JP2023108944A - 4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物、当該4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物を含む成形体およびフィルム - Google Patents

4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物、当該4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物を含む成形体およびフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、4-メチル-1-ペンテン系共重合体の特徴である離型性、透明性を維持したまま高温の剛性(貯蔵弾性率)を向上させることで加熱時の変形を抑制させ、更に成形後の収縮が抑制された成形体を提供する。また、そのための共重合体組成物を提供する。【解決手段】4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)100質量部に対して、結晶核剤(B)を0.1質量部~10質量部含み、下記要件(a)および(b)を満たす、4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)である。要件(a);(X)の、-40~150℃の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められる損失正接(tanδ)の値が最大となる温度が、0℃以上60℃以下。要件(b);(X)の、-40~150℃の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められる50℃における貯蔵弾性率が、6×106Pa以上。【選択図】なし

Description

本発明は、4-メチル-1-ペンテン系共重合体を含む組成物および、当該4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物を含む成形体およびフィルムに関する。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体は、ポリエチレンやポリプロピレンに比べて、耐熱性、透明性、電気特性等に優れ、各種用途に広く使用されており、特に産業用離型フィルムやコンデンサ用フィルムなどが知られている(特許文献1)。また4-メチル-1-ペンテン系共重合体の分子量や組成を調整して低融点化することで応力緩和性が発現し、異物を包み込んだ状態で保持可能な産業用フィルムが開示されている(特許文献2)。
一方、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂は、安価でかつ非常にバランスの良い性能を有しており、様々な用途で幅広く使われており、中でもポリプロピレン系樹脂は、これまでの改良により剛性などの機械的特性や耐熱性などの熱的特性が大きく改善されて、自動車材料や工業材料などの分野で他の材料からの置き換えが進んでいる。これまでの改良によりポリプロピレン系樹脂の機械的特性が大きく向上されてきたが、例えば、自動車材料における軽量化の為には更なる充填剤等の量低減や薄肉化が必要であり、その為にはより一層のポリプロピレン系樹脂の剛性向上が求められている。
ポリプロピレン系樹脂の剛性を向上する方法には、大きく分けてポリプロピレン系樹脂の改良と添加剤の配合による改良の2つの流れがある。例えば、ポリプロピレン系樹脂の改良の場合、分子量やその分布、結晶性、更には様々な高次構造を制御することで剛性を向上することができる(特許文献3)。また、添加剤を配合する場合、最も簡単な方法は充填剤の配合であるが、その場合重量が増加するという問題があり、上記軽量化の求められている自動車材料などの分野では他の方法、例えば、結晶核剤等を配合して樹脂の配向を制御する方法なども広く使われている(特許文献4~6)。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体においてもこれまで剛性を向上させるために結晶核剤を配合する検討がなされている。これは4-メチル-1-ペンテン系共重合体と結晶核剤からなるフィルムは剛性が向上する一方で樹脂間の界面強度が低下するため、延伸することで微多孔化したフィルムがえられることから電池用セパレータへの展開がなされている(特許文献7、8)。
特開2014-11182号公報 特開2013-169685号公報 特開平11-12322号公報 特開平11-293084号公報 特開2014-95045号公報 特開2018-168386号公報 特開2019-73615号公報 国際公開第2010/013467号パンフレット
応力緩和性に優れる4-メチル-1-ペンテン系共重合体は、低誘電性や追従性により産業用フィルムに使用されていたが、その応力緩和性から結晶化速度が遅いため成形数日後にフィルムにシワが発生することで寸法変化が発生する、いわゆる成形収縮が発生するという課題があった。またその応力緩和性を付与させたため高温での剛性が低下することから、より高温での剛性向上を要望されている。
また上記の通り、これまでも様々な方法によりポリオレフィン樹脂の剛性向上が試みられてきたが、いずれも高剛性化による薄肉化ができ軽量性した成形体を得ることを目的としたり、高剛性化により破断伸びを低下させることで開孔性を向上させたりしていた。このことから結晶核剤を配合しても伸びや緩和性を維持したまま高温の剛性(貯蔵弾性率)を向上させることが課題となった。
本発明は、4-メチル-1-ペンテン系共重合体の特徴である離型性、透明性を維持したまま高温の剛性(貯蔵弾性率)を向上させることで加熱時の変形を抑制させ、更に成形後の収縮を抑制された成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の状況に鑑み、前述の課題を解決するために鋭意検討した結果、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)と、結晶核剤(B)とを含む特定の組成物を用いることにより、前述の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、例えば以下の[1]~[8]を含む。
[1] 4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)100質量部に対して、結晶核剤(B)を0.1質量部~10質量部含み、下記要件(a)および(b)を満たす、4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)。
要件(a);
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)の、-40~150℃の温度範囲の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められる損失正接(tanδ)の値が最大となる温度が、0℃以上60℃以下である。
要件(b);
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)の、-40~150℃の温度範囲の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められる50℃における貯蔵弾性率が、6×106Pa以上である。
[2] 前記4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)が、下記要件(e)~(h)から選ばれる1つ以上を満たす、[1]に記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)。
要件(e);
4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)55~97モル%と、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる1種以上から導かれる構成単位(ii)が3~45モル%(構成単位(i)と構成単位(ii)の合計を100モル%とする)とからなる。
要件(f);
示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が200℃未満であるか、または融点が観測されない。
要件(g);
-40~150℃の温度範囲の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められる損失正接(tanδ)の値が最大となる温度が、15℃以上45℃以下である。
要件(h);
密度が、830~870kg/m3である。
[3] 前記4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)が、下記要件(c)を満たす、[1]または[2]に記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)。
要件(c);
示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc)が70℃以上である。
[4] 前記結晶核剤(B)が、ジアセタール化合物からなるソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、およびアミド系核剤から選ばれる1種以上からなる結晶核剤である、[1]~[3]のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む成形体。
[6] [1]~[4]のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含むシートまたはフィルム。
[7] [6]に記載のシートおよびフィルムから選ばれる1以上を含む積層体。
[8] [1]~[4]のいずれかに記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む表面保護フィルム。
本発明によれば、4-メチル-1-ペンテン系共重合体の特徴である離型性、透明性を維持したまま高温の剛性(貯蔵弾性率)を向上させることで加熱時の変形を抑制させ、更に成形後の収縮を抑制された成形体を提供することができる。
図1は、実施例3と比較例1で得られたフィルムの、動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))から得られた温度と貯蔵弾性率(G’)の関係を示すグラフである。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、本明細書において、「重合体」および「(共)重合体」との語句は、特に断りのない限り、単独重合体および共重合体を包含する意味で用いられる。
本発明の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)および当該4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む成形体は、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)と結晶核剤(B)を含む。以下、それぞれについて説明する。
