JP2010254859A - 発泡樹脂シート、発泡樹脂シート成形物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性が改善され、折り曲げ加工や製袋加工が可能な、例えば、精密機器用の包装材料として有用な発泡樹脂シート、発泡樹脂シート成形物ならびに発泡樹脂シート成形物の製造方法を提供すること。
【解決手段】澱粉100質量部に対し、熱可塑性樹脂0.5〜60質量部、無機質フィラー0.01〜5質量部及び水10〜30質量部を含む樹脂組成物を加熱下、発泡体とし、次いで、同発泡体を圧延してなる発泡樹脂シート、同発泡樹脂シートを真空または圧空成形加工、折り曲げ加工、または製袋加工してなる発泡樹脂シート成形物、ならびに澱粉、熱可塑性樹脂、水及び無機質フィラーを含む樹脂組成物を加熱下、発泡体とする工程、同発泡体を圧延する工程を含む発泡樹脂シートの製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】澱粉100質量部に対し、熱可塑性樹脂0.5〜60質量部、無機質フィラー0.01〜5質量部及び水10〜30質量部を含む樹脂組成物を加熱下、発泡体とし、次いで、同発泡体を圧延してなる発泡樹脂シート、同発泡樹脂シートを真空または圧空成形加工、折り曲げ加工、または製袋加工してなる発泡樹脂シート成形物、ならびに澱粉、熱可塑性樹脂、水及び無機質フィラーを含む樹脂組成物を加熱下、発泡体とする工程、同発泡体を圧延する工程を含む発泡樹脂シートの製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、生分解性樹脂を主成分とする組成物から形成された発泡樹脂シート、発泡樹脂シート成形物およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、柔軟性が改善され、折り曲げ加工や製袋加工が可能な、たとえば、精密機器用の包装材料として有用な発泡樹脂シート、発泡樹脂シート成形物ならびに発泡樹脂シート成形物の製造方法に関するものである。
生分解性樹脂は、水中や土中で有害物を生成することなく比較的容易に分解することが知られている。そのため、ゴミ処理問題などの環境保全の面から世界的に注目され、農業資材、土木資材、植生資材、包装材等の用途として将来が期待されている。
また、近年、枯渇資源から再生可能資源への転換による循環型社会の構築が注目を集めるようになり、天然物に由来する材料への関心が高まっている。中でも、澱粉は代表的な天然物であり、分解し易く、その上カーボンニュートラルという観点からも、環境に優しい材料として注目を集めている。
澱粉を含む生分解性樹脂組成物としては多くの提案がなされている(例えば、特許文献1及び2参照)。さらに、化工澱粉を添加した系についても種々の提案がなされている(例えば、特許文献3参照)。
特に、包装材料分野における緩衝材としては、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレンおよびポリプロピレン等の合成樹脂材料が主流であったが、これらの材料から加工された製品は使用後の廃棄が問題となっている。また、トレイのような食品容器分野においては、発泡ポリスチレンから加工された製品が主流であったが、同様の問題をかかえている。
近年、生分解性で、かつ、再生可能な資源である澱粉を含む材料を発泡体として、特に包装材料分野における緩衝材やトレイのような食品容器として使用するための加工方法が種々検討されている(例えば、特許文献4〜10参照)。
しかしながら、澱粉とそれ以外の材料との組み合わせおよび加工条件の点から、得られた製品の特性は十分ではない。
また、近年、枯渇資源から再生可能資源への転換による循環型社会の構築が注目を集めるようになり、天然物に由来する材料への関心が高まっている。中でも、澱粉は代表的な天然物であり、分解し易く、その上カーボンニュートラルという観点からも、環境に優しい材料として注目を集めている。
澱粉を含む生分解性樹脂組成物としては多くの提案がなされている(例えば、特許文献1及び2参照)。さらに、化工澱粉を添加した系についても種々の提案がなされている(例えば、特許文献3参照)。
特に、包装材料分野における緩衝材としては、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレンおよびポリプロピレン等の合成樹脂材料が主流であったが、これらの材料から加工された製品は使用後の廃棄が問題となっている。また、トレイのような食品容器分野においては、発泡ポリスチレンから加工された製品が主流であったが、同様の問題をかかえている。
近年、生分解性で、かつ、再生可能な資源である澱粉を含む材料を発泡体として、特に包装材料分野における緩衝材やトレイのような食品容器として使用するための加工方法が種々検討されている(例えば、特許文献4〜10参照)。
しかしながら、澱粉とそれ以外の材料との組み合わせおよび加工条件の点から、得られた製品の特性は十分ではない。
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、生分解性樹脂を主成分とする組成物から形成され、十分な機械的強度を有する発泡樹脂シートおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、澱粉を主成分とし、その他の材料の配合割合を工夫し、かつ、加工手段を工夫することにより、上記問題を解決することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下、
(1)澱粉100質量部に対し、熱可塑性樹脂0.5〜60質量部、無機質フィラー0.01〜5質量部及び水10〜30質量部を含む樹脂組成物を加熱下、発泡体とし、次いで、同発泡体を圧延してなる発泡樹脂シート、
(2)熱可塑性樹脂が生分解性樹脂である上記(1)に記載の発泡樹脂シート、
(3)生分解性樹脂が、脂肪族ポリエステルおよび/またはポリビニルアルコールを含む上記(2)に記載の発泡樹脂シート、
(4)熱可塑性樹脂がポリオレフィンおよび/またはポリスチレンである上記(1)に記載の発泡樹脂シート、
(5)熱可塑性樹脂の融点、または軟化点が100℃以下あるいは水可溶性樹脂である上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート、
(6)澱粉がとうもろこし、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、タピオカから選ばれる生澱粉もしくは加工澱粉である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の発泡樹脂シート、
(7)加工澱粉が、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋化澱粉及びカチオン化澱粉から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の発泡樹脂シート、
(8)澱粉が繊維状物質を含む上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート、
