JP2012097249A - 制振ダンパー用材料および制振ダンパー - Google Patents

制振ダンパー用材料および制振ダンパー Download PDF

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Abstract

【課題】制振性および軽量性に優れ、しかも耐薬品性、耐加水分解性に優れた制振ダンパー用材料、ならびにこのような特性を有する制振ダンパーを提供すること。
【解決手段】下記要件(a)および(b)を満たす4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)を少なくとも含有することを特徴とする制振ダンパー用材料。(a)15〜75モル%の4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)と、25〜85モル%のプロピレンから導かれる構成単位(ii)(ただし、構成単位(i)の割合と構成単位(ii)の割合との合計は100モル%である。)とからなる。(b)密度が830〜860kg/m3の範囲にある。
【選択図】なし

Description

本発明は、制振ダンパー用材料および制振ダンパーに関し、特に建築分野における骨格構造形成材料の衝撃的な変異や振動を吸収するための、制振ダンパー用材料および制振ダンパーに関する。
建築分野においては、地震や台風等による揺れを吸収して建築物に非常に高い制振構造を付与するための制振ダンパーの開発が行われている。安定した振動減衰性を有する制振ダンパーに使用される制振材料に対しては、柱などの骨格構造形成材料の衝撃的な変位や振動を吸収する作用を発揮させるために高い減衰性が要求される。
たとえば、国際公開第01/074964号パンフレット(特許文献1)、特開2002−161209号公報(特許文献2)には、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を主成分とする重合体ブロックからなるブロック共重合体を含む制振材組成物、ならびに該組成物を用いてなる制振ダンパーが記載され、これらの制振材組成物等は、室温付近での高い振動減衰性の実現を1つの目的としている。
特許文献1の実施例においては、制振材組成物の動的粘弾性測定(周波数:0.1〜5Hz)を行って得られる0〜40℃での損失正接(tanδ)は0.52〜1.22程度であり、特許文献2には、同様に動的粘弾性測定を行って得られる10〜30℃でのtanδの値として、0.7以上が最も好ましいと記載されているが、実施例におけるtanδの値は不明である。
また、制振ダンパー用の材料ではないが、たとえば、特開2005−336460号公報(特許文献3)には、特定のスチレン系ブロック共重合体を含有する熱可塑性エラストマー組成物からなる防振部材が開示され、特開2000−198974号公報(特許文献4)、特開2006−206628号公報(特許文献5)などにも、熱可塑性エラストマー組成物からなる制振材または防振材が開示され、特開2003−64227号公報(特許文献6)には、防振材として、油展EPDM、エチレン/α−オレフィン共重合体およびエステル系可塑剤からなるEPDM組成物が開示されている。
さらに、国際公開第2005/121192号パンフレット(特許文献7)には、4−メチル−1−ペンテン系共重合体およびこれを含有する組成物が開示され、その用途として制振材が挙げられている。
国際公開第01/074964号パンフレット 特開2002−161209号公報 特開2005−336460号公報 特開2000−198974号公報 特開2006−206628号公報 特開2003−64227号公報 国際公開第2005/121192号パンフレット
しかしながら、特許文献1〜2に記載された制振材組成物や制振ダンパーは、芳香族ビニル系化合物をモノマーとして利用しているため臭気や低分子量物質の析出の点で、またアスファルトとの組成物となるため高密度となり軽量性の点で課題が残った。
スチレン系の熱可塑性エラストマー組成物からなる防振材(特許文献3)は、密度が高く軽量性および防振性に課題があり、特許文献4、5の熱可塑性エラストマー組成物からなる制振材または防振材も、組成物の一部であるポリエステル、ポリアミド部分の耐薬品性、耐加水分解性の点でも課題があった。
また、EPDM組成物からなる防振材(特許文献6)は、柔軟性であるものの室温でのtanδ値が0.3前後と、制振性が十分ではなかった。またエステル系可塑剤を含むことからも耐薬品性、耐加水分解性の課題があった。
本発明は、上述したような従来技術における問題点を解決することを目的としており、具体的には、室温付近での制振性に優れ、軽量であり、しかも耐薬品性、耐加水分解性に優れた制振ダンパーを製造するための制振ダンパー用材料、およびこのような特性を有する制振ダンパーを提供することを目的としている。
本発明の制振ダンパー用材料は、下記要件(a)および(b)を満たす4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)を少なくとも含有することを特徴としている;
(a)15〜75モル%の4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)と、25〜85モル%のプロピレンから導かれる構成単位(ii)(ただし、構成単位(i)の割合と構成単位(ii)の割合との合計は100モル%である。)とからなる。
(b)密度が830〜860kg/m3の範囲にある。
前記制振ダンパー用材料は、前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)、および熱可塑性樹脂(ただし、共重合体(A)を除く。)またはゴム(B1)を含有する樹脂組成物であってもよい。
本発明の制振ダンパーは、本発明の制振ダンパー用材料を少なくとも一部に含んでなることを特徴としている。
本発明によれば、室温付近での制振性および軽量性に優れる制振ダンパー用材料、ならびにこのような特性を有する制振ダンパーが提供される。
また、本発明の制振ダンパー用材料および制振ダンパーは、ポリオレフィンである前記4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A)を含有するため、耐薬品性、耐加水分解に優れている。
以下、本発明の制振ダンパー用材料、および制振ダンパーをさらに詳細に説明する。
[制振ダンパー用材料]
本発明の制振ダンパー用材料は、特定の物性を有する4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)を少なくとも含有することを特徴としている。
<4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)>
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)は、以下の要件(a)および(b)を満たす。
要件(a);
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)は、15〜75モル%の4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)と、25〜85モル%のプロピレンから導かれる構成単位(ii)(ただし、構成単位(i)の割合と構成単位(ii)の割合との合計は100モル%である。)とからなる。
4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)の割合は、好ましくは20〜75モル%であり、より好ましくは20〜65モル%であり、さらに好ましくは20〜33モル%であり、特に好ましくは20〜32モル%である。
また、プロピレンから導かれる構成単位(ii)の割合は、好ましくは25〜80モル%であり、より好ましくは35〜80モル%であり、さらに好ましくは67〜80モル%であり、特に好ましくは68〜80モル%である。
前記構成単位(i)の割合が15モル%よりも過小であると、制振ダンパーの制振性、軽量性が損なわれ、72モル%よりも過大であると、制振ダンパーの制振性が損なわれる。
なお、前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)は、本発明の目的を損なわない程度の少量(たとえば、10モル%以下)であれば、他のモノマーから導かれる構成単位を含んでいてもよい。他のモノマーの具体例としては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1-オクテン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが好ましい。
