JP2011083458A - 衣類乾燥機および洗濯乾燥機 - Google Patents
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Abstract
【課題】乾燥工程における衣類の乾燥ムラを効果的に解消することができる衣類乾燥機および洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】衣類乾燥機は、乾燥対象の衣類を収容するドラム1と、ドラム1を回転駆動するドラム駆動モータ3と、ドラム1内へ乾燥用空気を送風する送風部4と、ドラム1の後方に開口した第1吹出口8を有する第1風路9と、ドラム1の前方に開口した第2吹出口10を有する第2風路11と、第1風路9と前記第2風路11とを選択的に切り換える風路切換部12と、ドラム1の振動を検知する振動検知部14と、振動検知部14の検知結果に基づいて風路切換部12を制御し、乾燥工程の途中で第1風路9と第2風路11とを選択的に切り換える制御部とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】衣類乾燥機は、乾燥対象の衣類を収容するドラム1と、ドラム1を回転駆動するドラム駆動モータ3と、ドラム1内へ乾燥用空気を送風する送風部4と、ドラム1の後方に開口した第1吹出口8を有する第1風路9と、ドラム1の前方に開口した第2吹出口10を有する第2風路11と、第1風路9と前記第2風路11とを選択的に切り換える風路切換部12と、ドラム1の振動を検知する振動検知部14と、振動検知部14の検知結果に基づいて風路切換部12を制御し、乾燥工程の途中で第1風路9と第2風路11とを選択的に切り換える制御部とを備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、衣類の乾燥を行うドラム式の衣類乾燥機および洗濯機能と衣類乾燥機能とを具備したドラム式の洗濯乾燥機に関するものである。
従来、ドラム式の衣類乾燥機や洗濯乾燥機は、乾燥用空気を風路を通してドラム内に送風し、ドラムに投入された衣類に乾燥用空気を接触させて衣類から水分を奪い衣類を乾燥させるとともに、湿気を含んで高湿度となった乾燥用空気をドラム外の風路に排出するものである。特に、限られたドラムの空間内で多量の衣類の乾燥を行うことから衣類の入れ替わりが困難となり、乾燥中に乾燥用空気が吹出口に面した衣類の一部分に集中して接触する一方、吹出口から遠い衣類の部分には接触し難く、ドラム内の位置によって衣類の乾燥状態に差が生じ易い。これにより、ドラム内における衣類の乾燥の仕上がりにムラが生じたり、或いは乾燥不十分な状態を回避するために乾燥時間を必要以上に増加させることで、所要時間や加熱エネルギーが増加したりするという問題を招来する。そして、この問題の解決のために種々の方法が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された従来のドラム式洗濯乾燥機は、水槽内の空気を吸い込んで吹き出す送風装置と、送風装置の下流側に設けられて当該送風装置が吹き出した空気を加熱する加熱装置と、送風装置に吸い込まれた空気の行き先を切り換える切換装置と、ドラム開口部に対向するように設けられていると共に、切換装置からの空気を回転ドラム内に向けて吹き出す前側吹出口と、回転ドラムの後部に設けられていると共に、切換装置からの空気を回転ドラム内に向けて吹き出す後側吹出口と、送風装置、加熱装置、切換装置などを制御する制御装置とを具備している。そして、上記制御装置は、恒率乾燥過程時、送風装置に吸い込まれた空気の行き先が切り換わらず、かつ、減率乾燥過程時、送風装置に吸い込まれた空気の行き先が切り換わるように切換装置を制御する。これにより、恒率乾燥過程では、前側吹出口および後側吹出口の一方から乾燥用空気が吹き出し、かつ、減率乾燥過程では、前側吹出口と後側吹出口との他方から乾燥用空気が吹き出す。すなわち、恒率乾燥過程から減率乾燥過程に切り換わったときに、恒率乾燥過程時に乾燥用空気が当たり難かった洗濯物に乾燥用空気が当たるようにし、洗濯物を短い時間でムラ無く乾燥させようとしている。
しかしながら、前記従来の構成では、恒率乾燥過程と減率乾燥過程とが存在する乾燥運転時には、減率乾燥過程に切り換わるタイミングで乾燥用空気の行き先を切り換えることができるが、恒率乾燥過程が殆どないような乾燥運転時には、乾燥用空気の行き先を切り換える機会を逸することとなる。特に近年、乾燥工程直前の脱水工程において、例えばドラム回転数が1500rpmを上回るような高速回転で長時間衣類を脱水し、脱水工程が終了した時点で、衣類の脱水度が80%を超えるような非常に脱水能力の高いドラム式洗濯乾燥機も多数ある。このような脱水能力の高いドラム式洗濯乾燥機においては、脱水工程から乾燥工程に移行した時点において、既に減率乾燥過程に入ってしまうことが多く、恒率乾燥過程から減率乾燥過程に切り換わるタイミングで乾燥用空気の行き先を切り換えることは出来ない。
また、前記従来の構成は、単に恒率乾燥過程か減率乾燥過程かによって乾燥用空気の行き先の切り換えを実行するものであり、衣類の乾燥度合いを検知しながら乾燥運転を行っておらず、また、乾燥ムラが十分に解消されているかどうかの判定もできていない。
以上のことから、前記従来の構成では、確実に衣類の乾燥ムラを低減することは困難であるという課題を有している。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、衣類の乾燥度合いを精度よく検知しながら乾燥運転を行うことで、確実に衣類の乾燥ムラを低減することができる衣類乾燥機および洗濯乾燥機を提供することを目的とするものである。
