JP2023120529A - 磁石式義歯アタッチメント - Google Patents

磁石式義歯アタッチメント Download PDF

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Abstract

【課題】高い磁気吸引力と、十分な磁気的遮断性と優れた溶接強度を有する溶接部からなり、併せて工程の簡素化を図る。【解決手段】永久磁石2を収容するキャップ1にCr系磁性ステンレス鋼、キャップ1の凹所開口部の蓋であるシールドプレート3は外縁部以外31には18Cr-8Niステンレス鋼磁石とその外縁部32は非磁性改質した18Cr-8Niステンレス鋼の非磁性部からなり、キャップ1とシールドプレート3の非磁性部からなる外縁部32の境界部をレーザー溶接による溶接部を形成する。キーパー102は、Cr系軟磁性ステンレス鋼からなり、その被吸着面はCr拡散層が形成される。【選択図】図1

Description

本発明は、歯科医療分野において磁石吸引力を利用して義歯を維持固定するために用いるキャップ状の磁石式義歯アタッチメントに関する。
近年義歯は、X線画像解析装置や3次元の形状測定を使って、口腔内の歯列状態を診断して、コンピュータで義歯を設計し、設計したデジタルデータをもとに、3次元プリンターで製作され始めている。つまり義歯は、精密鋳造デンチャーからデジタルデンチャーへと変わりつつある。
磁石式義歯アタッチメントは、精密鋳造デンチャーにおいては、歯にやさしい維持装置として使用されてきたが、デジタルデンチャーの製作に当たっては、磁石の自己吸引力を活用して、デンチャーを支台歯に精度よく安定的に維持する装置として期待されている。そのために、吸着力の増加が求められている。
従来、磁気吸引力を利用した義歯アタッチメントとしては、特許文献1に開示されている図5、図6の例がある。図5によれば、義歯50を装着するために、人体の歯根部61には根面板62が埋設され、根面板62の中にはキーパー6が埋め込まれている。義歯50は、キーパー6と対向するように設けた義歯アタッチメント5と、これを包むレジン床63とホウロウ質の人工歯64からなる。
義歯アタッチメントとしては、キャップ型とサンドイッチ型など各種の構造のタイプが知られているが、本発明は磁石構造体の高さが低くできるキャップ型タイプの性能向上を図ったものである。
なお、キャップ状の磁石式義歯アタッチメントは、特許文献2に開示されている。
本装置は、可能な限り小型で強い吸着力が求められている。さらに、咬合時において義歯に対して発生する回転力とそれによる義歯の傾きが生じた場合、吸着力が急減して外れやすいという欠点があった。そこで吸着面に隙間が発生した場合の磁力の低下防止が求められていた。さらに、磁気回路の中のさびやすい磁石のシールドの仕方が難しく、その方法の改善が求められたものである。
上記義歯アタッチメントの磁石構造体は、図6に示すように、上記キーパー6と当接する吸着面に対し磁束が交差する方向に着磁された、円柱状の永久磁石よりなる磁石体51と、磁石体51を収納する凹所56を有すると共に軟磁性材料よりなる箱型のキャップ52を有する。また、上記磁石体51を封入するようにキャップ52の開所開口部560に配設されたシールド板53及びシールドリング54を有する。なお、シールド板53とシールドリング54とを合わせてシールドプレート55と称している。上記各部材は、全て耐食性材料により構成されている。
歯根側の磁性ステンレス製のキーパーと吸着して、磁石構造体とキーパーが一体となって、磁気回路を形成して、吸着力を大幅に高める工夫をしたものである。この吸着力を改善するさらなるアイデアが求められていた。
