JP2023081069A - Cha型ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
骨格構造からアルミニウムを除去することができ、且つ、骨格構造から除去されたアルミニウムを骨格構造外の部位に留めることができるCHA型ゼオライトの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
結晶性シリカアルミナ源、アルカリ源、有機構造指向剤及び水を含む組成物を結晶化する結晶化工程と、前記結晶化工程で得られるCHA型ゼオライトに含まれる有機構造指向剤を除去する有機構造指向剤除去工程と、前記有機構造指向剤除去工程で得られるCHA型ゼオライトに対してスチームを含む気体を接触させるスチーム処理工程と、を含み、前記気体における水蒸気濃度が5体積%以上50体積%未満である、CHA型ゼオライトの製造方法。
【選択図】なし

Description

本開示は、CHA型ゼオライトの製造方法に関する。
CHA型ゼオライトは、国際ゼオライト学会(International ZeoliteAssociation)のStructure Commissionが定めている構造コード「CHA」の骨格構造を有するゼオライトであり、クラッキング触媒や窒素酸化物還元触媒などの様々な触媒の用途で使用されている。
CHA型ゼオライトは、高温下で使用されることがあるため、高温下でも触媒活性を維持する耐熱性が求められている。CHA型ゼオライトの耐熱性は、CHA型ゼオライトをスチーム処理に供し、骨格構造からアルミニウムを除去することで、向上することが知られている(例えば、特許文献1)。
特許第6817022号公報
本発明者等は、CHA型ゼオライトに対して行われるスチーム処理について検討を進め、スチーム処理の条件によっては、CHA型ゼオライトの骨格構造からアルミニウムが過度に除去されてしまい、結晶構造が不安定になるのではないかと考えた。
本発明は特許請求の範囲に記載のとおりであり、また、本開示の要旨は以下のとおりである。
[1] 結晶性シリカアルミナ源、アルカリ源、有機構造指向剤及び水を含む組成物を結晶化する結晶化工程と、前記結晶化工程で得られるCHA型ゼオライトに含まれる有機構造指向剤を除去する有機構造指向剤除去工程と、前記有機構造指向剤除去工程で得られるCHA型ゼオライトと水蒸気を含む気体とを接触させるスチーム処理工程と、を含み、前記気体における水蒸気濃度が5体積%以上50体積%未満である、CHA型ゼオライトの製造方法。
[2] 前記有機構造指向剤除去工程で得られる前記CHA型ゼオライトが下記式(1)を満足する、[1]に記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
0≦Mバルク/Al3バルク≦0.80 ・・・(1)
上記式(1)において、MバルクはCHA型ゼオライトのバルクにおけるアルカリ金属MのMO換算のモル数[mol]を示し、Al3バルクはCHA型ゼオライトのバルクにおけるアルミニウムのAl換算のモル数[mol]を示す。
[3] 前記有機構造指向剤除去工程が、前記結晶化工程で得られる前記CHA型ゼオライトを焼成することで、該CHA型ゼオライトに含まれる有機構造指向剤を除去する工程である、[1]又は[2]に記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
[4] 前記有機構造指向剤除去工程における前記焼成が、500℃以上800℃以下の空気雰囲気下で行われる、[3]に記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
[5] 前記結晶性シリカアルミナ源がFAU型ゼオライトであり、前記FAU型ゼオライトが下記式(2)を満足する、[1]乃至[4]のいずれか一つに記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
6≦SiO2バルク/Al3バルク比≦50 ・・・(2)
上記式(2)において、SiO2バルクはFAU型ゼオライトのバルクおけるケイ素のSiO換算のモル数[mol]を示し、Al3バルクはFAU型ゼオライトのバルクにおけるアルミニウムのAl換算のモル数[mol]を示す。
[6] 前記スチーム処理工程で得られるCHA型ゼオライトは、前記有機構造指向剤除去工程で得られる前記CHA型ゼオライトよりも、下記式(3)で表される骨格内Al比率が20%以上低い、[1]乃至[5]のいずれか一つに記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
骨格内Al比率[%]=(SiO2バルク/Alバルク)/(SiO2骨格/Al3骨格比)×100 ・・・(3)
上記式(3)において、SiO2バルクはCHA型ゼオライトのバルクにおけるケイ素のSiO換算のモル数[mol]を示し、Al3バルクはCHA型ゼオライトのバルクにおけるアルミニウムのAl換算のモル数[mol]を示し、SiO2骨格はCHA型ゼオライトの骨格におけるケイ素のSiO換算のモル数[mol]を示し、Al3骨格はCHA型ゼオライトの骨格におけるアルミニウムのAl換算のモル数[mol]を示す。
まず、本明細書における各用語の意味について説明する。
本明細書において、「ゼオライト」とは、骨格原子(以下、「T原子」ともいう。)が酸素(O)を介した規則的構造を有し、T原子が金属原子及び半金属原子の少なくともいずれかのみからなる化合物である。金属原子としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる1以上が例示できる。半金属原子としては、ホウ素(B)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)及びテルル(Te)からなる群から選ばれる少なくとも1種が例示できる。
「ゼオライト」は、T原子が酸素を介した規則的構造を有し、T原子に少なくとも金属及び半金属以外の原子を含む化合物(以下、「ゼオライト類縁物質」ともいう)とは区別される。なお、「ゼオライト類縁物質」としては、アルミノフォスフェート(AlPO)やシリコアルミノフォスフェート(SAPO)など、T原子としてリン(P)を含む複合リン化合物が例示できる。
本明細書において、「結晶性アルミノシリケート」とは、T原子がアルミニウム(Al)とケイ素(Si)からなるゼオライトである。「結晶性アルミノシリケート」は、その粉末X線回折(以下、「XRD」ともいう。)パターンにおいて、結晶性のXRDピークを示し、結晶性のXRDピークを示さない「非晶質アルミノシリケート」とは区別される。
