
したがって、被加工物Wの上部と下部はともに消耗のない電極線により加工が行われ、図4Bに示すように、二次加工部52の接近部62aにおける幅と通過部62bの幅は相互にほぼ同一の幅寸法Gになり、二次加工部52の接近部62aと通過部62bの加工寸法の誤差を小さくできる。このように、第2の加工工程は一次加工部51を仕上げ加工する仕上げ加工工程としての機能を有しており、ワイヤ放電加工の加工精度を向上させることができる。
第1の走行機構21aと第2の走行機構21bは相互にほぼ同一の構造であり、一次加工を行う走行機構を第1とし、二次加工を行う走行機構を第1の走行機構とは異なる第2としている。2つの走行機構21a,21bの何れにより、一次加工を行うかは任意であり、一次加工と二次加工とを異なる走行機構により行うのであれば、走行機構21bにより一次加工を行い、走行機構21aにより二次加工を行うことも可能である。
[他の実施の形態]
図5A~図5Cは、他の実施の形態であるワイヤ放電加工機10bを示す概略図である。このワイヤ放電加工機10bは、単一の走行機構21を有し、走行機構21は電極線供給用の供給側の支持フレーム22と電極線駆動用の駆動側の支持フレーム23とを備えており、両方の支持フレーム22,23は、連結部28により連結されている。
供給側の支持フレーム22には、放電加工用電極線(以下、電極線とも言う)24が巻き付けられたボビン25が回転自在に装着されている。ボビン25から繰り出された電極線24を被加工物Wに向けて案内するガイドダイス26が支持フレーム22に装着されている。ボビン25とガイドダイス26との間に位置させて供給側の支持フレーム22には、ガイドローラ27が回転可能に装着され、ガイドローラ27は、電極線24をガイドダイス26aに案内する。
駆動側の支持フレーム23には、被加工物Wを介してガイドダイス26に対向するガイドダイス31が装着され、ガイドダイス31には、被加工物Wを加工した後の電極線24が挿入される。電極線24をボビン25から繰り出して走行移動させるための走行用ローラ対32が支持フレーム23に回転可能に装着されている。ガイドダイス31と走行用ローラ対32との間に位置させて駆動側の支持フレーム23には、ガイドローラ33が回転可能に装着され、ガイドローラ33は、電極線24を走行用ローラ対32に案内する。
反転機構35が、図5Bに矢印で示すように、走行機構21に設けられており、反転機構35は、走行機構21の供給側の支持フレーム22と駆動側の支持フレーム23の上下関係を反転させる。したがって、反転機構35により、図5Aで示すように、電極線24を被加工物Wの上から下に走行させる第1の方向と、図5Cで示すように、電極線24を被加工物Wの下から上に走行させる第2の方向との何れかに、走行機構21を反転させることができる。
このワイヤ放電加工機10bにおいては、図5Aに示すように、ワーク台11により被加工物Wを加工移動させながら、被加工物Wよりも上側の位置のボビン25から電極線24を繰り出して第1の方向に走行させて第1の加工工程を行う。これにより、上述したワイヤ放電加工機10aと同様に、被加工物Wに一次加工部51が加工される。一次加工部51の加工が完了した後に、図5Bに示すように、ワーク台11により被加工物Wの加工開始部51aを加工開始前の位置に戻す。この状態のもとで、反転機構35により支持フレーム22,23の上下を反転させる。
図5Cは走行機構21を反転させた状態として、電極線24により第2の加工工程を行っている状態のワイヤ放電加工機10bを示す。第2の加工工程においては、ボビン25から繰り出された未使用の電極線24により、上述したワイヤ放電加工機10aと同様に、一次加工部51を加工して被加工物Wに仕上げ加工として二次加工部52を複合的に形成する。
図6は、さらに他の実施の形態であるワイヤ放電加工機10cを示す概略図である。図7は、図6に示すワイヤ放電加工機10cにおける被加工物Wと、第1および第2の放電加工用電極線24a,24bとを示す斜視図である。
ワイヤ放電加工機10cは、ワイヤ放電加工機10aと同様に、第1の走行機構21aと第2の走行機構21bとを備えている。それぞれの走行機構21a,21bの構造は、ワイヤ放電加工機10aと同一であり、重複した説明を省略する。
ワイヤ放電加工機10cにおいては、図6および図7に示すように、第1の方向に走行する走行機構21aの第1の電極線24aにより一次加工部51の加工が完了する前に、第2の方向に走行する走行機構21bの第2の電極線24bにより一次加工部51が二次加工されて二次加工部52が加工される。ワイヤ放電加工機10cは、第1の加工工程が完了する前に第2の加工工程が開始されるので、加工効率を高めることができる。
図7に示すように、被加工物Wには、予めスタート穴53が形成されており、第1加工工程と第2加工工程は、それぞれスタート穴53に電極線24a,24bを貫通させた後に開始される。なお、上述したワイヤ放電加工機10a,10b,10cにおいても、スタート穴が予め形成された被加工物を加工することができる。
図8は、さらに他の実施の形態であるワイヤ放電加工機10dを示す概略図である。このワイヤ放電加工機10dは、図6に示したワイヤ放電加工機10cと同様に、第1の走行機構21aと第2の走行機構21bとを備えている。それぞれの走行機構21a,21bの構造は、ワイヤ放電加工機10cと同一であり、重複した説明を省略する。
