JP2023115850A - 銀めっき材の製造方法および銀めっき材 - Google Patents

銀めっき材の製造方法および銀めっき材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れるとともに、高温高湿の環境に曝した場合でも銀被覆層の耐剥離性が高く維持される性能を持つ銀めっき材を提供する。【解決手段】上記課題は、シアン含有銀めっき液を用いた電気めっき法により素材上に銀めっき層を形成するに際し、前記銀めっき液として、ベンゾチアゾール類またはその誘導体と、セレン含有物質とが溶解しており、セレン濃度が0.9~120mg/L、セレン/ベンゾチアゾール類またはその誘導体のモル比が0.08×10-3以上である水溶液を使用する、銀めっき材の製造方法によって達成される。前記ベンゾチアゾール類またはその誘導体に該当する物質として、例えばメルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体を使用することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、車載用や民生用の電気配線に使用されるコネクタ、スイッチ、リレーなどの接点や、端子部品の材料として有用な銀めっき材の製造方法、およびその銀めっき材に関する。
従来、コネクタやスイッチなどの接点や端子部品などの材料として、銅または銅合金やステンレス鋼などの比較的安価で耐食性や機械的特性などに優れた素材に、電気特性やはんだ付け性などの必要な特性に応じて、錫、銀、金などのめっきを施しためっき材が使用されている。これらのうち、錫めっき材は、安価であるが高温環境下における耐食性に劣る。金めっき材は、耐食性に優れ信頼性が高いが、高コストである。一方、銀めっき材は、金めっき材と比べて安価であり、錫めっき材と比べて耐食性に優れるという利点を持つ。
コネクタやスイッチなどの接点や端子部品などの材料には、コネクタの挿抜やスイッチの摺動に伴う耐摩耗性も要求される。しかし、銀めっき材は軟質で摩耗し易いため、銀めっき材を接続端子などの材料として使用すると、挿抜や摺動により凝着して凝着摩耗が生じ易くなったり、接続端子の挿入時に表面が削られて摩擦係数が高くなり挿入力が増加したりする問題があった。
本出願人は、従来よりも耐摩耗性に優れた銀めっき材を得る手法を特許文献1に開示した。その手法は、所定量のベンゾチアゾール類またはその誘導体を含むめっき液を使用するというものである。
特許第6916971号公報
特許文献1に開示の手法に従えば、銀めっき層の耐摩耗性を従来よりも顕著に向上させることができる。しかし、特許文献1の手法では、得られた銀めっき材を高温高湿の厳しい環境に曝した場合に、下地に対する銀被覆層の耐剥離性が低下するという問題が生じることがわかった。ここで、「銀被覆層」とは材料の表面に形成されている銀の皮膜であり、例えば銀ストライクめっき層の上に銀めっき層が形成されている場合は、銀ストライクめっき層とその上の銀めっき層が一体化した銀皮膜全体を銀被覆層と呼ぶ。
本発明は、耐摩耗性に優れるとともに、高温高湿の環境に曝した場合でも銀被覆層の耐剥離性が高く維持される性能を持つ銀めっき材を提供することを目的とする。
発明者らは検討の結果、ベンゾチアゾール類またはその誘導体と、所定量のセレンとを複合添加した銀めっき液を適用することによって、ベンゾチアゾール類またはその誘導体の添加に起因する銀被覆層の耐剥離性の低下を抑止することが可能になることを見出した。
上記目的は、シアン含有銀めっき液を用いた電気めっき法により素材上に銀めっき層を形成するに際し、前記銀めっき液として、ベンゾチアゾール類またはその誘導体と、セレン含有物質とが溶解しており、セレン濃度が0.9~120mg/L、セレン/ベンゾチアゾール類またはその誘導体のモル比が0.08×10-3以上である水溶液を使用する、銀めっき材の製造方法によって達成される。前記のセレン/ベンゾチアゾール類またはその誘導体のモル比は2.5×10-3以上10.0×10-3以下であることがより好ましい。前記ベンゾチアゾール類またはその誘導体として、例えばメルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体を挙げることができる。
前記素材として、表面に下地銀めっき層、すなわち下地めっき層としての銀めっき層を有するものを適用することができる。特に、前記素材として、銅または銅合金からなる基材上にニッケルめっき層を有し、そのニッケルめっき層上に下地銀めっき層を有するものを適用することができる。本願の下地銀めっき層は、いわゆる銀のストライクめっきと呼ばれる下地処理用の電気銀めっきを意味する。