本発明に係る衣類乾燥機は、乾燥対象の衣類を収容するドラムと、前記ドラムを回転駆動するドラム駆動部と、前記ドラム内へ乾燥用空気を送風する送風部と、前記ドラムの後方に開口した第1吹出口を有する第1風路と、前記ドラムの前方に開口した第2吹出口を有する第2風路と、前記第1風路と前記第2風路とを選択的に切り換える風路切換部と、前記ドラムの振動を検知する振動検知部と、前記振動検知部の検知結果に基づいて前記風路切換部を制御し、乾燥工程の途中で前記第1風路と前記第2風路とを選択的に切り換える制御部とを備える。
上記の構成によれば、衣類を収容するドラムに乾燥用空気を導入する風路として、第1風路および第2風路の2つの風路が設けられており、当該2つの風路は風路切換部により選択的に切り換えることができる。そして、乾燥工程中は、第1風路または第2風路の何れかの風路が選択されて乾燥が進行する。乾燥工程が進行するに従って衣類の含水量が漸次的に減少するので、衣類の重量が徐々に軽くなり、衣類が落下する際のドラムへの衝撃(振動検知部が検知する振動値)も徐々に小さくなる。ここで、選択されている風路の吹出口に近い側にある衣類だけが十分に乾燥すると、衣類から除去される水分量が減少して衣類の重量変化が乏しくなり、振動検知部が検知する振動値も収束してしまう。すなわち、振動検知部の検知結果により、選択されている風路の吹出口に近い側の衣類の乾燥度合い(吹出口側の衣類が十分に乾燥した状態)を判定することができる。これにより、振動検知部の検知結果を基に乾燥度合いを精度よく検知しながら乾燥用空気の吹出口を切り換えることで、確実に衣類の乾燥ムラを低減することができる。
また、上記の制御部は、前記第1風路を選択した乾燥工程の途中で、前記振動検知部が検知した振動値の単位時間当りの減少量または減少率が第1所定値を下回ったとき、前記風路切換部を制御して前記第2風路に切り換えることが好ましい。
上記の構成において、振動検知部が検知した振動値が収束し、当該振動値の単位時間当りの減少量または減少率が第1所定値を下回ったとき、選択されている第1風路の第1吹出口に近い側の衣類が十分に乾燥したと判定することができる。そして、このタイミングで第1風路から第2風路へと切り換えることで、第2吹出口に近い側の衣類を重点的に乾燥できるようになる。これにより、ドラム内の衣類の部分的な乾燥ムラを効果的に解消することができる。
また、上記の制御部は、前記第2風路を選択した乾燥工程の途中で、前記振動検知部が検知した振動値の単位時間当りの減少量または減少率が、前記第1所定値よりも小さい第2所定値を下回ったとき、乾燥運転を終了することが好ましい。
上記の構成において、第1風路から第2風路へと切り換えられた後、振動検知部が検知した振動値が再度収束し、当該振動値の単位時間当りの減少量または減少率が第2所定値(第2所定値<第1所定値)を下回ったとき、第1吹出口および第2吹出口の両側に位置する衣類(すなわちドラム内の全ての衣類)が十分に乾燥したと判定することができる。これにより、乾燥運転終了のタイミングを高精度に判定することができる。
また、上記の構成において、前記ドラム内の衣類の量を検知する布量検知部をさらに備え、前記制御部は、前記布量検知部が検知する衣類の量に応じて前記第1所定値または前記第2所定値を設定することが好ましい。
上記の構成において、ドラム内の衣類の量(総重量)により、衣類が落下する際のドラムへの衝撃(振動検知部が検知する振動値)レベルも異なる。そこで、ドラム内の衣類の量を布量検知部で検知し、検知した衣類の量に応じて判定基準値としての第1所定値や第2所定値を設定する。具体的には、ドラム内の衣類の量が多いほど振動検知部が検知する振動値も大きくなるので、第1所定値や第2所定値を大きくし、逆にドラム内の衣類の量が少ないほど第1所定値や第2所定値を小さくする。このように、ドラム内の衣類の量に応じて第1所定値または第2所定値を設定することによって、高精度に風路切り換えタイミングまたは乾燥運転終了タイミングを決定することができる。
また、上記の構成において、前記第1吹出口の空気通過断面積は、前記第2吹出口の空気通過断面積よりも大きく、前記送風部は、前記第1風路が選択されているときには前記第2風路が選択されているときよりも大風量の乾燥用空気が前記第1吹出口からドラム内へ吹き出される一方、前記第2風路が選択されているときには前記第1風路が選択されているときよりも高圧高速の乾燥用空気が前記第2吹出口からドラム内へ吹き出されるように乾燥用空気を送風することが好ましい。
上記の構成によれば、第1風路の第1吹出口は、第2風路の第2吹出口よりも空気通過断面積が大きく、圧力損失が少ない。そして、この第1風路が選択されているときには、第2風路が選択されているときよりも大風量の乾燥用空気が、収容部の後方に開口した第1吹出口から収容部内へ吹き出される。この場合、第1風路の圧力損失が少ないため、比較的少ない消費電力で送風部を駆動しても、大風量の風を得ることができる。よって、大風量の風による乾燥時間の短縮および消費電力量の低減を図れる。一方、第2風路の第2吹出口は、第1吹出口よりも空気通過断面積が小さくなっている。そして、第2風路が選択されているときには、第1風路が選択されているときよりも高圧高速の乾燥用空気が、収容部の前方に開口した第2吹出口から収容部内へ吹き出される。この場合、高圧高速の風によって衣類(収容部の前方に偏り易い長袖衣類など)が押し広げられるため、シワの発生を低減することができる。これにより、消費電力量の低減化を図りながら、乾燥ムラの低減のみならず、高圧高速の乾燥用空気による衣類のシワ低減をも実現することができる。
本発明に係る洗濯乾燥機は、上記の何れかの衣類乾燥機と、前記収容部を内包して洗濯水を貯留する水槽とを含む。このように、上記の何れかの衣類乾燥機を適用することにより、確実に衣類の乾燥ムラを低減することができる洗濯乾燥機を実現できる。
本発明によれば、振動検知部の出力値を基に乾燥度合いを精度よく検知しながら乾燥用空気の吹出口を切り換えることで、確実に衣類の乾燥ムラを低減することが可能な衣類乾燥機および洗濯乾燥機を実現できる。
以下、本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の側面断面図である。
