JP2023116585A - 紫外線回収型透明光起電力電池 - Google Patents

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アール. ラント,リチャード
R Lunt Richard
リュ,ディアンイ
Dianyi Liu
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Abstract

【課題】透明光起電力電池を提供する。【解決手段】透明光起電力電池は、可視透明な第1電極と、バンドギャップが約2.75eV以上の光吸収物質を含んでいる可視透明な活性層と、可視透明な第2電極と、を備えている。活性層は、透明な第1電極と透明な第2電極との間に配置されている。透明光起電力電池は可視透明である。【選択図】図1

Description

〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2018年1月9日に出願された米国仮出願第62/615,283号の優先権を主張する。上記出願の開示の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
〔政府の権利〕
この発明は、政府の支援を受けて成されたものである(国立科学財団による助成金番号第1807573号)。本発明において、政府は一定の権利を有している。
〔技術分野〕
本開示は、紫外線(UV)回収型透明光起電力電池に関する。
本節では、本開示に関する背景情報を提供する。しかし、これらは必ずしも従来技術であるとは限らない。
透明光起電力電池(TPV)技術は、建物、車輌および温室におけるスマートウィンドウの製造に効果的なアプローチを提供している。TPVは太陽熱の伝導を調節と、太陽光スペクトルの不可視部分を光電子変換することによる発電の両方を行える。TPVの採用の可否を決定する際に最も重要視されるパラメータは、全体の平均可視光透過率(AVT)であることが多い。これは、TPVを携帯電子機器およびウィンドウに応用する場合には、美的に厳しい要件が課されるためである。透明性および効率の最高の組合せを達成するためには、太陽光スペクトルの不可視部分(近赤外線および紫外線など)の全てを選択的に回収することが必要であり、これによる効率の限界は最大で20.1%である。現在のところ、効率は5%程度であり、AVTは50%超が達成されている。
全太陽光の光子束のうち、紫外成分は実質的には少ないが、理論的には最大7%の効率が達成可能である。UVのみの光子を選択的に回収するアプローチでは、非常に高い光電圧(1.5V超)が可能となる。また、従来の半導体(GaN、ZnOおよびNiOなど)との組合せも可能となる。これまでのところ、紫外線回収型TPV素子は、ごく僅かしか報告されていない。例えば、電力変換効率(PCE)が0.1%であるNiO/ZnO半透明UV光起電力電池が報告されている。この電池は、大きなバンドギャップ(3.3eV)のために、効率が非常に制限されている。さらに近年では、PCEが最大1.5%であり、AVTが60%であるUV回収有機TPVも実証されている。しかし、このTPVの可視光バンドギャップは、約2.4eVである。これらの研究は、初期段階では有望であり、TPVの応用に関する優れた可能性が実証されていた。しかし最終的には、理想的なカットオフからは程遠いバンドギャップが原因となって、さらなる最適化の可能性には制限が加わっている。
このUV回収アプローチによれば、連続的な波長帯を吸収する半導体が使用できる。そのため、ハロゲン化ペロブスカイトに対しても、未開発の大きな機会が与えられる。ハロゲン化ペロブスカイトは、現在では、Si、CdTeおよびGaAsの代替として検討されている。ハロゲン化ペロブスカイト材料は、優れた光起電力特性、高い量子効率および最大22.7%まで保証されている効率を有しており、光回収物質の強力な候補として台頭している。また、ペロブスカイト材料は、組成を制御することによりバンドギャップを容易に調節できる、最も安価な光吸収半導体材料の一つでもある。それゆえ、ペロブスカイト材料から製造されたTPV素子が望まれている。
本節では、本開示の概要を提供する。本節は、本開示の範囲または特徴点の全てを包括的に開示するものではない。
種々の態様において、本技術が提供する透明起電力電池は、
可視透明な第1電極と、
バンドギャップが約2.75eV以上の光吸収物質を含んでいる、可視透明な活性層と、
可視透明な第2電極と、
を備えている、透明光起電力電池であって、
上記活性層は、上記透明な第1電極と上記透明な第2電極との間に配置されており、
上記透明光起電力電池は、可視透明である。
一態様において、上記光吸収物質のバンドギャップは、約2.75eV以上、約3.2eV以下である。
一態様において、上記光吸収物質は、波長が約450nm以下の紫外光(UV光)を吸収する。
一態様において、上記光吸収物質は、波長が約450nm以上の光を実質的に吸収しない。
一態様において、上記透明光起電力電池は、波長が約650nm以上、約5000nm以下の光の約10%以上を反射する。
一態様において、上記光吸収物質は、ハロゲン化ペロブスカイトである。
一態様において、上記ハロゲン化ペロブスカイトは、ハロゲン化ペロブスカイトナノ結晶を含んでいる。
一態様において、上記ハロゲン化ペロブスカイトは、式ABXで表され、
式中、Aは、メチルアンモニウム(MA)、ホルムアミジニウム(FA)、エタンジアンモニウム(EA)、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、t-ブチルアンモニウム、Na、K、Rb、Csまたはこれらの組合せであり、
Bは、Pb、Sn、Ge、Cu、Sr、Ti、Mn、Bi、Znまたはこれらの組合せであり、
Xは、ハロゲンまたはハロゲンの組合せである。
一態様において、上記ハロゲン化ペロブスカイトは、F、Cl、BrおよびIを含んでおり、バンドギャップが約2.75eV以上、約3.2eV以下である。
一態様において、上記ハロゲン化ペロブスカイトは、Clおよび1種類以上の他のハロゲン化物を含んでいる。
一態様において、上記光吸収物質は、金属ハロゲン化物、金属窒化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、これらの合金、またはこれらの組合せである。
一態様において、上記金属ハロゲン化物は、PbI、PbCl、PbBr、PbIBr(1-X)、PbICl(1-X)、PbBrCl(1-X)、Snl、SnCl、SnBr、SnIBr(1-X)、SnICl(1-X)、SnBrCl(1-X)、GeI、GeCl、GeBr、GeIBr(1-X)、GeICl(1-X)、GeBrCl(1-X)、InI、InCl、InBr、TiI、TiCl、TiBr、GaI、GaBr、GaCl、AlCl、AlBr、AlI、ATiI、ATiClおよびATiBrのうち1つ以上を含んでおり(式中、Aはアルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Csまたはこれらの組合せ)、有機カチオン(メチルアンモニウム(MA)、ホルムアミジニウム(FA)、エタンジアンモニウム(EA)、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、t-ブチルアンモニウムまたはこれらの組合せ)、またはこれらの組合せであり;0≦X≦1である)、
上記金属窒化物は、In(X)Ga(1-X)NおよびIn(X)Al(1-X)Nのうち1つ以上を含んでおり(式中、0≦X≦1である)、
上記金属硫化物は、ZnS(X)Se(1-X)を含んでおり(式中、0≦X≦1である)、
上記金属セレン化物は、ZnSe、ZnO(X)Se(1-X)およびZn(X)Mg(1-X)Seのうち1つ以上を含んでおり(式中、0≦X≦1である)、
上記金属テルル化物は、Zn(X)Mg(1-X)TeおよびBeSe(X)Te(1-X)のうち1つ以上を含んでいる(式中、0≦X≦1である)。
一態様において、上記透明光起電力電池は可視光を透過し、平均可視光透過率が約45%以上である。
一態様において、上記透明光起電力電池は、エアマス1.5グローバル(AM1.5G)太陽光スペクトルを基準とする演色評価数が約80超である。
一態様において、上記可視透明な第1電極は可視透明なアノードであり、上記可視透明な第2電極は可視透明なカソードである。
一態様において、上記透明光起電力電池は、上記可視透明な第1電極と上記可視透明な活性層との間に配置されている付属層であって、電子輸送層、電子抽出層、正孔遮断層またはバッファ層である付属層をさらに備えている。
一態様において、上記付属層は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホナート(PEDOT:PSS)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(P3HT)、N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-2,2’-ジメチルベンジジン(NPD)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン(TPD)、2,2’,7,7’-テトラキス(N,N-ジフェニルアミノ)-2,7-ジアミノ-9,9-スピロビフルオレン(スピロ-TAD)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン](ポリ-TPD)またはこれらの組合せを含んでいる。
一態様において、上記透明光起電力電池は、第1の上記可視透明な活性層と上記可視透明な第2電極との間に配置されている付属層であって、電子輸送層または電子抽出層である付属層をさらに備えている。
一態様において、上記付属層は、フラーレン、ZnO、TiO、NiO、MoO、導電性ナノチューブおよび導電性ナノ粒子のうちの1つ以上を含んでいる。
一態様において、上記透明光起電力電池は、上記可視透明な活性層と上記可視透明な第2電極との間に配置されている付属層であって、当該可視透明な活性層と当該可視透明な第2電極との間にオーミック接触を提供する電子輸送層または電子抽出層である付属層をさらに備えている。
一態様において、上記付属層は、[6、6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM)、AlドープZnO(AZO)、TiO、バソクプロイン(BCP)、MoOまたはこれらの組合せを含んでいる。
一態様において、上記可視透明な第2電極は、透明な導電性酸化物、ナノワイヤメッシュ、導電性酸化物ナノ粒子、導電性ナノチューブ、金属薄層またはこれらの組合せ含んでいる。
一態様において、上上記可視透明な第2電極は、銀(Ag)を含有する金属薄層と、アルミニウムトリス(8-ヒドロキシキノリナート)(Alq)または酸化インジウムスズ(ITO)を含有する導電層とを備えており、
上記金属薄層は、上記可視透明な活性層と上記導電層との間に配置されている。
一態様において、上記透明光起電力電池は、上記可視透明な第1電極の上に配置されている可視透明な基板であって、ガラス、剛直性高分子または屈曲性高分子を含んでいる基板をさらに備えている。
一態様において、上記透明光起電力電池の電力変換効率は約0.3%以上である。
一態様において、上記透明光起電力電池は、約450nm未満の任意の波長における外部量子効率が約20%以上である。
一態様において、上記透明光起電力電池は、バンドギャップが2.75eV未満である追加の活性層を備えていない。
一態様において、上記透明光起電力電池は、約450nm超の波長における外部量子効率が約10%超である追加の活性層を備えていない。
種々の態様において、本技術が提供する透明光起電力電池は、
基板と、
第1電極と、
波長が約450nm未満の紫外光(UV光)のみを吸収する光吸収物質を含んでいる活性層であって、当該光吸収物質は、(i)ハロゲン化ペロブスカイト、または、(ii)金属ハロゲン化物、金属窒化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、これらの合金またはこれらの組合せ、のいずれかである活性層と、
第2電極と、
