JP5021228B2 - 生分解性樹脂組成物および生分解性フィルム - Google Patents

生分解性樹脂組成物および生分解性フィルム Download PDF

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本発明は、生分解性樹脂組成物および生分解性フィルムに関するものである。さ
らに詳しくは、成形性が改良された生分解性樹脂組成物および機械的特性が改良さ
れた生分解性を有するコンポストバッグ、農業用フィルムおよび包装材料などに好
適な生分解性フィルムに関するものである。
生分解性樹脂は、水中や土中で有害物を生成することなく比較的容易に分解することが知られている。そのため、ゴミ処理問題などの環境保全の面から世界的に注目されている。これらの中でも、脂肪族ポリエステル樹脂は、ポリエチレンに近い物性を有することもあって、該樹脂を成形して得られるフィルムは、農業資材、土木資材、植生資材、包装材等のフィルム用途として将来が期待されている(例えば、特許文献1および2参照)。
しかしながら、従来の生分解性フィルムは、いずれも引裂き強度、特にフィルムの機械(延伸)方向の引裂き強度が充分ではなく実用上問題があった。
一方、枯渇資源から再生可能資源への転換による循環型社会の構築が注目を集めるようになり、生分解性だけでなく、原料として石油から合成される材料でなく、天然物に由来する材料への関心が高まっている。現在、天然物として実用化されている材料は澱粉である。
フィルムとしての成形性や物性を付与された澱粉として、エステル化ビニルエステルグラフト重合澱粉(特許文献3)や澱粉エステル(特許文献4)、さらに、ポリエステルグラフト重合澱粉とポリエステルのアロイ(特許文献5)が提案されている。さらに澱粉を高度に変性すれば、フィルムとしての成形性や物性をさらに向上させることができると考えられるが、コスト的に現実的ではない。
また、澱粉の糊化物と熱可塑性樹脂を複合することも提案されている(例えば、特許文献6及び7参照)。さらに、化工澱粉を添加した系についても種々の提案がなされている(例えば、特許文献8、9、10および11参照)。
しかし、これらの組成物は、いずれも、加熱溶融時の流動性が不十分であった。そのため、押出成形により、簡単な形状の成形物、例えば、シート等を得ることはある程度可能であったが、射出成形により複雑な形状の物品を成形しようとする場合、流動性不良により、所望の形状の成形物を得ることは困難であり、薄肉のフィルムを成形することが困難であり、たとえ成形できたとしても、フィルム物性が実用的ではなかった。また、澱粉の糊化工程とブレンド工程が別々に必要となり、製造コスト的に高くなる問題があった。
これらの問題を解決する方法として、酸化処理した糊化澱粉と生分解性樹脂の組成物が提案されている(特許文献12)。これは、糊化と酸化を同時に行う方法であるが、実際には、糊化のための水と可塑剤共存下での酸化剤による澱粉分解の制御および樹脂との十分なブレンドのためには、事実上製造コストが高くなるという問題がある。つまり、糊化と酸化とコンパウンドを同時に行えば、生分解性樹脂の分子量も低下し、フィルム成形性、および物性を実現することは困難であり、例示されているように、成形時に酸化処理された糊化澱粉ペレットと生分解性樹脂ペレットをドライブレンドで成形した場合、射出成形では問題にならないかもしれないが、薄肉のフィルム成形では、通常使用される、インフレーションフィルム成形における溶融押出機では混練りが不十分なため成形性、物性に問題が生じるという問題がある。また、使用されている酸化剤は過酸化物であり、糊化澱粉と生分解性樹脂の相溶性が不十分なことから樹脂組成物をフィルムに加工する際の成形性は充分には改善されない。
特開平5−271377号公報 特開平6−170941号公報 特開平8−239402号公報 特許第2939586号公報 特開平9−31308号公報 特開平1−217002号公報 特開平2−14228号公報 特開平3−56543号公報 特開平3−70752号公報 特開平3−74445号公報 特開平3−74446号公報 特許第3078478号公報
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は引裂き強度、特に機械(延伸)方向の引裂き強度が改善され、天然物由来の成分を導入して、かつコンポストバッグ、農業用フィルムおよび包装材料などに好適で、経済性にも優れた生分解性樹脂組成物および生分解性フィルムを提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、特定の位置の炭素原子の結合を切断して同炭素原子にカルボキシル基が形成された酸化澱粉を使用することにより、上記問題を解決することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下、