本明細書において、ゼオライトにおける「規則的構造」とは、国際ゼオライト学会(International ZeoliteAssociation)のStructure Commissionが定めている構造コード(以下、単に「構造コード」ともいう。)で特定される骨格構造である。例えば、「CHA型ゼオライト」は構造コード「CHA」で特定される骨格構造を有するゼオライトであり、「FAU型ゼオライト」は構造コード「FAU」で特定される骨格構造を有するゼオライトである。各ゼオライトの骨格構造(構造コード)は、例えば、Collection of simulated XRD powder patterns for zeolites,Fifth revised edition,Page113(2007)に記載されたXRDパターン(以下、「参照パターン」ともいう。)との対比によって同定することができる。
本明細書において、XRDパターンは以下の条件のXRD測定より得られるものが挙げられる。
加速電圧・電流 : 40kV・20mA
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : 連続スキャン
スキャン条件 : 2.0°/分
測定範囲 : 2θ=3°から53°
検出器 : 半導体検出器
結晶性のXRDピークは、一般的な解析ソフト(例えば、SmartLab StudioII、リガク社製)を使用したXRDパターンの解析においてピークトップの2θが特定され検出されるピークであり、半値幅が2θ=0.50°以下のXRDピークが例示できる。
本明細書において、「SiO2骨格」「Al3骨格」は、それぞれ、ゼオライトの骨格構造(以下、「骨格」ともいう)を構成するケイ素のSiO換算のモル数[mol]、及び、アルミニウムのAl換算のモル数[mol]である。Al3骨格に対するSiO2骨格の比率(SiO2骨格/Al3骨格比)は、後述する説明において、骨格におけるシリカアルミナ比ともいう。なお、骨格におけるシリカアルミナ比(SiO2骨格/Al3骨格比)は、29Si DDMAS NMRスペクトル測定により求めることができる。
本明細書において、「29Si DDMAS NMRスペクトル」とは、以下の条件で測定される、有機構造指向剤を実質的に含有しないCHA型ゼオライトの29Si DDMAS NMRスペクトルである。
H共鳴周波数 :600MHz
29Si共鳴周波数 :119.2MHz
ローター回転速度 :10kHz
繰り返し時間 :30.0秒
積算回数 :2048回
29Si DDMAS NMRスペクトルは一般的な固体核磁気共鳴装置(例えば、AVANCE III 600、Bruker社製)を使用して測定することができる。得られたNMRスペクトルのピークフィッティングは、標準的なNMRデータ処理ソフト(ソフト名:ALICE2、JEOL社)を使用し、ガウス分布およびローレンツ分布の混合関数を用いて各ピークについて面積分を行い、SiO2骨格/Al3骨格比を算出すればよい。
本明細書において、「SiO2バルク」「Al3バルク」は、骨格及び骨格外を含むゼオライト全体(以下、「バルク」ともいう)に含まれる成分の酸化物換算のモル数であり、それぞれ、バルクにおけるケイ素のSiO換算のモル数[mol]、バルクにおけるアルミニウムのAl換算のモル数[mol]である。Al3バルクに対するSiO2バルクの比率(SiO2バルク/Al3バルク比)は、後述する説明において、バルクにおけるシリカアルミナ比ともいう。なお、バルクにおけるシリカアルミナ比(SiO2バルク/Al3バルク比)は、組成分析によりにより求めることができる。組成分析は、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)を挙げることができる。
本明細書において、骨格構造からのアルミニウムの除去が「過度」であるとは、スチーム処理前のSiO2骨格/Al3骨格比に対するスチーム処理後のSiO2骨格/Al3骨格比の比率(スチーム処理後(SiO2骨格/Al3骨格比)/スチーム処理前(SiO2骨格/Al3骨格比))が13.0超であることを指す。
本明細書において、骨格構造からのアルミニウムの除去が「適度」であるとは、スチーム処理前後の骨格シリカアルミナ比の比率(スチーム処理後(SiO2骨格/Al3骨格比)/スチーム処理前(SiO2骨格/Al3骨格比))が、1.0超13.0以下であることを指す。
以下、本開示の一実施形態について説明する。
本実施形態の製造方法は、結晶化工程と、有機構造指向剤除去工程と、スチーム処理工程と、を含むCHA型ゼオライトの製造方法に関する。本実施形態のCHA型ゼオライトの製造方法によれば、骨格構造からアルミニウムを適度に除去することができる。
結晶化工程は、結晶性シリカアルミナ源、アルカリ源、有機構造指向剤及び水を含む組成物(以下、「原料組成物」ともいう)を結晶化する工程であり、当該結晶化工程によってCHA型ゼオライト(以下、「CHA型ゼオライトZ1」という)を得る。
結晶化工程で用いられる結晶性シリカアルミナ源は、ケイ素及びアルミニウムを含む結晶性の物質であり、例えば、T原子として少なくともケイ素及びアルミニウムを含むゼオライトを用いることができる。結晶性シリカアルミナ源として用いることができるゼオライトとしては、例えば、ANA型、*BEA型、CHA型、EMT型、FAU型、FER型、GIS型、LTA型、LTL型又はMFI型のいずれかの結晶構造を有するゼオライトを挙げることができる。これらのゼオライトの中でも、本実施形態の製造方法で得られるCHA型ゼオライト(以下、「CHA型ゼオライトZ3」ともいう)が触媒としてより適したシリカアルミナ比(例えば、SiO2骨格/Al3骨格比が10以上30以下)となりやすいことから、FAU型ゼオライトを用いることが好ましく、FAU型構造を有する結晶性アルミノシリケートがより好ましく、ゼオライトYであることが更に好ましい。
結晶性シリカアルミナ源として用いることができるゼオライトは、シリカアルミナ比について特に限定されるものではないが、本実施形態の製造方法で得られるCHA型ゼオライトZ3が耐熱性及び触媒活性を向上できるシリカアルミナ比となりやすいことから、バルクにおけるシリカアルミナ比(SiO2バルク/Al3バルク比)が、下記式(2)を満足することが好ましい。
6≦SiO2バルク/Al3バルク比≦50 ・・・(2)
また、結晶性シリカアルミナ源として用いることができるゼオライトは、本実施形態の製造方法で得られるCHA型ゼオライトZ3が触媒としてより適したシリカアルミナ比(例えば、SiO2骨格/Al3骨格比が10以上30以下)となりやすいことから、バルクにおけるシリカアルミナ比(SiO2バルク/Al3バルク比)が、下記式(4)を満足することがより好ましく、下記式(5)を満足することが特に好ましい。
6≦SiO2バルク/Al3バルク比≦25 ・・・(4)
6≦SiO2バルク/Al3バルク比≦15 ・・・(5)
結晶性シリカアルミナ源として用いることができるゼオライトのカチオンタイプは、特に限定されるものではなく、例えば、プロトン型(H型)を用いることができる。
結晶化工程で用いられるアルカリ源は、アルカリ金属を含む化合物であり、アルカリ金属水酸化物であることが好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる少なくとも1種の水酸化物であることがより好ましく、ナトリウム及びカリウムの水酸化物少なくともいずれかであることが更により好ましい。