を備えている、透明光起電力電池であって、
上記第1電極は、上記基板と上記活性層との間に位置しており、
上記活性層は、上記第1電極と上記第2電極との間に位置しており、
上記基板、上記第1電極、上記活性層および上記第2電極は、いずれも可視透明であり、
上記透明光起電力電池の平均可視光透過率は、約50%以上である。
一態様において、上記透明光起電力電池は、上記活性層と上記第2電極との間に位置している可視透明な付属層であって、フラーレン、ZnO、TiO、NiO、MoO、導電性ナノチューブおよび導電性ナノ粒子のうち1つ以上を含んでいる電子輸送層または電子抽出層である付属層をさらに備えている。
一態様において、上記透明光起電力電池は、
上記第1電極と上記活性層との間に位置している可視透明な第1付属層と、
上記活性層と上記第2電極との間に位置している可視透明な第2付属層と、
をさらに備えており、
上記可視透明な第1付属層は、電子輸送層、電子抽出層、正孔遮断層またはバッファ層であり、
上記可視透明な第2付属層は、電子輸送層または電子抽出層である。
一態様において、上記透明光起電力電池は、上記可視透明な第2付属層と上記第2電極との間に位置している可視透明な第3付属層であって、当該可視透明な第2付属層と当該第2電極との間にオーミック接触を提供する電子輸送層または電子抽出層である第3付属層をさらに備えている。
一態様において、上記第2電極は、
酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム亜鉛、InZnAlO、酸化亜鉛、ZnAlO(ZAO)、酸化カドミウム、酸化ジルコニウムインジウム(ZrIO)、酸化ガリウム亜鉛(GZO)、Al、Au、Ag、Mo、Cu、Ni、グラフェン、酸化グラフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホナート(PEDOT:PSS)、金属ナノワイヤおよびこれらの組合せを含む群より選択される物質を含んでいる第1層と、
アルミニウムトリス(8-ヒドロキシキノリナート)(Alq)、4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル(CBP)、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPD)、2,2’,7,7’-テトラキス[N,N-ジ(4-メトキシフェニル)アミノ]-9,9’-スピロビフルオレン、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン(TPD)、その誘導体、またはこれらの組合せを含んでいる第2層と、
をさらに備えており、
上記第1層は、上記活性層と上記第2層との間に配置されている。
種々の態様において、本技術が提供する透明光起電力電池は、
可視透明な第1電極と、
可視透明な第2電極と、
上記可視透明な第1電極と上記可視透明な第2電極との間に配置されている可視透明な活性層であって、波長が約450nm未満の光のみを吸収し、波長が約450nm以上の光を実質的に吸収しない光吸収物質を含んでいる活性層と、
を備えている透明光起電力電池であって、
上記光吸収物質は、下記(i)または(ii)のいずれかである、透明光起電力電池:
(i)式ABXで表されるハロゲン化ペロブスカイトであって、
式中、Aは、メチルアンモニウム(MA)、ホルムアミジニウム(FA)、エタンジアンモニウム(EA)、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、t-ブチルアンモニウム、Na、K、Rb、Csまたはこれらの組合せであり、
Bは、Pb、Sn、Ge、Cu、Sr、Ti、Mn、Bi、Znまたはこれらの組合せであり、
Xは、ハロゲンまたはハロゲンの組合せである、ハロゲン化ペロブスカイト;
(ii)PbI、PbCl、PbBr、PbIBr(1-X)、PbICl(1-X)、PbBrCl(1-X)、Snl、SnCl、SnBr、SnIBr(1-X)、SnICl(1-X)、SnBrCl(1-X)、GeI、GeCl、GeBr、GeIBr(1-X)、GeICl(1-X)、GeBrCl(1-X)、InI、InCl、InBr、TiI、TiCl、TiBr、GaI、GaBr、GaCl、AlCl、AlBr、AlI、ATiI、ATiClおよびATiBrのうち1つ以上を含んでいる金属ハロゲン化物(式中、Aは、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Csまたはこれらの組合せ)、有機カチオン(メチルアンモニウム(MA)、ホルムアミジニウム(FA)、エタンジアンモニウム(EA)、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、t-ブチルアンモニウムまたはこれらの組合せ)、またはこれらの組合せである)、
In(X)Ga(1-X)NおよびIn(X)Al(1-X)Nのうち1つ以上を含んでいる金属窒化物、
ZnS(X)Se(1-X)を含んでいる金属硫化物、
ZnSe、ZnO(X)Se(1-X)およびZn(X)Mg(1-X)Seのうち1つ以上を含んでいる金属セレン化物、
Zn(X)Mg(1-X)TeおよびBeSe(X)Te(1-X)のうち1つ以上を含んでいる金属テルル化物、
これらの合金、または、
これらの組合せ(式中、0≦X≦1である)。
一態様において、上記透明光起電力電池は、リジッドディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、時計用クリスタル、自動車用ガラス、スマートウィンドウ、自立型エレクトロクロミックウィンドウまたは建築用ガラスである。
本明細書における開示に基づけば、本技術を適用できる他の領野は明白である。本節における説明および具体例は例示のみを目的としており、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。
添付の図面は、(全ての可能な実施形態ではなく)選択された実施形態の例示のみを目的としており、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。図1は、本技術の種々の態様に係る第1の素子の図である。 図2は、本技術の種々の態様に係る第2の素子の図である。 図3は、本技術の種々の態様に係る第3の素子の図である。 図4は、本技術の種々の態様に係る第4の素子の図である。 図5Aは、種々の組成のハロゲン化ペロブスカイト膜の吸収(1-透過)スペクトルを示す。 図5Bは、ペロブスカイト紫外線回収型透明光起電力素子の構成を示す。 図6Aは、紫外線を回収するペロブスカイト膜(MAPbCl)の表面形態を示す。スケールバーは1μmである。 図6Bは、紫外線を回収するペロブスカイト膜(MAPbCl2.4Br0.6)の表面形態を示す。スケールバーは1μmである。 図6Cは、紫外線を回収するペロブスカイト膜のXRDパターンを示すグラフである。 図6Dは、ハロゲン化ペロブスカイト膜の写真である。MAPbIは黒色、MAPbBrは深い橙色、MAPbCl2.4Br0.6は淡黄色、MAPbClは色が見られない。 図7Aは、MAPbCl透明起電力素子(TPV素子)の断面の走査型電子顕微鏡像(SEM像)を示す。スケールバーは200nmである。 図7Bは、MAPbCl2.4Br0.6TPV素子の断面のSEM像を示す。スケールバーは200nmである。 図8Aは、紫外線回収型透明ペロブスカイト光起電力素子の電流-電圧曲線(J-V曲線)を示す。1太陽照度の条件下で測定した。 図8Bは、PCEのヒストグラムを示す。異なる50個のMAPbCl素子(白色)および異なる86個のMAPbCl2.4Br0.6素子(黒色)を測定した。 図9Aは、MAPbCl紫外線回収型透明ペロブスカイト光起電力素子の、吸収(A)、透過(T)、反射(R)、外部量子効率(EQE)および内部量子効率(IQE)を示す。 図9Bは、MAPbCl2.4Br0.6紫外線回収型透明ペロブスカイト光起電力素子の、吸収(A)、透過(T)、反射(R)、外部量子効率(EQE)、および内量子効率(IQE)を示す。 図9Cは、MAPbCl紫外線回収型透明ペロブスカイト素子の写真である。 図9Dは、MAPbCl2.4Br0.6紫外線回収型透明ペロブスカイト素子の写真である。 図10は、ハロゲン化ペロブスカイト膜の吸収に基づく、バンドギャップ測定のプロットである。 図11は、PbI膜の吸収に基づく、バンドギャップ測定のプロットである。 図12Aは、PbIの結晶構造を示す。 図12Bは、ハロゲン化鉛太陽電池の構造を示す。 図12Cは、種々の濃度のPbI前駆体溶液から作製された不透明PbI太陽電池の短絡電流を示すグラフである。 図12Dは、種々の濃度のPbI前駆体溶液から作製された不透明PbI太陽電池の電力変換効率を示すグラフである。 図13は、PbI前駆体溶液濃度の関数としての、PbI膜の厚さを示すグラフである。 図14Aは、0.1MのPbI前駆体溶液から作製されたPbI膜の走査型電子顕微鏡像(SEM像)である。スケールバーは1μmである。 図14Bは、0.2MのPbI前駆体溶液から作製されたPbI膜のSEM像である。スケールバーは1μmである。 図14Cは、0.5MのPbI前駆体溶液から作製されたPbI膜のSEM像である。スケールバーは1μmである。 図14Dは、1MのPbI前駆体溶液から作製されたPbI膜のSEM像である。スケールバーは1μmである。 図15Aは、種々の濃度のPbI前駆体溶液から作製された不透明PbI太陽電池の開回路電圧を示すグラフである。 図15Bは、種々の濃度のPbI前駆体溶液から作製された不透明PbI太陽電池の曲線因子を示すグラフである。 図16Aは、種々のドープ率で臭素または塩素ドープしたハロゲン化鉛膜の写真である(鉛の濃度:0.3M)。 図16Bは、種々のドープ率で臭素または塩素ドープしたハロゲン化鉛膜の透過スペクトルを示すグラフである(鉛の濃度:0.3M)。 図17Aは、種々のドープ率でBrドープしたハロゲン化鉛膜のX線回折パターン(XRDパターン)を示す。 図17Bは、種々のドープ率でClドープしたハロゲン化鉛膜のXRDパターンを示す。 図17Cは、10%molのドープ率でBrもしくはClドープしたハロゲン化鉛膜、またはドープしていないハロゲン化鉛膜のXRDパターンを示す。 図18Aは、種々のドープ率で臭素または塩素ドープしたハロゲン化鉛前駆体溶液から作製された不透明ハロゲン化鉛太陽電池の、短絡電流密度(Jsc)を示すグラフである。 図18Bは、種々のドープ率で臭素または塩素ドープしたハロゲン化鉛前駆体溶液から作製された不透明ハロゲン化鉛太陽電池の、開回路電圧(Voc)を示すグラフである。 図18Cは、種々のドープ率で臭素または塩素ドープしたハロゲン化鉛前駆体溶液から作製された不透明ハロゲン化鉛太陽電池の、曲線因子(FF)を示すグラフである。 図18Dは、種々のドープ率で臭素または塩素ドープしたハロゲン化鉛前駆体溶液から作製された不透明ハロゲン化鉛太陽電池の、電力変換効率(PCE)を示すグラフである。 図19Aは、ハロゲン化鉛TPVの写真である。 図19Bは、種々の濃度のPbI前駆体溶液から作製されたPbI膜の、透過スペクトルを示す。 図19Cは、種々の濃度のPbI前駆体溶液から作製されたハロゲン化鉛TPVの、透過スペクトルを示す。 図20Aは、0.2Mのハロゲン化鉛前駆体溶液(10%のドープ率で臭素または塩素ドープした)から作製されたハロゲン化鉛膜の、透過スペクトルを示す。 図20Bは、0.2Mのハロゲン化鉛前駆体溶液(10%のドープ率で臭素または塩素ドープした)から作製されたハロゲン化鉛TPVの、透過スペクトルを示す。 図21Aは、完全に組立てたPbI1.8Br0.2TPV素子の写真である(パターン化はしていない)。 図21Bは、図21Aに示すPbI1.8Br0.2TPV素子の、透過(T)、反射(R)および外部量子効率(EQE)スペクトルを示す。 図22Aは、PbI1.8Br0.2膜の写真、および、0.2MのPbI1.8Br0.2前駆体溶液から作製されたTPV素子の写真である。 図22Bは、図22Aに示される膜およびTPV素子の透過スペクトルを示す。 図23Aは、濃度:0.1M、0.2Mおよび0.3Mにおける、PbITPV、PbI1.8Br0.2TPVおよびPbI1.8Cl0.2TPVの短絡電流密度(Jsc)を示す。 図23Bは、濃度:0.1M、0.2Mおよび0.3Mにおける、PbITPV、PbI1.8Br0.2TPVおよびPbI1.8Cl0.2TPVの開回路電圧(Voc)を示す。 図23Cは、濃度:0.1M、0.2Mおよび0.3Mにおける、PbITPV、PbI1.8Br0.2TPVおよびPbI1.8Cl0.2TPVの電力変換効率(PCE)を示す。 図23Dは、PbITPV、PbI1.8Br0.2TPVおよびPbI1.8Cl0.2TPVの初期素子安定性試験を示すグラフである。対応する参照番号は、図面における複数の図を通じて対している部材を示す。
