JP2023116041A - ボールねじ用ナットおよびボールねじ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】多種多様なサイズのボールねじ用ナットを低コストに提供可能にする。【解決手段】ボールねじ用ナット2は、内周面に、複数の螺旋溝21と、各螺旋溝21の始端と終端を接続する複数の循環溝22とを有する。螺旋溝21および循環溝22をボール4が転動する。循環溝22は、電解加工で形成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、ボールねじ用ナットおよびボールねじ装置に関する。
ボールねじ装置では、ナットの内周に形成されたねじ溝とねじ軸の外周に形成されたねじ溝とで構成されるボール転動路に多数のボールが転動自在に配される。ボール転動路の終点まで達したボールがボール循環路を介してボール転動路の始点に戻される。
ボール転動路の終点から始点にボールを戻すボール循環路は、ナット本体とは別の部材(例えば駒部材)に形成するのが一般的である。この場合、駒部材をナットに固定することで、ボール転動路およびボール循環路を有するナットが完成する。その一方で、近年では、ボール循環路として機能する循環溝をナットの内周面に直接形成することで、ナットと別の部材に循環溝を形成する場合に比べてコストの低減を図ったボールねじ装置も提案されている(例えば下記特許文献1)。
特許文献1のボールねじ用ナットでは、内周面のボール循環溝が塑性加工で形成されている。しかしながら、塑性加工では、材料の塑性流動を利用する関係上、形成可能な循環溝の溝深さに限界がある。そのため、特にナットのサイズが大型化した場合にボール循環溝を形成することが困難となる場合がある。その一方で、ナットのサイズが小型化した場合、ナットの内周に配置する金型強度が不足するため、ボール循環溝を形成することが困難となる。従って、塑性加工では、多種多様のナットサイズに対してボール循環溝を形成することが難しいという問題がある。
また、塑性加工である以上、複雑な構造の金型が必要不可欠となる。そのため、ナットの製造コストが高騰する。特にナットの内周面に複数のボール循環溝を形成する場合、ナットの内周に配置する金型構造が著しく複雑化するため、製造コストのさらなる高騰を招く。
さらには、塑性加工後は循環溝の形状(特に循環溝とナット内周面の境界部の形状)にダレが生じるため、ボールねじを作動させた時のスムーズなボール循環を阻害するおそれがある。また、循環溝の形状にダレが生じた状態では、その後、螺旋状のボール転動溝を加工する際に、ボール循環溝を加工基準として用いることができない。この場合、ナットに別途、転動溝形成用の加工基準を設ける必要があり、ナットの製造工程が煩雑化することになる。
加えて、塑性加工では以下の点も問題となる。
・塑性加工の場合、加工時に異物(ごみ)が噛み込むおそれがある。異物を噛み込んで被加工面が傷ついた場合でも、円筒状素材の内径部を加工する関係上、検査が難しく、傷の発生を検出することが困難となる。循環溝は荷重を受けないが、傷の発生は、ボール通過時の異音発生の要因となり、あるいはボールのスムーズな循環を阻害するおそれがある。
・塑性加工で循環溝を加工する場合、素材に部分的に荷重が負荷されるため、ナットの形状(特に円筒度)が崩れる可能性がある。例えば、ナットが楕円状に変形する場合があり、この場合、ボールの循環性が阻害され、ボールねじ装置の作動安定性が低下する。
・塑性加工の場合、加工時に異物(ごみ)が噛み込むおそれがある。異物を噛み込んで被加工面が傷ついた場合でも、円筒状素材の内径部を加工する関係上、検査が難しく、傷の発生を検出することが困難となる。循環溝は荷重を受けないが、傷の発生は、ボール通過時の異音発生の要因となり、あるいはボールのスムーズな循環を阻害するおそれがある。
・塑性加工で循環溝を加工する場合、素材に部分的に荷重が負荷されるため、ナットの形状(特に円筒度)が崩れる可能性がある。例えば、ナットが楕円状に変形する場合があり、この場合、ボールの循環性が阻害され、ボールねじ装置の作動安定性が低下する。
