JP2023121352A - フィルム及び包装材 - Google Patents

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Abstract

【課題】環境適合性を有し、かつ、十分な連通性を有するフィルムを提供することを課題とする。【解決手段】本発明の一態様に係るフィルムは、ポリエステル系樹脂(A)及び有機フィラー(B)を含有する組成物からなり、前記ポリエステル系樹脂(A)全量を100質量%としたとき、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)を75質量%以上含む。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム及び包装材に関するものである。
多数の微細な空孔を有する多孔フィルムは、衣類・衛生材料などに使用する透湿防水性フィルムや、水処理に使用する各種フィルター、電子機器や住宅、建材などに使用する断熱フィルム、あるいは電池などに使用する電池用セパレータなど各種分野で幅広く利用されている。近年、マイクロプラスチックをはじめとした環境問題の高まりから、特に各種包装用途や農業用フィルムにて、生分解性や植物由来原料をはじめとした高い環境適合性が強く求められており、多孔フィルムにおいても環境対応が急務である。
環境適合性を有する多孔フィルムとして、生分解性樹脂を用いた延伸多孔フィルムや、発泡多孔フィルム等が検討されている。
例えば、特許文献1では、脂肪族ポリエステル樹脂、充填剤及び可塑剤を含む樹脂組成物からなる多孔性シートが提案されている。
特許文献2では、生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂と、デンプンを含有する生分解性樹脂とを含有する樹脂組成物からなる生分解性樹脂発泡体が提案されている。
特許文献3では、澱粉、熱可塑性樹脂、無機質フィラー及び水を含む樹脂組成物からなる発泡体を圧延してなる発泡樹脂シートが提案されている。
特許文献4では、デンプンを含む生分解性樹脂と、ポリプロピレン系樹脂と、軟質ポリマーとを含む発泡性樹脂組成物が提案されている。
特開2007-119537号公報 特開2007-246869号公報 特開2010-254859号公報 特開2014-31494号公報
しかしながら、特許文献1に記載の多孔性シートは、充填剤として無機フィラーを含有しており、粉落ちや環境配慮の点から改良が望まれる。
特許文献2に記載の発泡体は、発泡の際に炭酸ガスを注入する必要があり、更なる環境適合性が求められる。
特許文献3では、水による発泡の後に圧延工程が必要であり、煩雑な操作を要する問題がある。
特許文献4では、生分解性を有さないポリプロピレン系樹脂や軟質ポリマーを添加しており、更なる環境適合性の向上に検討の余地がある。
また、上記いずれの多孔フィルムも連通性が十分でない場合があり、更なる改良が求められている。
そこで、本発明は、環境適合性を有し、かつ、十分な連通性を有するフィルムを提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有するものである。
[1]ポリエステル系樹脂(A)及び有機フィラー(B)を含有する組成物からなり、前記ポリエステル系樹脂(A)全量を100質量%としたとき、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)を75質量%以上含むフィルム。
[2]前記ポリエステル系樹脂(A)全量を100質量%としたとき、脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)を0.01質量%以上25質量%以下含む、[1]に記載のフィルム。
[3]前記脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)がポリブチレンテレフタレートアルキレート系樹脂である、[1]又は[2]に記載のフィルム。
[4]前記組成物全量を100質量%としたとき、前記ポリエステル系樹脂(A)を50質量%以上90質量%以下含む、[1]~[3]のいずれかに記載のフィルム。
[5]前記有機フィラー(B)が澱粉である、[1]~[4]のいずれかに記載のフィルム。
[6]前記組成物全量を100質量%としたとき、前記有機フィラー(B)を5質量%以上40質量%以下含む、[1]~[5]のいずれかに記載のフィルム。
[7]前記有機フィラー(B)の平均粒子径が1μm以上20μm以下である、[1]~[6]のいずれかに記載のフィルム。
[8]可塑剤(C)をさらに含有する、[1]~[7]のいずれかに記載のフィルム。
[9]前記可塑剤(C)がグリセリンである、[8]に記載のフィルム。
[10]前記組成物全量を100質量%としたとき、前記可塑剤(C)を5質量%以上20質量%以下含む、[8]又は[9]に記載のフィルム。
[11]前記フィルムを25℃の水に120分間浸漬したとき、浸漬後の透気度が浸漬前の透気度の0.01%以上10%以下である、[1]~[10]のいずれかに記載のフィルム。
[12]多孔構造を有する、[1]~[10]のいずれかに記載のフィルム。
[13]透気度が10秒/dL以上10000秒/dL以下である、[12]に記載のフィルム。
[14][1]~[13]に記載のフィルムを少なくとも一軸方向に延伸してなる延伸フィルム。
[15][1]~[13]のいずれかに記載のフィルムからなる包装材。
[16][1]~[13]のいずれかに記載のフィルムからなる農業用フィルム。
