JP2023117057A - 洗濯機 - Google Patents
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Abstract
【課題】より適切な回転制御を行うことができる洗濯機を提供することである。【解決手段】実施形態の洗濯機は、水槽と、回転槽と、モータと、センサと、調整部と、判定部とを備える。前記回転槽は、前記水槽内に配置されて衣類が収容される。前記モータは、前記回転槽を回転駆動する。前記センサは、前記水槽に関連して配置され、第1方向の振動に関する第1検出値と、前記第1方向とは異なる第2方向の振動に関する第2検出値とを検出可能である。前記調整部は、前記第1検出値の検出結果に基づき、前記第2検出値の検出結果を補正する、または前記第2検出値に関する判定に用いられる閾値を変更する。前記判定部は、前記調整部により補正された前記第2検出値の検出結果、または前記調整部により変更された前記閾値に基づき、前記回転槽の回転制御に関する判定を行う。【選択図】図3
Description
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
水槽の前端部に設けられた第1加速度センサの検出結果と、水槽の後端部に設けられた第2加速度センサの検出結果とに基づき、回転槽の回転制御を行う洗濯機が知られている。ところで洗濯機は、低コスト化を進める場合、振動状況に応じた回転制御が難しくなる場合がある。
本発明が解決しようとする課題は、より適した回転制御を行うことができる洗濯機を提供することである。
実施形態の洗濯機は、水槽と、回転槽と、モータと、センサと、調整部と、判定部とを備える。前記回転槽は、前記水槽内に配置されて衣類が収容される。前記モータは、前記回転槽を回転駆動する。前記センサは、前記水槽に関連して配置され、第1方向の振動に関する第1検出値と、前記第1方向とは異なる第2方向の振動に関する第2検出値とを検出可能である。前記調整部は、前記第1検出値の検出結果に基づき、前記第2検出値の検出結果を補正する、または前記第2検出値に関する判定に使用される閾値を変更する。前記判定部は、前記調整部により補正された前記第2検出値の検出結果、または前記調整部により変更された前記閾値に基づき、前記回転槽の回転制御に関する判定を行う。
以下、実施形態の洗濯機を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。本出願で「洗濯機」とは、乾燥機能を有する洗濯乾燥機も含み得る。本出願で「回転数」とは、単位時間当たりの回転数を意味する。すなわち「回転数」とは「回転速度」に相当する意味で用いられる。
(第1実施形態)
まず第1実施形態として、第1方向の振動に関する第1検出値の検出結果に基づき、第2方向の振動に関する第2検出値と比較される閾値が変更される例について説明する。第1検出値の検出結果に基づき第2検出値の検出結果が補正される例については、第1実施形態の変形例として後述する。
まず第1実施形態として、第1方向の振動に関する第1検出値の検出結果に基づき、第2方向の振動に関する第2検出値と比較される閾値が変更される例について説明する。第1検出値の検出結果に基づき第2検出値の検出結果が補正される例については、第1実施形態の変形例として後述する。
<1.洗濯乾燥機の全体構成>
図1は、第1実施形態の洗濯乾燥機1の全体構成を示す断面図である。洗濯乾燥機1は、「洗濯機」の一例である。洗濯乾燥機1は、例えば、ドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、例えば、筐体(外箱)11、扉12、操作部PU、水槽13、ドラム14、ベローズ15、ドラムモータ16、第1弾性支持部17、第2弾性支持部18、減衰装置19、給水弁21、注水ケース22、注水管23、排水管24、温風供給機構30、および制御装置50(図3参照)を有する。
図1は、第1実施形態の洗濯乾燥機1の全体構成を示す断面図である。洗濯乾燥機1は、「洗濯機」の一例である。洗濯乾燥機1は、例えば、ドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、例えば、筐体(外箱)11、扉12、操作部PU、水槽13、ドラム14、ベローズ15、ドラムモータ16、第1弾性支持部17、第2弾性支持部18、減衰装置19、給水弁21、注水ケース22、注水管23、排水管24、温風供給機構30、および制御装置50(図3参照)を有する。
筐体11は、前板、後板、左側板、右側板、底板、および天板を有し、中空状に形成されている。筐体11の前板には、貫通孔である出入口11aが設けられている。扉12は、筐体11の前板に装着されている。扉12は、出入口11aを開閉可能に閉じている。
操作部PUは、例えば、筐体11の前上端部に設けられている。操作部PUは、複数のボタンまたはタッチパネルを含み、ユーザによる運転コースの選択を受け付ける。運転コースとしては、例えば、標準コース、時短コース(お急ぎコース)、おしゃれ着コース(丁寧洗いコース)、静音コースなどが挙げられる。時短コースは、標準コースと比べて短い運転時間で洗濯運転を完了するコースである。静音コースは、標準コースと比べて騒音を抑制する(すなわち水槽13またはドラム14の振動を抑制する)コースである。
水槽13は、筐体11の内部に設けられている。水槽13は、後面が閉塞された円筒状に形成されている。水槽13は、後下がりに傾斜した状態で配置されている。水槽13の前面は、開口を有する。出入口11aに対する扉12の閉塞状態では、扉12が水槽13の前面の開口を気密状態に閉塞する。
水槽13は、ドラムモータ16の軸方向の両端部として、後端部13e1と、前端部13e2とを有する。後端部13e1は、軸方向の両端部のうちドラムモータ16に近い端部である。一方で、前端部13e2は、後端部13e1とは反対側に位置した端部であり、軸方向の両端部のうちドラムモータ16から遠い端部である。「軸方向」は、ドラム14の径方向および周方向とは交差する方向である。「軸方向」は、「回転軸方向」と称されてもよい。
ドラム14は、水槽13内に配置されている。ドラム14は、衣類(洗濯物)が収容される収容室である。ドラム14は、円筒状であり、水槽13内で回転可能に支持されている。ドラム14は、前後方向に延び且つ水平からやや後下がりに傾斜した傾斜軸(中心軸CL)を中心に回転するように構成されている。ドラム14は、「回転槽」の一例である。ドラム14は、「洗濯槽」と称されてもよい。
ドラム14の周壁部および後壁部には、通水および通気用の多数の孔14aが設けられている。ドラム14の周壁部の内面には、洗濯物攪拌用の複数のバッフル14bが設けられている。ドラム14内の洗濯物は、各バッフル14bに引っ掛かりながら円周方向へ移動した後に重力で落下することで撹拌される。ドラム14の前面部には、洗濯物が出し入れされる円形の開口部が設けられている。水槽13の前面部には、ドラム14の開口部に連なる投入口13aが設けられている。水槽13の投入口13aと筐体11の出入口11aとはベローズ15を介して連通している。
ドラムモータ16は、水槽13の後方に設けられている。ドラムモータ16は、洗濯乾燥機1の駆動機構を構成する。ドラムモータ16は、例えば、三相交流モータである。ただし、ドラムモータ16は、速度制御可能な直流モータなどでもよい。ドラムモータ16の回転軸16aの先端は、水槽13の背面を貫通して水槽13内に突出し、ドラム14の後端部14e1の中心部に連結固定されている。これにより、ドラム14は、ドラムモータ16により直接的に回転駆動される。ドラム14は、脱水動作において、正転方向(例えば正面から見て時計回り方向)に連続回転される。ドラム14は、洗い動作、すすぎ動作、および乾燥動作において、正転と反転が繰り返される。ドラムモータ16は、「モータ」の一例である。
第1弾性支持部17は、例えばばねを含み、弾性を有する。例えば、第1弾性支持部17は、水槽13の上側に配置されている。第1弾性支持部17の上端部は、筐体11の天板に接続されている。第1弾性支持部17の下端部は、水槽13の上端部に接続されている。第1弾性支持部17は、水槽13を上側から弾性支持する。
第2弾性支持部18は、例えばばねを含み、弾性を有する。例えば、第2弾性支持部18は、水槽13の下側に配置されている。第2弾性支持部18の下端部は、筐体11の底板に接続されている。第2弾性支持部18の上端部は、水槽13の下端部に接続されている。第2弾性支持部18は、水槽13を下側から弾性支持する。なお、第1弾性支持部17と、第2弾性支持部18とのうち一方は、省略されてもよい。