(9)繊維状物質が生分解性繊維である上記(8)記載の発泡樹脂シート、
(10)さらにグリセリンを含む上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート、
(11)さらにグリセロールモノステアレートを含む上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート、
(12)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の発泡樹脂シートを真空または圧空成形加工、折り曲げ加工、または製袋加工してなる発泡樹脂シート成形物、
(13)精密機器または家電製品用の包装材料である上記(12)に記載の発泡樹脂シート成形物、
(14)澱粉、熱可塑性樹脂、水及び無機質フィラーを含む樹脂組成物を加熱下、発泡体とする工程、同発泡体を圧延する工程を含む発泡樹脂シートの製造方法および
(15)発泡体とする工程においてサーキュラーダイスを用いる上記(14)に記載の発泡樹脂シートの製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、以下、
(1)澱粉100質量部に対し、熱可塑性樹脂0.5〜60質量部、無機質フィラー0.01〜5質量部及び水10〜30質量部を含む樹脂組成物を加熱下、発泡体とし、次いで、同発泡体を圧延してなる発泡樹脂シート、
(2)熱可塑性樹脂が生分解性樹脂である上記(1)に記載の発泡樹脂シート、
(3)生分解性樹脂が、脂肪族ポリエステルおよび/またはポリビニルアルコールを含む上記(2)に記載の発泡樹脂シート、
(4)熱可塑性樹脂がポリオレフィンおよび/またはポリスチレンである上記(1)に記載の発泡樹脂シート、
(5)熱可塑性樹脂の融点、または軟化点が100℃以下あるいは水可溶性樹脂である上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート、
(6)澱粉がとうもろこし、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、タピオカから選ばれる生澱粉もしくは加工澱粉である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の発泡樹脂シート、
(7)加工澱粉が、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋化澱粉及びカチオン化澱粉から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の発泡樹脂シート、
(8)澱粉が繊維状物質を含む上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート、
(9)繊維状物質が生分解性繊維である上記(8)記載の発泡樹脂シート、
(10)さらにグリセリンを含む上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート、
(11)さらにグリセロールモノステアレートを含む上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート、
(12)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の発泡樹脂シートを真空または圧空成形加工、折り曲げ加工、または製袋加工してなる発泡樹脂シート成形物、
(13)精密機器または家電製品用の包装材料である上記(12)に記載の発泡樹脂シート成形物、
(14)澱粉、熱可塑性樹脂、水及び無機質フィラーを含む樹脂組成物を加熱下、発泡体とする工程、同発泡体を圧延する工程を含む発泡樹脂シートの製造方法および
(15)発泡体とする工程においてサーキュラーダイスを用いる上記(14)に記載の発泡樹脂シートの製造方法を提供する。
本発明により、折り曲げ加工や製袋加工することが可能な発泡樹脂シートおよび発泡樹脂シート成形物を得ることができる。本発明の発泡樹脂シートおよび発泡樹脂シート成形物は特に、生分解性の緩衝材として有用である。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明における澱粉としては、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉等から選ばれる生澱粉(未加工澱粉)もしくは、それらの加工澱粉を用いることができる。
本発明で用いられる加工澱粉としては、ジカルボン酸澱粉のような酸化澱粉(例えば、特開平9−188704号公報参照)、アセチル化澱粉のようなエステル化澱粉(例えば、特開平8−188601号公報参照)、カルボキシメチル化澱粉のようなエーテル化澱粉(例えば、特開2000−72801号公報参照)、澱粉をアセトアルデヒドやリン酸で処理した架橋化澱粉(例えば、特開2008−202050号公報参照)及び澱粉をグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドのような四級アンモニウム化合物や2−ジメチルアミノエチルクロライドのような第三級アミノ化合物で処理したカチオン化澱粉(例えば、特開平9−12602号公報参照)から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
これらの中で、低コストという観点から生澱粉を用いることが好ましい。生澱粉は後で述べる発泡加工する際に用いる水分量をコントロールし易くするため乾燥澱粉であることが好ましい。
生澱粉としては、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉から選ばれる少なくとも一種が好ましく用いられる。
本発明における澱粉としては、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉等から選ばれる生澱粉(未加工澱粉)もしくは、それらの加工澱粉を用いることができる。
本発明で用いられる加工澱粉としては、ジカルボン酸澱粉のような酸化澱粉(例えば、特開平9−188704号公報参照)、アセチル化澱粉のようなエステル化澱粉(例えば、特開平8−188601号公報参照)、カルボキシメチル化澱粉のようなエーテル化澱粉(例えば、特開2000−72801号公報参照)、澱粉をアセトアルデヒドやリン酸で処理した架橋化澱粉(例えば、特開2008−202050号公報参照)及び澱粉をグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドのような四級アンモニウム化合物や2−ジメチルアミノエチルクロライドのような第三級アミノ化合物で処理したカチオン化澱粉(例えば、特開平9−12602号公報参照)から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
これらの中で、低コストという観点から生澱粉を用いることが好ましい。生澱粉は後で述べる発泡加工する際に用いる水分量をコントロールし易くするため乾燥澱粉であることが好ましい。