ナット内周面のボール循環溝は切削で形成することもできるが、工具の干渉の問題から複数のボール循環溝を同時に切削することができない。そのため、ボール循環溝を一つずつ加工せざるを得ず、加工時間が長期化する。また、ナットが小径化した場合は、ナットの内周に切削工具を配置することができず、ボール循環溝の切削加工が不可能となることも想定される。
そこで、本発明は、多種多様なサイズを有するボールねじ用ナットを低コストに提供可能とすることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、内周面に、螺旋溝と、前記螺旋溝の始端と終端を接続する循環溝とが設けられ、前記螺旋溝および循環溝をボールが転動するボールねじ用ナットにおいて、前記循環溝が、電解加工で形成された面を有することを特徴とする。
このようにナットの内周面の循環溝が電解加工で形成された面を有する場合、電解加工に際して、材料の塑性流動は生じないため、循環溝を鍛造で成形する場合に比べて、循環溝の深さを深くすることができる。そのため、ナットの大型化(例えば大径化)にも対応可能となる。また、電解加工であれば、ナットの素材の内周に循環溝の大きさに対応した電極を配置すれば足りるため、小型化(例えば小径化)したナットに対しても循環溝が形成可能となる。従って、多種多様のサイズのナットに対しても同じ手法で循環溝を形成することができ、ボールねじ装置のサイズの多様化にも対応可能となる。
また、複雑な構造の金型を必要としないため、塑性加工に比べて、製造コストを低廉化することができる。さらに電解加工であれば、塑性加工に伴う上述の問題(異物の噛み込みによる傷の発生、ナットの変形)を生じることがなく、ボールねじ装置の作動安定性を高めることもできる。
また、電解加工で循環溝を形成することで、循環溝とナットの内周面との境界部でダレが生じ難くなる。そのため、循環溝の断面形状をシャープな形状にでき、これによりボールねじ装置の作動時にスムーズなボール循環を実現することが可能となる。
前記螺旋溝および循環溝は、それぞれナットの内周面の複数箇所に形成することができる。
この場合、複数の電極をナット素材の内周に配置することが容易であるため、複数の循環溝を同時に電解加工することができる。従って、複数の循環溝を有するナットであっても低コストに製造することが可能となる。
前記循環溝は、異なる位相で円周方向の複数箇所に配置することができる。塑性加工では金型の構造が複雑化するため、複数の循環溝を異なる位相に配置することは困難となるが、電解加工であればそのような配置も容易に実現することができる。
前記螺旋溝は、前記循環溝を加工基準として形成することができる。
既に述べたように、電解加工後の循環溝では、ナットの内周面との境界部でダレが小さくなるため、循環溝の表面を加工基準として用いても、精度よく螺旋溝を形成することができる。従って、螺旋溝と循環溝の間の位置ずれを低減し、両者間に生じる各方向(軸方向、半径方向、および円周方向)の段差を小さくして、両者を滑らかに連続させることができる。この場合、螺旋溝の加工専用の加工基準をナットに別途設ける必要がなくなるため、ナットの製造工程を簡略化し、製造コストの低廉化を図ることができる。
以上に述べたボールねじ用ナットと、前記ボールねじ用ナットの内周に挿入され、外周にボールが転動する螺旋状の転動溝を有するねじ軸と、前記ボールねじ用ナットの前記螺旋溝および循環溝と前記ねじ軸との間に配置された複数のボールと、を有するボールねじ装置は、サイズを問わず低コストに製造することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、多種多様なサイズを有するボールねじ用ナットを低コストに提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1にボールねじ装置1の構成を示す。図1に示すように、ボールねじ装置1は、ナット2と、ねじ軸3と、多数のボール4とを主に備える。