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)>
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)は、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)と結晶核剤(B)とを含み、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)100質量部に対して、結晶核剤(B)を0.1~10質量部を含む。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)中、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)100質量部に対して結晶核剤(B)の配合量は、好ましくは0.1~5質量部、さらに好ましくは0.1~3質量部である。4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)において、結晶核剤(B)の配合量が上記範囲内にあることで、高温の貯蔵弾性率、例えば、後述する動的粘弾性測定で得られる50℃における貯蔵弾性率が向上する。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)は、以下の要件(a)および(b)をともに満たす。
[要件(a)]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)は、-40~150℃ の温度範囲の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められる損失正接(tanδ)の値が最大となる温度(以下、この損失正接(tanδ)の値が最大となる温度を「tanδピーク温度」ともいう。)が、0℃以上60℃以下である。
前記tanδピーク温度の下限値については、前記tanδピーク温度は、5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。また、前記tanδピーク温度の上限値については、前記tanδピーク温度は、55℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、45℃以下であることが特に好ましい。tanδピーク温度を上記の温度範囲に調整することで、成形体は幅広い環境温度下に対応して、高い応力緩和性を発揮する。
[要件(b)]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)は、-40~150℃の温度範囲の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められる50℃における貯蔵弾性率(以下、この50℃における貯蔵弾性率を「G’@50℃」ともいう。)が6×106Pa以上である。
G’@50℃は、6.3×106Pa以上であることが好ましく、6.5×106Pa以上であることがより好ましく、6.8×106Pa以上であることが特に好ましい。G’@50℃の上限値については特に指定はないが、1.0×1012Pa以下であることが好ましく、1.0×1010Pa以下であることがより好ましく、8.0×109Pa以下であることが特に好ましい。G’@50℃を上記範囲に調整することで、成形体は高い応力緩和性を発揮しながらも寸法変化を抑制でき、高温での離型性を発現することができる。
本発明の典型的な態様において、本発明の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)は好ましくは、下記要件(c)または要件(d)を満たし、より好ましくは、要件(c)および要件(d)の両方を満たす。
[要件(c)]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc)が70℃以上である。
上記要件(c)について、好ましくは結晶化温度(Tc)が75℃以上、さらに好ましくは85℃以上である。
上記要件(c)を満たすことにより、本発明の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)において、結晶化速度が速くなり成形後のシワが抑制されやすくなる。また、結晶化温度(Tc)の上限値は特に制限されるものではないが、通常得られる4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)の範囲としては、200℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。
[要件(d)]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)は、-40~150℃の温度範囲の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))において、貯蔵弾性率G’が極小となる極小温度(TA)を有さない。
極小温度(TA)とは、4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を加温しながら貯蔵弾性率G’を測定していくと、温度上昇とともに貯蔵弾性率G’が降下するが、ある特定温度を境に、貯蔵弾性率G’が上昇に転じる場合の該特定温度のことをいう。
極小温度(TA)は、後述する4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)に含まれる結晶性が高い成分と非晶性の成分とのバランス、コモノマー種、コモノマー含量、および結晶化速度を制御すること等で発現し、また4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)が、結晶化速度が遅いポリマーである場合、冷却固化時に完全に結晶が成長していないことで発現することがある。
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)>
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)に含まれる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、限定されるものではないが、好ましくは以下の要件(e)~(h)の1つ以上、より好ましくは2つ以上、さらに好ましくは3つ以上、特に好ましくは全てを満たす。本発明の典型的な態様において、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、要件(e)~(h)の少なくとも1つの要件を満たす。
[要件(e)]
4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(以下、「構成単位(i)」ともいう。)55~97モル%と、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる1種以上から導かれる構成単位(以下、「構成単位(ii)ともいう」。)3~45モル%(構成単位(i)と構成単位(ii)の合計を100モル%とする)とを含む。
上記要件(e)は、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)が、構成単位(i)と、構成単位(ii)とを特定の割合で有することを規定している。
本明細書において、α-オレフィンから導かれる構成単位とは、α-オレフィンに対応する構成単位、即ち、-CH2-CHR-(Rは水素原子、またはアルキル基)で表される構成単位を示す。4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)についても同様に、4-メチル-1-ペンテンに対応する構成単位、即ち、-CH2-CH(-CH2CH(CH32)-で表される構成単位を示す。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)について、構成単位(i)の量の下限値は55モル%であり、65モル%であることが好ましく、68モル%であることがより好ましい。一方、構成単位(i)の量の上限値は97モル%であり、93モル%であることが好ましく、87モル%であることがより好ましい。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)において、構成単位(i)の量が上記の下限値以上であると、動的粘弾性で測定されるtanδピーク温度が室温付近になるため、樹脂組成物のtanδピーク温度も上記範囲内に調整しやすい。一方、構成単位(i)の量が上記の上限値以下であると、室温付近での高い応力緩和性を有する。
したがって、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)において、構成単位(ii)の量の上限値は45モル%であり、35モル%であることが好ましく、32モル%であることがより好ましい。
一方、構成単位(ii)の量の下限値は、3モル%であり、7モル%であることが好ましく、13モル%であることがより好ましい。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を構成する各構成単位の含有率(モル%)の値は、13C-NMRにより測定される。なお、測定方法の詳細については、後述の実施例に記載する内容のとおりである。
このように、本発明で用いられる4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位以外の構成単位として、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1つから導かれる構成単位を含んでいる。このような4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を含む4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)では、4-メチル-1-ペンテンと炭素原子数21以上のα-オレフィンとからなる4-メチル-1-ペンテンとα-オレフィンとの共重合体を含む樹脂組成物と比べて耐熱性と応力緩和性に優れる。
上記4-メチル-1-ペンテン以外の炭素原子数3~20のα-オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-オクタデセン、1-ヘキサデセンなどが挙げられ、この中でも特にエチレン、プロピレン、1-ブテンが好ましい。構成単位(ii)は、これらのうち1つの化合物から導かれてもよいし、2以上の化合物から導かれてもよい。
エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)として、プロピレンを選択することにより、tanδピーク温度を上記範囲内に設定しやすく、高い応力緩和性を付与する成形体が得られやすい。
