JP2023115542A - 共重合体組成物およびその用途 - Google Patents

共重合体組成物およびその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は4-メチル-1-ペンテン系共重合体と特定の難燃剤を包含する共重合体組成物による難燃性を有しながらも高引張伸び、高tanδを有する成形体を提供することにある。【解決手段】本発明は、特定の要件を満たす4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を50~95質量部、および難燃剤(B)を5~50質量部〔(A)および(B)の合計を100質量部とする。〕を含み、下記要件(X-a)および(X-b)を満たす共重合体組成物(X)に係る。要件(X-a)-70~180℃の温度範囲で、10rad/s(1.6Hz)の周波数で動的粘弾性測定を行って得られる、tanδピーク温度が、0~45℃の範囲にある。要件(X-b)-70~180℃の温度範囲で、10rad/s(1.6Hz)の周波数で動的粘弾性測定を行って得られる、tanδピーク値が、0.5以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃剤を含む4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物および、当該組成物からなるペレット、成形体、フィルムおよび熱放射部材に関する。
詳しくは特定の4-メチル-1-ペンテン系共重合体と特定の難燃剤を包含する共重合体組成物による難燃性を有しながらも高引張伸び、高tanδを有する成形体に関する。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体は、ポリエチレンやポリプロピレンに比べて、耐熱性、透明性、電気特性等に優れ、各種用途に広く使用されており、特に産業用離型フィルムやコンデンサ用フィルムなどが知られている(特許文献1)。また4-メチル-1-ペンテン系共重合体の分子量や組成を調整して低融点化することで応力緩和性が発現し、異物を包み込んだ状態で保持可能な産業用フィルムが開示されている(特許文献2)。
一方、4-メチル-1-ペンテン系共重合体と添加剤を混合してなる材料を採用する試みもなされている。そのような材料を採用することで、従来の熱可塑性樹脂だけではなしえなかった強度、重量感、熱伝導性、電気特性などが得られる。例えば、特許文献3では、4-メチル-1-ペンテン系共重合体に難燃剤を添加することで、難燃性および低誘電特性を両立した樹脂組成物について記載されている。
特開2014-11182号公報 特開2013-169685号公報 特開2012-237019号公報
応力緩和性に優れる4-メチル-1-ペンテン系共重合体は、高引張伸び、高tanδを有するが、一般的なオレフィン系樹脂のため難燃性がなく、使用に制限がかかる。前述の特許文献3に記載の材料は、4-メチル-1-ペンテン系共重合体に対し、難燃剤を添加することで難燃性および低誘電特性を両立するものの、高引張伸び、高tanδを維持できない問題があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は4-メチル-1-ペンテン系共重合体と特定の難燃剤を包含する共重合体組成物による難燃性を有しながらも高引張伸び、高tanδを有する成形体を提供することにある。
本発明者らは、上述の状況に鑑み、前述の課題を解決するために鋭意検討した結果、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)と、特定の難燃剤(B)とを含む組成物を用いることにより、前述の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の[1]~[7]に関する。
[1]
下記要件(A-a)および(A-b)の少なくとも1つの要件を満たす4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を50~95質量部、および難燃剤(B)を5~50質量部〔(A)および(B)の合計を100質量部とする〕を含み、下記要件(X-a)および(X-b)を満たす共重合体組成物(X);
要件(A-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)を60~97モル%と、炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)を3~40モル%〔4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)と炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)の合計を100モル%とする。〕とからなる;
要件(A-b)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が160℃以下であるか、または融点が観測されない;
要件(X-a)-70~180℃の温度範囲で、10rad/s(1.6Hz)の周波数で動的粘弾性測定を行って得られる、tanδピーク温度が、0~45℃の範囲にある;
要件(X-b)-70~180℃の温度範囲で、10rad/s(1.6Hz)の周波数で動的粘弾性測定を行って得られる、tanδピーク値が、0.5以上である。
[2]
前記難燃剤(B)がリン酸基を有する項[1]に記載の共重合体組成物(X)。
[3]
前記難燃剤(B)がリン酸基を2つ以上有する項[2]に記載の共重合体組成物(X)。
[4]
項[1]~[3]のいずれか1項に記載の共重合体組成物(X)を含んでなるペレット。
[5]
項[1]~[3]のいずれか1項に記載の共重合体組成物(X)を含んでなる成形体。
[6]
項[1]~[3]のいずれか1項に記載の共重合体組成物(X)を含んでなるフィルムまたはシート。
[7]
項[1]~[3]のいずれか1項に記載の共重合体組成物(X)を含んでなる熱放射部材。
本発明によれば、4-メチル-1-ペンテン系共重合体の特徴である高引張伸び率、高tanδを維持したまま難燃性が付与された共重合体組成物および成形体を提供することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、本明細書において、「重合体」の語句は、特に断りのない限り、単独重合体および共重合体を包含する意味で用いられる。
本発明の共重合体組成物(X)および当該組成物からなる成形体は4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)と難燃剤(B)を含有する。以下、それぞれについて説明する。