図1において、洗濯物を収容する前面開口で底面を有する筒状のドラム1は、筐体100内に支持されて洗濯水を貯める筒状の水槽としての受筒2に内包されている。受筒2の背面には、ドラム1の回転軸を前上がりに傾斜して回転させるドラム駆動モータ3(ドラム駆動部)が取り付けられている。また、受筒2には、給水弁25(図2参照)が設けられた給水管、および排水弁27が設けられた排水管40が接続されている。
筐体100には、ドラム1の開口端側に対向させて扉体35が設けられており、使用者は、扉体35を開くことで、ドラム1に対して洗濯物(衣類)を出し入れすることができる。
ドラム1の内周壁には、複数の突起体が設けられており、ドラム1を低速で回転させることにより、衣類を突起体で引っ掛けて上方に持ち上げた後、適当な高さで落下させるといった攪拌動作(タンブリング動作)を与えることができる。
衣類を乾燥させるための乾燥用空気は、送風部4に送風されて、ドラム1内の洗濯物から水分を奪って多湿状態になり、ドラム1の側面周囲に位置する排出口5を通ってドラム1の外へ排出される。排出された乾燥用空気は除湿部6で除湿される。除湿部6で除湿した乾燥用空気は、加熱部7で加熱される。加熱された乾燥用空気は、第1風路9または第2風路11のいずれかに導かれ、再びドラム1内に吹き出す。ここで、第1風路9は、ドラム1の後方に開口した第1吹出口8を有する。一方、第2風路11は、ドラム1の前方周側面に開口した第2吹出口10を有する。
風路切換部12は、送風部4の下流側に形成された第1風路9と第2風路11との分岐部に設けられている。この風路切換部12は、乾燥用空気の通過路を、第1風路9か第2風路11かの何れかに切り換えるものである。風路切換部12は、第1風路9と第2風路11との分岐部に回動可能に枢支された弁12aと、当該弁12aを回動駆動する図示しない駆動部とを具備する。そして、弁12aが図1中のa側に回転して第2風路11を閉じると、第1風路9側が開となり、送風部4にて送風された乾燥用空気が第1風路9を通過するようになる。一方、弁12aが同図中のb側に回転して第1風路9を閉じると、第2風路11側が開となり、送風部4にて送風された乾燥用空気が第2風路11を通過するようになる。
循環風路13は、送風部4と風路切換部12とがその途中に配設されており、ドラム1、排出口5、除湿部6、加熱部7という風路を順に経て、再度、第1吹出口8もしくは第2吹出口10からドラム1へと乾燥用空気を送り込み、乾燥用空気をドラム式洗濯乾燥機内で循環させる。
送風部4は、加熱部7と風路切換部12との間に設けられ、加熱部7で加熱された乾燥用空気を循環風路13の下流側へと送り出す。この送風部4は、送風用ファン4aと送風用ファンモータ4bとを具備している。
また、排出口5は、ドラム1の上方側に配設されており、衣類に接触後の乾燥用空気を効果的に上方へ排出できるようになっている。なお、洗濯機能のないドラム式衣類乾燥機においては排出口5をドラム1の上方以外の場所に設けることもできるが、ドラム式洗濯乾燥機においては洗濯水の影響を受けるので、洗濯水の水位よりも上方に設けることが望ましい。
なお、本実施の形態では、第1風路9の第1吹出口8を1つだけ設けているが、第1吹出口8を複数とすることもできる。同様に、第2風路11の第2吹出口10を1つだけ設けた例を示しているが、第2吹出口10を複数とすることもできる。
受筒2の下方には、受筒2を支えるとともに、脱水時等のドラム1内の衣類の偏りなどで発生する重量アンバランス状態でドラム1を回転した場合の受筒2の振動を減衰させるダンパ34が設けられている。このダンパ34には、支持する受筒2内の衣類などによる重量変化でダンパ34の軸が上下に変位する変位量を検知して衣類の量を検知する布量検知部15が取り付けられている。
本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機はヒートポンプ方式の除湿および加熱を行う構成であり、ヒートポンプ装置を備えている。このヒートポンプ装置は、冷媒を圧縮する圧縮機16と、圧縮されて高温高圧となった冷媒の熱を放熱する放熱器17と、高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り部18と、減圧されて低圧となった冷媒によって周囲から熱を奪う吸熱器19と、これら4つの部材を連結して冷媒を循環させる管路20とを具備している。そして、このヒートポンプ装置における吸熱器19が上記の除湿部6であり、放熱器17が上記の加熱部7である。
なお、ドラム式洗濯乾燥機はヒートポンプ方式の衣類乾燥を行う構成に限定されるものではない。例えば、除湿部6は乾燥用空気に直接水を噴霧する水冷式でもよく、また、加熱部7はヒータであってもよい。
図2に示すように、ドラム式洗濯乾燥機は、制御部70を有している。この制御部70は、入力設定部32を介して使用者から入力される設定情報と各部の動作状態監視とに基づいて、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥にわたる一連の運転動作を制御する。例えば、制御部70は、乾燥工程においては、ドラム駆動モータ3の回転を制御し、送風部4、除湿部6および加熱部7の動作を制御し、さらに、風路切換部12を制御して第1風路9と第2風路11とを切り換える。制御部70は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、各種処理の実行時にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース及びこれらを接続するバスにより構成することができる。