本開示を通して、その範囲を業者に完全に当伝えるために、例示的な実施形態を提供する。具体的な組成、部品、素子および方法の例など、多数の具体的な内容を記載することにより、本開示の実施形態に対する全体的な理解を与えている。当業者にとって明らかであることに、具体的な内容は必ずしも採用する必要はなく、例示的な実施形態は多数の異なる形態で実施することができ、これらはいずれも本開示の範囲を制限するものと解釈すべきではない。いくつかの例示的な実施形態において、周知の製造方法、周知の素子構造および周知の技術は、詳細には記載しない。
本明細書において使用される用語は、具体的かつ例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図していない。本明細書において用いられるとき、単数形の「a」「an」および「the」は、単数のみを表すと文脈上明示されていない限り、複数形も包含することを意図する場合がある。用語「備えている」「含んでいる」「包含している」「含有している」および「有している」は、包括的である。したがって、この用語は、記載されている特徴、要素、組成、工程、整数、操作および/または部品の存在を特定する一方で、1つ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、部品および/またはそれらの群の存在または追加を排除しない。非制限的な用語「備えている」および「含んでいる」は、本明細書に記載の各実施形態を説明しクレームするために使用される、非限定的な用語として理解すべきである。しかし、特定の局面では、この用語を、より限定的かつ限定的な用語(「からなる」または「から本質的になる」など)を意図していると理解してもよい。それゆえ、組成、材料、部品、要素、特徴、整数、操作および/または製造工程を記載する任意の所与の実施形態に関して、本開示は、上記記載された組成、材料、部品、要素、特徴、整数、操作および/または製造工程からなる(または、それらから本質的になる)実施形態をも具体的に包含している。「からなる」の場合には、代替的な実施形態からは、任意の追加の組成、材料、部品、要素、特徴、整数、操作および/または製造工程が除外されている。「から本質的になる」の場合には、任意の追加の組成、材料、部品、要素、特徴、整数、操作および/または製造工程のうち、基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼすものは実施形態から除外されるが、基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさないものは実施形態に包含されうる。
順番が具体的に特定されていない限り、本明細書において記載の任意の方法の工程、製造方法および操作は、説明または図示された具体的な順番で実行することが必要であると解釈してはならない。また、別記しない限り、追加または代替の工程を採用してもよい。
部品、要素または層が、他の要素または層に対して、「上にある」「係合している」「接続されいる」または「連結されている」と表現されているとき、他の部品、要素、または層に対して直接的に上にあったり、係合していたり、接続されていたり、連結されていてもよい。あるいは、介在する要素または層が存在していてもよい。逆に、要素が他の要素または層に対して、「直接上にある」「直接係合している」「直接接続されいる」または「直接連結されている」と表現されているとき、介在する要素または層は存在しない場合がある。要素間の関係の記述に使用される他の語も、同様に解釈せねばならない(「間にある」と「直接間にある」、「隣接する」と「直接隣接する」など)。本明細書において用いられるとき、用語「および/または」は、関連して列挙されている1つ以上の項目の、任意かつ全ての組合せを包含する。
本明細書では、「第1」「第2」「第3」などの用語を使用して、各種の工程、要素、部品、領域、層および/または部分を記述することがある。しかし、別記しない限り、これらの工程、要素、部品、領域、層および/または部分を、この用語によって限定してはならない。これらの用語は、ある工程、要素、部品、領域、層または部分と、他の工程、要素、部品、領域、層または部分とを区別するためにのみ使用されうる。本明細書において使用されるとき、「第1」「第2」などの用語および他の数に関する用語は、文脈によって明示されない限り、配列または順序を意味しない。したがって、以下に説明する第1工程、第1要素、第1部品、第1領域、第1層または第1部分を、例示的な実施形態の記載から逸脱することなく、第2工程、第2要素、第2部品、第2領域、第2層または第2部分と称することができる。
本明細書においては、記載の簡便のために、「前に」「後に」「内側に」「外側に」「下に」「下の」「上に」「上の」などの空間的または時間的に相対的な用語を用いることがある。これによって、図に示されている、ある要素または特徴と他の要素または特徴との関係を説明する。空間的または時間的に相対的な用語は、図に描かれている方向に加えて、異なる方向へと素子またはシステムを利用または操作することも包含することを意図している場合がある。
この開示を通して、数値は、おおよその尺度または範囲の制限を表す。そのため、所与の値からの軽微な偏差が包含されており、言及されている値に近い実施形態と、言及されている値そのものを含む実施形態とが包含されている。詳細な説明の末尾に記載の実施例以外にも、本明細書(添付の特許請求の範囲を含む)におけるパラメータ(例えば、量または条件のパラメータ)の全ての数値は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解せねばならない。このことは、数値の前に実際に「約」が存在するか否かには関係ない。「約」とは、記載された数値が多少の不正確さを許容することを意味する(正確な値にある程度の近接している;値に対して概ねまたは合理的に近い;概ね近い)。本技術分野における通常の意味以外に理解できない場合には、本明細書において用いられる「約」がもたらす不正確さは、従来の測定方法およびパラメータの使用方法によって生じうる最小の偏差を表す。例えば、「約」は、5%以下の偏差を含みうる。この変差は、任意構成で、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.5%以下であり、特定の態様においては0.1%以下である。
さらに、範囲の開示には、全ての値の開示と、範囲全体からさらに分割された範囲の開示とが含まれる(所与の範囲の端点および下位範囲も含む)。上述の通り、範囲には、別記しない限り端点が含まれる。範囲の開示は、範囲全体の中の全ての区別される値の開示と、さらに分割された範囲の開示とを含んでいる。したがって、例えば「AからB」または「約Aから約B」という範囲には、AおよびBが含まれる。
添付の図面を参照しながら、例示的な実施形態をより十全に説明する。
本技術は透明太陽電池の設計(透明光起電力素子(TPV)など)を提供する。本明細書において用いられるとき、用語「透明」には、直線状のビームの平均可視光透過率が約45%以上であるものが包含される。本明細書において用いられるとき、用語「半透明」には、直線状のビームの平均可視光透過率が約10%以上、約45%以下のものが包含される。一般的に、この設計には、可視光スペクトルの外側(例えば、紫外(UV)太陽光スペクトル)に強い吸収特性を有する分子活性層が含まれている。この素子は、選択的な高反射性を有する反射防止接触コーティングを有していてもよい。紫外(UV)太陽光スペクトルに吸収ピークを有する第2光吸収層を備えているヘテロ接合太陽電池として、素子を形成してもよい。第2光吸収物質は、紫外線を吸収する一方で、波長が約450nm以上、約475nm以上または約500nm以上の光を実質的に吸収しない(後述する)。この素子は、再結合領域を介して結合している1つ以上のサブセルとともに、タンデム構造を形成していてもよい。この素子は、様々に応用できる。応用の例としては、リジッドコンピュータディスプレイおよびフレキシブルコンピュータディスプレイが挙げられる(デスクトップモニタ、ラップトップコンピュータまたはノート型コンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、e-リーダなどに使用される)。他の応用の例としては、時計用クリスタル、自動車および建築用ガラス(サンルーフ、スマートウィンドウ、自律型エレクトロクロミックウィンドウ、プライバシーガラスなど)が挙げられる。能動的な発電に光起電力素子を使用してもよい。例えば、完全な自家発電に応用してもよいし、電池の充電(または電池寿命の延長)に応用してもよい。
本明細書に記載の近赤外線(NIR)とは、波長が約650nm超、約2000nm以下の光と定義される。本明細書に記載の紫外線(UV)とは、波長が約10nm超、約450nm未満の光と定義される。UVを吸収する活性層を使用することにより、選択的な高反射性を有するコーティングが使用できるようになる。これにより、素子の性能を最適化しつつ、素子全体を通じて高度に可視光を透過させることができる。本明細書に記載の可視光とは、ヒトの目が顕著に反応する光であり、波長が約450nm以上、約650nm以下の光であると定義される。
ハロゲン化ペロブスカイト材料は、Si代替材料として台頭している。この材料は、光起電力特性に優れ、最大で22.7%の効率が確認されており、極めて低コストである。半透明光起電力電池および空間的にセグメント化された透明光起電力電池(TPV)
にハロゲン化ペロブスカイトを応用して、広汎な開発ルートを拓くことに関する関心が高まっている。しかし、これらの半導体は、連続的な吸光帯を有している。そのため、高い効率と、新規な応用の多くにおける美的要件を満たす透明性とを確保しながら、近赤外線の波長を選択的に回収できない(近赤外光は、通常の透明光起電力電池(TPV)が標的とする光である)。本技術は、ペロブスカイト半導体系TPVの開発を提供する。組成物の重要な範囲によって、この半導体のバンドギャップを細かく調節し、バンドギャップが400~440nmである紫外光(UV光)の光子のみを選択的に回収する。この範囲は重要である。バンドギャップが約380nm未満では、理論上の効率の限界が2.5%未満と、遥かに低い。また、バンドギャップが約450nmを超では、許容できないレベルで着色してしまうか、演色評価数(CRI)が不充分である。TPV素子では、最大で0.52%の電力変換効率(PCE)、最大で70.7%の平均可視光透過率(AVT)、および92以上のCRIが実証されている。このアプローチによれば、理論上は最大7%の効率、100%の可視光透過率、および約90超のCRIが与えられるはずである。これらのペロブスカイト電池の実用的な最適化は、現在のところ、量子効率が20~30%である点に限界がある。これならば、PCEが3~5%であるTPVをすぐにでも提供できる(最新の技術水準にある近赤外線回収型TPVの状態に匹敵する)。また、近赤外線回収型TPVと組合せると、さらに高効率の多接合型TPVへの途をもたらされる。
図1に、本技術の種々の態様に係る例示的な透明光起電力電池10を示す。透明光起電力電池10は、第1電極12と、バンドギャップが約2.75eV以上の光吸収物質を含んでいる活性層14と、第2電極16と、を備えている。第1電極12、活性層14および第2電極16のそれぞれは、可視透明である。活性層14は、第1電極12と第2電極16との間に配置されている。
