(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る内視鏡用穿刺針1を備えた生検システム150について、図1から図10を参照して説明する。図1は本実施形態に係る内視鏡用穿刺針1を備えた生検システム150の全体図である。
[生検システム150]
生検システム150は、図1に示すように、生検に必要な体組織を採取するために使用される医療機器である。生検システム150は、超音波内視鏡100と、内視鏡用穿刺針1(以下、単に「穿刺針1」と称する。)とを備える。
[超音波内視鏡100]
超音波内視鏡100は、図1に示すように、先端から体内に挿入される挿入部101と、挿入部101の基端に取り付けられた操作部109と、操作部109の側部に一端が接続されたユニバーサルコード112と、ユニバーサルコード112の他端に分岐ケーブル112aを介して接続された光源装置113と、ユニバーサルコード112の他端に分岐ケーブル112bを介して接続された光学的観察部114と、ユニバーサルコード112の他端に分岐ケーブル112cを介して接続された超音波観察部115とを備える。
挿入部101は、先端硬質部102、能動湾曲部105および可撓管部106が先端側からこの順に並べて設けられている。
先端硬質部102は、光学的観察を行うための光学撮像機構103と、超音波観察を行うための超音波走査機構104とを備える。
光学撮像機構103は、先端硬質部102の斜め前方に視野が向けられた撮像光学系と、撮像光学系を通じて入射した被写体の像を検出するCCDやCMOSなどのイメージセンサと、イメージセンサの動作を制御するCPU等とを備える。
超音波走査機構104は、超音波を出射し、受信する図示しない超音波振動子を備える。超音波走査機構104は、超音波振動子が発した超音波が観察対象に当たって反射した反射波を超音波振動子によって受信し、超音波振動子が受信した超音波に基づいた信号を超音波観察部115へ出力する。
能動湾曲部105は、筒状をなす複数の関節が挿入部101の中心線方向に並べて連結されてなる筒状部材である。能動湾曲部105は、能動湾曲部105の先端に固定され操作部109まで延びる図示しないアングルワイヤを操作部109において牽引操作することによって、所定の方向へ湾曲する能動湾曲部である。本実施形態の能動湾曲部105は、超音波の走査方向に沿って2方向に湾曲可能である。
可撓管部106は、管腔組織内や体腔内において先端硬質部102を所望の位置に案内できるように柔軟に形成された筒状部材である。能動湾曲部105と可撓管部106とのそれぞれの内部には、チャンネル107と、送気送水や吸引などを行うための図示しない管路とが設けられている。
チャンネル107は、図1に示すように、穿刺針1を挿通可能な筒状部である。チャンネル107の先端は先端硬質部102の先端で開口され、チャンネル107の基端は操作部109の先端側の側面に開口されている。
操作部109は、図1に示すように、超音波内視鏡100を使用する術者が手に持つことができるように形成された外面を有している。操作部109は、アングルワイヤを牽引して能動湾曲部105を湾曲動作させたり、起上用ワイヤを牽引して起上台108を動作させたりするための湾曲操作機構110と、管路を通じて送気、送水、あるいは吸引をするための複数のスイッチ111とを備えている。
光源装置113は、光学撮像機構103によって撮像するための照明光を発するための装置である。
光学的観察部114は、光学撮像機構103のイメージセンサによって撮像された映像をモニター116に映し出すように構成されている。
超音波観察部115は、超音波走査機構104から出力された信号を受信し、この信号に基づいて画像を生成してモニター116に映し出すようになっている。
[穿刺針1]
図2は、穿刺針1の斜視図である。図3は、穿刺針1の先端部分において穿刺針1の長手軸に沿った断面を示す縦断面図である。
穿刺針1は、図2に示すように、挿入体2と、操作部8と、スタイレット27とを備える。
[挿入体2]
挿入体2は、超音波内視鏡100のチャンネル107に挿通可能な細長い部材である。挿入体2は、図2および図3に示すように、針管3と、シース7とを備える。
図4は、針管3の斜視図である。図5は、針管3の側面図である。図6は、針管3を軸方向Aの先端から見た正面図であり、長手軸方向において等間隔に断面を配列し、各刃面の断面の向きの変化を模式的に示した図である。図6に示す一点破線は、軸方向Aに等間隔に配列する軸方向Aと垂直な断面と、第一刃面33、第二刃面34、第三刃面35および第四刃面36との交線を表している。図7は、図5に示すX-X断面における針管3の断面図である。図8は、図5に示すY-Y断面における針管3の断面図である。
針管3は、図4に示すように、管状の管状部30と、管状部30の先端に設けられた第一針先部31および第二針先部32と、を備える。針管3は、操作部8によりシース7内で進退操作可能である。針管3の先端には、第一針先部31および第二針先部32に穿刺された組織を、針管3の内部へ入り込む入口となる開口4が形成されている。針管3の第一針先部31および第二針先部32は、シース7の先端部分の開口から突没可能である。
針管3の材質としては、可撓性を有しているとともに、外力により曲げられても容易に直線状態に復元する弾性を有する材質であることが好ましい。例えば、針管3の材料としては、ステンレス合金、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金などの合金材料を採用することができる。
第一針先部31は、図4から図6に示すように、第一刃面33と第二刃面34とを有し、第一刃面33と第二刃面34は、鋭利な第一針先31aに向かって延びている。針管3の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第一刃面33と第二刃面34とは、図6に示すように、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに対して対称な形状である。なお、第一刃面33および第二刃面34は平面であっても良いし、僅かに曲面に加工されていてもよい。
第一針先部31の外周面31eは、管状部30の外周面30eと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率を有する。また、第一針先部31の内周面31iは、管状部30の内周面30iと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率を有する。第一針先部31は、例えば、管状部30の一部を切り落として第一刃面33と第二刃面34を形成する。
第二針先部32は、図4から図6に示すように、第三刃面35と第四刃面36とを有し、第三刃面35と第四刃面36は、鋭利な第二針先32aに向かって延びている。第一針先31aと第二針先32aとは、針管3の軸方向Aに延びる中心軸Oに対して対称な位置に配置されている。針管3の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第三刃面35と第四刃面36とは、図6に示すように、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに対して対称な形状である。なお、第三刃面35および第四刃面36は平面であっても良いし、僅かに曲面に加工されていてもよい。
第二針先部32の外周面32eは、管状部30の外周面30eと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。また、第二針先部32の内周面32iは、管状部30の内周面30iと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。第二針先部32は、例えば、管状部30の一部を切り落として第三刃面35と第四刃面36を形成する。
第一針先部31と第二針先部32とは、図4および図5に示すように、第一刃面33と第二刃面34と第三刃面35と第四刃面36とに囲まれた開口4を形成する。開口4は、管状の管状部30の内部空間に連通する。
図4から図6に示すように、第一刃面33と第三刃面35とは、開口4の縁の第一基端38で連なる。第二刃面34と第四刃面36とは、開口4の縁の第二基端39で連なる。
第一針先部31と第二針先部32において、図5に示すように、第一針先31aおよび第二針先32aを含む先端領域Z1と、第一基端38および第二基端39を含む基端領域Z3と、先端領域Z1と基端領域Z3の間に位置し、先端領域Z1と基端領域Z3に連なる中間領域Z2と、を定義する。
(第一針先部31の第一刃面33および第二刃面34)
第一刃面33は、図4および図7に示すように、第一針先部31の内周面31iとの交線(第一内側交線33c)が開口4の輪郭の一部を規定する。第二刃面34は、第一針先部31の内周面31iとの交線(第二内側交線34c)が開口4の輪郭の一部を規定する。
図7に示すように、針管3(管状部30)の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1における第一刃面33の法線ベクトル33nは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第三刃面35側に向いている。同様に、同正面視において、先端領域Z1における第二刃面34の法線ベクトル34nは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第四刃面36側に向いている。
さらに、図8に示すように、中間領域Z2における第一刃面33の法線ベクトル33nも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第三刃面35側に向いている。さらに、中間領域Z2における第二刃面34の法線ベクトル34nも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第四刃面36側に向いている。
好ましくは、中間領域Z2における第一刃面33の法線ベクトル33nは、図8に示すように第一針先31aおよび第二針先32aを結ぶ直線Vに対して鋭角になる方向に向く 。また、中間領域Z2における第二刃面34の法線ベクトル34nは、第一針先31aおよび第二針先32aを結ぶ直線Vに対して鋭角になる方向に向く。
好ましくは、第一刃面33の法線ベクトル33nおよび第二刃面34の法線ベクトル34nは、図6および図7に示すように、先端領域Z1において、管状部30の円周方向Cと比較して、中心軸Oに近づく方向を向いている。
図5に示すように、第一刃面33と第二刃面34との交線(第一先端交線31b)は、第一針先部31の内周面31iの先端から第一針先31aまで延びている。なお、第一先端交線31bは、好ましくは、針管3の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において直線V上に位置している。
第一刃面33と外周面31eとが交差する交線(第一外側交線33b)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第一外エッジ33bである。図6から図8に示すように、第一外エッジ33bにおける第一刃面33と外周面31eとのなす角度θ1は、針管3の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1において鋭角であり、中間領域Z2に近づくほど角度θ1が大きくなり、中間領域Z2において鈍角をなす。
第一刃面33と内周面31iとが交差する交線(第一内側交線33c)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第一内エッジ33cである。図7および図8に示すように、第一内エッジ33cにおける第一刃面33と内周面31iとのなす角度θ2は、針管3の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1では鈍角であり、中間領域Z2では鋭角である。
第二刃面34と外周面31eとが交差する交線(第二外側交線34b)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第二外エッジ34bである。図7および図8に示すように、第二外エッジ34bにおける第二刃面34と外周面31eとのなす角度θ3は、針管3の軸方向に沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1では鋭角であり、中間領域Z2に近づくほど角度θ3が大きくなり、中間領域Z2では鈍角をなす。