ナット2の内周面には、ボール4が転動する概ね螺旋状の転動溝20が形成され、ねじ軸3の外周面には、ボール4が転動する螺旋状の転動溝30が形成される。ナット2の内周面の転動溝20は、螺旋状をなす螺旋溝21と、各螺旋溝21の始端と終端を接続する循環溝22とで構成される。循環溝22の溝深さは螺旋溝21の溝深さよりも深い。循環溝22は、ねじ軸3のねじ山31を挟んで当該ねじ山31の軸方向両側に位置する転動溝21の両端同士を接続している。ナット2の螺旋溝21とねじ軸3の転動溝30とで螺旋状のボール転動路6が形成され、ナット2の循環溝22とねじ軸3の外周面(転動溝30およびねじ山31)とでボール循環路7が形成される。ボール転動路6およびボール循環路7で形成されるボール通路8には、複数のボール4が転動可能に収容されている。
ナット2の螺旋溝21および循環溝22、並びにねじ軸3の転動溝30の各断面形状として、図1では断面円弧状に形成した場合を例示しているが、これらの断面形状は他の形状、例えばゴシックアーチ形状としてもよい。
ナット2とねじ軸3を相対回転させることで、ボール通路8内でのボール4の転動を通じてナット2とねじ軸3を軸方向に相対移動させることが可能となる(逆にナット2とねじ軸3を軸方向に相対移動させることで、ナット2とねじ軸3を相対回転させることもできる)。ボール転動路6を転動してその終端に達したボール4は、掬い上げられる形でボール循環路7に移行し、ねじ軸3のねじ山31を乗り越える。その後、ボール4は、ボール循環路7からボール転動路6の始端に戻される。これにより、ナット2とねじ軸3の相対回転中はボール通路8をボール4が無限に循環する。
図2(a)に本実施形態に係るナット2の斜視図を示し、図2(b)に図(a)の矢印B方向から見た正面図を示す。図3は図2(b)のY-Y線で矢視したナット2の断面図であり、図4は図2(b)のZ-Z線で矢視したナット2の断面図である。
ナット2は導電性の金属材料、例えば鋼材料で筒状に形成される。ナット2の内周面は円筒面状に形成されるが、外周面の形態は任意であり、円筒面以外にも例えば角筒面で形成することもできる。
図2(a)(b)、図3、および図4に示すように、本実施形態に係るナット2の内周面には、複数の螺旋溝21と、各螺旋溝21の始端と終端を接続する複数の循環溝22とが形成されている。螺旋溝21は、ナット2の内周面の全周長さよりも僅かに短い有端でかつ螺旋状の溝である。本実施形態のナット2では、螺旋溝21および循環溝22が4つずつ設けられ、かつ軸方向から見て、直径方向で対向する領域に2つずつ循環溝22が配置されている。この領域では、螺旋溝21と循環溝22が軸方向で交互に配置されている。このようにナット2の内周面には、互いに独立した4つの転動溝20が形成されている。図3および図4では、4つの転動溝20を区別するため、軸方向一方側から他方側にかけて、各転動溝20に符号(a)~(d)を付している。
なお、図3および図4では、直径方向で対向する二つの領域にそれぞれ循環溝22を二つずつ配置した場合を例示しているが、図1に示すように、4つの循環溝22の全てを、円周方向の位相が異なるように配置してもよい(例えば90°ずつ位相をずらして4つの循環溝22を配置してもよい)。つまり、本実施形態では、少なくとも二つの循環溝22が、異なる位相で円周方向の複数箇所に配置されている。
本実施形態において、ナット2の内周面の各循環溝22(a)~(d)は電解加工で形成される。ここで電解加工は、電気分解を利用した機械加工法であり、アルカリ性電解液中に、僅かな隙間をあけて加工金属(陽極)と電極(陰極)を配置し、陽極と陰極の間に直流電流を流すことにより、加工金属を溶かして陰極と同じ形に成形する加工法である。
図5(a)~(c)に、ナット2の素材であるナット素材2’に電解加工を施す際の加工工程を、ナット素材2’の半径方向断面図で示す。ナット素材2’は、例えば棒状の金属素材に鍛造を施して円筒状に成形することで得られる。次いで、図5(a)に示すように、ナット素材2’の内周に、ナット素材2’の内周面との間に僅かな隙間を空けて電極9(陰極)を配置する。また、ナット素材2’の内周に絶縁体10を配置し、ナット素材2’の内周面のうち、電極9と対向する領域以外の領域を絶縁体10で覆う。この状態で、ナット素材2’と電極9(陰極)間に電解液を絶えず流入させながら、ナット素材2’と電極9の間に直流電流を流すと、図5(b)に示すようにナット素材2’の内周面の電極9と対向する領域が徐々に溶かされ、内周面に凹部が形成される。通電を継続することで溶ける容積が増え、最終的に図5(c)に示すように、ナット素材2’の内周面に、電極9の表面の輪郭に対応した形状の凹部(循環溝22)が形成される。この電解加工は、定電圧制御および定電流制御のどちらで行ってもよい。電解加工時の加工量は、電流値と通電時間を制御することで調整することができる。
