JP2011122008A - 発泡性樹脂組成物および発泡体 - Google Patents

発泡性樹脂組成物および発泡体 Download PDF

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輝充 小谷
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浩 可児
Katsumi Konno
克美 金野
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Abstract

【課題】カーボンニュートラルの観点で優れており、生分解性であり、かつ低コストの発泡性樹脂組成物およびそれを発泡させた発泡体、特にバラ状緩衝体を提供すること。
【解決手段】カチオン化澱粉100質量部に対し、生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂10質量部以下、水10〜30質量部および無機質フィラー0.01〜5質量部を含む発泡性樹脂組成物および同発泡性樹脂組成物を発泡させてなる発泡体である。
【選択図】図2

Description

本発明は、発泡性樹脂組成物および発泡体に関し、さらに詳しくは、カーボンニュートラルの観点で優れており、生分解性であり、かつ低コストの発泡性樹脂組成物およびそれを発泡させた発泡体に関する。
発泡樹脂成形体は、包装材、緩衝材、断熱材等に用いられている。これらの材料として、環境問題やコストの点から、ポリスチレンに代えて生分解性樹脂や澱粉系の材料が用いられるようになってきている。
特許文献1には、水の存在下、加熱および加圧されて変性された澱粉とカチオン性修飾多糖類(澱粉等)からなる組成物が開示されているが、特に緩衝材用に適した組成物を得るための工夫は開示されていない。
特許文献2には、水を含む澱粉、エチレン−酢酸ビニル共重合体、界面活性剤等からなる組成物を発泡させた生分解性樹脂発泡体が記載されている。これにはエチレン−酢酸ビニル共重合体が含まれているので、環境上はなお不十分である。
また、特許文献3〜5には、水を含む生澱粉および/または変成(性)澱粉、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物やポリカプロラクトンのような熱可塑性樹脂、無機フィラー、防かび剤等からなる易崩壊性樹脂組成物およびそれから製造されるフィルムやシートが記載されているが、環境上はなお不十分である。
特許文献6には、澱粉、ポリビニルアルコールおよび水を含む組成物を発泡させた生分解性樹脂発泡体が記載されている。また、特許文献7には、熱可塑性樹脂、澱粉および相溶化剤を含む組成物を発泡させた発泡体が記載されている。
特許文献6に記載の生分解性樹脂発泡体および緩衝材は主たる材料が生(未加工)澱粉とポリビニルアルコールであり、生分解性なので、環境上は問題がない。発泡体および緩衝材の材料として澱粉は安価であり、できるだけこれを多く含有させることがコスト上は望ましい。しかしながら、特許文献6では、澱粉が生(未加工)澱粉のみであるため発泡体に加工した場合、機械的特性の点でさらに検討の余地がある。
特許文献7では、脂肪族ポリエステルのような熱可塑性樹脂、澱粉質系材料および不飽和ジカルボン酸および/またはその酸無水物で変性された酸変性ポリオレフィン樹脂のような相溶化剤を含む澱粉質系複合樹脂組成物が開示されているが、澱粉が主として生(未加工)澱粉のみであるため発泡体に加工した場合、機械的特性の点でさらに検討の余地がある。
特開平3−74445号公報 特開平6−87969号公報 特開平7−258467号公報 特開平8−245836号公報 特開平8−245837号公報 特開平11−124456号公報 特開2004−2613号公報
したがって、本発明は、上記機械的特性が改良され、得られる発泡体の強度等を実用可能な程度に維持しつつ、環境に優しく、軽量でクッション性(復元性)にすぐれた発泡体を与える発泡性樹脂組成物、および、特に、緩衝材(以下、「バラ状緩衝材」または「バラ状発泡体」と称することがある)として好ましく用いられる生分解性の発泡体を提供することを目的とする。
本発明者らは、澱粉と樹脂とを含む発泡性樹脂組成物について研究した結果、特定の糊化温度を有するカチオン化澱粉または同カチオン化澱粉と未加工澱粉との混合物を主原料として用い、さらに無機質フィラーを含ませることにより、従来のものより一層生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂の含有量を減らしても発泡体の強度等を実用可能な程度に維持することができ、特にバラ状の発泡体に好適であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、以下
(1)カチオン化澱粉100質量部に対し、生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂10質量部以下、水10〜30質量部および無機質フィラー0.01〜5質量部を含む発泡性樹脂組成物、
(2)カチオン化澱粉が70℃以下の糊化温度を有するカチオン化澱粉である上記(1)1に記載の発泡性樹脂組成物、
(3)カチオン化澱粉の置換率が、グルコース残基1個当り、0.1未満である上記(1)または(2)に記載の発泡性樹脂組成物、
(4)カチオン化澱粉の50℃、3質量%水性液の粘度が200mPa・s以上である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物、
(5)生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂を0.5〜8質量部含む上記(1)〜(4)のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物、