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)>
本発明の共重合体組成物(X)の成分の一つである4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)〔以下、「共重合体(A)」と略記する場合がある。〕は、下記要件(A-a)および(A-b)の少なくとも1つの要件を満たす重合体である。
〈要件(A-a)〉
4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位〔以下、「構成単位(i)」と呼称する場合がある。〕60~97モル%と、炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる少なくとも1種から導かれる構成単位〔以下、「構成単位(ii)」と呼称する場合がある。〕が3~40モル%〔構成単位(i)と構成単位(ii)の合計を100モル%とする。〕とからなる。
要件(A-a)は、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)が、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)と、炭素原子数2~4のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から導かれる構成単位(ii)とを特定の割合で有することを規定している。
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、構成単位(i)の量の下限値は60モル%である。構成単位(i)の量は65モル%であることが好ましく、68モル%であることがより好ましい。一方、構成単位(ii)の量の上限値は97モル%である。構成単位(ii)の量は93モル%であることが好ましく、87モル%であることがより好ましい。
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)において、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)の量が上記の下限値以上であると、動的粘弾性で測定されるtanδピーク温度が室温付近になるため、得られる共重合体組成物のtanδピーク温度も後述の範囲内に調整しやすい。一方、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)の量が上記の上限値以下であると、室温での緩和性を有する。
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、構成単位(ii)の量の上限値は40モル%であり、35モル%であることが好ましく、32モル%であることがより好ましい。一方、構成単位(ii)の量の下限値は、3モル%であり、7モル%であることが好ましく、13モル%であることがより好ましい。
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を構成する各構成単位の含有率(モル%)の値は、13C-NMRにより測定される。なお、測定方法の詳細については、後述の実施例に記載する内容のとおりである。
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を構成する構成単位(ii)は、1つの化合物から導かれてもよいし、2以上の化合物から導かれてもよい。構成単位(ii)の具体例として、エチレン、プロピレン、1-ブテンなどが挙げられ、これらα-オレフィンの中でもプロピレンが好ましい。
構成単位(ii)として、プロピレンを選択することにより、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)のtanδピーク温度を上記範囲に調整しやすく、得られる共重合体組成物のtanδピーク温度を下記範囲内に設定でき、高い応力緩和性を付与する成形体が得られやすい。
〈要件(A-b)〉
示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が160℃未満であるか、または融点が観測されない。
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が160℃未満または融点が観測されず、融点が150℃以下または融点が観測されないことが好ましく、融点が140℃以下または観測されないことがさらに好ましい。
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点の下限は110℃以上または融点が観測されないことが好ましく、融点が観測されないことがより好ましい。
要件(A-b)を満たす4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を含む共重合体組成物は、高い応力緩和性を有する。
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、上記要件(A-a)および要件(A-b)に加え、下記要件(A-c)~(A-e)のうち少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
〈要件(A-c)〉
-70~180℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められるtanδピーク温度が、好ましくは0~45℃、より好ましくは15~45℃、さらに好ましくは25~45℃の範囲にある。
tanδピーク温度が上記の範囲内にある4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を含む共重合体組成物は、室温付近での応力緩和特性がより発揮することができる。
〈要件(A-d)〉
-70~180℃の温度範囲で、10rad/s(1.6Hz)の周波数で動的粘弾性測定を行って得られる、tanδピーク値が、0.5以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上である。tanδピーク値が、0.5以上であると、応力が加わった際のエネルギーを散逸させる能力に優れているため、得られる成形体は応力緩和性、応力吸収性が向上する。tanδピーク値が高ければ高いほど上述の効果が得られるため、その上限は特に制限されるものではないが、通常の測定で得られる範囲としては5.0以下である。