減衰装置19は、例えば油圧ダンパまたは空圧ダンパを含み、振動に対して減衰力を作用させる。例えば、減衰装置19は、水槽13の下側に配置されている。減衰装置19の下端部は、筐体11の底板に接続されている。減衰装置19の上端部は、水槽13の下端部に接続されている。減衰装置19は、水槽13の振動を減衰させる。
水槽13は、ドラム14の振動に伴って振動する。水槽13には、水槽13の振動を検出する加速度センサ61が設けられている。加速度センサ61は、水槽13に関連して配置されている。本出願で「水槽に関連して配置」とは、水槽13の振動を検出可能な配置態様を広く意味する。「水槽に関連して配置」とは、水槽13に設けられる場合に限らず、水槽13と接続された別部材に設けられる場合も含み得る。本実施形態では、水槽13には、加速度センサ61が1つのみ設けられている。
ここで、「径方向Dr」および「軸方向Da」について定義する。径方向Drは、ドラム14の中心軸CLからドラム14の径方向外側に向かう方向である。一方で、軸方向Daは、ドラム14の中心軸CLと平行な方向である。軸方向Daは、「ドラム式洗濯機の前後方向」の一例である。本出願でいう「洗濯機の前後方向」は、水平方向に沿う前後方向に限定されず、洗濯乾燥機1の筐体11の前板の一部から筐体11の後板の一部に向かう方向を広く意味する。すなわち「洗濯機の前後方向」とは、水平方向に対して傾斜した方向でもよい。
加速度センサ61は、例えば、X軸、Y軸、およびZ軸の加速度を検出可能な3軸加速度センサである。加速度センサ61は、水槽13に取り付けられ、水槽13の径方向Drの振動に関する第1検出値(第1センサ値)と、水槽13の軸方向Daに関する第2検出値(第2センサ値)とを検出可能である。加速度センサ61は、検出した第1検出値および第2検出値を制御装置50に出力する。加速度センサ61は、「センサ」の一例である。径方向Rrは、「第1方向」の一例である。軸方向Daは、「第2方向」の一例である。
加速度センサ61は、例えば、水槽13の前端部13e2に設けられ、水槽13の前端部13e2の振動を検出する。ここで、ドラムモータ16の回転軸16aによって支持されていないドラム14の前端部14e2の振動は、ドラムモータ16の回転軸16aによって支持されているドラム14の後端部14e1の振動よりも大きくなりやすい。このため、水槽13の前端部13e2は、水槽13の後端部13e1と比べて振動が大きくなりやすい。このため、加速度センサ61は、水槽13の前端部13e2に設けられている。
本実施形態では、加速度センサ61は、第1弾性支持部17と比べて(例えば、第1弾性支持部17の下端部)と比べて、ドラムモータ16から遠くに配置されている。別の観点では、加速度センサ61は、第2弾性支持部18と比べて(例えば、第2弾性支持部18の上端部)と比べて、ドラムモータ16から遠くに配置されている。また別の観点では、加速度センサ61は、減衰装置19と比べて(例えば、減衰装置19の上端部)と比べて、ドラムモータ16から遠くに配置されている。
給水弁21は、筐体11の内部に固定されている。給水弁21の入口は、不図示のホースを介して水道の蛇口に接続される。給水弁21の出口は、給水弁モータ71(図3参照)により開放状態と閉鎖状態とに切り換えられる。給水弁21の出口は、注水ケース22に接続されている。注水ケース22は、筒状の注水管23を介して、水槽13の内部に接続されている。給水弁21が開放動作されると、水道から供給される水が、水槽13内に給水される。
水槽13の底部には、排水口13bが設けられている。排水口13bには、排水管24の上端部が接続されている。排水管24には不図示の排水弁が設けられている。排水弁は、排水弁モータ72(図3参照)により開放状態と閉鎖状態とに切り換えられる。排水弁が開放動作されると、水槽13内の洗濯水が、排水管24から排出される。
水槽13の前部の上部には、水槽13内の空気を排出する排気口13cが設けられている。水槽13の背面部の上部には、水槽13内に乾燥風を供給するための給気口13dが設けられている。筐体11の内部には、ドラム14内に乾燥風(温風)を循環供給して洗濯物の乾燥運転を実行するための温風供給機構30が設けられている。
温風供給機構30は、例えば、循環風路31と、ヒートポンプ32と、送風ファン33とを有する。ヒートポンプ32は、圧縮機41、凝縮器42、不図示の絞り装置、および蒸発器43を配管によりサイクル接続した冷凍サイクルの一部を構成する。凝縮器42および蒸発器43は、循環風路31に配置されている。ヒートポンプ32は、循環風路31を通る空気の除湿および加熱を行って乾燥風を生成する。送風ファン33は、排気口13cから排出された空気を、循環風路31内を循環させ、ヒートポンプ32で除湿および加熱された空気を給気口13dから水槽13を介してドラム14内に供給する。ヒートポンプ32は、循環風路31を通る空気を加熱する「加熱装置」の一例である。なお、加熱装置は、ヒートポンプ32に代えて、ヒーター(電熱器など)でもよい。
<2.モータ駆動系の電気回路構成>
図2は、洗濯乾燥機1のドラムモータ16を駆動する電気回路構成を示す図である。図2は、ドラムモータ16の駆動系(モータ制御部111)を概略的に示す。インバータ回路132は、6個のIGBT(半導体スイッチング素子)133a~133fを三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT133a~133fのコレクタ-エミッタ間には、フライホイールダイオード134a~134fが接続されている。下アーム側のIGBT133d,133e,133fのエミッタは、シャント抵抗135u,135v,135wを介してグランドに接続されている。IGBT133d,133e,133fのエミッタとシャント抵抗135u,135v,135wとの各接続点は、それぞれレベルシフト回路136を介して制御回路111cに接続されている。本実施形態では、シャント抵抗135u,135v,135wとレベルシフト回路136との組み合わせにより、電流センサ62(図3参照)を流れる電流の一例が構成されている。
図2は、洗濯乾燥機1のドラムモータ16を駆動する電気回路構成を示す図である。図2は、ドラムモータ16の駆動系(モータ制御部111)を概略的に示す。インバータ回路132は、6個のIGBT(半導体スイッチング素子)133a~133fを三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT133a~133fのコレクタ-エミッタ間には、フライホイールダイオード134a~134fが接続されている。下アーム側のIGBT133d,133e,133fのエミッタは、シャント抵抗135u,135v,135wを介してグランドに接続されている。IGBT133d,133e,133fのエミッタとシャント抵抗135u,135v,135wとの各接続点は、それぞれレベルシフト回路136を介して制御回路111cに接続されている。本実施形態では、シャント抵抗135u,135v,135wとレベルシフト回路136との組み合わせにより、電流センサ62(図3参照)を流れる電流の一例が構成されている。
レベルシフト回路136は、オペアンプなどを含み、シャント抵抗135u,135v,135wの端子電圧を増幅することで信号を生成し、生成した信号の出力範囲が正側に収まるようにバイアスを与える。過電流比較回路138は、インバータ回路132の上下アームが短絡した場合、過電流を検出する。
インバータ回路132の入力側には、駆動用電源回路139が接続されている。駆動用電源回路139は、100Vの交流電源140を、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路141および直列接続された2個のコンデンサ142a,142bにより倍電圧全波整流し、約280Vの直流電圧をインバータ回路132に供給する。インバータ回路132の各相出力端子は、ドラムモータ16の各相巻線16u,16v,16wに接続されている。
制御回路111cは、電源145を電源として動作し、駆動回路144と高圧ドライバ回路146を介して、6個のIGBT133a~133fをPWM(Pulse Wide Modulation)制御する。駆動回路144は、電源143を電源として動作し、制御回路111cが出力した駆動信号を、電圧を高めた駆動信号に変換して下アーム側のIGBT133d,133e,133fのゲートに印加する。高圧ドライバ回路146は、駆動回路144の出力を倍電圧全波整流電圧よりも高い電圧に変換し、上アーム側のIGBT133a,133b,133cのゲートに印加する。制御回路111cには、ドラムモータ16に設けられたロータ位置センサ161の出力信号が入力される。制御回路111cは、ロータ位置センサ161の出力信号を基準としてドラムモータ16を駆動する駆動信号を生成する。