また本発明では、上記の製造方法によって得られる、耐摩耗性と銀被覆層の耐剥離性に優れた銀めっき材として、銅または銅合金を基材とする素材上に、C、S、N、K、Seを含み、Ag、C、S、N、K、Seの合計質量に対する割合で、C:0.8~2.0質量%、S:0.5~1.5質量%、N:0.1~0.5質量%、K:0.2~1.0質量%、Se:0.03~0.5質量%を含み、C/Sのモル比が3.0~6.0、S/Nのモル比が1.0~4.0である電気銀めっき層を有する、銀めっき材が提供される。この場合、前記銅または銅合金を基材とする素材として、例えば、銅または銅合金からなる基材上にニッケルめっき層を有するものが適用できる。このような素材を適用したときの銀めっき材の表層部は、銅または銅合金の基材の上にニッケルめっき層があり、その上に前記の所定組成を有する電気銀めっき層がある積層構造を持つ。前記銀めっき層の構成元素に占めるAg、C、S、N、K、Seの合計含有量は例えば99.0質量%以上である。また本発明では、上記銀めっき材を素材に用いた通電部品が提供される。
本発明では、特許文献1の技術で問題とされた高温高湿環境に曝した後の銀被覆層の耐剥離性低下を改善することができた。すなわち本発明によれば、耐摩耗性と、高温高湿環境に曝した後の銀被覆層の耐剥離性の両方に優れた銀めっき材を提供することができた。
[銀めっき液]
本発明の銀めっき材の製造方法では、シアン含有銀めっき液を用いた電気めっき法を対象とする。シアン含有銀めっき液の主成分であるシアン含有物質、銀含有物質に関しては、従来公知のものが適用できる。例えば、シアン化銀カリウムまたはシアン化銀と、シアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムとを含有する水溶液が好適である。
めっき液への添加剤として、本発明では、ベンゾチアゾール類またはその誘導体を適用する。この点は特許文献1の技術と同様である。ベンゾチアゾール(CNS)は、ベンゼン骨格とチアゾール骨格を有する複素環式化合物である。ベンゾチアゾール類は、2-メルカプトベンゾチアゾールなどのメルカプト基(-SH)を有するベンゾチアゾールであることが好ましい。また、ベンゾチアゾール類の誘導体として、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))、亜鉛-2-メルカプトベンゾチアゾール、5-クロロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、6-アミノ-2-メルカプトベンゾチアゾール、6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-5-メトキシベンゾチアゾールなどを使用することができる。これらのベンゾチアゾール類の誘導体のうち、ベンゾチアゾール類のアルカリ金属塩が好ましく、例えば2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(ナトリウムメルカプトベンゾチアゾール(SMBT))などの、ベンゾチアゾール類のナトリウム塩が好適である。
このように、シアン系銀めっき液中に有機添加剤としてメルカプトベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール類またはそのアルカリ金属塩(好ましくはナトリウム塩)を添加して電気銀めっきを行うと、形成される銀めっき層中に有機添加剤由来の成分が取り込まれて耐摩耗性が向上するものと考えられる。また、有機添加剤の潤滑効果により表層の摩擦係数を低下させることができると考えられる。この摩擦係数の低下によって、銀めっき材を接続端子などの材料として使用した場合に、挿抜や摺動による凝着の発生が抑制され、そのことも耐摩耗性の向上に効いていると推察される。
しかしながら、添加剤としてベンゾチアゾール類またはその誘導体を使用した銀めっき液で電気銀めっきを行った材料を高温高湿環境に曝すと、銀被覆層の耐剥離性が低下するという現象が生じてしまう。電気銀めっきを施す際には、素材とのめっき密着性を確保するために、最終的な銀めっきに先立ち、銀のストライクめっきを施して下地の銀めっき層を形成しておくことが一般的である。ベンゾチアゾール類またはその誘導体を添加した銀めっき液中で電気銀めっきを行うと、下地に銀のストライクめっき層が形成してあっても、高温高湿環境に曝した後に、その銀のストライクめっき層と、さらにその下地(例えばニッケルめっき層)との間で、銀被覆層(銀ストライクめっき層+銀めっき層)の剥離が生じ易くなる。特に、高電流密度であったと考えられる部分での耐剥離性が低下しており、得られた銀めっき材に、高温高湿環境に保持する試験を施した後、厳しい曲げ加工を施すと、主として高電流密度であったと考えられる部分で銀被覆層が剥離するという問題が顕在化するようになる。その原因は十分に解明されていないが、高電流密度の部分ではベンゾチアゾール類またはその誘導体が取り込まれる際に剥離しやすい結晶状態が形成されていると考えられ、そのことに起因して高温高湿に保持した後の銀被覆層の密着性が低下するのではないかと推察される。