ドラム式洗濯乾燥機においては、交流電力23を整流器28により整流し、その後、チョークコイル29及び平滑コンデンサ30からなる平滑回路により平滑化する。そして、平滑化された直流電力を駆動電力として、インバータ回路22によりドラム駆動モータ3を回転駆動するようになっている。制御部70は、入力設定手段32から入力される運転指示および各検知部により検知される運転状態の監視情報に基づいてドラム駆動モータ3の回転を制御する。さらに制御部70は、負荷駆動部24を介して給水弁25、排水弁27、送風部4、除湿部6、加熱部7などの必要負荷の動作を制御する。
ドラム駆動モータ3は、例えば、3相巻線3a、3b、3cを有するステータと、2極の永久磁石を有するロータとを備え、3つの位置検出素子19a〜19cを設けた直流ブラシレスモータとして構成することができる。このドラム駆動モータ3は、スイッチング素子22a〜22fによりPWM制御可能に構成されたインバータ回路22によって回転制御することができる。ここで、位置検出素子19a〜19cが検出するロータ位置検出信号は制御部70に入力される。そして、制御部70は、ロータ位置検出信号に基づいてインバータ駆動回路21に制御信号を出力し、当該インバータ駆動回路21を介してスイッチング素子22a〜22fのオン、オフ状態をPWM制御する。このようにして、制御部70はステータの3相巻線3a、3b、3cに対する通電を制御し、ドラム駆動モータ3のロータを所望の回転速度で回転させる。なお、制御部70は、3つの位置検出手段19a〜19cのいずれかの信号の状態が変わるたびにその周期を検出し、その周期よりロータの回転速度を内部機能としての回転数検知部19によって算出する。
受筒2の前面開口側上部には、ドラム1の振動や衝撃を検知する振動検知部14が取り付けられている。この振動検知部14が検知した振動値は、乾燥工程において、第1風路9と第2風路11とを切り換えるタイミングを判断するために用いられる(その詳細は後述する)。本実施の形態では、振動検知部14の一例として、図3に示すように、互いに直交する3方向(検知方向14a、14b、14c)の加速度を検出可能な加速度センサを用いている。ここで、検知方向14aは、ドラム1の回転軸1aと一致する方向である。また、検知方向14bは、ドラム1の前面開口から見て左右水平方向である。また、検知方向14cは、検知方向14a及び14bと互いに直交する略上下垂直方向である。振動検知部14は、上記の検知方向14a、14b、14cの各方向の振動を監視できるように受筒2への取り付け方向が調整されている。但し、加速度センサの検知方向は必ずしも14a、14b、14cに限定されるものではなく、その他の方向の加速度を検出するものであってもよい。
受筒2に設けられる振動検知部14の取り付け位置は特に限定されるものではないが、振動検知部14を加速度センサとした場合は、受筒2の振動を減衰させるダンパ34からより遠い位置に設けることが望ましい。加速度センサをダンパ34から遠ざけて設けることにより、高感度な振動検知が可能となる。本実施の形態では、ドラム1から受筒2に伝達された振動を最も高感度に検知できる位置として、受筒2の前面開口側上部に加速度センサを設けている。
加速度センサとしては、半導体式、機械式、光学式の何れの加速度センサを用いることもできる。特に、小型化に適した半導体式加速度センサを好適に用いることができる。
なお、本実施の形態では、検知方向14a、14b、14cの3方向(3軸)の加速度を検知可能な加速度センサを用いているが、加速度センサの検出軸数はこれに限定されない。例えば、検知方向14a、14b、14cの中の少なくとも1方向の加速度を検知可能な1軸〜3軸の加速度センサであってもよい。
ところで、振動検知部14としての加速度センサは、ドラム1が高速で回転する衣類の脱水工程において、ドラム1内の衣類の偏りなどで発生する重量アンバランス状態を検知するためにも使用できる。よって、振動検知部14としての加速度センサは、乾燥工程における衣類の乾燥度合い判定用および脱水工程における重量アンバランス判定用として兼用できる。
また、振動検知部14は、加速度センサに限定されるものではない。例えば、図8に示すように、加速度センサに代えて角速度センサ38を振動検知部として用いることができる。角速度センサ38は、受筒2が振動で変位したときの角速度を検出するものである。例えば、図8および図9に示すように、角速度センサ38は、ドラム1の前面開口から見て左右水平方向を軸とした回転方向38aの角速度を検出できるように受筒2への取り付け方向が調整されている。但し、角速度センサ38の検出する回転方向38aはこれに限定されるものではなく、その他の回転方向の角速度を検出するものであってもよい。角速度センサ38が検出する受筒2の角速度は、当該受筒2の何れの位置においても同一である。よって、角速度センサ38は、ダンパ34から遠ざけて設ける必要性はなく、取り付け位置の自由度が高い。角速度センサ38としては、機械式、流体式または光学式のジャイロスコープ等を用いることができる。特に、小型化に適した機械式(振動型)ジャイロスコープを好適に用いることができる。
本実施の形態では、図1に示した振動検知部14(加速度センサ)または図8に示した角速度センサ38を、受筒2に1つのみ設けた例を示しているが、複数の振動検知部14(加速度センサ)または複数の角速度センサ38を受筒2に設けてもよい。さらには、加速度センサおよび角速度センサ38の両方を受筒2に設けてもよい。振動検知部として複数のセンサを用いることにより、振動検知の精度を高めることができる。
以上のように構成されたドラム式洗濯乾燥機について、以下、その動作および作用効果を詳細に説明する。
先ず、衣類乾燥における乾燥ムラの発生等について考察する。限られたドラム空間内での多量の衣類の乾燥において、ドラム1の回転により衣類が多くても衣類の左右移動は容易だが、前後方向の移動が困難となる。従って、乾燥用空気は、吹出口に面した衣類の一部分に集中して接触する一方、吹出口から遠い衣類の部分には接触し難い。よって、ドラム1内の位置によって衣類の乾燥状態に差が生じて乾燥ムラとなり、これが使用者の不満の原因となる。