生澱粉としては、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉から選ばれる少なくとも一種が好ましく用いられる。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンやポリスチレンのような生分解性を有さない樹脂を用いることもできるが、生分解性樹脂を用いることが好ましい。
生分解性樹脂としては、公知の重縮合型の脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、酢酸セルロースや微生物により製造されるポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記生分解性樹脂の中でポリビニルアルコールおよび重縮合型の脂肪族ポリエステルが好ましく用いられる。
ポリビニルアルコールとしては、水に可溶性で、かつ、熱溶融性ポリビニルアルコール(特開平10−324784号、特開2001−355175号公報等参照)が好ましく、溶融粘度および熱安定性などを考慮すると、重合度が100〜2000のものが好ましく、200〜1500のものがさらに好ましい。けん化度についても同様に、90モル%以上のものが好ましく、95モル%以上のものがより好ましい。
市販品としては、日本合成(株)製のポリビニルアルコールであるゴーセノールNM−11のような「ゴーセノールシリーズ」やクラレ(株)のポリビニルアルコールである「PVA117」のような「PVAシリーズ」が著名である。
重縮合型の脂肪族ポリエステルとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の多価アルコールとコハク酸、アジピン酸等の多価カルボン酸またはその無水物とを重縮合して製造されたものが知られている(特開平5−70566号、同5−70575号公報等参照)。
多価カルボン酸の一部としてテレフタル酸等の芳香族ポリエステルを用いて製造した脂肪族−芳香族ポリエステルを用いることもできる。
重縮合型の脂肪族ポリエステルの中でも、多価アルコールの一部としてトリメチロールプロパンやペンタエリスリトールのような3官能以上のものを用いて分子内に分岐構造を形成させた脂肪族ポリエステルを使用することにより発泡倍率を上げることができ、かつ、独立気泡を作り易いので得られた発泡樹脂シートの強度を向上させることができるので好ましい。
これら重縮合型の脂肪族ポリエステルの中で融点が100℃以上のものが好ましく用いられる。重縮合型の脂肪族ポリエステルの市販品としては、昭和高分子社製のビオノーレシリーズが著名である。
ポリ乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸およびまたはそれらの環状二量体(ラクチド)を主成分とするモノマーを溶融状態で連続的に共重合させることにより得られるもの(特開平7−305228号公報等参照)を使用することができる。市販品としては、島津製作所製のポリ乳酸であるラクティ#9030のような「ラクティシリーズ」や三井化学(株)製のポリ乳酸であるLACEA H−400のような「LACEAシリーズ」が著名である。
ポリカプロラクトンとしては、微量の活性水素化合物を開始剤としてカプロラクトンのような環状エステルを開環重合して製造された樹脂であり、本発明の発泡樹脂シートの機械的強度の観点から分子量50,000以上、好ましくは100,000以上の高分子量の重合体(特開平7−53686号公報等参照)を使用することが好ましい。
市販品としては、ダイセル化学工業(株)製のポリカプロラクトンであるセルグリーンPH7のような「セルグリーンシリーズ」やユニオンカーバイド(株)のポリカプロラクトンであるである「TONE Polymer P−767」のような「TONEシリーズ」が著名である。
酢酸セルロースとしては、本発明の発泡樹脂シートの機械的強度の観点から平均酢化度53〜57質量%、粘度平均重合度200〜600のものなどを使用することができる(特開平9−77801号公報等参照)。
ポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体としては、例えば、脂肪族カルボン酸のような炭素源上で、Alcaligenes菌株を培養して製造された共重合体(特開平9−132701号公報等参照)等を用いることができる。
生分解性樹脂としては、公知の重縮合型の脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、酢酸セルロースや微生物により製造されるポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記生分解性樹脂の中でポリビニルアルコールおよび重縮合型の脂肪族ポリエステルが好ましく用いられる。
ポリビニルアルコールとしては、水に可溶性で、かつ、熱溶融性ポリビニルアルコール(特開平10−324784号、特開2001−355175号公報等参照)が好ましく、溶融粘度および熱安定性などを考慮すると、重合度が100〜2000のものが好ましく、200〜1500のものがさらに好ましい。けん化度についても同様に、90モル%以上のものが好ましく、95モル%以上のものがより好ましい。
市販品としては、日本合成(株)製のポリビニルアルコールであるゴーセノールNM−11のような「ゴーセノールシリーズ」やクラレ(株)のポリビニルアルコールである「PVA117」のような「PVAシリーズ」が著名である。
重縮合型の脂肪族ポリエステルとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の多価アルコールとコハク酸、アジピン酸等の多価カルボン酸またはその無水物とを重縮合して製造されたものが知られている(特開平5−70566号、同5−70575号公報等参照)。
多価カルボン酸の一部としてテレフタル酸等の芳香族ポリエステルを用いて製造した脂肪族−芳香族ポリエステルを用いることもできる。
重縮合型の脂肪族ポリエステルの中でも、多価アルコールの一部としてトリメチロールプロパンやペンタエリスリトールのような3官能以上のものを用いて分子内に分岐構造を形成させた脂肪族ポリエステルを使用することにより発泡倍率を上げることができ、かつ、独立気泡を作り易いので得られた発泡樹脂シートの強度を向上させることができるので好ましい。
これら重縮合型の脂肪族ポリエステルの中で融点が100℃以上のものが好ましく用いられる。重縮合型の脂肪族ポリエステルの市販品としては、昭和高分子社製のビオノーレシリーズが著名である。
ポリ乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸およびまたはそれらの環状二量体(ラクチド)を主成分とするモノマーを溶融状態で連続的に共重合させることにより得られるもの(特開平7−305228号公報等参照)を使用することができる。市販品としては、島津製作所製のポリ乳酸であるラクティ#9030のような「ラクティシリーズ」や三井化学(株)製のポリ乳酸であるLACEA H−400のような「LACEAシリーズ」が著名である。
