JP2023113132A - 新規yfi型ゼオライト - Google Patents

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直人 中澤
Naoto Nakazawa
亮 三橋
Akira Mihashi
豊浩 碓氷
Toyohiro Usui
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Abstract

【課題】従来のYFI型ゼオライトの製造方法と比べて簡便なYFI型ゼオライトの新規な製造方法、及び、これにより得られる新規な構造を有するYFI型ゼオライトの少なくともいずれかを提供することを目的とする。【解決手段】少なくとも以下の粉末X線回折ピークを有するYFI型ゼオライトを提供する。【表1】【選択図】なし

Description

本開示は、新規な構造を有するYFI型ゼオライトに関する。
YFI型ゼオライトは結晶性アルミノシリケートであり、吸着剤や触媒など様々な工業分野での利用が期待されている。
特許文献1には、シリカ源、アルカリ源、水及び構造規定剤を含む組成物を加熱及び冷却して前駆体を得る原料調製工程と、該前駆体とY型ゼオライトとを混合及び加熱することでYFI型ゼオライトを結晶化させる工程を含む、YFI型ゼオライトの製造方法が報告されている。
国際公開2018/061827号公報
特許文献1では、原料調製工程や結晶化工程といった複数の行程を必要とする煩雑な製造方法であった。
本開示は、従来のYFI型ゼオライトの製造方法と比べて簡便なYFI型ゼオライトの新規な製造方法、及び、これにより得られる新規な構造を有するYFI型ゼオライトの少なくともいずれかを提供することを目的とする。
本発明者等は、YFI型ゼオライトの製造方法について検討した。その結果、特定の出発原料を使用することで、従来の製造方法と比べ、より簡便な製造方法で新規なYFI型ゼオライトが得られることを見出した。
すなわち、本発明は特許請求の範囲の記載の通りであり、また、本開示の要旨は以下の通りである。
[1] 少なくとも以下の粉末X線回折ピークを有するYFI型ゼオライト。
[2] 体積粒度分布におけるメジアン径D50が10μm以上500μm以下である、前記[1]に記載のYFI型ゼオライト。
[3] モノモーダル型の体積粒度分布曲線を有する前記[1]又は[2]に記載のYFI型ゼオライト。
[4] 前記体積粒度分布曲線の標準偏差が10μm以上300μm以下である前記[3]に記載のYFI型ゼオライト。
[5] アルミナに対するシリカのモル比が8以上5000以下である、前記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載のYFI型ゼオライト。
[6] 水素イオン(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アンモニウム(NH )及びセシウム(Cs)の群から選ばれる1以上のカチオンを含有する、前記[1]乃至[5]のいずれかひとつに記載のYFI型ゼオライト。
[7] 平均結晶径が0.10μm以上0.70μm以下である、前記[1]乃至[6]のいずれかひとつに記載のYFI型ゼオライト。
[8] 少なくともシリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び有機構造指向剤及び水を含む組成物を結晶化する工程、を有し、前記アルミナ源が水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上であることを特徴とする前記[1]乃至[7]のいずれかに記載のYFI型ゼオライトの製造方法。
[9] 前記シリカ源が無定形ケイ酸及び非晶質アルミノシリケートの少なくともいずれかである、前記[8]に記載のYFI型ゼオライトの製造方法。
[10] 前記アルミナ源が硫酸アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの少なくともいずれかである、前記[8]又は[9]に記載のYFI型ゼオライトの製造方法。
本開示により、従来のYFI型ゼオライトの製造方法と比べ、簡便なYFI型ゼオライトの新規な製造方法、及び、これにより得られる新規な構造を有するYFI型ゼオライトの少なくともいずれかを提供することができる。
実施例2、4及び比較例1の頻度体積粒度分布を示した図である。
以下、本開示に係るゼオライトについて、実施形態の一例を示して説明する。
本実施形態における用語は以下の通りである。
「アルミノシリケート」は、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)とが酸素(O)を介したネットワークの繰返しからなる構造を有する複合酸化物である。アルミノシリケートのうち、その粉末X線回折(以下、「XRD」ともいう。)パターンにおいて、結晶性のXRDピークを有するものが「結晶性アルミノシリケート」、及び、結晶性のXRDピークを有さないものが「非晶質アルミノシリケート」である。
本実施形態において、XRDパターンは以下の条件のXRD測定より得られるものが挙げられる。
加速電流・電圧 : 40mA・40kV
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : 連続スキャン
スキャン条件 : 40°/分
計測時間 : 3秒
測定範囲 : 2θ=3°から43°
発散縦制限スリット: 10mm
発散/入射スリット: 1°
受光スリット : open
受光ソーラースリット : 5°
検出器 : 半導体検出器(D/teX Ultra)
フィルター : Niフィルター使用