本発明では、めっき液への他の添加剤として、水溶性のセレン含有物質を適用する。すなわち、ベンゾチアゾール類またはその誘導体と、セレン含有物質とを複合で添加する。これにより、上述した銀被覆層の耐剥離性低下が顕著に抑制されることがわかった。そのメカニズムについては現時点で明らかでないが、めっき液中に存在するセレンが、高電流密度となった部分でのベンゾチアゾール類またはその誘導体の取り込みを抑制し、剥離し難い銀の結晶状態が形成されるのではないかと考えられる。なお、本発明に使用する銀めっき液には、Sbの添加は不要である。
銀めっき液中のセレン濃度は、0.9~120mg/Lとすることが効果的であり、50~120mg/Lの範囲が特に効果的である。また、銀めっき液中のセレンと、ベンゾチアゾール類またはその誘導体とのモル比は0.08×10-3以上とすることが好ましく、2.5×10-3以上10.0×10-3以下の範囲とすることがより好ましい。
銀めっき液中のフリーシアンの濃度は、例えば3~60g/Lの範囲で設定することができ、4~57g/Lとすることがより好ましく、4~40g/Lとすることが更に好ましい。銀めっき液中のフリーシアンの濃度は、銀めっき液を水で希釈した後に、ヨウ化カリウム水溶液を加えて、銀めっき液が白濁するまで硝酸銀水溶液を滴下して、その滴下量から求めることができる。
銀めっき液中のベンゾチアゾール分の濃度は、例えば2~50g/Lの範囲で設定することができ、2.5~45g/Lとすることが好ましく、5~40g/Lとすることがより好ましく、10~35g/Lとすることが更に好ましい。ここで、「ベンゾチアゾール分」とは、ベンゾチアゾール(CNS)(分子量135.19)に対応する部分をいう。
銀めっき液中の銀の濃度は、例えば15~150g/Lの範囲で設定することができ、30~120g/Lとすることがより好ましい。銀めっき液中のシアン化銀カリウムまたはシアン化銀の濃度は、例えば30~220g/Lの範囲で設定することができ、50~200g/Lとすることがより好ましい。銀めっき液中のシアン化カリウムまたはシアン化ナトリウムの濃度は、例えば30~150g/Lの範囲で設定することができ、35~145g/Lとすることがより好ましく、38~110g/Lとすることが更に好ましい。銀めっき液中のベンゾチアゾール類またはそのアルカリ金属塩の濃度は、例えば15~70g/Lの範囲で設定することができ、20~50g/Lの範囲に管理してもよい。ただし、銀めっき液中のセレンと、ベンゾチアゾール類またはその誘導体とのモル比が上述した0.08×10-3以上の範囲、より好ましくは2.5×10-3以上10.0×10-3以下の範囲となるように、ベンゾチアゾール類またはそのアルカリ金属塩の濃度を設定する。
[銀めっき条件]
上記の銀めっき液を用いた電気銀めっきは、液温15~50℃で行われるのが好ましく、液温18~47℃で行われるのがさらに好ましい。この電気銀めっきの電流密度は例えば0.5~10A/dmの範囲で設定することができ、0.5~8A/dmで行うことがより好ましい。欠陥の少ない良好な銀めっき層を効率良く形成するためには、1.5A/dm以上の電流密度を確保することが好ましく、2.5A/dm以上とすることがより好ましい。めっき時間は、この電気銀めっきによる銀めっき層の平均膜厚が例えば0.5~10μm、好ましくは0.8~8μm、より好ましくは0.8~3μmの範囲となるように、用途に応じて設定すればよい。
[めっき素材]
上記の電気銀めっきを施す素材、すなわち被めっき材としては、通電部品の用途を考慮すると、銅または銅合金を基材とする材料が好ましい。基材が銅または銅合金である場合、基材に対する銀被覆層の密着性を十分に確保する観点から、基材である銅系金属の表面にニッケルめっき層等の下地めっき層を形成した素材を適用することが好ましい。また、基材である銅系金属の表面にニッケルめっき層等の下地めっき層が形成されており、その下地めっき層の上に、更に下地銀めっき層(銀ストライクめっき層)が形成されている素材を適用することがより好ましい。
[銀めっき材]
上記のめっき液を用いた電気銀めっきによって、銅または銅合金を基材とする素材上に、C、S、N、K、Seを含み、Ag、C、S、N、K、Seの合計質量に対する割合で、C:0.8~2.0質量%、S:0.5~1.5質量%、N:0.1~0.5質量%、K:0.2~1.0質量%、Se:0.03~0.5質量%を含み、C/Sのモル比が3.0~6.0、S/Nのモル比が1.0~4.0である電気銀めっき層を有する、銀めっき材を得ることができる。このような組成の電気銀めっき層は、耐摩耗性に優れると共に、下地に対する密着性も良好であり、曲げ加工部での良好な耐剥離性を呈する。特にSe含有量が0.05~0.2質量%に調整されているものでは、密着性がいっそう改善されている。上記のC/Sのモル比およびS/Nのモル比は、上述したベンゾチアゾール類またはその誘導体に由来する成分が銀めっき層中に取り込まれることにより実現される。なお、この電気銀めっき層中には、めっき液などから不可避的に混入する元素(例えばNa、Oなど)が含まれていて構わないが、当該電気銀めっき層の構成元素に占めるAg、C、S、N、K、Seの合計含有量は99.0質量%以上であることが好ましく、99.5質量%以上であることがより好ましく、99.8質量%以上であることが更に好ましい。
