JP2011206139A - 衣類乾燥機 - Google Patents

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祐仁 尾関
Shigeharu Nakamoto
重陽 中本
Nobuhiko Fujiwara
宣彦 藤原
Atsuhito Nakai
厚仁 中井
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Abstract

【課題】衣類の絡みやシワの固着を防ぎ、乾燥時間が短く低消費電力量で乾燥する。
【解決手段】ドラム1内の衣類の乾燥度を検知する乾燥度検知部60と、ドラム1内の衣類の絡みの有無を判定する絡み判定部20と、ドラム1内に大風量の乾燥用空気を送風する第1吹出口8を有する第1風路9と、ドラム1内に高風速の乾燥用空気を送風する第2吹出口10を有する第2風路11と、第1風路9と第2風路11とを選択的に切り換える風路切換部12と、第1風路9または第2風路11からドラム1内へ乾燥用空気を送風する送風部4と、絡み判定部20の判定結果および乾燥度検知部60の検知結果に基づいて風路切換部12を制御し、乾燥工程の途中で第1風路9と第2風路11とを選択的に切り換える制御部70とを備えたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、衣類等の乾燥を行う衣類乾燥機に関するものである。
従来、この種の衣類乾燥機は、乾燥用空気を風路を通してドラム内に送風し、ドラムに投入された衣類等に乾燥用空気を接触させて衣類から水分を奪い衣類を乾燥させるとともに、湿気を含んで高湿度となった乾燥用空気をドラム外の風路に排出するものである。特に、限られた狭いドラムの空間内で衣類の乾燥を行うことから、乾燥中に衣類同士が絡んで乾燥用空気が衣類の絡んだ部分に接触せず乾燥所要時間が増加するという問題があり、また、絡んだ状態で乾燥した後の衣類等には、強いシワがついた状態になるという問題があり、その解決に種々の方法が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
図12は、特許文献1に記載された従来のドラム式洗濯乾燥機を示すものである。図12に示すように、乾燥工程中に第1の風路201と第2の風路202から乾燥用空気を回転ドラム203内部に吹き込むことによって風量を増加し、衣類204からの水分の蒸発を促進して乾燥時間の短縮をはかるとともに、第2の風路202においては、回転ドラム203の開口部下部に設けられた第2の吹込み口205から高圧な空気を高速で回転ドラム内の衣類204に吹きつけることによって衣類204を持ち上げながら攪拌することにより、衣類204のシワが少なくて乾燥仕上がりを向上するものである。
特開2009−72502号公報
しかしながら、前記従来の構成では、高圧高速の空気を吹き付けているが、一般に同一風量のものをより高圧で高速に吹き付けるには、仕事量が増加するため送風ファン用モータの消費電力は大きくなる。また、前記従来の構成では、風量を増加するために第1の風路201と第2の風路202に2つの送風ファン用モータ206、207を設けており、消費電力はさらに大きくなる。よって、乾燥時間の短縮やシワ伸ばしを実現する方法として、省エネの面で課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、低消費電力量でシワの少ない乾燥ができる衣類乾燥機を提供することを目的とするものである。
前記従来の課題を解決するために、本発明の衣類乾燥機は、ドラム内の衣類の乾燥度を検知する乾燥度検知部と、前記ドラム内の衣類の絡みの有無を判定する絡み判定部と、前記ドラムに開口した第1吹出口を有する第1風路と、前記ドラムに開口し、前記第1吹出口より空気通過断面積が小さい第2吹出口を有する第2風路と、前記第1風路と前記第2風路とを選択的に切り換える風路切換部と、前記第1風路が選択されているときは、前記第2風路が選択されているときより大風量の乾燥用空気が前記第1吹出口からドラム内へ吹き出される一方、前記第2風路が選択されているときは、前記第1風路が選択されているときよりも高圧高速の乾燥用空気が前記第2吹出口からドラム内へ吹き出されるように乾燥用空気を送風する送風部と、前記絡み判定部の判定結果および前記乾燥度検知部の検知結果に基づいて前記風路切換部を制御し、乾燥工程の途中で前記第1風路と前記第2風路とを選択的に切り換える制御部とを備えたものである。
これによって、シワが固着する乾燥度の間や、シワの固着が少ない乾燥度の間でも衣類の絡みを確認した場合は、第2風路からの高圧高速の乾燥用空気を送風し、シワを伸ばしたり絡みを解きほぐすことができ、それ以外の場合は、高風速より消費電力の少ない大風量の乾燥用空気を送風して乾燥するため、低消費電力量でシワの固着が少なく良好な仕上がりで乾燥させることができる。
本発明の衣類乾燥機は、少ない消費電力で、衣類のシワ固着や衣類同士の絡みを効果的に解消することができ、乾燥時間の短縮および衣類のシワ発生を低減することができる。
本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯乾燥機の要部断面図 同ドラム式洗濯乾燥機の概略構成を示すブロック回路図 同ドラム式洗濯乾燥機の振動検知部の斜視図 (a)同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程中の乾燥時間の経過と乾燥率との関係を示したグラフ(b)同振動検知部が検知する振動値との関係を示したグラフ(c)同乾燥用空気温度との関係を示したグラフ 同ドラム式洗濯乾燥機の振動検知部の出力例を示すグラフ 同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程中のドラム内における衣類の状態の一例を示す説明図 同ドラム式洗濯乾燥機の乾燥工程中のドラム内における衣類の状態の他の例を示す説明図 同ドラム式洗濯乾燥機における風路切り換え処理を示すフローチャート 同ドラム式洗濯乾燥機の他の例の概略構成を示す側面断面図 同ドラム式洗濯乾燥機における振動検知部の他の例の斜視図 同ドラム式洗濯乾燥機における他の風路切り換え処理を示すフローチャート 従来のドラム式洗濯乾燥機の概略構成を示す側面断面図
第1の発明は、乾燥対象の衣類を収容するドラムと、前記ドラムを回転駆動するドラム駆動部と、前記ドラム内の衣類の乾燥度を検知する乾燥度検知部と、前記ドラム内の衣類の絡みの有無を判定する絡み判定部と、前記ドラムに開口した第1吹出口を有する第1風路と、前記ドラムに開口し、前記第1吹出口より空気通過断面積が小さい第2吹出口を有する第2風路と、前記第1風路と前記第2風路とを選択的に切り換える風路切換部と、前記第1風路が選択されているときは、前記第2風路が選択されているときより大風量の乾燥用空気が前記第1吹出口からドラム内へ吹き出される一方、前記第2風路が選択されているときは、前記第1風路が選択されているときよりも高圧高速の乾燥用空気が前記第2吹出口からドラム内へ吹き出されるように乾燥用空気を送風する送風部と、前記絡み判定部の判定結果および前記乾燥度検知部の検知結果に基づいて前記風路切換部を制御し、乾燥工程の途中で前記第1風路と前記第2風路とを選択的に切り換える制御部とを備えたことにより、シワが固着する乾燥度の間や、シワの固着が少ない乾燥度の間でも衣類の絡みを確認した場合は、第2風路からの高圧高速の乾燥用空気を送風し、シワを伸ばしたり絡みを解きほぐすことができ、それ以外の場合は、高風速より消費電力の少ない大風量の乾燥用空気を送風して乾燥するため、低消費電力量でシワの固着が少なく良好な仕上がりで乾燥させることができる。
すなわち、第1風路の第1吹出口は、第2風路の第2吹出口よりも空気通過断面積が大きく、圧力損失が少ない。そして、この第1風路が選択されているときには、第2風路が選択されているときよりも大風量の乾燥用空気が、ドラムの後方に開口した第1吹出口からドラム内へ吹き出される。この場合、第1風路の圧力損失が少ないため、比較的少ない消費電力で送風部を駆動しても、大風量の風を得ることができる。よって、大風量の風による乾燥時間の短縮と、消費電力量の低減とを図れる。一方、第2風路の第2吹出口は、第1吹出口よりも空気通過断面積が小さくなっている。そして、第2風路が選択されているときには、第1風路が選択されているときよりも高圧高速の乾燥用空気が、ドラムの前方に開口した第2吹出口からドラム内へ吹き出される。この場合、高圧高速の風によって衣類(ドラムの前方に偏り易い長袖衣類など)が押し広げられるため、衣類のシワ固着を防ぐことや、衣類同士の絡みを解きほぐすことができる。
そこで、ドラム内での衣類の乾燥度や、絡みの有無を絡み判定部で判定し、その判定結果に基づいて、乾燥工程の途中で、上記のように構成された第1風路と第2風路とを選択的に切り換える。例えば、衣類にシワが固着する乾燥度(約90〜100%)の間は第2風路を選択し、シワの固着が比較的少ない上記以外の乾燥度の間は第1風路を選択することができる。また、上記のシワの固着が少ない第1風路が選択されている乾燥度の間においても、例えば、衣類の絡みが発生している場合には第2風路を選択し、衣類の絡みが発生していない場合には第1風路を選択することができる。