本発明の典型的な態様において、4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を構成する4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、構成単位(i)と構成単位(ii)とのみからなる。すなわち、この態様において、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、4-メチル-1-ペンテンとエチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1つの単量体との共重合体である。
[要件(f)]
示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が200℃未満であるか、または融点が観測されない。
上記要件(f)において、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が200℃未満または融点が観測されず、好ましくは融点が160℃以下または融点が観測されず、さらに好ましくは融点が150℃以下または観測されず、特に好ましくは融点が150℃以下である。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点の下限は110℃以上または融点が観測されず、好ましくは融点が110℃以上、さらに好ましくは融点が130℃以上である。
「融点が観測されない」とは、示差走査熱量計(DSC)で測定した際に、融解熱量が1J/g以上の融解ピークが観測されないことを示す。なお、測定方法の詳細については、後述の実施例に記載する内容のとおりである。また融点が2つ以上現れる場合は、最大の温度を融点とする。
このような要件を満たすことにより4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)において、高い応力緩和性を有することができる。
[要件(g)]
-40~150℃の温度範囲の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められるtanδピーク温度が、15℃以上45℃以下である。
上記要件(f)について、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、-40~150℃の温度範囲の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められるtanδピーク温度が15℃以上45℃以下であり、20℃以上45℃以下であることが好ましく、25℃以上45℃以下であることがより好ましい。なお、測定方法の詳細については、後述の実施例に記載する内容のとおりである。
tanδピーク温度を上記の範囲内にすることで、室温付近での応力緩和特性がより発揮することができる。
[要件(h)]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の密度は、830~870kg/mである。
上記要件(h)について、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の密度は、好ましくは830~860kg/m3、よりに好ましくは830~850kg/m3である。なお、測定方法の詳細は、後述する実施例に記載する内容のとおりである。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の密度は、構成単位(i)と構成単位(ii)の組成比によって、適宜変えることができる。密度が上記の範囲内にある4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、透明性と離型性が良好となるため有利である。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は好ましくは、下記要件(i)~(k)の1つ以上、より好ましくは2つ以上、特に好ましくは全てを満たす。
[要件(i)]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が、0.1~5.0dl/gの範囲である。
上記要件(i)について、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の極限粘度[η]は好ましくは0.5~4.0dl/g、より好ましくは1.0~3.5dl/gである。後述するように、重合中に水素を併用すると分子量を制御でき、低分子量体から高分子量体まで自在に得て、上記範囲の極限粘度[η]に調整することができる。なお、測定方法の詳細については、後述の実施例に記載する内容のとおりである。
[要件(j)]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が、ポリスチレン換算で1,000~1,000,000以下である。
上記要件(j)について、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、5,000~800,000以下であることが好ましく、10,000~500,000以下であることがより好ましい。なお、測定方法の詳細については、後述の実施例に記載する内容のとおりである。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、1.0~3.5の範囲にあることが好ましく、1.2~3.0がより好ましく、1.5~2.8がさらに好ましい。前記分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であると、組成分布に由来する低分子量、低立体規則性ポリマーの影響が少なく、得られる成形体の機械強度が低下しにくいため好ましい。
[要件(k)]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)のメルトマスフローレイト(MFR;ASTM D1238準拠、温度230℃、荷重2.16kg)は、0.1~100g/10分である。
上記要件(j)について、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)のメルトマスフローレイトは、0.5~50g/10分であることが好ましく、1.0~30g/10分であることがより好ましい。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)のメルトマスフローレイト(MFR)が上記の範囲で下限値以上である場合には、後述する結晶核剤(B)との良好な分散性が得られる。上記範囲の上限値以下である場合は、樹脂の分子量が低すぎず、成形体として十分な機械強度が得られるため好ましい。
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の製造方法>
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、4-メチル-1-ペンテンとエチレンまたは炭素原子数3~20のα-オレフィンの単量体とをマグネシウム担持型チタン触媒、またはメタロセン触媒などの適切な重合触媒存在下で重合することにより4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を製造することができる。
使用することができる重合触媒としては、従来公知の触媒、例えば、マグネシウム担持型チタン触媒、国際公開第01/53369号、国際公開01/27124号、特開平3-193796号公報、あるいは特開平2-41303号公報、国際公開第2011/055803号、国際公開第2014/050817号等に記載のメタロセン触媒などが好適に用いられる。重合は、溶解重合および懸濁重合などを含む液相重合法、ならびに気相重合法などから適宜選択して行うことができる。
液相重合法では、液相を構成する溶媒として不活性炭化水素溶媒を用いることができる。上記不活性炭化水素の例には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、および灯油などを含む脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、およびメチルシクロヘキサンなどを含む脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどを含む芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロロベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、およびテトラクロロメタンなどを含むハロゲン化炭化水素;、ならびにこれらの混合物などが含まれる。
また、液相重合法では、例えば、上記要件(e)を満たす4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)においては、構成単位(i)に対応するモノマー(すなわち、4-メチル-1-ペンテン)および/または、構成単位(ii)に対応するモノマー(すなわち、エチレンまたは前述の炭素原子数3~20のα-オレフィン)自体を溶媒とした塊状重合とすることもできる。
なお、上述した液相重合により要件(e)を満たす-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を製造する場合、上記4-メチル-1-ペンテンと上記炭素原子数2~4のα-オレフィンとの共重合を段階的に行うことにより、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)を構成する構成単位(i)、および構成単位(ii)の組成分布を適度に制御することもできる。
重合温度は、-50~200℃が好ましく、0~100℃がより好ましく、20~100℃がさらに好ましい。重合圧力は、常圧~10MPaゲージ圧であることが好ましく、常圧~5MPaゲージ圧であることがより好ましい。
重合の時に、生成するポリマーの分子量や重合活性を制御する目的として、水素を添加してもよい。添加する水素の量は、前述の4-メチル-1-ペンテンの量と前述の炭素原子数2~4のα-オレフィンの量との合計1kgに対して、0.001~100NL程度が適切である。
<結晶核剤(B)>
本発明の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)に含まれる結晶核剤(B)は、上記4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)と溶融させて成形することで結晶化温度を高め、得られる成形体の結晶化速度を速めるために用いられる。
結晶核剤(B)は、一般的に溶解型核剤と分散型核剤に分類されるが、上記要件(a)および(b)を満たす限り、種々公知の核剤を使用することが可能である。本発明に係わる核剤としては、具体的には、ジアセタール化合物またはジアセタール化合物を含むソルビトール系核剤、ノニトール系核剤、アミド系核剤、安息香酸エステル塩系核剤、芳香族カルボン酸金属塩、リン酸エステル塩系核剤、脂環式カルボン酸金属塩核剤、ロジン系核剤等が挙げられる。
結晶核剤(B)は、好ましくは以下の要件(x)および(y)の1つ以上、より好ましくは全てを満たす。
[要件(x)]
結晶核剤(B)の融点が150~600℃の範囲にあるかまたは観測されず、且つ分子量が200~1000の範囲にある。