そこで、本実施の形態では、受筒2に固定した振動検知部14が検知する振動値に基づいて、図2に示す制御部70が、ドラム1内における衣類の乾燥度合い(吹出口側の衣類が十分に乾燥した状態)を正確に判定している。以下に、この原理を説明する。
乾燥工程中は、第1風路9または第2風路11の何れかの風路が選択されて乾燥が進行する。乾燥工程が進行するに従って、ドラム1内の衣類の含水量が漸次的に減少するので、衣類の重量が徐々に軽くなり、衣類が落下する際のドラムへの衝撃(振動検知部14が検知する振動値)も徐々に小さくなる。ここで、選択されている風路の吹出口に近い側にある衣類だけが十分に乾燥すると、衣類から除去される水分量が減少して衣類の重量変化が乏しくなり、振動検知部14が検知する振動値も収束してしまう。よって、振動検知部14の検知結果により、選択されている風路の吹出口に近い側の衣類の乾燥度合い(吹出口側の衣類が十分に乾燥した状態)を判定することができる。
そして、本実施の形態の制御部70は、振動検知部14の検知結果を基に乾燥度合いを精度よく検知しながら乾燥用空気の吹出口を切り換えることで、確実に衣類の乾燥ムラを低減する。以下に、図4を参照しながら、振動検知部14の検知結果に基づく風路の切り換えについて説明する。
図4は、乾燥時間と振動検知部14の出力積算値との関係を示すグラフである。
ここでは、振動検知部14として互いに直交する3方向(14a、14b及び14c)の加速度を検出することができる半導体加速度センサを用いている。そして、乾燥工程におけるドラム1の回転数を47rpmとし、ドラム1の回転軸1a方向(すなわち、検知方向14a)の受筒2の加速度を読み取った結果を図4に示している。これは、前記ドラム回転数での乾燥中において、前記3方向のうち、検知方向14aの振動値が最も大きな値を示した(すなわち、最も感度が高かった)ためである。
但し、検知方向14aの加速度を読み取ることに限定するものではない。すなわち、機体の構造、受筒2やドラム1の支持構造(ドラム1の傾斜角度、受筒2を支えるダンパ34や支持バネの取り付け構造など)、あるいはドラム1の回転数などに応じて、最も感度の高い方向の振動値を読み取ることが望ましく、特定の方向の加速度を読み取ることに限定するものではない。このように、振動検知部14を2軸以上の振動検出が可能な多軸感応型センサとして構成し、乾燥工程中のタンブリング動作において最も感度の高い方向の値を選択して使えるように、複数方向の振動成分を読み取ることが望ましい。例えば、乾燥回転数により、振動検知部14の検知軸を変化させ、現実に回転させる回転数に最も感度よく反応する検知軸を選定する。この場合、乾燥工程開始の初期段階で、振動検知部14の各軸の変化度合いを確認して、もっとも感度良く反応する検知軸を選定し、その検知軸の変化に応じて切り替え制御を行う。
ところで、ドラム1が1回転する間に、振動検知部14の出力(加速度)は数個のピークを示す。そこで、図4では、振動検知部14の検出した加速度ピークトゥピーク値のドラム10回転分の積算値を、振動検知部14が検出する振動値A_ppとしている。そして、制御部70が10分毎に振動値A_ppをサンプリングしている。
図4において、乾燥工程の開始時に第1風路9が選択され、第1吹出口8からドラム1内へ乾燥用空気を吹き出して衣類を乾燥させる乾燥運転が行われている。そして、第1風路9を用いた乾燥が進行するに伴い、振動検知部14が検出する振動値A_ppは漸次的に減少している。ここで、振動検知部14が検出する振動値A_ppが収束し、単位時間(図4においては10分間)当りの振動値A_ppの減少量ΔA_ppが、所定値ΔA_pp1を下回ったとき、現在選択されている第1風路9の第1吹出口8に近い側の衣類が十分に乾燥したと判定し、これをもって風路切り換えタイミングとする。図4の場合、乾燥工程の開始から80分が経過したときに、第1風路9から第2風路11へ切り換えている。
ところで、上記のタイミングで風路切り換えを行わずに第1風路9を用いた乾燥運転を継続した場合、図4中の(a)に示すように、振動検知部14が検出する振動値A_ppは収束して殆ど変化していない。これは第1吹出口8側の衣類が十分に乾燥していることを示すものであり、上記のタイミングで風路切り換えを行わず乾燥を続けても、風路近傍の衣類から除去される水分は極僅かである一方、風路よりはなれたところにある衣類の乾燥は十分に行われていない状況となる。そこで、上記のタイミングで風路切り換えを行った場合、図4中の(b)に示すように、風路切り換え直後から再び振動値A_ppが減少し、ドラム1内の衣類の含水量が減少していることが分かる。これは、第2風路11へ切り換えられたことにより、乾燥が不十分であった第2吹出口10側の衣類の乾燥が進行していることを示すものである。これにより、ドラム1内の衣類の部分的な乾燥ムラを効果的に解消することができる。
図5は、振動検知部14の検知結果に基づいた風路切り換えタイミングを示すフローチャートである。
乾燥運転(乾燥工程)が始まると、制御部70は、振動検知部14が検出する振動値のモニタリングを開始する(S1)。例えば、振動検知部14の検出した加速度ピークトゥピーク値のドラム10回転分の積算値を、振動検知部14が検出する振動値A_ppとすることができる。なお、振動値A_ppの積算期間はこれに限定されることなく、任意に設定可能である。
そして、制御部70は、風路切換部12を制御して第1風路9側を開き、第1吹出口8からドラム1内へ乾燥用空気を吹き出して衣類を乾燥させる乾燥運転を開始する(S2)。その後、制御部70は、単位時間(例えば10分間)当りの振動値A_ppの減少量ΔA_ppが、第1所定値ΔA_pp1を下回るか否かを判断する(S3)。ドラム1内の衣類の乾燥が順調に進んで当該衣類の重量が漸次的に軽くなれば、振動検知部14が検出する振動値A_ppも漸次的に減少する。衣類から水分が除去されて乾燥が進行している間は、単位時間当りの振動値A_ppの減少量ΔA_ppが、第1所定値ΔA_pp1を下回ることはなく(S3でYES)、上記S2に示す条件での乾燥運転を継続する。