[17]ポリエステル系樹脂(A)及び有機フィラー(B)を含有する組成物であり、前記ポリエステル系樹脂(A)全量を100質量%としたとき、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)を75質量%以上含む、農業用フィルム用樹脂組成物。
[18]ポリエステル系樹脂(A)及び有機フィラー(B)を含有する組成物からなり、前記ポリエステル系樹脂(A)全量を100質量%としたとき、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)を75質量%以上含むフィルムを得る製膜工程と、前記製膜工程で得られたフィルムを水に浸漬し、多孔化する浸漬工程と、を含む、多孔フィルムの製造方法。
[19]前記浸漬工程の前又は後に、フィルムを少なくとも一軸方向に延伸する延伸工程を含む、[18]に記載の多孔フィルムの製造方法。
本発明のフィルムは、脂肪族芳香族ポリエステル樹脂(A1)を主成分とすることから、環境適合性が高い。また、本発明のフィルムは水に浸漬することで多孔化でき、十分な連通性を有する多孔フィルムを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明の内容が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<樹脂組成物>
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂(A)及び有機フィラー(B)を含有する。
1.ポリエステル系樹脂(A)
本発明におけるポリエステル系樹脂(A)としては、環境適合性の観点から、脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂等の生分解性樹脂を使用することが好ましい。
中でも、本発明の樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂(A)全量を100質量%としたとき、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)を75質量%以上含むのが好ましい。脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)の含有量は、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましい。また、100質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)の含有量が上記下限値以上であることで、有機フィラー(B)の分散性が良好になるため、得られるフィルムの外観が良好となる。また、フィルムの柔軟性が高くなるため、取扱性も良好となる。一方、含有量が上記上限値以下であることで、多孔フィルムとしたときの連通性が良好となる。
脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)とは、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸を主成分とするものである。この場合の芳香族ジカルボン酸単位の含量は、脂肪族ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位の全量を基準(100モル%)として、5モル%以上60モル%以下であることが好ましい。
脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)として、具体的には、例えば、下記式(1)で表される脂肪族ジオ-ル単位、下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位、及び、下記式(3)で表される芳香族ジカルボン酸単位を必須成分とする樹脂が挙げられる。
-O-R1-O- (1)
[式(1)中、R1は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
-OC-R2-CO- (2)
[式(2)中、R2は直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
-OC-R3-CO- (3)
[式(3)中、R3は2価の芳香族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
式(1)の脂肪族ジオール単位を与える脂肪族ジオール成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。中でも、炭素数2以上4以下のジオールが好ましく、エチレングリコール、1,4-ブタンジオールがより好ましく、1,4-ブタンジオールが特に好ましい。
式(2)の脂肪族ジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分は、炭素数が通常2以上10以下のものであり、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。中でも、コハク酸又はアジピン酸が好ましい。
式(3)の芳香族ジカルボン酸単位を与える芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、中でも、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。また、芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸であってもよい。
なお、脂肪族ジオール成分、脂肪族ジカルボン酸成分及び芳香族ジカルボン酸成分は、上記で例示した成分からそれぞれ2種類以上を用いることもできる。
脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)としては、ポリブチレンテレフタレートアルキレート系樹脂が好ましく、ポリブチレンアジペートテレフタレート系樹脂又はポリブチレンサクシネートテレフタレート系樹脂がより好ましく、ポリブチレンアジペートテレフタレート系樹脂が特に好ましい。
脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)は、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸、又はこれらの混合物等が挙げられる。更に、これらの低級アルキルエステル又は分子内エステルであってもよい。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液の何れであってもよい。これらの中で好ましいものは、乳酸又はグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
この脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)を構成する全構成成分中、下限が通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。
脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常0.1g/10分以上であり、上限が通常50g/10分以下、好ましくは40g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)は、公知の方法で製造することができる。例えば、上記のジカルボン酸成分とジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができるが、経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
本発明におけるポリエステル系樹脂(A)は、上記脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)に加えて、脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)を含むことが好ましい。
脂肪族ポリエステル樹脂(A2)の含有量は、ポリエステル系樹脂(A)全量を100質量%としたとき、0.01質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がよりさらに好ましい。また、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)の含有量が上記下限値以上であることで、得られるフィルムの強度が高くなり、多孔化を行いやすくなる。一方、含有量が上記上限値以下であることで、有機フィラー(B)の分散性が良好になるため、得られるフィルムの外観が良好となる。また、フィルムの柔軟性が高くなるため、取扱性も良好となる。
本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)とは、分子中に芳香族環を実質的に有さないポリエステル樹脂をいう。脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)は、ジオール単位及びジカルボン酸単位を含むものが好ましく、更に好ましくは、例えば、下記式(4)で表される鎖状脂肪族及び/又は脂環式ジオール単位、並びに、下記式(5)で表される鎖状脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸単位からなるものである。
-O-R4-O- (4)
[式(4)中、R4は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を
示す。共重合されている場合には、樹脂中に2種以上のR1が含まれていてもよい。]
-OC-R5-CO- (5)
[式(5)中、R5は2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基を示す。共重合されている場合には、樹脂中に2種以上のR1が含まれていてもよい。]
なお、式(4)、式(5)において、「2価の鎖状脂肪族炭化水素基及び/又は2価の脂環式炭化水素基」の「及び」とは、構成成分の1分子中に2価の鎖状脂肪族炭化水素基と2価の脂環式炭化水素基の両方を含んでいる場合を意味する。また、以下、「鎖状脂肪族及び/又は脂環式」を、単に「脂肪族」と略記する場合がある。
式(4)のジオール単位を与える脂肪族ジオール成分は特に限定はないが、炭素数2~10個の脂肪族ジオール成分が好ましく、炭素数4~6個の脂肪族ジオール成分が特に好ましい。具体的には、例えば、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、中でも1,4-ブタンジオールが特に好ましい。脂肪族ジオール成分は2種類以上を用いることもできる。
式(5)のジカルボン酸単位を与える脂肪族ジカルボン酸成分は特に限定はないが、炭素数2~10個の脂肪族ジカルボン酸成分が好ましく、炭素数4~8個の脂肪族ジカルボン酸成分が特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分の具体例としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられ、中でもコハク酸又はアジピン酸が特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分は2種類以上を用いることもできる。