(6)生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂を2〜6質量部含む上記(5)に記載の発泡性樹脂組成物、
(7)生分解性樹脂が、脂肪族ポリエステルおよび/またはポリビニルアルコールである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物、
(8)生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂のMFR(温度190℃、荷重2.16kg)が、5g/10分以上である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物、
(9)生分解性樹脂が、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも一種の多価アルコールとコハク酸またはアジピン酸から選ばれる少なくとも一種の多価カルボン酸またはその無水物を重縮合して製造される、数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリエステルプレポリマーを、ウレタン結合を介して連鎖した構造をとる脂肪族ポリエステルである上記(1)〜(8)のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物、
(10)生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂の含有量が5質量部以下である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物、
(11)ポリオレフィン樹脂がポリプロピレンである上記(1)〜(9)のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物、
(12)無機質フィラーがタルクである上記(1)〜(11)のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物、
(13)タルクの粒径が2〜20μmである上記(12)に記載の発泡性樹脂組成物、
(14)タルクの粒径が2〜8μm未満のものと8μm〜20μmものを混合したものである上記(12)または(13)に記載の発泡性樹脂組成物、
(15)上記(1)〜(14)のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物を発泡させてなる発泡体および
(16)発泡体が、バラ状緩衝材である上記(15)に記載の発泡体
を提供する。
本発明の発泡性樹脂組成物は、特定の糊化温度を有するカチオン化澱粉100質量部に対し、生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂が10質量部以下と極端に少なく、無機質フィラーを除いた天然由来の材料比率が90質量%を超えるため、炭酸ガスの排出量が少なく、カーボンニュートラルという観点で優れ、環境に優しい材料であり、かつ、コスト的にも有利である。
従来は、このように澱粉類が多いものは実用的に問題があったが、本発明の発泡性樹脂組成物は、澱粉として特定の温度以下で糊化されたカチオン化澱粉を用いること、さらに無機質フィラーを含ませることでカチオン化澱粉の含有量を多くしても発泡体の強度等を実用可能な程度に維持でき、特にバラ状の発泡体として好適に用いられるものが得られた。
特に、70℃以下の糊化温度を有し、0.1未満の置換率、50℃、3質量%水性液の粘度が200mPa・s以上であるカチオン化澱粉を用いて製造すると気泡が均一で良好な発泡体を得ることができる。
実施例および比較例で使用した未加工のコーンスターチの糊化温度が70℃であることを示すグラフである。 実施例で使用したカチオン化澱粉の糊化温度が65℃であることを示すグラフである。 比較例で使用した酸化澱粉の糊化温度が67℃、エステル化澱粉の糊化温度が45℃であることを示すグラフである。
本発明の発泡性樹脂組成物は、カチオン化澱粉100質量部に対し、生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂(以下、合わせて生分解性樹脂等と称する)10質量部以下、水10〜30質量部、および無機質フィラー0.01〜5質量部を含有する発泡性樹脂組成物である。なお、発泡体のクッション性はわずかに低下するが、コストの観点から本発明においては、カチオン化澱粉に未加工の澱粉を混合した混合物(以下、澱粉混合物と称する)として用いることができる。
本発明の発泡性樹脂組成物中の澱粉混合物における未加工澱粉としては、とうもろこし澱粉(コーンスターチ)、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉等から選ばれる。未加工澱粉は、通常、水分5〜10質量%程度の粉末状に精製されたものであり、これらの少なくとも1種を用いることができる。
カチオン化澱粉または澱粉混合物中の水分も本発明の発泡性樹脂組成物中の水分量10〜30質量部に含まれるので使用するカチオン化澱粉または澱粉混合物中の水分量を把握しておく必要がある。市販のカチオン化澱粉中の水分量は通常、8〜10質量%程度であり、未加工澱粉中の水分量もカチオン化澱粉中の水分量と同程度である。
前記カチオン化澱粉または澱粉混合物100質量部というのは、水分含有量0の場合のことを示す。
本発明で用いられるカチオン化澱粉というのは、上記のような各種未加工澱粉を以下のように化学的に変性した澱粉である。