制御回路111cは、レベルシフト回路136を介して得られるドラムモータ16の巻線16u~16wに流れる三相電流Iau~Iawを検出し、検出した電流値に基づいて2次側の回転磁界の位相θおよび回転角速度ωを推定するとともに、三相電流Iau~Iawを直交座標変換およびdq(direct-quadrature) 座標変換して励磁電流成分Id,トルク電流成分Iq(以下「q軸電流」と称する)を算出する。q軸電流は、ドラムモータ16に作用するモータトルクに比例して大きくなる電流成分である。q軸電流は、「トルク電流」の一例である。ただし、本明細書でいう「トルク電流」とは、q軸電流に限定されず、モータの負荷に応じて大きくなる電流であればよい。
<3.制御装置の構成>
次に、制御装置50について説明する。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなるコンピュータを主体として構成される。制御装置50は、洗濯乾燥機1の全体を統括的に制御し、洗濯乾燥機1による洗い動作、すすぎ動作、および脱水動作を含む洗濯運転と、その後に続く乾燥運転(乾燥動作)とを実行する。
次に、制御装置50について説明する。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなるコンピュータを主体として構成される。制御装置50は、洗濯乾燥機1の全体を統括的に制御し、洗濯乾燥機1による洗い動作、すすぎ動作、および脱水動作を含む洗濯運転と、その後に続く乾燥運転(乾燥動作)とを実行する。
図3は、制御装置50の機能構成を示すブロック図である。制御装置50には、上述した加速度センサ61に加え、電流センサ62が接続されている。電流センサ62は、ドラムモータ16に流れる電流を測定する。図3では説明の便宜上、電流センサ62とモータ制御部111とを分けて記載している。ただし、電流センサ62は、モータ制御部111に含まれていてもよい。
制御装置50は、例えば、重量検出部(布量検出部)51、布質検出部52、閾値調整部53、脱水動作判定部54、制御部55、モータ制御部111、および記憶部59を有する。これら機能部の全部または一部は、CPUのようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、これら機能部の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)、ディスクリート回路などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。モータ制御部111は、制御部55の一部として設けられてもよい。記憶部59は、RAM、ROM、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)のうち1つまたは複数の組み合わせにより実現される。
<重量検出部>
重量検出部51は、例えば、衣類の重量によってドラムモータ16の負荷量が変化することを利用して衣類の重量(布量)を判定する。重量検出部51は、例えば、水槽13への給水前において衣類がドラム14に収容された状態でドラムモータ16によりドラム14を回転させ、ドラムモータ16に流れるトルク電流の大きさ(例えばq軸電流の電流値)に基づき衣類の重量を検出する。
重量検出部51は、例えば、衣類の重量によってドラムモータ16の負荷量が変化することを利用して衣類の重量(布量)を判定する。重量検出部51は、例えば、水槽13への給水前において衣類がドラム14に収容された状態でドラムモータ16によりドラム14を回転させ、ドラムモータ16に流れるトルク電流の大きさ(例えばq軸電流の電流値)に基づき衣類の重量を検出する。
<布質検出部>
布質検出部52は、例えば、布質による吸水性の差異によってドラムモータ16の負荷量が変化することを利用して布質を判定する。布質検出部52は、例えば、綿系の洗濯物が主であるか、化学繊維系の洗濯物が主であるかを判定することで布質を判定する。布質検出部52は、例えば、(1)洗い動作中においてドラム14が一定速度で回転中のq軸電流の平均値(または積分値)と、(2)洗い動作中においてドラム14が1回転する間のq軸電流の最大値と最小値の差の平均値とである2つの指標の組み合わせにより布質を検出する。
布質検出部52は、例えば、布質による吸水性の差異によってドラムモータ16の負荷量が変化することを利用して布質を判定する。布質検出部52は、例えば、綿系の洗濯物が主であるか、化学繊維系の洗濯物が主であるかを判定することで布質を判定する。布質検出部52は、例えば、(1)洗い動作中においてドラム14が一定速度で回転中のq軸電流の平均値(または積分値)と、(2)洗い動作中においてドラム14が1回転する間のq軸電流の最大値と最小値の差の平均値とである2つの指標の組み合わせにより布質を検出する。
<閾値調整部>
閾値調整部53は、加速度センサ61の第1検出値の検出結果(径方向Drの振動の検出結果)に基づき、第2検出値の検出結果(軸方向Daの振動の検出結果)に関する判定に用いられる閾値を変更する。例えば、閾値調整部53は、第1検出値の検出結果が大きくなるほど、第2検出値の検出結果の判定に用いられる閾値が大きくなるように閾値を変更する。また、閾値調整部53は、ドラム14の回転速度に応じて、第1検出値の検出結果に基づく閾値の変更量を異ならせる。閾値調整部53は、「調整部」の一例である。閾値調整部53の処理については、詳しく後述する。
閾値調整部53は、加速度センサ61の第1検出値の検出結果(径方向Drの振動の検出結果)に基づき、第2検出値の検出結果(軸方向Daの振動の検出結果)に関する判定に用いられる閾値を変更する。例えば、閾値調整部53は、第1検出値の検出結果が大きくなるほど、第2検出値の検出結果の判定に用いられる閾値が大きくなるように閾値を変更する。また、閾値調整部53は、ドラム14の回転速度に応じて、第1検出値の検出結果に基づく閾値の変更量を異ならせる。閾値調整部53は、「調整部」の一例である。閾値調整部53の処理については、詳しく後述する。
<脱水動作判定部>
脱水動作判定部54は、加速度センサ61の検出結果(第1検出値の検出結果および第2検出値の検出結果)と、閾値とに基づき、ドラム14の回転制御に関する判定を行う。例えば、脱水動作判定部54は、閾値調整部53により変更された閾値に基づき、ドラム14の回転制御に関する判定を行う。例えば、脱水動作判定部54は、ドラム14の回転制御に関する判定として、脱水動作の進め方に関する判定を行う。
脱水動作判定部54は、加速度センサ61の検出結果(第1検出値の検出結果および第2検出値の検出結果)と、閾値とに基づき、ドラム14の回転制御に関する判定を行う。例えば、脱水動作判定部54は、閾値調整部53により変更された閾値に基づき、ドラム14の回転制御に関する判定を行う。例えば、脱水動作判定部54は、ドラム14の回転制御に関する判定として、脱水動作の進め方に関する判定を行う。
本実施形態では、脱水動作判定部54は、脱水動作の進め方として、脱水動作のやり直しまたは脱水動作におけるドラム14の到達回転数(許容される最高回転数)を判定する。脱水動作判定部54は、「判定部」の一例である。なお本出願でいう「センサの検出結果」とは、センサの検出値(例えば加速度センサ61の第1検出値または第2検出値)そのものに限らず、センサの検出値に対して演算が行われることにより得られる指標値などでもよい。脱水動作判定部54の処理については、詳しく後述する。
<制御部>
制御部55は、洗濯乾燥機1の全体を制御する。例えば、制御部55は、脱水動作判定部54の判定結果に基づき、洗濯乾燥機1の脱水動作を制御する。例えば、制御部55は、ドラムモータ16の駆動を制御することで、ドラム14の回転を制御する。
制御部55は、洗濯乾燥機1の全体を制御する。例えば、制御部55は、脱水動作判定部54の判定結果に基づき、洗濯乾燥機1の脱水動作を制御する。例えば、制御部55は、ドラムモータ16の駆動を制御することで、ドラム14の回転を制御する。
<記憶部>
記憶部59は、閾値情報59aを記憶する。閾値情報59aは、後述する閾値T1~T7を含む。
記憶部59は、閾値情報59aを記憶する。閾値情報59aは、後述する閾値T1~T7を含む。
<4.回転槽の回転制御>
<4.1 洗濯運転の流れ>
図4は、乾燥運転を伴う一連の洗濯運転の流れを示す図である。洗濯運転は、例えば、「洗い行程」、「脱水行程1」、「シャワーすすぎ行程」、「脱水行程2」、「ためすすぎ工程」、「プリヒート予備脱水行程」、および「プリヒート最終脱水行程」をこの順に含む。