更に、本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)には、脂肪族オキシカルボン酸単位が含有されていてもよい。脂肪族オキシカルボン酸単位を与える脂肪族オキシカルボン酸の具体例としては、例えば、乳酸、グリコール酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、2-ヒドロキシ3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシイソカプロン酸等、又はこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体又は水溶液であってもよい。これらの中で特に好ましいものは、乳酸又はグリコール酸である。これら脂肪族オキシカルボン酸は単独でも、2種以上の混合物としても使用することもできる。
上記脂肪族オキシカルボン酸の量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)を構成する全構成成分中、下限が通常0モル%以上、好ましくは、0.01モル%以上であり、上限が通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下である。また、本発明における脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)は、「3官能以上の脂肪族多価アルコール」、「3官能以上の脂肪族多価カルボン酸又はその酸無水物」又は「3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸」を共重合すると、得られる脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)の溶融粘度を高めることができるため好ましい。
3官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられ、4官能の脂肪族多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。3官能の脂肪族多価カルボン酸又はその酸無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸又はその酸無水物が挙げられ、4官能の多価カルボン酸又はその酸無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸又はその酸無水物等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
また、3官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプと、(ii)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、リンゴ酸等が好ましく用いられる。また、4官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプとに分かれ、何れのタイプも使用可能である。具体的には、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。これらは単独でも2種以上混合して使用することもできる。
このような3官能以上の化合物の量は、脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)を構成する全構成成分中、下限は、通常0モル%以上、好ましくは0.01モル%以上であり、上限は、通常5モル%以下、好ましくは2.5モル%以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)としては、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート系樹脂が好ましく、中でも、ポリブチレンサクシネート系樹脂がより好ましい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)のメルトフローレート(MFR)は、190℃、2.16kgで測定した場合、下限が通常0.1g/10分以上であり、上限が、通常50g/10分以下、好ましくは40g/10分以下、特に好ましくは30g/10分以下である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)は、前記脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)と同様の製法により製造することができる。
なお、上記脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)及び脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)中の特にジオール単位及び/又はジカルボン酸単位を誘導する原料は、バイオマス資源から得られるものであってもよい。バイオマス資源から上記原料を得る方法は、特に限定されず公知の技術を用いればよい。
2.有機フィラー(B)
本発明における有機フィラー(B)は、フィルムを水に浸漬して多孔化させるため、水溶性有機フィラーが好ましい。具体的には、澱粉や植物由来タンパク質、セルロース、塩、ポリビニルアルコールが好ましく、澱粉や植物由来タンパク質、塩が更に好ましく、澱粉が最も好ましい。