ポリカプロラクトンとしては、微量の活性水素化合物を開始剤としてカプロラクトンのような環状エステルを開環重合して製造された樹脂であり、本発明の発泡樹脂シートの機械的強度の観点から分子量50,000以上、好ましくは100,000以上の高分子量の重合体(特開平7−53686号公報等参照)を使用することが好ましい。
市販品としては、ダイセル化学工業(株)製のポリカプロラクトンであるセルグリーンPH7のような「セルグリーンシリーズ」やユニオンカーバイド(株)のポリカプロラクトンであるである「TONE Polymer P−767」のような「TONEシリーズ」が著名である。
酢酸セルロースとしては、本発明の発泡樹脂シートの機械的強度の観点から平均酢化度53〜57質量%、粘度平均重合度200〜600のものなどを使用することができる(特開平9−77801号公報等参照)。
ポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体としては、例えば、脂肪族カルボン酸のような炭素源上で、Alcaligenes菌株を培養して製造された共重合体(特開平9−132701号公報等参照)等を用いることができる。
これらの熱可塑性樹脂の融点または軟化点は100℃以下であること、あるいは水に可溶性の樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂の融点または軟化点は100℃以下であることあるいは水に可溶性の樹脂にすることにより、澱粉や他の成分を含む樹脂組成物の低温での加工を可能にすることができ、とくに、あらかじめ、水分を含んだペレットを製造した後、単軸、あるいは二軸の押出機により発泡させるときに、有用となる。
本発明における樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の配合量は前記澱粉100質量部に対して0.5〜60質量部、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは5〜25質量部である。
熱可塑性樹脂の配合量を0.5質量部以上とすることにより、最終的に得られる発泡樹脂シートの強度が確保され、折り曲げ加工や製袋加工をすることが可能となる。60質量部以下とすることにより、発泡樹脂シートとしての弾性等を低下させることなく、かつ、コストが上昇するのを防止することができる。
熱可塑性樹脂の融点または軟化点は100℃以下であることあるいは水に可溶性の樹脂にすることにより、澱粉や他の成分を含む樹脂組成物の低温での加工を可能にすることができ、とくに、あらかじめ、水分を含んだペレットを製造した後、単軸、あるいは二軸の押出機により発泡させるときに、有用となる。
本発明における樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の配合量は前記澱粉100質量部に対して0.5〜60質量部、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは5〜25質量部である。
熱可塑性樹脂の配合量を0.5質量部以上とすることにより、最終的に得られる発泡樹脂シートの強度が確保され、折り曲げ加工や製袋加工をすることが可能となる。60質量部以下とすることにより、発泡樹脂シートとしての弾性等を低下させることなく、かつ、コストが上昇するのを防止することができる。
本発明における樹脂組成物中に配合される無機質フィラーとしては、酸化チタン、タルク(ケイ酸マグネシウム)、炭酸カルシウム、卵殻、シリカ等が挙げられる。
これらの無機質フィラーは必要に応じてシランカップリング剤などで表面処理されていてもよい。無機質フィラーは発泡シートの気泡を微細化、均質化して発泡シートの強度を向上させる効果を示す。無機質フィラーの粒子径は、一般の樹脂組成物に使用されるものであれば特に限定されない。
無機質フィラーの配合量は前記澱粉100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.02〜3質量部である。無機質フィラーの配合量を0.01質量部以上とすることにより、上記効果が示され、5質量部以下とすることにより、発泡シートの見かけの比重が増大するのを防止する。
これらの無機質フィラーは必要に応じてシランカップリング剤などで表面処理されていてもよい。無機質フィラーは発泡シートの気泡を微細化、均質化して発泡シートの強度を向上させる効果を示す。無機質フィラーの粒子径は、一般の樹脂組成物に使用されるものであれば特に限定されない。
無機質フィラーの配合量は前記澱粉100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.02〜3質量部である。無機質フィラーの配合量を0.01質量部以上とすることにより、上記効果が示され、5質量部以下とすることにより、発泡シートの見かけの比重が増大するのを防止する。
本発明の発泡樹脂シートを調製するための樹脂組成物は、上記成分以外に澱粉100質量部に対して水を10〜30質量部を配合する必要がある。水の配合量は好ましくは15〜25質量部程度である。この水が加熱下で発泡剤としての役割を果たす。
水を10質量部以上配合することにより、適度な発泡倍率とすることができ、30質量部以下とすることにより、気泡が崩壊して発泡倍率が上がらず所望の発泡シートが得られなくなることを防止する。水以外の前記成分が水を含む場合はその水の量も配合量として考慮されねばならない。
なお、水は、澱粉等を後で述べるヘンシェルミキサー等で混合した後、押出機で混練する際に水を押出機中に注入してもよい。
水を10質量部以上配合することにより、適度な発泡倍率とすることができ、30質量部以下とすることにより、気泡が崩壊して発泡倍率が上がらず所望の発泡シートが得られなくなることを防止する。水以外の前記成分が水を含む場合はその水の量も配合量として考慮されねばならない。
なお、水は、澱粉等を後で述べるヘンシェルミキサー等で混合した後、押出機で混練する際に水を押出機中に注入してもよい。
本発明の発泡樹脂シートを調製するための樹脂組成物は、上記必須成分以外に繊維状物質が配合されてもよい。繊維状物質としては、合成繊維、天然繊維(例えば黄麻、綿、ウールの繊維など)、多糖類ベースの繊維(例えばセルロースアセテート、でんぷんアセテート、ビスコースなど)等が挙げられる。ブドウ残留粉末、ふすま、トウモロコシ外皮等生分解性繊維を使用することが好ましい。合成繊維としては、前記熱可塑性樹脂より融点の高いポリエステル繊維等が挙げられる。
繊維状物質を配合する場合、その量は前記澱粉100質量部に対して0.5〜20質量部程度である。0.5質量部以上とすることにより、得られる発泡樹脂シートに適度な弾性を付与することができ、20質量部以下とすることにより、発泡樹脂シートの強度が低下するのを防止する。
繊維状物質のサイズは、長さ1〜300mm程度、好ましくは1〜10mm程度、直径300μm未満、好ましくは50μm未満である。
繊維状物質を配合する場合、その量は前記澱粉100質量部に対して0.5〜20質量部程度である。0.5質量部以上とすることにより、得られる発泡樹脂シートに適度な弾性を付与することができ、20質量部以下とすることにより、発泡樹脂シートの強度が低下するのを防止する。