<4.1 洗濯運転の流れ>
図4は、乾燥運転を伴う一連の洗濯運転の流れを示す図である。洗濯運転は、例えば、「洗い行程」、「脱水行程1」、「シャワーすすぎ行程」、「脱水行程2」、「ためすすぎ工程」、「プリヒート予備脱水行程」、および「プリヒート最終脱水行程」をこの順に含む。
「洗い行程」は、洗剤投入、給水、ドラム14の回転(洗い)、および排水を含む。「脱水行程1」は、「洗い行程」の後であって「シャワーすすぎ工程」の前にドラム14を回転させて衣類からある程度の脱水を行う行程である。「シャワーすすぎ行程」は、給水および排水を同時に行いながら(すなわち、水をかけ流しながら)ドラム14を回転させるすすぎ行程である。「脱水行程2」は、「シャワーすすぎ行程」の後であって「ためすすぎ行程」の前にドラム14を回転させて衣類からある程度の脱水を行う行程である。「ためすすぎ工程」は、水槽13内に水を貯めた状態でドラム14を回転させるすすぎ行程である。本実施形態では、脱水行程1でのドラム14の最高回転数と、脱水行程2でのドラム14の最高回転数は、ほぼ同じである。脱水行程1および脱水行程2の各々は、一連の洗濯運転の途中で行われる脱水行程である。
「プリヒート予備脱水行程」は、「ためすすぎ行程」の後であって「プリヒート最終脱水行程」の前に、温風供給機構30により循環風路31に温風を供給しながらドラム14を回転させて衣類から予備的な脱水を行う行程である。プリヒート予備脱水行程でのドラム14の最高回転数は、脱水行程1または脱水行程2でのドラム14の最高回転数よりも低い。
「プリヒート最終脱水行程」は、一連の洗濯運転の最後に行われる脱水行程である。プリヒート最終脱水行程は、乾燥運転の直前に行われる脱水行程である。プリヒート最終脱水行程は、温風供給機構30により循環風路31に温風を供給しながらドラム14を回転させて衣類からできるだけ多くの水分を取り除く脱水行程である。プリヒート最終脱水行程でのドラム14の最高回転数は、脱水行程1または脱水行程2でのドラム14の最高回転数よりも高い。プリヒート最終脱水行程の実施時間は、脱水行程1または脱水行程2の実施時間よりも長い。
次に、脱水行程と、加速度センサ61の検出結果に関する判定との関係について説明する。まず、脱水行程1に関する動作を説明する。なお、脱水行程2およびプリヒート予備脱水行程に関する動作は、脱水行程1に関する動作と基本的に同じである。
図5は、脱水行程1の立ち上げ動作を説明するための図である。脱水行程1の立ち上げでは、ドラム14の回転数が階段状に増加されるとともに、複数の回転数(複数の速度)で閾値を用いた判定動作が行われる。例えば、制御部55は、まずドラム14の回転数を第1回転数R1まで増加させ、その後、一定時間に亘り、ドラム14の回転数を第1回転数R1に固定する。そして洗濯乾燥機1の状態が安定した後、脱水動作判定部54は、第1回転数R1で得られる加速度センサ61の検出結果と、第1回転数R1に対応して設定された閾値T1とに基づき、脱水動作の進め方に関する第1判定J1を行う。
例えば、脱水動作判定部54は、第1判定J1で加速度センサ61の検出結果が閾値T1を超えている場合、衣類のアンバランスが許容範囲外と判定する。「アンバランス」とは、ドラム14内に衣類の偏りによる偏荷重状態を意味する。この場合、制御部55は、脱水行程のやり直しであるリトライ動作を行う。リトライ動作とは、ドラム14の回転を停止させ、水槽13内に給水してドラム14を回転させて衣類を動かすことで、衣類のアランバランスの解消を試みる動作である。リトライ動作が行われた場合、再び脱水行程の最初から(すなわち低い回転数での第1判定J1から)開始される。
一方で、脱水動作判定部54は、第1判定J1で加速度センサ61の検出結果が閾値T1以下である場合、衣類のアンバランスが許容範囲内と判定する。この場合、制御部55は、ドラム14の回転数を第1回転数R1よりも高い第2回転数R2まで増加させ、その後、一定時間に亘り、ドラム14の回転数を第2回転数R2に固定する。そして洗濯乾燥機1の状態が安定した後、脱水動作判定部54は、第2回転数R2で得られる加速度センサ61の検出結果と、第2回転数R2に対応して設定された閾値T2とに基づき、脱水動作の進め方に関する第2判定J2を行う。
第2判定J2の内容は、第1判定J1の内容と同様である。すなわち、脱水動作判定部54は、第2回転数R2で得られる加速度センサ61の検出結果が第2閾値T2を超えている場合、衣類のアンバランスが許容範囲外と判定する。この場合、制御部55は、リトライ動作を行い、脱水行程を最初から開始する。一方で、脱水動作判定部54は、第2回転数R2で得られる加速度センサ61の検出結果が閾値T2以下である場合、衣類のアンバランスが許容範囲内と判定する。この場合、制御部55は、ドラム14の回転数を第2回転数R2よりも高い第3回転数R3まで増加させる。そして、第3回転数R3において第3閾値T3を用いた第3判定J3が行われる。その後も同様に、第3回転数R3で得らえる加速度センサ61の検出結果が閾値T3以下である場合、次に第3回転数R3よりも速い第4回転数R4において第4閾値T4を用いた第4判定J4が行われる。第4判定J4において第4回転数R4で得られる加速度センサ61の検出結果が閾値T4以下である場合、次に第4回転数R4よりも速い第5回転数R5において第5閾値T5を用いた第5判定J5が行われる。第3から第5の判定J3~J5の内容は、第1判定J1の内容と同様である。
なお、第1から第5の判定J1~J5のうち1つ以上の判定(例えば第5判定J5)は、リトライ動作の要否の判定に代えて、実施中の脱水行程での到達回転数(許容可能な最高回転数)を決めるための判定でもよい。例えば、第5判定J5が到達回転数を決めるための判定である場合の動作は、次のとおりである。
脱水動作判定部54は、第5判定J5において第5回転数R5で得られる加速度センサ61の検出結果が閾値T5を超えている場合、衣類のアンバランスが許容範囲外と判定する。この場合、制御部55は、第5回転数R5を超えてドラム14の回転数を増加させることを止める。すなわち、脱水行程1での最高回転数を、目標回転数RM1よりも低い第5回転数R5に固定する。一方で、脱水動作判定部54は、第5判定J5において第5回転数R5で得られる加速度センサ61の検出結果が閾値T5以下である場合、衣類のアンバランスが許容範囲内と判定する。この場合、制御部55は、第5回転数R5を超えてドラム14の回転数を目標回転数RM1まで増加させる。この場合、目標回転数RM1が脱水動作1での最高回転数となる。
次に、プリヒート最終脱水行程に関する動作を説明する。
図6は、プリヒート最終脱水行程の立ち上げ動作を説明するための図である。脱水動作判定部54は、プリヒート最終脱水行程の立ち上げにおいて、脱水行程1の立ち上げと同様に、ドラム14の回転数が階段状に増加されるとともに、複数の回転数で閾値を用いた判定動作を行う。プリヒート最終脱水行程では、脱水行程1と同様に、第1から第5の回転数R1~R5で第1から第5の判定J1~J5が行われる。第5判定J5がリトライ動作の要否の判定に代えて、実施中の脱水動作での到達回転数を決めるための判定でもよい点も同様である。
図6は、プリヒート最終脱水行程の立ち上げ動作を説明するための図である。脱水動作判定部54は、プリヒート最終脱水行程の立ち上げにおいて、脱水行程1の立ち上げと同様に、ドラム14の回転数が階段状に増加されるとともに、複数の回転数で閾値を用いた判定動作を行う。プリヒート最終脱水行程では、脱水行程1と同様に、第1から第5の回転数R1~R5で第1から第5の判定J1~J5が行われる。第5判定J5がリトライ動作の要否の判定に代えて、実施中の脱水動作での到達回転数を決めるための判定でもよい点も同様である。
脱水動作判定部54は、プリヒート最終脱水行程において、第5判定J5の後に、第5回転数R5よりも速い第6回転数R6において第6閾値T6を用いた第6判定J6が行われる。第6判定J6において第6回転数R6で得られる加速度センサ61の検出結果が閾値T6以下である場合、次に第6回転数R6よりも速い第7回転数R7において第7閾値T7を用いた第7判定J7が行われる。