XRDパターンは一般的な粉末X線回折装置(例えば、Ultima IV Protectus、リガク社製)を使用して測定することができる。また、結晶性のXRDピークは、一般的な解析ソフトを使用したXRDパターンの解析においてピークトップの2θが特定され検出されるピークであり、半値幅が2θ=0.50°以下のXRDピークが例示できる。
「ゼオライト」とは、骨格原子(以下、「T原子」ともいう。)が酸素(O)を介した規則的構造を有する化合物であり、T原子が金属原子及び半金属原子の少なくともいずれかからなる化合物である。金属原子としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる1以上が例示でき、アルミニウムが好ましい。半金属原子としては、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)及びテルル(Te)の群から選ばれる1以上が例示でき、ケイ素が好ましい。
「ゼオライト類似物質」とは、T原子が酸素を介した規則的構造を有する化合物であり、T原子に少なくとも金属及び半金属以外の原子を含む化合物である。ゼオライト類似物質として、アルミノフォスフェート(AlPO)やシリコアルミノフォスフェート(SAPO)など、T原子としてリン(P)を含む複合リン化合物が例示できる。
ゼオライトやゼオライト類似物質における「骨格構造(以下、「ゼオライト構造」ともいう。)」とは、国際ゼオライト学会(International ZeoliteAssociation)のStructure Commissionが定めている骨格構造コード(以下、単に「骨格コード」ともいう。)で特定される骨格構造である。例えば、「YFI骨格構造」とは、骨格コードで、YFI型となる構造である。YFI骨格構造は、IZAの構造委員会のホームページhttp://www.iza-struture.org/databases/のZeolite Framework TypesのYFIに記載のXRDパターン(以下、「参照パターン」ともいう。)との対比によって、ゼオライト構造は同定できる。ゼオライト構造に関し、骨格構造、結晶構造又は結晶相はそれぞれ互換的に使用される。
「ゼオライトスラリー」とは、ゼオライトと溶媒を含み、流動性を有する液体である。
「固形分濃度」とはゼオライトスラリーに占めるゼオライトの質量割合であり、以下の式で求められる濃度である。
固形分濃度(質量%)
=(ゼオライト質量(g)/ゼオライトスラリー質量(g))×100
上記の式におけるゼオライトスラリー質量は、質量測定により得られる質量であり、また、ゼオライト質量は、ゼオライトスラリー質量測定後のゼオライトスラリーを乾燥して得られる固形分を、大気中、600℃で処理して得られる、ゼオライトスラリーから溶媒を除去した質量である。
以下、本実施形態のYFI型ゼオライトについて説明する。
本実施形態のYFI型ゼオライトは、少なくとも以下の粉末X線回折ピークを有するYFI型ゼオライトである。本実施形態のYFI型ゼオライトは、そのXRDパターンにおいて、少なくとも以下のXRDピークを有するYFI型ゼオライトであることで、従来のYFI型ゼオライトと異なる結晶構造を有する。これにより、従来のYFI型ゼオライトと比べ、操作性(ハンドリング性)が高く、その結果、これを含むゼオライトスラリーとした場合の粘度上昇が特に生じにくい。
XRDパターンは、独立した個々のXRDピーク自体が結晶構造を示すのではなく、特定の相対強度を有する複数のXRDピークの群からなるひとつのXRDパターンにより、YFI型ゼオライトの結晶構造を示すものである。XRDピークの格子面間隔及び相対強度が変化することは結晶構造が変化することを意味する。そのため、本実施形態のYFI型ゼオライトは、これらの相対強度を有するXRDピークの群により、その結晶構造を特定することができる。なお、ひとつのXRDピークの格子面間隔及び相対強度のみを制御することは容易でない。
本実施形態のYFI型ゼオライトは、そのXRDパターンにおいて、少なくとも以下のXRDピークを有することが好ましい。
本実施形態のYFI型ゼオライトは、そのXRDパターンとして、少なくとも以下のXRDピークを有することがより好ましい。
本実施形態のYFI型ゼオライトは、そのXRDパターンにおいて、少なくとも以下のXRDピークを有することがさらに好ましい。
本実施形態のYFI型ゼオライトのXRDパターンは上記のXRDピーク以外にYFI型ゼオライトに帰属される他のXRDピークを含んでいてもよい。また、相対強度が3%未満のXRDピークは結晶構造の同定に考慮する必要はないため、本実施形態のYFI型ゼオライトのXRDパターンは、相対強度が3%未満のXRDピークを含んでいてもよい。
本実施形態のYFIゼオライトは、その積算体積粒度分布において、メジアン径D50(以下、「メジアン径」ともいう。)が10μm以上500μm以下であることが好ましい。YFI型ゼオライトを含むゼオライトスラリーとしたときの粘度が下がりやすくなるため、メジアン径は、15μm以上又は20μm以上であり、また、300μm以下、150μm以下又は80μm以下であることが例示でき、より好ましいメジアン径として、15μm以上300μm以下、又は、20μm以上80μm以下が挙げられる。
本実施形態のYFI型ゼオライトは、モノモーダル型の頻度体積粒度分布曲線を有することが好ましい。「モノモーダル型の頻度体積粒度分布曲線」とは、頻度体積粒度分布曲線がひとつのピークを有する形状を有する曲線であることであり、好ましくは、頻度体積粒度分布曲線における粒子径の頻度の変極点がひとつである形状を有する曲線、である。