(1) 酸化澱粉の糊化物と生分解性熱可塑性樹脂を含み、かつ前記酸化澱粉が澱粉中の一部のグルコース単位におけるC-2とC-3の間が切断され、C-2およびC-3にカルボキシル基が形成されている構造を有することを特徴とする生分解性樹脂組成物であって、酸化澱粉の糊化物と生分解性熱可塑性樹脂との合計量に基づき、酸化澱粉の糊化物を20〜50質量%および生分解性熱可塑性樹脂を80〜50質量%の割合で含む生分解性樹脂組成物、
(2) 前記生分解性熱可塑性樹脂が脂肪族ポリエステルである上記(1)に記載の生分解性樹脂組成物、
(3) 前記脂肪族ポリエステルがグリコール類と脂肪族二塩基酸とを脱水共縮合させることにより得られるものである上記(2)に記載の生分解性樹脂組成物、
(4) 前記グリコール類がエチレングリコールおよび/または1,4−ブタンジオールであり、脂肪族二塩基酸がコハク酸および/またはアジピンである上記(3)に記載の生分解性樹脂組成物、
(5) 生分解性熱可塑性樹脂がポリ乳酸を含む上記(2)に記載の生分解性樹脂組成物、
(6) 酸化澱粉が次亜塩素酸ナトリウムを用いて製造されたものである上記(1)〜(5)のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物、
(7) 酸化澱粉の糊化を生分解性熱可塑性樹脂の混合と同時にベント付き押出機を用いて行なう上記(1)〜(6)のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物、
(8) さらに高沸点の溶媒を含む上記(1)〜(7)のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物、
(9) さらに可塑剤を含む上記(1)〜(8)のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物、
(10) 可塑剤がポリグリセリン酢酸エステル、その誘導体、およびアジピン酸ジエステルから選ばれる少なくとも一種である上記(9)の生分解性樹脂組成物、
(11) 上記(1)〜(10)のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物を成形してなるコンポストバッグ、農業用フィルムまたは包装材料用生分解性フィルムを提供するものである。
本発明によれば、成形性(相溶性)を向上させることにより、製造の際の負荷を低減した生分解性樹脂組成物および同樹脂組成物を用いて成形され物性が改善された生分解性フィルムが提供される。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の生分解性樹脂組成物における一方の樹脂成分である酸化澱粉の糊化物を得るためには、まず、下記のような構造、すなわち、澱粉中の一部のグルコース単位におけるC-2とC-3間が切断され、C-2およびC-3にカルボキシル基が形成されている構造を有する酸化澱粉を製造する必要がある。
Figure 0005021228
澱粉中のグルコース単位を上記のような構造に変換するには、例えば、通常は、澱粉を次亜塩素酸ナトリウムで酸化することにより行う。過酸化物のような酸化剤で澱粉を酸化処理した場合、C-C結合およびグリコシド結合の切断による開重合が生じて、C-2とC-3間の切断が充分行なわれず、カルボキシル基の形成量が不十分となる。
次亜塩素酸ナトリウムによる澱粉の酸化は、澱粉濃度40〜50質量%、好ましくは、45質量%程度の水懸濁液をpH8〜11に調整し、塩素濃度8〜12質量%、好ましくは、10質量%程度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を添加して40〜50℃程度で1〜2時間程度反応させることにより行なう。反応は常圧下、耐腐食性の反応容器中で撹拌しながら行なうのが好ましい。反応終了後、目的物は、遠心脱水機等を用いて分離し、充分に水洗して乾燥させることにより得られる。
カルボキシル基の量はカルボキシル基置換度で表され、通常のものはカルボキシル基置換度(中和滴定法)、の数値が0.001〜0.100、程度、好ましくは、0.01〜0.035である。
酸化澱粉としては、市販のものを使用することができる。
なお、澱粉を次亜塩素酸ナトリウムで酸化する方法は、たとえば、不破英次、「澱粉科学の辞典」、株式会社朝倉書店、2003年3月20日、p408および二国二郎、「澱粉科学ハンドブック」株式会社朝倉書店、1977年7月20日、p501等に記載されている。
本発明で使用される澱粉については特に制限が無く、いずれの澱粉も用いることができる。例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴヤシ澱粉、米澱粉、小麦澱粉などの未化工澱粉、さらには、各種エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の化工澱粉等を挙げることができる。
