JP2023118617A - バリア性シーラントフィルム、積層体、包装材料用積層体及び包装容器 - Google Patents

バリア性シーラントフィルム、積層体、包装材料用積層体及び包装容器 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリオレフィン樹脂層と蒸着膜とを備えるバリア性シーラントフィルムのガスバリア性を向上させる。【解決手段】ポリオレフィン樹脂層及びガスバリア性樹脂層を少なくとも有する、未延伸の樹脂フィルムと、ガスバリア性樹脂層上に設けられた蒸着膜とを少なくとも備え、樹脂フィルムが、共押出インフレーション法により製膜されてなる、バリア性シーラントフィルム。【選択図】なし

Description

本開示は、バリア性シーラントフィルム、積層体、包装材料用積層体及び包装容器に関する。
従来、包装材料として、樹脂材料により構成される樹脂フィルムが使用されている。例えば、ポリオレフィンから構成される樹脂フィルムは、適度な柔軟性及び透明性を有すると共に、ヒートシール性に優れるため、包装材料として広く使用されている。
ポリオレフィンから構成される樹脂フィルムは、通常、強度及び耐熱性の面で劣ることから、基材としては使用できず、ポリエステル又はポリアミドなどにより構成される樹脂フィルムと貼り合わせて使用されている。そのため、通常の包装容器は、基材とシーラント層とが異種の材料からなる積層フィルムから構成されている(例えば、特許文献1)。
近年、循環型社会の構築を求める声の高まりとともに、高いリサイクル適性を有する包装材料が求められている。しかしながら、従来の包装容器は、異種の樹脂材料から構成されており、樹脂材料ごとに分離することが困難であることから、積極的にはリサイクルされていないのが現状である。
特開2009-202519号公報
本開示者らは、基材として、ポリエステル又はポリアミドなどにより構成される従来の樹脂フィルムに代えて、ポリオレフィンの延伸フィルムを使用し、該基材をポリオレフィンにより構成されるシーラント層と組み合わせることを検討した。このような構成であれば、基材とシーラント層とがいずれもポリオレフィンにより構成されることから、包装材料のリサイクル適性を向上できる。しかしながら、このような構成では、ガスバリア性が充分ではなかった。
そこで本開示者らは、シーラント層として、ポリオレフィン樹脂層と蒸着膜とを備えるバリア性シーラントフィルムを用いることを検討した。しかしながら、このような構成でも、やはりガスバリア性が充分ではなかった。
本開示の解決課題の一つは、ポリオレフィン樹脂層と蒸着膜とを備えるバリア性シーラントフィルムのガスバリア性を向上させることにある。
本開示のバリア性シーラントフィルムは、ポリオレフィン樹脂層及びガスバリア性樹脂層を少なくとも有する、未延伸の樹脂フィルムと、ガスバリア性樹脂層上に設けられた蒸着膜とを少なくとも備え、樹脂フィルムが、共押出インフレーション法により製膜されてなる。
本開示によれば、ポリオレフィン樹脂層と蒸着膜とを備えるバリア性シーラントフィルムのガスバリア性を向上させることができる。
図1は、バリア性シーラントフィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 図2は、バリア性シーラントフィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 図3は、バリア性シーラントフィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 図4は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図5は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図6は、積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図7は、包装容器の一実施形態を示す斜視図である。 図8は、包装容器の一実施形態を示す斜視図である。
以下、本開示の実施形態について、詳細に説明する。本開示は多くの異なる形態で実施でき、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されない。図面は、説明をより明確にするため、実施形態に比べ、各層の幅、厚さ及び形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定しない。本明細書と各図において、既出の図に関してすでに説明したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
以下の説明において、登場する各成分(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、α-オレフィン、樹脂材料、ガスバリア性樹脂、添加剤、金属及び無機酸化物)は、それぞれ1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
[バリア性シーラントフィルム]
本開示のバリア性シーラントフィルムは、未延伸の樹脂フィルムと、蒸着膜とを少なくとも備える。樹脂フィルムは、ポリオレフィン樹脂層と、ガスバリア性樹脂層とを少なくとも備える。このような構成により、例えば、バリア性シーラントフィルムの強度、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。樹脂フィルムは、ポリオレフィン樹脂層とガスバリア性樹脂層との間に、接着性樹脂層をさらに備えてもよい。これにより、例えば、これらの層間の密着性をより向上できる。
蒸着膜は、樹脂フィルムのガスバリア性樹脂層上に設けられている。
本開示のバリア性シーラントフィルムは、一実施形態において、ポリオレフィン樹脂層と、必要に応じて接着性樹脂層と、ガスバリア性樹脂層と、蒸着膜とを厚さ方向にこの順に備える。
図1に示すバリア性シーラントフィルム10は、ポリオレフィン樹脂層12及びガスバリア性樹脂層14を有する、未延伸の樹脂フィルム11と、蒸着膜15とを備える。図2に示すバリア性シーラントフィルム10では、未延伸の樹脂フィルム11が、ポリオレフィン樹脂層12とガスバリア性樹脂層14との間に、接着性樹脂層13を備える。
図3に示すバリア性シーラントフィルム10では、ポリオレフィン樹脂層12が、ポリオレフィンを含有する第1の樹脂層12aと、ポリオレフィン及びヒートシール改質剤を含有する第2の樹脂層12bとを備え、第2の樹脂層12bが、バリア性シーラントフィルム10の一方側の表層である。一実施形態において、第1の樹脂層12aと第2の樹脂層12bとの間に、ポリオレフィンを含有する中間層(図示せぬ)を設けてもよい。
樹脂フィルムは、ヒートシール性という観点から、未延伸の樹脂フィルムであり、好ましくは共押出インフレーション法により製膜された未延伸の共押出樹脂フィルムであり、樹脂フィルムを構成する各層は、共押出樹脂層である。
共押出インフレーション法には、空冷式インフレーション法及び水冷式インフレーション法がある。製膜速度が速く、幅広の製膜が可能であることから、空冷式インフレーション法が好ましく、上向きの空冷式インフレーション法がより好ましい。
共押出インフレーション法で用いる溶融押出機としては、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機及びタンデム押出機が挙げられる。樹脂フィルムは多層構造を有することから、多層環状ダイと複数台の溶融押出機とを使用する。
共押出インフレーション法の一実施形態について、以下に説明する。
まず、各層を構成する材料を乾燥させた後、これらを融点(Tm)以上の温度~Tm+100℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、これらを溶融し、多層環状ダイのダイにより円筒状に押出しする。このときに、円筒状の溶融樹脂内に下方から空気を送り、円筒の径を所定の大きさに膨張させると共に、円筒外に下方から冷却用空気を送る。この膨張した円筒状体をバブルと呼ぶ。続いて、バブルを、案内板及びピンチロールによってフィルム状に折り畳み、巻き上げ部において巻き取る。折り畳まれたフィルムは、筒状のまま巻き取っても、筒の両端をスリッター等で除去し、2枚のフィルムに切り離してから、それぞれを巻き取ってもよい。これにより、未延伸の樹脂フィルムを成形できる。
樹脂フィルムの厚さは、好ましくは6μm以上110μm以下、より好ましくは12μm以上60μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、バリア性シーラントフィルムのヒートシール性及び包装容器のリサイクル適性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、バリア性シーラントフィルムの加工適性を向上できる。
<ポリオレフィン樹脂層>
ポリオレフィン樹脂層は、一実施形態において、ポリオレフィンを主成分として、すなわち50質量%超の範囲で含有する。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリメチルペンテンが挙げられる。ポリオレフィン樹脂層としては、ポリエチレン樹脂層及びポリプロピレン樹脂層が好ましい。
ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.2g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは0.5g/10分以上10g/10分以下である。本開示において、ポリオレフィンのMFRは、JIS K7210に準拠し、荷重2.16kgの条件で、A法により測定する。MFRの測定温度は、ポリオレフィンの融点等に応じて設定され、例えば、ポリエチレンの場合は190℃であり、ポリプロピレンの場合は230℃である。
樹脂フィルムは、好ましくは共押出インフレーション法により作製される。したがって、ポリオレフィンのMFRは、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下又は0.5g/10分以上2.0g/10分以下である。MFRが下限値以上であると、例えば、バリア性シーラントフィルムの加工適性を向上できる。MFRが上限値以下であると、例えば、製膜性を向上できる。
ポリオレフィン樹脂層におけるポリオレフィンの含有割合は、好ましくは50質量%超であり、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは93質量%以上である。
ポリオレフィン樹脂層は、ポリオレフィン以外の樹脂材料を含有してもよい。このような樹脂材料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル及びアイオノマー樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、相溶化剤、顔料及び改質用樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂層には、一実施形態において、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、ポリオレフィン樹脂層と他の層との密着性を向上できる。表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス及び/又は窒素ガスなどを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理;並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂層の表面に、易接着層を設けてもよい。
ポリオレフィン樹脂層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。ポリオレフィン樹脂層が多層構造を有する場合、ポリオレフィン樹脂層の層数は、例えば2層以上7層以下であり、好ましくは3層以上5層以下である。
ポリオレフィン樹脂層の厚さは、好ましくは5μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下である。ポリオレフィン樹脂層が多層構造を有する場合、その総厚さが上記範囲にあることが好ましい。厚さが下限値以上であると、例えば、バリア性シーラントフィルムの強度、耐熱性及びリサイクル適性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、バリア性シーラントフィルムの加工適性を向上できる。
(ポリエチレン樹脂層)
ポリエチレン樹脂層は、一実施形態において、ポリエチレンを主成分として、すなわち50質量%超の範囲で含有する。本開示においてポリエチレンとは、全繰返し構成単位中、エチレン由来の構成単位の含有割合が50モル%以上の重合体をいう。この重合体において、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。上記含有割合は、NMR法により測定できる。
ポリエチレンは、エチレンの単独重合体でもよく、エチレンと、エチレン以外のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体でもよい。エチレン以外のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン及び6-メチル-1-ヘプテン等の炭素数2以上20以下のα-オレフィン;酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルモノマー;並びに(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンが挙げられる。ヒートシール性という観点から、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。ポリエチレンとしては、環境負荷低減という観点から、バイオマス由来のポリエチレンや、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルされたポリエチレンを使用してもよい。