要件(b);
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の密度(ASTM D 1505にて測定)は、860〜830kg/m3の範囲にある。なお、測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載のとおりである。
前記密度は、好ましくは855〜830kg/m3である。
密度は4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)のコモノマー組成比によって変えることができ、前記共重合体(A)は、その密度が上記範囲内にあるため、軽量な制振ダンパーを製造する上で有利である。
さらに、前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)は、好ましくは、下記要件(c)および(d)を満たす。
要件(c);
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の、−40℃〜150℃の温度範囲で、10rad/sの周波数で動的粘弾性測定(測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載のとおりである。)を行って得られる損失正接tanδの最大値(以下「tanδピーク値」ともいう。)は、好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは1.5〜5.0、さらに好ましくは2.0〜4.0の範囲にある。
また、前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の、−40℃〜150℃の温度範囲で10rad/sの周波数で動的粘弾性測定(測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載のとおりである。)して得られる損失正接tanδの値が最大となる際の温度(以下「tanδピーク温度」ともいう。)は、好ましくは−10℃〜40℃、より好ましくは0℃〜40℃、さらに好ましくは5℃〜40℃の範囲にある。
要件(d);
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の、20℃で10rad/sの周波数で動的粘弾性測定(測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載のとおりである。)して得られる損失正接tanδの値は、好ましくは0.5〜5.0、より好ましくは0.5〜4.0、さらに好ましくは0.5〜3.5の範囲にある。
tanδの最大値は前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)のコモノマー組成などにより制御することができ、たとえば共重合体(A)中の4−メチル−1−ペンテン含量を20〜75モル%にすることで、要件(c)および(d)を満たすことができる。
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)が要件(c)および(d)を満たすと、前記制振ダンパー用材料は制振性に優れる。
共重合体(A)のその他の特徴;
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の、135℃のデカリン中での極限粘度[η]は、好ましくは0.01〜5.0(dL/g)、より好ましくは0.05〜4.0(dL/g)、さらに好ましくは0.1〜4.0(dL/g)、特に好ましくは0.5〜3.5(dL/g)である。後述するように重合中に水素を併用すると分子量を制御でき、低分子量体から高分子量体まで自在に得て極限粘度[η]を調整することが出来る。
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算で、好ましくは500〜10,000,000、より好ましくは1,000〜5,000,000、さらに好ましくは1,000〜2,500,000である。
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との割合(分子量分布;Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜3.5、より好ましくは1.2〜3.0、さらに好ましくは1.5〜2.5である。
Mw/Mnの値が上記範囲内にある前記共重合体(A)は、機械特性、耐摩耗性に優れた制振ダンパーを、優れた成形性で製造する上で有利であり、工業的な価値がより高い。後述する触媒を用いれば、上記に記載の極限粘度[η]または重量平均分子量(Mw)の範囲内において、Mw/Mnの値が上記範囲内にある前記共重合体(A)を得ることができる。なお、前記Mw/Mnおよび前記Mwの値は、後述する実施例において採用された方法で測定した場合の値である。
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の、酢酸メチルによる抽出量は、好ましくは0〜1.5重量%、より好ましくは0〜1.0重量%、さらに好ましくは0〜0.8重量%、特に好ましくは0〜0.5重量%である。酢酸メチル抽出量は成形時のべたつきの指標となり、この値が大きいと、得られたポリマーは組成分布が大きく低分子量ポリマーを含み、成形時に不具合を生じる。酢酸メチル抽出量が上記範囲内であると、成形時のべたつきによる不具合は生じない。また後述する触媒を用いることで、立体規則性の低いアタクチック成分が少ない共重合体(A)が合成でき、得られた共重合体(A)を少なくとも含む制振ダンパー用材料を成形することで、べたつきがない制振ダンパーが得られる。
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の、示差走査型熱量計(DSC)によって測定した融点〔Tm〕は、110℃未満であるかまたは認められないことが好ましい。融点は前記共重合体(A)のコモノマー組成比によって変えることができ、融点が上記範囲内にある前記共重合体(A)は、柔軟な制振ダンパーを製造する上で有利である。
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の下式で定義される40℃での反発弾性率は、好ましくは0〜25%、より好ましくは0〜20%、さらに好ましくは0〜15%の範囲にある。
反発弾性率(%)=L(mm)/460×100
〔Lは、前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)から作成した厚さ6mmのプレスシートの上に、JIS K6400に準拠して、23℃で、460mmの高さから落下させた16.310gの剛体球の、跳ね返り高さである。〕
反発弾性率は前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)のコモノマー組成などにより制御することができ、たとえば4−メチル−1−ペンテン含量を20〜72モル%とすることで、反発弾性率を上記範囲内にすることができる。
前記4−メチル−1−ペンテン・α-オレフィン共重合体(A)の、押針接触開始から15秒後におけるショアーA硬度(JIS K6253に準拠、厚さ3mmのプレスシートの状態で測定)の値は、好ましくは5〜90、より好ましくは10〜80、さらに好ましくは15〜70、特に好ましくは15〜65である。なお、前記プレスシートの作成方法等の詳細は、後述する実施例の欄に記載のとおりである。
前記ショアーA硬度の値は、前記共重合体(A)のコモノマー組成により制御することができ、たとえば共重合体(A)中の4−メチル−1−ペンテン含量を20〜75モル%にすることで、これらの値が上記範囲にある共重合体(A)を得ることができる。
<製造方法>
次に、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の製造方法について説明する。