本実施形態では、第6判定J6および第7判定J7は、実施中の脱水動作(すなわち、プリヒート最終脱水行程)での到達回転数を決めるための判定である。すなわち第6回転数R6または第7回転数R7においてアンバランスが許容範囲外であると脱水動作判定部54により判定された場合、制御部55は、ドラム14の回転数を増加させることを止め、プリヒート最終脱水行程でのドラム14の最高回転数を第6回転数R6または第7回転数R7で固定する。一方で、第6回転数R6および第7回転数R7においてアンバランスが許容範囲内であると脱水動作判定部54により判定された場合、制御部55は、第7回転数R7を超えてドラム14の回転数を目標回転数RM2まで増加させる。この場合、目標回転数RM2がプリヒート最終脱水行程での最高回転数となる。なお、第6判定J6および第7判定J7は、脱水動作での到達回転数を決めるための判定に代えて、リトライ動作の要否の判定でもよい。
<4.2 各判定における処理>
図7は、基本閾値情報I1の内容の一例を示す図である。基本閾値情報I1は、閾値情報59aの一部として記憶部59に記憶されている。本実施形態では、上述した第1から第7の閾値T1~T7の各々は、加速度センサ61の第1検出値(径方向Drの振動の検出値)の検出結果と比較される閾値T1a~T7a(第1検出値用閾値)と、加速度センサ61の第2検出値(軸方向Daの振動の検出値)の検出結果と比較される閾値T1b~T7b(第2検出値用閾値)とを含む。以下では、閾値T1a~T7aを互いに区別しない場合、単に「第1閾値Ta」と称する。同様に、閾値T1b~T7bを互いに区別しない場合、単に「第2閾値Tb」と称する。また、基本閾値情報I1に予め設定されている各閾値を「基本閾値」と称する場合がある。
図7は、基本閾値情報I1の内容の一例を示す図である。基本閾値情報I1は、閾値情報59aの一部として記憶部59に記憶されている。本実施形態では、上述した第1から第7の閾値T1~T7の各々は、加速度センサ61の第1検出値(径方向Drの振動の検出値)の検出結果と比較される閾値T1a~T7a(第1検出値用閾値)と、加速度センサ61の第2検出値(軸方向Daの振動の検出値)の検出結果と比較される閾値T1b~T7b(第2検出値用閾値)とを含む。以下では、閾値T1a~T7aを互いに区別しない場合、単に「第1閾値Ta」と称する。同様に、閾値T1b~T7bを互いに区別しない場合、単に「第2閾値Tb」と称する。また、基本閾値情報I1に予め設定されている各閾値を「基本閾値」と称する場合がある。
本実施形態では、第1から第7の判定J1~J7の各々において、加速度センサ61の第1検出値の検出結果と第1閾値Taとが比較され、加速度センサ61の第2検出値の検出結果と第2閾値Tbとが比較される。そして、脱水動作判定部54は、加速度センサ61の第1検出値の検出結果が第1閾値Taを超えている場合、または、加速度センサ61の第2検出値の検出結果が第2閾値Tbを超えている場合に、衣類のアンバランスが許容範囲外と判定する。一方で、脱水動作判定部54は、加速度センサ61の第1検出値の検出結果が第1閾値Ta以下であり、且つ、加速度センサ61の第2検出値の検出結果が第2閾値Tb以下である場合に、衣類のアンバランスが許容範囲内と判定する。
<4.3 閾値の変更>
本実施形態では、第1から第5の判定J1~J5については、第1閾値Taおよび第2閾値Tbが固定値である。一方で、第6または第7の判定J6,J7については、第1閾値Taは固定値であるが、第2閾値Tbの値は、第1検出値の検出結果に応じて変更される。以下、この内容について詳しく説明する。
本実施形態では、第1から第5の判定J1~J5については、第1閾値Taおよび第2閾値Tbが固定値である。一方で、第6または第7の判定J6,J7については、第1閾値Taは固定値であるが、第2閾値Tbの値は、第1検出値の検出結果に応じて変更される。以下、この内容について詳しく説明する。
図8は、加速度センサ61の設置位置および振動検出方向を示す概略図である。ドラム14内の衣類のアンバランスを精度良く検出するには、本図左に示すように、水槽13の後端部13e1に加速度センサ61Aを設け、水槽13の前端部13e2に加速度センサ61Bを設け、水槽13の後端部13e1および前端部13e2それぞれの振動を検出することが望ましい。このような構成によれば、前部アンバランスを加速度センサ61Bで検出し、後部アンバランスを加速度センサ61Aで検出することができる。「前部アンバランス」とは、ドラム14内の前部において衣類の偏りがある偏荷重状態を意味する。「後部アンバランス」とは、ドラム14内の後部において衣類の偏りがある偏荷重状態を意味する。
ここで、例えばコストを削減するために、洗濯乾燥機1内に設置する加速度センサを少なくすることが求められている。そのため本実施形態では、本図右に示すように、水槽13には、加速度センサ61が1つのみ設けられている。本実施形態では、加速度センサ61の第1検出値(径方向Drの振動に関する検出値)を用いて前部アンバランスの大きさを検出し、加速度センサ61の第2検出値(軸方向Daの振動に関する検出値)を用いて後部アンバランスを検出する。すなわち、後部アンバランスについては、軸方向Daの振動を用いて検出する。このように、水槽13の前端部13e2に設けられた1つの加速度センサ61により径方向Drと軸方向Daとの2方向の振動を検出することで、ドラム14内の衣類のアンバランスを検出することができる。
しかしながら、水槽13の前端部13e2に設けられた1つの加速度センサ61により2方向の振動を検出する手法では、ドラム14内に対向アンバランスが発生したときに、実際の後部アンバランスの状態を超えて第2検出値の検出結果が大きくなる場合がある。
図9は、対向アンバランス発生時のドラム14内の状態の一例を示す側面断面図である。「対向アンバランス」とは、ドラム14内の対角線上の位置に衣類の偏りができることにより発生するアンバランスである。図示する例では、ドラム14の前上方FUBと後下方BUBとに衣類の偏りができ、対向アンバランスが発生している。ドラム14の高速回転域において対向アンバランスが存在すると、ドラム14の前後がねじれるように大きく振動し、騒音や異常の原因となる。一方で、前部アンバランスと後部アンバランスとが同程度であり、ともに許容範囲内であるときには、ドラム14の前後のバランスが取れている状態であり、回転数を増加させてもドラム14の振動は許容範囲内に収まる。
このような対向アンバランスが発生したときに実際の後部アンバランスの状態を超えて加速度センサ61の第2検出値の検出結果が大きくなる理由としては、加速度センサ61が水槽13の前端部13e2に設けられているため、加速度センサ61の第2検出値には、後部アンバランスの影響に加えて、前部アンバランスの影響も加わるためである。
図10は、後部アンバランスに対する第2検出値の検出結果を示すグラフである。本図に示すグラフにおいて、横軸は後部アンバランスの大きさ(単位は「g(グラム)」)を示し、縦軸は第2検出値の検出結果を示す。図に示すUB1~UB8は、後部アンバランスの大きさを示し、0<UB1<UB2<UB3<UB4<UB5<UB6<UB7<UB8である。図に示すUF1~UF5は、前部アンバランスの大きさを示し、0<UF1<UF2<UF3<UF4<UF5である。図示する例では、前部アンバランスが0のときに後部アンバランスを0~UB8まで変化させたときの第2検出値の検出結果の変化LN0、前部アンバランスがUF1のときに後部アンバランスを0~UB8まで変化させたときの第2検出値の検出結果の変化LN1、前部アンバランスがUF2のときに後部アンバランスを0~UB8まで変化させたときの第2検出値の検出結果の変化LN2、前部アンバランスがUF3のときに後部アンバランスを0~UB8まで変化させたときの第2検出値の変化LN3、前部アンバランスがUF4のときに後部アンバランスを0~UB8まで変化させたときの第2検出値の検出結果の変化LN4、および、前部アンバランスがUF5のときに後部アンバランスを0~UB8まで変化させたときの第2検出値の検出結果の変化LN5を示している。
図示するように、後部アンバランスが同じであっても、前部アンバランスの大きさによって、第2検出値の検出結果の大きさが変わる。具体的には、前部アンバランスの大きさが大きいほど第2検出値の検出結果が大きくなる。
このため、図に示す破線LN10のように、第2検出値の検出結果を判定するための第2閾値Tbを固定値とすると、後部アンバランスを正確に検出することができない。破線LN10は、前部アンバランスがなし(0)の状態で、後部アンバランスがUB5のときの第2検出値の検出結果を第2閾値Tbとしている。この場合、後部アンバランスがUB5より小さい場合であっても、前部アンバランスが大きいと、第2検出値の検出結果が第2閾値Tbより大きくなる。例えば、後部アンバランスがUB5より小さいUB4の場合であっても、前部アンバランスがUF1より大きい場合には、第2検出値の検出結果が第2閾値Tbより大きくなる。このため、第2閾値Tbを固定値とすると、前部アンバランスが大きい場合には、後部アンバランスが許容範囲内であっても、ドラム14の回転数を抑制する制御が行われることになる。すなわち、本来であれば回転数を増加させても良い状態であっても、回転数を増加させることができず、低速回転のまま脱水行程を行うことになり、衣類の脱水率の低下や運転の長時間化が引き起こされる場合がある。
