JP2023020735A - 蒸着フィルム、積層体、包装材料及び包装容器 - Google Patents

蒸着フィルム、積層体、包装材料及び包装容器 Download PDF

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憲一 山田
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Abstract

【課題】ポリオレフィン樹脂層及びポリアミド樹脂層を含む樹脂基材と蒸着膜とを備える蒸着フィルムであって、ガスバリア性に優れる蒸着フィルムを提供する。【解決手段】樹脂基材と蒸着膜とを備える蒸着フィルムであって、樹脂基材が、ポリオレフィン樹脂層と、ポリアミド樹脂層とを備え、蒸着膜が、ポリアミド樹脂層上に設けられており、ポリアミド樹脂層が、脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含有する、蒸着フィルム。【選択図】図1

Description

本開示は、蒸着フィルム、積層体、包装材料及び包装容器に関する。
ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルからなるフィルム(以下「ポリエステルフィルム」ともいう)は、機械的特性、化学的安定性、耐熱性及び透明性に優れると共に、安価である。そのため、従来、ポリエステルフィルムは、包装容器の作製に使用される積層体を構成する基材として使用されている。
包装容器に充填される内容物によっては、包装容器には酸素バリア性及び水蒸気バリア性などのガスバリア性が要求される。この要求を満たすべく、ポリエステルフィルム表面に蒸着膜を形成することが行われている(特許文献1)。
近年、蒸着膜が形成される基材として、ポリエステルフィルムに代わる樹脂基材が模索されている。リサイクル適性等の観点から、ポリオレフィンフィルム、特にポリエチレンフィルムを該基材に適用することが検討されている。
特開2005-053223号公報
本開示者らは、従来のポリエステルフィルムに代えて、ポリオレフィンフィルムを蒸着膜が形成される樹脂基材として使用することを検討した。検討の結果、本開示者らは、ポリオレフィン樹脂層とポリアミド樹脂層とを備える樹脂基材におけるポリアミド樹脂層上に蒸着膜を形成することにより、ガスバリア性を向上できることを見出した。本開示者らは、ポリアミド樹脂層の組成によってガスバリア性をさらに向上し得るかについて検討した。
本開示の解決しようとする一つの課題は、ポリオレフィン樹脂層及びポリアミド樹脂層を含む樹脂基材と蒸着膜とを備える蒸着フィルムであって、ガスバリア性に優れる蒸着フィルムを提供することである。
本開示の蒸着フィルムは、樹脂基材と蒸着膜とを備え、樹脂基材が、ポリオレフィン樹脂層と、ポリアミド樹脂層とを備え、蒸着膜が、ポリアミド樹脂層上に設けられており、ポリアミド樹脂層が、脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含有する。
本開示によれば、ポリオレフィン樹脂層及びポリアミド樹脂層を含む樹脂基材と蒸着膜とを備える蒸着フィルムであって、ガスバリア性に優れる蒸着フィルムを提供できる。
図1は、本開示の蒸着フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 図2は、本開示の蒸着フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 図3は、本開示の積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図4は、本開示の積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図5は、本開示の積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図6は、延伸フィルムにおけるカット部を示す模式上視図である。
[蒸着フィルム]
本開示の蒸着フィルムは、樹脂基材と蒸着膜とを備える。樹脂基材は、ポリオレフィン樹脂層と、ポリアミド樹脂層とを備える。蒸着膜は、ポリアミド樹脂層上に設けられている。樹脂基材は、一実施形態において、ポリオレフィン樹脂層とポリアミド樹脂層との間に、接着性樹脂層をさらに備える。
本開示において「フィルム」とは、特に「シート」と区別するものではない。
図1に、本開示の蒸着フィルムの一実施形態を示す。図1に示す蒸着フィルム1は、樹脂基材10と、蒸着膜20とを備える。樹脂基材10は、ポリオレフィン樹脂層12と、ポリアミド樹脂層14とを厚さ方向にこの順に備える。図1の蒸着フィルム1は、ポリオレフィン樹脂層12と、ポリアミド樹脂層14と、蒸着膜20とを厚さ方向にこの順に備える。
図2に、本開示の蒸着フィルムの一実施形態を示す。図2に示す蒸着フィルム1は、樹脂基材10が、ポリオレフィン樹脂層12とポリアミド樹脂層14との間に、接着性樹脂層13をさらに備えること以外は、図1と同様である。図2の蒸着フィルム1は、ポリオレフィン樹脂層12と、接着性樹脂層13と、ポリアミド樹脂層14と、蒸着膜20とを厚さ方向にこの順に備える。
図1及び図2の実施形態において、蒸着フィルム1は、図示せぬ印刷層をさらに備えてもよい。印刷層は、例えば、ポリオレフィン樹脂層12における蒸着膜20側の面とは反対側の面上に設けられていてもよい。印刷層は、例えば、蒸着膜20におけるポリオレフィン樹脂層12側の面とは反対側の面上に設けられていてもよい。この場合、蒸着膜20と印刷層との間に、後述するバリアコート層を設けてもよい。
<ポリオレフィン樹脂層>
樹脂基材は、ポリオレフィン樹脂層を備える。
ポリオレフィン樹脂層は、ポリオレフィンを含有する。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリメチルペンテンが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン及びポリプロピレンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。すなわちポリオレフィン樹脂層としては、ポリエチレン樹脂層又はポリプロピレン樹脂層が好ましく、ポリエチレン樹脂層がより好ましい。
本開示においてポリエチレンとは、全繰返し構成単位中、エチレン由来の構成単位の含有割合が50モル%以上の重合体をいう。この重合体において、エチレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。上記含有割合は、NMR法により測定できる。
本開示において、ポリエチレンは、エチレンの単独重合体でもよく、エチレンと、エチレン以外のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体でもよい。エチレン以外のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン及び6-メチル-1-ヘプテン等の炭素数2以上20以下のα-オレフィン;酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルモノマー;並びに(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
ポリエチレンとしては、具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンが挙げられる。これらの中でも、樹脂基材の強度及び耐熱性という観点から、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンが好ましく、延伸適性という観点から、中密度ポリエチレンがより好ましい。
高密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.945g/cm3を超える。高密度ポリエチレンの密度の上限は、例えば0.965g/cm3である。中密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.925g/cm3を超えて0.945g/cm3以下である。低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3を超えて0.925g/cm3以下である。低密度ポリエチレンは、通常、高圧重合法によりエチレンを重合して得られるポリエチレンである。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3を超えて0.925g/cm3以下である。直鎖状低密度ポリエチレンは、通常、低圧重合法(例:チーグラー・ナッタ触媒又はメタロセン触媒を用いた重合法)によりエチレン及び少量のα-オレフィンを重合して得られるポリエチレンである。超低密度ポリエチレンの密度は、好ましくは0.900g/cm3以下である。超低密度ポリエチレンの密度の下限は、例えば0.860g/cm3である。ポリエチレンの密度は、JIS K7112(1999)、特にD法(密度勾配管法、23℃)、に準拠して測定する。
ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.3g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは0.5g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。本開示において、ポリエチレンのMFRは、ASTM D1238に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの条件で測定する。
ポリエチレンの融点(Tm)は、好ましくは100℃以上140℃以下、より好ましくは110℃以上138℃以下、さらに好ましくは120℃以上135℃以下である。本開示において、Tmは、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られる。
ポリプロピレンは、プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー及びプロピレンブロックコポリマーのいずれでもよい。プロピレンホモポリマーとは、プロピレンのみの重合体である。プロピレンランダムコポリマーとは、プロピレンとプロピレン以外のエチレン性不飽和モノマー(例えば、エチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等の上記α-オレフィン)とのランダムコポリマーである。プロピレンブロックコポリマーとは、プロピレンからなる重合体ブロックと、プロピレン以外のエチレン性不飽和モノマー(例えば、エチレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等の上記α-オレフィン)からなる重合体ブロックとを有する共重合体である。例えば、樹脂基材の剛性及び耐熱性を重視する場合にはホモポリマーを使用し、樹脂基材の耐衝撃性を重視する場合にはランダムコポリマーを使用することが好ましい。
本開示においてポリプロピレンとは、全繰返し構成単位中、プロピレン由来の構成単位の含有割合が50モル%以上の重合体をいう。この重合体において、プロピレン由来の構成単位の含有割合は、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。上記含有割合は、NMR法により測定できる。
ポリプロピレンのMFRは、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.3g/10分以上30g/10分以下である。本開示において、ポリプロピレンのMFRは、ASTM D1238に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定する。
密度又は分岐が異なるポリオレフィンは、重合方法を適宜選択することによって得られる。例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒などのマルチサイト触媒、又はメタロセン触媒などのシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合及び高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段又は2段以上の多段で重合を行うことが好ましい。
シングルサイト触媒とは、均一な活性種を形成しうる触媒であり、通常、メタロセン系遷移金属化合物又は非メタロセン系遷移金属化合物と活性化用助触媒とを接触させることにより、調製される。シングルサイト触媒は、マルチサイト触媒に比べて、活性点の構造が均一であるため、高分子量かつ均一度の高い構造を有する重合体を得ることができるため好ましい。
シングルサイト触媒としては、メタロセン触媒が好ましい。メタロセン触媒は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第IV族の遷移金属化合物と、助触媒と、必要により有機金属化合物と、必要により担体とを含む触媒である。
遷移金属化合物における遷移金属としては、例えば、ジルコニウム、チタン及びハフニウムが挙げられ、ジルコニウム及びハフニウムが好ましい。