本開示において、上記ポリエチレンの密度は以下のとおりである。
高密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.945g/cm3を超える。高密度ポリエチレンの密度の上限は、例えば0.965g/cm3である。中密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.930g/cm3を超えて0.945g/cm3以下である。低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3を超えて0.930g/cm3以下である。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3を超えて0.930g/cm3以下である。超低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3以下である。超低密度ポリエチレンの密度の下限は、例えば0.860g/cm3である。本開示において密度は、JIS K7112、特にD法(密度勾配管法、23℃)、に準拠して測定する。
低密度ポリエチレンは、通常、高圧重合法によりエチレンを重合して得られるポリエチレン(高圧法低密度ポリエチレン)である。直鎖状低密度ポリエチレンは、通常、チーグラー・ナッタ触媒などのマルチサイト触媒又はメタロセン触媒などのシングルサイト触媒を用いた重合法によりエチレン及び少量のα-オレフィンを重合して得られるポリエチレンである。
ポリエチレンの融点(Tm)は、耐熱性及びヒートシール性のバランスという観点から、好ましくは90℃以上140℃以下、より好ましくは90℃以上130℃以下である。本開示においてTmは、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られる。
密度又は分岐が異なるポリエチレンは、重合方法を適宜選択することによって得られる。例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒などのマルチサイト触媒、又はメタロセン触媒などのシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合及び高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段又は2段以上の多段で重合を行うことが好ましい。
ポリエチレン樹脂層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%超であり、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは93質量%以上である。
ポリエチレン樹脂層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
ポリエチレン樹脂層が多層構造を有する場合、ポリエチレン樹脂層の層数は、例えば2層以上7層以下であり、好ましくは3層以上5層以下である。ポリエチレン樹脂層は、一実施形態において、直鎖状低密度ポリエチレンを含有する第1の樹脂層と、直鎖状低密度ポリエチレンを含有する中間層と、直鎖状低密度ポリエチレン及び後述するヒートシール改質剤を含有する第2の樹脂層とを厚さ方向にこの順に備える。
(ポリプロピレン樹脂層)
ポリプロピレン樹脂層は、一実施形態において、ポリプロピレンを主成分として、すなわち50質量%超の範囲で含有する。本開示のバリア性シーラントフィルムが、ポリプロピレン樹脂層を備えることにより、例えば、バリア性シーラントフィルムを使用して作製される包装容器の耐油性を向上できる。
ポリプロピレンは、プロピレンホモポリマー(ホモポリプロピレン)、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体等のプロピレンランダムコポリマー(ランダムポリプロピレン)及びプロピレン-α-オレフィンブロック共重合体等のプロピレンブロックコポリマー(ブロックポリプロピレン)のいずれでもよく、これらから選択される2種以上の混合物でもよい。ポリプロピレンとしては、環境負荷低減という観点から、バイオマス由来のポリプロピレンや、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルされたポリプロピレンを使用してもよい。
プロピレンホモポリマーとは、プロピレンのみの重合体である。プロピレンランダムコポリマーとは、プロピレンとプロピレン以外のα-オレフィン等とのランダム共重合体である。プロピレンブロックコポリマーとは、プロピレンからなる重合体ブロックと、プロピレン以外のα-オレフィン等からなる重合体ブロックとを有する共重合体である。
プロピレン以外のα-オレフィンとしては、例えば、炭素数2以上20以下のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン及び6-メチル-1-ヘプテンが挙げられる。
ポリプロピレンの中でも、透明性の観点からは、プロピレンランダムコポリマーを使用することが好ましい。包装容器の剛性及び耐熱性を重視する場合は、プロピレンホモポリマーを使用することが好ましい。包装容器の耐衝撃性を重視する場合は、プロピレンブロックコポリマーを使用することが好ましい。
ポリプロピレンの密度は、ヒートシール性という観点から、例えば0.88g/cm3以上0.92g/cm3以下である。本開示において密度は、JIS K7112、特にD法(密度勾配管法、23℃)、に準拠して測定される。
ポリプロピレンの融点(Tm)は、耐熱性及びヒートシール性のバランスという観点から、例えば120℃以上160℃以下、好ましくは125℃以上155℃以下、より好ましくは130℃以上150℃以下である。本開示においてTmは、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られる。
ポリプロピレン樹脂層におけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは50質量%超であり、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは93質量%以上である。
ポリプロピレン樹脂層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
ポリプロピレン樹脂層が多層構造を有する場合、ポリプロピレン樹脂層の層数は、例えば2層以上7層以下であり、好ましくは3層以上5層以下である。ポリプロピレン樹脂層は、一実施形態において、プロピレンランダムコポリマーを含有する第1の樹脂層と、プロピレンランダムコポリマーを含有する中間層と、プロピレンランダムコポリマー及び後述するヒートシール改質剤を含有する第2の樹脂層とを厚さ方向にこの順に備える。
(ヒートシール改質剤)
ポリエチレン樹脂層及びポリプロピレン樹脂層等のポリオレフィン樹脂層は、低温ヒートシール性を改善するという観点から、ヒートシール改質剤を含有してもよい。ヒートシール改質剤としては、ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィンと相溶性に優れる成分であれば特に限定されないが、例えば、融点の低いオレフィン系ポリマー、具体的にはオレフィン系コポリマーが挙げられる。また、超低密度ポリエチレンを用いてもよい。
ヒートシール改質剤としてのオレフィン系コポリマーの融点(Tm)は、ヒートシール性の向上という観点から、好ましくは115℃以下、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは105℃以下である。Tmの下限は特に限定されないが、例えば50℃、60℃又は70℃である。
オレフィン系コポリマーとしては、ポリオレフィンと相溶性を有し、融点が低ければ特に限定されず、例えば、オレフィン系エラストマー及びオレフィン系プラストマーが挙げられる。
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン-α-オレフィンコポリマーが挙げられる。α-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及び4-メチル-1-ペンテン等の炭素数4以上8以下のα-オレフィンが挙げられる。
プラストマーは、エラストマー(外力を加えたときに、その外力に応じて変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状に回復する性質を有する高分子)に対する用語であり、エラストマーのような弾性変形を示さず、容易に塑性変形する高分子である。
オレフィン系プラストマーとしては、例えば、ポリエチレン系プラストマーが挙げられる。ポリエチレン系プラストマーとは、例えば、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒を用いて、エチレンとα-オレフィンとを共重合して得られるポリエチレンである。α-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及び4-メチル-1-ペンテン等の炭素数4以上8以下のα-オレフィンが好ましい。ポリエチレン系プラストマーとしては、具体的には、エチレン-1-ブテン共重合体、エチレン-1-ヘキセン共重合体及びエチレン-1-オクテン共重合体が挙げられる。
オレフィン系コポリマーの密度は、好ましくは0.850g/cm3以上0.920g/cm3以下、より好ましくは0.860g/cm3以上0.915g/cm3以下、さらに好ましくは0.870g/cm3以上0.910g/cm3以下である。
オレフィン系コポリマーのMFRは、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.2g/10分以上20g/10分以下、より好ましくは0.3g/10分以上15g/10分以下、さらに好ましくは0.5g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。オレフィン系コポリマーのMFRは、ASTM D1238に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定する。
ポリオレフィン樹脂層全体におけるヒートシール改質剤の含有割合は、好ましくは1質量%以上30質量%以下、より好ましくは2質量%以上20質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上10質量%以下、特に好ましくは2質量%以上7質量%以下である。これにより、例えば、シーラント層に好適なヒートシール性を付与できる。
ポリオレフィン樹脂層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
多層構造を有するポリオレフィン樹脂層は、一実施形態において、ポリオレフィンを含有する第1の樹脂層と、ポリオレフィン及びヒートシール改質剤を含有する第2の樹脂層とを備える。第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に、ポリオレフィンを含有する中間層を設けてもよい。ここで、第2の樹脂層が、バリア性シーラントフィルムの一方側の表層を構成する。このような構成により、例えば、低温ヒートシール性と加工性とを両立できる。ポリオレフィン及びヒートシール改質剤としては、それぞれ、上述した具体例及び好適例が挙げられる。
第1の樹脂層及び中間層におけるポリオレフィンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
第2の樹脂層におけるヒートシール改質剤の含有割合は、好ましくは10質量%以上50質量%以下、より好ましくは20質量%以上50質量%以下である。含有割合が下限値以上であると、例えば、第2の樹脂層のヒートシール性を向上できる。含有割合が上限値以下であると、例えば、積層体のリサイクル適性を向上できる。第2の樹脂層におけるポリオレフィンの含有割合は、好ましくは50質量%以上90質量%以下、より好ましくは50質量%以上80質量%以下である。
第1の樹脂層の厚さは、好ましくは5μm以上80μm以下、より好ましくは10μm以上45μm以下、さらに好ましくは15μm以上40μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、バリア性シーラントフィルムのリサイクル適性及び第1の樹脂層のヒートシール性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、バリア性シーラントフィルムの加工適性を向上できる。
第2の樹脂層の厚さは、好ましくは0.5μm以上20μm以下、より好ましくは1.0μm以上15μm以下、さらに好ましくは1.5μm以上10μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、第2の樹脂層のヒートシール性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、バリア性シーラントフィルムのリサイクル適性と加工適性とを両立できる。
<ガスバリア性樹脂層>
本開示のバリア性シーラントフィルムは、ポリオレフィン樹脂層と蒸着膜との間に、ガスバリア性樹脂層を備える。このような構成により、例えば、蒸着膜の密着性を向上できると共に、ガスバリア性も向上できる。
ガスバリア性樹脂層は、通常、樹脂フィルムの一方側の表層を構成する。
ガスバリア性樹脂層は、ガスバリア性樹脂を含有する。ガスバリア性樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、並びに(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。これらの中でも、酸素バリア性及び水蒸気バリア性という観点から、ポリアミド及びエチレン-ビニルアルコール共重合体が好ましい。
ポリアミドとしては、例えば、脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミドが挙げられる。ポリアミドとしては、脂肪族ポリアミドが好ましく、結晶性脂肪族ポリアミドがより好ましい。