別の重大な課題として、上記の義歯アタッチメントの製造方法は、キャップ52とシールドリング54の外周、およびシールドリング54の内周とシールド板53の外周における、それぞれの突き合わせ部をレーザー溶接している。
しかしながら、このような二重の溶接をすると、溶接時の熱による歪みのために、キャップ52とシールドリング54の外周との突き合わせ部に空隙が生じたりする。そのため、シールドリング54の内周とシールド板36の突き合わせ部がレーザー溶接しにくいと共に、溶接割れが生じやすいという欠点があった。
非特許文献1に、これらの問題点を解決すべく製造方法が図7(A)、(B)に開示されている。
その製造方法は、まずシールドプレート73の外周に予めNi皮膜74を設けておく。そして、磁石体71を収納したキャップ72の凹所開口部に、上記シールドプレート73を配置して蓋をした後に、キャップ72とシールドプレート74の外周との間を溶接する。
この溶接時に、上記Ni皮膜74を溶融させると共にこれを、上記キャップ72とシールドプレート73との間に溶け込ませる。これにより、溶融部75(図7(B))を非磁性化している。これにより、レーザーによる溶接が1回ですむために溶接回数を1回省略でき、それに伴う問題点も解決される。しかし、品質問題がある上に、工程が複雑で経済性の点で問題であった。
しかしながら、この製造方法には以下のような欠点がある。
上記溶接時に、図7(B)に示すように、キャップ72とシールドプレート73との間に上記Ni皮膜74を溶け込ませて溶融部75を形成する際には、上記溶融部75の溶融深さは図7(B)に実線Dで示すごとく、丁度シールドプレート73の厚み分だけ形成する必要がある。これにより、上記キャップ72とシールドプレート73との間の非磁性化を図ることができる。
しかし、この際、もしも同図に破線Eで示すように、溶融部75の溶接深さが深くなり、磁石体71も溶融すると、磁石体71が損傷を受け、磁気吸引力が低下してしまう。
一方、この危険を回避するため、同図に点線Fで示すように、上記溶接深さを浅くすると、軟磁性材料であるNi皮膜74が未溶融状態のまま残存するため、キャップ72とシールドプレート73との間に磁束の短絡が発生し、磁気吸引力が低下してしまう。
このように、上記の製造方法では、キャップ72とシールドプレート74との間に非磁性領域を形成することが、非常に困難である。品質問題がある上に、工程が複雑で経済性の点で問題であった。
特許文献2は、上記の問題点を解決すべく製造方法が図8に開示されている。
その製造方法は、軟磁性材料よりなるシールド板83とそのシールド板の外周に接合した非磁性材料からなる非磁性リング84とからなるシールプレート85を形成する。磁石体81を収納した軟磁性材料よりなるキャップ82の凹所開口部に、上記シールドプレート85を配置して蓋をした後に、シールド板83(軟磁性材料)と非磁性リング部84(非磁性材料)とキャップ82(軟磁性材料)との三者間は表面側が一体的に溶接され、溶接部86が形成されている。
これにより、確実に非磁性領域を形成することができるが、工程が複雑で経済性の点で問題であった。
特開平4-227253号公報 特開2004-154596号公報
日本金属学会講演概要集(1996年9月29日第408頁)
しかし、特許文献2による発明は、直径4mmの場合吸着力が600gと不十分で、その向上が強く求められていた。また、磁石を保護するためのシールド方法として、非磁性リングと軟磁性シールド板の複合体を形成し、かつ溶接は非磁性リングとシールド板とキャップの3部品を一度に溶接するものである。