繊維状物質のサイズは、長さ1〜300mm程度、好ましくは1〜10mm程度、直径300μm未満、好ましくは50μm未満である。
また、本発明の発泡樹脂シートを調製するための樹脂組成物には、グリセリンが配合されてもよい。グリセリンは樹脂組成物の加工性、柔軟性を高め発泡樹脂シートの伸びを増す効果がある。グリセリンの配合量は、前記澱粉100質量部に対して0.1〜10質量部程度、好ましくは0.2〜3質量部程度、好適には0.2〜1質量部である。0.1質量部以上とすることにより、発泡樹脂シートの伸びを増す効果が発現し、10質量部以上とすることにより、発泡樹脂シートがべた付いたり、柔軟になり過ぎるのを防止する。
なお、グリセリンは常温では粘度が高いので、予め水に溶解して配合することが好ましい。
なお、グリセリンは常温では粘度が高いので、予め水に溶解して配合することが好ましい。
また、本発明の発泡樹脂シートを調製するための樹脂組成物の発泡体への加工性をさらによくするには、界面活性剤が配合されるのが好ましい。界面活性剤の配合量は、前記澱粉100質量部に対して0.01〜5質量部程度である。
0.01質量部以上とすることにより、発泡樹脂シートの伸びを増す効果が発現し、5質量部以下とすることにより、発泡樹脂シートがべた付いたり、柔軟になり過ぎるのを防止する。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系のものを用いることもできるが、下記のようなノニオン系のものを用いるのが好ましい。
ノニオン系の界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールやポリエチレングリコールアルキルエーテルやグリセロールモノステアレートのような水溶性高分子が挙げられる。
本発明における樹脂組成物には、必要に応じて、さらに着色剤、忌避材、架橋材、防かび剤、抗菌剤、吸水性ポリマー、難燃剤、芳香剤、耐候剤等を配合してもよい。
0.01質量部以上とすることにより、発泡樹脂シートの伸びを増す効果が発現し、5質量部以下とすることにより、発泡樹脂シートがべた付いたり、柔軟になり過ぎるのを防止する。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系のものを用いることもできるが、下記のようなノニオン系のものを用いるのが好ましい。
ノニオン系の界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールやポリエチレングリコールアルキルエーテルやグリセロールモノステアレートのような水溶性高分子が挙げられる。
本発明における樹脂組成物には、必要に応じて、さらに着色剤、忌避材、架橋材、防かび剤、抗菌剤、吸水性ポリマー、難燃剤、芳香剤、耐候剤等を配合してもよい。
次に本発明の発泡樹脂シートおよびその製造方法について説明する。
本発明の発泡樹脂シートを製造するための樹脂組成物を調製する方法は特に限定されない。例えば、あらかじめ、ヘンシェルミキサーやリボンミキサー等で前記各成分を混合すればよい。
さらに、混合したものをTダイス、サーキュラーダイスを備えた押出機に直接投入し、加熱下、加圧下で溶融押し出しして発泡シートを得る。
この際、水はヘンシェルミキサーなどで混合する際に混入してもよいし、発泡シートを得る際のTダイス、サーキュラーダイスを備えた押出機に直投入し、加熱下、加圧下で溶融押し出しするときに、押出機のシリンダーから水を供給してもよい。
あるいは、水を含んだ組成物をヘンシェルミキサー等で混合したものあるいはニーダーで低温で混練したのち押出機に投入し、低温で押し出し、あらかじめ、水を含んだペレットを製造して、その後、Tダイス、サーキュラーダイスを備えた押出機に投入し、加熱下、加圧下で溶融押し出しして発泡シートを得る。
押出機は一軸のものでもよいが、均質な一次発泡シートを製造するためには二軸のものを使用するのが好ましい。(本発明の発泡樹脂シートと区別するために、以下、この発泡シートを「一次発泡シート」と称する)
樹脂組成物の押出機内滞留時間は5〜25秒、好ましくは10〜20秒である。5秒以上とすることにより、樹脂組成物の均質化を達成し、25秒以下とすることにより樹脂組成物の分解を防止することができる。
前記のような配合比の本発明の樹脂組成物から得られる「一次発泡シート」の発泡倍率は3〜100程度とすることが好ましい。より好ましくは5〜8程度である。「一次発泡シート」の厚みは100μ〜50mm程度とすることが好ましく、より好ましくは200μ〜30mmである。発泡樹脂シートの厚みは50μ〜40mm程度とすることが好ましく、より好ましくは100μ〜30mmである。
本発明の発泡樹脂シートを製造するための樹脂組成物を調製する方法は特に限定されない。例えば、あらかじめ、ヘンシェルミキサーやリボンミキサー等で前記各成分を混合すればよい。
さらに、混合したものをTダイス、サーキュラーダイスを備えた押出機に直接投入し、加熱下、加圧下で溶融押し出しして発泡シートを得る。
この際、水はヘンシェルミキサーなどで混合する際に混入してもよいし、発泡シートを得る際のTダイス、サーキュラーダイスを備えた押出機に直投入し、加熱下、加圧下で溶融押し出しするときに、押出機のシリンダーから水を供給してもよい。
あるいは、水を含んだ組成物をヘンシェルミキサー等で混合したものあるいはニーダーで低温で混練したのち押出機に投入し、低温で押し出し、あらかじめ、水を含んだペレットを製造して、その後、Tダイス、サーキュラーダイスを備えた押出機に投入し、加熱下、加圧下で溶融押し出しして発泡シートを得る。
押出機は一軸のものでもよいが、均質な一次発泡シートを製造するためには二軸のものを使用するのが好ましい。(本発明の発泡樹脂シートと区別するために、以下、この発泡シートを「一次発泡シート」と称する)
樹脂組成物の押出機内滞留時間は5〜25秒、好ましくは10〜20秒である。5秒以上とすることにより、樹脂組成物の均質化を達成し、25秒以下とすることにより樹脂組成物の分解を防止することができる。
前記のような配合比の本発明の樹脂組成物から得られる「一次発泡シート」の発泡倍率は3〜100程度とすることが好ましい。より好ましくは5〜8程度である。「一次発泡シート」の厚みは100μ〜50mm程度とすることが好ましく、より好ましくは200μ〜30mmである。発泡樹脂シートの厚みは50μ〜40mm程度とすることが好ましく、より好ましくは100μ〜30mmである。
前記「一次発泡シート」のままだと、例えば、包装材料として用いる際、または折り曲げ加工や製袋加工をする際、割れが生じるため、本発明においては、「一次発泡シート」をさらに圧延による二次加工をすることにより、折り曲げても割れの生じない「発泡樹脂シート」とすることを特徴としている。
圧延による二次加工は押出機から吐出される「一次発泡シート」を通常、2個のロールを用いて連続的に引き取ることにより行なうのが好ましい。
圧延用のロールはステンレス鋼、テフロン(登録商標)のような樹脂組成物中の成分に対して不活性な材料で作製するのが好ましい。