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の製造には、従来公知の触媒、例えばマグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号パンフレット、国際公開第01/27124号パンフレット、特開平3-193796号公報あるいは特開平02-41303号公報中に記載のメタロセン触媒などが好適に用いられ、さらに好ましくは、下記一般式(1)または(2)で表されるメタロセン化合物を含有するオレフィン重合触媒が好適に用いられる。
Figure 2012097249
Figure 2012097249
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、水素、炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R1からR4までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、R5からR12までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよく、Aは一部不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基であり、AはYと共に形成する環を含めて2つ以上の環構造を含んでいてもよく、
Mは周期表第4族から選ばれた金属であり、
Yは炭素またはケイ素であり、
Qはハロゲン、炭化水素基、およびアニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一のまたは異なる組合せで選ばれ、
jは1〜4の整数である。)
上記一般式(1)または(2)のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、水素、炭化水素基およびケイ素含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
炭化水素基は、好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数7〜20のアルキルアリール基であり、1つ以上の環構造を含んでいてもよい。また、炭化水素基の水素の一部または全部が水酸基、アミノ基、ハロゲン基、フッ素含有炭化水素基などの官能基で置換されていても良い。炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1,1−ジエチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、ネオペンチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル、1−メチル−1−シクロヘキシル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル、メンチル、ノルボルニル、ベンジル、2−フェニルエチル、1−テトラヒドロナフチル、1−メチル−1−テトラヒドロナフチル、フェニル、ビフェニル、ナフチル、トリル、クロロフェニル、クロロビフェニル、クロロナフチル等が挙げられる。
ケイ素含有炭化水素基は、好ましくはケイ素数1〜4かつ炭素原子数3〜20のアルキルシリル基またはアリールシリル基であり、その具体例としては、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル等が挙げられる。
フルオレン環上のR5からR12までの隣接した置換基は、互いに結合して環を形成してもよい。そのような置換フルオレニル基としては、ベンゾフルオレニル、ジベンゾフルオレニル、オクタヒドロジベンゾフルオレニル、オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル等を挙げることができる。
また、フルオレン環上のR5からR12の置換基は、合成上の容易さから左右対称、すなわちR5=R12、R6=R11、R7=R10、かつR8=R9であることが好ましく、フルオレン環が無置換フルオレン、3,6−二置換フルオレン、2,7−二置換フルオレンまたは2,3,6,7−四置換フルオレンであることがより好ましい。ここでフルオレン環上の3位、6位、2位、7位はそれぞれR7、R10、R6、R11に対応する。
上記一般式(1)のR13およびR14は、水素および炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよい。好ましい炭化水素基の具体例としては、上記と同様のものを挙げることができる。
Yは炭素またはケイ素である。一般式(1)の場合は、R13およびR14はYと結合し、架橋部として置換メチレン基または置換シリレン基を構成する。好ましい具体例としては、メチレン、ジメチルメチレン、ジイソプロピルメチレン、メチルtert−ブチルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、フルオロメチルフェニルメチレン、クロロメチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、ジクロロフェニルメチレン、ジフルオロフェニルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジビフェニルメチレン、ジp−メチルフェニルメチレン、メチル−p−メチルフェニルメチレン、エチル−p−メチルフェニルメチレン、ジナフチルメチレンまたはジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、メチル−tert−ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、フルオロメチルフェニルシリレン、クロロメチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジp−メチルフェニルシリレン、メチル−p−メチルフェニルシリレン、エチル−p−メチルフェニルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン等を挙げることができる。
一般式(2)の場合は、Yは一部不飽和結合および/または芳香族環を含んでいてもよい炭素原子数2〜20の2価の炭化水素基Aと結合し、シクロアルキリデン基またはシクロメチレンシリレン基等を構成する。好ましい具体例としては、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデン、ジヒドロインダニリデン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレン、シクロヘプタメチレンシリレン等を挙げることができる。
一般式(1)および(2)のMは、周期表第4族から選ばれる金属であり、Mとしてはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
Qはハロゲン、炭素原子数1〜20の炭化水素基、およびアニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一のまたは異なる組み合わせで選ばれる。ハロゲンの具体例としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、炭化水素基の具体例としては、上記と同様のものを挙げることができる。アニオン配位子の具体例としては、メトキシ、tert−ブトキシ、フェノキシ等のアルコキシ基、アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基、およびメシレート、トシレート等のスルホネート基等が挙げられる。孤立電子対で配位可能な中性配位子の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物、およびテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられる。これらのうち、Qは同一でも異なった組み合わせでもよいが、少なくとも一つはハロゲンまたはアルキル基であることが好ましい。
本発明における上記メタロセン化合物の具体例として、国際公開第01/27124号パンフレット、国際公開第2006/025540号パンフレット中に例示される化合物が好適に挙げられるが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の製造にメタロセン化合物を用いる場合、触媒成分は、
(a)メタロセン化合物(たとえば、上記一般式(1)または(2)で表されるメタロセン化合物)と、