脂肪族ポリアミドとしては、例えば、脂肪族ホモポリアミド及び脂肪族共重合ポリアミドが挙げられる。以下の例示において、ポリアミドを「PA」とも記載する。
脂肪族ホモポリアミドとしては、具体的には、ポリカプロラクタム(PA6)、ポリエナントラクタム(PA7)、ポリウンデカンラクタム(PA11)、ポリラウリルラクタム(PA12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA66)、ポリテトラメチレンドデカミド(PA412)、ポリペンタメチレンアゼラミド(PA59)、ポリペンタメチレンセバカミド(PA510)、ポリペンタメチレンドデカミド(PA512)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(PA69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(PA610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(PA612)、ポリノナメチレンアジパミド(PA96)、ポリノナメチレンアゼラミド(PA99)、ポリノナメチレンセバカミド(PA910)、ポリノナメチレンドデカミド(PA912)、ポリデカメチレンアジパミド(PA106)、ポリデカメチレンアゼラミド(PA109)、ポリデカメチレンデカミド(PA1010)、ポリデカメチレンドデカミド(PA1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(PA126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(PA129)、ポリドデカメチレンセバカミド(PA1210)及びポリドデカメチレンドデカミド(PA1212)が挙げられる。
脂肪族共重合ポリアミドとしては、具体的には、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(PA6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアゼライン酸共重合体(PA6/69)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(PA6/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノウンデカン酸共重合体(PA6/611)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノドデカン酸共重合体(PA6/612)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(PA6/11)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(PA6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム共重合体(PA6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(PA6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカンジカルボン酸共重合体(PA6/66/612)が挙げられる。
脂肪族ポリアミドの相対粘度は、好ましくは1.5以上5.0以下、より好ましく2.0以上5.0以下、さらに好ましくは2.5以上4.5以下である。脂肪族ポリアミドの相対粘度は、JIS K6920に準拠して、ポリアミド1gを96%濃硫酸100mLに溶解させ、25℃で測定する。
半芳香族ポリアミドとは、芳香族ジアミンに由来する構成単位と、脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位とを有するポリアミド、又は、脂肪族ジアミンに由来する構成単位と、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位とを有するポリアミドである。例えば、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから構成されるポリアミド、及び脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とから構成されるポリアミドが挙げられる。
半芳香族ポリアミドとしては、例えば、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(PA6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(PA6I)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(PA9T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体(PA66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド共重合体(PA66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミド共重合体(PA6T/6)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミド共重合体(PA6I/6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカミド共重合体(PA6T/12)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体(PA6I/6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2-メチルペンタメチレンテレフタルアミド)共重合体(PA6T/M5T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド共重合体(PA66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド共重合体(PA66/6/6I)及びポリメタキシリレンアジパミド(PAMXD6)が挙げられる。
半芳香族ポリアミドのメルトボリュームレート(MVR)は、好ましくは5cm3/10分以上200cm3/10分以下、より好ましくは10cm3/10分以上100cm3/10分以下である。MVRは、ISO1133に準拠して、温度275℃、荷重5kgで測定する。
ガスバリア性樹脂層は、一実施形態において、結晶性脂肪族ポリアミドを含有する。結晶性脂肪族ポリアミドとしては、例えば、PA6、PA11、PA12、PA66、PA610、PA612、PA6/66及びPA6/66/12が挙げられる。
結晶性脂肪族ポリアミドの融点(Tm)は、好ましくは180℃以上300℃以下、より好ましくは180℃以上250℃以下、さらに好ましくは180℃以上230℃以下である。
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)においてエチレンに由来する構成単位の含有割合(エチレン含有割合)は、好ましくは20モル%以上60モル%以下、より好ましくは25モル%以上50モル%以下である。エチレン含有割合が下限値以上であると、例えば、バリア性シーラントフィルムの加工適性を向上できる。エチレン含有割合が上限値以下であると、例えば、バリア性シーラントフィルムの酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。エチレン含有割合は、NMR法により測定する。
EVOHの融点(Tm)は、好ましくは130℃以上200℃以下、より好ましくは140℃以上195℃以下、さらに好ましくは150℃以上190℃以下である。
EVOHのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上30g/10分以下、より好ましくは0.3g/10分以上20g/10分以下、さらに好ましくは0.5g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。EVOHのMFRは、ASTM D1238に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定するが、測定温度はEVOHの融点に応じて210℃でもよい。
ガスバリア性樹脂層に含まれるガスバリア性樹脂の融点と、ポリエチレン樹脂層に含まれるポリエチレンの融点又はポリプロピレン樹脂層に含まれるポリプロピレンの融点との差は、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。上記差が上限値以下であると、例えば、樹脂フィルムの製膜性を向上できる。
ガスバリア性樹脂層におけるガスバリア性樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、85質量%以上、又は90質量%以上である。これにより、例えば、バリア性シーラントフィルムの酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。
ガスバリア性樹脂層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤及び顔料が挙げられる。
ガスバリア性樹脂層の厚さは、好ましくは0.5μm以上10μm以下、より好ましくは1.0μm以上5.0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以上4.0μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、バリア性シーラントフィルムの酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、バリア性シーラントフィルムのリサイクル適性を向上できる。
ガスバリア性樹脂層の厚さは、一実施形態において、ポリオレフィン樹脂層の厚さよりも小さいことが好ましい。これにより、例えば、バリア性シーラントフィルムのリサイクル適性を向上できる。ガスバリア性樹脂層の厚さは、ポリオレフィン樹脂層の厚さよりも、5μm以上小さいことが好ましく、10μm以上小さいことがより好ましい。
従来のバリア性シーラントフィルムにおいて、高いガスバリア性を得るために、ポリオレフィン樹脂層の間にガスバリア性樹脂層が配置され、またガスバリア性樹脂層の厚さが大きくなるように、インフレーション成形機における多層環状ダイと複数台の溶融押出機との構成が設計されることがあった。本開示者らは、モノマテリアル化の観点から、ガスバリア性樹脂層の厚さが小さい設計について検討した。この場合、ガスバリア性が充分ではないことがある。本開示者らはこの点についてさらに検討した結果、共押出インフレーション法により製膜される未延伸の樹脂フィルムにおいてガスバリア性樹脂層を中間層ではなく外層として設け、このガスバリア性樹脂層の表面に蒸着膜を設けたところ、ガスバリア性が大きく向上することを見出した。このような構成により、ガスバリア性を向上できるとともに、また、ガスバリア性樹脂層を薄くできることから、ポリオレフィンの含有割合を向上でき、モノマテリアル化の点で好ましい。
<接着性樹脂層>
樹脂フィルムは、ポリオレフィン樹脂層とガスバリア性樹脂層との間に、接着性樹脂層を備えてもよい。これにより、例えば、ポリオレフィン樹脂層とガスバリア性樹脂層との密着性を向上できる。
接着性樹脂層は、樹脂材料を含有する。樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ビニル樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂が挙げられる。これらの中でも、リサイクル適性及び密着性という観点から、ポリオレフィン及び変性ポリオレフィンが好ましく、酸変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィンがより好ましい。
変性ポリオレフィンとしては、例えば、マレイン酸及びフマル酸等の不飽和カルボン酸、又はその酸無水物、エステル若しくは金属塩による、ポリオレフィンの変性物、特にポリオレフィンのグラフト変性物が挙げられる。樹脂材料の中でも、モノマテリアル包装材料に適した構成が得られるという観点から、変性ポリオレフィンが好ましい。
変性ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.3g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは0.5g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。変性ポリオレフィンのMFRは、ASTM D1238に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定するが、測定温度は変性ポリオレフィンの融点に応じて変更してもよい。
接着性樹脂層は、上記添加剤を含有してもよい。
接着性樹脂層の厚さは、好ましくは0.5μm以上10μm以下、より好ましくは1.0μm以上7.0μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、上記密着性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、バリア性シーラントフィルムのリサイクル適性を向上できる。
樹脂フィルムは、一実施形態において、未延伸の共押出樹脂フィルムである。樹脂フィルムは、一実施形態において、ポリオレフィン樹脂層を構成する材料と、樹脂フィルムが接着性樹脂層を備える場合は接着性樹脂層を構成する材料と、ガスバリア性樹脂層を構成する材料とを、共押出インフレーション法により共押出製膜して得られた、未延伸の樹脂フィルムである。
<蒸着膜>