第二刃面34と内周面31iとが交差する交線(第二内側交線34c)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第二内エッジ34cである。図7および図8に示すように、第二内エッジ34cにおける第二刃面34と内周面31iとのなす角度θ4は、針管3の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1では鈍角であり、中間領域Z2では鋭角である。
(第二針先部32の第三刃面35および第四刃面36)
第三刃面35は、図4および図7に示すように、第二針先部32の内周面32iとの交線(第三内側交線35c)が開口4の輪郭の一部を規定する。第四刃面36は、第二針先部32の内周面32iとの交線(第四内側交線36c)が開口4の輪郭の一部を規定する。
図7に示すように、針管3の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1における第三刃面35の法線ベクトル35nは、第一針先31aと第二針先32aを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第一刃面33側に向いている。同様に、同正面視において、先端領域Z1における第四刃面36の法線ベクトル36nは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第二刃面34側に向いている。
さらに、図8に示すように、中間領域Z2における第三刃面35の法線ベクトル35nも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第一刃面33側に向いている。さらに、中間領域Z2における第四刃面36の法線ベクトル36nも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第二刃面34側に向いている。
好ましくは、中間領域Z2における第三刃面35の法線ベクトル35nは、図6から図8に示すように第一針先31aおよび第二針先32aを結ぶ直線Vに対して鋭角になる方向に向く。また、中間領域Z2における第四刃面36の法線ベクトル36nは、第一針先31aおよび第二針先32aを結ぶ直線Vに対して鋭角になる方向に向く。
好ましくは、第三刃面35の法線ベクトル35nおよび第四刃面36の法線ベクトル36nは、図6および図7に示すように、先端領域Z1において、管状部の30の円周方向Cと比較して、中心軸Oに近づく方向を向いている。
図5に示すように、第三刃面35と第四刃面36との交線(第二先端交線32b)は、第二針先部32の内周面32iの先端から第二針先32aまで延びている。なお、第二先端交線32bは、好ましくは、針管3の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において直線V上に位置している。
第三刃面35と外周面32eとが交差する交線(第三外側交線35b)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第三外エッジ35bである。図6から図8に示すように、第三外エッジ35bにおける第三刃面35と外周面32eとのなす角度θ5は、針管3の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1では鋭角であり、中間領域Z2に近づくほど角度θ5が大きくなり、中間領域Z2において鈍角をなす。
第三刃面35と内周面32iとが交差する交線(第三内側交線35c)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第三内エッジ35cである。図7および図8に示すように、第三内エッジ35cにおける第三刃面35と内周面32iとのなす角度θ6は、針管3の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1では鈍角であり、中間領域Z2では鋭角である。
第四刃面36と外周面32eとが交差する交線(第四外側交線36b)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第四外エッジ36bである。図7および図8に示すように、第四外エッジ36bにおける第四刃面36と外周面32eとのなす角度θ7は、針管3の軸方向に沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1では鋭角であり、中間領域Z2に近づくほど角度θ7が大きくなり、中間領域Z2では鈍角をなす。
第四刃面36と内周面32iとが交差する交線(第四内側交線36c)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第四内エッジ36cである。図7および図8に示すように、第四内エッジ36cにおける第四刃面36と内周面32iとのなす角度θ8は、針管3の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1では鈍角であり、中間領域Z2では鋭角である。
シース7は、図3に示すように、好ましくはアウターシース71と、インナーシース74とを備える。
アウターシース71は、例えば金属製の素線が長手軸を中心軸としてコイル状に巻かれたコイル体72と、コイル体72の先端に固定された筒状の先端チップ73とを備える。
コイル体72は、先端と基端を有し、その先端と基端の間においてチャンネル107に挿入可能な外径と、長手軸の延びた内部空間72aを有する。コイル体72を構成する素線は、材質としてはステンレス鋼、形状記憶合金、又は超弾性合金等、形状としては断面円形や断面矩形等、コイル体72の曲がりやすさや復元力に着目して適切に選択される。
先端チップ73は、コイル体72の先端面に固定され、針管3を挿通可能な貫通孔が形成された筒状部材である。
インナーシース74は、例えば先端74aと基端とを有する樹脂製の筒状部材である。インナーシース74は、コイル体72の内部空間72aにおいてコイル体72の中心軸と略同軸に設けられている。また、インナーシース74は、内周面74cと外周面74dを有し、内周面74cは針管3が挿入可能な挿通路を形成し、外周面74dは、コイル体72の内部空間72aにおいて、インナーシース74の先端74aと基端の間でコイル体72の隣り合う素線同士を跨って配置されている。この外周面74dは、インナーシース74の先端74aと基端の間でコイル体72が湾曲した際に生じる素線間の隙間をコイル体72の内側から覆う。そのため、インナーシース74は、コイル体72に対してはカバー部材として機能する。インナーシース74の先端74aは、先端チップ73に固定されている。インナーシース74の基端は、操作部109まで延びている。
インナーシース74の全長のうち、インナーシース74の先端74aと先端チップ73との固定箇所よりも近位側では、インナーシース74はアウターシース71に対して摺動自在である。
なお、シース7は、コイル状のアウターシース71と樹脂製のインナーシース74の二重構造であるが、いずれか一方のみで構成されていてもよい。
[操作部8]
操作部8は、図2に示すように、シース7の基端部に設けられた操作本体9と、操作本体9に連結された取付アダプタ18と、操作本体9の基端側において、針管3の基端部に連結された針スライダ23とを備える。
操作本体9は、針管3およびシース7が挿通可能な管腔を有する。操作本体9の先端側には、取付アダプタ18が取り付けられている。操作本体9の基端側は、管状に形成された針スライダ23に挿入されている。操作本体9と取付アダプタ18、および操作本体9と針スライダ23は、外周面に形成された図示しない溝あるいは凸部等が互いに係合することにより、軸線まわりの相対回転が抑制されつつ軸線方向に摺動可能である。
針スライダ23は、操作本体9に対して係止された第1の位置から、操作本体9の拡径した部分に当接されたストッパ61に当接する第2の位置まで移動可能である。操作者が、第1の位置と第2の位置との間で針スライダ23を移動させる過程で、針管3の先端は、シース7の先端から突没可能に構成されている。
取付アダプタ18は、超音波内視鏡100のチャンネル107の先端からのシース7の突出量を調整できるように、操作本体9に対して移動可能に連結されている。取付アダプタ18の先端部は、超音波内視鏡100の基端口金107bに着脱可能である。
針スライダ23は、針管3の基端に固定されている。また、針スライダ23は、操作本体9に対して移動可能となるように操作本体9に連結されている。針管3の基端側は、シース7の基端から突出して針スライダ23に固定されているため、針スライダ23を操作本体9に対して摺動することで、シース7の先端から針管3を突没させることができる。
針スライダ23は、図2に示すように、ストッパ61と接触する位置までしか操作本体9に対して前進できなくなるように、ストッパ61により移動が規制される。操作本体9に対するストッパ61の固定位置を調節することで、針管3のシース7からの最大突出長を調節することができる。
操作本体9の基端側に針スライダ23が限界まで移動した位置に針スライダ23がある状態が、穿刺針1の使用開始前における初期状態である。初期状態では、針管3の先端はシース7内にある。
[スタイレット27]
スタイレット27は、針スライダ23の基端部に取り付けられている。スタイレット27は、針管3の内部に挿通される針状部材である。スタイレット27の先端は、針状に限られず、スタイレット27の長手軸に対して交差する面に沿う端面を有していてもよいし、半球面等の曲面を有していてもよい。
次に、本実施形態の生検システム150の作用について説明する。図9は、穿刺針1の作用を説明するための図である。以下では、体内の病変を対象組織として穿刺針1の針管3を刺入し、針管3の内部を通じて病変の細胞などを回収する生検の処置を例に説明する。なお、上記実施形態の穿刺針1の適応対象は膵頭部への生検のための穿刺には限定されない。
まず術者は、図1に示す超音波内視鏡100の挿入部101を体内に挿入し、光学撮像機構103で観察しながら、能動湾曲部105を適宜湾曲させつつ対象組織(本実施形態では膵頭部)の付近まで挿入部101の先端部を導入する。導入後、術者は、光学撮像機構103および超音波走査機構104による観察結果に基づいて、生検を行う部位を決定する。例えば、膵頭部に対する生検を行う場合、超音波内視鏡100の挿入部101に設けられた光学撮像機構103及び超音波走査機構104が十二指腸に到達するように、能動湾曲部105を湾曲させた状態としつつ挿入部101を移動させる。
膵頭部に対する生検を超音波内視鏡100を用いて行う場合、穿刺針1の穿刺箇所を超音波内視鏡100の視野に捉えるために、能動湾曲部105を湾曲させる必要がある。特に、本実施形態のように膵頭部に対する生検をする場合には、超音波内視鏡100の能動湾曲部105の性能の限界に近い程度まで能動湾曲部105が湾曲される。
次に、術者は、図1に示す超音波内視鏡100の操作部109に設けられた基端口金107bからチャンネル107の内部へ、穿刺針1の挿入体2を挿入する。そして、術者は、操作部109の取付アダプタ18を基端口金107bに連結する。これにより、穿刺針1の操作部8は、操作部109に対して回転しないように超音波内視鏡100に固定される。
次に、術者は、固定ネジ10(図2参照)を緩め、光学撮像機構103および超音波走査機構104によってシース7および体内を観察しながら、取付アダプタ18と操作本体9とを相対的に摺動させて、超音波内視鏡100の挿入部101の先端からのシース7の突出量を適切な量に調整する。調整後、術者は固定ネジ10を締め込んでシース7の当該突出量を固定する。このとき、超音波内視鏡100の観察光学系の観察視野内にコイル体72の先端が位置されると共に、針スライダ23が第一の位置まで移動する。
次に、術者は、針管3をコイル体72に対して前進させる。その際、アウターシース71のコイル体72は、能動湾曲部105によってアウターシース71のコイル体72が湾曲された状態であり、コイル体72を構成する素線の間に隙間が生じている。しかし、本実施形態では、インナーシース74が、アウターシース71のコイル体72の内部空間に配され、コイル体72の素線同士の隙間がコイル体72の内側からインナーシース74によって覆われた状態である。その結果、インナーシース74の内部を移動する針管3は、コイル体72が能動湾曲部105の位置で挿入体2が湾曲されても、コイル体72の素線の隙間には引っかかりにくい。
次に、超音波走査機構104による観察結果に基づいて、生検対象となる対象組織Tまでの距離を考慮しつつストッパ61を移動させて所望の位置でストッパ61を操作本体9に固定し、針管3のシース7からの最大突出長を調節する。
次に、術者は、針スライダ23を操作部8の先端側へと前進させる。図9に示すように、針管3がシース7から突出したら、スタイレット27を針管3の内部に引き戻す。これにより、針管3の鋭利な針先(第一針先31aと第二針先32a)により針管3を組織に穿刺可能となる。