これにより、1つの送風部で衣類乾燥が可能であり、また、シワが固着する乾燥度の間や、シワの固着が少ない乾燥度の間でも衣類の絡みを確認した場合には第2風路からの高圧高速の乾燥用空気により、シワを伸ばしたり絡みを解きほぐしたりし、その以外の場合には又高風速よりも消費電力の少ない大風量で乾燥するため、全体的に低消費電力量でもシワの固着や絡みを抑制した乾燥ができる。よって、1つの送風部で衣類の状態に応じて風路を選択的に切り換えることで、風量や風速を切り換えながら衣類乾燥を行う本発明の構成の方が、風量を増加するために2つの送風ファン用モータを使用する従来の構成よりも消費電力が小さく省エネであり、かつシワの固着や絡みの解消を図ることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の第1吹き出し口は、ドラムの後方に開口し、第2吹き出し口は、前記ドラムの前方に開口したことにより、狭いドラム内での衣類の乾燥において、衣類の量が比較的多い場合には、衣類が自由に動くことができる浴比が小さいため、衣類同士が絡みやすい場合も、絡みが少なく乾燥することが可能となる。例えば、長物の衣類を多く含んだ場合には、長袖等の部分が他の衣類に絡みつき易く、絡んだままの状態で乾燥を続けると、乾燥後に衣類のシワが増加するので、絡みが発生した場合は、ドラム前方からの高圧高速の乾燥用空気で、衣類を押し広げ絡みを解くと共に衣類をバラバラにすることで、乾燥用空気を衣類全体に満遍なく接触させ、乾燥ムラがなく、短時間で衣類乾燥が完了することとなる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の制御部は、乾燥度検知部の検知結果が所定の乾燥度の間は、風路切換部を制御して第2風路に切り換えるようにしたことにより、所定の乾燥度(具体的には、衣類にシワが固着する乾燥度約90〜100%)の間だけ衣類のシワを伸ばすことができる高圧高速の風に切り換えることで、高風速乾燥運転を必要最低限の期間とすることができる。これにより、衣類のシワの固着を効果的に抑制しながら、トータルの乾燥時間の短縮化および消費電力量の低減化が図れる。
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明の制御部は、第1風路での乾燥工程途中で、絡み判定部が衣類の絡みが有ると判定したときは、風路切換部を制御して第2風路に切り替え、前記絡み判定部が絡みが無いと判定すると、再び前記第1風路に切り換えるようにしたことにより、衣類の絡みが発生している場合にだけ当該絡みを解きほぐすことができる高圧高速の風に切り換えることで、高風速乾燥運転を必要最低限の期間とすることができ、衣類の絡みを効果的に抑制しながら、トータルの乾燥時間の短縮と消費電力量の低減が図れる。また、衣類の絡みが無い場合には、当該絡みを解きほぐすための高圧高速の風での乾燥を行う必要がないため、第1風路に切り換える。この第1風路が選択されているときには、第2風路が選択されているときよりも大風量の乾燥用空気が、ドラムの後方に開口した第1吹出口からドラム内へ吹き出される。この場合、第1風路の圧力損失が少ないため、比較的少ない消費電力で送風部を駆動しても、大風量の風を得ることができる。よって、大風量の風による乾燥時間の短縮と、消費電力量の低減とを図れる。これにより、トータルの乾燥時間の短縮化と、消費電力量が少ない乾燥運転を実現することができる。
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明のドラムの振動を検知する振動検知部を設け、乾燥度検知部は、前記振動検知部の出力値に基づいて衣類の乾燥度を検知するようにしたことにより、乾燥が進行するに従い、衣類が除湿されて含水量が徐々に減少してドラムの衝撃も徐々に小さくなる。よって、ドラムの振動検知部の出力値も、乾燥の進行に従って漸次的に小さな値に収束する傾向となり、振動検知部の出力から衣類の絡みと乾燥度を検知することができる。
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明のドラムの振動を検知する振動検知部を設け、絡み判定部は、前記振動検知部の出力値が第1所定値以上増加したときに衣類の絡みが発生したと判定し、前記振動検知部の出力値が第2所定値以上減少したときに衣類の絡みが解消したと判定するようにしたことにより、乾燥工程中に衣類の絡みが発生すれば、絡んで重くなった衣類が落下する時のドラムへの衝撃が増加し、ドラムの振動も大きくなる。この現象を、振動検知部で捉えることにより、衣類の絡み判定が可能となる。すなわち、乾燥が進行するに従い、衣類が除湿されて含水量が徐々に減少することから、衣類の絡みが発生していなければ、本来、ドラムの衝撃も徐々に小さくなる。よって、ドラムの振動検知部の出力値も、乾燥の進行に従って漸次的に小さな値に収束する傾向となる。しかし、この傾向に反して、振動検知部の出力値が第1所定値以上増加したときには、ドラム内で絡みが発生したものと判定することが可能となる。また、振動検知部の出力値が、乾燥の進行に従って漸減するよりも大きな減少幅である第2所定値以上減少したときには、ドラム内の衣類の絡みが解きほぐされたものと判定することが可能となる。このように、乾燥中における衣類の絡みの有無に伴って変化するドラムへの衝撃を振動検知部で直接捉えて衣類の絡みを判定することで、高精度の絡み判定が可能になる。
第7の発明は、特に、第6の発明の絡み判定部は、第1所定値および第2所定値を、乾燥工程の時間経過に伴って減少させるようにしたことにより、乾燥工程の時間経過に伴って除湿された衣類の重量は除湿度合いによって徐々に少なくなるため、衣類の絡みが発生した場合のドラムへの衝撃も同様に小さくなっていく。よって、絡み有無の判定基準となる第1所定値および第2所定値も乾燥工程の時間経過に伴って減少させることで、より高精度の絡み判定が可能となる。
第8の発明は、特に、第6または第7の発明のドラム内の衣類の量を検知する布量検知部を設け、絡み判定部は、前記布量検知部が検知する衣類の量に応じて第1所定値および第2所定値を設定するようにしたことにより、ドラム内で衣類の絡みが発生した場合、絡んで塊となった衣類の重量は、ドラム内の衣類の量(総重量)に応じて重くなる。絡んで塊となった衣類の重量が重くなれば、それだけドラムへの衝撃も大きくなるので、絡み有無の判定基準となる第1所定値および第2所定値も、衣類の量に応じて設定することで、衣類の量に関わらず高精度の絡み判定が可能となる。
第9の発明は、特に、第6〜第8のいずれか1つの発明のドラム内の衣類の量を検知する布量検知部を設け、絡み判定部は、前記布量検知部が検知する布量に応じて判定タイミングを可変させるようにしたことにより、ドラム内で衣類の絡みが発生した場合、絡んで塊となった衣類の重量は、ドラム内の衣類の量(総重量)に応じて相対的に乾燥時間は長くなる。絡み判定部は、適宜振動判定を行うが、判定タイミングは衣類の重量が重くなれば、それだけ水分蒸発にも時間がかかるので、絡み有無の判定タイミングの時間を乾燥開始から布量に応じて変化させたり(例えば、布量が多い場合は長くする)、判定タイミングの周期を布量が多いと長くしたりして、制御することで、衣類の量に関わらず高精度の絡み判定が可能となると共に、低消費電力による制御が可能となる。
第10の発明は、特に、第5〜第9のいずれか1つの発明の振動検知部を加速度センサで構成したことにより、ドラムへの衝撃を加速度として捉えることができ、衣類の絡みの程度により増減するドラムへの衝撃度を精度よく判定することができる。これにより、高精度の絡み判定が可能となる。
第11の発明は、特に、第5〜第9のいずれか1つの発明の振動検知部を角速度センサで構成したことにより、ドラムへの衝撃を角速度として捉えることができ、衣類の絡みの程度により増減するドラムへの衝撃度を精度よく判定することができる。これにより、高精度の絡み判定が可能となる。さらに、ドラムの角速度は、ドラム近傍の稼動部の何れの位置においても同一であるため、振動検知部の取り付け位置の自由度を高めることができる。
第12の発明は、特に、第1〜第11のいずれか1つの発明の衣類乾燥機において、ドラムを内包して洗濯水を貯留する受筒と、前記受筒に洗濯水を給水する給水弁を設けた給水管と、前記受筒内の洗濯水を排水する排水弁を設けた排水管を有し、前記ドラム内で洗濯を行う洗濯機能を備えたことにより、同一のドラム内で洗濯から乾燥まで一貫して行うことができるとともに、低消費電力量でシワの少ない乾燥ができる洗濯機能を備えた衣類乾燥機を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるドラム式洗濯乾燥機の側面断面図、図2はブロック回路図、図3は振動検知部の斜視図である。図1〜図3において、洗濯物を収容する前面開口で底面を有する筒状のドラム1は、筐体100内に支持されて洗濯水を貯める筒状の水槽としての受筒2に内包されている。受筒2の背面には、ドラム1の回転軸を前上がりに傾斜して回転させるドラム駆動モータ3(ドラム駆動部)が取り付けられている。また、受筒2には、給水弁25(図2参照)が設けられた給水管(図示せず)、および排水弁27が設けられた排水管40が接続されている。