本発明の生分解性樹脂組成物におけるもう一方の樹脂成分である生分解性樹にも特に制限はない。それ自身生分解性を有する樹脂であれば良く、成形性を考慮すると熱可塑性であることが好ましい。化学合成系樹脂、微生物系樹脂、天然物利用系樹脂等のいずれに属する樹脂でも良い。例えば、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート−アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート・バリレート共重合体など)、ポリビニルアルコール、アセチルセルロース等を挙げることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いても良い。
中でも、フィルム成形性、物性を考えた場合、脂肪族ポリエステルが好ましい。さらに脂肪族ポリエステルとしては、融点が50〜180℃であり、かつ重量平均分子量が50000以上であることが良好な成形品を得るうえで好ましく、それらは通常、グリコール類と脂肪族二塩基酸とを脱水共縮合させることにより得られる。
グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。脂肪族二塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸並びにこれらの無水物等が挙げられる。
また、その他成分として、3官能または4官能を有する多価アルコール、オキシカルボン酸または多価カルボン酸を少量添加したものでもよい。
脂肪族ポリエステルとしては、市販品があり、例えば、昭和高分子(株)製の"ビオノーレ"シリーズがよく知られている。
最終的に得られる生分解性フィルムの軟化温度やフィルムの柔軟性を調整するためにポリ乳酸を併用することもできる。
本発明生分解性樹脂組成物における酸化澱粉の糊化物(糊化反応については、酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂を混合して生分解性樹脂組成物を調製する際に合わせて記載する)と生分解性樹脂の含有割合としては、特に、同樹脂組成物を成形して生分解性フィルムを製造する際の成形性と得られる生分解性フィルムの物性の観点から、酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂との合計量に基づき、酸化澱粉の糊化物を20〜50質量%(生分解性樹脂が80〜50質量%)含有させることが好ましく、さらに好ましくは30〜50質量%(生分解性樹脂が70〜50質量%)である。酸化澱粉の糊化物を20質量%以上とすることにより、経済性が発揮され、かつ、生分解性フィルムを製造する際の成形性の向上および得られるフィルムの引き裂き強度の向上効果が得られる。また、酸化澱粉の糊化物を50質量%以下とすることにより、フィルム物性が低下するのを防ぐ。
本発明の生分解性樹脂組成物を製造する方法としては、通常、熱可塑性樹脂を溶融混合する場合に用いられる押出機を使用することが好ましい。
具体的には、酸化澱粉の糊化、脱水、糊化された酸化澱粉と生分解性樹脂との溶融混合を同時に行うために、二軸スクリュー方式で、脱水のためのベントを備えていることが重要である。さらに、十分な製造量を確保するためには、十分なL/Dが重要なファクターであり、通常、L/Dは32以上である。脱水と混合のより効率の良い方法としては、第一工程において、加熱混合による酸化澱粉の糊化完了時に開放式のベントで押出機内の圧力上昇による逆流を防止し、さらに第二工程において酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂をさらに混合しながら、真空ベントで脱水を行うことである。
この二つの工程を一台の押出機で完結するためには、最低でもL/Dは32であることが肝要であり、よりL/Dの大きな装置では吐出量を多くすることが可能であり、製造コストを下げることが可能となる。第一工程では、生分解性樹脂の軟化温度(または融点)に合わせて設定温度を60〜130℃程度、好ましくは、80〜140℃とする。多くの生分解性樹脂はこの温度範囲で軟化(溶融)するため、酸化澱粉の糊化と同時に糊化した酸化澱粉と生分解性樹脂の溶融状態での混合も行われる。第一工程での滞留時間は通常、30〜180秒、好ましくは60〜120秒である。滞留時間を30秒以上とすることにより、酸化澱粉の糊化を充分進行させ、180秒以下とすることにより、分解を抑制し、生産性を確保することができる。
第二工程では設定温度を130〜180℃程度、好ましくは、150〜170℃とする。これにより酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂組成物が完全に溶融混合される。第二工程での滞留時間は通常、30〜120秒、好ましくは60〜90秒である。滞留時間を30秒以上とすることにより、糊化された酸化澱粉と性分解性樹脂との混合を充分に行ない、120秒以下とすることにより、分解を抑制し、生産性を確保することができる。
第一工程における酸化澱粉の糊化のためには、酸化澱粉自身が保持している水分のみでも、温度および滞留時間、せん弾力などにより可能な場合もあるが、糊化を完了させるために必要な水および/または極性を有する高沸点の溶媒を添加することができる。高沸点の極性溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。