(b)(b−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(b−2)メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および (b−3)有機アルミニウム化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物と、
さらに必要に応じて、
(c)微粒子状担体と
から構成される。製造方法としては、たとえば国際公開第01/27124号パンフレットに記載の方法を採用することが出来る。
また、有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)(以下「成分(b−1)」ともいう。)、メタロセン化合物(a)(以下「成分(a)」ともいう。)と反応してイオン対を形成する化合物(以下「成分(b−2)」ともいう。)、有機アルミニウム化合物(b−3)(以下「成分(b−3)」ともいう。)、および微粒子状担体(c)の具体例としては、これらの化合物または担体としてオレフィン重合の分野において従来公知のもの、たとえば国際公開第01/27124号パンフレットに記載された具体例が挙げられる。
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の製造において、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法いずれによっても実施できる。
液相重合法においては、不活性炭化水素溶媒を用いてもよく、不活性炭化水素の具体例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;およびエチレンクロリド、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、ならびにこれらの混合物などを挙げることができる。
また、4−メチル−1−ペンテンおよびプロピレン自身を溶媒とする塊状重合を実施することもできる。
また、4−メチル−1−ペンテンの単独重合と4−メチル−1−ペンテンとプロピレンとの共重合を段階的に行うことにより、組成分布が制御された4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)を得ることも可能である。
重合を行うに際して、成分(a)は、反応容積1リットル当り、周期律表第4族金属原子換算で通常10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モルとなるような量で用いられる。成分(b−1)は、成分(b−1)と、成分(a)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(b−1)/M]が、通常0.01〜5000、好ましくは0.05〜2000となるような量で用いられる。成分(b−2)は、成分(b−2)と成分(a)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(b−2)/M]が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。成分(b−3)は、成分(b−3)と成分(a)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(b−2)/M]が、通常10〜5000、好ましくは20〜2000となるような量で用いられる。
重合温度は、通常−50〜200℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜100℃の範囲である。
重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
重合に際して生成ポリマーの分子量や重合活性を制御する目的で水素を添加してもよく、その量は4−メチル−1−ペンテンおよびプロピレンの合計1kgあたり0.001〜100NL程度が適当である。
<他の成分(B)>
本発明の制振ダンパー用材料は、前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)に加えて、他の成分(B)を本発明の目的を損なわない範囲で含む組成物であってもよい。
この他の成分(B)としては、共重合体(A)以外の熱可塑性樹脂、ゴム、各種耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、核剤、滑剤、顔料、染料、老化防止剤、塩酸吸収剤、無機または有機の充填剤、有機系または無機系発泡剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、難燃剤等が挙げられる。
(熱可塑性樹脂またはゴム)
前記の熱可塑性樹脂またはゴム(以下「樹脂またはゴム(B1)」ともいう。)としては、特に制限はなく、例えば、以下の樹脂、ゴムが挙げられる。
熱可塑性ポリオレフィン系樹脂(前記共重合体(A)を除く。)、具体的には、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン;
熱可塑性ポリアミド系樹脂、具体的には、脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612);
熱可塑性ポリエステル樹脂、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマー;
熱可塑性ビニル芳香族系樹脂、具体的には、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、スチレン系エラストマー(スチレン・ブタジエン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソプレン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソブチレン・スチレンブロックポリマー、および前述の水素添加物);
熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体;エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂;石油樹脂;
共重合体ゴム、具体的には、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、プロピレン・プロピレン・ジエン共重合体、1−ブテン・プロピレン・ジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム等が例示される。
これらの熱可塑性樹脂、ゴムは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合せて使用してもよい。
これらの中でも、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、ポリスチレン、スチレン系エラストマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体、アイオノマー、フッ素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン・ジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、シリコーンゴムが好ましく、より好ましい形態としてはアイソタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン系エラストマー、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン・ジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、シリコーンゴムが挙げられる。
前記ロジン系樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸などで変性した変性ロジン、ロジン誘導体が挙げられる。また、このロジン誘導体としては、前記の天然ロジン、重合ロジンまたは変性ロジンのエステル化物、フェノール変性物およびそのエステル化物などが挙げられる。さらに、これらの水素添加物も挙げることができる。