筐体100には、ドラム1の開口端側に対向させて扉体35が設けられており、使用者は、扉体35を開くことで、ドラム1に対して衣類等の洗濯物を出し入れすることができる。ドラム1の内周壁面には、内方に向かって複数の突起体(図示せず)が設けられており、ドラム1を低速で回転させることにより、衣類を突起体で引っ掛けて上方に持ち上げた後、適当な高さで落下させるといった攪拌動作(タンブリング動作)を与えることができる。
衣類を乾燥させるための乾燥用空気は、送風部4に送風されて、ドラム1内の洗濯物から水分を奪って多湿状態になり、ドラム1の側面周囲に位置する排出口5を通ってドラム1の外へ排出される。排出された乾燥用空気は除湿部6で除湿される。除湿部6で除湿した乾燥用空気は、加熱部7で加熱される。
加熱された乾燥用空気は、第1風路9または第2風路11のいずれかに導かれ、再びドラム1内に吹き出す。ここで、第1風路9は、ドラム1の後方に開口した第1吹出口8を有する。一方、第2風路11は、ドラム1の前方周側面に開口した第2吹出口10を有する。第1風路9の第1吹出口8は、第2吹出口10よりも空気通過断面積が大きくなるように形成されており、第2風路11に比べて圧力損失が少なく、大風量の乾燥用空気をドラム1内に吹き出すことができるようになっている。
また、第2風路11の第2吹出口10は、第1吹出口8よりも空気通過断面積が小さくなっており、第1吹出口8に比べて高圧高速の乾燥用空気をドラム1内に吹き出すことができるようになっている。
通常、ドラム式洗濯乾燥機の場合、回転するドラム1の前方と受筒2との間の隙間は、衣類が噛み込まないように、可能な限り小さく形成されている。よって、この僅かな隙間に、広い開口で圧力損失の少ない吹出口を設けることはスペース的に困難であるが、空気通過断面積が比較的小さくて高圧高速の風を吹き出す第2吹出口10を設けることはできる。
一方、ドラム1の後方奥の底面側には、比較的大きな開口を有する第1吹出口8を設けるスペース的な余裕がある。そして、通風可能な多数の小径孔からなる開口率の大きなカバー26で第1吹出口8を覆えば、当該第1吹出口8に衣類等が噛み込むことはない。よって、ドラム1後方の底面に、比較的圧力損失の少ない第1吹出口8を設けることができる。
また、ドラム1の回転軸を前上がりに傾斜して回転させて衣類を撹拌する場合、靴下、ハンカチ、ブリーフなどの小物衣類はドラム1の後方奥に偏り易い一方、長袖の肌着、ズボン下、長袖のカッターシャツ、長袖のパジャマなどの長物衣類は、ドラム1の前方に偏り易い。したがって、小物衣類および長物衣類が混在した状態で乾燥を行う場合、ドラム1の後方奥に位置する第1吹出口8から大風量の乾燥用空気を吹き出すと、ドラム1の奥に偏った小物衣類に乾燥用空気が先に接触する。
さらに、この乾燥用空気は、小物衣類をすり抜けてドラム1前方の長物衣類にも到達する。よって、小物衣類および長物衣類ともに効率よく乾燥でき、特に、小物衣類については比較的シワが少ない状態で乾燥できる。
一方、乾燥中の撹拌で袖などがねじれ易くてシワが発生し易い長物衣類については、ドラム1の前方に偏り易いため、ドラム1の前方に位置する第2吹出口10から風(乾燥用空気)を当てる方がより乾燥速度が速くなる。さらに、この長物衣類に第2吹出口10から噴出する高圧高速の風(乾燥用空気)を当てることで、長物衣類が広がり易くなるとともに、風によって長物衣類がよく動くので、衣類の絡みを解きほぐすことができ、シワの低減効果が高い。
風路切換部12は、送風部4の下流側に形成された第1風路9と第2風路11との分岐部に設けられている。この風路切換部12は、乾燥用空気の通過路を、第1風路9又は第2風路11の何れかに切り換えるものである。風路切換部12は、第1風路9と第2風路11との分岐部に回動可能に枢支された弁12aと、当該弁12aを回動駆動する図示しない駆動部とを具備する。
そして、弁12aが図1中のa側に回転して第2風路11を閉じると、第1風路9側が開となり、送風部4にて送風された乾燥用空気が第1風路9を通過するようになる。一方、弁12aが同図中のb側に回動して第1風路9を閉じると、第2風路11側が開となり、送風部4にて送風された乾燥用空気が第2風路11を通過するようになる。
循環風路13は、送風部4と風路切換部12とがその途中に配設されており、ドラム1から排出口5、除湿部6、加熱部7を順に経て、再度、第1吹出口8もしくは第2吹出口10からドラム1へと乾燥用空気を送り込み、乾燥用空気をドラム式洗濯乾燥機内で循環させる。
送風部4は、加熱部7と風路切換部12との間に設けられ、加熱部7で加熱された乾燥用空気を循環風路13の下流側へと送り出す。この送風部4は、送風用ファン4aと送風用ファンモータ4bとを具備している。送風部4においては、風路切換部12により第1風路9に切り換えられた場合、第1風路9を通過する風量が第2風路11の風量よりも多い所定風量になるように、送風用ファン4aを回転させる。
また、風路切換部12により第2風路11に切り換えられた場合、第2風路11の第2吹出口10を通過する風速が第1吹出口8を通過する風速よりも速い所定風速になるように、送風用ファン4aを回転させる。例えば、第1吹出口8を通過する風速を10m/s程度とし、第2吹出口10を通過する風速を50m/s以上とすることができる。
なお、第1吹出口8および第2吹出口10を通過する風速はこれに限定されるものではなく、第2吹出口10における風速が第1吹出口8における風速よりも速い条件を満たせば任意の風速に設定可能である。
そして、本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機は、第1風路9を通過する風量が第2風路11を通過する風量よりも多く、第2風路11の第2吹出口10を通過する風速が第1吹出口8を通過する風速よりも速く、乾燥工程途中に、後述する衣類の乾燥度検知結果と、絡み判定の結果に基づいて風路切換部12を作動させて第1風路9と第2風路11とを切り換えるものである。
排出口5は、相対的に第1吹出口8からの距離が第2吹出口10からの距離よりも遠い位置に配設されている(換言すれば、排出口5は、相対的に第2吹出口10に近く第1吹出口8からは遠い位置にある)。よって、排出口5は、ドラム1の後方よりも前方に近くなるように設けられている。排出口5は、第1吹出口8からの距離が最も遠くなるように、ドラム1前方にある第2吹出口10の近傍に設けてもよい。
上記のように、排出口5を、ドラム1前方の第2吹出口10に対して近く、第1吹出口8に対して遠い位置に配設することにより、第1吹出口8と排出口5との距離が長くなる。よって、ドラム1後方の第1吹出口8からの送風中は、当該第1吹出口8から吹き出された乾燥用空気がドラム1内に広く行き渡る。これにより、ドラム1内において、衣類と乾燥用空気とが効率よく接触し、少ない消費電力量で衣類を乾燥できる。
また、排気口5が第2吹出口10付近に配設されていても、ドラム1前方の第2吹出口10からの送風中においては、当該第2吹出口10からは高圧高風速の乾燥用空気が吹き出しているため、乾燥用空気はドラム1の前方から後方まで到達することができる。これにより、乾燥用空気と衣類との接触が悪くなることはなく、高圧高風速の乾燥用空気によってシワを伸ばす効果を維持できる。
また、排出口5は、ドラム1の上方側に配設されており、衣類に接触後の乾燥用空気を効果的に上方へ排出できるようになっている。なお、洗濯機能のないドラム式衣類乾燥機においては排出口5をドラム1の上方以外の場所に設けることもできるが、ドラム式洗濯乾燥機においては洗濯水の影響を受けるので、洗濯水の水位よりも上方に設けることが望ましい。
また、第2吹出口10は、ドラム1の前方上部に開口している。これにより、ドラム1の回転により持ち上げられた動きのある衣類に対して、効果的に高圧高速の乾燥用空気を吹き付けることができ、シワの低減効果を高めることができる。
なお、本実施の形態では、第1風路9の第1吹出口8を1つだけ設けているが、第1吹出口8を複数とすることもできる。同様に、第2風路11の第2吹出口10を1つだけ設けた例を示しているが、第2吹出口10を複数とすることもできる。
受筒2の下方には、受筒2を支えるとともに、脱水時等のドラム1内の衣類の偏りなどで発生する重量アンバランス状態でドラム1を回転した場合の受筒2の振動を減衰させるダンパ34が設けられている。このダンパ34には、支持する受筒2内の衣類などによる重量変化でダンパ34の軸が上下に変位する変位量を検知して衣類の量を検知する布量検知部15が取り付けられている。
本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機はヒートポンプ方式の除湿および加熱を行う構成であり、ヒートポンプ装置50を備えている。このヒートポンプ装置50は、冷媒を圧縮する圧縮機16と、圧縮されて高温高圧となった冷媒の熱を放熱する放熱器17と、高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り部18と、減圧されて低圧となった冷媒によって周囲から熱を奪う吸熱器19と、これらの部材(圧縮機16、放熱器17、絞り部18、吸熱器19)を連結して冷媒を循環させる管路20とを具備している。そして、このヒートポンプ装置50における吸熱器19が上記の除湿部6であり、放熱器17が上記の加熱部7である。