電解加工によって形成された循環溝22の表面は、金属材料の溶融によって形成された面となる。鍛造等の塑性加工で成形された循環溝であれば、顕微鏡写真で観察したファイバーフローが循環溝の表面に沿って連続した形態となるが、本実施形態のように、電解加工によって形成された循環溝22では、ファイバーフローが表面で切断された形となる。また、電解加工後の循環溝22は、表面粗さで見ると、切削で形成された循環溝の表面粗さよりも粗くなる。電解加工された循環溝22の表面は、金属色ではなく黒色となる。このように、電解加工された循環溝22は、鍛造もしくは切削で形成された循環溝に対して差異を有する。
以上に述べた電解加工による循環溝22の形成は、ナット素材2’の内周に電極9を配置することで行うことができる。また、電極9は循環溝22の大きさに対応した小サイズであるため、ナット素材2’の内周に複数の電極9を配置することも容易である。従って、複数の循環溝22、例えば4つの循環溝22(a)~(d)を同時に電解加工することが可能となる。
この電解加工による各循環溝22(a)~(d)の形成後、ナット素材2’の内周面に、各循環溝22(a)~(d)の両端とつながるように螺旋溝21(a)~(d)が形成される。各螺旋溝21(a)~(d)は、例えば切削加工で形成することができる。全ての螺旋溝21(a)~(d)および循環溝22(a)~(d)の形成後、ナット素材2’に熱処理を施し、必要に応じて内周面にショットブラスト等の処理を施すことにより、ナット2が完成する。ナット素材2’の熱処理に際しては、ナット素材2’の少なくとも螺旋溝21および循環溝22の表面に硬化層が形成されるような処理(例えば浸炭焼入れ等)を行うのが好ましい。
このようにナット2の内周面の循環溝22を電解加工で形成した場合、材料の塑性流動は生じないため、循環溝を鍛造等の塑性加工で成形する場合に比べて、循環溝22の深さを深くすることができる。深さの調整は上述のとおり電流値や通電時間を制御することで行うことができる。そのため、ナット2の大型化(例えば大径化)にも対応可能となる。また、循環溝を鍛造で成形する場合、ナット2を小型化(例えば小径化)しようとすると、ナット素材の内周に配置する金型強度を確保できないため、ナット2の小型化には限界が生じる。これに対し、電解加工であれば、ナット素材2’の内周に循環溝22の大きさに対応した電極9を配置すれば足りるため、小型のナット2に対しても循環溝22が形成可能となる。従って、多種多様のサイズのナット2も特段のコストアップを招くことなく同じ手法で循環溝22を形成することができ、ボールねじ装置1のサイズの多様化にも対応可能となる。
また、複雑な構造の金型も不要であるから、塑性加工に比べてナット2の製造コストを低廉化することができる。さらに電解加工であれば、塑性加工時に問題となる異物の噛み込みによる傷の発生、あるいはナットの変形等を回避することができる。そのため、ボールねじ装置1の作動安定性を高めることもできる。
さらに、複数の電極をナット素材2’の内周に配置することが容易であるため、複数の循環溝22を同時に電解加工することができる。従って、ナット2の製造コストをより一層低廉化することができる。
また、電解加工で循環溝22を形成することで、循環溝22とナット2の内周面との境界部でダレが生じ難くなる。そのため、循環溝22の断面形状をシャープな形状にでき、これによりボールねじ装置1の作動時にスムーズなボール循環を実現することが可能となる。また、後述のように循環溝22を、螺旋溝21を加工する際の加工基準として用いることも可能となる。
本実施形態では、少なくとも二つの循環溝22が、異なる位相で円周方向の複数箇所に配置されている。塑性加工では金型の構造が複雑化するため、複数の循環溝を異なる円周方向位相に配置することは困難となる。これに対し、電解加工であれば電極の配置パターンを変更することで、そのような配置も容易に実現することができる。また、その際の同時加工も容易となる利点が得られる。