本実施形態のYFI型ゼオライトは、その頻度体積粒度分布において、最頻粒径が25μm以上500μm以下、好ましくは30μm以上300μm以下であることが挙げられる。「最頻粒径」とは、頻度体積粒度分布において最も頻度が高くなる粒子径であり、好ましくは、頻度体積粒度分布曲線におけるピークのピークトップに対応する粒子径、である。最頻粒径が上記範囲内であることで、幅広いせん断速度においても低い粘度となるゼオライトスラリーとなりやすい。最頻粒径は、一次粒子が凝集した状態を示す指標のひとつであり、好ましくは30μm以上80μm以下、より好ましくは30μm以上60μm以下、更に好ましくは35μm以上55μm以下である。
本実施形態のYFI型ゼオライトの頻度体積粒度分布における標準偏差は、10μm以上300μm以下が好ましく、15μm以上150μm以下がより好ましく、15μm以上55μm以下が更により好ましく、15μm30μm以下が更により好ましい。標準偏差がこれを満たすことで、ゼオライトスラリーとしたときの粘度が増加しにくく、ハンドリング性に優れるゼオライトスラリーとなりやすい。
積算体積粒度分布及びメジアン径、並びに、頻度体積粒度分布、最頻粒径及び標準偏差は、レーザー回折・散乱法により求めることができ、一般的なレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(例えば、マイクロトラックMT3300EXII、マイクロトラック・ベル社製)を用いて測定できる。測定条件は以下に示す条件とすればよい。
測定範囲 :0.02~2000μm
粒子屈折率 :1.66
粒子透過性 :透過
粒子形状 :非球形
溶媒屈折率 :1.333
本実施形態のYFI型ゼオライトは、アルミナに対するシリカのモル比(以下「SiO/Al比」ともいう。)が8以上5000以下であることが好ましく、10以上又は12以上であり、また、500以下又は100以下であればよい。より好ましいSiO/Al比として、15以上60以下、又は、17以上50以下が例示できる。
本実施形態のYFI型ゼオライトは、結晶性アルミノシリケートであることが好ましいが、この場合に、SiおよびAl以外のT原子を含有してもよい。本実施形態のYFI型ゼオライトを構成するT原子の例として、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、鉄(Fe)、チタン(Ti)及びスズ(Sn)の群から選ばれる1以上を挙げることができ、これにより、いわゆる金属置換YFI型ゼオライト(金属置換YFI型ゼオライト、金属置換YFI型結晶性アルミノシリケート)となる。
本実施形態のYFI型ゼオライトは、T原子以外に、カチオン(M)を含有していてもよく、イオン交換によって他のカチオンに置き換えることが可能なカチオンを含有していることが好ましい。カチオン(M)は、T原子以外として含有さていればよく、細孔及びイオン交換サイトの少なくともいずれか、更にはイオン交換サイトに含有されていることが挙げられる。
本実施形態のYFI型ゼオライトが含有するカチオンとして、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、水素イオン(H)、アンモニウム(NH )、リチウム(Li)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg2+)、カルシウム(Ca2+)、ストロンチウム(Sr2+)、バリウム(Ba2+)及び亜鉛(Zn2+)の群から選ばれる1以上が挙げられ、カリウム、ナトリウム、水素イオン、アンモニウム及びセシウムの群から選ばれる1以上が好ましく、水素イオン、アンモニウム及びセシウムの群から選ばれる1以上がより好ましい。
通常、YFI型ゼオライトは、YFI型ゼオライトを指向する有機構造指向剤(以下、「SDA」ともいう。)を含む組成物から結晶化される。そのため、本実施形態のYFI型ゼオライトはSDA、更にはYFI構造を指向するSDAを含んでいてもよい。一方、細孔容積が増加しやすいことから、本実施形態のYFI型ゼオライトはSDAを含有していなくてもよい。YFI型ゼオライトを指向するSDAとして、例えば、好ましくはジメチルジプロピルアンモニウムカチオン(以下、「DMDPA」ともいう。)が挙げられる。SDAを含有する場合、SDAは主としてYFI型ゼオライトの細孔に含有される。
なお、SDAを含む場合、本実施形態のYFI型ゼオライトは、そのXRDパターンにおいて、少なくとも以下のXRDピークを有することがより好ましい。
本実施形態のYFI型ゼオライトの平均結晶径は、0.1μm以上、0.2μm上又は0.3μm以上であり、また、0.7μm以下、0.65μm以下又は0.60μm以下であることが挙げられる。YFI型ゼオライトの平均結晶径が上記の値であることで、該YFI型ゼオライトをゼオライトスラリーとした場合に、せん断速度が変化しても、低い粘度を示しやすい。好ましい平均結晶粒径として、0.1μm以上0.7μm以下、0.2μm以上0.6μm以下、又は、0.3μm以上0.6μm以下が例示できる。
本実施形態において、「平均結晶径」とは、一次粒子の粒子径の平均値であり、また、一次粒子は、以下の条件による走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」ともいう。)観察で、独立して観察される最小単位の粒子である。SEM観察は、一般的な走査型電子顕微鏡(例えば、装置名:JSM-IT200、日本電子株式会社製)を使用して行えばよい。
加速電圧 :6mV
倍率 :15,000±5,000倍
平均結晶径は、まず、SEM観察図において輪郭が途切れることなく観察される一次粒子100±5個を抽出し、抽出した一次粒子の最長径及び最短径を測定し、その平均値(=(最長径[μm]+最短径[μm])÷2)を求め、各一次粒子の結晶径をとする。次に、各一次粒子の結晶径の平均値を求め、これを平均結晶径とすればよい。SEM観察図の数は、一次粒子が上述の個数観察できる数であればよく、1又は複数のSEM観察図を使用すればよい。