澱粉は未変性澱粉(例えば、コーン由来澱粉、米由来澱粉、豆由来澱粉、馬鈴薯由来澱粉、サゴヤシ由来澱粉、タピオカ由来澱粉など)であってもよく、化学変性澱粉(酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、架橋澱粉など)、物理変性澱粉(α化澱粉など)などであってもよい。これら澱粉は1種、又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
有機フィラー(B)の平均粒子径は、1~50μmが好ましく、3~45μmがより好ましく、5~40μmが更に好ましく、7~35μmが特に好ましい。
平均粒子径が上記下限値以上であれば、多孔フィルムとしたときに十分な連通性を確保することができる。また、平均粒子径が上記上限値以下であれば、粗大な粒子の存在によるフィルム強度低下を抑制することができる。
また、本フィルムを延伸フィルムとする場合は、平均粒子径は1~20μmが好ましく、3~17μm以下がより好ましい。
平均粒子径が上記下限値以上であれば、水浸漬や延伸時に多孔構造を形成しやすい。また、平均粒子径が上記上限値以下であれば、過度に粗大な粒子が抑制され、製膜性に優れる。
なお、有機フィラー(B)単体での平均粒子径(粒度積算分布50%径:D50)は、レーザー回折法に基づいて測定できる。また、組成物又はフィルム中の有機フィラー(B)の平均粒子径は、SEM観察像より10個の有機フィラー(B)について粒子径を測定し、平均することで算出できる。
有機フィラー(B)として澱粉を用いる場合、一般に澱粉粒子の大きさは、植物種によって決まる。粒径の観点から、有機フィラー(B)に用いられる澱粉は、コーン由来澱粉、米由来澱粉、豆由来澱粉、サゴヤシ由来澱粉、タピオカ由来澱粉が好ましく、コーン由来澱粉、豆由来澱粉、サゴヤシ由来澱粉、タピオカ由来澱粉がさらに好ましく、コーン由来澱粉、タピオカ由来澱粉が特に好ましい。
有機フィラー(B)の含有量は、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましいい。また、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。有機フィラー(B)の含有量が上記下限値以上であれば、多孔フィルムとしたときに十分な連通性を確保できる。また、有機フィラー(B)の含有量が上記上限値以下であれば、フィルム成形性に優れる。
3.可塑剤(C)
本発明の樹脂組成物は、有機フィラー(B)の分散性を良好にするために、可塑剤(C)を含有してもよい。
可塑剤(C)としては、水酸基を含有する有機化合物が好適に用いられ、該水酸基を含有する有機化合物としては、水酸基を有していれば特に限定はないが、具体的には、例えば、1価アルコール、多価アルコール、多価アルコールの部分エステル若しくは部分エーテル等が挙げられる。これらの中で好ましくは、ソルビトール、ペンタエリストール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ヘプタンジオール、1,6-へキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ナノンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、グリセリンモノアルキルエステル、グリセリンジアルキルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、グリセリンジアルキルエーテル、ジグリセリン、ジグリセリンアルキルエステル等であり、より好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、グリセリンモノエステル、ソルビトール又はペンタエリスリトールであり、特に好ましくはグリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、プロピレングリコール又はエチレングリコールであり、中でもグリセリンが最も好ましい。可塑剤(C)は、1種又は2種類以上を用いてもよい。
可塑剤(C)の含有量は、樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、20質量%以下が好ましく、17質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。可塑剤(C)の含有量が上記下限値以上であれば、有機フィラー(B)の分散性が良好となる。一方、可塑剤(C)の含有量が上記上限値以下であれば、過度なブリードアウトを生じにくい。
4.その他の成分
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリエステル系樹脂(A)、有機フィラー(B)、可塑剤(C)以外の成分、例えば他の樹脂を混合することを許容するが、生分解性樹脂が好ましい。具体例としては、ポリビニルアルコール系樹脂、などである。
また、本発明においては、前述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般的に配合される添加剤を適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性およびフィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤、鎖延長剤などの添加剤が挙げられる。
<フィルム>
本発明の一実施形態に係るフィルムは、後述するとおり、水に浸漬することで多孔化できるため環境適合性が高く、多孔フィルムとしたときの連通性も高い。