銀ストライクめっき層(例えば厚さ0.01~0.02μm程度)の上に、上記の銀めっき液を用いた電気銀めっき層を形成した場合は、上記の組成によって特定される電気銀めっき層は、銀ストライクめっき層と、その上に形成されている上記の銀めっき液を用いた電気銀めっき層とが一体化した銀被覆層を意味する。
本発明による銀めっき材における銀被覆層の平均厚さ(銀ストライクめっき層の上に、上記の銀めっき液を用いた電気銀めっき層を形成した場合は、それらが一体化した銀被覆層のトータル平均厚さ)は、例えば0.5~10μmの範囲で設定することが好ましく、0.8~8μmとすることがより好ましく、0.8~3μmとすることが更に好ましい。また、本発明による銀めっき材における銀被覆層の平均結晶子径は25nm以下とすることができ、8~15nmのものがより好ましい。銀めっき層の結晶子径は例えば電流密度、めっき液組成、液温などを調整することによって制御できる。
本発明による銀めっき材の代表的な形態は、少なくとも片側表面に銀めっき層を持つ板材である。その板厚は例えば0.05~3.5mmとすることができ、0.1~3.0mmとすることがより好ましい。ここで「板材」とはシート状の金属材料を意味する。薄いシート状の金属材料は「箔」と呼ばれることもあるが、そのような「箔」もここでいう「板材」に含まれる。コイル状に巻き取られた長尺のシート状金属材料も「板材」に含まれる。また、シート状の金属材料の厚さを「板厚」と呼ぶ。
[通電部品]
上記の銀めっき材を公知の方法で加工して、コネクタ、スイッチ、リレーなどの通電部品を得ることができる。本発明による銀めっき材を用いた通電部品では、上述した組成を有する電気銀めっき層(すなわち上述の銀被覆層)が接触相手材と摺接し得る部分を構成する構造を有していることが、効果的である。
[比較例1]
(前処理)
基材として、無酸素銅(C1020、1/2H)からなる67mm×50mm×0.3mmの圧延板を用意した。アルカリ脱脂液中でこの基材を陰極、ステンレス鋼板を陽極として、電圧5Vで30秒間電解脱脂を施し、基材を水洗した後、3%硫酸水溶液中に15秒間浸漬することにより酸洗した。このようにして表面を清浄化した基材に対して、以下に示す工程により各めっきを順次施し、銀めっき材を作製した。
(下地ニッケルめっき工程)
スルファミン酸ニッケル四水和物540g/L、塩化ニッケル25g/L、およびホウ酸35g/Lを含む水溶液からなる無光沢ニッケルめっき液中において、前処理を行った基材を陰極とし、ニッケル電極板を陽極として、スターラーにより500rpmで撹拌しながら液温50℃、電流密度5A/dmの条件で80秒間電気めっきを行って、基材上に無光沢下地ニッケルめっき層を形成した。この板材試料の表面中央部において、下地ニッケルめっき層の厚さを蛍光X線膜厚計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、SFT-110A)により測定したところ約1μmであった。
(銀ストライクめっき工程)
シアン化銀カリウム(K[Ag(CN)])3g/L、およびシアン化カリウム(KCN)90g/Lを含む水溶液からなる銀ストライクめっき液中において、上記の下地ニッケルめっき層が形成された板材試料を陰極とし、白金で被覆したチタン電極板を陽極として、スターラーにより500rpmで撹拌しながら室温(25℃)において電流密度2.0A/dmで10秒間電気めっきを行って、銀ストライクめっきによる下地銀めっき層を形成した。その後、水洗して銀ストライクめっき液を十分に洗い流した。
(銀めっき工程)
シアン化銀カリウム(K[Ag(CN)])175g/L、シアン化カリウム(KCN)95g/L、および2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム(CNNaS)30g/Lを含む水溶液からなる銀めっき液中において、上記の銀ストライクめっきによる下地銀めっき層が形成された板材試料を陰極とし、銀電極板を陽極として、スターラーにより500rpmで撹拌しながら液温35℃、電流密度7A/dmの条件で18秒間電気めっきを行って、銀めっき層を形成した。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/L、ベンゾチアゾール分の濃度は21g/Lである。この板材試料の表面中央部において、銀ストライクめっきによる下地銀めっき層と、その上に本工程で形成した上層の銀めっき層のトータル厚さ(すなわち銀被覆層の厚さ)を、上記の蛍光X線膜厚計により測定したところ約1μmであった。本例では当該銀めっき液中にセレンは添加していない。このようにして、板材の両面に銀被覆層を有する銀めっき材を得た。この銀めっき工程について、めっき液の配合組成めっき条件を表1に示してある(以下の各例において同じ。)。
得られた銀めっき材を供試材として、以下の試験に供した。