前記テルペン系樹脂としては、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン、テルペンフェノール、テルペンアルコール、テルペンアルデヒドなどからなる樹脂が挙げられ、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、ジペンテン、などにスチレン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエンなどの芳香族モノマーを重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂なども挙げられる。また、これらの水素添加物も挙げることができる。
前記石油樹脂としては、たとえばタールナフサのC5留分を主原料とする脂肪族系石油樹脂、C9留分を主原料とする芳香族系石油樹脂およびそれらの共重合石油樹脂が挙げられる。すなわち、C5系石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分を重合した樹脂)、C9系石油樹脂(ナフサ分解油のC9留分を重合した樹脂)、C5C9共重合石油樹脂(ナフサ分解油のC5留分とC9留分とを共重合した樹脂)、スチレン・α−メチルスチレン共重合体石油樹脂、α−メチルスチレン重合体石油樹脂、イソプロペニルトルエン重合体石油樹脂などが挙げられ、タールナフサ留分のスチレン類、インデン類、クマロン、その他ジシクロペンタジエンなどを含有しているクマロンインデン系樹脂、p−ターシャリブチルフェノールとアセチレンの縮合物に代表されるアルキルフェノール類樹脂、o−キシレン、p−キシレンまたはm−キシレンをホルマリンと反応させてなるキシレン系樹脂なども挙げられる。
また、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる1つ以上の樹脂は、耐候性および耐変色性に優れるために水素添加誘導体が好ましい。前記樹脂の環球法による軟化点は、40〜180℃の範囲にあることが好ましい。また、前記樹脂のGPCにより測定される数平均分子量(Mn)分子量は100〜10,000程度の範囲にあることが好ましい。
ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる1つ以上の樹脂として、市販品を使用してもよい。
前記組成物が前記樹脂またはゴム(B1)を含有する場合には、前記共重合体(A)と前記樹脂またはゴム(B1)との合計量を100重量部とすると、制振ダンパーの制振性の観点からは、前記組成物中の共重合体(A)含量の下限値は、好ましくは30重量部、さらに好ましくは45重量部、特に好ましくは50重量部であり、制振ダンパーの制振性および軽量性の観点からは、共重合体(A)含量の上限値は、好ましくは98重量部、さらに好ましくは95重量部、特に好ましくは90重量部である。
(軟化剤)
前記軟化剤としては、従来公知の軟化剤を用いることができる。具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルトおよびワセリンなどの石油系物質;コールタールおよびコールタールピッチなどのコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油および椰子油などの脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウおよびラノリンなどのロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−水酸化ステアリン酸、モンタン酸、オレイン酸およびエルカ酸などの脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂およびアタクチックポリプロピレンなどの合成高分子;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペートおよびジオクチルセバケートなどのエステル系可塑剤;その他マイクロクリスタリンワックス、および液状ポリブタジエンまたはその変性物もしくは水添物;液状チオコールなどが挙げられる。
(無機充填剤)
前記無機充填剤の例としては、マイカ、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、グラファイト、ステンレス、アルミニウムなどの粉末充填剤;ガラス繊維や金属繊維などの繊維状充填剤などをあげることができる。なかでもマイカは減衰性を向上させる効果があるので好ましい。
本発明の制振ダンパー用材料が他の成分(B)を含む組成物からなる場合、該組成物は、各成分を従来公知の混合方法、たとえば、プラストミル、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー、ニーダールーダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用して製造することができる。
<制振ダンパー用材料>
本発明の制振ダンパー用材料は、前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)を少なくとも含有し、制振性、軽量性に優れている。
さらに、本発明の制振ダンパー用材料は、好ましくは下記物性(x)または(y)を有する。
(x):−40℃〜150℃の温度範囲で、周波数10rad/sで動的粘弾性測定(測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載のとおりである。)して得られる損失正接tanδの最大値が0.5〜10、好ましくは0.7〜8、より好ましくは0.7〜6、さらに好ましくは0.7〜4の範囲にある。また、tanδの値が最大となる際の温度が−25℃〜100℃、好ましくは−20℃〜50℃、より好ましくは−10℃〜40℃の範囲にある。
tanδの最大値は4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)のコモノマー組成比、または前記組成物中の共重合体(A)と他の成分との混合比などにより制御することができる。
(y):20℃で10rad/sの周波数で動的粘弾性測定(測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載のとおりである。)して得られる損失正接tanδの値が0.1〜5.0、より好ましくは0.3〜4.0、さらに好ましくは0.5〜3.5の範囲にある。20℃でのtanδの値は、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)のコモノマー組成比、または前記組成物中の共重合体(A)と他の成分との混合比などにより制御することができる。
本発明の制振ダンパー用材料は、ショアーA硬度の値(押針接触後15秒後の値。測定条件等の詳細は、後述する実施例の欄に記載のとおりである。)が、好ましくは5〜95、より好ましくは10〜85、さらに好ましくは15〜80である。また、下式で定義されるショアーA硬度(JIS K6253に準拠、厚さ3mmのプレスシートの状態で測定)の値の変化ΔHSが、好ましくは10〜60、より好ましくは10〜50、さらに好ましくは15〜40である。
ΔHS=(押針接触開始直後のショアーA硬度値 − 押針接触開始から15秒後のショアーA硬度値)
本発明に係る精神ダンパー用材料のショアーA硬度値は、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体(A)のコモノマー組成比、または本発明の防振材(たとえば、防振材(X1))中の成分の混合比などよって任意に変えることができ、ショアーA硬度値が上記範囲内であると、制振材は柔軟性に優れる。
<グラフト変性>
本発明の目的を損なわない範囲で、前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)の一部または全部はグラフト変性されていてもよく、前記他の成分(B)である熱可塑性樹脂の一部または全部はグラフト変性されていてもよい。グラフト変性に使用される極性化合物、グラフト変性の方法としては、従来公知の化合物、方法が挙げられ、たとえば特開2008−127440に記載された化合物、方法を採用することができる。
グラフト変性体のグラフト量は、通常0.1〜40重量%、好ましくは0.2〜30重量%、更に好ましくは0.2〜20重量%である。
前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)または前記熱可塑性樹脂がグラフト変性されていると、組成物の相溶性または接着性の点で優位である。