要件(x)について、結晶核剤(B)の融点が好ましくは200℃~600℃、より好ましくは融点が210℃~500℃の範囲にある。また結晶核剤(B)の分子量が、好ましくは250~800の範囲にあり、より好ましくは分子量が300~700の範囲にある。
[要件(y)]
結晶核剤(B)が、有機化合物からなり、ソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、アミド系核剤のいずれかである。
要件(y)について、結晶核剤(B)は、特に好ましくはリン酸エステル塩またはジアセタール化合物である。以下、リン酸エステル塩、ジアセタール化合物について説明する。
(1)リン酸エステル塩
リン酸エステル塩としては、核剤として用いられている公知のものを使うことができるが、好ましくは下記一般式(1)で表される化合物である。
一般式(1)中、R1~R4は、炭素原子数1~6のアルキル基を表し、R5は、水素原子または炭素原子数1~3のアルキル基を表し、nは1または2を表し、nが1の場合、Mは、リチウムまたはジヒドロキシアルミニウムを表し、nが2の場合、Mは、ヒドロキシアルミニウムを表す。
一般式(1)中のR1~R4で表される炭素原子数1~6のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、tert-アミル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル等が挙げられる。これらの中では、tert-ブチルが核剤効果に優れるので好ましい。また、一般式(1)中のR5で表される炭素原子数1~3のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルが挙げられる。
上記リン酸エステル塩は、現在ポリオレフィン用結晶核剤として市販されているもの、例えば、ADEKA(株)のNA-11、NA-21、NA-27、NA-71等をそのまま使用してもよい。
(2)ジアセタール化合物
ジアセタール化合物としては、特開2012-233149号公報などに開示されている公知のものを使うことができるが、好ましくは下記一般式(2)で示されるジアセタール化合物である。
式(2)中、R1およびR2は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子を表す。aおよびbは、夫々1~5の整数を示す。cは0又は1を示す。aが2である場合、2つのR1基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよく、又、bが2である場合、2つのR2基は互いに結合してそれらが結合するベンゼン環と共にテトラリン環を形成していてもよい。R3は、水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数2~4のアルケニル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基または炭素原子数1~4のハロゲン化アルキル基を表す。
上記ジアセタール化合物の中でも、剛性改善効果の観点から、1,3:2,4-ビス-O-(p-メチルベンジリデン)-D-ソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(p-エチルベンジリデン)-D-ソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)-D-ソルビトール、1,3:2,4-ビス-O-(p-n-プロピルベンジリデン)-1-プロピルソルビトール等が特に好ましい。
また、上記具体的な態様のジアセタール化合物は、単独で用いてもよいが、他の性能、例えば低温加工性等の観点から、2種以上のジアセタール化合物を併用、または予め混合した態様で用いてもよい。
また、現在ポリオレフィン用結晶核剤として市販されているもの、例えば、新日本理化(株)のゲルオールD、ゲルオールMD、ゲルオールDXR、ミリケン社(米国)のミラッド3988、ミラッドNX8000、大日精化工業(株)のクリアマスター等をそのまま使用してもよい。
(3)アミド系核剤
本発明のアミド系核剤は、国際公開第2010/035912号パンフレットなどに開示されている公知のものを使うことができるが、好ましくは、下記一般式(3)で示されるアミド系化合物である。
式(3)中、R4、R5、R6およびR7は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数5~20の置換基を有してもよいシクロアルキル基、又は炭素原子数6~20の置換基を有してもよいアリール基を表す。また、R4とR5と、又はR6とR7とが、それぞれ、互いに結合してアルキレン基を形成してもよい。
本発明のアミド系核剤は具体的には、例えば1,2,3-プロパントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド、1,2,3-プロパントリカルボン酸トリ(2-メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3-プロパントリカルボン酸トリ(3-メチルシクロヘキシルアミド)、1,2,3-プロパントリカルボン酸トリ(4-メチルシクロヘキシルアミド)等が挙げられる。
上記アミド系核剤は、現在市販されているもの、例えば、新日本理化(株)リカクリアPC-1やエヌジェスター NU-100等をそのまま使用してもよい。
本発明の結晶核剤(B)には助剤を含んでいてもよい。助剤は水およびポリオール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である。
水としては、例えば、水道水、工業水、精製水等が挙げられる。精製水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等が挙げられる。
ポリオール化合物は、水酸基を2個以上有する化合物である。ポリオール化合物の具体例としては、例えば、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ〔5,2,1,0,2,6〕デカン-ジメタノール、ビシクロ〔4,3,0〕-ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカンジオール、ビシクロ〔4,3,0〕ノナンジメタノール、トリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカン-ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ〔5,3,1,1〕ドデカノール、スピロ〔3,4〕オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’-ビシクロヘキシリデンジオール、4,4’-イソプロピリデン-ビスシクロヘキサノール、4,4’-オキシビスシクロヘキサノール、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキサノール)メタン等のグリコール類;グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、イソマルト等の糖アルコール;これら糖アルコールとミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸とからなるモノ脂肪酸エステル;ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトントリオール、シクロヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン等の水酸基を3個以上有する直鎖状、分岐状または環状の脂肪族ポリオール;シクロヘキサンジエタノールジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ヒドロキシベンジルアルコール、ジヒドロキシトルエン、4,4’-オキシビスフェノール、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-チオビスフェノール、フェノールフタレイン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’-(1,2-エテンジイル)ビスフェノール、4,4’-スルホニルビスフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジブロモフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジクロロフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,3,5,6-テトラクロロフェノール)等の芳香族ポリオール;、および4,4’-チオビスシクロヘキサノール等が挙げられる。
これらの中でも、グリコール類、糖アルコール、糖アルコールと脂肪酸とからなるモノ脂肪酸エステル、ポリビニルアルコールが、成形品の力学的特性および透明性をさらに優れたものとする観点から好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール、モノ12-ヒドロキシステアリン酸グリセロール、ポリビニルアルコールがさらに好ましく、エチレングリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール、キシリトール、モノステアリン酸グリセロール、ポリビニルアルコールが特に好ましい。
<その他の成分>
本発明の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)は、必要に応じて本発明の特性を損なわない範囲で、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)にも、前記結晶核剤(B)にも該当しないその他の成分(以下、「その他の成分」ともいう)をさらに含んでいてもよい。その他の成分として、例えば、公知の熱可塑性樹脂、または添加剤が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、オレフィン系重合体;例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、ポリ3-メチル-1-ブテン、エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体;例えば、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体;例えば、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体エチレン・クロトン酸エステル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル、エチレン・(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、エチレン・(メタ)アクリル酸イソブチル、エチレン・(メタ)アクリル酸シクロヘキシル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体;例えば、エチレン・酢酸ビニル・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、アイオノマー、スチレン系樹脂;例えば、ポリスチレン、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体およびその水添物、スチレン・イソプレン共重合体およびその水添物、スチレン・イソブチレン共重合体、スチレン・イソブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、フッ素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラメチレングリコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリフェニレンテレフタルアミド、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリケトン、ポリベンゾイミダゾール、シリコーン樹脂、ポリブタジエン、セルロース樹脂、およびこれらの重合体の混合物であり、その中でも、オレフィン系重合体(オレフィン系樹脂)を用いることが好ましい。