循環溝22を切削加工で形成することも可能であるが、ナット2の内周に複数の切削工具を配置することが難しいため、複数の循環溝22を同時に切削加工はすることは困難となる。そのため、本実施形態に比べて、製造コストが嵩む要因となる。また、ナット2が小型化された場合は、切削工具をナット2の内周に配置できないため、そもそも切削加工自体が不可能となるおそれがある。
電解加工による循環溝22の形成後、螺旋溝21を加工する際には、事前に形成した循環溝22の表面を加工基準、具体的には、軸方向、周方向、および円周方向の加工基準として用いることができる。既に述べたように、電解加工後の循環溝22では、ナット2の内周面との境界部でダレが小さくなるため、循環溝22の表面を各種加工基準として用いても、精度よく螺旋溝21を形成することができる。従って、螺旋溝21と循環溝22の間の位置ずれを低減し、両者間に生じる各方向(軸方向、半径方向、および円周方向)の段差を小さくして、両者を滑らかに連続させることができる。この場合、螺旋溝21の加工専用の加工基準をナットに別途設ける必要がなくなるため、ナット2の製造工程を簡略化し、製造コストの低廉化を図ることができる。
以上に説明した実施形態では、螺旋溝21を加工する際の加工基準として循環溝22を用いているが、循環溝22および螺旋溝21の加工前のナット素材2’に加工基準を形成し、この加工基準を用いて循環溝22と螺旋溝21の双方を加工してもよい。
例えば、図6に示すように、ナット素材2’の一方の端面23および外周面24を研削加工等により仕上げ、各面の直角度、同軸度、平面度等の表面精度を高精度化する。また、ナット素材2’の当該端面の円周方向一部領域に凹部25を形成する。この凹部25は、ナット素材2’の端面23および外周面24を加工基準とした切削加工あるいは研削加工の何れか一方または双方を用いて形成することができる。これにより凹部25の位置も高精度化される。
次いで、例えばナット素材2’の端面23を軸方向の加工基準とし、外周面24を径方向の加工基準とし、凹部25を円周方向の加工基準として、これらの加工基準を位置の基準としてナット素材2’の内周に電極9を配置し、電解加工を行う。その後、これらの加工基準を用いて螺旋溝21を例えば切削加工で形成する。これにより、螺旋溝21と循環溝22の双方が共通の加工基準に基づいて加工されるため、両者の位置精度を高めることができる。
以上に述べたボールねじ装置1の用途は特に限定されず、例えば、自動車、二輪車、船舶、航空機、産業機器等に装備される電動アクチュエータとして用いることができる。電動アクチュエータとしては、例えばナット2をモータで正逆方向に駆動することで、ねじ軸3を直線方向に往復運動させるものが考えられる。もちろん電動アクチュエータ以外の他の機構の一部として本実施形態のボールねじ装置1を使用することもできる。
1 ボールねじ装置
2 ナット
3 ねじ軸
4 ボール
6 ボール転動路
7 ボール循環路
8 ボール通路
9 電極
10 絶縁体
20 ナットの転動溝
21 螺旋溝
22 循環溝
30 ねじ軸の転動溝
2 ナット
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30 ねじ軸の転動溝
Claims (5)
- 内周面に、螺旋溝と、前記螺旋溝の始端と終端を接続する循環溝とが設けられ、前記螺旋溝および循環溝をボールが転動するボールねじ用ナットにおいて、
前記循環溝が、電解加工で形成された面を有することを特徴とするボールねじ用ナット。 - 前記螺旋溝および循環溝が、それぞれ複数箇所に形成された請求項1に記載のボールねじ用ナット。
- 前記循環溝が、異なる位相で円周方向の複数箇所に配置されている請求項1または2に記載のボールねじ用ナット。
循環溝 - 前記螺旋溝が、前記循環溝を加工基準として形成されている請求項1~3何れか1項に記載のボールねじ用ナット。
- 請求項1~4の何れか1項に記載されたボールねじ用ナットと、前記ボールねじ用ナットの内周に挿入され、外周にボールが転動する螺旋状の転動溝を有するねじ軸と、前記ボールねじ用ナットの前記螺旋溝および循環溝と前記ねじ軸との間に配置された複数のボールと、を有するボールねじ装置。
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