この製造方法には3つの問題点が生じていた。第1に非磁性リングとシールド板の組み立てが複雑であること、次に溶接部は二つのCr系軟磁性ステンレス鋼および一つの非磁性ステンレス鋼を溶かし、合金化して溶接部を形成するために溶接部にはδフェライト相が生成することから、第2に磁気的遮断が十分とはならない欠点、第3に溶接部の強度が不安定であるという欠点があった。
本発明はかかる従来製品の欠点である低い吸着力の問題と溶接の難しさと品質の不安定の問題を解決した磁石式義歯アタッチメントを提供するものである。
本発明者らは、従来の軟磁性ステンレス鋼を用いた磁気回路に代えて、シールドプレート部をCr-Ni系ステンレス磁石に置き換えることによって、磁気吸引力の向上を図ることができるとの新しい考えに思い至った。そこで、磁石式磁性アタッチメントの吸着力に対するこの新しい考えの有効性について鋭意検討した。
磁石構造体の大きさは、直径4.0mm、高さ1.3mmである。内蔵されている永久磁石は52MGOeのNdFeB磁石にて、その直径は3.4mm、高さ0.9mmである。
キャップは従来の軟磁性ステンレス鋼であるCr系磁性ステンレス鋼を用い、キーパーは磁性材料として保磁力を0~50Oe以下のCr系ステンレス鋼を用いた。
シールドプレートは、外縁部には非磁性のCr-Ni系ステンレス鋼からなり、外縁部以外には厚み方向に繊維状組織を有し、その方向に飽和着磁したCr-Ni系ステンレス磁石とした。前記Cr-Ni系ステンレス磁石の残留磁気を、0から1万Gまで変化させて、吸着力の影響を調査した結果、図2に示すように、磁気吸引力は残留磁気の強さに比例することが分かった。また磁石構造体とキーパーとを0.1mm離した時の磁気吸引力は、従来品に比べて改善を示した。
NdFeB磁石に加えてCr-Ni系ステンレス磁石との複合磁石を採用することにより、磁石構造体の内蔵する磁気エネルギーを増大させて磁気吸引力の向上が可能となった。Cr-Ni系ステンレス磁石としては、飽和磁化は8,000G以上、保磁力は100Oe~200Oe、異方性磁界は800G以上、かつ残留磁気を6,000G以上の性能を有する磁石を採用した。
好ましくは、8,000~12,000Gの飽和磁化、800~1,300Gの異方性磁界、6,000~10,000Gの残留磁気を有する磁石である。
次に、製造方法の簡素化について研究した。
シールドプレートの構成について、軟磁性材料よりなるシールド板と非磁性材料よりなるリングとからなる2部品から、Cr-Ni系ステンレス磁石と非磁性外縁部とからなるシールドプレートの1部品に変更することにした。
シールドプレートの製造方法は、先ずCr-Ni系ステンレス鋼棒を冷間引抜にて80%以上のマルテンサイト変態を生ぜしめ、長さ方向に繊維組織を形成し、張力熱処理を施したのちに、そのワイヤから円板を切り出した。張力熱処理は、張力を0~30kg/mm負荷した状態で450℃~570℃の温度で行った。次に、このマルテンサイト変態状態の円板の外縁部(外周部)を高周波加熱してオーステナイト相に戻す非磁性改質を行なった。これにより、外周部は非磁性材料で外周部以外(外縁部以外)は半硬質磁性材料からなる複合磁性円板を作製した。なお、外周部の加熱はレーザー加熱で行ってもよい。
そして、この複合磁性プレート円板の着磁は、溶接後に、NdFeB磁石と一緒に厚み方向に30,000Oe以上の磁界を印加して行なった。これにより、非磁性材料のCr-Ni系ステンレス鋼よりなるリング状の外周部とCr-Ni系ステンレス磁石よりなる円板状の外周部以外の部分とからなるシールドプレートを得ることができた。
なお、キャップの製造方法は、磁性材料からなるCr系ステンレス鋼板から円板を打ち抜き、それを円筒状に絞り込み作成した。冷間成形のまま使用してもよいし、熱処理して使用してもよい。