添加剤としては、例えば、軟化剤、離型付与剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、帯電防止剤、顔料、染料、スリップ剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、赤外線吸収剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、結晶核剤、防黴剤、抗菌剤、および有機充填剤などが挙げられるが、これらは限定されるものではない。これらの添加剤は1種単独で使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
軟化剤の例としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、石油アスファルトおよびワセリンなどを含む石油系物質;コールタールおよびコールタールピッチなどを含むコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油および椰子油などを含む脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウおよびラノリンなどを含むロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-水酸化ステアリン酸、モンタン酸、オレイン酸およびエルカ酸などを含む脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂およびアタクチックポリプロピレンなどを含む合成高分子;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペートおよびジオクチルセバケートなどを含むエステル系可塑剤;マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエンまたはその変性物もしくは水添物;、ならびに液状チオコールなどを含む公知の軟化剤が挙げられる。
さらに軟化剤としては、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸-プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂等が挙げられる。
離型付与剤としては、例えば、高級脂肪酸の低級(炭素原子数1~4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(炭素原子数4~30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィンなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)その他のメチレン架橋化多環フェノール等)、リン系(テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニレンジホスフォネート等)、アミン系(N,N-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン等)などが挙げられる。
難燃剤としては、例えば、ポリリン酸アンモニウム、エチレンビストリス(2-シアノエチル)ホスフォニウムクロリド、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(3-ヒドロキシプロピル)ホスフィンオキシド等のリン酸エステルおよびその他のリン化合物、塩素化パラフィン、塩素化ポリオレフィン、パークロロシクロペンタデカン等の塩素系難燃剤、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、エチレンビステトラブロモフタルイミド、テトラブロモビスフェノールA誘導体、テトラブロモビスフェノールS、およびテトラブロモジペンタエリスリトール等の臭素系難燃剤、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系等が挙げられる。
抗菌剤としては、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または両性界面活性剤を挙げることができる。
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、前述の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしてはステアリン酸やオレイン酸のエステルなどが挙げられ、高分子型帯電防止剤としてはポリエーテルエステルアミドなどが挙げられる。
顔料としては、例えば、無機含量(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としては、例えば、アゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系などが挙げられる。
スリップ剤としては、例えば、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級脂肪酸塩(ステアリン酸カルシウム等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等)などが挙げられる。
上記その他成分の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて、特に限定されないが、4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)100質量部に対して、それぞれ合計で、0.01~100質量部であることが好ましく、0.01~30質量部であることがさらに好ましく、0.05~20質量部であることが特に好ましい。
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)の製造方法>
本発明の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)の製造方法には特に限定されることはなく、例えば、従来公知の製造方法が使用できる。例えば、4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を構成する4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)と、結晶核剤(B)と、任意にその他の成分とを公知の混合機を用いて、ドライブレンドする方法、および溶媒に溶解させて溶液混合する方法が挙げられる。ここで、上記混合機として、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダー、V-ブレンダー等が挙げられる。
上記の混合機でドライブレンドした後、例えば、100~270℃の温度設定下で、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等により溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を採用することができる。それらの中でも、各成分の混合性や生産性の観点から、二軸押出機やバンバリーミキサーによる溶融混練が好ましい。それらの方法によって、各成分が均一に混合分散された高品質な4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)のペレットを得ることができる。
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)の製造方法として、特に好ましくは結晶核剤(B)が溶融した4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)に溶解する温度以上で溶融混合後、冷却固化する方法であり、これによりペレット状等の固形物を得ることができる。
結晶核剤(B)が溶融した4-メチル-1-ペンテン共重合体(A)に溶解する温度以上とは、本発明の効果を奏する温度であればよく、必ずしも100重量%の結晶核剤(B)が溶解する温度である必要はなく、例えば、含有する結晶核剤(B)中の70%重量以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上が溶解する温度を意味する。
また、樹脂の着色等の劣化の観点より、溶融混合時の温度(T1)が高すぎることも好ましくなく、例えば、下記式(a)の範囲の温度であることが、特に推奨される。
T≦T1<T+15・・・(a)
(Tは、配合した結晶核剤(B)が溶融した4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)に最大で1重量%溶解する温度を示す。)
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む成形体>
本発明の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含むからなる成形体は、上述のようにして得られた4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を成形することにより製造できる。4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む成形体として、例えば、シート、フィルム、射出成形体などが挙げられる。
本発明の成形体の製造方法には特に限定されることはなく、例えば、従来公知の製造方法が使用でき、押出成形、圧縮成形、射出成形、3D造形、マイクロ波加熱成形などが挙げられる。そのような成形方法の中でも押出成形によって、好適に成形体を製造することができる。