フィルムの厚みは、50μm以上が好ましく、75μm以上がより好ましい。一方で上限として、300μm以下が好ましく、275μm以下がより好ましく、250μm以下が特に好ましい。厚みが上記下限値以上であれば、ハンドリング性に優れ、十分な強度を確保できる。また、厚みが上記上限値以下であれば、十分な柔軟性を確保できる。
多孔化を行う前のフィルムの透気度は、90000秒/dL以上が好ましく、95000秒/dL以上がより好ましく、99999秒/dLがさらに好ましい。透気度が上記下限値以上であることは、粗大な孔等がないことを示している。
また、当該フィルムは、25℃の水に120分間浸漬したとき、浸漬後の透気度が浸漬前の透気度の0.01%以上10%以下となることが好ましく、0.05%以上8%以下となることがより好ましく、0.1%以上5%以下となることが特に好ましい。
一方、多孔化を行った後のフィルムの透気度は、10000秒/dL以下が好ましく、8000秒/dL以下がより好ましく、5000秒/dL以下がさらに好ましい。また、10秒/dL以上が好ましく、50秒/dL以上がより好ましく、100秒/dL以上がさらに好ましい。
透気度はフィルムの厚み方向の空気の通り抜け難さを表し、具体的には100mlの空気が本フィルムを通過するのに必要な秒数で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方が本フィルムの厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方が本フィルムの厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とはフィルムの厚み方向の孔のつながり度合いである。透気度(秒/100ml)は、JISP8117に準拠して測定でき、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。
本発明のフィルムは、多孔化せずに実用に供されてもよく、多孔化してから実用に供されてもよい。
例えば、各種包装材等、使用前はフィルムの強度を高くし、取扱性を良好にしておきたいが、経時的に生分解させたい場合には、本発明のフィルムを多孔化せずに使用するとよい。この場合、使用後に水に浸漬することで多孔化させ、フィルムの表面積を増加させることで生分解を促進できる。上記のような用途としては、農業用フィルム等が好適である。
本フィルムを農業用フィルムとして用いた場合、使用当初はフィルムが多孔化していないため、機械物性やハンドリング性に優れる。その後、降雨等に伴いフィルム内部の有機フィラー(B)が脱離すると、有機フィラー(B)が存在していた部分が多孔化するため、フィルムの表面積が急激に増加し、生分解性の加速が期待される。特に、有機フィラー(B)として澱粉を用いる場合、フィルムから澱粉が土壌流出した後も、肥料として好適に使用することができる。
一方、本発明のフィルムを生分解性多孔フィルムとして使用する場合には、水に浸漬して多孔化してから使用すればよい。上記のような用途としては、創傷被覆材、細胞培養基材等が好適である。
また、本フィルムは少なくとも一軸方向に延伸した延伸フィルムであってもよい。本フィルムを延伸フィルムとすることで、多孔構造形成が促され、フィルム厚み方向での孔の連通性を更に高めることができる。
延伸フィルムの透気度は、10000秒/dL以下が好ましく、8000秒/dL以下がより好ましく、5000秒/dL以下がさらに好ましい。また、0.1秒/dL以上が好ましく、0.5秒/dL以上がより好ましく、1秒/dL以上がさらに好ましい。
なお、本フィルムが延伸フィルムであるかどうかは、例えば、熱履歴(収縮率、収縮応力、結晶化度等)や機械的物性、あるいは孔のアスペクト比が1.5以上であるかどうかで確認できる。
<フィルムの製造方法>
本発明の一実施形態に係るフィルムの製造方法を以下に説明する。
(1)製膜工程
当該製膜工程では、樹脂組成物を混練し、加熱溶融して製膜し、フィルムを得る。
樹脂組成物の混練に用いる機械は特に限定されない。例えば、バンバリーミキサー、スーパーミキサー、ミキシングロール、二軸連続ミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機など、公知の押出機を用いることができる。また、設備構造および必要性に応じて、ベント口に減圧機を接続し、水分や低分子量物質を除去してもよい。
また、樹脂組成物を加熱溶融する方法としては、例えばTダイ法、インフレーション法などを挙げることができる。実用的には、Tダイから材料樹脂を溶融押出してキャストロールによりキャスト成形するのが好ましい。
フィルム状に製膜する具体的方法として、Tダイからそれぞれ押出されたシート状の溶融樹脂を積層し、回転するキャストロール(チルロール、キャストドラム)上に密着させながら引き取りシート状物に成形する方法を挙げることができる。
キャストロールにフィルム状物を密着させるために、タッチロール、エアナイフ、電気密着装置などをキャストロールに付けてもよい。混練物を冷却しながらフィルムに成形する際、キャストロールの温度は60℃以上が好ましい。より好ましくは70℃以上である。
(2)浸漬工程
当該浸漬工程では、上記製膜工程で得られたフィルムを水に浸漬する。フィルムを水に浸漬することで、有機フィラー(B)を溶出させて多孔化できる。この方法による多孔化は、ガス等の発泡剤を用いないため、環境適合性が高い。
水への浸漬時間は特に限定されず、1分~24時間であってよい。
(3)延伸工程
本フィルムは、浸漬工程の前又は後に、フィルムを少なくとも一軸方向に延伸する延伸工程を行ってもよい。