次に、シース7の先端を腸壁に当接させた状態で、針スライダ23を操作部8の先端側へと術者がさらに前進させることにより、図9に示すように、針管3の針先(第一針先31aと第二針先32a)はシース7の先端から突出されると共に組織に穿刺され、生検の対象となる対象組織Tへと押し進められる。このとき、生検対象でない組織が針管3に入り込まないようにするためにスタイレット27は針管3の内部に配置された状態である。
術者は、組織の内部に差し込まれた針管3の先端側部分の位置情報を、超音波走査機構104によって取得することができる。そのため、術者は、超音波走査機構104において取得された針管3の先端側部分の像を示す超音波画像を図1に示す超音波観察部115によって観察することができる。超音波観察部115に鮮明に映し出された針管3の先端部分の像を参照し、術者は、針管3の針先(第一針先31aと第二針先32a)を、生検の対象となる対象組織Tに到達させる。
図10は、針スライダ23を操作部8の先端側へ前進させた際の対象組織Tを示す図である。第一刃面33の法線ベクトル33nおよび第二刃面34の法線ベクトル34nは、第一針先31aにおいて、管状部の30の円周方向Cと比較して、中心軸Oに近づく方向を向いている。また、第三刃面35の法線ベクトル35nおよび第四刃面36の法線ベクトル36nは、第二針先32aにおいて、管状部の30の円周方向Cと比較して、中心軸Oに近づく方向を向いている。そのため、針管3は切り取った対象組織Tを針管3の内部に好適に移動させることができる。
術者が針スライダ23を操作部8の先端側へさらに前進させると、対象組織Tは、第一外エッジ33b、第二外エッジ34b、第三外エッジ35b、第四外エッジ36bにより切り取られる。先端領域Z1において、第一外エッジ33b、第二外エッジ34b、第三外エッジ35b、第四外エッジ36bは鋭角であり、好適に対象組織Tを切り取ることができる。
針管3への組織の吸引を行うために、術者は、挿入体2および操作部8からスタイレット27を引き抜く。これにより、針管3の先端から針スライダ23の基端まで延びる貫通孔が生じる。術者は、針スライダ23の基端に配されたポートにシリンジ等を接続して針管3内を吸引し、対象組織Tの細胞などを針管3の先端から吸引して採取する。
必要量の細胞などが採取できたら、針スライダ23を操作部8の基端側に後退させることによって針管3を組織から抜くと共に、針管3の先端をシース7内に収容する。針管3が組織から抜けたら、超音波内視鏡100の操作部109の基端口金107bから取付アダプタ18をはずし、穿刺針1をチャンネル107から抜去する。最後に超音波内視鏡100を患者から抜去して一連の処置を終了する。
本実施形態に係る穿刺針1を備えた生検システム150によれば、体組織への穿刺性が高く(体組織内で穿刺針1が切り込み易く)、切り取った体組織(診断に必要な検体)を穿刺針1の内部に回収しやすい。先端領域Z1における第一刃面33の法線ベクトル33nおよび第二刃面34の法線ベクトル34nは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第三刃面35および第四刃面36側にそれぞれ向いている。また、同正面視において、先端領域Z1における第三刃面35の法線ベクトル35nおよび第四刃面36の法線ベクトル36nは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第一刃面33および第二刃面34側に向いている。そのため、穿刺針1は対象組織Tを針管3の内部に好適に移動させることができる。
また、穿刺針1は、先端領域Z1において、第一外エッジ33b、第二外エッジ34b、第三外エッジ35b、第四外エッジ36bが鋭角であり、術者が針スライダ23を操作部8の先端側へさらに前進させると、好適に対象組織Tを切り取ることができる。
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示す構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例1)
上記実施形態において、第一針先部31の外周面31eおよび第二針先部32の外周面32eは加工がなされていなかったが、第一針先部および第二針先部の態様はこれに限定されない。
図11に示す針管3の変形例である針管3Cは、第一針先部31および第二針先部32の外周面にバックカット加工Bが施されている。第一針先部31および第二針先部32は、体組織への刺入性がより高い。つまり、針先31a、32aは、体組織表面へ刺さり易い。また、針管3Cはシース7の内面に針先31a、32aが触れにくく、操作性が高い。
図12に示す針管3の変形例である針管3Dは、先端領域Z1の外周面の少なくとも一部に、内周面(31i、32i)を軸中心とした円錐カットにより形成されるカット面Mが施されている。第一針先部31および第二針先部32は、体組織への刺入性がより高い。つまり、針先31a、32aは、体組織表面へ刺さり易い。また、針管3Dはシース7の内面に針先31a、32aが触れにくく、操作性が高い。
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態に係る内視鏡用穿刺針1Bを備えた生検システム150Bについて、図13から図17を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
[生検システム150B]
生検システム150Bは、生検の際に体内の組織を採取するために使用される医療機器である。生検システム150Bは、超音波内視鏡100と、内視鏡用穿刺針1B(以下、単に「穿刺針1B」と称する。)とを備える。穿刺針1Bは、挿入体2Bと、操作部8と、スタイレット27とを備える。
[挿入体2B]
挿入体2Bは、超音波内視鏡100のチャンネル107に挿通可能な細長い部材である。挿入体2Bは、針管3Bと、シース7とを備える。
図13は、針管3Bの斜視図である。図14は、針管3Bの側面図である。図15は、針管3Bを軸方向Aの先端から見た正面図であり、長手軸方向において等間隔に断面を配列し、各刃面の断面の向きの変化を模式的に示した図である。図15に示す一点破線は、軸方向Aに等間隔に配列する軸方向Aと垂直な断面と、第一刃面33B、第二刃面34B、第三刃面35Bおよび第四刃面36Bとの交線を表している。図16は、図14に示すX-X断面における針管3Bの断面図である。図17は、図14に示すY-Y断面における針管3Bの断面図である。
針管3Bは、図13に示すように、管状の管状部30と、管状部30の先端に設けられた第一針先部31Bおよび第二針先部32Bと、を備える。針管3Bは、操作部8によりシース7内で進退操作可能である。針管3Bの先端には、第一針先部31Bおよび第二針先部32Bに穿刺された組織を、針管3Bの内部へ入り込む入口となる開口4Bが形成されている。針管3Bの第一針先部31Bおよび第二針先部32Bは、シース7の先端部分の開口から突没可能である。
第一針先部31Bは、図13および図15に示すように、第一刃面33Bと第二刃面34Bとを有し、第一刃面33Bと第二刃面34Bは、鋭利な第一針先31aに向かって延びている。針管3B(管状部30)の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第一刃面33Bと第二刃面34Bとは、図15に示すように、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに対して対称な形状である。なお、第一刃面33Bおよび第二刃面34Bは平面であっても良いし、僅かに曲面に加工されていてもよい。
第一針先部31Bの外周面31eは、管状部30の外周面30eと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率を有する。また、第一針先部31Bの内周面31iは、管状部30の内周面30iと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率を有する。第一針先部31Bは、例えば、管状部30の一部を切り落として第一刃面33Bと第二刃面34Bを形成する。
第二針先部32Bは、図13に示すように、第三刃面35Bと第四刃面36Bとを有し、第三刃面35Bと第四刃面36Bは、鋭利な第二針先32aに向かって延びている。第一針先31aと第二針先32aとは、針管3Bの軸方向Aに延びる中心軸Oに対して対称な位置に配置されている。針管3Bの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第三刃面35Bと第四刃面36Bとは、図15に示すように、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに対して対称な形状である。なお、第三刃面35Bおよび第四刃面36Bは平面であっても良いし、僅かに曲面に加工されていてもよい。
第二針先部32Bの外周面32eは、管状部30の外周面30eと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。また、第二針先部32Bの内周面32iは、管状部30の内周面30iと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。第二針先部32Bは、例えば、管状部30の一部を切り落として第三刃面35Bと第四刃面36Bを形成する。
第一針先部31Bと第二針先部32Bとは、図13から図15に示すように、第一刃面33Bと第二刃面34Bと第三刃面35Bと第四刃面36Bとに囲まれた開口4Bを形成する。開口4Bは、管状の管状部30の内部空間に連通する。
図13から図15に示すように、第一刃面33Bと第三刃面35Bとは、開口4Bの第一基端38Bで連なる。第二刃面34Bと第四刃面36Bとは、開口4Bの第二基端39Bで連なる。
第一針先部31Bと第二針先部32Bにおいて、図14に示すように、第一針先31aおよび第二針先32aを含む先端領域Z1と、第一基端38Bおよび第二基端39Bを含む基端領域Z3と、先端領域Z1と基端領域Z3の間に位置し、先端領域Z1と基端領域Z3に連なる中間領域Z2と、を定義する。
(第一針先部31Bの第一刃面33Bおよび第二刃面34B)
第一刃面33Bは、図13および図16に示すように、第一針先部31Bの内周面31iとの交線(第一内側交線33Bc)が開口4Bの輪郭の一部を規定する。第二刃面34Bは、第一針先部31Bの内周面31iとの交線(第二内側交線34Bc)が開口4Bの輪郭の一部を規定する。
図16に示すように、針管3Bの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1における第一刃面33Bの法線ベクトル33Bnは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第三刃面35B側に向いている。同様に、同正面視において、先端領域Z1における第二刃面34Bの法線ベクトル34Bnは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第四刃面36B側に向いている。
さらに、図17に示すように、中間領域Z2における第一刃面33Bの法線ベクトル33Bnも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第三刃面35B側に向いている。さらに、中間領域Z2における第二刃面34Bの法線ベクトル34Bnも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第四刃面36B側に向いている。
好ましくは、中間領域Z2における第一刃面33Bの法線ベクトル33Bnは、図17に示すように第一針先31aおよび第二針先32aを結ぶ直線Vに対して鋭角になる方向を向く。また、中間領域Z2における第二刃面34Bの法線ベクトル34Bnは、第一針先31aおよび第二針先32aを結ぶ直線Vに対して鋭角になる方向を向く。
好ましくは、第一刃面33Bの法線ベクトル33Bnは、図15および図16に示すように、先端領域Z1において、管状部30の円周方向Cと比較して、中心軸Oに近づく方向を向いている。
図14に示すように、第一刃面33Bと第二刃面34Bとの交線(第一先端交線31b)は、第一針先部31Bの内周面31iの先端から第一針先31aまで延びている。なお、第一先端交線31bは、針管3Bの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において直線V上に位置している。
第一刃面33Bは、先端領域Z1においては、先端側に第一切刃面33Cをさらに有している。第一切刃面33Cの法線ベクトルは、直線Vに対して鋭角になる方向を向いており、第一刃面33Bの法線ベクトル33Bnは、第一切刃面33Cの法線ベクトルよりも直線Vに対する角度が小さい鋭角をなす方向に向いている。図13から図16に示すように、第一刃面33Bと第一切刃面33Cとが交差する稜線は、第一先端交線31bから中間領域Z2に向かって延びている。