本開示のバリア性シーラントフィルムは、樹脂フィルムのガスバリア性樹脂層上に蒸着膜を備える。一実施形態において、本開示のバリア性シーラントフィルムは、樹脂フィルムのガスバリア性樹脂層の表面に蒸着膜を備える。ガスバリア性樹脂層上に蒸着膜を設けることにより、例えば、本開示のバリア性シーラントフィルムのガスバリア性、具体的には、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。また、蒸着膜が金属蒸着膜である場合は、輝度を向上できる。バリア性シーラントフィルムを用いて作製した包装容器は、包装容器内に充填された内容物の質量減少を抑えることができる。
蒸着膜は、例えば、アルミニウム、クロム、スズ、ニッケル、銅、銀、金及びプラチナなどの金属;又は酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム及び酸化炭化珪素(炭素含有酸化珪素)などの無機酸化物から構成される。これらの中でも、アルミニウム蒸着膜、酸化アルミニウム(アルミナ)蒸着膜、酸化ケイ素(シリカ)蒸着膜、又は酸化炭化珪素蒸着膜が好ましい。
蒸着膜の厚さは、好ましくは1nm以上150nm以下、より好ましくは5nm以上100nm以下、さらに好ましくは10nm以上80nm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、バリア性シーラントフィルムの酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、蒸着膜におけるクラックの発生を抑制でき、また、包装容器のリサイクル適性を向上できる。
蒸着膜がアルミニウム蒸着膜である場合は、アルミニウム蒸着膜の光学濃度(OD値)は、好ましくは2.0以上3.5以下である。これにより、例えば、バリア性シーラントフィルムの生産性を維持しつつ、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。OD値は、JIS K7361に準拠して測定できる。
蒸着膜の表面には、上記表面処理が施されていることが好ましい。これにより、例えば、蒸着膜と隣接する層との密着性を向上できる。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、並びにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法及び光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)が挙げられる。蒸着膜は、物理気相成長法及び化学気相成長法の両者を併用して形成される、異種の蒸着膜を2層以上含む複合膜でもよい。
蒸着チャンバーの真空度としては、酸素導入前においては、10-2~10-8mbar程度が好ましく、酸素導入後においては、10-1~10-6mbar程度が好ましい。酸素導入量などは、蒸着機の大きさなどによって異なる。導入される酸素には、キャリヤーガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス及び窒素ガスなどの不活性ガスを支障のない範囲で使用してもよい。蒸着膜が形成される対象フィルムの搬送速度は、例えば、10m/min以上800m/min以下である。
蒸着膜は、1回の蒸着工程により形成される単層でもよく、複数回の蒸着工程により形成される多層でもよい。蒸着膜が多層である場合、各層は同一の成分から構成されてもよく、異なる成分から構成されてもよい。各層は、同一の方法により形成してもよく、異なる方法により形成してもよい。
<バリアコート層>
バリア性シーラントフィルムは、一実施形態において、蒸着膜上に、バリアコート層をさらに備えてもよい。すなわち、バリア性シーラントフィルムは、蒸着膜におけるポリオレフィン樹脂層側の面とは反対側の面上に、バリアコート層をさらに備えてもよい。これにより、例えば、バリア性シーラントフィルムの酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。また、例えば蒸着膜が酸化アルミニウム及び酸化ケイ素などの無機酸化物から構成される場合は、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に抑制できる。
一実施形態において、バリアコート層は、ガスバリア性樹脂を含有する。ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド、ポリウレタン、並びに(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
バリアコート層におけるガスバリア性樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。このような構成により、例えば、バリアコート層のガスバリア性を向上できる。
バリアコート層は、上記添加剤を含有してもよい。
ガスバリア性樹脂を含有するバリアコート層の厚さは、好ましくは0.01μm以上10μm以下、より好ましくは0.1μm以上5.0μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、ガスバリア性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、バリア性シーラントフィルムの加工適性及び包装容器のリサイクル適性を向上できる。
バリアコート層は、例えば、ガスバリア性樹脂などの材料を水又は適当な有機溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、塗布し乾燥することにより形成できる。
他の実施形態において、バリアコート層は、金属アルコキシドと、水溶性高分子と、必要に応じてシランカップリング剤とを混合し、必要に応じて水、有機溶剤及びゾルゲル法触媒を添加して得られたガスバリア性組成物を、蒸着膜上に塗布し乾燥することにより形成されるガスバリア性塗布膜である。ガスバリア性塗布膜は、上記金属アルコキシド等がゾルゲル法によって加水分解及び重縮合された加水分解重縮合物を含む。このようなバリアコート層を蒸着膜上に設けることにより、蒸着膜が無機酸化物から構成される場合、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に抑制できる。
金属アルコキシドは、例えば、式(1)で表される。
1 nM(OR2m (1)
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1以上8以下の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。
1及びR2における有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基及びn-オクチル基等の炭素数1以上8以下のアルキル基が挙げられる。
金属原子Mは、例えば、珪素、ジルコニウム、チタン又はアルミニウムである。
金属アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びテトラブトキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体等の水酸基含有高分子が挙げられる。酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性及び耐候性などの所望の物性に応じて、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体のいずれか一方を用いてもよく、両者を併用してもよく、また、ポリビニルアルコールを用いて得られるガスバリア性塗布膜及びエチレン-ビニルアルコール共重合体を用いて得られるガスバリア性塗布膜を積層してもよい。水溶性高分子の使用量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは5質量部以上500質量部以下である。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができ、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好ましく、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及びβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。シランカップリング剤の使用量は、金属アルコキシド100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
ガスバリア性組成物は、金属アルコキシド1モルに対して、好ましくは0.1モル以上100モル以下、より好ましくは0.5モル以上60モル以下の割合の水を含んでもよい。水の含有量を下限値以上とすることにより、例えば、バリア性シーラントフィルムの酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。水の含有量を上限値以下とすることにより、例えば、加水分解反応を速やかに行うことができる。
ガスバリア性組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール及びn-ブチルアルコールが挙げられる。
ゾルゲル法触媒としては、酸又はアミン系化合物が好ましい。
酸としては、例えば、硫酸、塩酸及び硝酸等の鉱酸;並びに酢酸及び酒石酸等の有機酸が挙げられる。酸の使用量は、金属アルコキシド及びシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量1モルに対して、好ましくは0.001モル以上0.05モル以下である。
アミン系化合物としては、水に実質的に不溶であり、且つ有機溶剤に可溶な第3級アミンが好適であり、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びトリペンチルアミンが挙げられる。アミン系化合物の使用量は、金属アルコキシドとシランカップリング剤との合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上1.0質量部以下、より好ましくは0.03質量部以上0.3質量部以下である。
ガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコート及びアプリケータ等の塗布手段が挙げられる。
以下、ガスバリア性塗布膜の形成方法の一実施形態について説明する。
金属アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶剤、及び必要に応じてシランカップリング剤等を混合して、ガスバリア性組成物を調製する。組成物中では、次第に重縮合反応が進行する。蒸着膜上に、常法により、上記組成物を塗布し乾燥する。この乾燥により、金属アルコキシド及び水溶性高分子(組成物がシランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。上記操作を繰り返して、複数の複合ポリマー層を積層してもよい。例えば、塗布された上記組成物を好ましくは20℃以上150℃以下、より好ましくは50℃以上120℃以下、さらに好ましくは70℃以上100℃以下の温度で、1秒以上10分以下加熱する。これにより、ガスバリア性塗布膜を形成できる。
ガスバリア性塗布膜の厚さは、好ましくは0.01μm以上100μm以下、より好ましくは0.1μm以上50μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上5.0μm以下である。これにより、例えば、ガスバリア性を向上でき、無機酸化物から構成される蒸着膜におけるクラックの発生を抑制でき、また、包装容器のリサイクル適性及び加工性を向上できる。
[積層体]
本開示の積層体は、
少なくとも、
ポリオレフィン樹脂基材と、
シーラント層と
を厚さ方向にこの順に備える。
本開示の積層体は、包装材料用として好適である。
ポリオレフィン樹脂基材は、延伸基材、すなわち延伸処理が施された基材である。
シーラント層は、上述した本開示のバリア性シーラントフィルムである。
一実施形態において、ポリオレフィン樹脂基材を構成する樹脂及びバリア性シーラントフィルムのポリオレフィン樹脂層を構成する樹脂の主成分がいずれもポリオレフィンであることにより、例えば、積層体のリサイクル適性を向上できる。
図4に示す積層体1は、ポリオレフィン樹脂基材20と、接着層30と、バリア性シーラントフィルム10とを厚さ方向にこの順に備える。バリア性シーラントフィルム10は、ポリオレフィン樹脂層12及びガスバリア性樹脂層14を有する、未延伸の樹脂フィルム11と、蒸着膜15とを備える。一実施形態において、積層体1は、ポリオレフィン樹脂基材20上に図示せぬ印刷層をさらに備える。印刷層は、通常、ポリオレフィン樹脂基材20におけるバリア性シーラントフィルム10側の面上に形成されている。
図5に示す積層体1では、未延伸の樹脂フィルム11が、ポリオレフィン樹脂層12とガスバリア性樹脂層14との間に、接着性樹脂層13を備える。
図6に示す積層体1では、ポリオレフィン樹脂層12が、ポリオレフィンを含有する第1の樹脂層12aと、ポリオレフィン及びヒートシール改質剤を含有する第2の樹脂層12bとを備え、第2の樹脂層12bが、積層体1の一方側の表層である。一実施形態において、第1の樹脂層12aと第2の樹脂層12bとの間に、ポリオレフィンを含有する中間層(図示せぬ)を設けてもよい。
本開示の積層体全体におけるポリオレフィン(具体的にはポリプロピレン又はポリエチレン)の含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは88質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。これにより、例えば、積層体を用いてモノマテリアル化した包装容器を作製でき、包装容器のリサイクル適性を向上できる。ポリオレフィンの含有割合の上限は特に限定されないが、例えば99質量%でもよく、95質量%でもよい。積層体におけるポリオレフィンの含有割合とは、積層体を構成する各層における樹脂材料の含有量の和に対する、ポリオレフィンの含有量の割合を意味する。