<架橋>
前記制振ダンパー用材料の少なくとも一部または全部は、架橋剤により架橋されていても良い。
架橋剤としては、特に制限はなく、硫黄、有機過酸化物、SiH基含有化合物が挙げられる。硫黄を用いる際には、その量は、制振ダンパー用材料中の前記共重合体(A)および前記他の成分(B)である熱可塑性樹脂との合計100重量部に対して好ましくは0.1〜10重量部である。有機過酸化物を用いる際には、その量は、制振ダンパー用材料中の前記共重合体(A)および前記熱可塑性樹脂との合計100重量部に対して好ましくは0.05〜15重量部である。
また、SiH基含有化合物を用いる際には、その量は、制振ダンパー用材料中の前記共重合体(A)および前記熱可塑性樹脂との合計100重量部に対して好ましくは0.2〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。SiH基含有化合物を用いる際には、触媒、および任意成分としてシランカップリング剤および/または反応抑制剤を加えても良い。
[制振ダンパー]
本発明の制振ダンパーは、本発明の制振ダンパー用材料を少なくとも一部に含んでなる。本発明の制振ダンパーは、その材料が本発明の制振ダンパー用材料である点を除けば、従来の制振ダンパーと同様であり、従来の制振ダンパー製造方法と同様の方法により製造することができる。
本発明の制振ダンパーの構造としては、たとえば、本発明の制振ダンパー用材料からなる少なくとも一層の制振材層とそれよりも一層多い鋼板とを交互に積層した構造、本発明の制振ダンパー用材料からなる少なくとも一層の制振材層とそれよりも一層多い鋼管とを同心円状に交互に積層した構造などが挙げられる。
前記鋼板または鋼管としては、たとえば一般構造用鋼板、冷間圧延鋼板、炭素鋼板、ステンレス鋼板、低合金鋼板などが挙げられる。
本発明の制振ダンパー用材料および制振ダンパーは、以下のような利点を有している。
・反発弾性率が低く、かつ損失正接tanδの値が高い共重合体(A)を含むので、制振性に優れている。
・ショアーA硬度が低いため、応力吸収性に優れている。
・密度が低いため、軽量である。
・中央加振法による制振性測定による損失係数が高いため、制振性に優れている。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
[測定条件等]
実施例における物性の測定条件等は、以下のとおりである。
〔組成〕
ポリマー中の4−メチル−1−ペンテンおよびプロピレン含量は、13C−NMRにより以下の装置および条件により測定した。日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒,試料濃度55mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は1万回以上、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。
〔密度〕
共重合体(A)の密度は、ASTM D 1505(水中置換法)に従って、ALFA MIRAGE社電子比重計MD−300Sを用い、水中と空気中で測定された各試料の重量から算出した。
〔融点(Tm)〕
ポリマーの融点(Tm)は,セイコーインスツルメンツ社製DSC220C装置で示差走査熱量計(DSC)により測定した。重合から得られた試料7〜12mgをアルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/分で200℃まで加熱した。その試料を、完全融解させるために200℃で5分間保持し、次いで10℃/分で−50℃まで冷却した。−50℃で5分間置いた後、その試料を10℃/分で200℃まで再度加熱した。この再度の(2度目の)加熱でのピーク温度を、融点(Tm)として採用した。
〔極限粘度〕
極限粘度[η]は,デカリン溶媒を用いて135℃で測定した。
〔分子量(Mw、Mn)・分子量分布(Mw/Mn)〕
共重合体(A)の分子量は、液体クロマトグラフ:Waters製ALC/GPC 150−C plus型(示唆屈折計検出器一体型)を用い、カラムとして東ソー株式会社製GMH6−HT×2本およびGMH6−HTL×2本を直列接続し、移動相媒体としてo−ジクロロベンゼンを用い、流速1.0ml/分、140℃で測定した。
得られたクロマトグラムを、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析することで、Mw/Mn値およびMz/Mw値を算出した。1サンプル当たりの測定時間は60分であった。
〔酢酸メチル抽出量〕
ポリマーをソックスレー抽出器に採取し、酢酸メチル下で加熱還流を行い、還流前後のポリマー量を秤量して、抽出量(重量%)を算出した。
〔各種測定用プレスシートの作製法〕
実施例および比較例の各制振ダンパー用材料(すなわち、ポリマーのみからなる制振ダンパー用材料、または樹脂組成物からなる制振ダンパー用材料)を、190℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、10MPaの圧力でシート成形した。1〜3mm厚のシート(スペーサー形状;240×240×2mm厚の板に80×80×0.5〜3mm、4個取り)の場合、余熱を5〜7分程度し、10MPaで1〜2分間加圧した後、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、10MPaで圧縮し、5分程度冷却して測定用試料を作成した。熱板として5mm厚の真鍮板を用いた。上記方法により作製したサンプルを各種物性評価試料に供した。
〔ショアーA硬度〕
ショアーA硬度(JIS K6253に準拠)の測定では、厚さ3mmのプレスシートを測定試料として用い、押針接触開始直後と押針接触開始から15秒後の目盛りを読み取った。さらに下式で定義されるショアーA硬度の値の変化ΔHSを以下のようにして求めた。
ΔHS=(押針接触開始直後のショアー硬度値 − 押針接触開始から15秒後のショアー硬度値)。
〔動的粘弾性〕
厚さ3mmのプレスシートを作成し、さらに動的粘弾性測定に必要な45mm×10mm×3mmの短冊片を切り出した。ANTONPaar社製MCR301を用いて、10rad/sの周波数で−40〜180℃までの動的粘弾性の温度依存性を測定し、ガラス転移温度に起因する損失正接(tanδ)がピーク値(最大値)となる際の温度(以下「ピーク時温度」ともいう。)、およびその際の損失正接(tanδ)の値を測定した。
さらに、20℃でのtanδを測定した。
〔反発弾性率〕
厚さ6mmのプレスシートを作成し、JIS K6400に準拠して、このプレスシート上に460mmの高さから16.310gの剛体球を落下させた際の跳ね返り高さL(mm)を測定し、下記式により定義される反発弾性率を求めた。
反発弾性率(%)=L(mm)/460×100
〔中央加振法による制振性試験〕
実施例および比較例の各制振ダンパー用材料を、190℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、10MPaの圧力で20mm×200mm×2mmにシート成形し、このシートを両面から厚み2mmの鉄板で挟んで温度非拘束型制振材を作製した。ここで、シートは、熱プレス法で190℃、10MPaの圧力で鉄板へ圧着した。
得られた非拘束型制振材について、損失係数測定装置(島津製作所製)を用いて、温度23℃にて中央加振法により損失係数を測定した。得られた損失係数の最大値を比較することで制振性能を評価した。なお、損失係数が大きいほど制振性能が高い。
〔実施例1〕
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で4−メチル−1−ペンテンを750ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAl)の1.0ミリモル/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌機を回した。次に、オートクレーブを内温30℃まで加熱し、全圧が0.74MPaGとなるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1ミリモル、ジフェニルメチレン(1−メチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.005ミリモルの量で含むトルエン溶液0.34mlのトルエン溶液を窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。その後60分間、オートクレーブを内温60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。得られた溶媒を含むゴム状の重合体を130℃、減圧下で12時間乾燥した。得られたポリマーは56.3gで、ポリマー中のプロピレン含量は、75.3mol%であった。ポリマーのTmは観察されず、極限粘度[η]は1.5dl/gであった。GPCから得られた分子量分布は、Mw=287000、Mn=144000、Mw/Mn=2.0であった。得られたポリマー(制振ダンパー用材料)の物性を表1に示す。