第二刃面34Bは、先端領域Z1においては、先端側に第二切刃面34Cをさらに有している。第二切刃面34Cの法線ベクトルは、直線Vに対して鋭角になる方向を向いており、第二刃面34Bの法線ベクトル34Bnは、第二切刃面34Cの法線ベクトルよりも直線Vに対する角度が小さい鋭角をなす方向に向いている。図13から図16に示すように、第二刃面34Bと第二切刃面34Cとが交差する稜線は、第一先端交線31bから中間領域Z2に向かって延びている。
第一刃面33Bと外周面31eとが交差する交線(第一外側交線33Bb)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第一外エッジ33Bbである。図16および図17に示すように、第一外エッジ33Bbにおける第一刃面33Bと外周面31eとのなす角度θ1は、針管3Bの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1および中間領域Z2において鋭角をなす。
第一刃面33Bと内周面31iとが交差する交線(第一内側交線33Bc)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第一内エッジ33Bcである。図16および図17に示すように、第一内エッジ33Bcにおける第一刃面33Bと内周面31iとのなす角度θ2は、先端領域Z1および中間領域Z2において鈍角をなす。
第二刃面34Bと外周面31eとが交差する交線(第二外側交線34Bb)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第二外エッジ34Bbである。図16および図17に示すように、第二外エッジ34Bbにおける第二刃面34Bと外周面31eとのなす角度θ3は、先端領域Z1および中間領域Z2において鋭角をなす。
第二刃面34Bと内周面31iとが交差する交線(第二内側交線34Bc)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第二内エッジ34Bcである。図16および図17に示すように、第二内エッジ34Bcにおける第二刃面34Bと内周面31iとのなす角度θ4は、先端領域Z1および中間領域Z2において鈍角をなす。
(第二針先部32Bの第三刃面35Bおよび第四刃面36B)
第三刃面35Bは、図13および図16に示すように、第二針先部32Bの内周面32iとの交線(第三内側交線35Bc)が開口4Bの輪郭の一部を規定する。第四刃面36Bは、第二針先部32Bの内周面31iとの交線(第四内側交線36Bc)が開口4Bの輪郭の一部を規定する。
針管3Bの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1における第三刃面35Bの法線ベクトル35Bnは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第一刃面33B側に向いている。同様に、同正面視において、先端領域Z1における第四刃面36Bの法線ベクトル36Bnは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第二刃面34B側に向いている。
さらに、中間領域Z2における第三刃面35Bの法線ベクトル35Bnも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第一刃面33B側に向いている。さらに、中間領域Z2における第四刃面36Bの法線ベクトル36Bnも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第二刃面34B側に向いている。
好ましくは、中間領域Z2における第三刃面35Bの法線ベクトル35Bnは、図15から図17に示すように第一針先31aおよび第二針先32aを結ぶ直線Vに対して鋭角になる方向を向く。また、中間領域Z2における第四刃面36Bの法線ベクトル36Bnは、第一針先31aおよび第二針先32aを結ぶ直線Vに対して鋭角になる方向を向く。
好ましくは、第三刃面35Bの法線ベクトル35Bnは、図15および図16に示すように、先端領域Z1において、管状部30の円周方向Cと比較して、中心軸Oに近づく方向を向いている。
図14に示すように、第三刃面35Bと第四刃面36Bとの交線(第二先端交線32b)は、第二針先部32Bの内周面32iの先端から第二針先32aまで延びている。なお、第二先端交線32bは、針管3Bの軸線に沿う方向から見た正面視において直線V上に位置している。
第三刃面35Bは、先端領域Z1においては、先端側に第三切刃面35Cをさらに有している。第三切刃面35Cの法線ベクトルは、直線Vに対して鋭角になる方向を向いており、第三刃面35Bの法線ベクトル35Bnは、第三切刃面35Cの法線ベクトルよりも直線Vに対する角度が小さい鋭角をなす方向に向いている。図13から図16に示すように、第三刃面35Bと第三切刃面35Cとが交差する稜線は、第二先端交線32bから中間領域Z2に向かって延びている。
第四刃面36Bは、先端領域Z1においては、先端側に第四切刃面36Cをさらに有している。第四切刃面36Cの法線ベクトルは、直線Vに対して鋭角になる方向を向いており、第四刃面36Bの法線ベクトル36Bnは、第四切刃面36Cの法線ベクトルよりも直線Vに対する角度が小さい鋭角をなす方向に向いている。図13から図16に示すように、第四刃面36Bと第四切刃面36Cとが交差する稜線は、第二先端交線32bから中間領域Z2に向かって延びている。
第三刃面35Bと外周面32eとが交差する交線(第三外側交線35Bb)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第三外エッジ35Bbである。図16および図17に示すように、第三外エッジ35Bbにおける第三刃面35Bと外周面32eとのなす角度θ5は、先端領域Z1および中間領域Z2において鋭角をなす。
第三刃面35Bと内周面32iとが交差する交線(第三内側交線35Bc)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第三内エッジ35Bcである。図16および図17に示すように、第三内エッジ35Bcにおける第三刃面35Bと内周面32iとのなす角度θ6は、先端領域Z1および中間領域Z2において鈍角をなす。
第四刃面36Bと外周面32eとが交差する交線(第四外側交線36Bb)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第四外エッジ36Bbである。図16および図17に示すように、第四外エッジ36Bbにおける第四刃面36Bと外周面32eとのなす角度θ7は、先端領域Z1および中間領域Z2において鋭角をなす。
第四刃面36Bと内周面32iとが交差する交線(第四内側交線36Bc)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第四内エッジ36Bcである。図16および図17に示すように、第四内エッジ36Bcにおける第四刃面36Bと内周面32iとのなす角度θ8は、先端領域Z1および中間領域Z2において鈍角をなす。
本実施形態に係る穿刺針1Bを備えた生検システム150Bによれば、体組織への穿刺性が高く(体組織内で穿刺針1Bが切り込み易く)、切り取った体組織(診断に必要な検体)を穿刺針1Bの内部に回収しやすい。先端領域Z1における第一刃面33Bの法線ベクトル33Bnおよび第二刃面34Bの法線ベクトル34Bnは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第三刃面35Bおよび第四刃面36B側にそれぞれ向いている。また、同正面視において、先端領域Z1における第三刃面35Bの法線ベクトル35Bnおよび第四刃面36Bの法線ベクトル36Bnは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第一刃面33Bおよび第二刃面34B側に向いている。そのため、穿刺針1Bは切り取った対象組織Tが針管3Bの内部に好適に移動させることができる。
また、穿刺針1Bは、先端領域Z1および中間領域Z2における第一外エッジ33Bb、第二外エッジ34Bb、第三外エッジ35Bb、第四外エッジ36Bbは鋭角であり、術者が針スライダ23を操作部8の先端側へさらに前進させると、より多くの対象組織Tを切り取ることができる。
以上、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示す構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(第三実施形態)
本発明の第三実施形態に係る内視鏡用穿刺針1Eを備えた生検システム150Eについて、図18から図22を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。内視鏡用穿刺針1Eは、第一実施形態の内視鏡用穿刺針1と比較して、第五刃面41および第六刃面42をさらに有している。
[生検システム150E]
生検システム150Eは、生検の際に体内の組織を採取するために使用される医療機器である。生検システム150Eは、超音波内視鏡100と、内視鏡用穿刺針1E(以下、単に「穿刺針1E」と称する。)とを備える。穿刺針1Eは、挿入体2Eと、操作部8と、スタイレット27とを備える。
[挿入体2E]
挿入体2Eは、超音波内視鏡100のチャンネル107に挿通可能な細長い部材である。挿入体2Eは、針管3Eと、シース7とを備える。
図18は、針管3Eの斜視図である。図19は、針管3Eの側面図である。図20は、図19と同じ方向から見た針管3Eの中心軸Oに沿う断面図である。図21は、針管3Eを軸方向Aの先端から見た正面図であり、長手軸方向において等間隔に断面を配列し、各刃面の断面の向きの変化を模式的に示した図である。図21に示す一点破線は、軸方向Aに等間隔に配列する軸方向Aと垂直な断面と、第一刃面33、第二刃面34、第三刃面35、第四刃面36、第五刃面41および第六刃面42との交線を表している。図22は、針管3Eの径方向Rであって直線Vに対して水平な方向から見た平面図である。図23は、図22と同じ方向から見た中心軸Oに沿う断面図である。図24は、図19に示すZ-Z断面における針管3Eの断面図である。
針管3Eは、図18に示すように、管状の管状部30と、管状部30の先端に設けられた第一針先部31Eおよび第二針先部32Eと、を備える。針管3Eは、操作部8によりシース7内で進退操作可能である。針管3Eの先端には、第一針先部31Eおよび第二針先部32Eに穿刺された組織を、針管3Eの内部へ入り込む入口となる開口4が形成されている。針管3Eの第一針先部31Eおよび第二針先部32Eは、シース7の先端部分の開口から突没可能である。
第一針先部31Eは、図18から図22に示すように、第一刃面33と第二刃面34とを有し、第一刃面33と第二刃面34は、鋭利な第一針先31aに向かって延びている。
第一針先部31Eの外周面31eは、管状部30の外周面30eと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率を有するまた、第一針先部31Eの内周面31iは、管状部30の内周面30iと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率を有する。第一針先部31Eは、例えば、管状部30の一部を切り落として第一刃面33と第二刃面34を形成する。
第二針先部32Eは、図18から図21および図23に示すように、第三刃面35と第四刃面36とを有し、第三刃面35と第四刃面36は、鋭利な第二針先32aに向かって延びている。第一針先31aと第二針先32aとは、針管3Eの軸方向Aに延びる中心軸Oに対して対称な位置に配置されている。
第二針先部32Eの外周面32eは、管状部30の外周面30eと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。また、第二針先部32Eの内周面32iは、管状部30の内周面30iと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。第二針先部32Eは、例えば、管状部30の一部を切り落として第三刃面35と第四刃面36を形成する。
第一針先部31Eと第二針先部32Eとは、図18から図23に示すように、第一刃面33と第二刃面34と第三刃面35と第四刃面36とに囲まれた開口4の縁を形成する。開口4は、管状の管状部30の内部空間に連通する。
図18から図23に示すように、第一刃面33と第三刃面35とは、開口4の縁の第一基端38で連なる。第二刃面34と第四刃面36とは、開口4の縁の第二基端39で連なる。