後述の通り、種々の実施形態において、透明光起電力電池10は、2つ以上の活性層14を備えていてもよい。これらの活性層14は、バンドギャップが約2.75eV以上であるか、または、約450nm超の波長における外部量子効率が10%未満である。換言すれば、透明光起電力電池10は、バンドギャップが2.75未満である追加の活性層を備えていない。あるいは、透明光起電力電池10は、約450nm超の波長における外部量子効率が約10%超である追加の活性層を含まない。
種々の実施形態において、光吸収物質のバンドギャップは、約2.75eV以上、約3.2eV以下である。例えば、種々の実施形態において、光吸収物質のバンドギャップは、約2.75eV、約2.8eV、約2.85eV、約2.9eV、約2.95eV、約3eV、約3.05eV、約3.1eV、約3.15eVまたは約3.2eVである。したがって、光吸収物質が吸収する紫外線の波長は、約470nm以下、約460nm以下、約450nm以下、約440nm以下、約430nm以下、約420nm以下、約410nm以下、約400nm以下である。
光吸収物質は、紫外線を吸収するが、波長が約450nm以上、約460nm以上または約470nm以上である光を実質的に吸収しない。「実質的に吸収しない」とは、光吸収物質が、波長が約450nm以上、約460nm以上または約470nm以上である光を、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下または約1%以下だけ吸収することを意味する。例えば、いくつかの実施形態において、光吸収物質は、波長が約450nm未満において吸収ピークを有していてもよいが、波長が約450nm超の可視領域では減少する。このような実施形態において、光吸収物質は、末端部に位置する可視光をある程度は吸収することが理解される。また、完全に組立てられた透明光起電力電池10は、約450nm以下の波長に、活性層における最大の吸収ピークが存在する。
透明光起電力電池10は、透明である。それゆえ、透明光起電力電池10は可視光を透過し、平均可視光透過率(AVT)が約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上または以上から約90%以上である。さらに、透明光起電力電池10は、エアマス1.5グローバル(AM1.5G)の太陽光スペクトルを基準とするCRIが、約80以上、約85以上、約90以上または約95以上である。したがって、種々の実施形態において、透明光起電力電池10は可視透明である。そのため、人間の観察者が透明光起電力電池10を通して見るとき、当該人間の観察者に対して透明光起電力電池10の反対側にある物体は、実質的に(または完全に)天然色で見え、着色またはヘイズが実質的にない(または全くない)。
また、透明光起電力電池10は、NIR光およびIR光を反射することによって熱を節減する。より具体的には、透明光起電力電池10は、約650nm以上、約5000nm以下の波長において、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約35%以上、約40%以上、または約50%以上の最大ピーク反射率を有する。光吸収物質は、波長が約650nm以上、約5000nm以下の光を、実質的または完全に吸収しない。例えば、透明光起電力電池10の他の構成要素(電極など)は反射されない、波長が約650nm以上、約5000nm以下の非反射光の一部を、(反射するとともに)吸収してもよい。波長が約650nm以上、約5000nm以下の非反射光の残部は、透明光起電力電池10を透過する。したがって、透明光起電力電池10をLow-eウィンドウと置換えたり、Low-eコーティングまたはLow-eウィンドウと組合せたりすることができる。他の実施形態において、透明光起電力電池10は、多接合型光起電力電池または素子と一体化している。
透明光起電力電池10の電力変換効率(PCE)は、約0.3%以上、約0.5%以上、約1%以上、約1.5%以上、約3%以上、約5%以上、約6%以上または約7%以上である。
透明光起電力電池10の、約450nm未満の任意の波長における外部量子効率(EQE)は、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、または約80%以上である。
活性層14の光吸収物質は、(i)ハロゲン化ペロブスカイト、または、(ii)金属ハロゲン化物、金属窒化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、これらの合金、またはこれらの組合せか、のいずれかである。光吸収物質は、薄層、ナノ粒子またはナノ結晶として与えられる。
種々の実施形態において、活性層14の光吸収物質は、ハロゲン化ペロブスカイトである。ペロブスカイトとは、チタン酸カルシウム(CaTiO;すなわち、天然に存在するペロブスカイト)と同じ種類の結晶構造を有する物質である。この結晶構造は、「ペロブスカイト構造」として知られている。すなわち、中心に酸素を有するXII2+VI4+2- である。ペロブスカイト化合物の一般式は、「ABX」である。AおよびBは、大きさが異なるカチオンである(Aカチオンは、通常、Bカチオンよりも大きい1のカチオンである。Bカチオンは、通常、2のカチオンである)。Xは、AおよびBの両方に結合しているアニオンである。理想的な立方対称構造において、6配位のBカチオンはアニオンの八面体に囲まれており、Aカチオンは八面体12配位である。種々の実施形態において、光吸収物質は、ペロブスカイト、複合ハロゲン化ペロブスカイト、酸化ペロブスカイト、層状ハロゲン化ペロブスカイト、または1つ以上の無機ハロゲン化ペロブスカイトのうち1つ以上を含んでいる。複合ハロゲン化ペロブスカイトは、式ABXで表される。式中、Aは、メチルアンモニウム(MA)、ホルムアミジニウム(FA)、エタンジアンモニウム(EA)、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、t-ブチルアンモニウム、Na、K、Rb、Csまたはこれらの組合せである。Bは、Pb、Sn、Ge、Cu、Sr、Ti、Mn、Bi、Znまたはこれらの組合せである。Xは、ハロゲンまたはハロゲンの組合せである。種々のA、BおよびX成分を混合することによって、所望のバンドギャップを有するハロゲン化ペロブスカイトとなるように調節できる。例えば、ハロゲンXが、I、Br、Cl、Fの順に変化すると、一般的に、バンドギャップは増加する。
いくつかの実施形態において、ハロゲン化ペロブスカイトは、F、Cl、BrおよびIを含んでおり、バンドギャップが約2.75eV以上、約3.2eV以下である。
いくつかの実施形態において、ハロゲン化ペロブスカイトは、Fおよび1種類以上の他のハロゲン化物を含んでいる。
いくつかの実施形態において、ハロゲン化ペロブスカイトは、Clおよび1種類以上の他のハロゲン化物を含んでいる。
いくつかの実施形態において、ハロゲン化ペロブスカイトは、Brおよび1種類以上の他のハロゲン化物を含んでいる。
いくつかの実施形態において、ハロゲン化ペロブスカイトは、Iおよび1種類以上の他のハロゲン化物を含んでいる。
種々の実施形態において、活性層14の光吸収物質は、金属ハロゲン化物、金属窒化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、これらの合金、およびこれらの組合せである。金属ハロゲン化物は、PbI、PbCl、PbBr、PbIBr(1-X)、PbICl(1-X)、PbBrCl(1-X)、Snl、SnCl、SnBr、SnIBr(1-X)、SnICl(1-X)、SnBrCl(1-X)、GeI、GeCl、GeBr、GeIBr(1-X)、GeICl(1-X)、GeBrCl(1-X)、InI、InCl、InBr、TiI、TiCl、TiBr、GaI、GaBr、GaCl、AlCl、AlBr、AlI、ATiI、ATiClおよびATiBrのうち1つ以上を含んでいる。式中、Aは、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Csまたはこれらの組合せ)、有機カチオン(メチルアンモニウム(MA)、ホルムアミジニウム(FA)、エタンジアンモニウム(EA)、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、t-ブチルアンモニウムまたはこれらの組合せ)、またはこれらの組合せである。金属窒化物は、In(X)Ga(1-X)NおよびIn(X)Al(1-X)Nのうちの1つ以上を含んでいる。金属硫化物は、ZnS(X)Se(1-X)を含んでいる。金属セレン化物は、ZnSe、ZnO(X)Se(1-X)およびZn(X)Mg(1-X)Seのうちの1つ以上を含んでいる。金属テルル化物は、Zn(X)Mg(1-X)TeおよびBeSe(X)Te(1-X)のうちの1つ以上を含んでいる。上記の式の全てにおいて、0≦x≦1である。いくつかの実施形態において、光吸収物質は、In(X)Ga(1-X)N(0.05≦x≦0.25)、In(X)Al(1-X)N(0.25≦x≦0.7)、ZnS(X)Se(1-X)(0.1≦x≦0.9)、Zn(X)Mg(1-X)Se(0.05≦x≦0.5)、Zn(X)Mg(1-X)Te(0.05≦x≦0.95)およびBeSe(X)Te(1-X)(0.6≦x≦1)のうちの1つ以上である。xの適切な値を1つ以上選択し、種々の光吸収物質を混合することにより、所望のバンドギャップ(上述した約2.75eV以上、約3.2eV以下)を有するように光吸収物質を調節できる。例えば、xを選択することにより、バンドギャップが約2.75eV以上、約3.2ev以下である光吸収物質を得ることができる。あるいは、複数の光吸収物質(2つ以上の光吸収物質)を組合せて、約2.75eV以上、約3.2eV以下のバンドギャップにすることができる。あるいは、上記を組合せてもよい。
光吸収物質は、(i)ハロゲン化ペロブスカイト、または、(ii)金属ハロゲン化物、金属窒化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、合金、およびこれらの組合せのいずれかである。ただし、これらの物質は、透明光起電力電池10に組込まれている必要があり、上述の要件(バンドギャップの要件、吸光度の要件、透過率の要件、CRIの要件、PCEの要件およびEQEの要件など)の各々を充足せねばならないという点において、限定されていることが理解される。
活性層14の厚さTALは、約5nm以上、約5000nm以下;約10nm以上、約1000nm以下;約50nm以上、約600nm以下;約100nm以上、約500nm以下;約200nm以上、約400nm以下である。
第1電極12および第2電極16は、それぞれ独立に、可視透明なアノードおよび可視透明なカソードである。第1電極12および第2電極16は、可視透明な導電性物質を含んでいる。可視透明な導電性物質は、それぞれ独立に、導電性酸化物(酸化インジウムスズ(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム亜鉛、InZnAlO(IZAO;例えば、90重量%In、5重量%ZnOおよび5重量%Al)、InAlZnSnO(IZATO)、酸化亜鉛、ZnAlO(ZAO)、酸化カドミウム、酸化ジルコニウムインジウム(ZrIO)および酸化ガリウム亜鉛(GZO)など)、金属(Al、Au、Ag、Mo、CuまたはNiなど)、炭素、グラフェン、酸化グラフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホナート(PEDOT:PSS)およびこれらの組合せからなる群より選択される。可視透明な導電性物質は、薄膜、極薄膜、ナノワイヤ(例えば、Al、Au、Ag、Mo、Cuおよび/またはNiのナノワイヤ)、ナノワイヤメッシュ、ナノチューブ(例えば、カーボンナノチューブ)、ナノ粒子、またはこれらの組合せでありうる。