延伸工程では、上記製膜工程で得られたフィルム又は上記浸漬工程でられた多孔フィルムを一軸延伸又は二軸延伸する。一軸方向への延伸は縦一軸延伸であってもよいし、横一軸延伸であってもよい。また、二軸延伸は同時二軸延伸であってもよいし、逐次二軸延伸であってもよい。
なお、膜状物の流れ方向(MD)への延伸を「縦延伸」といい、流れ方向に対して垂直方向(TD)への延伸を「横延伸」という。
本発明のフィルムを作製する場合には、各延伸工程で延伸条件を選択でき、多孔構造を制御し易いという観点から、とりわけ逐次二軸延伸が好ましい。
また、逐次二軸延伸を用いる場合、用いる樹脂組成物の組成、結晶融解ピーク温度、結晶化度等によって延伸温度を適宜調整することが可能なため、多孔構造の制御が比較的容易であり、機械強度や収縮率等他の諸物性とのバランスがとりやすく好ましい。
縦延伸における延伸温度は、好ましくは10~140℃、より好ましくは15~130℃、更に好ましくは20~120℃である。縦延伸における延伸温度が10℃以上であれば延伸時の破断が抑制され、均一な延伸を行うことができるため好ましい。一方、縦延伸における延伸温度が140℃以下であれば効率よく空孔形成を行うことができる。
縦延伸倍率は任意に選択できるが、一軸延伸あたりの延伸倍率は、好ましくは1.1~10倍、より好ましくは1.5~8.0倍、更に好ましくは1.5~6.0倍である。一軸延伸あたりの延伸倍率が1.1倍以上であることで白化が進行して、延伸による多孔化が十分に生じる。一方、10倍以下とすることで、フィルムの破断が抑制され、安定的に多孔フィルムを得ることができる。
横延伸温度は、好ましくは10~140℃、より好ましくは20~130℃である。前記横延伸温度が前記範囲内であると、縦延伸時に生じた空孔を変形することなく、十分な空孔率を有することができる。
横延伸倍率は、任意に選択できるが、好ましくは1.1~10倍であり、より好ましくは1.5~9.0倍、更に好ましくは1.5~8.0倍である。規定した横延伸倍率で延伸することによって、縦延伸時に生じた空孔が拡大されてフィルムの空孔率を増加することができ、十分な通気性を有することができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明の生分解性多孔フィルムについてさらに詳しく説明するが、本発明は何ら制限を受けるものではない。
実施例及び比較例で用いた生分解性多孔フィルムの製造に用いた原材料は、以下のとおりである。
(ポリエステル系樹脂(A))
(A-1):ポリブチレンアジペートテレフタレート(ecoflex F Blend C1200、BASF社製)
(A-2):ポリブチレンサクシネート(Bio PBS FZ91PM、三菱ケミカル社製)
(有機フィラー(B))
(B-1):コーン由来澱粉(コーンスターチY、平均粒子径(D50):16μm、三和澱粉工業社製)
(B-2):うるち米由来澱粉(ファインスノウ、平均粒子径(D50):5μm、上越スターチ社製)
(B-3):もち米由来澱粉(モチールB、平均粒子径(D50):6μm、上越スターチ社製)
(B-4):緑豆由来澱粉(かんざんVII、平均粒子径(D50):23μm、上越スターチ社製)
(B-5):馬鈴薯由来澱粉(かんざんH、平均粒子径(D50):43μm、上越スターチ社製)
(B-6):サゴヤシ由来澱粉(かんざんS、平均粒子径(D50):33μm、上越スターチ社製)
(B-7):タピオカ由来澱粉(かんざんT2、平均粒子径(D50):15μm、上越スターチ社製)
なお、上記有機フィラー(B)の平均粒子径(D50)は、レーザー回折法に基づいて測定した。
(可塑剤(C))
(C-1):グリセリン(試薬特級、富士フィルム和光純薬社製)
[樹脂組成物及びフィルムの作製]
(実施例1)
表1に記載の配合割合にてポリエステル系樹脂(A)、有機フィラー(B)、可塑剤(C)を計量し、プラストグラフ(東洋精機(株)製)に供給し、温度=190℃、回転数=60rpm、混練時間=5分の条件で溶融混練することで、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ダイアホイルT100、三菱ケミカル社製)で挟み込み、200℃に加温した加熱式二軸ロールに導入して、フィルムを得た。その後、得られたフィルムを25℃の蒸留水に120分間浸漬し、25℃にて自然乾燥し、多孔フィルムを得た。
また、上記多孔フィルムを25℃で縦方向に2倍延伸した後、横方向に2倍延伸して、延伸フィルムを得た。
(実施例2~8、比較例1~3)
表1に記載の配合割合にて、実施例1と同様の方法で樹脂組成物を調製し、フィルムを得た。その後、得られたフィルムを25℃の蒸留水に120分間浸漬し、25℃にて自然乾燥し、多孔フィルムを得た。
また、上記多孔フィルムを延伸し、延伸フィルムを得た。
実施例2、4~7及び比較例1~3は、25℃で縦方向に2倍延伸した後、横方向に2倍延伸し、実施例3及び8は、25℃で縦方向に2倍延伸した。
実施例および比較例で得られたフィルムに関して、以下の評価を行った。
(1)フィルム厚み
1/1000mmのダイアルゲージを用いて無作為に10点測定して、その平均値を厚みとした。
(2)25℃での透気度
蒸留水浸漬前後のフィルムと、延伸後のフィルムの透気度を、25℃の空気雰囲気下にて、JIS P8117に準拠して測定した。測定機器としては、デジタル型王研式透気度専用機(旭精工社製)を用いた。
なお、フィルムを延伸して破断したものは表1にて「破断」と表記した。
(3)水浸漬に伴う多孔化判定
水浸漬によって多孔構造が形成されているかは、下記の基準により判定した。