遷移金属化合物におけるシクロペンタジエニル骨格とは、シクロペンタジエニル基、又は置換シクロペンタジエニル基である。置換シクロペンタジエニル基は、例えば、炭素数1以上30以下の炭化水素基、シリル基、シリル置換アルキル基、シリル置換アリール基、シアノ基、シアノアルキル基、シアノアリール基、ハロゲン基、ハロアルキル基、及びハロシリル基から選択される少なくとも1種の置換基を有する。置換シクロペンタジエニル基は、1つ又は2つ以上の置換基を有し、置換基同士が互いに結合して環を形成し、インデニル環、フルオレニル環、アズレニル環、又はこれらの水添体を形成していてもよい。置換基同士が互いに結合し形成された環が、さらに置換基を有してもよい。
遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を通常は2つ有する。各々のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、架橋基により互いに結合していることが好ましい。架橋基としては、例えば、炭素数1以上4以下のアルキレン基、シリレン基、ジアルキルシリレン基、ジアリールシリレン基などの置換シリレン基、ジアルキルゲルミレン基、ジアリールゲルミレン基などの置換ゲルミレン基が挙げられる。これらの中でも、置換シリレン基が好ましい。
助触媒とは、周期表第IV族の遷移金属化合物を重合触媒として有効に機能させえる成分、又は触媒的に活性化された状態のイオン性電荷を均衝させえる成分をいう。助触媒としては、例えば、ベンゼン可溶のアルミノキサン又はベンゼン不溶の有機アルミニウムオキシ化合物、イオン交換性層状珪酸塩、ホウ素化合物、活性水素基含有又は非含有のカチオンと非配位性アニオンとからなるイオン性化合物、酸化ランタンなどのランタノイド塩、酸化スズ、及びフルオロ基を含有するフェノキシ化合物が挙げられる。
必要により使用される有機金属化合物としては、例えば、有機アルミニウム化合物、有機マグネシウム化合物、及び有機亜鉛化合物が挙げられる。これらの中でも、有機アルミニウム化合物が好ましい。
遷移金属化合物は、無機又は有機化合物の担体に担持して使用されてもよい。担体としては、無機又は有機化合物の多孔質酸化物が好ましく、具体的には、モンモリロナイトなどのイオン交換性層状珪酸塩、SiO2、Al23、MgO、ZrO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2、又はこれらの混合物が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、バイオマス由来のポリオレフィンを使用してもよい。すなわち、ポリオレフィンを得るための原料として、化石燃料から得られるオレフィンに代えて、バイオマス由来のオレフィンを用いてもよい。バイオマス由来のポリオレフィンは、カーボニュートラルな材料であるため、包装材料による環境負荷を低減できる。バイオマス由来のポリオレフィン(例えばポリエチレン)は、例えば、特開2013-177531号公報に記載されている方法により製造できる。市販されているバイオマス由来のポリオレフィン(例えば、ブラスケム社から市販されているグリーンPE)を使用してもよい。
ポリオレフィンとしては、メカニカルリサイクル又はケミカルリサイクルによりリサイクルされたポリオレフィンを使用してもよい。これにより、包装材料による環境負荷を低減できる。メカニカルリサイクルとは、一般的に、回収されたポリオレフィンフィルムなどを粉砕し、アルカリ洗浄してフィルム表面の汚れ、異物を除去した後、高温・減圧下で一定時間乾燥してフィルム内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い、フィルムの汚れを取り除き、再びポリオレフィンに戻す方法である。ケミカルリサイクルとは、一般的に、回収されたポリオレフィンフィルムなどをモノマーレベルまで分解し、当該モノマーを再度重合してポリオレフィンを得る方法である。
以上のポリオレフィンの説明は、以下の記載におけるポリオレフィンに適用できる。
ポリオレフィン樹脂層は、ポリオレフィンを1種又は2種以上含有できる。
ポリオレフィン樹脂層におけるポリオレフィンの含有割合、例えばポリエチレンの含有割合又はポリプロピレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。これにより、例えば、樹脂基材のリサイクル適性を向上できる。
ポリオレフィン樹脂層は、添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、染料及び改質用樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂層は、単層構造を有してもよく、2層以上の多層構造を有してもよい。ポリオレフィン樹脂層の層数は、一実施形態において、2層以上7層以下、又は3層以上5層以下であり、具体的には、3層、5層又は7層である。ポリオレフィン樹脂層が多層構造を有することにより、例えば、樹脂基材の剛性、強度及び耐熱性のバランスを向上できる。
多層構造を有するポリオレフィン樹脂層を構成する各層も、一実施形態において、それぞれポリオレフィンから構成される。すなわち上記各層におけるポリオレフィンの含有割合、例えばポリエチレンの含有割合又はポリプロピレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。これにより、例えば、樹脂基材のリサイクル適性を向上できる。
延伸前のポリオレフィン樹脂層の厚さは、好ましくは20μm以上200μm以下、より好ましくは30μm以上150μm以下、さらに好ましくは40μm以上120μm以下である。延伸後のポリオレフィン樹脂層の厚さは、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは8μm以上40μm以下、さらに好ましくは10μm以上30μm以下である。延伸前又は延伸後のポリオレフィン樹脂層の厚さが下限値以上であると、例えば、樹脂基材の剛性及び強度を向上できる。延伸前又は延伸後のポリオレフィン樹脂層の厚さが上限値以下であると、例えば、樹脂基材の加工適性を向上できる。
<ポリアミド樹脂層>
樹脂基材は、ポリアミド樹脂層を備える。ポリアミド樹脂層に蒸着膜を形成することにより、ポリオレフィン樹脂層に蒸着膜を形成する場合と比べて、ガスバリア性を向上できる。この理由は定かではないが、本開示者らは以下の通り推測している。ポリアミドは、アミド結合という極性構造を有する。隣接するポリアミドの主鎖同士が水素結合等により引き合うことで、極性構造の運動性が束縛される。したがって、ガスバリア性が向上する。なお、以上の説明は推測であって、何ら本開示を限定しない。
ポリアミド樹脂層は、一実施形態において、樹脂基材の一方側の表面樹脂層(最外層)を構成する。このような構成により、例えば、上述したガスバリア性の他、樹脂基材の加工適性及び耐熱性を向上できる。
ポリアミド樹脂層は、脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含有する。
ポリアミド樹脂層は、脂肪族ポリアミドを1種又は2種以上含有できる。
ポリアミド樹脂層は、半芳香族ポリアミドを1種又は2種以上含有できる。
ポリアミド樹脂層における脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミドを含むポリアミドの含有割合は、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上又は95質量%以上である。
以下、ポリアミドに含まれる構成単位を誘導しえる原料モノマーについて説明した後、具体的なポリアミドについて説明する。原料モノマーとしては、例えば、ラクタム、アミノカルボン酸、ジアミン及びジカルボン酸が挙げられる。ポリアミドは、例えば、ラクタムの開環重合、アミノカルボン酸の重縮合、ジアミンとジカルボン酸との重縮合、及びこれらの組合せにより得られる。
ラクタムとしては、例えば、γ-ブチロラクタム、δ-バレロラクタム、ε-カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム及びドデカンラクタムが挙げられる。これらの中でも、ε-カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム及びドデカンラクタムが好ましい。ラクタムの炭素数は、例えば4以上12以下である。
アミノカルボン酸としては、例えば、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸が挙げられる。これらの中でも、6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸及び12-アミノドデカン酸が好ましい。アミノカルボン酸の炭素数は、例えば6以上12以下である。
ジアミンとしては、例えば、脂肪族鎖状ジアミン及び脂環式ジアミンなどの脂肪族ジアミン、並びに芳香族ジアミンが挙げられる。脂肪族ジアミンの炭素数は、例えば2以上20以下、好ましくは4以上12以下である。
脂肪族鎖状ジアミンとしては、例えば、脂肪族直鎖状ジアミン及び脂肪族分岐状ジアミンが挙げられ、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン及び2,2,4-/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
脂環式ジアミンとしては、例えば、1,3-/1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3-/1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ノルボルナンジメチレンアミン、ビス(アミノメチル)デカリン及びビス(アミノメチル)トリシクロデカンが挙げられる。
脂肪族ジアミンの中でも、脂肪族鎖状ジアミンが好ましく、脂肪族直鎖状ジアミンがより好ましく、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン及びドデカメチレンジアミンがさらに好ましく、ヘキサメチレンジアミンが特に好ましい。
芳香族ジアミンとしては、例えば、p-フェニレンジアミン及びm-フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン;p-キシリレンジアミン及びm-キシリレンジアミンなどのキシリレンジアミン;2,4-トリレンジアミン及び2,6-トリレンジアミンなどのトリレンジアミン;1,4-ジアミノナフタレン、1,8-ジアミノナフタレン、2,3-ジアミノナフタレン及び2,6-ジアミノナフタレンなどのジアミノナフタレン;3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトラエチルジフェニルメタン及び4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチルジフェニルメタンなどのジアミノジフェニルメタン系化合物;2,2’-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-アミノ-3-エチルフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-アミノ-3,5-ジエチルフェニル)プロパン及び2,2’-ビス(4-アミノ-3-メチル-5-エチルフェニル)プロパンなどのビス(アミノフェニル)プロパン系化合物が挙げられる。
芳香族ジアミンの中でも、キシリレンジアミンが好ましく、p-キシリレンジアミン及びm-キシリレンジアミンがより好ましく、m-キシリレンジアミンがさらに好ましい。
ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族鎖状ジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、並びに芳香族ジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、例えば2以上20以下、好ましくは6以上12以下である。
脂肪族鎖状ジカルボン酸としては、例えば、脂肪族直鎖状ジカルボン酸及び脂肪族分岐状ジカルボン酸が挙げられ、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸及びエイコサン二酸が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、例えば、1,3-/1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン-4,4’-ジカルボン酸及びノルボルナンジカルボン酸が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の中でも、脂肪族鎖状ジカルボン酸が好ましく、脂肪族直鎖状ジカルボン酸がより好ましく、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸及びドデカン二酸がさらに好ましく、アジピン酸が特に好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸及びオルソフタル酸等のフタル酸化合物;1,2-ナフタレンジカルボン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、1,7-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸及び2,7-ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸;4,4’-ビフェニルジカルボン酸;ジフェニルメタン-2,4-ジカルボン酸、ジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、ジフェニルメタン-3,4’-ジカルボン酸及びジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸等のジフェニルメタンジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の中でも、フタル酸化合物が好ましく、イソフタル酸及びテレフタル酸がより好ましい。