〈要件(A-e)〉
密度が、好ましくは830~870kg/m3、より好ましくは830~860kg/m3、さらに好ましくは830~850kg/m3である。
なお、密度の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載する内容のとおりである。本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の密度は、4-メチル-1-ペンテン系共重合体における構成単位(i)の量によって、適宜変えることができる。密度が上記の範囲内にある4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、柔軟性、機械特性が良好となるため有利である。
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、より好ましくは、下記要件(A-f)~(A-h)の1つ以上、さらに好ましくは2つ以上、特に好ましくは全てを満たす。
〈要件(A-f)〉
デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が、好ましくは0.1~5.0dl/g、より好ましくは0.5~4.0dl/g、さらに好ましくは1.0~3.5dl/gの範囲にある。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の極限粘度[η]は、後述するように、共重合体(A)の重合中に水素を併用すると分子量を制御でき、低分子量体から高分子量体まで自在に得て、上記範囲の極限粘度[η]に調整することができる。測定方法の詳細については、後述の実施例に記載する内容のとおりである。
共重合体(A)の極限粘度[η]は、
約20mgの重合体をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定する。このデカリン溶液にデカリンを5ml加えて希釈した後、上記と同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作を更に2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を下記式1により、極限粘度[η](単位:dl/g)として求める。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)・・・式1
〈要件(A-g)〉
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が、ポリスチレン換算で、500~10,000,000であることが好ましく、1,000~5,000,000、より好ましくは1,000~2,500,000以下であることがさらに好ましい。
またゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、1.0~3.5の範囲にあることが好ましい。より好ましくは1.2~3.0、さらに好ましくは1.5~2.8以下である。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)のMw/MnおよびMwは、たとえばメタロセン触媒を使用することで、上記範囲に調整することができる。
MwおよびMw/Mnは、液体クロマトグラフとしてWaters製ALC/GPC 150-C plus型(示唆屈折計検出器一体型)を用い、カラムとして東ソー株式会社製GMH6-HT×2本およびGMH6-HTL×2本を直列接続し、移動相媒体としてo-ジクロロベンゼンを用い、流速1.0ml/分、140℃で測定して得られるクロマトグラムを、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析して、求めることができる。
〈要件(A-h)〉
メルトフローレート(MFR;ASTM D1238準拠、温度230℃ 、荷重2.16kg)は、0.1~100g/10分であることが好ましく、0.5~50g/10分であることがより好ましく、1.0~30g/10分の範囲内にあることがさらに好ましい。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)が上記の範囲で下限値以上である場合には、難燃剤の良好な分散性が得られる。
前述の範囲の上限値以下である場合は、共重合体(A)の分子量が低すぎず、成形体として十分な機械強度が得られるため好ましい。
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の製造方法>
本発明に係わる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の製造方法は、特に限定されず、例えば、4-メチル-1-ペンテンと前述の炭素原子数2~4のα-オレフィンとをマグネシウム担持型チタン触媒、またはメタロセン触媒などの適切な重合触媒存在下で重合することにより製造できる。
ここで、使用することができる重合触媒としては、従来公知の触媒、例えば、マグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号、国際公開01/27124号、特開平3-193796号公報、あるいは特開平2-41303号公報、国際公開第2011/055803号、国際公開第2014/050817号等に記載のメタロセン触媒などが好適に用いられる。重合は、溶解重合および懸濁重合などを含む液相重合法、ならびに気相重合法などから適宜選択して行うことができる。
液相重合法では、液相を構成する溶媒として不活性炭化水素溶媒を用いることができる。上記不活性炭化水素の例には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、および灯油などを含む脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、およびメチルシクロヘキサンなどを含む脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどを含む芳香族炭化水素、ならびにエチレンクロリド、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、およびテトラクロロメタンなどを含むハロゲン化炭化水素、ならびにこれらの混合物などが含まれる。