後部アンバランスを精度良く評価するためには、第2検出値の検出結果に含まれる前部アンバランスの影響を小さくする必要がある。そこで、本実施形態では、閾値調整部53は、第2検出値の検出結果と比較される第2閾値Tbを、第1検出値の検出結果に応じて変更することで、前部アンバランスの影響を小さくする。例えば、対向アンバランスに起因する振動が特に大きくなる高速回転域(例えば、第6判定J6または第7判定J7)では、シビアな閾値を設定しつつ、第1検出値の検出結果に応じて第2閾値Tbを変更すると好ましい。
図11は、第1検出値の検出結果に応じた第2閾値Tbの変更量の一例を示すグラフである。本図に示すグラフにおいて、横軸は第1検出値の検出結果の大きさを示し、縦軸は第2検出値の検出結果の大きさを示す。本図では、前部アンバランス0~UF5それぞれに対して、後部アンバランスを変化させたときの実験結果をグラフにプロットしている。前部アンバランスが同じプロット群において、第2検出値の検出結果が大きいほど後部アンバランスが大きく、第2検出値の検出結果が小さいほど後部アンバランスが小さい。
この実験結果のグラフにおいて、許容される後部アンバランス(例えば、UB4)と、許容されない後部アンバランス(例えば、UB5)との間に直線を引くと、破線LN11のように、第1検出値の検出結果の1次関数となる。各判定において許容される後部アンバランスの大きさ、および許容されない後部アンバランスの大きさは予め実験により取得される。よって、本実施形態では、閾値調整部53は、第2閾値Tbを固定値にするのではなく、第1検出値が大きくなるほど第2閾値Tbが大きくなるように傾斜を持たせて変更する。当該変更は、換算式(計算式)によって行われてもよく、傾斜に応じて予め複数の閾値が設定されていてもよい。なお、許容される後部アンバランスと、許容されない後部アンバランスとの間の直線は、例えば、最小二乗法などの統計的な計算に基づいて求めることができる。また、許容される後部アンバランスと、許容されない後部アンバランスとの間の境界は、直線(1次関数)に限らず、多次元関数に基づいて設定されてもよい。
図12は、閾値変更量情報I2の内容の一例を示す図である。閾値変更量情報I2は、閾値情報59aの一部として記憶部59に記憶されている。閾値変更量情報I2は、上述した傾斜に応じて複数の第2閾値Tbが予め設定される一例である。閾値変更量情報I2は、第1検出値の検出結果と、第2検出値用の第2閾値Tbの変更量とを対応付けて記憶する。本図には、第6判定J6に用いる閾値変更情報I2を例示する。
閾値調整部53は、閾値変更量情報I2を参照することで、変更後の第2検出値用の第2閾値Tbの値を取得する。本図に示す例では、閾値調整部53は、第1検出値の検出結果の範囲X1~X2,X2~X3,X3~X4,X4~X5,またはX5~X6に応じて、第6判定J6の基本閾値T6bを、それぞれ1.0倍、1.1倍、1.2倍、1.3倍、または1.4倍に変更する。X1~X6は、X1<X2<X3<X4<X5<X6である。また、第1検出値の検出結果の範囲「X1~X2」は、「X1以上X2未満」、または、「X1より大きくX2以下」を示す。閾値変更量情報I2における第1検出値の検出結果の他の各範囲についても同様である。基本閾値は、基本閾値情報I1に予め設定された第2閾値Tbである。このように、閾値調整部53は、第1検出値の検出結果が大きくなるほど、第2閾値Tbが大きくなるように第2閾値Tbを変更する。
本図には、第6判定J6において用いる閾値変更情報I2を例示したが、記憶部59は、第6判定J6の閾値変更情報I2とは別に、第7判定J7において用いる閾値変更情報を閾値情報59aの一部として記憶していてもよい。このとき、第6判定J6と第7判定J7とで、第2閾値Tbの変更量が異なるようにしてもよい。つまり、閾値調整部53は、ドラム14の回転速度(回転数)に応じて、第1検出値の検出結果に基づく第2閾値Tbの変更量を異ならせるようにしてもよい。
図13は、ドラム14の回転速度に応じて異なる第2閾値Tbの変更量の一例を示すグラフである。本図には、図11に示すグラフに、破線L11に示すときのドラム14の回転速度より回転速度が高いときの第2閾値Tbの変更量を示す実線L22を追加している。例えば、破線L11は第6判定J6のときの第2閾値Tbの変更量を示し、実線L22は第7判定J7のときの第2閾値Tbの変更量を示す。図示するように、破線L11より回転速度が高い実線L22は、破線L11より傾斜が急であり(傾きが大きく)、一方で、その切片は低い。すなわち、閾値調整部53は、回転速度が高いほど、第1検出値の検出結果に対する第2閾値Tbの変更量を大きくする。これは、回転速度が高いほど、第2検出値の検出結果に前部アンバランスの影響が大きく含まれるためである。一方で、切片が低く設定される理由は、回転速度が高いほど、判定条件を厳しくするためである。
<5.制御の流れ>
次に、図14を参照して、制御装置50による脱水動作時の回転制御処理について説明する。図14は、回転制御処理の手順を示すフローチャートである。制御装置50は、上述した第6判定J6または第7判定J7において、本図に示す処理を実行する。
次に、図14を参照して、制御装置50による脱水動作時の回転制御処理について説明する。図14は、回転制御処理の手順を示すフローチャートである。制御装置50は、上述した第6判定J6または第7判定J7において、本図に示す処理を実行する。
まず、脱水動作判定部54が、加速度センサ61から取得した第1検出値の検出結果と、第1閾値Taとを比較する(ステップS101)。そして、脱水動作判定部54は、比較の結果、第1検出値の検出結果が第1閾値Taを超えているか否かを判定する(ステップS102)。第1検出値の検出結果が第1閾値Taを超えている場合(ステップS101:Yes)、脱水動作判定部54は、前部アンバランスが許容範囲外であると判定する。制御部55は、脱水動作判定部54の判定結果に基づき、ドラム14の回転数を増加させることを止め、第6判定J6の場合には第6回転数R6で、第7判定J7の場合には第7回転数R7で最高回転数を固定する(ステップS106)。その後、処理を終了する。
一方、第1の検出値の検出結果が第1閾値Ta以下である場合(ステップS101:No)、閾値調整部53が、閾値変更量情報を参照し、第1検出値の検出結果に応じて第2閾値Tbを変更する(ステップS103)。
続いて、脱水動作判定部54が、加速度センサ61から取得した第2検出値の検出結果と、変更された第2閾値Tbとを比較する(ステップS104)。脱水動作判定部54は、比較の結果、第2検出値の検出結果が、変更された第2閾値Tbを超えているか否かを判定する(ステップS105)。第2検出値の検出結果が、変更された第2閾値Tbを超えている場合(ステップS105:Yes)、脱水動作判定部54は、後部アンバランスが許容範囲外であると判定する。制御部55は、脱水動作判定部54の判定結果に基づき、ドラム14の回転数を増加させることを止め、第6判定J6の場合には第6回転数R6で、第7判定J7の場合には第7回転数R7で最高回転数を固定する(ステップS106)。その後、処理を終了する。
一方、第2の検出値の検出結果が第2閾値Tb以下である場合(ステップS105:No)、脱水動作判定部54は、衣類のアンバランスが許容範囲内であると判定する。制御部55は、脱水動作判定部54の判定結果に基づき、第6判定J6の場合には第7回転数R7まで、第7判定J7の場合には目標回転数RM2までドラム14の回転数を増加させる(ステップS107)。その後、処理を終了する。
<6.利点>
水槽13の前端部13e2に設けた加速度センサ61により径方向Drと軸方向Daとの2方向の振動を検出する手法において、第2閾値Tbを変更せず固定値とした場合、後部アンバランスが適正に評価できない場合がある。例えば、第2閾値Tbを固定値とすると、後部アンバランスが許容範囲内であっても、前部アンバランスが大きい場合に、第2検出値の検出結果が大きくなり、第2閾値Tbを超えてしまい、脱水行程におけるドラム14の回転数を増加させることができないことがある。すなわち、衣類のアンバランスが許容範囲内であっても、脱水行程におけるドラム14の回転数が抑えられ、衣類の脱水率が低下し、脱水動作の短時間化が難しくなる場合がある。