本実施形態のYFI型ゼオライトは、ゼオライトの公知の用途に使用することができ、例えば、触媒、吸着剤及びこれらの担体として使用することができる。触媒及び吸着剤の少なくともいずれかの用途で使用する場合、本実施形態のYFI型ゼオライトは遷移金属を含有してもよい。本実施形態のYFI型ゼオライトが含有する好ましい遷移金属として、周期表の8族、9族、10族及び11族の群から選ばれる1以上、更には白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、銀(Ag)、鉄(Fe)、銅(Cu)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びインジウム(In)の群から選ばれる1以上、また更には鉄及び銅の少なくともいずれか、また更には銅を挙げることができる。
本実施形態のYFI型ゼオライトは用途に応じた任意の形状で使用することができ、例えば、粉末、スラリー、成形体、または吸着部材等の形状で使用することができる。具体的な成形体の形状として、球状、略球状、楕円状、円板状、円柱状、多面体状、不定形状及び花弁状の群から選ばれる1以上を挙げることができる。
本実施形態のYFI型ゼオライトをスラリーとする場合、分散媒は水及び有機溶媒の少なくともいずれかであればよく、例えば、水、アセトン、エタノール、メタノール及びイソプロピルアルコールの群から選ばれる1以上が挙げられ、水が好ましい。また、流動性と高固形分濃度を両立する観点から、スラリーの固形分濃度は0.01質量%以上、10質量%以上又は25質量%以上であり、また、60質量%以下、45質量%以下又は35質量%以下であること、が例示でき、0.01質量%以上60質量%以下、10質量%以上45質量%以下、又は、25質量%以上35質量%以下が好ましい。
次に、本実施形態のYFI型ゼオライトの製造方法について説明する。
本実施形態の製造方法は、少なくともシリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び有機構造指向剤及び水を含む組成物(以下、「原料組成物」ともいう。)を結晶化する工程(以下、「結晶化工程」ともいう。)を有し、前記アルミナ源が水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上であるYFI型ゼオライトの製造方法、である。結晶化工程により、原料組成物から本実施形態のYFI型ゼオライトが結晶化物として得られる。
シリカ源は、ケイ素含有化合物及びケイ素(Si)の少なくともいずれかであり、例えば、シリカゾル、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降法シリカ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、無定形ケイ酸、結晶性アルミノシリケート及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上が挙げられ、無定形ケイ酸及び非晶質アルミノシリケートの少なくともいずれかであることが好ましい。
アルミナ源は、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上である。これら以外のアルミナ源では、高価であるため製造コストが高くなる、若しくは、工業的な製造方法に適用し得る結晶化時間でYFI型ゼオライトの結晶化が起きない。製造コストの観点、例えば結晶化時間の短縮の観点から、アルミナ源は、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上であることが好ましく、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上であることがより好ましく、反応性の観点から、硫酸アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの少なくともいずれかであることが更に好ましい。
特に好ましいアルミナ源及びシリカ源として、無定形シリカ及び硫酸アルミニウム、並びに、非晶質アルミノシリケート、の少なくともいずれかが挙げられる。非晶質アルミノシリケートのSiO/Al比は10以上、15以上又は20以上、かつ、10000以下、1000以下又は80以下であることが挙げられ、10以上10000以下、15以上1000以下、又は、20以上80以下であることが好ましい。また、原料組成物はFAU型ゼオライトを含まないことが好ましく、アルミナ源及びシリカ源としてFAU型ゼオライトを含まないことが特に好ましい。
SDAは、YFI型ゼオライトを指向するカチオンであればよく、DMDPAが好ましい。
SDAは塩として原料組成物に含まれていればよい。SDAの塩として、SDAの水酸化物、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸塩及び硫酸塩の群から選ばれる1以上が挙げられ、好ましくはSDAの水酸化物、塩化物及び臭化物の群から選ばれる1以上、より好ましくはSDAの水酸化物が挙げられる。
製造コストを抑えることができることから、SDAの塩は、ジメチルジプロピルアンモニウム水酸化物、ジメチルジプロピルアンモニウム臭化物及びジメチルジプロピルアンモニウム塩化物の群から選ばれる1以上が好ましく、ジメチルジプロピルアンモニウム水酸化物(以下、「DMDPAOH」ともいう。)であることがより好ましい。