また、液相重合法では、前述の4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)に対応するモノマー(すなわち、4-メチル-1-ペンテン)、前述の炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)に対応するモノマー(すなわち、前述の炭素原子数2~4のα-オレフィン)自体を溶媒とした塊状重合とすることもできる。
なお、上記の4-メチル-1-ペンテンと上記の炭素原子数2~4のα-オレフィンとの共重合を段階的に行うことにより、前記4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を構成する4-メチル-1-ペンテンの構成単位(i)、および、炭素原子数2~4のα-オレフィンの構成単位(ii)の組成分布を適度に制御することもできる。
重合温度は、-50~200℃が好ましく、0~100℃がより好ましく、20~100℃がさらに好ましい。重合圧力は、常圧~10MPaゲージ圧であることが好ましく、常圧~5MPaゲージ圧であることがより好ましい。
重合の時に、生成するポリマーの分子量や重合活性を制御する目的として、水素を添加してもよい。添加する水素の量は、前述の4-メチル-1-ペンテンの量と前述の炭素原子数2~4のα-オレフィンの量との合計1kgに対して、0.001~100NL程度が適切である。
<難燃剤(B)>
本発明の共重合体組成物(X)の成分の一つである難燃剤(B)は、特に限定はされず、種々公知の難燃剤を使用し得る。
これら難燃剤の中でも、リン酸基を有する難燃剤(リン系難燃剤)が好ましい。リン系難燃剤は、配合された組成物が高温下に晒された時にポリリン酸化合物を生成して耐熱皮膜を形成し、また、固体酸による炭化促進機構で難燃効果を示すと考えられている。
リン系難燃剤は、公知のものを制限なく使用できる。具体例としては、赤リンのようなリン単体;リン酸カルシウム、リン酸チタニウム等のようなリン酸塩;トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のようなリン酸エステル;ポリリン酸;ポリリン酸カルシウムのようなポリリン酸塩;ポリ(ジフェニルリン酸)のようなポリリン酸エステル;トリフェニルホスフィンオキサイドのようなホスフィンオキサイド;フェニルホスフォランのようなホスフォラン;ジフェニルホスホン酸のようなホスホン酸;ホスフィンスルフィド、などを挙げることができる。
これらリン系難燃剤の中でも、リン単体、リン酸塩、ポリリン酸およびポリリン酸塩がより難燃化効果が大きいために好適に使用できる。
本発明に係わる難燃剤(B)としては、リン酸基を2つ以上有する化合物がより好ましく、ポリリン酸塩であることがさらに好ましく、ポリリン酸メラミンであることが特に好ましい。
<共重合体組成物(X)>
本発明の共重合体組成物(X)は、上記共重合体(A)を50~95質量部、好ましくは55~90質量部、さらに好ましくは60~80質量部、および、上記難燃剤(B)を5~50質量部、好ましくは10~45質量部、さらに好ましくは20~40質量部〔(A)および(B)の合計を100質量部とする〕を含み、下記要件(X-a)および(X-b)を満たす組成物である。難燃剤(B)の含有量が上記範囲内にあることで十分な難燃性および応力緩和特性を有する。
〈要件(X-a)〉
-70~180℃の温度範囲で、周波数10rad/s(1.6Hz)による動的粘弾性測定で求められる損失正接tanδの値が最大となる際の温度(以下、「tanδピーク温度」ともいう。)が、0~45℃の範囲にある。
tanδピーク温度の下限値は、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。また、tanδピーク温度の上限値は、前記tanδピーク温度は、40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることがより好ましい。tanδピーク温度を上記の温度範囲にあると、本発明の共重合体組成物(X)から得られる成形体は幅広い環境温度下に対応して、高い応力緩和性を発揮する。
〈要件(X-b)〉
-70~180℃の温度範囲で、10rad/s(1.6Hz)の周波数で動的粘弾性測定を行って得られる、tanδピーク値が、0.5以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上である。tanδピーク値が、0.5以上であると、応力が加わった際のエネルギーを散逸させる能力に優れているため、得られる成形体は応力緩和性、応力吸収性が向上する。tanδピーク値が高ければ高いほど上述の効果が得られるため、その上限は特に制限されるものではないが、通常の測定で得られる範囲としては4.0以下である。
10rad/s(1.6Hz)の周波数で動的粘弾性測定を行って得られる、tanδピーク値が、0.5以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上である。tanδピーク値が、0.5以上であると、応力が加わった際のエネルギーを散逸させる能力に優れているため、得られる成形体は応力緩和性、応力吸収性が向上する。tanδピーク値が高ければ高いほど上述の効果が得られるため、その上限は特に制限されるものではないが、通常の測定で得られる範囲としては4.0以下である。
本発明の共重合体組成物(X)は、共重合体(A)、および、難燃剤(B)に加え、本発明の目的を損なわない範囲で、種々公知の添加剤、例えば、軟化剤、離型付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、帯電防止剤、顔料、染料、スリップ剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、赤外線吸収剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、結晶核剤、防黴剤、抗菌剤、および有機充填剤、あるいは、共重合体(A)以外の重合体を含んでいてもよい。
〈共重合体(A)以外の重合体〉