(恒温恒湿試験)
供試材を恒温恒湿試験装置に入れ、温度85℃、湿度85%の条件で120時間保持した。
(折り曲げ試験)
上記の恒温恒湿試験に供した後の板材を手で180°折り曲げたのち、その折り曲げ部を概ね元の板形状まで曲げ戻し、曲げ部の外側表面および内側表面を観察することにより銀被覆層の剥離が生じるかどうかを検査した。この折り曲げ試験で曲げ部の外側表面と内側表面のいずれにも銀被覆層の剥離が認められなかったものを○(耐剥離性:良好)、それ以外を×(耐剥離性:不良)とし、○評価を合格と判定した。本例で得た供試材は×評価であった。
(クロスカットピーリング試験)
上記の恒温恒湿試験に供した後の板材について、より厳しい耐剥離性評価として、JIS H8504:1999の15.1項に規定される粘着テープによる引きはがし試験方法に準拠して、銀被覆層の耐剥離性を調べた。ここでは、厳しい基準を採用するため、銀めっき面にカッターナイフでクロスカットを形成した試料を作製して、引きはがし試験に供した。具体的には、供試材である板材の片側表面の全面にわたって、一方向に約3mm間隔で直線状の切れ目を入れ、それらの切れ目に直交する方向に約3mm間隔で直線状の切れ目を入れて、約3mm角のマス目を形成した。全てのマス目について粘着テープによる引きはがし試験を施し、1マスでも銀被覆層の剥離が認められたものを×、それ以外を○とした。この試験で○評価のものは、従来一般的な銀めっき材と同等以上の優れた耐剥離性を呈すると評価できる。なお、この試験で×評価であっても、前記の折り曲げ試験で○評価であれば、特許文献1の技術によって得られた銀めっき材に比べ、銀被覆層の耐剥離性は大幅に改善されていると評価され、多くの用途で実用上の問題は生じないと考えられる。
(往復摺動試験)
供試材である銀めっき材を2枚用意し、一方をインデント加工(内側R=1.5mm)して圧子として使用し、他方を平板状の評価試料として使用し、精密摺動試験装置(株式会社山崎精機研究所製、CRS-G2050-DWA)により、評価試料に圧子を一定の荷重(5N)で押し当てながら、往復摺動動作(摺動距離5mm、摺動速度1.67mm/s)を施した。この往復摺動試験を所定回数まで行った段階の評価試料について、マイクロスコープ(株式会社キーエンス製のVHX-1000)により摺動痕を倍率100倍で観察し、銀被覆層の摩耗状態を調べた。膜厚が約1μmである銀被覆層を有する材料において、この試験条件による往復摺動回数が100回の段階で摺動痕に基材の銅が露出していなければ、当該銀被覆層は優れた耐摩耗性を有すると判断できる。したがって、往復摺動回数が100回の段階で摺動痕に基材の銅の露出が認められたものを×評価(耐摩耗性:不十分)、それ以外を○評価(耐摩耗性:良好)とした。本例の供試材では、基材の銅は摺動回数200回で露出が認められず、摺動回数400回で露出が認められたので、耐摩耗性は○評価であった。この場合、基材の銅の露出が生じた摺動回数を表2中に「200超え400以下」と表示している。
以上の結果を表2に示す(以下の各例において同じ。)。
[比較例2]
銀ストライクめっき工程の後に行う銀めっき工程(以下、単に「銀めっき工程」と言う。)において、セレノシアン酸カリウムを添加して、セレン濃度を0.5mg/Lに調整した銀めっき液を適用したことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。
なお、銀めっき工程で使用しためっき液において、上記セレン含有物質以外の添加物質の種類および添加量は比較例1と同様である(特に断らない限り以下の各例において同じ。)。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が不合格であり、銀被覆層の耐剥離性の改善は不十分であった。
[実施例1]
銀めっき工程において、セレン濃度を1.3mg/Lに調整した銀めっき液を適用したことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。なお、使用したセレン含有物質の種類は比較例2と同様である(特に断らない限り以下の各例において同じ。)。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が認められた。
[実施例2]
銀めっき工程において、セレン濃度を12.7mg/Lに調整した銀めっき液を適用したことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が認められた。
[実施例3]
銀めっき工程において、セレン濃度を25.4mg/Lに調整した銀めっき液を適用したことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が認められた。
[実施例4]