アルカリ源は、アルカリ金属元素を含有する化合物及びアルカリ金属の少なくともいずれかであり、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、塩化物、臭化物、ケイ酸塩及びヨウ化物の群から選ばれる1以上が挙げられ、水酸化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物の群から選ばれる1以上であることが好ましく、水酸化物であることがより好ましい。
アルカリ金属元素として、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる1以上が挙げられ、ナトリウム及びカリウムの少なくともいずれかが好ましく、カリウムがより好ましい。
上記の各出発原料が他の出発原料を含む場合、当該出発原料はいずれの出発原料ともみなすことができる。例えば、アルミナ源がシリカを含む化合物である場合、当該化合物はアルミナ源かつシリカ源とみなす。
水は、蒸留水、脱イオン水及び純水の群から選ばれる1以上であればよい。さらに、溶媒や含水化合物等、原料組成物に含まれる他の出発原料に由来する水分も、原料組成物における水とみなす。
原料コストを抑えることができる点で、原料組成物は種晶を含まなくてもよいが、結晶化に必要な処理時間が短縮できるため、原料組成物は、シリカ源及びアルミナ源に対して十分に少ない量の種晶を含んでいてもよい。
種晶はFAU型ゼオライト以外のゼオライトであればよく、AEI型ゼオライト、AFI型ゼオライト、AFT型ゼオライト、AFV型ゼオライト、AFX型ゼオライト、BEA型ゼオライト、CHA型ゼオライト、CON型ゼオライト、EAB型ゼオライト、EMT型ゼオライト、ERI型ゼオライト、FER型ゼオライト、GIS型ゼオライト、GME型ゼオライト、HEU型ゼオライト、KFI型ゼオライト、LEV型ゼオライト、LTL型ゼオライト、MAZ型ゼオライト、MER型ゼオライト、MOR型ゼオライト、MSE型ゼオライト、OFF型ゼオライト及びYFI型ゼオライトの群から選ばれる少なくとも1以上が例示でき、CHA型ゼオライト、MOR型ゼオライト及びYFI型ゼオライトの群から選ばれる1以上が好ましく、YFI型ゼオライトであることが好ましい。
原料組成物が含む種晶は、原料組成物(種晶を含まない)中のアルミニウム及びケイ素を、それぞれ、Al及びSiO換算した合計質量に対する、種晶中のアルミニウム及びケイ素を、それぞれ、Al及びSiO換算した合計質量の割合(以下、「種晶含有量」ともいう。)が0質量%以上又は1質量%以上であり、かつ、20質量%以下又は10質量%以下であることが挙げられ、好ましい種晶含有量として0質量%以上20質量%以下、0質量%超20質量%以下、又は、1質量%以上10質量%以下が例示できる。
原料組成物の好ましい組成として、以下のモル組成が挙げられる。以下において、Metalはカリウム以外のアルカリ金属であり、原料組成物がカリウム以外のアルカリ金属を2種以上(例えば、ナトリウム及びセシウム)含む場合、Metal/SiO比は(Na+Cs)/SiO比等とみなせばよい。
SiO/Al比 =10以上、15以上又は20以上、かつ
200以下、100以下又は60以下
SDA/SiO比 =0.01以上、0.02以上、0.04以上、かつ
0.80以下、0.40以下、0.20以下
K/SiO比 =0.05以上、0.15以上又は0.30以上、かつ、
1.50以下、0.90以下又は0.70以下
Metal/SiO比 =0.00以上、0.05以上又は0.10以上、かつ、
1.00以下、0.70以下、又は0.30以下
OH/SiO比 =0.10以上、0.18以上又は0.25以上、かつ、
1.50以下、1.00以下又は0.80以下
O/SiO比 =2以上、6以上、8以上又は10以上、かつ、
800以下、300以下、100以下又は60以下
原料組成物の特に好ましい組成として、以下のモル組成が挙げられる。
SiO/Al比 =20以上60以下
好ましくは20以上50以下
SDA/SiO比 =0.02以上0.20以下
好ましくは0.05以上0.15以下
K/SiO比 =0.2以上0.7以下
好ましくは0.3以上0.6以下
Metal/SiO比 =0.00以上0.30以下
好ましくは0以上0.01以下
OH/SiO比 =0.25以上0.80以下、
好ましくは0.3以上0.1以下
O/SiO比 =5以上60以下、
好ましくは8以上15以下
結晶化工程では、原料組成物を結晶化する。結晶化は水熱合成により行うことが好ましい。結晶化温度はYFI型ゼオライトの結晶化が進行する温度であればよく、100℃以上、130℃以上又は150℃以上が好ましい。結晶化温度は必要以上に高くする必要はなく、例えば、200℃以下又は180℃以下であることが挙げられ、100℃以上200℃以下、又は、150℃以上180℃以下であることが好ましい。結晶化において、原料組成物は撹拌又は静置のいずれの状態であってもよく、撹拌状態が好ましい。撹拌速度は結晶化に使用する装置の規模や構造により適宜調整すればよく、30rpm以上300rpm以下、又は、40pm以上250rpm以下が例示できる。
結晶化工程の時間は、結晶化に供する原料組成物の量や結晶化温度に応じて調整すればよいが、工業的に適用し得る結晶化時間として、例えば、5時間以上又は10時間以上であり、また、300時間以下、200時間以下又は100時間以下が挙げられ、5時間以上300時間以下、又は、10時間以上50時間以下が例示できる。
本実施形態の製造方法では、結晶化工程後に、洗浄工程、乾燥工程、SDA除去工程、酸処理工程、及びカチオン交換工程の群から選ばれる1以上を含んでいてもよい。
洗浄工程では、ゼオライトと液相とを固液分離する。洗浄工程は、公知の方法で固液分離をし、固相として得られるゼオライトを純水で洗浄すればよい。
乾燥工程では、ゼオライトに物理吸着している水分を除去する。乾燥条件は任意であり、ゼオライトを、大気中、50℃以上250℃以下、1時間以上120時間以下で静置又はスプレードライヤーによる乾燥が例示できる。