<ポリオレフィン樹脂基材>
ポリオレフィン樹脂基材は、一実施形態において、ポリオレフィンを主成分として、すなわち50質量%超の範囲で含有する。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリメチルペンテンが挙げられる。ポリオレフィン樹脂基材としては、ポリエチレン樹脂基材及びポリプロピレン樹脂基材が好ましい。
ポリオレフィンのMFRは、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.2g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは0.5g/10分以上10g/10分以下である。
ポリオレフィン樹脂基材におけるポリオレフィンの含有割合は、好ましくは50質量%超であり、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
ポリオレフィン樹脂基材は、ポリオレフィン以外の樹脂材料を含有してもよい。このような樹脂材料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステル及びアイオノマー樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂基材は、上記添加剤を含有してもよい。
ポリオレフィン樹脂基材は、延伸処理が施された基材である。これにより、例えば、基材の強度、耐熱性及び透明性を向上できる。延伸処理は、1軸延伸でもよく、2軸延伸でもよい。
縦方向(基材の流れ方向、MD方向)へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上10倍以下、より好ましくは3倍以上7倍以下である。横方向(MD方向に対して垂直な方向、TD方向)へ延伸を行う場合の延伸倍率は、好ましくは2倍以上10倍以下、より好ましくは3倍以上7倍以下である。延伸倍率を2倍以上とすることにより、例えば、ポリオレフィン樹脂基材の強度、耐熱性及び透明性を向上でき、また、ポリオレフィン樹脂基材への印刷適性を向上できる。ポリオレフィン樹脂基材の破断限界という観点からは、延伸倍率は10倍以下であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂基材は、例えば、ポリオレフィン又はその樹脂組成物をTダイ法又はインフレーション法等により製膜してフィルムを作製した後、該フィルムを延伸することにより作製できる。インフレーション法によれば、製膜と延伸とを同時に行うことができる。
ポリオレフィン樹脂基材には、一実施形態において、上記表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、ポリオレフィン樹脂基材と他の層との密着性を向上できる。
ポリオレフィン樹脂基材の表面に、易接着層を設けてもよい。
ポリオレフィン樹脂基材のヘイズ値は、好ましくは25%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。ヘイズ値は小さいほど好ましいが、一実施形態において、その下限値は0.1%又は1%であってもよい。基材のヘイズ値は、JIS K7136に準拠して測定する。
ポリオレフィン樹脂基材は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
ポリオレフィン樹脂基材の厚さは、好ましくは5μm以上300μm以下、より好ましくは8μm以上100μm以下、さらに好ましくは10μm以上50μm以下である。厚さが下限値以上であると、例えば、積層体の強度及び耐熱性を向上できる。厚さが上限値以下であると、例えば、積層体の加工適性を向上できる。
(ポリエチレン樹脂基材)
ポリエチレン樹脂基材は、一実施形態において、ポリエチレンを主成分として、すなわち50質量%超の範囲で含有する。
ポリエチレンの詳細は、上述したとおりである。
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンが挙げられる。ポリエチレン樹脂基材の強度及び耐熱性という観点から、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンが好ましい。ポリエチレンとしては、環境負荷低減という観点から、バイオマス由来のポリエチレンや、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルされたポリエチレンを使用してもよい。
ポリエチレンの融点(Tm)は、耐熱性という観点から、好ましくは100℃以上140℃以下、より好ましくは105℃以上140℃以下、さらに好ましくは110℃以上140℃以下である。
ポリエチレン樹脂基材におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%超であり、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。このような構成により、例えば、積層体のリサイクル適性を向上できる。
ポリエチレン樹脂基材は、一実施形態において、1軸延伸フィルムであり、より具体的には、長手方向(MD)に延伸処理された1軸延伸フィルムである。
ポリエチレン樹脂基材は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。以下、多層構造を有するポリエチレン樹脂基材を「延伸多層PE基材」ともいう。延伸多層PE基材は、その強度、耐熱性及び延伸適性を向上できるという観点から好ましい。
延伸多層PE基材において、各層を構成するポリエチレンの密度は同一でもよく、異なってもよい。例えば、延伸多層PE基材は、各層の密度に勾配(密度勾配)を有してもよい。延伸多層PE基材に密度勾配を設けることにより、例えば、その強度、耐熱性及び延伸適性を向上できる。
延伸多層PE基材は、2層以上の多層構造を有する。延伸多層PE基材の層数は、一実施形態において、2層以上7層以下であり、例えば、3層以上7層以下、又は3層以上5層以下である。延伸多層PE基材の層数は、奇数であることが好ましく、例えば、3層、5層又は7層である。延伸多層PE基材が多層構造を有することにより、基材の剛性、強度、耐熱性、印刷適性及び延伸性のバランスを向上できる。延伸多層PE基材の各層も、それぞれポリエチレンから構成されることが好ましい。
延伸多層PE基材は、例えば、インフレーション法又はTダイ法により、複数の樹脂材料又は樹脂組成物を製膜して積層物を形成し、得られた積層物を延伸することにより製造できる。延伸処理により、基材の透明性、剛性、強度及び耐熱性を向上でき、該基材を例えば包装材料の基材として好適に使用できる。
延伸多層PE基材は、一実施形態において、多層構造を有する積層物(前駆体)を、延伸処理して得られる。具体的には、各層を構成する樹脂材料をチューブ状に共押出して製膜し、積層物を製造できる。あるいは、各層を構成する樹脂材料をチューブ状に共押出し、次いで、対向する層同士をゴムロールなどにより圧着することによって、積層物を製造できる。このような方法により積層物を製造することにより、欠陥品数を顕著に低減でき、生産効率を向上できる。
Tダイ法により延伸多層PE基材を製造する場合、各層を構成するポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性、及び延伸多層PE基材の加工適性という観点から、好ましくは3.0g/10分以上20g/10分以下である。
インフレーション法により延伸多層PE基材を製造する場合、各層を構成するポリエチレンのMFRは、製膜性、及び延伸多層PE基材の加工適性という観点から、好ましくは0.2g/10分以上5.0g/10分以下である。
延伸多層PE基材は、例えば、上述した積層物を延伸して得られる。好ましい延伸倍率は、上述したとおりである。なお、インフレーション製膜機において、積層物の延伸も合わせて行うことができる。これにより、延伸多層PE基材を製造できることから、生産効率をより向上できる。
以下、延伸多層PE基材の実施形態について、数例を説明する。以下、ポリエチレンの含有割合が80質量%以上である層を「ポリエチレン層」と記載する。例えば高密度ポリエチレンの含有割合が80質量%以上である層を「高密度ポリエチレン層」と記載する。
第1の実施形態の延伸多層PE基材は、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、基材の印刷適性を向上でき、強度及び耐熱性を向上でき、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。
中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの上記ブレンド層における、中密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン)は、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
第2の実施形態の延伸多層PE基材は、中密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、基材の印刷適性を向上でき、強度及び耐熱性を向上でき、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。
中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンの上記ブレンド層における、中密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン)は、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
第3の実施形態の延伸多層PE基材は、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、直鎖状低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、基材の印刷適性を向上でき、強度及び耐熱性を向上でき、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。第3の実施形態の延伸多層PE基材において、直鎖状低密度ポリエチレン層にかえて中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層としてもよい。
中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの上記ブレンド層における、中密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン)は、それぞれ独立に、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンの上記ブレンド層における、中密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン)は、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
第4の実施形態の延伸多層PE基材は、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン層と、直鎖状低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、基材の印刷適性を向上でき、強度及び耐熱性を向上でき、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。
高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンの上記ブレンド層における、中密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン)は、それぞれ独立に、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
直鎖状低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層における、直鎖状低密度ポリエチレンと中密度ポリエチレンとの質量比(直鎖状低密度ポリエチレン/中密度ポリエチレン)は、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
第5の実施形態の延伸多層PE基材は、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含有する第1の層と、高密度ポリエチレンを含有する第2の層と、直鎖状低密度ポリエチレンを含有する第3の層と、高密度ポリエチレンを含有する第4の層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含有する第5の層とを、厚さ方向にこの順に備える。
第6の実施形態の延伸多層PE基材は、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含有する第1の層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンを含有する第2の層と、直鎖状低密度ポリエチレンを含有する第3の層と、高密度ポリエチレンを含有する第4の層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含有する第5の層とを、厚さ方向にこの順に備える。
基材に画像を印刷する際には、前処理として、コロナ放電処理などの表面処理が基材に対してなされることがある。中密度ポリエチレンを含有する層は、ポリエチレンとして高密度ポリエチレンのみを含有する層に比べて、表面処理に対する耐久性が高い傾向にある。このため、中密度ポリエチレンを含有する層は、表面処理後の印刷時におけるインキ密着性に優れる。また、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンを含有する層は、印刷時及びヒートシール時に必要な耐熱性も有する。また、中密度ポリエチレンを含有する層は、延伸多層PE基材の前駆体である積層物の延伸性の向上に寄与する。