具体的には、澱粉をグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドのような四級アンモニウム化合物や2−ジメチルアミノエチルクロライドのような第三級アミノ化合物で処理したカチオン化澱粉(例えば、特開平9−12602号公報参照)が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
上記カチオン化澱粉は、発泡体の機械的強度(クッション性)、生産性の観点から置換率がグルコース残基1個当り、0.1未満のものが好ましい。
なお、カチオン化澱粉において、グルコース残基の水酸基が完全に置換された場合の置換率は3となる。
置換率を0.1未満のものを用いることにより、押出機中での粘度が適正な粘度になり、良好な発泡製品が生産できる。
置換率が0.1以上のものを用いると、押出機中で粘度が大きくなりすぎ、押出量の低下を招く。
また、上記カチオン化澱粉は70℃以下の糊化温度を有するものが好ましく、3%水溶液の粘度が200mPaより大きいものが好ましい。このようなカチオン化澱粉を用いることにより、押出機出口での圧力が高くなり、ダイスから出たときに圧力が急激に開放され、発泡倍率の高い良好なバラ状緩衝材が製造できる。なお、未加工澱粉も、通常、糊化温度70℃程度を有するものが用いられる。
バラ状の発泡製品としては円柱状のものが多く、直径が12mm〜30mm、長さが2cm〜5cmのバラ状の緩衝材がよく用いられるが円柱状のものを連結して緩衝材としてもよい。
70℃より高い糊化温度を有するカチオン化澱粉を用いると、押出機中での糊化が遅くなり、押出機中での混練がよくない。また、糊化したときの粘度が小さいと、押出機先端での粘度が低くなりダイス出口の圧力が低くなり、良好な発泡製品が得られない。
ちなみに、澱粉類の糊化は従来、以下のような条件で行なわれていた。
すなわち、澱粉類の糊化、脱水、糊化された澱粉類と生分解性樹脂等との溶融混合を同時に行うために、二軸スクリュー方式で、脱水のためのベントを備えた押出機が用いられる。脱水と混合のより効率の良い方法としては、工程の前半において、加熱混合による澱粉類糊化完了時に開放式のベントで押出機内の圧力上昇による逆流を防止し、さらに工程の後半において澱粉類の糊化物と生分解性樹脂等をさらに混合しながら、真空ベントで脱水を行うことである。
生分解性樹脂等の軟化温度(または融点)に合わせて設定温度を60〜150℃程度、好ましくは、80〜140℃とされていた。多くの生分解性樹脂等はこの温度範囲で軟化(溶融)するため、澱粉類の糊化と同時に糊化した澱粉類と生分解性樹脂等の溶融状態での混合も行われる。
滞留時間は、30〜180秒程度、好ましくは60〜120秒である。滞留時間を30秒以上とすることにより、未加工澱粉の糊化を充分進行させ、180秒以下とすることにより、分解を抑制し、生産性を確保することができる。
本発明において、カチオン化澱粉または澱粉混合物の50℃、3質量%水性液の粘度は通常、200mPa・s以上、好ましくは500mPa・s以上、より好ましくは900mPa・s以上である。粘度の上限値は10000程度である。ちなみに、未加工澱粉単独の50℃、3質量%水性液の粘度は60mPa・s未満(30mPa・s程度)である。
本発明の発泡性樹脂組成物中で澱粉混合物が用いられる場合の、未加工澱粉含有率は、好ましくは、80質量%以下、さらに好ましくは、60質量%以下である。すなわち、カチオン化澱粉が、好ましくは、20質量%以上、さらに好ましくは、40質量%以上である。すなわち、カチオン化澱粉を20質量%以上とすることにより、50℃、3質量%水性液の粘度を200mPa・s以上に保つことができ、発泡性樹脂組成物を成形して得られる発泡体の強度等を実用可能な程度に維持することができる。
本発明の発泡性樹脂組成物中の生分解性樹脂は、後で詳しく述べる脂肪族ポリエステルおよびポリビニルアルコールの少なくとも1種であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂はポリプロピレンおよびポリエチレンの少なくとも1種であることが好ましい。中でも、ポリプロピレンが特に好ましい。その理由は、発泡体を圧縮したときのクッション性(復元性)がよいためである。
本発明における生分解性樹脂等のメルトフローレート(MFR、温度190℃、荷重2.16kg)は、5g/10分以上であることが好ましく、8g/10分以上であることがさらに好ましい。本発明におけるMFRは、JIS K7210に準じて荷重2.16kgで測定したものである。
MFRが5g/10分より小さいということは溶融粘度が大きいことであり、後で述べるような押出機を用いて加工する際、同じ温度の場合は高圧を要し、安全管理上およびエネルギー経済性の観点から好ましくない。また、低圧で加工するためには温度を高くせねばならず、得られる発泡性樹脂組成物および発泡体が着色して商品価値が低下するので好ましくない。
生分解性樹脂としては、公知の重縮合型の脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、酢酸セルロースや微生物により製造されるポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上記生分解性樹脂の中で重縮合型の脂肪族ポリエステルおよび/またはポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
重縮合型の脂肪族ポリエステルとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の多価アルコールとコハク酸、アジピン酸等の多価カルボン酸またはその無水物との重縮合物をウレタン結合を介して連鎖した構造を有するもの(特開平5−70566号、同5−70575号、同6−248104号公報等参照)が知られており、特に好ましく用いられる。