なお、ドラム式洗濯乾燥機はヒートポンプ方式の衣類乾燥を行う構成に限定されるものではない。例えば、除湿部6は乾燥用空気に直接水を噴霧する水冷式でもよく、また、加熱部7はヒータであってもよい。
図2に示すように、ドラム式洗濯乾燥機は、制御部70を有している。この制御部70は、入力設定部32を介して使用者から入力される設定情報と各部の動作状態監視とに基づいて、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥にわたる一連の運転動作を制御する。例えば、制御部70は、乾燥工程においては、ドラム駆動モータ3の回転を制御し、送風部4、除湿部6および加熱部7の動作を制御し、さらに、風路切換部12を制御して第1風路9と第2風路11とを切り換える。また、洗濯およびすすぎ工程では、給水される水量を水位検知部31で検知する。
制御部70は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、各種処理の実行時にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、入出力インタフェースおよびこれらを接続するバスにより構成することができる。
ドラム式洗濯乾燥機においては、交流電力23を整流器28により整流し、その後、チョークコイル29および平滑コンデンサ30からなる平滑回路により平滑化する。そして、平滑化された直流電力を駆動電力として、インバータ回路22によりドラム駆動モータ3を回転駆動するようになっている。制御部70は、入力設定手段32から入力される運転指示および各検知部により検知される運転状態の監視情報に基づいてドラム駆動モータ3の回転を制御する。入力設定部32から入力された設定内容は表示部33に表示される。さらに制御部70は、負荷駆動部24を介して給水弁25、排水弁27、送風部4、除湿部6、加熱部7などの必要負荷の動作を制御する。
ドラム駆動モータ3は、例えば、3相巻線3a、3b、3cを有するステータと、2極の永久磁石を有するロータとを備え、3つの位置検出素子19a、19b、19cを設けた直流ブラシレスモータとして構成することができる。このドラム駆動モータ3は、スイッチング素子22a〜22fによりPWM制御可能に構成されたインバータ回路22によって回転制御することができる。
ここで、位置検出素子19a〜19cが検出するロータ位置検出信号は制御部70に入力される。そして、制御部70は、ロータ位置検出信号に基づいてインバータ駆動回路21に制御信号を出力し、当該インバータ駆動回路21を介してスイッチング素子22a〜22fのオン、オフ状態をPWM制御する。
このようにして、制御部70はステータの3相巻線3a、3b、3cに対する通電を制御し、ドラム駆動モータ3のロータを所望の回転速度で回転させる。なお、制御部70は、3つの位置検出手段19a〜19cのいずれかの信号の状態が変わるたびにその周期を検出し、その周期よりロータの回転速度を内部機能としての回転数検知部71によって算出する。
受筒2の前面開口側の上部には、受筒2の振動や衝撃を検知する振動検知部14が取り付けられている。この振動検知部14の出力値は、乾燥工程において、衣類の絡みの有無を判定するために用いられる(その詳細は後述する)。本実施の形態では、振動検知部14の一例として、図3に示すように、互いに直交する3方向(検知方向14a、14b、14c)の加速度を検出可能な加速度センサを用いている。
ここで、検知方向14aは、ドラム1の回転軸1aと一致する方向である。また、検知方向14bは、ドラム1の前面開口から見て左右水平方向である。また、検知方向14cは、検知方向14aおよび14bと互いに直交する略上下垂直方向である。振動検知部14は、上記の検知方向14a、14b、14cの各方向の振動を監視できるように受筒2への取り付け方向が調整されている。但し、加速度センサの検知方向は、必ずしも14a、14b、14cに限定されるものではなく、その他の方向の加速度を検出するものであってもよい。
受筒2に設けられる振動検知部14の取り付け位置は特に限定されるものではないが、振動検知部14を加速度センサとした場合は、受筒2の振動を減衰させるダンパ34からより遠い位置に設けることが望ましい。加速度センサをダンパ34から遠ざけて設けることにより、高感度な振動検知が可能となる。本実施の形態では、受筒2の振動を最も高感度に検知できる位置として、受筒2の前面開口側の上部に加速度センサを設けている。
加速度センサとしては、半導体式、機械式、光学式の何れの加速度センサを用いることもできる。特に、小型化に適した半導体式加速度センサを好適に用いることができる。
なお、本実施の形態では、検知方向14a、14b、14cの3方向(3軸)の加速度を検知可能な加速度センサを用いているが、加速度センサの検出軸数はこれに限定されない。例えば、検知方向14a、14b、14cの中の少なくとも1方向の加速度を検知可能な1軸〜3軸の加速度センサであってもよい。
ところで、振動検知部14としての加速度センサは、ドラム1が高速で回転する衣類の脱水工程において、ドラム1内の衣類の偏りなどで発生する重量アンバランス状態を検知するためにも使用できる。よって、振動検知部14としての加速度センサは、乾燥工程における衣類の絡み判定用および脱水工程における重量アンバランス判定用として兼用することができる。
また、振動検知部14は、加速度センサに限定されるものではない。例えば、図10に示すように、加速度センサに代えて角速度センサ38を振動検知部として用いることができる。角速度センサ38は、受筒2が振動で変位したときの角速度を検出する。例えば、図9および図10に示すように、角速度センサ38は、ドラム1の前面開口から見て左右水平方向を軸とした回転方向38aの角速度を検出できるように受筒2への取り付け方向が調整されている。但し、角速度センサ38の検出する回転方向38aはこれに限定されるものではなく、その他の回転方向の角速度を検出するものであってもよい。
角速度センサ38が検出する受筒2の角速度は、当該受筒2の何れの位置においても同一である。よって、角速度センサ38は、ダンパ34から遠ざけて設ける必要性はなく、取り付け位置の自由度が高い。角速度センサ38としては、機械式、流体式または光学式のジャイロスコープ等を用いることができる。特に、小型化に適した機械式(振動型)ジャイロスコープを好適に用いることができる。
本実施の形態では、図1に示した振動検知部14(加速度センサ)または図9に示した角速度センサ38を、受筒2に1つのみ設けた例を示しているが、複数の振動検知部14(加速度センサ)または複数の角速度センサ38を受筒2に設けてもよい。さらには、加速度センサおよび角速度センサ38の両方を受筒2に設けてもよい。振動検知部14として複数のセンサを用いることにより、振動検知の精度を高めることができる。
以上のように構成されたドラム式洗濯乾燥機について、以下、その動作および作用効果を詳細に説明する。先ず、衣類乾燥におけるシワの発生等について考察する。狭いドラム1内で衣類を乾燥すると、衣類にシワが多く発生して残るため、使用者の不満となる。これは、狭いドラム1内では、衣類がきれいに伸びた状態で乾燥させることができないためである。特に、綿を多く使用した衣類でシワが多く発生し、乾燥後の仕上がりが悪くなる傾向にある。
綿繊維においては、水分が繊維内に介在している状態では繊維同士が自由に動くことができるため、ドラム1の回転によって衣類が撹拌されて機械的な力で折り曲げられても、次に伸ばす方向に力が加わると曲がった部分が伸びてシワとして残ることはない。しかし、乾燥が進んで繊維内の水分が減少すると、綿の繊維同士の結合力が強くなり、繊維の動きが悪くなってしまう。このときに機械的な力で繊維が折り曲げられると、その状態を維持し易くなる。
さらに乾燥が進んで繊維内の水分がより減少すると、次に伸ばす方向に力が加わっても繊維が曲がったままになって伸びない。この状態をシワの固着と呼ぶ。衣類を乾燥させるには水分を蒸発させなければならないが、水分が減少するとシワが固着するという、相反する現象がおこる。シワの固着が多い程、仕上がりが悪い乾燥ということになる。
狭いドラム1内では、繊維が曲がった状態になることは避けられない。よって、シワを軽減するためには、シワの数を少なくすること、および繊維の折り曲がりが鋭角となって強く固着することを避けることが大切である。したがって、繊維が折り曲がった箇所が伸びて別の箇所が折り曲がるというように、頻繁に折り曲がりの位置が変わって繊維が伸びたり折り曲がったりしながら乾燥が進むことが望ましい。一方、繊維が伸びた状態で乾燥が進んで水分が殆どなくなった状態では、次に曲げ方向に機械的な力が働いても、繊維同士の結合が強いため、折り曲がって新たなシワにはなり難い。