いくつかの実施形態において、第1電極12および第2電極16のうちの1つ以上は、可視透明な導電性物質を含んでいる第1層と、透明な導電性有機物質を含んでいる第2層と、を備えている。図1において、第2電極16は、任意構成である第2電極層18を備えており、この層は透明な導電性有機物質を含んでいる。透明な導電性有機物質は、可視透明な導電性物質(電子伝達層など)の隙間を埋め、反射を低減する作用を有する。反射を低減することによって、透明光起電力電池10は、より透明になる。好適な導電性有機物質の非限定的な例としては、アルミニウムトリス(8-ヒドロキシキノリナート)(Alq)、4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル(CBP)、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPD)、2,2’,7,7’-テトラキス[N,N-ジ(4-メトキシフェニル)アミノ]-9,9’-スピロビフルオレン、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン(TPD)、これらの誘導体、およびこれらの組合せが挙げられる。いくつかの実施形態において、第2電極層18は、非有機化合物を含んでいる(MoO、WOまたはこれらの組合せなど)。任意構成である第2電極層18の厚さTOMは、約5nm以上、約200nm以下である。
第1電極12の厚さはTE1であり、第2電極16の厚さはTE2である。厚さTE1およびTE2は、それぞれ独立して、約1nm以上、約200nm以下;約50nm以上、約150nm以下;または、約75nm以上、約125nm以下である。
いくつかの実施形態において、第1電極12または第2電極16の一方は、基板の上に配置されている。例えば、図2は、第2の透明光起電力電池10’を示す。第2の透明光起電力電池10’は、図1の透明光起電力電池10と同じ第1電極12、活性層14、第2電極16および任意構成である第2電極層18を備えている。しかし、第2の透明光起電力電池10’の第1電極12は、基板20の上に配置されている。基板20は可視透明であり、ガラス、低鉄ガラス、プラスチック、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ-(エチルメタクリレート)(PEMA)、(ポリ)-ブチルメタクリレート-co-メタクリル酸メチル(PBMMA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリカーボネート、またはポリイミド(Kapton(登録商標)ポリイミド膜(DuPont, Wilmington, DE)など)を含んでいる。基板20の厚さTは、約1μm以上、約300mm以下である。
図3は、第3の透明光起電力電池10’’を示している。第3の透明光起電力電池10’’は、図1の透明光起電力電池10と同じ第1電極12、活性層14、第2電極16、および任意構成である第2電極層18を備えている。第3の透明光起電力電池10’’は、任意構成で、図2を参照しながら記載した基板20を備えている。しかし、第3の透明光起電力電池10’’は、任意構成である1つ以上の付属層を備えている。例えば、図3において、第3の透明光起電力電池10’’は、(i)第1電極12と活性層14との間に配置されている、任意構成の第1付属層22と、(ii)活性層14と第2電極16との間に配置されている、任意構成の第2付属層24と、(iii)任意構成の第2調節層24と第2電極16との間に配置されている任意構成の第3付属層26と、を伴って示されている。付属層22、24、26は、それぞれ独立に、正孔輸送層、電子遮断層、バッファ層、電子輸送層、正孔遮断層または電子抽出層であってもよい。
種々の実施形態において、第3の透明光起電力電池10’’は、任意構成である第1付属層22を備えている。第1付属層22は、正孔輸送層/作動機能改質層/バッファ層/正孔選択層である。作動機能改質層は、湿分を得るために追加される。任意構成である第1付属層22は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホナート(PEDOT:PSS)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(P3HT)、N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-2,2’-ジメチルベンジジン(NPD)、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン(TPD)、2,2’,7,7’-テトラキス(N,N-ジフェニルアミノ)-2,7-ジアミノ-9,9-スピロビフルオレン(スピロ-TAD)、ポリ[N,N’-ビス(4-ブチルフェニル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジジン](ポリ-TPD)、CuSCN、CuI、MoO、NiOまたはこれらの組合せを含んでいる。
種々の実施形態において、第3の透明光起電力電池10’’は、任意構成である第2付属層24を含んでいる。第2付属層24は、電子輸送層/電子抽出層である。任意構成である第2付属層24は、フラーレン(C60、C70、C84またはフェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM)など)、ZnO、TiO、NiO、MoO、ナノチューブ、導電性ナノ粒子(ITOなど)またはこれらの組合せを含んでいる。例えば、ペロブスカイト太陽電池におけるフラーレンの役割は、通常は、電子の抽出の促進である。それゆえ、tail state吸収を防ぐために、層を可能な限り薄くすべきである。層の厚さは、約40nm以下、約20nm以下、約10nm以下、約5nm以下または約1nm以下である。
種々の実施形態において、第3の透明光起電力電池10’’は、任意構成である第3付属層26を備えている。第3付属層26は、電子輸送層/電子抽出層/バッファ層/正孔遮断層である。任意構成である第3付属層26は、活性層14と第2電極16との間にオーミック接触を提供する。任意構成である第3付属層26は、[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM)、AlドープZnO(AZO)、TiO、バソクプロイン(BCP)、MoOまたはこれらの組合せを含んでいる。
任意構成の第1付属層22の厚さはTAL1であり、任意構成の第2付属層24の厚さはTAL2であり、任意構成の第3付属層26の厚さはTAL3である。TAL1、TAL2およびTAL3は、それぞれ独立して、約0.05nm以上、約100nm以下である。任意構成の第2付属層24がフラーレンを含んでいる場合、厚さTAL2は約50nm以下である。
第3の透明光起電力電池10’’が電子輸送層または正孔輸送層である付属層22、24、26を備えている場合、電子輸送層に隣接して位置する電極12、16がカソードであり、正孔輸送層に隣接する電極12、16がアノードである。
図4は、第4の透明光起電力電池10’’’を示す。第4の透明光起電力電池10’’’は、図1~3に関連して説明した全ての層を備えている。特に、第4の透明光起電力電池10’’’は、基板20、第1電極12、第1付属層22、活性層14、第2付属層24、第3付属層26、第2電極16および第2電極層18を、この順に備えている。第1付属層22は正孔輸送層であり、第2付属層24は電子輸送層である。したがって、第1電極12はアノードであり、第2電極16はカソードである。層12、14、16、18、20、22、24、26の各々は、可視透明であることが理解される。本明細書に記載の透明光起電力電池10、10’、10’’、10’’’のいずれもが、追加の活性層および追加の付属層をさらに備えていてもよいことも理解される。
本明細書に記載の透明光起電力電池のいずれもが、リジッドディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、時計用クリスタル、自動車用ガラスまたは建築用ガラスとして使用できる(これらは非限定的な例である)。
また、本技術は、透明光起電力電池を製造する方法を提供する。上述の通り、この方法は、光吸収物質を調節して許容可能なバンドギャップを有するようにする工程を含む。光吸収物質がハロゲン化ペロブスカイトである場合は、種々のA、B、X成分を混合して調節する。光吸収物質が金属ハロゲン化物、金属窒化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、これらの合金、またはこれらの組合せである場合は、種々の金属ハロゲン化金属、金属窒化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物またはこれらの合金を合金化または混合して、約2.75eV以上、約3.2eV以下のバンドギャップとなるように調節する。
この方法は、可視透明な基板の上に、第1電極を含んでいる層、光吸収物質を含んでいる層、および、第2電極を含んでいる層を連続的に配置する工程を含む。種々の実施形態において、本方法はまた、透明光起電力電池全体に付属層を配置することを含む。
種々の層の配置は、本技術分野で周知の任意の手段によって実行ができる。種々の層を配置する手段の非限定的な例としては、スピンコーティング、ディップコーティング、ドクターブレード、化学蒸着(CVD)、ドロップキャスト、スプレーコーティング、プラズマスパッタリング、真空蒸着およびこれらの組合せが挙げられる。さらに、添加物を含まない1ステップの合成または添加物を含まない2以上のステップの合成によって、ペロブスカイト材料を含んでいる層を積層してもよい。1ステップの合成においては、全てのペロブスカイト反応物質(PbIおよびMAIなど)を、1種類の溶液から堆積させる。2以上のステップの合成工程には、ある反応物質を堆積する工程と、これに続いて、(例えば、第2堆積層または気相拡散工程として、)第2反応物質を反応させる工程と、が含まれる。
素子について上述した通り、付属層(例えば、正孔輸送層または電子輸送層でありうる)は、単一の層であってもよいし、複数の層であってもよい。これらの層は、個別かつ連続的に堆積される。
全ての層を堆積したとき、上記方法は、素子をアニールする工程を含む。アニール温度は、約75℃~約150℃(例えば約90℃)である。アニール時間は、約2分間~約60分間またはそれより長い。いくつかの実施形態においては、約10分間アニールする。
本技術の実施形態は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
〔実施例1〕
ハロゲン化ペロブスカイトの調節可能性をプラットフォームとして、ほぼ理想的なバンドギャップおよび可視光吸収カットオフを有するUV回収型TPVを作製する。これにより、高いAVTおよびCRIが実現できる。様々な組成のハロゲン化ペロブスカイトから作製されたTPV素子では、最大で0.52%のPCEとともに、70%のAVTおよび92超のCRIが実証されている。これらの電池の量子効率の限界が20~30%であると仮定すると、現在のハロゲン化ペロブスカイト電池の量子効率は容易に90%超を達成できるから、3%超の効率が達成できることになる。透明性が高い光起電力電池およびTPV多接合に応用するための、新規なハロゲン化ペロブスカイト組成を実証する。
[方法]
材料および前駆体の調製:
ジメチルホルムアミド(DMF、99.8%、Aldrich.)、ジメチルスルホキシド(DMSO、99.9%、Aldrich.)、PEDOT:PSS(Clevios PVP AI 4083、Heraeus;使用時には水で10%に稀釈した)、CHNHCl(MACl、98%、Aldrich.)、PbBr(99%、Aldrich.)、PbCl(98%、Aldrich.)、C60(99.9%、MER.)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP、99%、Lumtech.)およびトリス-(8-ヒドロキシ-キノリナート)アルミニウム(Alq、99.5%、Lumtech.)を購入したままの状態で使用する。MACl:PbBr:PbCl(135mg、220mg、389mg)を、DMFおよびDMSOの混合溶媒(1.5mL、0.5mL)に加えて、混合ハロゲン化ペロブスカイト前駆体溶液を調製する。MACl:PbCl(67.5mg、278mg)を、DMFおよびDMSOの混合溶媒(1.5mL、0.5mL)に加えて、純粋なペロブスカイト塩化物前駆体溶液を調製する。次に、溶液を30分間撹拌し、使用前に0.45μmのPTFEフィルタで濾過する。
素子の作製:
事前に洗浄したITO基板の上に、PEDOT溶液を、6000rpmにて10秒間スピンコーティングした後、100℃にて5分間アニールする。PEDOT膜の上に、ペロブスカイト前駆体を、5000rpmにて12秒間スピンコーティングした後、自家製の減圧チャンバに移し、約10mTorrまで減圧して1分間静置する。次に、サンプルをメチルアミンガスで2秒間処理する。次に、基板を蒸着チャンバに移し、電子抽出層としてのC60(20nm)およびオーミック接触を与えるBCP(7.5nm)を堆積させる。最後に、透明電極として、厚さ5nmの銀層および厚さ60nmのAlqを熱蒸着によって堆積させる。このとき、最終的に測定した素子領域が4.85mmであるシャドウマスクを通す。
測定およびキャラクタリゼーション:
UV-VIS-NIRの透過スペクトルおよび反射スペクトルを、PerkinElmer Lambda 800 spectrometerで測定する。XRDのデータは、Bruker D2 phaserにより、CuKα輻射(0.154nm)を用いて測定する。電界放出走査型電子顕微鏡(Carl Zeiss Auriga Dual Column FIB SEM)を用いて、SEM像を撮像する。暗闇下およびAM1.5G太陽光シミュレーション下にてKeithley 2420 sourcemeterを用いて、電流密度-電圧特性(J-V曲線)を得る。光の強度は、KG5フィルタ(キセノンアーク灯。スペクトルミスマッチ因子:1.20)を有するNREL較正したSi基準セルを用いて測定する。50mVs-1で素子を掃引する。UVのみを回収するTPVにおけるスペクトルミスマッチは、ランプスペクトルにおける測定値よりもかなり感度が高い。これは、較正したSi基準セルに対する試験セルの量子効率の差が大きいためである。EQEの測定は、モノクロメータ、チョッパ、ロックイン増幅器および較正したSi検出器を備えたQTHランプを用いて行い、強度を測定する。J-VおよびEQEは、外気中でカプセル化されていない素子/サンプルで測定する。IQEは、素子全体の反射率測定による素子の吸収測定(A=1-R-T)から評価する。
[結果]
ハロゲン化メチルアンモニウム鉛は、ペロブスカイト半導体である。他の組成が積極的に開発されているのに対して、可視光近傍を吸収の端部とするバンドギャップを有している素子の最適化研究は、ほとんど行われていない。図5Aは、種々のハロゲン化物(Cl、Br、I)で置換したMA系ペロブスカイト膜の、吸収スペクトルである。これらのペロブスカイトの中で、ペロブスカイトヨウ化物(MAPbI)およびペロブスカイト臭化物(MAPbBr)は、可視光を多く吸収した。そのため、これらのペロブスカイトは、従来の不透明太陽電池における光吸収物質として使用されてきた。半透明太陽電池を作製するために多くの努力が払われるようになっているが、一般的に、素子のAVTおよびCRIは効率および透明性と直接的にトレードオフの関係にあるため、低いままである。今日のところ、ペロブスカイト系TPVについて報告されているAVTは、最高でも46%に過ぎない(参考までに、有機TPVのAVTは最高で66%である)。これと比較すると、MAPbClの吸収カットオフは410nmであり、AVTは90%超にも達する。従前の理論研究が示すところによると、理想的なUVのみを回収するTPVのバンドギャップは、430~440nmである。可視光の透過性への影響を回避しつつ吸光範囲を広めるために、ドープした組成「MAPbCl3-xBr」を有する素子を、吸収カットオフが410~440nmに鋭敏に位置するように開発した。臭化物による置換率が20%のとき、混合ハロゲン化ペロブスカイト膜の吸収は、理想的な435nmにまで及んだ。したがって、UV回収型TPVの開発には、組成がMAPbClまたはMAPbCl2.4Br0.6であるペロブスカイト吸収物質を用い、逆方向素子構造で開発した(図5)。
スピンコーティングによる溶液堆積によって、UV回収ペロブスカイト膜を作製した。典型溶媒における多量のCl前駆体の溶解度の限界のため、ヘイズおよび粗度が小さく平滑なペロブスカイト層を形成して短絡を防止する処理に、大きく注意を払う必要がある。真空支援溶液堆積処理とメチルアミンガスによる後処理とを組合せて、透明が高く光散乱が少ない高品質の膜を得た。MAPbCl膜およびMAPbCl2.4Br0.6膜の走査型電子顕微鏡像(SEM像)を、図6A~Bおよび図7A~7Bに示す。同図によると、純粋なペロブスカイト塩化物膜も、臭素ドープしたペロブスカイト膜も、いずれも平滑かつ均一である。これらの膜には、ペロブスカイトヨウ化物膜ほどの結晶粒は見られないが、X線回折パターン(XRDパターン)では強い回折ピークが観察された。このことは、ペロブスカイト膜の結晶化が良好であり、単一の優先方位を有していることを示している。図6Cにおいて、15.6°、31.5°および48.0°の回折ピークは、MAPbClの立方晶の、(100)、(200)および(300)に対応する。臭素を20%ドープすると、回折ピークはわずかに小さい回折角にシフトした(15.4°、31.1°および47.4°)。それでもなお結晶構造は立方晶であり、他の文献報告とも一致した。このシフトは、純粋なMAPbCl(a=5.677±0.002Å)と比較すると、大型のBr原子が原因で格子定数が大きくなった(a=5.737±0.008Å)ことを示している。
種々のハロゲン化ペロブスカイト膜の写真を、図6Dに示す。MAPbCl2.4Br0.6の混合ハロゲン化ペロブスカイト膜は、可視光の端部に吸収カットオフがあるため、淡黄色を示す(CRIが95超であるとき、可視光透過率が99.5%超である理論上最高のTPVに対応可視範囲は、435~670nmである)。一方、MAPbClは無色、MAPbBrは橙色、MAPbIは暗褐色に見える。
図5Bに示す構造でUV回収型TPVを作製する。ITO基板上に薄いPEDOT層(約5nm)をスピンコーティングして、正孔抽出層として機能させる。PEDOT層の上にペロブスカイト膜を成長させた後、C60膜(20nm)を電子抽出層として堆積させる。次に、フラーレンの上にバトクプロイン(BCP)を堆積させる。次に、Ag(5nm)/Alq(60nm)からなる上部透明電極を堆積させる。図8AにTPV素子の電流-電圧(J-V)曲線を示し、図8Bに素子のPCEのヒストグラムを示す。最も良い純粋なペロブスカイト塩化物TPV素子において、PCEは0.33%、JSCは0.67mAcm-2、VOCは1.18V、曲線因子(FF)は41.1%であった。一方、最も良い混合ペロブスカイト塩化物TPVにおいて、PCEは0.52%、JSCは0.92mAcm-2、VOCは1.26V、FFは44.9%であった。MAPbCl2.4Br0.6はMAPbClよりも吸光範囲が広いため、MAPbCl2.4Br0.6素子のJSCは、MAPbCl素子よりも高くなると期待される。とりわけ、MAPbCl素子のVOCおよびFFもまた、MAPbCl2.4Br0.6素子のそれよりも低い。ピンホールのないMAPbCl膜の作製が難しいほど電荷の再結合が増加し、その結果、MAPbCl素子の光起電力パラメータが低くなるのだと推測できる(図6A~6Bを参照)。50個のMAPbCl素子および86個のMAPbCl2.4Br0.6素子において、平均PCEは、それぞれ0.24±0.04%および0.42±0.06%であった(表1)。PCE値の偏差が低いのは、これらのTPV素子の高い再現性を表している。
[考察]
次に、紫外線回収型TPV素子の光学特性を系統的に検討する。図9Aおよび9Bは、それぞれの素子の吸収(A)、反射(R)、透過(T)、外部量子効率(EQE)および内部量子効率(IQE)スペクトルである。光子バランスの整合性を確認するために、スペクトルのどの位置においてもEQE+R+T<100%であることを示す。MAPbClペロブスカイト膜およびMAPbCl2.4Br0.6ペロブスカイト膜と同様に、対応するTPV素子は、効率的に可視光を透過しつつ、UV領域に鋭敏な吸収カットオフを有する。いずれのUV回収型TPV素子もAVTが非常に高く、MAPbClは70.7%、MAPbCl2.4Br0.6は69.7%であった(表1)。図9C~9Dに、完全なペロブスカイトTPV素子の写真を示す。膜自体は非常に薄い黄色を呈するが、上部透明カソードを追加することにより光学干渉が生じ、結果として、自然な色が得られる。650nm超においては、透過曲線の減少および反射曲線の増大が見られる。しかし、可視光スペクトルのどの部分においても活性層の吸収は非常に少ないので、いずれの素子も、AM1.5G太陽光スペクトルを基準として、MAPbClは92.4、MAPbCl2.4Br0.6は93.1と非常に高いCRIを示す(表1)。CRIは、透明素子を記述する他の重要な要因である。CRIは、透明媒体を通過した入射光源の再生産に関して色品質を定量的に記述し、照明産業でも利用されている。CRI値が高いことは、素子の美的品質が高く、窓またはディスプレイに設置されても色の知覚にほとんど影響を与えないことを表している。
ほぼ理想的な光学特性(吸収カットオフ、色表現および透明性)を有するハロゲン化ペロブスカイト半導体を用いたUV回収型TPV素子を実証したが、これらの素子は、量子効率が中程度であるために依然として制限されている可能性がある。理論に拘束されるものではないが、これはおそらく、ペロブスカイト塩化物材料の溶解度が小さいことに由来している(DMFおよびDMSO中では30重量%が限界である)。この結果、ペロブスカイト薄膜(100~150nm)は、紫外線の60~70%しか回収できない(図7A、7B)。このことは、内部量子効率(IQE)が40%未満であることを示している。(現状でも非常に好適な結晶配向を有しているが、)膜の品質または結晶粒子径をさらに向上させるならばば、IQEも向上するであろう。また、波長が600~700nmの領域において、素子の反射が10%超になっていることがわかり、このために透明が不必要に低下している(図9A、9B)。全体として、製造方法を洗練させるならば、量子効率は20%から90%に、FFは45%から70%に、VOCは1.26Vから2.00Vに増加するであろう。この混合ペロブスカイト組成では5%超の効率を達成しており、これは、ガラス単独の透明性に近い領域における理論上の効率の限界である7%を視野に収めている(表2)。
ハロゲン化ペロブスカイト光吸収物質のプラットフォームに基づく紫外線回収型TPV素子を実証した。これによって、紫外線を選択的に回収し、視覚的影響を最小にする理想的な吸収カットオフを有するTPV素子が示唆される。また、性能を最大にする方途も提供される。混合ハロゲン化ペロブスカイト組成によれば、理想的なバンドギャップに調節したTPV素子は、PCEが最大で0.52%、AVTが70%、CRIが92超を示す。70.7%と高いAVTによって、これらのUV回収型TPVは、今日までに報告されている中でも最高のAVTを示す光起電力電池の一つとなる。以上により、ペロブスカイト材料の大きな可能性は、TPV素子に効果的に翻訳されることが明らかになった。この種の技術は、単接合および多接合の双方の効率限界に急速に到達する点において、他の近赤外線回収型TPVを大きく補完するものとなる。
〔実施例2〕
TPV素子は、不透明光起電力素子と比較して多数の特有の利点を有している。しかし、効率および透明性のバランスの確保が困難であった。AVTが70%超である場合、PCEが1%超のTPV素子はほとんど実証されていない。本稿では、効率および透明性の両方を向上させた、一連の金属ハロゲン化物系TPVを報告する。金属ハロゲン化物層の厚さおよび組成の影響を系統的に検討し、続いて、金属ハロゲン化物TPVの効率、透明性および安定性を評価する。結果は、UV波長を選択的に吸収する金属ハロゲン化物TPVにより、1%超の効率と、70%超のAVTとを達成した。高い効率および透明性を有する紫外線回収型TPVを作製するための、明快なアプローチを提供する。このTPVは、単接合セルとして(または、多接合透明セルおよび多接合不透明セルの部品として)利用可能である。
[背景]