〔実施例2〕
重合器内の全圧が0.68MPaGになるようにプロピレンで加圧した以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたポリマーは45.9gで、ポリマー中のプロピレン含量は、68.9mol%であった。ポリマーのTmは観察されず、極限粘度[η]は1.5dl/gであった。GPCから得られた分子量分布は、Mw=267000、Mn=134000、Mw/Mn=2.0であった。得られたポリマー(制振ダンパー用材料)の物性を表1に示す。
〔実施例3〕
重合器内の全圧が0.35MPaGになるようにプロピレンで加圧した以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたポリマーは46.9gで、ポリマー中のプロピレン含量は、52.7mol%であった。ポリマーのTmは観察されず、極限粘度[η]=1.4dl/gであった。GPCから得られた分子量分布は、Mw=277000、Mn=132000、Mw/Mn=2.1であった。得られたポリマー(制振ダンパー用材料)の物性を表1に示す。
〔実施例4〕
重合器内の全圧が0.20MPaGになるようにプロピレンで加圧した以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたポリマーは35.5gで、ポリマー中のプロピレン含量は、40.0mol%であった。ポリマーのTmは観察されず、極限粘度[η]=1.4dl/gであった。GPCから得られた分子量は、Mw=272000、Mn=131000、Mw/Mn=2.1であった。得られたポリマー(制振ダンパー用材料)の物性を表1に示す。
〔実施例5〕
重合器内の全圧が0.15MPaGになるようにプロピレンで加圧した以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたポリマーは46.9gで、ポリマー中のプロピレン含量は、38.0mol%であった。ポリマーのTmは観察されず、極限粘度[η]=1.4dl/gであった。GPCから得られた分子量分布は、Mw=295000、Mn=142000、Mw/Mn=2.1であった。得られたポリマー(制振ダンパー用材料)の物性を表1に示す。
〔実施例6〕
重合器内の全圧が0.10MPaGになるようにプロピレンで加圧した以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたポリマーは29.7gで、ポリマー中のプロピレン含量は、28.1mol%であった。ポリマーのTmは観察されず、極限粘度[η]=1.4dl/gであった。GPCから得られた分子量分布は、Mw=289000、Mn=138000、Mw/Mn=2.1であった。得られたポリマー(制振ダンパー用材料)の物性を表1に示す。
〔実施例7〕
重合器内の全圧が0.09MPaGになるようにプロピレンで加圧した以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたポリマーは24.7gで、ポリマー中のプロピレン含量は、27.5mol%であった。ポリマーのTmは観察されず、極限粘度[η]=1.54dl/gであった。GPCから得られた分子量分布は、Mw=337000、Mn=164000、Mw/Mn=2.06であった。得られたポリマー(制振ダンパー用材料)の物性を表1に示す。
〔比較例1〕
重合器内の4−メチル−1−ペンテンを100ml、重合溶媒としてヘキサンを650ml加え、全圧が0.68MPaGになるようにプロピレンで加圧した以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたポリマーは21.2gで、ポリマー中のプロピレン含量は、90.0mol%であった。ポリマーのTmは69.1℃、極限粘度[η]は1.31dl/gであった。GPCから得られた分子量分布は、Mw=262000、Mn=133000、Mw/Mn=2.0であった。得られたポリマー(制振ダンパー用材料)の物性を表1に示す。
〔比較例2〕
重合器内の4−メチル−1−ペンテンを750ml、全圧が0.05MPaGになるようにプロピレンで加圧し、重合温度を60℃とした以外は、実施例1と同様に重合を行った。得られたポリマーは21.2gで、ポリマー中のプロピレン含量は、9.8mol%であった。ポリマーのTmは144.1℃、極限粘度[η]は1.45dl/gであった。GPCから得られた分子量分布は、Mw=296000、Mn=148000、Mw/Mn=2.1であった。得られたポリマー(制振ダンパー用材料)の物性を表1に示す。
〔比較例3〕
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で4−メチル−1−ペンテンを750ml、装入した。このオートクレーブに、トリエチルアルミニウム(TEA)の1.0ミリモル/mlトルエン溶液を0.94ml装入し、水素ガス120Nmlを導入して攪拌機を回した。次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.21MPaGとなるようにプロピレンで加圧した。続いて、既報の特開2008−144155を基に調整した固体状チタン触媒を0.013ミリモルの量で含むトルエン溶液を4.7ml窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。その後60分間、オートクレーブを内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。得られた溶媒を含むゴム状の重合体を130℃、減圧下で12時間乾燥した。得られたポリマーは47.9gで、ポリマー中のプロピレン含量は、67.2mol%であった。ポリマーのTmは観察されず、極限粘度[η]は1.78dl/gであった。得られた物性を表1に示す。tanδのピーク値から制振性に劣っていることが分かる。
〔比較例4〕
市販されている水素添加スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(株式会社クラレ社製、ハイブラー5127)を用いた。190℃でのMFRは5g/10minであった。比較例の物性を表1に示す。密度の値から軽量性に劣っていることが分かる。
〔比較例5〕
市販されているエチレン・α−オレフィン共重合体(三井化学社製、タフマーP0680)を用いた。190℃でのMFRは0.8g/10minであった。比較例の物性を表1に示す。反発弾性率、tanδのピーク値、温度値から制振性に劣っていることが分かる。
〔比較例6〕
市販されているエチレン・α−オレフィン共重合体(三井化学社製、タフマーA4070)を用いた。190℃でのMFRは0.8g/10minであった。比較例の物性を表1に示す。反発弾性率、tanδのピーク値、温度値から制振性に劣っていることが分かる。
Figure 2012097249
表1から明らかなように、実施例に示したポリマー(共重合体(A))は、tanδ値および反発弾性率の値、中央加振法から測定した損失係数から、制振性に優れている。したがって、これらのポリマーを含む制振ダンパー用材料は制振性に優れており、該制振材から制振性に優れた制振ダンパーを製造できることがわかる。
〔実施例8〕
実施例2で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体80重量部と、(株)プライムポリマー社製ポリプロピレンF107 20重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料とした。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例9〕