以上のことから、乾燥工程において、衣類の乾燥状態によってシワが固着し易い領域とそうでない領域とがある。最もシワが発生し易い綿繊維からなる衣類を基準とした乾燥率でいうと、略85%(85%前後)から略100%(100%前後)の領域が、衣類にシワが固着し易い領域である。特に、綿繊維からなる衣類を基準とした乾燥率が略90%(90%前後)から略100%(100%前後)となる領域が、最も衣類にシワが固着し易い。ここで、乾燥率(%)は、下式で示される。
乾燥率=(標準の衣類の質量/水分を含んだ衣類の質量)×100
ここで、標準の衣類の質量とは、気温20℃、湿度65%の条件下で平衡した衣類の質量である。
なお、1枚の衣類の乾燥状態をみても、均等に乾燥することはなく、部分的に乾燥ムラが発生する。例えば、長袖のシャツの場合、脇の下の部分は最も乾きが遅い。このため、通常、乾燥終了時の乾燥率としては100%を目標にするのではなく、100%を超える過乾燥の状態となる乾燥率(例えば乾燥率102%〜105%)で乾燥工程を終了するように設計される。
したがって、乾燥工程を乾燥率に基づいて領域区分すると、脱水直後から乾燥率90%前後までのシワが固着し難い乾燥序盤の領域、乾燥率90%前後から100%前後のシワが発生して固着が多くなり易い乾燥中盤の領域、および乾燥率が100%を超えてシワが発生し難くい乾燥終盤の領域となる。
本実施の形態では、乾燥中盤の領域において、衣類の伸びを大きくしてシワ低減に効果のある高圧高速の風を第2風路11の第2吹出口10から吹き出して衣類に当てるようにしている。そして、乾燥序盤と乾燥終盤との少なくとも一方の領域において、第1風路9の第1吹出口8から大風量の風を吹き込むようにしている。このように、乾燥工程において第1風路9と第2風路11とを切り換えることにより、シワの発生を低減するとともに省電力化をも図っている。
本実施の形態では、制御部70が検知した、ドラム1内における衣類の乾燥率に基づいて、風路切換部12を制御して第1風路9と第2風路11とをタイミングよく切り換える。前記の乾燥率は、乾燥工程開始からの時間によりおおよそ推測することもできるが、本実施の形態では、受筒2に固定した振動検知部14の出力値に基づいて、図2に示す制御部70の乾燥度検知部60が、ドラム1内における衣類の乾燥率を精度よく検知している。以下に、この原理を説明する。
乾燥工程のタンブリングで持ち上げられた衣類がドラム1内で落下した際、その衝撃がドラム1を内包する受筒2に伝達される。乾燥工程の開始から乾燥が進行するに従い、衣類が除湿され含水量が徐々に減少することから、受筒2に伝達される衝撃も徐々に小さくなる。よって、受筒2に固定された振動検知部14の出力値も、乾燥の進行に従って徐々に小さな値に収束する傾向となる。
逆に言えば、振動検知部14の出力値から乾燥の進行度合い、すなわち、乾燥率を判定することが可能となる。出力値と乾燥度とは相関があるため、事前に振動値と乾燥度との関係を求めておけば、出力値から所望の乾燥度を判定し、風路切替タイミングを導き出すことが可能となる。
この振動値による乾燥度判定であれば、従来の時間による乾燥度の推定では、室温等使用環境の違いにより乾燥スピードがばらつき、温度補正等が必要であったものが、振動検知部の出力値から乾燥度を直接判定することができるため、検知のばらつきが少ないメリットがある。また、乾燥中に、運転を一時停止した後の再開時のようなイレギュラーな運転であっても、即座に乾燥度を判定することができ、効率よい運転をすることが可能となる。
図4は、乾燥工程における、時間経過にともなって変化するドラム1内の衣類の乾燥率(a)と、振動検知部14が検知する受筒2の振動値(b)、および衣類接触前後の乾燥用空気温度(c)との関係を示した図である。
従来は、図4(c)に示すような乾燥用空気の衣類接触前と接触後の温度差から、衣類が乾いたかどうかの判定を行う乾燥終了検知方式が主流であった。具体的には、乾燥中盤の恒率乾燥期間においては前記の温度差はほぼ一定であり、乾燥終盤の減率乾燥期間に入ると前記温度差が急速に小さくなる。この特徴から温度差が所定以下になったところを乾燥終了とする乾燥終了可否判断を行ってきた。
前記の従来方式により乾燥終了可否の判断は実現できていたものの、乾燥工程途中の乾燥率を精度よく判定することは困難であった。例えば、前記のとおり恒率乾燥期間においては温度差に変化がほとんど無い一方で、乾燥は徐々に進行し乾燥率が増加しており、乾燥率と温度差の相関性は低いものであった。
一方、図4(b)に示すとおり、振動検知部14が検知する振動値は乾燥率との相関が高い。具体的には、乾燥率の増加に伴って、振動値は減少している。これより、従来判定が困難であった乾燥率の検知を、乾燥工程の全期間において精度よく行うことができる。これを用いれば、特定の乾燥率期間だけ風路をタイミング良く切り替えたり、送風用ファン4aの回転数を変動させるなど、乾燥シーケンスの自由度が増すこととなる。
本実施の形態では、振動検知部14の出力値(受筒2の振動レベル)に基づいて、制御部70の乾燥度検知部60が衣類の乾燥度を検知し、シワが固着しやすい乾燥度であると検知したときには、衣類のシワを伸ばす効果の高い高圧高速の風を、第2風路11の第2吹出口10から吹き出して衣類に当てるようにしている。
一方、シワが固着しにくい乾燥度であると乾燥度検知部60が検知したときには、第1風路9の第1吹出口8から大風量の風を吹き込むようにしている。このように、乾燥工程において、シワが固着しやすい乾燥度であるか否かを判断して第1風路9と第2風路11とを切り換えることにより、シワの発生を低減するとともに省電力化をも図っている。
上記のように、乾燥度検知部60の判定結果に基づき、乾燥工程の途中で第1風路9と第2風路11とをタイミングよく切り換えることによって、1つの送風部4によって効果的に衣類のシワを低減することができる。さらに、乾燥工程の途中におけるシワの固着しにくい期間においては、高風速よりも消費電力の少ない大風量で乾燥を行っているため、高圧高速の乾燥用空気を常に吹き出し続けるよりも、トータルの消費電力量を低減することができる。このように、本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機は、省電力化を図りながら、シワの発生が少ない乾燥運転を実現することができる。
また、排出口5を、ドラム1前方の第2吹出口10に対して近く、第1吹出口8に対して遠い位置に配設している。このように、ドラム1の前方側に排気口5が配設されているので、第1吹出口8と排出口5との距離が長くなり、ドラム1後方の第1吹出口8からの送風中は、当該第1吹出口8から吹き出された乾燥用空気がドラム1内に広く行き渡る。よって、ドラム1内において、衣類と乾燥用空気とが効率よく接触し、少ない消費電力量で衣類を乾燥できる。
また、排気口5が第2吹出口10付近に配設されていても、ドラム1前方の第2吹出口10からの送風中においては、当該第2吹出口10からは高圧高風速の乾燥用空気が吹き出しているため、乾燥用空気はドラム1の前方から後方まで到達することができる。これにより、乾燥用空気と衣類との接触が悪くなることはなく、高圧高風速の乾燥用空気によってシワを伸ばす効果を維持できる。
次に、衣類乾燥における衣類同士の絡みの発生等について考察する。狭いドラム1内での衣類の乾燥において、衣類の量が比較的多い場合には、衣類が自由に動くことができる浴比が小さいため、衣類同士が絡みやすい。また、長物の衣類を多く含んだ場合には、長袖等の部分が他の衣類に絡みつき易い。このように絡んだままの状態で乾燥を続けると、乾燥後に衣類のシワが増加する。
さらに、絡んだ部分には乾燥用空気が接触し難くなるため、乾燥時間が増加するとともに、絡んだ部分だけが未乾燥のままで乾燥工程が終了してしまい、乾燥ムラが発生するなど、使用者の不満の原因となる。
そこで、本実施の形態では、受筒2に固定した振動検知部14の出力値に基づいて、図2に示す制御部70の絡み判定部20が、ドラム1内における衣類の絡みの有無を正確に判定している。以下に、この原理を説明する。
乾燥工程のタンブリングで持ち上げられた衣類がドラム1内で落下した際、その衝撃がドラム1を内包する受筒2に伝達される。乾燥工程の開始から乾燥が進行するに従い、衣類が除湿され含水量が徐々に減少することから、受筒2に伝達される衝撃も徐々に小さくなる。よって、受筒2に固定された振動検知部14の出力値も、乾燥の進行に従って徐々に小さな値に収束する傾向となる。
また、ドラム1内での衣類の絡みの程度により、振動検知部14の出力値も異なることになる。すなわち、ドラム1内での衣類の絡みが発生していない(または少ない)状態では、タンブリングで持ち上げられた衣類がドラム1内で小刻みに落下するため、ドラム1への衝撃も小さく、振動検知部14の出力値は小さい振動値を示すことになる。一方、ドラム1内で衣類の絡みが発生すると、重量の大きな衣類の塊としてドラム1内で落下することとなり、ドラム1への衝撃も大きくなる。この場合、当然、受筒2に固定された振動検知部14の出力値も、衣類の絡みが発生していない場合よりも大きな振動値を示すことになる。