第一針先部31Eと第二針先部32Eにおいて、図19に示すように、第一針先31aおよび第二針先32aを含む先端領域Z1と、第一基端38および第二基端39を含む基端領域Z3と、先端領域Z1と基端領域Z3の間に位置し、先端領域Z1と基端領域Z3に連なる中間領域Z2と、を定義する。また、基端領域Z3のうち、軸方向Aにおいて第一基端38および第二基端39よりも先端側を第一基端領域Z31と、第一基端38および第二基端39よりも基端側を第二基端領域Z32と、定義する。
第一針先部31Eと第二針先部32Eとは、第一針先部31Eの外周面31eおよび第二針先部32Eの外周面32eに、第五刃面41および第六刃面42を有している。
(第五刃面41および第六刃面42)
第五刃面41は、第一針先部31Eの外周面31eおよび第二針先部32Eの外周面32eに形成された刃面である。第五刃面41は、図22および図23に示すように、中心軸Oに対して傾斜した傾斜面であり、針管3Eの基端側から第一針先31aおよび第二針先32aに向かうにつれて中心軸Oとの距離が漸次近づく。第五刃面41は、図21第一外側交線(第一外エッジ)33bとの交点である第一外側交点33d(図22参照)と、第三外側交線(第三外エッジ)35bとの交点である第三外側交点35d(図23参照)とを有する。図20および図22に示すように、第一外側交線33bは、第一刃面33と第一針先部31Eの外周面31eとが形成する交線である。図20および図23に示すように、第三外側交線35bは、第三刃面35と第二針先部32Eの外周面32eとが形成する交線である。第五刃面41と第一外側交線33bとは、第一外側交点33dで交差しており、第五刃面41と第三外側交線35bとは、第三外側交点35dで交差している。
図24に示すように、第五刃面41と第一刃面33とが交差する交線を、第一中間エッジ33fと定義する。第五刃面41と第三刃面35とが交差する交線を、第三中間エッジ35fと定義する。図20に示すように、第一中間エッジ33fと第三中間エッジ35fとは、第一基端38において連なっている。
図21から図23に示すように、第一基端領域Z31では、第五刃面41と第一針先部31Eの内周面31iとの厚みT1は、第一外側交点33dから第一基端38に向かうに従って薄くなる。また、第一基端領域Z31では、第五刃面41と第二針先部32Eの内周面32iとの厚みT1は、第三外側交点35dから第一基端38に向かうに従って薄くなる。
図21から図23に示すように、第二基端領域Z32では、第五刃面41と第一針先部31Eの内周面31iとの厚みT1は、第一基端38から針管3Eの基端側に向かうに従って厚くなる。また、同様に、第五刃面41と第二針先部32Eの内周面32iとの厚みT1は、第二基端領域Z32では、第一基端38から針管3Eの基端側に向かうに従って厚くなる。すなわち、第五刃面41と内周面31i、32iとの厚みT1は、第五刃面41の基端から第一基端38に向かうにつれて薄くなる。
図20に示すように、中心軸Oおよび直線Vに対して直交する方向からの側面視において、第五刃面41の第一外側交点33dと第三外側交点35dとは、針管3Eの軸方向Aに延びる中心軸Oに対して対称な位置に形成されている。第一外側交点33dと第三外側交点35dとは、図22および図23に示すように、第五刃面41の先端に位置している。
第五刃面41と第一針先部31Eの外周面31eとが形成する交線を第五交線410と定義する。図20に示すように、第五交線410のうち、第一外側交点33dと連なる第一部分411と第三外側交点35dと連なる第三部分412との間隔は、第五刃面41の先端から基端に向かうにつれて漸次狭まっている。
図23に示すように、第二基端領域Z32において、第一基端38を先端とした第一基端エッジ38eが形成される。第一基端エッジ38eは、第五刃面41と内周面31i,32iとによって形成された鋭利な刃である。第一基端38における厚みT1を薄くすることにより針管3Eを体組織へ穿刺する際に第一基端38が組織から受ける抵抗力を低減させることができる。また、第一基端38において、第五刃面41と内周面31i,32iとがなす先端角度を小さくすることで第一基端エッジ38eを形成している。
第六刃面42は、第一針先部31Eの外周面31eおよび第二針先部32Eの外周面32eに形成された刃面である。第六刃面42は、図22および図23に示すように、中心軸Oに対して傾斜した傾斜面であり、針管3Eの基端側から第一針先31aおよび第二針先32aに向かうにつれて中心軸Oとの距離が漸次近づく。第六刃面42は、第二外側交線(第二外エッジ)34bとの交点である第二外側交点34d(図22参照)と、第四外側交線(第四外エッジ)36bとの交点である第四外側交点36d(図23参照)とを有する。図19および図22に示すように、第二外側交線34bは、第二刃面34と第一針先部31Eの外周面31eとが形成する交線である。図19および図23に示すように、第四外側交線36bは、第四刃面36と第二針先部32Eの外周面32eとが形成する交線である。第六刃面42と第二外側交線34bとは、第二外側交点34dで交差しており、第六刃面42と第四外側交線36bとは、第四外側交点36dで交差している。
図24に示すように、第六刃面42と第一刃面33とが交差する交線を、第二中間エッジ34fと定義する。第六刃面42と第四刃面36とが交差する交線を、第四中間エッジ36fと定義する。図19に示すように、第二中間エッジ34fと第四中間エッジ36fとは、第二基端39において連なっている。
図21から図23に示すように、第一基端領域Z31では、第六刃面42と第一針先部31Eの内周面31iとの厚みT1は、第二外側交点34dから第二基端39に向かうに従って薄くなる。また、同様に、第一基端領域Z31では、厚みT1は、第四外側交点36dから第二基端39に向かうに従って薄くなる。
図21から図23に示すように、第二基端領域Z32では、第六刃面42と第一針先部31Eの内周面31iとの厚みT1は、第二基端39から基端側に向かうに従って厚くなる。また、同様に、第六刃面42と第二針先部32Eの内周面32iとの厚みT1は、第二基端領域Z32では、第二基端39から基端側に向かうに従って厚くなる。すなわち、第六刃面42と内周面31i、32iとの厚みT1は、第六刃面42の基端から第二基端39に向かうにつれて薄くなる。
図19に示すように、中心軸Oおよび直線Vに対して直交する方向からの側面視において、第六刃面42の第二外側交点34dと第四外側交点36dとは、針管3Eの軸方向Aに延びる中心軸Oに対して対称な位置に形成されている。第一外側交点33dと第三外側交点35dとは、図22および図23に示すように、第六刃面42の先端に位置している。
第六刃面42と第一針先部31Eの外周面31eとが形成する交線を第六交線420と定義する。図19に示すように、第六交線のうち、第二外側交点34dと連なる第二部分421と第四外側交点36dと連なる第四部分422との間隔は、第六刃面42の先端から基端に向かうにつれて漸次狭まっている。
図23に示すように、第二基端領域Z32において、第二基端39を先端とした第二基端エッジ39eが形成される。第二基端エッジ39eは、第六刃面42と内周面31i,32iとによって形成された鋭利な刃である。第二基端39における厚みT1を薄くすることにより針管3Eを体組織へ穿刺する際に第二基端39が組織から受ける抵抗力を低減させることができる。また、第二基端39において、第六刃面42と内周面31i,32iとがなす先端角度を小さくすることで第二基端エッジ39eを形成している。
第五刃面41および第六刃面42は、例えば針管3Eの管状部30の外周面30eを切削することで形成される。図21に示すように、針管3E(管状部30)の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第一外側交点33dと第二外側交点34dとは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに対して対称な位置に形成されるのが望ましい。また、同様に、同正面視において、第三外側交点35dと第四外側交点36dとは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに対して対称な位置に形成されるのが望ましい。
本実施形態に係る穿刺針1Eを備えた生検システム150Eによれば、第一外エッジ33b、第二外エッジ34b、第三外エッジ35b、第四外エッジ36bだけでなく、第一基端エッジ38e、第二基端エッジ39eも体組織に切り込むことによって体組織(診断に必要な検体)を採取しやすい。
本実施形態に係る穿刺針1Eを備えた生検システム150Eによれば、体組織への穿刺性が高く(体組織内で穿刺針1Eが切り込み易く)、切り取った体組織(診断に必要な検体)を穿刺針1Eの内部に回収しやすい。針管3Eは、第一基端38および第二基端39が第一実施形態の針管3と比較して薄く鋭利となっているため採取性に加えて穿刺性がより高い。
以上、本発明の第三実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示す構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(変形例)
上記実施形態において、第五刃面41および第六刃面42は平面に形成されていたが、第五刃面41および第六刃面42はこれに限定されない。図25は、第六刃面42の変形例である第六刃面42Bを示す斜視図である。第六刃面42Bは、エンドミルにより加工されて曲面に形成されている。上記実施形態と同様に、第六刃面42Bを設けることにより、第二基端39を先端とした第二基端エッジ39eが形成される。また、第六刃面42Bと第一針先部31Eの内周面31iとの厚みT1は、第二基端39から基端側に向かうに従って厚くなる。第五刃面41についても同様である。
(第四実施形態)
本発明の第四実施形態に係る内視鏡用穿刺針1Fを備えた生検システム150Fについて、図26から図35を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。内視鏡用穿刺針1Fは、第一実施形態の内視鏡用穿刺針1と比較して、第七刃面43および第八刃面44をさらに有している。
[生検システム150F]
生検システム150Fは、生検の際に体内の組織を採取するために使用される医療機器である。生検システム150Fは、超音波内視鏡100と、内視鏡用穿刺針1F(以下、単に「穿刺針1F」と称する。)とを備える。穿刺針1Fは、挿入体2Fと、操作部8と、スタイレット27とを備える。
[挿入体2F]
挿入体2Fは、超音波内視鏡100のチャンネル107に挿通可能な細長い部材である。挿入体2Fは、針管3Fと、シース7とを備える。
図26は、針管3Fの斜視図である。図27は、針管3Fの側面図である。図28は、図27と同じ方向から見た針管3Fの中心軸Oに沿う断面図である。図29は、針管3Fを軸方向Aの先端から見た正面図であり、長手軸方向において等間隔に断面を配列し、各刃面の断面の向きの変化を模式的に示した図である。図29に示す一点破線は、軸方向Aに等間隔に配列する軸方向Aと垂直な断面と、第一刃面33、第二刃面34、第三刃面35、第四刃面36、第七刃面43および第八刃面44との交線を表している。図30は、図27に示す針管3FのB-B線に沿う断面図であって図29に示す領域Sにおける拡大断面図である。図31は、針管3Fの径方向Rであって直線Vに対して水平な方向から見た平面図である。図32は、図31と同じ方向から見た中心軸Oに沿う断面図である。
図33は、図27に示す針管3FのA-A線に沿う断面図である。図34は、図27に示す針管3FのB-B線に沿う断面図である。図35は、図27に示す針管3FのC-C線に沿う断面図である。A-A線は、後述する第一内側交点33e、第二内側交点34e、第三内側交点35eおよび第四内側交点36eを通る。C-C線は、第一基端38および第二基端39を通る。
針管3Fは、図26に示すように、管状の管状部30と、管状部30の先端に設けられた第一針先部31Fおよび第二針先部32Fと、を備える。針管3Fは、操作部8によりシース7内で進退操作可能である。針管3Fの先端には、第一針先部31Fおよび第二針先部32Fに穿刺された組織を、針管3Fの内部へ入り込む入口となる開口4が形成されている。針管3Fの第一針先部31Fおよび第二針先部32Fは、シース7の先端部分の開口から突没可能である。
第一針先部31Fは、図26から図31に示すように、第一刃面33と第二刃面34とを有し、第一刃面33と第二刃面34は、鋭利な第一針先31aに向かって延びている。
第一針先部31Fの外周面31eは、管状部30の外周面30eと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率を有する。また、第一針先部31Fの内周面31iは、管状部30の内周面30iと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率を有する。第一針先部31Fは、例えば、管状部30の一部を切り落として第一刃面33と第二刃面34を形成する。