圧延用ロールによる引き取り速度は、通常「一次発泡シート」の吐出速度よりも最大50%程度速く設定するのが好ましい。より好ましくは、10〜20%程度である。しかし、圧延の程度は、目的の製品(発泡樹脂シート)に要求される厚みに依存してロールの間隙、「一次発泡シート」の吐出速度および引取り速度を調整することにより決められる。ロール圧は50〜150kg/cm2、好ましくは70〜120kg/cm2である。圧延は、「一次発泡シート」がまだ熱いうち、または一端冷却された場合は加熱して行われるのが好ましく、ロール温度50〜150℃、好ましくは80〜120℃で行なう。
上記のように製造された発泡樹脂シートはロール状に巻き取って保管および流通させても良いし、定型に裁断したシートを重ねて保管および流通させてもよい。
圧延による二次加工は押出機から吐出される「一次発泡シート」を通常、2個のロールを用いて連続的に引き取ることにより行なうのが好ましい。
圧延用のロールはステンレス鋼、テフロン(登録商標)のような樹脂組成物中の成分に対して不活性な材料で作製するのが好ましい。
圧延用ロールによる引き取り速度は、通常「一次発泡シート」の吐出速度よりも最大50%程度速く設定するのが好ましい。より好ましくは、10〜20%程度である。しかし、圧延の程度は、目的の製品(発泡樹脂シート)に要求される厚みに依存してロールの間隙、「一次発泡シート」の吐出速度および引取り速度を調整することにより決められる。ロール圧は50〜150kg/cm2、好ましくは70〜120kg/cm2である。圧延は、「一次発泡シート」がまだ熱いうち、または一端冷却された場合は加熱して行われるのが好ましく、ロール温度50〜150℃、好ましくは80〜120℃で行なう。
上記のように製造された発泡樹脂シートはロール状に巻き取って保管および流通させても良いし、定型に裁断したシートを重ねて保管および流通させてもよい。
本発明は、また、発泡樹脂シート成形体を提供する。
前記のようにして調製された発泡樹脂シートは、例えば、そのまま包装材料として用いることができるが、必要に応じて、加熱下、真空成形加工または圧空成形加工、折り曲げ加工、製袋加工などにより箱型または袋型に成形することにより発泡樹脂シート成形体を得ることができる。
本発明の発泡樹脂シート成形体は、大型の緩衝材を大量に必要とする、例えば、パソコンや分析機器等の精密機器、テレビやビデオ等の家電製品等の大型商品用の生分解性緩衝材として特に有用である。
前記のようにして調製された発泡樹脂シートは、例えば、そのまま包装材料として用いることができるが、必要に応じて、加熱下、真空成形加工または圧空成形加工、折り曲げ加工、製袋加工などにより箱型または袋型に成形することにより発泡樹脂シート成形体を得ることができる。
本発明の発泡樹脂シート成形体は、大型の緩衝材を大量に必要とする、例えば、パソコンや分析機器等の精密機器、テレビやビデオ等の家電製品等の大型商品用の生分解性緩衝材として特に有用である。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
生コーンスターチ〔王子コーンスターチ(株)製、未加工澱粉、水分:8.5質量%〕100質量部、ポリビニルアルコール〔日本合成(株)製、ゴーセノールNM−11、4%水溶液粘度:15mPa・s/20℃、けん化度:99モル%)25質量部、水20質量部、無機質フィラー〔レーザー法で測定した平均粒径:約10μmのタルク〕1質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、Tダイ(スリット幅:50mm、スリット間隙:0.5mm)を備えた2軸押出機(スクリュー径:50mmφ)に投入(出口圧力:80kg/cm2)し、シリンダー温度190℃の温度で発泡させながら、シート状に押出し、「一次発泡シート(厚さ:約3mm、発泡倍率:約50)」を製造した。その後、インラインでロール圧100kg/cm2、ロール温度120℃で圧延して本発明の「発泡樹脂シート(厚さ:約400μ)」を製造した。圧延前の「一次発泡シート」は20〜25℃で角度180度(温度および曲げる角度は以下全て同じ)に曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート」は柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
〔実施例1〕
生コーンスターチ〔王子コーンスターチ(株)製、未加工澱粉、水分:8.5質量%〕100質量部、ポリビニルアルコール〔日本合成(株)製、ゴーセノールNM−11、4%水溶液粘度:15mPa・s/20℃、けん化度:99モル%)25質量部、水20質量部、無機質フィラー〔レーザー法で測定した平均粒径:約10μmのタルク〕1質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、Tダイ(スリット幅:50mm、スリット間隙:0.5mm)を備えた2軸押出機(スクリュー径:50mmφ)に投入(出口圧力:80kg/cm2)し、シリンダー温度190℃の温度で発泡させながら、シート状に押出し、「一次発泡シート(厚さ:約3mm、発泡倍率:約50)」を製造した。その後、インラインでロール圧100kg/cm2、ロール温度120℃で圧延して本発明の「発泡樹脂シート(厚さ:約400μ)」を製造した。圧延前の「一次発泡シート」は20〜25℃で角度180度(温度および曲げる角度は以下全て同じ)に曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート」は柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
〔実施例2〕
ポリビニルアルコールの代わりに、コハク酸と1,4−ブタンジオールとの重縮合により得られた脂肪族ポリエステル〔登録商標「ビオノーレ#3010」、昭和高分子社製、融点:90℃、MFR:10g/(190℃、10分)〕を用いた以外は実施例1と同様に行ない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(厚さ:3.5mm、発泡倍率:約60)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚さ:250μ)」は柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
ポリビニルアルコールの代わりに、コハク酸と1,4−ブタンジオールとの重縮合により得られた脂肪族ポリエステル〔登録商標「ビオノーレ#3010」、昭和高分子社製、融点:90℃、MFR:10g/(190℃、10分)〕を用いた以外は実施例1と同様に行ない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(厚さ:3.5mm、発泡倍率:約60)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚さ:250μ)」は柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
〔実施例3〕