実施例5で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体80重量部と、(株)プライムポリマー社製ポリプロピレンF107 20重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料とした。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例10〕
実施例2で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体70重量部と、(株)プライムポリマー社製ポリプロピレンF107 20重量部と、三井化学(株)社製エチレン・α−オレフィン共重合体タフマーA4070 10重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例11〕
実施例1で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体45重量部と、(株)クラレ社製水素添加スチレン・イソプレン・スチレン共重合体ハイブラー5127 55重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例12〕
実施例5で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体45重量部と、(株)クラレ社製素添加スチレン・イソプレン・スチレン共重合体ハイブラー5127 55重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例13〕
実施例5で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体65重量部と、(株)クラレ社製水素添加スチレン・イソプレン・スチレン共重合体ハイブラー5127 35重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例14〕
実施例1で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体75重量部と、三井化学(株)社製ミラストマー5030N 25重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例15〕
実施例1で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体50重量部と、三井化学(株)社製ミラストマー5030N 50重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例16〕
実施例5で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体50重量部と、三井化学(株)社製ミラストマー5030N 50重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例17〕
実施例7で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体75重量部と、三井化学(株)社製ミラストマー5030N 25重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値から制振性に優れることがわかる。
〔実施例18〕
実施例7で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体50重量部と、三井化学(株)社製ミラストマー5030N 50重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例19〕
実施例7で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体30重量部と、三井化学(株)社製ミラストマー5030N 70重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例20〕
実施例5で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体75重量部と、三井化学(株)社製エチレン・α-オレフィン共重合体タフマーA4050S 25重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例21〕
実施例5で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体75重量部と、(株)プライムポリマー社製エボリューSP0540 25重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例22〕
実施例5で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体50重量部と、(株)プライムポリマー社製エボリューSP0540 50重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔実施例23〕
実施例5で得られた4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体75重量部と、旭化成株式会社製低密度ポリエチレンF2204.1 25重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。tanδのピーク値が高く制振性に優れることがわかる。
〔比較例7〕
(株)プライムポリマー社製ポリプロピレンF107 70重量部と、三井化学(株)社製エチレン・α−オレフィン共重合体 タフマーH130 30重量部を配合した。さらに、得られた混合物に対してチバ・ジャパン(株)社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤Irganox1010を1000ppm、リン系加工熱安定剤Irgafos168を1000ppm、日油(株)社製カルシウムステアレートを500ppm配合した。これらを、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度200℃で、樹脂仕込み量40g(装置バッチ容積=60cm3)、50rpm、5分間の条件下で溶融混練した後、取り出し20℃設定の冷却プレスで冷却し、シート状の樹脂組成物(制振ダンパー用材料)を得た。
これを適当な大きさに切断するなどして測定用試料を作成した。また、該試料を用いてプレスシートを作成して、物性を測定した。各種物性の測定結果を表2に示す。反発弾性率から制振性に劣っていることが分かる。
〔比較例8〕
市販されている三井化学株式会社製オレフィン系熱可塑性エラストマー ミラストマー5030Nの物性を表2に示す。
Figure 2012097249

Claims (3)

  1. 下記要件(a)および(b)を満たす4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)を少なくとも含有することを特徴とする制振ダンパー用材料。
    (a)15〜75モル%の4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)と、25〜85モル%のプロピレンから導かれる構成単位(ii)(ただし、構成単位(i)の割合と構成単位(ii)の割合との合計は100モル%である。)とからなる。
    (b)密度が830〜860kg/m3の範囲にある。
  2. 前記4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体(A)および熱可塑性樹脂(ただし、共重合体(A)を除く。)またはゴム(B1)を含有する樹脂組成物であって、下記要件(x)および(y)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の制振ダンパー用材料。
    (x)−40〜150℃の温度範囲で10rad/sの周波数で動的粘弾性測定を行って得られる損失正接tanδの最大値が0.5〜10である。
    (y)20℃で10rad/sの周波数で動的粘弾性測定を行って得られる損失正接tanδの値が0.1から5.0の範囲である。
  3. 請求項1または2に記載の制振ダンパー用材料を少なくとも一部に含んでなる制振ダンパー。
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