その後、振動検知部14が検出する振動値A_ppが収束し、単位時間当りの振動値A_ppの減少量ΔA_ppが、第1所定値ΔA_pp1を下回ったとき(S3でNO)、制御部70は、現在選択している第1風路9の第1吹出口8に近い側の衣類が十分に乾燥したと判断する。このとき制御部70は、風路切換部12を制御して第2風路11側を開き、第2吹出口10からドラム1内へ乾燥用空気を吹き出して衣類を乾燥させる乾燥運転に切り換える(S4)。これにより、乾燥が不十分である第2吹出口10側の衣類の乾燥が進み、振動検知部14が検出する振動値A_ppも漸次的に減少する。そして、単位時間当りの振動値A_ppの減少量ΔA_ppが、第1所定値ΔA_pp1よりも小さい第2所定値ΔA_pp2を下回るまで、第2風路11を使用した乾燥運転を継続する。
その後、単位時間当りの振動値A_ppの減少量ΔA_ppが、第2所定値ΔA_pp1を下回ったとき(S5でNO)、制御部70は、第1吹出口8および第2吹出口10の両側に位置する衣類(すなわちドラム1内の全ての衣類)がムラなく十分に乾燥したと判断し、乾燥運転を終了する。
上記のS3およびS5において、単位時間(10分間)当りの振動値A_ppの減少量ΔA_ppが、第1所定値ΔA_pp1または第2所定値ΔA_pp2を下回るか否かを判断しているが、上記の単位時間は10分間に限定されるものではなく、例えば5分間でもよく、任意の時間に設定することができる。
また、S3およびS5において、振動検知部14が検知した振動値A_ppの単位時間当りの減少量ΔA_ppが第1所定値または第2所定値を下回るか否かを判断しているが、これに代えて、振動値A_ppの単位時間当りの減少率が第1所定値または第2所定値を下回るかを判断してもよい。
また、ドラム1内の衣類の量(総重量)により、衣類が落下する際のドラム1への衝撃(振動検知部14が検知する振動値A_pp)も異なる。そこで、ドラム1内の衣類の量を布量検知部15で検知し、検知した衣類の量に応じて判定基準値としての第1所定値ΔA_pp1および第2所定値ΔA_pp2を補正することが望ましい。すなわち、ドラム1内の衣類の量が多いほど振動検知部14が検知する振動値A_ppも大きくなるので、第1所定値ΔA_pp1や第2所定値ΔA_pp2を大きくし、逆にドラム1内の衣類の量が少ないほど第1所定値ΔA_pp1や第2所定値ΔA_pp2を小さくする。例えば、定格乾燥容量が衣類6kgの洗濯乾燥機(または衣類乾燥機)において、布量判定部15が衣類の量を5kg〜6kgと判定した場合における所定値をΔA_pp1及びΔA_pp2とし、4kg〜5kgと判定した場合をそれぞれΔA_pp1×0.9及びΔA_pp2×0.9とし、3kg〜4kgと判定した場合をそれぞれΔA_pp1×0.8及びΔA_pp2×0.8とし、2kg〜3kgと判定した場合をそれぞれΔA_pp1×0.7及びΔA_pp2×0.7とし、1kg〜2kgと判定した場合をそれぞれΔA_pp1×0.6及びΔA_pp2×0.6とし、1kgに満たないと判定した場合をそれぞれΔA_pp1×0.5及びΔA_pp2×0.5とすることができる。なお、布量判定部15が1kgに満たない少量衣類と判定した場合は、衣類の乾燥ムラが生じ難いことから、風路の切り換えを行わないこととすることもできる。
上記のドラム1に収容された衣類の量に応じた所定値ΔA_pp1及びΔA_pp2の補正は、布量検知部15の検知結果に基づいて制御部70にて実行される。洗濯開始前に、布量検知部15は、ドラム1に投入された衣類の量(質量)を検知する。具体的には、布量検知部15は、受筒2が空の状態(受筒2内に水が存在せず、ドラム1に衣類が投入されていない状態)におけるダンパ34の軸の位置と、洗濯開始前であって水を受筒2に注入する前の状態(受筒2内に水は存在しないが、ドラム1内には衣類が存在する状態)におけるダンパ34の軸の位置との差によって、ドラム1に投入された衣類の量を検知する。そして、制御部70は、布量検知部15の検知結果に基づいて、所定値ΔA_pp1及びΔA_pp2を上述のように補正した上で、図5に示したフローチャートの制御を実行する。このように、ドラム1内の衣類の量に応じて第1所定値ΔA_pp1または第2所定値ΔA_pp1を設定することによって、高精度に風路切り換えタイミングまたは乾燥運転終了タイミングを決定することができる。
なお、本実施の形態においては、布量検知部15として、ダンパ34の軸の上下変位量を検知する方式のものを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、ドラム1を回転させるドラム駆動モータ3の回転数、駆動電流、トルクなどの変動量を検知し、ドラム駆動モータ3の負荷変動からドラム1内の衣類の量を検知する方式の布量検知部を適用してもよい。
また、本実施の形態においては、布量検知部15の検知結果に応じて制御部70が第1所定値ΔA_pp1と第2所定値ΔA_pp2とを自動的に変更する構成を示したが、布量検知部15が存在しない場合でも、使用者が入力設定部32から衣類の量を入力し、当該使用者の入力に応じて制御部70が第1所定値ΔA_pp1と第2所定値ΔA_pp2とを変更する構成とすることもできる。
(実施の形態2)
(実施の形態2)
上記の実施の形態1では、第1風路9または第2風路11が選択された場合の風量や風速は特に限定されない。例えば、何れの風路が選択された場合でも、同一の風量および同一の風速としてもよい。これに対して、本実施の形態では、第1風路9が選択されているときには第2風路11が選択されているときよりも大風量の乾燥用空気が第1吹出口8からドラム1内へ吹き出される一方、第2風路11が選択されているときには第1風路9が選択されているときよりも高圧高速の乾燥用空気が第2吹出口10からドラム1内へ吹き出されるようにし、消費電力量の低減化を図りながら、乾燥ムラの低減のみならず、高圧高速の乾燥用空気による衣類のシワ低減をも実現するものである。
