JP6834250B2 - Aei型ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、AEI型ゼオライトの製造方法に関する。
AEI型ゼオライトは、オレフィン製造用触媒や選択的接触還元触媒(いわゆるSCR触媒)として検討されている結晶性アルミノシリケートである(例えば、特許文献1及び非特許文献1)。これまで、AEI型ゼオライトの製造方法としてY型ゼオライトを原料とした以下の製造方法が報告されている。
特許文献1は、Y型ゼオライト、ケイ酸ナトリウム、及び1,1−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウムカチオンを含む原料を結晶化するAEI型ゼオライトの製造方法が開示されている。特許文献1に係る製造方法は、AEI型ゼオライトを得るための結晶化に5〜7日かかることが開示されている。
非特許文献1では、ケイ酸ナトリウム、USY型ゼオライト、及び1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムカチオンを含む原料を結晶化するSSZ−39の製造方法が開示されている。非特許文献1に係る製造方法では、AEI型ゼオライトを得るための結晶化に7日かかることが開示されている。さらに、非特許文献1では、原料としてUSY型ゼオライトとケイ酸ナトリウムを使用した場合に限り、AEI型ゼオライトが得られることが開示されている。
非特許文献2では、特定の構造指向剤、及び、原料のSiO/Al比が30のY型ゼオライトを用いた場合に限り、SSZ−39が得られることが開示されている。非特許文献2では、SiO/Alモル比が30以外では、Y型ゼオライトを含む混合物を結晶化した場合であっても、AEI型ゼオライトが得られないことが開示されている。
非特許文献3では、Y型ゼオライト、テトラエチルホスホニウムカチオンを含む原料を結晶化するAEI型ゼオライトの製造方法が示されている。非特許文献3に係る製造方法では、AEI型ゼオライトを得るための結晶化に1日かかることが開示されている。
非特許文献4では、コロイダルシリカ、Y型ゼオライト、及び1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムカチオンを含む原料を結晶化するSSZ−39の製造方法が開示されている。非特許文献4に係る製造方法では、AEI型ゼオライトを得るための結晶化に66時間以上かかることが開示されている。
非特許文献5では、USY型ゼオライト、及び1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムカチオンを含む原料を結晶化するSSZ−39の製造方法が開示されている。非特許文献5に係る製造方法では、AEI型ゼオライトを得るための結晶化に7日かかることが開示されている。
また非特許文献5では、USY型ゼオライト、銅−ポリアミン錯体、及び1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムカチオンを含む原料を結晶化するSSZ−39の製造方法も開示されている。結晶化時間は記載されていない。
特許文献2では、Y型ゼオライト以外のアルミナ源を使用し、アルミナに対するシリカのモル比が100を超えるAEI型ゼオライトの製造方法が開示されている。特許文献2で開示された方法は、フッ化水素を含む系において、硝酸アルミニウム、テトラエチルオルソシリケート、及び、1,1−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウムカチオンを含む原料を結晶化させるものであった。
米国特許第5958370号 米国特許第7008610号
Chemical Communication 第48巻、8264−8266頁(2012年) Journal of American Chemical Society、第122号、263−273頁(2000年) Chemistry Letters、第43号、302−304頁(2014年) 第30回ゼオライト研究発表会、A5(2014年) Chemical Communication 第51巻、11030−11033頁(2015年)
これまで開示されたAEI型ゼオライトの製造方法、特にアルミナに対するシリカの割合が100以下のAEI型ゼオライトの製造方法においては、Y型ゼオライト以外の原料を用いて製造することができなかった。さらに、Y型ゼオライトを使用するAEI型ゼオライトの製造方法は、高価なY型ゼオライトを使用することにより製造コストが高くなるだけではなく、結晶化に時間がかかる。そのため、これらの製造方法は非常に生産性が低く、工業的なAEI型ゼオライトの製造方法として適用することは困難であった。
また、特許文献2及び非特許文献3は、比較的短い時間でAEI型ゼオライトの結晶化が可能であるとされる。しかしながら、これらの製造方法はフッ素又はリンを含む原料を使用することを必須とする。フッ素やリンは得られるAEI型ゼオライトに含まれることはもちろん、AEI型ゼオライトの製造後の排水等にも含まれる。そのため、排水処理等の追加の処理及び装置が必要となり、AEI型ゼオライトの製造コストが高くなる。このように、短い時間でAEI型ゼオライトを結晶化させるには、フッ素やリンなどの特殊な化合物の使用が必須であった。さらに、特許文献2のAEI型ゼオライトの製造方法は、腐食性の高いフッ素を使用するため、通常のゼオライトの製造設備を用いることができなかった。
これらの課題に鑑み、本発明は、フッ素やリンを含む原料やY型ゼオライトを使用することのないAEI型ゼオライトの製造方法を提供することを目的とする。さらには、従来のAEI型ゼオライトの製造方法と比べて、生産性の高いAEI型ゼオライトの製造方法を提供することを目的とする。またさらには、本発明はAEI型ゼオライト、特にアルミナに対するシリカのモル比が100以下のAEI型ゼオライトの工業的な製造方法を提供することを別の目的とする。
本発明者は、AEI型ゼオライトを工業的に製造するための製造方法について検討した。その結果、Y型ゼオライト以外の結晶性アルミノシリケートがAEI型ゼオライトのシリカアルミナ源として使用できることを見出した。更には特定のゼオライトをシリカアルミナ源とすることで、Y型ゼオライトを使用せず、なおかつ、従来のAEI型ゼオライトの製造方法と比べ、より短時間でAEI型ゼオライトが結晶化できることを見出した。
すなわち、本発明は、構造指向剤、ナトリウム源、水、及び、シリカアルミナ源として以下のいずれかの1以上の構造を有するゼオライト、を含有する組成物を結晶化する結晶化工程、を含むAEI型ゼオライトの製造方法である。
Figure 0006834250
以下、本発明のAEI型ゼオライトの製造方法について詳細に説明する。
本発明はAEI型ゼオライトの製造方法に係る。AEI型ゼオライトとは、AEI構造を有するゼオライトであり、特にAEI構造を有するアルミノシリケートである。
アルミノシリケートは、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)とが酸素(O)を介したネットワークの繰返しからなる構造である。