第二針先部32Fは、図26から図29および図32に示すように、第三刃面35と第四刃面36とを有し、第三刃面35と第四刃面36は、鋭利な第二針先32aに向かって延びている。第一針先31aと第二針先32aとは、針管3Fの軸方向Aに延びる中心軸Oに対して対称な位置に配置されている。
第二針先部32Fの外周面32eは、管状部30の外周面30eと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。また、第二針先部32Fの内周面32iは、管状部30の内周面30iと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。第二針先部32Fは、例えば、管状部30の一部を切り落として第三刃面35と第四刃面36を形成する。
第一針先部31Fと第二針先部32Fとは、図26から図32に示すように、第一刃面33と第二刃面34と第三刃面35と第四刃面36とに囲まれた開口4の縁を形成する。開口4は、管状の管状部30の内部空間に連通する。
図18から図22に示すように、第一刃面33と第三刃面35とは、開口4の縁の第一基端38で連なる。第二刃面34と第四刃面36とは、開口4の縁の第二基端39で連なる。
第一針先部31Fと第二針先部32Fにおいて、図27に示すように、第一針先31aおよび第二針先32aを含む先端領域Z1と、第一基端38および第二基端39を含む基端領域Z3と、先端領域Z1と基端領域Z3の間に位置し、先端領域Z1と基端領域Z3に連なる中間領域Z2と、を定義する。また、基端領域Z3において、軸方向Aにおいて第一基端38および第二基端39よりも先端側を第一基端領域Z31と、第一基端38および第二基端39よりも基端側を第二基端領域Z32と、定義する。
第一針先部31Fと第二針先部32Fとは、第一針先部31Fの内周面31iおよび第二針先部32Fの内周面32iに、第七刃面43および第八刃面44を有している。第一針先部31Fと第二針先部32Fとは、第七刃面43と第八刃面44に加えて、第三実施形態に記載した第五刃面41と第六刃面42を有してもよいし、第五刃面41と第六刃面42を有さず、第五刃面41と第六刃面42の代わりに第七刃面43と第八刃面44を有してもよい。
(第七刃面43および第八刃面44)
第七刃面43は、第一針先部31Fの内周面31iおよび第二針先部32Fの内周面32iに形成された刃面である。第七刃面43は、図29に示すように、第一内側交線(第一内エッジ)33cとの交点である第一内側交点33e(図31参照)と、第三内側交線(第三内エッジ)35cとの交点である第三内側交点35e(図32参照)とを有する。図28および図31に示すように、第一内側交線33cは、第一刃面33と第一針先部31Fの内周面31iとが形成する交線である。図28および図32に示すように、第三内側交線35cは、第三刃面35と第二針先部32Fの内周面32iとが形成する交線である。第七刃面43と第一内側交線33cとは、第一内側交点33eで交差しており、第七刃面43と第三内側交線35cとは、第三内側交点35eで交差している。
図33から図35に示すように、第七刃面43と第一刃面33とが交差する交線を、第一中間エッジ33fと定義する。第七刃面43と第三刃面35とが交差する交線を、第三中間エッジ35fと定義する。第一中間エッジ33fと第三中間エッジ35fとは、第一基端38において連なっている。
図29および図30に示すように、第一中間エッジ33fにおける第七刃面43と第一刃面33とのなす角度33kは、針管3Fの先端から基端に向かうにつれて小さくなる。
図29および図34に示すように、第三中間エッジ35fにおける第七刃面43と第三刃面35とのなす角度35kは、先端から基端に向かうにつれて小さくなる。
図29に示すように、軸方向Aに垂直な断面において、第一中間エッジ33fと第三中間エッジ35fとが形成する曲線の曲率は、管状部30の内周面30iの曲率より大きい。
図29から図32に示すように、第一基端領域Z31では、第七刃面43と第一針先部31Fの外周面31eとの厚みT2は、第一内側交点33eから第一基端38に向かうに従って薄くなる。また、同様に、第一基端領域Z31では、厚みT2は、第三内側交点35eから第一基端38に向かうに従って薄くなる。
図29から図32に示すように、第二基端領域Z32では、第七刃面43と第一針先部31Fの外周面31eとの厚みT2は、第一基端38から針管3Fの基端側に向かうに従って厚くなる。また、同様に、第七刃面43と第二針先部32Fの外周面32eとの厚みT2は、第二基端領域Z32では、第一基端38から針管3Fの基端側に向かうに従って厚くなる。すなわち、第七刃面43と外周面31e、32eとの厚みT1は、第七刃面の基端から第一基端38に向かうにつれて薄くなる。
中心軸Oおよび直線Vに対して直交する方向からの側面視において、第一内側交点33eと第三内側交点35eとは、針管3Fの軸方向Aに延びる中心軸Oに対して対称な位置に形成されている。図31および図32に示すように、第一内側交点33eと第三内側交点35eとは、第七刃面43の先端に位置している。
第七刃面43と第一針先部31Fの内周面31iとが形成する交線を第七交線430と定義する。図28に示すように、第七交線430のうち、内周面31iと連なる第一部分431と内周面32iと連なる第三部分432との間隔は、第七刃面43の先端から基端に向かうにつれて漸次狭まっている。
図32に示すように、第二基端領域Z32において、第一基端38を先端とした第一基端エッジ38fが形成される。第一基端エッジ38fは、第七刃面43と外周面31e,32eとによって形成された鋭利な刃である。第一基端38における厚みT2を薄くすることにより針管3Fを体組織へ穿刺する際に第一基端38が組織から受ける抵抗力を低減させることができる。また、第一基端38において、第七刃面43と外周面31e,32eとがなす先端角度を小さくすることで第一基端エッジ38fを形成している。
第八刃面44は、第一針先部31Fの内周面31iおよび第二針先部32Eの内周面32iに形成された刃面である。第八刃面44は、図29に示すように第二内側交線(第二内エッジ)34cとの交点である第二内側交点34e(図31参照)と、第四内側交線(第四内エッジ)36cとの交点である第四内側交点36e(図32参照)とを有する。図27および図31に示すように、第二内側交線34cは、第二刃面34と第一針先部31Fの内周面31iとが形成する交線である。図27および図32に示すように、第四内側交線36cは、第四刃面36と第二針先部32Fの内周面32iとが形成する交線である。第八刃面44と第二内側交線34cとは、第二内側交点34eで交差しており、第八刃面44と第四内側交線36cとは、第四内側交点36eで交差している。
図33から図35に示すように、第八刃面44と第二刃面34とが交差する交線は、第二中間エッジ34fである。第八刃面44と第四刃面36とが交差する交線は、第四中間エッジ36fである。第二中間エッジ34fと第四中間エッジ36fとは、第二基端39において連なっている。
図29および図34に示すように、第二中間エッジ34fにおける第八刃面44と第二刃面34とのなす角度34kは、針管3Fの先端から基端に向かうにつれて小さくなる。
図29および図34に示すように、第四中間エッジ36fにおける第八刃面44と第四刃面36とのなす角度36kは、針管3Fの先端から基端に向かうにつれて小さくなる。
図29に示すように、軸方向Aに垂直な断面において、第二中間エッジ34fと第四中間エッジ36fとが形成する曲線の曲率は、管状部30の内周面30iの曲率より大きい。
図29から図32に示すように、第一基端領域Z31では、第八刃面44と第一針先部31Fの外周面31eとの厚みT2は、第二内側交点34eから第二基端39に向かうに従って薄くなる。また、同様に、第一基端領域Z31では、厚みT2は、第四内側交点36eから第二基端39に向かうに従って薄くなる。
図29から図32に示すように、第二基端領域Z32では、第八刃面44と第一針先部31Fの外周面31eとの厚みT2は、第二基端39から針管3Fの基端側に向かうに従って厚くなる。また、同様に、第八刃面44と第二針先部32Fの外周面32eとの厚みT2は、第二基端39から針管3Fの基端側に向かうに従って厚くなる。すなわち、第八刃面44と外周面31e、32eとの厚みT1は、第八刃面の基端から第二基端39に向かうにつれて薄くなる。
中心軸Oおよび直線Vに対して直交する方向からの側面視において、第二内側交点34eと第四内側交点36eとは、針管3Fの軸方向Aに延びる中心軸Oに対して対称な位置に形成されている。図31および図32に示すように、第二内側交点34eと第四内側交点36eとは、第八刃面44の先端に位置している。
第八刃面44と第一針先部31Fの内周面31iとが形成する交線を第八交線440と定義する。図27に示すように、第八交線440のうち、内周面31iと連なる第一部分441と内周面32iと連なる第三部分442との間隔は、第八刃面44の先端から基端に向かうにつれて漸次狭まっている。
図32に示すように、第二基端領域Z32において、第二基端39を先端とした第二基端エッジ39fが形成される。第二基端エッジ39fは、第八刃面44と外周面31e,32eとによって形成された鋭利な刃である。第二基端39における厚みT2を薄くすることにより針管3Fを体組織へ穿刺する際に第二基端39が組織から受ける抵抗力を低減させることができる。また、第二基端39において、第八刃面44と外周面31e,32eとがなす先端角度を小さくすることで第二基端エッジ39fを形成している。
第七刃面43および第八刃面44は、例えば針管3Fの管状部30の内周面30iを切削することで形成される。図29に示すように、針管3F(管状部30)の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第一内側交点33eと第二内側交点34eとは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに対して対称な位置に形成されるのが望ましい。また、同様に、同正面視において、第三内側交点35eと第四内側交点36eとは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに対して対称な位置に形成されるのが望ましい。
本実施形態に係る穿刺針1Fを備えた生検システム150Fによれば、第一外エッジ33b、第二外エッジ34b、第三外エッジ35b、第四外エッジ36bだけでなく、第一基端エッジ38f、第二基端エッジ39fも体組織に切り込むことによって体組織(診断に必要な検体)を採取しやすい。
本実施形態に係る穿刺針1Fを備えた生検システム150Fによれば、体組織への刺入性が高く、切り取った体組織を穿刺針1Fの内部に回収しやすい。針管3Fは、第一基端38および第二基端39が第一実施形態の針管3と比較して薄く鋭利となっているため採取性に加えて穿刺性がより高い。第一実施形態同様、先端領域Z1における第一刃面33の法線ベクトル33nおよび第二刃面34の法線ベクトル34nは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第三刃面35および第四刃面36側にそれぞれ向いている。また、同正面視において、先端領域Z1における第三刃面35の法線ベクトル35nおよび第四刃面36の法線ベクトル36nは、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第一刃面33および第二刃面34側に向いている。そのため、穿刺針1は対象組織Tを針管3の内部に好適に移動させることができる。
図36は、図29に示す図に軸方向Aと垂直な断面において主となる第一刃面33等の刃面の法線を矢印で表示した図である。針管3Fは、針管3Fの先端から基端に向かうにつれて、刃面の法線が、管状部30の円周方向Cと比較して、中心軸Oにより近づく方向を向く。その結果、針管3Fは、第一実施形態の針管3と比較して、採取性がより高い。
以上、本発明の第四実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示す構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
(第五実施形態)
本発明の第五実施形態に係る内視鏡用穿刺針1Gを備えた生検システム150Gについて、図37から図48を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。内視鏡用穿刺針1Gは、第一実施形態の内視鏡用穿刺針1と比較して、刃面の形状が異なっている。
[生検システム150G]
生検システム150Gは、生検の際に体内の組織を採取するために使用される医療機器である。生検システム150Gは、超音波内視鏡100と、内視鏡用穿刺針1G(以下、単に「穿刺針1G」と称する。)とを備える。穿刺針1Gは、挿入体2Gと、操作部8と、スタイレット27とを備える。