本実施の形態2に係るドラム式洗濯乾燥機の基本的な構成は、図1、図2、図8等に示した前記実施の形態1に係るドラム式洗濯乾燥機と同様である。以下、前記実施の形態1と異なる構成を中心に説明する。
第1風路9の第1吹出口8は、第2吹出口10よりも空気通過断面積が大きくなるように形成されており、第2風路11に較べて圧力損失が少なく大風量の乾燥用空気をドラム1内に吹き出すことができるようになっている。また、第2風路11の第2吹出口10は、第1吹出口8よりも空気通過断面積が小さくなっており、第1吹出口8に較べて高圧高速の乾燥用空気をドラム1内に吹き出すことができるようになっている。
通常、ドラム式洗濯乾燥機の場合、回転するドラム1の前方と受筒2との間の隙間は、衣類が噛み込まないように、可能な限り小さく形成されている。よって、この僅かな隙間に、広い開口で圧力損失の少ない吹出口を設けることはスペース的に困難であるが、空気通過断面積が比較的小さくて高圧高速の風を吹き出す第2吹出口10を設けることはできる。一方、ドラム1の後方奥の底面には、比較的大きな開口を有する第1吹出口8を設けるスペース的な余裕がある。そして、通風可能な多数の小径孔からなる開口率の大きなカバー26で第1吹出口8を覆えば、当該第1吹出口8に衣類が噛み込むことはない。よって、ドラム1後方の底面に、比較的圧力損失の少ない第1吹出口8を設けることができる。
また、ドラム1の回転軸を前上がりに傾斜して回転させて衣類を撹拌する場合、靴下、ハンカチ、ブリーフなどの小物衣類はドラム1の後方奥に偏り易い一方、長袖の肌着、ズボン下、長袖のカッターシャツ、長袖のパジャマなどの長物衣類は、ドラム1の前方に偏り易い。従って、小物衣類および長物衣類が混在した状態で乾燥を行う場合、ドラム1の後方奥に位置する第1吹出口8から大風量の乾燥用空気を吹き出すと、ドラム1の奥に偏った小物衣類に乾燥用空気が先に接触する。さらに、この乾燥用空気は、小物衣類をすり抜けてドラム1前方の長物衣類にも到達する。よって、小物衣類および長物衣類ともに効率よく乾燥でき、特に小物衣類については比較的シワが少ない状態で乾燥できる。一方、乾燥中の撹拌で袖などがねじれ易くてシワが発生し易い長物衣類については、ドラム1の前方に偏り易いため、ドラム1の前方に位置する第2吹出口10から乾燥用空気を当てる方がより乾燥速度が速くなる。さらに、この長物衣類に第2吹出口10から噴出する高圧高速の乾燥用空気を当てることで、長物衣類が広がり易くなるとともに、風によって長物衣類がよく動くので、衣類のねじれを解きほぐすことができ、シワの低減効果が高い。
また、送風部4においては、風路切換部12により第1風路9に切り換えられた場合、第1風路9を通過する風量が第2風路11の風量よりも多い所定風量になるように、送風用ファン4aを回転させる。さらに、送風部4は、風路切換部12により第2風路11に切り換えられた場合、第2風路11の第2吹出口10を通過する風速が第1吹出口8を通過する風速よりも速い所定風速になるように、送風用ファン4aを回転させる。例えば、第1吹出口8を通過する風速を10m/s程度とし、第2吹出口10を通過する風速を50m/s以上とすることができる。なお、第1吹出口8および第2吹出口10を通過する風速はこれに限定されるものではなく、第2吹出口10における風速が第1吹出口8における風速よりも速い条件を満たせば任意の風速に設定可能である。
そして、本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機は、第1風路9を通過する風量が第2風路11を通過する風量よりも多く、第2風路11の第2吹出口10を通過する風速が第1吹出口8を通過する風速よりも速く、乾燥工程途中に、振動検知部の検知結果に基づいて風路切換部12を作動させて第1風路9と第2風路11とを切り換えるものである。
ここで、排出口5は、相対的に第1吹出口8からの距離が第2吹出口10からの距離よりも遠い位置に配設されている(換言すれば、排出口5は、相対的に第2吹出口10に近く第1吹出口8からは遠い位置にある)。よって、排出口5は、ドラム1の後方よりも前方に近くなるように設けられている。排出口5は、第1吹出口8からの距離が最も遠くなるように、ドラム1前方にある第2吹出口10の近傍に設けてもよい。
上記のように、排出口5を、ドラム1前方の第2吹出口10に対して近く、第1吹出口8に対して遠い位置に配設することにより、第1吹出口8と排出口5との距離が長くなる。よって、ドラム1後方の第1吹出口8からの送風中は、当該第1吹出口8から吹き出された乾燥用空気がドラム1内に広く行き渡る。これにより、ドラム1内において、衣類と乾燥用空気とが効率よく接触し、少ない消費電力量で衣類を乾燥できる。
また、排気口5が第2吹出口10付近に配設されていても、ドラム1前方の第2吹出口10からの送風中においては、当該第2吹出口10からは高圧高風速の乾燥用空気が吹き出しているため、乾燥用空気はドラム1の前方から後方まで到達することができる。これにより、乾燥用空気と衣類との接触が悪くなることはなく、高圧高風速の乾燥用空気によってシワを伸ばす効果を維持できる。
また、第2吹出口10は、ドラム1の前方上部に開口している。これにより、ドラム1の回転により持ち上げられた動きのある衣類に対して、効果的に高圧高速の乾燥用空気を吹き付けることができ、シワの低減効果を高めることができる。
図6は、本実施の形態2に係る風路切り換え動作を示すフローチャートである。図5に示した前記実施の形態1に係るフローチャートとの違いは、S2およびS4の乾燥運転条件である。すなわち、本実施の形態2では、図5のS2およびS4に代えて、図6のS2’およびS4’の乾燥運転条件を用いる。