以上のことから、絡みが発生していない(または少ない)状態の乾燥が続けば、振動検知部14の出力値は乾燥の進行と共に徐々に減少していく傾向となる。しかし、この傾向に反して、振動検知部14の出力値が増加した場合は、ドラム1内で絡みが発生したものと判定することが可能となる。
さらに、ドラム1内で衣類の絡みが発生した後、振動検知部14の出力値が、乾燥の進行に従って漸減するよりも大幅に減少したときには、ドラム1内の衣類の絡みが解きほぐされたものと判定することも可能となる。
本実施の形態では、振動検知部14の出力値(受筒2の振動レベル)に基づいて、制御部70の絡み判定部20が衣類の絡み状態を判定し、絡みが発生したと判定したときには、衣類の絡みを解きほぐす効果の高い高圧高速の風を、第2風路11の第2吹出口10から吹き出して衣類に当てるようにしている。
一方、絡みが発生していないと絡み判定部20が判定したときには、第1風路9の第1吹出口8から大風量の風を吹き込むようにしている。このように、乾燥工程において、絡みの有無を判断して第1風路9と第2風路11とを切り換えることにより、絡みの発生を低減するとともに省電力化をも図っている。
上記のように、絡み判定部20の判定結果に基づき、乾燥工程の途中で第1風路9と第2風路11とをタイミングよく切り換えることによって、1つの送風部4によって効果的に衣類の絡みを低減することができる。さらに、乾燥工程の途中における絡みが発生していない期間においては、高風速よりも消費電力の少ない大風量で乾燥を行っているため、高圧高速の乾燥用空気を常に吹き出し続けるよりも、トータルの消費電力量を低減することができる。このように、本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機は、省電力化を図りながら、衣類の絡みが少ない乾燥運転を実現することができる。
図5は、乾燥工程の時間経過に伴って変化する振動検知部14の出力値を示したグラフであり、横軸は乾燥工程の経過時間、縦軸は振動検知部14の出力値(加速度)を示している。また、図6は、図5中の振幅Aの場合におけるドラム1内の衣類の状態を示している。図7は、図5中の振幅Bの場合におけるドラム1内の衣類の状態を示している。
ここでは、振動検知部14として互いに直交する3方向(14a、14b及び14c)の加速度を検出することができる半導体加速度センサを用いている。そして、乾燥工程におけるドラム1の回転数を47rpmとし、ドラム1の回転軸1a方向(すなわち、検知方向14a)の受筒2の加速度を読み取った結果を図5に示している。これは、前記ドラム回転数での乾燥中において、前記3方向のうち、検知方向14aの振動値が最も大きな値を示した(すなわち、最も感度が高かった)ためである。
但し、検知方向14aの加速度を読み取ることに限定するものではない。すなわち、機体の構造、受筒2やドラム1の支持構造(ドラム1の傾斜角度、受筒2を支えるダンパ34や支持バネの取り付け構造など)、あるいはドラム1の回転数などに応じて、最も感度の高い方向の振動値を読み取ることが望ましく、特定の方向の加速度を読み取ることに限定するものではない。
このように、振動検知部14を2軸以上の振動検出が可能な多軸感応型センサとして構成し、乾燥工程中のタンブリング動作において最も感度の高い方向の値を選択して使えるように、複数方向の振動成分を読み取ることが望ましい。
図6は、絡みの少ない状態でドラム1の回転によって持ち上げられた衣類が小刻みに落下する状態を示している。この場合は、受筒2への衝撃が小さく、受筒2の加速度ピークトゥピーク値(図5中の振幅A)は、約0.03Gと微小なものである。
上記図6に示す絡みの少ない状態の後、図7に示す絡みの多い状態に変化した場合について説明する。図7は、絡みの多い状態でドラム1の回転によって持ち上げられた衣類が重量の大きい塊となって落下する状態を示している。この場合は、受筒2への衝撃が大きく、受筒2の加速度ピークトゥピーク値(図5中の振幅B)は、約0.05Gへと増加している。
本来、乾燥が進行すれば衣類の水分が除湿され、衣類の重量は軽くなるため、受筒2への衝撃も徐々に小さくなり、振動検知部14の出力も減少傾向となる。しかし、上記のように衣類同士が絡むことで増加する振動検知部14の出力値から、絡みが発生していることを判定することが可能となる。
以上のように、振動検知部14の出力値から、ドラム1内の衣類の乾燥率を判定し、その結果に基づいて、シワの固着しにくい乾燥率領域においては高風速よりも消費電力の少ない大風量で乾燥し、シワの固着しやすい乾燥率領域においては、高風速を衣類に当てシワを伸ばしながら乾燥する。一方で、シワの固着しにくい乾燥率領域であっても、振動検知部14の出力値から、ドラム1内の衣類の絡みが発生していると判定すれば、高風速を衣類に当て絡みを解消しながら乾燥する。
このように、乾燥工程の途中で、振動検知部14の出力値から、ドラム1内の衣類の乾燥率と絡みの発生有無の両方を判定しながら、判定結果に基づいて、第1風路9と第2風路11とをタイミングよく切り換えることによって、1つの送風部4によって効果的に衣類の絡みとシワの固着を抑えるとともに、さらに、乾燥工程の途中における、衣類のシワの固着がしにくい乾燥率期間で、衣類の絡みの発生が無い領域においては、高風速よりも消費電力の少ない大風量で乾燥を行っているため、高圧高速の乾燥用空気を常に吹き出し続けるよりも、トータルの消費電力量を低減できる。
このように、本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機は、省電力化を図りながら、衣類のシワの固着や、絡みが少ない乾燥運転を実現することができる。このような乾燥率判定及び絡み判定結果に基づいて風路と風速を切り換える処理例をフローチャートを用いて説明する。
図8は、乾燥度検知部60及び絡み判定部20の判定結果に基づいた風路切り換えタイミングを示すフローチャートである。乾燥運転(乾燥工程)が始まると、乾燥度検知部60及び絡み判定部20は、振動検知部14からの出力値(受筒2の振動値V)のモニタリングを開始する(S1)。乾燥工程の開始時には、衣類の乾燥度は未だ低いためシワの固着はほとんどなく、また、未だ衣類の絡みは発生していないと考えられるので、制御手段70は、空気通過断面積が大きく圧力損失の少ない第1風路9を使用し、低風速で大風量の乾燥用空気をドラム1後方の第1吹出口8から吹き出して衣類に当てるように設定する(S2)。
すなわち、制御部70は、風路切換部12を制御して第1風路9側を開き、送風ファン用モータ4bの回転数を比較的低く設定する。この場合、第1風路9の圧力損失が少ないため、送風ファン用モータ4bの回転数を比較的低くし、少ない消費電力で送風部4を駆動しても、大風量の風を得ることができる。よって、上記S2に示す条件下で乾燥している間は、乾燥時間の短縮と、消費電力量の低減を図れる。
シワの固着し始める乾燥度に到達するまでの期間(S3でNO)において、このまま衣類同士の絡みが少ない状態が続けば、受筒2への衝撃が小さいため、振動検知部14が示す振動値Vは増加することなく乾燥工程の経過に伴って収まっていく(すなわち、振動値Vは漸減する)。
このように衣類同士の絡みが少ない状態が続いている間は、振動検知部14が示す振動値Vが直前に比べて所定値△V1(第1所定値)以上増加することはなく(S4でNO)、上記S2に示す条件下での乾燥を継続する。
一方、衣類同士の絡みが発生し、受筒2への衝撃が増え、振動検知部14が示す振動値Vが直前に比べて所定値△V1以上増加した場合(S4でYES)、絡み判定部20は絡み有りと判定する(S5)。この場合、制御部70は、第1吹出口8よりも空気通過断面積が小さい第2吹出口10から、送風ファン用モータ4bを大回転数で回転させて得られる高圧で高速の乾燥用空気が送風されるように設定する(S6)。
すなわち、制御部70は、風路切換部12を制御して第2風路11側を開くとともに、送風部4を制御して送風ファン用モータ4bの回転数を上げる。この場合、絡んだ衣類が高圧高速の風によって効果的に解きほぐされる。
上記のようにして高圧高速の風によって衣類同士の絡みが解きほぐされると、受筒2への衝撃も徐々に減少することとなる。そして、振動検知部14の振動値Vが直前に比べて所定値△V2(第2所定値)以上減少すれば(S7でYES)、絡み判定部20は絡みがなくなったものと判定する(S8)。この場合、制御部70は、S2に移行し、風路切換部12によって第1風路9に切り換える。
その後、シワの固着し始める乾燥度に到達するまで(S3でYESとなるまで)、上記S2〜S8の工程が繰り返されることになる。
一方、シワの固着しやすい乾燥度の間(S3でYESとなってからS10でYESとなるまで)は、制御部70は、第1吹出口8よりも空気通過断面積が小さい第2吹出口10から、送風ファン用モータ4bを大回転数で回転させて得られる高圧で高速の乾燥用空気が送風されるように設定する(S9)。
すなわち、制御部70は、風路切換部12を制御して第2風路11側を開くとともに、送風部4を制御して送風ファン用モータ4bの回転数を上げる。この場合、衣類のシワが高圧高速の風によって効果的に伸ばされる。