第1の層及び第5の層における、中密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン)は、それぞれ独立に、好ましくは1.1以上5以下、より好ましくは1.5以上3以下である。これにより、インキ密着性及び耐熱性のバランスをより向上できる。
第1の層及び第5の層における、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの合計含有割合は、それぞれ独立に、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。これにより、基材のインキ密着性及び耐熱性をより向上できる。
第5の実施形態において第2の層及び第4の層は、それぞれ、基材の耐熱性の向上に寄与する。すなわち、第1の層及び第5の層に加えて、第2の層及び第4の層に高密度ポリエチレンを含有させることにより、基材の耐熱性を更に向上できる。
第5の実施形態において第2の層及び第4の層は、それぞれ独立に、低密度ポリエチレンをさらに含有してもよい。これにより、基材の耐熱性、剛性及び加工性のバランスをより向上できる。
第5の実施形態において第2の層及び第4の層における、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの質量比(高密度ポリエチレン/低密度ポリエチレン)は、それぞれ独立に、好ましくは1以上4以下、より好ましくは1.5以上3以下である。これにより、基材の耐熱性、剛性及び加工性のバランスをより向上できる。
第5の実施形態において第2の層及び第4の層における、高密度ポリエチレンの含有割合は、それぞれ独立に、好ましくは50質量%超、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。これにより、基材の耐熱性をより向上できる。
第5の実施形態において第2の層及び第4の層における、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンの合計含有割合は、それぞれ独立に、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。これにより、基材の耐熱性、剛性及び加工性のバランスをより向上できる。
第6の実施形態において第2の層は、中密度ポリエチレンと、直鎖状低密度ポリエチレンとを含有する。第2の層は、多層基材の層間強度の向上に寄与する。第3の層と第1の層との間に第2の層を設けることにより、層間の密度差を小さくできる。これにより、層間強度を向上でき、デラミネーションの発生を抑制できる。
第6の実施形態において第2の層における、中密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン)は、好ましくは1.1以上5以下、より好ましくは1.5以上3以下である。これにより、多層基材の層間強度、耐熱性、剛性及び加工性のバランスをより向上できる。
第6の実施形態において第2の層における、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンの合計含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。これにより、多層基材の層間強度、耐熱性、剛性及び加工性のバランスをより向上できる。
第6の実施形態において第4の層は、基材の耐熱性の向上に寄与する。すなわち、第1の層及び第5の層に加えて、第4の層に高密度ポリエチレンを含有させることにより、基材の耐熱性を更に向上できる。
第6の実施形態において第4の層における高密度ポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。これにより、多層基材の耐熱性をより向上できる。
第2の層及び第4の層のそれぞれの厚さは、それぞれ独立に、好ましくは0.5μm以上15μm以下、より好ましくは1μm以上10μm以下、さらに好ましくは1μm以上8μm以下である。これにより、基材の耐熱性をより向上できる。
第3の層は、延伸多層PE基材の前駆体である積層物の延伸性の向上に寄与する。
第3の層は、低密度ポリエチレンをさらに含有してもよい。
第3の層における直鎖状低密度ポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上である。これにより、耐熱性、剛性及び延伸性のバランスをより向上できる。
第3の層が低密度ポリエチレンを含有する場合における低密度ポリエチレンの含有割合は、好ましくは50質量%未満、より好ましくは5質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下である。
第6の実施形態において第3の層は、中密度ポリエチレンをさらに含有してもよい。この場合、第3の層における、中密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン)は、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。これにより、層間強度及び延伸性のバランスをより向上できる。また、第3の層における中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンの合計含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。これにより、耐熱性、剛性及び延伸性のバランスをより向上できる。
第3の層の厚さは、好ましくは1μm以上50μm以下、より好ましくは2μm以上40μm以下、さらに好ましくは5μm以上30μm以下である。これにより、耐熱性、剛性及び延伸性のバランスをより向上できる。
第2の層及び第4の層の合計厚さと、第3の層の厚さとの比(第2の層及び第4の層の合計厚さ/第3の層の厚さ)は、好ましくは0.1以上10以下、より好ましくは0.2以上5以下、さらに好ましくは0.5以上2以下である。これにより、基材の剛性、強度及び耐熱性をより向上できる。
第1~第6の実施形態の延伸多層PE基材において、2つの表面樹脂層のそれぞれの厚さは、それぞれ独立に、好ましくは0.5μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下、さらに好ましくは1μm以上5μm以下である。これにより、例えば、基材の耐熱性及び印刷適性をより向上できる。第5及び第6の実施形態の延伸多層PE基材の場合は、2つの表面樹脂層は、一実施形態において第1の層及び第5の層である。
第1~第6の実施形態の延伸多層PE基材において、2つの表面樹脂層のそれぞれの厚さは、内側3層(多層中間層)の合計厚さよりも小さいことが好ましい。2つの表面樹脂層のそれぞれの厚さと、多層中間層の合計厚さとの比(表面樹脂層/多層中間層)は、好ましくは0.05以上0.8以下、より好ましくは0.1以上0.7以下、さらに好ましくは0.1以上0.4以下である。これにより、例えば、基材の剛性、強度及び耐熱性をより向上できる。第5及び第6の実施形態の延伸多層PE基材の場合は、多層中間層は、一実施形態において第2~第4の層である。
第7の実施形態の延伸多層PE基材は、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える。基材の表面樹脂層が高密度ポリエチレン層であることにより、例えば、基材の強度及び耐熱性を向上できる。基材が中密度ポリエチレン層を備えることにより、例えば、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。
第8の実施形態の延伸多層PE基材は、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、基材の強度及び耐熱性を向上でき、基材におけるカールの発生を抑制でき、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。
第7~第8の実施形態の延伸多層PE基材において、高密度ポリエチレン層の厚さは、中密度ポリエチレン層の厚さ以下であることが好ましい。高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比は、好ましくは0.1以上1以下、より好ましくは0.2以上0.5以下である。
第9の実施形態の延伸多層PE基材は、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層又は超低密度ポリエチレン層(記載簡略化のため、これらの3層をまとめて「低密度ポリエチレン層等」と記載する。)と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、延伸前積層物の延伸適性を向上でき、基材の強度及び耐熱性を向上でき、基材におけるカールの発生を抑制できる。
第9の実施形態の延伸多層PE基材において、高密度ポリエチレン層の厚さは、中密度ポリエチレン層の厚さ以下であることが好ましい。高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比は、好ましくは0.1以上1以下、より好ましくは0.2以上0.5以下である。
第9の実施形態の延伸多層PE基材において、高密度ポリエチレン層の厚さは、低密度ポリエチレン層等の厚さ以上であることが好ましい。高密度ポリエチレン層の厚さと、低密度ポリエチレン層等の厚さとの比は、好ましくは1以上4以下、より好ましくは1以上2以下である。
他の実施形態の延伸多層PE基材として、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンとを、厚さ方向にこの順に備える基材;中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、直鎖状低密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える基材も挙げられる。
また、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレのブレンド層と、低密度ポリエチレン層等と、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層と、高密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える基材も挙げられる。
延伸多層PE基材を構成する各層から選ばれる少なくとも1つの層は、スリップ剤を含有してもよい。これにより、例えば、基材の加工性を向上できる。例えば、上述した第5及び第6の実施形態の延伸多層PE基材において、第3の層がスリップ剤を含有してもよく、第1~第5の層の全てがスリップ剤を含有してもよい。
スリップ剤としては、例えば、アミド系滑剤、グリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル、炭化水素系ワックス、高級脂肪酸系ワックス、金属石鹸、親水性シリコーン、シリコーン変性(メタ)アクリル樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性ポリエーテル、シリコーン変性ポリエステル、ブロック型シリコーン(メタ)アクリル共重合体、ポリグリセロール変性シリコーン及びパラフィンが挙げられる。スリップ剤の中でも、アミド系滑剤が好ましい。アミド系滑剤としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸エステルアミド及び芳香族ビスアミドが挙げられる。これらの中でも、不飽和脂肪酸アミドが好ましく、エルカ酸アミドがより好ましい。
延伸多層PE基材において、スリップ剤を含有する層におけるスリップ剤の含有割合は、例えば0.01質量%以上3質量%以下でもよく、0.03質量%以上1質量%以下でもよい。これにより、基材の加工性をより向上できる。
(ポリプロピレン樹脂基材)
ポリプロピレン樹脂基材は、一実施形態において、ポリプロピレンを主成分として、すなわち50質量%超の範囲で含有する。本開示の積層体が、ポリプロピレン樹脂基材を備えることにより、例えば、積層体を使用して作製される包装容器の耐油性を向上できる。
ポリプロピレンは、プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー及びプロピレンブロックコポリマーのいずれでもよく、これらから選択される2種以上の混合物でもよい。ポリプロピレンとしては、環境負荷低減という観点から、バイオマス由来のポリプロピレンや、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルされたポリプロピレンを使用してもよい。これらの詳細は、上述したとおりである。
ポリプロピレンの中でも、透明性の観点からは、プロピレンホモポリマー又はプロピレンランダムコポリマーを使用することが好ましい。包装容器の剛性及び耐熱性を重視する場合は、プロピレンホモポリマーを使用することが好ましい。包装容器の耐衝撃性を重視する場合は、プロピレンランダムコポリマーを使用することが好ましい。
ポリプロピレンの融点(Tm)は、耐熱性という観点から、例えば120℃以上170℃以下、好ましくは130℃以上170℃以下、より好ましくは150℃以上170℃以下である。
ポリプロピレン樹脂基材におけるポリプロピレンの含有割合は、好ましくは50質量%超であり、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。このような構成により、例えば、積層体のリサイクル適性を向上できる。
ポリプロピレン樹脂基材は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。
<印刷層>
本開示の積層体は、ポリオレフィン樹脂基材の表面に印刷層を備えてもよい。印刷層において形成される画像としては、例えば、文字、柄、記号及びこれらの組合せが挙げられる。印刷層は、例えば、バイオマス由来のインキを用いて形成してもよい。これにより、例えば、環境負荷をより低減できる。