水槽13の前端部13e2に設けた加速度センサ61により径方向Drと軸方向Daとの2方向の振動を検出する手法において、第2閾値Tbを変更せず固定値とした場合、後部アンバランスが適正に評価できない場合がある。例えば、第2閾値Tbを固定値とすると、後部アンバランスが許容範囲内であっても、前部アンバランスが大きい場合に、第2検出値の検出結果が大きくなり、第2閾値Tbを超えてしまい、脱水行程におけるドラム14の回転数を増加させることができないことがある。すなわち、衣類のアンバランスが許容範囲内であっても、脱水行程におけるドラム14の回転数が抑えられ、衣類の脱水率が低下し、脱水動作の短時間化が難しくなる場合がある。
一方で、本実施形態の洗濯乾燥機1は、水槽13に設けられ、第1方向の振動に関する第1検出値と、第1方向とは異なる第2方向の振動に関する第2検出値とを検出可能な加速度センサ61と、上記第1検出値の検出結果に基づき、上記第2検出値に関する判定に用いられる閾値Tbを変更する閾値調整部53と、閾値調整部53により変更された閾値Tbに基づき、ドラム14の回転制御に関する判定を行う脱水動作判定部54とを備える。このような構成によれば、前部アンバランスの大きさに応じて第2検出値に関する判定に用いる閾値Tbを変更するため、第2検出値の検出結果に含まれる前部アンバランスの影響を小さくし、後部アンバランスを適正に評価することができる。これにより、より適した回転制御を行うことができる。その結果、低騒音であり、且つ、短時間で洗濯運転が可能な洗濯乾燥機1を、より安価でユーザに提供することができる。
本実施形態では、脱水動作判定部54は、ドラム14の回転制御に関する判定として、脱水動作の進め方に関する判定を行う。このような構成によれば、脱水行程におけるドラム14の到達回転数を決めることができる。これにより、脱水行程において、より適した回転制御を行うことができるため、衣類の脱水率の低下を防ぎ、脱水動作の短時間化を図ることができる。
洗濯乾燥機1において異常が生じやすい振動の1つには、軸方向Daの振幅が大きくなる振動がある。そこで本実施形態では、上記第1方向および上記第2方向のうち一方は、ドラム式の洗濯乾燥機1の前後方向である。このような構成によれば、ドラム式の洗濯乾燥機1において、ドラム14の軸方向Daの振動を検出することができる。これにより、より精度良く洗濯乾燥機1の振動状況を監視することができる。
本実施形態では、第2方向は、ドラム式の洗濯乾燥機1の前後方向である。このような構成によれば、ドラム式の洗濯乾燥機1において、ドラム14の軸方向Daの検出値に関する判定に用いられる閾値を変更することができる。これにより、ドラム14内の前後に対向アンバランスが発生しているときなどに、閾値Tbを変更することで、前部アンバランスの影響を小さくし、後部アンバランスを適正に評価することができる。よって、本来回転数を上昇させても問題ない運転を、低い回転数のままに固定することを防ぎ、より短時間で運転を完了させることができる。
本実施形態では、閾値調整部53は、第1検出値の検出結果が大きくなるほど、閾値Tbが大きくなるように閾値Tbを変更する。このような構成によれば、前部アンバランスの影響をより精度良く第2検出結果の検出結果から取り除くことができる。これにより、より適した回転制御を行うことができる。
より短時間で運転を完了させるために、脱水行程では最高回転数を複数設定させることが多い。そして、強度や騒音などの問題に対応するため、高回転であるほど次の回転数に立ち上げるアンバランスの条件を厳しくする必要がある。そこで本実施形態では、閾値調整部53は、ドラム14の回転速度に応じて、第1検出値の検出結果に基づく閾値Tbの変更量を異ならせる。このような構成によれば、ドラム14の回転速度に応じて、回転数を増加させるアンバランスの条件を異ならせることができる。これにより、より適した回転制御を行うことができる。
水槽13の軸方向Daの振動は、水槽13の支持部(ドラムモータ16の回転軸16a)より遠い方が、変化量が多くなる。そこで本実施形態では、水槽13に接続された第1弾性支持部17または第2弾性支持部18をさらに備え、加速度センサ61は、第1弾性支持部17または第2弾性支持部18と比べて、ドラムモータ16から遠くに配置される。このような構成によれば、より精度良くドラム14の振動を検出することができる。これにより、ドラム14内の衣類のアンバランスをより正確に検出することができる。
水槽13の軸方向Daの振動は、水槽13の支持部(ドラムモータ16の回転軸16a)より遠い方が、変化量が多くなる。そこで本実施形態では、水槽13に接続された振動の減衰装置19をさらに備え、加速度センサ61は、減衰装置19と比べて、ドラムモータ16から遠くに配置される。このような構成によれば、より精度良くドラム14の振動を検出することができる。これにより、ドラム14内の衣類のアンバランスをより正確に検出することができる。
(第1実施形態の変形例)
次に、第1検出値の検出結果に基づき、第2閾値Tbに代えて、第2検出値の検出結果自体が補正される変形例について説明する。
次に、第1検出値の検出結果に基づき、第2閾値Tbに代えて、第2検出値の検出結果自体が補正される変形例について説明する。
図15は、変形例における制御装置50Aの機能構成を示すブロック図である。本変形例における制御装置50Aは、制御装置50の閾値調整部53に代えて、検出結果調整部53Aを有する。制御装置50Aの他の構成は、制御装置50と同様であるため、その説明を省略する。
<検出結果調整部>
検出結果調整部53Aは、加速度センサ61の第1検出値の検出結果(径方向Drの振動の検出結果)に基づき、第2検出値の検出結果(軸方向Daの振動の検出結果)を補正する。具体的には、検出結果調整部53Aは、第1検出値の検出結果が大きくなるほど、第2検出値の検出結果が小さくなるように第2検出値の検出結果を補正する。また、検出結果調整部53Aは、ドラム14の回転速度に応じて、第1検出値の検出結果に基づく第2検出値の検出結果の補正量を異ならせる。例えば、検出結果調整部53Aは、ドラム14の回転速度が大きいほど、第2検出値の検出結果を大きく減少させるように補正量を変更する。検出結果調整部53Aは、「調整部」の一例である。本実施形態では、脱水動作判定部54は、検出結果調整部43Aにより補正された第2検出値の検出結果を閾値と比較することでドラム14の回転制御に関する判定を行う。
検出結果調整部53Aは、加速度センサ61の第1検出値の検出結果(径方向Drの振動の検出結果)に基づき、第2検出値の検出結果(軸方向Daの振動の検出結果)を補正する。具体的には、検出結果調整部53Aは、第1検出値の検出結果が大きくなるほど、第2検出値の検出結果が小さくなるように第2検出値の検出結果を補正する。また、検出結果調整部53Aは、ドラム14の回転速度に応じて、第1検出値の検出結果に基づく第2検出値の検出結果の補正量を異ならせる。例えば、検出結果調整部53Aは、ドラム14の回転速度が大きいほど、第2検出値の検出結果を大きく減少させるように補正量を変更する。検出結果調整部53Aは、「調整部」の一例である。本実施形態では、脱水動作判定部54は、検出結果調整部43Aにより補正された第2検出値の検出結果を閾値と比較することでドラム14の回転制御に関する判定を行う。
このような構成によれば、前部アンバランスの大きさに応じて第2検出値の検出結果を補正するため、第2検出値の検出結果から前部アンバランスの影響を小さくして、後部アンバランスを適正に評価することができる。これにより、より適した回転制御を行うことができる。よって、低騒音であり、且つ、短時間で洗濯運転が可能な洗濯乾燥機1を、より安価でユーザに提供することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、衣類の布質に応じて、第1検出値の検出結果に基づく第2検出値の検出結果の補正量、または、第1検出値の検出結果に基づく閾値の変更量を異ならせる点で第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、衣類の布質に応じて、第1検出値の検出結果に基づく第2検出値の検出結果の補正量、または、第1検出値の検出結果に基づく閾値の変更量を異ならせる点で第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図16は、第2実施形態の閾値変更量情報I3の内容の一例を示す図である。図示する例では、閾値調整部53は、布質検出部52により検出された衣類の布質に応じて、第1検出値の検出結果に基づく第2閾値Tbの変更量を異ならせる。本図に示す例では、閾値調整部53は、化学繊維系の衣類が主であると判定された場合、図12に示す変更量に対し、それぞれ10%増の割合で大きくした値を第2閾値Tbとする。一方で、閾値調整部53は、綿系の衣類が主であると判定された場合、図12に示す変更量に対し、それぞれ10%減の割合で小さくした値を第2閾値Tbとする。