多価カルボン酸の一部としてテレフタル酸等の芳香族ポリエステルを用いて製造した脂肪族−芳香族ポリエステルを用いることもできる。
重縮合型の脂肪族ポリエステルの中でも、多価アルコールの一部としてトリメチロールプロパンやペンタエリスリトールのような3官能以上のものを用いて分子内に分岐構造を形成させた脂肪族ポリエステルを使用することにより発泡倍率を上げることができ、かつ、独立気泡を作り易いので得られた発泡樹脂シートの強度を向上させることができるので好ましい。
これら重縮合型の脂肪族ポリエステルの中で融点が100℃以上のものが好ましく用いられる。重縮合型の脂肪族ポリエステルの市販品としては、昭和高分子社製のビオノーレシリーズが著名である。
ポリビニルアルコールとしては、水に可溶性で、かつ、熱溶融性ポリビニルアルコール(特開平10−324784号、特開2001−355175号公報等参照)が好ましく、溶融粘度および熱安定性などを考慮すると、重合度が100〜2000のものが好ましく、200〜1500のものがさらに好ましい。けん化度についても同様に、90モル%以上のものが好ましく、95モル%以上のものがより好ましい。
市販品としては、日本合成化学(株)製のポリビニルアルコールであるゴーセノールNM−11のような「ゴーセノールシリーズ」やクラレ(株)のポリビニルアルコールである「PVA117」のような「PVAシリーズ」が著名である。
ポリ乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸およびまたはそれらの環状二量体(ラクチド)を主成分とするモノマーを溶融状態で連続的に共重合させることにより得られるもの(特開平7−305228号公報等参照)を使用することができる。市販品としては、ネイチャーワークスジャパン製のポリ乳酸である「NatureWorksシリーズ」や三井化学(株)製のポリ乳酸であるLACEA H−400のような「LACEAシリーズ」が著名である。
ポリカプロラクトンとしては、微量の活性水素化合物を開始剤としてカプロラクトンのような環状エステルを開環重合して製造された樹脂であり、本発明の発泡樹脂シートの機械的強度の観点から分子量50,000以上、好ましくは100,000以上の高分子量の重合体(特開平7−53686号公報等参照)を使用することが好ましい。
市販品としては、ダイセル化学工業(株)製のポリカプロラクトンであるセルグリーンPH7のような「セルグリーンシリーズ」やユニオンカーバイド(株)のポリカプロラクトンである「TONE Polymer P−767」のような「TONEシリーズ」が著名である。
酢酸セルロースとしては、本発明の発泡樹脂シートの機械的強度の観点から平均酢化度53〜57質量%、粘度平均重合度200〜600のものなどを使用することができる(特開平9−77801号公報等参照)。
ポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体としては、例えば、脂肪族カルボン酸のような炭素源上で、Alcaligenes菌株を培養して製造された共重合体(特開平9−132701号公報等参照)等を用いることができる。
これらの生分解性樹脂等の融点または軟化点は100℃以下であること、あるいは水に可溶性の樹脂であることが好ましい。
生分解性樹脂等の融点または軟化点は100℃以下であることあるいは水に可溶性の樹脂とすることにより、澱粉や他の成分を含む発泡性樹脂組成物の低温での加工を可能にすることができ、とくに、あらかじめ、水分を含んだペレットを製造した後、単軸、あるいは二軸の押出機により発泡させるときに、有用となる。
本発明の発泡性樹脂組成物は、前記カチオン化澱粉100質量部に対し、生分解性樹脂等を10質量部以下、好ましくは0.5〜9質量部、さらに好ましくは1〜5質量部を含む組成物である。本発明において、生分解性樹脂等が10質量部以下とはゼロ、即ち、生分解性樹脂等が存在しない場合を含む。本発明の発泡性樹脂組成物は、澱粉として、カチオン化澱粉または澱粉混合物を用いること、さらに無機質フィラーを含ませることで生分解性樹脂等を大幅に減らすことを可能としたものである。
生分解性樹脂等の含有量10質量部以下とすることにより、発泡体に加工した場合に要求される特性を保持しながら、カーボンニュートラルの状態に近づけることができ、かつ、コストが上昇するのを防止することができる。
本発明の発泡性樹脂組成物中に含有される無機質フィラーとしては、酸化チタン、タルク(ケイ酸マグネシウム)、炭酸カルシウム、卵殻、シリカ、酸化マグネシウム等が挙げられる。
これらの無機質フィラーは必要に応じてシランカップリング剤などで表面処理されていてもよい。無機質フィラーは発泡体の気泡を微細化、均質化して発泡体の強度を向上させる効果を示す。無機質フィラーの粒子径は、一般の樹脂組成物に使用されるものであれば特に限定されないが、発泡体のセルの細かさの観点から2〜20μmが特に好ましい。
特に好ましくは、2〜8μm未満のものが緻密なセルを有する発泡体になり発泡体の柔軟性と圧縮したときの復元性がよくなる。
さらに好ましくは、2〜8μm未満のものと8〜20μmのものを混合して用いるとよい。この場合、膨らみが大きくなり、さらに発泡体の柔軟性と圧縮したときの復元性がよくなる。混合比率(質量比)は前者/後者=8/2〜2/8、好ましくは、6/4〜4/6である。
無機質フィラーの含有量は前記カチオン化澱粉または澱粉混合物100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.02〜3質量部である。無機質フィラーの含有量を0.01質量部以上とすることにより、上記効果が示され、5質量部以下とすることにより、発泡体の見かけの比重が増大するのを防止する。