A(gооd):水浸漬後の透気度が水浸漬前の透気度の10%以下である。
B(pооr):水浸漬後の透気度が水浸漬前の透気度の10%超である。
(4)フィルム成形性評価
フィルムの成形性は、下記の基準により判定した。
A(gооd):水浸漬前のフィルムに穴あき及び融着が見られず、かつ、水浸漬前の透気度が90000秒/dL以上である。
B(pооr):水浸漬前のフィルムに穴あき又は融着が見られるか、水浸漬前の透気度が90000秒/dL未満である。
(5)有機フィラーの分散性評価
有機フィラーの分散性は、下記の基準により判定した。
A(gооd):フィルムの水浸漬前後、いずれも透気度が10秒/dL以上である。
B(pооr):フィルムの水浸漬前後、いずれかの透気度が10秒/dL未満である。
表1に実施例、比較例に関する評価結果を示した。
Figure 2023121352000001
表1の実施例1~8より、所定量の脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)と有機フィラー(B)とを含むフィルムは、成形性に優れ、水浸漬後に連通性を有する多孔フィルムを形成できた。さらに、特定の粒子径を有する有機フィラー(B)を含有するフィルムに関して、延伸処理を施すことで、さらに連通性を高めることが可能であった。
一方、比較例2及び3は脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)の含有量が少ないため、有機フィラー(B)の分散性が悪く、フィルム成形性と連通性を両立するフィルムを得ることができなかった。

Claims (19)

  1. ポリエステル系樹脂(A)及び有機フィラー(B)を含有する組成物からなり、
    前記ポリエステル系樹脂(A)全量を100質量%としたとき、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)を75質量%以上含むフィルム。
  2. 前記ポリエステル系樹脂(A)全量を100質量%としたとき、脂肪族ポリエステル系樹脂(A2)を0.01質量%以上25質量%以下含む、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)がポリブチレンテレフタレートアルキレート系樹脂である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記組成物全量を100質量%としたとき、前記ポリエステル系樹脂(A)を50質量%以上90質量%以下含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルム。
  5. 前記有機フィラー(B)が澱粉である、請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルム。
  6. 前記組成物全量を100質量%としたとき、前記有機フィラー(B)を5質量%以上40質量%以下含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルム。
  7. 前記有機フィラー(B)の平均粒子径が1μm以上20μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルム。
  8. 可塑剤(C)をさらに含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のフィルム。
  9. 前記可塑剤(C)がグリセリンである、請求項8に記載のフィルム。
  10. 前記組成物全量を100質量%としたとき、前記可塑剤(C)を5質量%以上20質量%以下含む、請求項8又は9に記載のフィルム。
  11. 前記フィルムを25℃の水に120分間浸漬したとき、浸漬後の透気度が浸漬前の透気度の0.01%以上10%以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載のフィルム。
  12. 多孔構造を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のフィルム。
  13. 透気度が10秒/dL以上10000秒/dL以下である、請求項12に記載のフィルム。
  14. 請求項1~13に記載のフィルムを少なくとも一軸方向に延伸してなる延伸フィルム。
  15. 請求項1~13のいずれか1項に記載のフィルムからなる包装材。
  16. 請求項1~13のいずれか1項に記載のフィルムからなる農業用フィルム。
  17. ポリエステル系樹脂(A)及び有機フィラー(B)を含有する組成物であり、
    前記ポリエステル系樹脂(A)全量を100質量%としたとき、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)を75質量%以上含む、農業用フィルム用樹脂組成物。
  18. ポリエステル系樹脂(A)及び有機フィラー(B)を含有する組成物からなり、前記ポリエステル系樹脂(A)全量を100質量%としたとき、脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂(A1)を75質量%以上含むフィルムを得る製膜工程と、
    前記製膜工程で得られたフィルムを水に浸漬し、多孔化する浸漬工程と、を含む、多孔フィルムの製造方法。
  19. 前記浸漬工程の前又は後に、フィルムを少なくとも一軸方向に延伸する延伸工程を含む、請求項18に記載の多孔フィルムの製造方法。
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