具体的には、乾燥工程の開始時において、制御手段70は、空気通過断面積が大きく圧力損失の少ない第1風路9を使用し、低風速で大風量の乾燥用空気をドラム1後方の第1吹出口8から吹き出して衣類に当てるように乾燥運転条件を設定する(S2’)。すなわち、制御部70は、風路切換部12を制御して第1風路9側を開き、送風ファン用モータ4bの回転数を比較的低く設定する。この場合、第1風路9の圧力損失が少ないため、送風ファン用モータ4bの回転数を比較的低くし、少ない消費電力で送風部4を駆動しても、大風量の風を得ることができる。よって、上記S2’に示す設定により乾燥運転している間は、乾燥時間の短縮と、消費電力量の低減を図れる。
その後、振動検知部14が検出する振動値A_ppが収束し、単位時間当りの振動値A_ppの減少量ΔA_ppが、所定値ΔA_pp1を下回ったとき(S3でYES)、制御部70は、第1吹出口8よりも空気通過断面積が小さい第2吹出口10から、送風ファン用モータ4bを大回転数で回転させて得られる高圧で高速の乾燥用空気が送風されるように乾燥運転条件を設定する(S4’)。すなわち、制御部70は、風路切換部12を制御して第2風路11側を開くとともに、送風部4を制御して送風ファン用モータ4bの回転数を上げる。この場合、高圧高速の風によって効果的に衣類のシワが低減される。
以上のように、振動検知部の検知結果を基に乾燥度合いを精度よく検知しながら乾燥用空気の吹出口を切り換える前記実施の形態1の構成に付加して、本実施の形態2の構成を適用すれば、消費電力量の低減化を図りながら、乾燥ムラの低減のみならず、高圧高速の乾燥用空気による衣類のシワ低減をも実現することができる。
なお、上記の各実施の形態においては、洗濯機能および衣類乾燥機能をともに具備するドラム式洗濯乾燥機について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、洗濯機能を具備しない衣類乾燥機にも適用できる。衣類乾燥機の構成例としては、図1に示すドラム式洗濯乾燥機から洗濯機能を除いた構成とすることができる。例えば、洗濯機能を具備しない衣類乾燥機としては、図1の水槽2には給水管や排水管40を接続する必要がなく、受筒2を水槽ではなく単なるドラム1の外槽として構成し、その他の基本構成を図1のドラム式洗濯乾燥機と同様とすればよい。
本発明に係る衣類乾燥機および洗濯乾燥機は、家庭用のドラム式の衣類乾燥機や洗濯乾燥機だけでなく、業務用のドラム式の衣類乾燥機などにも広く好適に利用することができる。
1 ドラム
2 受筒(水槽)
3 ドラム駆動モータ(ドラム駆動部)
4 送風部
5 排出口
6 除湿部
7 加熱部
8 第1吹出口
9 第1風路
10 第2吹出口
11 第2風路
12 風路切換部
13 循環風路
14 振動検知部
15 布量検知部
70 制御部
2 受筒(水槽)
3 ドラム駆動モータ(ドラム駆動部)
4 送風部
5 排出口
6 除湿部
7 加熱部
8 第1吹出口
9 第1風路
10 第2吹出口
11 第2風路
12 風路切換部
13 循環風路
14 振動検知部
15 布量検知部
70 制御部
Claims (6)
- 乾燥対象の衣類を収容するドラムと、
前記ドラムを回転駆動するドラム駆動部と、
前記ドラム内へ乾燥用空気を送風する送風部と、
前記ドラムの後方に開口した第1吹出口を有する第1風路と、
前記ドラムの前方に開口した第2吹出口を有する第2風路と、
前記第1風路と前記第2風路とを選択的に切り換える風路切換部と、
前記ドラムの振動を検知する振動検知部と、
前記振動検知部の検知結果に基づいて前記風路切換部を制御し、乾燥工程の途中で前記第1風路と前記第2風路とを選択的に切り換える制御部と、を備えていることを特徴とする衣類乾燥機。 - 前記制御部は、前記第1風路を選択した乾燥工程の途中で、前記振動検知部が検知した振動値の単位時間当りの減少量または減少率が第1所定値を下回ったとき、前記風路切換部を制御して前記第2風路に切り換えることを特徴とする請求項1に記載の衣類乾燥機。
- 前記制御部は、前記第2風路を選択した乾燥工程の途中で、前記振動検知部が検知した振動値の単位時間当りの減少量または減少率が、前記第1所定値よりも小さい第2所定値を下回ったとき、乾燥運転を終了することを特徴とする請求項2に記載の衣類乾燥機。
- 前記ドラム内の衣類の量を検知する布量検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記布量検知部が検知する衣類の量に応じて前記第1所定値または前記第2所定値を設定することを特徴とする請求項2または3に記載の衣類乾燥機。 - 前記第1吹出口の空気通過断面積は、前記第2吹出口の空気通過断面積よりも大きく、
前記送風部は、前記第1風路が選択されているときには前記第2風路が選択されているときよりも大風量の乾燥用空気が前記第1吹出口からドラム内へ吹き出される一方、前記第2風路が選択されているときには前記第1風路が選択されているときよりも高圧高速の乾燥用空気が前記第2吹出口からドラム内へ吹き出されるように乾燥用空気を送風することを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の衣類乾燥機。 - 請求項1ないし5の何れか1項に記載の衣類乾燥機と、
前記ドラムを内包して洗濯水を貯留する水槽と、を含むことを特徴とする洗濯乾燥機。
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Cited By (2)
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KR101345955B1 (ko) | 2011-07-06 | 2014-01-03 | 위니아만도 주식회사 | 의류건조기 |
-
2009
- 2009-10-16 JP JP2009238910A patent/JP2011083458A/ja active Pending
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