磁石構造体の製造方法は、Cr系磁性ステンレス鋼よりなるキャップに永久磁石を装入し、キャップの開口部に蓋としてのCr-Ni系ステンレス鋼とCr-Ni系ステンレス磁石よりなるシールドプレートを圧入して磁石構造体を組み立てる。次にシールドプレートとキャップとの境界部を一体的に溶接する。溶接された境界部(溶接部)は、軟磁性のCr系ステンレス鋼と非磁性のCr-Ni系ステンレス鋼を溶け込ませた合金のためにδフェライト相が析出して弱磁性部となる。そこで、外周部の非磁性改質部の幅を境界部の溶け込み部よりも大きくすることで、磁気的遮断は完全にすることが可能である。
次に、吸着面となる磁石構造体に対して被吸着面となるキーパーの構成は次の通りである。
キーパーの材質は、Cr系磁性ステンレス鋼からなる。そのキーパー吸着面は、耐酸化性と耐摩耗性が求められ、かつ軟磁性が求められている。従来は、Crメッキが行われていたが、その際に非磁性膜ができ、磁気吸引力低減の一因にもなっている。そこで、本発明ではCr拡散層を形成することにより、硬さはHv400程度、好ましくはHv450以上することとした。硬くすることによりキーパー被吸着面とシールドプレート吸着面の摩耗防止、特にキーパー吸着面の硬さをシールドプレート(マルテンサイト組織)の硬さより硬くして、キーパーの摩耗を防止することが必要である。
本発明は、シールドプレートにCr-Ni系ステンレス磁石を採用することにより、高い磁気吸引力を実現した。かつ、外周部(外縁部)の非磁性部とそれ以外(外縁部以外)の部分は磁石とからなるシールドプレートを利用することで、製造方法を簡素化し、かつ溶接部をキャップの軟磁性材料との1か所の境界部のみとすることで、溶接部の強度を高めることを可能にしたものである。
磁石式義歯アタッチメントの断面を示す図である。 磁気吸引力に及ぼすCr-Ni系ステンレス磁石の残留磁気との関係を示す図である。 シールドプレートを示す図である。 磁石構造体の溶接部を示す図である。 従来例における、義歯を説明する図である。 従来例における、義歯アタッチメントの断面を示す図である。 他の従来例における、義歯アタッチメントの断面を示す図である。 他の従来例における、義歯アタッチメントの断面を示す図である。
本発明の第1の実施形態は次の通りである。
本発明の磁石式義歯アタッチメントは、
義歯に配設される磁石構造体と支台歯の上に配設される軟磁性材料よりなるキーパーとを備え、前記磁石構造体の吸着面と前記キーパーの被吸着面とを当接させることにより両者が磁力による自己吸引力によって互いに吸着するように構成された磁石式義歯アタッチメントにおいて、
前記磁石構造体は、開口部を有するカップ状の形状を有し、その底部と側面部はCr系磁性ステンレス鋼よりなるキャップと前記キャップの凹部に収納する永久磁石と前記キャップの開口部に蓋をするシールドプレートとからなり、
前記シールドプレートは、外縁部は非磁性のCr-Ni系ステンレス鋼からなり、外縁部以外は厚み方向に繊維状組織を有し、その方向に飽和着磁したCr-Ni系ステンレス磁石からなり、
かつ、前記キャップ側面部の最端部と前記シールドプレートとの境界部は溶接によって接合され、その溶接部は平滑化された吸着面を形成しており、
前記キーパーは、Cr系軟磁性ステンレス鋼からなることを特徴とする。
磁石式義歯アタッチメントについて、図1~4を用いて説明する。
磁石式義歯アタッチメント10は、磁石構造体101とキーパー102とから構成されている。磁石構造体101は義歯床に配設されて磁気吸引力を発揮している。一方、キーパーは支台に配設される軟磁性材料からなる。両者の関係は、一方は磁石構造体に吸着面が設けられ、他方はキーパーには被吸着面が設けられており、吸着面と被吸着面とは当接されることにより両者が磁気吸引力によって互いに吸着し、吸着されるように構成されている。