脂肪族ポリエステルを5質量部とした以外は実施例2と同様に行い、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(厚さ:3mm、発泡倍率:約55)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚さ:5100μ)」は柔軟性があり、手で曲げても折れにくかった。
脂肪族ポリエステルを5質量部とした以外は実施例2と同様に行い、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(厚さ:3mm、発泡倍率:約55)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚さ:5100μ)」は柔軟性があり、手で曲げても折れにくかった。
〔実施例4〕
ポリビニルアルコールの代わりに低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、融点:109℃、MFR:7)を20質量部とした以外は実施例1と同様におこない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(発泡倍率:約65、厚み:5mm)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚み:300μ)」は柔軟性があり、手で曲げても折れにくかった。
ポリビニルアルコールの代わりに低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製、融点:109℃、MFR:7)を20質量部とした以外は実施例1と同様におこない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(発泡倍率:約65、厚み:5mm)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚み:300μ)」は柔軟性があり、手で曲げても折れにくかった。
〔実施例5〕
ポリビニルアルコールの代わりにポリスチレン(日本ポリスチレン社製、ビカット軟化点:88℃、MFR:3.3)30質量部を用いた以外は実施例1と同様におこない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(発泡倍率約:45、厚み:4.5mm)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(200μ)」は柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
ポリビニルアルコールの代わりにポリスチレン(日本ポリスチレン社製、ビカット軟化点:88℃、MFR:3.3)30質量部を用いた以外は実施例1と同様におこない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(発泡倍率約:45、厚み:4.5mm)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(200μ)」は柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
〔実施例6〕
生コーンスターチの代わりに、酸化澱粉〔王子コーンスターチ(株)製、エースA、水分:9質量%〕を100質量部、セルロースアセテート繊維5質量部を用いて実施例1と同様の操作を行ない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(発泡倍率:約40、厚み:2.5mm)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚み:1mm)」は柔軟性があり、手で曲げても折れない強度のあるシートが得られた。
生コーンスターチの代わりに、酸化澱粉〔王子コーンスターチ(株)製、エースA、水分:9質量%〕を100質量部、セルロースアセテート繊維5質量部を用いて実施例1と同様の操作を行ない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(発泡倍率:約40、厚み:2.5mm)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚み:1mm)」は柔軟性があり、手で曲げても折れない強度のあるシートが得られた。
〔実施例7〕
生コーンスターチの代わりに、カチオン化澱粉〔王子コーンスターチ(株)製、エースK100、水分:10質量%〕を100質量部用いて実施例1と同様の操作をおこない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。圧延前の「一次発泡シート(発泡倍率:約80、厚み:5mm)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚み:1.2mm)」は柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
生コーンスターチの代わりに、カチオン化澱粉〔王子コーンスターチ(株)製、エースK100、水分:10質量%〕を100質量部用いて実施例1と同様の操作をおこない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。圧延前の「一次発泡シート(発泡倍率:約80、厚み:5mm)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚み:1.2mm)」は柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
〔実施例8〕
実施例1で使用した生コーンスターチ100質量部、実施例2で使用した脂肪族ポリエステル10質量部、脂肪族―芳香族ポリエステル〔BASF社製、融点:115℃、MFR:4〕10質量部、水20質量部、実施例1で使用したタルク2質量部を実施例1で使用したTダイを備えた押出機に投入し、190℃の温度で発泡させながら、シート状に押出し、「一次発泡シート(厚み:5mm、発泡倍率:約60)」を製造した。その後、インラインでロール圧100kg/cm2、ロール温度90℃で圧延して「発泡樹脂シート(厚み:250mm)」を得た。
圧延前の「一次発泡シート」は曲げると折れたが、圧延後の発泡樹脂シートは柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
実施例1で使用した生コーンスターチ100質量部、実施例2で使用した脂肪族ポリエステル10質量部、脂肪族―芳香族ポリエステル〔BASF社製、融点:115℃、MFR:4〕10質量部、水20質量部、実施例1で使用したタルク2質量部を実施例1で使用したTダイを備えた押出機に投入し、190℃の温度で発泡させながら、シート状に押出し、「一次発泡シート(厚み:5mm、発泡倍率:約60)」を製造した。その後、インラインでロール圧100kg/cm2、ロール温度90℃で圧延して「発泡樹脂シート(厚み:250mm)」を得た。