本発明の発泡性樹脂組成物は、上記成分以外にカチオン化澱粉または澱粉混合物100質量部に対して水を10〜30質量部を配合する必要がある。水の含有量は好ましくは10〜20質量部程度である。この水が加熱下で発泡剤としての役割を果たす。
水を10質量部以上配合することにより、適度な発泡倍率とすることができ、30質量部以下とすることにより、気泡が崩壊して発泡倍率が上がらず所望の発泡体が得られなくなることを防止する。前記したように、水以外の前記成分が水を含む場合はその水の量も考慮されねばならない。
なお、水は、カチオン化澱粉または澱粉混合物等を後で述べるヘンシェルミキサー等で混合した後、押出機で混練する際に水を押出機中に注入してもよい。
また、本発明の発泡性樹脂組成物には、必要に応じて、着色剤、害虫忌避材、架橋材、防かび剤、抗菌剤、界面活性剤、ポリエチレングリコール、グリセリン、吸水性ポリマー、難燃剤、芳香剤、耐候剤等を配合してもよい。
本発明におけるカチオン化澱粉または澱粉混合物と、生分解性樹脂等と、無機質フィラーと、水との混合方法は特に限定されない。
通常、カチオン化澱粉または澱粉混合物と、生分解性樹脂等と、無機質フィラーと、水とをヘンシェルミキサー等で予め混合した後、押出機により加熱、加圧溶融して所望の形状のダイスより発泡させながら押出し、直接に発泡体を得、切断してバラ状の発泡体とすることができる。また、カチオン化澱粉または澱粉混合物と、生分解性樹脂等と、無機質フィラーと、水とをヘンシェルミキサー等で混合した後、押出機により発泡しない条件で加熱、加圧溶融し、ダイスよりストランドを得、切断してペレット化する。このペレットを例えば、別の場所で押出機に投入して、高温で加熱、加圧溶融して所望の形状のダイスより押出して発泡体を得ることもできる。さらに、カチオン化澱粉または澱粉混合物と、生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂と、無機質フィラーとをヘンシェルミキサー等で混合した後、押出機で混練する際に水を押出機中に注入して、所望の形状のダイスより発泡させながら押出し、発泡体を得ることもできる。したがって、本発明の発泡性樹脂組成物には、水を予め添加して組成物としたものの他、押出機で混練中に水を添加するものも含まれる。さらに、水以外の成分を配合したペレットを得、これに水を含浸させ、これを発泡させて発泡ペレットとしたり、あるいは水を含むが発泡しない条件で得たペレットや水を後から含浸したペレットから金型を用いて種々の発泡成形体とすることができる。したがって、本発明の発泡性樹脂組成物には、このように水をペレットに後から含浸したものも含まれる。本発明の発泡性樹脂組成物は、発泡体とすることが可能であるが、中でもバラ状の発泡体とすることで緩衝材として特に好適に用いることができる。
本発明の発泡性樹脂組成物を加工してバラ状の発泡体として緩衝材に用いるのが好適な理由は、例えば、発泡体でも固形の緩衝材(例えば、家電製品や電子機器の周囲を当て板のように取り囲む形態の緩衝材)と比較して使用する材料が少ない上、クッション性に優れ、かつ、使用後廃棄された場合、比表面積が大きいので、分解も早く進行し、また、用済み後廃棄する場合の取り扱いが容易であるからである。
本発明の発泡体を緩衝材(バラ状発泡体)として用いる場合、その形状・大きさは特に限定されるものではないが、形状的には通常、断面が円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、星型等の各種形状の棒状物、さらにそれらのL形状物、U形状物、中抜き形状物等を挙げることができる。大きさは業界公知のものが通常用いられるが、緩衝性能の点で堆積層の厚さが10mm以上のものが好ましく、さらに好ましくは12mm以上である。緩衝材は異なる形状の混合物でもかまわない。発泡体はバラ状の緩衝材あるいは連結状態の緩衝材として生産される。連結状態の緩衝材には、必要に応じて切離し易くなるような、例えばミシン目加工等の処理を施すことができる。さらには、上記バラ状緩衝材の数個〜十数個を小袋に小分けした集合体として用いても良い。
得られたバラ状緩衝材および連結状態のバラ状緩衝材には、強度アップや繊維脱落防止のために、噴霧、含浸、塗工等の手段で接着剤を含有せしめることができる。同接着剤には、例えば、澱粉、加工澱粉、植物ガム、ゼラチン、カゼイン、PVA、CMC、ヒドロキシエチルセルロース等、当業界公知のものを挙げることができる。また、接着剤の他に必要に応じて、耐水化剤、撥水剤、染料、顔料、抗菌剤、難燃剤、殺鼠剤、防虫剤、脱酸素剤、電磁シールド材、帯電防止剤、防錆剤、芳香剤、消臭剤等を同様の手段によって含有せしめることができる。
また、得られたバラ状緩衝材および連結状態のバラ状緩衝材には、繊維脱落防止や強度アップのために、表面にフィルムあるいは紙を貼り合わせることができる。同フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸、アセチルセルロース、ポリビニルアルコール、澱粉等が挙げられる。中でも、廃棄が容易な生分解性あるいは水溶性のものが好ましい。
測定方法
糊化温度:RVA測定器〔FOSS社製、RVA-4〕により昇温速度1.5℃/分にて糊化温度を測定した。図1〜3の粘度曲線と温度曲線において、粘度が急激に立ち上がる位置における温度が糊化温度である(粘度の単位はPa・s)。
粘度測定:澱粉を3%水性液にして一旦、90℃にしたのち、50℃の水浴中にてSB型粘度計で3号スピンドル、60rpmの条件で行った(JIS K 7117−1)。