中でも澱粉および生分解性樹脂との相溶性、糊化能力およびコストのバランスの観点から、グリセンリを用いることが好ましい。
以上のような手順で本発明の生分解性樹脂組成物が得られる。
次に上記本発明の生分解性樹脂組成物を成形してなる生分解性フィルムについて説明する。
本発明の生分解性フィルムの製造方法としては、例えば、上記のように酸化澱粉の糊化物と生分解性樹脂を押出機を用いて溶融混合して生分解性樹脂組成物とし、押出機出口を公知の水冷または空冷インフレーション成形、Tダイ式フィルム成形機に連結して連続して製造してもよいし、一旦ペレット化またはフレーク化して、その後、公知の水冷または空冷インフレーション成形、Tダイ式フィルム押出成形機を用いて成形しても良い。
本発明の生分解性樹脂組成物をフィルムに成形する際、さらに可塑剤を含んでいてもよい。生分解性樹脂がさらにポリ乳酸を含む場合に可塑剤を添加する効果が発揮される。用いられる可塑剤としては、グリセリン誘導体が好ましく、特にポリグリセリン酢酸エステルあるいはその誘導体あるいはアジピン酸ジエステルが好ましい。添加量は通常1〜10質量%程度、好ましくは2〜8質量%である。1質量%以上とすることにより、フィルム物性、特に引張伸度、フィルムインパクト強度が改良され、10質量%未満とすることにより可塑剤がブリードして、外観不良となるのを防ぐ。
また、本発明の生分解性フィルムは、所望により当該技術分野において通常用いられている添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤などを本発明の特性を損なわない範囲で添加してもよい。
具体的には、酸化防止剤としてはp−t−ブチルヒドロキシトルエン、p−t−ブチルヒドロキシアニソール等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;熱安定剤としてはトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等;紫外線吸収剤としてはp−t−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2,−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等;帯電防止剤としてはN,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアミン、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルホネート等;難燃剤としてはヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等;結晶化促進剤としてはタルク、ホロンナイトライト、ポリエチレンテレフタレート、ポリ−トランスシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等が挙げられる。
上記のように、生分解性樹脂組成物の調製に引き続いて連続してフィルムの製造を行うのでなく、一旦ペレット化またはフレーク化された生分解性樹脂組成物を用いてフィルムの製造を行う場合、インフレーション成形、Tダイ式フィルム押出成形機の設定温度は上記第二工程と同じ設定温度、すなわち、130〜180℃程度、好ましくは、145〜170℃とする。
本発明の生分解性フィルムは、前記フィルムを、さらに一軸又は二軸延伸したものであってもよい。
本発明の生分解性樹脂組成物は、それを生分解性フィルムに成形する際の成形性
が改良されているので、生産性が向上し、かつ、得られた生分解性フィルムは機械
的特性、特にフィルムのインパクト強度が改良されているので、生分解性を有する
コンポストバッグ、農業用フィルムおよび包装材料などに好適に用いられる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の例になんら限定されるものではない。
[実施例1〜5および比較例1〜4]
表1に澱粉および生分解性樹脂の種類、各配合量(質量%)を示す。各例における原料や添加剤をスーパーミキサーを用いて混合し、脱水のためのベントを備えたスクリュー径80mmの同方向二軸押出機(L/Dは32)を用いて溶融混練し、生分解性樹脂組成物のペレットを得た。設定温度は第一工程80〜140℃、第二工程150〜180℃、滞留時間は第一工程60〜90秒、第二工程60〜90秒である。
得られた各ペレットを温度70℃で3時間除湿空気循環式乾燥機で乾燥後、吉井鉄工社製インフレーション成形機を用いて厚さ30μm、折幅300mm(ブローアップ比=3相当)のフィルムを成形した。
各特性の測定方法を以下に示す。
<MFR>
JIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重21.18MPaの条件で測定した。
<生分解性>
昭和高分子(株)竜野工場内の地面から約10cmの深さのところに10cm角に裁断したフィルムをナイロンメッシュに挟んで1ヶ月埋設した後、質量減少量を測定し、その減少割合を次の4段階で評価した。