先ず磁石構造体101について説明する。
磁石構造体101は、永久磁石2と永久磁石を収容するキャップ1とキャップの開口部の蓋をするシールドプレート3から構成される。
永久磁石2は、Nd-Fe-B系磁石(NdFeB磁石)など希土類磁石が好ましい。NdFeB磁石では、最大エネルギー積は大きいほど好ましく、BHmaxが35~55MGOeとする。BHmax35MGOe未満のBHmaxでは十分な磁気吸引力を得ることができない。汎用的なNdFeB磁石として上限はBHmax55MGOeとする。
キャップ1は、Cr系磁性ステンレス鋼からなる。その特性は、保磁力Hcは50Oe以下にてBsは1.3T以上が好ましい。これにより十分な磁気吸引力を得ることができる。
シールドプレート3は、円板状形状で、外延部は非磁性で、外延部以外はCr-Ni系ステンレス磁石からなっている。Cr-Ni系ステンレス磁石は厚み方向に繊維状組織を有し、その方向に着磁されており、その性能は、飽和磁化は8,000G以上、保磁力は100Oe~200Oe、異方性磁界は800G以上 かつ残留磁気を6,000G以上とした。特に残留磁気を大きくするほど、磁気吸引力は増加するので、6,000G以上確保することが重要である。Cr-Ni系ステンレス磁石3とキャップ1に収容されている永久磁石2とよりなる複合磁石を形成し大きな磁気吸引力を実現している。
同時にシールドプレート3は、キャップとの境界部を溶接して、永久磁石2を口腔内の唾液などから保護し腐食から守っている。さらにシールドプレート3の非磁性部は、複合磁石とキャップとを磁気的に遮断し、磁気吸引力の低下を防止している。
ここで、Cr-Niステンレス系磁石の製造方法は次の通りである。
先ず、Cr-Ni系ステンレス製のプレート磁石の製造方法は、図3に示すように、オーステナイト相のCr-Ni系ステンレス鋼棒を冷間引抜加工して80%以上のマルテンサイト変態を生ぜしめ、そこから輪切りして、厚み方向の繊維状組織を持つシールド板31(A)を作製する。
次に、このマルテンサイト変態状態のシールド板31の外周部をレーザー加熱してオーステナイト相からなるCr-Ni系ステンレス鋼32に戻す非磁性改質を行なう。その幅は0.15~0.3mm、厚みは0.05~0.10mmが好ましい。これにより、中央部は磁性材料からなるとともに外周部は非磁性材料(非磁性部)からなる複合シールド板(B)を作製する。
この複合シールド板の着磁は、電磁石を用いて3,000~4,000Oeの磁界を円板の厚み方向に印可して行ない永久磁石とする。また、シールドプレートとNdFeB磁石を重ねて、一緒にパルス着磁をしてもよい。
なお、プレート磁石の製造方法は、残留磁気を6,000G以上確保する方法であれば、上記方法に限るものではない。
磁石構造体の製造方法は、Cr系磁性ステンレス鋼よりなるキャップに永久磁石を装入し、キャップの開口部に蓋としてのCr-Ni系ステンレス鋼とCr-Ni系ステンレス磁石よりなるシールドプレートを圧入して磁石構造体を組み立てる。次にシールドプレートとキャップとの境界部を一体的に溶接する。溶接された境界部(溶接部)は、軟磁性のCr系ステンレス鋼と非磁性のCr-Ni系ステンレス鋼を溶け込ませた合金のためにδフェライト相が析出して弱磁性部となる。そこで、外周部の非磁性改質部の幅を境界部の溶け込み部よりも大きくすることで、磁気的遮断は完全にすることが可能である。
次に、Crステンレス鋼製のキャップは、18Crステンレス鋼、18Cr-2Moステンレス鋼などの軟磁性Crステンレス鋼板を円板形状に打ち抜き、それを絞り加工により円筒上の容器を作製する。そのまま使用してもよいし、その後熱処理して使用してもよい。