AEI構造とは、国際ゼオライト学会(International ZeoliteAssociation)のStructure Commissionが定めているIUPAC構造コード(以下、単に「構造コード」ともいう。)で、AEI型となる構造である。
AEI型ゼオライトの結晶相は、Collection of simulated XRD powder patterns for zeolites,Fifth revised edition,p.23(2007)に記載の粉末X線回折(以下、「XRD」とする。)パターン、又は、IZAの構造委員会のホームページhttp://www.iza−struture.org/databases/のZeolite Framework TypesのAEIに記載のXRDパターンのいずれかと比較することで、これを同定することができる。
本発明の製造方法により得られるAEI型ゼオライトとして、SSZ−39を挙げることができる。
本発明の製造方法は、構造指向剤、ナトリウム源、水、及び、シリカアルミナ源として以下のいずれかの1以上の構造を有するゼオライト、を含有する組成物を結晶化する結晶化工程、を含むAEI型ゼオライトの製造方法、を含む。
Figure 0006834250
なお、上表におけるそれぞれの構造はゼオライトの構造であり、国際ゼオライト学会(International ZeoliteAssociation)のStructure Commissionが定めているIUPAC構造コード(以下、単に「構造コード」ともいう。)に対応する構造である。
これにより、Y型構造を有するゼオライトの構造転換によることなく、AEI型ゼオライト、更にはアルミナに対するシリカのモル比(以下、「SiO/Al比」ともいう。)が100以下のAEI型ゼオライト、また更にはSiO/Al比が50以下のAEI型ゼオライト、更にはSiO/Al比が40以下のAEI型ゼオライトを得ることができる。
原料組成物は、シリカアルミナ源として以下のいずれかの1以上の構造を有するゼオライト(以下、「原料ゼオライト」ともいう。)を含む。原料組成物が原料ゼオライトを含むことで、Y型ゼオライトの構造転換によることなく、結晶性アルミノシリケートからAEI型ゼオライトを結晶化することができ、更には従来のAEI型ゼオライトの製造方法と比べて、AEI型ゼオライトの結晶化時間がより短くなる。
Figure 0006834250
好ましい原料ゼオライトとして、ABW、ACO、AEN、AFN、AFR、AFS、AFV、AFY、ANA、APC、APD、ATN、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BIK、BOZ、BPH、BRE、CAS、CDO、CGF、CGS、−CLO、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、EDI、EEI、EON、EPI、ESV、ETR、EZT、FER、GIS、GOO、HEU、IFW、IFY、IHW、IRN、ITE、ITW、IWW、JBW、JNT、JOZ、JSN、JSW、KFI、−LIT、LOV、LTA、LTF、LTJ、MAZ、MEL、MER、MFS、MON、MOR、MTF、NAB、NAT、NPT、NSI、OBW、OSO、OWE、−PAR、PAU、PCR、PHI、PSI、PUN、RHO、RRO、RSN、RTE、RTH、RWR、RWY、SAS、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SFO、*SFV、SFW、SIV、SOS、STI、STW、THO、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、VET、VNI、VSV、WEI、YUG、及びZONからなる群のいずれか1以上の構造を有するゼオライト、を挙げることができる。
Y型ゼオライト及びAEI型ゼオライトは、いずれもその骨格に二重六員環(D6R)を含む。従来のゼオライトの構造転換によるAEI型ゼオライトの製造方法においては、D6Rの存在によりAEI型ゼオライトが結晶化されることが示唆されていた。これに対し、本発明における原料ゼオライトは骨格に二重六員環(D6R)を含まないゼオライトであってもよい。骨格にD6Rを含まない原料ゼオライトとしてABW、ACO、AEN、AFN、AFR、AFS、AFY、ANA、APC、APD、ATN、ATT、ATV、AWO、AWW、BCT、BIK、BOZ、BPH、BRE、CAS、CDO、CGF、CGS、−CLO、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、EDI、EEI、EON、EPI、ESV、ETR、EZT、FER、GIS、GOO、HEU、IFW、IFY、IHW、IRN、ITE、ITW、IWW、JBW、JNT、JOZ、JSN、JSW、KFI、−LIT、LOV、LTA、LTF、LTJ、MAZ、MEL、MER、MFS、MON、MOR、MTF、NAB、NAT、NPT、NSI、OBW、OSO、OWE、−PAR、PAU、PCR、PHI、PSI、PUN、RHO、RRO、RSN、RTE、RTH、RWR、RWY、SAS、SAV、SBE、SBN、SFO、*SFV、SIV、SOS、STI、STW、THO、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、VET、VNI、VSV、WEI、YUG、及びZONからなる群のいずれか1以上の構造を有するゼオライト、を挙げることができる。
これらのゼオライトをアルミナシリカ源とすることでAEI型ゼオライトが得られ、更にはその結晶化時間が短くなる。その理由のひとつとして、Y型ゼオライトと比べ、原料ゼオライトがAEI構造の骨格ユニットを誘引しやすいことが考えられる。
原料ゼオライトは、ERI、FER、HEU及びMORからなる群のいずれか1以上の構造を有するゼオライトであることが好ましく、ERI型ゼオライト、FER型ゼオライト、HEU型ゼオライト及びMOR型ゼオライトからなる群の少なくとも1種、更にはFER型ゼオライト、HEU型ゼオライト及びMOR型ゼオライトからなる群の少なくとも1種であることが好ましい。原料ゼオライトがこれらのゼオライトとすることで、AEI型ゼオライトの収率が高くなり、更にはAEI型ゼオライトの結晶化が進行しやすくなる。
本発明における特に好ましい原料ゼオライトとして、FER型ゼオライト又はMOR型ゼオライトの少なくともいずれか、更にはFER型ゼオライトを挙げることができる。FER型ゼオライトやMOR型ゼオライトは、結晶化できるSiO/Al比の範囲が非常に広い。そのため、10以上300以下、更には10以上100以下、また更には10以上50以下のSiO/Al比を有するFER型ゼオライトやMOR型ゼオライトは結晶化により直接得られる。これに対し、Y型ゼオライトは結晶化できるSiO/Al比の範囲の範囲が狭く、SiO/Al比は3〜6程度のものしか結晶化できない。Y型ゼオライトをAEI型ゼオライトの原料とする場合、SiO/Al比を高くするための脱アルミニウム処理など、追加の前処理が必要である。これらの前処理は原料ゼオライトのコスト、更にはAEI型ゼオライトの製造コストを高くする。更に、脱アルミニウム処理を施したゼオライトは、アルミニウムが骨格外に残存する。骨格外アルミニウムはゼオライトの結晶化を阻害しやすい。これに対し、FER型ゼオライトやMOR型ゼオライトは、脱アルミニウム処理等を必要としないため、AEI型ゼオライトを製造するためのより安価なシリカアルミナ源として使用することができる。これにより、本発明の製造方法は工業的にも適用しやすい方法となる。