ポリアミドとしては、例えば脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミドが挙げられる。
脂肪族ポリアミドとしては、例えば、脂肪族ホモポリアミド及び脂肪族共重合ポリアミドが挙げられる。脂肪族ホモポリアミドは、1種のラクタム又は1種のアミノカルボン酸から構成されるポリアミドでもよく、1種の脂肪族ジアミンと1種の脂肪族ジカルボン酸との組合せから構成されるポリアミドでもよい。本開示では、後者の場合もホモポリアミドに分類する。脂肪族共重合ポリアミドは、ラクタム及びアミノカルボン酸から選択される2種以上のモノマーから構成されるポリアミドでもよく、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸と、脂肪族ジアミンと、脂肪族ジカルボン酸との組合せから構成されるポリアミドでもよく、1種又は2種以上の脂肪族ジアミンと1種又は2種以上の脂肪族ジカルボン酸との組合せ(ただし、1種の脂肪族ジアミンと1種の脂肪族ジカルボン酸との組合せを除く)から構成されるポリアミドでもよい。
以下の例示において、ポリアミドを「PA」とも記載する。
脂肪族ホモポリアミドとしては、具体的には、ポリカプロラクタム(PA6)、ポリエナントラクタム(PA7)、ポリウンデカンラクタム(PA11)、ポリラウリルラクタム(PA12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(PA66)、ポリテトラメチレンドデカミド(PA412)、ポリペンタメチレンアゼラミド(PA59)、ポリペンタメチレンセバカミド(PA510)、ポリペンタメチレンドデカミド(PA512)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(PA69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(PA610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(PA612)、ポリノナメチレンアジパミド(PA96)、ポリノナメチレンアゼラミド(PA99)、ポリノナメチレンセバカミド(PA910)、ポリノナメチレンドデカミド(PA912)、ポリデカメチレンアジパミド(PA106)、ポリデカメチレンアゼラミド(PA109)、ポリデカメチレンデカミド(PA1010)、ポリデカメチレンドデカミド(PA1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(PA126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(PA129)、ポリドデカメチレンセバカミド(PA1210)及びポリドデカメチレンドデカミド(PA1212)が挙げられる。
脂肪族共重合ポリアミドとしては、具体的には、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(PA6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアゼライン酸共重合体(PA6/69)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(PA6/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノウンデカン酸共重合体(PA6/611)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノドデカン酸共重合体(PA6/612)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(PA6/11)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(PA6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム共重合体(PA6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(PA6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカンジカルボン酸共重合体(PA6/66/612)が挙げられる。
脂肪族ポリアミドの相対粘度は、好ましくは1.5以上5.0以下、より好ましく2.0以上5.0以下、さらに好ましくは2.5以上4.5以下である。脂肪族ポリアミドの相対粘度は、JIS K6920に準拠して、ポリアミド1gを96%濃硫酸100mLに溶解させ、25℃で測定する。
脂肪族ポリアミドとしては、耐摩耗性、耐寒冷性、耐衝撃性及び耐油性等の物性向上という観点から、PA6、PA11、PA12、PA66、PA610、PA612、PA6/66及びPA6/66/12等の結晶性脂肪族ポリアミドが好ましい。
結晶性脂肪族ポリアミドの融点(Tm)は、好ましくは170℃以上300℃以下、より好ましくは170℃以上250℃以下、さらに好ましくは170℃以上230℃以下、特に好ましくは170℃以上220℃以下、180℃以上215℃以下、又は180℃以上210℃以下である。本開示において、Tmは、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られる。上記Tmが低いと、例えばポリエチレンとポリアミドとを共押出して共押出樹脂フィルムを成形する場合、ポリエチレンとポリアミドとの融点差が小さくなるので、成形性を向上できる。
半芳香族ポリアミドとは、芳香族ジアミンに由来する構成単位と、脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位とを有するポリアミド、又は、脂肪族ジアミンに由来する構成単位と、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位とを有するポリアミドである。例えば、芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから構成されるポリアミド、及び脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とから構成されるポリアミドが挙げられる。
芳香族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから構成されるポリアミドは、ジアミンが全て芳香族ジアミンである必要はなく、脂肪族ジアミンに由来する構成単位をさらに有してもよい。脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸とから構成されるポリアミドは、ジカルボン酸が全て芳香族ジカルボン酸である必要はなく、脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位をさらに有してもよい。これらのポリアミドは、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸に由来する構成単位をさらに有してもよい。
半芳香族ポリアミドとしては、具体的には、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(PA6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(PA6I)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(PA9T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体(PA66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド共重合体(PA66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミド共重合体(PA6T/6)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリカプロアミド共重合体(PA6I/6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカミド共重合体(PA6T/12)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド共重合体(PA6I/6T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2-メチルペンタメチレンテレフタルアミド)共重合体(PA6T/M5T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド共重合体(PA66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミド共重合体(PA66/6/6I)及びポリメタキシリレンアジパミド(PAMXD6)が挙げられる。これらの中でも、PA6I/6T及びPAMXD6が好ましく、PA6I/6Tがより好ましい。
半芳香族ポリアミドのメルトボリュームレート(MVR)は、好ましくは5cm3/10分以上200cm3/10分以下、より好ましくは10cm3/10分以上100cm3/10分以下であり、製膜性という観点から、さらに好ましくは10cm3/10分以上50cm3/10分以下である。MVRは、ISO1133に準拠して、温度275℃、荷重5kgで測定する。
半芳香族ポリアミドは、ガスバリア樹脂として好ましい。
半芳香族ポリアミドは、PA6I/6T等の非晶性半芳香族ポリアミドでもよく、PA6T、PA9T、PA6I及びPAMXD6等の結晶性半芳香族ポリアミドでもよい。これらの中でも、ガスバリア性及び透明性という観点から、非晶性半芳香族ポリアミドが好ましい。
非晶性ポリアミドとは、明確な融点を持たないポリアミドを意味し、具体的には、ポリアミドの結晶融解エンタルピーΔHmが5J/g以下であることをいい、3J/g以下が好ましく、1J/g以下がより好ましい。結晶融解エンタルピーは、JIS K7121及びJIS K7122に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られる。
非晶性半芳香族ポリアミドとしては、芳香族ジカルボン酸由来の構成単位を2種以上有する半芳香族ポリアミドが好ましく、ジカルボン酸成分として、イソフタル酸由来の構成単位とテレフタル酸由来の構成単位とを有し、ジアミン成分として脂肪族ジアミン由来の構成単位を有するポリアミド(以下「ポリアミド(a)」ともいう)がより好ましい。
ポリアミド(a)において、ジカルボン酸由来の構成単位100モル%中、イソフタル酸由来の構成単位の割合は、好ましくは40モル%以上98モル%以下、より好ましくは50モル%以上80モル%以下であり、テレフタル酸由来の構成単位の割合は、好ましくは2モル%以上60モル%以下、より好ましくは20モル%以上50モル%以下である。上記割合は、NMR法により測定できる。
ポリアミド(a)において、ジカルボン酸由来の構成単位100モル%中、イソフタル酸由来の構成単位とテレフタル酸由来の構成単位との合計割合は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、95モル%以上又は98モル%以上である。ポリアミド(a)は、必要に応じて、イソフタル酸及びテレフタル酸以外のジカルボン酸(例えばアジピン酸)由来の構成単位を有してもよい。
ポリアミド(a)は、ジアミン成分としてヘキサメチレンジアミン由来の構成単位を有することが好ましい。ポリアミド(a)において、ジアミン由来の構成単位100モル%中、ヘキサメチレンジアミン由来の構成単位の割合は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、95モル%以上又は98モル%以上である。ポリアミド(a)は、必要に応じて、ヘキサメチレンジアミン以外のジアミン由来の構成単位を有してもよい。
ポリアミド(a)は、好ましくはPA6I/6Tである。
非晶性半芳香族ポリアミドのガラス転移温度(Tg)は、例えば、90℃以上180℃以下、好ましくは95℃以上160℃以下、より好ましくは100℃以上150℃以下である。Tgは、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られる。