結晶化工程で用いられる有機構造指向剤源は、CHA構造を指向する有機構造指向剤を含む物質であり、具体的には、CHA構造を指向する有機カチオンを含む塩である。
CHA構造を指向する有機カチオン(CHA構造を指向する有機構造指向剤)としては、CHA構造を指向する四級アンモニウムカチオンを挙げることができ、(1-アダマンチル)トリメチルアンモニウム、コリンカチオン及びトリメチルベンジルアンモニウムカチオンの群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、(1-アダマンチル)トリメチルアンモニウム(以下、「TMAda」ともいう。)カチオンであることがより好ましい。
CHA構造を指向するカチオンを含む塩は、例えば、硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物及び水酸化物の群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ハロゲン化物及び水酸化物の少なくともいずれかであることがより好ましく、水酸化物であることがさらに好ましい。
結晶化工程で用いられる水は、上述した各原料とは別に含有される水、例えばイオン交換水、であってもよいが、上述した各原料に由来する構造水や、各原料を溶解した溶媒中の水を、結晶化工程で用いられる水としてもよい。
結晶化工程で結晶化する原料組成物は、上述した、結晶性シリカアルミナ源、アルカリ源、有機構造指向剤及び水のみにより構成されていてもよいが、原料組成物の組成を微調整するため、これらの原料以外の他の原料が含有されていてもよい。他の原料としては、例えば、結晶性シリカアルミナ源とは別に含有されるアルミナ源や、結晶性シリカアルミナ源とは別に含有されるシリカ源や、種晶を挙げることができる。
シリカ源は、ケイ素を含む化合物であり、例えば、シリカゾル、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降法シリカ、及び、無定形ケイ酸の群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
アルミナ源は、アルミニウムを含む化合物であり、例えば、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、金属アルミニウム、擬ベーマイト、アルミナゾル及びアルミニウムアルコキシドの群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
種晶は、CHA構造を指向するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、CHA型ゼオライトを用いることができる。
原料組成物におけるシリカに対するアルミナのモル比は、特に限定されるものではないが、本実施形態の製造方法で得られるCHA型ゼオライトZ3の耐熱性及び触媒活性が向上しうるシリカアルミナ比となりやすいことから、6以上50以下であることが好ましい。本実施形態の製造方法で得られるCHA型ゼオライトZ3が触媒としてより適したシリカアルミナ比(例えば、SiO2骨格/Al3骨格比が10以上30以下)となりやすいことから、原料組成物におけるSiO2バルク/Al3バルク比は、6以上25以下であることが好ましく、6以上15以下であることがより好ましい。
原料組成物におけるシリカに対する有機構造指向剤(以下、「SDA」ともいう)のモル比(以下、「SDA/SiO比」ともいう。)は、0.01以上0.50以下であることが好ましく、0.05以上0.30以下であることがより好ましく、0.10以上0.20以下であることが更に好ましい。
原料組成物におけるシリカに対するアルカリ金属のモル比(以下、「M/SiO比」ともいう。)は、0.1以上1.0以下であることが好ましく、0.1以上0.5以下であることがより好ましい。なお、M/SiO比において、原料組成物に2種類以上のアルカリ金属が含まれる場合、Mはアルカリ金属の合計のモル数を指す。
原料組成物におけるシリカに対する水(HO)のモル比(以下、「HO/SiO比」ともいう。)は、3以上50以下であることが好ましく、10以上40以下であることがより好ましい。原料組成物に適度な流動性を付与する観点から、HO/SiO比は20以上35以下であることが好ましい。
原料組成物に含まれる原料に水酸化物が含まれている場合、原料組成物におけるシリカに対する水酸化物イオン(以下、「OH」ともいう)のモル比(以下、「OH/SiO比」ともいう。)は、0.1以上1.0以下であることが好ましく、0.3以上0.7以下であることがより好ましい。
好ましい原料組成物の各モル比としては、以下の範囲を挙げることができる。
SiO/Al比 :6以上50以下
SDA/SiO比 :0.01以上0.50以下
M/SiO比 :0.1以上1.0以下
O/SiO比 :3以上50以下
OH/SiO比 :0.1以上1.0以下
結晶化工程における原料組成物の結晶化には、水熱処理を用いることができる。水熱処理は、原料組成物を密閉耐圧容器に入れ、これを加熱することで行うことができる。
水熱処理の温度は、原料組成物の結晶化が進行する温度であればよく、特に限定されるものではないが、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることが更に好ましい。原料組成物が結晶化すれば、必要以上に水熱処理の温度を高くする必要はない。そのため、水熱処理の温度は、200℃以下であればよく、180℃以下であることが好ましく、170℃以下であることがより好ましい。
水熱処理の時間は、原料組成物が結晶化する時間であればよく、特に限定されるものではないが、1時間以上168時間以下であることが好ましく、24時間以上120時間以下であることが特に好ましい。水熱処理における処理圧力は、自生圧とすることができる。
水熱処理において、原料組成物は、攪拌した状態で結晶化されてもよく、静置した状態で結晶化されてもよい。
ここで、結晶化工程では、原料組成物を結晶化する上述した結晶化処理のみを行ってもよいが、原料組成物の結晶化処理後、洗浄処理や乾燥処理を行ってもよい。
洗浄処理では、CHA型ゼオライトZ1(固相)と液相を公知の方法で固液分離し、固相として得られるCHA型ゼオライトZ1を純水で洗浄すればよい。
乾燥処理では、CHA型ゼオライトZ1から水分を除去する。乾燥処理における処理条件は任意であるが、CHA型ゼオライトZ1を、空気中、50℃以上150℃以下で2時間以上、静置することが例示できる。なお、前記における空気は、水蒸気を含む空気であってもよく、水蒸気を含まない空気であってもよい。具体的な空気としては、一般的な乾燥空気発生装置や工業プラントで生成される乾燥空気が例示できる。
上述した結晶化工程により、結晶物としてCHA型ゼオライトZ1を得ることができる。CHA型ゼオライトZ1には、T原子として少なくともケイ素及びアルミニウムが含まれるが、好ましいCHA型ゼオライトZ1は、CHA型の結晶性アルミノシリケートである。