本発明の共重合体組成物(X)に配合し得る重合体としては、オレフィン系重合体;例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ブテン、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体;例えば、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体;例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体エチレン・クロトン酸エステル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル、エチレン・(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、エチレン・(メタ)アクリル酸イソブチル、エチレン・(メタ)アクリル酸シクロヘキシル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体;例えば、エチレン・酢酸ビニル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、アイオノマー、スチレン系樹脂;例えば、ポリスチレン、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体およびその水添物、スチレン・イソプレン共重合体およびその水添物、スチレン・イソブチレン共重合体、スチレン・イソブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、フッ素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラメチレングリコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリフェニレンテレフタルアミド、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリベンゾイミダゾール、シリコーン樹脂、ポリブタジエン、セルロース樹脂、およびこれらの重合体の混合物が挙げられる。これら重合体は、一種に限らず、二種以上の重合体であってもよい。これら重合体の中でも、オレフィン系重合体(オレフィン系樹脂)が好ましい。
上記重合体は、未変性の重合体に限られず、変性重合体であってもよい。
本発明の共重合体組成物(X)が、共重合体(A)以外の重合体を含む場合は、本発明の共重合体組成物(X)の全体に対して25質量%未満、であることが好ましい。
〈軟化剤〉
本発明の共重合体組成物(X)に配合し得る軟化剤の例としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどポリオレフィンワックス、石油アスファルトおよびワセリンなどを含む石油系物質、コールタールおよびコールタールピッチなどを含むコールタール類、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油および椰子油などを含む脂肪油、トール油、蜜ロウ、カルナウバロウおよびラノリンなどを含むロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-水酸化ステアリン酸、モンタン酸、オレイン酸およびエルカ酸などを含む脂肪酸またはその金属塩、石油樹脂、クマロンインデン樹脂およびアタクチックポリプロピレンなどを含む合成高分子、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペートおよびジオクチルセバケートなどを含むエステル系可塑剤、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエンまたはその変性物もしくは水添物、ならびに液状チオコールなどを含む公知の軟化剤が挙げられる。
さらに軟化剤としては、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸-プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィンワックスは変性されたワックス(変性ポリオレフィンワックス)であってもよい。中でも変性ポリオレフィンワックスは、共重合体(A)と難燃剤(B)を混練する際に共重合体(A)中での難燃剤(B)の凝集が抑制されるので混練するのが容易になので好ましい。
変性ポリオレフィンワックスの種類は特に限定されないが、変性ポリエチレンワックス、変性ポリプロピレンワックスが好ましく、変性ポリエチレンワックスがより好ましい。
変性ポリオレフィンワックスは、公知の方法で製造することが出来る。例えば、無溶剤あるいは溶剤中でポリオレフィンワックスに不飽和カルボン酸またはその誘導体をラジカル反応で付加する方法や、ルイス酸の存在下で付加する方法や、高温下で付加する方法が挙げられる。反応温度は20℃~300℃であり、特に120℃~250℃が好ましい。
〈離型付与剤〉
本発明の共重合体組成物(X)に配合し得る離型付与剤としては、例えば、高級脂肪酸の低級(炭素原子数1~4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(炭素原子数4~30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィンなどが挙げられる。
〈酸化防止剤〉
本発明の共重合体組成物(X)に配合し得る酸化防止剤としては、例えば、フェノール系(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)その他のメチレン架橋化多環フェノール等)、リン系(テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニレンジホスフォネート等)、アミン系(N,N-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン等)などが挙げられる。
〈紫外線吸収剤〉
本発明の共重合体組成物(X)に配合し得る紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系等が挙げられる。
抗菌剤としては、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素などが挙げられる。
〈界面活性剤〉
本発明の共重合体組成物(X)に配合し得る界面活性剤としては、例えば、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤などが挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
〈帯電防止剤〉
本発明の共重合体組成物(X)に配合し得る帯電防止剤としては、例えば、前述の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしてはステアリン酸やオレイン酸のエステルなどが挙げられ、高分子型帯電防止剤としてはポリエーテルエステルアミドなどが挙げられる。
〈顔料および染料〉