圧延前の「一次発泡シート」は曲げると折れたが、圧延後の発泡樹脂シートは柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
〔実施例9〕
圧力を50kg/cm2とした以外は実施例1と同様に行ない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(厚み:3mm、発泡倍率:約50)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚み:600μ)」は柔軟性があり、手で曲げても折れにくかった。
圧力を50kg/cm2とした以外は実施例1と同様に行ない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。
圧延前の「一次発泡シート(厚み:3mm、発泡倍率:約50)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚み:600μ)」は柔軟性があり、手で曲げても折れにくかった。
〔実施例10〕
グリセリン〔通常の市販品、純度:99%〕0.3質量部、界面活性剤(グリセロールモノステアレート)0.1質量部を水に添加した以外は実施例3と同様の操作をおこない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。圧延前の「一次発泡シート(厚み:2mm、発泡倍率:約30)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚み:200mm)」は柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
グリセリン〔通常の市販品、純度:99%〕0.3質量部、界面活性剤(グリセロールモノステアレート)0.1質量部を水に添加した以外は実施例3と同様の操作をおこない、「一次発泡シート」および「発泡樹脂シート」を製造した。圧延前の「一次発泡シート(厚み:2mm、発泡倍率:約30)」は曲げると折れたが、圧延後の「発泡樹脂シート(厚み:200mm)」は柔軟性があり、手で曲げても折れなかった。
〔比較例1〕
実施例1で使用した生コーンスターチ100質量部、水20質量部、タルク10質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、実施例1で用いた押出機に投入し、190℃の温度で押出成形したがほとんど発泡しなかった。
なお、実施例および比較例における生コーンスターチ、酸化澱粉、カチオン化澱粉の配合量100質量部はいずれも水分を含まないものに換算した質量部を示す。
実施例1で使用した生コーンスターチ100質量部、水20質量部、タルク10質量部をヘンシェルミキサーで混合した後、実施例1で用いた押出機に投入し、190℃の温度で押出成形したがほとんど発泡しなかった。
なお、実施例および比較例における生コーンスターチ、酸化澱粉、カチオン化澱粉の配合量100質量部はいずれも水分を含まないものに換算した質量部を示す。
本発明の発泡樹脂シートおよび発泡樹脂シート成形物は特に、生分解性の緩衝材として好ましく使用することができる。
Claims (15)
- 澱粉100質量部に対し、熱可塑性樹脂0.5〜60質量部、無機質フィラー0.01〜5質量部及び水10〜30質量部を含む樹脂組成物を加熱下、発泡体とし、次いで、同発泡体を圧延してなる発泡樹脂シート。
- 熱可塑性樹脂が生分解性樹脂である請求項1に記載の発泡樹脂シート。
- 生分解性樹脂が、脂肪族ポリエステルおよび/またはポリビニルアルコールを含む請求項2に記載の発泡樹脂シート。
- 熱可塑性樹脂がポリオレフィンおよび/またはポリスチレンである請求項1に記載の発泡樹脂シート。
- 熱可塑性樹脂の融点、または軟化点が100℃以下あるいは水可溶性樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート。
- 澱粉がとうもろこし、馬鈴薯、甘藷、小麦、米、タピオカから選ばれる生澱粉もしくは加工澱粉である請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート。
- 加工澱粉が、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋化澱粉及びカチオン化澱粉から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート。
- 澱粉が繊維状物質を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート。
- 繊維状物質が生分解性繊維である請求項8記載の発泡樹脂シート。
- さらにグリセリンを含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート。
- さらにグリセロールモノステアレートを含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の発泡樹脂シート。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の発泡樹脂シートを真空または圧空成形加工、折り曲げ加工、または製袋加工してなる発泡樹脂シート成形物。
- 精密機器または家電製品用の包装材料である請求項12に記載の発泡樹脂シート成形物。
- 澱粉、熱可塑性樹脂、水及び無機質フィラーを含む樹脂組成物を加熱下、発泡体とする工程、同発泡体を圧延する工程を含む発泡樹脂シートの製造方法。
- 発泡体とする工程においてサーキュラーダイスを用いる請求項14に記載の発泡樹脂シートの製造方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015048477A (ja) * | 2013-08-30 | 2015-03-16 | 財團法人工業技術研究院Industrial Technology Research Institute | 改質澱粉組成物、澱粉複合発泡材料、および澱粉複合発泡材料の作製方法 |
JP2021165169A (ja) * | 2020-04-08 | 2021-10-14 | 積水化成品工業株式会社 | 熱可塑性樹脂シート及び熱可塑性樹脂容器 |
-
2009
- 2009-04-27 JP JP2009108278A patent/JP2010254859A/ja active Pending
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CN104419018A (zh) * | 2013-08-30 | 2015-03-18 | 财团法人工业技术研究院 | 改质淀粉组合物、淀粉复合发泡材料及其制备方法 |
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JP2021165169A (ja) * | 2020-04-08 | 2021-10-14 | 積水化成品工業株式会社 | 熱可塑性樹脂シート及び熱可塑性樹脂容器 |
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