SDA除去工程は、ゼオライトに含まれるSDAを除去する。SDAの除去方法として、酸性水溶液による液相処理、レジンによる交換処理、熱分解処理及び焼成処理の群から選ばれる1つ以上が例示できる。製造効率の観点から、SDA除去工程は熱分解処理及び焼成処理の少なくともいずれかであることが好ましい。焼成処理の場合、焼成条件は処理に供するゼオライトの量により適宜調整すればよいが、例えば、大気中、400℃以上700℃以下で1時間以上24時間以下が挙げられる。
酸処理工程では、ゼオライトが含有しているAlを除去し、ゼオライトのSiO/Alモル比を高くすることができる。具体的な酸処理方法として、ゼオライトを塩酸、硫酸及び硝酸の少なくともいずれかの酸で、20℃以上100℃以下で処理する方法が挙げられる。酸処理方法は、ゼオライトと塩酸を混合し、20℃以上、かつ、100℃以下又は90℃以下で撹拌する方法が好ましい。ゼオライトと酸を含むゼオライトスラリーの固形分濃度は任意であるが、5質量%以上、10質量%以上又は15質量%以上であり、かつ、45質量%以下、40質量%以下又は35質量%以下が好ましい。酸の濃度は任意であるが、0.1mol/L以上、10mol/L以下が挙げられる。酸処理工程は複数回行ってもよい。
カチオン置換工程では、YFI型ゼオライトのイオン交換サイトや細孔に含まれるアルカリ金属の除去などにより、T原子以外に任意のカチオンを導入することができる。カチオン置換の方法として、電解質溶液による液相処理、レジンによる交換処理、熱分解処理及び焼成処理の群から選ばれる1つ以上が例示できる。水素イオンで置換する場合、YFI型ゼオライトを酸で処理する方法及びYFI型ゼオライトをアンモニウム(NH )含有化合物で処理したのち加熱処理する方法の少なくともいずれかが挙げられる。
NH で置換する場合、電解質溶液(例えば塩化アンモニウム水溶液)による液相処理が挙げられる。
いずれかの金属カチオンで置換する場合、水素及びアンモニウムのいずれかで置換後のYFI型ゼオライトと、金属カチオン源とを接触させる方法が挙げられる。
金属カチオン源は、目的とする金属カチオンを含む化合物であればよく、例えば、カリウム、ナトリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、銅、鉄及び銀の群から選ばれる1以上のカチオンを含む化合物、更にはこれらのカチオンを含む無機酸塩、また更にはこれらのカチオンを含む硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物及び塩化物の群から選ばれる1以上、が挙げられる。
金属カチオン源とゼオライトとの接触方法は、少なくともYFI型ゼオライトのイオン交換サイトに金属カチオンが含有される方法であればよい。具体的な方法として、イオン交換法、蒸発乾固法及び含浸担持法の群から選ばれる1以上を挙げることができ、含浸担持法、更には上記金属化合物を含む水溶液とYFI型ゼオライトとを混合する方法であることが好ましい。これにより、YFI型ゼオライトのT原子以外、例えば、イオン交換サイト、細孔内及び外表面の群から選ばれる1以上に金属が含有されたYFI型ゼオライト(以下、「金属含有YFI型ゼオライト」ともいう。)、好ましくは金属が担持されたYFI型ゼオライト(以下、「金属担持YFI型ゼオライト」ともいう。)、が得られる。
カチオン置換後のYFI型ゼオライトを洗浄してもよい。洗浄は、カチオン置換後のYFI型ゼオライトに含有される不純物等を除去することを目的する。洗浄方法は任意であり、例えば、金属含有ゼオライトを十分量の純水で洗浄することが挙げられる。
吸着水など、金属含有YFI型ゼオライトに残存した水分を除去するため、洗浄後、金属含有YFI型ゼオライトを大気中で、100℃以上200℃以下、好ましくは110℃以上190℃以下、1時間以上24時間以下で処理してもよい。
金属含有YFI型ゼオライトから有機物などの不純物を除去するため、これを熱処理してもよい。熱処理方法は、大気中、200℃以上、600℃以下、1時間以上10時間以下で処理すること、さらには、大気中、300℃以上600℃以下、1時間以上5時間以下で処理することが挙げられる。
以下、実施例により本開示を説明する。しかしながら、開示はこれら実施例に限定されるものではない。
(結晶相の同定)
大気中に5分以上暴露した試料を、一般的な粉末X線回折装置(装置名:Ultima IV Protectus、リガク社製)を使用し、試料のXRD測定をした。測定条件は以下のとおりである。
加速電流・電圧 : 40mA・40kV
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : 連続スキャン
スキャン条件 : 40°/分
計測時間 : 3秒
測定範囲 : 2θ=3°から43°
発散縦制限スリット: 10mm
発散/入射スリット: 1°
受光スリット : open
受光ソーラースリット : 5°
検出器 : 半導体検出器(D/teX Ultra)
フィルター : Niフィルター使用
得られたXRDパターンと、IZAの構造委員会のホームページhttp://www.iza-struture.org/databases/のZeolite Framework TypesのYFIに記載のXRDパターンとを比較することで、試料の結晶相を同定した。
(組成分析)
フッ酸と硝酸の混合水溶液に試料を溶解して試料溶液を調製した。一般的なICP装置(装置名:OPTIMA5300DV、PerkinElmer社製)を使用して、当該試料溶液を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)で測定した。得られたSi、Al及びCsの測定値から、試料のSiO/Al比及びCsO/Al比を求めた。