結晶化後のCHA型ゼオライトZ1には、原料組成物に含有したSDA及びアルカリ金属イオンが含まれている。後述する有機構造指向剤除去工程では、結晶化工程で得られるCHA型ゼオライトZ1に含まれるSDAを除去し、SDAを実質的に含まないCHA型ゼオライト(以下、「CHA型ゼオライトZ2」ともいう)を得る。なお、SDAを実質的に含まないとは、例えば、CHA型ゼオライトZ2におけるSDAの含有量が1質量%以下であることが例示できる。
有機構造指向剤除去工程におけるSDAの除去には、結晶化工程で得られたCHA型ゼオライトZ1を焼成する焼成処理を用いることができる。なお、本明細書において焼成とは、水蒸気濃度が5体積%未満の雰囲気下で行われる処理を指し、後述するスチーム処理とは区別される処理である。
焼成処理の条件は、有機構造指向剤が除去されるものであればよく、有機構造指向剤が効率よく除去しやすくなるという点から、500℃以上800℃以下の空気雰囲気下とすることが好ましい。焼成時間は、有機構造指向剤が除去されるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、1時間~24時間とすることができる。
CHA型ゼオライトZ1を上述した焼成処理に供すると、CHA型ゼオライトZ1に含まれるSDAがプロトン(H)に置換され、CHA型ゼオライトからSDAが除去される。
ここで、有機構造指向剤除去工程では、CHA型ゼオライトZ1に含まれるSDAを除去する上述したSDA除去処理のみを行ってもよいが、SDA除去処理後、イオン交換処理をさらに行ってもよい。
イオン交換処理は、SDA除去処理後のCHA型ゼオライトZ2のカウンターカチオンの少なくとも一部を、任意のカチオンに置換する処理である。置換される任意のカチオンとしては、例えば、プロトン、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン及び遷移金属イオンの群から選ばれる1以上、などを挙げることができる。
イオン交換処理には、例えば、CHA型ゼオライトZ2と任意のカチオンを含有する溶液とを接触させる方法を用いることができる。CHA型ゼオライトZ2と任意のカチオンを含有する溶液との接触には、回分法や流通法などの公知のイオン交換法を用いることができ、接触時間や接触回数などの処理条件も公知の条件を用いることができる。
CHA型ゼオライトZ2のアルカリ金属の含有量が少なくなるほど、後述するスチーム処理工程において骨格構造からアルミニウムが除去されやすくなる。このため、骨格構造からより多くのアルミニウムを除去しようとする(骨格構造からのアルミニウムの除去が適度である範囲内において)場合には、SDA除去処理後のCHA型ゼオライトZ2のカウンターカチオンは、アルカリ金属以外のカチオンで置換されることが好ましく、アンモニウムイオン(NH )で置換されることがより好ましい。
CHA型ゼオライトZ2のカウンターカチオンをアンモニウムイオン(NH )で置換するには、例えば、SDA除去処理後のCHA型ゼオライトZ2を、アンモニウム水溶液(例えば、0.1~30wt%の硝酸アンモニウム水溶液及び0.1~30wt%の塩化アンモニウム水溶液の少なくともいずれか)に分散(浸漬)して、50~90℃で1~48時間、CHA型ゼオライトZ2とアンモニウム水溶液を接触し、CHA型ゼオライトZ2を回収後、これを乾燥すればよい。前述した処理は、2回以上繰り返し行ってもよい。
なお、イオン交換処理は、CHA型ゼオライトZ2のカウンターカチオンを1種のカチオンで置換する処理であってもよいが、CHA型ゼオライトZ2のカウンターカチオンを2種以上のカチオンで置換する処理であってもよい。具体的には、イオン交換処理は、CHA型ゼオライトZ2のカウンターカチオンを、アンモニウムイオンとアルカリ金属イオンで置換する処理であってもよい。
CHA型ゼオライトZ2のカウンターカチオンをアンモニウムイオンとアルカリ金属イオンで置換する場合、例えば、上述した方法と同様の方法で、CHA型ゼオライトZ2のカウンターカチオンをアンモニウムイオン(NH )で置換し、得られたCHA型ゼオライトZ2を、0.01~20.0wt%のアルカリ金属水溶液(例えば、硝酸ナトリウム水溶液、硝酸カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液及び塩化カリウム水溶液の群から選ばれる1以上)に分散(浸漬)して、50~100℃で1~48時間、CHA型ゼオライトZ2とアルカリ金属水溶液を接触し、CHA型ゼオライトZ2を回収後、これを乾燥すればよい。アルカリ金属イオンへの置換処理は、2回以上繰り返し行ってもよい。当該操作により、CHA型ゼオライトZ2のカウンターカチオンとして、アンモニウムイオンとアルカリ金属イオンを含むCHA型ゼオライトZ2を得ることができる。
上述したイオン交換処理の条件は、一例であり、置換するカチオンの種類に応じて、CHA型ゼオライトZ2に接触させる溶液中のカチオンの種類を変更することができる。また、CHA型ゼオライトZ2を溶液に接触させる時間や、CHA型ゼオライトZ2に接触させる溶液中のカチオンの濃度を調整することで、イオン交換処理後のCHA型ゼオライトZ2におけるカウンターカチオンの含有量を調整してもよい。さらには、CHA型ゼオライトZ2に接触させる溶液中のカチオンの種類は単独であっても複数であってもよい。
CHA型ゼオライトZ2は、CHA型ゼオライトZ1からSDAが除去されたものであり、T原子として少なくともケイ素及びアルミニウムを含むCHA型ゼオライトであるが、好ましくは、CHA型の結晶性アルミノシリケートである。
CHA型ゼオライトZ2は、SDAを実質的に含まなければ、その組成について特に限定されるものではないが、後述するスチーム処理工程において骨格構造からアルミニウムを除去しやすくする(骨格構造からのアルミニウムの除去が適度である範囲内において)観点からは、Al3バルクに対するバルクにおけるアルカリ金属MのMO換算のモル数(以下、「Mバルク」ともいう)の比率(以下、「Mバルク/Al3バルク」ともいう)が、下記式(1)を満足することが好ましい。
0≦Mバルク/Al3バルク≦0.80 ・・・(1)
なお、上記式(1)において、Mバルク/Al3バルクが0であることは、CHA型ゼオライトZ2にアルカリ金属が含まれないこと(すなわち、検出限界)を意味する。また、Mバルク/Al3バルクは、後述する実施例に記載される方法により求めることができる。
CHA型ゼオライトZ2がカウンターカチオンとしてアルカリ金属イオンを含む(カチオンタイプがアルカリ金属型である)場合、CHA型ゼオライトZ2のMバルク/Al3バルクは、下記式(6)を満足することがより好ましい。下記式(6)を満足するアルカリ金属型のCHA型ゼオライトZ2を用いて後述するスチーム処理を行うことで、下記式(6)を満足しないアルカリ金属型のCHA型ゼオライトZ2と比較して、本実施形態の製造方法で得られるCHA型ゼオライトZ3が触媒としてより適したシリカアルミナ比(例えば、SiO2骨格/Al3骨格比が10以上30以下)となりやすい。