原料ゼオライトのSiO/Al比として10以上300以下を挙げることができる。本発明において、原料組成物に含まれる原料ゼオライトは、SiO/Al比が10以上100以下、更には10以上50以下、また更には14以上50以下、また更には14以上35以下であることが好ましい。
FER型ゼオライトやMOR型ゼオライトは、広い範囲のSiO/Al比を有するものが存在する。そのため、原料組成物は、SiO/Al比の異なる2以上のFER型ゼオライト又はMOR型ゼオライトのいずれかをシリカアルミナ源として含んでいてもよい。
原料ゼオライトは、任意のカチオンタイプのものであればよい。原料ゼオライトのカチオンタイプは、ナトリウム型(Na型)、プロトン型(H型)及びアンモニウム型(NH型)からなる群の少なくとも1種、更にはプロトン型を挙げることができる。
原料組成物は、原料ゼオライト以外のアルミナ源又はシリカ源を含んでいてもよい。
原料ゼオライト以外のアルミナ源は、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、非晶質アルミノシリケート、金属アルミニウム、及びアルミニウムアルコキシドからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。工業的な観点から、原料ゼオライト以外のアルミナ源は、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、非晶質アルミノシリケート、及び金属アルミニウムからなる群の少なくとも1種、更には水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、及び非晶質アルミノシリケートからなる群の少なくとも1種、また更には酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、及び非晶質アルミノシリケートからなる群の少なくとも1種、また更には非晶質アルミノシリケートであることが好ましい。
原料ゼオライト以外のシリカ源は、シリカゾル、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降法シリカ、無定形ケイ酸、及び非晶質アルミノシリケート(無定形アルミノシリケート)からなる群の少なくとも1種であることが好ましく、無定形ケイ酸又は非晶質アルミノシリケート(無定形アルミノシリケート)の少なくともいずれかであることが好ましい。
原料組成物が非晶質アルミノシリケートを含む場合、当該非晶質アルミノシリケートは、シリカ含有率が43重量%超(ケイ素含有率として20重量%超)であることが好ましい。シリカ含有率が43重量%超の非晶質アルミノシリケートとして、SiO/Al比が1.4以上2000以下、更には1.4以上100以下、また更には1.4以上50以下、また更には20以上50以下の非晶質アルミノシリケートを挙げることができる。
原料組成物は、以下の式により求められる原料組成物中の原料ゼオライトの含有量が20重量%以上、更には30重量%以上であることが好ましい。原料組成物中のシリカアルミナ源は、原料ゼオライトのみであること、すなわち原料ゼオライトの含有量が100重量%であってもよい。一方、原料組成物は原料ゼオライト以外のシリカ源又はアルミナ源を含んでいてもよい。この場合、原料ゼオライトの含有量は100重量%未満であり、95重量%以下、更には60重量%以下、また更には50重量%以下であることが挙げられる。原料組成物が原料ゼオライト以外のシリカ源又はアルミナ源を含む場合、原料組成物の原料ゼオライト含有量として20重量%以上50重量%以下、更には30重量%以上50重量%以下を挙げることができる。
本発明において、原料ゼオライトの含有量は以下の式から求めることができる。
原料ゼオライトの含有量(重量%)=
原料ゼオライト中のAl及びSiの合計重量
÷原料組成物中のAl及びSiの合計重量×100
上の式において、Al及びSiの合計重量は、AlをAlに換算し、SiをSiOに換算した合計重量である。したがって、原料組成物が含む原料ゼオライト以外にSiやAlを含む場合、原料組成物中のAl及びSiの合計重量は、原料ゼオライトに含まれるAl及びSiと原料ゼオライト以外のAl及びSiの重量とを含む合計重量となる。
原料組成物は、原料ゼオライト以外にAEI型ゼオライト、CHA型ゼオライト、OFF型ゼオライト、ERI型ゼオライト、KFI型ゼオライト、AFX型ゼオライト、AFT型ゼオライト、EAB型ゼオライト、GME型ゼオライト、及びLEV型ゼオライトからなる群の少なくともいずれか(以下、「種晶ゼオライト」ともいう。)、更にはCHA型ゼオライト又はAEI型ゼオライトの少なくともいずれか、また更にはCHA型ゼオライトを含んでいてもよい。これらのゼオライトはAEI型ゼオライトの種晶として機能する。原料組成物が少量のCHA型ゼオライトを含むことによって、ANA型ゼオライト等のAEI型ゼオライト以外の結晶性アルミノシリケートの生成がより一層抑制される傾向がある。
これらのゼオライト(種晶ゼオライト)の含有量は、原料ゼオライトに対して十分に少ない量であればよく、原料組成物中の原料ゼオライト含有量よりも種晶ゼオライトの含有量が少なければよい。単勝ゼオライトの含有量は、原料組成物中のAlをAlに換算し、SiをSiOに換算した合計重量に対する、種晶ゼオライトのAlをAlに換算し、SiをSiOに換算した合計重量の重量割合として0重量%以上30重量%以下、更には0.01重量%以上10重量%以下、また更には0.1重量%以上3重量%以下であればよい。
種晶ゼオライトはAEI型ゼオライトの核発生を誘発する機能を有する。しかしながら、本発明においては、種晶ゼオライトに由来する核発生が少なくとも、AEI型ゼオライトが効率よく得られる。そのため、原料組成物において、種晶ゼオライトの含有量は原料ゼオライトの含有量以下であり、種晶ゼオライトの含有量は15重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上15重量%以下、0.1重量%以上11重量%以下であればよく、0.1重量%以上5重量%未満であってもよい。
種晶ゼオライトの平均粒子径は0.5μm以上5μm以下、更には0.5μm以上4μm以下、また更には0.85μm以上4μm以下であることが挙げられる。
構造指向剤(以下、「SDA」ともいう。)は、AEI型ゼオライトを指向する化合物として公知の化合物を使用することができる。原料組成物が含むSDAとして、1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウムカチオン、1,1,2,6−テトラメチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1,2,6−トリメチルピペリジニウムカチオン、及び1,1,2−トリエチルピペリジニウムカチオンからなる群の少なくとも1種、更には1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムカチオン又は1,1−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウムカチオンの少なくともいずれか、また更には1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムカチオンを挙げることができる。