ワイヤ放電加工機10cにおける第1の走行機構21aと第2の走行機構21bは、相互に向き合うように配置されているのに対し、図8に示すワイヤ放電加工機10dにおいては、2つの走行機構21a,21bがワーク台11の加工移動方向に対して同一側に重なり合うように配置されている。ワイヤ放電加工機10dは、図6に示すワイヤ放電加工機10cと同様に、第1の電極線24aによる第1の加工工程が完了する前に、第2の電極線24bによる第2の加工工程を開始することができる。
それぞれのワイヤ放電加工機10b~10dにおいても、被加工物Wの上部と下部は、ともに消耗のない電極線により加工が行われ、図4Bに示すように、二次加工部52の接近部62aにおける幅と通過部62bの幅は相互にほぼ同一の幅寸法Gになり、二次加工部52の接近部62aと通過部62bの加工寸法の誤差を小さくできる。これにより、ワイヤ放電加工機10b~10dでは、ワイヤ放電加工の加工精度を向上させることができる。
上述したワイヤ放電加工機10c,10dにおいては、ワイヤ放電加工機10aと同様に、走行機構21bにより一次加工を行うようにしてもよい。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述したワイヤ放電加工機10a~10dにおいては、被加工物Wを水平方向に加工移動し、電極線を上下方向に走行移動するようにしているが、被加工物Wを上下方向ないし傾斜方向に加工移動するようにしてもよい。その場合には、被加工物を横切るように、電極線を水平方向ないし傾斜方向に走行移動させる。電極線を水平方向に走行移動させる場合には、左右一方側から第1の電極線を走行移動させ、左右方向他方側から第2の電極線を走行移動させる。
10a~10d ワイヤ放電加工機
11 ワーク台
12 加工槽
21 走行機構
21a 第1の走行機構
21b 第2の走行機構
22,22a,22b 支持フレーム
23,23a,23b 支持フレーム
24 放電加工用電極線
24a 第1の放電加工用電極線
24b 第2の放電加工用電極線
25,25a,25b ボビン
26,26a,26b ガイドダイス
31,31a,31b ガイドダイス
32,32a,32b 走行用ローラ対
35 反転機構
51 一次加工部
52 二次加工部

Claims (10)

  1. 放電加工用電極線を用いて被加工物を加工するワイヤ放電加工方法であって、
    前記被加工物の第1の方向に沿って第1の放電加工用電極線を走行させることにより、前記被加工物を一次加工する第1の加工工程と、
    前記第1の方向と反対方向となる前記被加工物の第2の方向に沿って第2の放電加工用電極線を走行させることにより、前記第1の放電加工用電極線を用いて加工された一次加工部を二次加工する第2の加工工程と、
    を含む、ワイヤ放電加工方法。
  2. 前記第2の加工工程は、前記第1の加工工程が完了した後に開始される、請求項1に記載のワイヤ放電加工方法。
  3. 前記第2の加工工程は、前記第1の加工工程が完了する前に開始される、請求項1に記載のワイヤ放電加工方法。
  4. 前記第2の放電加工用電極線は、前記第1の放電加工用電極線を前記被加工物へ供給する走行機構と異なる走行機構によって前記被加工物の第2の方向へ供給される、
    請求項1または2に記載のワイヤ放電加工方法。
  5. 前記第2の放電加工用電極線は、前記第1の放電加工用電極線を前記被加工物へ供給する走行機構と同じ走行機構によって前記被加工物の第2の方向へ供給される、
    請求項1または2に記載のワイヤ放電加工方法。
  6. 放電加工用電極線を用いて被加工物を加工するワイヤ放電加工機であって、
    前記被加工物の第1の方向に沿って第1の放電加工用電極線を走行させることにより、前記被加工物を一次加工する第1の走行機構と、
    前記第1の方向と反対方向となる前記被加工物の第2の方向に沿って第2の放電加工用電極線を走行させることにより、前記第1の放電加工用電極線を用いて加工された一次加工部を二次加工する第2の走行機構と、
    を備える、ワイヤ放電加工機。
  7. 前記第2の走行機構は、前記第1の放電加工用電極線による被加工物の一次加工が完了した後に、前記一次加工部を前記第2の放電加工用電極線により二次加工する、請求項6に記載のワイヤ放電加工機。
  8. 前記第2の走行機構は、前記第1の放電加工用電極線による被加工物の一次加工が完了する前に、前記一次加工部を前記第2の放電加工用電極線により二次加工する、請求項6に記載のワイヤ放電加工機。
  9. 放電加工用電極線を用いて被加工物を加工するワイヤ放電加工機であって、
    前記被加工物の第1の方向に沿って放電加工用電極線を走行させることにより、前記被加工物を一次加工し、前記第1の方向と反対方向となる前記被加工物の第2の方向に前記放電加工用電極線を走行させることにより前記一次加工により加工された一次加工部を二次加工する走行機構と、
    前記一次加工部が加工された後に、前記放電加工用電極線を前記第1の方向に走行させる位置から前記第2の方向に前記放電加工用電極線を走行させる位置に、前記走行機構を反転させる反転機構と、
    を有する、ワイヤ放電加工機。
  10. 前記被加工物と前記放電加工用電極線とを加工移動方向に沿って相対的に移動させる加工移動機構を有する、請求項6~9のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工機。
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