ポリアミド樹脂層は、ポリアミドとして、脂肪族ポリアミドを含有する。ポリアミド樹脂層における脂肪族ポリアミドの含有割合は、好ましくは50質量%超、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。脂肪族ポリアミドの含有割合の上限値は、例えば、99質量%、95質量%又は90質量%である。
ポリアミド樹脂層は、脂肪族ポリアミドと、バリア改質剤としての半芳香族ポリアミドとを含有する。このような構成により、例えば、蒸着フィルムのガスバリア性、具体的には、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。この理由は定かではないが、本開示者らは以下の通り推測している。ポリアミドは、アミド結合を有し、通常は親水性であることから、湿度依存性がある。例えば、湿度が高いと、ポリアミドによるガスバリア性が低下することがある。半芳香族ポリアミドは、アミド結合に加えて芳香環を有する。芳香環のスタッキング効果により、分子間隙を狭くすることができる。したがって、半芳香族ポリアミドの添加により、ガスバリア性が向上する。なお、以上の説明は推測であって、何ら本開示を限定しない。
ポリアミド樹脂層における半芳香族ポリアミドの含有量は、脂肪族ポリアミド100質量部に対して、好ましくは1質量部以上100質量部以下、より好ましくは5質量部以上60質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上50質量部以下、特に好ましくは15質量部以上40質量部以下である。このような構成により、例えば、ガスバリア性を向上できる。
ポリアミド樹脂層は、一実施形態において、結晶性脂肪族ポリアミドと、非晶性半芳香族ポリアミドとを含有する。このような構成により、例えば、以下に説明するように、樹脂基材の延伸性、延伸前又は延伸後の樹脂基材の表面平滑性、後述する延伸フィルムのカール抑制性、並びに蒸着フィルムのガスバリア性及び光沢性を向上できる。
ポリアミド樹脂層に非晶性半芳香族ポリアミドを加えることにより、例えば、樹脂基材の延伸性を向上できる。この理由は定かではないが、本開示者らは以下の通り推測している。延伸は、一実施形態において、ポリオレフィン樹脂層(特にポリエチレン樹脂層)が軟化する程度の温度で行われる。非晶性半芳香族ポリアミドは、結晶性脂肪族ポリアミドに比べて、その分子鎖が動きやすい。また、一実施形態において、非晶性半芳香族ポリアミドのガラス転移温度は、ポリエチレンの融点領域に近い。したがって、延伸時において、非晶性半芳香族ポリアミドを含有するポリアミド樹脂層は、ポリオレフィン樹脂層に追従しやすい。したがって、延伸性が向上する。なお、以上の説明は推測であって、何ら本開示を限定しない。
ポリアミド樹脂層に非晶性半芳香族ポリアミドを加えることにより、例えば、延伸前のポリアミド樹脂層の表面平滑性を向上でき、また、延伸により当該表面平滑性をさらに向上できる。表面平滑性の向上に伴い、例えば、蒸着フィルムにおける光沢度も向上でき、また反射ヘイズを低減できる。
延伸フィルムにおけるポリアミド樹脂層の表面粗さ(Ra)は、好ましくは12nm以下、より好ましくは1.0nm以上10nm以下、さらに好ましくは2.0nm以上8.0nm以下又は2.0nm以上7.5nm以下である。表面粗さ(Ra)は、JIS B0601:2013に準拠して測定される算術平均表面粗さ(Ra)である。
蒸着フィルムにおける蒸着膜の20°光沢度は、好ましくは1660GU以上、より好ましくは1680GU以上、さらに好ましくは1690GU以上である。20°光沢度の上限は特に限定されないが、例えば1950GUでもよい。20°光沢度は、受光角度の中心を20°、受光角度幅を0.9°とし、JIS Z8741に準拠して測定する。光沢度は、物体表面の正反射光の強さを示し、数値が大きいほど光沢性が高いことを意味する。
蒸着フィルムにおける蒸着膜の正反射ピーク(Rspec)は、好ましくは1430GU以上、より好ましくは1450GU以上、さらに好ましくは1470GU以上である。正反射ピークの上限は、2000GUである。受光角度の中心を20°、受光角度幅を0.2°とする。正反射ピークは、上記光沢度よりも狭い範囲での光沢性を示し、したがって表面状態を局所的に捉えることが可能であり、正反射ピークが大きいほど、光沢性が高いことを意味する。
蒸着フィルムにおける蒸着膜の反射ヘイズは、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、さらに好ましくは15以下である。反射ヘイズの下限は低いほど好ましいが、例えば1、3、5又は7でもよい。反射ヘイズは、入射角度を20°±1.8°とし、ASTM E430に準拠して測定し、鏡面反射光量(20°±1.8°)と、ヘイズの原因となる18.1°±1.8°、21.9°±1.8°の分散した光量との割合から得られる。反射ヘイズは、表面状態の曇り度合いを示す。
上記物性の測定条件の詳細は、実施例欄に記載する。
樹脂基材が一方側の表面樹脂層としてポリアミド樹脂層を備える場合、樹脂基材の厚さ方向の対称性が低下することから、延伸フィルムにカールが発生することがある。ここで、結晶性脂肪族ポリアミドを含有するポリアミド樹脂層に非晶性半芳香族ポリアミドを加えることにより、延伸フィルムのカールを良好に抑制できる。この理由は定かではないが、本開示者らは以下の通り推測している。結晶性ポリアミドは、結晶性高分子であることから固化する際の体積収縮が大きい。結晶性脂肪族ポリアミドと非晶性半芳香族ポリアミドとを混合することにより、この体積収縮を抑制できる。また、結晶性脂肪族ポリアミドと非晶性半芳香族ポリアミドとを混合することにより、結晶性脂肪族ポリアミドの結晶化度や結晶化速度を調整できる。したがって、カールの抑制、そして平滑性及び光沢性の向上につながったと考えられる。なお、以上の説明は推測であって、何ら本開示を限定しない。
ポリアミド樹脂層における非晶性半芳香族ポリアミドの含有量は、結晶性脂肪族ポリアミド100質量部に対して、好ましくは1質量部以上100質量部以下、より好ましくは5質量部以上60質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上50質量部以下、特に好ましくは15質量部以上40質量部以下である。このような構成により、例えば、上述した物性を向上できる。
一実施形態において、ポリオレフィン樹脂層は、ポリエチレンを含有するポリエチレン樹脂層であり、ポリアミド樹脂層は、結晶性脂肪族ポリアミドを含有する。樹脂基材において、ポリアミド樹脂層に含まれる結晶性脂肪族ポリアミドの融点(Tm1)と、ポリエチレン樹脂層に含まれるポリエチレンの融点(Tm2)との差(Tm1-Tm2)は、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下、さらに好ましくは75℃以下である。このような態様により、例えば、樹脂基材を共押出しにより作製する場合の製膜適性を向上できる。上記差の下限値は、例えば、30℃、40℃又は50℃である。
ポリアミド樹脂層は、添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。添加剤としては、例えば、架橋剤、アンチブロッキング剤、滑(スリップ)剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、染料及び改質用樹脂が挙げられる。
滑剤としては、例えば、炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、エステル系滑剤及び金属石鹸が挙げられる。滑剤は、液状でもよく、固体状でもよい。
炭化水素系滑剤としては、例えば、流動パラフィン、天然パラフィン、ポリエチレンワックス及びマイクロワックスが挙げられる。脂肪酸系滑剤としては、例えば、ステアリン酸及びラウリン酸が挙げられる。脂肪酸アミド系滑剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、アラキジン酸アミド、オレイン酸アミド、メチレンビスステアロアミド及びエチレンビスステアロアミドが挙げられる。エステル系滑剤としては、例えば、ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート及びステアリン酸モノグリセライドが挙げられる。金属石鹸としては、例えば、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウムが挙げられる。
延伸前のポリアミド樹脂層の厚さは、好ましくは3μm以上50μm以下、より好ましくは4μm以上30μm以下、さらに好ましくは5μm以上20μm以下である。延伸後のポリアミド樹脂層の厚さは、好ましくは0.5μm以上20μm以下、より好ましくは0.8μm以上15μm以下、さらに好ましくは1.2μm以上10μm以下である。延伸前又は延伸後のポリアミド樹脂層の厚さが下限値以上であると、例えば、蒸着膜の密着性及び蒸着フィルムのガスバリア性を向上でき、また、樹脂基材の剛性及び強度を向上できる。延伸前又は延伸後のポリアミド樹脂層の厚さが上限値以下であると、例えば、樹脂基材の加工適性を向上できる。
樹脂基材の総厚さに対するポリアミド樹脂層の厚さの割合は、好ましくは1%以上25%以下、より好ましくは3%以上20%以下、さらに好ましくは5%以上15%以下である。このような構成により、例えば、蒸着膜の密着性及び蒸着フィルムのガスバリア性を向上でき、また、樹脂基材を用いてモノマテリアル包装材料を作製した場合のそのリサイクル適性を向上できる。
<接着性樹脂層>
樹脂基材は、一実施形態において、ポリオレフィン樹脂層とポリアミド樹脂層との間に、接着性樹脂層を備える。これにより、例えば、ポリオレフィン樹脂層とポリアミド樹脂層との間の密着性を向上できる。
接着性樹脂層は、例えば、接着性樹脂から構成される。接着性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ビニル樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂が挙げられる。変性ポリオレフィンとしては、ポリオレフィンの変性物、特に酸変性物が挙げられる。変性物としては、例えば、マレイン酸及びフマル酸等の不飽和カルボン酸、又はその酸無水物、エステル若しくは金属塩による、ポリオレフィンのグラフト変性物が挙げられる。接着性樹脂の中でも、モノマテリアル包装材料に適した構成が得られるという観点から、変性ポリオレフィンが好ましく、変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレンがより好ましい。
変性ポリオレフィンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.1g/10分以上50g/10分以下、より好ましくは0.3g/10分以上30g/10分以下、さらに好ましくは0.5g/10分以上10g/10分以下、特に好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。
接着性樹脂層は、接着性樹脂を1種又は2種以上含有できる。
接着性樹脂層の厚さは、例えば、1μm以上15μm以下である。
樹脂基材の総厚さに対する接着性樹脂層の厚さの割合は、好ましくは1%以上25%以下、より好ましくは3%以上20%以下、さらに好ましくは5%以上15%以下である。このような構成により、例えば、樹脂基材を用いてモノマテリアル包装材料を作製した場合のそのリサイクル適性を向上できる。
<樹脂基材>
樹脂基材は、一実施形態において、共押出樹脂フィルムであり、樹脂基材を構成する各層は、共押出樹脂層である。樹脂基材は、例えば、インフレーション法又はTダイ法などを利用して製膜することにより作製できる。
延伸前の樹脂基材の総厚さは、好ましくは30μm以上300μm以下、より好ましくは40μm以上250μm以下、さらに好ましくは50μm以上200μm以下である。延伸後の樹脂基材の総厚さは、好ましくは6μm以上80μm以下、より好ましくは10μm以上60μm以下、さらに好ましくは12μm以上50μm以下である。
本開示において、蒸着膜形成前の、ポリオレフィン樹脂層と、必要に応じて接着性樹脂層と、ポリアミド樹脂層とを備える樹脂基材は、延伸処理を受けていることが好ましい。延伸処理された樹脂基材を「延伸フィルム」ともいう。蒸着膜が形成されるポリアミド樹脂層が延伸されていることにより、例えば、ポリアミド樹脂層の表面平滑性を向上でき、したがって蒸着膜の光沢性を向上できる。
延伸処理により、樹脂基材の耐熱性及び強度を向上できる。延伸は、一軸延伸でもよく、二軸延伸でもよく、一実施形態において、一軸延伸である。延伸フィルムは、一実施形態において、一軸延伸フィルムであり、より具体的には、長手方向(MD)に延伸処理された一軸延伸フィルムである。
延伸フィルムにおける長手方向(MD)の延伸倍率は、一実施形態において、好ましくは2倍以上10倍以下、より好ましくは3倍以上7倍以下である。延伸フィルムにおける横手方向(TD)の延伸倍率は、一実施形態において、好ましくは2倍以上10倍以下、より好ましくは3倍以上7倍以下である。