銀めっき工程において、セレン濃度を38.1mg/Lに調整した銀めっき液を適用したことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、かつクロスカットピーリング試験においても銀被覆層の剥離は認められなかった。本例では、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が顕著に現れた。
[実施例5]
銀めっき工程において、セレン濃度を50.8mg/Lに調整した銀めっき液を適用したことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、かつクロスカットピーリング試験においても銀被覆層の剥離は認められなかった。本例では、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が顕著に現れた。
[実施例6]
銀めっき工程において、セレン濃度を76.2mg/Lに調整した銀めっき液を適用したことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、かつクロスカットピーリング試験においても銀被覆層の剥離は認められなかった。本例では、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が顕著に現れた。
[実施例7]
銀めっき工程において、セレン濃度を101.6mg/Lに調整した銀めっき液を適用したことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、かつクロスカットピーリング試験においても銀被覆層の剥離は認められなかった。本例では、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が顕著に現れた。
[実施例8]
銀めっき工程において、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム濃度を25g/L、セレン濃度を71.1mg/Lに調整した銀めっき液を適用したこと、およびめっき時の液温を25℃、電流密度を3A/dm、通電時間を43秒としたことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/L、ベンゾチアゾール分の濃度は18g/Lである。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、かつクロスカットピーリング試験においても銀被覆層の剥離は認められなかった。本例では、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が顕著に現れた。
[実施例9]
銀めっき工程において、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム濃度を25g/L、セレン濃度を71.1mg/Lに調整した銀めっき液を適用したこと、およびめっき時の液温を25℃、電流密度を5A/dm、通電時間を24秒としたことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/L、ベンゾチアゾール分の濃度は18g/Lである。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、かつクロスカットピーリング試験においても銀被覆層の剥離は認められなかった。本例では、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が顕著に現れた。
[実施例10]
銀めっき工程において、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム濃度を25g/L、セレン濃度を71.1mg/Lに調整した銀めっき液を適用したこと、およびめっき時の液温を45℃、電流密度を5A/dm、通電時間を24秒としたことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/L、ベンゾチアゾール分の濃度は18g/Lである。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、かつクロスカットピーリング試験においても銀被覆層の剥離は認められなかった。本例では、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が顕著に現れた。
[実施例11]
銀めっき工程において、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム濃度を35g/L、セレン濃度を71.1mg/Lに調整した銀めっき液を適用したこと、およびめっき時の液温を25℃、電流密度を3A/dm、通電時間を43秒としたことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/L、ベンゾチアゾール分の濃度は25g/Lである。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、かつクロスカットピーリング試験においても銀被覆層の剥離は認められなかった。本例では、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が顕著に現れた。