なお、図示する例では、閾値調整部53が、衣類の布質に応じて、第1検出値の検出結果に基づく第2閾値Tbの変更量を異ならせているが、検出結果調整部53Aが、衣類の布質に応じて、第1検出値の検出結果に基づく第2検出値の検出結果の補正量を異ならせてもよい。例えば、検出結果調整部53Aは、化学繊維系の衣類が主であると判定された場合、綿系の衣類が主であると判定された場合に比べて、第2の検出値の検出結果の大きさが小さくなるよう第2の検出値の検出結果を補正する。
このような構成によれば、例えば振動および騒音をより抑えることができる。すなわち、水を吸いやすい綿系の衣類が主である場合、アンバランス状態が発生しやすく、振動および騒音は大きくなる。このため、綿系の衣類が主である場合に第2閾値Tbを小さくすることで、綿系の衣類が主である場合により厳選した条件で脱水行程における回転制御を行うことができる。その結果、脱水行程での振動および騒音をより抑えることができる。一方で、比較的軽い化学繊維系は条件を緩め回転数が上昇しやすい設定とすることで、より短時間で脱水行程を終了させることができる。
なお、本実施形態では、布質検出部52が自動的に衣類の布質を判定しているが、これに限らず、操作部PUに対するユーザの入力に基づいて布質を判定してもよいし、指示された運転コースに基づいて布質を判定してもよい。
以上、いくつかの実施形態および変形例について説明した。ただし、実施形態および変形例は、上述した例に限定されない。例えば、2つ以上の実施形態または変形例は、互いに組み合わされて実現されてもよい。例えば、第1検出値の検出結果に基づき、第2検出値の検出結果が補正されることと、第2閾値が変更されることとが合わせて行われてもよい。上述した実施形態では、径方向Drが「第1方向」の一例であり、軸方向Daが「第2方向」の一例である。これに代えて、中心線CLを中心とする周方向が「第1方向」の一例であり、軸方向Daが「第2方向」の一例であってもよい。
上述した実施形態では、対向アンバランスに起因する振動が特に大きくなる高速回転域の最終脱水における第6判定J6または第7判定J7で用いられる第2閾値Tbを変更すること、または第6判定J6または第7判定J7において第2検出値の検出結果を補正することについて説明した。対向アンバランスに起因する振動が特に大きくなる高速回転域では、シビアな閾値を設定しつつ、第1検出値の検出結果に応じて第2閾値Tbを変更する、または第2検出値の検出結果を補正すると好ましいためである。ただし、これに限らず、第2閾値Tbの変更または第2検出値の検出結果の補正は、第1から第5の判定J1~J5で行ってもよい。
図17は、縦型式の洗濯機1Bを示す断面図である。上述した実施形態は、ドラム式の洗濯機に限らず、縦型式の洗濯機にも適用可能である。縦型式の洗濯機1Bは、例えば、鉛直方向に沿って配置された水槽13および回転槽14Bを有する。回転槽14Bは、水槽13内に収容されている。加速度センサ61は、例えば、水槽13の上端部に設けられている。本図の例では、加速度センサ61は、水槽13の径方向Drの振動に関する第1検出値と、水槽13の軸方向Daに関する第2検出値とを検出可能である。軸方向Daは、縦型式洗濯機における上下方向である。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、洗濯機は、センサと、調整部と、判定部とを有する。センサは、水槽に設けられ、第1方向の振動に関する第1検出値と、第1方向とは異なる第2方向の振動に関する第2検出値とを検出可能である。調整部は、第1検出値の検出結果に基づき、第2検出値の検出結果を補正する、または第2検出値に関する判定に用いられる閾値を変更する。判定部は、調整部により補正された第2検出値の検出結果、または調整部により変更された閾値に基づき、回転槽の回転制御に関する判定を行う。このような構成によれば、より適切な回転制御を行うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…洗濯乾燥機(洗濯機)、13…水槽、14…ドラム(回転槽)、16…ドラムモータ(モータ)、17…第1弾性支持部、18…第2弾性支持部、19…減衰装置、53…閾値調整部(調整部)、53A…検出結果調整部(調整部)、54…脱水動作判定部(判定部)、61…加速度センサ(センサ)。
Claims (10)
- 水槽と、
前記水槽内に配置されて衣類が収容される回転槽と、
前記回転槽を回転駆動するモータと、
前記水槽に関連して配置され、第1方向の振動に関する第1検出値と、前記第1方向とは異なる第2方向の振動に関する第2検出値とを検出可能なセンサと、
前記第1検出値の検出結果に基づき、前記第2検出値の検出結果を補正する、または前記第2検出値に関する判定に用いられる閾値を変更する調整部と、
前記調整部により補正された前記第2検出値の検出結果、または前記調整部により変更された前記閾値に基づき、前記回転槽の回転制御に関する判定を行う判定部と、
を備えた洗濯機。 - 前記判定部は、前記回転槽の回転制御に関する判定として、脱水動作の進め方に関する判定を行う、
請求項1に記載の洗濯機。 - 前記第1方向および前記第2方向のうち一方は、ドラム式洗濯機における前後方向、または縦型式洗濯機における上下方向である、
請求項1または請求項2に記載の洗濯機。 - 前記第2方向は、前記ドラム式洗濯機における前後方向、または前記縦型式洗濯機における上下方向である、
請求項3に記載の洗濯機。 - 前記調整部は、前記第1検出値の検出結果が大きくなるほど、前記第2検出値の検出結果が小さくなるように前記第2検出値の検出結果を補正する、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の洗濯機。 - 前記調整部は、前記第1検出値の検出結果が大きくなるほど、前記閾値が大きくなるように前記閾値を変更する、
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の洗濯機。 - 前記調整部は、前記回転槽の回転速度に応じて、前記第1検出値の検出結果に基づく前記第2検出値の検出結果の補正量、または、前記第1検出値の検出結果に基づく前記閾値の変更量を異ならせる、
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の洗濯機。 - 前記調整部は、前記衣類の布質に応じて、前記第1検出値の検出結果に基づく前記第2検出値の検出結果の補正量、または、前記第1検出値の検出結果に基づく前記閾値の変更量を異ならせる、
請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の洗濯機。 - 前記水槽に接続されて前記水槽を弾性支持する弾性支持部をさらに備え、
前記センサは、前記弾性支持部と比べて、前記モータから遠くに配置される、
請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載の洗濯機。 - 前記水槽に接続されて前記水槽の振動を減衰させる減衰装置をさらに備え、
前記センサは、前記減衰装置と比べて、前記モータから遠くに配置される、
請求項1から請求項9のうちいずれか1項に記載の洗濯機。
Priority Applications (1)
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JP2022019538A JP2023117057A (ja) | 2022-02-10 | 2022-02-10 | 洗濯機 |
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Family Applications (1)
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JP2022019538A Pending JP2023117057A (ja) | 2022-02-10 | 2022-02-10 | 洗濯機 |
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- 2022-02-10 JP JP2022019538A patent/JP2023117057A/ja active Pending
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