組み立ては、Cr系磁性ステンレス鋼よりなるキャップ1にNdFeB系磁石よりなる永久磁石2を装入し、次いでキャップ1の蓋となるシールドプレート3を圧入する。
溶接については、図4に示すように、Cr系磁性ステンレス鋼のキャップ1とシールドプレート3のリング状のCr-Ni系ステンレス鋼32との境界部(接合部)の表面側をレーザー溶接する。レーザー溶接により形成される溶接部33は、Cr系磁性ステンレス鋼とCr-Ni系ステンレス鋼を溶け込ました合金にてδフェライト相が析出はしているが、非磁性部32にまで至らないので磁気的遮断は完全にすることができる。なお、溶接部33のサイズは、幅0.10mm、深さ0.08mm、その公差は0.01mmが好ましい。
その後、溶接部33は研磨されて平坦面となる。
キーパー102は、Cr系軟磁性ステンレス鋼板を円板状の所定のサイズに打ち抜いて作製する。なおキーパーとしては、ルートキーパほか各種形状のものが市販されているが、いずれも上面は磁石構造体との吸着面である。
第2の実施形態として、磁石構造体の直径は1.5~5mm、高さ0.8~2mmの円柱形状からなることを特徴とする。これらの寸法は人工歯の形状に適合するものである。大きすぎると義歯が割れやすくなり、小さすぎると十分な吸着力が得られない。
第3の実施形態としてCr-Ni系ステンレス磁石は、飽和磁化は8,000G以上、保磁力は100Oe~200Oe、異方性磁界は800G以上 かつ残留磁気を6,000G以上の磁石を採用した。特に残留磁気を6,000G以上とすることで、磁気吸引力を強くすることができる。
さらに、第4の実施形態としては、キーパーの被吸着面にCr拡散層を有することを特徴とする。
これにより、耐酸化性と耐摩耗性を高めてキーパーの軟磁性の特性を確保することができる。Crメッキの場合は非磁性膜が形成されるために好ましくない。
耐摩耗性を高めるために硬さはHv400程度とし、Cr拡散層の硬さはHv450以上が好ましい。硬くすることにより被吸着面のキーパーと吸着面のシールドプレートとの摩耗防止を図ることができる。この際、キーパーの硬さをシールドプレートの硬さより硬くしてキーパーの摩耗を防止することが必要である。
[実施例1]
本発明にかかる磁石式義歯アタッチメントおよびその製造方法について、図1、3、4を用いて説明する。
本例の磁石式義歯アタッチメント10は、図1、3に示すように、磁石構造体101は永久磁石2と、永久磁石2を収納する容器であるキャップ1と、キャップ1の凹所開口部の蓋となるシールドプレート3とからなり、キーパー102とともに構成されている。
磁石構造体101の構成について、説明する。
永久磁石2は、組成はNdFeB系磁石にて、そのBHmaxは52MGOe、Msは1.33Tである。サイズは直径3.0mm、高さ0.8mmにて、コーナーにはR部が形成されている。
キャップ1は、18Cr-2Moステンレス鋼にて、その保磁力Hcは30Oe、飽和磁束密度Bsは1.6Tである。サイズは直径3.8mm、高さ1.3mmである。
その製造方法は、厚さ0.3mmの18Cr-2Moステンレス鋼板を直径6.4mmの円板状
に打ち抜いて、次いで絞り加工法により直径3.8mm、高さ1.3mmの容器としたものである。
シールドプレート3は、円板状で、外縁は非磁性で、外縁部以外はCr-Ni系ステンレス磁石からなっている。Cr-Ni系テンレス磁石は厚み方向に繊維状組織を有し、その方向に着磁されており、その性能は、飽和磁化は8,000G以上、保磁力は100Oe~200Oe、異方性磁界は800G以上 かつ残留磁気を6,000G以上である。Cr-Ni系ステンレス磁石3とキャップ1に収容されている永久磁石2と複合磁石を形成し大きな磁気吸引力を実現している。