[実施例12]
銀めっき工程において、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム濃度を35g/L、セレン濃度を71.1mg/Lに調整した銀めっき液を適用したこと、およびめっき時の液温を25℃、電流密度を5A/dm、通電時間を24秒としたことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/L、ベンゾチアゾール分の濃度は25g/Lである。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、かつクロスカットピーリング試験においても銀被覆層の剥離は認められなかった。本例では、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が顕著に現れた。
[実施例13]
銀めっき工程において、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム濃度を35g/L、セレン濃度を71.1mg/Lに調整した銀めっき液を適用したこと、およびめっき時の液温を45℃、電流密度を3A/dm、通電時間を43秒としたことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/L、ベンゾチアゾール分の濃度は25g/Lである。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、かつクロスカットピーリング試験においても銀被覆層の剥離は認められなかった。本例では、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が顕著に現れた。
[実施例14]
銀めっき工程において、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウム濃度を35g/L、セレン濃度を71.1mg/Lに調整した銀めっき液を適用したこと、およびめっき時の液温を45℃、電流密度を5A/dm、通電時間を24秒としたことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/L、ベンゾチアゾール分の濃度は25g/Lである。
得られた銀めっき材は、折り曲げ試験が合格となり、かつクロスカットピーリング試験においても銀被覆層の剥離は認められなかった。本例では、めっき液にセレンを添加したことによる銀被覆層の耐剥離性改善効果が顕著に現れた。
[比較例3]
銀めっき工程において、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウムおよびセレン含有物質を添加していない銀めっき液を適用したことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/L、ベンゾチアゾール分の濃度は0g/Lである。
得られた銀めっき材は、耐摩耗性が悪かった。
[比較例4]
銀めっき工程において、2-メルカプトベンゾチアゾールナトリウムを添加せず、セレノシアン酸カリウムを添加して、セレン濃度を71.1mg/Lに調整した銀めっき液を適用したことを除き、比較例1と同様の条件で実験を行った。なお、銀めっき液中のフリーシアンの濃度は38g/L、ベンゾチアゾール分の濃度は0g/Lである。
得られた銀めっき材は、耐摩耗性が悪かった。
[銀被覆層の組成分析]
一部の比較例、実施例について、銀ストライクめっき工程で形成された下地銀めっき層と、その後に行った銀めっき工程で形成された銀めっき層の両方を含む銀被覆層の元素分析を以下のようにして行った。

供試材である銀めっき材の重量から、銀ストライクめっき工程に供する前の板材試料の重量を差し引いて、銀被覆層の重量を算出した。供試材の表面を被覆している銀を硝酸により溶解させた後、塩酸をAgClの白色沈殿が生成しなくなるまで添加し、白色沈殿をろ過し、水洗した後、AgClの重量を測定して、銀被覆層中の銀の重量を算出した。
炭素、硫黄
炭素・硫黄分析装置(株式会社堀場製作所製、EMIA-810)を用いて供試材である銀めっき材を酸素気流中で1350℃に加熱して溶融させ、そのときに発生するCOとCOを赤外線検出器により定性および定量することにより、供試材中の炭素の含有量を算出した。同様の方法により、銀ストライクめっき工程に供する前の板材試料について炭素の含有量を算出したところ、検出限界以下であったため、供試材について算出された上記の炭素含有量を銀被覆層中の炭素含有量(g)とした。