さらに乾燥が進行し、シワの固着がしにくい乾燥度に到達したら(S10でYES)、再び制御手段70は、空気通過断面積が大きく圧力損失の少ない第1風路9を使用し、低風速で大風量の乾燥用空気をドラム1後方の第1吹出口8から吹き出して衣類に当てるように設定する(S11)。
すなわち、制御部70は、風路切換部12を制御して第1風路9側を開き、送風ファン用モータ4bの回転数を比較的低く設定する。この場合、第1風路9の圧力損失が少ないため、送風ファン用モータ4bの回転数を比較的低くし、少ない消費電力で送風部4を駆動しても、大風量の風を得ることができる。
このまま衣類同士の絡みが少ない状態が続けば、受筒2への衝撃が小さいため、振動検知部14が示す振動値Vは増加することなく乾燥工程の経過に伴って収まっていく(すなわち、振動値Vは漸減する)。このように衣類同士の絡みが少ない状態が続いている間は、振動検知部14が示す振動値Vが直前に比べて所定値△V1(第1所定値)以上増加することはなく(S13でNO)、上記S11に示す条件下での乾燥を継続する。
一方、衣類同士の絡みが発生し、受筒2への衝撃が増え、振動検知部14が示す振動値Vが直前に比べて所定値△V1以上増加した場合(S13でYES)、絡み判定部20は絡み有りと判定する(S14)。この場合、制御部70は、第1吹出口8よりも空気通過断面積が小さい第2吹出口10から、送風ファン用モータ4bを大回転数で回転させて得られる高圧で高速の乾燥用空気が送風されるように設定する(S15)。
すなわち、制御部70は、風路切換部12を制御して第2風路11側を開くとともに、送風部4を制御して送風ファン用モータ4bの回転数を上げる。この場合、絡んだ衣類が高圧高速の風によって効果的に解きほぐされる。
上記のようにして高圧高速の風によって衣類同士の絡みが解きほぐされると、受筒2への衝撃も徐々に減少することとなる。そして、振動検知部14の振動値Vが直前に比べて所定値△V2(第2所定値)以上減少すれば(S16でYES)、絡み判定部20は絡みがなくなったものと判定する(S17)。この場合、制御部70は、S11に移行し、風路切換部12によって第1風路9に切り換える。
その後、乾燥工程が終了するまで(S12でYESとなるまで)、上記S11〜S17の工程が繰り返されることになる。
上記のS4、S7、S13およびS16において、制御部70の絡み判定部20は、振動検知部14の振動値Vをモニタリングしながら所定値△V1以上の増加(S4およびS13)や、所定値△V2以上の減少(S7およびS16)を判断する。ここで、振動検知部14の振動値Vは、ドラム1の回転に伴い持ち上げられた衣類が落下するときにピークを示す(図5参照)。そこで、例えば、絡み判定部20は、所定時間間隔で振動値Vの最大値をピークホールドし、所定時間毎に振動値Vのピークホールド値をメモリに記憶しながら、所定時間毎に今回の振動値Vと前回の振動値Vとを比較すれば、所定値△V1以上の増加(S4およびS13)または所定値△V2以上の減少(S7およびS16)を判断することができる。
この場合の所定時間間隔は、任意に設定可能である。なお、ドラム1が1回転する間に、振動値Vは数個のピークを示すが、衣類が絡んで重量の大きな塊となった場合、当該衣類の塊がドラム1内で落下するのは、ドラム1が1回転する間に1回である。よって、衣類の塊による落下の振動を所定時間間隔内で検出するためには、当該所定時間間隔を、ドラム1が1回転する時間よりも長く設定することが望ましい。
ところで、乾燥の進行とともに、除湿された衣類の重量は徐々に少なくなっていくため、衣類の絡みが発生した場合のドラム1への衝撃も同様に小さくなっていく。よって、絡み有無の判定基準となる上記の所定値△V1及び△V2も、乾燥の進行に応じて(乾燥工程中の衣類乾燥率の変化に応じて)徐々に小さくなるように補正することが望ましい。
例えば、乾燥開始から30分間の乾燥工程において設定した所定値△V1及び△V2に対し、次の30分間の乾燥工程においては、それぞれ△V1×0.9、△V2×0.9とし、さらに次の30分間の乾燥工程においては、それぞれ△V1×0.8、△V2×0.8とする。
また、乾燥度100%に到達してから30分間の乾燥工程において設定した所定値△V1及び△V2に対し、次の30分間の乾燥工程においては、それぞれ△V1×0.5、△V2×0.5とし、さらに次の30分間の乾燥工程においては、それぞれ△V1×0.4、△V2×0.4とする。これにより、乾燥の進行状況に応じた精度の良い絡み判定をすることができる。
上記の乾燥の進行に応じた所定値△V1及び△V2の補正は、制御部70の絡み検知部20にて実行される。制御部70は、乾燥工程の経過時間を計時する図示しないタイマを有している。このタイマとしては、制御部70の動作上の内部機能として組み込まれている内部タイマを用いることができる。なお、タイマとして、制御部70とは独立したタイマ装置を用いることもできる。
そして、制御部70(絡み検知部20)は、乾燥運転の開始と同時にタイマによる計時を開始し、例えば、乾燥開始から30分経過する毎に、所定値△V1及び△V2を上述のように補正しながら、図8に示したフローチャートの制御を実行する。
なお、本実施の形態では、乾燥開始から30分経過する毎に所定値△V1及び△V2を補正する例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、乾燥開始から20分経過する毎に所定値△V1及び△V2を補正してもよく、任意の経過時間毎に所定値△V1及び△V2を補正することが可能である。
また、所定値△V1及び△V2の補正タイミングに関し、必ずしも等しい時間間隔で補正する必要はなく、例えば、乾燥開始から30分経過後に1回目の補正を行い、その後は20分経過する毎に2回目以降の補正を行うというように、任意の時間間隔で所定値△V1及び△V2を段階的に補正することも可能である。
さらには、乾燥対象の衣類の量により、乾燥工程全体の時間の長さが異なり(すなわち、衣類の量が多いほど乾燥工程全体の時間が長くなり)、衣類の乾燥の進行速度も異なることを考慮し、所定値△V1及び△V2の補正タイミングを衣類の量に応じて変更してもよい。
すなわち、布量検知部15により衣類の量を検知し、その検知結果に応じて、制御部70は、所定値△V1及び△V2の補正タイミングを決定する。例えば、衣類の量が多い場合は乾燥開始から30分経過する毎に所定値△V1及び△V2を補正し、それよりも衣類の量が少ない場合は乾燥開始から10分経過する毎に所定値△V1及び△V2を補正するというように設定してもよい。
また、衣類の落下によるドラム1への衝撃は、衣類の量(総重量)に比例して大きくなるが、絡みが発生した場合の絡んだ部分の塊の重量も同様に大きくなる。よって、絡み有無の判定基準となる所定値△V1及び△V2も、ドラム1に収容された衣類の量が多くなるほど大きくなるように補正することが望ましい。
例えば、定格乾燥容量が衣類6kgの洗濯乾燥機(または衣類乾燥機)において、布量判定部15が衣類の量を5kg〜6kgと判定した場合における所定値を△V1及び△V2とし、4kg〜5kgと判定した場合をそれぞれ△V1×0.9及び△V2×0.9とし、3kg〜4kgと判定した場合をそれぞれ△V1×0.8及び△V2×0.8として、2kg〜3kgと判定した場合をそれぞれ△V1×0.7及び△V2×0.7とし、1kg〜2kgと判定した場合をそれぞれ△V1×0.6及び△V2×0.6とすることができる。また、布量判定部15が1kg以下の少量衣類と判定した場合は、絡みの発生そのものが生じ難いため、所定値を設けないこととしてもよい。
上記のドラム1に収容された衣類の量に応じた所定値△V1及び△V2の補正は、布量検知部15の検知結果に基づいて制御部70の絡み検知部20にて実行される。洗濯開始前に、布量検知部15は、ドラム1に投入された衣類の量(質量)を検知する。具体的には、布量検知部15は、受筒2が空の状態(受筒2内に水が存在せず、ドラム1に衣類が投入されていない状態)におけるダンパ34の軸の位置と、洗濯開始前であって水を受筒2に注入する前の状態(受筒2内に水は存在しないが、ドラム1内には衣類が存在する状態)におけるダンパ34の軸の位置との差によって、ドラム1に投入された衣類の量を検知する。
そして、制御部70の絡み検知部20は、布量検知部15の検知結果に基づいて、所定値△V1及び△V2を上述のように補正する。そして、図8に示したフローチャートの制御を実行する。このようにして、ドラム1に収容された衣類の量に応じた判定をすることで、精度の良い絡み判定をすることができる。
なお、絡み有無の判定基準となる前記所定値△V1と所定値△V2は、同一であっても良いし、異なる値に設定してもよい。
また、他のシーケンスとして、乾燥工程の開始時にすでに、衣類の絡みが発生していた場合(図11)を想定する。まず、乾燥運転(乾燥工程)が始まると、絡み判定部20は、振動検知部14からの出力値(受筒2の振動値V)のモニタリングを開始する(S101)。乾燥工程の開始時にすでに、衣類の絡みが発生していた場合、制御手段70は、布量情報との比較において設定されている絡み振動値V‘より大きな振動を検知する(S102でYES)と、絡みありと判定し(S103)、空気通過断面積が小さく圧力損失の大きい第2風路11を使用し、高圧高風速の乾燥用空気をドラム1前方の第2吹出口10から吹き出して衣類に当てるように設定する(S104)。