同時にシールドプレート3は、キャップとの境界部を溶接して、永久磁石2を口腔内の唾液などから保護し腐食から守っている。さらにシールドプレート3の非磁性部は、複合磁石とキャップとを磁気的に遮断し、磁気吸引力の低下を防止している。
永久磁石2をキャップ1に装入し、次いでキャップ1の凹所開口部に蓋となるシールドプレート3を圧入して、Cr系磁性ステンレス鋼のキャップ1とシールドプレート3のリング状のCr-Ni系ステンレス鋼32との接合部の表面側をレーザー溶接する。溶接部33の幅は0.3mm、深さは0.08mmとした。
次に、キャップ1とキーパー102は、18Cr-2Moステンレス鋼にて、その保磁力は1G、飽和磁束密度Bsは1.6Tである。
本発明のCr系磁性ステンレス鋼のキャップとCr-Ni系ステンレス鋼磁石とから構成される磁石式義歯アタッチメントと、従来の軟磁性ステンレス鋼のキャップとシールプレートから構成される義歯アタッチメントについて、磁気吸引力の比較試験を行なった。両者ともにサイズおよび永久磁石等は同じで、磁石式か軟磁性ステンレス鋼式かの相違のみである。
その結果、従来の義歯アタッチメントは600gfに対して、磁石式義歯アタッチメントは820gfと磁気吸引力は36%の向上が得られた。
[実施例2]
キーパー102に厚み5μmのCr拡散層を形成した結果、硬さHv500を得られた。
本発明は、シールドプレートにCr-Ni系ステンレス磁石を採用することにより、磁気吸引力を向上し、同時にキャップとシールドプレートの接合部の溶接を簡素化して品質の安定を高めることができた。また、簡素な構造で経済性にも優れている。これにより幅広い普及が期待される。
10: 磁石式義歯アタッチメント
101:磁石構造体
102;キーパー
1;キャップ
2;永久磁石
3;シールドプレート
31;外縁部以外(Cr-Ni系ステンレス磁石)
32;外縁部(Cr-Ni系ステンレス鋼の非磁性部)
33;溶接部


Claims (4)

  1. 義歯に配設される磁石構造体と支台歯の上に配設される軟磁性材料よりなるキーパーとを備え、前記磁石構造体の吸着面と前記キーパーの被吸着面とを当接させることにより両者が磁力による自己吸引力によって互いに吸着するように構成された磁石式義歯アタッチメントにおいて、
    前記磁石構造体は、開口部を有するカップ状の形状を有し、その底部と側面部はCr系磁性ステンレス鋼よりなるキャップと前記キャップの凹部に収納する永久磁石と前記キャップの開口部に蓋をするシールドプレートとからなり、
    前記シールドプレートは、外縁部は非磁性のCr-Ni系ステンレス鋼からなり、外縁部以外は厚み方向に繊維状組織を有し、その方向に飽和着磁したCr-Ni系ステンレス磁石からなり、
    かつ、前記キャップ側面部の最端部と前記シールドプレートとの境界部は溶接によって接合され、その溶接部は平滑化された吸着面を形成しており、
    前記キーパーは、Cr系軟磁性ステンレス鋼からなることを特徴とする磁石式義歯アタッチメント。
  2. 請求項1において、
    前記磁石構造体は、直径は1.5~5mm、高さ0.8~2mmの円柱形状からなることを特徴とする磁石式義歯アタッチメント。
  3. 請求項1または2において、
    前記Cr-Ni系ステンレス磁石は、8,000~12,000Gの飽和磁化、100~200Oeの保磁力、800G以上の異方性磁界かつ6,000~10,000Gの残留磁気を有することを特徴とする磁石式義歯アタッチメント。
  4. 請求項1~3のいずれか一項において、
    前記キーパーの被吸着面は、Cr拡散層を有していることを特徴とする磁石式義歯アタッチメント。










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