本発明の共重合体組成物(X)に配合し得る顔料および染料としては、例えば、無機顔料(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系などが挙げられる。
これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、本発明の共重合体組成物100質量部に対して、通常5質量部以下、好ましくは0.1~3質量部である。
〈スリップ剤〉
本発明の共重合体組成物(X)に配合し得るスリップ剤としては、例えば、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級脂肪酸塩(ステアリン酸カルシウム等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等)などが挙げられる。
<共重合体組成物(X)の製造方法>
本発明の共重合体組成物(X)の製造方法には特に限定されることはなく、例えば、従来公知の製造方法が使用できる。本発明の共重合体組成物(X)を構成する共重合体(A)、および難燃剤(B)、並びに、必要に応じて、前記種々公知の添加剤あるいは重合体などとを、公知の混合機、具体的には、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダー、V-ブレンダー等を用いて、ドライブレンドする方法、あるいは、溶媒に溶解させて溶液混合する方法が挙げられる。
上記混合機でドライブレンドした後、例えば、100~270℃の温度設定下で、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等により溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用することができる。それらの中でも、各成分の混合性や生産性の観点から、二軸押出機やバンバリーミキサーによる溶融混練が好ましい。それらの方法によって、各成分が均一に混合分散された高品質な共重合体組成物(X)のペレットを得ることができる。
本発明の共重合体組成物(X)の製造方法として、特に好ましくは難燃剤(B)が溶融した共重合体(A)に溶解する温度以上で溶融混合後、冷却固化して得られたペレット状等の固形物とする方法である。
難燃剤(B)が溶融した共重合体(A)に溶解する温度以上とは、本発明の効果を奏する温度であれば良く、必ずしも100%の難燃剤(B)が溶解する必要はなく、例えば、含有する難燃剤(B)中の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90%質量以上、特に好ましくは95質量%以上が溶解する温度を意味する。
また、共重合体(A)の着色等の劣化の観点より、溶融混合時の温度(T1)が高すぎることも好ましくなく、例えば、下記の範囲の温度であることが、推奨される。
Tm≦T1<Tm+15・・・(式1)
*Tmは、配合した難燃剤(B)が溶融した共重合体(A)に溶解する温度。
<成形体>
本発明の共重合体組成物(X)を含有する成形体として、例えば、シート、フィルム、射出成形体などが挙げられる。
本発明の成形体の製造方法には特に限定されることはなく、例えば、従来公知の製造方法が使用でき、押出成形、圧縮成形、射出成形、3D造形、マイクロ波加熱成形などが挙げられる。そのような成形方法の中でも押出成形によって、好適に成形体を製造することができる。
また、シート状の成形体を得たい場合には、一般的なT-ダイを装着した押出シート成形が好ましい。T-ダイを装着した単軸押出機あるいは二軸押出機にて、シリンダー温度180~250℃、キャスティングロール温度20~80℃で製膜し、シートを製造することができる。シートの厚みは、その用途にもよるが、通常10~1000μm、好ましくは20~500μmであると、シート成形時にピンホールが生じず、十分な機械強度が得られ、シートの量産性にも有利である。
シートの表面にはエンボス加工を施してもよく、シート成形時またはシート成形後に延伸してもよい。さらに、シートの残留応力を取り除く目的で、樹脂の融点未満の温度でアニーリング処理を行ってもよい。
本発明の共重合体組成物(X)を含む成形体は多層フィルムであってもよく、本発明の共重合体組成物(X)が多層フィルムを構成する一層に含有されていてもよい。
本発明の共重合体組成物(X)を含む積層体は、一軸方向または二軸方向に延伸されていてもよい。一軸延伸の好ましい方法としては、通常用いられているロール延伸法を例示することができる。二軸延伸の方法としては、一軸延伸の後に二軸延伸を行う逐次延伸法や、チューブラ延伸法のような同時二軸延伸法を例示することができる。
<用途>
本発明の共重合体組成物(X)および当該組成物を含む成形体は高い応力緩和性、振動吸収性に加え、難燃性を持つため、従来公知の用途である、自動車用資材、衣類用資材、衛生用資材、建築用資材、シューズ用資材、スポーツ用資材、レジャー用資材、産業用資材などの用途に用いることができる。
積層体の用途としては、産業用離型フィルム、半導体用工程フィルム、表面保護フィルム等が挙げられる。
さらに、例えば、粘着フィルム、プロテクトフィルム、半導体用工程保護フィルム、レンズ保護フィルム、半導体ウエハー用バックグラインドテープ、ダイシングテープ、基板用保護テープ(例:フレキシブル・プリント基板のメッキ処理の際に用いられるメッキマスク用保護テープ)などのエレクトロニクス分野に使用されるフィルムまたはテープ;窓ガラス保護用フィルム;焼付塗装用フィルム;にも好適に用いることができる。
また、粘着層(L1)は、凹凸追従性を有するため、表面に凹凸構造の多いプリズムシートや反射シート、シボ付けされた表面を保護するためのシート等にも好適に用いられる。
具体的には、アルミニウム、鋼、ステンレスなどからなる金属製部材、これらの金属部材に塗料を塗装した部材、ガラス製部材、合成樹脂製部材、さらには、これらの部材を用いた家電製品、自動車部品、電子部品などの被着体を保護するための表面保護フィルムとして好適に利用できる。
さらに、共重合体組成物(X)および当該組成物を含む成形体は、高い熱伝導性および難燃性が要求される用途における熱放射部材としても有用である。例えば、高い熱伝導性および難燃性が要求される機器電子部品、ノートパソコン、携帯電話、家庭用ゲーム機、VR、家電機器のような各種電子機器における熱放射部材、アルカリ電池、マンガン電池、リチウムイオン電池、鉛電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、自動車用バッテリー等のような電池パックにおける熱放射部材として使用ができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例および比較例における重合体の物性の測定方法、使用重合体、試験片の作製方法、および評価方法は次のとおりである。