すなわち、制御部70は、風路切換部12を制御して第2風路11側を開き、送風ファン用モータ4bの回転数を高速に設定する。この場合、第2風路11の圧力損失が大きいため、送風ファン用モータ4bの回転数を大きくし、絡みほぐしをまず行う。このように高圧高速の風によって衣類同士の絡みが解きほぐされると、受筒2への衝撃も徐々に減少することとなる。そして、振動検知部14の振動値が前記絡み振動値V’未満に減少すれば(S105でYES)、絡み判定部20は絡みがなくなったものと判定する(S107)。この場合、制御部70は、S108に移行し、風路切換部12によって第1風路9に切り換える。
その後、乾燥工程が終了するまでは、振動値の差分で制御するか(S109からS123参照)、開始時と同様振動絶対値で判断するか、終了検知までどちらの制御でも可能となる。上記工程が繰り返されることになる。化繊等のように水分含有率の低い衣類が絡んでいる場合とか、各種衣類の混合(布質、衣類形状等々)により絡みの激しい場合は、この条件での乾燥開始により、均一な乾燥を阻害している衣類の絡みをまず取り除くことにより、乾燥時間の短縮を図ることができる。
以上のように、シワが固着しやすい乾燥度や、シワが固着しにくい乾燥度でも絡みが発生した場合にだけ高圧高速の風を衣類に当て、シワが固着しにくい乾燥度で、絡みがない場合には送風ファン用モータ4bの回転数を小さくて少ない消費電力で大風量の風を得ることができるので、高圧で高速の乾燥用空気を常に吹き出し続けるよりも、トータルの消費電力量を少なくして、衣類のシワや衣類同士の絡みが少ない乾燥運転を実現することができる。
なお、本実施の形態においては、布量検知部15として、ダンパ34の軸の上下変位量を検知する方式のものを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、ドラム1を回転させるドラム駆動モータ3の回転数、駆動電流、トルクなどの変動量を検知し、ドラム駆動モータ3の負荷変動からドラム1内の衣類の量を検知する方式の布量検知部を適用してもよい。
また、本実施の形態においては、布量検知部15の検知結果に応じて制御部70が前記所定値△V1と所定値△V2を自動的に変更する構成を示したが、布量検知部15が存在しない場合でも、使用者が入力設定部32から衣類の量を入力し、当該使用者の入力に応じて制御部70が前記所定値△V1と所定値△V2を変更する構成とすることもできる。
また、実施の形態においては、乾燥度検知部60が加速度センサや角速度センサからなる振動検知部の検出結果に基づいて衣類の乾燥率を判定する構成を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、乾燥開始からの経過時間から乾燥の進行度合いを推定し、おおよその乾燥率を判定する構成の乾燥度検知部であってもよい。
但し、乾燥開始からの経過時間に基づいて乾燥率を判定するよりも、衣類の乾燥進行により漸次減少する受筒2の振動を加速度または角速度として精度よく捉える振動検知部の検知結果に基づいて衣類の乾燥率を判定する方が、高精度の乾燥度判定が可能であり望ましい。
また、本実施の形態においては、絡み判定部20が加速度センサや角速度センサからなる振動検知部14の検出結果に基づいて絡みの有無を判定する構成を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ドラム1を回転させるドラム駆動モータ3の回転数、駆動電流、トルクなどの変動量を検知し、乾燥工程中のドラム駆動モータ3の負荷変動量が所定値以上であったときに、衣類の絡みが発生していると判定する構成の絡み判定部であってもよい。
但し、ドラム駆動モータ3の負荷変動量に基づいて衣類の絡みを判定するよりも、衣類の絡み具合により増減する受筒2の振動を加速度または角速度として精度よく捉える振動検知部14の検知結果に基づいて衣類の絡みを判定する方が、高精度の絡み判定が可能であり望ましい。
また、本実施の形態においては、洗濯機能および衣類乾燥機能をともに具備するドラム式洗濯乾燥機について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、洗濯機能を具備しない衣類乾燥機にも適用できる。衣類乾燥機の構成例としては、図1に示すドラム式洗濯乾燥機から洗濯機能を除いた構成とすることができる。例えば、洗濯機能を具備しない衣類乾燥機としては、図1の受筒2には給水管や排水管40を接続する必要がなく、受筒2を単なるドラム1の外槽として構成し、その他の基本構成を図1のドラム式洗濯乾燥機と同様とすればよい。
本発明に係る衣類乾燥機は、少ない消費電力で、衣類のシワ固着や衣類同士の絡みを効果的に解消することができ、乾燥時間の短縮および衣類のシワ発生を低減することができるので、衣類乾燥機として有用である。
1 ドラム
2 受筒
3 ドラム駆動モータ(ドラム駆動部)
4 送風部
5 排出口
6 除湿部
7 加熱部
8 第1吹出口
9 第1風路
10 第2吹出口
11 第2風路
12 風路切換部
13 循環風路
14 振動検知部
15 布量検知部
20 絡み判定部
60 乾燥度検知部
70 制御部

Claims (12)

  1. 乾燥対象の衣類を収容するドラムと、前記ドラムを回転駆動するドラム駆動部と、前記ドラム内の衣類の乾燥度を検知する乾燥度検知部と、前記ドラム内の衣類の絡みの有無を判定する絡み判定部と、前記ドラムに開口した第1吹出口を有する第1風路と、前記ドラムに開口し、前記第1吹出口より空気通過断面積が小さい第2吹出口を有する第2風路と、前記第1風路と前記第2風路とを選択的に切り換える風路切換部と、前記第1風路が選択されているときは、前記第2風路が選択されているときより大風量の乾燥用空気が前記第1吹出口からドラム内へ吹き出される一方、前記第2風路が選択されているときは、前記第1風路が選択されているときよりも高圧高速の乾燥用空気が前記第2吹出口からドラム内へ吹き出されるように乾燥用空気を送風する送風部と、前記絡み判定部の判定結果および前記乾燥度検知部の検知結果に基づいて前記風路切換部を制御し、乾燥工程の途中で前記第1風路と前記第2風路とを選択的に切り換える制御部とを備えた衣類乾燥機。
  2. 第1吹き出し口は、ドラムの後方に開口し、第2吹き出し口は、前記ドラムの前方に開口した請求項1記載の衣類乾燥機。
  3. 制御部は、乾燥度検知部の検知結果が所定の乾燥度の間は、風路切換部を制御して第2風路に切り換えるようにした請求項1または2記載の衣類乾燥機。
  4. 制御部は、第1風路での乾燥工程途中で、絡み判定部が衣類の絡みが有ると判定したときは、風路切換部を制御して第2風路に切り替え、前記絡み判定部が絡みが無いと判定すると、再び前記第1風路に切り換えるようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
  5. ドラムの振動を検知する振動検知部を設け、乾燥度検知部は、前記振動検知部の出力値に基づいて衣類の乾燥度を検知するようにした請求項1〜4のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
  6. ドラムの振動を検知する振動検知部を設け、絡み判定部は、前記振動検知部の出力値が第1所定値以上増加したときに衣類の絡みが発生したと判定し、前記振動検知部の出力値が第2所定値以上減少したときに衣類の絡みが解消したと判定するようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
  7. 絡み判定部は、第1所定値および第2所定値を、乾燥工程の時間経過に伴って減少させるようにした請求項6記載の衣類乾燥機。
  8. ドラム内の衣類の量を検知する布量検知部を設け、絡み判定部は、前記布量検知部が検知する衣類の量に応じて第1所定値および第2所定値を設定するようにした請求項6または7記載の衣類乾燥機。
  9. ドラム内の衣類の量を検知する布量検知部を設け、絡み判定部は、前記布量検知部が検知する布量に応じて判定タイミングを可変させるようにした請求項6〜8のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
  10. 振動検知部を加速度センサで構成した請求項5〜9のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
  11. 振動検知部を角速度センサで構成した請求項5〜9のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
  12. ドラムを内包して洗濯水を貯留する受筒と、前記受筒に洗濯水を給水する給水弁を設けた給水管と、前記受筒内の洗濯水を排水する排水弁を設けた排水管を有し、前記ドラム内で洗濯を行う洗濯機能を備えた請求項1〜11のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
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