SDAは、上記のカチオンの塩の状態であればよく、上記のカチオンの水酸化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物からなる群の少なくとも1種であり、更には上記のカチオンの水酸化物、塩化物及び臭化物からなる群の少なくとも1種であることが挙げられる。
ナトリウム源はナトリウムを含む化合物であり、特に塩基性を示すナトリウムの化合物が挙げられる。原料組成物がナトリウムを含有することで、原料ゼオライトからAEI型ゼオライトへの構造転換が促進される。具体的なナトリウム源として、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム及び硫酸ナトリウムからなる群の少なくとも1種、更には水酸化ナトリウムを挙げることができる。また、原料組成物中の他の原料に含まれるナトリウムもナトリウム源とすることができる。
原料組成物は、ナトリウム以外のアルカリ金属を含む化合物(以下、「アルカリ金属源」ともいう。)を含んでいることが好ましい。アルカリ金属源を含むことにより、AEI型ゼオライト以外の構造の結晶性アルミノシリケートの副生が抑制されやすくなる。アルカリ金属源は、ナトリウム以外のアルカリ金属を含む化合物であり、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群の少なくとも1種を含む化合物であり、更にはカリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群の少なくとも1種を含む水酸化物である。
工業的に入手しやすいため、アルカリ金属源はカリウムを含む化合物であることが好ましく、水酸化カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム及び臭化カリウムからなる群の少なくとも1種であることがより好ましい。工業的に入手しやすく、比較的安価であることからアルカリ金属源は水酸化カリウムであることが好ましい。また、シリカ源またはアルミナ源がナトリウム以外のアルカリ金属を含む場合、当該アルカリ金属もアルカリ金属源とすることができる。
原料組成物は水を含む。原料組成物が含む水は、蒸留水、脱イオン水や純水であればよい。また、アルミナ源やシリカ源など、原料組成物に含まれる他の成分に由来する水であってもよい。
原料組成物のSiO/Al比は、10以上100以下、更には15以上50以下であることが好ましい。得られるAEI型ゼオライトのSiO/Al比は原料組成物のSiO/Al比よりも低くなる。原料組成物のSiO/Al比が100以下であることにより、SiO/Al比が100以下のAEI型ゼオライトが得られやすくなる。より好ましいSiO/Al比として、15以上50以下、更には15以上40以下、また更には15以上38以下、また更には20以上28以下を挙げることができる。
原料組成物におけるシリカに対するナトリウムのモル比(以下、「Na/SiO比」ともいう。)は、0.01以上1.0以下、更には0.05以上1.0以下、また更には0.1以上0.6以下であることが好ましい。特に好ましい範囲として、Na/SiO比は0.05以上0.3未満、更には0.05以上0.2以下、また更には0.05以上0.18以下を挙げることができる。
原料組成物におけるシリカに対するナトリウム以外のアルカリ金属のモル比(以下、「M/SiO比」ともいう。)は結晶化時間に影響し、これは0以上0.5以下、更には0以上0.3未満、また更には0以上0.1以下、また更には0以上0.05以下であればよい。
その一方で、原料組成物がナトリウム以外のアルカリ金属を含むことで、AEI型ゼオライト以外の結晶性アルミノシリケートの生成がより抑制される。そのため、M/SiO比は0を超え0.5以下、更には0を超え0.3未満、また更には0を超え0.1以下、また更には0を超え0.06以下を挙げることができる。
原料組成物がナトリウム以外のアルカリ金属(M)とナトリウムとを含有する場合、原料組成物中のシリカに対するアルカリ金属のモル比(以下、「(M+Na)/SiO比」ともいう。)の好ましい範囲は、0.1以上0.6以下、更には0.1以上0.3未満、また更には0.1以上0.25以下である。
原料組成物のナトリウムに対する、ナトリウム以外のアルカリ金属のモル比(以下、「M/Na比」ともいう。)は、0以上2.0以下であればよい。原料組成物がアルカリ金属源を含む場合、M/Na比は0を超え1.0以下を挙げることができる。ナトリウム以外のアルカリ金属の割合はナトリウムの割合以下であることが好ましく、M/Na比は0.05以上1.0以下を挙げることができる。
原料組成物におけるシリカに対するSDAのモル比(以下、「SDA/SiO比」ともいう。)は、0.05以上であることが好ましい。よりAEI型ゼオライトの結晶化を促進させるためにSDA/SiO比は0.10以上であることが好ましい。製造コストを低減させる観点からSDAは少ないことが好ましく、SDA/SiO比が0.5以下、更には0.40以下、また更には0.30以下であることが好ましい。AEI型ゼオライトの結晶化の効率及び製造コストの観点から、原料組成物のSDA/SiO比は0.05以上0.40以下、更に0.10以上0.30以下、また更には0.10以上0.20以下であることが好ましい。
原料組成物のシリカに対する水酸化物イオン(OH)のモル比(以下、「OH/SiO比」ともいう。)は0.5以下、更には0.45以下、更には0.4以下であることが好ましい。OH/SiO比が0.5以下であることで、より高い収率でAEI型ゼオライトを得ることができる。原料組成物のOH/SiO比は、0.1以上、更には0.2以上であればよい。特に好ましいOH/SiO比の範囲としては0.2以上0.4以下が挙げられる。
原料組成物のシリカに対する水のモル比(以下、「HO/SiO比」ともいう。)は、3以上50以下、更には5以上50以下、また更には5以上25以下を挙げることができる。HO/SiO比をこの範囲とすることでAEI型ゼオライトが結晶化しやすくなる。
より短時間でAEI型ゼオライトを結晶化させるため、HO/SiO比は3以上20未満、5以上20未満、更には5以上15以下、また更には7以上13以下であることが好ましい。
好ましい原料組成物の組成として以下のモル組成を挙げることができる。なお、以下の組成における各割合はモル(mol)割合であり、Mはナトリウム以外のアルカリ金属、及びSDAは有機構造指向剤である。
SiO/Al比 =10以上100以下
Na/SiO比 =0.05以上1.0以下
M/SiO比 =0以上0.5以下
SDA/SiO比 =0.1以上0.5以下
OH/SiO比 =0.1以上0.5以下
O/SiO比 =3以上20未満
更に好ましい原料組成物の組成として以下のものを挙げることができる。
SiO/Al比 =20以上50以下
Na/SiO比 =0.05以上0.3以下
M/SiO比 =0以上0.5以下