また、シート状またはフィルム状の成形体を得る場合には、一般的なTダイを装着した押出成形が好ましい。Tダイを装着した単軸押出機あるいは二軸押出機にて、シリンダー温度180~250℃、キャスティングロール温度20~80℃で製膜し、シートを製造することができる。シートの厚みは、その用途にもよるが、通常10~1000μm、好ましくは20~500μmであると、押出成形時にピンホールが生じず、十分な機械強度が得られ、シートの量産性にも有利である。
シートまたはフィルムの表面にはエンボス加工を施してもよく、押出成形時またはシート成形後に延伸してもよい。さらに、シートの残留応力を取り除く目的で、樹脂の融点未満の温度でアニーリング処理を行ってもよい。
また、4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む成形体は、上記結晶核剤(B)が溶融した上記4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)に溶解する温度未満で成形する配向ゲル成形法であってもよい。上記結晶核剤(B)が溶融した4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)に溶解する温度未満とは、本発明の効果を奏する温度であればよく、必ずしも100重量%の結晶核剤(B)が溶解していない状態である必要はなく、例えば、含有する結晶核剤(B)の70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは95重量%以上が溶解していない状態である温度を意味する。
また、成形性の観点より、成形時の温度(T2)が低すぎることも好ましくなく、例えば、下記式(b)の範囲の温度であることが、特に推奨される。
T-15≦T2<T・・・(b)
(Tは、配合した結晶核剤(B)が溶融した4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)に最大で1重量%溶解する温度を示す。)
4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む成形体は、4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含むシートまたはフィルムを含む積層体であり、典型的には多層シートまたは多層フィルムであってもよい。上記積層体が、多層シートまたは多層フィルムである場合、4-メチル-1ペンテン系共重合体組成物(X)が多層シートまたは多層フィルムを構成する一層に含有されていてもよいが、好ましくは多層シートまたは多層フィルムの基材層(L2)または表面層(L3)に含有されている。
積層体の製造方法としては特に制限されず、公知の多層シートまたは多層フィルムの成形方法を用いればよいが、好ましい方法の例としては、Tダイフィルム成形法やインフレーションフィルム成形法を用いて、別途準備した粘着層(L1)と4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む基材層(L2)とを共押出しする方法や、予め成形された基材層(L2)上に、粘着層(L1)を押出しコーティングする方法が挙げられる。また、溶液状の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を基材層(L2)上に塗布し、当該基材層(L2)上に粘着層(L1)を形成する方法も挙げられる。これらの中でも、粘着層(L1)と基材層(L2)とを共押出しする方法が好ましく、共押出しする方法としては、Tダイフィルム成形法がより好ましい。
基材層(L2)と粘着層(L1)と、必要に応じて設けられる4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む表面層(L3)とを含む積層体を製造する方法についても特に制限されず、予めTダイフィルム成形またはインフレーションフィルム成形などにより表面層(L3)を形成し、該表面層(L3)上に、押出しラミネーション、押出しコーティング等の公知の積層法により、基材層(L2)および粘着層(L1)を積層する方法や、表面層(L3)、基材層(L2)および粘着層(L1)を独立してフィルムとした後、各々のフィルムをドライラミネーションにより積層する方法等が挙げられるが、生産性の点から、表面層(L3)、基材層(L2)、粘着層(L1)の各層を形成する原料を多層の押出機に供して成形する共押出し成形が好ましく、共押出しする方法としては、Tダイフィルム成形法がより好ましい。このことは、中間層(L4)などの他の層を有する積層体を製造する場合にも同様に当てはまる。
上記積層体は、一軸方向または二軸方向に延伸されていてもよい。一軸延伸の好ましい方法としては、通常用いられているロール延伸法を例示することができる。二軸延伸の方法としては、一軸延伸の後に二軸延伸を行う逐次延伸法や、チューブラ延伸法のような同時二軸延伸法を例示することができる。
<用途>
本発明の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)および当該組成物からなる成形体の用途は特に限定されないが、例えば、自動車分野、電気・電子分野、土木・建築分野、バイオマス・エネルギー関連分野、光学分野、食品分野、医療分野などの多岐の用途で利用することができる。特に、粘着剤、粘着フィルムや日用雑貨、およびシートに留まらず、従来公知である自動車用資材、衣類用資材、衛生用資材、建築用資材、スポーツ用資材、生活用資材、レジャー用資材、産業用資材、電子材料用資材などに有用である。
積層体の用途としては、産業用離型フィルム、半導体用工程フィルム、表面保護フィルム等が挙げられる。
さらに、例えば、粘着フィルム、プロテクトフィルム、半導体用工程保護フィルム、レンズ保護フィルム、半導体ウエハー用バックグラインドテープ、ダイシングテープ、基板用保護テープ(例:フレキシブル・プリント基板のメッキ処理の際に用いられるメッキマスク用保護テープ)などのエレクトロニクス分野に使用されるフィルムまたはテープ、窓ガラス保護用フィルム、および焼付塗装用フィルムにも好適に用いることができる。
また、粘着層(L1)は、凹凸追従性を有するため、表面に凹凸構造の多いプリズムシートや反射シート、シボ付けされた表面を保護するためのシート等にも好適に用いられる。
具体的には、アルミニウム、鋼、ステンレスなどからなる金属製部材、これらの金属部材に塗料を塗装した部材、ガラス製部材、合成樹脂製部材、さらには、これらの部材を用いた家電製品、自動車部品、電子部品などの被着体を保護するための表面保護フィルムとして好適に利用できる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の合成例、実施例および比較例における各測定方法、使用化合物、試験片の作製方法および評価方法は次のとおりである。
[樹脂の物性測定方法]
<構成単位の含有率>
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)中の4-メチル-1-ペンテン、およびα-オレフィン類の含有量の定量化は、以下の装置および条件により13C-NMRで測定した結果を基にした。ただし、本測定結果のα-オレフィン類の含有量には、4-メチル-1-ペンテンの含有量は含まれない。
日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置を用いて、オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒、試料濃度55mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は4.7μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は1万回以上、27.50ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。得られた13C-NMRスペクトルにより、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の組成を定量化した。
<極限粘度>
極限粘度は、ウベローデ粘度計を用いて、デカリン中135℃で測定した。具体的には、合成例で得られたパウダー状、塊状の重合体を約20mg採取し、デカリン15mLに溶解して、得られるデカリン溶液につき、135℃に加熱したオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5mL追加して希釈後、同じように比粘度ηspを測定した。この希釈操作および測定をさらに2回繰り返し、濃度(C)をゼロに外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度[η]として、下記式により算出した。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
<重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)>
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
具体的には、液体クロマトグラフとしてWaters社製ALC/GPC150-Cplus型(示差屈折計検出器一体型)を用い、分離カラムとして東ソー(株)製GMH6-HTを2本、およびGMH6-HTLを2本直列接続して用い、移動相媒体としてo-ジクロロベンゼン、酸化防止剤として0.025質量%のジブチルヒドロキシトルエン(武田薬品工業(株)製)を用い、移動相媒体を1.0mL/分で移動させ、試料濃度は15mg/10mLとし、試料注入量は500μLとし、検出器は示差屈折計を用いた。標準ポリスチレンとしては、重量平均分子量(Mw)が1,000以上、4,000,000以下において、東ソー(株)製の標準ポリスチレンを用いた。
得られたクロマトグラムを、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを用いて検量線を作成して解析することで、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn値)を算出した。1サンプル当たりの測定時間は60分であった。
<融点(Tm)、結晶化温度(Tc)>
融点(Tm)、結晶化温度(Tc)は、示差走査熱量計(DSC)(セイコーインスツル(株)製DSC220C装置)を用いて測定した。この時、ピークが2つ以上発現する場合は、高い温度を記載して、その旨を記載した。
具体的には、下記合成例で得られた共重合体(A-1)~(A-4)のそれぞれ7~12mgをアルミニウムパン中に密封し、室温から10℃/分で200℃まで加熱した。その後、各共重合体を完全融解させるために250℃で5分間保持し、次いで10℃/分で-50℃まで冷却した。-50℃で5分間置いた後、その試料を10℃/分で250℃まで再度加熱した。この再度の(2度目の)加熱でのピーク温度を、融点(Tm)として採用した。また冷却過程で得られるピーク温度を、結晶化温度(Tc)として採用した。
<密度>
密度は、JIS K7112に準拠して、密度勾配管を用いて測定した。
<メルトマスフローレイト(MFR)>
ASTM D1238に準拠して、共重合体(A-1)~(A-4)のメルトマスフローレイト(MFR)は、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。