(体積粒度分布)
体積粒度分布はレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(装置名:マイクロトラックMT3300EXII、マイクロトラック・ベル株式会社製)を使用して体積粒度分布の頻度曲線及び積算曲線を測定することで求めた。測定条件は以下のとおりである。
測定範囲 :0.02~2000μm
粒子屈折率 :1.66
粒子透過性 :透過
粒子形状 :非球形
溶媒屈折率 :1.333
超音波前処理 :なし
得られた積算体積粒度分布からメジアン径、頻度体積粒度分布から標準偏差及び最頻粒径を求め、また、頻度体積粒度分布曲線がモノモーダル型であるかを判断した。
(平均結晶径)
SEM観察は、一般的な走査型電子顕微鏡(装置名:JSM-IT200、日本電子株式会社製)を使用して、以下の条件で行った。
加速電圧 :6mV
倍率 :15,000±5,000倍
平均結晶径は、まず、SEM観察図において輪郭が途切れることなく観察される一次粒子100±5個を抽出し、抽出した一次粒子の最長径及び最短径を測定し、その平均値(=(最長径[μm]+最短径[μm])÷2)を求め、各一次粒子の結晶径をとした。次に、各一次粒子の結晶径の平均値を求め、これを平均結晶径とした。
(固形分濃度)
上述の式を用いて、固形分濃度を測定した。ゼオライト質量は、ゼオライトスラリー3gを大気中110℃で1時間乾燥し、その後大気中600℃で30分間処理して得られる固形分の質量を測定した。
実施例1
DMDPAOH、純水、水酸化カリウム、硫酸アルミニウム及び無定形ケイ酸(製品名:Nipsil LP、東ソー・シリカ社製)を混合し、以下のモル組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 =36
K/SiO比 =0.44
M/SiO比 =0.00
DMDPA/SiO比 =0.120
O/SiO比 =11
OH/SiO比 =0.40
原料組成物に対して、種晶含有量が4.0質量%となるように種晶(YFI型ゼオライト)を混合した後、該原料組成物を密閉容器内に充填し、55rpmで攪拌しながら、自生圧下、170℃で36時間水熱処理し結晶化物を得た。
得られた結晶化物は、固液分離して回収した後、純水で洗浄し、大気中、110℃で乾燥した。これにより、SiO/Al比が20.2、平均結晶径が0.45μm、並びに、カリウム及びDMDPAを含むYFI型ゼオライトを得、本実施例のYFI型ゼオライトとした。
本実施例のYFI型ゼオライトのXRDパターンにおける、相対強度3%以上のXRDピークを以下に示す。
実施例2
実施例1と同様な方法で得られたYFI型ゼオライトを大気中、550℃で2時間焼成してDMDPAを除去し、本実施例のYFI型ゼオライトを得た。
本実施例のYFI型ゼオライトはSiO/Al比が20.2、メジアン径が48.5μm、標準偏差が49.2μm、頻度体積粒度分布曲線がモノモーダル型、最頻粒径が57.0μm、平均結晶径が0.45μmであり、水素イオン及びカリウムを含むYFI型ゼオライトであった。本実施例のYFI型ゼオライトのXRDパターンにおける相対強度3%以上のXRDピークを以下に示す。
実施例3
DMDPAOH、純水、水酸化カリウム、及び、SiO/Al比が35の非晶質アルミノシリケートを混合し、以下のモル組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 =35
K/SiO比 =0.38
M/SiO比 =0.00
DMDPA/SiO比 =0.08
O/SiO比 =11
OH/SiO比 =0.46
原料組成物に対して、種晶含有量が4.0質量%となるように種晶(YFI型ゼオライト)を混合した後、該原料組成物を密閉容器内に充填し、251rpmで攪拌しながら170℃で36時間水熱処理し、結晶化物を得た。
得られた結晶化物は、固液分離して回収した後、純水で洗浄し、大気中、110℃で乾燥し、SiO/Al比が17.3、平均結晶径が0.49μmであり、カリウム及びDMDPAを含有するYFI型ゼオライトを得、本実施例のYFI型ゼオライトとした。本実施例のYFI型ゼオライトのXRDパターンにおける、相対強度3%以上のXRDピークを以下に示す。
実施例4
実施例3と同様な方法で得られたYFI型ゼオライトを大気中、550℃で2時間焼成し、本実施例のYFI型ゼオライト(焼成YFI型ゼオライト)を得た。
本実施例のYFI型ゼオライトはSiO/Al比が17.3、メジアン径が57.8μm、標準偏差が17.8μm、頻度体積粒度分布曲線がモノモーダル型、最頻粒径が47.0μm、平均結晶径が0.49μmであり、水素イオン及びカリウムを含むYFI型ゼオライトであった。本実施例のYFI型ゼオライトのXRDパターンにおける相対強度3%以上のXRDピークを以下に示す。
実施例5
実施例4と同様な方法で得られたYFI型ゼオライトを以下の方法で酸処理した。まず、YFI型ゼオライトと、1.67質量%の塩酸とを室温で1時間撹拌して混合し、固形分濃度が15質量%であるゼオライトスラリーを得た。得られたゼオライトスラリーをろ過したのち、十分量の純水で洗浄し、水素イオン及びカリウムを含むYFI型ゼオライトのケークを得た。
該ケークに対し、次のようにアルカリ除去工程を実施した。まず該ケークに含まれるYFI型ゼオライト質量の5倍質量の塩化アンモニウム水溶液(20質量%)を流通させたのちに、YFI型ゼオライト質量の10倍の温水を流通させた。得られたケークを大気中110℃で20時間乾燥し、本実施例のYFI型ゼオライトを得た。得られたYFI型ゼオライトはSiO/Al比が25.8、平均結晶径が0.49μmであり、アンモニウムを含むYFI型ゼオライトであった。本実施例のYFI型ゼオライトのXRDパターンにおける、相対強度3%以上のXRDピークを以下に示す。