SDA/SiO比 =0.1以上0.3以下
OH/SiO比 =0.1以上0.45以下
O/SiO比 =3以上20未満
原料組成物の組成は、本明細書に記載したSiO/Al比、SDA/SiO比、Na/SiO比、M/SiO比、(M+Na)/SiO比、M/Na比、HO/SiO比及びOH/SiO比の各範囲の任意の組合せからなる組成であればよい。
原料組成物は結晶化後の排水処理を必要とする元素を実質的に含んでいないことが好ましい。このような元素として、フッ素(F)やリン(P)を挙げることができる。
原料組成物がフッ素を含有する場合、製造装置に対腐食性の材質を用いる必要がある。そのため、原料組成物はフッ素を含まないこと、すなわち、フッ素含有量が0重量ppmであることが好ましい。しかしながら、通常の組成分析等による測定誤差を考慮すると、原料組成物のフッ素含有量は検出限界以下であり、100重量ppm以下、更には10重量ppm以下であることが挙げられる。原料組成物がフッ素やフッ素化合物を含有しないことで、汎用的な設備を用いたAEI型ゼオライトの製造ができる。また、原料組成物はリンを含まないことが好ましく、リン含有量は検出限界以下であること、更には100重量ppm以下、また更には10重量ppm以下であることが好ましい。
原料組成物中のフッ素含有量及びリン含有量は、ICPなど一般的な測定方法によりにより測定することができる。
結晶化工程では、原料組成物を結晶化する。結晶化方法は、水熱合成が挙げられる。その場合、構造指向剤や原料ゼオライト等の全ての原料を混合して原料組成物を得た後に、これを密閉容器に充填し、これを加熱すればよい。
結晶化温度は100℃以上であれば、原料組成物が結晶化する。温度が高いほど、結晶化が促進される。そのため、結晶化温度は130℃以上、好ましくは160℃以上であることが好ましい。原料組成物が結晶化すれば、必要以上に結晶化温度を高くする必要はない。そのため、結晶化温度は200℃以下、好ましくは180℃以下であればよい。また、結晶化は原料組成物を攪拌した状態、又は静置した状態のいずれの状態で行うことができる。
本発明の製造方法では、アルミナシリカ源としてY型ゼオライト、更にはD6Rを含むゼオライトを使用することなくAEI型ゼオライトの結晶化を進行させることができ、例えば、300時間以下、更には250時間以下であればAEI型ゼオライトの結晶化が十分に進行する。更に、本発明の製造方法は、フッ素やリン等を使用しない従来のAEI型ゼオライトの製造方法と比較してより短い時間でAEI型ゼオライトの結晶化が可能である。そのため、結晶化時間が80時間未満、更には72時間以下、更には48時間以下であっても、AEI型ゼオライトを得ることもできる。得られたAEI型ゼオライトは必要に応じて解砕や粉砕をしてもよい。
本発明の製造方法では、結晶化工程の後、洗浄工程、乾燥工程及びイオン交換工程の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
洗浄工程は、結晶化後のAEI型ゼオライトと液相とを固液分離する。洗浄工程は、公知の方法で固液分離をし、固相として得られるAEI型ゼオライトを純水で洗浄すればよい。
乾燥工程は、結晶化工程後又は洗浄工程後のAEI型ゼオライトから水分を除去する。乾燥工程の条件は任意であり、結晶化工程後又は洗浄工程後のAEI型ゼオライトを、大気中、50℃以上、150℃以下で2時間以上、静置することが例示できる。
結晶化後のAEI型ゼオライトは、そのイオン交換サイト上にアルカリ金属イオン等の金属イオンを有する場合がある。イオン交換工程では、これをアンモニウムイオン(NH )や、プロトン(H)等の非金属カチオンにイオン交換する。アンモニウムイオンへのイオン交換は、AEI型ゼオライトを塩化アンモニウム水溶液に混合、攪拌することが挙げられる。また、プロトンへのイオン交換は、AEI型ゼオライトをアンモニアでイオン交換した後、これを焼成することが挙げられる。
本発明の製造方法では、原料組成物に含まれるケイ素及びアルミニウムを効率よくAEI型ゼオライトに転換することができ、AEI型ゼオライトの収率が高い。本発明の製造方法は、下式で求められるAEI型ゼオライトの収率として、50%以上、更には65%以上、また更には70%以上であることが挙げられる。
収率(重量%)=WCry/WRaw×100
上記式において、WCry及びWRawは、それぞれ、AEI型ゼオライト及び原料組成物について、Al含有量をAl換算した重量及びSi含有量をSiO換算した重量の合計重量である。
結晶化後のAEI型ゼオライトは、結晶化物の重量に対して15〜20重量%程度のSDAを取り込んでいる。しかしながら、AEI型ゼオライトを吸着剤や触媒等で使用する場合、取り込まれたSDAは除去される。上述した方法で収率を求めることにより、SDAを含まない状態のAEI型ゼオライトの収率、すなわち、AEI型ゼオライトの実質的な収率を求めることができる。
なお、非特許文献1のAEI型ゼオライトの製造方法では、原料組成物のSiO/Alの上昇に伴う収率の低下が開示されている。しかしながら、本発明の製造方法では、原料組成物のSiO/Al比が100以下で高い収率でAEI型ゼオライトを製造できることはもちろん、原料組成物のSiO/Al比が20以上、更には22以上であっても、60%以上、更には65%以上の高い収率でAEI型ゼオライトを製造することができる。
本発明の製造方法ではAEI型ゼオライトが得られる。当該AEI型ゼオライトは、SiO/Al比が100以下、更には50以下、また更には30以下のAEI型ゼオライトであることが好ましい。本発明の製造方法で得られるAEI型ゼオライトのより好ましいSiO/Al比として、10以上100以下、更には14以上50以下、また更には15以上30以下であることを挙げられる。
本発明の製造方法で得られるAEI型ゼオライトは十分に結晶成長している。本発明の製造方法で得られるAEI型ゼオライトの平均結晶径として、0.5μm以上5.0μm以下、更には0.5μm以上3.0μm以下、また更には0.9μm以上3.0μm以下であることが挙げられる。
本発明における結晶径とは、一次粒子の粒径であり、電子顕微鏡で観察される独立した最小単位の粒子の直径である。平均結晶径は、電子顕微鏡で無作為に抽出した30個以上の一次粒子の結晶径を相加平均した値である。そのため、複数の一次粒子が凝集した二次粒子の直径である二次粒子径や平均二次粒子径と、結晶径や平均結晶径とは異なる。一次粒子の形状は、立方晶形状、正方晶形状、並びに、立方晶形状又は正方晶形状が複合化した双晶形状からなる群の少なくとも1種であってもよい。
AEI型ゼオライトの充填性は、結晶化工程の条件や、結晶化後の処理工程によりある程度調整することができる。本発明のAEI型ゼオライトの充填性は、ゆるみ嵩密度として0.1g/cm以上1g/cm以下、更には0.1g/cm以上0.5g/cm以下であることが挙げられる。ゆるみ嵩密度がこの範囲であることで、AEI型ゼオライトが触媒や吸着剤等として実用的な充填性を有するものとなる。ゆるみ嵩密度は、ふるいを通したAEI型ゼオライトを自然落下させて容器に充てんさせたときの嵩密度であり、これは一般的な粉体物性測定装置により測定することができる。
本発明の製造方法で得られるAEI型ゼオライトは、酸触媒として十分な酸量を有する。酸量は、0.5mmol/g以上3mmol/g以下であり、更には1mmol/g以上2mmol/g以下である。