延伸倍率が2倍以上であると、例えば、樹脂基材の剛性、強度及び耐熱性を向上でき、また、樹脂基材の透明性を向上できる。延伸倍率が10倍以下であると、例えば、フィルムの破断等を起こさず、良好な延伸を実施できる。
延伸フィルムは、例えば、インフレーション法又はTダイ法により、複数の樹脂材料又は樹脂組成物を製膜して積層物を形成し、得られた積層物を延伸することにより製造できる。延伸処理により、樹脂基材の透明性、剛性、強度及び耐熱性を向上できる。インフレーション製膜機において、積層物の延伸も合わせて行うことができる。これにより、延伸フィルムを製造できることから、生産効率を向上できる。
延伸フィルムは、一実施形態において、ポリオレフィン樹脂層と、必要に応じて接着性樹脂層と、ポリアミド樹脂層とを備える積層物(前駆体)を、延伸処理して得られる。具体的には、各層をチューブ状に共押出して製膜し、積層物を製造できる。このような方法により積層物を製造することにより、欠陥品数を低減でき、生産効率を向上できる。
例えばポリオレフィン樹脂層がポリエチレン樹脂層である場合であって、Tダイ法により樹脂基材を製造する場合、ポリエチレン樹脂層を構成するポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは3.0g/10分以上20g/10分以下である。
例えばポリオレフィン樹脂層がポリエチレン樹脂層である場合であって、インフレーション法により樹脂基材を製造する場合、ポリエチレン樹脂層を構成するポリエチレンのMFRは、製膜性及び加工適性という観点から、好ましくは0.5g/10分以上5.0g/10分以下である。
延伸フィルムのヘイズ値は、一実施形態において、20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは13%以下である。ヘイズ値は小さいほど好ましいが、一実施形態において、その下限値は0.1%、1%又は3%であってもよい。延伸フィルムのヘイズ値は、JIS K7136に準拠して測定する。
<蒸着膜>
本開示の蒸着フィルムは、ポリアミド樹脂層上に、具体的にはポリアミド樹脂層におけるポリオレフィン樹脂層側の面とは反対側の面上に、蒸着膜を備える。これにより、例えば、蒸着フィルムのガスバリア性、具体的には、酸素バリア性及び水蒸気バリア性を向上できる。
蒸着膜は、例えば、アルミニウム、クロム、スズ、ニッケル、銅、銀、金及びプラチナなどの金属;又は酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム及び酸化バリウムなどの無機酸化物から構成される。これらの中でも、アルミニウム(Al)蒸着膜などの金属蒸着膜、並びに酸化アルミニウム(アルミナ)蒸着膜及び酸化ケイ素(シリカ)蒸着膜などの無機酸化物蒸着膜が好ましい。
蒸着膜の厚さは、好ましくは1nm以上150nm以下、より好ましくは5nm以上60nm以下、さらに好ましくは10nm以上40nm以下である。蒸着膜の厚さを下限値以上とすることにより、例えば、蒸着フィルムの酸素バリア性及び水蒸気バリア性をより向上できる。蒸着膜の厚さを上限値以下とすることにより、例えば、蒸着膜におけるクラックの発生を抑制できると共に、積層体のリサイクル適性を向上できる。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法などの物理気相成長法(PVD法);並びにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法及び光化学気相成長法などの化学気相成長法(CVD法)が挙げられる。蒸着膜は、物理気相成長法及び化学気相成長法の両者を併用して形成される、異種の無機酸化物の蒸着膜を2層以上含む複合膜でもよい。
蒸着チャンバーの真空度としては、酸素導入前においては、10-2~10-8mbar程度が好ましく、酸素導入後においては、10-1~10-6mbar程度が好ましい。酸素導入量などは、蒸着機の大きさなどによって異なる。導入される酸素には、キャリヤーガスとしてアルゴンガス、ヘリウムガス及び窒素ガスなどの不活性ガスを支障のない範囲で使用してもよい。蒸着膜が形成される樹脂基材の搬送速度は、例えば、10m/min以上800m/min以下である。
蒸着膜の表面には、表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、蒸着膜と、当該蒸着膜に隣接する層との密着性を向上できる。表面処理の方法としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス及び窒素ガスなどのガスを用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理などの物理的処理;並びに化学薬品を用いた酸化処理などの化学的処理が挙げられる。
蒸着膜の表面にバリアコート層を設けてもよい。このような構成により、例えば蒸着膜が酸化アルミニウム及び酸化ケイ素などの無機酸化物から構成される場合、蒸着フィルムのガスバリア性及び印刷適性を効果的に向上でき、また、蒸着膜におけるクラックの発生を効果的に抑制できる。本開示の蒸着フィルムは、一実施形態において、ポリオレフィン樹脂層と、必要に応じて接着性樹脂層と、ポリアミド樹脂層と、蒸着膜と、バリアコート層とを厚さ方向にこの順に備える。
一実施形態において、バリアコート層は、ガスバリア性樹脂から構成される。ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアクリロニトリル;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミドなどのポリアミド;ポリウレタン;並びにポリ塩化ビニリデンが挙げられる。
バリアコート層におけるガスバリア性樹脂の含有割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。このような構成により、例えば、バリアコート層のガスバリア性を向上できる。
バリアコート層の厚さは、好ましくは0.01μm以上10μm以下、より好ましくは0.1μm以上5μm以下である。バリアコート層の厚さを0.01μm以上とすることにより、例えば、ガスバリア性をより向上できる。
バリアコート層は、例えば、ガスバリア性樹脂などの材料を水又は適当な有機溶剤に溶解又は分散させ、得られた塗布液を塗布、乾燥することにより形成できる。
他の実施形態において、バリアコート層は、アルコキシドと、水溶性高分子と、必要に応じてシランカップリング剤とを混合し、水、有機溶剤及びゾルゲル法触媒を添加して得られたガスバリア性組成物を、蒸着膜上に塗布し乾燥することにより形成されるガスバリア性塗布層である。ガスバリア性塗布層は、上記アルコキシド等がゾルゲル法によって加水分解及び重縮合された加水分解重縮合物を含む。以上の各成分は、それぞれ、1種又は2種以上用いることができる。
アルコキシドは、例えば、式(1)で表される。
1 nM(OR2m (1)
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1以上8以下の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。
1及びR2における有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基及びn-オクチル基等の炭素数1以上8以下のアルキル基が挙げられる。
金属原子Mは、例えば、ケイ素、ジルコニウム、チタン又はアルミニウムである。
式(1)で表されるアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン及びテトラブトキシシラン等のアルコキシシランが挙げられる。
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体等の水酸基を有する水溶性高分子が挙げられる。酸素バリア性、水蒸気バリア性、耐水性及び耐候性などの所望の物性に応じて、ポリビニルアルコール及びエチレン-ビニルアルコール共重合体のいずれか一方を用いてもよく、両者を併用してもよく、また、ポリビニルアルコールを用いて得られるガスバリア性塗布層及びエチレン-ビニルアルコール共重合体を用いて得られるガスバリア性塗布層を積層してもよい。水溶性高分子の使用量は、式(1)で表されるアルコキシド100質量部に対して、好ましくは5質量部以上500質量部以下である。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができ、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好ましく、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及びβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。シランカップリング剤の使用量は、式(1)で表されるアルコキシド100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
ガスバリア性組成物の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール及びn-ブチルアルコールが挙げられる。
ゾルゲル法触媒としては、酸又はアミン系化合物が好ましい。
酸としては、例えば、硫酸、塩酸及び硝酸等の鉱酸;並びに酢酸及び酒石酸等の有機酸が挙げられる。酸の使用量は、式(1)で表されるアルコキシドとシランカップリング剤との総モル量1モルに対して、好ましくは0.001モル以上0.05モル以下である。
アミン系化合物としては、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びトリペンチルアミンが挙げられる。アミン系化合物の使用量は、式(1)で表されるアルコキシドとシランカップリング剤との合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上1.0質量部以下である。
ガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコート及びアプリケータ等の塗布手段が挙げられる。
以下、ガスバリア性塗布層の形成方法の一実施形態について説明する。
アルコキシド、水溶性高分子、ゾルゲル法触媒、水、有機溶剤、及び必要に応じてシランカップリング剤等を混合して、ガスバリア性組成物を調製する。組成物中では、次第に重縮合反応が進行する。蒸着膜上に、常法により、上記組成物を塗布し、乾燥する。この乾燥により、アルコキシド及び水溶性高分子(組成物がシランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤も)の重縮合がさらに進行し、複合ポリマーの層が形成される。上記操作を繰り返して、複数の複合ポリマー層を積層してもよい。上記組成物を好ましくは20℃以上250℃以下、より好ましくは50℃以上220℃以下、例えば50℃以上120℃以下の温度で、1秒以上10分間以下加熱する。これにより、ガスバリア性塗布層を形成できる。
アルコキシドを用いたガスバリア性組成物により形成されるガスバリア性塗布層の厚さは、好ましくは0.01μm以上100μm以下、より好ましくは0.1μm以上50μm以下である。これにより、例えば、ガスバリア性を向上でき、蒸着膜におけるクラックの発生を抑制できる。
<印刷層>
本開示の蒸着フィルムは、一実施形態において、印刷層を備えてもよい。
印刷層は、例えば、ポリオレフィン樹脂層における蒸着膜側の面とは反対側の面上に設けられていてもよい。印刷層は、例えば、蒸着膜におけるポリオレフィン樹脂層側の面とは反対側の面上に設けられていてもよい。
印刷層は、例えば、画像を含む。画像としては、例えば、文字、図形、記号及びこれらの組合せが挙げられる。印刷層の形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法及びフレキソ印刷法が挙げられる。一実施形態において、環境負荷低減という観点から、フレキソ印刷法が好ましい。また、環境負荷低減という観点から、バイオマス由来のインキを用いて印刷層を形成してもよい。
[積層体]
本開示の積層体は、本開示の蒸着フィルムと、ポリオレフィンから構成されるヒートシール層とを備える。本開示の積層体は、一実施形態において、蒸着フィルムにおけるヒートシール層側の面上、又はヒートシール層側の面とは反対側の面上に、ポリオレフィンから構成される基材をさらに備える。ヒートシール層は、一実施形態において、上記積層体の一方側の表層である。
本開示において「ポリオレフィンから構成されるAAA」という記載は、当該AAAの主成分がポリオレフィンであることを意味するが、当該AAAがポリオレフィンのみからなる構成に限定されるものではない。当該AAAは、ポリオレフィン以外の他の成分を含有してもよい。具体的には、当該AAAにおけるポリオレフィンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
本開示において「ポリエチレンから構成されるAAA」という記載は、当該AAAの主成分がポリエチレンであることを意味するが、当該AAAがポリエチレンのみからなる構成に限定されるものではない。当該AAAは、ポリエチレン以外の他の成分を含有してもよい。具体的には、当該AAAにおけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
例えばポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレン等が例示されるが、これらは同種の樹脂材料に分類される。一方、例えばポリエチレンとポリエステルとは、同種の樹脂材料には分類されない。
本開示の積層体全体におけるポリオレフィンの含有割合、例えばポリエチレンの含有割合又はポリプロピレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。このような積層体は、同種の樹脂材料であるポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンを使用していることから、いわゆるモノマテリアル材料に分類でき、例えばモノマテリアル包装容器の作製に好適に使用できる。
図3に、本開示の積層体の一実施形態を示す。図3に示す積層体2は、蒸着フィルム1(樹脂基材10/蒸着膜20)と、接着層40と、ポリオレフィンから構成されるヒートシール層50とを厚さ方向にこの順に備える。この実施形態において、蒸着フィルム1は、図示せぬ印刷層をさらに備えてもよい。印刷層は、例えば、蒸着フィルム1におけるポリオレフィン樹脂層12上に設けられていてもよい。印刷層は、例えば、蒸着フィルム1における蒸着膜20上(蒸着膜20と接着層40との間)に設けられていてもよく、この場合、蒸着膜20は透明蒸着膜である。
図4に、本開示の積層体の一実施形態を示す。図4に示す積層体2は、ポリオレフィンから構成される基材30と、接着層40と、蒸着フィルム1(蒸着膜20/樹脂基材10)と、接着層40と、ポリオレフィンから構成されるヒートシール層50とを厚さ方向にこの順に備える。蒸着フィルム1の蒸着膜20は、基材30側を向いている。
図5に、本開示の積層体の一実施形態を示す。図5に示す積層体2は、蒸着フィルム1(樹脂基材10/蒸着膜20)と、接着層40と、ポリオレフィンから構成される基材30と、接着層40と、ポリオレフィンから構成されるヒートシール層50とを厚さ方向にこの順に備える。蒸着フィルム1の蒸着膜20は、基材30側を向いている。
図4及び図5の一実施形態において、積層体2は、基材30上に図示せぬ印刷層をさらに備えてもよい。印刷層は、例えば、基材30における蒸着フィルム1側の面上に形成されている。
<ヒートシール層>
本開示の積層体は、ヒートシール層を備える。
ヒートシール層は、熱によって相互に融着し得る樹脂材料である、ポリオレフィンから構成される。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン及びポリメチルペンテンが挙げられる。具体的には、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-プロピレン共重合体等のエチレン-α-オレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、及びエチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体が挙げられる。
ヒートシール層を構成する樹脂材料は、一実施形態において、蒸着フィルムにおけるポリオレフィン樹脂層を構成する樹脂材料と同種の樹脂材料であるポリオレフィンである。このような構成を有する積層体は、モノマテリアル包装容器を作製するための積層体として好適に使用できる。
ヒートシール層は、ポリオレフィンを1種又は2種以上含有できる。
ヒートシール層は、ヒートシール性及びリサイクル適性という観点から、好ましくはポリエチレン又はポリプロピレンから構成され、より好ましくはポリエチレンから構成され、該ポリエチレンとしては、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン又は直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィンの詳細は、ポリオレフィン樹脂層の欄にて説明したとおりであり、ここでの記載は省略する。
ヒートシール層におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。このような構成により、例えば、積層体のリサイクル適性を向上できる。
ヒートシール層は、ヒートシール性という観点から、好ましくは未延伸フィルムである。未延伸フィルムとは、延伸処理を受けていないフィルムをいい、例えば、押出成形されたフィルムであって、延伸処理を受けていないフィルムである。延伸処理の詳細については上述したとおりである。
ヒートシール層は、上記添加剤を1種又は2種以上含有できる。
ヒートシール層は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。ヒートシール層の層数は、一実施形態において、2層以上7層以下であり、例えば、3層以上7層以下、又は3層以上5層以下である。ヒートシール層の層数は、一実施形態において奇数であり、例えば、3層、5層又は7層である。
ヒートシール層の厚さは、好ましくは10μm以上300μm以下、より好ましくは15μm以上250μm以下である。ヒートシール層の厚さは、強度及び加工適性という観点から、例えば、包装容器中に収容される内容物の質量に応じ適宜変更することが好ましい。
<基材>
基材は、ポリオレフィンから構成される。
基材を構成する樹脂材料は、一実施形態において、ヒートシール層を構成する樹脂材料や、蒸着フィルムにおけるポリオレフィン樹脂層を構成する樹脂材料と同種の樹脂材料であるポリオレフィンである。このような構成を有する積層体は、モノマテリアル包装容器を作製するための積層体として好適に使用できる。
基材は、包装容器のリサイクル適性という観点から、好ましくはポリエチレン又はポリプロピレンから構成され、より好ましくはポリエチレンから構成される。ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィンの詳細は、ポリオレフィン樹脂層の欄にて説明したとおりであり、ここでの記載は省略する。
以下、ポリエチレンから構成される基材について具体的に説明する。
ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及び超低密度ポリエチレンが挙げられる。基材の強度及び耐熱性という観点から、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンが好ましく、延伸適性という観点から、中密度ポリエチレンが好ましい。
基材は、ポリエチレンを1種又は2種以上含有できる。
基材におけるポリエチレンの含有割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。このような構成により、例えば、積層体のリサイクル適性を向上できる。
基材が多層構造を有する場合は、基材を構成する各層におけるポリエチレンの含有割合は、それぞれ独立に、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。このような構成により、例えば、積層体のリサイクル適性を向上できる。
基材は、ポリエチレン以外の樹脂材料を1種又は2種以上含有してもよい。当該樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、(メタ)アクリル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド、ポリエステルおよびアイオノマー樹脂が挙げられる。基材は、そのリサイクル適性という観点から、ポリエチレン以外の樹脂材料を含有しないことが特に好ましい。
基材は、上記添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。
基材のヘイズ値は、好ましくは25%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。ヘイズ値は小さいほど好ましいが、一実施形態において、その下限値は0.1%又は1%であってもよい。基材のヘイズ値は、JIS K7136に準拠して測定する。
基材の厚さは、好ましくは10μm以上60μm以下、より好ましくは15μm以上50μm以下である。基材の厚さが10μm以上であると、例えば、積層体の剛性及び強度を向上できる。基材の厚さが60μm以下であると、例えば、積層体の加工適性を向上できる。
基材は、単層構造を有してもよく、多層構造を有してもよい。以下、多層構造を有する基材を「多層基材」ともいう。多層基材は、その強度、耐熱性及び延伸適性を向上できるという観点から好ましい。
多層基材において、各層を構成するポリエチレンの密度は同一でもよく、異なってもよい。例えば、多層基材は、各層の密度に勾配(密度勾配)を有してもよい。多層基材に密度勾配を設けることにより、例えば、その強度、耐熱性及び延伸適性を向上できる。
密度勾配を有する多層基材において、隣接する任意の二層の密度差の絶対値は小さいことが好ましい。上記密度差の絶対値は、好ましくは0.040g/cm3以下、より好ましくは0.030g/cm3以下、さらに好ましくは0.020g/cm3以下である。このような構成により、例えば、各層の界面における剥離(デラミネーション)の発生を効果的に抑制できる。
本開示において、各層の密度は、上記JIS K7112に準拠して測定してもよく、当該層を構成する成分の密度から算出してもよい。例えば、一つの層中に、密度が異なる成分(例えばポリエチレン)が複数種(n種;nは2以上の整数)含まれる場合は、下記式(f1)に従い計算された平均密度Davを、当該層の密度としてもよい。
av = ΣWi×Di …(f1)
式(f1)中、Σは、iについて1~nまでWi×Diの和を取ることを意味し、nは2以上の整数であり、Wiはi番目の成分の質量分率を示し、Diはi番目の成分の密度(g/cm3)を示す。
基材は、延伸処理が施されていることが好ましく、以下、このような基材を「延伸基材」ともいう。基材は、延伸処理が施された多層基材であることがより好ましい。以下、このような基材を「延伸多層基材」ともいう。延伸処理により、例えば、基材の耐熱性及び強度を向上できる。このような延伸基材、特に延伸多層基材は、例えば包装材料の外層として要求される物性を満足できる。
延伸は、一軸延伸でもよく、二軸延伸でもよい。延伸基材における長手方向(MD)の延伸倍率は、一実施形態において、好ましくは2倍以上10倍以下、より好ましくは3倍以上7倍以下である。延伸基材における横手方向(TD)の延伸倍率は、一実施形態において、好ましくは2倍以上10倍以下、より好ましくは3倍以上7倍以下である。
延伸倍率が2倍以上であると、例えば、基材の剛性、強度及び耐熱性を向上でき、基材への印刷適性を向上でき、また、基材の透明性を向上できる。延伸倍率が10倍以下であると、例えば、フィルムの破断等を起こさず、良好な延伸を実施できる。
延伸基材は、一実施形態において、一軸延伸フィルムであり、より具体的には、長手方向(MD)に延伸処理された一軸延伸フィルムである。
延伸多層基材は、2層以上の多層構造を有する。延伸多層基材の層数は、一実施形態において、2層以上7層以下であり、例えば、3層以上7層以下、又は3層以上5層以下である。延伸多層基材の層数は、奇数であることが好ましく、例えば、3層、5層又は7層である。延伸多層基材が多層構造を有することにより、基材の剛性、強度、耐熱性、印刷適性及び延伸性のバランスを向上できる。延伸多層基材の各層も、それぞれポリエチレンから構成されることが好ましい。
延伸多層基材等の基材には、上述した表面処理が施されていてもよい。これにより、例えば、基材と、基材に積層される層との密着性を向上できる。延伸多層基材等の基材の表面に、従来公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。
延伸多層基材は、例えば、インフレーション法又はTダイ法により、複数の樹脂材料又は樹脂組成物を製膜して積層物を形成し、得られた積層物を延伸することにより製造できる。延伸処理により、基材の透明性、剛性、強度及び耐熱性を向上でき、該基材を例えば包装材料の基材として好適に使用できる。
延伸多層基材は、一実施形態において、多層構造を有する積層物(前駆体)を、延伸処理して得られる。具体的には、各層を構成する樹脂材料をチューブ状に共押出して製膜し、積層物を製造できる。あるいは、各層を構成する樹脂材料をチューブ状に共押出し、次いで、対向する層同士をゴムロールなどにより圧着することによって、積層物を製造できる。このような方法により積層物を製造することにより、欠陥品数を顕著に低減でき、生産効率を向上できる。
例えば延伸多層基材がポリエチレンから構成される場合であって、Tダイ法により多層基材を製造する場合、多層基材の各層を構成するポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、製膜性、及び多層基材の加工適性という観点から、好ましくは3g/10分以上20g/10分以下である。
例えば延伸多層基材がポリエチレンから構成される場合であって、インフレーション法により多層基材を製造する場合、多層基材の各層を構成するポリエチレンのMFRは、製膜性、及び多層基材の加工適性という観点から、好ましくは0.5g/10分以上5g/10分以下である。