<動的粘弾性測定用成形体の作製法>
200~260℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機(NS-50)を用い、ゲージ圧10MPaでシート成形した。厚さ1~3mmのシート(スペーサー形状;240×240mmの板に200×200×1~3mm)の場合、余熱を5~7分程度行い、ゲージ圧10MPaで1~2分間加圧した後、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、ゲージ圧10MPaで圧縮し、5分程度冷却して測定用成形体を作成した。熱板として厚さ5mmの真鍮板を用いた。上記方法により作製した成形体を用いて動的粘弾性測定用試料に供した。
<動的粘弾性>
上記で得られた厚み3.0mmの成形体から、長さ35mm×幅10mmの寸法に打ち抜き加工した試験片を作製し、レオメーター(アントンパール社製MCR301)を使用して、トーションモード、周波数10rad/s(1.6Hz)、歪設定0.1%、昇温速度2℃/分の条件で、-40~150℃の温度分散におけるtanδピーク温度およびtanδピーク値を観測した。また、得られた貯蔵弾性率(G’)の値から50℃と100℃の数値を読み取り、それぞれG’@50℃、G’@100℃とした。
[フィルムの物性測定方法]
フィルム物性は以下の方法で測定した。
<成形収縮/シワの発生>
30mmφ単軸押出機を兼ね備えた、ダイ幅250mmのT-ダイ成形機を用い、樹脂供給ホッパーより樹脂ペレットを投入し、200~240℃に設定した単軸押出機内のシリンダーを通して樹脂ペレットを融解させた後、T-ダイよりダイス温度240℃で押出成形を行うことで厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムを1日室温で静置しておき、フィルム表面にシワ発生の有無を目視で確認した。なお、シワは4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物の結晶化速度が遅いため、成形後に寸法が安定していないことで発生することから、成形収縮の指標として用いた。
<引張試験>
積層フィルムを幅15mm×長さ100mmの短冊状に切断した試験片について、JIS K7127(1999)に準拠し、引張試験機(万能引張試験機3380、インストロン製)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度200mm/min、および温度23℃の条件で、試験片のMD方向、TD方向について、引張破断強度(TS)(単位:MPa)および引張破断伸び(EL)(単位:%)を測定した。
<引張応力緩和試験>
得られた表面保護フィルムから、15mm幅×100mmの試験片を採取し、島津製作所製オートグラフ精密万能試験機AG-X-Pを用い、試験温度23℃および120℃、試験速度200mm/min、チャック間距離70.0mm、引張負荷量10%の条件にて伸張・停止させ、経時応力変化プロファイルを測定した。伸張後の初期引張力、最大応力(10%応力初期値)および60秒後の応力を求めた。また応力緩和率を次式に基づき算出した。
応力緩和率=(10%応力初期値-60秒保持後の応力値)/(10%応力初期値)×100
<エルメンドレフ引裂き強度>
積層フィルムを、23℃、55%RHの条件下で、MD方向、TD方向の両方向において、エレメンドルフ法の引き裂き荷重をJIS K7128-1991に従い東洋精機(株)製の軽荷重引き裂き装置でエルメンドレフ引裂き強度を測定した。
<HAZE、全光線透過率>
内部ヘイズ、全光線透過率は、上記の方法で得られた厚さ0.05mmのフィルムを試験片として用いて、ベンジルアルコール中で日本電色工業株式会社製のデジタル濁度計(NDH-20D)にて測定した。
[4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)の合成例]
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)の合成>
充分に窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で、ノルマルヘキサン300ml(乾燥窒素雰囲気、活性アルミナで乾燥したもの)、および、4-メチル-1-ペンテン450mlを装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.19MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいたメチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、および、ジフェニルメチレン(1-エチル-3-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド0.01mmolを含むトルエン溶液0.34mlを、窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度を調整した。重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。その後、反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含む塊状の重合体を100℃、減圧下で12時間乾燥し、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)を得た。得られた4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)の量は44.0gであり、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)中の構成単位(i)の含有量は84.1モル%、構成単位(ii)の含有量は15.9モル%であった。得られた4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)の各種物性を表1に示す。
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-2)の合成>
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサン300ml(乾燥窒素雰囲気、活性アルミナ上で乾燥したもの)、4-メチル-1-ペンテンを450ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.16MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、ジフェニルメチレン(1-エチル-3-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmolを含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含む塊状の重合体を100℃、減圧下で12時間乾燥し、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-2)を得た。得られた4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-2)は36.3gであり、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-2)中の構成単位(i)の含有量は86.2mol%、構成単位(ii)の含有量は13.8mol%であった。4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-2)の各種物性を表1に示す。
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-3)の合成>
充分に窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で4-メチル-1-ペンテンを750ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.13MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいたメチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、および、ジフェニルメチレン(1-エチル-3-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmol含むトルエン溶液0.34mlを、窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度を調整した。重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し、重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。その後、反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含む塊状の重合体を100℃、減圧下で12時間乾燥し、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-3)を得た。得られた4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-3)の量は36.9gであり、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-3)中の構成単位(i)の含有量は72.5モル%、構成単位(ii)の含有量は27.5モル%であった。得られた4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-3)の各種物性を表1に示す。
<4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-4)の合成>
充分窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付SUS製オートクレーブに、23℃で4-メチル-1-ペンテンを750ml装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し攪拌を開始した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.17MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいた、メチルアルミノキサンをAl換算で1mmol、ジフェニルメチレン(1-エチル-3-t-ブチル-シクロペンタジエニル)(2,7-ジ-t-ブチル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.005mmolを含むトルエン溶液0.34mlを窒素でオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