酸量は、有機物を除去した状態のプロトン型のAEI型ゼオライトをアンモニアTPD測定することで求めることができる。
本発明の製造方法で得られるAEI型ゼオライトは、ケイ素に対するシラノール量のモル比(以下、「SiOH/Si比」ともいう。)が3×10−2以下であることが挙げられる。理想的なAEI型ゼオライトはシラノールを含まないが、現実的に、AEI型ゼオライトはシラノールを含む。そのため、SiOH/Si比は0を超え3×10−2以下、更には0を超え1×10−2以下を挙げることができる。
シラノール量は、有機物を除去した状態のアンモニウム型のAEI型ゼオライトをNMR測定することで求めることができる。
本発明の製造方法で得られるAEI型ゼオライトは、高い耐熱性を有し、水熱雰囲気への曝露前後の結晶性の低下が少なく、Y型ゼオライトを原料として得られる従来のAEI型ゼオライトと比べて、水熱雰囲気への曝露前後の結晶性の低下が少ないことが好ましい。水熱雰囲気への曝露による結晶性の低下度合いは、水熱雰囲気に晒される前の結晶性に対する、水熱雰囲気に晒された後の結晶性の割合(以下、「結晶化維持率」ともいう。)を指標とすることができ、これは熱水雰囲気の曝露前後のXRDピークの強度を比較することで求めることができる。
本発明の製造方法で得られるAEI型ゼオライトは、触媒担体や吸着剤として使用することができる。更には、本発明の製造方法で得られるAEI型ゼオライトが銅又は鉄の少なくともいずれかを含有することで、これを触媒として、更には窒素酸化物還元触媒として使用することが期待できる。
本発明により、フッ素やリンを含む原料を実質的に使用することなく、なおかつ従来のAEI型ゼオライトの製造方法と比べて、生産性の高いAEI型ゼオライトの製造方法を提供することができる。さらに、本発明によりAEI型ゼオライト、特にアルミナに対するシリカのモル比が100以下のAEI型ゼオライトの工業的な製造方法を提供することができる。また更には、本発明の製造方法ではFAU構造以外の構造のゼオライトの構造転換によりAEI型ゼオライトが製造できるため、高価なY型ゼオライトを使用することなくAEI型ゼオライトを製造することができる。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「比」は特に断らない限り、「モル比」である。
(結晶相の同定)
一般的なX線回折装置(装置名:UltimaIV、リガク社製)を使用し、試料のXRD測定をした。線源にはCuKα線(λ=1.5405Å)を用い、測定範囲は2θとして3°から43°の範囲で測定した。
得られたXRDパターンと、特許文献1の表1のXRDパターンとを比較することで、試料の構造を同定した。
(組成分析)
フッ酸と硝酸の混合水溶液に試料を溶解して試料溶液を調製した。一般的なICP装置(装置名:OPTIMA5300DV、PerkinElmer社製)を使用して、当該試料溶液を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)で測定した。得られたSi、Alの測定値から、試料のSiO/Al比を求めた。
(シラノール量)
合成したAEI型ゼオライトを600℃×2時間空気中で焼成した後に、1H MAS NMRにより、シラノール量の含有量を測定した。条件は以下の通りとした。測定に先立ち、試料を真空排気下にて400℃で5時間保持し脱水することで前処理とした。前処理後、室温まで冷却した試料を窒素雰囲気下で採取し秤量した。測定装置は一般的なNMR装置(装置名:VXR−300S、Varian製)を使用した。
共鳴周波数 :300.0MHz
パルス幅 :π/2
測定待ち時間 :10秒
積算回数 :32回
回転周波数 :4kHz
シフト基準 :TMS
得られた1H MAS NMRスペクトルからシラノール基に帰属されるピーク(2.0±0.5ppmのピーク)を波形分離し、その面積強度を求めた。得られた面積強度から検量線法により試料中のシラノール量を求めた。
(酸量)
合成したAEI型ゼオライトを600℃×2時間空気中で焼成した後に、マイクロトラック・ベル株式会社製のBELCATIIを用い、アンモニアTPD(Temperature Programmed Desorption)法によって測定した。測定に先立ち、AEI型ゼオライト0.05gを500℃、ヘリウム中で加熱処理して吸着成分を除去した後、100℃で、ヘリウム99%、アンモニア1%の混合気体を流通させることでアンモニアを飽和吸着させた。次にヘリウムガスを流通させて系内に残存するアンモニアを除去した。アンモニアの除去後、以下の条件で処理した際に試料から脱離したアンモニア量を定量し、酸量を求めた。
雰囲気 :ヘリウム流通下(流通速度30mL/分)
昇温速度 :10℃/分
処理温度 :100℃〜700℃
(平均結晶径)
電子顕微鏡(装置名:JSM−6390LV、日立分光社製)を用いて一次粒子の結晶径及び形状を観察した。一次粒子が立方晶形状の結晶である場合は結晶の1辺の長さを測定すること、及び、一次粒子が正方晶形状の結晶である場合は正方形の面の辺の長さを測定することで結晶径を求めた。平均結晶径は、30個以上の一次粒子を無作為に抽出し、個々の結晶径の測定値の平均から求めた。
(結晶化維持率)
水熱耐久処理前後のAEI型ゼオライト試料について、結晶構造の同定と同様な方法でXRD測定した。得られたXRDパターンについて、バックグラウンド除去処理及びピークサーチ処理を行った後、2θ=16.9±0.2°及び17.2±0.2°に相当するXRDピークのピーク強度を合計し、AEI型ゼオライト試料の結晶化度とした。以下の式を用いて結晶化維持率を算出した。
結晶化維持率(%)=(水熱耐久処理後の結晶化度)
÷(水熱耐久処理前の結晶化度)×100
(ゆるみ嵩密度)
ふるいを通して粉末試料を自然落下させて容器に充てんさせたときの嵩密度を測定し、ゆるみ嵩密度を測定した。測定には粉体物性測定装置(装置名:MULTI TESTER MT−1001、セイシン企業製)を用いた。
実施例1
純水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、原料ゼオライトとしてFER型ゼオライト(SiO/Al比=24、H型)、及び1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウム水酸化物(以下、「TMPOH」ともいう。)、及び種晶ゼオライトとしてAEI型ゼオライト(SiO/Al比=16、H型)を混合し、以下の組成を有する原料組成物を得た。
SiO/Al比 =24
Na/SiO比 =0.05
K/SiO比 =0.05
(K+Na)/SiO比 =0.1
K/Na比 =1.0
TMPOH/SiO比 =0.2
O/SiO比 =10
OH/SiO比 =0.30
原料組成物における原料ゼオライトの含有量は95重量%、及び、種晶ゼオライトの含有量は5重量%であった。
原料組成物を密閉容器内に充填し、これを攪拌しながら170℃で48時間結晶化させた。得られた結晶化物を固液分離し、純水で洗浄した後、110℃で乾燥した。XRD測定の結果、当該結晶化物はAEI型ゼオライトであり、そのSiO/Al比は18、収率は77%、及び、平均結晶径は0.5μmであった。