延伸多層基材は、例えば、上述した積層物を延伸して得られる。好ましい延伸倍率は、上述したとおりである。なお、インフレーション製膜機において、積層物の延伸も合わせて行うことができる。これにより、延伸多層基材を製造できることから、生産効率をより向上できる。
以下、延伸多層基材の実施形態について、数例を説明する。以下、ポリエチレンの含有割合が80質量%以上である層を「ポリエチレン層」と記載する。例えば高密度ポリエチレンの含有割合が80質量%以上である層を「高密度ポリエチレン層」と記載する。
第1の実施形態の延伸多層基材は、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、基材の印刷適性を向上でき、強度及び耐熱性を向上でき、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。
中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの上記ブレンド層における、中密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン)は、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
第2の実施形態の延伸多層基材は、中密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、基材の印刷適性を向上でき、強度及び耐熱性を向上でき、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。
中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンの上記ブレンド層における、中密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン)は、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
第3の実施形態の延伸多層基材は、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、直鎖状低密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、基材の印刷適性を向上でき、強度及び耐熱性を向上でき、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。
中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンの上記ブレンド層における、中密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン)は、それぞれ独立に、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
中密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンの上記ブレンド層における、中密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン)は、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
第4の実施形態の延伸多層基材は、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン層と、直鎖状低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、基材の印刷適性を向上でき、強度及び耐熱性を向上でき、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。
高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンの上記ブレンド層における、中密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとの質量比(中密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン)は、それぞれ独立に、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
直鎖状低密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層における、直鎖状低密度ポリエチレンと中密度ポリエチレンとの質量比(直鎖状低密度ポリエチレン/中密度ポリエチレン)は、好ましくは0.25以上4以下、より好ましくは0.4以上2.4以下である。
第1~第4の実施形態の延伸多層基材において、2つの表面樹脂層のそれぞれの厚さは、それぞれ独立に、好ましくは0.5μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上8μm以下、さらに好ましくは1μm以上5μm以下である。これにより、例えば、基材の耐熱性及び印刷適性をより向上できる。
第1~第4の実施形態の延伸多層基材において、2つの表面樹脂層のそれぞれの厚さは、内側3層(多層中間層)の合計厚さよりも小さいことが好ましい。2つの表面樹脂層のそれぞれの厚さと、多層中間層の合計厚さとの比(表面樹脂層/多層中間層)は、好ましくは0.05以上0.8以下、より好ましくは0.1以上0.7以下、さらに好ましくは0.1以上0.4以下である。これにより、例えば、基材の剛性、強度及び耐熱性をより向上できる。
第5の実施形態の延伸多層基材は、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える。基材の表面樹脂層が高密度ポリエチレン層であることにより、例えば、基材の強度及び耐熱性を向上できる。基材が中密度ポリエチレン層を備えることにより、例えば、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。
第6の実施形態の延伸多層基材は、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、基材の強度及び耐熱性を向上でき、基材におけるカールの発生を抑制でき、延伸前積層物の延伸適性を向上できる。
第5~第6の実施形態の延伸多層基材において、高密度ポリエチレン層の厚さは、中密度ポリエチレン層の厚さ以下であることが好ましい。高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比は、好ましくは0.1以上1以下、より好ましくは0.2以上0.5以下である。
第7の実施形態の延伸多層基材は、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層と、低密度ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層又は超低密度ポリエチレン層(記載簡略化のため、これらの3層をまとめて「低密度ポリエチレン層等」と記載する。)と、中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える。このような構成とすることにより、例えば、延伸前積層物の延伸適性を向上でき、基材の強度及び耐熱性を向上でき、基材におけるカールの発生を抑制できる。
第7の実施形態の延伸多層基材において、高密度ポリエチレン層の厚さは、中密度ポリエチレン層の厚さ以下であることが好ましい。高密度ポリエチレン層の厚さと、中密度ポリエチレン層の厚さとの比は、好ましくは0.1以上1以下、より好ましくは0.2以上0.5以下である。
第7の実施形態の延伸多層基材において、高密度ポリエチレン層の厚さは、低密度ポリエチレン層等の厚さ以上であることが好ましい。高密度ポリエチレン層の厚さと、低密度ポリエチレン層等の厚さとの比は、好ましくは1以上4以下、より好ましくは1以上2以下である。
他の実施形態の延伸多層基材として、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンのブレンド層と、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレンとを、厚さ方向にこの順に備える基材;中密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、直鎖状低密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン層と、中密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える基材も挙げられる。
また、高密度ポリエチレン層と、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレのブレンド層と、低密度ポリエチレン層等と、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンのブレンド層と、高密度ポリエチレン層とを、厚さ方向にこの順に備える基材も挙げられる。
<印刷層>
本開示の積層体は、一実施形態において、上述した基材上に形成された印刷層をさらに備える。本開示の積層体は、一実施形態において、画像の経時的な劣化を抑制できることから、基材におけるヒートシール層側の面上に印刷層を備えることが好ましい。
印刷層は、例えば、画像を含む。画像としては、例えば、文字、図形、記号及びこれらの組合せが挙げられる。印刷層の形成方法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法及びフレキソ印刷法が挙げられる。一実施形態において、環境負荷低減という観点から、フレキソ印刷法が好ましい。また、環境負荷低減という観点から、バイオマス由来のインキを用いて基材の表面に印刷層を形成してもよい。
<接着層>
本開示の積層体は、一実施形態において、基材と蒸着フィルムとの間や、基材又は蒸着フィルムとヒートシール層との間などの任意の層間に、接着層を備える。これにより、基材と蒸着フィルムとの密着性や、他の層間の密着性を向上できる。
接着層は、接着剤を1種又は2種以上含有する。接着剤としては、例えば、1液硬化型の接着剤、2液硬化型の接着剤、及び非硬化型の接着剤が挙げられる。
接着剤は、無溶剤型の接着剤でもよく、溶剤型の接着剤でもよい。接着剤としては、例えば、ポリエーテル系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ゴム系接着剤、ビニル系接着剤、フェノール系接着剤及びオレフィン系接着剤が挙げられる。
接着層は、上記添加剤を1種又は2種以上含有してもよい。
接着層の厚さは、好ましくは0.5μm以上10μm以下、より好ましくは0.8μm以上8μm以下、さらに好ましくは1μm以上6μm以下である。接着層の厚さが下限値以上であると、例えば、層間の密着性を向上できる。接着層の厚さが上限値以下であると、例えば、包装容器のリサイクル適性を向上できる。
接着層は、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法及びトランスファーロールコート法などの方法により、対象上に接着剤を塗布し、必要に応じて乾燥することにより形成できる。
[用途]
本開示の蒸着フィルム又は積層体は、包装材料用途に好適に使用できる。包装材料は、包装容器を作製するために使用される。包装材料は、本開示の積層体を備える。本開示の積層体を備える包装材料を少なくとも用いることにより、包装容器を作製できる。
包装容器は、本開示の蒸着フィルム又は積層体を備える。包装容器としては、例えば、包装袋、チューブ容器、及び蓋付き容器が挙げられる。蓋付き容器は、収容部を有する容器本体と、収容部を封止するように容器本体に接合(ヒートシール)された蓋材とを備える。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール及び超音波シールが挙げられる。
包装袋としては、例えば、スタンディングパウチ型、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型及びガゼット型などの種々の形態の包装袋が挙げられる。
包装袋は、易開封部を備えてもよい。易開封部としては、例えば、包装袋の引き裂きの起点となるノッチ部や、包装袋を引き裂く際の経路として、レーザー加工やカッターなどにより形成されたハーフカット線が挙げられる。
一実施形態において、本開示の積層体を、ヒートシール層が内側に位置するように二つ折にして重ね合わせ、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。他の実施形態において、複数の本開示の積層体をヒートシール層同士が対向するように重ね合わせ、その端部等をヒートシールすることにより、包装袋を作製できる。包装袋の全部が上記積層体で構成されてもよく、包装袋の一部が上記積層体で構成されてもよい。
一実施形態において、蓋付き容器における蓋材として、本開示の積層体が用いられる。
包装容器中に収容される内容物としては、例えば、液体、固体、粉体及びゲル体が挙げられる。内容物は、飲食品でもよく、化学品、化粧品及び医薬品等の非飲食品でもよい。内容物は、冷凍食品でもよく、レトルト食品でもよい。包装容器中に内容物を収容した後、包装容器の開口部をヒートシールすることにより、包装容器を密封できる。