重合体の物性の測定方法
〔組成〕
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)中の各構成単位(4-メチル-1-ペンテンおよびα-オレフィン)の含有率(モル%)は、13C-NMRにより測定した。
・測定装置:核磁気共鳴装置(ECP500型、日本電子(株)製)
・観測核:13C(125MHz)
・シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
・パルス幅:4.7μ秒(45°パルス)
・繰り返し時間:5.5秒
・積算回数:1万回以上
・溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(容量比:80/20)混合溶媒
・試料濃度:55mg/0.6mL
・測定温度:120℃
・ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
〔極限粘度[η]〕
重合体の極限粘度[η]は、上記記載の方法で測定した。
〔重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)〕
重合体の重量平均分子量(Mw)、および重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。
測定装置:GPC(ALC/GPC 150-C plus型、示差屈折計検出器一体型、Waters製)
カラム:GMH6-HT(東ソー(株)製)2本、及びGMH6-HTL(東ソー(株)製)2本を直列に接続
溶離液:o-ジクロロベンゼン
カラム温度:140℃
流量:1.0mL/min
〔メルトフローレート(MFR)〕
ASTM D1238に準拠し、230℃で2.16kgの荷重にて測定した。単位は、g/10分である。
〔密度〕
重合体の密度は、JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して、測定した。 〔融点(Tm)〕
重合体の融点(Tm)は、測定装置として示差走査熱量計(DSC220C型、セイコーインスツル(株)製)を用いて測定した。約5mgの重合体を、測定用アルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/minで200℃まで加熱する。重合体を完全融解させるために、200℃で5分間保持し、次いで、10℃/minで-50℃まで冷却する。-50℃で5分間置いた後、10℃/minで200℃まで2度目の加熱を行ない、この2度目の加熱でのピーク温度(℃)を重合体の融点(Tm)とする。なお、複数のピークが検出される場合には、最も高温側で検出されるピークを採用する。
<各種測定用シートの作製法>
180℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機(NS-50)を用い、ゲージ圧10MPaでシート成形した。1~3mm厚のシート(スペーサー形状;240×240mmの板に200×200×1~3mm)の場合、余熱を5~7分程度行い、ゲージ圧10MPaで1~2分間加圧した後、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、ゲージ圧10MPaで圧縮し、5分程度冷却して測定用試料を作成した。熱板として5mm厚の真鍮板を用いた。上記方法により作製したサンプルを用いて各種物性評価試料に供した。
〔動的粘弾性〕
動的粘弾性の測定は、測定対象とする重合体または共重合体組成物からなる厚さ3mmのプレスシートを測定試料として用い、さらに動的粘弾性測定に必要な45mm×10mm×3mmの短冊片を切り出した。ANTONPaar社製MCR301を用いて、10rad/s(1.6Hz)の周波数で-70~180℃までの動的粘弾性の温度依存性を測定し、0~40℃の範囲でガラス転移温度に起因する損失正接(tanδ)がピーク値(最大値)となる際の温度(以下「ピーク値温度」ともいう。)、およびその際の損失正接(tanδ)の値を測定した。
〔機械物性:引張強さ、引張伸び〕
成形体の引張強さおよび引張伸びは、ASTM D638 Type4に準拠したダンベル型成形体試験片を用いて引張試験により測定した。ここで、前記ダンベル型成形体試験片の調製は、前記「各種測定用シートの作製法」に記載の方法で得られた130mm×130mm×2mm厚の平板成形体(シート)を打抜くことによって行った。引張試験は、株式会社インテスコ製5本掛け引張試験機 2005X-5を用い、ASTM D638に準拠して23℃において、試験速度50mm/分で行った。
〔電気特性〕
測定対象とする重合体または共重合体組成物からなる50mm×50mm×0.5mm厚のシートを測定試料として用いた。上記シートを円筒空洞共振器(材質:銅、内部鏡面仕上げ)に設置し、YHP社製シンセサイズドスイーパー 8340Bを用いて10GHzの電気信号を出力し、ネットワークアナライザー 8510Bを用いて10GHz近傍の比誘電率、誘電損失を測定した。
〔難燃性〕
測定対象とする重合体または共重合体組成物からなる125mm×13.3mm×1.8mm厚のシートを測定試料として用いた。試料23℃、湿度50%の状態で48時間以上静置した後、アトラス社製UL燃焼テストチャンバーを用いて、試験片を水平に固定した状態で30秒間接炎した。その後、25mm標線から100mm標線の燃焼速度により難燃性を評価した。測定は各3回実施した。燃焼状態が下記A~Cであれば燃焼試験合格となる。
燃焼状態:
A:炎の先端が25mmの標線を超えなかった場合
B:炎の先端が25mmの標線は過ぎたが、100mmの標線の前で消えた場合
C:炎の先端が100mmの標線を過ぎた場合、標線25mmと100mmの間の燃焼速度が毎分76.2mmを超えない場合
〔重合体〕
<合成例1>
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体(Aー1)の合成>
充分に窒素置換した容量1.5Lの攪拌翼付のSUS製オートクレーブに、300mlのn-ヘキサン(乾燥窒素雰囲気下、活性アルミナ上で乾燥したもの)、及び450mlの4-メチル-1-ペンテンを23℃で装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温が60℃になるまで加熱し、全圧(ゲージ圧)が0.40MPaとなるようにプロピレンで加圧した。