0.40≦Mバルク/Al3バルク≦0.80 ・・・(6)
CHA型ゼオライトZ2において、骨格におけるシリカアルミナ比(SiO2骨格/Al3骨格比)は、特に限定されるものではないが、本実施形態の製造方法で得られるCHA型ゼオライトZ3が耐熱性及び触媒活性を向上できるシリカアルミナ比となりやすいことから、6以上50以下であることが好ましい。本実施形態の製造方法で得られるCHA型ゼオライトZ3が触媒としてより適したシリカアルミナ比(例えば、SiO2骨格/Al3骨格比が10以上30以下)となりやすいことから、CHA型ゼオライトZ2におけるSiO2骨格/Al3骨格比は、6以上25以下であることが好ましく、6以上15以下であることがより好ましい。
CHA型ゼオライトZ2において、バルクにおけるシリカアルミナ比(SiO2バルク/Al3バルク比)は、特に限定されるものではないが、6以上50以下であることが好ましい。本実施形態の製造方法で得られるCHA型ゼオライトZ3が触媒としてより適したシリカアルミナ比(例えば、SiO2骨格/Al3骨格比が10以上30以下)となりやすいことから、CHA型ゼオライトZ2におけるSiO2バルク/Al3バルク比は、6以上25以下であることが好ましく、6以上15以下であることがより好ましい。
CHA型ゼオライトZ2において、骨格内Al比率は、特に限定されるものではないが、例えば、80%超110%以下とすることができる。なお、骨格内Al比率は、バルクにおけるシリカアルミナ比(SiO2バルク/Al3バルク比)に対する骨格におけるシリカアルミナ比(SiO2骨格/Al3骨格比)の比率であり、下記式(3)から求めることができる。骨格内Al比率が100%未満であることは、骨格におけるアルミナ比(シリカに対するアルミナの比)が、バルクにおけるアルミナ比(シリカに対するアルミナの比)と比較して低いことを意味する。
骨格内Al比率[%]=(SiO2バルク/Al3バルク比)/(SiO2骨格/Al3骨格比)×100 ・・・(3)
CHA型ゼオライトZ2を、後述するスチーム処理に供することでCHA型ゼオライトZ3が製造される。
スチーム処理工程では、CHA型ゼオライトZ2とスチームを含む気体とを接触させる。CHA型ゼオライトZ2に接触させる気体における水蒸気濃度は、CHA型ゼオライトZ2に接触させる気体100体積%に対し、5体積%以上50体積%未満である。CHA型ゼオライトZ2に接触させる気体における水蒸気濃度が50体積%以上である場合、骨格構造からのアルミニウムの除去が過度になってしまう。一方、CHA型ゼオライトZ2に接触させる気体における水蒸気濃度が5体積%未満である場合には、骨格構造からアルミニウムを除去できないことがある。
CHA型ゼオライトZ2に接触させる気体における水蒸気濃度は、5体積%以上50体積%未満であればよいが、CHA型ゼオライトZ3が触媒としてより適したシリカアルミナ比(例えば、SiO2骨格/Al3骨格比が10以上30以下)となりやすいことから、5%以上40%以下であることが好ましく、5%以上30%以下であることがより好ましい。なお、水蒸気濃度は、理想気体を仮定して、CHA型ゼオライトZ2に接触させる気体における水蒸気分圧から求めることができる。
スチーム処理の処理温度は、例えば、500℃以上900℃未満であることが挙げられ、550℃以上850℃以下であることが好ましい。CHA型ゼオライトZ2のカチオンタイプがNH型である(カウンターカチオンとしてアンモニムイオンを含む)場合、スチーム処理の処理温度は、550℃以上750℃以下であることがより好ましい。カチオンタイプがNH型であるCHA型ゼオライトZ2について、スチーム処理の処理温度が550℃以上750℃以下である場合、当該範囲外である場合と比較して、CHA型ゼオライトZ3が触媒としてより適したシリカアルミナ比(例えば、SiO2骨格/Al3骨格比が10以上30以下)となりやすい。
スチーム処理の時間は、例えば、1時間以上72時間以下とすることができる。CHA型ゼオライトZ3が触媒としてより適したシリカアルミナ比(例えば、SiO2骨格/Al3骨格比が10以上30以下)となりやすいことから、スチーム処理の時間は、10時間以上30時間以下であることが好ましい。
CHA型ゼオライトZ2に接触させる気体には、水蒸気に加え、他の気体が含まれる。他の気体としては、アルゴン及び窒素の少なくともいずれか等の不活性ガスや空気が例示でき、不活性ガスであることが好ましく、不活性ガス及び空気の混合気体であってもよい。なお、前記における空気は、水蒸気を含む空気であってもよく、水蒸気を含まない空気であってもよい。該気体が水蒸気を含む空気である場合には、空気中の水蒸気と該空気に別途含有される水蒸気の合計濃度が、CHA型ゼオライトZ2に接触させる気体100体積%に対して5%体積以上50体積%未満となるように、空気に含有させる水蒸気の量を調整する。なお、空気に含まれる水蒸気だけで、CHA型ゼオライトZ2に接触させる気体の水蒸気濃度が5体積%以上50体積%未満となる場合には、当該空気に対して水蒸気を別途含有させなくてもよい。具体的な空気としては、水蒸気濃度が50体積%未満の空気や、一般的な乾燥空気発生装置や工業プラントで生成される乾燥空気や、計装空気などの加圧された空気が例示できる。該気体が不活性ガスである場合、CHA型ゼオライトZ2に接触させる気体100体積%に対して5%体積以上50体積%未満となるように、不活性ガスに水蒸気を含有させる。具体的な不活性ガスとして、水蒸気濃度が50体積%未満のアルゴン、計装窒素などの加圧された窒素、が例示できる。
スチーム処理は、大気圧下で行われてもよく、加圧下で行われてもよい。また、スチーム処理は、密閉容器内で行われてもよく、空気や不活性ガスの流通下で行われてもよい。空気や不活性ガスの流通下でスチーム処理を行う場合、気体の流量は、例えば、10~50mL/分とすることができ、20~40mL/分とすることが好ましい。
水蒸気を生成する方法は、特に限定されるものではなく、水を気化してガス(気体)と混合する方法や、スチーム処理するCHA型ゼオライトZ2に水分を含ませた状態で処理する方法等を例示することができる。
スチーム処理工程おいて、有機構造指向剤除去工程で得られるCHA型ゼオライトZ2に対し、水蒸気濃度が5体積%以上50体積%未満である気体を接触させることで、骨格構造からアルミニウムを適度に除去することができる(すなわち、CHA型ゼオライトZ2(スチーム処理前)のSiO2骨格/Al3骨格比に対するCHA型ゼオライトZ3(スチーム処理後)のSiO2骨格/Al3骨格比(スチーム処理前後の骨格シリカアルミナ比の比率)の比率が1.0超13.0以下となる)。