得られた溶媒を含むパウダー状の重合体を130℃、減圧下で12時間乾燥し4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-4)を得た。得られた4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-4)の重量は35.2gであり、4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-4)中の構成単位(i)の含有量は、93.0mol%、構成単位(ii)の含有量は、7.0mol%であった。
[結晶核剤(B)]
結晶核剤(B)としては下記のものを使用した。
<結晶核剤(B―1)>
株式会社ADEKA製:アデカスタブNA-11 (分子量:508、融点:≧400℃)
<結晶核剤(B―2)>
株式会社ADEKA製:アデカスタブNA-21 (分子量:562、融点:≧210℃)
<結晶核剤(B―3)>
新日本理化株式会社製:ソルビトール系化合物 ゲルオールMD (分子量:386、融点:260℃)
<結晶核剤(B―4)>
新日本理化株式会社製:ソルビトール系化合物 ゲルオールD (分子量:358、融点:220℃)
<結晶核剤(B―5)>
新日本理化株式会社製:アミド系化合物 エヌジェスターNU-100 (分子量:378、融点:380℃)
[実施例1]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)100質量部と、結晶核剤(B-1)を0.3質量部と、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート0.2質量部とを配合し、二軸押出機を用いて200℃で混錬することで実施例1の組成物からなるペレットを作製した。
このペレットを、30mmφ単軸押出機を兼ね備えた、ダイ幅250mmのT-ダイ成形機を用い、樹脂供給ホッパーより樹脂ペレットを投入し、200~240℃に設定した単軸押出機内のシリンダーを通して樹脂ペレットを融解させた後、T-ダイよりダイス温度240℃で押出成形を行うことで厚さ50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの各種物性を表2に示す。
[実施例2]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)100質量部と、結晶核剤(B-2)を0.3質量部と、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート0.2質量部とを配合した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの各種物性を表2に示す。
[実施例3]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)100質量部と、結晶核剤(B-3)を0.3質量部と、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート0.2質量部とを配合した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの各種物性を表2に示す。また、動的粘弾性測定の結果を図1に示す。
[実施例4]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)100質量部と、結晶核剤(B-5)を0.3質量部と、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート0.2質量部とを配合した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの各種物性を表2に示す。
[実施例5]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-2)100質量部、結晶核剤(B-2)を0.3質量部と、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート0.2質量部とを配合した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの各種物性を表2に示す。
[実施例6]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-2)100質量部と、結晶核剤(B-3)を0.3質量部と、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート0.2質量部とを配合した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの各種物性を表2に示す。
[実施例7]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-4)100質量部と、結晶核剤(B-3)を0.3質量部と、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート0.2質量部とを配合した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの各種物性を表2に示す。
[比較例1]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)100質量部と、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート0.2質量部とを配合した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの各種物性を表2に示す。また、動的粘弾性測定の結果を図1に示す。
[比較例2]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-2)100質量部と、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート0.2質量部と、結晶核剤(B-2)の代わりにポリプロピレン(株式会社プライムポリマー社製 銘柄:F107BV、分子量:350000、融点:160℃)を1質量部とを配合した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの各種物性を表2に示す。
[比較例3]
4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A-1)100質量部と、結晶核剤(B-4)0.3質量部と、耐熱安定剤としてのn-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート0.2質量部とを配合した以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムの各種物性を表2に示す。
本発明の4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)と結晶核剤(B)を含む4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)および4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む成形体は、応力緩和性と透明性と離型性を有し、また高温での弾性率が高いことから温度変化による影響を受けにくく、また成形後の収縮が抑制されることでシワが入りにくくなることから、各種成形体や産業用フィルム、表面保護フィルムなどに使用できる。

Claims (8)

  1. 4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)100質量部に対して、結晶核剤(B)を0.1質量部~10質量部含み、下記要件(a)および(b)を満たす、4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)。
    要件(a);
    4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)の、-40~150℃の温度範囲の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められる損失正接(tanδ)の値が最大となる温度が、0℃以上60℃以下である。
    要件(b);
    4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)の、-40~150℃の温度範囲の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められる50℃における貯蔵弾性率が、6×106Pa以上である。
  2. 前記4-メチル-1-ペンテン系共重合体(A)が、下記要件(e)~(h)から選ばれる1つ以上を満たす、請求項1に記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)。
    要件(e);
    4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(i)55~97モル%と、エチレンおよび炭素原子数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)から選ばれる1種以上から導かれる構成単位(ii)が3~45モル%(構成単位(i)と構成単位(ii)の合計を100モル%とする)とからなる。
    要件(f);
    示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が200℃未満であるか、または融点が観測されない。
    要件(g);
    -40~150℃の温度範囲の動的粘弾性測定(周波数10rad/s(1.6Hz))で求められる損失正接(tanδ)の値が最大となる温度が、15℃以上45℃以下である。
    要件(h);
    密度が、830~870kg/m3である。
  3. 前記4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)が、下記要件(c)を満たす、請求項1または2に記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)。
    要件(c);
    示差走査熱量計(DSC)で測定した結晶化温度(Tc)が70℃以上である。
  4. 前記結晶核剤(B)が、ジアセタール化合物からなるソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、およびアミド系核剤から選ばれる1種以上からなる結晶核剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む成形体。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含むシートまたはフィルム。
  7. 請求項6に記載のシートおよびフィルムから選ばれる1以上を含む積層体。
  8. 請求項1~4のいずれか1項に記載の4-メチル-1-ペンテン系共重合体組成物(X)を含む表面保護フィルム。
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