実施例6
実施例5と同様な方法で得られたYFI型ゼオライトに対し、次のようにセシウム置換を実施した。
該YFI型ゼオライトと水とを混合してスラリーとした後、これをろ過してYFI型ゼオライトのケークを得た。得られたケークに対し、YFI型ゼオライトに含まれるアルミニウムに対してセシウムが2当量となるように、2質量%の塩化セシウム水溶液を流通させた。なお、塩化セシウム水溶液は、塩化セシウム(富士フィルム和光純薬製(特級))と純水を混合することで調製した。次いで、YFI型ゼオライトの10倍質量の温水を該ケークに流通することで洗浄した。洗浄後のケークを、110℃、大気中で乾燥することでYFI型ゼオライトにセシウム(Cs)を担持させ、セシウムを含有したYFI型ゼオライトを得、本実施例のゼオライトとした。
得られたゼオライトはSiO/Al比が25.8、CsO/Al比が1.1、平均結晶径が0.49μmでありセシウムを含有するYFI型ゼオライトであった。該YFI型ゼオライトのXRDパターンにおける、相対強度3%以上のXRDピークを以下に示す。
比較例1
特許文献1の実施例4に準じた方法でYFI型ゼオライトを製造した。すなわち、DMDPAOH、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びコロイダルシリカ(Ludox AS-40、アルドリッチ社製)を混合し、60℃で3時間撹拌し、冷却し、ゼオライト前駆体を得た。シリカ源として得られたゼオライト前駆体、及びアルミナ源としてY型ゼオライト(東ソー(株)製、HSZ-350HUA)を混合し、以下のモル組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 =40
K/SiO比 =0.15
M/SiO比 =0.15
DMDPA/SiO比 =0.17
O/SiO比 =7.0
OH/SiO比 =0.47
該原料組成物を密閉容器内に充填し、20rpmの回転条件下で攪拌しながら160℃で67時間水熱処理し、結晶化物を得た。
得られた結晶化物を固液分離して回収した後、純水し洗浄、大気中、110℃で乾燥しゼオライト生成物を得た。該ゼオライト生成物を、大気中、550℃で焼成し、本比較例のゼオライトを得た。
本比較例のゼオライトはSiO/Al比が18.0、メジアン径が7.0μm、標準偏差が7.9μm、頻度体積粒度分布曲線がモノモーダル型、最頻粒径が6.5μm、平均結晶径が0.74μmであるYFI型ゼオライトであった。YFI型ゼオライトのXRDパターンにおいて、相対強度が3%以上のXRDピークを以下に示す。
測定例<ゼオライトスラリーの粘度測定>
実施例2、実施例4及び比較例1のYFI型ゼオライトを、それぞれ、純水と混合し、固形分濃度30質量%のゼオライトスラリーとした。
該ゼオライトスラリーの粘度は並行板レオメータ測定により行った。回転式レオメータ(装置名:ツインドライブレオメータ、MCR92、Anton Paar社製)を使用し、平行板型測定治具(PP50)を取り付けた測定装置のステージ上に試料スラリー2mLを滴下し、せん断速度10s-1、100s-1及び1000s-1におけるゼオライトスラリーの粘度をそれぞれ測定した。測定に際し、ステージ温度は20℃、及び、測定治具とステージ間のギャップは0.2mmとした。
結果を下表に示す。
実施例は、ゼオライト前駆体の合成を必須とすることがないため、比較例1の製造方法と比べて簡便な生産方法でYFI型ゼオライトを製造することができた。また上表より、実施例のYFI型ゼオライトは10~1000s-1のいずれのせん断速度におけるゼオライトスラリーの粘度も比較例1のYFI型ゼオライトよりも低く、比較例1のYFI型ゼオライトと比べて、スラリーハンドリング性に優れていることが確認できた。

Claims (10)

  1. 少なくとも以下の粉末X線回折ピークを有するYFI型ゼオライト。
  2. 体積粒度分布におけるメジアン径D50が10μm以上500μm以下である、請求項1に記載のYFI型ゼオライト。
  3. モノモーダル型の体積粒度分布曲線を有する請求項1又は2に記載のYFI型ゼオライト。
  4. 前記体積粒度分布曲線の標準偏差が10μm以上300μm以下である請求項3に記載のYFI型ゼオライト。
  5. アルミナに対するシリカのモル比が8以上5000以下である、請求項1又は2に記載のYFI型ゼオライト。
  6. 水素イオン(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、アンモニウム(NH )及びセシウム(Cs)の群から選ばれる1以上のカチオンを含有する、請求項1又は2に記載のYFI型ゼオライト。
  7. 平均結晶径が0.10μm以上0.70μm以下である、請求項1又は2に記載のYFI型ゼオライト。
  8. 少なくともシリカ源、アルミナ源、アルカリ源及び有機構造指向剤及び水を含む組成物を結晶化する工程、を有し、前記アルミナ源が水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの群から選ばれる1以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のYFI型ゼオライトの製造方法。
  9. 前記シリカ源が無定形ケイ酸及び非晶質アルミノシリケートの少なくともいずれかである、請求項8に記載のYFI型ゼオライトの製造方法。
  10. 前記アルミナ源が硫酸アルミニウム及び非晶質アルミノシリケートの少なくともいずれかである、請求項8に記載のYFI型ゼオライトの製造方法。
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