[挿入体2G]
挿入体2Gは、超音波内視鏡100のチャンネル107に挿通可能な細長い部材である。挿入体2Gは、針管3Gと、シース7とを備える。
図37は、針管3Gの斜視図である。図38は、針管3Gの正面図である。図39は、針管3Gの側面図である。図40は、図39と同じ方向から見た針管3Eの中心軸Oに沿う断面図である。図41は、針管3Gを軸方向Aの先端から見た正面図であり、長手軸方向において等間隔に断面を配列し、各刃面の断面の向きの変化を模式的に示した図である。図41に示す一点破線は、軸方向Aに等間隔に配列する軸方向Aと垂直な断面と、第一刃面33G、第二刃面34G、第三刃面35Gおよび第四刃面36Gとの交線を表している。図42は、直線Vに対して水平な方向から見た平面図である。図43は、図42と同じ方向から見た中心軸Oに沿う断面図である。
図44は、図39に示す針管3GのD-D線に沿う断面図である。図45は、図39に示す針管3GのE-E線に沿う断面図である。図46は、図39に示す針管3GのF-F線に沿う断面図である。F-F線は、後述する第一基端38Gおよび第二基端39Gを通る。図47は、図39に示す針管3GのG-G線に沿う断面図である。
針管3Gは、図37に示すように、管状の管状部30と、管状部30の先端に設けられた第一針先部31Gおよび第二針先部32Gと、を備える。針管3Gは、操作部8によりシース7内で進退操作可能である。針管3Gの先端には、第一針先部31Gおよび第二針先部32Gに穿刺された組織を、針管3Gの内部へ入り込む入口となる開口4Gが形成されている。針管3Gの第一針先部31Gおよび第二針先部32Gは、シース7の先端部分の開口から突没可能である。
第一針先部31Gは、図37から図43に示すように、第一針先部31Gの外周面31eに沿って形成された第一外エッジ33bと第二外エッジ34bを有する。第一外エッジ33bと第二外エッジ34bは、鋭利な第一針先31aに向かって延びている。針管3G(管状部30)の軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第一外エッジ33bと第二外エッジ34bとは、図38に示すように、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに対して対称な形状である。第一外エッジ33bと第二外エッジ34bは、例えば、管状部30の一部を切り落とすことで形成される。
第一針先部31Gの外周面31eは、管状部30の外周面30eと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。また、第一針先部31Gの内周面31iは、管状部30の内周面30iと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。
第二針先部32Gは、図37から図43に示すように、第一針先部31Gの外周面31eに沿って形成された第三外エッジ35bと第四外エッジ36bを有する。第三外エッジ35bと第四外エッジ36bは、鋭利な第二針先32aに向かって延びている。第一針先31aと第二針先32aとは、針管3Gの軸方向Aに延びる中心軸Oに対して対称な位置に配置されている。針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第三外エッジ35bと第四外エッジ36bとは、図38に示すように、第一針先31aと第二針先32aとを通る直線Vに対して対称な形状である。第三外エッジ35bと第四外エッジ36bは、例えば、管状部30の一部を切り落とすことで形成される。
第二針先部32Gの外周面32eは、管状部30の外周面30eと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。また、第二針先部32Gの内周面32iは、管状部30の内周面30iと連続する曲面であり、同一の径寸法と曲率である。
図37から図43に示すように、第一外エッジ33bの基端と第三外エッジ35bの基端とは、第一基端38Gで連なる。第二外エッジ34bの基端と第四外エッジ36bの基端とは、第二基端39Gで連なる。図39および図40に示すように、中心軸Oおよび直線Vに対して直交する方向からの側面視において、第一基端38Gと第二基端39Gとは、針管3Gの軸方向Aに延びる中心軸Oに対して対称な位置に形成されている。
第一針先部31Gと第二針先部32Gにおいて、図39および図40に示すように、第一針先31aおよび第二針先32aを含む先端領域Z1と、第一基端38Gおよび第二基端39Gを含む基端領域Z3と、先端領域Z1と基端領域Z3の間に位置し、先端領域Z1と基端領域Z3に連なる中間領域Z2と、を定義する。また、基端領域Z3において、軸方向Aにおいて第一基端38Gおよび第二基端39Gよりも先端側を第一基端領域Z31と、第一基端38Gおよび第二基端39Gよりも基端側を第二基端領域Z32と、定義する。
(第一連続刃面401および第二連続刃面402)
図37および図38に示すように、第一針先部31Gおよび第二針先部32Gは、第一連続刃面401と、第二連続刃面402と、を有する。
第一連続刃面401は、第一針先部31Gの内周面31iと第二針先部32Gの内周面32iに形成された連続する曲面形状であり、第一連続刃面401は、第一針先部31Gと第二針先部32Gとの間を跨って延びている。具体的には、図38および図40に示すように、第一連続刃面401は、第一針先31aから針管3Gの基端側に向かって延びている。また、第一連続刃面401は、第二針先32aから針管3Gの基端側に向かって延びている。第一連続刃面401の基端は、開口4Gの縁の第一基端38Gよりも針管3Gの基端側に位置する。
図37に示すように、第一連続刃面401は、第一連続刃面401と第一針先部31Gの外周面31eおよび第二針先部32Gの外周面32eとの交線である第一連続刃面外エッジ401bを有する。第一連続刃面外エッジ401bの基端は、第一基端38Gと一致している。図40および図42に示すように、第一連続刃面401と第一針先部31Gの外周面31eとの厚みT3は、第一連続刃面内エッジ401cの基端(第一連続刃面401の基端)から第一基端38Gに近づくにつれて薄くなる。図40および図43に示すように、第一連続刃面401と第二針先部32Gの外周面32eとの厚みT3は、第一連続刃面内エッジ401cの基端(第一連続刃面401の基端)から第一基端38Gに近づくにつれて薄くなる。なお、第一連続刃面内エッジ401cは、第一連続刃面401と内周面31i、32iとの交線であり、第一外エッジ33bおよび第三外エッジ35bよりも針管3Gの径方向内側に位置する。
図39および図40に示すように、中心軸Oおよび直線Vに対して直交する方向からの側面視において、第一連続刃面内エッジ401cは、第一針先31aから延びた第一先端交線31bの基端から針管3Gの基端側に向かって延びている。また、第一連続刃面内エッジ401cは、第二針先32aから延びた第二先端交線32bの基端から針管3Gの基端側に向かって延びている。第一連続刃面内エッジ401cの基端は、第一基端38Gよりも針管3Gの基端側に位置し、第一連続刃面内エッジ401cの基端において、第一先端交線31bの基端から針管3Gの基端側に向かって延びた部分と、第二先端交線32bの基端から針管3Gの基端側に向かって延びた部分が連なっている。
図40に示すように、第一連続刃面401は、第一外エッジ33bと接し第一基端38Gよりも先端側の第一刃面33Gと、第三外エッジ35bと接し第一基端38Gよりも先端側の第三刃面35Gと、第一基端38Gよりも基端側の第七刃面43Gと、を有する。第一刃面33Gと第七刃面43Gとは連続的に連なる曲面形状であり、好ましくは第一刃面33Gと第七刃面43Gとの間で段差なく連続している。第三刃面35Gと第七刃面43Gとは連続する曲面であり、好ましくは第三刃面35Gと第七刃面43Gとの間で段差なく連続している。
第二連続刃面402は、第一針先部31Gの内周面31iと第二針先部32Gの内周面32iに形成された連続する曲面形状であり、第二連続刃面402は、第一針先部31Gと第二針先部32Gとの間を跨って延びている。具体的には、図38および図39に示すように、第二連続刃面402は、第一針先31aから針管3Gの基端側に向かって延びている。また、第二連続刃面402は、第二針先32aから針管3Gの基端側に向かって延びている。第二連続刃面402の基端は、開口4Gの縁の第二基端39Gよりも針管3Gの基端側に位置する。
図37に示すように、第二連続刃面402は、第二連続刃面402と第一針先部31Gの外周面31eおよび第二針先部32Gの外周面32eとの交線である第二連続刃面外エッジ402bを有する。第二連続刃面外エッジ402bの基端は、第二基端39Gと一致する。図39および図42に示すように、第二連続刃面402と第一針先部31Gの外周面31eとの厚みT3は、第二連続刃面内エッジ402cの基端(第二連続刃面402の基端)から第二基端39Gに近づくにつれて薄くなる。図39および図43に示すように、第二連続刃面402と第二針先部32Gの外周面32eとの厚みT3は、第二連続刃面内エッジ402cの基端(第二連続刃面402の基端)から第二基端39Gに近づくにつれて薄くなる。なお、第二連続刃面内エッジ402cは、第二連続刃面402と内周面31i、32iとの交線であり、第二外エッジ34bおよび第四外エッジ36bよりも針管3Gの径方向内側に位置する。
図39に示すように、中心軸Oおよび直線Vに対して直交する方向からの側面視において、第二連続刃面内エッジ402cは、第一針先31aから延びた第一先端交線31bの基端から針管3Gの基端側に向かって延びている。また、第二連続刃面内エッジ402cは、第二針先32aから延びた第二先端交線32bの基端から針管3Gの基端側に向かって延びている。第二連続刃面内エッジ402cの基端は、第二基端39Gよりも針管3Gの基端側に位置し、第二連続刃面内エッジ402cの基端において、第一先端交線31bの基端から針管3Gの基端側に向かって延びた部分と、第二先端交線32bの基端から針管3Gの基端側に向かって延びた部分が連なっている。
図39に示すように、第二連続刃面402は、第二外エッジ34bと接し第二基端39Gよりも先端側の第二刃面34Gと、第四外エッジ36bと接し第二基端39Gよりも先端側の第四刃面36Gと、第二基端39Gよりも基端側の第八刃面44Gと、を有する。第二刃面34Gと第八刃面44Gとは連続的に連なる曲面形状であり、好ましくは第二刃面34Gと第八刃面44Gとの間で段差なく連続している。第四刃面36Gと第八刃面44Gとは連続する曲面であり、好ましくは第四刃面36Gと第八刃面44Gとの間で段差なく連続している。
針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第一連続刃面401と第二連続刃面402とは、図38および図41に示すように、直線Vに対して対称な形状である。
図38に示すように、第一刃面33Gと第二刃面34Gとの交線(第一先端交線31b)は、第一針先部31Gの内周面31iの先端から第一針先31aまで延びている。第一先端交線31bは、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において直線V上に位置している。
図38に示すように、第三刃面35Gと第四刃面36Gとの交線(第二先端交線32b)は、第二針先部32Gの内周面31iの先端から第一針先31aまで延びている。第二先端交線32bは、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において直線V上に位置している。
第一針先部31Gと第二針先部32Gとは、図37および図41に示すように、第一刃面33Gと第二刃面34Gと第三刃面35Gと第四刃面36Gとに囲まれた開口4Gを形成する。開口4Gは、管状の管状部30の内部空間に連通する。
図41に示すように、第一刃面33G、第二刃面34G、第三刃面35Gおよび第四刃面36Gは、曲面であり、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において各曲面の曲率は等しい。
(第一刃面33G)
第一刃面33Gは、曲面に形成されている。図44から図46に示すように、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第一刃面33Gの稜線は外周面31e側に凹んだ弧状に延びる。
図44に示すように、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1における第一刃面33Gの法線ベクトル33nは、曲面上のいずれの場所においても、直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第三刃面35G側に向いている。