スチーム処理前後の骨格シリカアルミナ比の比率は、1.0超13.0以下であればよいが、1.30以上13.0以下であることがより好ましい。スチーム処理前後の骨格シリカアルミナ比の比率が1.30以上である場合には、CHA型ゼオライトZ3の耐熱性がより向上するものと考えられる。また、スチーム処理前後の骨格シリカアルミナ比の比率は、1.30以上10以下であることがさらにより好ましく、1.30以上2.5以下であることが特に好ましい。スチーム処理前後の骨格シリカアルミナ比が10以下(特に、2.5以下)である場合には、当該範囲外である場合と比較して、CHA型ゼオライトZ3が触媒としてより適したシリカアルミナ比(例えば、SiO2骨格/Al3骨格比が10以上30以下)となりやすい。
CHA型ゼオライトZ3において、骨格におけるシリカアルミナ比(SiO2骨格/Al3骨格)は、CHA型ゼオライトZ2の骨格におけるシリカアルミナ比に対して1.0倍超13.0倍以下となるものであればよく、特に限定されるものではないが、触媒としてより適したシリカアルミナ比とする観点からは、10以上50以下であることが好ましく、10以上30以下であることがより好ましい。
CHA型ゼオライトZ3において、バルクにおけるシリカアルミナ比(SiO2バルク/Al3バルク比)は、特に限定されるものではないが、通常、スチーム処理前後でバルクにおけるシリカアルミナ比は変化しにくい。このため、CHA型ゼオライトZ3において、バルクにおけるシリカアルミナ比(SiO2バルク/Al3バルク比)は、CHA型ゼオライトZ2と同様に、6以上50以下であることが好ましく、6以上25以下であることがより好ましく、6以上15以下であることが特に好ましい。
CHA型ゼオライトZ3の骨格内Al比率は、骨格におけるシリカアルミナ比とバルクにおけるシリカアルミナ比から求められるものであり、これらのシリカアルミナ比の制限を満たすものであればよく、特に限定されるものではないが、20%以上80%以下であることが好ましい。
なお、上述した通り、骨格におけるシリカアルミナ比はスチーム処理により上昇するが、通常、バルクにおけるシリカアルミナ比はスチーム処理前後で変化しにくい。このため、CHA型ゼオライトZ3の骨格内Al比率は、通常、CHA型ゼオライトZ2の骨格内Al比率と比較して小さくなる。CHA型ゼオライトZ3とCHA型ゼオライトZ2の骨格内Al比率の差(CHA型ゼオライトZ2の骨格内Al比率からCHA型ゼオライトZ3の骨格内Al比率を減じた値)は、20%以上であることが好ましい。CHA型ゼオライトZ3とCHA型ゼオライトZ2の骨格内Al比率の差が20%以上である場合には、20%未満である場合と比較して、スチーム処理により骨格から脱離したAlが骨格におけるT原子と相互作用しやすくなる。その結果、CHA型ゼオライトZ3の耐熱性がより向上すると考えられる。
CHA型ゼオライトZ3とCHA型ゼオライトZ2の骨格内Al比率の差は、スチーム処理の温度、水蒸気濃度、及びスチーム処理の時間に依存して変化する傾向がある。例えば、スチーム処理の処理温度が500℃以上900℃未満であり、且つ、水蒸気濃度が5体積%以上50体積%未満である場合には、スチーム処理の時間を10時間以上とすることで、CHA型ゼオライトZ3とCHA型ゼオライトZ2の骨格内Al比率の差を20%以上とすることができる。
CHA型ゼオライトZ3において、BET比表面積は、特に限定されるものではないが、500m/g以上900m/g以下とすることができ、520/g以上850m/g以下とすることもでき、540m/g以上800m/g以下とすることもできる。
CHA型ゼオライトZ3において、ミクロ孔容積は、特に限定されるものではないが、0.20mL/g以上0.40mL/g以下とすることができ、0.21mL/g以上0.38mL/g以下とすることもでき、0.22mL/g以上0.36mL/g以下とすることもできる。
CHA型ゼオライトZ3は、CHA型ゼオライトZ2の骨格から一部のアルミニウムが除去されたものであり、T原子として少なくともケイ素及びアルミニウムを含むCHA型ゼオライトであるが、好ましくは、CHA型の結晶性アルミノシリケートである。
以上説明した本実施形態の製造方法によれば、骨格構造からアルミニウムを適度に除去されたCHA型ゼオライトZ3を製造することができる。本実施形態の製造方法で得られるCHA型ゼオライトZ3は、クラッキング触媒や窒素酸化物還元触媒などの様々な触媒の用途で使用することができ、結晶構造が安定したゼオライトであると考えられる。また、スチーム処理前後の骨格シリカアルミナ比の比率を1.30以上とした場合には、より耐熱性に優れたゼオライトになると考えられる。
以下、実施例を挙げて本実施形態について説明する。しかしながら、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
(結晶構造)
一般的な粉末X線回折装置(装置名:Ultima IV、リガク社製)を使用し、試料のXRD測定をした。測定条件は以下のとおりである。得られたXRDパターンと参照パターンとを比較し、試料の結晶構造を同定した
加速電圧・電流 : 40kV・20mA
線源 : CuKα線(λ=1.5405Å)
測定モード : 連続スキャン
スキャン条件 : 2.0°/分
測定範囲 : 2θ=3°から53°
29Si DDMAS NMR測定)
一般的な固体核磁気共鳴装置(装置名:AVANCE III 600、Bruker社製)を使用し、試料の29Si DDMAS NMRスペクトル測定をした。測定条件は以下のとおりである。
H共鳴周波数 :600MHz
29Si共鳴周波数 :119.2MHz
ローター回転速度 :10kHz
繰り返し時間 :30.0秒
積算回数 :2048回
得られた29Si DDMAS NMRスペクトルについて、-114ppm以上、-107ppm以下にピークトップが存在するピークの面積をQ(0Al)(Si(OSi))とし、-107ppm超-103ppm以下にピークトップが存在するピークの面積をQ(1Al)(Si(OAl)(OSi))、-103ppm超-100ppm以下にピークトップが存在するピークの面積をQ(0Al)(Si(OH)(OSi))、-100ppm超-96ppm以下にピークトップが存在するピークの面積をQ(2Al)(Si(OAl)(OSi))とそれぞれ帰属した。
ピークフィッティングは標準的なNMRデータ処理ソフト(ソフト名:ALICE2、JEOL社)を使用し、ガウス分布およびローレンツ分布の混合関数を用いて各ピークについて面積分を行い、下記式(7)を用いてSiO2骨格/Al3骨格比を算出した。
SiO2骨格/Al3骨格比=2×(Q(0Al)+Q(1Al)+Q(2Al)+Q(3Al)+Q(0Al))/(0.25×Q(1Al)+0.50×Q(2Al)+0.75×Q(3Al))) ・・・(7)
(組成分析)
フッ化水素酸に試料を溶解して試料溶液を調製した。一般的なICP装置(装置名:ICPE-9000、島津製作所社製)を使用して、当該試料溶液を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)で測定し、試料中のSiO2バルク/Al3バルク比、Naバルク/Al3バルク及びKバルク/Al3バルクを求めた。