なお、本発明の発泡性樹脂組成物の用途として特に優れていることが判明した「バラ状緩衝材」は、たとえば、「株式会社富士キメラ総研」発行の「2006年発泡プラスチックの現状と将来展望」に詳しく記載されており、当業者なら容易に理解できる一般用語である。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例および比較例で用いた原料は以下の通りである。
〔加工澱粉〕
カチオン化澱粉(糊化温度65℃):王子コーンスターチ社製、エースK100、水分含有量10質量%、置換率0.03、50℃、3質量%水性液の粘度1140mPa・s
アセチル化澱粉(糊化温度62℃):王子コーンスターチ社製、エースOSA1250、水分含有量9質量%、置換率0.07、50℃、3質量%水性液の粘度22mPa・s
酸化澱粉(糊化温度67℃):王子コーンスターチ社製、エースA、水分含有量9質量%、低濃度クッキング品、50℃、3質量%水性液の粘度20mPa・s
エステル化澱粉(糊化温度45℃):王子コーンスターチ社製、エースP140、水分含有量9.5質量%、置換率0.02、50℃、3質量%水性液の粘度20mPa・s
〔未加工澱粉〕
コーンスターチ(糊化温度70℃):王子コーンスターチ社製のコーンスターチの未加工澱粉、水分含有量約8.5質量%、50℃、3質量%の粘度800mPa・s
〔生分解性樹脂〕
脂肪族ポリエステル〔昭和高分子株式会社製、商品名ビオノーレ#1050(コハク酸と1,4-ブタンジオールとの重縮合物をウレタン結合を介して連鎖した構造を有する)、MFR(温度190℃、荷重21.18N)50g/10分〕
脂肪族ポリエステル〔昭和高分子株式会社製、商品名ビオノーレ#1010(コハク酸と1,4-ブタンジオールとの重縮合物をウレタン結合を介して連鎖した構造を有する)、MFR(温度190℃、荷重21.18N)10g/10分〕
脂肪族ポリエステル〔昭和高分子株式会社製、商品名ビオノーレ#1001(コハク酸と1,4-ブタンジオールとの重縮合物をウレタン結合を介して連鎖した構造を有する)、MFR(温度190℃、荷重21.18N)1g/10分〕
ポリビニルアルコール:日本合成化学株式会社製、ゴーセノールNM−11
〔完全ケン化型、ケン化度99.0モル%以上、粘度13〜16mPa・s〕
ポリプロピレン:サンアロマー株式会社製、PM600A、MFR(温度190℃、荷重21.18N)7.5g/10分
ポリエチレン:日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックLDNJ664N、MFR(温度190℃、荷重21.18N)8g/10分)
〔無機質フィラー〕
タルク:島津製作所製 SALD−200で測定した平均粒径約16μmのもの(タルクA)
島津製作所製 SALD−200で測定した平均粒径約6μmのもの(タルクB)
ヘンシェルミキサーを用いて、これらの原料を表1に示す割合で混合し、そのカチオン化澱粉または澱粉混合物を同方向二軸押出機により発泡させながら押出して発泡体を得た。このときのシリンダー温度は190℃である。得られた発泡体を切断して円柱状の発泡成形体を得た。表中の水の量は、澱粉に含まれる水分と添加水の合計である。
〔実施例1〕
糊化温度65℃の前記カチオン化澱粉100.0質量部、生分解性樹脂として前記脂肪族ポリエステル(ビオノーレ#1050)9.0質量部、無機質フィラーとして前記タルクAを1.0質量部および水15.0質量部(新たに配合した水4.6質量部)をヘンシェルミキサーで混合した後、1.5mmφのノズルを備えた同方向2軸押出機(スクリュー径:50mmφ)に投入(出口圧力:8MPa)し、シリンダー温度190℃の温度に加熱して発泡させながら押出し、棒状の「発泡体」を製造した。その後、この棒状の発泡体を切断して長さ約45mm、直径約25mmφの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体(バラ状緩衝材)を製造した。
〔実施例2〕
ビオノーレ#1050を5.0質量部、前記タルクを1.5質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例3〕
ビオノーレ#1050を2.0質量部、前記タルクを2.0質量部使用した以外は、実施例1と同様にして実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例4〕
ポリオレフィン樹脂としてポリプロピレンを8.0質量部、前記タルクを1.5質量部使用した以外は、実施例1と同様にして実施例1と直径が35mm、長さがほぼ同じサイズの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例5〕
生分解性樹脂またはポリオレフィン樹脂を使用せず、前記タルクを1.5質量部使用した以外は、実施例1と同様にして実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例6〕
生分解性樹脂としてビオノーレ#1010を5.0質量部、前記タルクを1.5質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例7〕
生分解性樹脂としてビオノーレ#1001を5.0質量部、前記タルクを1.5質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例8〕
ビオノーレ#1010を7.0質量部、前記タルクを1.0質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例9〕
ビオノーレ#1010を5.0質量部、前記タルクを1.5質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例10〕