本開示は、例えば以下の[1]~[15]に関する。
[1]樹脂基材と蒸着膜とを備える蒸着フィルムであって、樹脂基材が、ポリオレフィン樹脂層と、ポリアミド樹脂層とを備え、蒸着膜が、ポリアミド樹脂層上に設けられており、ポリアミド樹脂層が、脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含有する、蒸着フィルム。
[2]ポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレン樹脂層又はポリプロピレン樹脂層である、上記[1]に記載の蒸着フィルム。
[3]ポリアミド樹脂層における脂肪族ポリアミドの含有割合が、50質量%超99質量%以下である、上記[1]又は[2]に記載の蒸着フィルム。
[4]ポリアミド樹脂層における半芳香族ポリアミドの含有量が、脂肪族ポリアミド100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の蒸着フィルム。
[5]脂肪族ポリアミドが、融点が170℃以上230℃以下の結晶性脂肪族ポリアミドである、上記[1]~[4]のいずれかに記載の蒸着フィルム。
[6]ポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレンを含有するポリエチレン樹脂層であり、ポリアミド樹脂層に含まれる結晶性脂肪族ポリアミドの融点(Tm1)と、ポリエチレン樹脂層に含まれるポリエチレンの融点(Tm2)との差(Tm1-Tm2)が、90℃以下である、上記[5]に記載の蒸着フィルム。
[7]樹脂基材が、ポリオレフィン樹脂層とポリアミド樹脂層との間に、接着性樹脂層をさらに備える、上記[1]~[6]のいずれかに記載の蒸着フィルム。
[8]樹脂基材が、共押出樹脂フィルムであり、蒸着膜が、共押出樹脂フィルムのポリアミド樹脂層上に設けられている、上記[1]~[7]のいずれかに記載の蒸着フィルム。
[9]樹脂基材が、延伸フィルムであり、蒸着膜が、延伸フィルムのポリアミド樹脂層上に設けられている、上記[1]~[8]のいずれかに記載の蒸着フィルム。
[10]上記[1]~[9]のいずれかに記載の蒸着フィルムと、ポリオレフィンから構成されるヒートシール層とを備える、積層体。
[11]蒸着フィルムにおけるヒートシール層側の面上、又はヒートシール層側の面とは反対側の面上に、ポリオレフィンから構成される基材をさらに備える、上記[10]に記載の積層体。
[12]ヒートシール層を構成するポリオレフィンが、ポリエチレン又はポリプロピレンであり、基材を構成するポリオレフィンが、ポリエチレン又はポリプロピレンである、上記[11]に記載の積層体。
[13]積層体が、ポリオレフィンから構成される基材上に印刷層をさらに備える、上記[11]又は[12]に記載の積層体。
[14]上記[10]~[13]のいずれかに記載の積層体からなる包装材料。
[15]上記[1]~[9]のいずれかに記載の蒸着フィルム、又は上記[10]~[13]のいずれかに記載の積層体を備える、包装容器。
本開示の蒸着フィルムについて実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本開示の蒸着フィルムは実施例によって限定されるものではない。以下、「質量部」は単に「部」と記載する。
[樹脂材料]
以下の樹脂材料を用いた。
・ポリエチレンA:Dow Chemical社製、ELITE5538G、
中密度ポリエチレン(MDPE)、密度:0.941g/cm3
融点:129℃、MFR:1.3g/10分
・ナイロン6/66A:宇部興産社製、5033B、
密度:1.14g/cm3、融点:196℃、
粘度数:249、相対粘度:4.05
・ナイロン6/66B:BASF社製、Ultramid C40LN、
密度:1.12g/cm3、融点:189℃、
粘度数:250、相対粘度:4.0
・ナイロン6/66C:BASF社製、Ultramid C33、
密度:1.12g/cm3、融点:196℃、
粘度数:195、相対粘度:3.3
・バリア改質剤A:EMS社製
Grivory G21、非晶性半芳香族ポリアミド、
密度:1.18g/cm3、ガラス転移温度:125℃、
MVR:20cm3/10分
・接着性樹脂A:三井化学社製、ADMER AT1955E、
密度:0.89g/cm3、MFR:2.6g/10分
[実施例1]
80部のナイロン6/66Aと20部のバリア改質剤Aとの混合物、接着性樹脂A、ポリエチレンA、ポリエチレンA及びポリエチレンAを用いて、インフレーション成形法により5層共押出製膜し、厚さ10μmのポリアミド樹脂層(第1の樹脂層、PA樹脂層)と、厚さ10μmの接着性樹脂層(第2の樹脂層)と、厚さ80μmかつ3層のポリエチレン樹脂層(第3~第5の樹脂層、PE樹脂層)とからなるフィルムを得た。フィルムを長手方向(MD)に4倍延伸し、厚さ25μmの延伸フィルムを得た。延伸フィルムは、厚さ2.5μmのポリアミド樹脂層と、厚さ2.5μmの接着性樹脂層と、厚さ20μmかつ3層のポリエチレン樹脂層とからなる。
延伸フィルムのポリアミド樹脂層の面に、PVD法により、厚さ30nmのAl蒸着膜を形成し、蒸着フィルムを得た。形成された蒸着膜の光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
[実施例2~3及び参考例1~3]
ポリアミド樹脂層の配合組成、各層の厚さ、及び延伸倍率を表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、フィルム、延伸フィルム及び蒸着フィルムを得た。
[比較例1]
ポリエチレンAを用いて、インフレーション成形法により5層共押出製膜し、厚さ125μmかつ5層のポリエチレン樹脂層(第1~第5の樹脂層)からなるフィルムを得た。フィルムを長手方向(MD)に5倍延伸し、厚さ25μmの延伸フィルムを得た。
延伸フィルムのポリエチレン樹脂層の面に、PVD法により、厚さ30nmのAl蒸着膜を形成し、蒸着フィルムを得た。形成された蒸着膜の光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
[評価方法]
<光学濃度>
蒸着膜の光学濃度(OD値)は、以下の様にして求めた。ヘーズメーターHM-150(村上色彩技術研究所社)を用いて、入口開口φ20mm、光束φ14mmにおける全光線透過率(Tt)を求めた。全光線透過率は、JIS K7361に準拠している。算出された全光線透過率を用いて以下の式に代入し、光学濃度を算出した。測定結果を表1に示す。
光学濃度(OD値)= -log10(全光線透過率/100)
<透明性>
延伸フィルムについて、ヘーズメーターHM-150(村上色彩技術研究所社)を用いて、入口開口φ20mm、光束φ14mmにおけるヘイズ(H)を求めた。ヘイズは、JIS K7136に準拠している。測定結果を表1に示す。
<表面粗さ(Rа)>
延伸フィルムにおけるポリアミド樹脂層(比較例1の場合はポリエチレン樹脂層)の算術平均表面粗さ(Rа)を、原子間力顕微鏡(Bruker社製、Atomic Fоrce Micrоscоpy)を用いて、15μm×15μmの範囲において測定した。測定結果を表1に示す。
<延伸フィルムのカール性評価>
延伸フィルムのカール面を上にした状態で10cm角にカットした。四隅が2cmずつ残るように2つの対角線に沿って延伸フィルムをカットした(図6参照)。得られた試験片を用いて4つの測定位置のカールの評価をした。評価基準は、以下の通りである。評価結果を表1に示す。
(評価基準)
AA:カールが全くしていない。
BB:対角線にカットした延伸フィルムの先端がやや反っている。
CC:対角線にカットした延伸フィルムの先端が反っている。
DD:カールしている。
<ガスバリア性評価>
実施例、参考例及び比較例で得られた蒸着フィルムの酸素透過度(cc/m2・day・atm)及び水蒸気透過度(g/m2・day)を、以下の方法により測定した。測定結果を表1に示す。
酸素透過度測定装置(MOCON社製、OX-TRAN2/20)を用いて、蒸着フィルムの第5の樹脂層面が酸素供給側を向くようにセットして、JIS K7126に準拠して、23℃、相対湿度65%RH環境下における酸素透過度を測定した。
水蒸気透過度測定装置(MOCON社製、PERMATRAN-w 3/33)を用いて、蒸着フィルムの第5の樹脂層面が水蒸気供給側を向くようにセットして、JIS K7129に準拠して、40℃、相対湿度90%RH環境下における水蒸気透過度を測定した。
<外観品質特性>
透明粘着シート(日東電工社製、LUCIACS CS9862UAS)を用いた。透明粘着シートは、第1の主面と、第2の主面とを有する。蒸着フィルムの第5の樹脂層面と透明粘着シートの第1の主面とを貼り合わせ、透明粘着シートの第2の主面とガラス板(東京特殊硝子社製、カットガラス Eagle XG)とを貼り合わせた。このようにして、試験体を得た。試験体のガラス板下に黒紙を敷いた。蒸着フィルムにおける延伸フィルムの延伸方向と光沢計(コニカミノルタ社製、Rhopoint IQ-S)の光源方向とが平行になるように、両者をセットした。蒸着フィルムの蒸着膜について、20°光沢度(JIS Z8741に準拠)、反射ヘイズ(ASTM E430に準拠)、像鮮明度(ASTM D5767に準拠)及び正反射ピーク値(Rspec)を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2023020735000002
1 :蒸着フィルム
2 :積層体
10:樹脂基材
12:ポリオレフィン樹脂層
13:接着性樹脂層
14:ポリアミド樹脂層
20:蒸着膜
30:基材
40:接着層
50:ヒートシール層

Claims (15)

  1. 樹脂基材と蒸着膜とを備える蒸着フィルムであって、
    前記樹脂基材が、ポリオレフィン樹脂層と、ポリアミド樹脂層とを備え、
    前記蒸着膜が、前記ポリアミド樹脂層上に設けられており、
    前記ポリアミド樹脂層が、脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含有する、
    蒸着フィルム。
  2. 前記ポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレン樹脂層又はポリプロピレン樹脂層である、請求項1に記載の蒸着フィルム。
  3. 前記ポリアミド樹脂層における前記脂肪族ポリアミドの含有割合が、50質量%超99質量%以下である、請求項1又は2に記載の蒸着フィルム。
  4. 前記ポリアミド樹脂層における前記半芳香族ポリアミドの含有量が、前記脂肪族ポリアミド100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の蒸着フィルム。
  5. 前記脂肪族ポリアミドが、融点が170℃以上230℃以下の結晶性脂肪族ポリアミドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の蒸着フィルム。
  6. 前記ポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレンを含有するポリエチレン樹脂層であり、
    前記ポリアミド樹脂層に含まれる結晶性脂肪族ポリアミドの融点(Tm1)と、前記ポリエチレン樹脂層に含まれるポリエチレンの融点(Tm2)との差(Tm1-Tm2)が、90℃以下である、請求項5に記載の蒸着フィルム。
  7. 前記樹脂基材が、前記ポリオレフィン樹脂層と前記ポリアミド樹脂層との間に、接着性樹脂層をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の蒸着フィルム。
  8. 前記樹脂基材が、共押出樹脂フィルムであり、前記蒸着膜が、前記共押出樹脂フィルムの前記ポリアミド樹脂層上に設けられている、請求項1~7のいずれか一項に記載の蒸着フィルム。
  9. 前記樹脂基材が、延伸フィルムであり、前記蒸着膜が、前記延伸フィルムの前記ポリアミド樹脂層上に設けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の蒸着フィルム。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の蒸着フィルムと、
    ポリオレフィンから構成されるヒートシール層と
    を備える、積層体。
  11. 前記蒸着フィルムにおけるヒートシール層側の面上、又はヒートシール層側の面とは反対側の面上に、ポリオレフィンから構成される基材をさらに備える、請求項10に記載の積層体。
  12. 前記ヒートシール層を構成するポリオレフィンが、ポリエチレン又はポリプロピレンであり、前記基材を構成するポリオレフィンが、ポリエチレン又はポリプロピレンである、請求項11に記載の積層体。
  13. 前記積層体が、ポリオレフィンから構成される前記基材上に印刷層をさらに備える、請求項11又は12に記載の積層体。
  14. 請求項10~13のいずれか一項に記載の積層体からなる包装材料。
  15. 請求項1~9のいずれか一項に記載の蒸着フィルム、又は
    請求項10~13のいずれか一項に記載の積層体
    を備える、包装容器。
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