実施例2
純水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、原料ゼオライトとしてFER型ゼオライト(SiO/Al比=17、H型)、TMPOH、及び種晶ゼオライトとしてAEI型ゼオライト(SiO/Al比=16、H型、平均粒径3.1μm)及びSiO/Al比39の非晶質アルミノシリケートを混合し、以下の組成を有する原料組成物を得たこと以外は、実施例1同様は方法で結晶化物を得た。
SiO/Al比 =26
Na/SiO比 =0.12
K/SiO比 =0.04
(K+Na)/SiO比 =0.16
K/Na比 =0.33
TMPOH/SiO比 =0.2
O/SiO比 =10
OH/SiO比 =0.36
原料組成物における原料ゼオライトの含有量は36重量%(35.7重量%)、及び、種晶ゼオライトの含有量は5重量%(4.8重量%)であった。また、非晶質アルミノシリケートの含有量は60重量%(59.5重量%)であった。得られた結晶化物はAEI型ゼオライトであり、そのSiO/Al比は18、及び、収率は71%であった。
実施例3
原料ゼオライトとしてSiO/Al比=25のFER型ゼオライト(H型)を用いたこと、以下の組成を有する原料組成物としたこと、及び結晶化時間を72時間にしたこと以外は、実施例1と同様な方法により結晶化物を得た。
SiO/Al比 =24
Na/SiO比 =0.12
K/SiO比 =0.04
(K+Na)/SiO比 =0.16
K/Na比 =0.33
TMPOH/SiO比 =0.2
O/SiO比 =13
OH/SiO比 =0.36
原料組成物における原料ゼオライトの含有量は90重量%、及び、種晶ゼオライトの含有量は10重量%であった。得られた結晶化物はAEI型ゼオライトであり、そのSiO/Al比は16、及び収率は69%であった。
実施例4
以下の組成を有する原料組成物としたこと以外は、実施例2と同様な方法により結晶化物を得た。
SiO/Al比 =26
Na/SiO比 =0.14
K/SiO比 =0.04
(K+Na)/SiO比 =0.18
K/Na比 =0.29
TMPOH/SiO比 =0.17
O/SiO比 =10
OH/SiO比 =0.35
原料組成物における原料ゼオライトの含有量は41重量%、及び、種晶ゼオライトの含有量は1重量%であった。また、非晶質アルミノシリケートの含有量は58重量%であった。得られた結晶化物はAEI型ゼオライトであり、その平均結晶径は0.8μmであった。
実施例5
以下の組成を有する原料組成物としたこと以外は、実施例2と同様な方法により結晶化物を得た。
SiO/Al比 =26
Na/SiO比 =0.16
K/SiO比 =0.04
(K+Na)/SiO比 =0.20
K/Na比 =0.25
TMPOH/SiO比 =0.15
O/SiO比 =10
OH/SiO比 =0.35
原料組成物における原料ゼオライトの含有量は39重量%、及び、種晶ゼオライトの含有量は5重量%であった。また、非晶質アルミノシリケートの含有量は56重量%であった。得られた結晶化物はAEI型ゼオライトであり、その平均結晶径は0.5μmであった。
実施例6
原料ゼオライトとしてFER型ゼオライト(SiO/Al比=19、H型)を用いたこと、種晶ゼオライトとしてCHA型ゼオライト(SiO/Al比=20、平均粒径1.3μm)を用いたこと、SiO/Al比が42の非晶質アルミノシリケートを用いたこと、及び、以下の組成を有する原料組成物としたこと以外は、実施例2と同様な方法により結晶化物を得た。
SiO/Al比 =26
Na/SiO比 =0.16
K/SiO比 =0.04
(K+Na)/SiO比 =0.20
K/Na比 =0.25
TMPOH/SiO比 =0.15
O/SiO比 =10
OH/SiO比 =0.35
原料組成物における原料ゼオライトの含有量は47重量%、及び、種晶ゼオライトの含有量は1重量%であった。また、非晶質アルミノシリケートの含有量は52重量%であった。得られた結晶化物はAEI型ゼオライトであった。
本実施例のAEI型ゼオライトは、SiO/Al比が17、収率が68%、平均結晶径が1.7μm、シラノール量がSiOH/Si比=0.9×10−2、及び、酸量が1.72mmol/gであった。
本実施例において、結晶化が完了する時間(原料ゼオライト由来のXRDパターンが消失する時間)は48時間であった。
実施例7
原料ゼオライトとしてFER型ゼオライト(SiO/Al比=18、H型)を用いたこと、SiO/Al比が47の非晶質アルミノシリケートを用いたこと、結晶化時間を36時間としたこと、及び、以下の組成を有する原料組成物としたこと以外は、実施例6と同様な方法により結晶化物を得た。
SiO/Al比 =27
Na/SiO比 =0.18
K/SiO比 =0.02
(K+Na)/SiO比 =0.20
K/Na比 =0.11
TMPOH/SiO比 =0.15
O/SiO比 =11
OH/SiO比 =0.35
原料組成物における原料ゼオライトの含有量は46.3重量%、及び、種晶ゼオライトの含有量は0.1重量%であった。また、非晶質アルミノシリケートの含有量は53.6重量%であった。本実施例においては、結晶化開始から34時間で原料ゼオライト由来のXRDパターンが消失しており、34時間でAEI型ゼオライトの結晶化が完了していることが確認できた。本実施例は、実施例6と比べ、種晶ゼオライトの含有量が少ないにも関わらず、より短い結晶化時間で単一相のAEI型ゼオライトを得ることができた。
得られた結晶化物はAEI型ゼオライトであり、そのSiO/Al比は18、収率は69%、平均結晶径は1.6μm、シラノール量はSiOH/Si比=0.6×10−2、酸量は1.72mmol/g、及び、ゆるみ嵩密度は0.35g/mlであった。
実施例8
原料ゼオライトとしてMOR型ゼオライト(SiO/Al比=25、H型)を用いたこと以外は、実施例3と同様な方法により結晶化物を得た。XRD測定の結果、得られた結晶化物においてAEI型ゼオライトに帰属されるXRDピークの強度が結晶化前の2倍以上になっていた。また、SEM観察の結果、当該結晶化物には種晶ゼオライト及び原料ゼオライトとは異なる形状の粒子が存在することが確認できた。これより、MOR型ゼオライトを含む原料組成物からAEI型ゼオライトへの結晶化が進行していることが確認できた。
結晶化を継続し、結晶化開始からの結晶化時間が合計で240時間となった時点で反応を止め、結晶化物を得た。得られた結晶化物を固液分離し、純粋で洗浄した後、110℃で乾燥した。得られた結晶化物は、AEI型ゼオライトであった。
比較例1
FER型ゼオライトの代わりにMFI型ゼオライト(SiO/Al比=25、H型、骨格密度=18.4T/1000Å)を用いたこと以外は、実施例3と同様な方法により結晶化し、得られた固形物を洗浄、乾燥した。XRD測定の結果、当該結晶化物はMFI型ゼオライトとAEI型ゼオライトとの混合物であった。
SEM観察の結果、得られた結晶化物は種晶ゼオライトとして添加したAEI型ゼオライトと同一形状の粒子しか観察されず、なおかつ、結晶化前後でAEI型ゼオライトに相当するXRDピークの強度に変化がなかった。これより、本比較例では、MEI型ゼオライトを原料とした場合は、AEI型ゼオライトの単一相が得られないだけではなく、AEI型ゼオライトの結晶成長が全く進行しないことが確認できた。