(BET比表面積、及び、ミクロ細孔容積)
一般的な窒素吸着装置(装置名:BELSORP Max、マイクロトラック・ベル社製)を用いて、試料に対する窒素ガスの吸着量を測定した。窒素ガスの吸着等温線に対して、BET法を適用することにより、試料のBET比表面積を求めた。また、窒素ガスの吸着等温線に対して、t-plot法を適用することにより、ミクロ細孔容積を求めた。t-plot法は窒素吸着装置付属の解析ソフト(製品名:BEL Master(version 7)、マイクロトラック・ベル社製)を使用した。なお、窒素ガス吸着は、通常の定容量法を用いた。測定条件は、以下に示す通りである。
使用ガス :99.999%窒素
測定温度 :-196℃
前処理 :400℃、12時間の減圧加熱処理(2Pa以下)
(スチーム処理)
ゼオライト粉末を、それぞれ常圧固定床流通式反応管に充填した。反応管に水蒸気含有気体(スチーム)を流通させ、ゼオライト試料のスチーム処理を行った。ガスの組成及び処理条件を以下に示す。
試料質量 :0.4g、0.5g又は1.0g
含有ガス組成 : 水 10体積%又は20体積%
アルゴン 残部
ガス流量 :30mL/分
処理温度 :600℃、700℃又は800℃
室温からの昇温時間:1時間
保持時間 :24時間
圧力 :大気圧
[実施例1]
(1-アダマンチル)トリメチルアンモニウム水酸化物(TMAdaOH)水溶液、純水、水酸化ナトリウム、FAU型ゼオライト(製品名:HSZ-350HUA、東ソー社製、カチオンタイプ:H型、バルクSiO/Al比=11.1、結晶性アルミノシリケート)を混合して以下の組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 =11.1
SDA(TMAda)/SiO比 =0.20
Na/SiO比 =0.10
K/SiO比 =0.10
O/SiO比 =20.0
OH/SiO比 =0.40
得られた原料組成物を23mLの密閉容器内に充填し、密閉容器を20rpmで回転させながら原料組成物を撹拌状態とし、170℃、96時間水熱処理した。水熱処理後の結晶化物を固液分離し、純水で洗浄した後、空気中、80℃で24時間、乾燥し、CHA型ゼオライトZ1(CHA型の結晶性アルミノシリケート)を得た。
前述のCHA型ゼオライトZ1を空気中、600℃で10時間焼成して、CHA型ゼオライトZ1に含有されるSDA(TMAda)を除去し、CHA型ゼオライトZ2(CHA型の結晶性アルミノシリケート)を得た。得られたCHA型ゼオライトZ2はSiO2バルク/Al3バルク比が9.9、SiO2骨格/Al3骨格比が9.8、骨格内Al比率が101%、Naバルク/Al3バルク比が0.25、Kバルク/Al3バルク比が0.38及びバルクMO/Al比が0.63であった。
前述のCHA型ゼオライトZ2を4wt%硝酸アンモニウム水溶液中に分散させ、静置条件で80℃、24時間でイオン交換処理をした。固形物を固液分離し、純粋で洗浄した後、空気中、80℃で24時間乾燥させた。この操作を3回繰り返し、カチオンタイプがNH型のCHA型ゼオライトZ2(CHA型の結晶性アルミノシリケート)を得た。得られたNH型のCHA型ゼオライトZ2は、SiO2バルク/Al3バルク比が9.9、SiO2骨格/Al3骨格比が11.2、骨格内Al比率が88%、Naバルク/Al3バルク比が0.02未満(検出限界)、Kバルク/Al3バルク比が0.03未満(検出限界)及びMバルク/Al3バルク比が0.05未満(検出限界)であった。
NH型のCHA型ゼオライトZ2を10体積%の水蒸気濃度下で600℃、24時間、スチーム処理を行った。得られたCHA型ゼオライトZ3(CHA型の結晶性アルミノシリケート)は、BET比表面積が749m/g、ミクロ細孔容積が0.27mL/g、SiO2バルク/Al3バルク比が9.9、SiO2骨格/Al3骨格比が15.2、骨格内Al比率が65%、バルクNaバルク/Al3バルク比が0.02未満(検出限界)、Kバルク/Al3バルク比が0.03未満(検出限界)及びMバルク/Al3バルク比が0.05未満(検出限界)であった。
[実施例2]
スチーム処理の温度を700℃にしたこと以外は実施例1と同様の方法で、CHA型ゼオライトZ3(CHA型の結晶性アルミノシリケート)を得た。得られたCHA型ゼオライトZ3は、BET比表面積が720m/g、ミクロ細孔容積が0.27mL/g、SiO2バルク/Al3バルク比が9.9、SiO2骨格/Al3骨格比が26.0、骨格内Al比率が38%、Naバルク/Al3バルク比が0.02未満(検出限界)、Kバルク/Al3バルク比が0.03未満(検出限界)及びMバルク/Al3バルク比が0.05未満(検出限界)であった。
[実施例3]
スチーム処理の温度を800℃にしたこと以外は実施例1と同様の方法で、CHA型ゼオライトZ3(CHA型の結晶性アルミノシリケート)を得た。得られたCHA型ゼオライトZ3は、BET比表面積が546m/g、ミクロ細孔容積が0.23mL/g、SiO2バルク/Al3バルク比が9.9、SiO2骨格/Al3骨格比が140.0、骨格内Al比率が7%、Naバルク/Al3バルク比が0.02未満(検出限界)、Kバルク/Al3バルク比が0.03未満(検出限界)及びMバルク/Al3バルク比が0.05未満(検出限界)であった。
[実施例4]
実施例1と同様の方法で、CHA型ゼオライトZ2(イオン交換処理していないCHA型ゼオライトZ2)を得た後、20体積%の水蒸気濃度下で800℃、24時間、スチーム処理を行った。得られたCHA型ゼオライトZ3(CHA型の結晶性アルミノシリケート)は、BET比表面積が724m/g、ミクロ細孔容積が0.25mL/g、SiO2バルク/Al3バルク比が9.9、SiO2骨格/Al3骨格比が13.4、骨格内Al比率が74%、Naバルク/Al3バルク比が0.25、Kバルク/Al3バルク比が0.38及びMバルク/Al3バルク比が0.63であった。
[実施例5]
実施例1と同様の方法でカチオンタイプがNH型のCHA型ゼオライトZ2を得た後、0.22wt%硝酸ナトリウム水溶液50.5g中に当該ゼオライト1.01gを分散させ、静置条件で80℃、24時間でイオン交換処理をした。固形物を固液分離し、純粋で洗浄した後、空気中、80℃で24時間乾燥させた。この操作を3回繰り返し、カウンターカチオンとしてアンモニウムイオンとナトリウムイオンを含有するCHA型ゼオライトZ2(CHA型の結晶性アルミノシリケート)を得た。得られたゼオライトZ2は、SiO2バルク/Al3バルク比が9.8、SiO2骨格/Al3骨格比が11.2、骨格内Al比率が87%、Naバルク/Al3バルク比が0.23、Kバルク/Al3バルク比が0.03未満(検出限界)及びMバルク/Al3バルク比が0.23~0.26であった。