波長選択的なTPVは、不可視光を電力に変換する一方で、可視光(VIS)の大部分を透過させることに焦点を当てている。この機能は、非従来型の応用における開発に大きな可能性をもたらす。TPVには、二つの主要なパラメータ─電力変換効率(PCE)および平均可視光透過率(AVT)─がある。AVTは、PCEと同等に重要である。新規な応用においては、TPVを採用するための最低限の閾値を、AVTが規定することが多いためである。さらに、演色評価数(CRI)は、TPVの応用可能性に関する重要なパラメータである。TPVのPCEは5%超まで大きく改善されているが(AVTは約50%)、多くの研究が半透明PVに焦点を当てている。しかし、台頭している応用の多くは、約70%という高いAVTにおいてのみ可能となる。
可視光の吸収を減少させることは、TPVのAVTおよびCRIを改善する鍵である。少数の報告は、紫外光(UV)または近赤外光(NIR)を吸収する材料を選択的に利用して、高い透明性の素子を作製することを検討している。他の研究によると、(i)60%のAVTおよび1.5%のPCEを達成したUV回収型有機TPV、(ii)NIR回収特性と、最大0.9%効率および60.4%のAVTとを有する一連の有機塩、(iii)0.9%~2.2%のPCEおよび62%~66%のAVT値(450~670nm)を有する有機系NIR回収型TPV、が報告されている。以前の研究では、AVTが最大73%のUV波長選択的な光起電力素子を開発した。これには、ペロブスカイトのバンドギャップの調節により可能となった、UV-可視光カットオフ近傍の鋭敏な波長カットオフを利用した。しかし、高い透明性を有するTPVの開発に関する従前の研究が示すところによると、UV回収型TPVの理論上の限界が7%超であり、UV/NIR回収型TPVの理論上の限界が21%を超であっても、AVTを70%超としながらTPVの効率を1%超に改善することは困難である。
バルク型半導体および金属ハロゲン化物ナノクラスターを含め、金属ハロゲン化物の半導体が何種類か存在している。後者は、燐光性材料として、発光型太陽光集光体(LSC)および発光ダイオード(LED)に導入されている。前者は、金属ハロゲン化物ペロブスカイト太陽電池研究の副産物として現れた。何種類かの金属ハロゲン化物半導体が、不透明光太陽電池の光吸収物質として使用されている。このことは、光起電力電池への応用における金属ハロゲン化物材料の可能性を示している。例えば、InI系太陽電池(バンドギャップ:2.0eV)が報告されている。素子の効率は僅か0.4%であるが、InIが光起電電池の材料として利用できることを実証している。ヨウ化ビスマス(バンドギャップ:1.72eV)も光回収材料として太陽電池に使用されており、光起電力素子の効率として最大1.2%が示されている。しかし、バンドギャップは可視光範囲にあるので、これらの2種類の金属ハロゲン化物材料は、TPVにおける波長選択的な光吸収物質として適当ではない。ハロゲン化鉛ペロブスカイト太陽電池の研究に起因して、PbI(ペロブスカイト前駆体の一種)が光起電材料として機能することが判明している。PbIのバンドギャップ(2.4eV)は、単接合不透明セルとして不適切である(図11)。しかし、バンドギャップを増加させて2.7~2.8eVに近づけられれば、TPV用に紫外線を選択的に回収できる可能性がある。実証が報告されているところでは、PbIを光吸収物質とするTPVは、効率は最大で0.75%であり、対応するAVTは49%であったが、CRIは77と低かった。したがって、効率および透明性が向上したTPVの素子が望まれている。
本稿では、効率が1%超である金属ハロゲン化物系TPVを実証する。まず、PbI活性層の厚さと処理を最適化した。また、塩素ドープおよび臭素ドープを系統的に検討することによってバンドギャップを調節できることを明らかにした。このようなアプローチが、バルク型金属ハロゲン化物(ペロブスカイト構造でない)上手く行くことが実証されており、物理的特性および光電子特性への影響が示されている。光学特性はドーピングにより滑らかに変化するが、BrおよびClのドーピングが10%を越えると電子特性は急激に落ち込む。この最適化方法に基づくと、得られた金属ハロゲン化物TPVは、素子のPCEが最大で1.22%であり、AVTが70.7%である。初期素子安定性の研究により、ドーピング組成の影響がさらに判明した。臭素ドーピングにより寿命が延長されることがわかっている。これにより実証されたところによると、高い効率および高い透明性を有するTPVの光回収材料としては、単純なハロゲン化金属の半導体が有用であり、理想的なカットオフを達成するためにバンドギャップを調節できる。金属ハロゲン化物は低コストかつ加工が容易なので、様々な応用におけるTPVへの潜在的なアプローチを提供する。
[方法]
材料および前駆体調製:
ジメチルホルムアミド(DMF、無水、99.8%、Aldrich.)、PbI(99%、Aldrich.)、PbBr(99%、Aldrich.)、PbCl(98%、Aldrich)、C60(99.9%、MER Corporation.)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP、Lumtech.)およびトリス-(8-ヒドロキシ-キノリナート)アルミニウム(Alq、99.5%、Lumtech.)を、購入した状態で使用する。ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホナート(PEDOT、Clevios PVP AI 4083、1.3重量%、Heraeus)は、使用前に脱イオン水で10体積%に稀釈する。1.0mLのDMFに461mgのPbIを加えて、1.0MのPbI前駆体溶液を調製する。次に、溶液を1時間撹拌し、0.45μmのPTFEフィルタで濾過する。1MのPbI溶液をDMFで稀釈して、各種濃度のPbI溶液を調製する。
素子の製造:
事前に洗浄したITO基板上に、PEDOT溶液を、6000rpmにて10秒間スピンコーティングした後、110℃にて2分間アニールする。PEDOT膜の上に、ハロゲン化鉛前駆体溶液を、6000rpmにて7秒間スピンコーティングした後、自家製の減圧チャンバに速やかに移し、mTorrまで減圧して3分間静置する。次に、基板をホットプレートに移し、80℃にて2分間アニールする。次に、基板を蒸着チャンバに移し、C60(20nm)およびBCP(7.5nm)を堆積させる。最後に、厚さ5nmの銀電極および60nmのAlqを熱蒸着により堆積させる。このときの基準圧力は3×10-6Torrとし、最終的に測定した素子領域が4.85mmであるシャドウマスクを通す。不透明素子用に、BCP層の上に80nmの銀層を電極として熱蒸着する。
測定およびキャラクタリゼーション:
分光偏光解析器(Wollam Vase)によって、PbI膜の厚さを測定する。UV-VIS-NIRの透過スペクトルおよび反射スペクトルを、dual beam PerkinElmer Lambda 800 spectrometerで測定する。透過測定には、基準サンプルを使用しない。暗闇下およびAM1.5G太陽光シミュレーション下にてKeithley 2420 source measurement unitを用いて、電流密度-電圧特性(J-V曲線)を得る。光の強度は、KG5フィルタ(キセノンアーク灯。検討した素子に対するスペクトルミスマッチ因子:1.08±0.02)を有するNREL較正したSi基準セルを用いて測定する。50mV/sで素子を掃引する。EQEの測定は、較正したSi検出器、モノクロメータ、チョッパおよびロックイン増幅器を備えたQTHランプを用いて行う。IQEは、IQE=EQE/(1-R-T)として推定する。J-VおよびEQEは、外気中でカプセル化されていない素子/サンプルで測定する。
[結果]
PbIは、六方晶結晶構造を有するハロゲン化鉛ペロブスカイト膜の前駆体材料である。スピンコーティングまたは熱蒸着によってPbI膜を基板上に堆積し、PBI膜の厚さは前駆体溶液の濃度またはスピンコーティングの速度を変化させることによって制御される(図12A)。まず、PbI膜の厚さの素子の性能に対する影響を、不透明素子構造において検討する。1M~0.1Mの濃度範囲でPbI前駆体溶液を調製する。溶液濃度が0.1Mから1.0Mに増加するにつれて、PbI膜の厚さは9±1nmから93±2nmに増加する(図13)。処理雰囲気はPbI膜の形態に大きな影響を及ぼしうる。そのため、真空支援法を利用して、再現性が高く平滑なPbI膜を作製する。走査型電子顕微鏡像(SEM像)によると、PbI膜は均一かつ平滑であり、ピンホールがほとんどない(図14A~14D)。図12Bは、利用する素子の構造を示す。PEDOT薄層は、正孔輸送層として機能する。PbIの上に20nmのフラーレン層を堆積して、電子抽出層として機能させる。フラーレンの上にBCP薄層を堆積して、熱蒸着した80nmの銀電極とのオーミック接触を形成させる。透明素子用には、80nmの銀電極を、透明電極である5nmの銀/60nmのAlqで置換える。
不透明セルの素子パラメータを図12A~12Dおよび図15A~15Bに要約する。。素子の光電流は、PbI膜の厚さが大きくなるにつれ低下する。素子の直列抵抗はPbI膜の厚さとともに増加し、40nm未満と適当な電荷回収長さ(または空乏幅)によって電荷再結合の増加が誘導されると推測される。直列抵抗が増加すると素子の開回路電圧(VOC)も減少し、最も厚いPbI膜のVOCは1.0V未満である(図15A)。これに対して、膜の厚さが約30nmである素子程度のVOCは、一般的には1.1Vであり、記録された最高のVOCは1.17Vである。平均PCEの最高値は、約0.4Mにおける1.68%である。この結果は、TPV作製の導きとして利用される。鋭敏なバンドギャップカットオフを利用して、紫外光をより選択的に回収することが目的である。いくつかの例では、厚いPbI膜によって、TPV素子の透明性およびtail state吸収に起因する色表現を減少させることができる。したがって、本研究では、PbI前駆体溶液の濃度は0.3M未満に制約され、TPV素子におけるPbI膜の厚さは30nm未満である。
さらに実証されたところによると、結晶構造が全く異なっているにもかかわらず(六方晶とペロブスカイト)、意外にも、ハロゲン化鉛材料の吸光範囲は、ハロゲン元素をドープすることにより、ペロブスカイト膜と同様に容易に調節できる。この点は有用である。UV/VISカットオフ近傍へとバンドギャップを正確に調節できるためである。このようなバンドギャップは、PCEおよびAVTの双方の最適化に重要であることが示されている。図16Aは、様々な臭素ドープ率または塩素ドープ率であるPbI膜の写真を示す。BrまたはClのドープ量が増加するにつれて、淡黄色は薄くなり無色に近付く。したがって、膜の透明性は随伴して増大する(図16B)。PbI:PbBr比率が10:0のときは黄色く着色しており、PbI:PbBr比率が0:10のときは実質的に着色していない。図17A~17Cは、Brドープしたハロゲン化鉛膜のX線回折パターン(XRDパターン)である。これによると、モルドーピング率が10~30%のときに回折強度が増加する。このことは、Brドーピングにより膜結晶化が改善されることを示す。しかし、Clドープ率が10%を超えて増加し、Brドープ率が30%を超えて増加すると、対応する素子の性能は急激に低下する(図18A~18D)。TPVのドーピング最適化は、ClドープおよびBrドープのいずれでも、約10%を限界として実行する。
臭素ドープまたは塩素ドープした(10%)PbI前駆体溶液を用いて、ハロゲン化鉛TPVを作製する。溶液の濃度は、0.1M、0.2Mおよび0.3Mである。完全に組立てられた(パターン化されていない)TPV素子の写真を、図19Aに示す。TPVに関する定量的な透明性パラメータを、AVTおよびCRIを含めて、表3に要約する。図19Bおよび19Cは、様々な濃度のハロゲン化鉛前駆体溶液から作製されたPbI膜およびTPVの透過スペクトルを示す。図19Bが示すところによると、0.1M-PbI膜の透過率は、510~900nmにおいて80%超である。したがって、0.3M-PbI膜のピーク透過率は約70%であり、その結果、TPVのAVTは68.4%から63.5%に低下する(図19C)。しかし、真空支援法によって得られる非常に無色透明な膜では、TPVの全てのAVT値が60%超であり、測定可能なヘイズが存在しない(表3)。ドープされていないハロゲン化鉛TPVの高い透明特性は、部分的には極薄のハロゲン化鉛膜に起因する。しかし、ドープしたハロゲン化鉛は、バンドギャップが2.7~2.8eVカットオフに近いため、より広い厚さ範囲においてより高い透明性を維持できる。前駆体濃度が同じ各種ハロゲン化鉛膜においては、透過スペクトル(とりわけ、TPV素子の透過スペクトル)が類似している(図20A~20B)。例えば、0.2M膜の透過スペクトルはいずれも、515~900nmにおいて70%超であった。TPV素子の透過スペクトルは、520nmでピークが存在した。ピークにおける透過率は70%超であり、0.2Mに対するAVTは約68%であった。