また、銀めっき材を酸素気流中で1350℃に加熱して溶解させたときに発生するSOを赤外線検出器により定性および定量することにより、供試材中の硫黄の含有量を算出した。同様の方法により、銀ストライクめっき工程に供する前の板材試料について硫黄の含有量を算出したところ、検出限界以下であったため、供試材について算出された上記の硫黄含有量を銀被覆層中の硫黄含有量(g)とした。
窒素
酸素・窒素・水素分析装置(LECOジャパン合同会社製)を用いて供試材である銀めっき材をヘリウム気流中において5000Wの電力で溶融させ、そのときに発生するNを熱伝導度検出器(TCD)により定量することにより、供試材中の窒素の含有量を算出した。同様の方法により、銀ストライクめっき工程に供する前の板材試料について窒素の含有量を算出したところ、検出限界以下であったため、供試材について算出された上記の窒素含有量を銀被覆層中の窒素含有量(g)とした。
カリウム
供試材である銀めっき材を硝酸に溶かして液体にした後、溶液の濃度を調整し、原子吸光光度計(株式会社日立ハイテクサイエンス製、偏光ゼーマン原子吸光光度計ZA3300)を使用して原子吸光分析によりカリウム濃度を測定し、銀被覆層中のカリウム含有量(g)を求めた。同様の方法により、銀ストライクめっき工程に供する前の板材試料についてカリウムの含有量を算出したところ、検出限界以下であったため、供試材について上記のカリウム含有量を銀被覆層中のカリウム含有量(g)とした。
セレン
銀めっき液中にセレンを添加して作製した供試材については、以下のようにしてセレンの分析も行った。供試材である銀めっき材を硝酸に溶かして液体にした後、溶液の濃度を調整し、ICP発光分光分析(ICP-OES)装置(セイコーインスツル株式会社製、SPS5100)を使用してプラズマ分光分析によりセレン濃度を測定し、銀被覆層中のセレン含有量(g)を求めた。同様の方法により、銀ストライクめっき工程に供する前の板材試料についてセレンの含有量を算出したところ、検出限界以下であったため、供試材について上記のセレン含有量を銀被覆層中のセレン含有量(g)とした。
C/Sモル比、S/Nモル比
上記のようにして求めた銀被覆層中の銀含有量(g)、炭素含有量(g)、硫黄含有量(g)、窒素含有量(g)、カリウム含有量(g)、銀めっき液中にセレンを添加して作製した供試材については更にセレン含有量(g)の合計を100%として各元素の含有量(質量%)を求め、炭素と硫黄のモル比C/Sおよび硫黄と窒素のモル比S/Nを算出した。
これらの分析結果を表2中に記載してある。なお、この銀被覆層中には、めっき液などから不可避的に混入する元素(例えばNa、Oなど)が微量に含まれているが、当該銀被覆層の構成元素に占めるAg、C、S、N、K、Seの合計含有量は99.0質量%以上である。
Figure 2023115850000001
Figure 2023115850000002

Claims (9)

  1. シアン含有銀めっき液を用いた電気めっき法により素材上に銀めっき層を形成するに際し、前記銀めっき液として、ベンゾチアゾール類またはその誘導体と、セレン含有物質とが溶解しており、セレン濃度が0.9~120mg/L、セレン/ベンゾチアゾール類またはその誘導体のモル比が0.08×10-3以上である水溶液を使用する、銀めっき材の製造方法。
  2. 前記のセレン/ベンゾチアゾール類またはその誘導体のモル比が2.5×10-3以上10.0×10-3以下である請求項1に記載の銀めっき材の製造方法。
  3. 前記ベンゾチアゾール類またはその誘導体に該当する物質として、メルカプトベンゾチアゾールまたはその誘導体を使用する、請求項1または2に記載の銀めっき材の製造方法。
  4. 前記素材は、表面に下地銀めっき層を有するものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の銀めっき材の製造方法。
  5. 前記素材は、銅または銅合金からなる基材上にニッケルめっき層を有し、そのニッケルめっき層上に下地銀めっき層を有するものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の銀めっき材の製造方法。
  6. 銅または銅合金を基材とする素材上に、C、S、N、K、Seを含む銀めっき層が形成されている銀めっき材であって、前記銀めっき層は、Ag、C、S、N、K、Seの合計質量に対する割合で、C:0.8~2.0質量%、S:0.5~1.5質量%、N:0.1~0.5質量%、K:0.2~1.0質量%、Se:0.03~0.5質量%を含み、C/Sのモル比が3.0~6.0、S/Nのモル比が1.0~4.0である、銀めっき材。
  7. 前記銅または銅合金を基材とする素材は、銅または銅合金からなる基材上にニッケルめっき層を有するものである、請求項6に記載の銀めっき材。
  8. 前記銀めっき層の構成元素に占めるAg、C、S、N、K、Seの合計含有量は99.0質量%以上である、請求項6または7に記載の銀めっき材。
  9. 請求項6~8のいずれか1項に記載の銀めっき材を用いた通電部品。
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