◎:80%以上
○:50〜80%未満
△:10〜50%未満
<フィルム成形性>
2段階評価で、所定の寸法のフィルムが得られた場合○、成形できなかった場合を×とした。
<引張破断強度>
JIS Z−1702に準じて測定した。
<引張破断伸度>
JIS Z−1702に準じて測定した。
<ヤング率>
ASTM D−822に準じて測定した。
<引裂き強度>
JIS P−8116に準じて測定した。
<インパクト強度>
JIS P−8134に準じて測定した。
上記の機械的特性はフィルム成形性の評価が○で、フィルムが得られた場合のみ各フィルムについて測定した。インパクト強度以外の機械的特性は、いずれも縦方向(フィルム引き取り方向、MD)と横方向(TD)の両者について測定した。
<使用材料>
(1) 生分解性樹脂A:昭和高分子(株)製脱水縮合型脂肪族ポリエステル[ビオ
ノーレ3001G(融点;95℃、MFR;1.2g/10分)]
(2) 生分解性樹脂B:BASF(株)製脱水縮合型脂肪族・芳香族ポリエステ
ル[Ecoflex(融点;120℃、MFR;4.0g/10分)]
(3) 生分解性樹脂C:ダイセル化学工業(株)製のポリカプロラクトン[プラク
セルH−7(融点;60℃、MFR;3.5g/10分)]
(4) 澱粉A:王子コーンスターチ(株)製酸化澱粉[エースA;カルボキシル基置換度0.01、粘 度300±50BU(ブラベンダー粘度、濃度20%、50℃1時間後測定)、水分12%(常圧 加熱法105℃、4時間)
(5) 澱粉B:王子コーンスターチ(株)製コーンスターチ[生澱粉;カルボキシル基置換度0、粘度1 100±50BU(ブラベンダー粘度、濃度8%、50℃1時間後測定)、水分12%(常圧加熱 法105℃、4時間)
(6) 澱粉C:王子コーンスターチ(株)製酸化澱粉[エースC;カルボキシル基置換度0.03、粘度 200±50BU(ブラベンダー粘度、濃度30%、50℃1時間後測定)、水分12%(常圧加 熱法105℃、4時間)
(7) 水:脱イオン水
(8) 高沸点の極性溶媒:グリセリン
(9) 可塑剤A:理研ビタミン(株)製ポリグリセリン酢酸エステル[リケマールPL−710]
(10) 可塑剤B:旭電化(株)製アジピン酸ジエステル[アデカサイザーRS−107]
Figure 0005021228
表1における実施例番号、比較例番号以外の数値は全て質量%を表わす。測定結果を表2に示す。
Figure 0005021228
表2に示されている結果から、本発明の生分解性樹脂組成物は比較例のものと比べて機械的強度およびフィルム成形性において優れていることがわかる。

Claims (11)

  1. 酸化澱粉の糊化物と生分解性熱可塑性樹脂を含み、かつ前記酸化澱粉が澱粉中の一部のグルコース単位におけるC-2とC-3の間が切断され、C-2およびC-3にカルボキシル基が形成されている構造を有することを特徴とする生分解性樹脂組成物であって、酸化澱粉の糊化物と生分解性熱可塑性樹脂との合計量に基づき、酸化澱粉の糊化物を20〜50質量%および生分解性熱可塑性樹脂を80〜50質量%の割合で含む生分解性樹脂組成物。
  2. 前記生分解性熱可塑性樹脂が脂肪族ポリエステルである請求項1に記載の生分解性樹脂組成物。
  3. 前記脂肪族ポリエステルがグリコール類と脂肪族二塩基酸とを脱水共縮合させることにより得られるものである請求項2に記載の生分解性樹脂組成物。
  4. 前記グリコール類がエチレングリコールおよび/または1,4−ブタンジオールであり、脂肪族二塩基酸がコハク酸および/またはアジピンである請求項3に記載の生分解性樹脂組成物。
  5. 生分解性熱可塑性樹脂がポリ乳酸を含む請求項に記載の生分解性樹脂組成物。
  6. 酸化澱粉が次亜塩素酸ナトリウムを用いて製造されたものである請求項1〜5のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
  7. 酸化澱粉の糊化を生分解性熱可塑性樹脂の混合と同時にベント付き押出機を用いて行なう請求項1〜のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
  8. さらに高沸点の溶媒を含む請求項1〜のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
  9. さらに可塑剤を含む請求項1〜のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物。
  10. 可塑剤がポリグリセリン酢酸エステル、その誘導体、およびアジピン酸ジエステルから選ばれる少なくとも一種である請求項9に記載の生分解性樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の生分解性樹脂組成物を成形してなるコンポストバッグ、農業用フィルムまたは包装材料用生分解性フィルム。
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