ビオノーレ#1010を3.0質量部、前記タルクを2.0質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例11〕
生分解性樹脂としてポリビニルアルコールを8.0質量部、前記タルクを1.0質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例12〕
生分解性樹脂を使用せず、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレンを8.0質量部、前記タルクを1.0質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、実施例1と直径が32mmで長さがほぼ同じサイズの糊化されたカチオン化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造
〔実施例13〕
糊化温度65℃の前記カチオン化澱粉を60.0質量部、前記コーンスターチを40.0質量部、ビオノーレ#1010を3.0質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、糊化された澱粉混合物を含む実施例1とほぼ同じサイズの円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例14〕
糊化温度65℃の前記カチオン化澱粉を40.0質量部、前記コーンスターチを60.0質量部、ビオノーレ#1010を3.5質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、糊化された澱粉混合物を含む実施例1とほぼ同じサイズの円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例15〕
タルクを添加しなかった以外は実施例1と同様に行い、糊化された澱粉混合物を含む実施例1とほぼ同じサイズの円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例16〕
粒径6μmのタルクBを添加した以外は実施例1と同様に行い、糊化された澱粉混合物を含む実施例1とほぼ同じサイズの円柱状の発泡体を製造した。この円柱状の発泡体は、少し直径は小さいサイズとなるが圧縮したときの復元性が極めて優れるものであった。
〔実施例17〕
タルクBとタルクAを質量比6/4の割合で混合して同量添加した以外は実施例1と同様に行い、糊化された澱粉混合物を含む実施例1とほぼ同じサイズの円柱状の発泡体を製造した。この円柱状の発泡体は、圧縮したときの復元性が実施例16とほぼ同等のものであった。
〔実施例18〕
ビオノーレ#1050の替わりにポリ乳酸〔ユニチカ(株)製、射出成形用一般グレードのもの〕を添加した以外は実施例1と同様に行い、糊化された澱粉混合物を含む実施例1とほぼ同じサイズの円柱状の発泡体を製造した。
〔実施例19〕
糊化温度80℃のカチオン化澱粉を使用した以外は実施例1と同様に行い、糊化された澱粉混合物を含む実施例1とほぼ同じサイズの円柱状の発泡体を製造した。
〔比較例1〕
前記コーンスターチ100質量部、ビオノーレ#1050を10.0質量部、前記タルクを1.5質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、実施例1とほぼ同じサイズの糊化された未加工澱粉を含む円柱状の比較用発泡体を製造した。
〔比較例2〕
前記酸化澱粉100質量部、ビオノーレ#1050を5.0質量部用い、前記タルクを使用しなかった以外は実施例1と同様に行い、実施例1とほぼ同じサイズの糊化された酸化澱粉を含む円柱状の比較用発泡体を製造した。
〔比較例3〕
前記酸化澱粉を100.0質量部、ビオノーレ#1050を8.0質量部、前記タルクを3.0質量部使用した以外は、実施例1と同様にして実施例1とほぼ同じサイズの糊化された酸化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔比較例4〕
前記エステル化澱粉100.0質量部、ビオノーレ#1050を8.0質量部、前記タルクを1.5質量部使用した以外は、実施例1と同様にして実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたエステル化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔比較例5〕
前記アセチル化澱粉を100.0質量部、ビオノーレ#1050を8.0質量部、前記タルクを1.5質量部使用した以外は、実施例1と同様にして実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたアセチル化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔比較例6〕
前記エステル化澱粉を100.0質量部、生分解性樹脂としてポリビニルアルコールを8.0質量部、前記タルクを0.5質量部使用した以外は、実施例1と同様にして実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたエステル化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔比較例7〕
前記アセチル化澱粉100.0質量部、生分解性樹脂としてビオノーレ#1010を5.0質量部、ポリオレフィン樹脂としてポリエチレンを1.0質量部、前記タルクを1.5質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、実施例1とほぼ同じサイズの糊化されたアセチル化澱粉を含む円柱状の発泡体を製造した。