印刷層の形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法及びフレキソ印刷法などの従来公知の印刷法が挙げられる。これらの中でも、環境負荷低減という観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
印刷層は、ポリオレフィン樹脂基材のいずれの面上に形成されていてもよい。印刷層と外気との接触を抑制でき、印刷層の経時的な劣化を抑制できることから、印刷層は、ポリオレフィン樹脂基材におけるシーラント層側の面上に形成されていることが好ましい。
<シーラント層>
本開示の積層体は、シーラント層として、上述した本開示のバリア性シーラントフィルムを備える。バリア性シーラントフィルムの詳細は上述したとおりであることから、本欄での説明は省略する。
バリア性シーラントフィルムにおけるポリオレフィン樹脂層は、ポリオレフィン樹脂基材と同種の樹脂材料、すなわち、ポリオレフィンにより構成される。これにより、包装容器のモノマテリアル化を図ることができる。使用済みの包装容器を回収した後、基材とシーラント層とを分離する必要がなく、包装容器のリサイクル適性を向上できる。
<接着層>
本開示の積層体は、一実施形態において、ポリオレフィン樹脂基材とシーラント層との間に、接着層を備える。これにより、例えば、これらの層間の密着性を向上できる。
接着層は、接着剤により構成される、接着剤は、1液硬化型の接着剤、2液硬化型の接着剤、及び非硬化型の接着剤のいずれでもよい。接着剤は、無溶剤型の接着剤でもよく、溶剤型の接着剤でもよい。
接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、オレフィン系接着剤及びフェノール系接着剤が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系接着剤が好ましく、2液硬化型のウレタン系接着剤がより好ましい。
接着層の厚さは、例えば、0.1μm以上10μm以下、好ましくは0.2μm以上8.0μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上6.0μm以下、よりさらに好ましくは0.8μm以上5.0μm以下である。
接着層は、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法及びトランスファーロールコート法などの従来公知の方法により、対象物上に接着剤を塗布し、乾燥することにより形成できる。
本開示の積層体は、一実施形態において、ポリオレフィン樹脂基材と、バリア性シーラントフィルムとを、無溶剤型の接着剤を用いたノンソルベントラミネート法により貼り合わせて製造してもよく、溶剤型の接着剤を用いたドライラミネート法により貼り合わせて製造してもよい。
[包装容器]
本開示の積層体は、包装材料用途に好適に使用できる。
包装材料は、包装容器を作製するために使用される。包装材料は、本開示の積層体を備える。本開示の積層体を備える包装材料を少なくとも用いることにより、包装容器を作製できる。
本開示の包装容器は、本開示の積層体を備える。包装容器としては、例えば、包装袋、チューブ容器、及び蓋付き容器が挙げられる。蓋付き容器は、収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合(ヒートシール)された蓋材とを備える。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール及び超音波シールが挙げられる。
包装袋としては、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型及びガゼット型などの種々の形態の包装袋が挙げられる。
包装容器は、易開封部を備えてもよい。易開封部としては、例えば、包装容器の引き裂きの起点となるノッチ部や、包装容器を引き裂く際の経路として、レーザー加工やカッターなどにより形成されたハーフカット線が挙げられる。
包装容器は、蒸気抜き機構を備えてもよい。蒸気抜き機構は、包装容器内の蒸気圧力が所定値以上となった際に、包装容器内部と外部とを連通させ、蒸気を逃がすと共に、蒸気抜き機構以外の箇所において蒸気が抜けることを抑制するように構成されている。
蒸気抜き機構は、例えば、側部シール部から包装容器の内側に向かって突出した蒸気抜きシール部と、蒸気抜きシール部によって、内容物収容部から隔離された非シール部とを備える。非シール部は、包装容器の外部に連通している。内容物が充填され、開口部がヒートシールされた包装容器を、電子レンジなどを用いて加熱する。これにより、内部の圧力が高まり、蒸気抜きシール部が剥離する。蒸気は、蒸気抜きシール部剥離箇所及び非シール部を通り、包装容器外部へ抜ける。
一実施形態において、本開示の積層体を、ポリオレフィン樹脂基材が外側、シーラント層が内側に位置するように二つ折にして重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。他の実施形態において、複数の本開示の積層体をシーラント層同士が対向するように重ね合わせて、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。包装袋の全部が上記積層体で構成されてもよく、包装袋の一部が上記積層体で構成されてもよい。図7に、包装袋の一例を示す。図中、斜線部分はヒートシール部分を表す。
一実施形態において、蓋付き容器における蓋材として、本開示の積層体が用いられる。蓋付き容器は、収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合(ヒートシール)された蓋材とを備える。ここで、蓋材、すなわち上記積層体のシーラント層と、容器本体とが、ヒートシールされている。容器本体の形状としては、例えば、カップ型及び有底円筒形状が挙げられる。容器本体は、例えば、ポリスチレン製、ポリプロピレン製、ポリエチレン製又は紙製である。
包装容器中に収容される内容物としては、例えば、液体、固体、粉体及びゲル体が挙げられる。内容物は、飲食品でもよく、化学品、化粧品及び医薬品等の非飲食品でもよい。包装容器中に内容物を収容した後、包装容器の開口部をヒートシールすることにより、包装容器を密封できる。
包装袋の具体例として、以下、小袋及びスタンディングパウチについて説明する。
小袋は、小型の包装袋であって、例えば1g以上200g以下の内容物を収容するために使用される。小袋中に収容される内容物としては、例えば、ソース、醤油、ドレッシング、ケチャップ、シロップ、料理用酒類、他の液体又は粘稠体の調味料;液体スープ、粉末スープ、果汁類;香辛料;液体飲料、ゼリー状飲料、インスタント食品、他の飲食品が挙げられる。本開示の積層体は、小袋作製用包装材料として好適である。
スタンディングパウチは、例えば50g以上2000g以下の内容物を収容するために使用される。スタンディングパウチ中に収容される内容物としては、例えば、シャンプー、リンス、コンディショナー、ハンドソープ、ボディソープ、芳香剤、消臭剤、脱臭剤、防虫剤、洗剤;ドレッシング、食用油、マヨネーズ、他の液体又は粘稠体の調味料;液体飲料、ゼリー状飲料、インスタント食品、他の飲食品;クリームが挙げられる。
スタンディングパウチは、一実施形態において、胴部(側面シート)と、底部(底面シート)とを備える。側面シートと底面シートとは、同一部材により構成されてもよく、別部材により構成されてもよい。底面シートが側面シートの形状を保持することにより、パウチに自立性が付与され、スタンディング形式のパウチとすることができる。側面シートと底面シートとによって囲まれる領域内に、内容物を収容するための収容空間が形成される。
スタンディングパウチは、蒸気抜き機構を備えてもよい。蒸気抜き機構は、側部シール部から包装容器の内側に向かって突出した蒸気抜きシール部と、蒸気抜きシール部によって、内容物収容部から隔離された非シール部とを備える。非シール部は、包装容器の外部に連通している。
スタンディングパウチにおいて、胴部のみが本開示の積層体により構成されてもよく、底部のみが本開示の積層体により構成されてもよく、胴部及び底部の両方が本開示の積層体により構成されてもよい。
一実施形態において、側面シートは、本開示の積層体が備えるシーラント層が最内層となるように製袋することにより形成できる。一実施形態において、側面シートは、本開示の積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、両側の側縁部をヒートシールして製袋することにより形成できる。
他の実施形態において、側面シートは、本開示の積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、重ね合わせた積層体の両側の側縁部における積層体間に、シーラント層が外側となるようにV字状に折った積層体2枚をそれぞれ挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。このような作製方法によれば、側部ガセット付きの胴部を有するスタンディングパウチが得られる。図8に、スタンディングパウチの一例を示す。図中、斜線部分はヒートシール部分を表す。
一実施形態において、底面シートは、製袋された側面シート下部の間に本開示の積層体を挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。より具体的には、底面シートは、製袋された側面シート下部の間に、シーラント層が外側となるようにV字状に折った積層体を挿入し、ヒートシールすることにより形成できる。
一実施形態において、上記積層体を2枚準備し、これらをシーラント層同士が向かい合うようにして重ね合わせ、次いで、もう1枚の上記積層体をシーラント層が外側となるようにV字状に折り、これを向かい合わせとなった積層体の下部に挟み込み、ヒートシールすることにより底部を形成する。次いで、底部に隣接する2辺をヒートシールすることにより、胴部を形成する。このようにして、一実施形態のスタンディングパウチを形成できる。
本開示は、例えば以下の[1]~[11]に関する。
[1]ポリオレフィン樹脂層及びガスバリア性樹脂層を少なくとも有する、未延伸の樹脂フィルムと、ガスバリア性樹脂層上に設けられた蒸着膜とを少なくとも備え、樹脂フィルムが、共押出インフレーション法により製膜されてなる、バリア性シーラントフィルム。
[2]ポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分として含有する、上記[1]に記載のバリア性シーラントフィルム。
[3]ガスバリア性樹脂層が、ポリアミド、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン及び(メタ)アクリル樹脂から選択される少なくとも1種のガスバリア性樹脂を含有する、上記[1]又は[2]に記載のバリア性シーラントフィルム。
[4]樹脂フィルムが、ポリオレフィン樹脂層とガスバリア性樹脂層との間に、接着性樹脂層をさらに備える、上記[1]~[3]のいずれかに記載のバリア性シーラントフィルム。
[5]ポリオレフィン樹脂層が、ポリオレフィンを含有する第1の樹脂層と、ポリオレフィン及びヒートシール改質剤を含有する第2の樹脂層とを備え、第2の樹脂層が、バリア性シーラントフィルムの一方側の表層を構成する、上記[1]~[4]のいずれかに記載のバリア性シーラントフィルム。
[6]少なくとも、ポリオレフィン樹脂基材と、シーラント層とを厚さ方向にこの順に備え、ポリオレフィン樹脂基材が、延伸基材であり、シーラント層が、上記[1]~[5]のいずれかに記載のバリア性シーラントフィルムである、積層体。
[7]ポリオレフィン樹脂基材とバリア性シーラントフィルムとの間に、接着層を備える、上記[6]に記載の積層体。
[8]ポリオレフィン樹脂基材が、ポリエチレンを主成分として含有する基材であり、バリア性シーラントフィルムにおけるポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレンを主成分として含有する層であるか、又は、ポリオレフィン樹脂基材が、ポリプロピレンを主成分として含有する基材であり、バリア性シーラントフィルムにおけるポリオレフィン樹脂層が、ポリプロピレンを主成分として含有する層である、上記[6]又は[7]に記載の積層体。
[9]積層体全体におけるポリオレフィンの含有割合が、80質量%以上である、上記[6]~[8]のいずれかに記載の積層体。
[10]包装材料用である、上記[6]~[9]のいずれかに記載の積層体。
[11]上記[6]~[10]のいずれかに記載の積層体を備える包装容器。
以下、実施例に基づき本開示のバリア性シーラントフィルム及び積層体について具体的に説明するが、本開示のバリア性シーラントフィルム及び積層体は実施例によって限定されない。以下、「質量部」を単に「部」とも記載する。
以下の実施例及び比較例で用いるポリエチレンについて記載する。
・中密度ポリエチレン(以下「MDPE」と記載する):
商品名Enable4002MC
密度:0.940g/cm、融点:128℃、MFR:0.25g/10分、
ExxonMobil社製
・高密度ポリエチレン(1)(以下「HDPE(1)」と記載する):
商品名Elite5960G
密度:0.960g/cm、融点:134℃、MFR:0.8g/10分、
Dowchemical社製
・高密度ポリエチレン(2)(以下「HDPE(2)」と記載する):
商品名H619F
密度:0.965g/cm、融点:135℃、MFR:0.7g/10分、
SCG社製
・直鎖状低密度ポリエチレン(以下「LLDPE」と記載する):
商品名Exceed XP8656ML
密度:0.916g/cm、融点:121℃、MFR:0.5g/10分、
ExxonMobil社製
・低密度ポリエチレン(以下「LDPE」と記載する):
商品名LD2420F
密度:0.922g/cm、融点:112℃、MFR:0.75g/10分、
PTT社製
・スリップ剤含有MB:
商品名SLIP61 10061-K
密度:0.910g/cm、MFR:10g/10分、
ポリエチレンベース、エルカ酸アミド系スリップ剤5質量%含有、
Ampacet社製
・ブレンドポリエチレンA1