続いて、予め調製しておいた、Al換算で1mmolのメチルアルミノキサン、及び0.01mmolのジフェニルメチレン(1-エチル-3-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを含むトルエン溶液0.34mlを、オートクレーブに窒素で圧入し、重合反応を開始させた。重合反応中は、オートクレーブの内温が60℃になるように温度調整した。
重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合反応を停止させた後、オートクレーブ内を大気圧まで脱圧した。脱圧後、反応溶液に、該反応溶液を攪拌しながらアセトンを添加し、溶媒を含む重合反応生成物を得た。
次いで、得られた溶媒を含む重合反応生成物を減圧下、100℃で12時間乾燥させて、36.9gの粉末状の4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)(以下、「共重合体(A-1)」)を得た。得られた共重合体(A-1)の各種物性の測定結果を表1に示す。
共重合体(A-1)中の4-メチル-1-ペンテンの含有率は72.5mol%であり、プロピレンの含有率は27.5mol%であった。また、共重合体A-1の密度は839kg/m3であった。共重合体(A-1)の極限粘度[η]は1.5dl/gであり、重量平均分子量(Mw)は337,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であり、メルトフローレート(MFR)は11g/10分であった。共重合体(A-1)の融点(Tm)は観測されなかった。
Figure 2023115542000001
〔難燃剤(B)〕
難燃剤(B)としては下記のものを使用した。
<難燃剤(B-1)>
株式会社三和ケミカル製:グレード名 MPP-A(一般名:ポリリン酸メラミン)
〔4-メチル-1-ペンテン重合体(E-2)〕
国際公開2006/054613号の比較例7や比較例9に記載の重合方法に準じて、4-メチル-1-ペンテン、1-デセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、水素の割合を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン・1-ヘキサデセン・1-オクタデセン共重合体(E-2)(以下、「共重合体(E-2)」)を得た。共重合体(E-2)の260℃、5kgfで測定したメルトフローレート(MFR)は21g/10分であり、tanδピーク温度は30℃であり、融点は224℃であった。
[実施例1]
共重合体(A-1)70質量部と、難燃剤(Bー1)30質量部を配合し、単軸押出機(商品名:サーモ20mm単軸押出機、サーモプラスチック工業(株)製、スクリュー径20mmφ、L/D=28)を用いて設定温度200℃、樹脂押出量16.6g/minおよび75rpmの条件で造粒して、ペレット状の共重合体組成物を得た。
得られた共重合体組成物を、加熱プレスを用い、190℃で5分加熱後、冷却プレスをし、厚さ2mmのプレスシートを得た。得られたシートの各種物性を表2に示す。
[実施例2]
共重合体(A-1)60質量部と、難燃剤(B-1)40質量部を配合した以外は実施例1と同様にしてシートを得た。得られたシートの各種物性を表2に示す。上述の難燃性の試験では、実施した3回のうち、2回がA判定、残り1回がB判定であった。
[比較例1]
実施例1で用いた共重合体(A-1)に替えて、オレフィン系エラストマー(E-1)(商品名 Vistamaxx6202、Exxon-Mobil社製、MFR:20g/10分(230℃、2.16kgf)、tanδピーク温度:-22℃)を用いた以外は実施例1と同様にしてシートを得た。得られたシートの各種物性を表2に示す。
[比較例2]
実施例1で得られた共重合体組成物に替えて、共重合体(A-1)のみを使用して実施例1と同様にしてシートを得た。得られたシートの各種物性を表2に示す。
[比較例3]
実施例1で用いた共重合体(A-1)に替えて、共重合体(E-2)を使用した以外は実施例1と同様にしてシートを得た。得られたシートの各種物性を表2に示す。
Figure 2023115542000002

Claims (7)

  1. 下記要件(A-a)および(A-b)の少なくとも1つの要件を満たす4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を50~95質量部、および難燃剤(B)を5~50質量部〔(A)および(B)の合計を100質量部とする〕を含み、下記要件(X-a)および(X-b)を満たす共重合体組成物(X);
    要件(A-a)4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)を60~97モル%と、炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)を3~40モル%〔4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)と炭素原子数2~4のα-オレフィンから導かれる構成単位(ii)の合計を100モル%とする。〕とからなる;
    要件(A-b)示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が160℃以下であるか、または融点が観測されない;
    要件(X-a)-70~180℃の温度範囲で、10rad/s(1.6Hz)の周波数で動的粘弾性測定を行って得られる、tanδピーク温度が、0~45℃の範囲にある;
    要件(X-b)-70~180℃の温度範囲で、10rad/s(1.6Hz)の周波数で動的粘弾性測定を行って得られる、tanδピーク値が、0.5以上である。
  2. 前記難燃剤(B)がリン酸基を有する請求項1に記載の共重合体組成物(X)。
  3. 前記難燃剤(B)がリン酸基を2つ以上有する請求項2に記載の共重合体組成物(X)。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の共重合体組成物(X)を含んでなるペレット。
  5. 請求項1~3のいずれか1項に記載の共重合体組成物(X)を含んでなる成形体。
  6. 請求項1~3のいずれか1項に記載の共重合体組成物(X)を含んでなるフィルムまたはシート。
  7. 請求項1~3のいずれか1項に記載の共重合体組成物(X)を含んでなる熱放射部材。
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