比較例2
FER型ゼオライトの代わりに*BEA型ゼオライト(SiO/Al比=25、H型、骨格密度=15.3T/1000Å)を用いたこと以外は、実施例3と同様な方法により結晶化し、得られた固形物を洗浄、乾燥した。XRD測定の結果、当該結晶化物は*BEA型ゼオライトとAEI型ゼオライトとの混合物であった。
SEM観察の結果、得られた結晶化物は種晶ゼオライトとして添加したAEI型ゼオライトと同一形状の粒子しか観察されず、なおかつ、結晶化前後でAEI型ゼオライトに相当するXRDピークの強度に変化がなかった。これより、本比較例では、*BEA型ゼオライトを原料とした場合は、AEI型ゼオライトの単一相を得ることはできないだけではなく、AEI型ゼオライトの結晶成長が全く進行しないことが確認できた。
比較例3
原料ゼオライトとしてOFF型ゼオライト(SiO/Al比=10、H型、骨格密度=16.1T/1000Å)、非晶質アルミノシリケートのSiO/Al比を400とし、以下の組成を有する原料組成物としたこと以外は、実施例2と同様な方法により結晶化物を得た。
SiO/Al比 =20
Na/SiO比 =0.12
K/SiO比 =0.01
(K+Na)/SiO比 =0.13
K/Na比 =0.08
TMPOH/SiO比 =0.20
O/SiO比 =10
OH/SiO比 =0.33
原料組成物における原料ゼオライトの含有量は49重量%、及び、種晶ゼオライトの含有量は10重量%であった。また、非晶質アルミノシリケートの含有量は41重量%であった。
SEM観察の結果、得られた結晶化物は種晶ゼオライトとして添加したAEI型ゼオライトと同一形状の粒子しか観察されず、なおかつ、結晶化前後でAEI型ゼオライトに相当するXRDピークの強度に変化がなかった。これより、本比較例では、OFF型ゼオライトを原料とした場合は、AEI型ゼオライトの単一相を得ることはできないだけではなく、AEI型ゼオライトの結晶成長が全く進行しないことが確認できた。
測定例
実施例6及び7で得られたAEI型ゼオライトを、それぞれ600℃×2時間空気中で焼成することで、AEI型ゼオライトをプロトン型に交換した。交換後のAEI型ゼオライトは以下の条件での水熱耐久処理を施し、結晶化維持率を測定した。
処理温度 :900℃
処理時間 :4時間
処理雰囲気 :含水空気流通下(水10体積%、空気90体積%)
昇温速度 :20℃/分
昇温雰囲気 :室温から200℃までは空気流通下、
200℃超は含水空気流通下
また、比較のため、Y型ゼオライトの構造転換によりAEI型ゼオライト(以下、「比較試料」ともいう。)を製造した。なお、比較試料の製造においてAEI型ゼオライトの結晶化に72時間かかった。これにより、Y型ゼオライトの構造転換によるAEI型ゼオライトの製造方法と比べ、本発明の製造方法は、原料コストを低減できることだけではなく、結晶化時間の短時間化による製造コストの低減ができることが示唆された。
上記の条件で比較試料を水熱耐久処理して結晶化維持率を測定した。結晶化維持率の結果を表4に示す。
Figure 0006834250
表4より、本発明の製造方法で得られたAEI型ゼオライトは水熱耐久処理後の結晶化維持率が高く、Y型ゼオライトの転換により得られたAEI型ゼオライトと比べて結晶が安定していることが確認できた。さらに、本発明の製造方法で得られたAEI型ゼオライトは900℃、4時間の水熱耐久処理前後で結晶化度の変化が観察されず、非常に高い耐久性を有することが確認できた。
本発明の製造方法は、AEI型ゼオライトの製造方法、特にAEI型ゼオライトの工業的な製造方法として使用することができる。さらには、触媒等の担体として適した、SiO/Al比が100以下のAEI型ゼオライトの工業的な製造方法として使用することができる。

Claims (11)

  1. 構造指向剤、ナトリウム源、水、及び、シリカアルミナ源としてFER型ゼオライト又はMOR型ゼオライトの少なくともいずれか、を含有する組成物を結晶化する結晶化工程、を含むAEI型ゼオライトの製造方法
  2. 前記シリカアルミナ源がFER型ゼオライトである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記ゼオライトのアルミナに対するシリカのモル比が10以上100以下である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記構造指向剤が、1,1,3,5−テトラメチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジニウムカチオン、1,1,2,6−テトラメチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1,2,6−トリメチルピペリジニウムカチオン、及び1,1,2−トリエチルピペリジニウムカチオンからなる群の少なくとも1種である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記組成物が、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、非晶質アルミノシリケート、金属アルミニウム、及びアルミニウムアルコキシドからなる群の少なくとも1種を含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記組成物が、アルミナに対するシリカのモル比が1.4以上2000以下の非晶質アルミノシリケートを含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 前記組成物が、AEI型ゼオライト、CHA型ゼオライト、OFF型ゼオライト、ERI型ゼオライト、KFI型ゼオライト、AFX型ゼオライト、AFT型ゼオライト、EAB型ゼオライト、GME型ゼオライト、及びLEV型ゼオライトからなる群の少なくともいずれかを含む請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 前記組成物のアルミナに対するシリカのモル比が15以上50以下である請求項1至7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記組成物が以下のモル組成を有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の製造方法。なお、Mはナトリウム以外のアルカリ金属、及びSDAは有機構造指向剤である。
    SiO/Al比 =20以上50以下
    Na/SiO比 =0.05以上0.3以下
    M/SiO比 =0以上0.5以下
    SDA/SiO比 =0.1以上0.3以下
    OH/SiO比 =0.1以上0.45以下
    O/SiO比 =3以上20未満
  10. 前記組成物のフッ素含有量が100重量ppm以下である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 前記結晶化工程において、アルミナに対するシリカのモル比が100以下のAEI型ゼオライトを得る請求項1乃至10のいずれか一項に記載の製造方法。
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