70部のMDPEと、30部のHDPE(1)とを混合して、平均密度0.948g/cmのブレンドポリエチレンA1(以下「ブレンドPE(A1)」と記載する)を得た。
・ブレンドポリエチレンB1
70部のMDPEと、30部のLLDPEとを混合して、平均密度0.933g/cmのブレンドポリエチレンB1(以下「ブレンドPE(B1)」と記載する)を得た。
・ブレンドポリエチレンC1
98部のLLDPEと、2部のスリップ剤含有MBとを混合して、平均密度0.916g/cmのブレンドポリエチレンC1(以下「ブレンドPE(C1)」と記載する)を得た。
[実施例1-1]
<バリア性シーラントフィルムの作製>
ガスバリア性樹脂層を構成する、6-66共重合ナイロン樹脂(NY、BASF社製、商品名:Ultlamid C40LN、密度:1.12g/cm3、融点:189℃、相対粘度:4.0)と、
接着性樹脂層を構成する、マレイン酸変性ポリオレフィン(三井化学(株)製、商品名:アドマーAT1955E、密度:0.89g/cm3、MFR:2.6g/10分)と、
第1の樹脂層及び中間層を構成する、直鎖状低密度ポリエチレン(ダウケミル社製、商品名:Elite5400G、密度:0.916g/cm3、融点:123℃、MFR:1.0g/10分)と、
第2の樹脂層を構成する、55部の直鎖状低密度ポリエチレン(Elite5400G)及び45部のポリオレフィンプラストマー(SABIC社製、商品名:COHERE8102L、密度:0.902g/cm3、融点:98℃、MFR:1.0g/10分)の混合物である、平均密度0.910g/cm3のブレンドポリエチレンと
を、インフレーション法により5層押出製膜し、ガスバリア性樹脂層(3μm)/接着性樹脂層(4μm)/直鎖状低密度ポリエチレン層(21μm)/直鎖状低密度ポリエチレン層(8μm)/ブレンドポリエチレン層(4μm)を備える、総厚さ40μmの未延伸ポリエチレンフィルムを作製した。括弧内の数値は層の厚さを示す。
上記未延伸ポリエチレンフィルムのガスバリア性樹脂層上に、PVD法により、厚さ60nmのアルミニウム蒸着膜を形成し、バリア性シーラントフィルムを得た。形成された蒸着膜の光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
<延伸多層PE基材の作製>
ブレンドPE(A1)、HDPE(2)、ブレンドPE(C1)及びブレンドPE(B1)を、インフレーション成形法により、ブレンドPE(A1)-1層(15μm)/HDPE(2)層(20μm)/ブレンドPE(C1)層(55μm)/ブレンドPE(B1)層(20μm)/ブレンドPE(A1)-2層(15μm)の層厚さ比で5層共押出しを行いチューブ状に製膜し、総厚さ125μmのポリエチレンフィルムを得て、チューブ状のフィルムをニップ箇所で折りたたみ、2枚重ねにした。括弧内の数値は層の厚さを示す。
上記で作製したポリエチレンフィルムを長手方向(MD)に5倍の延伸倍率で延伸し、さらに、ブレンドPE(A1)-2層にコロナ放電処理を行った後、端部をスリットし、2枚に分けて、厚さ25μmの延伸多層PE基材を得た。
上記で作製した延伸多層PE基材のコロナ放電処理面に、溶剤型グラビアインキ(DICグラフィックス(株)製、フィナート)を用いて、グラビア印刷法により画像を形成した。
<積層体の作製>
上記延伸多層PE基材の画像形成面と、上記バリア性シーラントフィルムのアルミニウム蒸着膜形成面とが対向するように、上記延伸多層PE基材と上記バリア性シーラントフィルムとを、2液硬化型ポリウレタン接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層し、積層体(ポリエチレン系積層体)を得た。
[実施例1-2]
バリア性シーラントフィルムの作製において、ガスバリア性樹脂層を構成する樹脂を、6-66共重合ナイロン樹脂(NY、BASF社製、商品名:Ultlamid C33LN、密度:1.12g/cm3、融点:196℃、相対粘度:3.3)に変更したこと以外は実施例1-1と同様に行った。
[実施例1-3]
バリア性シーラントフィルムの作製において、ガスバリア性樹脂層を構成する樹脂を、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH、クラレ(株)製、商品名:エバールE171B、密度:1.14g/cm3、融点:165℃、MFR:1.7g/10分、エチレン含有割合:44モル%)に変更したこと以外は実施例1-1と同様に行った。
[比較例1-1]
バリア性シーラントフィルムの作製において、直鎖状低密度ポリエチレン層からなる厚さ40μmの未延伸ポリエチレンフィルムを作製し、用いたこと以外は実施例1-1と同様に行った。アルミニウム蒸着膜は直鎖状低密度ポリエチレン層上に形成した。
[比較例1-2]
バリア性シーラントフィルムの作製において、直鎖状低密度ポリエチレン層(36μm)/ブレンドポリエチレン層(4μm)を備える、総厚さ40μmの未延伸ポリエチレンフィルムを作製し、用いたこと以外は実施例1-1と同様に行った。括弧内の数値は層の厚さを示す。アルミニウム蒸着膜は直鎖状低密度ポリエチレン層上に形成した。
[実施例2-1]
<バリア性シーラントフィルムの作製>
ガスバリア性樹脂層を構成する、6-66共重合ナイロン樹脂(NY、BASF社製、商品名:Ultlamid C40LN、密度:1.12g/cm3、融点:189℃、相対粘度:4.0)と、
接着性樹脂層を構成する、マレイン酸変性ポリオレフィン(三井化学(株)製、商品名:アドマーQF551T、密度:0.89g/cm3、融点:135℃、MFR:2.5g/10分)と、
第1の樹脂層及び中間層を構成する、ポリプロピレン(ランダムPP、BOREALIS社製、商品名:RB707CF、密度:0.90g/cm3、融点:145℃、MFR:1.5g/10分)と、
第2の樹脂層を構成する、55部のポリプロピレン(RB707CF)及び45部のポリオレフィンプラストマー(SABIC社製、商品名:COHERE8102L、密度:0.902g/cm3、融点:98℃、MFR:1.0g/10分)の混合物である、平均密度0.901g/cm3のブレンドポリプロピレンと
を、インフレーション法により5層押出製膜し、ガスバリア性樹脂層(3μm)/接着性樹脂層(4μm)/ポリプロピレン層(21μm)/ポリプロピレン層(8μm)/ブレンドポリプロピレン層(4μm)を備える、総厚さ40μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを作製した。括弧内の数値は層の厚さを示す。
上記未延伸ポリプロピレンフィルムのガスバリア性樹脂層上に、PVD法により、厚さ60nmのアルミニウム蒸着膜を形成し、バリア性シーラントフィルムを得た。形成された蒸着膜の光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
ポリプロピレン樹脂基材として、一方の面がコロナ放電処理された厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、商品名:P2171)を準備した。2軸延伸ポリプロピレンフィルムのコロナ放電処理面に、溶剤型グラビアインキ(DICグラフィックス(株)製、フィナート)を用いて、グラビア印刷法により画像を形成した。
<積層体の作製>
上記ポリプロピレン樹脂基材の画像形成面と、上記バリア性シーラントフィルムのアルミニウム蒸着膜形成面とが対向するように、上記ポリプロピレン樹脂基材と上記バリア性シーラントフィルムとを、2液硬化型ポリウレタン接着剤(ロックペイント(株)製、商品名:RU-77T/H-7)を介して積層し、積層体(ポリプロピレン系積層体)を得た。
[実施例2-2]
バリア性シーラントフィルムの作製において、ガスバリア性樹脂層を構成する樹脂を、6-66共重合ナイロン樹脂(NY、BASF社製、商品名:Ultlamid C33LN、密度:1.12g/cm3、融点:196℃、相対粘度:3.3)に変更したこと以外は実施例2-1と同様に行った。
[実施例2-3]
バリア性シーラントフィルムの作製において、ガスバリア性樹脂層を構成する樹脂を、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH、クラレ(株)製、商品名:エバールE171B、密度:1.14g/cm3、融点:165℃、MFR:1.7g/10分、エチレン含有割合:44モル%)に変更したこと以外は実施例2-1と同様に行った。
[比較例2-1]
バリア性シーラントフィルムの作製において、ポリプロピレン(RB707CF)層からなる厚さ40μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを作製し、用いたこと以外は実施例2-1と同様に行った。アルミニウム蒸着膜はポリプロピレン層上に形成した。
[比較例2-2]
バリア性シーラントフィルムの作製において、ポリプロピレン層(36μm)/ブレンドポリプロピレン層(4μm)を備える、総厚さ40μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを作製し、用いたこと以外は実施例2-1と同様に行った。括弧内の数値は層の厚さを示す。アルミニウム蒸着膜はポリプロピレン層上に形成した。
[酸素バリア性評価]
実施例及び比較例において得られたバリア性シーラントフィルムをA4サイズにカットし、米国MOCON社製OXTRAN2/20を使用し、23℃、相対湿度90%の環境下での酸素透過度(cc/m2/day/atm)を測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
[水蒸気バリア性評価]
実施例及び比較例において得られたバリア性シーラントフィルムをA4サイズにカットし、米国MOCON社製PERMATRAN3/31を使用し、40℃、相対湿度90%の環境下での水蒸気透過度(g/m2/day)を測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
[ヒートシール性試験]
実施例及び比較例において得られた積層体を10cm×10cmにカットしサンプル片を作製した。このサンプル片を、シーラント層(バリア性シーラントフィルム)が内側になるように二つ折りにし、温度130℃(ポリエチレン系積層体の場合)又は温度150℃(ポリプロピレン系積層体の場合)、圧力1kgf/cm2、1秒の条件にて1cm×10cmの領域をヒートシールした。
ヒートシール後のサンプル片を15mm幅で短冊状に切り、ヒートシールしなかった両端部を引張試験機に把持し、JIS Z 0238に準拠して、速度300mm/分、剥離角度90°、荷重レンジ50Nの条件にて剥離強度(N/15mm)を測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
Figure 2023118617000001
Figure 2023118617000002
1:積層体
10:バリア性シーラントフィルム
11:樹脂フィルム
12:ポリオレフィン樹脂層
12a:第1の樹脂層
12b:第2の樹脂層
13:接着性樹脂層
14:ガスバリア性樹脂層
15:蒸着膜
20:ポリオレフィン樹脂基材
30:接着層

Claims (11)

  1. ポリオレフィン樹脂層及びガスバリア性樹脂層を少なくとも有する、未延伸の樹脂フィルムと、
    前記ガスバリア性樹脂層上に設けられた蒸着膜と
    を少なくとも備え、
    前記樹脂フィルムが、共押出インフレーション法により製膜されてなる、
    バリア性シーラントフィルム。
  2. 前記ポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分として含有する、請求項1に記載のバリア性シーラントフィルム。
  3. 前記ガスバリア性樹脂層が、ポリアミド、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン及び(メタ)アクリル樹脂から選択される少なくとも1種のガスバリア性樹脂を含有する、請求項1又は2に記載のバリア性シーラントフィルム。
  4. 前記樹脂フィルムが、前記ポリオレフィン樹脂層と前記ガスバリア性樹脂層との間に、接着性樹脂層をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のバリア性シーラントフィルム。
  5. 前記ポリオレフィン樹脂層が、ポリオレフィンを含有する第1の樹脂層と、ポリオレフィン及びヒートシール改質剤を含有する第2の樹脂層とを備え、前記第2の樹脂層が、前記バリア性シーラントフィルムの一方側の表層を構成する、請求項1~4のいずれか一項に記載のバリア性シーラントフィルム。
  6. 少なくとも、
    ポリオレフィン樹脂基材と、
    シーラント層と
    を厚さ方向にこの順に備え、
    前記ポリオレフィン樹脂基材が、延伸基材であり、
    前記シーラント層が、請求項1~5のいずれか一項に記載のバリア性シーラントフィルムである、
    積層体。
  7. 前記ポリオレフィン樹脂基材と前記バリア性シーラントフィルムとの間に、接着層を備える、請求項6に記載の積層体。
  8. 前記ポリオレフィン樹脂基材が、ポリエチレンを主成分として含有する基材であり、
    前記バリア性シーラントフィルムにおける前記ポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレンを主成分として含有する層であるか、又は、
    前記ポリオレフィン樹脂基材が、ポリプロピレンを主成分として含有する基材であり、
    前記バリア性シーラントフィルムにおける前記ポリオレフィン樹脂層が、ポリプロピレンを主成分として含有する層である、
    請求項6又は7に記載の積層体。
  9. 前記積層体全体におけるポリオレフィンの含有割合が、80質量%以上である、請求項6~8のいずれか一項に記載の積層体。
  10. 包装材料用である、請求項6~9のいずれか一項に記載の積層体。
  11. 請求項6~10のいずれか一項に記載の積層体を備える包装容器。
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