光学特性を検討するために、ハロゲン化鉛TPVの反射スペクトルをさらに測定した。ドープしたハロゲン化鉛TPVの光学特性に関しては、PbI1.8Br0.2TPV素子を代表的な素子とした。図21Aに、完全なPbI1.8Br0.2TPV素子を屋外で撮影した写真を示す。CRI値が高い(90超)ことから、目立つ着色がないことがわかる。一般的に、天然色の維持に許容できる色変化の下限値は、CRI値で85~90である。図22Aに、ITO上のPbI1.8Br0.2膜と、PbI1.8Br0.2TPV素子の写真を示す。図22Bに、対応するPbI1.8Br0.2TPVの透過スペクトルを示す。膜自体と比較すると、510~900nmにおいてTPVの透過率が低下している。これは、主に反射が原因である(図21Bを参照)。一般的に、反射防止層(AR層)により、素子の両側で光損失を約3~4%低減できる。ガラス面に1層のARコートを追加で塗工すると、PbI1.8Br0.2TPVのAVTは、67.5%から69.1%に増加した。0.1M-PbITPVおよび0.1M-PbI1.8Br0.2TPVのAVTは、70%超であった。
定常性要件を確認するために、PbI1.8Br0.2TPV素子のEQEも図21B示す。素子のEQEは、410nmにおいて最大の35%である。EQEスペクトルから算出される光電流の積算値は、1.78mAcm-2である。計算されるスペクトルミスマッチ因子が1.09であることも併せて考慮すると、この光電流の積算値は、J-V曲線から導出される短絡電流密度(JSC)とよく一致する。光子の収支(A=1-T-R)から全体の吸光度を推定すると、IQEの最大値は、465nmにおいて70.1%と計算される。光子の収支から整合性を確認すると、(T+R+EQE)の合計の最大値は、全ての波長において1.0未満であった。したがって、独立に測定したこれらの値が過大評価されている可能性は低い。
ハロゲン化鉛TPVの光起電力性能も、ドーピングおよび厚さ(濃度)関数として系統的に検討する。TPVの光起電力パラメータを表3にまとめ、図23A~23Dにプロットする。その結果示されるところによると、TPV素子の再現性は高く、大部分の素子はPCEが1%超である(0.1Mの前駆体溶液から作製された数個の素子以外)。全体として、ハロゲン化鉛TPVは、素子効率および透明性の双方が改善されており、PCEは最大で1.22%であり、AVTは70%超である。このように、AVTが70%超でありPCEが1%超であるTPVの素子を報告する。さらに、吸光および反射の双方を制御することによって、得られる素子のCRIは、膜自体のCRIよりも改善される。その結果、素子はより自然な色を呈するようになる。
カプセル化されていないTPVの初期安定性を評価する(図23Dを参照)。試験した素子はいずれも、150時間後において初期性能の80%超の効率を維持でき、500時間後において60%超の効率を維持できる。検討したTPVの中でも、PbI1.8Br0.2素子は、試験における安定性がやや高かった。これは、ハロゲン化ペロブスカイトで見られるものと類似した結果である。Brドープ組成およびアナログは、通常、純粋なヨウ化物系組成よりも安定性が高い傾向にある(特に空気中において)。膜の結晶化の改善は、BrドープTPV素子の安定性にも寄与する(図17Cを参照)。適切なカプセル化方法によれば、カプセル化された状態における初期の測定値を遥かに超えて、素子の寿命はさらに向上しうる。
まとめると、効率および透明性が高い一連のハロゲン化鉛TPV素子が実証されている。ハロゲン化鉛層の厚さは、系統的に最適化される。ハロゲン化鉛膜のバンドギャップおよび吸光も、純粋なPbIに塩素または臭素をドープすることによって調節される。Clドープでは10%超、Brドープでは30%超において、素子の性能が急激に低下するので、ドーピングの範囲は制限されている。この結果は、これらの材料によってバンドギャップを調節できることを実証している。全体的な最適化を施せば、ハロゲン化鉛TPVは、PCEが1.0%超、AVTが70%超、CRIが90超となる。これは、最高度の透明性において報告されている、最高の素子効率の一つである。また、さらなる金属ハロゲン化物を用いた、より高性能なTPVおよび多接合TPVへの前途をもたらすものである。
上記の実施形態の説明は、例示および説明を目的として与えられている。これらの説明は、網羅的であることも、本開示を制限することも意図していない。具体的な実施形態における個々の要素または特徴点は、一般的に、当該具体的な実施形態に限定されず、適用可能であるならば相互に交換可能である。また、これらの要素または特徴点は、たとえ具体的に明示または説明されていなくとも、選択した実施形態において使用できる。これらの要素または特徴点は、多様に変更することができる。このような変形例を本開示からの逸脱と見なすべきではなく、このような修正は全て本開示の範囲の範囲内に含まれることが意図される。

Claims (18)

  1. 基板と、
    第1電極と、
    波長が450nm未満の紫外光(UV光)のみを吸収する光吸収物質を含む均一な活性層であって、当該光吸収物質は、(i)ハロゲン化ペロブスカイト、または(ii)金属ハロゲン化物、金属窒化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、これらの合金、またはこれらの組合せであるのいずれかである活性層と、
    第2電極と、
    を備えている、透明光起電力電池であって、
    上記第1電極は、上記基板と上記均一な活性層との間に位置しており、
    上記均一な活性層は、上記第1電極と上記第2電極との間に位置しており、
    上記基板、上記第1電極、上記均一な活性層および第2電極は、いずれも、可視透明であり、
    上記透明光起電力電池の平均可視光透過率は、50%以上である、
    透明光起電力電池。
  2. 450nm未満の波長における外部量子効率が20%以上である、請求項1に記載の透明光起電力電池。
  3. 450nm未満の波長における外部量子効率が30%以上である、請求項2に記載の透明光起電力電池。
  4. 650nm以上、5000nm以下の波長におけるピーク反射率が15%超である、請求項1に記載の透明光起電力電池。
  5. 上記第1電極と上記均一な活性層との間に位置している可視透明な第1付属層をさらに備えており、上記可視透明な第1付属層は、電子輸送層、電子抽出層、正孔遮断層またはバッファ層である、請求項1に記載の透明光起電力電池。
  6. 上記可視透明な第1付属層は、上記均一な活性層と第1電極との間にオーミック接触を提供する電子輸送層または電子抽出層である、請求項5に記載の透明光起電力電池。
  7. 上記可視透明な第1付属層は、フラーレン、ZnO、TiO、NiO、MoO、導電性ナノチューブおよび導電性ナノ粒子のうちの1つ以上を含んでいる、請求項5に記載の透明光起電力電池。
  8. 上記均一な活性層と上記第2電極との間に位置している、可視透明な第2付属層をさらに備え、
    上記可視透明な第1付属層は、電子輸送層、電子抽出層、正孔遮断層またはバッファ層であり、
    上記可視透明な第2付属層は、電子輸送層または電子抽出層であり、
    上記可視透明な第2付属層は、上記可視透明な第1付属層とは異なる種類である、
    請求項5に記載の透明光起電力電池。
  9. 上記均一な活性層は、平滑である、請求項1に記載の透明光起電力電池。
  10. 上記光吸収物質はハロゲン化ペロブスカイトであり、
    上記ハロゲン化ペロブスカイトは、式ABXで表され、
    式中、Aは、メチルアンモニウム(MA)、ホルムアミジニウム(FA)、エタンジアンモニウム(EA)、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、t-ブチルアン
    モニウム、Na、K、Rb、Csまたはこれらの組合せであり、
    Bは、Pb、Sn、Ge、Cu、Sr、Ti、Mn、Bi、Znまたはこれらの組合せであり、
    Xは、ハロゲンまたはハロゲンの組合せである、
    請求項1に記載の透明光起電力電池。
  11. 上記光吸収物質は、金属ハロゲン化物を含んでおり、
    上記金属ハロゲン化物は、PbI、PbCl、PbBr、PbIBr(1-X)、PbICl(1-X)、PbBrCl(1-X)、Snl、SnCl、SnBr、SnIBr(1-X)、SnICl(1-X)、SnBrCl(1-X)、GeI、GeCl、GeBr、GeIBr(1-X)、GeICl(1-X)、GeBrCl(1-X)、InI、InCl、InBr、TiI、TiCl、TiBr、GaI、GaBr、GaCl、AlCl、AlBr、AlI、ATiI、ATiClおよびATiBrのうち1つ以上を含んでおり、
    上記Aはアルカリ金属、有機カチオン、またはこれらの組合せであり、
    式中、0≦X≦1である、
    請求項1に記載の透明光起電力電池。
  12. 上記光吸収物質は、金属窒化物を含んでおり、
    上記金属窒化物は、In(X)Ga(1-X)NおよびIn(X)Al(1-X)Nのうち1つ以上を含んでおり、
    式中、0≦X≦1である、
    請求項1に記載の透明光起電力電池。
  13. 上記光吸収物質は、金属硫化物を含んでおり、
    上記金属硫化物は、ZnS(X)Se(1-X)を含んでおり、
    式中、0≦X≦1である、
    請求項1に記載の透明光起電力電池。
  14. 上記光吸収物質は、金属セレン化物を含んでおり、
    上記金属セレン化物は、ZnSe、ZnO(X)Se(1-X)およびZn(X)Mg(1-X)Seのうち1つ以上を含んでおり、
    式中、0≦X≦1である、
    請求項1に記載の透明光起電力電池。
  15. 上記光吸収物質は、金属テルル化物を含んでおり、
    上記金属テルル化物は、Zn(X)Mg(1-X)TeおよびBeSe(X)Te(1-X)のうち1つ以上を含んでおり、
    式中、0≦X≦1である、
    請求項1に記載の透明光起電力電池。
  16. 上記光吸収物質は、下記(i)または(ii)のいずれかを満たす、請求項1に記載の透明光起電力電池:
    (i)
    上記光吸収物質は、ハロゲン化ペロブスカイトであり、
    上記ハロゲン化ペロブスカイトは、ナノ結晶を含んでおり、
    上記ナノ結晶は、式ABXで表され、
    式中、Aは、メチルアンモニウム(MA)、ホルムアミジニウム(FA)、エタンジアンモニウム(EA)、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピペリジニウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、イミダゾリウム、t-ブチルアンモニウム、Na、K、Rb、Csまたはこれらの組合せであり、
    Bは、Pb、Sn、Ge、Cu、Sr、Ti、Mn、Bi、Znまたはこれらの組合せであり、
    Xはハロゲンまたはハロゲンの組合せである;
    (ii)
    上記光吸収物質は、金属ハロゲン化物、金属硫化物、金属セレン化物、金属テルル化物、これらの合金、またはこれらの組合せであり、
    上記金属ハロゲン化物は式BXで表され、
    式中、Bは、Pb、Sn、Ge、Cu、Sr、Ti、Mn、Bi、Znまたはこれらの組合せであり、
    Xは、ハロゲンまたはハロゲンの組合せである。
  17. 平均可視光透過率が60%以上である、請求項1に記載の透明光起電力電池。
  18. 演色評価数が80超である、請求項1に記載の透明光起電力電池。

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