0.4gのCHA型ゼオライトZ2に対し、10体積%の水蒸気濃度下で800℃、24時間、スチーム処理を行った。得られたCHA型ゼオライトZ3(CHA型の結晶性アルミノシリケート)は、SiO2バルク/Al3バルク比が9.8、SiO2骨格/Al3骨格比が40.8、骨格内Al比率が24%、Naバルク/Al3バルク比が0.22、Kバルク/Al3バルク比が0.03未満(検出限界)及びMバルク/Al3バルク比が0.23~0.26であった。
[実施例6]
実施例1と同様の方法でカチオンタイプがNH型のCHA型ゼオライトZ2を得た後、0.43wt%硝酸ナトリウム水溶液50.8g中に当該ゼオライトを1.01g分散させ、静置条件で80℃、24時間でイオン交換処理をした。固形物を固液分離し、純粋で洗浄した後、空気中、80℃で24時間乾燥させた。この操作を3回繰り返し、カウンターカチオンとしてアンモニウムイオンとナトリウムイオンを含有するCHA型ゼオライトZ2(CHA型の結晶性アルミノシリケート)を得た。得られたCHA型ゼオライトZ2は、SiO2バルク/Al3バルク比が9.7、SiO2骨格/Al3骨格比が11.0、骨格内Al比率が88%、Naバルク/Al3バルク比が0.35、Kバルク/Al3バルク比が0.03未満(検出限界)及びMバルク/Al3バルク比が0.35~0.38であった。
0.5gのCHA型ゼオライトZ2に対し、10体積%の水蒸気濃度下で800℃、24時間、スチーム処理を行った。得られたCHA型ゼオライトZ3(CHA型の結晶性アルミノシリケート)は、SiO2バルク/Al3バルク比が9.7、SiO2骨格/Al3骨格比が32.2、骨格内Al比率が30%、Naバルク/Al3バルク比が0.35、Kバルク/Al3バルク比が0.03未満(検出限界)及びMバルク/Al3バルク比が0.35~0.38であった。
[比較例1]
TMAdaOH水溶液、純水、水酸化ナトリウム、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ(製品名:Nipsil LP、東ソー・シリカ社製)及びFAU型ゼオライト(製品名:HSZ-320NAA、東ソー社製、カチオンタイプ:Na型、バルクSiO/Al比=5.7、結晶性アルミノシリケート)を混合して以下の組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 =34
TMAda/SiO比 =0.19
Na/SiO比 =0.24
OH/SiO比 =0.43
O/SiO比 =12
得られた原料組成物を80mLの密閉容器内に充填し、密閉容器を40rpmで回転させながら原料組成物を撹拌状態とし、150℃、5日間水熱処理した。水熱処理後の結晶化物(CHA型ゼオライトZ1)を固液分離し、純水で洗浄した後、空気中、600℃で10時間焼成し、CHA型ゼオライトZ1に含有されるSDA(TMAda)を除去した。得られたCHA型ゼオライトZ2は、SiO2バルク/Al3バルク比が22.4、SiO2骨格/Al3骨格比が22.9、骨格内Al比率が98%、Naバルク/Al3バルク比が0.53、Kバルク/Al3バルク比が0及びMバルク/Al3バルク比が0.53であるCHA型ゼオライトであった。
各実施例及び比較例について、ゼオライトZ2の組成、ゼオライトZ3の組成、ゼオライトZ2のSiO2骨格/Al3骨格比に対するゼオライトZ3のSiO2骨格/Al3骨格比の比率(スチーム処理前後のシリカアルミナ比の比率)を、それぞれ、下記表1~3に示す。
Figure 2023081069000001
Figure 2023081069000002
Figure 2023081069000003
上記表3から理解できるように、実施例1~6では、スチーム処理前後のシリカアルミナ比の比率が1.36~12.50であった。この結果から、実施例1~6の製造方法によれば、骨格構造からアルミニウムを適度に除去できたことが理解できた。

Claims (6)

  1. 結晶性シリカアルミナ源、アルカリ源、有機構造指向剤及び水を含む組成物を結晶化する結晶化工程と、
    前記結晶化工程で得られるCHA型ゼオライトに含まれる有機構造指向剤を除去する有機構造指向剤除去工程と、
    前記有機構造指向剤除去工程で得られるCHA型ゼオライトと水蒸気を含む気体とを接触させるスチーム処理工程と、を含み、
    前記気体における水蒸気濃度が5体積%以上50体積%未満である、CHA型ゼオライトの製造方法。
  2. 前記有機構造指向剤除去工程で得られる前記CHA型ゼオライトが下記式(1)を満足する、請求項1に記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
    0≦Mバルク/Al3バルク≦0.80 ・・・(1)
    上記式(1)において、MバルクはCHA型ゼオライトのバルクにおけるアルカリ金属MのMO換算のモル数[mol]を示し、Al3バルクはCHA型ゼオライトのバルクにおけるアルミニウムのAl換算のモル数[mol]を示す。
  3. 前記有機構造指向剤除去工程が、前記結晶化工程で得られる前記CHA型ゼオライトを焼成することで、該CHA型ゼオライトに含まれる有機構造指向剤を除去する工程である、請求項1又は2に記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
  4. 前記有機構造指向剤除去工程における前記焼成が、500℃以上800℃以下の空気雰囲気下で行われる、請求項3に記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
  5. 前記結晶性シリカアルミナ源がFAU型ゼオライトであり、
    前記FAU型ゼオライトが下記式(2)を満足する、請求項1乃至4のいずれか一つに記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
    6≦SiO2バルク/Al3バルク比≦50 ・・・(2)
    上記式(2)において、SiO2バルクはFAU型ゼオライトのバルクおけるケイ素のSiO換算のモル数[mol]を示し、Al3バルクはFAU型ゼオライトのバルクにおけるアルミニウムのAl換算のモル数[mol]を示す。
  6. 前記スチーム処理工程で得られるCHA型ゼオライトは、前記有機構造指向剤除去工程で得られる前記CHA型ゼオライトよりも、下記式(3)で表される骨格内Al比率が20%以上低い、請求項1乃至5のいずれか一つに記載のCHA型ゼオライトの製造方法。
    骨格内Al比率[%]=(SiO2バルク/Alバルク)/(SiO2骨格/Al3骨格比)×100 ・・・(3)
    上記式(3)において、SiO2バルクはCHA型ゼオライトのバルクにおけるケイ素のSiO換算のモル数[mol]を示し、Al3バルクはCHA型ゼオライトのバルクにおけるアルミニウムのAl換算のモル数[mol]を示し、SiO2骨格はCHA型ゼオライトの骨格におけるケイ素のSiO換算のモル数[mol]を示し、Al3骨格はCHA型ゼオライトの骨格におけるアルミニウムのAl換算のモル数[mol]を示す。
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