〔比較例8〕
前記生コーンスターチ100質量部、ビオノーレ#1010を9.0質量部、前記タルクを1.0質量部使用した以外は実施例1と同様に行い、実施例1とほぼ同じサイズの糊化された未加工澱粉を含む円柱状の比較用発泡体を製造した。
上記実施例1〜19および比較例1〜8における配合材料、50℃、3%質量%水性液の粘度、および得られた発泡体の評価結果をまとめて表1および2に示す。なお、表1および2中の水の量は、澱粉成分に含まれる水分と添加した水の合計である(すなわち、水以外の成分は水分量0としての質量部を示す)。
<発泡体の評価>
上記実施例1〜19で得られた発泡体および比較例1〜8で得られた比較用の発泡体に荷重20Nをかけて30分後のクッション性(復元性)のテストを行なった。評価結果は下記の通りである。
◎:円柱状発泡体に荷重をかけると扁平になるが、荷重をとると元に回復し、荷重をかける前と同様柔軟性を示す。
○:円柱状発泡体に荷重をかけると扁平になり、荷重をとっても回復がやや遅い。
△:荷重をとると脆く、回復も鈍い。
×:発泡体の気泡が大きく、円柱状発泡体に荷重をかけると発泡体がつぶれる。
Figure 2011122008
Figure 2011122008
本発明の発泡性樹脂組成物は、配合材料の大部分が生分解性で、中でも、澱粉成分が多いので、カーボンニュートラルという観点で優れており、環境問題に配慮した製品とすることができる。また、本発明の発泡性樹脂組成物は、澱粉成分が非常に多いので、発泡体のコストが低く、緩衝材(特に、バラ状緩衝材)、包装材、断熱材等として好適である。本発明の発泡体は気泡が均一でクッション性に優れており、特にコストの低さがシビアに要求されるバラ状緩衝材として用いるのに好適である。

Claims (16)

  1. カチオン化澱粉100質量部に対し、生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂10質量部以下、水10〜30質量部および無機質フィラー0.01〜5質量部を含む発泡性樹脂組成物。
  2. カチオン化澱粉が70℃以下の糊化温度を有するカチオン化澱粉である請求項1に記載の発泡性樹脂組成物。
  3. カチオン化澱粉の置換率が、グルコース残基1個当り、0.1未満である請求項1または2に記載の発泡性樹脂組成物。
  4. カチオン化澱粉の50℃、3質量%水性液の粘度が100mPa・s以上である請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
  5. 生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂を0.5〜8質量部含む請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
  6. 生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂を2〜6質量部含む請求項5に記載の発泡性樹脂組成物。
  7. 生分解性樹脂が、脂肪族ポリエステルおよび/またはポリビニルアルコールである請求項1〜6のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
  8. 生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂のMFR(温度190℃、荷重21.18N)が、5g/10分以上である請求項1〜7のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
  9. 生分解性樹脂が、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも一種の多価アルコールとコハク酸またはアジピン酸から選ばれる少なくとも一種の多価カルボン酸またはその無水物を重縮合して製造される、数平均分子量(Mn)が5,000以上のポリエステルプレポリマーを、ウレタン結合を介して連鎖した構造をとる脂肪族ポリエステルである請求項1〜8のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
  10. 生分解性樹脂および/またはポリオレフィン樹脂の含有量が5質量部以下である請求項1〜9のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
  11. ポリオレフィン樹脂がポリプロピレンである請求項1〜9のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
  12. 無機質フィラーがタルクである請求項1〜11のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
  13. タルクの粒径が2〜20μmである請求項12に記載の発泡性樹脂組成物。
  14. タルクの粒径が2〜8μm未満のものと8μm〜20μmものを混合したものである請求項12に記載の発泡性樹脂組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物を発泡させてなる発泡体。
  16. 発泡体が、バラ状緩衝材である請求項15に記載の発泡体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113980362A (zh) * 2021-11-08 2022-01-28 蚌埠天成包装科技股份有限公司 一种淀粉基发泡组合物及制备方法

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