図45に示すように、中間領域Z2における第一刃面33Gの法線ベクトル33nも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第三刃面35G側に向いている。
第一外エッジ33bは、第一刃面33G(第一連続刃面401)と外周面31eとが交差する交線(第一外側交線33b)であり、管状部30の円周方向にエッジを有する。第一外エッジ33bは、第一連続刃面外エッジ401bの一部である。図44から図46に示すように、第一外エッジ33b(第一連続刃面外エッジ401b)における第一刃面33G(第一連続刃面401)と外周面31eとのなす角度θ1は、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1から第一基端領域Z31(開口4Gの縁の第一基端38G)まで鋭角である。
第一刃面33Gと内周面31iとが交差する交線(第一内側交線33c)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第一内エッジ33cである。第一内エッジ33cは、第一連続刃面内エッジ401cの一部である。図44から図46に示すように、第一内エッジ33c(第一連続刃面内エッジ401c)における第一刃面33G(第一連続刃面401)と内周面31iとのなす角度θ2は、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1から第一基端領域Z31(開口4Gの縁の第一基端38G)まで鈍角である。
(第二刃面34G)
第二刃面34Gは、曲面に形成されている。図44から図46に示すように、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第二刃面34Gの稜線は外周面31e側に凹んだ弧状に延びる。
図44に示すように、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1における第二刃面34Gの法線ベクトル34nは、曲面上のいずれの場所においても、直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第四刃面36G側に向いている。
図45に示すように、中間領域Z2における第二刃面34Gの法線ベクトル34nも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第四刃面36G側に向いている。
第二外エッジ34bは、第二刃面34G(第二連続刃面402)と外周面31eとが交差する交線(第二外側交線34b)であり、管状部30の円周方向にエッジを有する。第二外エッジ34bは、第二連続刃面外エッジ402bの一部である。図44から図46に示すように、第二外エッジ34b(第二連続刃面外エッジ402b)における第二刃面34G(第二連続刃面402)と外周面31eとのなす角度θ3は、針管3Gの軸方向に沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1から第一基端領域Z31(開口4Gの縁の第二基端39G)まで鋭角である。
第二刃面34Gと内周面31iとが交差する交線(第二内側交線34c)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第二内エッジ34cである。第二内エッジ34cは、第二連続刃面内エッジ402cの一部である。図44から図46に示すように、第二内エッジ34c(第二連続刃面内エッジ402c)における第二刃面34G(第二連続刃面402)と内周面31iとのなす角度θ4は、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1から第一基端領域Z31(開口4Gの縁の第二基端39G)まで鈍角である。
(第三刃面35G)
第三刃面35Gは、曲面に形成されている。図44から図46に示すように、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第三刃面35Gの稜線は外周面32e側に凹んだ弧状に延びる。
図44に示すように、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1における第三刃面35Gの法線ベクトル35nは、曲面上のいずれの場所においても、直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第一刃面33G側に向いている。
図45に示すように、中間領域Z2における第三刃面35Gの法線ベクトル35nも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第一刃面33G側に向いている。
第三外エッジ35bは、第三刃面35G(第一連続刃面401)と外周面32eとが交差する交線(第三外側交線35b)であり、管状部30の円周方向にエッジを有する。第三外エッジ35bは、第一連続刃面外エッジ401bの一部である。図44から図46に示すように、第三外エッジ35b(第一連続刃面外エッジ401b)における第三刃面35G(第一連続刃面401)と外周面32eとのなす角度θ5は、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1から第一基端領域Z31(開口4Gの縁の第一基端38G)まで鋭角である。
第三刃面35Gと内周面32iとが交差する交線(第三内側交線35c)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第三内エッジ35cである。第三内エッジ35cは、第一連続刃面内エッジ401cの一部である。図44から図46に示すように、第三内エッジ35c(第一連続刃面内エッジ401c)における第三刃面35G(第一連続刃面401)と内周面32iとのなす角度θ6は、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1から第一基端領域Z31(開口4Gの縁の第一基端38G)まで鈍角である。
(第四刃面36G)
第四刃面36Gは、曲面に形成されている。図44から図46に示すように、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、第四刃面36Gの稜線は外周面32e側に凹んだ弧状に延びる。
図44に示すように、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1における第四刃面36Gの法線ベクトル36nは、曲面上のいずれの場所においても、直線Vに直交する方向よりも、先端領域Z1における第二刃面34G側に向いている。
図45に示すように、中間領域Z2における第四刃面36Gの法線ベクトル36nも、先端領域Z1と同様に、直線Vに直交する方向よりも、中間領域Z2における第二刃面34G側に向いている。
第四外エッジ36bは、第四刃面36G(第二連続刃面402)と外周面32eとが交差する交線(第四外側交線36b)であり、管状部30の円周方向にエッジを有する。第四外エッジ36bは、第二連続刃面外エッジ402bの一部である。図44から図46に示すように、第四外エッジ36b(第二連続刃面外エッジ402b)における第四刃面36G(第二連続刃面402)と外周面32eとのなす角度θ7は、針管3Gの軸方向に沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1から第一基端領域Z31(開口4Gの縁の第二基端39G)まで鋭角である。
第四刃面36Gと内周面32iとが交差する交線(第四内側交線36c)は、管状部30の円周方向にエッジを有する第四内エッジ36cである。第四内エッジ36cは、第二連続刃面内エッジ402cの一部である。図44から図46に示すように、第四内エッジ36c(第二連続刃面内エッジ402c)における第四刃面36G(第二連続刃面402)と内周面32iとのなす角度θ8は、針管3Gの軸方向Aに沿う方向から見た正面視において、先端領域Z1から第一基端領域Z31(開口4Gの縁の第二基端39G)まで鈍角である。
(第七刃面43G)
第七刃面43Gは、第一基端38Gよりも基端側に形成された刃面である。第七刃面43Gは、第一針先部31Gの内周面31iおよび第二針先部32Gの内周面32iの一部を構成している。第七刃面43Gは、第一刃面33Gおよび第三刃面35Gと連続的に連なる曲面形状であり、好ましくは第一刃面33Gと第七刃面43Gとの間、および第三刃面35Gと第七刃面43Gとの間で段差なく連続している。
図39および図47に示すように、軸方向Aに垂直な断面において、第七刃面43Gが形成する曲線の曲率は、管状部30の内周面30iの曲率より大きい。
図42にように、第七刃面43G(第一連続刃面401)と第一針先部31Eの外周面31eとの厚みT3は、第七刃面43Gの基端(第一連続刃面401の基端)から第一基端38Gに向かうに従って薄くなる。また、図43に示すように、第七刃面43G(第一連続刃面401)と第二針先部32Eの外周面32eとの厚みT3は、第七刃面43Gの基端(第一連続刃面401の基端)から第一基端38Gに向かうに従って薄くなる。
図42および図43に示すように、第二基端領域Z32において、第一基端38Gを先端とした第一基端エッジ38gが形成される。第一基端エッジ38gは、第七刃面43Gと外周面31e,32eとによって形成された鋭利な刃である。第一基端38Gにおける厚みT3を薄くすることにより針管3Gを体組織へ穿刺する際に第一基端38Gが組織から受ける抵抗力を低減させることができる。また、第一基端38Gにおいて、第七刃面43Gと外周面31e,32eとがなす先端角度を小さくすることで第一基端エッジ38gを形成している。
(第八刃面44G)
第八刃面44Gは、第二基端39Gよりも基端側に形成された刃面である。第八刃面44Gは、第一針先部31Gの内周面31iおよび第二針先部32Gの内周面32iの一部を構成している。第八刃面44Gは、第二刃面34Gおよび第四刃面36Gと連続的に連なる曲面形状であり、好ましくは第二刃面34Gと第八刃面44Gとの間、および第四刃面36Gと第八刃面44Gとの間で段差なく連続している。
図39および図47に示すように、軸方向Aに垂直な断面において、第八刃面44Gが形成する曲線の曲率は、管状部30の内周面30iの曲率より大きい。
図42にように、第八刃面44G(第二連続刃面402)と第一針先部31Eの外周面31eとの厚みT3は、第八刃面44Gの基端(第二連続刃面402の基端)から第二基端39Gに向かうに従って薄くなる。また、図43に示すように、第八刃面44G(第二連続刃面402)と第二針先部32Eの外周面32eとの厚みT3は、第八刃面44Gの基端(第二連続刃面402の基端)から第二基端39Gに向かうに従って薄くなる。
図42および図43に示すように、第二基端領域Z32において、第二基端39Gを先端とした第二基端エッジ39gが形成される。第二基端エッジ39gは、第八刃面44Gと外周面31e,32eとによって形成された鋭利な刃である。第二基端39Gにおける厚みT3を薄くすることにより針管3Gを体組織へ穿刺する際に第二基端39Gが組織から受ける抵抗力を低減させることができる。また、第二基端39Gにおいて、第八刃面44Gと外周面31e,32eとがなす先端角度を小さくすることで第二基端エッジ39gを形成している。
本実施形態に係る穿刺針1Gを備えた生検システム150Gによれば、第一外エッジ33b、第二外エッジ34b、第三外エッジ35b、第四外エッジ36bだけでなく、第一基端エッジ38g、第二基端エッジ39gも体組織に切り込むことによって体組織(診断に必要な検体)を採取しやすい。
本実施形態に係る穿刺針1Gを備えた生検システム150Gによれば、体組織への穿刺性が高く(体組織内で穿刺針1Gが切り込み易く)、切り取った体組織(診断に必要な検体)を穿刺針1Gの内部に回収しやすい。針管3Gは、第一基端38Gおよび第二基端39Gが第一実施形態の針管3と比較して薄く鋭利となっているため穿刺性および採取性がより高い。また、針管3Gは、第一外エッジ33b、第二外エッジ34b、第三外エッジ35bおよび第四外エッジ36bが先端領域Z1、中間領域Z2および第一基端領域Z31において鋭角であり、穿刺性がより高い。
図48は、図41に示す図に軸方向Aと垂直な断面において第一刃面33G等の刃面の法線を矢印で表示した図である。針管3Gは、先端から基端に向かうにつれて、刃面の法線が、管状部30の円周方向Cと比較して、中心軸Oにより近づく方向を向く。その結果、針管3Gは、第一実施形態の針管3と比較して、採取性がより高い。
以上、本発明の第五実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態および変形例において示す構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。